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 スーパーボウル2019はニューイングランド・ペイトリオッツの6度目の優勝で幕を閉じました。
 アメリカンフットボール競技最高峰のゲーム、アメリカ合衆国最大のスポーツイベントは、今回も数多くのドラマを提供してくれました。

 さて、スーパーボウルが終了して、アメリカンフットボール界は「休息期間」に入りました。

 このオフシーズンを利用して、KaZブログとしてはアメリカの「カレッジフットボール」について書いてみたいと思います。
 前々から書いてみたいと考えていたテーマです。

 不思議なことに、21世紀に入ってから、我が国ではアメリカのカレッジフットボールについての情報やゲームのテレビ放送が減ってきているように感じますので、上手く書けるかどうか自信はありませんが、お楽しみいただければと思います。

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 アメリカ合衆国において、カレッジフットボールの人気は「絶大」です。

 もちろん、プロのフットボール、特にNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の人気の高さは、皆様ご承知の通りですが、感覚的には「NFLに勝るとも劣らない人気」が、カレッジフットボールには有ると思います。

 特に、NFLのチーム(全32チーム)が無い州(全米50州ですから多くの州にNFLのチームが無いのです)においては、最も人気が高いスポーツのひとつとして、存在感が大きく、秋から冬のアメリカ合衆国を彩るビッグイベントとなっています。

 各「州」の独立性が高く、それぞれの州がひとつの独立国といった見方もあったアメリカにおいては、カレッジフットボールにおいても「我らが州の大学チーム」という意識が高く、19世紀以降長い間「全米大学NO.1チームを決める大会・試合」は行われていませんでした。

 そうした状況下で、「我らがチームが、他の州のチームと戦う試合」として、高い地位を誇っていたのが、本編における「20世紀の4大ボウルゲーム」なのです。

 私がアメリカンフットボールを観始めた1970年代、アマチュア最高峰としての「4大ボウルゲーム」の存在感は抜群でした。

 元旦1月1日になると、時には日本においてもゲームのテレビ放送が行われ、いかにもアメリカ合衆国らしい華やかな絵が、日本のお茶の間にも流されたのです。(20世紀の4大ボウルは原則として1月1日に行われたと記憶しています)

 その4大ボウルとは、
① ローズボウル(1902年開始)
② シュガーボウル(1935年開始)
③ オレンジボウル(1935年開始)
④ コットンボウル(1937年開始)
です。

 ローズボウルは、歴史と伝統を誇る4大ボウルの中でも最も古く1902年開始です。
 そして、21世紀の現在でも「アメリカのカレッジフットボールを代表するゲーム」であろうと思います。

 カリフォルニア州バサディナのローズボール・スタジアムを会場として開催されるボウルゲームですが、その収容人員は92000人余という、世界一のスポーツ大国アメリカにおいても、全てのスポーツ競技を通じて最大級のスタジアムなのです。

 これまでに計5回、NFLスーパーボウルの会場ともなっています。(第11回・1977年、第14回・1980年、第17回・1983年、第21回・1987年、第27回・1997年。現在の様に各地に巨大なドームスタジアムが無かった時代には、スーパーボウル会場の選定に当たって当日の天候がとても大事な要素でしたので、「天気の良い日が多い」屋外スタジアムが会場に選ばれることが多かったのです。カリフォルニア州パサディナは「晴れる日」がとても多い地域なのです)
 アメリカンフットボール以外でも、1994年サッカーFIFAワールドカップ・アメリカ大会決勝、ブラジルVSイタリアの試合もローズボール・スタジアムが会場でした。
競技を問わず、世界最高峰の試合が開催される、まさに「アメリカを代表するスタジアム」と言って良いでしょう。

 また、ローズボウル開催に伴って「恒例のパレード」が会場近辺で行われるのですが、このパレードもとても有名です。パレード好きのアメリカの人々からも注目される程の、素晴らしいパレードなのです。

 さて歴代の優勝チームの中では、USC(南カリフォルニア大学)とUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が印象に残っていますが、これは私がローズボウルに最も興味を持っていた時期が1970年代から80年代であり、その頃この2チームが強かったということなのでしょう。
 ちなみにこの時期(1970年から1989年)、USCトロージャンズは7回ローズボウルで勝利していますし、UCLAブルーインズは4回勝っています。その後もUSCは2017年にも勝つなど、ローズボウルの名門チームとして活躍を続けていますが、一方のUCLAは1986年を最後に勝っていませんし、1999年が最後の登場(この時はウィスコンシンに敗れました)となっていますので、21世紀の両チームは対照的な成績となっているのです。
 それにしても、USCトロージャンズのマーチングバンドは、その軍隊風の装束と言い、演奏の上手さ・華やかさと言い、とてもカッコ良いと思います。

 思い出は尽きませんが、ローズボウルがアメリカを代表するスポーツイベントのひとつであることは、間違いないでしょう。

 続いては、ルイジアナ州ニューオーリンズで開催されるシュガーボウルですが、これは「その2」で・・・。
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 NFL2018~19シーズンのポストシーズン、NHK・BS-1放送のワイルドゲーム中継の中で、「NFL2004年ドラフト上位の4プレーヤー」に付いての説明が有りました。

 「データ大好き」のアメリカ合衆国のスポーツにおいては、試合中継の最中でも、とても興味深い情報が提示されます。
 
 この情報は、ボルチモア・レイブンズVSロサンゼルス・チャージャーズのゲームの中で提示されました。チャージャーズのクオーターバックQBフィリップ・リバース選手に関する情報だったのです。

 2004年のドラフトに登場した選手達は、もし2005年シーズンからNFLにデビューしたとすれば既に15年目のベテランプレーヤーです。同期には、引退した選手も多いことでしょう。

 こうした中で、この4プレーヤーはいまだ現役を続けて居るわけですから、「チームにとって大切な選手」であることは、間違いありません。チームにとって不可欠な選手でなければ、これ程長く現役を続けること=これだけ長くチームに必要とされて契約をつづけること、は出来ないことは自明です。

 その4プレーヤーは、以下の通り。

[2004年NFLドラフト]
・1順目・全体1位 イーライ・マニング選手(QB) ニューヨーク・ジャイアンツ
・1順目・全体3位 ラリー・フィッツジェラルド選手(WR) アリゾナ・カージナルス
・1順目・全体4位 フィリップ・リバース選手(QB) ロサンゼルス・チャージャーズ
・1順目・全体11位 ベン・ロスリスバーガー選手(QB) ピッツバーグ・スティーラーズ

 錚々たるというか、NFLを代表するプレーヤーが並んでいます。

 NFLドラフトにおいて「1順目」に指名されるというのは、全米の大学あるいは高校のアメリカンフットボーラーのトップに位置づけられているプレーヤーです。
 アメリカ合衆国で最も人気のあるスポーツのひとつであるアメリカンフットボールの、最高のプロリーグであるNFLは大学・高校他のプレーヤーにとって憧れの的ですから、そのドラフトにおいて「1順目指名」を受けるというのは、大変な名誉ですし、当該プレーヤーの能力の髙さを証明することでもあります。
 ましてや、各チームの「1位指名」ということですから、日本プロ野球NPBのドラフト1位指名選手を見ても、その価値の大きさが分かると思います。

 とはいえ、ドラフト1順目指名を受け入団したプレーヤーと言えども、順調にNFLデビューを飾り、チームの中心選手として活躍するというのは「至難の技」であることも、NPBを観ても容易に想像できることでしょう。
 ドラフト上位でプロのチームに入ったとしても、活躍できずに引退して行くプレーヤーの方がずっと多いのです。

 そうした状況の下で、2004年ドラフトにおける、前述の4プレーヤーの活躍は「見事」の一語でしょう。
 「ドラフトの当たり年」と言っても良いのかもしれません。

 「全体1位」の大看板を背負ったイーライ・マニング選手は、「2度のスーパーボウル制覇」という素晴らしい成績を誇り、現在もジャイアンツの主戦QBです。お兄さんのペイトン・マニング選手と比較されることも多いのですが、こと「スーパーボウルでの成績」となれば、互角、あるいは「お兄さん以上」との声もありそうです。大舞台でミラクルなプレーを披露するタイプのプレーヤーなのです。

 全体3位のワイドレシーバーWRラリー・フィッツジェラルド選手は、押しも押されもしない「カージナルスの大看板」です。信じられないようなパスレシーブと、受け手からの前進力は、いまだ衰えることを知りません。NFLのWRには素晴らしい選手が数多く居ますが、その実績は文句のつけようがないのは当然として、35歳となった現在でも身体能力の髙さは類を観ないレベルでしょう。
 フィッツジェラルド選手は、2008年のスーパーボウルにも出場しています。

 全体11位のQBベン・ロスリスバーガー選手も「スーパーボウル2度制覇」を誇ります。
 前述のフィッツジェラルド選手が出場した、2008年の第43回スーパーボウルでカージナルスと対戦したのがスティーラーズで、このゲームは27-23の接戦となり、スティーラーズが勝ちましたが、この時のQBがロスリスバーガー選手でした。
 NFLにおいても、人気の高いチームであるスティーラーズの主戦QBを、36歳になった今でも務めているというのは、凄いことです。
 「ビッグベン」と称される、NFLを代表するQBなのです。

 そして、全体4位指名を受けたフィリップ・リバース選手も、NFL屈指のQBとして37歳になった現在も、チャージャーズの中心選手として活躍を続けています。
 記録を挙げれば切りが無い程のプレーヤーですが、この試合で採り上げられた理由は、この4プレーヤーの中で「唯一スーパーボウル出場経験が無い」という視点からでした。

 これ程素晴らしいQBでありながら、まだスーパーボウルに出ていないというのは「不思議な話」であり、今季はそのチャンスでもあるという意味なのでしょう。(残念ながら、出場はなりませんでした)

 それにしても、この「2004年ドラフト上位の4プレーヤー」には、全くと言って良いほど「引退」の話がありません。
 これが、何より凄いことなのでしょう。
 
 スーパーボウル2019に向けてのポストシーズンゲームは全て記事にしようと考えていました。ひとつだけ残っていましたので、ここで採り上げようと思います。

[1月13日・メルセデスベンツ・スーパードーム]
ニューオーリンズ・セインツ20-14フィラデルフィア・イーグルス

 NFL2017~18シーズンのスーパーボウルを制覇し、2018~19シーズンのワイルドカードも勝ち抜いて、2シーズンに渡り「ポストシーズン負け無し」だったイーグルスに、ついに土が付いたゲームです。

 ミラクルなゲームを続けてきた「ニック・フォールズ劇場」も終演を迎えたのです。

 このゲームの第1クオーターQは、「劇場の継続」を観るようでした。
 クオーターバックQBフォールズ選手のパスと自身のランによって2つのタッチダウンTDを奪い、イーグルスが14-0とリードしたのです。

 QBドリュー・ブリーズ選手を中心とした強力なセインツオフェンスを零封した、イーグルス守備陣も、さらなる勝利に向けて、十分に機能していたのです。

 第2Q以降も、イーグルスディフェンスは良くセインツの攻撃を押さえ続けましたが、一方でイーグルス攻撃陣は、第2Q以降「神通力を失い」ました。
 第1Qの攻防から、セインツ守備陣が適応し、結局第2~4Qにかけて、イーグルスは無得点でした。

 イーグルス守備陣の堅い守りに苦しんだセインツでしたが、さすがに「百戦錬磨」のQBブリーズ選手は、ここぞというパスを決めて、第2Q以降着実に得点を重ね、イーグルスを押し切ったのです。

 苦労しながらとはいえ、2つのTDパスを通したQBドリュー・ブリーズ選手は「さすが」の一語。パスオフェンスの権化のような存在でしょう。

 さて、セインツはチャンピオンシップゲームに駒を進めましたが、ラムズとのオーバータイムOTの激戦の末敗れてしまい、惜しくもスーパーボウルに進出できなかったことは、皆さんご存知の通りです。
 
[2月3日・アトランタ・メルセデスベンツスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ13-3ロサンゼルス・ラムズ

 両チーム合わせて「16得点」という、史上最少得点のロースコアゲームとなった、第53回スーパーボウルでした。
 
 チャンピオンシップゲームから2週間の間、両チームはオフェンスとディフェンスを磨き上げてきたのでしょうが、今回は「スーパーボウルへの準備におけるディフェンス面の準備がオフェンス面を凌駕した」のです。

 ゲーム開始早々、ペイトリオッツ自慢の攻撃陣は、クオーターバックQBトム・ブレイディ選手の下ランプレーを駆使してファーストダウンを重ね、前進しました。オープニングドライブ・タッチダウンTDを目指しての順調な立ち上がりに観えたのです。
 ラン攻撃を繰り返しながら着実に前進した攻撃において、QBブレイディ選手がこのゲームにおける最初のパスを投じた時、ラムズ守備陣がこれをインターセプトしたのです。
 集中力抜群の素晴らしいプレーでした。

 「百戦錬磨」、スーパーボウルにおいてNFL史上最高の実績と経験を誇るトム・ブレイディ選手が、このタイミングでインターセプトを受けるとは「夢にも思わなかった」のではないでしょうか。
 ラムズ守備陣は、ブレイディ選手にとっても衝撃的なプレーを披露したのであろうと思います。

 歓喜に沸いたラムズベンチでしたが、QBジャレット・ゴフ選手と共に、「インターセプトの勢いを乗せての攻撃」に入りましたが、散々の結果でした。
 ペイトリオッツ守備陣はラムズ攻撃陣に何もさせなかったのです。
 準備万端の「計算し尽くされた守備」に観えました。
 
 ペイトリオッツのゲーム前の準備において、ラムズの攻撃が「丸裸」にされていると、ゴフ選手も実感したことでしょう。
 この後、ラムズオフェンスは様々なバリエーションの攻撃を仕掛けますが、少なくとも前半は悉く潰されました。「3アンドアウト」の連続だった印象です。

 ビル・ベリチックHCヘッドコーチを始めとするペイトリオッツスタッフのゲーム前準備の精度・クオリティの高さは定評の有る所ですが、スーパーボウル2019に対する「守備面の準備」は、ベリチックHCの素晴らしいキャリアの中でも屈指のものであったと感じます。
 世界最高レベルのゲームに対して、これ程の準備が出来るものなのだと、改めて感心するばかりでした。

 精緻な研究をベースに、熟考の上で構築された守備プレーを、ラインバッカーLBハイタワー選手やバンノイ選手、ストロングセイフティSSパトリック・チャン選手、フリーセイフティFSデビン・マコーティ選手らが躍動しました。
 ラムズオフェンスに対して「先手を打ち続けた」のです。

 さて、守備面で完璧な対応を魅せたペイトリオッツでしたが、攻撃陣ではラムズ守備陣の「凄まじい抵抗」に遭いました。
 ラムズの守備陣は、スーパーボウルにおいて「史上最高の経験値を誇るペイトリオッツの攻撃」を抑え込み続けたのです。
 こちらの守備は、ペイトリオッツとは異なり、「個々のプレーヤーの気迫と頑張り」をベースとしたものに観えました。これはもう「スーパーボウル制覇に向けての執念」が具現化したようなプレーでした。

 少し種類は異なりますが、両チームのとてもレベルの高い守備プレーによって、ゲームは史上稀に見るロースコアゲームとなったのです。
 「火花が飛び散るような守り合い」でした。

 結果として、両チーム合わせて「14本ものパント」が飛び交うゲームとなりました。
 ペイトリオッツが5本、ラムズが9本でした。

 今季のポストシーズン、チャンピオンシップとディビジョナル計6ゲームの平均パント数は「8.17本」でした。6ゲーム中最もパントが多かったのはディビジョナルプレーオフゲーム、コルツVSチーフス戦で、コルツが7本、チーフスが4本のゲームでしたが、スーパーボウルはこれをも3本上回ったのです。
 2018年のスーパーボウルにおいては、両チーム合わせて「パントが1本」という、これも記録的にパントが少ないゲームだったのですが、それとは好対照のゲームであったことが分かります。

 そして、「個々のプレーヤーの気迫とスピード」をベースにしたラムズの守備に、僅かに疲労が観えた第4Q、ペイトリオッツの攻撃がようやく実り、10点を挙げて勝ち切ったというのが、第53回スーパーボウルだったのでしょう。

 その攻撃とて、QBブレイディ選手からワイドレシーバーWRエデルマン選手やタイトエンドTEグロンコウスキー選手へのパスという、ペイトリオッツにとっての「定番の鉄板プレー」、最も「信頼できるプレー」の積み上げ、それも「伸るか反るか」のギリギリのプレー、インターセプトされても何の不思議もないプレーの連続の中から、このゲーム唯一のTDが生れたのです。

 僅かに疲労が観えたとはいえ、ラムズ守備陣は最後まで機能し、QBトム・ブレイディ選手を中心としたペイトリオッツ攻撃陣は、その「史上最高の勝負強さ」を示したように感じます。

 このゲームの主役であった、ラムズ守備陣の先発ラインアップを記録しておきます。
 スーパーボウルの歴史に刻まれる守備陣です。

陣形の前から
① ノーズタックルNT エンダマカン・スー選手
② ディフェンスタックルDT 左マイケル・ブロッカーズ先選手、右アーロン・ドナルド選手
③ ラインバッカーLB  左アウトサイドラインバッカーOLBダンテ・ファウラー選手、右OLBサムソン・エブーカム選手、左インサイドラインバッカーILBコリー・リトルトン選手、右ILBマーク・バロン選手
④ コーナーバックCB 左マーカス・ピーターズ選手、右アキブ・タリブ選手
⑤ ストロングセイフティSS ジョン・ジョンソン選手
⑥ フリーセイフティFS ラマーカス・ジョイナー選手

 本当に素晴らしいイレブンでした。
 その健闘に、惜しみない賞賛を送りたいと思います。

 それにしても、メルセデスベンツスタジアムはペイトリオッツを応援する観客の方が圧倒的に多かったと感じます。まるでペイトリオッツのホームの様な有様でした。
 ラムズの攻撃の際の「雑音」がもの凄かったのです。

 一方のチームのファンにチケットが偏ることが無い筈の「スーパーボウルのチケット配布方法」なのですが、結果としてはペイトリオッツを応援する観客がとても多いゲームとなったのです。
 最後はこの「応援量の差」が、ペイトリオッツを後押ししたようにも観えました。

 この「応援量の差」を生んだのが「ペイトリオッツ王朝の歴史の積み上げ」であったとすれば、第53回スーパーボウルの勝利は「王朝の遺産」から生まれたものと言えるのかもしれません。
 第53回スーパーボウルは、ペイトリオッツが13-3でラムズを破り優勝しましたが、両チーム合わせて「16得点」は、スーパーボウルの史上最少得点でした。

 2018年、イーグルスがペイトリオッツを41-33で破った第52回が、攻撃面での最高記録ずくめのゲームであったことと対照的に、スーパーボウル2019は「両チームの守備が見事に機能したゲーム」だったのです。

 スーパーボウルにおける「ロースコアゲーム」を観て行きましょう。(第1回から第4回のAFL-NFLチャンピオンシップ時代のゲームは含まれていません)

① 2019年 ペイトリオッツ13-3ラムズ
② 1973年 ドルフィンズ14-7レッドスキンズ
③ 1975年 スティーラーズ16-6バイキングス
④ 1972年 カウボーイズ24-3ドルフィンズ
⑤ 2006年 スティーラーズ21-10シーホークス
  2008年 ジャイアンツ17-14ペイトリオッツ

 総得点の少ないゲーム順に、5位タイまでを挙げました。
 ペイトリオッツとスティーラーズが2回ずつ登場していますので、この両チームはロースコアゲームが得意というか、ロースコアゲームで十分に戦えるチームと言って良いのかもしれません。

 また、直ぐにお気づきのことと思いますが、1970年代にロースコアゲームが数多く記録されています。
 スーパーボウル創生時期の70年代は、スーパーボウルにおいて「失点を最少にした上で勝ち切る」という戦略のチームが多かったとも言えるのでしょう。
 とはいえ、21世紀に入ってからも、点の取り合いというゲームばかりでは無く、しっかりとした守り合いのゲームも存在しています。やはり、両チームのゲームに対する戦略が、結果に大きく反映されているのであろうと感じます。

 それにしても第53回は、前半を終えて「3-0」、第3クオーターQを終えて「3-3」という、「ローエストゲーム」と呼びたくなるほどの「守備が勝った」ゲームでした。

 「第3QまでタッチダウンTDを観ることができなかったスーパーボウル」として、長く語り継がれるゲームだったのでしょう。
[2月3日・アトランタ・メルセデスベンツスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ13-3ロサンゼルス・ラムズ

 ロースコアゲームとなった第53回スーパーボウルは、第4クオーターQに1タッチダウンTD、1フィールドゴールFGを挙げたペイトリオッツがラムズを振り切り勝利しました。

 両チームのディフェンスDFがとても良く機能した試合であろうとは思いますが、忙しさもあって、試合全体の録画映像を観ることができていないので、試合内容へのコメントは「ゆっくりとじっくりと観てから」にしようと思います。(皆様からとても遅れた視聴ですが、本当に楽しみです)

 今回は、ペイトリオッツの「6度目の制覇」についてです。

 スーパーボウルの最多制覇記録は6度です。

 この記録は、ピッツバーグ・スティーラーズとペイトリオッツが保持しています。

 1970年代に、クオーターバックQBテリー・ブラッドショー選手やランニングバックRBフランコ・ハリス選手、ワイドレシーバーWRリン・スワン選手といった錚々たるメンバーを擁し、チャック・ノールHCヘッドコーチのもとで全盛期を迎えたスティーラーズは、2度の連覇で4度のスーパーボウル制覇を成し遂げ、その後21世紀に入って2度の制覇の合計6度の制覇としています。

 一方のペイトリオッツは、20世紀に2度のスーパーボウル出場は果たしましたが、残念ながら制覇はなりませんでした。
 そして2001年、「ペイトリオッツ王朝」が幕を開けます。
 ビル・ベリチックHCとQBトム・ブレイディ選手を中核とした「王朝」は、2001年から2019年に至るまで、NFLの主役として存在し続け、9度のスーパーボウル出場・6度の制覇という、信じられないような成績を残してきたのです。
 「同一王朝」にて6度の制覇というのは、ペイトリオッツ王朝自体が来シーズン以降も記録を積み上げていかない限り、空前絶後の記録であろうと思います。

 そもそも、同じHCとQBのコンビによって18シーズン続けて、ひとつのチームが運営されること自体が滅多に無いことですし、その18シーズンの内9シーズンでスーパーボウルに進出するということは想像を絶する実績ですし、同じHCとQBにより6度のスーパーボウル制覇が成し遂げられるというのも、まさにミラクルなこととしか言いようが有りません。(形容の仕様が無いほどに凄いことです)

 同じコンビによるスーパーボウル制覇という視点で、この実績に比較しうるのは、前述のチャック・ノールHCとQBテリー・ブラッドショー選手のスティーラーズと、ビル・ウォルシュHCとQBジョー・モンタナ選手のサンフランシスコ・フォーティナイナーズ49ers=1980年代の49ersの2チームでしょうが、それとて制覇回数は、ペイトリオッツ6度、スティーラーズと49ersが4度(1989~90年シーズンの49ersはHCが途中で代わりましたので3.5度と言った方が良いかもしれません)と、ペイトリオッツが圧倒しています。

 やはり、このコンビは「空前絶後」なのでしょう。

 さらに驚くべきは、このコンビには「引退」という話が皆無ということでしょう。

 NFL史上に燦然と輝く「ペイトリオッツ王朝」は、まだまだ続きそうです。

 スーパーボウル2019を戦う、ニューイングランド・ペイトリオッツとロサンゼルス・ラムズの両チームが、開催地であるアトランタに入ったと、1月27日に報じられました。

 両チームともに1週間前の現地入りということです。
 当然ながら、「時間がいくらあっても足りない」状況下で、本拠地で戦略・戦術を練りに練って現地入りしてきたのでしょうから、現地においても「どうしても1週間の時間が必要」であることは、間違いありません。
 アメリカ合衆国最大のスポーツイベントに臨むに際して、「たった2週間しか」時間が無いのですから、1分1秒を無駄にしない取組の連続であることは、容易に想像できます。

 どれ程のデータベースと、どれ程の最高の頭脳、そしてどれ程のAIが駆使されているのかは、想像も付きません。おそらく、私達の想像の100倍、いや1000倍の苦心惨憺が行われているのでしょう。

 さて、スーパーボウル2019の展望です。

 レギュラーシーズンの成績を観れば、
① ペイトリオッツ 11勝5敗 総得点436・総失点325 対NFC3勝1敗 
② ラムズ 13勝3敗 総得点527・総失点384 対AFC4勝0敗

 やはり全体としては、「攻撃のラムズ、守備のペイトリオッツ」という図式になりそうです。

 クオーターバックQBジャレット・ゴフ選手、ランニングバックRBトッド・ガーリー選手、C.J.アンダーソン選手、ワイドレシーバーWRジョシュ・レイノルズ選手、ブランディン・クックス選手、ロバート・ウッズ選手、キッカーKグレッグ・ズーライン選手等を主体としたラムズの攻撃陣は、今季NFL屈指の破壊力を保持していることは間違いないでしょう。

 もちろん、QBトム・ブレイディ選手、RBソニー・ミシェル選手、レックス・バークヘッド選手、WRジュリアン・エデルマン選手、ロブ・グロンコウスキー選手(タイトエンドTEですがWRとしての活躍が目立ちます)、ジェームズ・ホワイト選手、クリス・ホーガン選手等のペイトリオッツの攻撃陣も相当に強力ですが、得点力という面では、やはりラムズの方が一枚上であろうと思います。

 一方守備はと観れば、ラムズはディビジョナルプレーオフゲームで22失点、チャンピオンシップゲームで23失点と、ポストシーズンに入って相手チームを20点台前半に抑え込んでいます。
 ペイトリオッツは、ディビジョナルで28失点、チャンピオンシップで31失点となっているのです。ポストシーズンのペイトリオッツは「相手以上の得点を挙げる」形で勝ち抜いてきています。
 逆にラムズは、自慢の攻撃陣が30点未満に抑え込まれている状況下、守備陣が20点台前半の失点で凌ぎ、接戦を制している形なのです。

 両チームともに「レギュラーシーズンとは異なる試合ぶり」でスーパーボウルに進出してきているのです。

 さて、展望ですが、

・ほぼ「互角」の戦い
・僅かにラムズが有利

 と観ています。

 2001年から連綿と続くペイトリオッツ王朝は、「キッチリと管理された戦略・戦術」の下で、プレーヤー達が「一糸乱れぬプレー」を継続することで、王座を維持してきた歴史が有ります。
ベリチックHCとQBトム・ブレイディのコンビは、「これだけ勝利しても」奢ることなく、慢心することなく、飽くことなく、勝利を追い求める「凄まじい精神力」を具備しているのです。
 「ルイス・ロンバルディ・トロフィー」に対する執念という面で、これ程のコンビはNFLの歴史上にも他には存在しないでしょう。

 その名コンビをスーパーボウルで2度も破っているのは、ニューヨーク・ジャイアンツ、QBイーライ・マニングの攻撃でしょう。
 この攻撃は「予想を超えたミラクルなプレー」で構成されています。
 ペイトリオッツの想定を遥かに超える「有り得ないプレー」の連発の中で、王朝に土を付けているのです。

 ラムズのQBジャレット・ゴフ選手を中心としたオフェンスには、こうした「臭い」を感じます。
 ポストシーズンの2ゲームで体得した経験をベースとして、強固なディフェンスはそのままに、攻撃面でレギュラーシーズンの様な「自在」なプレーを披露することが出来れば、得点面で僅かにペイトリオッツを上回ることが出来るのではないでしょうか。

 第53回スーパーボウルは、まさに「互角」の戦いとなるでしょう。
 そして第4クオーターQの「超ミラクル」なプレーにより、ラムズが勝利を収めるような気がします。

 「スーパーボウルweek」でアトランタの街は沸き返っていることでしょう。
 その熱狂を味わってみたいものです。
[1月20日・アローヘッドスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ37-31カンザスシティ・チーフス

 NFCチャンピオンシップに続いてOTオーバータイム(延長)に縺れ込んだゲームでしたが、ペイトリオッツがタッチダウンTDを挙げて押し切りました。
 最後は、このゲームのペイトリオッツの戦略であった「ラン攻撃主体の攻め」が実った形です。
 ホーム・アローヘッドで戦い、「あと一歩」までペイトリオッツを追い込んだチーフスにとっては、本当に残念な結果となりましたが、「良く戦ったゲーム」であったと感じます。負けはしたものの「ポストシーズンに弱い」という定評を覆すに十分な内容でしょう。

 このゲームのポイントは第4クオーターQの攻防でした。

 第3Qを終ってペイトリオッツが17-7と2ポゼッションをリードしました。
 両チームの守備陣が踏ん張り、第1Q~3Qでは「爆発的な攻撃」を抑え込んできたのです。

 特にペイトリオッツ守備陣の「前掛かりな守り」、ブリッツを多用して、チーフスのクオーターバックQBパトリック・マホームズ選手にプレッシャーを掛け続けた守備は「迫力満点」でした。
 マホームズ選手は第3Qまでに4つのサックを喫し、持ち前の「異次元のハイパーオフェンス」はなかなか発揮できなかったのです。
 このまま持ち味を発揮できないままチーフスが敗れ去るようなら、「ポストシーズンに弱い」という酷評は残るだろう、と考えながら観ました。

 ところが第4Q、チーフスオフェンスは力を発揮したのです。

 まず、第4Qに入って早々にランニングバックRBデイミアン・ウィリアムズ選手への2ヤードTDパスを決めました。14-17の3点差としたのです。

 続いて、試合時間残り7分52秒、QBマホームズ選手は再びウィリアムズ選手に23ヤードのTDパスを決め、17-21と逆転しました。
 ついにゲームを引っくり返したのです。

 「常勝軍団」ペイトリオッツを相手にしての逆転は、チーフスに歓喜を齎しました。選手達はフィールド上で喜びのパフォーマンスを演じ、アローヘッドスタジアムには大歓声が響き渡りました。

 さて、逆転を許したペイトリオッツですが、試合時間は7分以上も残っていますから、こちらとしては「いつもの」逆転に向けてのプレーを開始しました。
 試合時間残り3分35秒、RBソニー・ミッチェル選手が10ヤードのTDラン。
 必死に守るチーフス守備陣を突き抜ける、スピード十分なランでした。
 ペイトリオッツが24-21と逆転したのです。

 再度の逆転を目指してQBマホームズ選手がフィールドに登場しました。
 そして、相手エンドゾーンに迫り残り2分6秒、RBウィリアムズ選手が2ヤードを抜き切りTD。
 チーフスが28-24と再度逆転したのです。

 「百戦錬磨」のQBトム・ブレイディ選手がフィールドに登場しました。
 当然ながら「2分もあれば」ブレイディ選手にとっては十二分でした。
 残り42秒、RBバークヘッド選手が4ヤードを走りTD。
 ペイトリオッツが31-28として再度再度逆転しました。

 さすがに試合は決まったと思いました。
 キッチリとゲームをマネジメントするペイトリオッツが、試合時間残り40秒で3点をリードしたのですから、残り時間の守備マネジメントを考慮してもチーフスの反撃は困難であろうと感じました。ペイトリオッツにとっては、プレーオフゲームにおける「いつもの3点差勝利」なのであろうと思ったのです。

 しかし「マホームズの切れ味」は、ペイトリオッツのベリチックHCヘッドコーチの想定をも超えるものだったのです。

 残り時間がとても少ない中で、チーフスは前進し、残り11秒キッカーKのハリソン・バッカー選手が39ヤードYのフィールドゴールFGを決めました。
 60分・4つのQを終えて、ゲームは31-31と振り出しに戻ったのです。

 このOTでペイトリオッツが勝ち切ったことは頭書の通りですが、この第4Qの攻防は、本当に素晴らしいものでした。「4度の逆転と1度の同点」が、第4Qを彩ったのです。
 若きQBマホームズ選手にとって、得ることが多い試合であったことでしょう。

 ペイトリオッツは「いつものようにスーパーボウルに進出」しました。
 これだけのシーズンを重ねても、「決して飽くことが無い」ベリチックHCとQBブレイディ選手の「勝利への執念」には、感心するばかりです。

 とても良いチームを創り上げつつあるチーフスには、来シーズンの捲土重来に期待します。
 
[1月20日・メルセデスベンツスーパードーム]
ロサンゼルス・ラムズ26-23ニューオーリンズ・セインツ

 セインツが先行し、ラムズが追いかけ、第4クオーターQ試合時間残り19秒で23-23の同点となったゲームは、オーバータイムOT(延長)でラムズが押し切りました。
 両チームが持ち味を発揮した素晴らしいゲームでした。

 このゲームの勝敗を決めたのは、ひとりのキッカーの高難度のフィールドゴールFG成功でした。
 ビックゲームにおける、「熟練の技」でしたが、ミラクルでした。

 第4Q試合時間残り1分45秒、セインツのキッカーKウィル・ルッツ選手が31ヤードYのFGを決め、23-20とリードした時には、さすがはクオーターバックQBドリュー・ブリーズ選手とショーン・ペイトンHCヘッドコーチの巧みなゲームマネジメントが功を奏したと感じました。

 しかし、ラムズは全く諦めていなかったのです。

 QBジャレット・ゴフ選手を中心とした攻撃陣の反撃が始まりました。
 強力なセインツ守備陣の抵抗にあいながらもじりじりと前進、何とかFGが可能なレンジまで到達しました。
 とはいえ「48Y」のFGトライ。
 このキックの成否により、闘いを続けられるかどうかか決まるという「プレッシャーの固まり」の様なFGに挑むのは、ラムズのKグレッグ・ズーライン選手。
 この環境ですから、レギュラーシーズンの成績など全く関係が無い、大袈裟に言えば「NFLプレーヤーとしてのキャリアを賭けたトライ」でした。

 恒例?の嫌がらせタイムアウトも入って、ズーライン選手のトライは続きます。
 
 セインツのホーム・メルセデスベンツスーパードームの大観衆が固唾をのんでというより、大騒音を発揮し続ける中、ショットはやや右側に飛び、ぎりぎりに入りました。
 ラムズにとっては「乾坤一擲」のFG成功。
 ゲームはOTに入りました。

 OT最初のセインツの攻撃を、ラムズ守備陣が抑え込みました。
 セインツオフェンスを抑え込んだことは、今季ラムズディフェンスの充実振りを如実に示していました。

 続くラムズオフェンスに対してのセインツディフェンスの抵抗も見事なもので、フィールドポジションを勘案すれば、ラムズはパントに追い込まれたように観えました。
 ところがパンターでは無く、Kのズーライン選手が登場したのです。

 60ヤード近いのではないかと思いましたが、「57ヤードのトライ」でした。スナッパーからの距離も、通常のFGトライより数ヤード短くセットされていたように観えましたが、それでも「57ヤード」というとても長いトライ。
 そもそも「届くのだろうか」と思いました。方向はもちろんとして、飛距離・シンを食うキックが必須というのですから、難度は増すばかり。

 蹴りました。

 ボールは真ん中を通過しました。
 距離的には、まだ少し余裕がある程の「スーパーショット」でした。

 ショーン・ペイトンHCの積極的なトライが見事に成功した瞬間でもありました。
 もし、この4thダウンのトライが失敗すれば、センターライン近辺という自軍にとってはとても苦しい、セインツにとってはとても良いポジションからの攻撃を許容することになるのですから、真の「賭け」だったのです。

 Kズーライン選手は、NFCチャンピオンシップゲーム2019において、ミラクルな2本のショットを決めました。

 決まるか決まらないかで、ゲームの勝敗が決するというショットを2本も決めるというのは、キッカー冥利に尽きるゲームであったことでしょう。

 NFCチャンピオンシップ2019は、Kグレッグ・ズーライン選手にとってのキャリア最高のゲームとなったのです。
 NFCナショナル・フットボール・カンファレンスとAFCアメリカン・フットボール・カンファレンスの、今季NO.1チームを決めるチャンピオンシップゲームが、1月20日に行われました。

[NFCチャンピオンシップ2019・メルセデスベンツスーパードーム]
ロサンゼルス・ラムズ26-23ニューオーリンズ・セインツ(延長)

[AFCチャンピオンシップ2019・アローヘッドスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ37-31カンザスシティ・チーフス(延長)

 共にオーバータイムOT(延長)に縺れ込む激戦となりましたが、NFCはラムズが、AFCはペイトリオッツが勝ち切りました。
 4チームの中で、どのチームがスーパーボウルに進出するのかは、最後の最後まで分からなかったのです。

 個々のゲームについては、今後書くことが有るかもしれません。

 ペイトリオッツのクオーターバックQBトム・ブレイディ選手とセインツのQBドリュー・ブリーズ選手という、NFLを代表するベテランQBと、ラムズのQBジャレット・ゴフ選手とチーフスのQBパトリック・マホームズ選手という、NFLの若手を代表するQBの対決は「1勝1敗」でした。

 ゴフ選手とマホームズ選手は共に、初のチャンピオンシップゲームでとても良く戦いました。

 後から行われたAFCチャンピオンシップの第4クオーターQにチーフスが逆転した時には、ラムズVSチーフスのスーパーボウルが観られるのではないかという展開でしたが、さすがに「ペイトリオッツ王朝」の壁は厚かったということでしょう。

 また、この2ゲームを通じては、各チームの「守備陣の頑張り」がとても印象的でした。
 
 20世紀のポストシーズンゲームは、「堅い守備」を前面に押し出したロースコアゲームが多かったのですけれども、2019年のチャンピオンシップゲームも当時に劣らぬ「堅守」を感じさせるものでした。
 
 「オフェンスもディフェンスも進歩している」状況下でも、やはり「堅守」無くしはカンファレンスチャンピオン獲得が不可能であることを、良く示してくれた2つのゲームであったとも思います。

 さて、第53回スーパ―ボウルは、ペイトリオッツとラムズの戦いとなりました。

 計算し尽くされたプレーの積み上げによってゲームを支配するペイトリオッツと、攻守のバランスがとても良いラムズは、ともに「スーパーボウルで戦うに相応しいチーム」です。

 最新鋭のメルセデスベンツ・スタジアムにおけるゲームは、「どのような映像を見ることが出来るのか」も含めて、とても素晴らしいものになるでしょう。

 決戦は2月3日です。
[1月12日・ロサンゼルスメモリアルコロシアム]
ロサンゼルス・ラムズ30-22ダラス・カウボーイズ

 NFCの人気チーム同士の対戦は、ラムズがカウボーイズを下しました。

 クオーターバックQBジャレット・ゴフ選手とダック・プレスコット選手、ランニングバックRBトッド・ガーリー選手とエゼキエル・エリオット選手、こうした対決にも注目が集まりましたが、試合全体を観れば「ラムズのラン攻撃がカウボーイズを上回った」印象です。

 ラムズは、エースRBガーリー選手とC.J.アンダーソン選手が共に活躍し、ガーリー選手が16度のキャリーで115ヤードをゲイン、1タッチダウンTD、アンダーソン選手が23度のキャリーで123ヤードをゲインし、2TDを挙げたのです。
 故障から回復途上のガーリー選手をカバーして余りある、アンダーソン選手の走りでした。

 一方、今季レギュラーシーズンにおいて1,434ヤードを走り、リーディングRBとなったエリオット選手は、20度のキャリーで47ヤードのゲインに止まりました。
 両チームの戦法の違いももちろんあるのでしょうが、このランゲインの差(ラムズ273ヤード、カウボーイズ50ヤード)は大きかったと感じます。

 今季「爆発的な攻撃」で勝ち進んできたラムズの攻めが実ったのが、第2クオーターQでした。
 第2Q開始早々にグレッグ・ズーライン選手のフィールドゴールFGで3点を返したラムズは、残り7分5秒にC.J.アンダーソン選手、残り3分35秒にはガーリー選手がランTDを挙げ、このクオーターで17得点、カウボーイズを0点に抑えて、前半を20-7で折り返したのです。
 この「13点差」が最後まで物を言ったゲームでした。

 全体として、インターセプトやファンブルが少ない「しっかりとしたゲーム」を両チームは繰り広げました。結果として、ラムズの方が強かったのでしょう。

 ラムズはNFCチャンピオンシップゲームに駒を進めました。

 「とてもバランスの良いチーム」がスーパーボウルを目指します。
[1月13日・ジレットスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ41-28ロサンゼルス・チャージャーズ

 ペイトリオッツは、特にポストシーズンに入ると、相手チームの特性に合わせて、様々なスペシャルプレーを披露します。
 もちろん、他のチームも事前準備は行うのですが、ペイトリオッツが用意する戦法のバリエーションの豊富さ・完成度の高さ、スペシャルプレーを繰り出すタイミング、等には、いつも感心させられます。
 このゲームも、プレーオフゲームに向けて「練りに練った戦法」が見事に当たったものとなりました。

 第1クオーターQと第2Qにおいて、ペイトリオッツは「ラン攻撃」を止めの戦法と位置づけ、ランニングバックRBにはソニー・ミシェル選手を立てました。
 クオーターバックQBトム・ブレイディ選手のパス攻撃主体と想定していたであろうチャージャーズにとっては、対応に手間取ったことでしょう。

 「変幻自在」という言葉がぴったりのペイトリオッツのラン攻撃が展開され、第1Qに2つのタッチダウン、第2Qに3TDを重ねて、前半だけで35得点を奪い、28点をリードしました。
 これでゲームの勝敗は決まったのです。

 第3Q以降は、インターセプトやキックオフリターンによるTDを回避し、十分に時間を使った攻撃を続けました。
 勝ち切るための「慎重さ」は、ペイトリオッツ本来のものです。
 決して「調子に乗る」ということが無いのが、ベリチックヘッドコーチHCとQBトム・ブレイディ選手なのです。

 第4Q、41-14とリードを広げてから、チャージャーズに2TD・14点を奪われましたが、「試合を終わらせるために攻撃をさせた」ようにさえ観える、ゲーム・マネジメントでした。
 危なげない勝利というのは、こういうゲームを指すのでしょう。

 ペイトリオッツらしくなかった?のは、得失点差でしょうか。
 「13点もの大差」でポストシーズンゲームを勝つのは、ペイトリオッツとしては珍しいことです。
 おそらくは、第1Q・第2Qの攻撃が、試合前の想定以上に上手く行ったのであろうと、勝手に想像しています。

 チャージャーズは、QBフィリップ・リバース選手を中心としたパスオフェンスで、自らのプレーを展開しました。
 リバース選手は331ヤードを投げて3TDを奪っていますから、まずまずの出来だったのです。
 しかし、リバース選手は51回パスを投げて25回しか成功していません。
 ペイトリオッツは、チャージャーズのプレー、QBリバース選手のパスプレーを研究し尽くし、十分な対策を講じて、ディフェンスを行ったのであろうと感じます。

 このゲームは、攻守とも「ペイトリオッツが想定した通り」の内容だったのではないでしょうか。

 「2001年から連綿と続くペイトリオッツ王朝」は、やはり「畏るべし」なのです。

[1月12日・アローヘッドスタジアム]
カンザスシティ・チーフス31-13インディアナポリス・コルツ

 初めてプレーオフゲームに臨んだ、チーフスのクオーターバックQBマホームズ選手でしたが、最初のプレーから持ち味を十分に発揮し、着々と得点を重ねて、チームを勝利に導いたのです。
 「ポストシーズンに弱い」筈?のチーフスにとって、これ以上ない「頼もしい」プレー振りでした。

 2017年ドラフトでチーフス入りし、2018年から主戦QBになったマホームズ選手にとって、最初のポストシーズンゲームがディビジョナルプレーオフという、とても重いものでしたが、「大きな舞台」でも怯むことは無いことを明示して魅せたのです。

 ワイルドカードプレーオフで強さを示したコルツディフェンスに対して、レッドゾーンまではパス主体、相手陣深く入り込みタッチダウンTDを狙う時にはラン主体という、見事な使い分け。
 このゲームでのQBマホームズのTDパスは0本でしたが、4つのTDを奪ったのです。

 まず第1クオーターQに、デイミエン・ウィリアムス選手のランと、タイリーク・ヒル選手のランで2TD。
 第2Qには、自らの4ヤードランでTDと、前半でフィールドゴールを含む24得点とゲームを支配しました。

 その後は手堅い試合運びで時間を消費し、第4Q残り2分32秒に、ダレル・ウィリアムス選手のランで止めのTDという、「落ち着き払った」マネジメントでした。
 
 「異次元」とも呼ばれる今季のチーフスオフェンスですが、守備陣の頑張りがこうした手堅い試合運びを可能にしたことも、間違いありません。
 「強力なオフェンスライン」を擁するコルツオフェンスを、特に第1Qでは見事に抑え込みました。
 コルツとしては、「雪が降る屋外フィールド」というのも影響したのかもしれません。(ホームスタジアムが屋内であるコルツはもともと屋外が苦手な傾向が有る上に、降雪があり、フィールド表面も荒れていました)

 さて、今季第1シードのチーフスは、AFCチャンピオンシップでペイトリオッツと戦うこととなりました。
 21世紀のAFCにおいて「スーパーボウルに進出するためには、どうしても打ち破らなければならない厚い壁」です。

 23歳のパトリック・マホームズ選手と41歳のトム・ブレイディ選手の対決は、今季ポストシーズンの最大の見所のひとつです。
 2月3日に行われる第53回スーパーボウルに向けての、NFL2018~19年シーズンのポストシーズンは、1月12日・13日の両日に、ディビジョナルプレーオフゲーム4試合が行なわれました。

 今季のポストシーズンに付いて、少しおさらいしておきましょう。(このところ毎季この形です)

① 2018年から行われたレギュラーシーズン・各チーム16試合の結果を踏まえて、アメリカン・フットボール・カンファレンスAFCの4地区16チームの地区優勝4チームと成績上位2チーム計6チームと、ナショナル・フットボール・カンファレンスNFCの4地区16チームの同6チームの、総計12チームがポストシーズンに進出しました。

② AFCとNFCのポストシーズン進出各6チームのレギュラーシーズン成績を比較し、上位から第1シード、第2シードの順で第6シードまでを決めます。

③ ワイルドカードプレーオフゲーム
 各カンファレンスの第3シードから第6シードまでの4チーム・計8チームが戦い、勝ったチーム、各カンファレンス2チーム・計4チームがディビジョナルプレーオフに進出します。

④ ディビジョナルプレーオフゲーム
 ワイルドカードプレーオフゲームに勝った4チームが、各カンファレンスの第1シード・第2シードのチームと戦います。各カンファレンス2チームずつが勝ち上がり、チャンピオンシップゲームに進出します。

⑤ チャンピオンシップゲーム
 AFCとNFCのチャンピオンチームを決めるゲームです。カンファレンスチャンピオンは、それだけで大きな栄誉です。

 そして、カンファレンスチャンピオンとなった2チームが、今季ナショナル・フットボール・リーグNFLのチャンピオンを決めるゲーム「スーパーボウル」に進出します。

 各カンファレンスのチャンピオンチーム(日本プロ野球で言えば、セントラルリーグ・パシフィックリーグの優勝チームのようなものです)は、当然のことながら、とても尊重されますので、スーパーボウルに出場すること自体が大変な名誉であり、出場したプレーヤーには「第○回スーパーボウル出場」とキャリアに記されます。

⑥ スーパーボウル
 AFCとNFCのチャンピオンチームが覇を競う、世界一のスポーツ大国アメリカ合衆国においても、最大のスポーツイベントです。

 ご存じの方には退屈な記述だったと思いますが、念のため簡単に「おさらい」しました。

 さて、話を戻しましょう。

 今季のディビジョナルプレーオフゲームの結果です。

[AFC・1月12日・アローヘッドスタジアム]
カンザスシティ・チーフス31-13インディアナポリス・コルツ

[NFC・1月12日・ロサンゼルスメモリアルコロシアム]
ロサンゼルス・ラムズ30-22ダラス・カウボーイズ

[AFC・1月13日・ジレットスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ41-28ロサンゼルス・チャージャーズ

[NFC・1月13日・メルセデスベンツスーパードーム]
ニューオーリンズ・セインツ20-14フィラデルフィア・イーグルス

 AFC第1シード・チーフス、第2シード・ペイトリオッツ、NFC第1シード・セインツ、第2シード・ラムズの、シード上位4チームが全て勝ち上がりました。
 かつては「ワイルドカードからの勢いのあるチーム」が勝ち上がることも珍しくなかったのですが、近年は上位シードチームの強さが目立つようになってきました。
今季はその典型でしょう。

 ポストシーズンはサドンデスの戦いであり、怪我も厭わない凄まじいプレーが続きますので、「本気の戦い」とも言われますから、従来はあまり差が付かないこと多かったのですが、今季ディビジョナルプレーオフでは「3点差以内のゲーム」は有りませんでした。
 上位シードチームがレギュラーシーズンでの戦い振りをプレーオフでも魅せた形ですし、しばらくゲームが無かったことに伴う「試合勘」の問題も見事にクリアしています。
 ヘッドコーチを始めとするスタッフの努力が感じられますし、NFL各チームにポストシーズンゲームの戦い方についてのノウハウが蓄積されつつあるようにも感じます。

 4つのゲームの中では、セインツを相手にしたイーグルスが第1クオーターQに2つのタッチダウンTDを挙げて、一気に14-0とリードしたのが「戦いを続けて来たチームの勢い」を感じさせるものでした。
 第2Q以降、セインツが冷静に逆転したのは、さすがという他はありません。

 この4ゲームの個々の内容については、別途書くことが有るかもしれません。

 カンファレンス優勝チームを決めるチャンピオンシップゲームは、以下の通りに開催されます。

[AFC・1月20日]
カンザスシティ・チーフスVSニューイングランド・ペイトリオッツ

[NFC・1月20日]
ニューオーリンズ・セインツVSロサンゼルス・ラムズ

 NFLを代表するベテランQB、セインツのドリュー・ブリーズ選手とペイトリオッツのトム・ブレイディ選手は共に、既にスーパーボウルを制しているなど、実績十二分なスーパープレーヤーです。

 この偉大なる2人のスーパースターに挑むのは、チーフスのQBパトリック・マホームズ選手とラムズQBジャレッド・ゴフ選手です。共に、若手QBの代表格であり、今季の活躍は見事なものでした。

 「新旧対決」となる、2つのチャンピオンシップゲームから眼が離せません。

 個人的には、QBマホームズ選手とチーフスの戦いに期待しています。
 これまで「ポストシーズに弱い」と酷評されてきたチーフスが、ペイトリオッツ王朝を相手に、その歴史を変える戦いを魅せてくれるのでしょうか。
[1月6日・ソルジャーフィールド]
フィラデルフィア・イーグルス16-15シカゴ・ベアーズ

 ナショナル・フットボール・カンファレンスNFC北地区1位のベアーズと東地区2位のイーグルスのワイルドカードは、イーグルスが1点差で勝利しました。

 クオーターバックQBミッチェル・トゥルビスキー選手を中心とした、得点力十分な攻撃陣と「伝統」の守備陣を擁し、レギュラーシーズンを12勝4敗としたベアーズが相当有利なのではないかと、戦前見られていたゲームでした。
 そして第4クオーターQ残り時間9分9秒、QBトゥルビスキー選手のタッチダウンTDパスが決まって15-10と逆転した時には、ホーム・ソルジャーフィールドのベアーズファンは「勝利を確信」したことでしょう。

 ベアーズ守備陣は、その後のイーグルスの攻撃を良く凌ぎましたが、第4Q残り1分1秒、ついにQBニック・フォールズ選手からワイドレシーバーWRゴールデン・テイト選手へのパスが決まって、イーグルスが16-15と再逆転しました。

 残り時間は1分を切っていましたから、ベアーズとしては相当に追い込まれた状況でしたが、点差は僅かに1点、フィールドゴールFG3点で逆転可能でしたから、地元ファンの大声援を背にベアーズ攻撃陣が奮起、タリク・コーエン選手の見事なキックオフリターンから、相手陣25ヤードまで前進しました。

 43ヤードのフィールドゴールトライは、短くは無いものの、NFLのキッカーであれば十分に決められる距離です。
 試合時間残り10秒=イーグルスに反撃の余裕を与えない時間となって、キッカーのコーディ・パーキー選手が登場しました。

 この試合、前半のベアーズの得点はFGによるものでした。パーキー選手は既に3本のFGを決めていたのです。4本目を決めればベアーズの勝利、8シーズンぶりにポストシーズンに登場し、地元ファンが待ちに待ったプレーオフでの勝利が目前に迫りました。

 パーキー選手のキックは成功しました。(後から見れば1度目のトライ)
 しかし、キック直前にイーグルスからのタイムアウト申請が有って蹴り直しとなったのです。
 NFLでは「恒例」の嫌がらせ?です。

 そして2度目のパーキー選手のキック。
 これが左のポストを直撃し、手前に跳ね返ってしまいました。
 ベアーズファンの「悲鳴」がソルジャーフィールドに響き渡りました。

 ベアーズにとっては「悪夢」のような幕切れでした。

 イーグルスにとっても「信じられないような」結果でしょう。自陣ゴール前25ヤードまで前進を許した時には、半ば諦めていた勝利が転がり込んだのですから。
 日本流にいえば「勝負は下駄を履くまで分からない」のです。

 QBカーソン・ウェンツ選手でシーズンを開始し、終盤にQBニック・フォールズ選手に交替してポストシーズンを勝ち進むという「イーグルス・システム」?は、2017~18年シーズンにはスーパーボウル制覇に結びつき、今季も「信じられないような」ワイルドカードゲーム勝利を生みました。

 イーグルスはディビジョナルプレーオフゲームで、南地区1位・第1シードのニューオーリンズ・セインツと戦います。
 QBドリュー・ブリーズ選手を中心とした、圧倒的な攻撃力を誇るチームを相手にして、この「イーグルス・システム」がどのような威力を発揮するのか、とても楽しみです。
[1月5日・AT&Tスタジアム]
ダラス・カウボーイズ24-22シアトル・シーホークス

 実力伯仲の人気チーム同士の対戦は、カウボーイズが第4クオーターQの2つのタッチダウンTDでリードを奪い、シーホークスの反撃を1TDに抑えて勝ち切りました。

 ゲームは全体としてカウボーイズのペースでした。
 ファーストダウン獲得数はカウボーイズ23回、シーホークス11回、総獲得ヤードもカウボーイズ380ヤード、シーホークス299ヤードだったのです。
 カウボーイズのラン攻撃が上手く行き、対照的にシーホークスのランはなかなか出ませんでした。

 しかし、シーホークスは巧みな試合運びで互角の戦いを繰り広げました。
 第3Qには、クオーターバックQBラッセル・ウィルソン選手のランでTD、2ポイントコンバージョンも成功させて14-10とリードを奪いました。
 この試合でQBウィルソン選手は、3回のキャリーで14ヤードのゲインと、本来の動きは発揮できなかった(作戦として、走る回数を減らしたのかもしれません)のですけれども、「ここぞ」という場面では、NFLを代表するモバイルQBの力を示した形です。

 そして、続く4Qの残り時間12分32秒と同2分14秒に、カウボーイズはTDを挙げて逆転しました。
 この2つのTDは共に、QBブレスコット選手のランを中心に、ゴール前にシーホークスを押し込んで奪い取ったTDであり、このゲームの流れをついに物にした形でしょう。

 NFL屈指の人気チームであるカウボーイズが、ディビジョナルゲームに進出しました。

 テキサス州のみならず、全米のファンの盛り上がりは、大変なものでしょう。
 ロサンゼルス・ラムズとの対決が楽しみです。
[1月6日・M&T BANKスタジアム]
ロサンゼルス・チャージャーズ23-17ボルチモア・レイブンズ

 実力伯仲の戦いは、チャージャーズのフィールドゴールFGによる得点の積み重ね、特に第2クオーターQまでに4本のFGを成功させて、前半を12-0とリードしたことが大きく、そのまま押し切ったゲームであったと思います。

 NFLを代表するクオーターバックQBのひとり、フィリップ・リバース選手を中心とするチャージャーズのハイパーオフェンスと、守備の強さをチームカラーとするレイブンズのディフェンスが正面からぶつかった、見ごたえ十分なゲームでした。

 あのQBリバース選手が、このゲームにおいてパスで獲得したのは160ヤード。リバース選手としては、とても少ない数字です。
 レイブンズ伝統のディフェンスが良く機能したのです。

 一方で、タッチダウンTDを挙げるのが困難と見たチャージャーズは、第1Q残り時間7分3秒に21ヤード、同残り1分14秒に53ヤード、第2Q同3分26秒に40ヤード、同4秒に34ヤードのFGを決めました。
 両チームの守備陣が、良く頑張っていた中で、3×4=12点はとても重いものとなったのでしょう。

 チャージャーズは、第4Q残り9分14秒に5本目のFGを決め23-3として、試合を優位に進めました。
 この後、レイブンズが2TDを決めて14点を返したのですけれども、この「20点差」をひっくり返すことは出来なかったのです。

 ゲームを通してみれば、チャージャーズのディフェンスも良く機能したことが分かります。
 売出し中のモバイルQBラマー・ジャクソン選手のランも、9回のキャリーで54ヤードゲインに抑え込んでいます。試合前の守備戦略構築と実行が、とても上手く行ったのでしょう。

 チャージャーズはワイルドカードを勝ち抜きました。
 得意ではないであろうロースコアゲームを、勝ち切ったのです。

 もともと攻撃力には定評のあるチームですので、ニューイングランド・ペイトリオッツとのディビジョナルゲームでは、持ち味のハイパーオフェンスを披露すべく、準備を進めていることと思います。
 チャージャーズにも、十分にチャンスがあります。
[1月5日・NRGスタジアム]
インディアナポリス・コルツ21-7ヒューストン・テキサンズ

 アメリカン・フットボール・カンファレンスAFC南地区の同地区対決となったゲームは、レギュラーシーズン10勝6敗で地区2位だったコルツが、11勝5敗で首位だったテキサンズを破って、ディビジョナルプレーオフへの進出を決めました。

 エースクオーターバックQBアンドリュー・ラックの故障に伴う不在により、昨シーズン不振を極めたコルツでしたが、今季序盤もなかなか勝てず、レギュラーシーズンを1勝5敗という悲惨な成績でスタートしました。
 「今季もダメか」と思われましたが、そこから驚異の復活を魅せたのです。
 その後の10試合を9勝1敗の好成績で乗り切り、week17最終戦を勝てばプレーオフ進出というゲームも、タイタンズを33-17で下しました。

 1勝5敗からのプレーオフ進出はNFLのタイ記録でした。

 QBラック選手は、「ずーっとポストシーズンゲームを戦っていたようなシーズンだった」と回顧し、「この勢いで勝ち進みたい」とも語りました。

 一方のテキサンズも、自慢の守備陣に加えて、モバイルQBデショーン・ワトソン選手を中心とした攻撃陣が充実し、地区1位でのプレーオフ進出を果たしていましたから、注目の同地区対決となったのです。

 テキサンズのディフェンスプレーヤーと言えば、ラインのJ.J.ワット選手とラインバッカーのジェイデビオン・クロウニー選手が「2枚看板」です。
 今レギュラーシーズンでも、ワット選手がQBサック16回、クロウニー選手が同9回と、2人で25サックという、相手QBにとっては「とんでもない」プレーヤーが左右から襲い掛かってきたのです。

 このゲームでも、QBラック選手を守るコルツ・オフェンスラインと、襲い掛かるワット選手・クロウニー選手の対決が、見所のひとつでした。

 結果としては、「コルツ・オフェンスラインの勝ち」と言って良いでしょう。
 ダリウス・レナード選手を始めとするオフェンスラインは、ラック選手に十分なプレー時間を齎しつつ、サックの危険からも守り切りました。
 ワット選手やクロウニー選手を見事に封じて魅せたのです。
 戦前の守備プランが良かったことも間違いないところでしょう。

 ポケットの中で十分な時間を与えられれば、QBアンドリュー・ラック選手はNFL屈指のパス能力を存分に発揮できます。第1クオーターQ、第2Qと正確なパスが良く決まりました。
 そして、第1Qに2本、第2Qに1本のタッチダウンTDを奪ったコルツが、前半を21-0でリードしたのです。

 今レギュラーシーズンでの対戦成績は1勝1敗であり、2ゲームとも3点差以内の接戦だったのですが、このゲームはコルツの一方的なゲームとなりました。
 戦前の予想を大きく裏切る展開となったのです。
 会場がテキサンズのホーム・NRGスタジアムでしたから、テキサンズの攻撃が失敗する度に、場内には第1Qからブーイングが響きました。

 熱狂的な地元ファンの大声援を背に、しかし、テキサンズのオフェンスは上手く行きませんでした。第3Qまで、テキサンズオフェンスが零封されるというのは、本当に予想外だったのです。
 もちろん、コルツ守備陣の大活躍があったことは言うまでもありません。
 
 ゲームを通じて、コルツの「攻守に渡る落ち着き払った試合運び」が印象的でした。

 コルツはディビジョナルプレーオフでカンザスシティ・チーフス(第1シード・西地区1位)と戦うこととなりました。
 23歳・売出し中のQBパトリック・マホームズ選手を中心に、とても強力な攻撃力で第1シードを獲得したチーフスは、今季こそ「ポストシーズンに弱い」という情けない定評を覆そうとゲームに臨んでくることでしょう。

 2012年ドラフト全体1位、当時のコルツにとって「ペイトン・マニングの再来」とも評されたアンドリュー・ラック選手が、先輩QBとしてどのようなプレーを魅せるのか、見所十分なゲームが待っています。

[week17・2018年12月30日・M&Tバンクスタジアム]
ボルチモア・レイブンズ26-24クリーブランド・ブラウンズ

 レギュラーシーズン最終戦・week17のゲームを勝って、レイブンズはポストシーズン進出を決めました。
 第4クオーターQのブラウンズの反撃を凌いでの勝利でした。

 このゲームで際立ったのは、レイブンズのルーキークオーターバックQBラマー・ジャクソン選手の活躍でした。それもパスプレーでは無く、ランプレーでの活躍だったのです。

 このゲームでQBジャクソン選手は179ヤードを投げましたが、タッチダウンTDパスを挙げることは出来ませんでした。一方で、20回のキャリーで90ヤードを走り、2つのTDを挙げました。
 ランニングバックRBプレーヤー顔負けの走りでした。

 ジャクソン選手のランは、トップスピードまでの加速が素晴らしく、トップスピードの速度・キレ共申し分なく、カットバックが上手いのですから、文字通り「トップRBレベルのラン」なのです。

 現在のNFLのモバイルQBで言えば、パンサーズのキャム・ニュートン選手よりはシーホークスのラッセル・ウィルソン選手に近いと思いますが、おそらく前進速度ではウィルソン選手より上でしょう。

 2018年のドラフト1順目でレイブンズから指名され入団したジャクソン選手は、今季week11から先発QBとして登場しました。
 そして、このデビュー戦でベンガルズを相手に24-21で勝利しました。
 このゲームでも、ジャクソン選手は27回のキャリーで117ヤードを走っています。

 NFLデビュー戦で「100ヤード以上を走る」ことはRBプレーヤーでも難しいことですが、QBがそれを実現しました。このゲームのチームNO.1ランナーでした。

 加えて、QBジャクソン選手の登場により、「レイブンズの攻撃が大変化」を魅せたことが、多くのマスコミ・識者から指摘されました。「ブラウンズオフェンスを変えた」と言っても良いのかもしれません。

 続くweek12でも、レイダーズを相手に34-17の勝利に貢献し、自らも11回のキャリーで71ヤードをゲインしました。

 week13でも、ファルコンズを相手にしての26-16の勝利に貢献し、自らも17回のキャリーで75ヤードを稼ぎ1TDを挙げました。

 こうしてweek11~week17の7試合を6勝1敗としたレイブンズは、レギュラーシーズン10勝6敗として、プレーオフゲームに進出したのです。
 week10までの4勝5敗を考え合わせても、QBラマー・ジャクソン選手が攻撃の中心に座ってからの「6勝」がとても大きかったことは言うまでも無いことでしょう。

 ワイルドカードゲームにおいて、レイブンズは1月6日にロサンゼルス・チャージャーズと対戦します。
 チャージャーズは、QBフィリップ・リバース選手を中心とする攻撃のチームです。現在のNFLにおける屈指のハイパーオフェンスを駆使するチームでしょう。
 また、QBリバース選手はNFL15年目、パス関連のNFL記録を多数保持する百戦錬磨のベテランQBなのです。

 1月6日、ラマー・ジャクソン選手は「21歳」でポストシーズンゲームに出場する予定です。もし出場するようならば、「ポストシーズン最年少QB記録」となります。モバイルQBの先輩マイケル・ビック選手の22歳の記録を更新するのです。

 さらに「新人QBのポストシーズンでの勝利」も期待されます。
 当然と言えば当然なのですが、新人QBはポストシーズンゲームでなかなか勝てません。特に、ベテランQBを相手にしては分が悪いのです。

 NFL屈指のQB、フィリップ・リバース選手を相手にして、新人QBラマー・ジャクソン選手がどのようなプレーを魅せてくれるのか、本当に楽しみです。
 2018年12月30日に行われた、レギュラーシーズン最終戦・week17のゲームを終えて地区順位が決定しました。
 そしてポストシーズン緒戦、ワイルドカードのカードも決まったのです。

[1月5日]
① コルツ(AFC南2位)VSテキサンズ(AFC南1位)
② シーホークス(NFC西2位)VSカウボーイズ(NFC東1位)

[1月6日]
③ チャージャーズ(AFC西2位)VSレイブンズ(AFC北1位)
④ イーグルス(NFC東2位)VSベアーズ(NFC北1位)

 AFC南地区の1位テキサンズ(11勝5敗)と2位のコルツ(10勝6敗)の同地区対決が実現しました。
 連勝を続けていたテキサンズがweek16でイーグルスに30-32に惜敗を喫しました。
 最終週は20-3で勝ちましたけれども、ポストシーズンに向けては「チームコンディション」がポイントとなりそうです。

 カウボーイズとシーホークスは人気チーム同士の対戦となりました。
 レギュラーシーズンは共に10勝6敗。
 クオーターバックQBプレスコット選手率いるカウボーイズが、どのような戦いを魅せてくれるか楽しみです。

 AFCのチャージャーズ(レギュラーシーズン12勝4敗)とNFCのベアーズ(同12勝4敗)は、今季ポストシーズンの「台風の目」でしょう。
 共に、調子を上げて、レギュラーシーズンを勝ち抜きました。
 共に戦力は十分です。
 ワイルドカードを上手く勝ち抜くようなら、ディビジョナルゲームでも、上位チームの脅威となることでしょう。

 さて、今シーズンも「一発勝負・超本気」のポストシーズンが始まります。

 「恐ろしい程のパワーとテクニック」を存分に発揮してほしいものです。
[week11・11月19日・ロサンゼルスメモリアルコロシアム]
ロサンゼルス・ラムズ54-51カンザスシティ・チーフス

 ロサンゼルスメモリアルコロシアムに大観衆(10万人越え?)を集めて行われた、今季好調の両チームの激突は、滅多に観られないハイスコアゲームとなりました。

 両チーム合わせて90点を超えるゲームでも、なかなか観られないハイスコアゲームなのですが(2017年10月30日付の本ブログの記事「[NFL2017~18]両チーム合わせて90点のハイスコアゲーム」をご参照ください)、100点を超えるとなると半端なものではありません。

 チーフスのクオーターバックQBパトリック・マホームズ選手がパス478ヤードを投げて6本のタッチダウンTDを決めれば、ラムズのQBジャレット・ゴフ選手も413ヤードを投げて4本のTDを決めていますから、得点力十分な両チームのハイパーオフェンスが炸裂したゲームでした。

 とはいえ、攻撃側が相手守備を完全に凌駕し、「やりたい放題」であったかというと、必ずしもそうではなかったというところが、このゲームの奥深いところでしょう。

 第2クオーターQ残り2分、17対17の同点で迎えたチーフスの攻撃。ラムズのアーロン・ドナルド選手がQBマホームズ選手をサックし、マホームズ選手がボールをファンブル、このボールをラムズのサブソン・イブカム選手がリカバーして、そのまま持ち込みTDを挙げました。
 ラムズ守備陣の見事なプレーでした。

 第3Q残り2分24秒、チーフスの攻撃、QBマホームズ選手のパスをラムズのディフェンス・イブカム選手がインターセプト、そのまま持ち込んでTD。
 イブカム選手は、この日2つ目のTDとなりました。

 このように、守備陣、特にラムズ守備陣の頑張りから、3つのインターセプトが生まれ、それがゲームの趨勢にとても大きな影響を与えたのです。

 QBマホームズ選手としては、46本のパスを投げ33本を成功させて478ヤードを奪い、6本のTDという大成果を挙げたのですけれども、ラムズ守備陣は「降り注ぐパス」の合間を縫って、しっかりと仕事をしたということになります。
 「超ハイスコアゲーム」においても、その存在感を十分に示したのです。

 AFCとNFCのトップを走っていたチーフスとラムズが激突したゲームは、両チーム合わせて100点を超えるハイスコアゲームでありながら、両チームともに50得点以上を挙げ「3点差での決着」という、大接戦でもありました。ハイスコアゲームでありながらも、一方的なゲームでは無かったというところも、このゲームの特徴でしょう。

 ラムズとチーフスは、week16を終えても地区首位を走っています。(両チームともに終盤に来て負け試合が増えてはいますが)
 両チームがスーパーボウル2019で激突する可能性も、十分にあるのでしょう。

 その時には、このweek11のゲームを踏まえて、どんな戦いを繰り広げてくれるのでしょうか。
[12月9日・第14節・マイアミガーデン]
マイアミ・ドルフィンズ34-33ニューイングランド・ペイトリオッツ

 言葉が見つからないので「奇跡の大逆転」という平凡な?表現しかありませんが、普通の「奇跡的逆転劇」(妙な書き方で恐縮です)を遥かに超える、おそらくは「100年に一度のプレー」で、ドルフィンズがペイトリオッツを破りました。

 普通の「奇跡的逆転劇」を超えると感じる理由

① 残り時間「0秒」での「69ヤードのタッチダウンTD」

 AFL(アメリカンフットボールリーグ)とNFL(ナショナルフットボールリーグ)が合併し、現在のNFLが誕生して以降の「残り時間0秒=ゲームのラストプレー」のTDとして、史上最長のプレーでした。
 実質的に、NFL史上初のプレーだったのです。

② ラテラル・パスが2度行われたプレー

 ご存知のように、アメリカンフットボールは「前方に一度だけパスを投げることが出来ます」が、後方もしくは真横へのパス=ラテラル・パスは何度でも可能です。
 まさに、アメリカンフットボールがラグビーフットボールから生まれたとされる由縁です。

 とはいえ、実際の試合においては、ラテラル・パスを見ることは少なく、そうした中では、ラストプレーで時折眼にするだけのものなのです。
 ましてや、ラテラル・パスが大成功というのは、滅多に観られません。

 このゲームのラストプレーでは、試合時間残り7秒、自陣31ヤード地点から、まずドルフィンズのクオーターバックQBライアン・タネヒル選手からワイドレシーバーWRケニー・スティルズ選手に14ヤードのパス(前方へのパス)が決まりました。

 そこでスティルズ選手は右横に居たWRディパンティ・パーカー選手にラテラル・パス。

 さらに、パーカー選手は右サイドライン沿いを疾走してきた、ランニングバックRBケニアン・ドレイク選手に再びラテラル・パスを投げたのです。
 
 ドレイク選手は、味方選手の見事なブロックにも助けられ、右に左に走りながら、最後はペイトリオッツ守備陣を振り切ってTD。
 何か、信じられないような幕切れでした。

 「100年に一度のプレー」ですから、既に固有名詞「DRAKE ESCAPE」(ドレイクの脱出)が固まりつつあるそうです。

 1本の前方へのパスと2本のラテラル・パスの計3本のパスに彩られた69ヤードのTDプレーというのは、おそらく今後、観られないでしょう。
 そうした3本のパスが使われるプレーが出現したとしても、そのプレーがTDに結びつくことが考えられないからです。
 攻撃側の意図は全て実現し、守備側の意図は悉く失敗し、プレーの成否に大きな影響を与える「運」も概ね一方のチームに味方する、といったプレーは、滅多に観られるものでは無いでしょう。
 
 まるで、サッカー競技のワールドカップ2018ロシア大会・決勝トーナメントにおける、日本VSベルギー戦の試合終了間際のベルギーチームの自陣ゴール前からの「大カウンタープレー」を彷彿とさせます。

 2018年は、こうした「空前絶後のプレー」が生まれる年なのかもしれません。

 それにしても、QBトム・ブレイディ選手とペイトリオッツは、アウェイのドルフィンズ戦を「とても苦手」にしています。最近の6試合で5敗。
 NFL史上屈指の勝率を誇る「ビル・ベリチックHCとQBトム・ブレイディのペイトリオッツ」が、本当に勝てない唯一のチームではないでしょうか。

 このゲームでも、試合時間残り7秒までに、ドルフィンズに9点差以上を付けておけば、こうした「悲劇」は起こらないのです。そうしたマネジメントが最も得意なはずのペイトリオッツにして、この有り様ですから、ホームのドルフィンズはペイトリオッツの「天敵」なのでしょう。

(本ブログ、2017年12月28日の記事「[NFL2017~18] トム・ブレイディ選手はドルフィンズが苦手なのか?」もご参照ください。)

 テキサンズが走っています。

 開幕3連敗を喫した時には、ちぐはぐなプレーが続きましたが、week4でインディアナポリス・コルツに競り勝ってから、とても勝負強いゲームを続け、week9を終えて6勝3敗として、アメリカン・フットボール・カンファレンスAFC南地区で首位に立っています。

 6連勝を見てみましょう。

[week4・9月30日・ルーカスオイルスタジアム]
テキサンズ37-34コルツ(OT)

[week5・10月7日・NRGスタジアム]
テキサンズ19-16ダラス・カウボーイズ

[week6・10月14日・NRGスタジアム]
テキサンズ20-13バッファロー・ビルズ

[week7・10月21日・エバーバンクフィールド]
テキサンズ20-7ジャクソンビル・ジャガーズ

[week8・10月25日・NRGスタジアム]
テキサンズ42-23マイアミ・ドルフィンズ

[week9・11月4日・スポーツオーソリティフィールドアットアナハイム]
テキサンズ19-17デンバー・ブロンコス

 ひと目で感じるのは「ロースコアゲームにおける競り合いでの強さ」でしょう。

 Week8マイアミ戦の42得点は「例外的」で、多くのゲームは20得点前後で相手チームをよりロースコアに抑え込んで勝っています。

 得失点差も「7点以内」が多いのですから、まさに「ギリギリの競り合いを制している」試合が多いことになります。

 ロースコアゲームで競り合いに強いとなれば、守備陣が充実していることは間違いありません。
 開幕3連敗の頃でも、守備陣の頑張りが目立っていました。
 「守備陣の頑張りからの得点」も多かったと記憶しています。

 そしてweek4以降は、「競り合いに強い攻撃陣」が機能し始めたということになります。

 テキサンズ攻撃陣の中心はクオーターバックQBデショーン・ワトソン選手です。2017年ドラフトにおいて、1巡目(全体12位)指名を受けて入団しました。テキサンズの強化に向けて、大きな期待を背負っての入団であることは、言うまでもありません。
 そして、2年目の今シーズン、見事な活躍を魅せているのです。

 QBワトソン選手と共に攻撃陣を引っ張るのは、ランニングバックRBラマー・ミラー選手と、ワイドレシーバーWRのディアンドレ・ホプキンス選手、ウィル・フラー選手でしょう。
 これに、QBワトソン選手自身のランを加えた攻撃が、テキサンズオフェンスを形作っているのです。

 「渋い」戦いを進めるテキサンズが、2018~19年シーズンの台風の目になる可能性が十分に有ると感じます。

 week8(10月26日~30日)のゲームを終えて、今季レギュラーシーズンも半ばとなりました。

 各地区の順位を見てみましょう。

[アメリカン・フットボール・カンファレンス AFC]

[東地区]
① ペイトリオッツ 6勝2敗
② ドルフィンズ 4勝4敗
③ ジェッツ 3勝5敗
④ ビルズ 2勝6敗

[北地区]
① スティーラーズ 4勝2敗1引分
② ベンガルズ 5勝3敗
③ レイブンズ 4勝4敗
④ ブラウンズ 2勝5敗1引分

[南地区]
① テキサンズ 5勝3敗
② タイタンズ 3勝4敗
③ ジャガーズ 3勝5敗
④ コルツ 3勝5敗

[西地区]
① チーフス 7勝1敗
② チャージャーズ 5勝2敗
③ ブロンコス 3勝5敗
④ レイダーズ 1勝6敗

[ナショナル・フットボール・カンファレンス NFC]

[東地区]
① レッドスキンズ 5勝2敗
② イーグルス 4勝4敗
③ カウボーイズ 3勝4敗
④ ジャイアンツ 1勝7敗

[北地区]
① ベアーズ 4勝3敗
② バイキングス 4勝3敗
③ パッカーズ 3勝3敗1引分
④ ライオンズ 3勝4敗

[南地区]
① セインツ 6勝1敗
② パンサーズ 5勝2敗
③ ファルコンズ 3勝4敗
④ バッカニアーズ 3勝4敗

[西地区]
① ラムズ 8勝0敗
② シーホークス 4勝3敗
③ カージナルス 2勝6敗
④ 49ers 1勝7敗

 全勝チームは、NFC西地区のロサンゼルス・ラムズだけとなりました。
 今季のラムズは好調です。
 クオーターバックQBジャレット・ゴフ選手ととランニングバックRBトッド・ガーリー選手を中心としたランオフェンスが良く機能しています。
 個人成績で観ても、ゴフ選手はパス獲得ヤードでNFL全体3位の2,425ヤード、ガーリー選手もランヤードで全体1位の800ヤードとなっているのです。
 一方で守備も良く機能していて、サック項目でアーロン・ドナルド選手が10.0で全体1位となっています。
 結果として、ここまで得点264・失点155という見事なシーズンを示現しているのです。

 1敗のチームは、AFC西地区のカンザスシティ・チーフス(7勝1敗)とNFC南地区のニューオーリンズ・セインツ(6勝1敗)の2チーム。

 チーフスは、QBパトリック・マホームズ選手とRBカリーム・ハント選手を中心としたオフェンスが良く、得点が290と全体1位です。
 week6のペイトリオッツとの対戦は、高得点下の大接戦でしたが、惜しくも40-43で落とし、今季初黒星を喫しましたけれども、その後も「高いレベルで安定した得点力」を維持しています。

 セインツは、QBドリュー・ブリーズ選手の「相変わらずの活躍」が光ります。既に、NFL歴代トップクラスのQBですから、1ゲーム・1タッチダウンパス・1パスをクリアする度に新記録が生まれるようなイメージとなっています。
 今後も、ブリーズ選手の活躍から眼が離せないのです。

 AFC東地区のペイトリオッツモ6勝2敗で地区首位を走っています。
 序盤で連敗した時には(滅多に連敗するチームでは無いので)、すわ変調か、と話題になりましたが、その後5連勝と「いつものように」レギュラーシーズンを走っているのです。
 QBトム・ブレイディ選手も、ブリーズ選手と同様に、ゲームを重ねるごとに記録を塗り替えている印象です。
 こちらも、眼が離せません。

 一方、「1勝」チームは、AFC西地区のオークランド・レイダーズとNFC東地区のニューヨーク・ジャイアンツ、NFC西地区のサンフランシスコ49ersの3チームです。

 49ersは失点が236とNFLワースト。第8節では、カージナルスを第3クオーターQまで3点に抑え込みましたが、第4Qで15点を献上して15-18で惜敗しました。攻撃と守備のバランスも良くないということになりそうです。

 レイダーズは、得点138と下から3番目、QBデレク・カー選手を中心とした攻撃陣が機能していない印象です。

 ジャイアンツは、攻守ともに精彩を欠いているというか、チームに元気が感じられません。ラン攻撃が出ていないのが、攻撃の迫力を減じているのでしょうか。

 49ers、レイダーズ、ジャイアンツは、いずれもスーパーボウルを複数回勝っている「名門」ですし、全米あるいは世界中にファンが多いチームでもあります。
 「復活」が切望されているのです。

 NFC東地区では、ワシントン・レッドスキンズが首位を走っています。
 QBアレックス・スミス選手とRBエイドリアン・ピーターソン選手というベテラン勢が活躍しているのです。
 特に、ピーターソン選手は587+ヤードを走り全体5位となっています。
 次第に調子を上げてきている印象ですから、久し振りに「爆発的な活躍」が観られるかもしれません。

 week8を終えての各地区の様子をざっと見てきました。

 調子が出ていないチームもありますが、2018年に「大化けしたチーム」も複数あるように観えます。

 レギュラーシーズン後半戦が注目されます。
[week3・9月23日・アローヘッドスタジアム]
カンザスシティ・チーフス38-24サンフランシスコ49ers

 チーフスの2年目クオーターバックQBパトリック・マホームズ選手が、この試合で3タッチダウンTDパスを決めて、NFLの「開幕3試合TDパス数」の新記録を打ち立てました。
 第1・2戦の10TDパスに3つを加えて13TDパスとしたのです。

 これまでの記録は、「あの」ペイトン・マニング選手の12個、2番目は「あの」トム・ブレイディ選手の11個、3番手は「あの」ブレット・ファーブ選手の10個と報じられていますから、マホームズ選手は、「錚々たるQB」の記録を一気に塗り替えたことになります。

 今回、2・3・4位に下がることとなった3名のQBは、ご存じの通り、NFL史を飾るスーパースター揃いです。

 加えて、マニング選手、フレイディ選手、ファーブ選手は、これらの記録を樹立したシーズンにおいて全員が「スーパーボウルに進出」しているのですから、チーフスファンの期待は嫌がおうにも盛り上がらざるを得ません。

 残念なことに、チーフスと言えば「ポストシーズンに弱い」という歴史が有りますから、カンザスシティの人々にとっては、「スーパーボウル進出」、そして「スーパーボウル制覇」は「宿願」なのです。

 若き司令塔・マホームズ選手は、カンザスシティの星と言って良いのでしょう。

 このゲームのチーフスの攻撃は、とても多彩でした。49ersの「意表を突くプレーコール」が目立ったのです。
 第1・2戦では、パスTDが多かったのですが、このゲームではランニングバックRBカリーム・ハント選手の2つのTDランで先行し、その後TDパスを連ねるという形でした。既にNFLを代表するRBのひとりであるハント選手の活躍も頼もしい限りでしょう。

 チーフスは10月1日のweek4の一戦、デンバー・ブロンコスとのゲームも27-23で勝ち切りました。
 このゲームでのマホームズ選手は、1TDパスを決めています。

 開幕4連勝としたチーフスに、今季のポストシーズン進出、そしてスーパーボウルへの勝ち上がりを期待するのは、少し気が早いのでしょうか。
 
[9月6日・開幕戦・リンカーンフィナンシャルフィールド]
フィラデルフィア・イーグルス18-12アトランタ・ファルコンズ

 ナショナル・フットボール・リーグNFLの2018~19年のレギュラーシーズンが開幕しました。

 オープニングゲームは、スーパーボウル2018・第52回スーパーボウルSBのチャンピオンチーム、イーグルスとファルコンズの対戦でした。

 イーグルスのクオーターバックQBは、主戦と言われているカーソン・ウェンツ選手では無く、SB2018を制した試合でプレーしたニック・フォールズ選手でした。
 ウェンツ選手の復帰は10~11月ではないかと報じられています。

 こうした状況下、イーグルスはランニングバックRBジェイ・アジャイ選手が2つのタッチダウンTDを挙げ、第4クオーターQ残り2分あまりで逆転勝ちを収めました。
 ゲームマネジメントの上手さを感じさせるゲームでした。

 week1の残りのゲームは、9月9日と10日に行われました。
 
[9月9日・ジレットスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ27-20ヒューストン・テキサンズ

 41歳のQBトム・ブレイディ選手が元気です。このゲームでも3TDパスを決めました。
 いったい何時までプレーを続けるのだろう、という感じですが、今季もポストシーズン進出に向けて、力強いプレーを披露してくれることでしょう。

[9月10日・メルセデスベンツスーパードーム]
タンパベイ・バッカニアーズ48-40ニューオーリンズ・セインツ

 全体として、良く得点が入ったweek1ですが、その中でもこのゲームは両チーム合わせて88点という、点の取り合いとなりました。
 バッカニアーズのQBライアン・フィッツパトリック選手が4本、セインツQBドリュー・ブリーズ選手が3本のTDパスを決めました。
 こちらもベテランが超元気なのです。

[9月9日・フェニックス大学スタジアム]
ワシントン・レッドスキンズ24-6アリゾナ・カージナルス

 レッドスキンズにとっての新戦力ですが、既にNFL屈指のプレーヤーとして確固たる地位を築いている2プレーヤー、QBのアレックス・スミス選手とRBのエイドリアン・ピーターソン選手が、その実力を発揮して、緒戦を快勝しました。

 ピーターソン選手にとっては、26ランで96ヤードゲインという結果は、まだまだ本来の走りには程遠いものですが、「26ラン」=主力RBとしてプレー出来たことが重要でしょう。久し振りに「走り回るピーターソン選手」「他の誰にもできないファンタスティックなラン」を、今シーズンは観ることが出来そうです。

 今シーズンのレッドスキンズは注目でしょう。

[9月9日・ランボーフィールド]
グリーンペイ・パッカーズ24-23シカゴ・ベアーズ

 QBアーロン・ロジャース選手が、その「存在感」を如何なく発揮したゲームでした。

 先発し、早々に故障を発症して治療に向かってしまい、その後のパッカーズは散々でした。攻撃が機能せず、守備も実力を出すことが出来ずに、第2Qを終えてベアーズに17-0とリードを許したのです。
 パッカーズがホームのランボーフィールドで「17点差」を付けられて前半を終えたのは70余年振りと伝えられました。「散々なゲーム」になってしまったのです。

 第3Qに入って、ベアーズのリードは20点に拡大しました。

 ところが、ロジャース選手が帰ってきたのです。
 治療を終えてフィールドに立ちました。

 この瞬間から、ゲームの流れが一変しました。それはもう、全く別のゲームになったのです。

 第3QにフィールドゴールFGで3点を挙げると、第4Q早々にヘロニモ・アリソン選手へのTDパスが通って10-20、続いてダバンテ・アダムス選手にTDパスが決まって17-20、
 ベアーズがFGで23-17とリードを広げますが、残り2分あまりで、QBロジャースからエース・ワイドレシーバーWRランドリー・コブ選手へのTDパスが成功して、キッチリと逆転しました。

 アーロン・ロジャース選手は第4Qに3TDパスを決め、21点を挙げたのです。

 NFLを代表するQBのひとり、アーロン・ロジャース選手が、その力を改めて示すゲームとなりました。
 ディフェンス陣の動きさえ良くするところが、まさにチームリーダーなのでしょう。

 開幕週のゲームをいくつか観てきました。

 全体として「選手達が伸び伸びとプレーしている」ゲームが多かったように感じます。
 また、トム・ブレイディ選手、アーロン・ロジャース選手、エイドリアン・ピーターソン選手と言った、ベテランプレーヤーの見事なプレーも目立ちました。

 今シーズンも、NFLは元気です。
 4月10日、後藤完夫(ごとうさだお)氏の逝去が報じられました。75歳でした。
 日本における、1970年代からのアメリカンフットボールファンにとっては、とても懐かしい名前です。

 後藤氏は、慶応義塾高校在学中にアメリカンフットボールを始めました。1960年代のことです。慶応義塾大学に入ってからも、ランニングバックRBとして活躍を続け、日本学生選抜チームにも選ばれています。

 大学卒業後の1970年9月に専門誌「TOUCHDOWN」を創刊しました。
 紆余曲折はありましたが、1970年代中盤には「TOUCHDOWN」は、我が国を代表するというか、唯一のアメリカンフットボール専門誌として、その地位を確立していったと思います。

 1970年代後半になると、週に一度、テレビでNFLのゲームが放送されるようになり、アメリカのカレッジフットボールのゲームも時々放送されるようになりましたが、後藤氏は、その番組の解説者として度々登場しました。

 優しい口調で、易しく解説する後藤氏のコメントから、私たちはアメリカンフットボールの「何たるか」を学んだのです。
 ピッツバーグ・スティーラーズとオークランド・レイダーズが強かった時代、クオーターバックQBテリー・ブラッドショー選手とQBケン・ステブラー選手の対決、ダラス・カウボーイズのQBロジャー・ストーバック選手の活躍等が、直ぐに思い出されます。

 他方、口さがない人たちから「後藤の解説は間違っていることが多い」とか「後藤はアメフトを知らない」といった誹謗・中傷のようなコメントが、出されることも有りました。その指摘の正誤は分かりませんけれども、少なくともアメリカ合衆国のアメリカンフットボールを、20世紀の我が国に紹介したという点は事実でしょう。他の人達がなかなか出来なかったことを、後藤氏は実施したのです。

 21世紀になり、NFLの情報が大量に日本に齎されるようになるとともに、後藤完夫氏の姿や声をテレビで見聞きする頻度は大幅に下がりました。

 そして2016年には、専門誌としての「TOUCHDOWN」が書店に並ぶことも無くなったと記憶しています。

 一方で、現在でも「20世紀の日本に関連するアメリカンフットボールの情報」については、「TOUCHDOWN」編集部(あるいは、その後を継いだ組織)に確認するのが正確というか、そこにしか無い情報も多いと、業界の方から聞くことがあります。
 当時来日したアメリカチームや対戦した日本チームのメンバーとか、国内各大会の各チームのメンバーなど、「TOUCHDOWN」にしか残っていない情報が、数多く存在するのでしょう。

 後藤氏の功績、日本のアメリカンフットボール界に残した功績は、窺い知れるものより遥かに大きいのではないかと感じます。

 決して発行部数が多かったとは思われない「TOUCHDOWN」を後藤氏はコツコツと続けました。資金面を始めとして、相当のご苦労があったであろうと思います。

 1970年代、週に一度のNFL放送と後藤完夫氏の優しい声は、素晴らしいエンターティンメントでした。とても楽しみにしていたものです。

 本当に、ありがとうございました。
 NFLは今オフシーズンですが、2018年~19年シーズンに向けて、各チームの強化に向けての補強、選手のチーム間の移籍が続いています。
 今回は、サンフランシスコ49resのクオーターバックQBがテーマです。

 2017~18年シーズンでは、なかなかフランチャイズQBが決まらず、中盤までの戦績も散々だった49ersですが、ようやく正QBを固めたと、少し前に報じられました。

 ジミー・ガロポロ選手と5年/1億3750万ドル(約149億7000万円)で契約を結んだのです。

 49resが、少なくとも今後5年間の正QBを決めたということは、NFLの中でも人気の高いチームですので、それ自体が大きなニュースですが、今回は「史上最高額年俸」というおまけがつきました。(報道された時点)

 ガロポロ選手の契約金額は年俸ベースでは2750万ドル(約29億9000万円)となり、これまでNFL最高だったマシュー・スタフォード選手の2700万ドルを超えたのです。

 2014年ドラフト全体62位のプレーヤーに対しての高額年俸提供については、いろいろな見方が有るのでしょうが、49ersのガロポロ選手に対する評価の高さを物語っていることは間違いありません。

 2017~18年のレギュラーシーズンで11試合を終えて1勝10敗という散々の成績だったチームが、ガロポロ選手をQBに据えてからは5連勝だったのです。これが4勝1敗では無く5連勝だったところが、大評価の礎なのでしょう。
 ペイトリオッツから49resに移籍し、NFLにおける自らの立ち位置を探し続けていたガロポロ選手にとっても、「人生を変える」ような大活躍でした。

 それにしても、ドラフト全体190位台でQBトム・ブレイディ選手を採ったペイトリオッツが、その後継者としてドラフト全体62位でガロポロ選手を採ったというのは、いかにもペイトリオッツらしい感じがしました。
 そのガロポロ選手に、2016~17年シーズンにチャンスが来たのです。
 開幕4試合のブレイディ選手の「出場停止処分」でした。

 この4試合で活躍すれば、ガロポロ選手がブレイディ選手に代わって、ペイトリオッツの正QBになる可能性、少なくとも後継者としての位置づけを確立する可能性があったのでしょう。
 まさに、21世紀早々にブレイディ選手が正QBのポストを奪った時と、似た状況でした。(怪我と出場停止の違いはありますが)

 しかし、ガロポロ選手はこのチャンスを活かすことが出来ませんでした。
 シーズン第2戦の第2クオーターQに肩を負傷してしまい降板、第3戦、第4戦には出場できなかったのです。ガロポロ選手にとっては、痛恨であったことでしょう。

 そのガロポロ選手に再びチャンスというよりは、NFLに「ガロポロの名を知らしめる」好機が訪れました。

 名門49resの復活と共に、QBジミー・ガロポロ選手の活躍に注目です。
 今季のNFCチャンピオンシップゲームで、ミネソタ・バイキングスがフィラデルフィア・イーグルスに敗れ、これでインドアスタジアムをホームに持つチームは、アウトドアでのチャンピオンシップゲームにおいて、通算「0勝13敗」になったと伝えられました。

 これはチャンピオンシップゲームに限ったことであり、他のポストシーズンゲーム、スーパーボウルやディビジョナルプレーオフでは、これ程一方的な成績では無いのでしょうが、それにしても「尋常では無い戦績」です。

 確かに、インディアナポリス・コルツ時代のペイトン・マニング選手が、なかなかスーパーボウルに進出できなかったことについては、あれ程レギュラーシーズンでは圧倒的な力を示しながら、とても不思議に感じていましたが、ペイトン・マニングのコルツに限らず、インドアスタジアムをホームに持つチームが、アウトドアでのチャンピオンシップゲームに滅法弱いとすれば、少し納得できます。

 これは何故か、ということになりますが、インドアスタジアムは「極めて管理された試合場」であり、アウトドアスタジアムにおいてはインドアに比べて「不安定要素が多い、あるいは追加される」ということなのかもしれません。

 例えば、風やフィールドの凸凹は、インドアには少ないものでしょう。

 インドアスタジアムは人工芝であることが多いと思いますので、フィールドは平らですし、芝が捲れあがったり、剥げたりすることも少ないでしょう。空調の風は有るかもしれませんが、突風や5m/秒を越える風は少ないことでしょう。

 そうした「よく管理されたフィールド」で戦うことが多いチームのプレーは、とても正確ですが、逆に不安定な要素には弱いものなのかもしれません。

 この話を聞いた時に、ゴルフの全英オープン大会と、マスターズ大会や全米オープン大会との違いを思い出しました。
 全英に勝つプレーヤーとアメリカのメジャー大会に勝つプレーヤーには違いがあるのです。例えば、あの名プレーヤー、グレッグ・ノーマン選手は、メジャー大会では全英にしか勝っていません。

 綺麗に整備されたアメリカのゴルフ場と、「あるがまま」を大切にする全英オープン開催コースでは、ショット毎の運・不運に雲泥の差があるのでしょう。全英に強いプレーヤーは、不安定要素に強いプレーヤーなのかもしれません。

 話をNFLに戻します。

 最近オープンするNFLのスタジアムは「インドアを基本にしつつもアウトドアの要素も加えている」ものが増えているように感じます。自然芝のインドアスタジアムもあるのでしょうし、太陽光をふんだんに取り入れているところもあります。
これからは、このスタジアムはインドアなのかアウトドアなのか、直ぐには判定できないという見方もありそうです。

 観客の立場からすれば、インドアスタジアムは天候の影響、低気温や雨・雪の影響を受けにくいという面で、「寒い時期のスポーツ」にとつてとても重宝なものですから、今後も「基本はインドア」というフィールドが、NFLにおいては増え続けることでしょう。
 しかし、そのインドアにはアウトドアの要素が加わっているのです。

 インドアスタジアムをホームにするチームが、アウトドアのチャンピオンシップゲームに勝利するのは、そう遠い日では無いのかもしれません。
 フィラデルフィア・イーグルスが初優勝した第52回スーパーボウルですが、アメリカ合衆国では、こうしたメジャースポーツで「初優勝」とか「何十年ぶりの優勝」といった際に、「呪いの話題」が登場することが多いようです。

 2016年のMLBワールドシリーズでシカゴ・カブスが108年ぶりに優勝した際にも、「ヤギの呪い」がついに解けたと騒がれました。これは、ワールドシリーズ2016終了後も相当の期間取り上げられ続け、1945年にそのヤギを球場に連れて行ったビリー・サイアニス氏のご子孫の方々までがメディアに登場し、様々なコメントを残しました。

 今回のイーグルス・スーパーボウル制覇に関する「呪い」は、「ヤギの呪い」に比べて、やや取り上げ量は小さいのですが、それでも様々なメディアに登場しています。

 この「ウィリアム・ペンの呪い」は、17世紀にフィラデルフィアという町を作った英国人ウィリアム・ペン氏の銅像が市庁舎の最高地点に据え付けられているのですが、大きな建物である市庁舎より高い建物は、フィラデルフィアには造らないという不文律が有ったのです。

 時は流れ、1987年複合商業施設ワン・リバティ・プレイスが完成しました。これが高さ288mという、市庁舎より遥かに高い建造物だったのです。次代の流れの中でこうした建物が登場するのは、自然なことでしょう。

 ところが、前述の不文律を破った「呪い」からか、1987年以降、フィラデルフィアにホームを置くメジャー4スポーツのチームが、全く頂点に立つことが出来なくなってしまいました。
 「呪いの威力」は物凄いものだったのです。

 そこで2007年、ワン・リバティ・プレイスが出来てから20年後と言うのも遅すぎる感じがしますが、このビルの屋上にウィリアム・ペン氏の銅像のレプリカが設置されました。
 すると2008年には、MLBのフィラデルフィア・フィリーズがワールドシリーズを制覇したのです。
 銅像のレプリカを、市内で最も高い建物の頂上に設置した効果は、かくも偉大なものだったのです。
 これで「呪いは解けた」とフィラデルフィアの市民は安心したことでしょう。

 再びところが、その2008年にワン・リバティ・プレイスより54mも高い、コムキャスト・センターが、市内に完成してしまったのです。
 そして再び、フィラデルフィアをホームにするメジャーチームは、優勝から見放されてしまいました。
 本当に「呪いの威力」は凄まじいものなのでしょう。

 とはいえ、フィラデルフィアの人達も、しばらくはこの「呪い」を忘れていたのでしょうか、あまり話題にも上りませんでした。2008年のMLBワールドシリーズ制覇の喜びが、長く続いていたのかもしれませんし、大都会にしてアメリカ合衆国屈指の歴史と伝統を誇るフィラデルフィアの人達は、ホームチームの成績に対して比較的「鷹揚」なのかもしれないと感じます。

 再び再びところが、NFL2017~18シーズンが始まると、我らがイーグルスの快進撃が始まりました。クオーターバックQBカーソン・ウェンツ選手の活躍もあって、カンファレンス勝率首位を狙えるプレーが続いたのです。

 ここでフィラデルフィア市民は「ウィリアム・ペンの呪い」を思い出しました。
 この「呪い」が在る限り、イーグルスはスーパーボウルに優勝できません。
 2017年の秋になって、この話題が突然?のように、取り上げられるようになったのです。

 そして2017年11月27日、コムキャスト・センター建設の現場監督補佐だった人物が、この建物のてっぺんに這い上がり、鉄骨の梁の上に「ウィリアム・ペン氏のフィギュア」を置いてきたと報じられました。
 これで「呪い」が解けるかと期待されたのですが、事はそう簡単ではありませんでした。

 2017年12月10日のweek14のゲームで、QBカーソン・ウェンツ選手が、「今季絶望」の大怪我を負ってしまいました。
 「呪い」は弱まるどころか、一層強くなった感が有りました。
 何しろ、フィギュア設置早々の大怪我でしたから、「フィギュアなんて置きやがって。許さないぞ(荒っぽい言葉で恐縮です)」とウィリアム・ペン氏が怒りを増大させたかのようでした。

 「銅像では無くてフィギュア」を設置したのが良くなかったのか、理由は不明でしたが、今季のイーグルスを牽引してきた中心選手が戦列から離脱してしまったのですから、2018年のスーパーボウル制覇は、遠のいたように見えました。
 メディアもポストシーズにおける「イーグルスの早々の敗退」を予想するものが多かったのです。

 再び再び再びところが、ウェンツ選手に代わったQBニック・フォールズ選手を中心としたイーグルスは、ポストシーズンを快走し、ついにスーパーボウルを初制覇したことは、ご存じの通りです。

 銅像では無くてフィギュアでも、市内最高の建物の頂点に置くことで「呪いは解けた」ことになりました。
 スーパーボウル2018におけるイーグルスの優勝後、この話題も幾度か取り上げられていました。

 それにしても、フィラデルフィアのメジャースポーツファンの方々は、市内最高の建物を建設したら、その都度ウィリアム・ペン氏の像を、当該建物の最高点に設置すれば良いのにと思いますが、今後はどのような対応になるのでしょうか。
 「ウィリアム・ペンの呪い」は、繰り返されるタイプのものですから、繰り返しの対応が必要なのです。

 「ヤギの呪い」にしても「ウィリアム・ペンの呪い」にしても、これは「偶然」であると考えるのが、科学的な見方なのでしょう。
 長く不振に喘ぐチームが、着々と強化を進め、その強化が実を結び始めた頃に、「呪い」の話が出てきている、と見るのが合理的なのでしょう。

 とはいえ、あまりに「タイミングが合っている」、例えば「ウィリアム・ペンの呪い」について見れば、2度とも「像を設置して早々に」優勝しているのは、やはり不思議と言わざるを得ません。
 やはり「呪い」はあるのだと考えたくもなるのです。

 アメリカ合衆国の人達は、「自分たちの国には長い歴史が無い」と嘆くように言います。(もちろん、心底から嘆いているわけではないのでしょうが)
 アメリカ合衆国はやはり「新世界」なのです。

 その「新世界」においては、「呪い」さえ歴史の一部として、ある意味では「大切にされる」ものなのかもしれません。
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