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 両横綱の調子が上がらない場所になっています。

 昨日7日目、白鵬と時天空の一番、最近では本当に珍しいことなのですが、時間前に立ち合い、白鵬が勝ちました。
 取組後のインタビューで、白鵬は「仕切りの時、時天空から時間前に立とうとする気配を感じていたので、来るなら来いと思っていた」とコメント。時天空は「時間前に立とうと思っていたが、あの時(時間前に立った時)には、行司が止めようとしているように見えたので、一瞬取組を止めようと思ってしまった」とコメントしています。

 この取組の二人の力士の応酬には見るべきものがありましたが、行司の対応は粗末なものでした。時天空のコメントにもありましたが、式守伊之助は「軍配を反していませんでした」から、本来ならば立ち合い不成立で、取組を止めなければなりませんでした。左手を前に伸ばして、一瞬止めようとしたのですが、二人の力士の動きが止まらなかったことと、気迫に押されたのでしょうか、そのまま止めずに取組を進めました。

 緊張感が不足していて、白鵬関が感じた時天空の気配にも全く気付かず、ボーっとしていて、時間前の立ち合いにビックリして対応できなかったのですから、話になりません。立行司などという立派な肩書は返上して、一から修行しなおす必要があると思います。
 当たり前のことですが、土俵上は行司にとっても呼び出しにとっても、真剣勝負の場なのです。

 取組後の土俵下の二人、特に時天空関は、白鵬関を悔しそうに見つめていました。気迫溢れる勝負であり、ケタグリを始めとする奇襲技で有名な時天空の気配を、事前に感じて対応した白鵬の勝負勘も、さすがに素晴らしいものだと思いました。

 しかし、この取組ではさすがの感性を見せた横綱白鵬ですが、今場所の内容は相当悪いものです。6日目の千代大龍戦では「注文相撲」でした。横綱が注文相撲というのも情けないことですが、受け止めて相撲を取るタイプの白鵬が、前半戦の6日目から注文相撲などというのは、自身の調子の悪さ、他力士との力の接近を露わにした行為といえるでしょう。

 横綱白鵬は7連勝としていますが、前に出る力が弱いので、このまま走るとは到底思えません。2~3敗する可能性が高いと思います。

 一方の東の横綱日馬富士は既に2敗。今場所は右足首の状態が悪いのでしょうか、取り口に全くスピードが無く、前に出る力も極めて弱いので、よく2敗で留めているという感じです。
何しろ、幕内最軽量力士ですから、コンディションが整わない場所は勝ち越しがやっと。これまでなら7日目までに3~4敗していても何の不思議もない状態だと思いますが、7日目の勢戦での張り手の連発といった取り口で、何とか勝ち星を掴んでいる形です。
 横綱の張り手連発というのも見苦しいものですが、必死の日馬富士関の気持ちが出ているというところです。

 両横綱とも、既に終盤戦のような必死の取り口を展開していますので、他の力士にも十分にチャンスがある場所の筈なのですが、特に大関陣の弱さには残念を通り越して、呆れてしまいます。

 稀勢の里関は、押されると下がるという相撲の特性がもろに出てしまい、簡単に寄り切られたり、土俵際に後退するというシーンばかりが目立ちます。先の福祉大相撲で小学校高学年の力士にも押されていた(わざと押されているようには見えませんでした)のを観て、心配していましたが、この有様です。もう少し重心を低く、前に置く努力をしないと、勝ち越しがやっとという場所になりかねません。

 鶴竜関も同様に、前に出る力が不足しています。大関に上がった頃は、相撲の上手さと前に出る力の強さから、横綱に上がるのも時間の問題と言われましたが、現在の相撲では所謂クンロク大関(9勝6敗ばかりの大関)です。物静かな雰囲気の中で展開してきた、気迫あふれる相撲を取り返していただきたいと思います。

 今場所は、12勝3敗の優勝争いと観ています。従って、現在1敗の常幸龍関や2敗の豊ノ島関にも優勝のチャンスが十分に有ります。

 さすがに、荒れる春場所です。これはこれで、面白い大相撲だと思います。
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 11月7日の当ブログで、11月場所で活躍が期待できる力士10名を掲載しました。11月場所の15日間を振り返って、総括したいと思います。

・白鵬 14勝1敗 優勝
・稀勢の里 10勝5敗
・妙義龍 6勝9敗
・豊ノ島 11勝4敗
・臥牙丸 8勝7敗
・常幸龍 6勝9敗
・高安 5勝10敗
・安美錦 7勝8敗
・栃煌山 10勝5敗
・旭天鵬 10勝5敗

 10名中、勝ち越しが6名、平均9.4勝5.6敗でした。勝ち越した力士が少ないことは残念ですが、平均勝ち星で観るとまずまずの成績でした。

 優勝は、横綱白鵬でした。四つ相撲だけではなく、カチ上げから突いて出る相撲も物にして安定した15日間でした。これで23回目の賜杯。前稿にも記しましたが、20回を超える優勝を誇る大横綱の中で、大鵬・千代の富士を目指していける体制が構築できたのかもしれません。

 新横綱の日馬富士は、今場所は前に出る力が不足していて、大関時代の良くない場所並みの成績9勝6敗に終わりました。横綱の9勝6敗は、朝青龍や白鵬の成績と比較すると物足りないものですが、前稿にも記しましたように、この二人の先輩モンゴル人横綱の成績がスバ抜けているのであって、それ以前の横綱の成績と比較すれば、横綱として初めて臨んだ場所でもあり、決して驚くには当たらないものです。
 今場所の日馬富士は、おそらく右足首の調子が悪かったのだと思います。スピードで勝負する力士が、スピード不足では勝負になりません。コンディションを整えて、来場所の反攻に期待したいと思いますし、故障が回復すれば優勝できる力が十分にあることは、二場所連続全勝優勝で証明されています。心配ないと思います。

 大関稀勢の里は二桁勝利を挙げましたが、物足りなさも残りました。下位力士との取組での取りこぼしも残念でしたし、白鵬との取組の内容も残念至極でした。
 立ち合いの際に、両足を仕切り線に平行になるように広げるのは、鳴門部屋の力士の特徴ですが、前にも書きましたように、この形では少しでも立ち合い負けすると押し込まれてしまいます。稀勢の里は、その圧倒的な腕力で、押し込まれた後から反撃が可能ですが、慌てることも多く、取り零してしまいますし、白鵬戦のように一方的に押し出されるケースも出てきます。もう少し、立ち合いで強く当たるように出来れば、横綱が近づいてくるように思います。

 関脇妙義龍は、前半の出来が悪かったことが響いて負け越しました。過去2場所に比べて、明らかにスピード不足でした。相手力士より先に先に攻めるスピードが無いと、この体力でこの番付では苦しいところです。もうひとりの関脇豪栄道が11勝の好成績を挙げましたが、こちらは、近年にないスピード溢れる相撲でした。関脇以下の力士が、横綱・大関陣と互角以上の成績を残していくには、「圧倒的なパワー」か「圧倒的なスピード」が必須ですが、現在の関脇・小結陣は後者で勝負していくしかありません。やはり、コンディションの維持・向上が大切です。

 豊ノ島は、その実力を如何なく発揮できた場所でした。相性が良い11月場所ということもあってか、独特の体の動きとスピードが復活しました。嘉風戦と千代大龍戦のどちらかを物にしていれば三賞もあったかもしれません。 それにしても、14日目までに10勝していて、番付からして通常は当たらない横綱・大関との取組も組まれた力士に、三賞が授与されないのは、先場所に引き続いて如何なものかと思います。力士のやる気を醸成する対応も必要なのではないでしょうか。豊ノ島が、この番付なら好成績も当たり前というのでは、アンフェアな考え方でしょう。

 臥牙丸は勝ち越しました。立派な15日間だったと思います。取り口が憶えられた感じですが、それでも勝ち越しました。14日目の取組で、おそらく左肩を痛めました。年末年始でキッチリ治していただき、来場所の活躍に期待したいと思います。

 常幸龍は、幕内の壁にぶつかりました。十分克服できると思っていましたが、組むでも無く、押すでも無い取り口で勝ち星を挙げるには、少し前に出る圧力が不足していました。コンディションが悪かったのでしょうか。立ち合いを磨いて、まわしを取る方法を研究すれば、十分通用すると思います。

 高安は、場所前の稽古では絶好調と報道されていたのですが、場所入り後は前に出る圧力が不足している上に、何か「軽い」感じでした。場所入り直前に、下半身に故障でも発症したのかもしれません。いずれにしても、鳴門部屋力士の共通点である、押されやすい相撲の改善が大切です。立ち合い後に腰で押し込む形を、身につけたいものです。

 安美錦は、その持ち味は発揮しましたが、豪栄道、栃煌山、松鳳山との取組で全敗したのが響きました。十分なサイズと相撲の上手さを身に付けている力士ですので、巻き返しは十分に可能だと思います。

 栃煌山は、前頭筆頭の番付として十分な活躍でした。あとは、旭天鵬戦に観られるように、素早く左右に動かれたときに、付いていけないところがあります。スピードも十分な力士としては、不思議なところですが、サッと動かれると相手力士と離れてしまうのです。体を密着させることは、相手に力を出させない点からしても重要な手法です。前に出るパワーは身に付いてきていると思いますので、「心配せず」体を寄せていけば、来場所・三役の場所でも、十分に活躍できると思います。

 旭天鵬の10勝は、見事の一語。これで、今年6場所の内3場所で10勝以上の勝ち星を挙げたことになります。38歳にして、力量が向上しているように観えます。素晴らしいとしか言いようがありません。
 14日目まで、白鵬と共に優勝を争いました。番付からして、当たらないはずの力士との取組が組まれ続けましたが、三賞は与えられませんでした。14日目の取組が終わった後の「疲れました」というコメントに、旭天鵬の思いが表れています。幕内最年長力士に、優勝争いの重責を担わせ、大関戦他を組むのであれば、三賞で報いるべきだと思います。まさか、今年優勝しているから三賞は不要と考えているわけではないと思いますが。
 いずれにしても、旭天鵬関、今年はお疲れ様でした。大変面白い相撲を魅せていただき、本当にありがとうございました。

 11月場所は、初日・二日目の客入りの悪さから、興行面が心配されましたが、7日目あたりから客足も上向きました。
 全体としては、面白い取組も多くありましたので、大相撲の再興は進んでいるようにも思います。現在の土俵は、関脇から幕の内上位にかけての力士の力量が高く、面白い取組が生まれていることによって支えられているようにも思います。

 2012年の大相撲は幕を下ろしました。平幕旭天鵬の優勝や、新横綱日馬富士の誕生に代表される、変化に溢れエンターテイメント性十分な年でした。
 来年は、日本人横綱と、生きの良い新入幕力士の誕生に、期待したいと思います。
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Author:カエサルjr
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