FC2ブログ
HOME   »  団体戦・団体競技の面白さ
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
 今回は、団体戦・団体競技を考えてみましょう。

 団体戦というのは、個人戦が原則である競技において、複数の選手がチームを作って戦う種目のように見えます。
 まず、柔道や剣道、スキージャンプ、フェンシング、アーチェリーなどの団体戦を見てみましょう。

 これらの「団体戦」は、基本的には「個人戦の積み上げ」です。もちろん、先鋒・次鋒・中堅・副将・大将といった呼称で呼ばれる、出場の順番で役割が異なるという見方があり、実際に多少は役割が違うとは思いますが、とはいえ「個の力を向上させること」が、こうした競技の団体戦で勝つために最も有効な方法であることは、間違いありません。

 したがって、こうした競技における団体戦は、「チームプレーという色彩が薄い」と言えるのではないでしょうか。
 もちろん、最初に登場するA選手が勝つことで、続くB選手に精神的な余裕を与えるという側面はありますが、それは個人戦にも見られる効果ですから、団体戦に限ったことではありません。
 例えば、スキージャンプ競技の個人戦で「他の日本代表選手が良いジャンプをしていたので、気楽に飛べました」といったコメントは、時々耳にします。

 続いて、いわゆる「リレー種目」を見てみましょう。
 リレー種目は、陸上競技や水泳、距離スキーといった競技で行われています。

 これらの種目も団体戦ではありますが、基本的には個人戦の積み上げと言えるでしょう。水泳のフリーリレー、メドレーリレーや距離スキーのリレーは、同じコースを泳ぎ・走りますので、順番と言う要素は加わりますが、まさに個の積み上げです。
 
 陸上競技のリレーは、水泳や距離スキーとは少し違うのかもしれません。1600mリレーなら、第1走者はセパレートコースを走り、第2走者は100m地点まではセパレートコースを走ります。したがって、4人のランナーの役割期待が異なります。400mリレーとなると、各走者の走るコースが異なり、第1・第3走者はコーナーを走りますから、「直線を走るのが得意か、コーナーを走るのが得意か」によってチーム構成を考えなければなりませんし、第4走者・アンカーは、バトンパスの関係もあって100m以上の距離を走ることが多いので、アンカーには「直線を走るのが速く、チームで最も早く走れる=タイムを稼げるランナー」を配置することになります。
 この点からは、陸上競技のリレー種目は、水泳や距離スキーのリレー種目より、少しだけ「チームプレーの要素」が強いのかもしれません。

 三番目として「ダブルス」を見てみましょう。
 「ダブルス」種目は、テニスや卓球、バドミントンといった競技で行われます。例えば、テニスを見てみると、コートのどのスペースをカバーするかといったことや、前衛・後衛といった役割分担をすることがありますから、相当チームプレーの色彩が強くなります。パッシングショットが得意なプレーヤーとボレーが得意なプレーヤーを組合せるなど、チーム組成にもいくつかの要素を考慮しなければなりません。

 また、シングルではあまり良い成績は残せないが、ダブルスになると無類の力を発揮するプレーヤーも居ます。逆に言えば、シングルで強い選手2人を組合せたからといって、必ず強いダブルスチームが出来上がるわけではない点が、ダブルスの奥深さを感じさせます。

 テニスや卓球の団体戦では、シングル戦とダブルス戦の両方が組み込まれています。この団体戦は、基本的には一番目で検討した団体戦と同じように「個の積み上げ」ですが、「ダブルス」のみが例外ということになります。
 テニスや卓球の団体戦におけるダブルス戦の役割は、とても大きいもののように見えます。テニスのデビスカップ大会やオリンピックの卓球競技で、ダブルス戦から試合全体の流れが変わった例は、数多くあります。「ダブルス」は、単独の種目としても面白いものであり、団体戦を構成するゲームとしても、とても面白いということになります。

 四番目として「チームパシュート型種目」を見てみましょう。
 「チームパシュート型種目」は、自転車競技やスピードスケート競技で行われている団体競技です。
 例えば自転車競技なら「チームスプリント」という種目名で、もちろんオリンピックでも行われています。(2000年のシドニー五輪から)
 トラックを3人の選手で3周するもので、3人目の選手の後輪がゴールラインを通過した時をゴールとします。
 多くのチームで、1周毎に先頭を走る選手が交代します。先頭で残りの2人を引っ張るのが最も苦しいというか負担が大きいので、先頭を交代するわけです。

 チームスプリントは、相当難しい種目です。3人の力量がほとんど同じというチームは、まず存在しませんから、1周目の先頭は「スタートダッシュが速い選手」、3周目の先頭は「2周を走った後でも、十分なスピードを出せる選手」といった役割が、明確に決められている上に、その日の調子次第では、先頭の選手のスピードが不足し、後ろを走る選手が追い付き過ぎてしまい、力を発揮しきれない=タイムロスする、可能性も十分在りますし、3周目の先頭を走る選手が速過ぎて、後ろの選手を千切ってしまう怖れもあるのです。

 実際のレースを観ていると、3人は縦一列で走っていることが多いのですが、3周目の最終コーナーを立ち上がると、個々の選手がバラバラにゴールを目指すことがあります。要は「3人目の自転車の後輪がゴールラインを越える」のを、少しでも早くしたいということです。

 スピードスケートでは「チームパシュート」という種目名で、こちらは2006年のトリノ五輪から行われています。
 やはり1チーム3人です。男子は400mリンクを8周(3,200m)、女子は6周(2,400m)で競います。3人目のスケート靴ブレードの一番後ろがゴールラインを通過した時が、ゴールインです。
 こちらも、先頭でチームを引っ張るスケーターの負担が大きいので、先頭を交代しながら走るのです。やはり3人が縦一列で走っていることが多いのですが、3人の特性・力量差を考慮して、頻繁に先頭交代が行われることもあります。

 「チームパシュート型種目」は、オリンピックにおいては比較的新しい団体種目ですが、自転車競技では「イタリアンチームレース」という種目で、相当昔から行われていました。
 4人1チームで行う「イタリアンチームレース」は、現在の「チームスプリント」種目の原型であり、日本では1969年から1998年までの間インターハイ(高校総体)で実施されていました。1999年からは、インターハイも「チームスプリント」に変更されています。

 「チームパシュート型種目」が、近時オリンピック種目に取り入れられた理由は、まず「やっていて・見ていて、とても面白い」ということと、「参加国の国としての競技レベルを計るのに適している=国別対抗戦に向いている」ことだと思います。
 
 そして、「チームパシュート型種目」は、一番目に取り上げた「団体戦」や二番目の「リレー」に比べると、チームスポーツという色彩が相当に強い種目でしょう。「個の積み上げ」というより、良い成績を収めるためには3人のプレーヤーの相互扶助・協力が重要ですし、チームマネジメントにより、結果が大きく異なる種目だとも思います。もちろん、個々のプレーヤーの走力が基本であることは、言うまでも無いことですが。

 最後・五番目として「分業を伴う団体競技」を見てみましょう。
 相当数の選手で1つのチームを構成する競技、多くの球技がこれに当たります。

 野球、サッカー、ラグビー、バスケットボール、バレーボール、アメリカンフットボール、ホッケー、アイスホッケー、ハンドボール等々、最も一般的な団体競技といえます。

 これらの競技に共通しているのは、当該スポーツにおける様々な役割を、個々のプレーヤーが別々に請け負う、「分業」が明確化されていることでしょう。

 野球では、投手・捕手・内野手・外野手といった守備面と1番打者・2番打者・3番打者・4番打者といった攻撃面の両面から、個々のプレーヤーへの役割期待が異なります。さらに、「投手」といっても、先発・中継ぎ・クローザーと役割が異なりますから、相当に分業化が進んだ競技であるといえます。

 サッカーでは、ゴールキーパー、ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードといった分業化が行われています。全員攻撃・全員守備という近代サッカーにおいても、左右・センターも含めて、ポジションは明確に存在します。

 ラグビー(15人制)でもフォワード、ハーフ、バックス等の区別があり、フォワード8人にも第一列、ロック、フランカー、ナンバーエイトと役割が決められていて、第一列も1番2番3番で明確に役割が異なりますし、ロック・フランカーも右左があります。
 ハーフプレーヤーもスクラムハーフ、スタンドオフに分業され、バックスもウイングやセンター・フルバックと分業されています。

 バスケットボールも、5人のプレーヤーが、ガード・フォワード・センターという異なる役割を果たします。ガードはポイントガードとシューティングガードに区分され、フォワードもスモールフォワードとパワーフォワードに区分されています。

 アメリカンフットボールでは、1つのチームにオフェンスチーム(攻撃チーム)とディフェンスチーム(守備チーム)が別々に存在します。

 オフェンスチームは、ラインとバックスに分かれ、ラインにもセンター・ガード・タックル・エンドと分業されていますし、バックスの方はクオーターバック・ランニングバック・ワイドレシーバー・タイトエンドといった分業が行われます。

 ディフェンスチームも、オフェンスと同様に細かな分業が成されています。ライン、ラインバッカー、バックに分業され、ラインはタックルとエンド、ラインバッカーはインサイドとアウトサイド、バックはコーナーバックとセイフティに分かれ、セイフティはフリーセイフティとストロングセイフティに分かれます。

 加えて、アメフトには、これ以外にもスペシャルチームと呼ばれるチームが存在します。キッカー、パンター、ロングスナッパー、ホルダー、リターナーなどが該当しますが、キックをする時に、ロングスナッパーから投げられたボールを、キッカーが蹴り易いようにフィールドに設置することが「仕事」の「ホルダー」という役割まで独立しているのを見ると、「究極の分業型スポーツ」という感じがします。

 これらの「分業型競技」は、チームメンバー無しでは競技を行うこと自体が不可能ですから、まさに団体競技といえますし、チーム全員の協働無しには好成績を収めることはできませんから、「チームワーク」が大切な競技でもあります。

 こうした分業型競技の中でも、アメリカンフットボールは他の競技とは異なる性質を持っているように観えます。それは「自己犠牲型コンタクトプレー」が多いということです。

 「自己犠牲型プレー」というと、野球における「犠牲バント」が思い浮かびます。バントプレーにより、味方のランナーを先の塁に進めようとするプレーですが、犠牲バントにおいては原則として接触プレーがありません。
 また、サッカーにおいてもパスを受けるフリをして、相手のディフェンダーを自分に引き付けて、味方プレーヤーがプレーし易いようにするといった自己犠牲型プレーがありますが、これも原則として接触は伴わないプレーです。

 一方で、アメフトのプレーでは「自己犠牲型コンタクトプレー」が多く観られるというか、過半のプレーがそうであるように観えます。

 例えば、攻撃における普通のランプレーでも、オフェンスラインの2人のプレーヤーが、相手チームディフェンスラインの2人のプレーヤーを左右に押し開け、ランニングバックの走路を作ります。この走路が、上手く出来た時に「ランが出る」のです。ランニングバックプレーヤーの個人の走る速度やボディバランス・馬力もランプレーにおいて重要ですが、最も重要なのは「走路を作るプレー」です。オフェンスライン他のプレーヤーは、ランニングバックプレーヤーが走って前進するために、走路作りに専念するのです。

 パスプレーでも、多くの自己犠牲型コンタクトプレーが観られます。スクリーンパスや短めのパスがクオーターバックから、タイトエンドやワイドレシーバーに投げられた時、その周囲に2~3人の味方プレーヤーが配置されているプレーをよく見かけます。パスを受けたプレーヤーと周囲の2~3人のプレーヤーは一緒に前進を始めます。
 相手チームのプレーヤーがボールを持っているプレーヤーを倒そうと襲ってきますが、まわりを取り囲んでいる味方プレーヤーが相手チームのプレーヤーを弾き飛ばして、更に進むのです。「ブロックプレー」と呼ばれたりもしますが、ボールを保持した味方プレーヤーを守るために、周囲のプレーヤーが犠牲になっているのです。

 アメフトにおいて、こうした「自己犠牲型コンタクトプレー」が多用されるのは、こうしたプレーが「ルール上、許されている」からです。

 サッカー競技において、ボールを持っているプレーヤーに相手チームがタックルしようとするのを別のプレーヤーが妨害・邪魔すれば反則ですし、ラグビー競技において相手チームのプレーを邪魔すれば「オブストラクション」という反則を取られます。アメフトにおけるリードブロックのようなプレーをラグビーで行えば、アクシデンタルオフサイドの反則となるでしょう。
 サッカーでもラグビーでも、「邪魔をするプレーは反則」なのです。
これは野球でも同様で、守備妨害、打撃妨害、走塁妨害といった反則があります。これらの競技においては、至極当然のことです。

 しかし、アメリカンフットボールでは、邪魔する・妨害するプレーが許されている上に、見事なブロックプレーは賞賛の対象となります。ランプレーによりロングゲインした時に、きれいなリードブロックが決まっていれば、ボールを持って走ったプレーヤーと同等に、リードブロッカーも高く評価されるのです。

 分業化が進み、チームプレー・チームワークが尊重される、これらの団体競技の中でも、ルールとの関係から「自己犠牲型コンタクトプレー」が数多く登場するアメリカンフットボールは、自己の成績に数字として現れにくいプレーが最も多く見られるスポーツなのかもしれません。

 今回は「団体戦・団体競技」について考えてきました。

 個人戦が基本である、柔道・剣道・スキージャンプやフェンシングにおいては「団体戦」という形で、陸上競技や水泳・距離スキーにおいては「リレー」という形で、複数のプレーヤーによるゲームを可能にし、観る者に一層面白いプレーを提供すると共に、個人に限らず、学校や企業・国家同士のゲームを可能とする種目が行われてきたのです。

 また、主に球技においては、本質的な団体競技といえる「分業型競技」が数多く発展していて、チームプレー・チームワークの重要性そして面白さを提供してきました。

 更に、四番目の「チームパシュート」には、「団体競技の将来性・発展性」を感じます。既に成熟してしまった感のある「団体戦・団体競技」ですが、チームパシュートのように「新しいメジャー種目」が生まれてくる可能性が、まだまだ有ると思います。

 今回も、スポーツの可能性の大きさを感じました。
スポンサーサイト



プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
「スポーツを考える-KaZ」ブログへ
ようこそ!
我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

最新記事
最新コメント
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Page Top
CALENDaR 123456789101112131415161718192021222324252627282930