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 2017年12月の日本経済新聞「私の履歴書」は江夏豊氏でした。

 江夏豊と言えば、日本プロ野球史上最速の投手のひとりとして、様々な足跡を残されたスーパーアスリートです。

 その江夏氏が、自らの投手人生を、文字通り「赤裸々」に綴った文章は、とても興味深く、スポーツ好きにとっては面白いことこの上ない「私の履歴書」でした。
 毎日ワクワクしながら読ませていただきました。

 全編見所満載ですが、今回は12月21日・第20号を観て行きたいと思います。

 そして、本記事を今年の書き収めとします。

 1973年シーズンの話です。
 「・・・ただ、個人記録より、自分はとにかく優勝したかった。シーズン大詰めの10月20日。混戦から頭一つ抜け出した阪神はマジック1として中日戦を迎えた。残り試合は2つ。この試合と甲子園での巨人戦のどちらかに勝てばいい。阪神入団7年目、優勝を掴みとれるところまで来た。・・・」

 自身初のペナントレース制覇に向けての、江夏投手の思いが切々と語られています。

 しかし、この中日戦で江夏投手は6回9安打3失点で負け投手になってしまいました。この当時の江夏投手の力量を持ってすれば意外な投球内容と言うことになります。
 そして、その理由が続くのです。

 「・・・試合前日、球団幹部に呼び出された。優勝のご褒美の話かと思ったら『これは金田監督も了解していることだが、名古屋で勝ってくれるな』ときた。一瞬意味がわからなかったが、選手の年俸アップを心配してか、優勝すると金がかかるとか、ぶつぶつ言っている。テーブルをひっくり返して席を立った。こうなったら絶対勝ってやる-。その気持ちが裏目に出た。・・・」と。

 球団=企業の経営サイドがお金の心配をするのは仕事のひとつなので、分からなくもないのですが、それを試合直前の選手・先発投手に伝え、負けるように言うというのは、信じられないような行為です。

 「優勝を目指して長いペナントレースを戦うのがプロ野球」であると、ファンにも公示しているのは周知のことですが、そこで「優勝したら色々お金がかかるので、勝たないでくれ」と先発投手に頼むというのですから、その「愚かさ」に驚かされるばかり。
 「八百長の勧め」にもなりかねない行為です。

 「情けない」の一語。
 真に「貧しい行為」でしょう。

 球団幹部の狙い通りに、江夏は敗戦投手となりました。江夏投手の性格まで見抜いたうえで、こうした発言を行っていたとすれば、品性下劣な知能犯ということになるのかもしれません。

 もちろん、プロスポーツが「純白」なものとは思いません。残念ながら、お金の動くところには有象無象が徘徊するものなのでしょう。アマチュアスポーツにおいてさえ、そうなのかもしれません。

 それにしても、この行為は、最もやってはならないことであろうと感じます。
 プレーヤーの心情を踏みにじる行為は、下の下でしょう。

 2018年のスポーツ界においては、こうした行為が少しでも減りますようにと、願わずにはいられません。
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 11月17日、日本野球機構から2017年シーズンのベストナイン賞受賞選手が、発表されました。

 ベストナイン賞は、プロ野球選手なら誰もが目指す、素晴らしい賞だと思います。

 担当記者の皆さんの投票で選ばれる賞ですが、多くのポジションでは2017年シーズンの活躍が際立つプレーヤー、多くのファンが「このプレーヤーだろう」「このプレーヤーなら仕方がない」といった形で、独走状態で選出されることが多いのですが、2017年のパ・リーグの遊撃手部門は、大接戦となりました。
 ベストナイン史上でも「三つ巴の大接戦」というのは、珍しいのではないでしょうか。

 争ったのは、ソフトバンクホークスの今宮健太選手(26歳)、楽天ゴールデンイーグルスの茂木英五郎選手(23歳)、西武ライオンズの源田壮亮選手(24歳)です。
 
 3選手とも、プロ野球を代表するショートストップであることは間違いありませんが、事は「2017年の活躍」ですので、成績を観てみましょう。

[今宮選手-得票数90]
① 守備率 .988
② 打率 .264
③ 本塁打数 14
④ 出場試合数 140
⑤ OPS .739

[茂木選手-得票数87]
① 守備率 .977
② 打率 .296
③ 本塁打数 17
④ 出場試合数 103
⑤ OPS .864

[源田選手-得票数81]
① 守備率 .971
② 打率 .270
③ 本塁打数 3
④ 出場試合数 143
⑤ OPS .669

 3選手の得票数は「僅差」でした。
 受賞した今宮選手と2位の茂木選手の差は僅か4票だったのです。
 有効投票数258の中での4票差でしたから、概ね互角と言って良いでしょう。

 遊撃手ですから、やはり守備率は大事な項目ですが、ここは今宮選手がトップでした。
 一方で打撃面を観ると、茂木選手が上回っています。
 出場試合数では、ルーキーとして「全イニング出場」という快記録を達成した源田選手がトップに立っているのです。

 茂木選手にとって惜しまれるのは右肘の故障で、一時期戦線を離脱したことなのでしょう。その長打力と高いOPSを観れば、茂木選手が今シーズンのゴールデンイーグルスに対して、大きな貢献をしたことは明白ですから、この一時離脱が本当に残念なのです。

 各項目を総合的に判断すれば、今宮選手の受賞は妥当なものという感じがします。

 それにしても、パ・リーグには「良い遊撃手が多い」と思います。

 この3プレーヤーは、いずれも20歳代の若さを誇る選手達ですから、当分の間パ・リーグのゲームにおいて「素晴らしい遊撃手のプレー」が観られることになります。
 2018年シーズンのベストナイン争いも熾烈なものとなりそうです。

 プロ野球でもMLBでも、「ショートの好プレーはゲームを締める」ものだと、私は思います。
 埼玉西武ライオンズの新人遊撃手・源田壮亮(げんだ そうすけ)選手が「快挙」です。

 ルーキーとしてのフルイニング出場も1961年以来56年振りという、大変な記録なのですが、これが遊撃手となると2リーグ制開始以降「史上初」という快挙なのです。

 プロ野球において、野手にも「キチンと休養日を設ける」のが当たり前の時代になってから久しいのですが、そうした状況下、源田選手は「フルイニング出場」を続けたのです。

 2016年のドラフト3位で西武ライオンズに入団し、「開幕一軍」だけでも容易なことでは無い筈ですが、そこから源田選手はペナントレース最終戦まで出続けました。

 575打数155安打、打率.270、打点57、本塁打3と遊撃手として堂々たる成績を残しましたが、何より「三塁打10」というのが光ります。
 ルーキーで三塁打を10本以上放ったのは、1958年の阪急・本屋敷錦吾選手以来59年振りとのことです。
 源田選手の2017年シーズンの活躍は「半世紀振り」の記録ずくめのものだったのです。

 西武ライオンズも、シーズン中に「源田選手に休養日を」という発想にならなかったとは思えませんので、そうした監督やコーチの思惑を超える「元気さ」が源田選手の全身から漂っていたということなのでしょうか。

 それにしても、こうした「快挙」が達成されると、過去の記録が掘り起こされるのが興味深いというか、楽しいところです。

 新人のフルイニング出場プレーヤーの中に、1958年の長嶋茂雄選手の名前が有りました。
 新人シーズンに、ホームラン王・打点王・盗塁王の三冠に輝いたスーパールーキーでしたが、その長嶋選手が「フルイニング出場」であったことは、初めて知りました。

 まさに「記録は時代を超える」ということなのでしょう。

 11月20日、源田選手の2017年シーズンの新人王受賞が報じられました。
 プロ野球を代表する遊撃手としての、今後の活躍に期待です。
 プロ野球2017年シーズンの首位打者は、セリーグが.323で宮崎敏郎選手(DeNAベイスターズ)、パリーグが.322で秋山翔吾選手(西武ライオンズ)でした。
 共に初のリーディングヒッタータイトル獲得です。おめでとうございました。

 さて、両リーグの首位打者の打率は、ほぼ同じでした。
 一見して、少し低いなという印象を受けます。

① .340以上の打率の首位打者が減っているのか?

 21世紀になってから、2001年から2010年間のシーズンでは、セリーグでは7名が、パリーグでは5名が.340以上の打率で首位打者を獲得しています。単純な比率では60%ということになります。

 2011年から2017年では、セ・パ両リーグとも2名が.340を越えています。単純な比率では33.3%ということです。
 
 どうやら.340以上の首位打者は減少傾向にあるようです。

② パリーグでは2005年シーズン以降、首位打者の打率が急下降しているのか?

 パリーグでは、2004年シーズンに松中選手が.358で首位打者となり、2005年シーズンでは和田選手が.322で首位打者となっていますが、その2005年以降パリーグでは.340を越える首位打者が2名しか居ません。首位打者の打率が一段下がったように見えます。

 とはいえ、2015年には柳田選手が.363という久々の高打率(2000年のイチロー選手の.387以来の高打率)で首位打者となっていますから、打率が下降傾向と、一概には言えないのかもしれません。

 パリーグにおいては、2005年シーズンから好投手が増えた、あるいは「より高度な投球術」が広まった、といったことが理由としては考えられますが・・・。

③ 左打者と首位打者の関係

 2011年以降、セリーグでは2名の左打者が首位打者となっていますが、パリーグでは6名が首位打者となっていて、パリーグにおいては圧倒的に「左打者の首位打者確立が高い」のです。

 パリーグにおいては、2001年から2017年で見ても、右打者の首位打者は3名しか居ません。(2005年の和田選手、2008年のリック選手、2011年の内川選手)

 左打者の方が右打者より1塁ベースに近いので、ヒットを打つという面では有利と言われますが、そうするとセリーグにおいて「右」の首位打者が多いのは何故か?ということになってしまいます。

 この両リーグの傾向の違いは、どんな要因から生まれているのでしょうか。
 パリーグの方が、絶対数として左打者が多いといった理由は考えられますが・・・。

 今回は、2017年のリーディングヒッターから始まって、21世紀に入ってのNPB両リーグの首位打者の傾向についての「何故?・何故?」という記事になってしまいました。

 原因・要因探しは、今後のテーマにしたいと思います。
 10月5日、2017年のクライマックスシリーズCSを控えた時期に、広島カープの石井琢朗打撃コーチ(47歳)と河田雄祐外野守備走塁コーチ(49歳)が、今季限りで退団すると報じられました。

 お2人とも、東京に家族を残しての「単身赴任」をしていて、家族との時間を大切にしたいとの意向から、球団に辞任を申し入れ了承されたとのことです。

 2016年・17年シーズンを連覇し、黄金時代を迎えた感のある広島カープにとっては、衝撃的な発表でしょう。
 セントラルリーグを席巻する広島野球の強さの源泉である、「打撃」と「機動力」を創出し支えてきた2人のコーチが、同時にチームを去るのですから。

 野球というスポーツにおける、監督・コーチの役割の大きさは、高校野球のかつての名門校が、監督が代わったとたんに「甲子園大会で名前を聞くことさえ殆ど無くなる」という事実、池田高校・箕島高校・沖縄水産高校・取手二高校等々の例を見るまでも無く、周知のことです。

 石井コーチと河田コーチが、若き最強軍団を創り上げる過程において残してきた功績は、とても大きなものでしょう。

 2018年シーズン以降、広島カープがこの「大穴」をどのようにして埋めていくのかに注目したいと思います。

 それにしても、CSを控えたこの時期に発表されたことに、何か意味があるのかと訝ってしまいます。この発表でチームに動揺が走らなければよいのだが、と心配してしまうのです。
 シーズンが終わってからの発表でも良かったのではないかと。(余計な心配かもしれず、恐縮です)

 一方で、2人のコーチへの「はなむけ」としてチームが団結し、短期決戦では力が出ると判断しているのでしょうか。

 また、この2人のコーチの実力は既に証明されていますから、「在京」球団による争奪戦が始まるのかもしれませんし、その争奪戦に向けての、この時期の発表であったのかもしれないとも感じてしまうのです。
 2017年の日本シリーズは、福岡ソフトバンク・ホークスが4勝2敗で横浜DeNAベイスターズを下して、「日本一」に輝きました。

 ペナントレースをパリーグ史上最速で制し、クライマックスシリーズも危なげ無く突破して、日本シリーズでもしっかりと栄冠を手にしたホークスが、打力・投手力・守備力のいずれの分野でも、日本プロ野球最高レベルにあることを明示したシリーズでした。

 そうした中で、私にとって最も印象的だったのは、ホークスの「守備力」でした。
 ベイスターズとの間で最も大きな差が有ったのも、「守備力」であったと思います。
 
 日本シリーズの6試合の中で、ホークスの素晴らしい守備が随所に観られました。

① ショートの今宮健太選手

 遊撃手としての今宮選手のプレーは、まさにプロフェッショナルという感じがします。

 ポジショニング、打球への反応、キャッチング、スローイングと、全てが素晴らしい。
 難しいプレーを、いとも簡単に熟しているように見えるところが、超一流プレーヤーの証でしょう。

 この選手を、2010年のドラフト1位で獲得しているホークススカウト陣、育て上げた関係者各位の力量も、見事なものだと感じます。

 まだ26歳の今宮選手ですから、しばらくの間は、NPBを代表する遊撃手としての活躍が観られることでしょう。

② キャッチャーの甲斐拓也選手

 今シリーズで、ホークスはベイスターズの盗塁をいくつ刺したのでしょう。
 ベイスターズが攻勢に出ようとする大事なところで、それもクロスプレーでは無く、「完全なアウト」を連発した印象です。

 2塁盗塁を許せば、相手チームの得点チャンスが増加するのは当然のことですから、「チャンスの芽」を摘みつづけたのが、ホークスの内野陣だったのです。

 盗塁を阻止するには、投手の協力が不可欠なことは言うまでも無いことですが、何より大事なことが「捕手の肩の強さと送球のコントロール、そしてスローイングの俊敏性」であることも明白です。
 
 育成出身で25歳の甲斐選手は、これからがNPBにおける力の見せ所となります。
 我が国を代表する捕手に成長していただきたいと思います。

③ セカンドの川島慶三選手とサードの松田宣浩選手

 もともと守備には定評の有るベテランプレーヤー達ですが、今シリーズでも実力を如何なく発揮していました。

 「何事も無かったかのように」難しい打球を処理する様子には、惚れ惚れさせられました。

 ホークスの屋台骨を支える「34歳コンビ」は、まだまだ元気なのです。

 もちろん外野陣、右翼手の江川智晃選手、左翼手の中村晃選手の素晴らしい守備、強肩も見事でした。

 一塁手の内川選手とセンターの柳田選手の守備もとても上手なのですけれども、この2プレーヤーは、やはり「打撃」に注目すべきなのでしょう。

 ソフトバンク・ホークスの守備は、基本に忠実であると共に、とても力強くメリハリがあると感じます。パワフルで生き生きとしているのです。

 他のチームが「ホークス王朝」に迫るためには、まずは「守備力」の差を縮めて行く必要があるのでしょう。
 2017年の日本シリーズ第6戦は、1点を争う好ゲームとなりましたが、延長11回の末、ソフトバンクホークスがサヨナラ勝ち、2年振り8度目の日本一に輝きました。

[10月28日・第1戦・ヤフオクドーム]
ソフトバンク10-1DeNA

[10月29日・第2戦・ヤフオクドーム]
ソフトバンク4-3DeNA

[10月31日・第3戦・横浜スタジアム]
ソフトバンク3-2DeNA

[11月1日・第4戦・横浜スタジアム]
DeNA6-0ソフトバンク

[11月2日・第5戦・横浜スタジアム]
DeNA5-4ソフトバンク

[11月4日・第6戦・ヤフオクドーム]
ソフトバンク4-3DeNA(延長11回)

 今シリーズは、ソフトバンクホークスの圧勝で幕を開けました。
 5回裏、2番今宮選手の四球から始まった攻撃は、一巡して今宮選手のセンターバックスクリーン直撃の3ベースヒットで7点目を挙げるというビッグイニングとなったのです。

 この10-1の大勝が、シリーズの流れを決めました。
 もともと交流戦でも、常にパリーグが優位にあり、「野球の実力」としてパリーグがセリーグより上ではないか、という見方が有る中で、いきなりの圧勝でしたから、多くの野球ファンが「やっぱり」と心の中で思ったのではないでしょうか。

 第2戦、第3戦は接戦となり、DeNAベイスターズにも十二分に勝機が有ったのですけれども、「ここぞ」という場面でホークスの「上手さ」が際立ち、一気に3連勝としたのです。

 この時にも、第1戦の圧勝から来る「パリーグは強い」という呪文のような空気がシリーズを支配していたように感じます。
 各種の報道においても「ホークスの野球の方が明らかに上」といった論調が目立ちました。

 このまま4連勝でシリーズが終わることが、当然の様な雰囲気だったと感じます。

 しかし、ホークスとベイスターズの差が「ほんの少し」だったことは、第2戦・3戦の試合内容を観れば明らかなことだったのでしょう。

 第4戦でベイスターズの濱口投手が快投を魅せました。
 気迫溢れる投球でホークス打戦を完全に抑え込んだのです。
 ノーヒッターが有るのではないかと感じさせるピッチングでした。

 この快投がシリーズの流れを大きくベイスターズに引き戻したことは、間違いないところでしょう。

 第5戦では、今シリーズ初の逆転勝ちでベイスターズが2勝目を挙げました。

 そして第6戦も7回までベイスターズが試合を支配しました。
 しかし、やや追い込まれたホークスが8回・9回と意地を見せ、延長の末押し切ったのです。
 9回に内川選手の同点ホームランが飛び出したところで、このゲーム、そしてこのシリーズは決したと感じます。
 今シリーズを通して好調を維持した内川選手の見事な一発でした。

 第4戦でシリーズの流れを大きく引き戻したとはいえ、結局今シリーズは初戦の結果が大きく物を言ったと思います。

 DeNAベイスターズは、セリーグのクライマックスシリーズCSから「下剋上」と呼ばれる戦いを続けて来ました。
 そして、日本シリーズでもソフトバンクホークスを「あと一歩」というところまで追い込んだのです。

 もちろん、打撃面・投手力・守備面と両チームを比較すれば、ホークスが少し上回っていることは、誰の眼にも明らかなのでしょうけれども、ベイスターズにはそれを補う「不屈の闘志」がありました。
 横浜スタジアムはもちろんとして、ヤフオクドームでも観られた、「ベイスターズファンの心底からの力強い応援」「ベイスターズの勝利を信じて疑うことの無い必死の応援」も見事でした。
 当然ながら、ベイスターズにも優勝のチャンスは十分に有ったのです。

 日本シリーズ2017の戦い振りを観れば、ベイスターズはセリーグの代表チームとして存分の働きを魅せてくれたと感じます。
 セリーグのCSの結果も、決してフロックでは無いことを明示してくれたのでしょう。

 一方、ソフトバンクホークスは、その実力が日本一であることをしっかりと示しました。

 大戦力を保持しながらも、個々のプレーにおける細かな部分での基本に忠実な丁寧なプレーが、まさに「日本一」だったのです。

 プロ野球において当分の間は、「ホークス王朝に他のチームが挑戦する構図」が続くことを感じさせる、2017年の日本シリーズでした。
 SANSPO.COMの10月13日の「乾坤一筆」(芳賀宏氏のコラム)の記事「球界はファン守る対策を・・・広島戦チケットが金券ショップで10倍超の高値に」を興味深く読ませていただきました。

 記事によれば、9月14日のDeNA戦のチケット(SS指定席)が5万円、9月17日のヤクルト戦内野砂かぶり席が8万円で、金券ショップで販売されていたのだそうです。
 両方とも定価の10倍以上の金額とのこと。
 ペナントレースの優勝が決まる前後の試合であったこともあるのでしょうが、凄いプレミアムが付いていたのです。

 もともと、広島カープ戦のチケットの入手が困難なことは、何度も報じられています。
 それが優勝間近ともなれば、購入希望が殺到するのも無理もない感じがします。

 モノの価格は「需要と供給」で決まりますから、需要の高まりに応じて価格が上昇するのは、資本主義経済の下では自然な形でしょうが、それにしても10倍以上ともなると「高過ぎる」ということになり、一般のファンが購入し難い水準になってしまうとの見方もあるのでしょう。
 確かに、大きな負担です。

 これが「ダフ屋行為」ともなれば違法ということになるのでしょうが、一般の金券ショップで販売されているとなれば、問題の無い行為となりそうです。(厳密な法律的な評価は分かりませんが)
 現在人気絶頂の大相撲のチケット(特に10日目以降分)も、相当の高値が付いていることが想像できます。

 思い起こせば、今から20数年前の冬、出張でニューヨークに行った際に、滞在期間が週末にかかりましたので、ホテルのコンシェルジュに「NFLのニューヨーク・ジェッツとニューヨーク・ジャイアンツ」のチケットが取れないか問い合わせました。
 しばらくして、部屋に電話が有り話を聞くと、1枚1000ドルだというのです。当時の為替レートは正確には覚えていませんが、1枚15万円位の感じでした。

 滅多に遭遇できない「ニューヨーク対決」のゲームでしたから、相当高価でも観ようと思っていましたが、さすがに15万円では手が出ませんでした。
 アメリカにおける人気スポーツのチケットを発売日に窓口から購入せずに、ゲームの直前に入手しようとすると、とても高額になることを、実感させてくれた事象でした。
 現在なら、もっと高額であろうと思います。

 こうした「高騰」への対策としては「チケット転売不可」にする方法がありますが、これは「諸事情により会場・スタジアムに行くことが出来なくなった方のチケットが無駄になる」リスク、主催者側から見れば「空席が目立つ」リスクがありますので、簡単には導入できないやり方でしょう。
 「空席が目立つ」様子は、どうしても観戦したい人達から見れば「何故?」ということにもなりそうです。

 また、発売と同時に売り切れてしまうような状況下で、「何が何でも観たい」というニーズのある方には、金券ショップの存在が必要だという意見もありそうです。

 加えて、転売不可チケットを購入する側も「本人確認」「本人であることの証明」が必要となり、場合によっては住所等の個人情報を開示しなくてはならなくなるかもしれません。
 スポーツ観戦の為に、個人情報を開示するということには、抵抗のある人も居るでしょう。

 古くて新しい問題である「人気チケット高騰問題」は、解決が難しい問題でもあるのでしょう。
[9月18日・甲子園球場]
広島カープ3-2阪神タイガース

 広島カープが敵地での接戦を制して、2年連続8度目のペナントレース制覇を果たしました。
 2年連続の優勝は37年ぶりです。

 タイガースの聖地・甲子園球場が、真っ二つに割れました。
 レフトスタンドから3塁側が赤く染まったのです。
 ライトスタンドから1塁側の黄色と好対照。まさに「大一番」という雰囲気が漂いました。

 試合は両チームの投手陣の頑張りで、1点を争う接戦となりました。
 広島カープが手堅い試合運びで2点をリードしましたが、阪神タイガースが7回裏に追い付き2-2となりました。

 8回表、広島は得点機でバティスタ選手を迎えます。
 そしてバティスタ選手がタイムリーヒットを打ったのです。
 9回裏を中﨑投手が締めて、ゲームセットを迎えました。

① 「気迫」

 広島カープの「勝利への執念」が、今季の優勝の最大の原動力であったと感じます。
 もちろん、どの球団もペナントレース制覇に向けて強い意欲を持って臨んでいるのでしょうが、その意欲がプレーに最も反映されていたのが、広島カープだったと感じるのです。

 このゲームの野村投手のスクイズなどは、その典型でしょう。
 2度目の同ケースにおいて、今度は3塁ランナーが走ったのです。
 セーフティスクイズでは無く、「本物のスクイズ」(変な言い方で恐縮です)でしたから、サインを出したベンチも、バントをプレーした野村投手も「緊張の一瞬」であったことと思います。
 その緊張を「気迫」で押し切ったのです。
 
② 素晴らしいファン

 もともと熱狂的と言われる広島カープのファンですが、この数年のファンは、それ以前とは一味違う感じがします。
 カープ女子と称される女性ファンの存在もありますけれども、どちらかというと「若い世代のファン」が多いのではないでしょうか。そして、その「若い世代のファン」が、心底からカープの勝利を願い、応援を続けます。

 どこに行っても、球場を埋め尽くすカープファンは、今後のNPBを牽引する存在なのかもしれません。

③ 「王朝」へのスタート

 広島カープの主力選手には、とても若いプレーヤーが多いのです。
 23歳の4番・鈴木誠也選手が代表格でしょうか。

 この若いチームが、セ・リーグ連覇を成し遂げたのです。
 個々のプレーヤーには、伸びしろの大きい選手が多いとも感じられますから、カープの戦力は今後も向上して行きそうです。

 「未完成」の状態で連覇を果たしたのですから、今後のシーズンにおいても強さを発揮して行くであろうことが予想されます。
 
 ひょっとすると、セ・リーグにおける5連覇、6連覇の可能性も十分にあると思います。
 セ・リーグにおける「カープ王朝」の始まりは、2016年シーズンだったのかもしれないのです。
[9月16日・メットライフドーム]
ソフトバンク・ホークス7-3西武ライオンズ

 この試合に勝利したソフトバンクが、130試合終了時点の成績を89勝41敗として、2017年パシフィックリーグのペナントレース優勝を決めました。

 9月16日の優勝決定は、2015年の自身による9月17日の記録を上回る、パ・リーグ史上最速でした。
 負け試合数41を大きく上回る貯金48、勝率.685という圧倒的な強さでの優勝でした。

 このところのソフトハンクホークスは、投打共に他を圧する戦力を保持していますが、一方で2016年シーズンは、日本ハムファイターズの「ミラクル」な戦い振りの前に、ペナントレース、CSシリーズ共に敗れていましたから、「常勝軍団」としても、今シーズンの優勝の味は格別であったことでしょう。
 工藤監督の「男泣き」が報じられました。

 投打共にリーグNO.1のチームですが、この圧倒的な優勝のベースとなったのは、やはり安定した投手力でしょう。

 東浜投手、千賀投手、バンデンハーク投手といった先発投手陣も素晴らしいのですが、リリーフ陣が秀逸です。

① 先制した試合 71勝8敗
② 6回終了時点でリードした試合 74勝1敗

 特に②は見事としか言いようが無く、この基準における、このレベルの勝率と言うのは、NPB史上最高なのではないでしょうか。
 野球というスポーツにおける「先制点の重要性」を改めて感じると共に、現代野球におけるリリーフ陣の大切さが、とても良く分かる事実です。

 ソフトバンク・ホークスの優勝は20度目となりました。
 これは、読売ジャイアンツの45度、西武ライオンズの21度に次ぐ記録です。

 ジャイアンツとライオンズは、日本プロ野球史上に輝く「黄金時代」を創りました。

 現在のホークスは、既に球史に残る「黄金時代」に在るのかもしれません。
 
[9月7日・メットライフ球場]
西武ライオンズ3-0ロッテマリーンズ

 西武の先発・菊池雄星投手が、9イニングを、121球、被安打4、奪三振10で投げ切り、完封勝利を収めました。

 菊池投手はこれで今季14勝6敗となり、パシフィックリーグのハーラーダービートップに並びました。
 2017年シーズンの菊池投手は、防御率を始めとする各部門でリーグトップの成績を上げています。現時点では、日本プロ野球を代表する左先発投手と言って良いでしょう。

 2009年のドラフト1位で入団し、2011年6月に1軍デビューを果たしてから6年目を迎えて、「大器がついに本格化」したという印象です。
 少し時間がかかりましたが、26歳になって大成したのです。
 
 2017年シーズンの菊池投手の成績を見ると、沢山の部門でリーグトップです。

① 防御率 2.17 1位
② 勝利数 14 1位タイ
③ 奪三振数 190 1位
④ 投球イニング 165と2/3 1位
⑤ 先発登板数 23 1位タイ
⑥ 完投数 6 1位タイ
⑦ 完封数 4 1位
⑧ 被打率 .184 1位

 これだけ多くの部門でトップに立っているのですから、パリーグNO.1投手であることは、間違いありません。
 特に④投球イニングと⑤先発登板数は素晴らしい。先発投手として、チームに貢献していることを如実に示しています。

 今シーズンは「二段モーション問題」でも話題となりましたが、フォームを変更しても何の問題も無いことは、この完投シャットアウト勝利で証明して魅せたのです。

 身長184cm、体重100kgという堂々たる体躯から、最速158kmのストレートと140km前後のスライダーの球種で相手打者を翻弄します。
 左投手の158kmというのは凄い威力です。MLBに置き換えても、現時点では屈指の能力なのではないでしょうか。

 花巻東高校時代、甲子園大会での活躍で全国に知られるようになった菊池投手が、26歳となった2017年に、NPBを、日本野球を代表するピッチャーになりました。
 同じ花巻東高校出身の大谷翔平投手の「兄貴分」として、今後の活躍がとても楽しみです。
 
 プロ野球の2017年ペナントレースも終盤を迎えました。

 8月31日を終えた時点で、各チームが112試合から122試合を消化していますから、残りは概ね20~30試合となります。

 セントラルリーグは、広島カープが阪神タイガースに5.5ゲーム差をつけてトップをキープ。今季早い時点で首位に立ち、2位との差の上下はあっても、安定した戦いを続けているという印象です。

 2016年シーズンと比べると、やや投手力の安定感には欠けますが、打線の力はスバ抜けているので、大きな連敗が有りません。

 パシフィックルームは、ソフトバンクホークスが西武ライオンズに10.0ゲーム差を付けて、こちらはゆうゆうと走っている印象です。
 今季は当初、楽天が走りましたが、ソフトバンクが徐々に地力を発揮し始め、首位争いから首位に立って以降は、その差を広げ続けています。圧倒的な戦力が物を言っているのです。

 セ・リーグでは、2番手の阪神タイガースの健闘が目立ちます。
 決して十分な戦力とは言えない状況下、66勝51敗で勝率.564、貯金が15というのは立派な成績でしょう。
 個々の試合で「勝ちに行って強い」のです。

 3番手のDeNAベイスターズは、7月から8月にかけて勝ち星を重ねましたが、8月下旬になって、やや息切れの感があります。
 必死の戦いを続ける読売ジャイアンツの追い上げを受けていますから、セ・リーグは3位・4位争い=クライマックスシリーズへの出場権をかけた争いが、最終盤まで続きそうです。

 読売は、大黒柱の菅野投手を始めとして、マシソン投手、田口投手と相応の先発投手陣が揃っているのですが、何しろ打てない。この得点力不足は、早期に改善することは難しいでしょうから、苦しい戦いが続くことになりそうです。

 パ・リーグは、3番手の楽天ゴールデンイーグルスと4番手のオリックス・バッファローズの間に、13.0ゲームという大差がついていますので、この順位を動かすのは至難の技でしょう。
 むしろ2位西武と3位楽天の2位争いに、注目が集まっています。
 この2チームにとっては、順位も大事ですが、クライマックスシリーズに向けて、チームの調子をいかに整えていくかがポイントとなるのでしょう。
 チームコンディションを相当高いレベルに引き上げておかないと、ソフトバンクを相手にしてのクライマックスシリーズで、「あっと言わせる」のは難しいところです。

 さて、今シーズンも交流戦の成績がペナントレースに反映されることとなりそうです。

 交流戦2017の優勝チームはソフトバンク、2位は広島で、共に12勝6敗でした。
 3位は西武で10勝7敗1引分、4位の阪神は10勝8敗でした。

 わずか18試合しか行われない交流戦でしたが、各チームの地力が明確に結果に反映されているのでしょう。

 140試合以上を戦うペナントレースの結果が18試合で概ね掴めてしまうというのも、少し寂しい感じがします。
 Full-Countが、まだ面白い記事を配信しています。
 7月25日の「めっきり減った投手の本塁打・・・・」という題の記事です。

 2017年7月24日時点で、日本プロ野球に所属する全現役投手において、本塁打を打ったことが有るのは僅かに13名、2017年シーズンでは外国出身投手の3名しか本塁打を打っていないというのです。

 確かに、21世紀に入ってからは、投手の本塁打は減っているという印象はありました。

 もちろん、パリーグはDH制ですから投手の打撃機会が減っていることもあるのでしょうが、交流戦が開始されましたので、以前よりは打席に立つ機会が増えているということもできるのでしょう。

 こうした現象の底流には、分業の確立というか、「投手は投げるのが仕事」という意識が、各プレーヤーの中で徹底されてきているというところがあるのでしょう。
 これは「考え方」というか、「心持ち」の問題の様な気がします。

 あの二刀流の大谷翔平選手にしても、投手の時にはホームランは殆ど打っていないのではないかと思います。(DH制の影響が大きいことは言うまでもありませんが)

 思い起こせば、20世紀には「良く打つ大投手」が居ました。
 これは、二刀流では無く、「打撃の上手い投手」です。

 直ぐに思い浮かぶのは、金田正一投手と堀内恒夫投手でしょう。

 金田投手は日本プロ野球NPB唯一の通算400勝投手であり、堀内恒夫投手は通算203勝、読売ジャイアンツ全盛時のエースでもあります。
 どちらもNPBの歴史に燦然と輝く大投手です。

 金田投手は、投手のNPB史上最多本塁打を誇ります。36本です。
 金田投手は、この36本以外に代打で2本塁打を放っていますから、通算38本塁打ということになります。(そもそも、投手が時々「代打」で起用されること自体が、金田投手の打撃の良さを如実に示しています。ちなみに、金田投手は8度敬遠されているそうです)

 「NPB史上最年少本塁打記録は?」という問いの回答は、「1950年、金田投手の17歳と2ヵ月」です。
 信じられないような話です。そもそも、17歳と2ヵ月でプロ野球の試合に出場すること自体が、現在では(20世紀でもなかなか)有り得ないことなのかもしれません。
 この最年少本塁打記録は、今後も長く残るものでしょう。

 堀内投手の打撃も凄いのです。
 通算21本塁打ですが、印象的な試合が思い出されます。
 有名なのは、1967年10月10日の広島東洋カープとの試合。この試合に先発した堀内投手は、
① ノーヒットノーラン
② 3打席連続本塁打
 の2つの大記録を達成しています。
 投手としてノーヒットノーラン、打者として3打席連続ホームランというのですから、何だか「野球漫画のような話」というご指摘もありそうです。

 この試合の堀内投手の4打席目は、センター前ヒットでした。「4打席連続ホームランを狙っていた堀内投手は、とても悔しがった」と報じられていました。

 「投手による3打席連続本塁打」は、NPB史上唯一の記録です。
 当然ながら、野手であっても、そう多くのプレーヤーが実現しては居ない、とても高度な記録です。

 また、堀内投手は、1973年の日本シリーズ第3戦(10月30日、対南海ホークス)で2本塁打を放ち、勝ち投手になっています。
 日本シリーズにおける、「投手による1試合2本塁打」も、NPB史上唯一の記録です。

 金田投手もそうでしたが、堀内投手はより明確に「投球の調子が良い時には、打撃も好調」であったと記憶しています。
 「アスリートとして何でもできる」といった雰囲気でした。

 21世紀になってから、こうした「投げて打つスーパーマンのような投手」は随分少なくなりました。

 先発→中継ぎ→セットアップ→抑え、といった形で、投球自体が分業化されていく過程で、「投手がホームランを打つこと」も減っていったのでしょうか。

 20世紀において、「空き地での野球」が盛んだったころ、長じてプロ野球選手になるような子供(「野球小僧」とか呼ばれました)は、皆、まずは投手だったと思います。一番運動神経の良い子がピッチャー(打線では、大半が4番)だったのです。

 そして、中学校に進み、年齢が上がるにつれて、そのまま投手を続けるプレーヤー、野手に転ずるプレーヤーに分かれていったと思います。

 その頃には、「打撃の上手い投手」は珍しい存在では無かったのでしょう。

 21世紀の野球においては、リトルリーグのチームにおいて、幼いころからポジションが決められて、専門性の高い指導が行われているのでしょう。投手は投手として育成され、打撃練習を多く行うことは難しい場合もありそうです。

 時代の変化に沿って、野球も変わってきたということでしょうか。
[7月19日・横浜スタジアム]
DeNAベイスターズ5-3ヤクルト・スワローズ

 横浜DeNAベイスターズが3-3の同点から8回裏に2点を追加して、東京ヤクルト・スワローズを振り切った試合でした。
 スワローズは、バレンティン選手や山田哲人選手のホームランなどで接戦に持ち込みましたが、惜しくも敗れました。

 スワローズは、これで13連敗となりました。1970年シーズン以来47年ぶりの長い連敗であり、今季ペナントレースにおいて2度目の大きな連敗(10連敗以上)となりました。

 今回の連敗は7月1日から始まりました。

 7月6日までの5連敗と、7月8日から19日までの7連敗の要因は、得点力不足に尽きる感じです。ほとんどの試合で3点以下しか取れていません。
 
 惜しまれるのは7月7日の試合でした。

 神宮スタジアムの広島戦、8回を終わって8-3とリードしていましたが、9回表によもやの6失点で8-9と大逆転負けを喫したのです。

 「連敗からの脱出には大量点」というのは、昔からよく言われることで、7月7日の試合はそうした形となりました。
 山田選手の2ランホームランを含む4打点の活躍を始めとしての8得点は、スワローズの連敗脱出の形だったのでしょう。
 しかし、それでも勝てなかったために、深みに嵌ったのかもしれません。

 とはいえ、頭書のゲームも接戦でした。互角の展開と、各イニングの緊張感は、まさに「接戦」そのものの好ゲームだったのです。
 成績が上がってきたチームと、大連敗中のチームという、「勢いの差」は余り感じられませんでした。

 ヤクルト・スワローズは決して沈み切ってはおらず、戦力も少しずつですが整ってきているように観えます。

 反攻に転ずる可能性は十分に有ると思います。
[7月15日・オールスター2017・第2戦]
全パ3-1全セ

 ZOZOマリンスタジアムで開催された、2017年のプロ野球オールスターゲーム第2戦は、両チームの投手陣が好投を魅せて、1点を争う接戦となりましたが、オールパシフィックがソロホームランで着実に加点して、オールセントラルを振り切りました。

 さすがに両リーグを代表すると投手達の投げ合いは、見所満載でした。

 中でも眼に付いたのは、全パの4番手で登場した二木康太(ふたき こうた)投手と5番手で登板した黒木優太投手でした。
 共に初出場でしたが、その持ち味を十分に発揮して、全セに得点を許しませんでした。

 21歳の二木投手は、2013年のドラフト6位で千葉ロッテに入団し、2015年シーズンに1軍デビューし2016年には22試合に登板していますが、本格化したのは今シーズンでしょう。
 
 身長187cm・体重85㎏と報じられていますが、そのピッチングを観ると、もっと身長が高いように感じられます。上から投げ下ろす本格派なのです。角度があり、150km台の威力十分なストレートを中心とした投球は、容易には打ち込めない感じがします。
 スライダーやカーブといった変化球も多彩ですが、何よりコントロールが良いのです。
 隙の無い好投手でしょう。

 22歳の黒木投手は、2016年ドラフト2位でオリックスに入団したルーキーです。
 150km台中盤のストレートの威力が凄い。加えてスライダーやチェンジアップも投げ分けるのですから、ルーキーイヤーからオリックス投手陣の一角を占め、月間4勝を挙げて、オールスターメンバーに選出されるのも、頷けます。

 身長179cmと決して大きくは無いのですが、しっかりとして柔軟性が有りそうな下半身が印象的です。

 則本投手(楽天)と菅野投手(巨人)という、NPBを代表する好投手同士の先発で始まり、この2人の好投により「締まったゲーム」となった第2戦でしたが、こうした素晴らしい若手投手の、素晴らしい投球を観ることが出来たことは、本当に良かったと思います。(今頃何を言っているのかとファンからお叱りを受けそうですが・・・)

 初出場のオールスターゲームで、堂々たるピッチングを魅せたのですから、二木投手と黒木投手の精神面の強さ、大舞台への適応力の高さも示してくれたのです。
 NPBを代表する投手への成長が、とても楽しみです。

 それにしても、苗字に「木」が付いて、名前に「太」が付くという点も、二人は似ていると思いませんか。
 お二人を一緒に覚えるのに絶好だと、勝手に考えています。
 横浜DeNAが好調です。6月から7月にかけて5連勝も記録しました。

[6月28日]
DeNA11-8広島

[6月30日]
DeNA3-1巨人

[7月1日]
DeNA6-4巨人

[7月2日]
DeNA9-1巨人

[7月5日]
DeNA4-1阪神

 横浜DeNAベイスターズが好調です。

 7月5日時点で5連勝中ですが、6月24日からの8試合を7勝1敗というのですから、好調も「本物」という感じがします。

 セリーグ順位も3位、2位阪神と1ゲーム差なのです。

 好調なチームの常として、攻撃と守りのバランスが良いことが挙げられますが、現在のDeNAもまさにその形です。

 6月28日の試合は14安打で11得点、7月1日は9安打で6得点、7月2日は19安打で9得点、7月5日は12安打で4得点と、これらは打線の力で試合を支配した形。
 一方で、6月30日は僅か2安打でしたが3点を奪い、投手陣が相手チームを1点に抑えているのです。とても「投打の噛み合わせが良い」ということになります。

 7月5日の打線を観れば、1番の桑原選手が24歳(2012年ドラフト4位)、3番筒香選手が26歳(2010年ドラフト1位)、6番高城選手が24歳(2012年ドラフト2位)、9番倉本選手が26歳(2015年ドラフト3位)と、「生え抜きの野手」が顔を揃えました。

 所謂「強いチームの形」となってきたのです。

 そして、ルーキー・22歳の濱口投手が6と2/3イニングを投げて勝ち投手となっているのですから、チームとしての「勢い」が感じらます。

 2017年のセントラルリーグ・ペナントレースは、早くも、広島カープ独走の様相を呈していますが、ひょっとすると横浜DeNAベイスターズが今後ライバルになるかもしれないと、密かに期待しているのです。
 読売ジャイアンツが連敗を続けていた頃、ジャイアンツを取り巻くテレビ報道も増加しました。

 ある試合で負けた後、東京ドームを後にする、ジャイアンツの選手達が報道されたのです。

 どの選手も「Tシャツ」を着ていました。

 これを見た愚妻が「仕事に行く格好じゃない」と叫びました。
 このラフな服装が気に入らなかったのでしょう。

 「長嶋さんが後楽園球場入りする姿を何度か観たことがあるけれども、いつもブレザーを身に付けていたよ。気合と言うか、試合に臨む気持ちが服装に表れるのよ。監督までTシャツ。こんな格好しているようじゃ、勝てないわ」と続けます。

 連敗が続く中で、選手達に少しでもリラックスしてもらおうと考えて、こうした服装で球場入りしているのかもしれませんし、ひょっとすると球場入りする時はブレザーやスーツ姿で、球場から帰る時にはTシャツ姿なのかもしれません。

 いずれにしても、試合に臨む気合・緊張感を示す、気持ちを高揚させるためには、相応の服装をすることには意味が有ると感じます。

 加えて、子供たちを始めとするファンの「夢・憧れの対象」である選手達は、それなりの服装をする義務が有ることも、当然のことでしょう。だらしない格好では「興醒め」なのです。

 もちろん、頭書のTシャツ姿はだらしないものではありませんでしたが、「戦士」としては相応しいものではないのかもしれません。

 そもそも、仕事である野球において「連敗続きで精神的に疲れてしまい弱音を吐く」というのでは、精神的な弱さが感じられることになるでしょう。

 少なくとも、ファンの前で「弱音を吐く」「弱っている様子を見せる」こと自体が、「夢・憧れの」対象としては残念なことでしょう。「情けない」というファンも居そうです。

 スタープレーヤーには、スタープレーヤーとしての「毅然たる様子」が必須なのです。
 2017年のペナントレースも60試合前後を消化しました。折り返しに近づいている時期です。

 今シーズンは、大きな連敗=10連敗以上、が多いシーズンに見えます。

① 読売ジャイアンツ 13連敗
② 日本ハムファイターズ 10連敗
③ ヤクルトスワローズ 10連敗(6月10日現在)

 シーズン序盤とはいえ、どのチームにとっても痛い連敗であり、結果として「自力優勝」は早々に消滅しています。

 加えて、今シーズンの特徴として挙げられるのは、大きな連敗を喫したチームが必ずしも最下位では無い、ということでしょうか。もっと負けているチームがあるのです。

 パリーグでは、ロッテマリーンズが長く?最下位を占めています。
 4月に10連敗して、6月にも6連敗した日本ハムから4.5ゲーム差での最下位というのですから、千葉ロッテの不振は相当重症です。今季も大きな連敗は無いものの、連敗し1勝しては再び連敗という、残念なパターンを繰り返しているのです。

 セリーグでも、ヤクルトが最下位、ジャイアンツが5位ですけれども、この2チームと4位中日ドラゴンズとの差はさほど大きくはありません。中日も、6月10日時点(以下、同じ)で24勝33敗の借金9という苦しいシーズンを過ごしているのです。

 結果として、ペナントレースは「勝ち組」と「負け組」に分かれる展開となりました。

 セリーグは、首位の広島カープが貯金15、2位の阪神タイガースが貯金11と2チームのみが勝ち越しています。
 まだ6月中旬ですけれども、この2チームの優勝争いでしょうし、シーズン後半の競り合いになれば、若手プレーヤーが多く体力面・持久力面で勝る広島カープの優位は動かないところでしょう。

 パリーグは現在の上位3チーム、楽天ゴールデンイーグルス、ソフトバンクホークス、西武ライオンズの優勝争いに絞られた感が有りますし、戦力面を見れば、楽天とソフトバンクの熾烈な優勝争いが予想されます。こちらは最後まで接戦でしょう。

 6月中旬時点で、これほどペナントレースの構図がはっきりしてしまったシーズンは、珍しいかもしれません。
もちろん、下位のチームの「大反攻」「メイク・ミラクル」を期待していますけれども、客観的に観て戦力不足は深刻だと感じます。

 広島と阪神、楽天とソフトバンク、の4チーム以外のファンにとっては、とても残念な有様でしょうし、ペナントレースの盛り上がり、プロ野球人気の面から観ても、良いこととは言えません。

 「チーム創り」の重要性が、良く分かる2017年シーズンとなったのです。
 
 久しぶりに串揚げ屋さんにやってきました。
 思いもよらぬ食材が揚げられてくるのが、とても楽しみな料理ですし、ビールとの相性も抜群です。

S「読売ジャイアンツが苦戦しているね。連敗記録を更新したようだし、とにかくチーム力が足りない感じがする。」

「いつのまにか、こんなに弱くなっていたんだね」

S「巨人軍の戦力低下は2015年シーズンから顕著になったと思うけれど、それ以前から『世代交代』に失敗していることは明白だったね」

「確かに、他球団に比べて20歳代のレギュラープレーヤーが少ないね。例えば、広島カープなら『たな・きく・まる』や鈴木誠也選手など、主力の大半が20歳代、それも20歳代前半のプレーヤーも多い。いまや4番に定着した感のある鈴木選手は、確か22歳だ。カープは今後10年間、4番打者の心配をしなくても良いんだから、凄いよね」

S「このところ、何故巨人軍がこんなに弱くなったのか、といったニュアンスの記事が多い。そして、『常勝を義務付けられ、他チームに比べて注目度が高いから、若手を使うのも容易では無い』といった意見も目に付く。本当に、そうだろうか」

「他球団に比べて注目度が『飛び抜けて高かった』のは20世紀の話だろう。もう20年以上も前の話。21世紀になってからは、プロ野球全体の人気低下の波の中で、人気分散化が進んできた感じがする」

S「僕もそう思う。先日も東京ドームに行ってきたが、一番上の階のお客さんは招待券を持って入場している人が大半だった。僕も、そのひとりだったんだけれども。新聞販売店からチケットをもらったりしているんだと思う。その試合はもつれて、試合時間が長くなり、一番上の階の観客は午後9時を過ぎたころから帰り始め、9時半過ぎにはガラガラだった。帰りの電車を気にしているんだろうが、やはり『ダダで見に来た試合は最後までは見ない』んだろう。東京ドームの巨人戦がガラガラでは格好がつかないから、無料券をばらまいてお化粧していることになる」

「東京ドームでの試合では、有料入場者数が少なくて売上が上がらないから、地方球場での試合を増やしているという話を聞いたことが有る。地方では、まだお金を払ってジャイアンツ戦を見に来る人が多いのだろう。ホームスタジアムでファンを動員できないチームになっているということになる」

S「そういうお化粧をしなければならないチームは『注目度の高いチーム』ではないし、もちろん『盟主』にはほど遠い。『カープ女子』に代表されるように、広島カープのホームグラウンドがいつもファンで埋め尽くされているのとは好対照に見える」

「だったら『注目度が高いから世代交代が遅れた』というのは、言い訳に過ぎないね」

S「それも、相当苦しい言い訳だろう。要は、チーム像のビジョン創り、スカウトの眼、若手育成チームの活動、試合での若手起用法、等々、全ての分野での力不足、怠慢、失敗が、ここにきて一気に出てきたということだろう」

「それにしても、どんなに下手を打っても、これだけ20歳代前半のレギュラープレーヤーが少ないチームが出来上がってしまうのは、逆に珍しいことの様に感じる。ドラフトやスカウトがどんなに失敗しても、中からひとりやふたりは伸びてきそうなものだろう」

S「そこは、とても不思議なところだ。ペナントレースを見ていると、大袈裟に言えば過去5年間、ジャイアンツには新人が入らなかったかのように見える。どのような採用・育成を行えば、これだけ『若手の芽を摘む』ことが出来るんだろう・・・」

「巨人軍は、これからどうしたらいいんだろうか」

S「奇策は無いんじゃないか。これまでのように、トレードで完成されたプレーヤーを連れてきて一時的な勝ち星を積み上げるやり方では無く、『育成』を成功させて、10年間戦えるチームにしたいところだね。かつてのV9も、そうしたチーム創りの結果だと思うんだが・・・」

「メジャーリーグのヤンキースが良い例だね。一時はスター選手が居なくなって、人気も下がったけれど、若手を鍛えて良いチームに生まれ変わりつつある。何より、プレーに生気というか意外性があって、観ていて楽しいよね」

 バナナの串揚げに続いて、御餅の串揚げが出てきました。

 「マスター、新しい食材が次々に出てくるね。とても美味しいよ」

 「店を始めて40年以上になりますが、『食材』だけ見つけても駄目なんですよ。他の食材との組合せや、揚げ方、ソースや塩との相性を工夫しないと。お客様に出しながら、感想を聞くこともあります。バナナは、この形になるまで2年くらいかかりました」

 S君と私は舌鼓を打ちながら、ビールからハイボールへと移行していました。
 巨人軍が苦しんでいます。

 6月2日のオリックス戦も、延長12回まで縺れ込みましたが、5-6で敗れました。
 これで8連敗(11年振り)、交流戦は0勝4敗で最下位です。
 「悲惨」な状態です。

① 打てない。

 5月31日時点の打撃成績を見ると、チーム打率は.238でリーグ最下位。トップの広島が.276ですから、大きく差を付けられています。
 安打数は385本でリーグ最下位。トップの広島の484本に比して、100本近く少ないのです。
 塁打数548もリーグ最下位ですから、長打も少ないのです。

 一方で、三振数379はリーグ2位、打点151と犠打数33はリーグ5位となっています。

 チームワースト記録となる「13試合連続本塁打0」を見ても分かるように、現在の苦境の最大の原因は「打てないこと」なのでしょう。

② 頼みの投手陣は・・・。

 チーム防御率3.45はリーグ4位、トップの阪神は2.87です。
 被本塁打39はリーグ最多ですから、痛いところでホームランを浴びていることも多いのです。

 完投勝ち4はリーグトップですが、これは菅野投手の存在です。

 頼みの投手陣も、リーグ下位の成績なのです。

③ 守備

 チームの守備率.988はリーグ2位ですから、前述のような打撃成績でも、セリーグの4位に居ることが出来るのは、守備力のお蔭かも知れません。

 投手力と守備力がまずまずの成績であることを勘案すれば、やはり打撃陣の大不振が「巨人軍の深い谷」の原因と言うことになります。

 ジャイアンツのラインアップを見れば、ベテラン選手がズラリと並んでいることが分かります。若手が居ても、安定した活躍は出来ていません。
 「世代交代が進んでいない」ことは明らかでしょう。
 何時まで経っても、阿部選手・坂本選手頼みの打線では限界があるのです。

 ドラフト制度という「機会均等・平等」な制度が存在し、自由なスカウト活動が許されている野球界において、読売ジャイアンツが「世代交代」に大失敗しているように見えるのは、とても不思議なことでしょう。

 現在首位を走り、元気一杯のプレーと圧倒的な安定感を誇る広島カープは、若手の成長が著しく、その若手がそれぞれの分野でリーグ屈指のプレーヤーに成長しているのとは、対照的です。

 阪神タイガースや広島カープに比べて、熱狂的なファンが少ないと言われる読売ジャイアンツですが、20世紀には「球界の盟主」と呼ばれたチームですから、全国に多くのファンが居ることは間違いありません。

 そして、やはり熱狂的なファンも多いのです。

 私の知り合いは、「今日の試合の様子はどう・・・」と聞いて、「○対○で巨人が勝っている」「同点」という返事を聞くことは出来ても、それ以外の返事はありません。
 巨人が負けている時は「答えない」か「テレビを観ていない・消してしまっている」のです。
 この人は、数十年来の熱狂的な巨人ファンです。

 チームの現状からは、2017年シーズンでジャイアンツが「反攻」に出る可能性は、残念ながらとても低いように観えます。チーム力がとても不足しているのです。そして、チーム力は一朝一夕には向上しません。少なくとも、相応の世代交代を実現するためには、どんなに急いで、的確な施策を全方面で展開したとしても、3~4年は必要でしょう。

 前述の熱狂的なファンが言っています。
 「5年間は我慢するから、ちゃんとしたチームを造って欲しい。生え抜きの選手をリーグ屈指のプレーヤーに育てて、ラインアップを組んでほしい。溌剌と戦う巨人軍が観たい」と。

 全国に存在するであろう「こうした声」に、読売ジャイアンツは応えなくてはなりません。
[5月23日・甲子園球場]
巨人1-0阪神

 巨人・菅野、阪神・秋山、両先発投手の投げ合いとなった試合は、巨人が7回に挙げた1点を、菅野→マシソン→カミネロの投手リレーで守り切りました。

 菅野投手は7イニングを無失点、秋山投手は同じく7イニングを1失点で投げ切ったのですから、共に好投です。
 いつも書くことですが「0-1の敗戦に、投手の責任は有りません」ので、阪神にとって惜しまれるのは打線が抑え込まれてしまったことでしょう。

 菅野投手は、7イニングを115球、被安打6、奪三振6、与四死球2という内容でした。
 プロ野球において先発投手に求められるピッチングとして、十分なものですが、常に「完投」を意識している菅野投手にとっては不満の残るものだったかもしれません。

 この勝利で、菅野投手はプロ通算50勝となりました。109試合目の登板での区切りの記録です。

 こうした高い水準の記録が達成されると、過去の投手の話題が出てくるのは、どのスポーツでも同じですが、今回も懐かしい名前が並びました。

 109試合目で50勝というのは、巨人軍の歴史上4番目の早さとのこと。
 第1位は上原浩二投手で85試合目(プロ野球史上1位でもあります)、第2位が江川卓投手の98試合目、第3位が堀内恒夫投手の108試合目であり、菅野投手の109試合目はこれらに続くものです。

 巨人軍以外の投手では、松坂大輔投手が91試合目、ダルビッシュ有投手が93試合目、田中将大投手が106試合目に50勝に到達しているそうです。

 いずれも、球史に残る大投手ばかり。やはり、「勝率の高さ」と「勝ち負けに関係する率の高さ」は、大投手の条件ということなのでしょう。

 それにしても、上原投手の85試合目というのは早い、圧倒的に早いと感じます。
 MLBでも大活躍を続けている上原投手は、やはり「日本プロ野球史上屈指の好投手」なのです。
 千葉ロッテが苦しんでいます。
 「どん底」という印象です。

 5月18日終了時点で、39試合を終えて9勝29敗1引分、借金20、勝率は.237という「惨状」なのです。

 何よりも、この勝率は「プロ野球の同じリーグで戦っていく資格」の問題になりかねない水準です。

 最近、2010年以降のパシフィックリーグ・ペナントレースを見てみましょう。
 最も勝率が低かったのは2011年シーズン最下位・千葉ロッテの.406、次に低かったのは2016年最下位・オリックスと2015年最下位・東北楽天の.407、4番目に低かったのは2012年最下位・オリックスの.425となっています。

 各チームがしっかりとした強化体制を敷き、ドラフトで獲得したプレーヤーを大切に育てて、勝つためのチーム作りに注力し、それが成果となって表れてきている近年においては、各チームの力量差が小さくなり、接戦のペナントレースが続くようになってきたのです。

 結果として、2010年以降のパリーグでは「最下位でも勝率4割は超える」シーズンが続いています。
 同期間のセリーグを見ると、2010年最下位の横浜が.336、2011年最下位の横浜が.353、2012年最下位の横浜DeNAが.351と3度3割台の勝率が見られますが、これは当時の横浜ベイスターズ、横浜DeNAの力量が、他の5チームより明らかに劣ったことの表れでしょう。

 そして、現在の千葉ロッテの勝率は、2010年横浜の.336より1割近く低い.237なのです。

 大袈裟に言えば「異常な数値」でしょう。

 ちなみに、1981年まで遡っても、最も低い勝率は1990年最下位・福岡ダイエーの.325ですから、今シーズンの千葉ロッテの勝率の低さは際立っています。

 今シーズンの攻守の数値を見てみましょう。

 他チームとの比較で大差なのは「打撃成績」でしょう。
 チーム打率は.198と、トップの東北楽天の.279と比較して8分以上の差があります。
 得点100は、5番手の日本ハム138に比しても大差ですが、トップの西武176とは比較になりません。
 チーム本塁打19は、5番手のオリックス26と比較しても大きな差ですが、トップのソフトバンク38の半分です。
 一方で盗塁はというと6ですが、トップ西武31の1/5しかないのです。

 そして、ここまで挙げた全ての項目でリーグ最下位なのです。
 打率が低く、本塁打が打てず、盗塁も少ないとなっては、攻撃面では「打つ手が無い」感じでしょうか。

 加えて、チーム防御率も4.78とリーグ最下位、それもダントツの最下位ですから、頭書の低勝率も「止むを得ない」というところなのでしょうか。

 とはいえ、千葉ロッテマリーンズとしては、このままでペナントレースを終わるわけには行かないでしょう。
 悪い意味での「記録的なシーズン」を創出してしまうことになる怖れがあります。

 千葉ロッテマリーンズのチームスタッフ、プレーヤーが一丸となった、総力を挙げた奮起が期待されます。
 タイガースが好調です。
 5月14日終了時点で、34試合を終えて22勝12敗と貯金を10として、2位の広島に1.5ゲーム差をつけて首位を走っているのです。

 攻撃陣では、糸井嘉男選手の活躍が目立っています。
 打率.325、打点26、安打数40、四球25、出塁率.447と各部門でチームトップの成績を上げているのです。ほぼフル出場という点も、貢献度が高いと言えます。
 続いては、福留孝介選手。本塁打数5、二塁打数6はチームトップ。結果として長打率.492もトップです。「ここぞ」という時の長打は、チームの勝利を呼び込んでいるのです。

 セリーグ全体で見ても、糸井選手が打率6位、鳥谷敬選手が同7位(.325)、福留選手が同10位とベスト10に3名のベテランが名を連ねているのです。

 阪神タイガースの攻撃は、ベテラン勢が牽引している形です。

 一方の投手陣はというと、メッセンジャー投手がリーグトップの5勝、マテオ投手が3勝、藤浪晋太郎投手も3勝、桑原謙太朗投手が2勝、秋山拓巳投手も2勝、岩貞祐太投手も2勝と、こちらは若手とベテランがバランス良く活躍している印象でしょう。

 特に、2014年ドラフト1位入団の岩貞投手や2010年ドラフト4位入団の秋山投手が育ってきているところが心強いところです。
 2013年ドラフト1位の藤浪投手と共に、タイガースを牽引して行ってほしいところです。

 現在の阪神タイガースは、「投打が噛み合って」います。
 シーズン前の各方面の予想より、チーム力が相当高いと感じます。

 特に、投手陣には「生え抜き」のプレーヤーが育ってきています。

 「複数の生え抜きプレーヤーの活躍」が、ここ数シーズンのペナントレース制覇チームの条件となっている感がありますので、その意味からも今シーズンの阪神タイガースには、大きな期待がかかるのです。
 パシフィックリーグは5月5日現在、25~30試合を終えています。
 そして、シーズン当初から楽天が首位を快走しています。

 まず先発投手陣の頑張りが目立つでしょう。
 則本投手、美馬投手が5試合、辛島投手、釜田投手が4試合、岸投手が3試合を投げ、釜田投手の防御率がやや不本意な水準であることを除けば、いずれも2点台・3点台にあるのですから、「試合を作る」という役割をしっかりと果たしています。

 特に辛島航投手の活躍が素晴らしい。
 2009年ドラフト6位で入団し、27歳となった2017年シーズンに、本格化したという印象です。どのチームにとっても「先発左腕」は貴重な存在ですが、今後のチームの戦いにおいても、移籍の岸投手と共に、先発マウンドを支える存在となることでしょう。
 逆に言えば、辛島投手が開幕以来の調子を維持できれば、チームも優勝争いを続けることが出来ると感じます。

 リリーフ陣は、松井投手、福山投手、ハーマン投手、菅原投手が堅実な投球を披露しています。
 特に、2017年ドラフト4位入団のルーキー菅原投手が注目でしょう。大体大出身のリリーフ投手として、巨人→MLBの上原投手に続く存在となるべく、マウンド度胸満点の投球を披露してくれています。

 打線も好調です。
 茂木選手、ペゲーロ選手の両大砲。特に、2016年ドラフト3位入団の茂木英五郎選手は、プロの水にも慣れ、その力を開花させつつあります。不動の1番打者として、チームを引っ張る存在でしょう。2番の聖澤選手とのコンビが機能しています。

 そして、銀次選手、今江選手、島内選手、藤田選手、ウィーラー選手も大事なところで活躍を魅せてくれています。

 梨田監督を始めとするベンチスタッフの働きも、極めて重要でしょう。日替りの先発メンバー選定が良く機能しています。

 何より、チームで育ててきた人材が活躍しているところが、2017年シーズンの楽天ゴールデンイーグルスの足腰となっているのです。

 2017年のパシフィックリーグは、「意外な幕開け」でした。
 2016年の4位から6位のチームが1~3位を占め、優勝した日本ハムを始めとする1位から3位のチームが4~6位に沈んでいたのです。これほど劇的な展開も珍しいと指摘されました。

 しかし、さすがに20試合を過ぎた辺りからソフトバンクが上がってきましたし、一時は「借金14」という悲惨な状態であった、昨シーズンの日本一チーム・日本ハムもようやく投打がかみ合い始め、借金を一桁の9に減らしてきました。

 楽天の当面のライバルはソフトバンクとなるのでしょうが、その他のチームにもまだまだチャンスが有ります。

 楽天ゴールデンイーグルスとしては、これまでの「元気の良いプレー」を継続して行かなければならないのでしょう。
[4月18日・熊本球場]
巨人3-0ヤクルト
菅野投手・117球完封勝ち

[4月25日・マツダスタジアム]
巨人1-0広島
菅野投手・116球完封勝ち

[5月2日・東京ドーム]
巨人5-0DeNA
菅野投手・135球完封勝ち

 28年振りの快挙と報じられました。

 28年前にこの記録を樹立したのは、「ミスター完投」と称された斎藤雅樹投手でした。

 28年前、1990年頃も、その前の時代に比べれば、「先発投手が完投=1試合を投げ切る」という概念・考え方・戦法が少なくなって来ていた時代でしたから、斎藤投手の存在は相当に「偉大」なものでした。

 その後、21世紀になって、野球における投手起用は、先発→中継ぎ→セットアッパー→抑えと「分業化」が益々進みましたから、2017年シーズンとなっての菅野投手の3連続完封の価値は、極めて高い、計り知れないものとなっていると感じます。

 1950~60年代の金田正一投手や権藤博投手、稲尾和久投手、杉下茂投手といった「大投手」が活躍した時代は、「先発投手は完投するもの」という考え方がプロ野球に厳然と存在していました。
 それは「中○日」といった、先発投手の「休養」といった概念とは遠いもので、金田投手や権藤投手は「毎日登板」していたような印象が有り、中1日、中2日などは「常態」といった趣でした。

 「権藤、権藤、雨、権藤」という有名な言葉があります。当時の中日ドラゴンズは、権藤投手が2試合連続で先発登板し、雨で1日試合が流れると、翌日も権藤投手が先発する、といった有様を表現した言葉ですが、本当にそうした投手起用が実施され、1961年シーズンは35勝19敗、1962年シーズンは30勝17敗という成績を残したのです。
 1961年は「69登板」、1962年は「61登板」でしたから、当時はペナントレースが130試合であったと記憶していますので、権藤投手は概ね「2試合に1度、先発登板」していたのです。

 現在であれば「滅茶苦茶な起用法」と非難される形であり、権藤投手も残念ながら肩を痛めて、この2シーズンで選手生命を終えてしまった印象が有りますので、「使い過ぎ」であったことは間違いないのでしょう。

 とはいえ、権藤投手ほどできないにしても、これに近い使い方をされていた金田正一投手となると、こうした「酷使」に耐えて、毎シーズン好成績を残しました。
 金田投手の毎年の登板数と勝敗を、少し挙げてみます。

 1951年・56登板・22勝21敗、1952年・64登板・24勝25敗、1954年・53登板・23勝23敗、1955年・62登板・29勝20敗、1956年・68登板・25勝20敗、1957年・61登板・28勝16敗、1958年・56登板・31勝14敗、1963年・53登板・30勝17敗・・・。

 もの凄い記録が続いています。
 金田投手は、プロ野球史上唯一の400勝投手という「空前絶後」の記録を保持しています。まさに、日本プロ野球を代表する大投手だったのですが、1951年から1963年までの13シーズンに渡って、1953年47登板と1962年48登板を除いた全てのシーズンで53登板以上の登板数を熟しているところが、本当に凄い。
 「使い減りしない」などという概念を遥かに超越した存在だったのです。

 もちろん、当時の国鉄スワローズ(金田投手)、中日ドラゴンズ(権藤投手)といった球団のチーム力自体が低く、自信を持って先発させることが出来る投手が少なかったという事情はあるのでしょう。
 その結果、金田投手や権藤投手の「負け数が凄い」のです。

 金田投手の1952年の25敗などは、大投手ならではの大記録でしょう。
 先発投手が1シーズンで25敗するというのは、滅多なことでは出来ることではありません。

 菅野投手に話を戻しましょう。

 菅野投手の「3連続完封勝ち」は、「ミスター完投」斎藤投手や、21世紀では考えられないような大記録を樹立した金田投手や権藤投手の存在を、改めて思い出させてくれるものです。

 金田投手や権藤投手とは違い、菅野投手は「1週間に1度の登板」、中6日のサイクルで先発のマウンドに上がっています。現代では、一般的な起用法でしょう。
 だからといって、この記録が金田投手や権藤投手の記録より決して劣るものではないと思います。

 プロ野球全体のレベルが上がり、投手・野手・ベンチ等の情報量が飛躍的に増えた時代にあって、3試合連続で相手チームを零封するというのは。極めて難しいことだと思います。
 3試合目のDeNA戦は135球を要しました。1戦目・2戦目と比べて、球数が多くなっているのです。菅野投手も「苦労した」のでしょう。

 WBC2017における、MLBメンバーからの極めて高い評価も含めて、菅野智之投手は「日本球界の宝」となりました。NPBを代表する先発投手となったのです。

 菅野智之投手の2017年シーズンの活躍から、眼が離せません。
 毎週日曜日、TBSテレビ朝8時から放送されている「サンデーモーニング」のスポーツコーナーは、張本氏と毎回変わるゲストのコメントが面白い番組です。
 特に、張本氏とゲストが過去1週間に行われた様々なスポーツの大会やゲームの内容・結果に、「喝!」と「あっぱれ!」を送るところが有名なのです。

 4月30日のスポーツコーナーは、プロ野球から始まりました。

 WBC2017の侍ジャパンの主力打者であった、横浜DeNAの筒香選手と日本ハムの中田選手に、ようやく今シーズン第1号本塁打が飛び出したという記事がヘッドラインとなって、各ゲームにおける本塁打の様子が流されました。

 そして、張本氏にコメントが求められたのです。
 張本氏は、いきなり「また、ボールが飛だしたな」と呟いて、別のコメントに移行しました。

 この「また、ボールが飛びだしたな」という呟きがとても気になりました。

 張本氏は、プロ野球史上唯一の3000本安打プレーヤーです。
 「ヒットを打つ能力」においては、プロ野球史上NO.1、あるいは屈指の選手であったことは明らかです。
 その張本氏が、「また・・・」と述べたのですから、プロ野球で使用されているボール=統一球が「再びよく飛ぶようになった」、別の言い方ならば「反発係数が上がった」ということなのでしょう。

 シーズン開始から3週間余り使われていたボールと、現在使われているボールとでは、「飛びが違う」ということなのであろうと思います。

 このことが「本当」なのか「違う」のか、それは分かりません。
 私達ファンには、プロ野球公式戦で使用されているボールが、シーズン開始早々に「変わった」のかどうかを知ることは、非常に難しいことです。

 ファンに何の情報公開も無く、使っているボールのレギュレーションを変えるなどということは、常識的には有り得ないことですから、そんなことは無いと考えたいところです。

 一方で、プロ野球史上有数のヒットメーカー、バットとボールの関係を最も良く知っている人である張本氏が、「また、ボールが飛び出したな」とコメントしたという事実も、とても重いものだと感じます。

 2017年のプロ野球ペナントレースはホームランが少ない、だから、ホームランを増やすために「飛ぶボール」に変える、などということが起こっているようなら、「最低」でしょう。

 例えば、4月29日、ゴールデンウィーク初日からボールを変更したのだとしたら、「開幕から4月28日までの記録」と「4月29日以降の記録」を同列に比較することが出来なくなります。
 ボールを変更した日(本記事では、ここからA日とします)の前の日までの防御率とA日以降の防御率を同列には評価できないでしょう。当たり前のことです。
 打率や本塁打数にしても、同列には比較できません。

 つまり、大袈裟に言えば「各種のシーズン記録が無意味」なものになってしまうのです。
 もちろん、2016年の記録と2017年の記録の比較も意味がなくなるのでしょう。

 「もともと、これまでも飛ぶボールと飛ばないボールの時期があったのだから、今回も良いじゃないか」などという意見が出て来るようなら(まさか、そんなことを言う人はいないと思いますが)、それはもはや「プロ野球の自殺行為」に等しいでしょう。

 プロ野球に限らず、全てのプロスポーツにおいては「記録」がとても重要です。
 ファンは「記録」を持って、チームやプレーヤーを評価する訳ですし、プレーヤーの年俸も記録に基づいて決められていくのでしょう。(もちろん「記録」のみが評価基準ではありませんが)

 時代の変化、道具の進歩等々の理由でレギュレーションが変わっていくことは、全てのスポーツに存在します。
 しかし、この変化は「明示」されなくてはなりません。
 「何月何日から」「このように」変更される、と、そのスポーツの関係者、ファン、監督・コーチ、チームのオーナー、協会、等々に開示されなくてはならないものでしょう。
 こっそりと変更されるなどと言うことは、あってはならないことなのです。

 4月30日のサンデーモーニングにおける張本氏の呟きが間違っている、あるいは私の理解が間違っているのであれば良いのですが・・・。
 3月31日、プロ野球の2017年シーズンが開幕しました。

 「球春」です。

 今年は桜の開花が遅れ気味ですので、まさにプロ野球と共に春が来たというところでしょう。

 とはいえ、日本列島は雨模様でしたから、少し肌寒い「球春」となりました。

 かつては、開幕試合といっても雨が降れば順延になることも多かったのですが、全国にドーム型球場が出来てからは、予定通りに試合が行われるようになりました。
 良いことだと思います。

 今シーズンの開幕戦では、マツダスタジアムの広島対阪神、神宮球場のヤクルト対DeNAの2試合が屋根無し球場でのプレーとなりましたが、雨気味の天候を押して、試合が行われましたので、予定されていた6試合全てが揃った開幕日となりました。
 これも良いことでしょう。(雨が降っていた神宮球場のお客様はやや寒い観戦となったかもしれませんが)

 色々なメディアにおいて、2017年シーズンの「優勝予想」も展開されています。
 ヤフーの投票(2月21日~3月30日)を見てみましょう。(得票率です)

 まずは、2016年の日本チャンピオン・日本ハムが所属するパシフィックリーグ。

① ソフトバンクホークス 49.9%
② 日本ハムファイターズ 27.7%
③ ロッテマリーンズ 6.1%
④ オリックスバッファローズ 5.6%
⑤ 西武ライオンズ 5.5%
⑥ 楽天ゴールデンイーグルス 5.2%
 
 となっています。

 昨年のペナントレース優勝・準優勝チームの「2強」の形で、これは相当に抜けた「2強」ということになります。
 また、その2強の中でも、ソフトバンクが大きくリードしました。
 ファンは、ソフトバンクホークスの「戦力優位」を強く感じているのでしょう。

 続いて、セントラルリーグ。

① 東洋カープ 26.1%
② 読売ジャイアンツ 26.0%
③ 阪神タイガース 17.6%
④ DeNAベイスターズ 15.0%
⑤ 中日ドラゴンズ 9.0%
⑥ ヤクルトスワローズ 6.3%

 となりました。
 パ・リーグに比べて、こちらは混戦模様です。現在のセ・リーグの状況を良く表している投票結果だと感じます。
 昨季の覇者カープがトップであるのは妥当なところですが、そこにジャイアンツが肉薄しているところが興味深い。戦力補強に対する、ジャイアンツファンの期待が込められているように見えます。

 WBC2017で大健闘を魅せてくれた「侍ジャパン」メンバーも、各々のチームに戻って、長く激しいペナントレースの幕が切って落とされました。

 野球ファンにとっての「日常」がスタートしたのです。
 ソフトバンクホークスの千賀滉大投手(24歳)が、WBC2017の1次ラウンド・2次ラウンドで素晴らしい活躍を魅せました。

 まず、3月8日・1次ラウンドのオーストラリア戦、3番手で登板し零封。
 続いて、3月12日・2次ラウンドのオランダ戦、3番手で登板し零封。
 そして、3月15日・2次ラウンドのイスラエル戦で先発し、5イニングを零封。

 計9イニングを投げて失点0、イスラエル戦の先発5イニング零封は、今大会の先発投手で最長・随一の成績です。

 リリーフも先発も熟し、「付け入る隙を与えない」というのですから、侍ジャパン投手陣の軸と評価すべきでしょう。

 さすがに、千賀投手にとっての緒戦となったオーストラリア戦の立ち上がりは、投球が落ち着かずコントロールに苦労していましたが、その後は本来のピッチングに戻り、試合を重ねるごとに安定感と威力が向上していった印象です。

 オーストラリア戦で披露した「155kmのストレート」は、大谷翔平投手に続く速球投手としてのパフォーマンスでしたし、持ち味である「消えるフォーク」も次第にペナントレース中の軌道に近くなって行きました。
 ここに切れの良いスライダーを交えるのです。

 「全てのボールが一級品」と評される理由が良く分かる投球内容でした。

 そうなると、いかにオランダチームやイスラエルチームのMLBプレーヤーといえども、容易には捕えられない投球、現在の野球・ベースボールにおける最高レベルのピッチングとなるのです。

 中学校時代には軟式野球の三塁手。
愛知県立蒲郡高校から育成選手としてソフトバンクホークスに入った千賀投手には、甲子園大会出場などの華やかなキャリアはありませんけれども、現在では日本プロ野球屈指の好投手と成りました。

 身長186㎝・体重96㎏の堂々たる体躯に恵まれた若きプレーヤーは、この大会で一気に世界デビューしようとしているのでしょう。
 侍ジャパンの2次ラウンド第1戦、オランダとの戦いは、延長11回・史上初のタイブレークに縺れ込む、5時間近い激闘となりました。
 記録ずくめの試合となったわけですが、その7回に飛び出した、「菊池涼介選手の超美技」も歴史に残るものとなりました。

 日本チームが6-5と1点のリードで迎えた7回裏、マウンドにはリリーフの松井投手が上がり、1死1塁から、オランダ3番のボガーツ選手がピッチャー返しの強い打球を放ちました。
 センター前ヒットか、と思われた打球を菊池選手がバックハンドで好捕、グラブの中のボールをそのまま2塁ベース上の坂本選手にトスして、1塁ランナー・プロファー選手を刺したのです。

 超ファインプレー!

 ボールをグラブに深々と入れながらのトスに見えました。
 どのような技術によるプレーなのかは、私のような素人には到底わかりませんけれども、とても難しいプレーであろうとは感じました。

 その点はプロフェッショナルの世界でも同様なようで、MLBの公式サイトが直ぐに取り上げ、「キクチのファンタスティックプレー」として動画をアップ、解説も大興奮の絶叫であったと報じられました。
 MLBレベルで観ても、驚嘆すべきプレーだったのです。

 解説のマルティネス氏(2006年第一回WBCのアメリカチームの監督)は「キクチは昨シーズン141試合に出場して、僅かに4失策。彼はグラブを持った『魔法使い』だ。」とコメントしたと伝えられています。

 実は、菊池選手のファインプレーがアメリカ野球界から注目されるのは、これが2度目です。
 1度目は、2014年11月20日の日米野球(親善試合)の4回に飛び出した、やはりグラブトスプレーでした。

 当時のMLB公式サイトの動画において、「侍ジャパンの菊池涼介がすべてのグラブトスの理想像を披露」と称賛されたのです。
 この時の打者は、あのアルトゥーベ選手。MLBの盗塁王にも輝き、快速で鳴らすアルトゥーベ選手を見事に1塁でアウトにしたのです。

 「・・・全ての他のグラブトスは、ホセ・アルトゥーベを1塁でアウトにした、このグラブトスが壁に映り込んだ影に過ぎない。紳士淑女の皆さん、これこそグローブ達が抱く将来の夢です」と、哲学者プラトンの比喩を引用して、大絶賛されました。(MLB公式サイトにおいて、日本選手のプレーがこれほどの称賛を受けること自体が、滅多に無いことでしょう)

 「世界最高のグラブトス」は、「菊池涼介選手の代名詞」になりつつあります。
[3月12日・東京ドーム]
日本8-6オランダ

[3月14日・東京ドーム]
日本8-5キューバ

[3月15日・東京ドーム]
日本8-3イスラエル

 日本代表チームは、1次ラウンド3戦3勝に続いて、2次ラウンドも3戦3勝として、E組首位で準決勝進出を決めました。
 第一回と第二回のWBC優勝チームである日本代表ですが、予選を全勝で勝ち抜いたのは初めてのことです。「侍ジャパン2017」の充実ぶりがよく分かります。

① 3試合とも「8得点」

 侍ジャパン打線は破壊力十分です。「飛ばないボール」が使用されているにも関わらず、要所でホームランも飛び出しました。
 今大会の予選6試合における、安定した戦い振りのベースにあるのが「高い得点力」であることは間違いないでしょう。

 こうした世界大会で、MLB経験者をはじめとする一線級のピッチャーを相手に、3試合連続で8得点というのは素晴らしいことだと思います。
 スモールベースボール面はもちろんとして、長打力においても遜色ない力を魅せていただきました。

② 様々な試合展開への対応力

 第1戦のオランダ戦は、日本チームが常にリードしながら試合を進めましたが、オランダ代表チームの粘り強い攻撃に会って6-6の同点に追いつかれ、延長タイブレークでの勝利。

 第2戦は逆に、キューバ代表チームがリードし、侍ジャパンが追いかける展開。6回に5-5に追いついて、8回に突き放した形。

 第3戦は、日本代表チームがイスラエル代表チームを8-0とリードし、終盤のイスラエルの反撃を抑えて勝利。

 2次ラウンドの3ゲームは、それぞれ異なる展開でしたが、侍ジャパンはいずれのパターンにもしっかりと対応して、勝利をものにしました。
 実力が無ければ、できないことでしょう。

 第3試合の展開が最も望ましい形なのでしょうが、いつもいつもそういう訳には行かないでしょうから、「試合展開への自在の対応力」というのは、大切な要素でしょう。

 さて、アメリカ・ドジャースタジアムにおける準決勝、そこを勝ち抜けば決勝が待っています。

 一発勝負という、どのチームにとってもリスクの高いレギュレーションですから、先発投手の出来不出来と、1回表裏の攻防がとても大切でしょう。

 侍ジャパンのメンバーの皆様には、少し休養を取っていただき、明るいカリフォルニアの空のもとで、存分に力を発揮していただきたいと思います。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

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