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HOME   »  最強のスペインチームはシャビ無しでは出来ない。
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 8月5日、シャビ選手のスペイン代表引退が報じられました。

 FCバルセロナの中心選手として活躍を続けているシャビは、スペイン代表チームの大黒柱でもありました。

 「代表引退」の報に接した時、「スペイン代表が強かった時代も終わりを告げた」と感じました。

 2008年の欧州選手権(ユーロ)、2010年のワールドカップ・南アフリカ大会、2012年のユーロを3連覇したスペイン代表チームが、世界サッカー史上最強チームのひとつであることは疑いようがありません。
 「負けないサッカー」としてなら、史上最高のチームだったと思います。

 そして、そのチームはシャビ選手と共に在ったのです。

① 2004年のユーロで、決勝トーナメントに進出できなかったスペインチームは、イニャキ・サエス監督が解任され、ルイス・アラゴネス監督が就任しました。このアラゴネス監督の就任が、最強チーム生成にとって極めて重要であったと思います。

② ルイス・アラゴネス率いるスペイン代表チームは、2006年のワールドカップ・ドイツ大会に臨みました。そしてグループリーグを突破し決勝トーナメントに進出しましたが、ベスト16の戦いでフランスに1-3で敗れてしまいました。この大会準優勝であったフランスは、ジダン選手、アンリ選手他を擁する最強の時期でしたから、3失点も止むを得ないというところだったのでしょう。

③ このワールドカップ2006における敗退は、「典型的なスペイン代表チームの負け方」でした。「得点以上に失点する」というパターンだったのです。1978年大会以降8大会連続でワールドカップ本大会に出場しながら最高成績がベスト8という、なかなか殻を破れないチームだったということでしょう。

④ アラゴネス監督は、フィジカル面での劣勢を背景とする、こうしたスペインサッカーの弱点をカバーし、世界トップクラスで戦えるチームとするために「ショートパスを繋ぎながらチームの連動性を重視するサッカー」の導入を決めました。このサッカーは「頻繁なポジションチェンジ」を必要とするために、導入には非常な困難が伴ったと言われていますが、幸いなことに「優秀なプレーヤーが揃っていた」のです。
逆に言えば、優秀なプレーヤーが揃っていたので、アラゴネス監督も「ショートパスによるパスサッカー」導入を決断したのでしょう。

⑤ この2007年のチームは、ワントップにフェルナンド・トーレス、MFにシャビ、イニエスタ、セスク、シルバ等を配し、バックスにセルヒオ・ラモスやブジョル、マルチェナ等、そしてゴールキーパーにカシージャスというメンバーでした。

 このメンバーだからこそ、後に「ティキ・タカ」と呼ばれるようになる「高速のショートパスを繋ぐサッカー」が可能だったのだと考えます。この時期にこのメンバーがスペイン代表チームに揃っていたこと、そしてアラゴネス監督がティキ・タカの導入を決意し、メンバーもこの意図に良く応えたことが、史上屈指のチームを創り上げるきっかけとなったのでしょう。

⑥ このチームは、2008年ユーロの予選当初は大苦戦しましたが、「ティキ・タカ」システムが軌道に乗るにつれて調子を上げて予選を突破、第12シードという「あまり期待されない」シード順で臨んだ本大会では、とんとん拍子で勝ち上がり、決勝では優勝候補のドイツを1-0で破り優勝しました。
 フェルナンド・トーレスが前半に挙げた1点を守り切っての勝利は、「スペインのティキ・タカサッカーの完成」感じさせるものでした。このゲームで、あのドイツチームがほとんど何も出来なかったのです。「こんな出来の悪いドイツチームは初めて見た」と当時は思いましたが、振り返ってみればスペインチームが凄過ぎたのです。

 私は、この時のスペインチームが「黄金期の中でも最強」であったと考えています。

⑦ 2010年のワールドカップ・南アフリカ大会では完成期を迎えたチームが、その特徴を如何無く発揮して優勝しました。その特徴とは、大会7ゲームにおける「総得点8、総失点2」のいずれも史上最少であったこと、そして決勝トーナメント4ゲームを全て1-0で勝ち抜いたこと、に端的に表れています。

 「失点せず、1得点で勝ち切る」のが、このスペイン代表チームのサッカーなのです。得点を取りに行くことから生ずるリスクを冒すことなく、とにかくショートパスをハイテンポに繋ぎながら相手チームには何もさせない状態を継続して0失点を確保し、シャビ選手からのラストパスで1得点を挙げるサッカー、この時のスペインチームのメンバーで無ければ決して実行することが出来ない、極めて高いレベルのサッカーでした。

 この大会で、スペイン代表の先発メンバーには、フォワードにビジャ、MFにシャビ・アロンソ、バックスにピケらが加わりました。いずれも、十分にティキ・タカに対応できるプレーヤー達でした。

⑧ 2012年のユーロでもスペインチームはその力を発揮して優勝しましたが、準決勝のポルトガル戦および決勝イタリア戦の試合運びには、チームの変質が伺えました。

 ポルトガル戦は、ポルトガルチームに相当回数のチャンスが訪れました。スペインチームの短いパスによる速いボール回しが、あまり機能しなかったのです。何とか0-0でPK戦に持ち込み勝利しましたが、ゲーム内容以上に薄氷を踏む勝利であったと思います。
 決勝のイタリア戦は4-0の快勝と、準決勝の疲労が残るイタリアチーム相手に大勝した形ですが、「4点も取るのはおかしい」と感じたことを憶えています。相手に何もさせないサッカーは、自分達にも容易に得点チャンスが訪れないサッカーの筈なのです。

⑨ 2014年ワールドカップのスペインチームは、本来のティキ・タカをほとんど見せることなく、グループリーグ2連敗で敗退しました。緒戦オランダ戦の後半の戦い振りが、スペインサッカーの変質を示していました。オランダチームと同じリズムでプレーし、同じように長いパスを前線に送って、得点を狙ったのです。
 そうなれば、フィジカルと走力に勝るオランダチームが有利なのは道理で、スペインチームは後半だけで4失点を喫して大敗しました。

 近時の、特に2013年コンフェデレーションズカップでの準決勝・決勝の無得点、および決勝でのブラジル相手の0-3の敗戦を踏まえて、スペインベンチは「点を取りに行くチーム」を目指したのかもしれませんが、「相手に何もさせず、こちらだけが得点を次々に挙げる」といった虫のいい話?が存在する筈も無く、スペインチームは「普通の世界トップクラスのチーム」になってしまい、敗れた形でしょう。

 前半、シャビからのパスで得たPKで1点を先制し、本来ならこのまま1-0で勝ち切るべきゲームだったのでしょうが、前半終了間際にファンペルシのダイビングヘッドで同点とされてしまいました。これはしかし、ファンペルシ選手の一世一代の驚異的なシュートが決まっただけで、自分たちのサッカーの綻びからの失点では無いと判断して、スペインチームとしては1-1の引き分けを目指すべきだったと思います。
 後半もティキ・タカを展開して、自分たちの得点のチャンスは減るが、相手には何もさせないサッカー=本来のスペインサッカーを行うべきだったのです。

 それを、中盤でボールを獲得するとドリブルで前進し、ゴール前の選手にパスを出すという「オランダと同じようなサッカー」を行ってしまっては、オランダチームにボールを取られる機会が増えてしまい、逆襲を受けるリスクが倍増してしまいました。1対1の決定力なら、ロッベンやファンペルシの方が上であることは明らかなのです。

 このサッカーは、2006年以前の国際大会ベスト8の壁を破れなかったスペインチームのサッカーでした。(メンバーの高齢化に伴い、スペインチームの運動量が落ちていた面もあるかもしれませんが)

 シャビは、2014年大会ではグループリーグの緒戦にこそ先発しましたが、第2戦・第3戦には出場しませんでした。
 コンディションが悪かったのか、34歳という年齢もあって体力的にフル出場できなかったのか、理由は分かりませんが、いずれにしても「第2戦・第3戦のスペインは、シャビが指揮を執るチームではなかった」ことは間違いないと思います。
 もはや、ティキ・タカを展開できるチームでは無かったのでしょう。

 そして大会後の8月5日、シャビ選手は代表引退を発表しました。

 2008年~2012年のスペインチーム、これを「最強スペインチーム」と呼びたいと思います。
 この「最強スペインチーム」は、シャビ、イニエスタ,セルヒオ・ラモス、ピケ、セスク、シャビ・アロンソ、シルバ、プジョル、ビジャ他の「ティキ・タカをプレーする能力を備えたプレーヤー達」によって構成されていました。

 そして、その中心はシャビとイニエスタの2人のプレーヤーであると思います。その2人の内の1人が引退するのです。いまのところ後継者は居ません。そうなると、これはもう「最強スペインチーム」では無いのです。

 今後、建て直しを目指すスペインチームが、どのようなチーム創りを目指していくのかは興味深いところですが、他の欧州各国のチームと同じような戦術を取るチームを指向すれば、フィジカルの強さや縦への突破力を誇るドイツチームやオランダチームに勝つのは難しいでしょう。

 一方、シャビ率いる「最強スペインチーム」=ティキ・タカを展開するチーム、を再度組成するにはメンバーが足りません。

 おそらく、「最強スペインチーム」は世界サッカー史上でも唯一無二のタイプの存在で、いつの時代・どんな国でも創り上げることが困難なチームなのであろうと思います。
 ワールドカップ最多得点記録を保持し、無駄の無いポジショニングと無類の決定力を誇るドイツのクローゼ選手をして「このゲームでは左右に振られて体力を消耗し、何も出来なかった」と言わしめるチームは、滅多なことでは登場しないのです。

 いずれにしても、新生スペインチームの前途には相当厳しい道が待っていると感じます。
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