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[6月23日・グループF]
ドイツ2-1スウェーデン

 ドイツチームは追い込まれていました。

 緒戦のメキシコ戦で敗れ、2戦目のこの試合も90分を終えて1-1、インジュリータイムに入っていたのです。
 このまま1敗1引分となれば、まだグループリーグGL突破の可能性は残すものの、その運命は他の試合の結果に左右されるという状況だったのです。

 しかも、後半37分、「守りの要」ジェローム・ボアテング選手がこの試合2枚目のイエローカードで退場していましたから、スウェーデンチーム相手に10名対11名のプレーを強いられてもいたのです。

 ドイツ絶体絶命のピンチと言って良いでしょう。
 2014年大会の優勝チームが、準優勝チームのアルゼンチンと共に、GL敗退の危機に晒されていました。

 とはいえ、いかに世界ランキング1位のチームでも、調子が上がらない大会もあるだろう、世界最高の舞台で強豪国との戦いとなれば、GL敗退も不思議なことでは無い、というご意見も有るかもしれませんが、ことドイツチームとなれば、これは「事件」なのです。

 記憶では、ドイツチームは「過去64年間に渡ってベスト8以上を確保」している筈です。
 半世紀を大きく超える期間、ドイツチームは常に準々決勝(あるいはそれに相当するゲーム)を戦ってきたのです。

 そのドイツがGLというか1次リーグで敗退するというのは、ワールドカップという大会では、「有り得ないこと」と言っても良いでしょう。

 ところが、そのドイツが、今大会は「崖っぷち」まで追い込まれたのです。

 90分を終えての試合の様子も、決してドイツチームが一方的に攻め続けているものではありませんでした。スウェーデンチームも良く戦っていましたから、スウェーデンチームが勝ち越す可能性もあった(何しろ一人多いのです)わけで、敗戦となれば、ドイツチームのGL敗退が決まってしまいます。

 そうした「とても追い込まれた状況」の後半50分、ドイツは左サイドでフリーキックFKを得ました。
 蹴るのはトニー・クロース選手。

 ゴール前に上げて、走り込んだ選手がヘディングで押し込むプレーかと思いましたが、クロース選手はこれを直接狙いました。右から回すシュート。
 そして、これが決まりました。

 土壇場の勝ち越し。

 勝ち慣れている選手達も、さすがに喜びを爆発させました。
 ベンチのヨアヒム・レープ監督も飛び上がりました。

 今大会のドイツチームは、相手チームに十分に研究し尽くされ、ゴール前を多くの人数で固められる守備に苦しんでいます。
 トーマス・ミュラー選手の「意外性十分のプレー」も、スペースが無ければ威力は半減していました。

 加えて、ジュバインシュタイガー選手やポドルスキー選手の様な「アクセントとしてのドリブル」を披露するプレーヤーが減りましたので、ゴール前でパスするというプレーが増えてしまい、攻撃が単調なものとなっているのです。

 さらに加えて、ミロスラフ・クローゼ選手の様な「圧倒的な決定力」を具備する選手が居ませんから、試合開始走早々に得点して、ゲームを優位に進める、反撃に出てきた相手チームの隙をついて、カウンター攻撃などにより2点目3点目をゲットして、余裕綽々のプレーを続けることも出来なくなっています。

 2014年大会で「決勝までの7試合連続で先制点を挙げていた」ことに比べれば、今大会は「2試合連続で先制を許している」ことに、それがよく現れています。

 全体として「得点力が半減」している状態と言っても良いでしょう。
 この点を改善しない限り、今後も苦しい戦いが続くことになりそうです。

 とはいえ、その「勝負強さ」は健在です。

 この試合の90分経過時のように「追い込まれた状況」は、過去64年間にも何度も有ったのでしょう。もっと厳しい状況も有ったのかもしれません。
 それをドイツチームは、悉く跳ね返してきました。
 もはや、DNAと呼んで良い勝負強さです。

 後半のインジュリータイムに入った時、「いかにドイツでもこのままGL敗退するかも」と感じたこと自体が、「ワールドカップにおけるドイツチームを知らない人」の感覚であったと、反省?しています。

 本当に「ドイツというチームを理解している人」ならば、インジュリータイムに入って1-1の同点で、GL敗退の危機に瀕しているとすれば、「これからドイツが得点する」と考えなければならなかったのでしょう。
ワールドカップにおけるドイツとは、そういうチームだと認識し、「決勝ゴールかどのように生まれるのか」を凝視していなくてはならなかったのです。

 「64年間の事実」は、とても重いものです。

 今、クロース選手のゴールに驚いてしまったことを、猛省しています。
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 山口県の維新百年記念公園陸上競技場で開催されている、第102回日本陸上選手権大会は6月23日に2日目を迎え、男子100m競走の決勝が行われました。

 10秒10を切るランナーが複数存在するという、日本陸上競技史上最高レベルとなっている、現在の男子短距離陣ですが、この大会も優勝の行方は「走ってみなければわからない」という状況でした。

 桐生祥秀選手、山縣亮太選手、ケンブリッジ飛鳥選手、多田修平選手といった、実績十分なプレーヤーが、揃って決勝に進出してきたのです。どのランナーも、予選・準決勝と相応の走りを魅せていました。この大会に照準を合わせて来たのです。

[100m決勝の結果]
1位 山縣亮太 10秒05
2位 ケンブリッジ飛鳥 10秒14
3位 桐生祥秀 10秒16
4位 小池祐貴 10秒17
5位 多田修平 10秒22
6位 長田拓也 10秒30

 スタートは山縣選手が飛び出しました。もともとスタートの良いランナーですが、このレースでは反応も良く、何よりその後の加速が秀逸でした。30mから40m付近の加速、トラックを押す力が素晴らしく、最高速度も41.3km/時を記録しました。
 そして、何より見事だったのは「高速を長く維持」したことでしょう。
 最高速度も60m付近で出たものでした。このレースの山縣選手は、40mから70m付近まで40km/時以上の速度を継続していたように観えます。

 当然のことながら、100m競走で好タイムを出すには、例えば42km/時で10mの走りを示現するだけよりも、41km/時で40m走ることの方が結果を得やすいでしょう。ピークは速いがスピードの上下が大きい、よりも、相当の速度で長く走る方が勝利に近づけるのです。

 このレースの山縣選手は、それを実現していました。
 「太い走り」でした。

 2位のケンブリッジ選手は、「脚が体の後ろで動いている」という本人の準決勝を終えた後のコメント通りの走りでした。腰がやや引け、おそらく5cm位、好調時より後ろに下がっていて、結果として上半身が前傾、重心が下がってしまっていたのでしょう。ケンブリッジ選手の特徴である「重心の高い走り」が出来なかったのです。

 3位の桐生選手は、スタートから40m付近までの走りは良かったのですが、40m以降の走りが「ふわっとしたもの」になったように観えました。トラックに力があまり伝わっていなかった感じ、「力強さに欠ける100m」になってしまったのです。
 原因は深いのでしょうが、まだ本来の筋力が整備されていないのかもしれません。

 4位の小池祐貴選手も良い走りでした。
 このところ伸び盛りの小池選手は、有名ランナー陣の一角に割って入る、あわよくば優勝して「サプライズ」を具現する意欲十分の気迫でレースに臨んでいたように観えました。
 さすがに、山縣・ケンブリッジ・桐生の堅陣を崩すことは出来ませんでしたが、こうした選手が伸びてくるところに、現在の短距離陣の充実を感じます。

 日本陸上選手権2018の男子100m決勝は、「輪郭のハッキリしたレース」でした。
[6月22日・グループE]
ブラジル2-0コスタリカ

 「2-0」は、サッカー競技において「完勝」を表すスコアです。サッカーファンにゲームのスコア予想を聞いた時に、完勝できそうな試合であれば「2-0」と答えることも多いのです。

 このゲームは、その「2-0」でしたが、試合内容はブラジルの完勝と言うよりは、0-0のまま、息詰まるような緊張感に満ちた時間が過ぎて行く展開でした。
 90分を終っても0-0、ブラジルチームの波状攻撃とコスタリカチームの堅守が、絶妙のバランスを保っていたのです。

 このまま引分けかと思われました。

 インジュリータイムは6分でした。
 ネイマール選手のプレーを巡って、一度はペナルティーキックPKと判定されながら、VARにより反則無と判定されたプレーや、苛立ちを見せたネイマール選手にイエローカードが出されたプレーなど、インジュリータイムが増える要素が多かったのです。

 その91分、ブラジルが再び攻め込みました。コスタリカゴール前で、ブラジルチームのフォワードFWカブリエルジェズス選手がトラップし、自らシュートを打とうとした瞬間、後ろからもの凄いスピードで走り込んできたプレーヤーが居ました。
 フェリペ・コウチーニョ選手でした。コウチーニョ選手は走りながらボールをヒットしました。強烈なシュートでした。このシュートが、コスタリカのゴールキーパーGKケイラー・ナバス選手の股間を抜けてゴールイン。

 ブラジルチームが、ついに先取点を挙げた瞬間でした。

 2014年ブラジル大会の時から、GKナバス選手のプレーは際立っていました。
 「守護神」という言葉がピッタリくる、冷静かつ良いポジショニングをベースにしたプレーは、派手さこそありませんが、確実に相手チームの壁となるのです。
 ゲームが進むにつれて、「このキーパーから、どうやって得点を挙げるのだろう」という雰囲気が増してくるのも、ナバス選手の特徴だと思います。「シュートをすれば、いつもそこにナバスが居る」のです。
 このゲームでも、そうした空気が漂いました。

 良く汗を流すディフェンダーDF陣と共に、コスタリカチームはブラジルチームの猛攻に耐え続けました。
 しかし、さすがに80分を過ぎた頃から疲労が目立ち始めました。
 ピッチに倒れるコスタリカプレーヤーが増えて来たのです。

 逆に言えば、ブラジルが「良く攻めた」ということでしょう。
 クロアチアの堅守に跳ね返され続けても、衰えることの無い攻めを続けたのです。
 チーム全体が良く動き、攻めのバリエーションも豊富でした。

 このまま引分けて、2戦2引分でも、ブラジルチームは心配ないと感じました。自分達のプレーができていましたから。

 そうした中で91分、ついに先制点が生れたのです。
 このコウチーニョ選手のシュートも、それまでと同様に「ナバス選手の正面」に飛びましたが、スピード十分な「股抜き」シュートでしたので、さすがのナバス選手もセーブすることが出来ませんでした。
 心身の疲労が、コスタリカ守備陣を覆っていたのかもしれません。

 そして97分、やや気落ちした感じのコスタリカゴール前で、ネイマール選手が跳びました。
 2点目のゴールを挙げたのです。

 ゲームを通じて、相当フラストレーションが溜まっていたネイマール選手にとっては、溜飲を下げるゴールだったことでしょう。

 セレソンは勝ち切りました。

 ブラジルチームの勢いを増大させるゲームでした。
[6月21日・グループD]
クロアチア3-0アルゼンチン

 アルゼンチンチームが苦境に追い込まれています。

 グループリーグGL突破に赤信号です。

 ゴールキーパーGKカバジェロ選手の凡ミスから失点したとはいえ、アルゼンチン不調の原因は、そこではないでしょう。
 凡ミスやペナルティーキックPKの失敗などは、そう珍しいことでは無いし、どんなチームにも起こることなのです。

 今大会のアルゼンチンチームの攻撃は、やや単調でしょう。攻撃のバリエーションが不足しているのです。結果として、得点に繋がりそうなチャンスが少ない。
 加えて、各選手の動きが悪い。2試合を戦いながら、スピード・キレ共にこれだけ悪い代表チームというのは、久し振りだと思います。

 2014年大会も、アルゼンチンらしい「ドリブルと相手ゴール前の華麗なパスワーク」は影を潜めていて、「らしくない」ゲームが多かったのですが、それをカバーして余りあったのがディマリア選手の運動量でした。

 2014年のアンヘル・ディマリア選手は、攻守にわたって精力的に動き、攻撃面ならばハーフウェイ地域から20m前後のドリブル突破が効果的で、相手チームの守備陣形に大きなインパクトを与え続け、アルゼンチンの「少ないが効果的なゴール」を生み出し、チームを準優勝に導きました。

 今大会もディマリア選手は、GL緒戦には登場しましたが、その運動量は観るべくも有りませんでしたし、クロアチアチームとの第2戦には、ピッチに立つこともありませんでした。

 足許にボールを欲しがり、前進を目指すプレーが不足している状況下、各プレーヤーの動きにスピードとキレが足りないのですから、苦戦も止むを得ないというところでしょうか。

 アルゼンチンチームのGL突破は、他チームの成績に左右されることとなりました。
 自力のみでの突破は出来なくなったのです。

 とはいえ、6月26日のナイジェリアチームとのゲームでは、「メッシのアルゼンチン」としてのプレーを魅せていただきたいものです。

 決勝トーナメント進出の可能性は、まだ残されているのです。
 ポルトガルチームのクリスティアーノ・ロナウド選手が好調です。

 6月15日のスペイン戦で3ゴール、6月20日のモロッコ戦で1ゴールと、2試合で4得点を挙げる活躍なのです。

 世界屈指のストライカーであるクリロナ選手ですから、「これ位の活躍は・・・」という見方もあるのでしょうが、2006年・2010年・2014年の過去3大会で計3得点だったことを思えば、2試合で4得点という今大会の活躍は、従来トレンドを大きく超えたものでしょう。

 加えて、「ゴールの迫力」が凄まじい。

 スペイン戦の後半43分、2-3とリードを許して迎えた試合終了目前のフリーキックFK。
 スペインゴール前にクリスティアーノ・ロナウド選手は「仁王立ち」していました。
 その立ち姿のオーラも凄まじいものでしたし、ゴールを睨みつける眼は鷹の様。
 十分に時間をかけて、右足を一閃。
 ボールはスペインゴールに突き刺さりました。
 「入った」というより「入れた」ゴールでしょう。

 モロッコ戦の前半4分。試合開始早々のコーナーキックCK。
 ショートコーナーからの低く鋭い軌道のパスがモロッコゴール前に飛んできた時、「ズドーン」というヘディングシュートが決まりました。クリスティアーノ・ロナウド選手でした。
 ロナウド選手がどこから出てきたのか、直ぐには分かりませんでした。
 VTRで分かりました。
 ゴールエリアの中央を4~5m真っ直ぐに進み、「芯を食った」シュートを叩き込んだのです。ヘディングシュートとしては物凄い威力でした。

 どちらのシュートも「軌道が太く」「残像がハッキリ」していたように感じました。

 ベースボールにおける、超一流投手の投球の軌道の様。

 モロッコ戦でゴールを決めた後、喜びを表現してピッチのコーナーに向かって走り、ジャンプしました。そのジャンプの高いことと言ったら・・・。80cm以上は浮いていたように観えました。
 世界最高水準のアスリートの身体能力を明示したのです。

 ロシア大会のクリスティアーノ・ロナウド選手は相当好調なのでしょう。
 好調なクリスティアーノ・ロナウド選手から、これからどんなプレーが飛び出すのか。

 想像も付きません。
[6月19日・グループA]
ロシア3-1エジプト

[6月20日・グループA]
ウルグアイ1-0サウジアラビア

 6月14日に開幕したロシア大会も1週間を経過し、グループAでは早くも決勝トーナメントT進出の2チームが決まりました。
 2チームとも2戦2勝で勝ち抜けを決めたのです。

 余談ですが、「2勝」したからといって、勝ち抜けが決まるわけではありません。3連敗のチームが存在すると、残る3チームが2勝1敗で並ぶ可能性があり、その場合には得失点差などの要素が関係してきます。(当たり前のことを書いてすいません)

 今回のグループAでは、ロシアチームとウルグアイチームのどちらかが「3戦全勝」あるいは両方が「2勝1引分」となることが決まったので、勝ち抜けが決まったということになります。

 さて、開催国ロシアは、「5得点」「3得点」と好調な攻撃陣が機能して、大会前の予想に反して?、悠々と決勝T進出を決めました。デニス・チェリシェフ選手やアルテム・ジュバ選手がゴールを重ねているのです。
 2ゲームで8得点というのは、ワールドカップのグループリーグGLの戦い振りとしても「得点能力が高い」ことは間違いありません。
 ロシアのサッカーファンの期待に、存分に応えています。

 一方のウルグアイは、2試合とも「1-0」の勝利という、「らしい」勝ち方です。
 「堅守」を最大の武器とするチームですし、決勝Tでの戦いに調子のピークを持っていこうとしているに違いありませんから、GLの「過ごし方」としては完璧な形なのでしょう。

 100キャップ目のゲームとなったルイス・スアレス選手は、見事にゴールを挙げました。
 あたかも、「ゴールを取りたい試合でゴールを挙げているかのような」プレーに観えます。
 エディソン・カバーニ選手とともに、決勝Tに向けて徐々にコンディションを整えて行くことでしょう。

 さて、ロシアチームとウルグアイチームは6月25日に対戦します。
 A組1位突破をかけたゲームです。

 ロシアは、開催国チームとして1位突破を目指して全力で戦うと思いますが、ウルグアイは「決勝トーナメント1回戦の相手チーム」と「決勝トーナメントの山」を予想して、「2位通過の方が有利」と判断すれば、敢えて「勝ちに行かない(引分なら得失点差で2位)」かもしれないというのは、穿ちすぎた見方でしょうか。
[6月19日・グループH]
日本2-1コロンビア

 西野ジャパンが緒戦を勝利しました。
 
 チーム全体として、良い戦いが出来たことはもちろんですが、ワントップのフォワードFW大迫勇也選手の大活躍が際立ちました。

 試合開始早々の前半3分、大迫選手が抜け出して、コロンビアチームのゴールキーパーGKダビド・オスピナ選手と1対1のシーンを現出しました。そしてシュート。低弾道の威力あるシュートでしたが、さすがにオスピナ選手はこれを弾きます。
 
 この弾いたボールが、真正面に飛んだことは、結果的に日本チームにとってはラッキーでした。
 大迫選手の後方をフォローしていた香川選手が、このボールをシュート。
 このシュートも「芯を食った」威力十分なシュートであり、キッチリと枠に飛んでいました。
 そしてこのシュートをコロンビアのミッドフィールダーMFカルロス・サンチェス選手が右手で弾きました。

 サンチェス選手はレッドカード一発退場。
 このプレーで日本チームが獲得したペナルティーキックPKを、香川選手がしっかりと決めて、1-0とリードしたのです。

 ここまで、試合開始から僅か6分間の出来事でした。

 この6分間に、この試合に臨んだ西野ジャパンの成功点がいくつも存在したと思います。

① とても良かった試合への入り

 どんなゲームでも、開始早々はなかなかペースに乗れないものですが、この日の日本チームは、最初からフルスロットル。それも「冷静なフルスロットル」でした。
 逆にコロンビアチームは、試合に馴染むのに時間がかかり、前半3分の頃は、これからエンジンをかけようという段階だったと感じます。「日本チーム相手なら慌てることは無い」といったところだったのかもしれません。

 結果として、大迫選手がGKと1対1の局面を創り出すことに成功しました。

 公平に観て、日本代表チームのプレーヤーが海外強豪チーム相手に「GKと1対1のシーン」を創り出したのは、2017年のワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリアチームとの2回戦の浅野選手以来ではないかと思います。所謂「決定的なチャンス」をなかなか創れずに来たのです。

 GKとの1対1を創れるほどに、球回しが速く、体も動いていたことになりますから、日本チームのイレブンは良い状態でゲームに入れたことになります。
 その中でも、大迫選手のパフォーマンスは抜群だったということでしょう。

② 香川選手のPK成功

 試合開始早々の、それも「もの凄く重要な」PKを蹴るのは、どんなプレーヤーにとっても「しんどい」ことでしょう。今大会のメッシ選手のPK失敗を挙げるまでも無く、ミッシェル・プラティニ選手やロベルト・バッジオ選手の「失敗」など、超一流のプレーヤー程、PKを嫌がるのです。あの、近代サッカーの申し子、「空飛ぶオランダ人」、ヨハン・クライフ選手でさえ、PKは蹴らなかったと伝えられています。
 PKにはロシアン・ルーレットの要素が有り、GKが飛ぶ方向とキッカーが蹴る方向、そしてキックのスピード、角度等々、「当たり外れ」の要素が存在するのです。
 高度の緊張の下では、どんなプレーヤーでも外す可能性がある訳で、そうでなければ、退場覚悟でサンチェス選手がハンドの反則を犯すはずも有りません。

 本試合のこのPKのキッカーを香川選手が務めることになった経緯については、あまり報じられていません。試合前に「PKになったら香川選手が蹴る」とチームで決めてあったのか、「俺が蹴る」と言って香川選手が自ら志願したのか、「俺が取ったPKだから・・・」であったのか、理由は分かりませんけれども、いずれにしても「極めてしんどいプレー」に、香川選手が望むことになったことは確かです。

 相当の助走距離を取った香川選手は、小走りに走り始めて、真ん中右サイドに蹴り込みました。
 GKオスピナ選手は、自分の右側(香川選手から見て左側)に飛びましたから、ゴールの中央部分は空いていましたので、見事に決まりました。

 香川選手のPKは「ほぼ中央」へのキックでした。
 当然のことながら、GKが動かず、真ん中に「どん」と構えていた時には、取られてしまうタイプのキックだったのです。勇気あるPKに観えました。
 
 試合終了後、「GKの動きを観て、蹴ることが出来た」と香川選手はコメントしました。
 もし、オスピナ選手が「不動」だった時は、別のところに蹴るつもりであったということになります。

 とはいえ、「フェイント」を入れてしまえばPKは失敗というか、キッカーが失格となってしまう怖れもありますから、相手GKの動きを観ながら蹴るというのも、容易なことではありません。
 シュートプレーに入った直後の「小走り」が、大きな意味を持っていたということが分かります。

 香川選手は、自身にとっての「ワールドカップ初ゴール」、日本チームにとって極めて重要なPKを決めて魅せました。
 素晴らしいキックでした。

 西野ジャパンは「試合開始直後の6分間」で、この試合を優位に進めるために大きな収穫を得ました。「先制点のゲット」と「残る84分間を11名対10名で戦うことが出来る権利」という、殆ど信じられないような成果といっても良いのでしょう。

 何しろ、「しばらく勝てていないワールドカップのゲーム」であり、大会前には「グループHの中で最弱」と酷評されていた中での、大成果でしたから、イレブンの心理に相当の影響を与えたであろうことは、想像に難くありません。
 「このまま行けば1-0で勝てる」とか「たとえ失点したとしても1-1で引分ければ勝点1を確保できる」といった考えが、脳裏をかすめたとしても、無理もないのでしょう。

 先制点以降、最初の6分に比べて、チーム全体が明らかに「守備的」になってしまったのです。

 当然のことながら、サッカー競技においては11名対10名なら、11名のチームの方が有利なのですが、その「有利」は絶対的なものではありません。
 10名のチームが11名のチームを破るというのは、そう珍しいことでは無いのです。

 特に、セットプレーとなれば11対10など、殆ど無関係ですから、11名のチームの方は、自らの優位性を活かすために、ピッチを大きく使ったプレーを継続する必要があります。

 にもかかわらず、「守備的」になってしまった日本チームが、自陣に押し込まれるシーンを増やしてしまったのは、残念なことでした。

 一方で、0-1とリードを許し、10名で試合終了まで戦わなければならなくなったコロンビアチームが、どんどん攻撃的になったことも、自然なことでしょう。
 前半35分を越えて、コロンビア攻勢の時間帯となりました。

 そして、エース・ファルカオ選手が倒れ、日本陣ペナルティーエリアの直ぐ外でフリーキックがコロンビアチームに与えられました。
 この反則シーンでは、どちらかといえばファルカオ選手の方が日本ディフェンダーDFにぶつかって行ったように見えましたが、やはり審判も劣勢な方に有利な笛を吹くことがあるのでしょう。

 コロンビアのキッカーはファン・キンテロ選手。
 コンディションが整わずベンチスタートとなった大エース、ハメス・ロドリゲス選手が居ないチームに有っては、最も得点力のあるプレーヤーのひとりです。

 キンテロ選手は、蹴る位置を反則地点から数メートル下げました。ペナルティーエリアの直ぐ外では「近過ぎる」のです。
 そしてインプレー。

 日本チームの壁は一斉にジャンプ。その足の下をキックが通過し、ゴール右隅に一直線。「芯を食った」というには、やや威力に乏しいシュートでしたが、コースは絶妙でした。

 ゴールの反対側にポジションを取っていたGK川島選手が懸命にカバーに動きますが、ボールはゴールラインを10cm程割っていました。

 ゲームは1-1の同点となりました。振り出しに戻ったのです。

 このゲームの日本チームは、全体として良く動き、献身的なプレーを継続しましたが、そのイレブンの中で唯一、川島選手だけは不調であったと思います。プレーにスピードが不足していました。
 本人もそれを感じていたのでしょう。
 ゲームを通じて「ポジションが低過ぎ」ました。

 GKがゴールラインに張り付いていては、シュートをセーブできる確率は下がります。
 PKが多くの場合に決まるのを観ても明らかでしょう。
 GKは「前に出ることによって」、相手プレーヤーのシュートコースを狭め、シュートを決めさせない、あるいは、シュートを決め難い形を創り出して行くのです。

 このゲームの他のシーンでも何度も、ここはGKが出て処理すべきだというシーンで、川島選手は出ることが出来ませんでした。コンディションが良くなかったのでしょう。

 試合開始直後の「生き生きとした動き」、「1対1で互角以上に戦っていたプレー」を封印し、「守備的」なプレーに変更した日本代表チームは、前半の内に追いつかれてしまいました。
 「11対10」にもかかわらず追い付かれたという見方は正しくは無いでしょう。
 前述のように、特にセットプレーでは、「11対10」は大きな意味が無いのですから。

 試合は1-1でハーフタイムに入りました。

 このハーフタイムで、西野ジャパンがどのようにこのゲームを考えるのかは、とても興味深いものでした。

 格上で強い相手と1-1の引分を目指す、目指すには格好の11対10だという考え方、これも決して無い訳ではない。
 絶対に「勝点1を死守」しようというのも、グループリーグGLを勝ち抜くための戦略として、有り得ることでしょう。

 いやいや「追加点を取りに行こう」という考え方も有るのでしょう。GL緒戦で勝点3をゲットする絶好のチャンスだという見方です。
 しかし、攻めに出れば、多くの場合失点のリスクも高まります。

 さらに「自分達のプレーをしよう」という考え方もあるのでしょう。
 ワールドカップに向けて磨いてきた「日本代表チームのプレー」を世界に披露したいという欲求、PKで1点を先取してから「守備的」なプレーをしてしまい、何のために「守備的」になったのか、同点ゴールを許してしまったという反省から、イレブンがやりたいサッカーをピッチ上で表現したいという考え方、この考え方になってくれると、日本チームにとって最も良いのではないか、と考えていました。

 さて、後半の戦いが始まりました。

 そして数分の後、西野ジャパンは3番目の考え方を採用したのかもしれないと感じました。
 後半も「とても良い入り」だったのです。

 動きも速く、戦術が明確なプレーが続きました。

 当然ながら、コロンビアチームも勝ちに来ました。
 前半から日本ゴールを脅かしてきたファルカオ選手が、再び日本ゴール前で「空中に居ながらボールに足を出しシュートする」のです。このパフォーマンスは、「さすがにファルカオ」と思わせるものでした。

 さらに後半14分、名将ペケルマン監督はハメス・ロドリゲス選手を投入してきました。2014年ブラジル大会の得点王にして、コロンビアで最も有名なプレーヤーです。

 しかし、日本チームは全く怯みませんでした。
 ハメス・ロドリゲス選手にも再三絡み、ボールを奪取するなど、自由なプレーを許しませんでした。
 ちなみに、このゲームにおけるハメス・ロドリゲス選手は、相当コンディションが悪そうでした。何よりプレーにスピードとキレが在りませんでした。今大会中にコンディションが戻らないようであれば、コロンビアチームにとっては大きな痛手でしょう。

 さて、日本チームも後半25分、香川選手に替えて本田選手を投入しました。

 試合開始直後に躍動した香川選手ですが、その後はボールタッチも少なく、特に後半は、日本の10番がチャンスに絡むシーンは殆ど見られませんでした。
 こうした展開の試合において、香川選手の様なタイプのプレーヤーが、「殆ど見えない」というのは、ある意味では不思議なことでした。

 交替した本田選手は、早速大仕事をやってのけました。

 この試合大活躍の大迫選手は、後半開始以降も再三コロンビアゴールに迫り、チャンスも迎えていたのですが、追加点は実現できていませんでした。

 その後半28分、日本チームの左からのコーナーキックCK、蹴るのは本田選手。
 本田選手は「大きく高く」蹴りました。最近の「低く速い軌道のCKから一度すらして、別の選手がゴールに叩き込む」といったタイプのプレーではなく、「伝統的なCK」でしたが、正確かつ何とも言えない力強さを具備したキックでした。

 コロンビアゴール正面に落ちてきた「大きく高い」ボールに対して、大迫選手が競り勝ち、ヘディングシュート。
これがコロンビアゴール右のポストに当たって入ったのです。

 素晴らしいというか、凄いゴールでした。

 「大迫勇也というプレーヤー」を世界中に知らしめるゴールでもありました。

 2~3名のコロンビアDFと競り合ってのヘディングシュートが、右ポストに当たってゴールインしたシーンは、この試合を象徴するものであったと思います。
 ポストに当たって右に弾かれノーゴールという可能性も有ったシュートが、キッチリと入ったのです。
 「入るように打ったのだから・・・」というご意見はもちろんあるのでしょうが、複数のDFと接触しながらの攻撃・守備共に「必死」のプレーにおいて、このシュートがはいったところに「サッカーの神様の微笑」があったように感じられるのです。
 
 「この試合は勝てる」と思いました。

 そして、インジュリータイム5分間という、長い長いプレーを経て、ついに日本チームは勝利を得たのです。

 これが、日本代表チームがワールドカップにおいて南米地区のチームを相手にしたゲームにおける初勝利であり、アジア地区のチームのワールドカップにおける南米チームに対する初勝利でもあったのです。
 長いワールドカップの歴史に刻まれる「歴史的勝利」は、「神様の微笑」無くしては、到底達成できないものの様な気がします。

 西野ジャパンは「大きなサプライズ」を魅せてくれました。
 多くの海外メディアにも「大番狂わせ」として取り上げられているようです。

 このゲームは、我が国のサッカー史に燦然と輝くものでしょう。

 次戦、5月24日のセネガル戦への期待は高まるばかりです。
[6月18日・グループG]]
イングランド2-1チュニジア

 イングランドチームは攻め続けました。
 メリハリの効いた攻めとは言えなかったかもしれませんが、とにかく90分間良く攻めたのです。
 チュニジアチームも、カウンター攻撃で見せ場を作りました。
 良い試合でした。

 イングランドの得点は、2点ともコーナーキックCKからのハリー・ケイン選手のゴールでした。
 ケイン選手がシュートを放った時には、ゴールとケイン選手の間には、誰も居ませんでした。ゴールを挙げるには絶好のポジショニングだったのです。

 そのケイン選手のところにボールが来る(もちろん、チームとして集めているという面もあるのでしょうが)のですから、ケイン選手には「ゴールゲッターに必須の才能」が備わっていると判断するのが妥当なのでしょう。
 フォワードFWとしてのタイプは異なりますが、かつてのゲイリー・リネカー選手を思い出させるシーンであったと感じます。

 若きイングランドチームにとっては、「2点取れたこと」「緒戦を勝利したこと」の2つのポイントにおいて、とても大きな試合でした。相当の自信にもなったことでしょうし、これだけ「元気の良い」イングランドチームを見るのも久しぶりという感じがします。

 一方、今大会調子が上がらないアフリカ地区のチームとして、チュニジアも、特に後半の守備は見事なものでした。しかし、試合を通じて「シュートが少ない」状況が続きました。
 第2戦以降、アフリカ地区予選無敗の力を示すには、攻撃の再構築が不可欠でしょう。

 それにしても、今大会はセットプレーからの得点、特にCKからの得点が目立ちます。
 CKからの折り返しなどにより変化を加えた攻めが、現在の高度なディフェンスに対して有効であることが、多くのゲームで明示されています。

 やはり、ゴールの直ぐ側でゴール前を横切るボールの動きは、とても守り難いということなのでしょう。

 少し残念なことですが、流れの中からの得点は、ますます難しくなっているのかもしれません。
 シネコックヒルズ・ゴルフクラブを会場として、6月14日~17日に実施された、2018年の全米オープン大会は、アメリカのブルックス・ケプカ選手が4日間通算281打・1オーバーパーのスコアで優勝しました。

 ケプカ選手は、昨2017年大会に続いての「連覇」でした。
 
 「最も難しいコースで開催されるメジャートーナメント」である全米オープンを連覇したのは、1989年のカーティス・ストレンジ選手以来、29年ぶりのことでした。

 2017年、エリンヒルズ・ゴルフコースにおけるケプカ選手の優勝スコアは16アンダーパーという、全米オープンとしてはとても少ない打数でした。
 主催する全米ゴルフ協会USGAとしては、これ程大きなアンダーパーが出るようでは、「全米オープンらしくない」と考えたのかもしれないと思います。
 2018年のコース設定は、とても難しいものでした。

 特に、「3日目のグリーン」は、ひょっとすると「難しいを通り越して」いたかもしれません。

 3日目の後半にラウンドしたプレーヤーは、いずれもスコアを大きく崩しました。
 優勝争いを目指すプレーヤーにとって、艱難辛苦のプレーとなってしまったのです。

 松山英樹選手は79打でした。
 ダスティン・ジョンソン選手は77打でした。
 リッキー・ファウラー選手は84打でした。

 4アンダーのトップでスタートしたDジョンソン選手は、2日目までに「11打差」を付けていたトニー・フィナウ選手、ダニエル・バーガー選手に、3日目の1ラウンドで追いつかれてしまったのです。
 フィナウ選手、バーガー選手が、前半の早い内にラウンドし、Dジョンソン選手が最終組で回ったことが、大きな要因であろうという見解は一理あるところでしょう。

 また、あのフィル・ミケルソン選手が13番ホールのグリーンで、まだ止まっていないボール・転がって動いているボールを、意図的にパッティングしたとも報じられました。
 信じられないようなプレーです。そんなプレーを、フィル・ミケルソン選手ともあろうプレーヤーが行ってしまうというのは、異常なことでしょう。「抗議」のためのプレーだったのかもしれません。

 松山選手は4パットを2回してしまいました。1m位のパッティングから3パットというシーンもありました。

 グリーンが凸凹で、ボールがどちらに曲がるか「打ってみないと分からない」ような状況だったのです。テレビ画面からも、上下左右に「ゴトゴト転がる」ボールが映し出されました。
 松山選手はラウンド後、「悪いパットは全くしていないのに・・・」とコメントしていました。

 報じられているところによると、「1日目のグリーンが考えていたより柔らかくて遅かった」ので、2日目・3日目と散水しなかったのだそうです。
 おかげで?、グリーンは茶色くなり、芝にはすっかり元気がなくなっていました。
 風が強かったことも相まって、グリーンはカラカラだったのでしょう。
 結果として出来上がってしまった「緑色と茶色のまだらのグリーン」は、プレーヤーの「読む」行為を無為なものとしてしまったのです。

 「ラインとスピードを読み」、打っていくのがパッティングでしょう。
 微妙なアンジュレーションとスピードの変化を、プレーヤーが読み切れるかどうか。
 それが難しいグリーンのことを「難しいグリーン」と呼ぶのでしょう。(当たり前のことを書き、恐縮です)
 そうした「難しさ」ならば、世界トップクラスのプレーヤー達は必死に挑戦して行くはずです。

 ところが3日目のグリーンは「打ってみなければ、どのように転がるか分からない」ような状態でした。
 これは「難しいグリーン」ではなく、「アンフェアなグリーン」ということになりそうです。「ラインとスピードを読み、プレーする」ことに、意味が無くなってしまうからです。

 3日目のグリーン上の各選手のプレー振りを観て、さすがに、3日目のプレー後、主催者によって「グリーンに水が撒かれた」のです。
 それでも、4日目のグリーンの「速さ」は、ほとんど3日目と変わらなかったと伝えられました。しかし、ラインを読むことに「意味がある」状態になったのです。
 松山選手は「グリーンは3日目の様に『汚く』はなかった。転がりは奇麗でした」とコメントしました。

 「1オーバーパーの優勝」は、全米オープンらしいスコアかもしれませんが、世界最高のトーナメントを標榜する全米オープンが、「打ってみなければわからないショット」を各プレーヤーに要求するのは、いただけません。

 そこには「ゴルフ競技の進歩に貢献する」何物も存在しないように感じられます。
 5月5日から6月9日にかけて行われた、2018年のアメリカ競馬三冠レースにおいて、ジャスティファイ(Justify)が全てを制して、2015年のアメリカンファラオ以来の三冠馬となりました。

 6戦6勝、つまり無敗の三冠馬となると、1977年のシアトルスルー以来41年振り、史上2頭目の快挙です。

 一冠目、5月5日のケンタッキーダービーを快勝した時、初めてジャスティファイの強さを確認したというのが、私の本音です。
 何しろデビューが2018年2月18日と「とても遅かった」ので、2歳レースの実績が無かったのです。
 調べてみると、「3歳デビュー馬」のケンタッキーダービー制覇は、1882年のアポロ以来、実に136年振りとのことですから、このことだけでも歴史的な勝利でした。

 そのジャスティファイが、5月19日のプリークネスステークスを制し、6月9日のベルモントステークスにも快勝し三冠馬となったのですから、「驚異的な快挙」ということになります。

 基本的には「逃げ馬」ですが、ケンタッキーダービーでも2番手から抜け出したように、器用な脚も使います。展開に左右されにくい自力勝負ができるところが、ジャスティファイ最大の強みということになります。
 また、全6走の内3走が不良馬場、残る3走が日本で言えば良馬場ですから、馬場状態への適応力も極めて高いのです。プリークネスステークス2018などは「どろどろの馬場」でしたが、見事に勝ち切りました。

 父スキャットダディは、産駒が初年度(2011年)から良く走りましたのでリーディングフレッシュマンサイアーに輝くなど、今後の活躍が期待されていましたが、2015年12月に急死してしまいました。
 ジャスティファイは、スキャットダディの代表産駒となりましたから、この血統を後世に伝えて行く役目を負ったことになります。

 スキャットダディの父はヨハネスブルグです。
 どこかで聞いたことが・・・と思われた方も居ると思いますが、現在日本で供用されています。
 2009年10月に軽種牡馬協会が購入を発表し、2010年から我が国で種牡馬生活を送っているのです。

 スキャットダディの父系は「ストームキャット系」です。
 ストームキャット系は、ノーザンダンサー系のひとつですが、ストームキャットはあのジャイアンツコーズウェイの父であり、1999年と2000年にアメリカリーディングサイアーに輝くなど、超一流と言って良い成績を残しました。
 
 ストームキャット系は「アメリカのダート馬場」に適応した脚質の馬が多いので、ややもすると「一本調子のパワー型」が多く、高速でペース変化が大きい日本競馬には向かないのでは、との見方もありますが、他の血統との配合によって「バラエティに富んだ強いサラブレッド」を輩出することが実証されています。

 ストームキャットを祖父あるいは母の父として持つ、いわゆる「孫世代」には、ロードカナロア、ファレノプシス、メイショウボーラー、エイシンアポロン、キズナ、アユサンといった馬達が並びますから、日本競馬への適応力も十分ということになるでしょう。

 ジャスティファイの大活躍によって、種牡馬ヨハネスブルグへの需要が高まるかもしれません。

 一方、ジャスティファイの母はステージマジック。その父はゴーストザッパーです。ゴーストザッパーは2004年のブリーダーズカップ・クラシックをレコード勝ち、同年の年度代表馬に輝く優駿でした。通算11戦9勝・G1レース4勝と勝率の高いサラブレッドだったのです。

 そのゴーストザッパーの父はオーサムアゲイン。カナダで生まれアメリカで走り、1998年のブリーダーズカップ・クラシックを制しています、ゴーストザッパーとの親子制覇でした。こちらも通算12戦9勝と高い勝率を誇りました。2001年にカナダ競馬殿堂入りを果たしていますから、生誕地カナダでとても高い評価を受けていることが分かります。

 そのオーサムアゲインの父はデュプティミニスター。カナダで生まれ、カナダとアメリカで走りました。そしてアメリカで種牡馬となったのです。この馬も通算22戦12勝と、良く勝っています。
 そして、デュプティミニスターの祖父がノーザンダンサーなのです。

 こうして観ると、ジャスティファイの母系は「カナダの血」が色濃く出ています。
 ジャスティファイは、北アメリカ競馬が生んだ傑作とも言えるのでしょう。

 1943年にサイテーションが「1940年代の4頭目の三冠馬」となって以来、アメリカではなかなか三冠馬が出なかったのですが、1973年にセクレタリアト(1973年)が久々の三冠馬となってから、シアトルスルー(1977年)、アファームド(1978年)と立て続けに3頭、「アメリカ三冠馬」が登場しました。 
 ところがその後は、21世紀に入り、2010年を過ぎても三冠馬は出ませんでした。特に、三冠目のレース、2400mのベルモントステークスが大きな壁になっていたのです。

 そして2015年、アメリカンファラオが久しぶりに三冠を達成したと思ったら、3年後にジャスティファイが続きました。

 20世紀から21世紀にかけて、アメリカ競馬に「三冠馬が複数登場する時期」が40年ごとに訪れているように観えるのは、とても不思議なことです。

 この「三冠馬が出なかった約40年間の競馬」と「三冠馬が複数登場する時期の競馬」に、どのような違いが有るのか、あるいは「単なる偶然」なのか、謎解きにトライしたいものです。
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Author:カエサルjr
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