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 新型コロナウイルス感染症の暗い影が世界中を覆い始めた2020年3月、2019~20年シーズンを完了したNFLは、シーズンオフに入っていました。

 そして3月18日、ニューイングランド・ペイトリオッツのクオーターバックQBトム・ブレイディ選手がSNSで「ペイトリオッツを去る」ことを表明しました。
 引退か、現役続行か、注目されていたスーパースターの意向が明らかになり、3月21日には「タンパベイ・バッカニアーズへの移籍」が報じられたのです。

 6回のスーパーボウル制覇を誇り、2001年~20年にかけての20年間、「ペイトリオッツ王朝の主役」を演じてきたブレイディ選手の、衝撃的な移籍でした。
 
 サンフランシスコ49ersからカンザスシティ・チーフスに移籍した、ジョー・モンタナ選手。
 グリーンベイ・パッカーズからニューヨーク・ジェッツ、ミネソタ・バイキングスへと移籍した、ブレット・ファーブ選手。
 インディアナポリス・コルツからデンバー・ブロンコスに移籍した、ペイトン・マニング選手。

 こうした名QBに続いて、42歳のブレイディ選手も「新天地」を求めたのでしょうか。
 新生トム・ブレイディ選手の活躍が、本当に楽しみです。

 さて、「大黒柱」を失ったペイトリオッツは、今期のドラフト4巡目(全体133番目)で指名し獲得した、オーバーン大学出身のジャレット・スティダム選手(23歳)を育てて行くものと観られていました。
 丁度、2000年のドラフトで6巡目-全体199番目で指名され入団したトム・ブレイディ選手の後継者として、ビル・ベリチックHCヘッドコーチのもとで活躍して行くと考えられていたのです。

 ところが、6月28日衝撃的なニュースが駆け巡りました。
 ペイトリオッツがキャム・ニュートン選手との契約を発表したのです。
 ニュートン選手は、カロライナ・パンサーズのQBとして2016年のスーパーボウルに進出し、次代のNFLを支えるQBと位置付けられていたプレーヤーです。
 しかし、その後は思ったような活躍が出来ず、2019~20年シーズンは故障の為2試合しか出場できませんでした。
 若手の代表格と見られていたニュートン選手も31歳になりました。

 そして、ここでペイトリオッツとの契約が発表されたのです。

 キャム・ニュートン選手は、ジャレット・スティダム選手と同じオーバーン大学出身であり、大学時代の実績・知名度であれば、他を圧しています。
 2010年のハイズマントロフィー受賞者であり、2011年のドラフト1巡目-全体1位でした。

 スティダム選手は、同じチームに「偉大な大先輩」を迎えることとなりました。
 ペイトリオッツには、「2人の先発QB候補」が存在することとなったのです。
 
 2020~21年シーズンの、ベリチックHCの采配が注目されます。
 再び、凄い「マジック」を魅せていただけるような気がします。

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 スーパーボウル2020は、カンザスシティ・チーフスの50年振りの優勝で幕を閉じました。
 クオーターバックQBパトリック・マホームズ選手を中心としたチーフスの攻撃陣が、新たな伝説となったのです。

 さて、2016年から20年の過去5回のスーパーボウルを観ると、新進気鋭のQBが登場し、それぞれのゲームの中心的な役割を果たしていることが分かります。
 どんなプロスポーツにおいても、常に繰り返されている世代交代ですが、直近の5年間は、「新旧QBの対決」という色彩がとても強かったように感じます。

[2016年2月7日・第50回スーパーボウル]
デンバー・ブロンコス24-10カロライナ・パンサーズ
(QBペイトン・マニング選手) (QBキャム・ニュートン選手)

[2017年2月5日・第51回スーパーボウル]
ニューイングランド・ペイトリオッツ34-28アトランタ・ファルコンズ
(トム・ブレイディ選手)         (マット・ライアン選手)

[2018年2月4日・第52回スーパーボウル]
フィラデルフィア・イーグルス41-33ニューイングランド・ペイトリオッツ
(ニック・フォールズ選手)     (トム・ブレイディ選手)
(カーソン・ウェンツ選手)

[2019年2月3日・第53回スーパーボウル]
ニューイングランド・ペイトリオッツ13-3ロサンゼルス・ラムズ
(トム・ブレイディ選手) (ジャレッド・ゴフ選手)

[2020年2月2日・第54回スーパーボウル]
カンザスシティ・チーフス31-20サンフランシスコ49ers
(パトリック・マホームズ選手)  (ジミー・ガロポロ選手)

 こうして観てくると、改めてペイトリオッツの強さというか、スーパーボウルへの出場頻度の高さに驚かされますが、今回は「新進気鋭のQB」がテーマですので、話を戻します。

 スーパーボウル2016は、モバイルQBとして売出し中だったキャム・ニュートン選手が、「偉大なる」ペイトン・マニング選手に挑んだゲームでした。
 戦前の予想では、ニュートン選手率いるパンサーズか有利という見方が、多かったと思います。
 しかし、ブロンコスディフェンスがパンサーズを10点に抑え込むことに成功し、ペイトン・マニング選手率いるブロンコスオフェンスが24点を挙げて、快勝しました。

 カンファレンス・チャンピオンシップゲームまで、自由自在の攻めを魅せたQBキャム・ニュートン選手が、初めて「不発」に終わったのです。
 自信満々でスーパーボウルに臨んだニュートン選手にとっては、「苦い」経験となったことでしょう。

 スーパーボウル2017は、新旧対決という意味であれば象徴的なゲームとなりました。
 QBマット・ライアン選手率いるファルコンズは、前半を21-3とリードして折り返し、第3クオーターQ残り8分半の時点では、そのリードを28-3と広げました。この時点での「25点差」はとてつもなく大きなもので、この段階でファルコンズのオーナーは勝利を確信したと報じられています。

 しかし、ここからペイトリオッツの反撃、絶対に諦めないプレーが続きました。
 そして28-28の同点となって、ゲームはオーバータイムOT延長に入ったのです。
 こうなると「勢い」はペイトリオッツのもの。
 OT最初のドライブでタッチダウンを挙げて、勝利しました。
 信じられないような大逆転勝ちでした。

 所謂ハイパーオフェンスで相手チームを圧倒してきたファルコンズとQBマット・ライアン選手でしたが、「よもや」の逆転を喫したのです。

 21世紀のNFLをリードしてきたペイトリオッツと、その中心選手・大ベテランのQBトム・ブレイディ選手対新鋭マット・ライアン選手の対決は、ブレイディ選手に軍配が上がったのです。

 スーパーボウル2018は、過去5回のゲームの中ではやや毛色の違うものでしょう。
 イーグルスQBニック・フォールズ選手も既にベテランの域にありましたし、迎え撃ったのは、やはりペイトリオッツ・QBトム・ブレイディ選手でした。
 
 ゲームは、イーグルスが先行しペイトリオッツが追いかける展開となり、第3Qを終えて29-26でイーグルスがリードしていましたが、こうした展開はペイトリオッツの得意とすねもの(第4Qに逆転し僅差で勝利するパターン)でしたから、最終Qの戦いが注目されました。
 そして、イーグルスはペイトリオッツに逆転を許さず、逆に差を広げて押し切ったのです。
 見事な勝利でした。

 このゲームは、QBの新旧対決というよりは、ニック・フォールズ選手渾身の一戦、生涯最高のゲームと言うべきものでしょうが、イーグルスのスーパーボウル進出に向けては、主戦QBカーソン・ウェンツ選手の活躍を忘れてはならないでしょう。
 レギュラーシーズン終盤に大怪我(膝の怪我でしたが痛々しい限りの怪我でした)をしてしまい、ポストシーズンはニック・フォールズ選手をQBに立てて戦うこととなりましたが、ウェンツ選手は、その後のシーズンでもイーグルスの主戦QBに居るのです。
 カーソン・ウェンツ選手が、このシーズンの新進気鋭のQBと言っても良いのでしょう。

 スーパーボウル2019では、ラムズのQBジャレッド・ゴフ選手が、トム・ブレイディ選手に挑む、新旧対決でした。
 史上最少スコアのゲームとなって、ペイトリオッツが6度目の栄冠に輝きましたが、ゴフ選手はブレイディ選手と堂々と渡り合ったと感じます。

 そしてスーパーボウル2020は、パトリック・マホームズ選手とジミー・ガロポロ選手がQBを務めました。

 さて、2016年から20年のスーパーボウルには、NFLの次代を担うQBが次々と登場した印象が有ります。
 キャム・ニュートン選手は2011年のドラフト全体1位ですし、ジャレット・ゴフ選手は2016年ドラフト全体1位、カーソン・ウェンツ選手は同じ2016年のドラフト全体2位、パトリック・マホームズ選手はドラフト1巡目全体10位となっています。
 NFLデビュー前から、大いに期待される存在だったのです。
 そして、その期待に応えて活躍も魅せてくれています。

 とはいえ、その活躍を継続できているか、「安定した強さ」を示しているかという点になると、やや物足りない感じがします。(パトリック・マホームズ選手は来シーズン以降を観て行かなければなりませんが)
 ポストシーズンへの進出も、ままならないという状況なのです。

 21世紀のNFLは、ペイトン・マニング選手、トム・ブレイディ選手、ドリュー・ブリーズ選手、アーロン・ロジャース選手、ラッセル・ウィルソン選手、イーライ・マニング選手といった名QBのプレーに支えられてきました。
 これらの名手の中には、まだ現役の方も居ますが、さすがに全盛期は過ぎた感が有ります。

 こうした名手達の後継者として、2016年から20年のスーパーボウルで活躍した「新進気鋭のQB」の皆さんには、「フィールドを常に彩る存在」として、大活躍を続けていただきたいのです。

 第1クオーターQ残り時間2分、49ersのゴール前5ヤードまで攻め込んだチーフスの、「ファーストダウンまで残り1ヤード、4thダウンギャンブル」の攻撃で、その「スピンプレー」が実行されたのです。

 オフェンスラインセンターCの後ろ(クオーターバックQBの定位置)に居た、QBパトリック・マホームズ選手と、マホームズ選手より後方で構えていた3プレーヤーの計4プレーヤーが、「くるりと360度左回り」したのです。

 「あれ?」、観客は誰しもそう思ったことでしょう。

 本当に良く揃っていた、シンクロしていたスピンでしたので、相手チームプレーヤーを「面食らわせる」効果も大きかったであろうと感じます。

 ポイントは、このスピンによってQBマホームズ選手が、Cの真後ろから少し右に動いたこと、Cの真後ろから移動し、居なくなったことなのでしょう。

 そして、Cから少し離れた真後ろに居た、ランニングバックRBデイミアン・ウィリアムズ選手がスナップされたボールを直接受け、そのままほぼ真っ直ぐに走り込んだのです。
 このプレーで4ヤードをゲインし、チーフスはファーストダウンを獲得、49ersゴール前1ヤードまで前進しました。
 
 この2プレー後に、チーフスはタッチダウンTDを挙げて、ゲームを3-7と逆転していますから、とても大事な4thダウンギャンブルであったことになります。

 RBがCから直接ボールを受けて、そのままプレーするという形ですから、プレーとしては「ワイルドキャット」ということなのでしょうが、そこに至るまでの「味付け」がとても面白い。
 一瞬にしてワイルドキャットフォーメーションに移行するためのスピンプレー。
 
 こうしたプレーは初めて観ました。

 こうした印象的なプレーは、当然ながら後に解説され、その原型は「1948年のローズボウル、ミシガン大学VS南カリフォルニア大学(USC)のゲームでミシガン大学が行ったプレー」だったのだそうです。

 さらに、チーフスのアンディ・リードHCヘッドコーチの「お兄さんのハイスクールのコーチが当該ローズボウルに行っていて、(その時録画された?)試合のテープ」をリードHCが持っており、チーフスのスタッフがそのテープから、このプレーの原型を抽出していたこと、そして、そのプレーを、チーフスは2019年5月から練習していたとも報じられています。

 スーパーボウルという、NFLというかアメリカプロスポーツ全体の中でも最高のゲームにおいて、さらには序盤のとても重要な局面で、その「スピンプレー」が繰り出されました。
 そのプレーは、今から70年以上前に使用されていたもので、それをチーフスではしっかりと練習していたというのです。何だか、凄い話だと思います。

 そして、練習していたとはいえ、その目新しいプレーをあの場面でコールするというのも、なかなか出来ないことなのではないでしょうか。
 「人生を賭ける」と言っても大袈裟では無いゲーム、絶対に失敗が許されないゲームにおいて、これまで使ったことが無いプレーを選択するということ。

 アンディ・リードHCの真骨頂なのかもしれません。

 カンザスシティ・チーフスは50年振りにスーパーボウルを制しました。
 「悲願の制覇」と言っても良いでしょう。

 圧倒的な攻撃力を武器に、レギュラーシーズンとポストシーズンを勝ち抜いたチーフスですが、ポストシーズンの戦い振りは「スロースターター」と言って良く、相手チームの戦略・戦術をじっくりと観察し、一気に逆転するゲームを続けたのです。

[ディビジョナル・1月12日・アローヘッドスタジアム]
カンザスシティ・チーフス51-31ヒューストン・テキサンズ

[AFCチャンピオンシップ・1月19日・アローヘッドスタジアム]
カンザスシティ・チーフス35-24テネシー・タイタンズ

[スーパーボウル・2月2日・ハードロックスタジアム]
カンザスシティ・チーフス31-20サンフランシスコ49ers

 ディビジョナルゲームでは、第1クオーターQでタイタンズに3タッチダウンTDを挙げられて0-21とリードを許しました。
 そして第2QにもフィールドゴールFGで失点し、0-24と差を広げられたのです。

 このレベル=世界最高峰、における「24点差」はとても大きいもので、ワイルドカードを勝ち上がり勢いに乗るテキサンズが、ここでもアップセットを示現するのではないかと感じられました。

 ところが、ここからのチーフスの反撃、第2Q残り10分からの10分間の攻撃は圧巻でした。
 あっという間に「4TD」を挙げて、一気に逆転したのです。

 この、ディビジョナルゲーム第2Qが、今ポストシーズンのチーフスを象徴する攻撃であったと感じます。
 必死に守るテキサンズ守備陣を相手に、様々な手法を用いて、「いとも簡単に」(そのように観える)次々とTDを積み重ねる様は、「怖ろしさ」さえ感じさせるものでした。

 チーフスは、後半にも23点を加えて、今ポストシーズン全ゲームの最高得点である51点を挙げたのです。

 チャンピオンシップゲームでは、第2Q残り6分までに、タイタンズに17-7とリードを許しました。
 アップセットを2試合連続で成し遂げ、勢いに乗っているタイタンズに先行されたのです。

 ところが、ここでも第2Q残り4分あまりから2TDを挙げて、21-17と、前半で逆転してしまいました。
 「あっという間」の2TDでした。

 「タイタンズの勢い」が一気に萎んでしまった瞬間だったのかもしれません。

 チャンピオンシップまでのチーフスは「第2Qのチーフス」と呼んで良い、「第2Q後半に爆発的な攻撃を魅せる」チームでした。

 さてスーパーボウルです。

 スーパーボウル2020は、前半を終わって10-10の同点でした。
 「第2Qのチーフス」は現れることが無く、それどころか、第3Qには49ersにリードを許し10-20の劣勢となったのです。
 スーパーボウル優勝5回を誇る49ersが、ここでも強さを魅せるかに観えました。

 ところが、今度は第4Qに逆転劇が待っていたのです。
 試合時間残り6分あまり、チーフスが追い込まれている状況にも観えましたが、ここからチーフスは3TDを重ねて、一気に逆転しました。
 スーパーボウルでも「あっという間の逆転」が健在だったのです。

 必死に反撃を試みる49ersでしたが、功を奏さず、チーフスに傾いた流れを戻すことはできませんでした。

 こうして、NFL2019~20のポストシーズンを観てくると、いずれのゲームでも、「チーフスはあっという間に逆転」しています。
 ゲームにおける、それまでのモメンタムとは関係ないかのように、得点を開始し、得点し始めると「一気」なのです。

 相手チームは言うまでも無く世界最高レベルなのですから、こうした「一気の連続攻撃」が至難の技であることは、自明です。

 あたかも「チーフス・マジック」と呼んで良い様な、摩訶不思議な時間帯が、各ゲームに存在していたように観えるのです。

 その「マジック」は、クオーターバックQBパトリック・マホームズ選手とアンディ・リードHCヘッドコーチを中心として創り上げられていたことは、間違いないのでしょう。

 NFL2019~20ポストシーズンは、「チーフス・マジック」に支配されていたのかもしれません。
 スーパーボウル2020はカンザスシティ・チーフスの優勝で幕を閉じました。

 例年のことですけれども、NFL2019~20シーズンのポストシーズンゲームにおいても、素晴らしいゲーム・プレーが繰り広げられたのです。

 中でも、テネシー・タイタンズのランニングバックRBデリック・ヘンリー選手の活躍は特筆されるべきものでしょう。

 タイタンズはAFC南地区2位でレギュラーシーズン9勝7敗、第6シードでポストシーズンに出場したチームですが、ワイルドカード、ディビジョナルと勝ち進み、カンファレンスチャンピオンシップゲームまで進出したのです。
ヘンリー選手は、その攻撃面の中心的な存在でした。

[ワイルドカード・1月4日・ジレットスタジアム]
テネシー・タイタンズ20-13ニューイングランド・ペイトリオッツ

 「王朝」として常にスーパーボウル制覇争いの中心に居て、ポストシーズンにおいて圧倒的な強さを誇り、ましてやホーム・ジレットスタジアムで9連勝中というペイトリオッツが、ワイルドカードで敗れるというのは、信じられないことでしたが、このゲームでRBヘンリー選手は、全く止められませんでした。

 34度のキャリーで182ヤードをゲインしたのです。
 1キャリー平均5.3ヤードという凄さ。
 ポストシーズンではいつも、レギュラーシーズンにおけるより遥かに強い防御力を魅せてきたペイトリオッツ守備陣を、ゲームを通して翻弄しました。

 ポストシーズンでペイトリオッツ守備陣が強いというのは、個々のプレーヤーの頑張りは勿論として、守備コーディネーターを始めとするスタッフの戦前の戦略・戦術の構築が優れていて、ゲームにおいてもプレー選択が的確であることは、当然のことでしょう。
 そのペイトリオッツディフェンスを相手にして、タイタンズオフェンスラインプレーヤーが強く、ヘンリー選手のために「ランニングコース」を創りつづけ、ヘンリー選手はそのコースを十分に活用するとともに、上手くコースが開かない時や、ラインバッカーLBを始めとする相手守備プレーヤーが、想定外のところから飛び出してきた時にも、自ら新たなコースを見出し、ステップを踏み、相手プレーヤーを交わし、掴まってからもセカンドエフォートにより2~3ヤード前進するという、「懸命の走り」を続けたのです。

 それをテレビ画面で観ていると、「何度走っても出る」「何故ペイトリオッツは止められないのだろう」という言葉に繋がる訳ですが、ワンプレー毎に、あるいはクオーターQごとに、対応策を再構築し、新しいディフェンスを繰り出してくる筈のペイトリオッツディフェンスが、これほどまでにランプレーで抜かれ続けたゲームを、私は初めて観たように感じます。

[ディビジョナル・1月11日・M&Tバンクスタジアム]
テネシー・タイタンズ28-12ボルチモア・レイブンズ

 ペイトリオッツをよもやの番狂わせで破ったタイタンズは、ディビジョナルゲームで第1シードのレイブンズと戦い、これも破りました。
 このゲームは、タイタンズ守備陣が、QBラマー・ジャクソン選手を中心としたレイブンズオフェンスを12点に抑え込んだことが主たる勝因なのですけれども、28点を奪った攻撃陣の中心は、やはりRBヘンリー選手でしょう。

 このゲームでヘンリー選手は、30度のキャリーで195ヤードをゲインしました。1キャリー当り平均6.5ヤードという凄まじさです。

 第1シードのレイブンズは、レギュラーシーズン中・後半を「12連勝」と勢いに乗っていました。
 当代最高のモバイルQBとも呼ばれるラマー・ジャクソン選手を中心とした攻撃陣が相応の得点を挙げることは予想できますから、後は、相手チームをロースコアに抑え込めば、勝利が転がり込んでくると考えるのは、自然なことでしょう。

 ワイルドカードのゲーム内容を観れば、「RBデリック・ヘンリー選手を止めれば、タイタンズの攻撃力は半減する」と考えるのも、自然なことでしょう。
 ましてや、リーグ屈指のランディフェンスを誇るレイブンズなのです。

 従って、レイブンズの守備コーディネーターを始めとするスタッフやプレーヤーが、「ヘンリー選手を止めるため」の様々な戦術を構築し、実行に移したことは、想像に難くありません。

 しかし、ヘンリー選手は止められなかった、というよりは、「ワイルドカードゲームより威力を増した」のですから、信じられないようなパフォーマンスということになります。

 このゲームでも、タイタンズのオフェンスラインは「ランニングコースを創りつづけ」、ヘンリー選手もパワーとステップ、そしてセカンドエフォートにより、より多くのゲインを示現しつづけました。

 テレビで観ていた私は、やはり、「何故レイブンズは止められないのだろう」と呟きました。
 そして試合が進むにつれて、タイタンズの攻撃、ヘンリー選手のランプレーを観る度に、「今度も抜けるだろう」と感じるようになり、実際に「ゲームを通じて一度も止められなかった」イメージがあります。

 当然ながら、「世界最高レベルの守備」が用意され実行されている中で、それを上回る威力を発揮したタイタンズオフェンスは、称賛されてしかるべきでしょうし、このゲームの、伝統的に守備のチームと呼ばれるレイブンズを相手にしての素晴らしい攻撃は、NFL2019~20シーズンにおける、「タイタンズのベストゲーム」であったと感じます。

[AFCチャンピオンシップ・1月19日・アローヘッドスタジアム]
カンザスシティ・チーフス35-24テネシー・タイタンズ

 ワイルドカード、ディビジョナルと「止められなかった」デリック・ヘンリー選手が、チャンピオンシップゲームでどのような走りを魅せるのか、という点は、今シーズンのAFCチャンピオンシップの最大の見所のひとつでした。

 そして、チーフス守備陣は「見事に止めて魅せた」のです。

 このゲームでも、第1Qには、ヘンリー選手のランは「そこそこ」出ていました。チーム最初のタッチダウンも、ヘンリー選手のランから生まれています。

 ところが、第2Qに入ったころから「止まり始めた」のです。
 ヘンリー選手が、スクリメージライン付近で止められるシーンが増加しました。
 そして、第3Q以降は、ヘンリー選手によるラン攻撃自体が減少したのです。

 スタッフ・プレーヤーが一体となった、チーフス守備陣の素晴らしいパフォーマンスでした。
 
 「強力なRBを擁するラン攻撃」を止めるには、「一定以上のパワー」、具体的には、「数多くのプレーヤーが同時に当該RBに襲い掛かる」必要があるのは、自明です。

 従って、このゲームにおけるチーフス守備陣のプレー選択が当たっていたことは間違いありませんし、ディフェンスプレーヤーの「集散スピード・俊敏性の高さ」も見事なものでした。

 そういう意味では、さすがのRBデリック・ヘンリー選手、さすがのタイタンズのランオフェンスも、「研究され尽くした」ことになるのでしょう。
 残念ながら、NFLのポストシーズン3戦連続の「止められないラン攻撃」は実現できなかったのです。
 このゲームのRBヘンリー選手のスタッツは、19度のキャリーで69ヤードのゲイン、1キャリー当り平均は3.6ヤードのゲインでした。前2ゲームとは、全く異なる結果でしょう。

 今回は、NFL2019~20ポストシーズンのタイタンズの活躍、そしてRBデリック・ヘンリー選手の走りについて、観てきました。
 惜しくもスーパーボウルへの進出はなりませんでしたけれども、第6シードからの「台風の目」としての活躍、それも相当「強力な台風」として、ポストシーズンを彩っていただきました。

 デリック・ヘンリー選手は、身長191cm・体重112kgという「大型」RBですが、独特の小さなステップも駆使しますので、「加速後に止める」ことは至難の技なのでしょう。

 束ねた髪がヘルメットの後ろに「尻尾のように」でている姿は、少し微笑ましい感じもします。
 ヘンリー選手はフィールド上で、すぐ見つかるのです。

 2015年、アラバマ大学3年生の時に、ヘンリー選手はハイズマントロフィー(学生最優秀フットボーラー示す賞)を受賞しています。
 この時、最終的にノミネートされていたプレーヤーは、クリムソン大学のQBデショーン・ワトソン選手(現、ヒューストン・テキサンズQB)とスタンフォード大学RBクリスチャン・マキャフリー選手(現、カロライナ・パンサーズRB)でした。
 ヘンリー選手を含めた3選手共に、既にNFL屈指のプレーヤーとなっています。

 NFLを代表するランニングバックとして、今後もデリック・ヘンリー選手の活躍が期待されるところです。

[2月2日・フロリダ州マイアミ ハードロックスタジアム]
カンザスシティ・チーフス31-20サンフランシスコ49ers

 一進一退の攻防、インターセプトが数多く観られた大接戦のゲームは、第4クオーターQにチーフスが持ち前の攻撃力を発揮して、勝ち切りました。
 モメンタムがこれ程に行ったり来たりしたスーパーボウルも、珍しいのではないでしょうか。

 前半は、両チームとも1タッチダウンTD・1フィールドゴールFGを奪い、10-10の同点で折り返しました。
 「鍔迫り合い」といったところでしょうか。

 第3Qは49ers(フォーティナイナーズ)がゲームの流れを掴みました。
 守備陣の踏ん張りでインターセプトを示現し、3Q残り時間2分40秒でTDを挙げて、20-10とリードしたのです。
 チーフスのクオーターバックQBパトリック・マホームズ選手は、この試合で2本のインターセプトを受けています。

 両チームの守備陣の頑張りは凄まじいものでしたから、このまま49ersが押し切るのではないか、やはりチーフスはポストシーズンに弱いのか、といった雰囲気が漂いました。
 しかし、チーフスのハイパーオフェンスは第4Qに威力を発揮したのです。

 1TDで17-20と追い上げたチーフスは、試合時間残り2分50秒に、QBマホームズ選手からランニングバックRBデイミアン・ウィリアムス選手へのパスが決まって逆転のTD、試合時間残り1分20秒には、RBウィリアムス選手の38ヤードTDランが決まって、試合を決めました。

 残り時間3分を切ってからの2TDに、今シーズンのチーフスの攻撃力が現れていたと感じます。
 ヒューストン・テキサンズとのディビジョナルゲーム第2Q4TDにも観えるように、「あっという間に得点するチーム」なのです。

 一方の49ersも、「攻めに攻めた」印象が有ります。
 QBジミー・ガロッポロ選手は、第3Qで良く攻め、第4Q逆転を許した後も前進への強い意欲を示し、プレーを続けました。
 しかし、そこはチーフス守備陣が良く守ったのです。

 「総合力に勝るチーフスが、大舞台でも力を発揮したゲーム」であったと思います。

 1990年代に、「伝説的QB」であるジョー・モンタナ選手を49ersから迎えながらも、ポストシーズンでなかなか勝ち進むことが出来ず、その後もスーパーボウルへの道が遠かったチーフスが、本当に久しぶりにスーパーボウルに登場し、ついに頂点に登りました。
 チーフスは、歴史のプレッシャーにも勝ったのです。

 パトリック・マホームズ選手を中心としたハイパーオフェンスが「新たな伝説」となった、第54回スーパーボウルなのでしょう。

 スーパーボウル2020を控えた1月23日、イーライ・マニング選手の引退が発表されました。

 ニューヨーク・ジャイアンツのクオーターバックQBとして16シーズンの間プレーしたイーライ・マニング選手は、間違いなくジャイアンツの一時代を築きました。

① 2度のスーパーボウル制覇

 「イーライ」を語る時、真っ先に挙げなくてはならないのは、2008年と2012年の「2度のスーパーボウル制覇」でしょう。そして、2度共にMVPに輝いています。

 イーライ・マニング選手を「マニング選手」と表記し難い理由は、NFLにおいて「マニング」と表記すると、まずは「ペイトン・マニング選手」を指すことになるからです。
 「ペイトン・マニングという偉大な兄」を持つイーライ・マニング選手については、ここではイーライ選手と呼ばせていただきます。(ペイトン・マニング選手は「ペイトン選手」です)

 その「偉大なるペイトン選手」は、NFLのQBの記録を次々と塗り替え、史上最高のQBのひとりとしての地位を確立しているのですが、スーパーボウル制覇回数では、イーライ選手と同じ2度なのです。

 それも、「2度目の制覇」は、イーライ選手が2011年、ペイトン選手が2016年ですから、イーライ選手の方が早かったのです。

 さらに、スーパーボウルMVPとなれば、イーライ選手が2度、ペイトン選手が1度です。

 以上から、「イーライ選手がスーパーボウルに強かった」ことは明らかでしょう。

② QBトム・ブレイディ選手の「天敵」?

 前述の2度のスーパーボウル制覇の時の対戦相手は、いずれもニューイングランド・ペイトリオッツでした。

 所謂「ペイトリオッツ王朝」の全盛期に「スーパーボウルで2度対戦し2度破った」というのは、そのこと自体がミラクルなことです。

 ペイトリオッツのスーパーボウル制覇は、2002年、2004年、2005年、2015年、2017年、2019年の6度ですが、2006年から2014年までの間は制覇が有りません。少し空いている印象なのですが、この間の2007年と2012年にスーパーボウルに進出してきた、ベリチックHCとQBブレイディ選手の野望を打ち砕いたのが、イーライ・マニング選手率いるジャイアンツだったのです。

 現在まで、所謂「ペイトリオッツ王朝」時代に、スーパーボウルで「2度」ペイトリオッツを倒したのはジャイアンツだけです。
 ベリチックHCとQBブレイディ選手のコンビは「スーパーボウルに強い」ことでも知られていますが、そのコンビに対して2戦2勝のイーライ選手は、これはもう「神憑り」ということになります。

 そして、スーパーボウルにおける「ジャイアンツが勝負を決めたプレー」にも、伝説の「ヘルメットキャッチ」を始めとして、信じられないようなプレーが並ぶのです。

 アメリカ最大の都市ニューヨークにホームを置くジャイアンツの主戦QBとして、とても厳しいと言われるニューヨークのマスコミの批評を浴びながら、ニューヨークっ子の期待を背負って戦い続け、チームの21世紀のスーパーボウル制覇の全てを担ったイーライ・マニング選手が、「21世紀のNFLを彩ったスーパースター」であることは間違いありません。

 2008年2月3日、私は出張でニューヨークに居ました。
 そして、友人宅に招待いただき、第42回スーパーボウルをテレビ観戦しました。
 ご家族と美味しい食事を楽しみ、ゲーム後半はカウチポテト状態でした。

 アメリカ合衆国のごく普通の家庭の「スーパーボウルの日の過ごし方」を体験できたことは、私にとっての大きな経験でしたし、一生の思い出なのです。

 1月22日、オークランド・レイダーズが正式にラスベガスに移転しました。

 2017年3月のNFLオーナー会議で決定されていた移転が、実現したのです。

 それにしても、レイダーズは「移転の多いチーム」です。
 1960年にオークランド・レイダーズは、新設されたアメリカンフットボールリーグAFLのチームとして設立されました。

 チームは1982年ロサンゼルスに移転し、ロサンゼルス・レイダーズとなりました。

 さらに、1995年、チームは再びオークランドに戻り、オークランド・レイダーズになりました。

 そして今回、チームはラスベガスに移転して、ラスベガス・レイダーズになったのです。

 それぞれの移転には、当然ながら理由があるのですが、結果として、レイダーズはNFLの中で最も移転の多いチームとなっています。

 この間、レイダーズは輝かしい戦績を残しました。

 1977年のスーパーボウル制覇。
 ジョン・マッデンHCヘッドコーチ、クオーターバックQBケン・ステブラー選手やタイトエンドTEフレッド・ビレト二コフ選手らを擁して、ミネソタ・バイキングスを下して優勝しました。

 1981年2度目のスーパーボウル制覇。
 QBジム・ブランケット選手らの活躍により、フィラデルフィア・イーグルスを破って優勝しました。スーパーボウル史上初めての、ワイルドカードからの優勝でした。

 1984年3度目のスーパーボウル制覇。
 ロサンゼルス・レイダーズとしての優勝です。ランニングバックRBマーカス・アレン選手の大活躍でワシントン・レッドスキンズを退けました。

 2003年、惜しくもスーパーボウルで敗れる。
 QBリッチ・ギャノン選手やワイドレシーバーWRジェリー・ライス選手を擁してスーパーボウルに駒を進めましたが、タンパベイ・バッカニアーズの前に21-48と大敗を喫しました。21世紀のスーパーボウル初制覇を目指したレイダーズの野望は実りませんでした。
 そしてここから、今日に至るまで、レイダーズはスーパーボウルに出場していません。

 3度のスーパーボウル制覇というのは、素晴らしい実績です。
 また、世界中に居ると言われるレイダーズファン、その熱狂的な応援ぶりから「レイダーネーション」とも呼ばれますが、とても人気のあるチームなのです。

 そうしたチーム、NFL屈指の強豪チームでありながら、他のチームに比べて多くの移転を繰り返すのは、レイダーネーションの1員を(勝手に)自認している私としては、やや残念な感じがします。

 とはいえ、レイダーズを応援する気持ちはいささかも揺らいでいませんから、「ラスベガス」レイダーズの活躍に、大いに期待しているのです。

[1月19日・AFCチャンピオンシップ・アローヘッドスタジアム]
カンザスシティ・チーフス35-24テネシー・タイタンズ

[1月19日・NFCチャンピオンシップ・リーバイススタジアム]
サンフランシスコ49ers 37-20グリーンベイ・パッカーズ

 1月19日に行われた、カンファレンス・チャンピオンシップ・ゲームは、チーフスと49ers(フォーティナイナーズ)が制して、2月2日に開催される第54回スーパーボウルに駒を進めました。

 好カードとなった両カンファレンスのチャンピオンシップゲームでしたが、結果として「上位シードチーム」が順当に勝ち上がったのです。

 レギュラーシーズンAFC南地区2位、第6シードでポストシーズンに臨み、ニューイングランド・ペイトリオッツ、ボルチモア・レイブンズを連破して「アップセット(番狂わせ)」を演じてきたタイタンズも、ついに力尽きました。

 チーフスVSタイタンズのゲームは、チーフス守備陣が、タイタンズのランニングバックRBデレック・ヘンリー選手のランを19キャリー・69ヤードゲインに抑え込んだことが、勝因でしょう。
 ワイルドカード、ディビジョナルと1ゲーム190ヤード前後のゲインを挙げてきたRBヘンリー選手を、、ペイトリオッツモレイブンズも止められなかったヘンリー選手を、チーフスがついに「止めた」のです。

 一方でチーフス自慢のハイパーオフェンスは、クオーターバックQBパトリック・マホームズ選手を中心に、いつものように機能して、35得点を挙げました。ワイドレシーバーWRサミー・ワトキンス選手、タイリーク・ヒル選手、デイミエン・ウィリアムス選手、トラビス・ケルシー選手、デマーカス・ロビンソン選手の5選手が30ヤードを越えるゲインをするという、「変幻自在なパスプレー」、チーフスオフェンス最大の強みは健在でした。


 パッカーズと49ersという、古豪というか、強豪・有名チームが激突したNFCは、前半で勝負が決まりました。
 49ersは、第1・第2クオーターQで3タッチダウンTD・2フィールドゴールFGを決めて27-0とリードしたのです。
 このレベル、世界最高峰のゲームにおいては「27点差」は決定的です。
 パッカーズも後半良く追い上げましたが、49ersがキッチリと逃げ切りました。

 49resのQBジミー・ガロポロ選手は、僅か77ヤードのパスゲインに止まりましたが、RBラヒーム・モスタート選手が29度のキャリーで220ヤードゲインという、ポストシーズン新記録を打ち立て、4TDを挙げました。1キャリー当り7.6ヤードゲインという、驚異的なランだったのです。
 「走りまくった」印象ですが、パッカーズを相手に「ラン攻撃で勝負する」と決め、それをしっかりと実行した49ers攻撃陣の、見事な、本当に見事なプレーでした。

 スタッツを観ると、このゲームの総獲得ヤードは、パッカーズ358ヤード、49res354ヤードと、ほぼ互角なのですが、ほぼ互角となれば、ラン攻撃による獲得の方が「得点への確実性が高い」のは道理です。
 
 49ersの戦略と戦術が見事に機能したゲームでした。

 さて、2月2日スーパーボウル2020(フロリダ州マイアミガーデンズのハードロック・スタジアムが舞台)は、チーフスと49ersの対戦となりました。

 共に、21世紀にはスーパーボウル制覇はありません。

 とはいえ、49ersは2013年にスーパーボウルに進出し、レイブンズに惜敗していますから、スーパーボウルの経験となれば上でしょう。

 チーフスは、AFL-NFLチャンピオンシップ時代の1970年に優勝して以来、スーパーボウルに出場していませんが、49ersは1995年を最後に5度の優勝があります。

 こうして観ると、スーパーボウルの実績では49resが上回っていることになりますが、21世紀に勝っていない点では同等ということになるでしょう。

 ややもすると「ポストシーズンに弱い」と言われてきたチーフスが、その汚名を返上することが出来るかどうかが、最大の注目ポイントかもしれません。


 世界最高峰のプロアメリカンフットボールリーグであるナショナル・フットボール・リーグNFLの、2019年~20年シーズンのポストシーズンも佳境を迎え、アメリカン・フットボール・カンファレンスAFCとナショナル・フットボール・カンファレンスNFCの、カンファレンスチャンピオンを決める、カンファレンス・チャンピオンシップゲームに進出する各2チーム・計4チームを決めるための、ディビジョナル・ゲームが、1月11日・12日に行われました。

[NFC・1月11日・リーバイススタジアム]
サンフランシスコ49ers27-10ミネソタ・バイキングス

[AFC・1月11日・M&Tバンクスタジアム]
テネシー・タイタンズ28-12ボルチモア・レイブンズ

[AFC・1月12日・アローヘッドスタジアム]
カンザスシティ・チーフス51-31ヒューストン・テキサンズ

[NFC・1月12日・ランボーフィールド]
グリーンベイ・パッカーズ28-23シアトル・シーホークス

 4試合の内3試合は、ホームチーム=上位シードチームが勝利を収めました。
 レギュラーシーズンの成績上位のチームが勝ったということで、順当な結果と言えます。

 しかし、1試合→タイタンズVSレイブンズだけは、ワイルドカードを勝ち上がったタイタンズがレイブンズを破りました。
 第6シードのチームが、第1シードを破ったのです。
 これは「衝撃的な結果」でした。

 レギュラーシーズンを14勝2敗という、今期レギュラーシーズンNFL全体の最高勝率で第1シードであったレイブンズが、レギュラーシーズン後半を「12連勝」という素晴らしい勢いで走ったレイブンズが、クオーターバックQBラマー・ジャクソン選手を中心とした圧倒的な攻撃力を誇るレイブンズが、スーパーボウル2020の勝利に最も近いチームと目されていたレイブンズが、敗れたのです。

 タイタンズの大金星であったと思います。
 おそらく、ゲーム前の戦略・戦術の構築、ゲームでの実行を始めとして、タイタンズとしては「会心」のゲームであったことでしょう。

 タイタンズはワイルドカードでも、あのニューイングランド・ペイトリオッツを13得点に抑え込み勝利しました。
 QBトム・ブレイディを中心とする、「ポストシーズンで圧倒的に強い」ペイトリオッツを、敵地ジレットスタジアムで(ペイトリオッツはジレットスタジアムでポストシーズン9連勝中でした。ホームで敗れることなど考えられない実績を残していたのです)破りました。

 そして今度は、優勝候補筆頭のレイブンズを、レイブンズのホーム・M&Tバンクスタジアムで屠ったのです。
 見事なポストシーズンの戦い振りですし、今ポストシーズンの「台風の目」でしょう。

 現在のNFLを代表するモバイルQBであるラマー・ジャクソン選手は、「何でもできるQB」です。
 このゲームでも、365ヤードのパスを投げ、143ヤードを走りました。
 しかし、チームは12点しか取れなかったのです。

 ここぞというシーンにおける、タイタンズ守備陣の強さ、守備戦術面の完成度の高さとプレーヤーの実行力は、とても高いレベルであったと感じます。

 タイタンズの攻撃面では、やはりランニングバックRBデレック・ヘンリー選手の活躍でしょう。30キャリーで195ヤードを稼ぎました。
 1試合で195ヤードゲイン(ポストシーズン新記録)も凄いのですが、1キャリー当り6.5ヤード獲得というのも見事です。

 ワイルドカードゲームでも、あの「ポストシーズンで抜群の破壊力を誇る」ペイトリオッツ守備陣でも、RBヘンリー選手のランは全くと言って良いほど「止められなかった」のです。
 伝統的に守備が強いレイブンズでも止められなかったということは、サイズが有り巧みな走りを魅せる現在のヘンリー選手のランを止めるのは、至難の技なのでしょう。
 QBライアン・タネヒル選手とRBデレック・ヘンリー選手のコンビは、既に「名コンビ」になっているようにさえ観えます。

 この「タイタンズのラン主体の攻撃」は、今ポストシーズン最大の見所かもしれません。

 ワイルドカードでオーバータイムOT・延長戦の末ニューオーリンズ・セインツを倒したバイキングスが、49ersに挑んだゲームは、バイキングスが引き続き「強力な守備」を披露したのですけれども、49ersの攻撃がそれを上回った形でしょう。

 QBジミー・ガロポロ選手のパスが131ヤードに抑え込まれた49ersは、ラン主体の攻撃に活路を見出し、RBテビン・コールマン選手の22キャリー・105ヤードのラン、RBラヒーム・モスタート選手の12キャリー・58ヤードのランなどで前進を図り、ロースコアゲームを制しました。

 QBカーク・カズンズ選手を中心としたバイキングスオフェンスを10点に抑え込んだ、49res守備陣の頑張りも見事でした。

 チーフスとテキサンズのゲームは、今ポストシーズン初?の「点の取り合い」となりました。
 そして「点の取り合い」となれば負けられないチーフス攻撃陣が、持ち前の「ランとパスをバランス良く織り交ぜたオフェンス」で大量51点を奪い、逆転勝ちしたのです。

 第1クオーターQでリードを許したチーフスの第2Qが圧巻でした。
 QBパトリック・マホームズ選手からのタッチダウンTDパスがビシビシ決まり、4TDを挙げて逆転し、そのまま押し切ったのです。
 第1Qでテキサンズの守備を研究・検討し、2Q以降の攻撃に結びつけたベンチ采配の勝利でもあったのでしょう。

 パッカーズVSシーホークスは競り合いでした。
 攻撃・守備共に「互角」の展開でしたが、第3Qまでに28点を挙げたパッカーズが逃げ切った形でしょう。

 共にスーパーボウル制覇のキャリアを保持する、パッカーズのQBアーロン・ロジャース選手と、シーホークスのQBラッセル・ウィルソン選手、共に現在のNFLを代表するベテランQBの、「試合運び」も味わい深いものでした。
 ロジャース選手もウィルソン選手も、全く慌てることなく、「ゲームを勝利するためのドライブ」を、各プレーおよびゲーム全体に実行し続けていたように観えました。

 QBロジャース選手は、ワイドレシーバーWRダバンテ・アダムス選手へのパスプレーを骨格として(8キャリーで160ヤードゲイン)攻撃を組立て、WRジミー・グラハム選手へのパスも交え、ランはRBアーロン・ジェームズ選手やタイラー・アービン選手、そして自身も5キャリーで14ヤードを獲得しています。

 一方のQBウィルソン選手は、WRタイラー・ロケット選手、DKメトカルフ選手、ジェイコブ・ホリスター選手らにパスを投げ分け、ランは自身の7キャリー・64ヤード獲得と短いところはRBマショーン・リンチ選手の12キャリー・26ヤード獲得、を駆使してのプレーでした。

 この1戦は、多彩で重厚なゲームという印象があります。
 まさに、「現在のNFLを代表するカード」のひとつなのでしょう。

 その「多彩で重厚なゲーム」を勝ち切ったパッカーズが、カンファレンス・チャンピオンシップゲームに駒を進めたのです。

 カンファレンス・チャンピオンシップゲームは、AFCがタイタンズVSチーフス、NFCが49ersVSパッカーズとなり、1月19日に行われます。
 このゲームを勝利した2チームが、各カンファレンスのチャンピオンとなり、2月2日の第54回スーパーボウル(於、フロリダ州マイアミガーデンのハードロック・スタジアム)に進出するのです。

 どちらのゲームも、本当に素晴らしいカードとなりました。
 NFL最高峰のゲームとなることは間違いありません。

 特に、タイタンズのRBデレック・ヘンリー選手のプレーは必見なのです。

[1月4日・AFCワイルドカード・NRGスタジアム]
ヒューストン・テキサンズ22-19バッファロー・ビルズ(OT)

[1月4日・AFCワイルドカード・ジレットスタジアム]
テネシー・タイタンズ20-13ニューイングランド・ペイトリオッツ

[1月5日・NFCワイルドカード・メルセデスベンツスーパードーム]
ミネソタ・バイキングス26-20ニューオーリンズ・セインツ(OT)

[1月5日・NFCワイルドカード・リンカーンフィナンシャルフィールド]
シアトル・シーホークス17-9フィラデルフィア・イーグルス

 4ゲームの内2ゲームがオーバータイム(OT、延長)、4ゲーム・8チームの平均得点が18.25という、ロースコア下の激戦が続いた、ワイルドカードでした。

 本当に「実力拮抗」のゲームが続いたのです。

 「30点以上」を記録したチームが無いというワイルドカードも、珍しいのではないでしょうか。

 ワイルドカード最初のゲームは、第3クオーターQの半ばまで、ビルズが押していました。16-0とリードしたのです。

 テキサンズの反撃は、第3Q残り2分を切ってからでした。
 残り1分41秒に、クオーターバックQBデショーン・ワトソン選手の20ヤードのタッチダウンTDランでこの試合初得点のテキサンズは、2ポイントコンバージョンも物にして、一気に8点を挙げたのです。
 当代屈指のモバイルQBのパフォーマンスでしょう。

 テキサンズは、第4QにもフィールドゴールFGとTD+2ポイントコンバージョンで11点を加えて、19-16とリードしました。

 残り試合時間も1分を切り、このままテキサンズが押し切るかに観えましたが、ビルズも良く粘り、残り10秒、キッカーKのスティーブン・ホーシュカ選手が47ヤードのFGを決めて、19-19の同点とし、ゲームはOTに入りました。

 そして、テキサンズはFGを決めて、死闘に決着をつけたのです。

 ワイルドカード第2試合は、テネシー・タイタンズとニューイングランド・ペイトリオッツの対戦でした。
 そして、タイタンズが勝利したのです。

 「ペイトリオッツがポストシーズン初戦で敗退する」こと自体が「驚き」でした。

 戦前の戦力比較やチームの勢いといった、戦前の分析とは「別のところに居るチーム」、ペイトリオッツとはそうした存在だと感じていたのです。
 もちろん、勝手な思い込みなのですけれども、ベリチックヘッドコーチHCとQBトム・ブレイディのコンビは、そうした「神話」を、21世紀のNFLに打ち立ててきたのでしょう。

 レギュラーシーズンの終盤から、「ペイトリオッツの得点力不足」が観えていましたが、それでもポストシーズンに入ればキッチリと立て直してくるもの、と予想していました。しかし、タイタンズの守備陣がそれを許しませんでした。

 第1・2Qを終えては、タイタンズ14-13と1点リードの大接戦でした。
 そして、タイタンズは第3・4Q、ペイトリオッツを無得点に抑え込んだのです。

 QBブレイディ選手のパス獲得ヤードが209に止まり、TDパスが0というのですから、タイタンズの守備がとても良く機能していたことは間違いありません。
 一方で、タイタンズのQBライアン・タネヒル選手とマーカス・マリオカ選手のパス獲得ヤードは計76ヤードに止まりながらも、ポストシーズンで強さを魅せるペイトリオッツ守備陣から20点を奪ったのは、「ラン主体の攻撃」が功を奏したのでしょう。ランニングバックRBデリック・ヘンリー選手の34度のキャリーによる186ヤード獲得は、見事という他はありません。

 いずれにしても、「ここぞ」というシーンにおける、タイタンズの得点力が目立つゲームでした。

 ワイルドカード第3試合は、第1試合に続いてのOT(延長)となりました。
 互角の戦いを続けた両チームは、第4Qを終えて20-20の同点でした。

 そしてOT、バイキングスはQBカーク・カズンズ選手からワイドレシーバーWRカイル・ルドルフ選手への4ヤードのTDパスが決まって、勝ち切りました。

 史上屈指のパサー、セインツのQBドリュー・ブリーズ選手のパスによる獲得を208ヤードに抑え込んだ、バイキングス守備陣の見事なプレーが続きました。

 それにしても、稀代のパサーであるブレイディ選手やブリーズ選手を、1ゲームで200ヤードと少しのゲインに抑え込むディフェンスというのは、凄いものだと思います。
 戦前の戦略・戦術の構築と、ゲーム中のワンプレー毎の絶妙のプレー指示・実行が無い限り、不可能なことでしょう。
 アメリカンフットボールという競技における最高峰の舞台で、「守備力の向上」が明確に現れたシーズンなのかもしれません。

 ワイルドカード最後のゲームも、両チーム合わせて26得点というロースコアとなりました。
 シーホークスとイーグルスという、ハイパーなオフェンスを持ち味とする両チームが、なかなか得点できなかったのです。

 レギュラーシーズン後半から終盤にかけて「4連勝」して、一気にワイルドカード進出を果たしたイーグルスにとっては、攻撃の中心であるQBカーソン・ウェンツ選手が、このゲームでは殆どプレー出来なかったことが痛恨事でしょう。
 替わりに主戦を務めたQBジョシュ・マカウン選手がよく頑張りましたけれども、やはり「ウェンツ選手のチーム」としての持ち味を発揮することが出来なかったことは、止むを得ないところです。

 シーホークスは、QBラッセル・フィルソン選手からWRメトカルフ選手、タイラー・ロケット選手、デビッド・ムーア選手らへのパスを主体に攻め、ロースコアゲームを制しました。

 NFL2019~20シーズンのワイルドカードは、ディフェンスが勝った4ゲームが続きました。

 この流れ、ロースコアの流れが、ディビジョナルプレーオフゲームにおいても発揮されるのか、それとも、ボルチモア・レイブンズ、カンザスシティ・チーフス、グリーンベイ・パッカーズ、サンフランシスコ49ersの華麗で強力な攻撃が勝るのか、ポストシーズンの興味は尽きません。


 NFL2019~20のレギュラーシーズンも12月3日に第13週を終えて、14~17週の4週を残すのみとなりました。
 シーズン終盤に差し掛かっています。

 そうした中で、11月26日には第12週のボルチモア・レイブンズとロサンゼルス・ラムズのゲームが行われ、レイブンズが45-6で圧勝しました。
 今季のレイブンズは好調を維持していて、アメリカンフットボールカンファレンスAFC北地区の首位を走っています。

 このゲームのレイブンズの出場クオーターバックQBに懐かしい名前が有りました。
 ロバート・グリフィンⅢ世です。

 もちろん、現在のレイブンズの主戦QBはラマー・ジャクソン選手です。このゲームでも5つのタッチダウンパスを決めて、チームの勝利に貢献しました。
 そうした中で、ロバート・グリフィンⅢ世選手→通称RGⅢが出場したのです。
 RGⅢ選手は、3度のパスアテンプトで1度成功・39ヤードを稼いでいましたし、3度のランにも挑んでいます。

 少ない出場時間とはいえ、いかにもRGⅢ選手らしい「モバイルQB」としてのプレーを披露してくれたのです。

 RGⅢ選手は、2012年のNFLドラフト、1巡目・全体2位でワシントン・レッドスキンズから指名を受けて入団しました。

 このドラフトにおける「1巡目・全体1位指名」は、アンドリュー・ラック選手。
 インディアナポリス・コルツから指名を受けて入団しました。

 この年は、ハイズマントロフィーを受けたRGⅢとアンドリュー・ラックのどちらが「全体1位指名」となるかに注目が集まっていましたが、ラック選手になったのです。(本ブログの2012年9月21日の記事「[NFL] アンドリュー・ラックとロバート・グリフィン・3世」をご参照ください)

 そしてこのドラフトで、3巡目・75位でシアトル・シーホークスから指名を受けたのが、ラッセル・ウィルソン選手でした。身長が180cmしかなかったために後順位指名となったと説明されていました。(もちろん、3巡目・75位は決して低い順位の指名ではありません)

 ドラフト全体1位・2位を争ったロバート・グリフィンⅢ世選手とアンドリュー・ラック選手、そしてこの2プレーヤー程には当時有名では無かったラッセル・ウィルソン選手の「2012年ドラフトの3QB」のその後の活躍は、皆さんご存知の通りです。(2012年ドラフトでは、その他にもQBが指名されていたと思いますが、本稿ではこの3名に注目します)

 ラッセル・ウィルソン選手は、2012~13年シーズンからシーホークスの先発QBに定着し、ポストシーズンにも出場、2013~14年シーズンでは第48回スーパーボウルに進出、デンバー・ブロンコスに43-8で快勝して、スーパーボウル制覇を成し遂げました。
 その後も、ナショナルフットボールカンファレンスNFC西地区の強豪チームであるシーホークスの主戦QBとしての活躍を続けています。

 アンドリュー・ラック選手も2012~13年シーズンからコルツの先発QBとして活躍しました。このシーズンで339本のパスを成功させて、チームの大先輩であるペイトン・マニング選手の新人記録を更新するとともに、パスで4,374ヤードを獲得し、こちらはキャム・ニュートン選手が保持していた新人記録を塗り替えました。
 その後もチームの中心選手としての活躍を続け、ポストシーズンにも何度も出場していましたが、2017~18年シーズンは怪我の為ゲームに出場できず、2018~19年シーズンにカムバックしたものの、度重なる怪我のために2019年8月に引退しました。

 そして、ロバート・グリフィンⅢ世選手も、2012~13年シーズンからレッドスキンズの先発QBとして活躍、このシーズンの「ルーキーオブザイヤー」に選出されました。大活躍だったのです。
 しかし、2013~14年シーズン半ばからは、相手チームに戦術を憶えられてしまったこともあってか、出場機会が減りました。
 2014~15年は第2週に怪我をしてしまい、7試合の出場に止まり、2015年からは故障がちとなって、2017~18年シーズンはどのチームとも契約できませんでした。もう、RGⅢ選手のプレーが観られないのかと、とてもがっかりしたことを憶えています。
 
 そのRGⅢ選手が、2018年にボルチモアと契約し、バックアップQBとなり、頭書のゲームへの出場へと繋がるのです。

 こうして「2012年NFLドラフトで指名を受けた3名のQB」のキャリアを観てくると、ラッセル・ウィルソン選手は「当代屈指のモバイルQB」としての地位を確立してきましたし、アンドリュー・ラック選手は「伝統的なNFLのQB」としてパスプレーを主体とした活躍を魅せてくれました。(20歳台で引退してしまったことは、本当に残念ですが・・・)

 対して、ロバート・グリフィンⅢ世選手は、その本来の持ち味をまだまだ出し切ってはいないように観えます。
 RGⅢは、とても人気のあるプレーヤーでした。モバイルQBとしての、果敢で華麗で変幻自在なランプレーが、カレッジ、NFLを通じて、アメリカンフットボールファンを魅了したのです。おそらくは現在でも、多くのファンが居ると思います。
レイブンズにおける、ラマー・ジャクソン選手のバックアップQBとしてのプレーの中で、再び輝きを取り戻していただきたいものです。

 9月5日に開幕したNFL2019~20レギュラーシーズンも、9月30日のゲームで第4週・week4を終えました。
 多くのチームが、全16戦のレギュラーシーズンの1/4のゲームを終えたのです。

 4戦全勝のチームが2つあります。
 アメリカンフットボールカンファレンスAFC東地区のニューイングランド・ペイトリオッツと西地区のカンザスシティ・チーフスです。

 ペイトリオッツは、シーズン初戦となった対ピッツバーグ・スティーラーズ戦で、クオーターバックQBトム・ブレイディ選手が341ヤードを投げ、3タッチダウンTDパスを成功させて、33-3と圧勝しました。

 「えーと、ブレイディは何歳になったんだっけ・・・。」
 「42歳・・・。」

 42歳にして、このパフォーマンスは、凄いとしか言いようが有りません。

 第2週もマイアミ・ドルフィンズを相手にして43-0で完勝。
 第3週はニューヨーク・ジェッツを相手に30-14で勝利。
 そして、第4週はバッファロー・ビルズを相手に16-10で勝ちました。
 全てのゲームでQBブレイディ選手は先発し、存分に活躍しているのです。
 加えて、「失点の少なさ」が目立ちます。今季のペイトリオッツのディフェンスも相当に良いのでしょう。

 2019~20年シーズンも、「時空を超えた存在」としてのブレイディ選手を擁するペイトリオッツの戦い振りから、眼が離せません。

 もうひとつの4連勝チームチーフスも、エースQBパトリック・マホームズ選手が元気です。
 こちらは、第1週・ジャクソンビル・ジャガーズに40-26、第2週・オークランド・レイダースに28-10、第3週・ボルチモア・レイブンズに33-28、第4週・デトロイト・ライオンズに34-30で勝利しているのですが、それぞれのゲームでQBマホームズ選手が投げたパスは、378ヤード、443ヤード、374ヤード、315ヤードの4ゲーム計1,510ヤード・1試合平均377.5ヤードに上ります。
 
 チーフスは、ペイトリオッツと比較すれば失点は多いので、強力な攻撃力で勝ち進むタイプということになりますが、その中核たるQBがとても元気なのです。

 第4週を終えて3勝1敗のチームは、AFC東のバッファロー・ビルズ、ナショナルフットボールカンファレンスNFC東のダラス・カウボーイズ、NFC北のグリーンベイ・パッカーズ、NFC南のニューオーリンズ・セインツ、そして3連勝がNFC西のサンフランシスコ49ersとなっています。
 いずれも、力の有るチームです。

 一方で4戦全敗なのは、AFC東のドルフィンズ、AFC北のシンシナティ・ベンガルズ、AFC西のデンバー・ブロンコス、NFC東のワシントン・レッドスキンズ、となっていて、3戦全敗がAFC東のジェッツ、3敗1引分がアリゾナ・カージナルスです。
 例年より、全敗のチームが多いように感じます。
 地元ファンもヤキモキしていることでしょう。

 大混戦なのはAFC南地区で、テキサンズ、コルツ、ジャガーズ、タイタンズの4チームが「2勝2敗」で並んでいます。
 今後の展開が注目されます。

 9月という、まだまだ暖かい時期のレギュラーシーズンですが、NFLはやはりとても面白いのです。
 
 我が国では残暑厳しい折柄ですが、NFL2019~20シーズンの開幕が9月5日に迫りました。
 グリーンベイ・パッカーズVSシカゴ・ベアーズ(於、ソルジャーフィールド)が開幕戦です。

 ついこの間、ニューイングランド・ペイトリオッツがロサンゼルス・ラムズを「史上最少得点ゲーム」となった「13-3」で破り、6度目のスーパーボウル制覇を果たしたばかり、という感じもします。
 月日の経つのは、本当に早いのです。

 さて、2019~20年シーズン開幕を控えて、NFLの華であるスーパーボウルについて、少し観て行こうと思います。

① スーパーボウルに出場したことが無いチーム

 スーパーボウルは、勝利することができれば、とても素晴らしいことですが、アメリカンフットボールカンファレンスAFCとナショナルフットボールカンファレンスNFCのチャンピオン同士が激突するゲームですので、「出場歴」も、とても重要視されます。

 そうした状況下、まだ出場したことが無いチームにとっては、それが最大の目標にもなるのでしょう。
 1966年に始まり、これまで53回を数えるスーパーボウルに、未出場なのは以下の4チームです。

・クリーブランド・ブラウンズ(AFC)
・ジャクソンビル・ジャガーズ(AFC)
・ヒューストン・テキサンズ(AFC)
・デトロイト・ライオンズ(NFC)

 1993年創設のジャガーズと2002年創設のテキサンズは、創設して間もないという感じもしますので、スーパーボウル未出場といっても、「これから」という感じです。

 一方で、1946年創設のブラウンズと1929年創設のライオンズについては、チームの歴史において様々な変遷が有ったとはいえ、一度は出ておきたかったでしょうし、ファンも切望していることでしょう。

 未出場のチームが、AFC3チーム、NFC1チームと、AFCの方が多いのは、もちろん「たまたま」ということなのでしょうが、この物差しの反対「出場回数の多いチーム」を観て行くと、興味深いことが分かります。

[スーパーボウル出場回数・上位4チーム]
1位 ニューイングランド・ペイトリオッツ(AFC) 11回(6勝5敗)
2位 ピッツバーグ・スティーラーズ(AFC) 8回(6勝2敗)
2位タイ ダラス・カウボーイズ(NFC) 8回(5勝3敗)
2位タイ デンバー・ブロンコス(AFC) 8回(3勝5敗)

 出場回数の多い順の上位4チームも、AFC3チーム、NFC1チームとなっています。
 未出場4チームと同じ構成なのです。
 ひょっとすると、AFCは「同じチームが数多くスーパーボウルに出場する」傾向が、あるのかもしれません。

② 2回以上スーパーボウルに出場しながら未勝利のチーム

 1回スーパーボウルに出場し、そして勝利しているチームもありますが、当然ながら強豪チーム→カンファレンスチャンピオンが相手ですから、必ずしも勝てるわけでは無いのが道理です。勝率を5割程度と考えると、「2回以上出場しながら未勝利」というのは、とても残念な感じがします。

[4回出場しながら未勝利]
・ミネソタ・バイキングス 1970年、1974年、1975年、1977年の4回出場しながら未勝利
・バッファロー・ビルズ 1991年、1992年、1993年、1994年の4回出場しながら未勝利

 4回出場ですから、これはもう本当に残念でしょう。

 1970年代のミネソタは、クオーターバックQBフラン・ターケントン選手を中心にして、とても強いチームでした。しかし、スーパーボウル制覇は、ついにできなかったのです。
 74年と75年は、ピッツバーグ・スティーラーズに敗れ、76年はオークランド・レイダーズに敗れています。
 QBテリー・ブラッドショー選手、ランニングバックRBフランコ・ハリス選手、ワイドレシーバーWRリン・スワン選手らを擁し、黄金時代を示現したスティーラーズと、QBケン・ステブラー、タイトエンドTEフレッド・ビレト二コフ選手、WRクリフ・ブランチ選手、パンターPレイ・ガイ選手らを擁して、最強の時代を現出したレイダーズということになれば、少し「対戦相手が強過ぎた」のかもしれません。
 とはいえ、QBフラン・ターケントン選手は、当時のNFLを代表するQBであったことは間違いありません。本当に数多くの記録を樹立した、素晴らしいQBでした。

 1990年代のビルズに付いて言えば、QBジム・ケリー選手らを擁して「4シーズン連続でAFCチャンピオン」に成りながら、ついにスーパーボウル制覇は成りませんでした。
 あれだけ強かったビルズが、一世を風靡した「ノーハドル・オフェンス」をもってしても届かないのですから、スーパーボウル優勝というのは高峰なのでしょう。
 1991年の初出場の時、この時ビルズはニューヨーク・ジャイアンツに19-20で惜敗したのですけれども、この第25回スーパーボウルに勝っていれば、逆に4連覇もあったのではないかと、今でも思います。

 スーパーボウルに「3回出場しながら未勝利」というチームは、ありません。

[2回出場しながら未勝利]
・シンシナティ・ベンガルズ 1982年、1989年
・カロライナ・パンサーズ 2003年、2016年
・アトランタ・ファルコンズ 1999年、2017年

 パンサーズの2016年スーパーボウルは、QBペイトン・マニングを擁するデンバー・ブロンコスに敗れました。戦前の予想では、若きQBキャム・ニュートンを擁したパンサーズの攻撃力が優位と言われていました。

 ファルコンズの2017年は、あのペイトリオッツを追い込みましたが、まさかの大逆転負けを喫しました。「勝てる時に勝っておかないと・・・」という感じがしたものです。

 ベンガルズの1989年の相手チームは、サンフランシスコ49ersでした。
 QBジョー・モンタナ選手による、あの有名な「ザ・ドライブ」が生まれたゲームだったのです。そしてベンガルズは16-20で敗れました。
 NFLの歴史に燦然と輝くプレーで敗れたのですから、ある意味では止むを得なかったのでしょうが、そうしたプレーに出くわしてしまったことは、不運であったのかもしれません。

③ 最後にスーパーボウルに出場してから最も時間が経っているチーム

 一度でもスーパーボウルに出場しているチームで、最も長い間スーパーボウルから遠ざかっているチームです。

 最長は、1968年以来出場が無いニューヨーク・ジェッツです。
 続いては、1969年以来出場が無いカンザスシティ・チーフスでした。
 1976年が最後の出場のバイキングス、1984年が最後のマイアミ・ドルフィンズと続きます。

 ジェッツ、チーフスはこの時スーパーボウルを制していますが、バイキングスとドルフィンズは敗れています。

 各チームのファンは、スーパーボウルの舞台に帰ってきてくれることを待望しているのではないでしょうか。

 NFL2019~20年シーズンの開幕に向けて、これまでのスーパーボウルについて、つらつらと書いてみました。
 書いている間、様々なシーンが脳裏に蘇りました。
 特に、QBフラン・ターケントン選手のプレーを、とても懐かしく思い出しました。

 2019~20年シーズンでも、素晴らしいシーンが沢山生まれることでしょう。
 「20世紀の4大ボウルゲーム」の全てに勝っているのがオハイオ州立大学チームです。

 これは「有るようでなかなか無い」記録でしょう。
 バックアイズは、カレッジフットボールの名門チームなのです。

 アメリカ合衆国オハイオ州コロンバスに在るオハイオ州立大学自体が、全米屈指の名門公立総合大学です。
 創立は1870年、公立名門校が集う「パブリックアイビー」のひとつです。

 そのオハイオ州立大学のフットボールチームの活躍は、全米に鳴り響いています。
 
 ローズボウルでは、1950年の初勝利を皮切りに8度の勝利を重ねています。
 今年2019年1月1日に行われたゲームでも勝利しました。

 シュガーボウルでも、1999年の初制覇から2015年までに3度の勝利。

 オレンジボウルでも、1977年に勝利。

 コットンボウルでも、2017年に勝利しているのです。

 出場チームが、決められたカンファレンス所属という「伝統的な条件」がある4大ボウルにおいて、それを全て制覇しているというのは、凄いことだと思います。
 もちろん、ボウル・チャンピオンシップ・シリーズBCSやカレッジフットボール・プレーオフの開始に伴って、伝統的なボウルゲームの出場校が、「全米王者決定戦」に向けて変化してきたことが、全てのボウルゲームに出場できることになった要因のひとつなのですけれども、それにしても、少ない出場機会を活かして勝利するというのは、容易なことではないでしょう。

 数ある「カレッジフットボール名門チーム」の中でも、オハイオ州立大学バックアイズは「21世紀になってもとても強い」チームと言って良いと思います。

 4大ボウルゲームに比べて、少し新しいフィエスタボウルにおいても大活躍しています。
 1983年にピッバーグ大学パンサーズを破って初勝利を挙げると、2002年、2003年、2005年、2015年、とこれまで6勝、2008年、2016年には惜しくも敗れていますが、出場するだけでも大変なことですから、21世紀におけるバックアイズの強さには驚かされるばかりです。

 そして「プレーオフ制度」がスタートした2015年1月12日の全米王者決定戦(AT&Tスタジアム)では、オレゴン大学ダックスを42-20で下して、全米王者に輝きました。

 「21世紀にも強い」オハイオステート・バックアイズですから、NFLで活躍するOBも現役選手が目白押し。

 まずはジョーイ・ボッサ選手。ロサンゼルス・チャージャーズのディフェンスエンドDEです。2016年にデビューし、2017年にはプロボウルにも選ばれました。J.J.ワット選手(ヒューストン・テキサンズ)2世との呼び声も高い、若手ディフェンダーです。

 続いてはエゼキエル・エリオット選手。ダラス・カウボーイズのランニングバックRBです。やはり2016年にデビューし、その年にプロボウル選出。

 続いては、マイケル・トーマス選手。ニューオーリンズ・セインツのワイドレシーバーWR。やはり2016年デビューですが、クオーターバックQBドリュー・ブリーズ選手を中心とした華麗なパス攻撃のチームにおいて、既にエースレシーバーです。

 前述のボッサ選手やエリオット選手、トーマス選手が在籍した頃のバックアイズが強かったのは、自然なことなのでしょう。2014年シーズンの全米チャンピオン、ビッグ・テン・カンファレンス優勝に輝いています。

 続いては、キャメロン・ヘイワード選手。ピッツバーグ・スティーラーズのDEです。2011年デビュー。「鉄のカーテン」を誇るスティーラーズで、プロボウルとオールプロに選出されています。

 続いては、マルコム・ジェンキンズ選手。フィラデルフィア・イーグルスのフリーセイフティFSです。NFLデビューは2009年、ニューオーリンズ・セインツのコーナーバックでした。この2チームで、2010年(第44回)と2018年(第52回)の2度のスーパーボウル制覇に貢献しています。2チームで2度のスーパーボウル、そして2度の制覇というのは、マルコム・ジェンキンズ選手の「星の強さ」を感じます。

 さて、ミシガン大学ウルヴァリンズの記事の中で、ミシガン・スタジアムが全米大学の中で最大と書きましたが、オハイオステート・バックアイズのホーム、オハイオ・スタジアムも100,000人以上を収容する巨大なものです。
 バックアイズは、全米屈指のハイレベルなカンファレンスであるビック・テン・カンファレンスに所属しています。そして、ウルヴァリンズとは伝統的なライバル関係にあります。ただでさえ入手困難なバックアイズ戦チケットですが、オハイオ州立VSミシガンのチケットはなかなか手に入らないそうです。

 ちなみにバックアイズとは「トチノキ」のことで、オハイオ州が”Buckeye State”と称されることに由来しています。
 オハイオ州立大学は、オハイオ州を代表する大学なのです。
 少し間が空いてしまいましたが、全米カレッジフットボールのシリーズは続きます。

 前稿の通り、1902年の第1回ローズボウルにおいて、西部代表のスタンフォード大学カージナルに49-0で圧勝したのがミシガン大学ウォルバリンズです。

 ウォルバリンズは、アメリカ合衆国のカレッジフットボール創成期から現在に至るまで、強豪チームとして厳然たる地位を占めています。

 カレッジフットボールの歴史が古いミシガン大学ですが、そもそもミシガン大学自体が1817年に当時のミシガン準州のデトロイトに創設されており、アメリカ合衆国で最も歴史の有る公立大学です。
 1837年に現在のアナーバーに移設されたというのですから、まさに「歴史と伝統を誇る」名門大学なのです。

 チーム愛称「ウォルバリンズ」のウォルバリンは「クズリ=クロアナグマ」のことで、ミシガン州の別名が”Wolverine State”であるところから名づけられているのですから、「The ミシガン州」と呼んで良いチームなのでしょう。

 ウォルバリンズの戦績は「華やか」の一語でしょう。
 特に20世紀においては、全米屈指の強豪チームでした。

 ローズボウルでは1902年を皮切りに8度の勝利を重ねていますし、シュガーボウルでも2012年に勝ちました。オレンジボウルでも2000年に勝利し、フィエスタボウルでも1985年に勝っています。
 
 また、ミシガン大学には全米大学最大のスタジアム「ミシガン・スタジアム」があります。
 そして、ウォルバリンズの1試合当たりの平均観客数は11万人を超えると言われています。
 「入れ物」の大きさの関係もあるのですが、NFLの各チームより平均観客数は相当に多いのです。

 ウォルバリンズが所属するのは、全米屈指のレベルを誇る「ビッグ・テン・カンファレンス」です。
 「ビッグ・テン」における、ミシガン州立大学スパルタンズ、オハイオ州立大学バックアイズ、ペンシルベニア州立大学ニタニーライオンズ、ウィスコンシン大学バッジャーズといった「強豪チーム」との競り合いは、毎シーズン熾烈を極めます。
 アメリカンフットボールファンならば、一度は「ビック・テン」の一シーズンの全試合を観てみたいと考えることでしょう。
 「ミシガン・スタジアム」がいつも11万人大観衆で埋め尽くされるのも、さもありなん、というところなのです。

 NFLで活躍するOBということになると、何といってもニューイングランド・ペイトリオッツのクオーターバックQBトム・ブレイディ選手でしょう。「ペイトリオッツ王朝」のQBとして、あらゆるNFL記録を塗り替えつつあります。

 その名門ミシガン大学ウォルバリンズも、20世紀に比べて21世紀になってからは、やや精彩を欠いているとの指摘もあります。

 ウォルバリンズの「復活」が期待されているのでしょう。

 カリフォルニア州スタンフォードに本部を置くスタンフォード大学は、ご存知のように全米屈指の名門校です。

 全米大学ランキングでも、MITマサチューセッツ工科大学やハーバード大学と並んで、常にトップ3に入っている印象が有ります。
 入学への難易度や大学内での教育水準・研究のレベル、OBの活躍、等々、全ての面で全米を代表する大学のひとつなのでしょう。

 そのスタンフォード大学カージナルは、カレッジフットボールの世界でも、屈指の名門チームなのです。

 全米カレッジフットボールにおいて最古の歴史を誇るボウルゲーム・ローズボウルの1902年・第1回のカードは、スタンフォード大学VSミシガン大学でした。
 西部の大学チームを代表するスタンフォードが、東部を代表するミシガンを招待して行われたものですが、このゲームは49-0でミシガンが圧勝しています。

 このゲームが始まりとなって、ローズボウルはPacific Coast conference(現在のパシフィック12カンファレンス)とビッグ・ナイン・カンファレンス(現在のビッグ・テン・カンファレンス)のゲームとして、長い間運営されてきたのです。

 スタンフォード大学カージナルは、ローズボウルでは1927年・1928年・1936年・1941年・2013年・2016年と6度の優勝を誇りますし、オレンジボウルでも2011年に勝利、フィエスタボウルにも2011年に出場(オクラホマステート・カウボーイズに惜敗)するなど、犇めきあう有名強豪チームの間に入って、着実な実績を積み上げています。

 NFLで活躍したOBでは、何といってもデンバー・ブロンコスのクオーターバックQBジョン・エルウェイ選手が有名でしょう。1990年から5度スーパーボウルに進出し、最初の3度は勝てなかったというか、大敗を続けましたが、1998年と99年には連覇しました。その闘志溢れるプレー振りは、多くのファンを魅了したのです。

 スタンフォード大学カージナルは、20世紀前半のローズボウルを彩り、21世紀になってからは各ボウルゲームで、活躍を魅せています。

 いわゆる「カレッジフットボール強豪校チーム」を相手にしても、「強い時にはとても強いチーム」として、全米カレッジフットボール界に個性十分な存在感を示し続けているのです。

 ここまで「20世紀の4大ボウルゲーム」と「ニューイヤーシックス」などについて書いてきました。
 
 アメリカ合衆国のカレッジフットボールの歴史の中で、素晴らしいチームが、素晴らしいゲームを繰り広げてきたことが、よく分かります。

 本稿からは、これまで採り上げなかったカレッジフットボールのチームの中で、個性豊かなチームについて書きたいと思います。

 まずは、ピッバーグ大学パンサーズ。

 医療分野では世界屈指のレベルと高評価を誇るピッツバーグ大学ですが、フットボールにおいても異彩を放っています。
 もちろん、伝統校のチームですから、20世紀においても活躍していました。
 変な書き方で恐縮ですが、「時々、とても強い」のです。

 ローズボウルでは1937年に勝利、シュガーボウルでも1977年に勝ち、フィエスタボウルも1979年に制覇しています。
 フィエスタボウルには、1973年、1983年と2004年にも登場し惜しくも敗れていますから、相当の長きにわたって「全米ランキング上位」を維持しているチームと観るのが自然なのでしょう。

 更に素晴らしいのは、出身プレーヤーのNFLでの活躍です。

 まずは、クオーターバックQBダン・マリーノ選手。1980年代から90年代にかけてマイアミ・ドルフィンズで活躍し、数々の大記録を打ち立てました。ダン・マリーノ選手がNFL史上屈指のQBであることに、異論を差し挟む人は極めて少ないと思います。

 さらには、ランニングバックRBトニー・ドーセット選手。1976年のハイズマントロフィー(全米カレッジフットボールにおいてその年度に最も活躍したプレーヤーに贈られる賞)受賞プレーヤーですが、NFLダラス・カウボーイズのRBとして、数々の記録を打ち立て、スーパーボウル制覇に貢献しました。その柔らかく、縦横無尽な走りは、RBのひとつの「型」を確立したようにさえ見えます。
 我が国のファンも含めて、RBとしての人気の高さも史上屈指でしょう。

 現役では、ワイドレシーバーWRのラリー・フィッツジェラルド選手。本ブログにも何度も登場していますが、アリゾナ・カージナルスの「看板プレーヤー」として、衰えを知らぬ素晴らしいプレーを続けています。

 ちなみに、世界的なポップアート画家(アメリカを代表する画家のひとりでもあります)アンディー・ウォーホール氏や、世界的指揮者ロリン・マゼール氏も、ピッツバーグ大学の出身です。

 「とても懐が深い大学」なのでしょう。
 20世紀の末になって、アメリカのカレッジフットボール界に「全米王者を直接対決によって決めて行こう」という動きが、具体化してきたことを見てきました。
 今回は、その仕組みづくりに新たに加わった2つのボウルゲームを採り上げます。

 20世紀の前半に生まれた4大ボウルが、年月を経るごとに人気を上げ、アメリカ合衆国を代表するスポーツイベントに成長して来たのですが、その記事の中でも書いたように、商業ベースで十分に採算に乗る、それどころか「とても儲かる」となれば、全米で「絶大」な人気を誇るカレッジフットボールですから、「私達の街でもボウルゲームを」という機運が全米各地で高まるのは、自然なことでしょう。

 20世紀の後半には、全米各地で数多くのボウルゲームが立ち上げられたのです。
 数え切れない程のボウルゲームが、全米各地で立ち上げられました。
 
 その中で、21世紀に至って「4大ボウルゲームと並んで重要な役割」を果たしているのが、ピーチボウルとフィエスタボウルでしょう。

 ピーチボウルはジョージア州アトランタで、これは大晦日=12月31日に行われることが多いボウルゲームです。
 1968年に創設されました。
 現在の会場は、メルセデスベンツ・スタジアム(NFLスーパーボウル2019の会場)です。以前は、隣地に在るジョージア・ドームでした。(ジョージア・ドームの隣地にメルセデスベンツ・スタジアムが建てられたと言った方が正確です)

 一方のフィエスタボウルは、アリゾナ州グレンデールで開催されているボウルゲームです。
 1971年に創設されました。
 こちらも当初は12月下旬に開催されることが多かったのですが、近時は1月1日あるいは2日に開催されるようになりました。
 会場は、当初はサン・デビル・スタジアムで行われ、2007年からはステートファーム・スタジアムでの開催となっています。ステートファーム・スタジアムもNFLスーパーボウル2008の会場となりました。
(スーパーボウルの会場となったという表記は、70,000人以上の収容能力を備える巨大な施設という意味です)

 さて20世紀後半に、全米中で数多く生まれたであろうボウルゲームの中で、ピーチボウルとフィエスタボウルを採り上げているのは、この2つのボウルゲームが、現在の「カレッジフットボール・プレーオフ」制度の中で、重要な役割を果たしているからです。

 20世紀の4大ボウルゲームと、この2つのボウルゲーム、つまり、ローズボウル、シュガーボウル、オレンジボウル、コットンボウルとピーチボウル、フィエスタボウルの6つのボウルゲームにおいて、「カレッジフットボール・プレーオフにおける準決勝戦が、持ち回りで開催されるルールとなっているのです。

 年末年始に行われる、これらの6つのボウルゲームは、現在では「ニューイヤーシックス」と呼ばれ、特別な扱いを受けています。
 現時点では「21世紀の6大ボウルゲーム」という位置付けであろうと思います。(時代が2100年近辺まで進んだ時に「21世紀の6大ボウルゲーム」と呼ばれているかどうかは分からないところですが・・・)

 毎年、この6大ボウルの内の2ゲームが「プレーオフ」の準決勝戦となり、これを勝ち上がった2チームが翌週→1月の第2月曜日に開催される「全米王者決定戦」に進出して、覇を競うのが「カレッジフットボール・プレーオフ制度」です。(従って、全米王者決定戦の日程が最初に決まり、準決勝が開催されるボウルゲームの日程が決まる形となりますから、歴史的に1月1日に開催されることが原則であったボウルゲームが、12月の最終週に前倒しで開催される場合があります)

 年末年始のカレッジフットボール6大ボウルゲームと全米王者決定戦、そしてNFLポストシーズンの進行、そして2月月初のスーパーボウル・・・。
 12月末から2月初めにかけての時期は、アメリカンフットボールファンには、本当に「至福の季節」なのでしょう。

 ここまで「20世紀の4大ボウルゲーム」を4回に渡って書いてきました。

 ローズボウル、シュガーボウル、オレンジボウル、コットンボウルという4つのボウルゲームを中核として、20世紀アメリカのカレッジフットボール界は動いていたと思います。

 一方でとても興味深いのは、これらの4大ボウルゲームは「全米NO.1決定戦」ではなかったという点でしょう。

 例えばローズボウルなら、ビッグナイン・カンファレンス優勝校とパシフィックエイト・カンファレンス優勝校が対戦していた時期が長かったように、各会場の近隣の対抗戦形式で戦っていたカンファレンスの優勝チームが登場するなど、出場チームは一定の「歴史に裏打ちされた」ルールの下で決められていたのです。
 我が国の関東大学ラグビーにおける「対抗戦グループ」「リーグ戦グループ」をイメージすると分かり易いのかもしれません。

 こうして各カンファレンスでの成績や、各ボウルゲームでの成績を比較して、「全米NO.1」のチームを「相対的な評価」により選定してきた歴史。

 また、4大ボウルゲームには当初は特定の大スポンサーが付いて居なかったと記憶しています。
 言わば、地元のカレッジフットボールファンが中心となって、大イベントを開催し続けていたのでしょう。

 とはいえ、4大ボウルゲームの規模がどんどん大きくなり、全米の注目度がどんどん上がるに至って、20世紀の後半になると「有名企業スポンサー」が名乗りを上げ、そして4大ボウルゲームへの資金提供を開始しました。
 「注目度が極めて高いイベント」となれば、時代の流れの中では逆らえないことだったと感じます。

 加えて、アメリカ中で「絶大な人気」を誇るカレッジフットボールですから、大スポンサー自らが「新しいボウルゲームを立ち上げる」ようになって来たのです。
 20世紀の後半には、4大ボウルゲーム以外にも、数多くのボウルゲームが発足しました。

 一方で、20世紀終盤になり、「直接対決無しで『全米NO.1』を決める」ことへの様々な意見が出されるようになったことも、ある意味では自然なことですし、従来の様な伝統的な「4大ボウルゲーム」の在り様を支持する意見もある中で、「全米ランキング1位のチームと2位のチームの対戦を観てみたい」といった素朴な感情論(人間に備わっている「強弱」をはっきりさせたいという欲求でしょうか)に、商業ベースでは「必ず成功する*」といった視点からの働き掛けもあってか、「全米NO.1」を決める仕組みが待望されるようになりました。(*カレッジフットボールの観客動員力は非常に高く、2012年シーズンには、1試合平均観客動員数10万人以上が4大学チーム、8万人以上が17大学チーム、4万人以上が60大学チームと、NFL並み、あるいはNFLを凌ぐ動員力が有ると報じられています。もちろん、チケット価格水準は考慮しなければなりませんが)

 そして1998年、「ボウル・チャンピオンシップ・シリーズBCS」が立ち上げられました。「全米NO.1」を決める為に、BCSカンファレンスと呼ばれる、全米における実力上位のカンファレンスの優勝チームが、権威のある各ボウルゲームに登場する仕組みです。
 この仕組みに4大ボウルゲームも組み込まれていったのです。
 BCSは、そのルーティンが度々見直されましたが、2013年まで続きました。

 このトライは2014年に、「カレッジフットボール・プレーオフ」に昇華しました。
 ついに「全米ランキング上位校チームによるトーナメント方式の年間王者決定戦」が始まったのです。4チームによって準決勝と決勝が行われる形式です。
 この制度は、2025年まで継続されることが決まっています。

 この制度の準決勝戦に、伝統的なボウルゲームが「持ち回り」で使用されることとなりました。ローズ、シュガー、オレンジ、コットンの「20世紀の4大ボウルゲーム」もその舞台となったのです。

 さて、アメリカンフットボールはその競技の性格上「1週間に1試合しかできない」ので、こうしたトーナメント形式による「NO.1決定戦」実施には長い時間が必要となります。
 NFLポストシーズンは、そうした競技特性を踏まえて整備されてきた仕組みなのでしょう。

 他方、カレッジフットボールについても、長い年月をかけた試行錯誤の結果として、このような「プレーオフ」が導入されるに至ったのでしょう。こうしたやり方の行く末については、ファンとして注目しつづけたいと思います。

 当然ながら「変革」の影には、「古き良きものを失う痛み」が伴います。

 新年を祝うイベントのひとつとして、大好きなカレッジフットボールの好ゲーム・馴染み深いチーム同士が覇を競うゲーム、を家族揃って観戦するという、「4大ボウルゲームの伝統的・地元ファン」にとっては、「これまであまり観たことが無かったチーム」が「我らがボウルゲーム」に登場するという事態になっているのかもしれません。
 また、もともと入手が難しかったチケットが、一層手に入らなくなっている可能性も有ります。

 ローズボウルならば「1世紀を超える歴史と伝統」を誇りますが、そのローズボウルを始めとする「4大ボウルゲーム」の行く末は、地元ファンならずとも、とても気になるところなのです。

 さて、この「全米王者を決める仕組みの構築」には、「20世紀の4大ボウルゲーム」に、別の2つのボウルゲームが加わりました。
 それについては、その6で・・・。
 「20世紀の4大ボウルゲーム」の掉尾を飾るのはコットンボウルです。

 コットンボウルはアメリカ合衆国テキサス州で、毎年年末年始に開催されます。
 会場は、1937年から2009年までは、ダラスのコットンボール・スタジアム、2010年以降はアーリントンのAT&Tスタジアムです。

 コットンボウルの名称の由来でもあるコットンボール・スタジアムは、観客92,000人余を収容する大スタジアムです。
 現在のAT&Tスタジアムは、平常時は80,000人、立ち見を加えれば110,000人余が観戦できるとされています。
 両方とも、それぞれの時代を代表するスタジアムなのです。

 記憶に残るコットンボウルの制覇チームは、ノートルダム大学ファイティングアイリッシュとテキサス大学ロングホーンズでしょうか。

 押しも押されもせぬ、全米カレッジフットボールの名門・ノートルダム・ファイティングアイリッシュは、全米チャンピオン13回を数え、何時の時代もカレッジフットボール界を牽引してきた存在だと思います。

 他の有名チームとは異なり、特定のカンファレンスに所属せずインディペンデントとも呼ばれる「ファイティングアイリッシュ」は、コットンボウルのみならず、他のボウルゲームでも優勝を重ねていますが、やはりコットンボウルにおける足跡が大きいのではないでしょうか。1971年から94年の間に5度勝利しています。

 同チーム出身のNFLプレーヤーも数多いのですが、やはり代表格はクオーターバックQBジョー・モンタナ選手です。サンフランシスコ49ersにおけるプレー、スーパーボウル他で魅せてくれた素晴らしいプレーは、「ザ・ドライブ」を始めとして多くの「伝説」さえ生んでいます。

 モンタナ選手は、我が国にNFLの情報が相当量入るようになった時期に、最も活躍していたこともあるのでしょうか、我が国で最も有名なNFLのQBではないかと感じます。
 アメリカンフットボールをあまり見ない人達・知らない人達にも、知られている存在、つまり最もメジャーな存在でしょう。

 ファイティングアイリッシュの「金色のヘルメット」は、全米カレッジフットボールの象徴といっても良いのではないでしょうか。

 コットンボウルでの活躍でもう1チームを挙げるとすれば、テキサス大学ロングホーンズでしょう。
 コットンボウルの地元チームであり、優勝回数も最も多いのではないかと思います。
 1943年の初制覇から2003年の制覇まで、連綿たるコットンボウル勝利の歴史を積み上げてきました。
 全米チャンピオンにも4度輝いています。

 「コットン」は、アメリカ合衆国の南部を代表する産物でしょう。
 コットンボウルは、「大」テキサス州のカレッジフットボールの象徴だったのです。

 さて、ここまで「20世紀の4大ボウルゲーム」を観てきました。

 ローズ、シュガー、オレンジ、コットンの4ボウルは、全米カレッジフットボールの象徴として運営され、繁栄を極めて来たのです。

 しかし、20世紀の末になって、4大ボウルにも変化の時期が訪れました。
 その話は、その5から・・・。
 その3はオレンジボウルです。

 アメリカ合衆国フロリダ州マイアミで年頭に開催されるボウルゲームですが、その名の由来は会場がマイアミ・オレンジボール・スタジアムであったことでしょうし、スタジアム名の由来は、名産品のオレンジから来ているのであろうと思います。

 1935年に開始されたオレンジボウルは、1995年までマイアミ・オレンジボールで開催されました。1960年代・70年代には80,000人余を収容していましたし、閉場間際の2007年でも72,000人余を収容する大スタジアムでした。
 1996年以降オレンジボウルはハードロック・スタジアムで開催されています。
 こちらも75,000人余を収容する大スタジアムです。

 ちなみに、1996年のアトランタオリンピックの際に、サッカー日本代表チームがブラジル代表チームを破った「マイアミの奇跡」の舞台が、マイアミ・オレンジボールです。
 とても開放的な造りで、マイアミの青空が良く似合うスタジアムでした。
 
 オレンジボール・スタジアムは2008年に解体され、跡地にMLBマイアミ・マーリンズのホーム、マーリンズパークが建設されました。
 イチロー選手が活躍したマーリンズパークです。

 さて、オレンジボウルで印象的なチームと言えば、オクラホマ大学とフロリダ州立大学でしょうか。
 前篇「シュガーボウル」にも登場したネブラスカ大学コーンハスカーズはオレンジボウルでも強く、1971年から73年の3連覇を始めとして1998年まで数多くの勝利を手にしています。

 一方で1979年から81年まで3連覇したのがオクラホマ大学スーナーズです。
 これまで全米チャンピオンに7度輝いている、大学フットボール界の名門。
 21世紀に入っても、何度かオレンジボウルの舞台に登場していますが、このところはなかなか勝てず、2001年の制覇が最後となっています。

 もうひとつはフロリダ州立大学セミノールズ。
 全米チャンピオンに3度輝く、こちらも名門。
 オレンジボウルでは1977年に初勝利を挙げ、1993年から96年の4年間で3度制覇しています。21世紀に入ってからも2013年と16年に勝利していますので、すっかり常連チームとなりました。

 オクラホマ・スーナーズ出身のNFLプレーヤーとしては、あのエイドリアン・ピーターソン選手が挙げられます。当代屈指の名ランニングバックRBです。

 オハイオステート・セミノールズ出身のNFLプレーヤーとしては、あの「二刀流」ディオン・サンダース選手でしょうか。MLBの名プレーヤーでもあったサンダース選手は、アメリカプロスポーツ界にあって、最強の二刀流プレーヤーのひとりです。

 「スーナーズ」はオクラホマ州の創成期の開拓者の名前に因んだものですし、「セミノールズ」はオハイオ州のネイティブアメリカンの部族名に因んでいると伝えられています。
 アメリカ開拓史を彷彿とさせるチーム名なのです。

 さて、「20世紀の4大ボウルゲーム」のトリはコットンボウルです。
 これは「その4」で・・・。

 その2はシュガーボウルです。

 アメリカ合衆国南部のルイジアナ州ニューオーリンズで年頭に開催されるボウルゲームですが、歴史的にニューオーリンズが綿花と「砂糖」の一大輸出港であったことから「シュガー」ボウルと名付けられたのでしょう。

 1935年開始ですが、1974年まではチュレーン・スタジアムで開催されました。
 80000万人余を収容する大スタジアム。1974年までは、NFLニューオーリンズ・セインツのホームでもあり、スーパーボウルも3度開催されました。

 私には、シュガーボウルといえばチュレーン・スタジアムですが、現在の会場であるルイジアナ・スーパードーム(現、メルセデスベンツ・スーパードーム)に移ったのは1975年ですから、もう40年以上の月日が経っています。意外に古くからスーパードームで行われていたということになります。

 シュガーボウルの勝利チームというと、ネブラスカ大学とアラバマ大学が印象に残っています。(例によって、1970年代・80年代に強かったチームです)

 ネブラスカ州には、NFL、MLB、NBAのチームが有りませんので、スポーツファンの注目はカレッジフットボールに集中します。その1に書いた「カレッジフットボールの人気が高い」要因の典型的なエリアなのでしょう。

 ネブラスカ大学コーンハスカーズ(コーンの皮をむく人という意味で、いかにもコーンの名産地らしい愛称です)は、これまで5度の全米チャンピオンに輝いている名門です。
 ハイズマントロフィー受賞者も3名輩出しています。
 シュガーボウルでも、1974年、85年、87年と勝利しました。
 但し、名伯楽トム・オズボーンが1997年に引退してからは、かつての強さが影を潜めているのはとても残念です。

 一方のアラバマ大学クリムゾンタイドの強さは健在です。
 全米カレッジフットボール界最多17回の全米チャンピオンに輝いており、2019年1月7日の全米王者決定戦でも、惜しくもクレムゾン大学タイガースに敗れたとはいえ、全米トップクラスの実力を維持しているのです。
 全米カレッジフットボールの歴史上、ノートルダム大学ファイティングアイリッシュと並ぶ超名門チームでしょう。

 クリムゾンタイドOBには、NFLの歴史に燦然と輝くプレーヤーが並びます。
 第1回、第2回スーパーボウルMVP・バート・スター選手(グリーンベイ・パッカーズ)、第3回スーパーボウルMVP・ジョー・ネイマス選手(ニューヨーク・ジェッツ)、第11回スーパーボウル優勝QBケン・ステブラー選手(オークランド・レイダーズ)等々、初期のスーパーボウルを彩ったプレーヤーが並んでいます。

 もちろん、シュガーボウルにおけるクリムゾンタイドの活躍は素晴らしいものです。
 1978年から80年の3年連続優勝を始めとして9回の制覇に輝いています。

 続いては、フロリダ州マイアミで開催されるオレンジボウルです。
 これは「その3」で・・・。
 スーパーボウル2019はニューイングランド・ペイトリオッツの6度目の優勝で幕を閉じました。
 アメリカンフットボール競技最高峰のゲーム、アメリカ合衆国最大のスポーツイベントは、今回も数多くのドラマを提供してくれました。

 さて、スーパーボウルが終了して、アメリカンフットボール界は「休息期間」に入りました。

 このオフシーズンを利用して、KaZブログとしてはアメリカの「カレッジフットボール」について書いてみたいと思います。
 前々から書いてみたいと考えていたテーマです。

 不思議なことに、21世紀に入ってから、我が国ではアメリカのカレッジフットボールについての情報やゲームのテレビ放送が減ってきているように感じますので、上手く書けるかどうか自信はありませんが、お楽しみいただければと思います。

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 アメリカ合衆国において、カレッジフットボールの人気は「絶大」です。

 もちろん、プロのフットボール、特にNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の人気の高さは、皆様ご承知の通りですが、感覚的には「NFLに勝るとも劣らない人気」が、カレッジフットボールには有ると思います。

 特に、NFLのチーム(全32チーム)が無い州(全米50州ですから多くの州にNFLのチームが無いのです)においては、最も人気が高いスポーツのひとつとして、存在感が大きく、秋から冬のアメリカ合衆国を彩るビッグイベントとなっています。

 各「州」の独立性が高く、それぞれの州がひとつの独立国といった見方もあったアメリカにおいては、カレッジフットボールにおいても「我らが州の大学チーム」という意識が高く、19世紀以降長い間「全米大学NO.1チームを決める大会・試合」は行われていませんでした。

 そうした状況下で、「我らがチームが、他の州のチームと戦う試合」として、高い地位を誇っていたのが、本編における「20世紀の4大ボウルゲーム」なのです。

 私がアメリカンフットボールを観始めた1970年代、アマチュア最高峰としての「4大ボウルゲーム」の存在感は抜群でした。

 元旦1月1日になると、時には日本においてもゲームのテレビ放送が行われ、いかにもアメリカ合衆国らしい華やかな絵が、日本のお茶の間にも流されたのです。(20世紀の4大ボウルは原則として1月1日に行われたと記憶しています)

 その4大ボウルとは、
① ローズボウル(1902年開始)
② シュガーボウル(1935年開始)
③ オレンジボウル(1935年開始)
④ コットンボウル(1937年開始)
です。

 ローズボウルは、歴史と伝統を誇る4大ボウルの中でも最も古く1902年開始です。
 そして、21世紀の現在でも「アメリカのカレッジフットボールを代表するゲーム」であろうと思います。

 カリフォルニア州バサディナのローズボール・スタジアムを会場として開催されるボウルゲームですが、その収容人員は92000人余という、世界一のスポーツ大国アメリカにおいても、全てのスポーツ競技を通じて最大級のスタジアムなのです。

 これまでに計5回、NFLスーパーボウルの会場ともなっています。(第11回・1977年、第14回・1980年、第17回・1983年、第21回・1987年、第27回・1997年。現在の様に各地に巨大なドームスタジアムが無かった時代には、スーパーボウル会場の選定に当たって当日の天候がとても大事な要素でしたので、「天気の良い日が多い」屋外スタジアムが会場に選ばれることが多かったのです。カリフォルニア州パサディナは「晴れる日」がとても多い地域なのです)
 アメリカンフットボール以外でも、1994年サッカーFIFAワールドカップ・アメリカ大会決勝、ブラジルVSイタリアの試合もローズボール・スタジアムが会場でした。
競技を問わず、世界最高峰の試合が開催される、まさに「アメリカを代表するスタジアム」と言って良いでしょう。

 また、ローズボウル開催に伴って「恒例のパレード」が会場近辺で行われるのですが、このパレードもとても有名です。パレード好きのアメリカの人々からも注目される程の、素晴らしいパレードなのです。

 さて歴代の優勝チームの中では、USC(南カリフォルニア大学)とUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が印象に残っていますが、これは私がローズボウルに最も興味を持っていた時期が1970年代から80年代であり、その頃この2チームが強かったということなのでしょう。
 ちなみにこの時期(1970年から1989年)、USCトロージャンズは7回ローズボウルで勝利していますし、UCLAブルーインズは4回勝っています。その後もUSCは2017年にも勝つなど、ローズボウルの名門チームとして活躍を続けていますが、一方のUCLAは1986年を最後に勝っていませんし、1999年が最後の登場(この時はウィスコンシンに敗れました)となっていますので、21世紀の両チームは対照的な成績となっているのです。
 それにしても、USCトロージャンズのマーチングバンドは、その軍隊風の装束と言い、演奏の上手さ・華やかさと言い、とてもカッコ良いと思います。

 思い出は尽きませんが、ローズボウルがアメリカを代表するスポーツイベントのひとつであることは、間違いないでしょう。

 続いては、ルイジアナ州ニューオーリンズで開催されるシュガーボウルですが、これは「その2」で・・・。
 NFL2018~19シーズンのポストシーズン、NHK・BS-1放送のワイルドゲーム中継の中で、「NFL2004年ドラフト上位の4プレーヤー」に付いての説明が有りました。

 「データ大好き」のアメリカ合衆国のスポーツにおいては、試合中継の最中でも、とても興味深い情報が提示されます。
 
 この情報は、ボルチモア・レイブンズVSロサンゼルス・チャージャーズのゲームの中で提示されました。チャージャーズのクオーターバックQBフィリップ・リバース選手に関する情報だったのです。

 2004年のドラフトに登場した選手達は、もし2005年シーズンからNFLにデビューしたとすれば既に15年目のベテランプレーヤーです。同期には、引退した選手も多いことでしょう。

 こうした中で、この4プレーヤーはいまだ現役を続けて居るわけですから、「チームにとって大切な選手」であることは、間違いありません。チームにとって不可欠な選手でなければ、これ程長く現役を続けること=これだけ長くチームに必要とされて契約をつづけること、は出来ないことは自明です。

 その4プレーヤーは、以下の通り。

[2004年NFLドラフト]
・1順目・全体1位 イーライ・マニング選手(QB) ニューヨーク・ジャイアンツ
・1順目・全体3位 ラリー・フィッツジェラルド選手(WR) アリゾナ・カージナルス
・1順目・全体4位 フィリップ・リバース選手(QB) ロサンゼルス・チャージャーズ
・1順目・全体11位 ベン・ロスリスバーガー選手(QB) ピッツバーグ・スティーラーズ

 錚々たるというか、NFLを代表するプレーヤーが並んでいます。

 NFLドラフトにおいて「1順目」に指名されるというのは、全米の大学あるいは高校のアメリカンフットボーラーのトップに位置づけられているプレーヤーです。
 アメリカ合衆国で最も人気のあるスポーツのひとつであるアメリカンフットボールの、最高のプロリーグであるNFLは大学・高校他のプレーヤーにとって憧れの的ですから、そのドラフトにおいて「1順目指名」を受けるというのは、大変な名誉ですし、当該プレーヤーの能力の髙さを証明することでもあります。
 ましてや、各チームの「1位指名」ということですから、日本プロ野球NPBのドラフト1位指名選手を見ても、その価値の大きさが分かると思います。

 とはいえ、ドラフト1順目指名を受け入団したプレーヤーと言えども、順調にNFLデビューを飾り、チームの中心選手として活躍するというのは「至難の技」であることも、NPBを観ても容易に想像できることでしょう。
 ドラフト上位でプロのチームに入ったとしても、活躍できずに引退して行くプレーヤーの方がずっと多いのです。

 そうした状況の下で、2004年ドラフトにおける、前述の4プレーヤーの活躍は「見事」の一語でしょう。
 「ドラフトの当たり年」と言っても良いのかもしれません。

 「全体1位」の大看板を背負ったイーライ・マニング選手は、「2度のスーパーボウル制覇」という素晴らしい成績を誇り、現在もジャイアンツの主戦QBです。お兄さんのペイトン・マニング選手と比較されることも多いのですが、こと「スーパーボウルでの成績」となれば、互角、あるいは「お兄さん以上」との声もありそうです。大舞台でミラクルなプレーを披露するタイプのプレーヤーなのです。

 全体3位のワイドレシーバーWRラリー・フィッツジェラルド選手は、押しも押されもしない「カージナルスの大看板」です。信じられないようなパスレシーブと、受け手からの前進力は、いまだ衰えることを知りません。NFLのWRには素晴らしい選手が数多く居ますが、その実績は文句のつけようがないのは当然として、35歳となった現在でも身体能力の髙さは類を観ないレベルでしょう。
 フィッツジェラルド選手は、2008年のスーパーボウルにも出場しています。

 全体11位のQBベン・ロスリスバーガー選手も「スーパーボウル2度制覇」を誇ります。
 前述のフィッツジェラルド選手が出場した、2008年の第43回スーパーボウルでカージナルスと対戦したのがスティーラーズで、このゲームは27-23の接戦となり、スティーラーズが勝ちましたが、この時のQBがロスリスバーガー選手でした。
 NFLにおいても、人気の高いチームであるスティーラーズの主戦QBを、36歳になった今でも務めているというのは、凄いことです。
 「ビッグベン」と称される、NFLを代表するQBなのです。

 そして、全体4位指名を受けたフィリップ・リバース選手も、NFL屈指のQBとして37歳になった現在も、チャージャーズの中心選手として活躍を続けています。
 記録を挙げれば切りが無い程のプレーヤーですが、この試合で採り上げられた理由は、この4プレーヤーの中で「唯一スーパーボウル出場経験が無い」という視点からでした。

 これ程素晴らしいQBでありながら、まだスーパーボウルに出ていないというのは「不思議な話」であり、今季はそのチャンスでもあるという意味なのでしょう。(残念ながら、出場はなりませんでした)

 それにしても、この「2004年ドラフト上位の4プレーヤー」には、全くと言って良いほど「引退」の話がありません。
 これが、何より凄いことなのでしょう。
 
 スーパーボウル2019に向けてのポストシーズンゲームは全て記事にしようと考えていました。ひとつだけ残っていましたので、ここで採り上げようと思います。

[1月13日・メルセデスベンツ・スーパードーム]
ニューオーリンズ・セインツ20-14フィラデルフィア・イーグルス

 NFL2017~18シーズンのスーパーボウルを制覇し、2018~19シーズンのワイルドカードも勝ち抜いて、2シーズンに渡り「ポストシーズン負け無し」だったイーグルスに、ついに土が付いたゲームです。

 ミラクルなゲームを続けてきた「ニック・フォールズ劇場」も終演を迎えたのです。

 このゲームの第1クオーターQは、「劇場の継続」を観るようでした。
 クオーターバックQBフォールズ選手のパスと自身のランによって2つのタッチダウンTDを奪い、イーグルスが14-0とリードしたのです。

 QBドリュー・ブリーズ選手を中心とした強力なセインツオフェンスを零封した、イーグルス守備陣も、さらなる勝利に向けて、十分に機能していたのです。

 第2Q以降も、イーグルスディフェンスは良くセインツの攻撃を押さえ続けましたが、一方でイーグルス攻撃陣は、第2Q以降「神通力を失い」ました。
 第1Qの攻防から、セインツ守備陣が適応し、結局第2~4Qにかけて、イーグルスは無得点でした。

 イーグルス守備陣の堅い守りに苦しんだセインツでしたが、さすがに「百戦錬磨」のQBブリーズ選手は、ここぞというパスを決めて、第2Q以降着実に得点を重ね、イーグルスを押し切ったのです。

 苦労しながらとはいえ、2つのTDパスを通したQBドリュー・ブリーズ選手は「さすが」の一語。パスオフェンスの権化のような存在でしょう。

 さて、セインツはチャンピオンシップゲームに駒を進めましたが、ラムズとのオーバータイムOTの激戦の末敗れてしまい、惜しくもスーパーボウルに進出できなかったことは、皆さんご存知の通りです。
 
[2月3日・アトランタ・メルセデスベンツスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ13-3ロサンゼルス・ラムズ

 両チーム合わせて「16得点」という、史上最少得点のロースコアゲームとなった、第53回スーパーボウルでした。
 
 チャンピオンシップゲームから2週間の間、両チームはオフェンスとディフェンスを磨き上げてきたのでしょうが、今回は「スーパーボウルへの準備におけるディフェンス面の準備がオフェンス面を凌駕した」のです。

 ゲーム開始早々、ペイトリオッツ自慢の攻撃陣は、クオーターバックQBトム・ブレイディ選手の下ランプレーを駆使してファーストダウンを重ね、前進しました。オープニングドライブ・タッチダウンTDを目指しての順調な立ち上がりに観えたのです。
 ラン攻撃を繰り返しながら着実に前進した攻撃において、QBブレイディ選手がこのゲームにおける最初のパスを投じた時、ラムズ守備陣がこれをインターセプトしたのです。
 集中力抜群の素晴らしいプレーでした。

 「百戦錬磨」、スーパーボウルにおいてNFL史上最高の実績と経験を誇るトム・ブレイディ選手が、このタイミングでインターセプトを受けるとは「夢にも思わなかった」のではないでしょうか。
 ラムズ守備陣は、ブレイディ選手にとっても衝撃的なプレーを披露したのであろうと思います。

 歓喜に沸いたラムズベンチでしたが、QBジャレット・ゴフ選手と共に、「インターセプトの勢いを乗せての攻撃」に入りましたが、散々の結果でした。
 ペイトリオッツ守備陣はラムズ攻撃陣に何もさせなかったのです。
 準備万端の「計算し尽くされた守備」に観えました。
 
 ペイトリオッツのゲーム前の準備において、ラムズの攻撃が「丸裸」にされていると、ゴフ選手も実感したことでしょう。
 この後、ラムズオフェンスは様々なバリエーションの攻撃を仕掛けますが、少なくとも前半は悉く潰されました。「3アンドアウト」の連続だった印象です。

 ビル・ベリチックHCヘッドコーチを始めとするペイトリオッツスタッフのゲーム前準備の精度・クオリティの高さは定評の有る所ですが、スーパーボウル2019に対する「守備面の準備」は、ベリチックHCの素晴らしいキャリアの中でも屈指のものであったと感じます。
 世界最高レベルのゲームに対して、これ程の準備が出来るものなのだと、改めて感心するばかりでした。

 精緻な研究をベースに、熟考の上で構築された守備プレーを、ラインバッカーLBハイタワー選手やバンノイ選手、ストロングセイフティSSパトリック・チャン選手、フリーセイフティFSデビン・マコーティ選手らが躍動しました。
 ラムズオフェンスに対して「先手を打ち続けた」のです。

 さて、守備面で完璧な対応を魅せたペイトリオッツでしたが、攻撃陣ではラムズ守備陣の「凄まじい抵抗」に遭いました。
 ラムズの守備陣は、スーパーボウルにおいて「史上最高の経験値を誇るペイトリオッツの攻撃」を抑え込み続けたのです。
 こちらの守備は、ペイトリオッツとは異なり、「個々のプレーヤーの気迫と頑張り」をベースとしたものに観えました。これはもう「スーパーボウル制覇に向けての執念」が具現化したようなプレーでした。

 少し種類は異なりますが、両チームのとてもレベルの高い守備プレーによって、ゲームは史上稀に見るロースコアゲームとなったのです。
 「火花が飛び散るような守り合い」でした。

 結果として、両チーム合わせて「14本ものパント」が飛び交うゲームとなりました。
 ペイトリオッツが5本、ラムズが9本でした。

 今季のポストシーズン、チャンピオンシップとディビジョナル計6ゲームの平均パント数は「8.17本」でした。6ゲーム中最もパントが多かったのはディビジョナルプレーオフゲーム、コルツVSチーフス戦で、コルツが7本、チーフスが4本のゲームでしたが、スーパーボウルはこれをも3本上回ったのです。
 2018年のスーパーボウルにおいては、両チーム合わせて「パントが1本」という、これも記録的にパントが少ないゲームだったのですが、それとは好対照のゲームであったことが分かります。

 そして、「個々のプレーヤーの気迫とスピード」をベースにしたラムズの守備に、僅かに疲労が観えた第4Q、ペイトリオッツの攻撃がようやく実り、10点を挙げて勝ち切ったというのが、第53回スーパーボウルだったのでしょう。

 その攻撃とて、QBブレイディ選手からワイドレシーバーWRエデルマン選手やタイトエンドTEグロンコウスキー選手へのパスという、ペイトリオッツにとっての「定番の鉄板プレー」、最も「信頼できるプレー」の積み上げ、それも「伸るか反るか」のギリギリのプレー、インターセプトされても何の不思議もないプレーの連続の中から、このゲーム唯一のTDが生れたのです。

 僅かに疲労が観えたとはいえ、ラムズ守備陣は最後まで機能し、QBトム・ブレイディ選手を中心としたペイトリオッツ攻撃陣は、その「史上最高の勝負強さ」を示したように感じます。

 このゲームの主役であった、ラムズ守備陣の先発ラインアップを記録しておきます。
 スーパーボウルの歴史に刻まれる守備陣です。

陣形の前から
① ノーズタックルNT エンダマカン・スー選手
② ディフェンスタックルDT 左マイケル・ブロッカーズ先選手、右アーロン・ドナルド選手
③ ラインバッカーLB  左アウトサイドラインバッカーOLBダンテ・ファウラー選手、右OLBサムソン・エブーカム選手、左インサイドラインバッカーILBコリー・リトルトン選手、右ILBマーク・バロン選手
④ コーナーバックCB 左マーカス・ピーターズ選手、右アキブ・タリブ選手
⑤ ストロングセイフティSS ジョン・ジョンソン選手
⑥ フリーセイフティFS ラマーカス・ジョイナー選手

 本当に素晴らしいイレブンでした。
 その健闘に、惜しみない賞賛を送りたいと思います。

 それにしても、メルセデスベンツスタジアムはペイトリオッツを応援する観客の方が圧倒的に多かったと感じます。まるでペイトリオッツのホームの様な有様でした。
 ラムズの攻撃の際の「雑音」がもの凄かったのです。

 一方のチームのファンにチケットが偏ることが無い筈の「スーパーボウルのチケット配布方法」なのですが、結果としてはペイトリオッツを応援する観客がとても多いゲームとなったのです。
 最後はこの「応援量の差」が、ペイトリオッツを後押ししたようにも観えました。

 この「応援量の差」を生んだのが「ペイトリオッツ王朝の歴史の積み上げ」であったとすれば、第53回スーパーボウルの勝利は「王朝の遺産」から生まれたものと言えるのかもしれません。
 第53回スーパーボウルは、ペイトリオッツが13-3でラムズを破り優勝しましたが、両チーム合わせて「16得点」は、スーパーボウルの史上最少得点でした。

 2018年、イーグルスがペイトリオッツを41-33で破った第52回が、攻撃面での最高記録ずくめのゲームであったことと対照的に、スーパーボウル2019は「両チームの守備が見事に機能したゲーム」だったのです。

 スーパーボウルにおける「ロースコアゲーム」を観て行きましょう。(第1回から第4回のAFL-NFLチャンピオンシップ時代のゲームは含まれていません)

① 2019年 ペイトリオッツ13-3ラムズ
② 1973年 ドルフィンズ14-7レッドスキンズ
③ 1975年 スティーラーズ16-6バイキングス
④ 1972年 カウボーイズ24-3ドルフィンズ
⑤ 2006年 スティーラーズ21-10シーホークス
  2008年 ジャイアンツ17-14ペイトリオッツ

 総得点の少ないゲーム順に、5位タイまでを挙げました。
 ペイトリオッツとスティーラーズが2回ずつ登場していますので、この両チームはロースコアゲームが得意というか、ロースコアゲームで十分に戦えるチームと言って良いのかもしれません。

 また、直ぐにお気づきのことと思いますが、1970年代にロースコアゲームが数多く記録されています。
 スーパーボウル創生時期の70年代は、スーパーボウルにおいて「失点を最少にした上で勝ち切る」という戦略のチームが多かったとも言えるのでしょう。
 とはいえ、21世紀に入ってからも、点の取り合いというゲームばかりでは無く、しっかりとした守り合いのゲームも存在しています。やはり、両チームのゲームに対する戦略が、結果に大きく反映されているのであろうと感じます。

 それにしても第53回は、前半を終えて「3-0」、第3クオーターQを終えて「3-3」という、「ローエストゲーム」と呼びたくなるほどの「守備が勝った」ゲームでした。

 「第3QまでタッチダウンTDを観ることができなかったスーパーボウル」として、長く語り継がれるゲームだったのでしょう。
[2月3日・アトランタ・メルセデスベンツスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ13-3ロサンゼルス・ラムズ

 ロースコアゲームとなった第53回スーパーボウルは、第4クオーターQに1タッチダウンTD、1フィールドゴールFGを挙げたペイトリオッツがラムズを振り切り勝利しました。

 両チームのディフェンスDFがとても良く機能した試合であろうとは思いますが、忙しさもあって、試合全体の録画映像を観ることができていないので、試合内容へのコメントは「ゆっくりとじっくりと観てから」にしようと思います。(皆様からとても遅れた視聴ですが、本当に楽しみです)

 今回は、ペイトリオッツの「6度目の制覇」についてです。

 スーパーボウルの最多制覇記録は6度です。

 この記録は、ピッツバーグ・スティーラーズとペイトリオッツが保持しています。

 1970年代に、クオーターバックQBテリー・ブラッドショー選手やランニングバックRBフランコ・ハリス選手、ワイドレシーバーWRリン・スワン選手といった錚々たるメンバーを擁し、チャック・ノールHCヘッドコーチのもとで全盛期を迎えたスティーラーズは、2度の連覇で4度のスーパーボウル制覇を成し遂げ、その後21世紀に入って2度の制覇の合計6度の制覇としています。

 一方のペイトリオッツは、20世紀に2度のスーパーボウル出場は果たしましたが、残念ながら制覇はなりませんでした。
 そして2001年、「ペイトリオッツ王朝」が幕を開けます。
 ビル・ベリチックHCとQBトム・ブレイディ選手を中核とした「王朝」は、2001年から2019年に至るまで、NFLの主役として存在し続け、9度のスーパーボウル出場・6度の制覇という、信じられないような成績を残してきたのです。
 「同一王朝」にて6度の制覇というのは、ペイトリオッツ王朝自体が来シーズン以降も記録を積み上げていかない限り、空前絶後の記録であろうと思います。

 そもそも、同じHCとQBのコンビによって18シーズン続けて、ひとつのチームが運営されること自体が滅多に無いことですし、その18シーズンの内9シーズンでスーパーボウルに進出するということは想像を絶する実績ですし、同じHCとQBにより6度のスーパーボウル制覇が成し遂げられるというのも、まさにミラクルなこととしか言いようが有りません。(形容の仕様が無いほどに凄いことです)

 同じコンビによるスーパーボウル制覇という視点で、この実績に比較しうるのは、前述のチャック・ノールHCとQBテリー・ブラッドショー選手のスティーラーズと、ビル・ウォルシュHCとQBジョー・モンタナ選手のサンフランシスコ・フォーティナイナーズ49ers=1980年代の49ersの2チームでしょうが、それとて制覇回数は、ペイトリオッツ6度、スティーラーズと49ersが4度(1989~90年シーズンの49ersはHCが途中で代わりましたので3.5度と言った方が良いかもしれません)と、ペイトリオッツが圧倒しています。

 やはり、このコンビは「空前絶後」なのでしょう。

 さらに驚くべきは、このコンビには「引退」という話が皆無ということでしょう。

 NFL史上に燦然と輝く「ペイトリオッツ王朝」は、まだまだ続きそうです。

 スーパーボウル2019を戦う、ニューイングランド・ペイトリオッツとロサンゼルス・ラムズの両チームが、開催地であるアトランタに入ったと、1月27日に報じられました。

 両チームともに1週間前の現地入りということです。
 当然ながら、「時間がいくらあっても足りない」状況下で、本拠地で戦略・戦術を練りに練って現地入りしてきたのでしょうから、現地においても「どうしても1週間の時間が必要」であることは、間違いありません。
 アメリカ合衆国最大のスポーツイベントに臨むに際して、「たった2週間しか」時間が無いのですから、1分1秒を無駄にしない取組の連続であることは、容易に想像できます。

 どれ程のデータベースと、どれ程の最高の頭脳、そしてどれ程のAIが駆使されているのかは、想像も付きません。おそらく、私達の想像の100倍、いや1000倍の苦心惨憺が行われているのでしょう。

 さて、スーパーボウル2019の展望です。

 レギュラーシーズンの成績を観れば、
① ペイトリオッツ 11勝5敗 総得点436・総失点325 対NFC3勝1敗 
② ラムズ 13勝3敗 総得点527・総失点384 対AFC4勝0敗

 やはり全体としては、「攻撃のラムズ、守備のペイトリオッツ」という図式になりそうです。

 クオーターバックQBジャレット・ゴフ選手、ランニングバックRBトッド・ガーリー選手、C.J.アンダーソン選手、ワイドレシーバーWRジョシュ・レイノルズ選手、ブランディン・クックス選手、ロバート・ウッズ選手、キッカーKグレッグ・ズーライン選手等を主体としたラムズの攻撃陣は、今季NFL屈指の破壊力を保持していることは間違いないでしょう。

 もちろん、QBトム・ブレイディ選手、RBソニー・ミシェル選手、レックス・バークヘッド選手、WRジュリアン・エデルマン選手、ロブ・グロンコウスキー選手(タイトエンドTEですがWRとしての活躍が目立ちます)、ジェームズ・ホワイト選手、クリス・ホーガン選手等のペイトリオッツの攻撃陣も相当に強力ですが、得点力という面では、やはりラムズの方が一枚上であろうと思います。

 一方守備はと観れば、ラムズはディビジョナルプレーオフゲームで22失点、チャンピオンシップゲームで23失点と、ポストシーズンに入って相手チームを20点台前半に抑え込んでいます。
 ペイトリオッツは、ディビジョナルで28失点、チャンピオンシップで31失点となっているのです。ポストシーズンのペイトリオッツは「相手以上の得点を挙げる」形で勝ち抜いてきています。
 逆にラムズは、自慢の攻撃陣が30点未満に抑え込まれている状況下、守備陣が20点台前半の失点で凌ぎ、接戦を制している形なのです。

 両チームともに「レギュラーシーズンとは異なる試合ぶり」でスーパーボウルに進出してきているのです。

 さて、展望ですが、

・ほぼ「互角」の戦い
・僅かにラムズが有利

 と観ています。

 2001年から連綿と続くペイトリオッツ王朝は、「キッチリと管理された戦略・戦術」の下で、プレーヤー達が「一糸乱れぬプレー」を継続することで、王座を維持してきた歴史が有ります。
ベリチックHCとQBトム・ブレイディのコンビは、「これだけ勝利しても」奢ることなく、慢心することなく、飽くことなく、勝利を追い求める「凄まじい精神力」を具備しているのです。
 「ルイス・ロンバルディ・トロフィー」に対する執念という面で、これ程のコンビはNFLの歴史上にも他には存在しないでしょう。

 その名コンビをスーパーボウルで2度も破っているのは、ニューヨーク・ジャイアンツ、QBイーライ・マニングの攻撃でしょう。
 この攻撃は「予想を超えたミラクルなプレー」で構成されています。
 ペイトリオッツの想定を遥かに超える「有り得ないプレー」の連発の中で、王朝に土を付けているのです。

 ラムズのQBジャレット・ゴフ選手を中心としたオフェンスには、こうした「臭い」を感じます。
 ポストシーズンの2ゲームで体得した経験をベースとして、強固なディフェンスはそのままに、攻撃面でレギュラーシーズンの様な「自在」なプレーを披露することが出来れば、得点面で僅かにペイトリオッツを上回ることが出来るのではないでしょうか。

 第53回スーパーボウルは、まさに「互角」の戦いとなるでしょう。
 そして第4クオーターQの「超ミラクル」なプレーにより、ラムズが勝利を収めるような気がします。

 「スーパーボウルweek」でアトランタの街は沸き返っていることでしょう。
 その熱狂を味わってみたいものです。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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ようこそ!
我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

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