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HOME   »  手投げ、棒立ち、これがいい。
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 6月26日の日本経済新聞スポーツ面のコラム「権藤博の悠々球論」を、とても楽しく読ませていただきました。

 「大変なものを見てしまった。日本ハム・大谷翔平が18日の阪神戦で8回1安打、11奪三振。数字だけでなく、その才能の『底』がみえないところに鳥肌が立った。」と書き出しています。

 大谷投手のピッチングの素晴らしさを絶賛しているのです。

 続いて「・・・マウンド上でもキャッチボールの延長で、手投げにみえる。球が指先から離れる瞬間は一見棒立ちだ。これがいい。往年のエース、金田正一さん(国鉄、巨人)、稲尾和久さん(西鉄)もそうだった。
 投手コーチはみんな『体を使え』『手投げはダメだ』という。しかし理屈に毒されると真実が見えなくなる。・・・」と。おっしゃる通りでしょう。

 そして「もちろん体全体を使うが、それは最終的に指先からボールに力を伝えるためだ。・・・『常識』とされるフォームでは体を使うことと、球に力を伝えるということの目的と手段の関係がひっくり返っているのだろう。指先を走らそうと思えば一瞬体は棒立ち、手投げになる。・・・」と続くのです。

 「最終的に指先からボールに力を伝える」ことを、効果的に実施するためにフォームがあるのであって、フォームが型通りだからボールに力が伝わるわけではないという記述は、まさに「スポーツの本質」であろうと思います。

 「言われる通りのフォームで投げれば良い球が投げられる」などという簡単な話で、最高レベルの野球が出来る筈がないのです。
 こんなことは、誰でも分かっていることでしょう。

 個々のプレーヤーが自らの体格・筋力・持久力・心持等々に合った投球フォームを模索し、自分にとって「最もボールに力を伝えられるフォーム」を身に付けていく必要があるのでしょう。そして権藤氏は「手投げ・棒立ち」にたどり着いたと書いています。
 金田正一・稲尾和久といった、日本プロ野球NPBの歴史に燦然と輝く大投手も手投げ・棒立ちであったと言うのです。

 確かに昔、金田投手や稲尾投手の投球を観ると「棒立ちだなあ」と感じました。両投手とも力みのないフォームでした。「球数何球でも投げられそうだ」と感じたものです。体全体を使って「必死に投げているように見える投手」と違って、軽く投げているように見えたのです。

 しかし、軽く投げているように見えても凄い球が来ます、金田投手ほどのスピードボールは、その後のNPBの歴史上でも数名しか(ひょっとすると江夏豊投手くらいかもしれません)投げられなかったと感じますし、稲尾投手ほどの変化球も同様です。素晴らしい切れ味でした。

 権藤氏は、金田投手や稲尾投手のボールは「手投げ・棒立ち」だから実現できているというのです。その通りだろうと思います。

 目的は「凄いボールを投げること」であって、「綺麗なフォームで投げること」ではないのです。

 他の競技でも、同じようなことが言えるのでしょう。

 例えばゴルフのスイング。
 バックスイング、フォロースイング等のゴルフスイングについて、色々な技術書・技術論が溢れています。アマチュアプレーヤーにとって、どれを選択したらよいのか困ってしまいます。スイングプレーンがどうのこうのと、プレーンを模した丸い金属棒にクラブを這わせて、スイング練習をしたりするのです。(あのプレーンに沿ったスイングをしているプレーヤーは、プロも含めて世界中に一人も居ないでしょう)

 しかし「肝心なのはインパクトの瞬間」だけであることは、自明の理です。インパクトの瞬間以外にクラブとボールが接触することは無いのですから。バックスイングがいかに綺麗であろうと、フォロースイングがいかに美しくとも、インパクトとは直接の関係はありません。
 インパクトさえ正確で力強ければ、バックスイング・フォロースイングが滅茶苦茶?であっても、素晴らしい打球が生まれるのは当然のことです。

 アーノルド・パーマー、ゲーリー・プレーヤー、リー・トレビノ、樋口久子、ヒューバート・グリーン、杉原輝雄、横峯さくら等々、個性的なスイングで4大メジャートーナメントやPGAツアー、欧州ツアー、日本ツアーなどで活躍した・しているプレーヤーは枚挙に暇がありませんし、身近に居るゴルフ名人にも個性的なスイングが多数見られます。

 「良いインパクトを実現するために、良いバックスイング・フォロースイングを行う」というのはよく分かりますが、あまりにバックスイング・フォロースイング等のフォームに拘り過ぎてインパクトが疎かになっては、本末転倒でしょう。
 権藤氏が言うところの「目的と手段の関係がひっくり返っている」のです。

 ゴルファーは、自らの体力・体格・柔軟性・持久力・メンタル面等々の個性に合ったスイングを模索して、身に付けて行けば良いのであって、技術書に載っているスイングを目指す必要は無いし、ひょっとすると技術書のスイングがその人には有害なのかもしれません。

 「悠々球論」には、本物のプロフェッショナルの心情・深いノウハウがぎっしりと詰まっています。本当に素晴らしいコラムだと思います。

 権藤氏はこう締めくくります。
 「手投げ投法を我が物とした大谷は今すぐメジャーに行っても、ダルビッシュ有や田中将大と並ぶ3大エースとなる力をつけつつある。二刀流を続けるべきかどうかなど、もう考えるまでもない、といえるだろう。」

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