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[12月9日・第14節・マイアミガーデン]
マイアミ・ドルフィンズ34-33ニューイングランド・ペイトリオッツ

 言葉が見つからないので「奇跡の大逆転」という平凡な?表現しかありませんが、普通の「奇跡的逆転劇」(妙な書き方で恐縮です)を遥かに超える、おそらくは「100年に一度のプレー」で、ドルフィンズがペイトリオッツを破りました。

 普通の「奇跡的逆転劇」を超えると感じる理由

① 残り時間「0秒」での「69ヤードのタッチダウンTD」

 AFL(アメリカンフットボールリーグ)とNFL(ナショナルフットボールリーグ)が合併し、現在のNFLが誕生して以降の「残り時間0秒=ゲームのラストプレー」のTDとして、史上最長のプレーでした。
 実質的に、NFL史上初のプレーだったのです。

② ラテラル・パスが2度行われたプレー

 ご存知のように、アメリカンフットボールは「前方に一度だけパスを投げることが出来ます」が、後方もしくは真横へのパス=ラテラル・パスは何度でも可能です。
 まさに、アメリカンフットボールがラグビーフットボールから生まれたとされる由縁です。

 とはいえ、実際の試合においては、ラテラル・パスを見ることは少なく、そうした中では、ラストプレーで時折眼にするだけのものなのです。
 ましてや、ラテラル・パスが大成功というのは、滅多に観られません。

 このゲームのラストプレーでは、試合時間残り7秒、自陣31ヤード地点から、まずドルフィンズのクオーターバックQBライアン・タネヒル選手からワイドレシーバーWRケニー・スティルズ選手に14ヤードのパス(前方へのパス)が決まりました。

 そこでスティルズ選手は右横に居たWRディパンティ・パーカー選手にラテラル・パス。

 さらに、パーカー選手は右サイドライン沿いを疾走してきた、ランニングバックRBケニアン・ドレイク選手に再びラテラル・パスを投げたのです。
 
 ドレイク選手は、味方選手の見事なブロックにも助けられ、右に左に走りながら、最後はペイトリオッツ守備陣を振り切ってTD。
 何か、信じられないような幕切れでした。

 「100年に一度のプレー」ですから、既に固有名詞「DRAKE ESCAPE」(ドレイクの脱出)が固まりつつあるそうです。

 1本の前方へのパスと2本のラテラル・パスの計3本のパスに彩られた69ヤードのTDプレーというのは、おそらく今後、観られないでしょう。
 そうした3本のパスが使われるプレーが出現したとしても、そのプレーがTDに結びつくことが考えられないからです。
 攻撃側の意図は全て実現し、守備側の意図は悉く失敗し、プレーの成否に大きな影響を与える「運」も概ね一方のチームに味方する、といったプレーは、滅多に観られるものでは無いでしょう。
 
 まるで、サッカー競技のワールドカップ2018ロシア大会・決勝トーナメントにおける、日本VSベルギー戦の試合終了間際のベルギーチームの自陣ゴール前からの「大カウンタープレー」を彷彿とさせます。

 2018年は、こうした「空前絶後のプレー」が生まれる年なのかもしれません。

 それにしても、QBトム・ブレイディ選手とペイトリオッツは、アウェイのドルフィンズ戦を「とても苦手」にしています。最近の6試合で5敗。
 NFL史上屈指の勝率を誇る「ビル・ベリチックHCとQBトム・ブレイディのペイトリオッツ」が、本当に勝てない唯一のチームではないでしょうか。

 このゲームでも、試合時間残り7秒までに、ドルフィンズに9点差以上を付けておけば、こうした「悲劇」は起こらないのです。そうしたマネジメントが最も得意なはずのペイトリオッツにして、この有り様ですから、ホームのドルフィンズはペイトリオッツの「天敵」なのでしょう。

(本ブログ、2017年12月28日の記事「[NFL2017~18] トム・ブレイディ選手はドルフィンズが苦手なのか?」もご参照ください。)

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 テキサンズが走っています。

 開幕3連敗を喫した時には、ちぐはぐなプレーが続きましたが、week4でインディアナポリス・コルツに競り勝ってから、とても勝負強いゲームを続け、week9を終えて6勝3敗として、アメリカン・フットボール・カンファレンスAFC南地区で首位に立っています。

 6連勝を見てみましょう。

[week4・9月30日・ルーカスオイルスタジアム]
テキサンズ37-34コルツ(OT)

[week5・10月7日・NRGスタジアム]
テキサンズ19-16ダラス・カウボーイズ

[week6・10月14日・NRGスタジアム]
テキサンズ20-13バッファロー・ビルズ

[week7・10月21日・エバーバンクフィールド]
テキサンズ20-7ジャクソンビル・ジャガーズ

[week8・10月25日・NRGスタジアム]
テキサンズ42-23マイアミ・ドルフィンズ

[week9・11月4日・スポーツオーソリティフィールドアットアナハイム]
テキサンズ19-17デンバー・ブロンコス

 ひと目で感じるのは「ロースコアゲームにおける競り合いでの強さ」でしょう。

 Week8マイアミ戦の42得点は「例外的」で、多くのゲームは20得点前後で相手チームをよりロースコアに抑え込んで勝っています。

 得失点差も「7点以内」が多いのですから、まさに「ギリギリの競り合いを制している」試合が多いことになります。

 ロースコアゲームで競り合いに強いとなれば、守備陣が充実していることは間違いありません。
 開幕3連敗の頃でも、守備陣の頑張りが目立っていました。
 「守備陣の頑張りからの得点」も多かったと記憶しています。

 そしてweek4以降は、「競り合いに強い攻撃陣」が機能し始めたということになります。

 テキサンズ攻撃陣の中心はクオーターバックQBデショーン・ワトソン選手です。2017年ドラフトにおいて、1巡目(全体12位)指名を受けて入団しました。テキサンズの強化に向けて、大きな期待を背負っての入団であることは、言うまでもありません。
 そして、2年目の今シーズン、見事な活躍を魅せているのです。

 QBワトソン選手と共に攻撃陣を引っ張るのは、ランニングバックRBラマー・ミラー選手と、ワイドレシーバーWRのディアンドレ・ホプキンス選手、ウィル・フラー選手でしょう。
 これに、QBワトソン選手自身のランを加えた攻撃が、テキサンズオフェンスを形作っているのです。

 「渋い」戦いを進めるテキサンズが、2018~19年シーズンの台風の目になる可能性が十分に有ると感じます。

 week8(10月26日~30日)のゲームを終えて、今季レギュラーシーズンも半ばとなりました。

 各地区の順位を見てみましょう。

[アメリカン・フットボール・カンファレンス AFC]

[東地区]
① ペイトリオッツ 6勝2敗
② ドルフィンズ 4勝4敗
③ ジェッツ 3勝5敗
④ ビルズ 2勝6敗

[北地区]
① スティーラーズ 4勝2敗1引分
② ベンガルズ 5勝3敗
③ レイブンズ 4勝4敗
④ ブラウンズ 2勝5敗1引分

[南地区]
① テキサンズ 5勝3敗
② タイタンズ 3勝4敗
③ ジャガーズ 3勝5敗
④ コルツ 3勝5敗

[西地区]
① チーフス 7勝1敗
② チャージャーズ 5勝2敗
③ ブロンコス 3勝5敗
④ レイダーズ 1勝6敗

[ナショナル・フットボール・カンファレンス NFC]

[東地区]
① レッドスキンズ 5勝2敗
② イーグルス 4勝4敗
③ カウボーイズ 3勝4敗
④ ジャイアンツ 1勝7敗

[北地区]
① ベアーズ 4勝3敗
② バイキングス 4勝3敗
③ パッカーズ 3勝3敗1引分
④ ライオンズ 3勝4敗

[南地区]
① セインツ 6勝1敗
② パンサーズ 5勝2敗
③ ファルコンズ 3勝4敗
④ バッカニアーズ 3勝4敗

[西地区]
① ラムズ 8勝0敗
② シーホークス 4勝3敗
③ カージナルス 2勝6敗
④ 49ers 1勝7敗

 全勝チームは、NFC西地区のロサンゼルス・ラムズだけとなりました。
 今季のラムズは好調です。
 クオーターバックQBジャレット・ゴフ選手ととランニングバックRBトッド・ガーリー選手を中心としたランオフェンスが良く機能しています。
 個人成績で観ても、ゴフ選手はパス獲得ヤードでNFL全体3位の2,425ヤード、ガーリー選手もランヤードで全体1位の800ヤードとなっているのです。
 一方で守備も良く機能していて、サック項目でアーロン・ドナルド選手が10.0で全体1位となっています。
 結果として、ここまで得点264・失点155という見事なシーズンを示現しているのです。

 1敗のチームは、AFC西地区のカンザスシティ・チーフス(7勝1敗)とNFC南地区のニューオーリンズ・セインツ(6勝1敗)の2チーム。

 チーフスは、QBパトリック・マホームズ選手とRBカリーム・ハント選手を中心としたオフェンスが良く、得点が290と全体1位です。
 week6のペイトリオッツとの対戦は、高得点下の大接戦でしたが、惜しくも40-43で落とし、今季初黒星を喫しましたけれども、その後も「高いレベルで安定した得点力」を維持しています。

 セインツは、QBドリュー・ブリーズ選手の「相変わらずの活躍」が光ります。既に、NFL歴代トップクラスのQBですから、1ゲーム・1タッチダウンパス・1パスをクリアする度に新記録が生まれるようなイメージとなっています。
 今後も、ブリーズ選手の活躍から眼が離せないのです。

 AFC東地区のペイトリオッツモ6勝2敗で地区首位を走っています。
 序盤で連敗した時には(滅多に連敗するチームでは無いので)、すわ変調か、と話題になりましたが、その後5連勝と「いつものように」レギュラーシーズンを走っているのです。
 QBトム・ブレイディ選手も、ブリーズ選手と同様に、ゲームを重ねるごとに記録を塗り替えている印象です。
 こちらも、眼が離せません。

 一方、「1勝」チームは、AFC西地区のオークランド・レイダーズとNFC東地区のニューヨーク・ジャイアンツ、NFC西地区のサンフランシスコ49ersの3チームです。

 49ersは失点が236とNFLワースト。第8節では、カージナルスを第3クオーターQまで3点に抑え込みましたが、第4Qで15点を献上して15-18で惜敗しました。攻撃と守備のバランスも良くないということになりそうです。

 レイダーズは、得点138と下から3番目、QBデレク・カー選手を中心とした攻撃陣が機能していない印象です。

 ジャイアンツは、攻守ともに精彩を欠いているというか、チームに元気が感じられません。ラン攻撃が出ていないのが、攻撃の迫力を減じているのでしょうか。

 49ers、レイダーズ、ジャイアンツは、いずれもスーパーボウルを複数回勝っている「名門」ですし、全米あるいは世界中にファンが多いチームでもあります。
 「復活」が切望されているのです。

 NFC東地区では、ワシントン・レッドスキンズが首位を走っています。
 QBアレックス・スミス選手とRBエイドリアン・ピーターソン選手というベテラン勢が活躍しているのです。
 特に、ピーターソン選手は587+ヤードを走り全体5位となっています。
 次第に調子を上げてきている印象ですから、久し振りに「爆発的な活躍」が観られるかもしれません。

 week8を終えての各地区の様子をざっと見てきました。

 調子が出ていないチームもありますが、2018年に「大化けしたチーム」も複数あるように観えます。

 レギュラーシーズン後半戦が注目されます。
[week3・9月23日・アローヘッドスタジアム]
カンザスシティ・チーフス38-24サンフランシスコ49ers

 チーフスの2年目クオーターバックQBパトリック・マホームズ選手が、この試合で3タッチダウンTDパスを決めて、NFLの「開幕3試合TDパス数」の新記録を打ち立てました。
 第1・2戦の10TDパスに3つを加えて13TDパスとしたのです。

 これまでの記録は、「あの」ペイトン・マニング選手の12個、2番目は「あの」トム・ブレイディ選手の11個、3番手は「あの」ブレット・ファーブ選手の10個と報じられていますから、マホームズ選手は、「錚々たるQB」の記録を一気に塗り替えたことになります。

 今回、2・3・4位に下がることとなった3名のQBは、ご存じの通り、NFL史を飾るスーパースター揃いです。

 加えて、マニング選手、フレイディ選手、ファーブ選手は、これらの記録を樹立したシーズンにおいて全員が「スーパーボウルに進出」しているのですから、チーフスファンの期待は嫌がおうにも盛り上がらざるを得ません。

 残念なことに、チーフスと言えば「ポストシーズンに弱い」という歴史が有りますから、カンザスシティの人々にとっては、「スーパーボウル進出」、そして「スーパーボウル制覇」は「宿願」なのです。

 若き司令塔・マホームズ選手は、カンザスシティの星と言って良いのでしょう。

 このゲームのチーフスの攻撃は、とても多彩でした。49ersの「意表を突くプレーコール」が目立ったのです。
 第1・2戦では、パスTDが多かったのですが、このゲームではランニングバックRBカリーム・ハント選手の2つのTDランで先行し、その後TDパスを連ねるという形でした。既にNFLを代表するRBのひとりであるハント選手の活躍も頼もしい限りでしょう。

 チーフスは10月1日のweek4の一戦、デンバー・ブロンコスとのゲームも27-23で勝ち切りました。
 このゲームでのマホームズ選手は、1TDパスを決めています。

 開幕4連勝としたチーフスに、今季のポストシーズン進出、そしてスーパーボウルへの勝ち上がりを期待するのは、少し気が早いのでしょうか。
 
[9月6日・開幕戦・リンカーンフィナンシャルフィールド]
フィラデルフィア・イーグルス18-12アトランタ・ファルコンズ

 ナショナル・フットボール・リーグNFLの2018~19年のレギュラーシーズンが開幕しました。

 オープニングゲームは、スーパーボウル2018・第52回スーパーボウルSBのチャンピオンチーム、イーグルスとファルコンズの対戦でした。

 イーグルスのクオーターバックQBは、主戦と言われているカーソン・ウェンツ選手では無く、SB2018を制した試合でプレーしたニック・フォールズ選手でした。
 ウェンツ選手の復帰は10~11月ではないかと報じられています。

 こうした状況下、イーグルスはランニングバックRBジェイ・アジャイ選手が2つのタッチダウンTDを挙げ、第4クオーターQ残り2分あまりで逆転勝ちを収めました。
 ゲームマネジメントの上手さを感じさせるゲームでした。

 week1の残りのゲームは、9月9日と10日に行われました。
 
[9月9日・ジレットスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ27-20ヒューストン・テキサンズ

 41歳のQBトム・ブレイディ選手が元気です。このゲームでも3TDパスを決めました。
 いったい何時までプレーを続けるのだろう、という感じですが、今季もポストシーズン進出に向けて、力強いプレーを披露してくれることでしょう。

[9月10日・メルセデスベンツスーパードーム]
タンパベイ・バッカニアーズ48-40ニューオーリンズ・セインツ

 全体として、良く得点が入ったweek1ですが、その中でもこのゲームは両チーム合わせて88点という、点の取り合いとなりました。
 バッカニアーズのQBライアン・フィッツパトリック選手が4本、セインツQBドリュー・ブリーズ選手が3本のTDパスを決めました。
 こちらもベテランが超元気なのです。

[9月9日・フェニックス大学スタジアム]
ワシントン・レッドスキンズ24-6アリゾナ・カージナルス

 レッドスキンズにとっての新戦力ですが、既にNFL屈指のプレーヤーとして確固たる地位を築いている2プレーヤー、QBのアレックス・スミス選手とRBのエイドリアン・ピーターソン選手が、その実力を発揮して、緒戦を快勝しました。

 ピーターソン選手にとっては、26ランで96ヤードゲインという結果は、まだまだ本来の走りには程遠いものですが、「26ラン」=主力RBとしてプレー出来たことが重要でしょう。久し振りに「走り回るピーターソン選手」「他の誰にもできないファンタスティックなラン」を、今シーズンは観ることが出来そうです。

 今シーズンのレッドスキンズは注目でしょう。

[9月9日・ランボーフィールド]
グリーンペイ・パッカーズ24-23シカゴ・ベアーズ

 QBアーロン・ロジャース選手が、その「存在感」を如何なく発揮したゲームでした。

 先発し、早々に故障を発症して治療に向かってしまい、その後のパッカーズは散々でした。攻撃が機能せず、守備も実力を出すことが出来ずに、第2Qを終えてベアーズに17-0とリードを許したのです。
 パッカーズがホームのランボーフィールドで「17点差」を付けられて前半を終えたのは70余年振りと伝えられました。「散々なゲーム」になってしまったのです。

 第3Qに入って、ベアーズのリードは20点に拡大しました。

 ところが、ロジャース選手が帰ってきたのです。
 治療を終えてフィールドに立ちました。

 この瞬間から、ゲームの流れが一変しました。それはもう、全く別のゲームになったのです。

 第3QにフィールドゴールFGで3点を挙げると、第4Q早々にヘロニモ・アリソン選手へのTDパスが通って10-20、続いてダバンテ・アダムス選手にTDパスが決まって17-20、
 ベアーズがFGで23-17とリードを広げますが、残り2分あまりで、QBロジャースからエース・ワイドレシーバーWRランドリー・コブ選手へのTDパスが成功して、キッチリと逆転しました。

 アーロン・ロジャース選手は第4Qに3TDパスを決め、21点を挙げたのです。

 NFLを代表するQBのひとり、アーロン・ロジャース選手が、その力を改めて示すゲームとなりました。
 ディフェンス陣の動きさえ良くするところが、まさにチームリーダーなのでしょう。

 開幕週のゲームをいくつか観てきました。

 全体として「選手達が伸び伸びとプレーしている」ゲームが多かったように感じます。
 また、トム・ブレイディ選手、アーロン・ロジャース選手、エイドリアン・ピーターソン選手と言った、ベテランプレーヤーの見事なプレーも目立ちました。

 今シーズンも、NFLは元気です。
 4月10日、後藤完夫(ごとうさだお)氏の逝去が報じられました。75歳でした。
 日本における、1970年代からのアメリカンフットボールファンにとっては、とても懐かしい名前です。

 後藤氏は、慶応義塾高校在学中にアメリカンフットボールを始めました。1960年代のことです。慶応義塾大学に入ってからも、ランニングバックRBとして活躍を続け、日本学生選抜チームにも選ばれています。

 大学卒業後の1970年9月に専門誌「TOUCHDOWN」を創刊しました。
 紆余曲折はありましたが、1970年代中盤には「TOUCHDOWN」は、我が国を代表するというか、唯一のアメリカンフットボール専門誌として、その地位を確立していったと思います。

 1970年代後半になると、週に一度、テレビでNFLのゲームが放送されるようになり、アメリカのカレッジフットボールのゲームも時々放送されるようになりましたが、後藤氏は、その番組の解説者として度々登場しました。

 優しい口調で、易しく解説する後藤氏のコメントから、私たちはアメリカンフットボールの「何たるか」を学んだのです。
 ピッツバーグ・スティーラーズとオークランド・レイダーズが強かった時代、クオーターバックQBテリー・ブラッドショー選手とQBケン・ステブラー選手の対決、ダラス・カウボーイズのQBロジャー・ストーバック選手の活躍等が、直ぐに思い出されます。

 他方、口さがない人たちから「後藤の解説は間違っていることが多い」とか「後藤はアメフトを知らない」といった誹謗・中傷のようなコメントが、出されることも有りました。その指摘の正誤は分かりませんけれども、少なくともアメリカ合衆国のアメリカンフットボールを、20世紀の我が国に紹介したという点は事実でしょう。他の人達がなかなか出来なかったことを、後藤氏は実施したのです。

 21世紀になり、NFLの情報が大量に日本に齎されるようになるとともに、後藤完夫氏の姿や声をテレビで見聞きする頻度は大幅に下がりました。

 そして2016年には、専門誌としての「TOUCHDOWN」が書店に並ぶことも無くなったと記憶しています。

 一方で、現在でも「20世紀の日本に関連するアメリカンフットボールの情報」については、「TOUCHDOWN」編集部(あるいは、その後を継いだ組織)に確認するのが正確というか、そこにしか無い情報も多いと、業界の方から聞くことがあります。
 当時来日したアメリカチームや対戦した日本チームのメンバーとか、国内各大会の各チームのメンバーなど、「TOUCHDOWN」にしか残っていない情報が、数多く存在するのでしょう。

 後藤氏の功績、日本のアメリカンフットボール界に残した功績は、窺い知れるものより遥かに大きいのではないかと感じます。

 決して発行部数が多かったとは思われない「TOUCHDOWN」を後藤氏はコツコツと続けました。資金面を始めとして、相当のご苦労があったであろうと思います。

 1970年代、週に一度のNFL放送と後藤完夫氏の優しい声は、素晴らしいエンターティンメントでした。とても楽しみにしていたものです。

 本当に、ありがとうございました。
 NFLは今オフシーズンですが、2018年~19年シーズンに向けて、各チームの強化に向けての補強、選手のチーム間の移籍が続いています。
 今回は、サンフランシスコ49resのクオーターバックQBがテーマです。

 2017~18年シーズンでは、なかなかフランチャイズQBが決まらず、中盤までの戦績も散々だった49ersですが、ようやく正QBを固めたと、少し前に報じられました。

 ジミー・ガロポロ選手と5年/1億3750万ドル(約149億7000万円)で契約を結んだのです。

 49resが、少なくとも今後5年間の正QBを決めたということは、NFLの中でも人気の高いチームですので、それ自体が大きなニュースですが、今回は「史上最高額年俸」というおまけがつきました。(報道された時点)

 ガロポロ選手の契約金額は年俸ベースでは2750万ドル(約29億9000万円)となり、これまでNFL最高だったマシュー・スタフォード選手の2700万ドルを超えたのです。

 2014年ドラフト全体62位のプレーヤーに対しての高額年俸提供については、いろいろな見方が有るのでしょうが、49ersのガロポロ選手に対する評価の高さを物語っていることは間違いありません。

 2017~18年のレギュラーシーズンで11試合を終えて1勝10敗という散々の成績だったチームが、ガロポロ選手をQBに据えてからは5連勝だったのです。これが4勝1敗では無く5連勝だったところが、大評価の礎なのでしょう。
 ペイトリオッツから49resに移籍し、NFLにおける自らの立ち位置を探し続けていたガロポロ選手にとっても、「人生を変える」ような大活躍でした。

 それにしても、ドラフト全体190位台でQBトム・ブレイディ選手を採ったペイトリオッツが、その後継者としてドラフト全体62位でガロポロ選手を採ったというのは、いかにもペイトリオッツらしい感じがしました。
 そのガロポロ選手に、2016~17年シーズンにチャンスが来たのです。
 開幕4試合のブレイディ選手の「出場停止処分」でした。

 この4試合で活躍すれば、ガロポロ選手がブレイディ選手に代わって、ペイトリオッツの正QBになる可能性、少なくとも後継者としての位置づけを確立する可能性があったのでしょう。
 まさに、21世紀早々にブレイディ選手が正QBのポストを奪った時と、似た状況でした。(怪我と出場停止の違いはありますが)

 しかし、ガロポロ選手はこのチャンスを活かすことが出来ませんでした。
 シーズン第2戦の第2クオーターQに肩を負傷してしまい降板、第3戦、第4戦には出場できなかったのです。ガロポロ選手にとっては、痛恨であったことでしょう。

 そのガロポロ選手に再びチャンスというよりは、NFLに「ガロポロの名を知らしめる」好機が訪れました。

 名門49resの復活と共に、QBジミー・ガロポロ選手の活躍に注目です。
 今季のNFCチャンピオンシップゲームで、ミネソタ・バイキングスがフィラデルフィア・イーグルスに敗れ、これでインドアスタジアムをホームに持つチームは、アウトドアでのチャンピオンシップゲームにおいて、通算「0勝13敗」になったと伝えられました。

 これはチャンピオンシップゲームに限ったことであり、他のポストシーズンゲーム、スーパーボウルやディビジョナルプレーオフでは、これ程一方的な成績では無いのでしょうが、それにしても「尋常では無い戦績」です。

 確かに、インディアナポリス・コルツ時代のペイトン・マニング選手が、なかなかスーパーボウルに進出できなかったことについては、あれ程レギュラーシーズンでは圧倒的な力を示しながら、とても不思議に感じていましたが、ペイトン・マニングのコルツに限らず、インドアスタジアムをホームに持つチームが、アウトドアでのチャンピオンシップゲームに滅法弱いとすれば、少し納得できます。

 これは何故か、ということになりますが、インドアスタジアムは「極めて管理された試合場」であり、アウトドアスタジアムにおいてはインドアに比べて「不安定要素が多い、あるいは追加される」ということなのかもしれません。

 例えば、風やフィールドの凸凹は、インドアには少ないものでしょう。

 インドアスタジアムは人工芝であることが多いと思いますので、フィールドは平らですし、芝が捲れあがったり、剥げたりすることも少ないでしょう。空調の風は有るかもしれませんが、突風や5m/秒を越える風は少ないことでしょう。

 そうした「よく管理されたフィールド」で戦うことが多いチームのプレーは、とても正確ですが、逆に不安定な要素には弱いものなのかもしれません。

 この話を聞いた時に、ゴルフの全英オープン大会と、マスターズ大会や全米オープン大会との違いを思い出しました。
 全英に勝つプレーヤーとアメリカのメジャー大会に勝つプレーヤーには違いがあるのです。例えば、あの名プレーヤー、グレッグ・ノーマン選手は、メジャー大会では全英にしか勝っていません。

 綺麗に整備されたアメリカのゴルフ場と、「あるがまま」を大切にする全英オープン開催コースでは、ショット毎の運・不運に雲泥の差があるのでしょう。全英に強いプレーヤーは、不安定要素に強いプレーヤーなのかもしれません。

 話をNFLに戻します。

 最近オープンするNFLのスタジアムは「インドアを基本にしつつもアウトドアの要素も加えている」ものが増えているように感じます。自然芝のインドアスタジアムもあるのでしょうし、太陽光をふんだんに取り入れているところもあります。
これからは、このスタジアムはインドアなのかアウトドアなのか、直ぐには判定できないという見方もありそうです。

 観客の立場からすれば、インドアスタジアムは天候の影響、低気温や雨・雪の影響を受けにくいという面で、「寒い時期のスポーツ」にとつてとても重宝なものですから、今後も「基本はインドア」というフィールドが、NFLにおいては増え続けることでしょう。
 しかし、そのインドアにはアウトドアの要素が加わっているのです。

 インドアスタジアムをホームにするチームが、アウトドアのチャンピオンシップゲームに勝利するのは、そう遠い日では無いのかもしれません。
 フィラデルフィア・イーグルスが初優勝した第52回スーパーボウルですが、アメリカ合衆国では、こうしたメジャースポーツで「初優勝」とか「何十年ぶりの優勝」といった際に、「呪いの話題」が登場することが多いようです。

 2016年のMLBワールドシリーズでシカゴ・カブスが108年ぶりに優勝した際にも、「ヤギの呪い」がついに解けたと騒がれました。これは、ワールドシリーズ2016終了後も相当の期間取り上げられ続け、1945年にそのヤギを球場に連れて行ったビリー・サイアニス氏のご子孫の方々までがメディアに登場し、様々なコメントを残しました。

 今回のイーグルス・スーパーボウル制覇に関する「呪い」は、「ヤギの呪い」に比べて、やや取り上げ量は小さいのですが、それでも様々なメディアに登場しています。

 この「ウィリアム・ペンの呪い」は、17世紀にフィラデルフィアという町を作った英国人ウィリアム・ペン氏の銅像が市庁舎の最高地点に据え付けられているのですが、大きな建物である市庁舎より高い建物は、フィラデルフィアには造らないという不文律が有ったのです。

 時は流れ、1987年複合商業施設ワン・リバティ・プレイスが完成しました。これが高さ288mという、市庁舎より遥かに高い建造物だったのです。次代の流れの中でこうした建物が登場するのは、自然なことでしょう。

 ところが、前述の不文律を破った「呪い」からか、1987年以降、フィラデルフィアにホームを置くメジャー4スポーツのチームが、全く頂点に立つことが出来なくなってしまいました。
 「呪いの威力」は物凄いものだったのです。

 そこで2007年、ワン・リバティ・プレイスが出来てから20年後と言うのも遅すぎる感じがしますが、このビルの屋上にウィリアム・ペン氏の銅像のレプリカが設置されました。
 すると2008年には、MLBのフィラデルフィア・フィリーズがワールドシリーズを制覇したのです。
 銅像のレプリカを、市内で最も高い建物の頂上に設置した効果は、かくも偉大なものだったのです。
 これで「呪いは解けた」とフィラデルフィアの市民は安心したことでしょう。

 再びところが、その2008年にワン・リバティ・プレイスより54mも高い、コムキャスト・センターが、市内に完成してしまったのです。
 そして再び、フィラデルフィアをホームにするメジャーチームは、優勝から見放されてしまいました。
 本当に「呪いの威力」は凄まじいものなのでしょう。

 とはいえ、フィラデルフィアの人達も、しばらくはこの「呪い」を忘れていたのでしょうか、あまり話題にも上りませんでした。2008年のMLBワールドシリーズ制覇の喜びが、長く続いていたのかもしれませんし、大都会にしてアメリカ合衆国屈指の歴史と伝統を誇るフィラデルフィアの人達は、ホームチームの成績に対して比較的「鷹揚」なのかもしれないと感じます。

 再び再びところが、NFL2017~18シーズンが始まると、我らがイーグルスの快進撃が始まりました。クオーターバックQBカーソン・ウェンツ選手の活躍もあって、カンファレンス勝率首位を狙えるプレーが続いたのです。

 ここでフィラデルフィア市民は「ウィリアム・ペンの呪い」を思い出しました。
 この「呪い」が在る限り、イーグルスはスーパーボウルに優勝できません。
 2017年の秋になって、この話題が突然?のように、取り上げられるようになったのです。

 そして2017年11月27日、コムキャスト・センター建設の現場監督補佐だった人物が、この建物のてっぺんに這い上がり、鉄骨の梁の上に「ウィリアム・ペン氏のフィギュア」を置いてきたと報じられました。
 これで「呪い」が解けるかと期待されたのですが、事はそう簡単ではありませんでした。

 2017年12月10日のweek14のゲームで、QBカーソン・ウェンツ選手が、「今季絶望」の大怪我を負ってしまいました。
 「呪い」は弱まるどころか、一層強くなった感が有りました。
 何しろ、フィギュア設置早々の大怪我でしたから、「フィギュアなんて置きやがって。許さないぞ(荒っぽい言葉で恐縮です)」とウィリアム・ペン氏が怒りを増大させたかのようでした。

 「銅像では無くてフィギュア」を設置したのが良くなかったのか、理由は不明でしたが、今季のイーグルスを牽引してきた中心選手が戦列から離脱してしまったのですから、2018年のスーパーボウル制覇は、遠のいたように見えました。
 メディアもポストシーズにおける「イーグルスの早々の敗退」を予想するものが多かったのです。

 再び再び再びところが、ウェンツ選手に代わったQBニック・フォールズ選手を中心としたイーグルスは、ポストシーズンを快走し、ついにスーパーボウルを初制覇したことは、ご存じの通りです。

 銅像では無くてフィギュアでも、市内最高の建物の頂点に置くことで「呪いは解けた」ことになりました。
 スーパーボウル2018におけるイーグルスの優勝後、この話題も幾度か取り上げられていました。

 それにしても、フィラデルフィアのメジャースポーツファンの方々は、市内最高の建物を建設したら、その都度ウィリアム・ペン氏の像を、当該建物の最高点に設置すれば良いのにと思いますが、今後はどのような対応になるのでしょうか。
 「ウィリアム・ペンの呪い」は、繰り返されるタイプのものですから、繰り返しの対応が必要なのです。

 「ヤギの呪い」にしても「ウィリアム・ペンの呪い」にしても、これは「偶然」であると考えるのが、科学的な見方なのでしょう。
 長く不振に喘ぐチームが、着々と強化を進め、その強化が実を結び始めた頃に、「呪い」の話が出てきている、と見るのが合理的なのでしょう。

 とはいえ、あまりに「タイミングが合っている」、例えば「ウィリアム・ペンの呪い」について見れば、2度とも「像を設置して早々に」優勝しているのは、やはり不思議と言わざるを得ません。
 やはり「呪い」はあるのだと考えたくもなるのです。

 アメリカ合衆国の人達は、「自分たちの国には長い歴史が無い」と嘆くように言います。(もちろん、心底から嘆いているわけではないのでしょうが)
 アメリカ合衆国はやはり「新世界」なのです。

 その「新世界」においては、「呪い」さえ歴史の一部として、ある意味では「大切にされる」ものなのかもしれません。
 NFLの2018年ポストシーズンゲームは、全て記事にしようと考えていました。
 ひとつだけ残っていましたので、ここで採り上げようと思います。

 ニューイングランド・ペイトリオッツが今季プレーオフに初登場したゲームです。

[1月13日・ジレットスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ35-14テネシー・タイタンズ

 タイタンズがペイトリオッツ「王朝」に挑んだゲームは、ペイトリオッツの一方的な内容となりました。

 そもそも、ペイトリオッツがプレーオフゲームで大勝すること自体が「珍しい」ことだと感じます。

 ベリチックヘッドコーチHCとクオーターバックQBブレイディ選手は、プレーオフゲームにおいては「負けない試合」に徹する傾向が有り、「過剰な得点を狙うこと」による、インターセプトといったターンオーバーのリスクを最少にしようとする傾向があるのです。

 そのペイトリオッツが「21点差」を付けて勝つというのですから、このゲームは第2クオーターの3タッチダウンTD・21得点の威力がとても大きかったということになりそうです。
 第3Qと第4Q、ペイトリオッツは余裕を持った試合運びが出来たのでしょう。

 QBマーカス・マリオタ選手とランニングバックRBデレック・ヘンリー選手の「ハイズマントロフィーコンビ」を中心にした攻撃でペイトリオッツに挑んだタイタンズでしたが、第1Qの先制TD以降は、ペイトリオッツの攻撃を受け続ける展開となってしまいました。
 まだ「王朝」に挑むのは少し早いということなのでしょうか。

 それにしても、ペイトリオッツの5TDは、ボルデン選手とホワイト選手のラン、グロンコウスキー選手とホーガン選手とホワイト選手のパスレシーブととても「多彩」です。

 「自在な攻撃」はペイトリオッツ王朝を支える最強の武器なのでしょう。

 このゲームは、「ポストシーズンでは常に慎重な試合運びをする」ペイトリオッツとしては、珍しい大勝だと書きました。
 2017~18年シーズンのペイトリオッツは、2001年以降のチームの中ではやや異質なチームであったことを示すゲームだったのかもしれません。

 ペイトリオッツがスーパーボウル2018でイーグルスに惜敗したことは、皆さんご承知の通りです。
 スーパーボウル2018は、フィラデルフィア・イーグルスの初優勝で幕を閉じましたが、第52回のゲームも様々な記録に彩られました。

 その中で、最も驚かされたのは「両チーム合わせてパントが1回」という記録!

 およそ、スーパーボウルの記録としてはもちろんですが、全てのアメリカンフットボールの試合を考え合わせても、滅多に無いというか、考えられないような事実です。

 ご存じの通り、4度のプレーで10ヤード以上前進しながら、攻撃を続けていくアメリカンフットボールですが、3度目までのトライで10ヤードを獲得できていない時には、多くの場合パントを行い、フィールドポジションを良くして、相手チームに攻撃権を渡すのです。

 4thダウンギャンブルという「賭け」を選択することもありますが、これは残り時間が少なく、絶対に得点しなければならない場合など、いわば「例外的なプレー」と言って良く、通常はひとつの試合に何回かのパントプレーが行われるものなのです。
 ゲームの序盤などには、パントの蹴り合いといった様相を呈することも、珍しくは無いのです。

 それが「1試合でたったの1回」というのですから、第52回スーパーボウルの性格、イーグルス・ペイトリオッツの両チームによる「壮絶な攻め合い」を如実に表していると言えるのでしょう。

 このゲームは、「両チーム合わせて1,151ヤードのゲイン」という、スーパーボウルの新記録を樹立しました。
 ペイトリオッツのクオーターバックQBトム・ブレイディ選手がパスで505ヤード獲得という新記録を達成したことも含めて、両チームは、一度攻撃権を得ると毎回のように相手チームのエンドゾーンに迫ったことになります。

 そして「攻撃権の移動」は、フィールドゴールFGやタッチダウンTDによる得点、あるいはFG失敗、あるいはパスインターセプトやファンブル発生によるターンオーバーという形となり、本来最も多い筈のパントが1回しか観られなかったという、信じられないようなゲームになったのです。
 
 その「たった1回のパント」は、第2クオーターQにイーグルスが行ったものです。
 それまで好調な攻撃を続けていたイーグルスが、ペイトリオッツ守備陣の抵抗にあって、このゲーム初めてのパントプレーを行ったわけですが、まさかこのパントが、このゲーム両チームを通じて「最初で最後のパント」になろうとは、考えもしませんでした。

 「事実は小説より奇なり」と言いますが、世界最高レベルの戦いともなると、想像を遥かに超えることが起こるものであると、改めて感じ入ります。
[2月4日・USバンクスタジアム]
フィラデルフィア・イーグルス41-33ニューイングランド・ペイトリオッツ

 凄まじいゲームでした。

 いつものことながら、第52回スーパーボウルも、両チーム死力を尽くした、見所満載のゲームとなったのです。

 ペイトリオッツのクオーターバックQBトム・ブレイディ選手は、505ヤードを投げました。スーパーボウルの新記録でした。

 これだけのゲインを許しながら、しかし、イーグルスは押し切ったのです。

 前半を22-12で折り返した時には、イーグルスのリードが少し足りないかと感じました。
 前半のプレーをベースに、第3クオーターQ、第4Qに反撃するペイトリオッツ相手には、もう少しリードしておきたかったことでしょう。

 案の定、ペイトリオッツ、ベリチックヘッドコーチHC率いるペイトリオッツは、第3Qから反撃を開始し、第4Q試合時間残り9分余りで33-32と逆転しました。「僅差の勝負」に持ち込み、最少得失点差で勝ち切る、いつもの戦いを披露してくれたのです。

 しかし、今回違ったのは、残り時間が9分もあったことです。

 ペイトリオッツ「王朝」にも余裕が無かった、精一杯の戦いであったことが理由だと思います。
 経験十分なペイトリオッツにしても、イーグルスの「攻守にわたる圧力」をひしひしと感じていたのでしょう。

 そして第4Q試合時間残り2分25秒、QBニック・フォールズ選手はザック・アーツ選手にタッチダウンTDパスを通しました。TDか否かの判定に相当の時間を要するプレーでしたが、見事なTDパスだったのです。
 このパスが通ったところで、イーグルスの初優勝が決まったと感じました。

 ペイトリオッツの「設計図を粉砕するプレー」でした。

 イーグルス守備陣は、ゲームを通じて、ペイトリオッツ攻撃陣に圧力を掛け続けました。
 それはもう、凄まじい圧力でした。

 イーグルス攻撃陣は、その持てる力を、ゲームを通して発揮し続けました。
 スーパーボウル史上屈指の攻撃力でした。

 そして、イーグルスは総合力でペイトリオッツを上回ったのです。
 52回の歴史上でも、攻守のバランスという面では、屈指のチームであったと思います。

 3度目の挑戦にして初めて、フィラデルフィア・イーグルスの頭上にスーパーボウル制覇の栄冠が輝きました。
 2月4日、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリスのUSバンクスタジアムで開催される、第52回スーパーボウルは、ナショナル・フットボール・カンファレンスNFCのフィラデルフィア・イーグルスとアメリカン・フットボール・カンファレンスAFCのニューイングランド・ペイトリオッツという、ポストシーズンにおける両カンファレンスの第1シードチーム同士の対戦となりました。

 そういう意味では、今季のプレーオフは順当な経過を辿っていることになるのでしょう。

 スーパーボウル2017の覇者であり、21世紀に入ってから「王朝」を築き上げているペイトリオッツに対して、いまだスーパーボウル制覇の経験は無く、13年振りのスーパーボウル進出となるイーグルスですから、戦前の予想では「ペイトリオッツ有利」という見方が多いであろうと思います。

 ペイトリオッツの「安定した強さ」は、おそらくNFL史上最高でしょう。
 AFCチャンピオンシップにも「7年連続」で進出しているのです。
 スポーツ大国アメリカの4大スポーツのひとつであり、その中でも最も人気のあるスポーツとも言われているNFLのカンファレンスチャンピオンシップゲームに「7年連続」出場するというのは、凄いというより、「尋常では無い」といった種類の話でしょう。

 前シーズンの成績下位のチームから順番に指名することが出来るドラフト制度が存在し、アメリカ各地の大学・高校で「NFLを目指すアスリート」が毎年のように育っていることを考慮すれば、「同じチームが2001年から常にリーグトップクラスの位置に居る」というのは、尋常なことでは無く、不思議なことであり、奇跡的なことであることは間違いないでしょう。

 そのペイトリオッツは今季も、しっかりとしたチームを送り込んできました。
 シーズン開始直後は守備陣が崩壊し、大量失点のゲームが多く、さすがの「王朝」もそろそろ終焉の時を迎えたかと感じさせましたが、シーズンが進むにつれてチームのバランスが良くなり、2勝2敗からの残り12試合を11勝1敗という強さを示しました。

 ビル・ベリチックHCヘッドコーチとクオーターバックQBトム・ブレイディ選手のコンビは、「18年間強さを継続」しているのです。驚異的という他はありません。
 世界中のあらゆるメジャースポーツ競技を見渡しても、これ程長い「王朝」は他に類を観ないものでしょう。

 では、スーパーボウル2018もペイトリオッツのものかというと、必ずしもそうではないように感じます。

 スーパーボウル2018のペイトリオッツとイーグルスは「互角」でしょう。

 イーグルスにも十分にチャンスが有ると思います。

 ペイトリオッツ王朝の強さの根源は、「規律」でしょう。すべてのポジションのプレーヤーが「自らへの役割期待」をキッチリと果たすところから生まれる強さなのです。

① イーグルス守備陣の頑張り

 NFCチャンピオンシップゲームにおけるイーグルス守備陣の活躍は、見事でした。
 特にラインの圧力は凄まじい程。
 スーパーボウルにおいても、この威力を発揮できれば、ペイトリオッツがゲームをコントロールすることが難しくなります。

 イーグルスの守備陣がペイトリオッツオフェンスラインを突破し続けることが出来れば、QBフレイディ選手へのサックも実現できるでしょうし、ターンオーバーのチャンスも生まれます。

 「鉄の規律」から成り立つペイトリオッツオフェンスラインを崩すことが、イーグルスの世界一への第一歩だと思います。

② イーグルス攻撃陣の得点力

 QBカーソン・ウェンツ選手をweek14で失ったことは、イーグルスにとっては大きな痛手であったのですが、後を継いだQBニック・フォールズ選手を中心とした攻撃陣の調子が上がっています。

 チャンピオンシップゲームでは38得点を挙げてミネソタを圧倒しました。
 QBフォールズ選手、ランニングバックRBジェイ・アジャイ選手、レギャレット・ブラント選手、レシーバー陣はザック・アーツ選手、アルション・ジェフェリー選手、トリー・スミス選手、ネルソン・アゴラー選手と多彩なタレントが揃っているのです。

 前半を20点以上の差で折り返すことが出来れば、大チャンスとなります。

③ 「勝ち慣れ」からくるスロースタート

 スーパーボウル2017におけるペイトリオッツの大逆転劇は史上に輝く快挙ですが、前半はアトランタの一方的な展開でした。

 今季AFCチャンピオンシップゲームでも、ジャクソンビルにリードを許し、ペイトリオッツが逆転したのは残り試合時間2分48秒でした。

 さすがに「勝ち身が遅くなっている」ように感じます。

 メンバーの新陳代謝は進んでいますから、ベリチックHCとQBブレイディ選手において、「勝ち慣れ」からくるスロースタートが多くなって来ているのではないかと思うのです。
 これだけ長い王朝をマネジメントし続ければ、こうした状態になるのも止むを得ないとも思います。

 スーパーボウルの経験・実績が豊かなペイトリオッツは、いつものように「1ポゼッション内外の差」でゲームを進め、第4クオーターQで勝負を決めるという「堅実な試合運び」を狙うと思います。
 大量得点を狙っての「インターセプトのリスク」を回避するゲーム、を展開することでしょう。

 このペイトリオッツに対して、イーグルスとしては第1・2Qで先制攻撃を成功させ、2ポゼッション以上の差を付けて第3Qに入ることが出来れば、その強力な守備陣の力が第4Qで発揮されると考えます。

 強力な守備と攻撃で初優勝を狙うイーグルスと、NFL史上空前の長期王朝ペイトリオッツの激突は、凄まじいものとなることでしょう。
 全くの「互角」だと思います。

 勝負のポイントは、第2Qまでの攻防です。
[1月21日・ジレットスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ24-20ジャクソンビル・ジャガーズ

 ジャガーズがペイトリオッツ「王朝」に挑み、第4クオーターQ残り9分まで20-10とリードしましたが、そこからペイトリオッツは2タッチダウンTDを挙げて、キッチリと逆転勝ちしました。

 ポストシーズンゲームにおけるペイトリオッツらしい試合運びでしたし、5点差以内の勝利というのも、まさにベリチックヘッドコーチHCとクオーターバックQBトム・ブレイディ選手のゲームという感じがします。

 ジャガーズが第2Qに2つのTDで14-10と逆転し、第3Qと第4Qにジョシュ・ランボー選手のフィールドゴールFG(54ヤードと43ヤード)で20-10とリードを広げた時には、緊張感あふれる展開でした。
 「本命」ペイトリオッツをジャガーズが追い込んだのです。

 しかし、ベリチックとブレイディのコンビは「慌てず騒がず」、第1Q~第4Q前半までのジャガーズのプレーを冷静に分析し、効果的なプレーを選択、QBブレイディ選手からワイドレシーバーWRダニー・アメンドラ選手へのTDパス、それも「短いパス」を使用して2TDを挙げたのです。
 ペイトリオッツの「鉄板プレー」であり、「計算通り」という感じがしました。

 さて、昨季のチャンピオンチームが、今季もスーパーボウルに駒を進めました。
 QBブレイディ選手にとって「6度目の制覇」(自身の史上最多記録の更新)を目指すスーパーボウルとなります。

 40歳を越えて、衰えるどころか、ますます強さを増している感のあるトム・ブレイディのプレーから、眼が離せません。
[1月21日・リンカーンフィナンシャルフィールド]
フィラデルフィア・イーグルス38-7ミネソタ・バイキングス

 色々なことが有った中で、第1シードと第2シードの戦いとなった、ナショナル・フットボール・カンファレンスNFCのチャンピオンシップゲームは、イーグルスが圧勝しました。

 共に「強力な守備」を持ち味として、今季レギュラーシーズンを勝ち抜いてきた両チームですが、カンファレンスチャンピオンを決めるゲームでは、イーグルスの守備が勝りました。

 第1クオーター残り時間10分20秒、Q、バイキングスのクオーターバックQBケイス・キーナム選手から、カイル・ルドルフ選手への25ヤードのタッチダウンTDパスが通って、バイキングスが7-0とリードしたところから、ゲームが動きました。
 ルドルフ選手にとって「この試合唯一のレシーブ」が、バイキングスの先制となったのです。

 その約3分後(第1Q残り6分42秒)、このゲームを象徴するプレーが生まれました。
 QBキーナム選手のパスを、イーグルスのディフェンダー、パトリック・ロビンソン選手がインターセプト、ターンオーバーからロビンソン選手は50ヤードを走り切り、そのままTD。
 インターセプトリターンTDというビッグプレーが現出したのです。

 このプレーで一気に勢いに乗ったイーグルスは、第2Qに2TDと1フィールドゴールFGで17点を加えて試合の主導権を握り、第3Q、第4Qにも加点して圧倒しました。

 このゲームにおけるイーグルス守備陣は、コーリー・グラハム選手もインターセプトを魅せるなどバイキングスオフェンスを抑え込み続けました。

 前週のディビジョナルプレーオフゲームにおける、アトランタ・ファルコンズの攻撃を「10点に抑えた自信」、NFL屈指のハイパーオフェンス、昨年度のMVPQBマット・ライアン選手を封じた自信、がこのゲームのプレーにも溢れていたと感じます。

 バイキングスは、今季もスーパーボウルに届きませんでした。
 「ここぞ」というゲームにおける弱さが、今ポストシーズンでも出てしまったという印象です。
 とはいえ、今季のバイキングスのチーム力は高く評価して良いと思います。
 攻撃と守備のバランスの良いチーム、別の言い方をすれば「お行儀の良いプレー」のクオリティを上げていくことで、来季の活躍も期待できるのでしょう。

 さて、QBカーソン・ウェンツ選手抜きのイーグルスが、ついにスーパーボウルまで駒を進めました。
 NFCの第1シードチームとして、堂々とスーパーボウルに登場するのです。

 ディビジョナルプレーオフ、チャンピオンシップと続けた「堅守」を持って、ペイトリオッツ「王朝」にどこまで迫れるか、とても楽しみです。
[1月14日・ハインツフィールド]
ジャクソンビル・ジャガーズ45-42ピッツバーグ・スティーラーズ

 両チーム合わせて87得点という「点の取り合い」は、ジャガーズに軍配が上がりました。

 そもそも、伝統的に「堅守」を誇るスティーラーズが、ポストシーズンゲームで「点の取り合い」というのも違和感がある話で、利用チーム合わせて12本のタッチダウンTDという有様自体が、スティーラーズの試合では無かったということなのかもしれません。

 第1クオーターQはジャガーズが2本のTDで14-0とリード。
 第2QにもジャガーズがTDを加えて21-0とリードを広げた時には、一方的なゲームになるかと思われました。
 しかし、スティーラーズがクオーターバックQBベン・ロスリスバーガー選手からワイドレシーバーWRアントニオ・ブラウン選手へのパス、ホットラインのパスでTDを返し反撃が開始されました。
 第2Qにもう一本ずつのTDの応酬が有り、ジャガーズが28-14とリードして、前半を終了しました。

 第3Q、スティーラーズがQBロスリスバーガー選手からランニングバックRBリビオン・ベル選手へのパスでTD。28-21と追い上げました。

 第4Q、ジャガーズがRBレナード・フォーネット選手のランでTD。35-21と再びリードを広げると、QBロスリスバーガー選手からWRブラウン選手へのTDパスが通って35-28。

 続いて、QBブレイク・ボートルス選手からトミー・ボハノン選手へのTDパスで、42-28と再び、ジャガーズが突き離します。この辺りは、「追い縋るスティーラーズを何度も何度もジャガーズが叩く」といった感じでした。
 「ジャガーズってこんなに得点力があったか」と感じ、「スティーラーズの守備がこれ程破られるのも珍しい」とも感じました。
 ジャガーズのオフェンスコーディネートが本当に上手く行ったというところなのでしょう。
 
 42-35とスティーラーズが追い上げた、第4Q残り1分50秒、ジャガーズのキッカーKジョシュ・ランボー選手が45ヤードのフィールドゴールFGを決めて、45-35とリードを10点に広げたところで、ゲームは決しました。
 残り10秒を切ってからのQBロスリスバーガー選手のTDパスは「意地を魅せた」プレーでしょう。

 このゲームでは、RBフォーネット選手が3TDランと気を吐きました。
 スティーラーズオフェンスを相手に「ランで3TD」というのは、プレーオフ史上でも滅多に観られないことだと思います。
 今季のスティーラーズ守備陣の弱点が観えた試合だったのかもしれません。

 それにしても、QBロスリスバーガー選手が5本のTDパスを決めても勝てなかったホームゲームというのは、スティーラーズとしてはショックであったろうと思います。
[1月14日・USバンクスタジアム]
ミネソタ・バイキングス29-24ニューオーリンズ・セインツ

 バイキングスが先行し、セインツが追い上げ、第4クオーターQ残り時間29秒、フィールドゴールFGで24-23とついに逆転した時には、勝利はセインツのものと思われました。

 第1Q、第2Qは、バイキングスの持ち味である「強力ディフェンス」が機能しました。相当多様な攻撃パターンを保持する、今季のセインツオフェンスを見事に封じたのです。

 エースクオーターバックQBサム・ブラッドフォードを欠く攻撃陣も、QBケイス・キーナム選手、ランニングバックRBラタビアス・マレー選手らの活躍もあって、第1・2Qにタッチダウンを上げて17-0とリードしたのです。

 「バイキングスはプレーオフに弱い」と言われることが多いチームですから、心配そうに見守っていたホームのファンも、「今日は行ける」というムードでした。

 ところが、第3Qにはいりセインツの反撃が始まり、第4Q残り3分6秒、QBドリュー・ブリーズ選手からRBアルビン・カマラ選手へのTDパスが決まった時には、まだ23-21とリードしていたとはいえ、バイキングスには「また負けるのか」といった雰囲気が漂いました。
 「さすがはブリーズ」というプレーだったのです。
 
 そして、第4Q残り29秒で頭書のFGが決まり、セインツが逆転しました。

 USバンクスタジアムのバイキングスファンは頭を抱えたことでしょう。

 残り時間も僅か(10秒)な中で、QBキーナム選手からWRステフィン・ディグス選手への長いパス。これをディグス選手がキャッチしてそのまま走り込みました。
 逆転のTD。
 セインツ守備陣の大きなミスに助けられた形のTDとはいえ、大試合における大逆転TDパスは、滅多に観られるものではありません。

 USバンクスタジアムは歓喜の渦。

 バイキングスファンにとっては「待ちに待った瞬間」でした。

 USバンクスタジアムは、スーパーボウル2018=第52回スーパーボウルの会場です。
 「SB会場をホームとするチームがスーパーボウルに登場する」という快挙に向かって、バイキングスが一歩を進めた好ゲームでした。
[1月13日・リンカーンフィナンシャルフィールド]
フィラデルフィア・イーグルス15-10アトランタ・ファルコンズ

 ナショナル・フットボール・カンファレンスNFCの第1シード・イーグルスと第6シード・ファルコンズが、イーグルスのホームで戦うディビジョナル・プレーオフ・ゲームでしたが、戦前の予想は「ファルコンズが圧倒的に有利」というものでした。

 スーパーボウルSB2017の出場チームであり、昨季のMVP、クオーターバックQBマット・ライアン選手を擁するファルコンズが、今レギュラーシーズンの終盤に調子を上げ、最終戦week17でポストシーズンに滑り込み、ワイルドカード・プレーオフで今季好調だった「若き」ラムズを撃破してきていましたから、相当調子を上げていると見られていたのです。

 一方でイーグルスといえば、今季快進撃の主役であったQBカーソン・ウェンツ選手が、レギュラーシーズン終盤に故障で戦線離脱、第1シードとはいっても「手負い」状態でしたから、プレーオフゲームでは相当不利であろうと思われたのです。

 結果として、アメリカのメディアの間でも、「ファルコンズがどういう形で勝つのか」といった論調が目立ちました。

 第1クオーターQ、早速ファルコンズのハイパーオフェンスが機能しました。
 今季というか、マット・ライアン選手を中心としたファルコンズオフェンスの特徴のひとつでもある「3rdダウンでの強さ」が発揮され、前進を続けます。
 早速フィールドゴールFGを決めて、ファルコンズが3-0とリードします。

 これにひきかえイーグルスの攻撃はなかなか上手く行きませんでした。
 第1Qを観る限り、ゲームは「予想通り」ファルコンズペースに観えました。

 第2Qに入っても、ゲームの様相は同様でしたが、よく観ると、ファルコンズにも得点が入らないのです。
 ファルコンズ攻撃陣は、1~2回のフレッシュダウンは取るのですが、3回目辺りで前進できなくなるのです。

 実は、イーグルスの強力ディフェンス、特に今季リーグNO.1の「ランディフェンス」がじわじわと効果を上げてきていたのです。
 
 ファルコンズのハイパーオフェンスは、次第に抑え込まれていきました。

 ゲームは前半を終わってファルコンズの10-9というロースコアなものになり、第3Q、第4Qにジェイク・エリオット選手のFGで3点ずつを上げたイーグルスが15-10と逆転し、そのまま押し切りました。

 戦前の不利予想を覆すイーグルスの勝利でしたが、よくよく観れば「第1シードの力」を示したゲームと言えるのでしょう。
 QBニック・フォールズ選手を中心とした攻撃陣と強力な守備陣という総合力で、ファルコンズを凌ぎました。

 確かに、QBカーソン・ウェンツ選手を欠くことは大変残念なことなのですが、「今季のイーグルスの総合力は本物」であることを示したゲームだったと感じます。
[1月7日・メルセデスベンツスーパードーム]
ニューオーリンズ・セインツ31-26カロライナ・パンサーズ

 セインツのドリュー・ブリーズ選手とパンサーズのキャム・ニュートン選手という、現在のNFL屈指のクオーターバックQB対決となった注目のゲームは、セインツが終始ゲームをリードして、そのまま押し切りました。

 「稀代のパサー」と「史上最高のモバイルQB」の対決は、「アメリカンフットボールの在り方」にも影響を与えかねない?(大袈裟な書き方で恐縮です)ものでしたが、ブリーズ選手の「上手さ」が目立つ試合となったのです。

 第1クオーターQは、両チームの守備陣の頑張りもあって、両QB共に攻め倦みました。
 殆ど持ち味を発揮することが出来なかったのですが、残り時間1分58秒、ブリーズ選手からテッド・ギン選手へのパスが決まり、ギン選手が快足を飛ばして一気にタッチダウンTDを奪い、ゲームが動きました。
 このパスの「丁寧さ」が、まさにドリュー・ブリーズの真骨頂でした。丁寧に正確に上から落としたのです。80ヤードのTDパスでした。

 そして、第2Q残り時間9分9秒、再びブリーズ選手から「丁寧なパス」が投じられ、2つめのTD。14-3とリードを広げたプレーでしたが、このプレーを観て「このゲームはセインツのものだ」と感じました。
 当代屈指のQB対決でしたが、このゲームに関しては、ブリーズ選手がニュートン選手を上回っていたのです。

 今季のセインツは、もともとの持ち味であるパス攻撃に、2人のランニングバックRB、アルビン・カマラ選手とマーク・イングラム選手のラン攻撃が加わり、その破壊力は倍増しました。(エイドリアン・ピーターソン選手も居るのですが・・・)
 このゲームは、「ニューセインツ」の力を示した試合とも言えるのでしょう。

 一方のパンサーズは、レギュラーシーズンで2戦2敗(week3:13-34、week13:21-31)、プレーオフでも敗れて、今季セインツに0勝3敗と残念な結果に終わりました。
 NFC南地区で同じ11勝5敗の成績でプレーオフに進出した両チームでしたから、今季のパンサーズは「セインツにやられた」ということになるのでしょう。
 キャム・ニュートン選手の悔しそうな顔が眼に浮かびます。

 来季の「パンサーズによるセインツへのリベンジ」が注目です。
[1月7日・エバーバンクフィールド]
ジャクソンビル・ジャガーズ10-3バッファロー・ビルズ

 両チームの守備陣が活躍し、ロースコアゲームとなりました。

 もともと今季のジャガーズ守備陣の強さは定評の有る所でしたが、ビルズ守備陣も互角の戦いを展開したのです。

① 前半を終えて3-3

 第1クオーターQ、第2Qとパントによる攻撃交替が延々と続きました。
 いつ果てるともしれない0-0ゲームが動いたのは、第2Q残り1分53秒でした。
 ビルズがフィールドゴールFGを決めて3-0とリードしたのです。

 ゲームと言うのは不思議なもので、0-0から3-0と動くと、ジャガーズにもチャンスが巡ってきて、第2Q残り時間7秒にFGを決めて3-0。ゲームはまた振り出しに戻りました。

② 第3Q終了間際にジャガーズが決勝タッチダウンTD

 第3Qに入っても、「じりじり」とした試合の流れは不変でした。
 両チームによる「守り合い」が続いたのです。

 第3Q残り時間1分30秒位、相手ゴール前2ヤードに迫ったジャガーズは「ラン・ダイブ」攻撃を仕掛けました。必殺の戦法でしたが、ビルズ守備陣も反対側からダイブを仕掛けて、この攻撃を止めました。凄いプレーの応酬でした。

 再びTDは入らないのかと観えた、第3Q試合時間残り49秒、クオーターバックQBブレイク・ボートルズ選手からベン・コヤック選手へのTDパスが決まりました。
 この試合唯一の華やかなシーンでした。

③ 第4Qも両チーム無得点

 第3QにジャガーズがTDを決めましたから、試合が動くかと思いましたが、第4Qも両チームの守備陣が頑張り、結局得点は入りませんでした。

 ジャクソンビルの強力な守備陣に対して、ビルズの攻撃陣が準備を怠ったという訳では無く、今季「サックスオンビル」と呼ばれる程にQBサックが多かった守備陣を相手に、ビルズは第3QまでQBサックを殆ど許しませんでした。戦前の準備が功を奏したのです。

 とはいえ、攻撃的な守備を続けたジャクソンビルディフェンスが、第4Q残り時間1分17秒、ついにQBタイロッド・テイラー選手を掴まえました。テイラー選手は頭部をフィールドにしたたか打ちつけて、脳震盪状態になり、セカンドQBネイサン・ピーターマン選手に交替しました。

 そして、第4Q残り時間26秒、QBピーターマン選手のパスを、ジャガーズのコーナーバックCBジャレン・ラムジー選手が、パスカット→そのボールを地表寸前でキャッチというスーパープレー、インターセプトとして試合を終らせたのです。
 NFLのCBの極めて高い運動能力を、まざまざと感じさせるプレーでした。

 この試合は、最後の最後まで「守備陣が主役のゲーム」だったのです。
[1月6日・ロサンゼルスメモリアルスタジアム]
アトランタ・ファルコンズ26-13ロサンゼルス・ラムズ

 31歳のヘッドコーチHCジョン・マクベイ、2年目のクオーターバックQBジャレッド・ゴフ、3年目のランニングバックRBトッド・ガーリーという若いメンバーで地区優勝を成し遂げたラムズの戦い振りが注目されたゲームでしたが、昨年のスーパーボウルSB出場チーム・ファルコンズがさすがのプレーを魅せて押し切りました。

 前半は13-10でファルコンズがリードしましたが「ほぼ互角」の展開であったと思います。

 ファルコンズは第3クオーターQ、第4Qも着々と加点して後半も13得点でした。
 ファルコンズが各Qで得点を重ねた大きな理由は、「5~10ヤードの短いパスプレー」を重ねたことにあると思います。

 戦前の戦略の問題だと思いますが、ファルコンズはこのゲームを「短いパス」で戦うこととしたのでしょうし、この戦略・戦術がぴったりとマッチしたのです。

 試合後のスタッツを観てみましょう。

・ラン獲得ヤード ファルコンズF124、ラムズR115
・パス獲得ヤード F198、R246
・総獲得ヤード F322、R361
・ファーストダウン獲得数 F20回、R19回
・パス(成功-トライ数) F21-30、R24-45
・被インターセプト数 F0、R0
・リターン獲得ヤード F4、R7
・攻撃時間 F37分35秒、R22分25秒

 やはり、殆ど互角となっていますが、攻撃時間のみがファルコンズが多くなっているのです。
 「少しずつの前進」を図り、フィールドゴールFGを取り加点しながら、ラムズの攻撃時間を削って行くという戦略が功を奏したのでしょう。

 31歳のジョン・マクベイHCは、NFL史上最年少でのプレーオフ勝利はなりませんでした。
 これまでの記録は、オークランド・レイダーズを率いたジョン・マデンHCの33歳ですから、ジョン・マクベイHCにとっては、来シーズンにもチャンスが有るということなのでしょう。

 ラムズのQBゴフ選手は、2016年ドラフト全体1位の評価を、今季見事に証明しましたが、プレーオフでの勝利はなりませんでした。
 10年目のQBマット・ライアン選手の円熟のプレーに完敗したのです。

 今シーズンのMVP候補と言われるRBトッド・ガーリー選手と共に、そのプレーオフでの活躍が期待された「若き」ロサンゼルス・ラムズでしたが、緒戦で姿を消しました。

 ラムズにとっては、緒戦の相手=第6シード・ファルコンズは、最も戦いたくなかった相手なのかもしれないと感じます。
[1月6日・アローヘッドスタジアム]
テネシー・タイタンズ22-21カンザスシティ・チーフス

 前半はチーフスの、後半はタイタンズのゲームでした。
 これぐらいくっきりと「流れ」が変わった試合も、珍しいのではないでしょうか。

① 前半はチーフスの一方的な展開

 第1クオーターQを終えて、2タッチダウンTDを挙げたチーフスが14-0とリード、第2Q残り時間3秒で、再びチーフスがTD。これで21-3とリードした時には、チーフスの一方的なゲームになるかと思われました。

 ところが、第3Qに入ると試合の流れは徐々に、しかし確実にタイタンズのものになって行ったのです。

② マリオタ選手からマリオタ選手へのパスからマリオタ選手がTD

 このゲームを象徴するプレーでした。

 第3Q残り時間6分44秒、タイタンズがチーフスゴール前に攻め込みました。

 ここでクオーターバックQBマーカス・マリオタ選手がランを見せて、ゴール内に居る味方レシーバーにパス。このパスをチーフスのディフェンダーがカットし跳ね返したのです。
 このカットしたボール、跳ね返されたボールがマリオタ選手にすっぽりと収まり、そのまま左隅にTD。
 スコアはタイタンズの10-21となりました。

 このプレーが「試合の流れを変えた」と思います。

 QBマリオタ選手からマリオタ選手へのパスという「滅多に観られないプレー」の現出は、勝利の神様がタイタンズを応援しているように観えました。

③ ホームのプレーオフゲームで24年間勝てないチーフス

 ここまで来ると「ジンクス」というよりは「呪い」のように感じられます。
 カンザスシティは1994年以来ホームでのプレーオフゲーム5連敗となってしまったのです。
 
 そもそも「ホームチームが有利」と言われるNFLプレーオフにおいて24年間勝利していないというのは「NFL史上最悪の記録」です。

 このゲームのように、前半一方的な展開でリードしても、最期は逆転を許すというのは、とても不思議なことです。

 名将アンディ・リードヘッドコーチを迎え、地区優勝も果たしたチーフスなのですが、プレーオフゲームでの弱さは解消されませんでした。
 
 一方、前半は決して好調には観えなかったタイタンズですが、後半はランニングバックRBデリック・ヘンリー選手やQBマリオタ選手のラン攻撃が機能し、結果としてベテランワイドレシーバーWRエリック・デッカー選手へのTDパスが決まるといった形で、持ち味を発揮しました。

 ハイズマン・トロフィーコンビである、QBマリオタ選手とRBヘンリー選手がついに本格化したとすれば、タイタンズも黄金時代を迎えることになるのでしょう。

 「王朝」を築いているニューイングランド・ペイトリオッツとのディビジョナルプレーオフでのタイタンズのプレーが、とても楽しみです。
[2017年12月31日・week17・M&Tバンクスタジアム]
シンシナティ・ベンガルズ31-27ボルチモア・レイブンズ

 レギュラーシーズン最終のweek17、レイブンズはこの試合に勝てば3シーズンぶりにプレーオフに進出できる立場に居ました。
 そして、第4クオーターQ試合時間残り1分を切った時点で27-24とリードしていました。

 ホームのファンも自分のチームの勝利を信じて疑わず、大声援を送り続けていたのです。

 ベンガルズの攻撃。
 第4Q残り時間53秒。
 ボールはレイブンズ陣49ヤード。フィールドのほぼ中央。
 4thDOWN・12ヤード。ギャンブルトライ。ファーストダウン獲得に向けては、相当に厳しい状況ですが、試合時間残り53秒なら当然のギャンブル。

 クオーターバックQBアンディ・ドルトン選手からワイドレシーバーWRタイラー・ボイド選手へのパス。
 これが、ワイドオープンで決まり、ボイド選手はそのまま走り、タッチダウンTD。

 ベンガルズの逆転へのトライが見事に決まったのです。

 試合はこのまま終了し、レイブンズはプレーオフ進出を逃しました。

 「堅い守備」を伝統としているレイブンズですが、このプレーではその威力を全く発揮することが出来ませんでした。

① ブリッツを仕掛けず。

 「この1プレーで今季が決まる」という大事な大事なプレーで、レイブンズ守備陣はQBブリッツプレーを行いませんでした。

 ブリッツに人数を投入することで、パスを通されてしまうことを警戒したのかもしれません。そういう考え方もあるでしょう。

 しかし、やや弱気では無かったか。
 「シーズンを決めるプレー」ならば、QBドルトン選手に圧力をかけるという選択の方が、チームに勢いが付いたのではないか。
 レイブンズにとっては、本当に惜しまれるプレーでした。

② ボールウオッチャー

 ドルトン選手からのこのパスが投じられた時、レイブンズ守備陣の各プレーヤーが「ボールウオッチャー」になっていたように観えました。足も止まり、ボールの行方を観ていたのです。

 キャッチ後のボイド選手の前進に対する反応が一瞬遅れる原因も、このウオッチだったと思います。
 次のプレーを予測する、そして事前に対応するという行動を大きく阻害するのが、ウオッチなのです。ボールウオッチャーになった時、プレーヤーは心身ともに機能停止するのでしょう。

 NFLという世界最高の舞台、世界最高水準のプレーヤー達をもってしても発生してしまう「ボールウオッチャー」の怖さをまざまざと感じさせてくれた瞬間でした。

③ 守備陣のリーダー不在

 レイブンズがスーパーボウルSBを制した時、フィールドにはレイ・ルイス選手が居ました。
 SB史上初めて、ラインバッカーLBとしてMVPを受賞した名プレーヤーでしたが、レイ・ルイス選手は、この時のレイブンズ守備陣のリーダーであり、精神的支柱でした。

 現在のレイブンズには、レイ・ルイス選手に代わるような守備陣のリーダーが存在しません。

 頭書のプレーにルイス選手が居たら、どんなプレーコールを行い、どのように動いたのでしょうか。

 この試合のM&Tバンクスタジアム=レイブンズのホームフィールドは、気温氷点下7℃、風も秒速7~14mと「体感温度氷点下10℃以下」と冷え込んでいました。同スタジアムで史上最も寒いゲームだと報じられました。

 極寒の中で声援を送り続けたレイブンズファンにとっては、本当に寒い試合になってしまったのです。
[2017年12月26日・week16・リンカーンフィナンシャルフィールド]
フィラデルフィア・イーグルス19-10オークランド・レイダーズ

 NFC東地区の優勝を決め、カンファレンス首位を目指すイーグルスと、今季途中から失速しプレーオフ進出を逃したレイダーズの一戦は、第2クオーターを終えて7-7の同点となりましたが、第4Qに勝ち越しのタッチダウンTDを決めたイーグルスが勝利しました。
 今季の勢いの差を感じさせるゲームでした。

 このゲームでは、「滅多に観られないシーン」が現出しました。
 「30秒間に3回のターンオーバー」が発生したのです。

 インターセプトやファンブルによって生ずる「ターンオーバー」は、「試合の流れを変えるプレー」として、大きなインパクトを持っています。
 1試合で1~2回というのが、通常の発生ペースだと思います。

 当然ながら、各チーム、各プレーヤーは「ターンオーバーを絶対に回避」しなければなりませんし、プレーコールの大前提となっていることは言うまでも有りません。

 そのターンオーバーが、この試合では、短時間のうちに多発したのです。

 その異常事態?は、第3Q残り時間4分26秒、レイダーズの攻撃から始まりました。

 敵陣48ヤード地点からのレイダーズの攻撃。レイダーズが10-7とリードした局面でした。

 QBデレク・カー選手はセス・ロバーツ選手にパスを投げました。
 これをイーグルスのパトリック・ロビンソン選手がインターセプト。パスコースを予測していたような、鮮やかなインターセプトでした。

 ロビンソン選手のプレーによって、とても良いフィールドポジションからの攻撃権を得たイーグルスは、まずパス攻撃を行いましたが失敗。
 続いて第3Q残り4分5秒、ランニングバックRBジェイ・アジャイ選手のラン攻撃。この試合でTDも挙げて好調のアジャイ選手のラン攻撃はしっかりと前進し、イーグルスのチャンスは拡大したかに観えました。
 ところが、ファンブルしていたのです。
 レイダーズのレジー・ネルソン選手が、アジャイ選手の胸から「ボールを掻き出した」のです。凄いパワーでした。

 再びのターンオーバーとなって、攻撃権はレイダーズに移りました。戻りましたと言っても良いでしょう。

 第3Q残り3分55秒、RBマショーン・リンチ選手のラン攻撃。ゴリゴリ前進するリンチ選手のランプレーでした。
 これも前進を果たしたかに観えた瞬間、イーグルスの守備陣が群がりました。

 今度は、イーグルスのマイカル・ケンドリクス選手が掻き出したのです。
 なかなか観られない「リンチ選手のファンブル」でした。

 第3Q残り時間4分26秒から3分55秒までの30秒間の間に、3つのターンオーバーが生れた瞬間でした。

 30秒間・4プレーの内3プレーがターンオーバープレーというのは、滅多に観られないことです。
 3つめと4つめは連続しました。

 スポーツにおいては、時々ミラクルなことが起こりますが、「30秒間で3回のターンオーバー」というのも、NFLというフィールドにおいては信じられない出来事なのです。
[12月25日・week16・メルセデスベンツスーパードーム]
ニューオーリンズ・セインツ23-13アトランタ・ファルコンズ

 ナショナル・フットボール・リーグNFL2017~18シーズンも大詰めのweek16、プレーオフ進出を賭けた一戦、ナショナル・フットボール・カンファレンスNFC南地区の同地区対決は、セインツがファルコンズを終始リードして押し切りました。

 ファルコンズの強力なハイパーオフェンスを、第3クオーターQまでフィールドゴールFG1本に抑え込んだ、セインツ守備陣の頑張りが目立つ試合でした。ゴール前1ヤード以内からの攻撃を受けても、タッチダウンTDを許さなかったのです。
 もちろん、いくつかの幸運も有ったのですが、その幸運を活かすも殺すも自らのプレー次第なのです。(当たり前のことを書き、恐縮です)

 さて、この試合で、セインツのクオーターバックQBドリュー・ブリーズ選手(38歳)がパスによる獲得、通算70,000ヤードを達成しました。
 毎シーズン3,500ヤードを投げ続けて20年かかるという、気の遠くなるような記録です。

 NFL史上においても「70,000ヤード越え」は僅かに3人しか居ません。

 ペイトン・マニング選手、ブレット・ファーブ選手、そしてプリーズ選手なのです。

 加えて、この試合でブリーズ選手はもうひとつの大記録を更新しました。
 「12年連続4,000ヤード」です。

 もともと11年連続というNFL記録もブリーズ選手のみの記録であり、これを更新したのです。

 この2つの大記録が達成された頭書の試合は、「記録に残るゲーム」であり、ブリーズ選手とセインツの面々は、この試合を見事に勝利で飾ったのです。

① 身長183cmのQB

 ドリュー・ブリーズ選手の体格は、身長183cm・体重95kgと報じられています。

 NFLのQBとしては、身長が低いQBということになります。

 NFLのQBに臨まれるサイズは「6の6」と言われる6フィート・6インチですから198cm。2m近い身長が望ましいとされているのです。
 攻撃の司令塔として、「高い位置からフィールド全体を見渡す」ことができる、様々な方向にパスを投げること、相手守備陣の手の上から真っ直ぐなパスを投げること、等に高身長が有利といった面からの「6の6」なのでしょう。

 ところが、ブリーズ選手は183cmという、NFLのQBとしてはとても低身長にもかかわらず、NFL史上に燦然と輝く大記録を達成し、今後の活躍次第ではファーブ選手の71,838ヤード、ペイトン・マニング選手の71,940ヤードを塗り替える可能性も十分に有ります。

② 怪我・故障が少ないこと

 21世紀最初の年2001年にサンディエゴ・チャージャーズでNFLデビューを果たしたブリーズ選手は、以降17シーズンを積み重ねてきました。
 そして2006年にセインツに移籍し、ここから「4,000ヤード/1シーズン」記録がスタートし、現在に至っているのです。

 NFLのQBとして、1シーズンでも4,000ヤード越えを達成することは凄いことだと思いますが、それを12シーズン継続するというのは偉大という他は無く、ある意味では「奇跡的なこと」でしょう。

 ブリーズ選手の人並み外れた運動神経や身のこなしの素早さ、等々の個人的な能力の高さは言うまでも無く、NFLのQBとして史上屈指のプレーヤーであることは間違いないのですが、そうした選手でもギリギリのプレーの中では、何が起こるか分からないのか「世界最高のフィールド」でしょう。

 「天才同士のコンタクト」は、常人の想像を遥かに超えるものなのです。
 そうしたフィールドで、毎試合スターターとしてプレーしながら、大きな怪我や故障と無縁と言うのは、それ自体が賞賛の対象となります。
 試合前の準備、試合後のメンテナンスも、とても丁寧かつ的確な処置が施されていることも、想像に難くありません。

③ 素晴らしいプレーの数々

 ブリーズ選手のパフォーマンスの高さは、誰もが認めるところです。

 いわゆる「鉄砲肩」ではありませんが、そのパスは正確そのもの。コントロールの良さは、正に史上最高クラスでしょう。
 レシーバーの右肩・左肩、頭上・膝下、等々の投げ分けはもちろんとして、パスのスピード調整も極めて巧み。ターンボールがとても少ないと思います。
 特に「上から落とすパス」の上手さは、何度見ても感動させられます。
 「20cm長ければレシーバーが捕れず、50cm短ければ相手守備プレーヤーにインターセプトされてしまう」といったパスを、1試合に何度も眼にするのです。

 また、いわゆる「モバイルQB」ではありませんが、ポケット内での移動、ポケットを出るタイミングや無駄の無い動きは、相手守備陣からすると「とても捕まえにくいQB」ということになります。
 もちろん、「とても捕まりにくいQB」だからこそ、70,000ヤードを達成できるのですけれども・・・。

 ドリュー・ブリーズ選手は、既に2008年にスーパーボウルSBを制しています。
 
 とはいえ、NFL史上に燦然と輝く「稀代のパサー」としては、2歳年上のトム・ブレイディ選手(SB制覇5回)等と比べれば、SB優勝回数では物足りない感じがします。ご本人も、もっと勝ちたいと考えていることでしょう。

 今季プレーオフにおける、セインツとブリーズ選手の活躍が期待されます。
 NFL2017~18シーズンは12月31日、レギュラーシーズンのweek17=各チームにとっての第16戦・最終戦を終え、ポストシーズン=プレーオフに進出するチームが決まりました。

 シーズン開始早々に全勝チームが無くなり、混戦模様だったレギュラーシーズンでしたが、プレーオフ進出チームも最後まで縺れました。予想されていたこととはいえ、近時では珍しい大混戦でした。

 week17においても「番狂わせ」を感じさせる試合が続きました。

[リンカーン・フィナンシャル・フィールド]
ダラス・カウボーイズ6-0フィラデルフィア・イーグルス

 まさに「ロースコアゲーム」となりました。クオーターバックQBカーソン・ウェンツ選手を失ったイーグルスにとっては、カンファレンス・シード1位チームとはいえ、プレーオフに向けて心配が募る「零敗」でした。

[メルセデスベンツ・スタジアム]
アトランタ・ファルコンズ22-10カロライナ・パンサーズ

 スーパーボウルSB2017進出チームであり、今季も優勝候補の一角とされていたファルコンズでしたが出遅れ、なかなか調子が上がりませんでした。
 最終戦も同地区の強豪パンサーズが相手でしたから、これを勝ち切るのは難しいのではないかと感じていましたが、QBマット・ライアン選手を中心とした攻撃陣が、後半に力を発揮して勝利し、ギリギリの第6シードでプレーオフに滑り込みました。
 もともと地力が高いことは間違いありませんから、他のプレーオフ進出チームにとっては「怖い存在」になることでしょう。

[レイモンド・ジェームズ・スタジアム]
タンパベイ・バッカニアーズ31-24ニューオーリンズ・セインツ

 NFL史上屈指のQBドリュー・ブリーズ選手が中心となり、売出し中のランニングバックRBアルビン・カマラ選手を擁して、今季好調なゲームを続けて来たセインツが、最終戦でバッカニアーズに敗れました。「まさか」という感じではないでしょうか。
 この試合では、第1クオーターQを14-7とリードしながら、第4Qに18失点しての逆転負けでした。

[ロサンゼルス・メモリアルコロシアム]
サンフランシスコ49ers34-13ロサンゼルス・ラムズ

 プレーオフに向けてメンバーを落として臨んだゲームとはいえ、ホームでの「完敗」というのは、ラムズファンにとっては残念なことでしょう。
 特に守備陣の出来が悪く、第1・2Qにそれぞれ10失点ずつを献上して、一方的なゲームとなりました。

 上位チーム、第3シード以下ながら既にプレーオフ進出を決めていたチームが、コンディション作りの為にメンバーを調整したという面もあると思いますが、番狂わせが続いたweek17でした。

 さて、プレーオフが始まります。

 1月6日(土)、AFCはチーフスVSタイタンズ、NFCはラムズVSファルコンズ
 1月7日(日)、AFCはジャガーズVSビルズ、NFCはセインツVSパンサーズ

 という組合せとなりました。

 特にNFCの2ゲームが注目でしょう。
 今季安定した試合運びを魅せて、SB進出候補と言われているラムズと、ようやく調子を上げてきたファルコンズとの対戦は、まさに「互角」でしょう。スペシャルプレーの考案を始めとして、両チームのスタッフの力が試されます。
 セインツとパンサーズのゲームは、現在のNFLを代表するQB対決となりました。
 「史上最強のモバイルQB」キャム・ニュートン選手と、「70,000ヤードQB」ドリュー・ブリーズ選手の対決は、まさに見所満載です。

 両カンファレンスの第1シード、第2シードでは、AFCのペイトリオッツとスティーラーズ、NFCのバイキングスが注目されます。
 強豪チームが「準備万端」で、勝ち上がってくるチームを迎え撃つことでしょう。

 それにしても、両カンファレンスのチャンピオンシップゲームに進出するチームを予想することがこれ程難しいシーズンも珍しいと思います。

 今季のNFLポストシーズンゲームは、例年以上の「死闘」(例年、レギュラーシーズンとは別物と言える文字通りの死闘ですから、想像を絶します)が展開されることになります。
[12月12日・week14・ハードロックスタジアム]
マイアミ・ドルフィンズ27-20ニューイングランド・ペイトリオッツ

 ペイトリオッツが今シーズンの地区優勝に王手をかけて迎えたゲームは、予想外の展開となり、ドルフィンズが終始試合を支配しました。

① 第1クオーターQのペイトリオッツのゲインは僅か2ヤード

 タイトエンドTEグロンコウスキー選手を出場停止で欠き、ワイドレシーバーWRアメンドラ選手の不調も響いたのでしょうが、それにしても前半のペイトリオッツの攻撃は精彩を欠きました。
 ちょっと信じられないような拙攻が続いたのです。

 クオーターバックQBブレイディ選手のパスが決まりません。

 それどころか、「滅多に観られない」インターセプトも献上する始末。
 
 物凄い攻撃力というよりは、安定した攻撃力を身上とするペイトリオッツ、QBトム・ブレイディ選手としては、まさに珍しいクオーターでした。

② 1試合で2つのインターセプト

 この試合でQBブレイディ選手は、第1Qと第3Qにひとつずつ、計2つのインターセプトを献上しました。

 2つとも、ドルフィンズのハワード選手のプレーでした。前第13節のゲームで、自身初めてのインターセプトを成し遂げたハワード選手は、何か「インターセプトの秘訣」を掴んだかのような活躍でした。

 ブレイディ選手は今季、week13までの12試合でインターセプトが僅か4と、NFL全体でも最高の成績を残していましたから、1試合2つというのは変調と言わざるを得ません。
 それも、レシーバーのミスというより、QBの投げミス・判断ミスといった方が良いプレーでした。沈着冷静かつ抜群のコントロールを誇るブレイディ選手としては珍しいゲームでした。

③ 短いパスが使えない時のペイトリオッツオフェンス

 前述の通り、このゲームにはTEグロンコウスキー選手が出場していませんでした。加えて、WRアメンドラ選手が不調だったのです。

 グロンコウスキー選手もアメンドラ選手も、ロングパスを受けることももちろんありますが、5~10ヤードくらいのパスを確実に受けるケースも多いのです。
 この「5~10ヤードくらいのパス」による前進が、ペイトリオッツオフェンスのアクセントとなり、リズムを創っていると感じます。相手ディフェンスラインの裏側を横に走る、あるいは斜めに走るプレーで着実なゲインを図るプレーは、守備側としてはとても守り難いプレーでしょう。
 このプレーを交えることで、ペイトリオッツの攻撃がバラエティに富んだものとなっているのです。

 本ゲームでは、この大切なプレーがほとんど観られませんでした。
 ペイトリオッツオフェンスが機能しなかった大きな理由であろうと思います。

④ QBジェイ・カトラー選手とRBケニア・ドレイク選手の好調

 本ゲームでは、ドルフィンズのカトラー選手とドレイク選手が、とても良いプレーを魅せてくれました。

 QBカトラー選手は、263ヤードを投げて3タッチダウンTDを奪いましたし、ランニングバックRBドレイク選手は、25回のキャリーで114ヤード走るとともに、5回のパスレシーブで79ヤードを獲得しています。
 ドレイク選手は、ランとパスキャッチ計193ヤードのゲインですから、このゲームのドルフィンズオフェンスのキープレーヤーであったことは間違いありません。

 QBカトラー選手も、その持ち味を存分に発揮しました。「走りながらのパス」というのはQBにとっては難しいプレーですが、このゲームのカトラー選手は変幻自在。
 絶妙の間合いで、それぞれのプレーを展開したのです。ゲームごとの出来不出来の波が大きいと批判されることもありますが、「良い時のカトラーは凄い」のです。

 さて、この敗戦を受けて、QBトム・ブレイディ選手の対ドルフィンズの成績は7勝9敗となりました。
 21世紀に入って「ペイトリオッツ王朝」と呼ばれる時代を牽引しているQBの成績としては、意外なほどに悪い数字です。正確に調べたわけではありませんが、「負け越しているチームはドルフィンズだけ」なのではないでしょうか。

 これはもう、「苦手」というより「天敵」という感じすらします。

 その理由を考えてみました。
 戦術的な問題は無さそうです。もし、戦術的な面からの「苦手」があるとすれば、到底「王朝」など築けるはずがないからです。

 ひょっとすると「めぐり合わせ」なのかもしれないと思います。

 本ゲームでも、グロンコウスキー選手を欠き、アメンドラ選手も本来のコンディションでは無かったために、オフェンス力が削がれました。
 21世紀に入ってからのドルフィンズ戦において、時折こうした「ボトムの状態」の場合が多かったのではないか、と考えたのです。

 そうでなければ、史上最多スーパーボウル制覇5度という記録を誇り、NFLにおけるQBの記録を次々と塗り替えているトム・ブレイディ選手が、これほど苦戦するはずがないと思います。
 ましてや、ベリチックヘッドコーチHCとのペアなのですから、チームとしての取組が「緩む」ということも考えにくいのです。

 いずれにしても、トム・ブレイディ選手とペイトリオッツがドルフィンズを苦手にしていることは確かです。
 
 スポーツの世界には不思議なことがいくつもありますが、この「苦手」も最上級の不思議と言って良いでしょう。
[12月17日・甲子園球場]
日本大学フェニックス23-17関西学院大学ファイターズ

 大学アメリカンフットボール界で、最も歴史と伝統を誇るカードとなった2017年の甲子園ボウルでしたが、日大フェニックスが第2クオーターQ以降の効果的な攻撃と、堅い守備で関学ファイターズを下しました。

 このところ関西勢が優勢(2007年~16年まで10連勝)だった甲子園ボウルですが、久し振りに関東勢が制した形です。

 20世紀には互角以上に関東勢が強かった甲子園ボウルですが、1991年以降関西のチームの勝率が飛躍的に上がり、いつの間にか「甲子園ボウルは関西勢が強い」ということになったのは、「強化のための情報が普遍化した過程」を考慮すると、少し不思議な感じがします。
 1990年代以降は、関西各チームの取組が関東を大きく上回ったということになるのでしょう。

 1991年以降2017年までの27度の開催で、関東勢は僅か5度しか勝っていません。
 1997年が引分両校優勝でしたから、この間は「関西23度優勝・関東5度優勝」ということになり、1947年開始の大会の通算が関西40度・関東28度の優勝となっていますから、1990年以前は関東勢が優勢な大会であったことが分かります。

 その関東勢優位の時代の中心にいたチームが日大フェニックスでした。
 篠竹幹夫監督のもと、徹底したショットガン戦法で勝ち続けたのです。

 その篠竹氏が亡くなったのが2006年ですから、関東勢としてはそれ以来の甲子園ボウル制覇ということになります。

 2017年のゲームも関学ファイターズ優勢で始まりました。
 ファーストドライブでタッチダウンTDを挙げて7-0とリード。その後日大がTDを返しましたが、ポイントアフタータッチダウンのキックを失敗して7-6となりました。
 こうした「1点」は、後になって効いてくるものなのです。

 堅い守りを誇るファイターズが、このまま優位に試合を進めるかに見えました。

 この流れを打ち破ったのは、日大のクオーターバックQB林大希選手でした。

 「モバイルQB」という言葉がありますが、林選手の走力、特にトップスピードに乗った時の走りは、これはなかなか止まらないという印象でした。
 これまでの我が国の数々の先輩モバイルQBと比較しても、その「まっすぐに走るスピード」は抜けた存在でしょう。

 関学守備陣としては、オプションのひとつとしての「林選手のラン」を注視し続ける必要がありますから、とても守り難い状況が続いたと思います。
 タイプとレベルは異なりますが、NFLにおいてパンサーズのQBキャム・ニュートン選手を相手にする守備陣に似ている状況かもしれません。

 身長174cm・体重80kgと決して大きくは無い林選手ですが、まだ1年生です。
 1年生で史上初めてミルズ杯受賞に輝いた林選手が、日大フェニックスでどのようなキャリアを積み上げて行ってくれるのか、とても楽しみです。
[11月27日・week12・ロサンゼルスメモリアルコロシアム]
ロサンゼルス・ラムズ26-20ニューオーリンズ・セインツ

 ナショナル・フットボール・カンファレンスNFC・南地区の首位セインツと西地区の首位ラムズが激突したゲームは、ラムズが終始リードして試合を支配し、そのまま押し切りました。

 連勝を重ねてきた好調なチーム同士のゲームらしい、見所一杯のゲームでした。

 大ベテランというか、NFL史上屈指の実績を誇るクオーターバックQBドリュー・ブリーズ選手と、2年目・2016年ドラフト全体1位のQBジャレッド・ゴフ選手の対決も見事なものでした。
 1年目は「NFLの厚い壁」に跳ね返された感のあったゴフ選手でしたが、2年目には潜在能力の高さを存分に発揮しています。既に「一流QB」の風格さえ漂わせているのです。

 このゲームのもうひとつの見所は、両チームの「若き」ランニングバックRB対決でしょう。
 セインツのアルビン・カマラ選手とラムズのトッド・ガーリー選手です。

 ガーリー選手は2015年ドラフトでラムズに入り3年目、カマラ選手はルーキーという、これからの両チームを支えていくであろう「新進気鋭」のプレーヤーです。

 ガーリー選手が身長185cm・体重103kg、カマラ選手が身長178cm・体重98kgですから、サイズ的にはガーリー選手の方がひと回り大きいことになります。

 ふたりとも相応の体重なのですが、NFLのフィールドに立つと「スキニー」に感じるところが、NFLの凄さでしょうか。

 ふたりとも「ガンガン・ゴリゴリ行く」タイプのRBではありません。
 守備陣とコンタクトした後、そのパワーで距離を稼ぐタイプでは無いのです。

 カマラ選手は柔軟な走りを魅せます。
 カットバックでも、例えばエイドリアン・ピーターソン選手の様に「眼にも留まらぬ」カットというのではなく、「するり」と抜けていく感じ。「捕まらない技術」が高いようにも観えます。不思議な?技術です。
 この試合でも、相手のタックルプレーを「飛び越え」ていましたから、ジャンプ力はもちろんとして、凄まじいレベルの身体能力を具備していることも間違いありません。

 一方のガーリー選手はスピード十分な走りを魅せます。
 カマラ選手よりは「直線的な走り」ですが、巧みにコースを選択して、瞬間的な加速力を活かしているという感じでしょうか。効率的に距離を稼ぐ走りと言っても良いかもしれません。

 ともにパワータイプでは無いのですが、ふたりの走りは「異なる味わい」なのです。

 また、ふたりとも、現在のNFLのRBに期待される役割である、「ボールを持って走る」+「パスを受けて走る」プレーにも力を発揮します。
 頭書のゲームでも、ガーリー選手は74ヤードのランと54ヤードのパスレシーブ、計128ヤードをゲインしていますし、カマラ選手は87ヤードのランに101ヤードのパスレシーブ、計188ヤードをゲインしているのです。
 「走り」の技術・スキルが高いプレーヤーですから、パスキャッチ後のランによるゲインが期待されるのは、自然なことです。

 さて、ふたりの走りの「味わいの違い」ですが、不思議なもので、非パワータイプの過去の名選手とも違うように観えます。
 例えば、マーカス・アレン選手やエミット・スミス選手のプレーと、カマラ選手、ガーリー選手のプレーは、やはり異なるのです。
 プレーヤー毎の個性といえば、そうなのでしょうが、世界最高レベルのフィールドにおいても個性が光るというのは、凄いことだと思います。
 逆に言えば、そういうプレーヤーでなければ、NFLにおける「一流」にはなれないのかもしれません。

 2017~18年シーズンは、「若手RBの豊作のシーズン」なのかもしれません。(若手QBも豊作ですが・・・)

 このふたりに、カンザスシティ・チーフスのカリーム・ハント選手を加えた3プレーヤーは、「若手RB三羽烏」(古い言い方で恐縮です)と言っても良いのかもしれません。

 ハント選手、カマラ選手、ガーリー選手が、NFLにおけるRBの新しい歴史を創っていくことは、間違いないことの様に見えます。
 NFLの国際化戦略の一環として実施されているインターナショナルシリーズですが、2017年はロンドンで4試合、メキシコシティで1試合の計5試合が行われました。

 インターナショナルシリーズ自体は2007年に始まり、2012年まではロンドン・ウェンブリースタジアムで1試合だけが行われ、2013年には2試合、2014年・2015年は3試合、2016年は4試合、2017年は5試合と、着実に試合数が増えてきています。

 一方で、開催地はイギリスのロンドンとメキシコのメキシコシティの2箇所ですから、近時はインターナショナルシリーズという呼称よりも、ロンドンゲームズ、メキシコゲームと呼ばれるようになっていると思います。

 2017年の5試合は、ロンドン・ウェンブリースタジアムで2試合、ロンドン・トゥイッケナムスタジアムで2試合、メキシコシティ・アステカスタジアムで1試合という内訳です。
 サッカーの聖地ウェンブリー、ラグビーの聖地トゥイッケナム、そしてサッカーの歴史的な試合が開催されてきたアステカという、他競技の世界的スタジアムを使用しているのです。

 いずれの試合も「大入り満員」ですし、ロンドンでの開催は11年目ということもあり、ファンの応援の様子も随分と「垢抜けて」きたように感じます。
 
 さて、2017年の5試合ですが、「一方的」なものが多かったように観えます。

 当然のことながら、NFLの国際化戦略の一環として実施されている以上、そのカード選定には細心の注意が払われていると見るのが普通でしょうし、「面白い試合になりそうな」カードが組まれている筈です。
 しかし、現実には一方的なゲームになっているのです。

① 9月24日 ウェンブリースタジアム
ジャクソンビル・ジャガーズ44-7ボルチモア・レイブンズ

② 10月1日 ウェンブリースタジアム
ニューオーリンズ・セインツ20-0マイアミ・ドルフィンズ

③ 10月22日 トゥイッケナムスタジアム
ロサンゼルス・ラムズ33-0アリゾナ・カージナルス

④ 10月29日 トゥイッケナムスタジアム
ミネソタ・バイキングス33-16クリーブランド・ブラウンズ

⑤ 11月19日 アステカスタジアム
ニューイングランド・ペイトリオッツ33-8オークランド・レイダーズ

 スコアだけを見ても、接戦に近いのは④のバイキングスVSブラウンズ戦ですが、これとて第2クオーターQまでは1点差のゲームでしたけれども、後半はバイキングスの一方的な展開となっています。

 NFLの醍醐味のひとつである「残り試合時間数分からの攻守の応酬」は、残念ながら全く観られなかったのです。

 27-27の引分まで有り、接戦が多かった2016年のゲームとは、全く異なる様相となってしまいました。

 特に「不思議」なのは、零敗ゲームが2つも有ることです。2/5というのは、いかにも高率でしょう。

 一般的に「強力な攻撃力」を具備しているチームが多いNFLにおいては、「点の取り合い」になることが多いのですが、ドルフィンズもカージナルスも「為すすべなく」敗れています。

 「やり慣れていないフィールド」では勝手が違ったのでしょうか。

 一方で、海外公式戦初登場のペイトリオッツとクオーターバックQBトム・ブレイディ選手は、「いつものような」攻撃を展開し、いつものように30点以上を挙げています。
 プレーの様子も、ジレットスタジアムにおけるものと何ら変わらない感じがしました。
 改めて「ペイトリオッツ王朝」の強さを見せつけたゲームとなったのです。

 これはもちろん、基本的なチーム力の高さを示しているのでしょうけれども、「準備の良さ・精緻さ」の結果でもあろうと思います。
 ベリチックヘッドコーチは、2300m以上の高地にあるアステカスタジアムを十分に研究していたのではないでしょうか。

 他のスポーツでも同様でしょうが、アメリカンフットボールのチームが移動する際には、とても多くの「人」「物」が動く必要があります。
 ましてや、普段行っていない国でゲームを行うとなれば、その負担は一層大きなものとなるのでしょう。
 ロンドンゲームズで、ウェンブリーで2試合、トゥイッケナムで2試合を、連続して行っているのも、そうした理由からであろうと想像します。
 とはいえ、2007年から連続して行われているのですから、そのノウハウも相当に蓄積されてきていることでしょう。

 「東京ゲーム」「大阪ゲーム」「名古屋ゲーム」といった、日本での開催実現が待たれるところです。
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