NYYの黒田投手が、9月6日(現地5日)の対タンパベイ・レイズ戦に先発登板、6回を8安打4失点に抑えて13勝目を上げました。今シーズン通算13勝10敗。
黒田は、NPBの広島から2008年にMLBのロサンゼルス・ドジャーズに移籍し、2011年までの4シーズンをドジャーズでプレー。今年2012年は、ニューヨーク・ヤンキースで活躍しています。黒田の素晴らしさは、下表を見るとわかります。
[アメリカンリーグ投手成績(日本時間2012年9月6日午後1時時点)]
登板 勝 負 投球回 奪三振 与四球 防御率
・プライスTB 27 17 5 180.2 175 54 2.54
・ウィーバーLAA 25 16 4 160.1 121 38 2.86
・ハリソンTEX 27 15 9 179.0 109 49 3.37
・ダルビッシュTEX 25 14 9 161.2 188 83 4.29
・黒田NYY 28 13 10 189.1 138 42 3.14
・サバシアNYY 23 13 4 163.0 161 38 3.42
・ヘルナンデスSEA 28 13 6 204.0 191 48 2.51
・バーランダーDET 28 13 7 204.1 209 52 2.73
この表は、現時点の2012年シーズン・MLBアメリカンリーグ(AL)の投手成績を、勝数順に並べたものです。(一部の投手を除いて表記)今シーズンのAL投手成績勝ち星は、これまでプライスとウィーバーのトップ争いが続いています。
そこに、我らがダルビッシュが14勝、黒田が13勝で続いているのです。
ただし、以前も書きましたが、MLBの投手の評価は勝ち負けだけではありません。投球回数が大きな意味を持つのです。投球回数で見ると、ヘルナンデスとバーランダーが204回でほぼ並んでいます。これも、今シーズンを通じて二人で争っている形です。
この二人こそが、現在のAL最高の投手です。二人とも既にサイヤング賞(MLB最優秀投手に与えられる賞、NPBで言えば沢村賞)を受けています。
勝ち負けは、相手投手、味方打線、相手打線、ブルペン投手等との兼ね合いで決まりますので、MLBの先発投手に求められるのは、以下の二項目。
・中4日のローテーションをシーズンを通して堅守(シーズン32登板以上)
・登板した試合は、6回を投げて3失点以内に抑える(これをクオリティ・スタートQSと言います)
この二項目を実現していれば、極端に言えば勝ち負けは先発投手の責任ではありません。(6回を終わって0-3でリードされていても、先発投手の責任ではありません)
ダルビッシュが開幕4連勝スタートを切った時に、日本のマスコミが「シーズン何勝くらいいけそうか」という質問をワシントン監督にした折に、ワシントン監督は少し困った表情をして「勝ち負けは、我々の打線次第だ。ダルビッシュには引き続き、これまでのようにしっかりとしたピッチングをしてもらえばよい」と回答したと伝わっています。これがMLBなのでしょう。
ヘルナンデスとバーランダーの成績を見ると、見事にこの期待以上の実績を上げていることが判ります。ともに28試合に登板し、1試合あたり約7回1/3を投げ、防御率は2点台(つまり7と1/3回に引き直せば失点は2点前後)という、素晴らしい成績です。バーランダーは、今シーズンも好投を続けていますが、ここまでは勝ち星に恵まれていません。しかし、彼は今年のMLBオールスターゲームALの先発投手です。
この二人は、先発すれば平均して8回途中まで投げるのです。そして、時々完投します。中4日ローテーションの関係で、100球前後が交替の目途とされているMLBにおいては、驚異的なことだと思います。筆者は、この二人の登板ゲームがTV放送されると、食い入るように観ます。速球が早いとか、変化球が切れているとかいうレベルを超えた、現在のMLB最高のピッチングとそのオーラを存分に味わいます。
さて話を戻して、この観点から黒田の成績を見てみます。28試合に先発登板し、189回を投げて、防御率3.14と完全に先の二項目をクリアしています。防御率は、全体6位の好成績ですので、黒田はヤンキースにおいて、期待に完全に応えていると言えます。1試合あたりの投球回も6回2/3を超えています。リリーフ投手陣の負担も少ないということです。そして、シーズン登板回数も200回越えが確実です。このシーズン200イニング登板というのが、MLB先発投手のひとつのノルマになります。(シーズン32~33回の登板で、1試合平均6回強を投げると到達する数字)200回を投げれば、一人前ということです。
ダルビッシュも200回登板に向けてシーズンをスタートしましたが、あと5試合で40イニングが必要ということになっていますから、今シーズンの200回到達は難しいようです。もちろん、MLB1年目に180回以上を投げるのですから、素晴らしい成績であることは間違いありません。
そもそも黒田投手は、ドジャーズ時代に4年間で41勝46敗の成績でした。この37歳の日本人投手をヤンキースが、年俸1000万ドルの高給で雇用した理由を考えてみましょう。
[黒田投手のドジャーズでの成績]
登板 勝 負 投球回 防御率
2008年 31 9 10 183.1 3.73
2009年 21 8 7 117.1 3.76
2010年 31 11 13 196.1 3.39
2011年 32 13 16 202.0 3.07
計 41 46
確かに、勝ち星より負け数の方が多いのですが、3シーズンで登板数は30を超え、投球回は180イニングをクリア、最近年2011年は200イニング越えを実現していることと、防御率の良さ・改善傾向であること、が主な理由だと思います。
ドジャーズの打線との関係から勝ち星には恵まれなかったが、黒田はMLBのスターターとしての実力が十分に備わっていると、ヤンキースは判断したのでしょう。そして、その判断は、今のところ正しかったことになります。
黒田をはじめとして、ダルビッシュ、岩隈と、日本人先発投手陣は大活躍です。レギュラーシーズンの残りのゲームでの活躍はもちろんとして、プレーオフでもその雄姿が観られるかもしれません。アメリカンリーグチャンピオンシップ第7戦での黒田とダルビッシュの投げ合い!今からワクワクします。
黒田は、NPBの広島から2008年にMLBのロサンゼルス・ドジャーズに移籍し、2011年までの4シーズンをドジャーズでプレー。今年2012年は、ニューヨーク・ヤンキースで活躍しています。黒田の素晴らしさは、下表を見るとわかります。
[アメリカンリーグ投手成績(日本時間2012年9月6日午後1時時点)]
登板 勝 負 投球回 奪三振 与四球 防御率
・プライスTB 27 17 5 180.2 175 54 2.54
・ウィーバーLAA 25 16 4 160.1 121 38 2.86
・ハリソンTEX 27 15 9 179.0 109 49 3.37
・ダルビッシュTEX 25 14 9 161.2 188 83 4.29
・黒田NYY 28 13 10 189.1 138 42 3.14
・サバシアNYY 23 13 4 163.0 161 38 3.42
・ヘルナンデスSEA 28 13 6 204.0 191 48 2.51
・バーランダーDET 28 13 7 204.1 209 52 2.73
この表は、現時点の2012年シーズン・MLBアメリカンリーグ(AL)の投手成績を、勝数順に並べたものです。(一部の投手を除いて表記)今シーズンのAL投手成績勝ち星は、これまでプライスとウィーバーのトップ争いが続いています。
そこに、我らがダルビッシュが14勝、黒田が13勝で続いているのです。
ただし、以前も書きましたが、MLBの投手の評価は勝ち負けだけではありません。投球回数が大きな意味を持つのです。投球回数で見ると、ヘルナンデスとバーランダーが204回でほぼ並んでいます。これも、今シーズンを通じて二人で争っている形です。
この二人こそが、現在のAL最高の投手です。二人とも既にサイヤング賞(MLB最優秀投手に与えられる賞、NPBで言えば沢村賞)を受けています。
勝ち負けは、相手投手、味方打線、相手打線、ブルペン投手等との兼ね合いで決まりますので、MLBの先発投手に求められるのは、以下の二項目。
・中4日のローテーションをシーズンを通して堅守(シーズン32登板以上)
・登板した試合は、6回を投げて3失点以内に抑える(これをクオリティ・スタートQSと言います)
この二項目を実現していれば、極端に言えば勝ち負けは先発投手の責任ではありません。(6回を終わって0-3でリードされていても、先発投手の責任ではありません)
ダルビッシュが開幕4連勝スタートを切った時に、日本のマスコミが「シーズン何勝くらいいけそうか」という質問をワシントン監督にした折に、ワシントン監督は少し困った表情をして「勝ち負けは、我々の打線次第だ。ダルビッシュには引き続き、これまでのようにしっかりとしたピッチングをしてもらえばよい」と回答したと伝わっています。これがMLBなのでしょう。
ヘルナンデスとバーランダーの成績を見ると、見事にこの期待以上の実績を上げていることが判ります。ともに28試合に登板し、1試合あたり約7回1/3を投げ、防御率は2点台(つまり7と1/3回に引き直せば失点は2点前後)という、素晴らしい成績です。バーランダーは、今シーズンも好投を続けていますが、ここまでは勝ち星に恵まれていません。しかし、彼は今年のMLBオールスターゲームALの先発投手です。
この二人は、先発すれば平均して8回途中まで投げるのです。そして、時々完投します。中4日ローテーションの関係で、100球前後が交替の目途とされているMLBにおいては、驚異的なことだと思います。筆者は、この二人の登板ゲームがTV放送されると、食い入るように観ます。速球が早いとか、変化球が切れているとかいうレベルを超えた、現在のMLB最高のピッチングとそのオーラを存分に味わいます。
さて話を戻して、この観点から黒田の成績を見てみます。28試合に先発登板し、189回を投げて、防御率3.14と完全に先の二項目をクリアしています。防御率は、全体6位の好成績ですので、黒田はヤンキースにおいて、期待に完全に応えていると言えます。1試合あたりの投球回も6回2/3を超えています。リリーフ投手陣の負担も少ないということです。そして、シーズン登板回数も200回越えが確実です。このシーズン200イニング登板というのが、MLB先発投手のひとつのノルマになります。(シーズン32~33回の登板で、1試合平均6回強を投げると到達する数字)200回を投げれば、一人前ということです。
ダルビッシュも200回登板に向けてシーズンをスタートしましたが、あと5試合で40イニングが必要ということになっていますから、今シーズンの200回到達は難しいようです。もちろん、MLB1年目に180回以上を投げるのですから、素晴らしい成績であることは間違いありません。
そもそも黒田投手は、ドジャーズ時代に4年間で41勝46敗の成績でした。この37歳の日本人投手をヤンキースが、年俸1000万ドルの高給で雇用した理由を考えてみましょう。
[黒田投手のドジャーズでの成績]
登板 勝 負 投球回 防御率
2008年 31 9 10 183.1 3.73
2009年 21 8 7 117.1 3.76
2010年 31 11 13 196.1 3.39
2011年 32 13 16 202.0 3.07
計 41 46
確かに、勝ち星より負け数の方が多いのですが、3シーズンで登板数は30を超え、投球回は180イニングをクリア、最近年2011年は200イニング越えを実現していることと、防御率の良さ・改善傾向であること、が主な理由だと思います。
ドジャーズの打線との関係から勝ち星には恵まれなかったが、黒田はMLBのスターターとしての実力が十分に備わっていると、ヤンキースは判断したのでしょう。そして、その判断は、今のところ正しかったことになります。
黒田をはじめとして、ダルビッシュ、岩隈と、日本人先発投手陣は大活躍です。レギュラーシーズンの残りのゲームでの活躍はもちろんとして、プレーオフでもその雄姿が観られるかもしれません。アメリカンリーグチャンピオンシップ第7戦での黒田とダルビッシュの投げ合い!今からワクワクします。
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