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 今大会の200m平泳ぎで、渡辺香生子選手(21歳)は金メダルを獲得しました。
 アジア大会2014に続く2連覇です。

 渡辺選手は、2013年~15年には、我が国を代表するオールラウンダーとして、世界の舞台で大活躍しました。
 世界選手権大会2015では、200m平泳ぎで優勝するとともに、200m個人メドレーでも銀メダルを獲得しています。
 平泳ぎと個人メドレー種目における、当時18歳の渡辺選手の活躍は、「新時代の日本スイマー」を予感させるに十分なものだったのです。
 現在の池江璃花子選手の様な活躍であったと感じます。

 ところが、2015年の終盤頃から、渡辺選手はスランプに入り込んでしまいました。
 このスランプの底は深く、リオデジャネイロ・オリンピック2016では、本来の力を発揮することなく、200m平泳ぎ・準決勝13位で敗退してしまったのです。前年2015年世界選手権チャンピオンとしては、考えられないような不振でした。

 10歳台半ばから20歳にかけては、心身の成長と競技スキルのバランスが難しい時期とも言われますが、渡辺選手もこの波に呑まれてしまうのかと心配されました。

 早稲田大学に進学した渡辺選手は、しかし、着実に復活への道を歩んでいたのです。
 2017年のユニバーシアード大会で、100mと200mの平泳ぎおよび4×100mメドレーリレーで優勝し、今大会でも200m平泳ぎを制したのです。

 まだまだ、本来の泳ぎには程遠いのでしょうが、21歳の若きスイマーにとっては、東京オリンピック2020は大きな目標となります。

 渡辺香生子選手には、我が国「伝統」の女子200m平泳ぎはもちろんとして、個人メドレー種目にも再びチャレンジしてほしいものだと思います。

 世界選手権やオリンピックにおける、渡辺選手の復活・活躍が期待されます。
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 アジア大会2018の男子平泳ぎで、小関也朱篤選手(26歳)は50m、100m、200mの全ての個人種目を制しました。
 素晴らしい活躍でした。

 身長188cmという、日本人アスリートとしてはとても恵まれた体躯を具備し、北島康介選手引退後の男子平泳ぎにおける第一人者としての活躍が期待されてきた小関選手でしたが、これまでの国際大会では、ここぞというレースでの残念な泳ぎも目立ち、本来の力をなかなか発揮できませんでした。
 その実力を知っている国内のファンからすれば、これはとても不思議なことにさえ見えたのです。

 「小関は国際大会に弱いのではないか」という声も聞かれたのですが、アジア大会2018は、こうした心配を吹き飛ばすものとなりました。

 唯一「おや?」と思われたのは100mの予選でしょうか。
 とても遅いタイムで泳ぎ、決勝はなんと「1コース」でした。
 そして、1コースで優勝したのです。
 こうした国際大会では、とても珍しい光景でした。

 最後の個人種目となった50mは接戦が予想されましたが、何か余裕の様なものさえ感じられ、見事に金メダルを獲得しました。
 
 「日本男子平泳ぎのエース」としての戦い方を身に付けた様に観えると言ったら、何を今さらと怒られてしまいそうですが、渡辺一平選手と共に、東京オリンピック2020に向けて、日本競泳陣に強力なコンビが登場したのは、間違いないと思います。

 アジア大会の競泳競技は8月19日から始まり、24日までの6日間に渡って行われました。
 そして、池江璃花子選手(18歳)は、毎日競技に参加し毎日メダルを獲得しました。

 その「毎日・毎日」が見事でした。

 池江選手が金メダルを獲得した種目は、50mと100mの自由形、50mと100mのバタフライ、4×100mフリーリレー、4×100mメドレーリレーの6つでした。
 個人の4種目はいずれも大会新記録、フリーリレーは日本新記録かつ大会新記録という、記録的にも素晴らしい内容でしょう。
 
 これらの金メダルに加えて、女子4×200mリレーと混合4×100mリレーの2種目で銀メダルも獲得し、池江選手は出場した8種目全てでメダルを獲得したのです。

 この「6日間・8種目・13レース」という過密日程を乗り切ったことは、池江選手の今後のキャリアにとって、本当に大きな財産となったことでしょう。
 8月9日から日本で行われたパンパシフィック大会2018からの連続した競技でしたから、蓄積された疲労は相当大きなものだったと想像されます。
 とはいえ、この疲労は予想されたことであり、どちらかといえば、池江選手と日本水連が「自ら求めたハードスケジュール」でしょう。敢えて、この形を取ったのです。

 今大会3日目には「これ程疲れたことは無い」といった、心配なコメントも出されていましたが、最終日の50m自由形の予選では「自然に良いタイムが出た」と、打って変わったコメントになっていました。
 変な言い方ですが「疲れることに慣れたスイマー」の様子が、そこには漂っていたように感じます。

 1972年ミュンヘン・オリンピックにおけるマーク・スピッツ選手(7種目で金メダル。全て世界新記録)に始まり、マイケル・フェルプス選手らに引き継がれた、国際大会において「ひとりのスイマーが数多くの種目に挑み優勝する」というチャレンジに、池江選手も挑戦し、今大会では見事に成功させて魅せたのです。

 東京オリンピック2020に向けた、池江璃花子選手の種々のトライアルは今後も続くことでしょうし、その展開がとても楽しみです。
 東京辰巳国際水泳場を舞台に、4月3日から8日にかけて実施された、第94回日本選手権水泳競技大会では、連日のように日本新記録が誕生しました。
 今や世界トップクラスに躍り出た「日本競泳」の力を示す大会となったのです。

 若い力の台頭も、各種目で観られましたが、特に印象的だったのは女子背泳ぎ種目における、酒井夏海選手でした。

 4月3日に行われた50m決勝では27秒82で優勝、5日の100mでは59秒83で小西杏奈選手に次いで2位、最終日8日の200mでは2分8秒28で優勝と、3種目制覇こそなりませんでしたけれども、女子背泳ぎの第一人者に躍り出た感があります。
 50mと200mは、日本高校新記録でもありました。

 まだ高校2年生、17歳の酒井選手ですが、その泳ぎは堂々たるもので、泳ぐ度に記録を更新している感があります。
 2016年にシニアデビューし、2017年の日本選手権やジャパンオープンでも活躍していましたから、もともと期待されていたわけですが、何しろ「背泳ぎ」は現在の日本競泳陣の弱点と言われていますから、日本で勝つことに加えて、世界レベルに駆け上がることが求められている訳で、その面から、今大会における酒井選手の活躍は、高く評価されるべきものでしょう。

 特に200mの泳ぎは見事でした。
 2コースを泳ぎ、終始先行して、ラスト50mもしっかりと泳ぎ切ったのです。

 まだまだ世界記録2分4秒06には4秒以上足りないタイムですが、その潜在能力の高さを示した泳ぎであったと感じます。

 身長174cmと恵まれた体躯を備え、物に動じない性格で本番に強いとも言われる酒井夏海選手の、今後の国際大会での活躍が大いに期待されます。
 7月23日から始まった水泳世界選手権大会・競泳ですが、24日の女子200m個人メドレーで大橋悠依選手(21歳)が素晴らしい泳ぎを魅せて2位に食い込みました。
 
 初出場の世界選手権で銀メダル獲得というのも、見事の一語ですが、その内容は本当にハイレベルなものでした。

 そもそもこの種目には、「絶対王者」と呼ばれる存在、ハンガリーのカティンカ・ホッスー選手(28歳)が君臨しています。ホッスー選手のメドレー種目での強さは、現在の女子競泳の全ての種目の中で、最もスバ抜けているとも言われます。(2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは200mと400mの個人メドレーと100m背泳ぎで金メダルを獲得しています)

 そのホッスー選手を相手にして、大橋選手は大健闘を魅せてくれたのです。

 特に驚かされたのは最終の自由形でした。
 メドレー種目の世界大会における日本選手のパターンとして、「絶対王者」に離されるかと観ていましたが、その差を詰めて行きます。
 ホッスー選手との差を0.91秒まで詰めたところがゴール板でした。

 そもそも、今年4月の日本選手権大会において2分9秒96で優勝した大橋選手ですが、今回は2分7秒91と、一気に「2秒以上タイムを改善しての日本新記録」で泳ぎ切ったのです。

 日本選手権時と比べて、バタフライで0.51秒、背泳ぎで0.68秒、平泳ぎで0.83秒の計2.02秒タイムを縮め、自由型でも0.03秒タイムを縮めて、全体として2.05秒の改善となっています。

 あのホッスー選手を追い込んだ自由形だけが、日本選手権の時とほぼ同じタイムで泳ぎ、他の3種目で大幅にタイムを縮めているところが凄いと感じます。
 大橋選手は、着々と「メドレー種目のスイマー」として成長し、各種目で力を付けてきているのでしょう。まさに「伸び盛り」という感じがします。

 これは、私の勝手な想像ですが、ホッスー選手も相当驚いているのではないでしょうか。

 単独種目としても、世界選手権やオリンピックで金メダルを取る力がある、バタフライと背泳ぎで圧倒的な差を付け、平泳ぎと自由形は悠々と泳ぐというのが、ホッスー選手のメドレー種目でのパターンです。今回もパターン通りでした。しかし、ゴールでは1秒以内の僅差に迫られていたのです。

 もちろん、まだまだ「絶対王者」カティンカ・ホッスー選手に勝てるとは思いませんけれども、競泳最終日7月30日の400m個人メドレーでの大橋悠依選手の泳ぎに大注目です。
 2017年の水泳世界選手権大会が7月14日に開幕し、最初の競技としてシンクロナイズドスイミングの各種目が行われています。

 ソロ、デュエット、チーム等のテクニカルとフリーといった計9種目の戦いです。

 やはり「シンクロ」の華は、その名の通りのデュエットとチームだと思います。

 今大会のデュエットとチームの種目を観ていると、全体のレベルの向上を感じます。
 どんな競技・種目においても「世界は常に高速で進歩している」のです。

 例えば、今大会のチーム種目では、「8人の選手の距離がとても近い」チームが多いという印象です。
 当然ながら、隣の選手との距離が近いというのは、スピーディで大きな動きの連続の中では難易度の高いプレーです。もちろん、リフト演技を除けば、他の選手と接触することは減点の対象となります。

 一方で、チームの一体感、シンクロ度の高さを強調するためには、8人の選手が小さくまとまり、大きな演技を魅せることが効果的なのでしょう。

 今大会の中国チームの「小ささ」は見事なものでした。「小さな塊」と化した8人の選手達が、力強く、良く揃った演技を披露していたのです。
 残念ながら、現在の日本チームより明らかに上という印象でした。

 「絶対王者」ロシアチームといえば、相変わらずの「驚くべきシンクロ度の高さ」と「演技スピードの高さ」、「プール全体を使う移動スピードの速さ」でスバ抜けた演技を展開していました。
 このチームは、小ささというより、「各選手の間隔の一定度合」が見事・・・。高速で移動しながら、間隔を一定に保つというのは、極めて高度です。
 とはいえ、ロシアチームとしてはところどころに僅かな緩みが観られましたから、おそらく、今大会のロシアチームは、次代を目指しての世代交代の最中に在り、ナショナルチームにとっての「最高の演技」にはまだまだのレベルだったのであろうと感じます。それでもこの演技なのですから、驚きです。
 ロシアチームの東京オリンピック2020への準備は、着々と進んでいるのでしょう。

 シンクロのデュエット、チームの種目における、現在の各チームの実力は、ロシアが95点台、中国が93点台、ウクライナと日本が91点前後で続いている形でしょう。

 現状では、ロシアチームの世界一と中国チームの世界2位は、不動というところでしょうか。

 そして世界3位は、ウクライナと日本が激しく争っている形ですが、今大会に限れば、僅かにウクライナの方が上回っている感じがします。
 ウクライナチームの伸びやかな演技が、日本チームのメリハリの効いた演技を、少し凌いでいるのでしょう。

 東京オリンピック2020に向けて、シンクロナイズドスイミングの各ナショナルチームの個々の選手の鍛練、演技構成の検討・構築は、まさに佳境なのです。
 長い日本選手権大会の歴史において、初めて「五冠」に輝く女子スイマーが登場しました。自由形の50m・100m・200m、バタフライの50m・100mを制した、池江璃花子選手です。
 これはもう「奇跡的な快挙」と言って良いでしょう。
 
 リオデジャネイロ・オリンピックでも伸び盛りの泳ぎを披露してくれた池江選手ですが、さすがに世界の強豪の前では、個人種目でメダルを争うまでの活躍は出来ませんでした。
 それから1年も経たないうちに、高校2年生という若さで、日本選手権「五冠」を達成するのですから、凄いスイマーが現れたものです。

 さすがに、池江選手にとっての最終種目100mバタフライを泳ぎ終えた後のインタビューでは、疲労感が漂っていましたが、これは仕方が無い。
 世界選手権やオリンピックでも、多くの種目に出場する選手は、大会期間中のコンディション調整が重要なのです。池江選手にとっては、これも大切な経験のひとつなのでしょう。

 そして今大会では、個人メドレー種目に「新エース」が登場しました。
 大橋悠依選手です。200mと400mの2種目を制しました。圧勝でした。

 特に、400mの優勝タイム・4分31秒42は、この種目の日本記録を大幅に塗り替えるとともに、リオ・オリンピックの銅メダルに相当するタイムでした。素晴らしい記録です。

 もともと有力選手のひとりであった大橋選手ですが、この半年間の伸び・成長は「驚異的」なものであったということになります。
 大橋選手は200m背泳ぎでも3位に食い込んでいます。
 このパターンは、男子の萩野選手や瀬戸選手の形ですので、大橋選手の今後の成長から目が離せないことになります。

 さらに、日本女子の伝統種目・平泳ぎでも青木玲緒樹選手が大活躍でした。
 100m・200mの両種目を制したのです。共に完勝でした。
 女子平泳ぎ、特に200m平泳ぎは、前畑選手、岩崎選手、金籐選手と続く「オリンピック金メダルの系譜」があります。
 東京オリンピック2020に向けて、楽しみなスイマーが登場したのです。

 池江、大橋、青木の3選手が、日本選手権水泳2017女子を象徴するスイマーであったと思います。

 いずれも「成長途上」にあると感じられます。
 男子と共に女子も、世界で戦う準備が出来つつあるのでしょう。
 4月13日から16日にかけて、日本ガイシアリーナで開催された第93回日本選手権水泳大会は、各種目で、日本のトップスイマーによる素晴らしいレースが繰り広げられました。

 男子について見れば、この大会を象徴するのは、萩野公介選手、瀬戸大也選手、江原騎士選手、そして小関也朱篤選手の4名でしょう。

 萩野選手は、肘手術後の復帰第一戦というコンディションが整わない中で、200mの自由形と個人メドレー、400m自由形、200m背泳ぎの4種目を制しました。
 どのレースも「考え抜かれたレース内容」であったと感じます。200m・400m自由形では、最後25mの爆発的なスピードが際立ちました。
 このコンディション下での、この成績と言うのは、萩野選手が男子日本競泳界のエースであることを改めて感じさせるものでしょう。

 瀬戸大也選手は、400m個人メドレーで萩野選手を破りました。0.13秒差と言う接戦を制したのです。
 少年時代からのライバルとされている2人ですが、近時はやや萩野選手に押され気味と見られていただけに、この勝利は大きなものでしょう。
 200mのバタフライと個人メドレーでも2位に食い込みました。このスイマーの勝負強さは、男子競泳陣を支える存在と言って良いでしょう。

 江原騎士選手の活躍は、見事の一語。
 今大会、最も印象的な男子選手でした。800m自由形を圧勝し、200m・400m自由形で2位と、「中距離の自由形種目」において安定した力を示したのです。200mと400mにおける萩野選手との競り合いは、今大会のハイライトのひとつです。
 「先行」という積極的なレース運びも、世界と戦う上で大切なものだと思います。これだけ強い自由形スイマーは、得難い存在です。

 小関也朱篤選手は、平泳ぎの3種目を制しました。
 もともと「北島浩介選手の後継者」と目されて久しいスイマーでしたが、今大会では新鋭の渡辺一平選手を2種目で破り、平泳ぎ三冠に輝きました。新鋭の登場に刺激を受けたのか、自己新記録をも更新している小関選手には、頼もしささえ感じます。
 特に、200m平泳ぎでは、150mまでリードする渡辺選手を150~175mで追い抜き、その後の反撃を封じての「自己新記録」優勝という離れ業でした。2分7秒18というタイムも、世界記録に0.51秒に迫る立派なもの。渡辺選手の2分7秒60というのも、オリンピックで優勝を狙える水準でした。決して、山本選手が不振だったわけではないのです。

 それにしても、今大会の男子のレースでは「大接戦」が目立ちました。

 世界記録保持者、オリンピック金メダリスト、という「大勲章」を保持している選手でさえ、「楽なレースはさせてもらえない」のです。
 かつての日本競泳陣であれば、世界トップクラスのスイマーであれば、多少苦戦はしても最後はしっかりと勝ち切るというのが、日本選手権大会であったと思いますが、今大会は「最後まで勝敗が分からないレース」が続きました。

 バタフライ100m・200m種目でも、小堀勇氣選手、坂井聖人選手、幌村尚選手に瀬戸大也選手を交えた大激戦が繰り広げられたのです。オリンピックでマイケル・フェルプス選手を追い詰めた坂井選手でも、ギリギリの戦いを強いられるのですから、世界最高水準の戦いがそこには有りました。

 凄いことだと思います。

各種目に複数の強豪選手が居て、秘術を尽くした競り合いが展開されるのです。
 全米選手権水泳も、こんな様相なのではないかと考えてしまいます。

 男子日本競泳陣は、本当に強くなったのです。
 1月29日の夕刻、嬉しいニュースが飛び込んできました。

 渡辺一平選手が、東京都選手権大会の200m平泳ぎで2分6秒67の世界新記録を樹立したのです。
 世界初の「6秒台」であり、これまでの記録2分7秒01を大幅に塗り替える、素晴らしい記録です。

 映像も入ってきましたが、特にラスト20メートルの泳ぎ、その加速は、観る者を圧倒する迫力でした。

 19歳・身長193㎝という、アメリカの「怪物」マイケル・フェルプス選手と同様のサイズという、我が国のスイマーとしては恵まれた体躯の渡辺選手に、大きな可能性があることが証明された世界記録樹立でしょう。

 それにしても、前の世界記録は2012年9月の国体で山口観弘選手によって樹立され、今回は東京都選手権大会と、男子200m平泳ぎ種目の世界記録は、オリンピックや世界選手権といった大会ではなく、「意外」な大会で出されているのは興味深いところです。

 男子200m平泳ぎという種目が、とても繊細な種目であり、僅かな「バランスの違い」「メカニカルな動作の違い」が記録に大きく反映されるものなのかもしれないと、感じるのです。
 リオデジャネイロ・オリンピックでは、競泳女子200m平泳ぎで金籐理絵選手が金メダルに輝きました。

 この金籐選手の金メダルが、競泳日本女子史上「5つめの金メダル」だったのです。

 では、その「5つの金メダル」を見てみましょう。

① 1936年ベルリン大会 200m平泳ぎ 前畑秀子選手
② 1972年ミュンヘン大会 100mバタフライ 青木まゆみ選手
③ 1992年バルセロナ大会 200m平泳ぎ 岩崎恭子選手
④ 2004年アテネ大会 800m自由形 柴田亜衣選手
⑤ 2016年リオデジャネイロ大会 200m平泳ぎ 金籐理絵選手

 100年になんなんとする歴史の中で、僅かに5つというのですから、その価値は計り知れないものです。

 この5つの内3つが200m平泳ぎ種目です。
 やはり「女子200m平泳ぎ」は、日本の得意種目なのです。
 「前畑ガンバレ」で有名な「日本女子競泳初」の金メダルから、岩崎選手、金籐選手とその系譜は脈々と受け継がれているのです。

 そして、青木まゆみ選手と柴田亜衣選手の大健闘は、永遠に語り継がれていくのでしょう。

 ここまでは「約20年に1つ」というペースですが、2020年の東京オリンピックでは、このペースをグンと上げて欲しいものです。
 シンクロナイズドスイミング競技は、予想通りデュエットもチームもロシアチームが圧勝しました。
 
 8人でプレーするチームのフリールーティンも圧巻でした。

 何より、その演技中の「移動」が素晴らしい。

 難しい演技をしながら、チーム全体が高速で移動するのです。
 他の選手との距離も不変。様々なフォーメーションが、何もなかったかのように展開されていきます。
 30mのプールの端から端まで、完璧なシンクロ演技を魅せつつ動くロシアチームのパフォーマンスには圧倒されました。

 99点越えという、ほぼ満点の演技でした。
 「こんなことが出来るのか」というレベルであったと感じます。
 
 この「高速移動の中での完璧なシンクロ」が有る限り、ロシアチームの王座は盤石でしょう。
 リオデジャネイロ・オリンピックが終了しました。

 我らが日本競泳チームも萩野選手、金籐選手の金メダル獲得など、素晴らしい活躍を魅せてくれましたが、今大会、圧倒的な強さを示したのがアメリカチームでした。

 男子のマイケル・フェルプス選手(金メダル4つ)や女子のケイティ・レデツキー選手(金メダル3つ)を始めとして、見事な活躍が続きました。

 「アメリカ合衆国がオリンピックの水泳で強いのは当たり前」といったご意見も有ろうかとは思いますが、今大会の強さは、「強いアメリカ」の中でも別格でした。

 競泳全32種目の内、16種目で金メダルを獲得したのです。

 詳しくは調べていませんが、全種目の半分の種目で金メダルというのは、いかに「オリンピック競泳で強いアメリカ」といっても、凄まじい記録です。

 ちなみに、銀メダル・銅メダルを含めた数では、33個と断然のトップ、2位のオーストラリアが10個、3位の日本の7個を大きく上回っています。(競泳のメダル数で日本が3位というのも素晴らしいことですが)

 常に、他の国々の標的となり、「打倒アメリカ」を目標に世界中のチーム、スイマーが日々切磋琢磨している中で、「その差をどんどん拡大している」というのは、競泳アメリカチームの実力の高さを如実に示しています。

 アメリカチームは、大会最終日の恒例種目となっている男女の400mメドレーリレーのメンバー選出を、当該オリンピックの個人種目成績で行うと伝えられています。
 成績下位のスイマーが予選を泳ぎ、成績上位のスイマーが決勝を泳ぐのです。

 アメリカチームの、世界一の「選手層の厚さ」を示す事実なのでしょう。
 昨2015年の世界選手権で、200m・400m・800m・1500mの「自由形四冠」を成し遂げた、アメリカのスーパーガール、ケイティ・レデツキー選手が、リオデジャネイロ・オリンピックでも200m・400m・800mでの金メダルという「自由形三冠」を達成しました。

 400mと800mでは「世界新記録」をも叩き出していますから、「底知れぬ強さ」ともいえるのでしょう。

 水泳王国というかスポーツ大国アメリカからは、いつの時代もスーパースターが連続して登場するのですが、おそらく今大会が最後のオリンピックとなるであろう、「水泳の王様」マイケル・フェルプス選手の後を継ぐ、スーパースイマーだと思います。

 15歳(アメリカ競泳チーム史上最年少)で出場したロンドン・オリンピックの800m自由形で金メダルを獲得した時にも、とても驚かされましたが、その後の4年間での成長も見事なものでした。(身長も5cm伸びて183cmになりました)

 それにしても、400m決勝レースでは2位のジャズ・カーリン選手(イギリス)に「5秒近い」差を付け、800mの決勝レースでも2位のカーリン選手に「11秒以上」の差を付けて、共に世界新記録の「独泳」でした。

 レデツキー選手の頭抜けた強さを観ると共に、これまで泳ぎ尽くされてきた筈の「水泳競技・自由形」の奥深い可能性をも感じさせてくれるレースでもありました。
 決勝のレースでは、金籐選手は他の選手を気にすることなく、自らのレースに徹していたと感じました。

 前半からトップ集団に食い付き、後半は自らの実力を如何なく発揮したのです。
 圧勝であり、堂々たる泳ぎであったと思います。

 北京オリンピックに出場しながら、ロンドンでは代表に成れず、引退も考えたと伝えられていますが、その実力は紛れも無く「世界一」なのです。

 27歳になって、世界選手権も含めて、世界大会で初めてのメダルが「オリンピックの金メダル」というのですから、とても珍しいケースではないでしょうか。
 こういうスイマーも居るのです。

 金籐選手の「喜びの表現」は控えめでした。
 こういう大会での好成績に慣れていないという見方もあるかもしれませんが、おそらく金籐選手の性格なのでしょう。
 とても日本人らしいとも感じます。
 
 最後の大舞台で、その世界一の実力を如何なく発揮した金籐理絵選手に、大きな拍手を送らせていただきます。
 素晴らしいシーンでした。

 粘りの泳ぎを魅せる松田丈志選手を、泳ぎ切った3人の選手がスタート地点で必死に応援します。
 そして歓喜のゴール。
 1964年の第一回東京オリンピック以来の銅メダルの瞬間でした。

 日本の自由形が世界の舞台で復活した瞬間でした。

 萩野公介選手が約1秒、江原騎士選手も約1秒、小堀勇気選手が約2秒、予選の時よりタイムを縮めたと報じられました。
 予選5位から、決勝では3位へと駆け上がったのです。

 この「本番での強さ」こそが、現在の「日本水泳の強さ」なのでしょう。

 22歳の萩野選手、23歳の江原選手、22歳の小堀選手を、32歳の松田選手が引っ張ってきたのでしょう。

 レース後のインタビュー、松田選手の「日本の自由形」という言葉が輝いていました。
 追い上げた坂井選手がマイケル・フェルプス選手を捉えたかに見えたところがゴールでした。

 100分の4秒差で2位でした。
本当に惜しいレースでした。
 ゴールがあと1m先なら、勝っていたかもしれません。

 このレースには瀬戸大也選手と坂井聖人選手の2人のスイマーが登場しました。
 戦前の予想では瀬戸選手に期待が集まっていました。
 一方で、坂井選手も昨年の世界選手権4位を踏まえて、「虎視眈々」とメダルを狙っていたのでしょう。

 静かに入って、ラスト50mで力を発揮するという作戦も当たりました。
 レース後のインタビューで、「ラスト50mは体が動かなかった」とコメントしていましたから、坂井選手も疲れていたのでしょうが、他の選手はもっと疲れていたのです。
 オリンピックのレースの難しさを感じさせました。

 まだ21歳の坂井選手。

 「フェルプスの後の200mバタフライ」は、坂井選手の時代になって欲しいものです。
 8月6日に行われた、競泳男子400m個人メドレーで、萩野公介選手が優勝しました。
 4分6秒05の日本新記録。今大会日本選手団最初の金メダルでした。

 このレースでは、萩野選手の「冷静さ」「精神力の強さ」が際立っていたと思います。

 今シーズン一気に記録を伸ばした、アメリカのチェース・カリシュ選手と日本の萩野・瀬戸両選手の争いと見られていましたが、レースは予想通りの展開となりました。

 バタフライで瀬戸選手がリードし、背泳ぎで萩野選手がトップに立ち、平泳ぎでカリシュ選手が追い上げて2番手に上がり、クロールでも追い上げを見せましたが、萩野選手はカリシュ選手の位置を良く把握しながら、慌てることなく「絶妙のペース配分」で対応しました。
 そしてラスト25mは「全力の泳ぎ」で対抗したのです。

 オリンピックイヤーのアメリカの新星というのは、いつの時代も「とても強い」ものです。カリシュ選手も、泳ぐ度に自己記録を更新し続けているという点では、「オリンピックイヤーのアメリカ選手」そのものであり、これまでの歴史において、「オリンピックイヤーのアメリカ選手」が負けるというのは、「有り得ないこと」だったのですが、萩野選手はこの「定理」をも押さえ込みました。

 この萩野選手の強さは「驚異的」と言う他は無く、コンディションが良いことも間違いないのでしょうが、心身の能力の高さを如何なく発揮したとも言えるのでしょう。

 金メダル・萩野公介、銅メダル・瀬戸大也、と2人の日本人スイマーがオリンピックで同じ表彰台に上るというのは60年ぶりの快挙です。

 そして、大会初日の金メダルというのは、日本選手団にとって「最高のエンジン」となったことでしょう。
 第92回大会が終わりました。

 「日本一」の称号とリオデジャネイロ・オリンピック出場権を目指すスイマー達の力と意地がぶつかり合った、素晴らしい大会であったと思います。

 本稿では、今大会で日本水泳陣が出場権を獲得できなかった種目を見て行こうと思います。
 種目別に挙げてみます。

[自由形]
・男子50m
・女子50m
・男子100m
・女子100m
・女子200m
・男子400m
・女子400m
・女子800m
・男子1500m

[平泳ぎ]
・男子100m

[背泳ぎ]
・女子100m
・女子200m

[バタフライ]
・男子100m

[リレー] 全種目で代表が選ばれました。

 様々な種目に、様々なスイマーが登場し、選手層が厚くなっていると感じられる日本競泳陣ですが、それでもまだ13種目に代表を送り込めていないのは、残念なところです。(もちろん、実際のリオ五輪では、他種目で選ばれたスイマーが「調整」の意味からも、これらの種目に出場してくると思われますが)

 特に自由形種目で多くの「穴」が空いています。

 もともと、50mや1500mは日本チームの弱点でしたが、今回も克服は出来なかったというところでしょうか。
 とはいえ、世界トップクラスとの差は着実に詰まっているという印象です。

 男子100m平泳ぎで派遣標準記録を突破できなかったというのは、「痛恨の極み」でしょう。北島康介選手にも十分にチャンスが有ったのです。
 この種目は、北島選手の複数のオリンピックにおけるメダル獲得も有り、「水泳日本」の得意種目となっていますから、もし本番で泳ぐ機会があるのであれば、小関選手・渡辺選手の活躍に期待したいところです。

 女子の背泳ぎ2種目も、今回は残念でした。
 21世紀に入ってから、世界のトップクラスに迫っていた種目でしたが、この種目に付いては「世代交代」が少し遅れているということでしょう。
 とはいえ、14歳の酒井夏海選手など、若手の成長が観られます。
 もし本番で泳ぐようであれば、酒井選手には思い切り挑戦していただきたいものです。

 男子100mバタフライも意外な結果でした。
 萩野浩介選手が出場していれば、十分に標準記録は突破できたとは思いますが、松田丈志選手らのスイマーが積み上げてきた伝統は、継続して行かなければならないでしょう。
 本番では、出場するスイマーが居ると思います。存分に泳いでいただきたいと思います。

 一発勝負で、タイムと順位を追わなければならないという、極めて難しいルール下での大会は、何時の時代も緊張感に溢れています。「悲喜こもごものシーン」が続くのです。
 今大会もそうでした。
 選手の皆様には「お疲れ様でした」と申し上げたいと思います。

 また、出場を決めた34名のスイマーの皆さんの本番での健闘を祈ります。

 こうした「厳しいルール」の下で、日本水泳の実力が維持され向上していることは、間違いないのでしょう。
 リオデジャネイロ・オリンピックの派遣選考会を兼ねた第92回水泳日本選手権大会も最終日を迎えました。

 5種目の決勝が行われましたが、全体として記録が伸びませんでした。
 前日までの「五輪出場権を賭けた一発勝負」の疲れが、選手のみならず、スタンドの観客にも表れていたように感じます。

① 男子1500m自由形

 7コースの山本耕平選手の挑戦が注目されましたが、派遣標準記録に2秒余り及ばず、惜しくも出場権獲得はなりませんでした。

 「競泳のマラソン」におけるラスト100mの頑張りには、頭が下がる思いでした。

② 男子50m自由形

 4コースの塩浦慎理選手と5コースの中村克選手の競り合いは、中村選手が制しました。
 しかし、両選手とも標準記録突破はなりませんでした。

 ラスト10mで伸びを欠いた印象です。
 この種目の男子陣の強化が急がれるところでしょう。

③ 女子50m自由形

 5コースの池江璃花子選手が積極的なレースを展開し、4コースの内田美希選手の追い上げをかわして優勝しました。この種目としては「大差」の結末でした。
 しかし、両選手とも標準記録突破はなりませんでした。

 あと一歩で、世界大会の決勝進出のレベルに達する種目です。
 今後の強化が待たれます。

④ 男子100mバタフライ

 5コースの川本武史選手が先行し、4コースの藤井拓郎選手が追いかける展開となりました。藤井選手は「思い通りの展開」で優勝した形でしたが、惜しくも個人種目のリオ出場権獲得はなりませんでした。

 とはいえ、メドレーリレーの標準タイムはクリアしました。北京大会銅メダル、ロンドン大会銀メダルと成績を伸ばしている種目ですので、日本男子チームの活躍が期待されます。

 30歳になったとはいえ、藤井選手にはまだまだ記録が伸びる余地が有ると言われています。ターン後のドルフィンキックの改良や前半の入り方等、リオまでにどこまで修正して来るのか、楽しみなところです。

⑤ 女子200m背泳ぎ

 今大会の最終レースとなった女子200m背泳ぎは、4コースの酒井夏海選手が先行し、5コースの川除結花選手と3コースの後藤真由子選手が追い上げる展開。

 150mで川除選手が一度逆転しましたが、ラスト50mで酒井選手が再度逆転して優勝しました。
 しかし、標準記録突破はなりませんでした。

 インタビューに臨んだ14歳は、日本選手権優勝にもかかわらず泣きながら答えていました。

 「この悔しさ」は、酒井選手の大きな財産となることでしょう。

 7日間に渡って開催された大会は、多くのドラマを魅せてくれました。
 そして、リオデジャネイロ・オリンピックに臨む日本チームの姿が固まりました。

 「ベテランと若手のバランスの良いチーム」ではないでしょうか。

 日本水泳界の「世代交代」は順調に進んでいるのです。
 6日目は、女子800m自由形、男子200m背泳ぎ、女子200m平泳ぎ、男子200m個人メドレー、の4種目で決勝が行われました。

 そして、日本新記録が2つ生まれました。

① 女子800m自由形

 4コースの高橋美帆選手が先行し、5コースの菊池優奈選手が追いかけましたが、逆に菊池選手が失速し、後半スピードを上げた3コースの池田麻未選手が最後の50mで猛烈な追い上げを見せて、高橋選手に50cmまで迫ったところがゴールでした。
 3位には2コースの和田麻里選手が入りました。

 現在のこの種目の選手達の地力から見て、大変高いレベルに設定されている派遣標準記録でしたので、オリンピック出場権を獲得したスイマーは居ませんでした。

 アテネ五輪で柴田亜衣選手が金メダルを獲得した種目でもありますから、日本人スイマーにとって不得意な種目とは考えられませんので、今後の強化が期待されます。

② 男子200m背泳ぎ

 「第一人者」の入江陵介選手が強さを見せたレースでした。

 4コースの砂間敬太選手が先行し、5コースの入江選手が追いかける展開でしたが、驚いたのは2コースの金子雅紀選手の「150mターンからのバサロ」でした。
 一気に上位グループとの差を詰め、175m地点では先頭の入江選手を捕えたように観えました。その後、入江選手が振り切った形でした。

 金子選手にとっては作戦通りの展開だったのでしょうが、このレベルの戦いにおいても「秘密兵器」が威力を発揮することに驚かされました。

 入江選手と金子選手がリオ五輪出場権を獲得、砂間選手は派遣標準記録を突破しながらも3位となって、出場権には届きませんでした。

 この大会では、少しコンディションが良く無さそうな入江選手ですが、トップの座は譲らないところに強さを感じさせます。この種目で「日本選手権10連覇」という、全ての種目を通じての「空前の記録」を樹立しました。

③ 女子200m平泳ぎ

 金藤選手の「積極的なレース展開」が印象的でした。
 公言通りスタートから飛ばす2コースの鈴木聡美選手を早々に捕まえて「独泳体制」を築き、後半も緩み無く泳ぎ切りました。素晴らしいレースであったと思います。

 脂の乗り切ったプレーとも言えるでしょう。

 2分19秒65というのは、世界歴代5位、日本人スイマーによる初の19秒台という見事なタイムでした。

 既に出場権を獲得していた渡部香生子選手も、コンディションが良くない様に観える中では、しっかりと2位を確保。3位には、伸び盛りの今井月選手が食い込んだレースでした。

④ 男子200m個人メドレー

 4コースの萩野公介選手と5コースの瀬戸大也選手の競り合いと予想されたレースでしたが、萩野選手の圧勝でした。
 
 この大会でやや精彩を欠く印象が有った萩野選手ですが、この種目で「溜飲を下げた」感が有ります。
 特に、最初の種目のバタフライの泳ぎは圧巻でした。バタフライで代表を決めている瀬戸選手を千切ったのです。
 「バタフライでリオに行った方が良いのではないか」という意見も出そうな泳ぎでした。

 一方で瀬戸選手は3コースの藤森太将選手にも追い越されて3位となりました。
 藤森選手にとっては、嬉しいオリンピック出場権獲得となりました。

 藤森兄弟が2位・4位を占め、5位の溝畑選手まで2分を切るという、層の厚さを見せつけるレースでもありました。

 6日目は、男子200m背泳ぎを除けば「独泳」のレースでしたが、2位争いは激戦が続きました。

 「一発勝負」の代表選考会の難しさを改めて感じさせた6日目でした。
 5日目は、男子100m自由形、女子100m自由形、男子200mバタフライ、男子200m平泳ぎ、の4種目の決勝が行われました。

 いずれも激戦でしたが、結果を観ると「現時点の第一人者」が実力を発揮したと感じます。そして、伸び盛りの若手が食い下がることで、好レースとなった形でしょうか。

① 男子100m自由形

 中村克選手と塩浦慎理選手の競り合いは、ゴール寸前まで続きました。
 掌ひとつの差で中村選手が勝ちました。日本新記録でした。

 中村選手も僅かなところで個人種目では派遣標準記録をクリアできませんでしたが、この接戦に引っ張られた形で上位4名のタイムが伸びて、400mリレーの代表権を獲得したのです。

 中村選手・塩浦選手・小長谷研二選手・古賀淳也選手4人のスイマーの笑顔が印象的でしたが、特に古賀選手は、専門種目で惜しいところで代表を逃していましたから、喜びもひとしおというところでしょうか。

 実力者がそろった、相当強いチームだと思います。リオでの活躍が楽しみです。

② 女子100m自由形

 素晴らしいダッシュで50mを26秒09でクリアした内田美希選手が先行し、池江璃花子が追いかける展開となりましたが、後半もしっかりと泳ぎ切った内田選手が優勝しました。
 男子同様、日本新記録でした。

 そして、400mリレーの出場権を獲得したのです。
 4人のタイムの合計に時間がかかったのでしょうか、しばらくの間4人のスイマーは不安な様子でプール内に居ましたが、「決定」が伝えられると喜びが弾けました。

 素晴らしい瞬間でした。

 内田選手・池江選手・松本弥生選手・山口美咲選手は、いずれも55秒を切りました。やはり高いレベルのレースだったのです。

 池江選手は、200m自由形と同様に、少し体が重そうな泳ぎでした。いかに若いとはいえ、さすがに疲れが蓄積されているのかもしれません。
 とても大切な「経験」が積み重ねられているのでしょう。

③ 男子200mバタフライ

 瀬戸大也選手と坂井聖人選手の競り合いは、100m自由形の中村・塩浦両選手の競り合いと同様に、ゴール寸前まで続きました。

 ゴール寸前、瀬戸選手が僅かに抜け出して優勝しました。
 こちらは「掌半分」の差であったと思います。

 そして両選手ともオリンピック出場権を獲得しました。
 1分54秒台前半で泳ぎ切った2人のスイマーのリオでの活躍が期待されます。

④ 男子200m平泳ぎ

 5コースの小関也朱篤選手がスタートから飛び出し、そのスピードをゴールまで継続しました。小関選手「会心」のレースだったのではないでしょうか。

 150mにかけて3コースの北島康介選手が食い下がりましたが、その差がなかなか詰まりません。
 そして、残り30mから4コースの渡辺一平選手の追い上げが始まり、ゴール前15m辺りで北島選手を抜き去り2位でゴールしました。

 小関・渡辺両選手とも派遣標準記録をクリアし、代表権を手にしました。
 とてもハイレベルなレースだったのです。

 北島選手は、隣のコースの渡辺選手に抜かれた瞬間、「諦めた」感じもありました。
 「先行する」小関選手と「追い上げる」渡辺選手の間に位置して、精一杯のレースを展開したのではないでしょうか。

 「日本水泳界のレジェンド」、北島康介選手のオリンピック挑戦が終りました。
 33歳になってからの、この素晴らしいトライは、レジェンドの名に相応しい、比類なきものであり、「記憶に残る」ものであったと思います。

 5日目は、内田選手に挑む池江選手、瀬戸選手に挑む坂井選手、小関選手に挑む渡辺選手と、「第一人者VS若手実力者」という構図のレースが続きましたが、全て「第一人者に軍配が上り」ました。

 第一人者がその実力に慢心することなく、この大会に向けて鍛え上げてきたことが如実にわかるシーンの連続でした。

 第一人者がグイグイと引っ張る種目は、全体のレベルがどんどん上がって行くものなのでしょう。
 多くのスイマーがリオ五輪出場を決めた5日目でした。
 4日目は、女子100m背泳ぎ、女子200mバタフライ、女子200m個人メドレーの3種目の決勝が行われました。

 どの種目もリオデジャネイロ・オリンピックへのスイマー達の強い意志を感じさせる激しいレースでしたが、特に女子200m個人メドレーには驚かされました。

① 女子100m背泳ぎ

 5コースを泳いだ14歳の中学3年生、酒井夏海選手が見事なレースを魅せてくれました。
 4コースの竹村幸選手、1コースの諸貫瑛美選手との大接戦を制したのです。

 酒井選手の残り25mからの泳ぎは、迷いや力みの無く「真っ直ぐ」進む、素晴らしいものでした。

 1分00秒12のタイムでしたから、個人としては派遣標準記録には及びませんでしたが、メドレーリレーの標準タイム1分00秒25はクリアしましたから、100m自由形優勝者の記録次第では、リレーメンバーとしてリオに行けることとなります。(おそらく行けるでしょう)

 伸び盛りの酒井選手のリオでの活躍が期待されます。

② 女子200mバタフライ

 既に内定している星奈津美選手がさすがの泳ぎを魅せましたが、その星選手に食い下がった長谷川涼香選手の泳ぎも見事でした。

 星選手・長谷川選手は50mまで互角のレースを展開し、ターン後、星選手がジリジリと差を広げましたが、一気に開くということは無く、長谷川選手のスピードも最後まで落ちませんでした。そして派遣標準タイムを超えたのです。

 世界選手権2015金メダリストの星選手はもちろんとして、16歳の長谷川選手の活躍がとても楽しみです。「リオでの1・2フィニッシュ」も夢では無いでしょう。

③ 女子200m個人メドレー

 世界選手権2015銀メダリストの渡部香生子選手を中心とした展開になると予想されていました。
 渡部選手は「女子競泳陣」のエースでもありますから、「ここぞ」というレースではしっかりと泳いでくると誰もが考えたことでしょう。

 そして渡部選手は苦戦の中で派遣標準タイムをクリアする泳ぎを見せてくれたのです。
 しかし、出場権を獲得することは出来ませんでした。

 レースは、3コースの寺村美穂選手の先行で始まりました。最初の種目バタフライで一気に抜け出したのです。最初の種目とはいえ「1身長」の差を付けたのを観て、「50mでこんなに差が付くのか」と感じました。

 渡部選手としては得意の平泳ぎで並ぶあるいは追い越すイメージでレースを続けていたのでしょう。
 ところが、平泳ぎに入っても殆ど差は縮まりませんでした。

 決して渡部選手の泳ぎが遅いのではなく、寺村選手の泳ぎが良かったのです。

 焦ってしまった渡部選手の自由形の泳ぎが乱れました。
 これ程の選手でも「焦り」は禁物なのでしょう。

 自由形に入っても寺村選手のリードは変わらず、バランスを崩した泳ぎを続けている渡部選手に、2コースの今井月選手が迫ります。そして、今井選手が渡部選手を捕えたところがゴールでした。
 今井選手は派遣標準タイムもクリアし、リオ出場権を獲得しました。
 レース後のインタビューで「信じられない」とコメントしていた今井選手の、まさに「無欲の泳ぎ」でした。
 他の種目で僅かな差でリオの切符を取れていなかった今井選手が、ついにオリンピックに行くのです。殻を破った15歳の本番での大活躍が、とても楽しみです。

 一方、本来2分10秒を切る力を保持している渡部選手にとっては信じられないようなレースだったことでしょう。レース後、プールサイドで長い間座り込んでいました。
 この敗戦を糧にして、「真のエース」になっていただきたいと思います。

 直近の世界選手権で銀メダルを獲得したスイマーでも五輪代表になれないという、日本水泳陣の層の厚さには、本当に驚かされましたし、「一発勝負」の怖さをまざまざと感じさせられたレースでもありました。
 3日目は、男子200m自由形、女子200m、女子100m平泳ぎ、男子100m背泳ぎ、の4種目の決勝が行われました。
 800mリレーの代表も含めて、多くの選手がオリンピック出場権を獲得しました。

① 男子200m自由形

 3コースの江原選手がリードし、他の選手が追いかける展開となりました。100~150mの泳ぎで4コースの萩野選手が追い付き、最後の50mで差を広げる展開となりましたが、5コースの松田選手・7コースの小堀選手も追い込みを見せ、2~4着は接戦となりました。

 萩野選手は個人として出場権を獲得し、4位までのスイマーに800mリレーの出場権が与えられました。
 4位に入った小堀選手も1分47秒27という高いレベルの泳ぎでしたので、日本チームのリレー種目もリオでの活躍が十二分に期待できます。

 萩野選手の余裕が感じられる勝利と共に、日本男子自由形競泳陣の層の厚さを感じさせるレースでもありました。
 
② 女子200m自由形

 150m手前までは大接戦でしたが、ターン後6コースの池江璃花子選手が抜け出して優勝しました。今回の日本選手権大会2つめの優勝です。凄い15歳だと思います。

 もともと高い水準だった200m自由形の派遣標準記録には、池江選手も及びませんでしたが、4位までに入った選手による800mリレーの方は、リオ出場を決めました。

 池江選手・五十嵐選手・持田選手・青木選手が、プール内で喜びを分かち合う姿が、印象的でした。4位の青木選手も1分58秒台をマークしています。男子と共に、リレー種目での日本チームの活躍が楽しみです。

③ 女子100m平泳ぎ

 レース前の予想通りの大接戦でした。
 派遣標準記録を上回る記録を保持しているスイマーが4人も登場する、レベルの高いレースでしたが、エース・渡部香生子選手とロンドン五輪のメダリスト・鈴木聡美選手が2つの枠を獲得しました。
 派遣標準記録をクリアしながらも3位となった金藤理絵選手は、残念ながら出場権獲得はなりませんでした。

 鈴木聡美選手のレース運びは見事でした。
 スタートから先行し、50mを大きなリードを持って折り返しました。
 そして、渡部選手と金藤選手の猛烈な追い上げをギリギリ凌いで、2位を確保したのです。

 ロンドン五輪以降、調子が上がらず、なかなか成績を残せなかった鈴木選手でしたが、2016年に入って「キックをロンドン五輪当時に戻した」ことが功を奏して、一気に復活したと伝えられています。

 さすがはオリンピックメダリストの勝負強さ、といったところですが、その明るさ・力強さは、リオの日本チームにも大きな勇気を与えてくれるのではないでしょうか。

④ 男子100m背泳ぎ

 こちらも大接戦でした。
 5コースの古賀選手、1コースの川本選手が先行し、大本命の入江選手が追いかける展開。

 ゴール寸前で入江陵介選手が抜け出して優勝しました。

 そして2位には、やはり追い上げてきた長谷川純也選手が食い込んだのです。

 古賀選手が2位だとばかり思っていましたが、レース後のVTRを観ると、古賀選手のタッチが流れ、その間に長谷川選手が抜いています。
 長谷川選手のタイムは、派遣標準記録と同じ53秒49でした。見事に出場権をゲットしたのです。
 ラスト20mに賭けた、素晴らしい泳ぎであったと思います。

 3位になってしまった古賀淳也選手にとっては、オリンピック2大会連続での残念な結果となってしまいました。ロンドン大会は0.05秒、リオデジャネイロ大会は0.08秒、及ばなかったのです。「タッチが流れたこと」が本当に惜しまれます。

 3日目は、女子の渡部選手・池江選手、男子の入江選手といったエース級のスイマーが順当に出場権を確保した日でしたが、一方で3年間以上に渡る努力をこの日のレースで実らせた鈴木選手と長谷川選手の泳ぎが、とても印象に残りました。

 まさに「乾坤一擲」のレースだったのです。
 4月5日・大会2日目は、2人のエースが対照的なレースを見せました。

① 女子100mバタフライ

 伸び盛りの若きエース・池江璃花子選手が優勝し、派遣標準記録も突破して、リオ五輪出場権を獲得しました。

 池江選手はスタートから飛び出し、残り15mからやや失速しましたが、必要なタイムはクリアしました。その勝負強さと運の強さを示したレースでした。

 準決勝・57秒55をマークした「別次元のスケールの泳ぎ」に比べると、少し体が沈んでいた印象でした。おそらく、池江選手の胴体は準決勝時に比べて1~2cm低い位置に在ったのではないかと思います。

 決勝では前半から突っ込み、記録を狙っていたのでしょうが、それが僅かな力みに繋がったように感じます。泳ぐ都度、沢山のことを学んでいる時期なのでしょうから、この経験は次のレースに活かされることでしょう。

 200m自由形の準決勝から僅か40分後のレースでしたので、その疲労残りが心配されましたが、競泳競技の経験が有る妻は「大丈夫よ。15歳なんだから。ドーナツ1個食べれば疲れが取れるわよ」と言っていました。

 おっしゃる通りで、ゴール前の失速は、レース展開と僅かな力みの結果だったのでしょう。

 レース後のインタビューは、涙また涙。五輪出場の喜びに溢れていました。

 プレッシャーから解放された今、今後の自由形3種目(50m、100m、200m)でも、大活躍が期待されます。

② 男子100m平泳ぎ

 日本水泳界のレジェンド・33歳になった北島康介選手の泳ぎが注目されましたが、珍しく固さが目立ち、59秒93での2着という、意外な結果となりました。

 準決勝では、「久々の1分切り」という充実のコメントを出していただけに、残念な結果でした。

 準決勝の泳ぎは、他のスイマーを引き連れて真ん中を泳ぐ「王者の風格」を漂わせていましたが、少し滑らかさに欠け「ギスギスした印象」でしたので、決勝で泳ぎのバランスが崩れないと良いが、と感じていました。

 決勝では、前半の後半・25m~50mの泳ぎで伸びを欠きました。持ち味である大きなストロークで泳ごうとするあまり、少し体が沈んでしまったというところでしょうか。

 このレースで2着になってしまいましたので、400mメドレーリレーのメンバーからも外れてしまいましたから、200m平泳ぎ種目でリオを掴みとるしかなくなりました。

 北島選手の勝負強さに期待したいと思います。

 オリンピック2大会連続金メダルという、北島康介選手程のプレーヤーでも「特別扱いされない」ところが、現在の「日本水泳陣の強さの源」なのでしょうが、本当に厳しいルールであると改めて感じさせるレースでした。
 リオデジャネイロ・オリンピックの代表選考会を兼ねた、日本選手権大会が開幕しました。

 東京辰巳国際水泳場を舞台に、日本を代表するスイマー達の激しい戦いが始まったのです。

 初日・4月4日は、「ライバル対決」の日となりました。

① 男子400m個人メドレー

 2015年の世界選手権大会で優勝した瀬戸大也選手と、第一人者・萩野公介選手のトップ争いが予想されましたが、レースは萩野選手の独泳になりました。

 最初のバタフライを54秒65という好記録でクリアした萩野選手は、続く背泳で独泳に入り、瀬戸選手に大きな差を付けたままゴールしました。
 瀬戸選手は藤森選手との2位争いを制するのが精一杯といった印象でした。

 その萩野選手もタイム面では4分8秒90と、6秒台が期待された中では物足りないものでした。最後の自由形の伸びが観られなかったのです。
 レース後のインタビューで、本人も「不満」を口にしていました。

 確かに、アメリカのロクテ選手という「絶対王者」に挑むには不十分な記録なのでしょうけれども、まずは「出場権獲得」が第一目標のレースであり、明日以降も多くの種目を泳がなければならない萩野選手としては、スタミナを温存して行く必要も有ったのではないかと感じます。

 「回復途上」の萩野選手にとっては、満足できるレースであったのではないかと思います。

 瀬戸選手の方が事態?は深刻でしょう。
 しかしこれとて、8月の本番に向けて、既に内定を確保している身としては、スケジュールの一環という見方もあるでしょう。

 本番でも、日本競泳界で最初のメダルが期待される種目。
 2人のライバルは、しっかりと調整して行ってくれるのではないでしょうか。

② 女子400m個人メドレー

 高橋美帆選手と清水咲子選手の見事な競り合いでした。

 3コースの高橋選手は第一種目のバタフライでリードし、続く種目でその差を維持しました。「勝負に徹した」泳ぎであったと感じます。

 清水選手も各種目で懸命に高橋選手を追いかけましたが、ついに追い付くことは出来ませんでした。しかし、派遣標準記録はしっかりとクリアしました。

 高橋選手は「オリンピック出場に強いスイマー」です。
 4年前のロンドン・オリンピックでも代表入りし、その後はあまり目立った活躍が無かったのですけれども、2016年・オリンピックイヤーにキッチリと照準を合わせて、タイムと勝負を物にしました。
 その調整能力の髙さは、眼を見張るものが有ると思います。

 同じクラブで、いつも一緒に泳いでいる2人が、代表権を獲得するというのも素晴らしい。
 高橋選手と清水選手は、本番に向かって、また2人で調整を続けて行くのです。

 男女の400m個人メドレーは、「順当に」4人のスイマーが五輪代表となりました。
 一発勝負で、期待されているプレーヤーがしっかりと結果を残すところに、「水泳日本」の強さが示されています。

 そして、男子の藤森選手、女子の大橋兄弟、がこの4人の直ぐ後ろに迫っているのです。選手層の厚さも感じられます。

 今年も、オリンピックイヤーの日本選手権大会が始まりました。

 「オリンピック派遣標準記録と順位の両方をクリアしなければならない一発勝負」という、凄まじい戦いが幕を上げたのです。
 1月31日に行われた競泳の北島康介杯・東京都選手権大会の200m平泳ぎで、早稲田大学1年生・18歳の渡辺一平選手が、2分9秒40の好タイムで優勝しました。

 この種目の現在の日本の第一人者である小関也朱篤選手(23歳)が2位、5大会連続のオリンピック出場を狙う北島康介選手が3位でした。

 大分・佐伯鶴城高校出身の渡辺選手は、193cmという長身を利して、近時ユースの世代で実績を積み上げてきていましたが、この大会での優勝で一気にオリンピック代表に名乗りを上げた感があります。

 粗削りながらも大きな泳ぎは、200m平泳ぎにピッタリでしょう。

 オリンピック派遣選考会である4月の日本選手権大会に向けて、日本競泳界の戦いが激しさを増してきました。
 競泳ワールドカップの東京大会第一日、女子100mバタフライで、日本の池江璃花子選手が素晴らしい泳ぎを魅せて優勝しました。
 57秒56という日本新記録でした。

 スタートからリラックスした動きを見せた池江選手は、50mで既にリードし、残り50mでも差を広げての堂々たる泳ぎでした。
 泳ぎの柔らかさとバネが印象的でした。

 レース後のインタビューで「こんな(に良い)記録が出るとは思わなかった」と、池江選手はコメントしました。
 まだ中学3年生の池江選手は、「伸び盛り」なのでしょう。泳ぐ度に自己記録を更新できる時期なのだと思います。

 この日の泳ぎでも、50mのタッチの前、ストロークが合いませんでした。両腕を前に伸ばしたまま、タッチが相当長く流れたのです。「腕で掻く」という推進力無しの状態でした。
 ここでタイミングが合っていれば、記録はもっと伸びたことでしょう。

 池江選手は、続く100m自由形と50mバタフライでも優勝しました。本当に伸びやかな泳ぎを連発したのです。

 リオデジャネイロ・オリンピック2016に向けて、日本女子競泳陣にはまた新星が誕生しました。

 伸び盛りの池江璃花子選手は、十分にメダルを狙えるであろうと感じます。
 ロシア・カザニで開催されている水泳の世界選手権大会、日本男子競泳陣の不振が指摘されていましたが、8月9日に行われた400m個人メドレー種目で瀬戸大也選手が優勝し、この種目連覇を果たしました。

 星奈津美選手や渡部香生子選手の金メダルは、最後の50mで逆転した優勝でしたが、瀬戸選手の金メダルは終始トップ争いを演じつつ、300m地点では先頭に立ってラスト100mを押し切る形。ゴールでは2m位の差を付ける圧勝でした。
 前大会のチャンピオンが「王者の泳ぎ」を魅せたというところでしょう。

 瀬戸選手の各大会におけるコンディションを測るには、200mバタフライの泳ぎを観るのが良いと思います。調子が良い時には、伸びやかな素晴らしい泳ぎが観られます。
 この大会では、同種目で6位に終っていましたから、決して好調とは言えないと感じていました。

 その「調子が出ていない大会で金メダル」、それも「日本人スイマー史上初の世界選手権同種目連覇」を成し遂げたのです。その価値はとても大きいと思います。

 「追われる者としてのプレッシャー」の中でも世界を制したことで、瀬戸大也選手はまたひとつ、真の王者に向けての階段を上りました。
 
 勢いに乗る日本女子競泳陣というところでしょうか。

 8月7日に行われた女子200m平泳ぎ決勝で、渡部香生子選手が金メダルを獲得しました。これまで、水泳の世界選手権大会ではひとつも金メダルが取れていなかった日本女子競泳陣が、前日の星選手に続いて今大会2つ目の金メダルを獲得したのです。

 素晴らしい活躍です。

 星選手の200mバタフライ同様、このレースも渡部選手の落ち着いたレース振りが印象的でした。
 150mまではライバル選手に先行を許しながら、ラスト50mで逆転、ゴール前では1m位の「大差」を付けての快勝。
 自らのペースを堅持した泳ぎでした。

 平泳ぎが得意な渡部選手ですが、大きなストロークに特徴が有ります。「ひと掻きで大きく前進する平泳ぎ」なのです。
 従って、爆発的なスプリントより、相当のスピードで長い距離を押すことの方が得意ということになります。結果として、100mより200mの方が合っているということになります。

 とはいえ、大きなストロークの平泳ぎをベースにしていれば、100mには対応できると感じます。まさに、北島康介選手と同じタイプなのです。

 18歳にして、世界選手権の個人種目で2つのメダルを取り、ひとつは金メダルというのですから、このロシア・カザニの世界選手権大会は渡部選手にとって「最高の経験」になったことでしょう。

 逆に言えば、リオデジャネイロ・オリンピックを前にして「既に追われる立場」になったのです。

 世界中のトップスイマーから追われる立場になったプレッシャーと、若くして「世界で勝つ」ということに関するノウハウを身に付けた経験値の向上の、バランスということになります。

 もちろん、後者が勝っているのでしょう。そのノウハウを、今大会4位に終った100m平泳ぎ種目に活かしていただきたいものです。

 渡部香生子選手の今後の活躍が、とても楽しみです。
 ロシア・カザニで開催されている水泳の世界選手権大会、8月6日に行われた女子200mバタフライ決勝に、星奈津美選手が登場しました。

 スタート。準決勝をタイム1位で勝ち上がった星選手は、落ち着いた入りを見せました。
 こうした世界一を決めるレースでは、必ず前半からペースが速くなります。世界トップクラスが揃うレースでは、有力選手は最初からガンガン行くのです。「タイムを狙わず勝負に賭ける」などという「甘いレース」にはならないものです。

 最初の50mを終えて、星選手は6番目でした。先頭の選手に相当の差を付けられました。

 100mを終えて4番目に順位を上げましたが、先頭の選手との差はまだまだ大きなものでしたから、「これで追いつけるのだろうか」という不安が胸を過ぎりました。

 150mで3番手に上がった星選手は「エンジン全開」、ぐんぐん追い上げます。

 残り20mでトップに立って、ゴールでは1m以上の「大差」でした。
 本当に素晴らしいラスト50mの泳ぎでした。自らのペースを守り、自らの泳ぎに徹した、会心のレースでしょう。

 意外なことに、水泳の世界選手権大会をおける日本女子選手初の金メダル獲得でした。
 オリンピックではいくつもの金メダルを取ってきている日本女子競泳陣ですが、世界選手権では取れていなかったのです。

 今大会の日本競泳陣は、男子チームの調子が上がっていませんでした。入江選手や瀬戸選手の意外な不振が、チーム全体の勢いを削いでいた感じです。

 しかし、この星選手の金メダルで勢いが付くことでしょう。

 星選手の「ラスト50mの見事な泳ぎ」は、星選手自身に金メダルを齎すと共に、カザニ大会における日本競泳チームを救う泳ぎであったと感じます。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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