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[7月24日・決勝]
1位 クリストフ・ミラーク選手(ハンガリー) 1分50秒73(世界新記録)
2位 瀬戸大也選手 1分53秒86
3位 チャド・レ・クロス選手(南アフリカ) 1分54秒15

 我らが瀬戸大也選手がラストの競り合いを制して、今大会日本競泳陣2個目のメダル・銀メダルを獲得したレースでしたが、ミラーク選手が驚異的な世界新記録で優勝を飾りました。
 スタートから先頭に立ち、その差をどんどん広げて行った、圧倒的な強さでした。

 2位の瀬戸選手に3秒以上の差を付けた「異次元の泳ぎ」であったと感じます。

 ミラーク選手が破った世界記録は、2009年にあのマイケル・フェルプス選手が樹立した1分51秒51で、これを0.78秒も更新したのです。
 水着のレギュレーションが変更になり、過去10年間に渡って、多くのスイマーの挑戦を退けてきた「フェルプス選手の記録」をついに抜いたのです。
 「もの凄い」としか言いようのない泳ぎでしょう。

 まだ19歳のクリストフ・ミラーク選手ですから、この種目の中心選手としての活躍が当分の間続くことでしょう。
 もちろん、東京オリンピック2020も優勝候補の筆頭なのです。

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[7月27日・決勝]
1位 レーガン・スミス選手(アメリカ) 2分3秒69
2位 カイリー・マッケオン選手(オーストラリア) 2分6秒26
3位 カイリー・マス選手(カナダ) 2分6秒62

 準決勝で2分3秒35という世界新記録を樹立したスミス選手が、決勝でもスタートから「ぶっ飛ばして」圧勝しました。
 200m背泳ぎの世界一を決める大会で、2位に2秒以上の差を付けて勝つというのは尋常ではない強さでしょう。

 準決勝で驚きの記録を叩き出した「17歳のスイマー」が、どのような泳ぎを魅せてくれるのか注目されましたが、スミス選手は最後の50mまで力を貯めて「勝ちに行く」レースでは無く、再び世界新を狙って行ったように観えました。

 スタートから2番手との差をどんどん広げ、100m通過時点では自身の世界記録を0.9秒以上上回る記録でした。
 100mを過ぎても快ペースは不変で、ゴール前でばったりスピードが落ちてしまうのではないかと「素人の心配」をしてしまいました。

 その快ペースが落ちたのは130m付近でしょうか。
 さすがにピッチが上がらなくなりました。
 200m通過時のタイムは、自身の世界記録比0.8秒上回るものとなりました。
 「世界記録との差」が縮まりはじめたのです。

 ラストの50mはスミス選手にとって苦しいものとなりましたが、それでもペースが一気に落ちることは無く、2番手以下のスイマーの追い上げを最小限に抑えて優勝しました。
 あのハイペースで前半を泳ぎながらも、結局は圧勝したのですから、もの凄いトライであったと感じますし、現在の実力差を如実に示した結果でしょう。

 来年の東京オリンピック2020に出場して来るようなら、2分1秒台、ひょっとすると2分前後のタイムを叩き出す可能性もありそうです。

 しばらくの間、世界の女子200m背泳ぎは、レーガン・スミス選手を中心に争われることになります。

[7月22日・男子50mバタフライ決勝]
1位 ケレブ・ドレセル選手(アメリカ) 22秒35(大会新記録)
2位 オレグ・コスティン選手(ロシア) 22秒70
3位 ニコラス・サントス選手(ブラジル) 22秒79

[7月25日・男子100m自由形]
1位 ケレブ・ドレセル選手 46秒96
2位 カイル・チャルマース選手(オーストラリア) 47秒08
3位 フラジスラフ・グリネフ選手(ロシア) 47秒82

[7月27日・男子50m自由形]
1位 ケレブ・ドラセル選手 21秒04(大会新記録)
2位 クリスチャン・ゴロメーフ選手(ギリシャ) 21秒45
2位 ブルーノ・フラトゥス選手(ブラジル) 21秒45

[7月27日・男子100mバタフライ]
1位 ケレブ・ドレセル選手 49秒66
2位 アンドレイ・ミナコフ選手(ロシア) 50秒83
3位 チャド・レ・クロス選手(南アフリカ) 51秒16

 2017年のブダペスト世界選手権大会で、リレーを含めて「7冠」を達成したドレセル選手が、今大会でも「安定した強さ」を魅せています。

 こういうタイプの強さを、「安定した」と表現するのは、やや違うかなとも感じます。
 当然ながら、ひとつの金メダルを獲得するのも至難の技である世界選手権大会において、次から次へと優勝を重ねて行くのですから、「驚異的なパフォーマンス」と表現するのが良いのでしょうが、その圧倒的な強さを観ると、ドラセル選手にとっては「巡航速度」のドライブに観えてしまい、結果として「安定した」という言葉になってしまうのです。

 それ程に「他を圧する強さ」なのです。

 これだけ沢山の種目に出場すると、「1日に何本も泳がなくてはならない」のですから、「記録よりも勝負」に注力することになりがちですが、そうした状況下でも大会新記録を重ねているところに、「実力の厚さ」を感じるのです。

 1972年ミュンヘン・オリンピックのマーク・スピッツ選手や21世紀に入ってのマイケル・フェルプス選手のように、「競泳王国」アメリカ合衆国には「メダルを量産する男子スイマー」が次々と登場しますが、現在では、ケレブ・ドレセル選手が代表格なのでしょう。

 まだ22歳のドレセル選手が、東京オリンピック2020の主役のひとりであることは間違いありません。
 7月21日~28日に韓国・光州にて行われた、2019年世界水泳選手権大会・競泳において、日本代表が獲得したメダルは、以下の6個でした。

① 金メダル 
・瀬戸大也選手の200m個人メドレーと400m個人メドレー

② 銀メダル
・松本克央選手の200m自由形
・瀬戸大也選手の200mバタフライ

③ 銅メダル
・渡辺一平選手の200m平泳ぎ
・大橋悠依選手の400m個人メドレー

 前回2017年のブダペスト大会では金メダル0であった日本競泳陣ですが、今大会では瀬戸選手が2つの金メダルを獲得し、気を吐きました。

 競泳陣に勢いを付けたのは、7月23日の松本選手の銀メダルでしょう。200m自由形という、これまで日本競泳陣が苦手としてきた種目での、見事なスイムでした。
 スタートから競り合いを演じ、最後まで僅差の勝負を演じた内容も素晴らしいものであったと思います。
 ある意味では、「日本競泳界の歴史を塗り替えた快泳」と言っても良いのでしょう。

 主将であり、今大会での日本チームの大黒柱的存在であった瀬戸選手の活躍は、本当に素晴らしいものでした。
 200mと400mの個人メドレーは「勝ちに行って勝った」という価値有る優勝でした。
 特に、どちらのレースでも、自由形のラスト20mの粘り強さは「秀逸」の一語。
 ご本人も「調子が良かった」とコメントしていますが、「調子が良い」ことのみで世界一に成れる訳も無く、今大会に向けての様々な準備がとても上手く行き、大会に臨んでは高いモチベーションを維持できたからこその好成績でしょう。

 「世界水泳において個人種目で3個以上のメダル」を獲得したスイマーは、日本競泳史上初と報じられていますから、こちらも「日本競泳界の歴史を塗り替えた活躍」だったことは、間違いありません。

 渡辺一平選手と大橋悠依選手は、大会前からの期待に応えるメダルでした。

 男子200m平泳ぎは、大会が始まると「世界新記録レベル」での優勝争いが予想され、まさにそのレベルでの決着となりました。
 渡辺選手としては惜しくも3位という感じでしたが、決して「歯が立たない」というレース内容ではありませんでしたから、東京オリンピック2020に向けて、十分に戦えるという確信を持つことができたレースであったと思います。

 大橋選手は、最初の200m個人メドレーでは調子が悪そうでした。決勝では泳法違反で失格にもなりました。
 今大会はコンディションが悪いのか、と感じられましたが、400m種目に向けてしっかりと調子を戻し、メダル獲得に結びつけたのは見事でした。
 こちらも、カティンカ・ホッスー選手も含めて、全く「歯が立たない」という内容では無かったと思いますので、2020年に向けての、更なるレベルアップが大いに期待されます。

 オリンピック前年の世界大会においては、必ずしも好成績を残さなくてはならない、というものでは無いと考えています。「本番に向けて、良い準備」をすることが大切な時期であり、世界選手権も、その準備に含まれるのでしょう。
 当然のことながら、今大会から「1年間に渡って世界のトップクラスに居続ける」ことは容易なことではありませんから、一度調子を落として、2019年秋から調子を上げて行くという戦略も、十分に取り得るものであろうと思います。

 そういう視点からは、今大会、本来の力を発揮できなかったスイマーを始めとする日本代表チームは、しっかりと「効果的な戦い」を演じたのかもしれません。

[7月22日・女子200m個人メドレー]
1位 カティンカ・ホッスー選手(ハンガリー) 2分7秒53
2位 葉詩文(中国) 2分8秒50
3位 シドニー・ピックレム選手(カナダ) 2分8秒70

[7月27日・女子800m自由形]
1位 ケイティ・レデッキー選手(アメリカ) 8分13秒58
2位 シモナ・クアダレッダ選手(イタリア) 8分14秒99
3位 アリアン・ディットマス選手(オーストラリア) 8分15秒70

 現代の競泳女子を代表する2スイマー、カティンカ・ホッスー選手とケイティ・レデッキー選手が、世界選手権大会4連覇を達成しました。
 まさに「快挙」です。

 レデッキー選手は、現在の自由形400m、800m、1,500mの世界記録保持者ですし、ホッスー選手は200mと400mの個人メドレーの世界記録保持者ですから、まさに「世界の第一人者」なのです。

 両選手共、バルセロナ2013、カザン2015、ブダペスト2017、光州2019と4つの世界選手権大会で金メダルを獲得しています。

 特にレデッキー選手は、世界選手権大会で計15個の金メダルを獲得していて、女子スイマーとしては「史上最多記録」を保持しているのです。
 もちろん、オリンピックでもロンドンとリオデジャネイロで計5個の金メダルを獲得しています
 レデッキー選手に付いて特筆すべきは、200m自由形でもリオデジャネイロ・オリンピックとカザン世界選手権大会で金メダルを獲得している点でしょう。200~1,500mまでの自由形のオールラウンダーなのです。
 「史上最強の女子自由形スイマー」と呼んでも良いのでしょう。

 今大会では「体調不良」が報じられていて、なかなか活躍できませんでしたが、そうした中でもしっかりと「ひとつの金メダルを確保」するところは、さすがです。

 一方のホッスー選手は「史上最強の女子個人メドレースイマー」と呼んで良いのでしょう。
 もちろんこちらもオリンピックでも3つの金メダルを獲得していますし、そのリオ五輪では100m背泳ぎでも優勝していますから、こちらは種目を問わないオールラウンダーということになります。
 
 ケイティ・レデッキー選手は22歳(22歳でオリンピックと世界選手権で20個の金メダルというのも驚異的というか空前絶後に見えます)ですから、当分の間「世界の自由形種目の主役」を務めることは間違いないでしょうし、30歳のカティンカ・ホッスー選手も当分の間「世界の個人メドレー種目を支配」し続けることでしょう。

 お二人とも、東京オリンピック2020の主役なのです。

 日本水泳2019から、もうひとつ。

[4月8日・男子100mバタフライ決勝]
1位 水沼 尚輝 51秒43
2位 小堀 勇氣 51秒97
3位 安江 貴哉 52秒02

 男子バタフライチームに「新星」が登場しました。
 日本選手権という大舞台における、とても印象的な登場です。

 前半から先頭グループに付いて行き(50m地点で2位、24秒06)、残り25mからは「圧巻の泳ぎ」でした。この迫力は、間違いなく「世界レベル」です。
 派遣標準記録もきっちりとクリアして魅せたのですから。

 作新学院高校に入学した時、3年制には萩野公介選手が居たそうです。
 既に、日本のトップクラスで活躍していた萩野選手は、水沼選手にとっては「雲の上の存在」だったと報じられていますが、高校卒業後メキメキと力を付けて、ついに世界選手権の代表をゲットしました。
 今や、日本の男子バタフライ短距離陣のエースのひとりと言って良いでしょう。

 少し遅咲き?、22歳の水沼選手の世界選手権2019、そして東京オリンピック2020における、大活躍が期待されます。

[4月7日・男子200m平泳ぎ決勝]
1位 渡辺 一平 2分07秒02
2位 小日向 一輝 2分08秒57
3位 小関 也朱篤 2分08秒96

 素晴らしいレースでした。
 今大会NO.1の迫力を感じました。

 自らの持つ世界記録2分06秒67の更新を目指して、渡辺一平選手のトライは、現在の渡辺選手の力、世界トップクラスの実力を日本はもちろんとして、世界中に示しました。

 スタートからの入りは「いつになく速い」もので、先行型の実力者・小関選手を30メートル手前で捉え、後は「一人旅」となりました。
 50m・28秒86、100m・1分00秒76、150m・1分33秒43と、世界記録を上回るペースでクリアし、ラスト50m。
 世界新記録への期待が高まりました。

 しかし、残念ながら残り20mでスピードが落ちて、僅かに届きませんでした。

 レース後のインタビューで、渡辺選手は「バテました」とコメントしました。
 ラスト50mの話でしょうけれども、あのまま押し切れれば素晴らしい世界新記録であったことは間違いありませんから、渡辺選手は「世界記録近辺の安定した泳力」を証明したと言って良いでしょう。
 凄いことです。

 それにしても、「世界新記録を狙って泳ぐ」というレースは、有るようで無い、滅多に観られるものではありません。
 オリンピックの決勝でも、まずは「勝負」が優先される場合が殆どでしょう。

 渡辺選手は「自ら保持する世界記録」の更新を、レース前に宣言し、その宣言に相応しいレースを魅せてくれたのです。

 世界選手権大会での活躍が、本当に楽しみです。

 また、このレースでは、2位の小日向選手の健闘、冷静かつ大胆な泳ぎも見事でした。
 こちらも狙った通りに「派遣標準記録をクリアして2位」に入ったのです。
 高い実力が無ければ、到底できない泳ぎでしょう。

 日本男子平泳ぎチームの選手層が厚くなってきていると感じます。
[4月2日・女子400m自由形]
1位 難波 実夢 4分09秒39
2位 五十嵐 千尋 4分10秒89

[4月7日・女子800m自由形]
1位 難波 実夢 8分30秒62
2位 小堀 倭加 8分32秒57

 女子長距離界に素晴らしい選手が登場しました。
 高校2年制・16歳の難波選手です。

 もちろん、まだまだ記録的には世界と戦える水準では無いのですけれども、世界を相手にしては少し停滞していた感のある日本女子長距離陣にとって、待望の「新星」でしょう。

 ご承知のように、女子800m自由形は2004年・アテネオリンピックで、柴田亜衣選手が金メダルを獲得しています。
日本女子にとっては「伝統の種目」なのです。

 今年3月のジュニアオリンピックでの優勝(短水路800m自由形)から一気に日本選手権で2種目を制したのですから、まさに「伸び盛り」。

 テレビで観る限り、泳ぎは荒削りであり、改善して行くところは「山ほど」ありそうですから、今後の成長が本当に楽しみです。
 4月2日~8日にかけて、東京辰巳国際水泳場を舞台に開催された、第95回日本選手権水泳競技大会には、東京オリンピック2020の前年の大会ということもあって、例年以上に注目が集まりました。

 一方で、いわゆる「新星」の登場は少なく、過去10年間に渡って伸び続けてきた日本水泳界としては、「ひと休み」の大会になった印象も有ります。
 世界選手権への派遣標準記録の水準が例年以上に高かったとはいっても、それをクリアした選手が10名に留まったのは残念なことでしょう。

 そうした状況下、大本里佳選手の躍進が目立ちました。

[4月3日・女子200m個人メドレー]
1位 大橋 悠依 2分09秒27
2位 大本 里佳 2分09秒91

[4月6日・女子100m自由形]
1位 青木 智美 54秒45
2位 大本 里佳 54秒51

[4月8日・女子50m自由形]
1位 大木里佳 25秒02
2位 佐藤綾 25秒25

 大会二日目の女子200m個人メドレーにおける、大橋選手と大本選手の競り合いは素晴らしいものでした。
 既に、世界トップクラスの大会でメダルを狙う力を身に付けている大橋選手を相手に、大本選手は一歩も引かず、最後まで喰い付いたのです。
 両選手共に、世界選手権への派遣標準記録をクリアしました。

 また、大本選手は、自由形種目でも日本トップクラスであることを示しました。
 100mでは2位、50mでは優勝したのです。
 「自由形に強い」ことは、他種目を熟していくスイマーにとって、とても大切なことです。

 22歳の大本選手は、今「伸び盛り」なのでしょう。

 特に、個人メドレー種目では、大橋選手との「二枚看板」に成り得る素材です。

 大橋選手にとっても「佳きライバル」の出現であろうと思います。
 つまりは、日本女子競泳陣にとって、とても頼もしいスイマーが出現したことになります。

 今後の大本里佳選手の活躍が、大いに期待されます。
 今大会の200m平泳ぎで、渡辺香生子選手(21歳)は金メダルを獲得しました。
 アジア大会2014に続く2連覇です。

 渡辺選手は、2013年~15年には、我が国を代表するオールラウンダーとして、世界の舞台で大活躍しました。
 世界選手権大会2015では、200m平泳ぎで優勝するとともに、200m個人メドレーでも銀メダルを獲得しています。
 平泳ぎと個人メドレー種目における、当時18歳の渡辺選手の活躍は、「新時代の日本スイマー」を予感させるに十分なものだったのです。
 現在の池江璃花子選手の様な活躍であったと感じます。

 ところが、2015年の終盤頃から、渡辺選手はスランプに入り込んでしまいました。
 このスランプの底は深く、リオデジャネイロ・オリンピック2016では、本来の力を発揮することなく、200m平泳ぎ・準決勝13位で敗退してしまったのです。前年2015年世界選手権チャンピオンとしては、考えられないような不振でした。

 10歳台半ばから20歳にかけては、心身の成長と競技スキルのバランスが難しい時期とも言われますが、渡辺選手もこの波に呑まれてしまうのかと心配されました。

 早稲田大学に進学した渡辺選手は、しかし、着実に復活への道を歩んでいたのです。
 2017年のユニバーシアード大会で、100mと200mの平泳ぎおよび4×100mメドレーリレーで優勝し、今大会でも200m平泳ぎを制したのです。

 まだまだ、本来の泳ぎには程遠いのでしょうが、21歳の若きスイマーにとっては、東京オリンピック2020は大きな目標となります。

 渡辺香生子選手には、我が国「伝統」の女子200m平泳ぎはもちろんとして、個人メドレー種目にも再びチャレンジしてほしいものだと思います。

 世界選手権やオリンピックにおける、渡辺選手の復活・活躍が期待されます。
 アジア大会2018の男子平泳ぎで、小関也朱篤選手(26歳)は50m、100m、200mの全ての個人種目を制しました。
 素晴らしい活躍でした。

 身長188cmという、日本人アスリートとしてはとても恵まれた体躯を具備し、北島康介選手引退後の男子平泳ぎにおける第一人者としての活躍が期待されてきた小関選手でしたが、これまでの国際大会では、ここぞというレースでの残念な泳ぎも目立ち、本来の力をなかなか発揮できませんでした。
 その実力を知っている国内のファンからすれば、これはとても不思議なことにさえ見えたのです。

 「小関は国際大会に弱いのではないか」という声も聞かれたのですが、アジア大会2018は、こうした心配を吹き飛ばすものとなりました。

 唯一「おや?」と思われたのは100mの予選でしょうか。
 とても遅いタイムで泳ぎ、決勝はなんと「1コース」でした。
 そして、1コースで優勝したのです。
 こうした国際大会では、とても珍しい光景でした。

 最後の個人種目となった50mは接戦が予想されましたが、何か余裕の様なものさえ感じられ、見事に金メダルを獲得しました。
 
 「日本男子平泳ぎのエース」としての戦い方を身に付けた様に観えると言ったら、何を今さらと怒られてしまいそうですが、渡辺一平選手と共に、東京オリンピック2020に向けて、日本競泳陣に強力なコンビが登場したのは、間違いないと思います。

 アジア大会の競泳競技は8月19日から始まり、24日までの6日間に渡って行われました。
 そして、池江璃花子選手(18歳)は、毎日競技に参加し毎日メダルを獲得しました。

 その「毎日・毎日」が見事でした。

 池江選手が金メダルを獲得した種目は、50mと100mの自由形、50mと100mのバタフライ、4×100mフリーリレー、4×100mメドレーリレーの6つでした。
 個人の4種目はいずれも大会新記録、フリーリレーは日本新記録かつ大会新記録という、記録的にも素晴らしい内容でしょう。
 
 これらの金メダルに加えて、女子4×200mリレーと混合4×100mリレーの2種目で銀メダルも獲得し、池江選手は出場した8種目全てでメダルを獲得したのです。

 この「6日間・8種目・13レース」という過密日程を乗り切ったことは、池江選手の今後のキャリアにとって、本当に大きな財産となったことでしょう。
 8月9日から日本で行われたパンパシフィック大会2018からの連続した競技でしたから、蓄積された疲労は相当大きなものだったと想像されます。
 とはいえ、この疲労は予想されたことであり、どちらかといえば、池江選手と日本水連が「自ら求めたハードスケジュール」でしょう。敢えて、この形を取ったのです。

 今大会3日目には「これ程疲れたことは無い」といった、心配なコメントも出されていましたが、最終日の50m自由形の予選では「自然に良いタイムが出た」と、打って変わったコメントになっていました。
 変な言い方ですが「疲れることに慣れたスイマー」の様子が、そこには漂っていたように感じます。

 1972年ミュンヘン・オリンピックにおけるマーク・スピッツ選手(7種目で金メダル。全て世界新記録)に始まり、マイケル・フェルプス選手らに引き継がれた、国際大会において「ひとりのスイマーが数多くの種目に挑み優勝する」というチャレンジに、池江選手も挑戦し、今大会では見事に成功させて魅せたのです。

 東京オリンピック2020に向けた、池江璃花子選手の種々のトライアルは今後も続くことでしょうし、その展開がとても楽しみです。
 東京辰巳国際水泳場を舞台に、4月3日から8日にかけて実施された、第94回日本選手権水泳競技大会では、連日のように日本新記録が誕生しました。
 今や世界トップクラスに躍り出た「日本競泳」の力を示す大会となったのです。

 若い力の台頭も、各種目で観られましたが、特に印象的だったのは女子背泳ぎ種目における、酒井夏海選手でした。

 4月3日に行われた50m決勝では27秒82で優勝、5日の100mでは59秒83で小西杏奈選手に次いで2位、最終日8日の200mでは2分8秒28で優勝と、3種目制覇こそなりませんでしたけれども、女子背泳ぎの第一人者に躍り出た感があります。
 50mと200mは、日本高校新記録でもありました。

 まだ高校2年生、17歳の酒井選手ですが、その泳ぎは堂々たるもので、泳ぐ度に記録を更新している感があります。
 2016年にシニアデビューし、2017年の日本選手権やジャパンオープンでも活躍していましたから、もともと期待されていたわけですが、何しろ「背泳ぎ」は現在の日本競泳陣の弱点と言われていますから、日本で勝つことに加えて、世界レベルに駆け上がることが求められている訳で、その面から、今大会における酒井選手の活躍は、高く評価されるべきものでしょう。

 特に200mの泳ぎは見事でした。
 2コースを泳ぎ、終始先行して、ラスト50mもしっかりと泳ぎ切ったのです。

 まだまだ世界記録2分4秒06には4秒以上足りないタイムですが、その潜在能力の高さを示した泳ぎであったと感じます。

 身長174cmと恵まれた体躯を備え、物に動じない性格で本番に強いとも言われる酒井夏海選手の、今後の国際大会での活躍が大いに期待されます。
 7月23日から始まった水泳世界選手権大会・競泳ですが、24日の女子200m個人メドレーで大橋悠依選手(21歳)が素晴らしい泳ぎを魅せて2位に食い込みました。
 
 初出場の世界選手権で銀メダル獲得というのも、見事の一語ですが、その内容は本当にハイレベルなものでした。

 そもそもこの種目には、「絶対王者」と呼ばれる存在、ハンガリーのカティンカ・ホッスー選手(28歳)が君臨しています。ホッスー選手のメドレー種目での強さは、現在の女子競泳の全ての種目の中で、最もスバ抜けているとも言われます。(2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは200mと400mの個人メドレーと100m背泳ぎで金メダルを獲得しています)

 そのホッスー選手を相手にして、大橋選手は大健闘を魅せてくれたのです。

 特に驚かされたのは最終の自由形でした。
 メドレー種目の世界大会における日本選手のパターンとして、「絶対王者」に離されるかと観ていましたが、その差を詰めて行きます。
 ホッスー選手との差を0.91秒まで詰めたところがゴール板でした。

 そもそも、今年4月の日本選手権大会において2分9秒96で優勝した大橋選手ですが、今回は2分7秒91と、一気に「2秒以上タイムを改善しての日本新記録」で泳ぎ切ったのです。

 日本選手権時と比べて、バタフライで0.51秒、背泳ぎで0.68秒、平泳ぎで0.83秒の計2.02秒タイムを縮め、自由型でも0.03秒タイムを縮めて、全体として2.05秒の改善となっています。

 あのホッスー選手を追い込んだ自由形だけが、日本選手権の時とほぼ同じタイムで泳ぎ、他の3種目で大幅にタイムを縮めているところが凄いと感じます。
 大橋選手は、着々と「メドレー種目のスイマー」として成長し、各種目で力を付けてきているのでしょう。まさに「伸び盛り」という感じがします。

 これは、私の勝手な想像ですが、ホッスー選手も相当驚いているのではないでしょうか。

 単独種目としても、世界選手権やオリンピックで金メダルを取る力がある、バタフライと背泳ぎで圧倒的な差を付け、平泳ぎと自由形は悠々と泳ぐというのが、ホッスー選手のメドレー種目でのパターンです。今回もパターン通りでした。しかし、ゴールでは1秒以内の僅差に迫られていたのです。

 もちろん、まだまだ「絶対王者」カティンカ・ホッスー選手に勝てるとは思いませんけれども、競泳最終日7月30日の400m個人メドレーでの大橋悠依選手の泳ぎに大注目です。
 2017年の水泳世界選手権大会が7月14日に開幕し、最初の競技としてシンクロナイズドスイミングの各種目が行われています。

 ソロ、デュエット、チーム等のテクニカルとフリーといった計9種目の戦いです。

 やはり「シンクロ」の華は、その名の通りのデュエットとチームだと思います。

 今大会のデュエットとチームの種目を観ていると、全体のレベルの向上を感じます。
 どんな競技・種目においても「世界は常に高速で進歩している」のです。

 例えば、今大会のチーム種目では、「8人の選手の距離がとても近い」チームが多いという印象です。
 当然ながら、隣の選手との距離が近いというのは、スピーディで大きな動きの連続の中では難易度の高いプレーです。もちろん、リフト演技を除けば、他の選手と接触することは減点の対象となります。

 一方で、チームの一体感、シンクロ度の高さを強調するためには、8人の選手が小さくまとまり、大きな演技を魅せることが効果的なのでしょう。

 今大会の中国チームの「小ささ」は見事なものでした。「小さな塊」と化した8人の選手達が、力強く、良く揃った演技を披露していたのです。
 残念ながら、現在の日本チームより明らかに上という印象でした。

 「絶対王者」ロシアチームといえば、相変わらずの「驚くべきシンクロ度の高さ」と「演技スピードの高さ」、「プール全体を使う移動スピードの速さ」でスバ抜けた演技を展開していました。
 このチームは、小ささというより、「各選手の間隔の一定度合」が見事・・・。高速で移動しながら、間隔を一定に保つというのは、極めて高度です。
 とはいえ、ロシアチームとしてはところどころに僅かな緩みが観られましたから、おそらく、今大会のロシアチームは、次代を目指しての世代交代の最中に在り、ナショナルチームにとっての「最高の演技」にはまだまだのレベルだったのであろうと感じます。それでもこの演技なのですから、驚きです。
 ロシアチームの東京オリンピック2020への準備は、着々と進んでいるのでしょう。

 シンクロのデュエット、チームの種目における、現在の各チームの実力は、ロシアが95点台、中国が93点台、ウクライナと日本が91点前後で続いている形でしょう。

 現状では、ロシアチームの世界一と中国チームの世界2位は、不動というところでしょうか。

 そして世界3位は、ウクライナと日本が激しく争っている形ですが、今大会に限れば、僅かにウクライナの方が上回っている感じがします。
 ウクライナチームの伸びやかな演技が、日本チームのメリハリの効いた演技を、少し凌いでいるのでしょう。

 東京オリンピック2020に向けて、シンクロナイズドスイミングの各ナショナルチームの個々の選手の鍛練、演技構成の検討・構築は、まさに佳境なのです。
 長い日本選手権大会の歴史において、初めて「五冠」に輝く女子スイマーが登場しました。自由形の50m・100m・200m、バタフライの50m・100mを制した、池江璃花子選手です。
 これはもう「奇跡的な快挙」と言って良いでしょう。
 
 リオデジャネイロ・オリンピックでも伸び盛りの泳ぎを披露してくれた池江選手ですが、さすがに世界の強豪の前では、個人種目でメダルを争うまでの活躍は出来ませんでした。
 それから1年も経たないうちに、高校2年生という若さで、日本選手権「五冠」を達成するのですから、凄いスイマーが現れたものです。

 さすがに、池江選手にとっての最終種目100mバタフライを泳ぎ終えた後のインタビューでは、疲労感が漂っていましたが、これは仕方が無い。
 世界選手権やオリンピックでも、多くの種目に出場する選手は、大会期間中のコンディション調整が重要なのです。池江選手にとっては、これも大切な経験のひとつなのでしょう。

 そして今大会では、個人メドレー種目に「新エース」が登場しました。
 大橋悠依選手です。200mと400mの2種目を制しました。圧勝でした。

 特に、400mの優勝タイム・4分31秒42は、この種目の日本記録を大幅に塗り替えるとともに、リオ・オリンピックの銅メダルに相当するタイムでした。素晴らしい記録です。

 もともと有力選手のひとりであった大橋選手ですが、この半年間の伸び・成長は「驚異的」なものであったということになります。
 大橋選手は200m背泳ぎでも3位に食い込んでいます。
 このパターンは、男子の萩野選手や瀬戸選手の形ですので、大橋選手の今後の成長から目が離せないことになります。

 さらに、日本女子の伝統種目・平泳ぎでも青木玲緒樹選手が大活躍でした。
 100m・200mの両種目を制したのです。共に完勝でした。
 女子平泳ぎ、特に200m平泳ぎは、前畑選手、岩崎選手、金籐選手と続く「オリンピック金メダルの系譜」があります。
 東京オリンピック2020に向けて、楽しみなスイマーが登場したのです。

 池江、大橋、青木の3選手が、日本選手権水泳2017女子を象徴するスイマーであったと思います。

 いずれも「成長途上」にあると感じられます。
 男子と共に女子も、世界で戦う準備が出来つつあるのでしょう。
 4月13日から16日にかけて、日本ガイシアリーナで開催された第93回日本選手権水泳大会は、各種目で、日本のトップスイマーによる素晴らしいレースが繰り広げられました。

 男子について見れば、この大会を象徴するのは、萩野公介選手、瀬戸大也選手、江原騎士選手、そして小関也朱篤選手の4名でしょう。

 萩野選手は、肘手術後の復帰第一戦というコンディションが整わない中で、200mの自由形と個人メドレー、400m自由形、200m背泳ぎの4種目を制しました。
 どのレースも「考え抜かれたレース内容」であったと感じます。200m・400m自由形では、最後25mの爆発的なスピードが際立ちました。
 このコンディション下での、この成績と言うのは、萩野選手が男子日本競泳界のエースであることを改めて感じさせるものでしょう。

 瀬戸大也選手は、400m個人メドレーで萩野選手を破りました。0.13秒差と言う接戦を制したのです。
 少年時代からのライバルとされている2人ですが、近時はやや萩野選手に押され気味と見られていただけに、この勝利は大きなものでしょう。
 200mのバタフライと個人メドレーでも2位に食い込みました。このスイマーの勝負強さは、男子競泳陣を支える存在と言って良いでしょう。

 江原騎士選手の活躍は、見事の一語。
 今大会、最も印象的な男子選手でした。800m自由形を圧勝し、200m・400m自由形で2位と、「中距離の自由形種目」において安定した力を示したのです。200mと400mにおける萩野選手との競り合いは、今大会のハイライトのひとつです。
 「先行」という積極的なレース運びも、世界と戦う上で大切なものだと思います。これだけ強い自由形スイマーは、得難い存在です。

 小関也朱篤選手は、平泳ぎの3種目を制しました。
 もともと「北島浩介選手の後継者」と目されて久しいスイマーでしたが、今大会では新鋭の渡辺一平選手を2種目で破り、平泳ぎ三冠に輝きました。新鋭の登場に刺激を受けたのか、自己新記録をも更新している小関選手には、頼もしささえ感じます。
 特に、200m平泳ぎでは、150mまでリードする渡辺選手を150~175mで追い抜き、その後の反撃を封じての「自己新記録」優勝という離れ業でした。2分7秒18というタイムも、世界記録に0.51秒に迫る立派なもの。渡辺選手の2分7秒60というのも、オリンピックで優勝を狙える水準でした。決して、山本選手が不振だったわけではないのです。

 それにしても、今大会の男子のレースでは「大接戦」が目立ちました。

 世界記録保持者、オリンピック金メダリスト、という「大勲章」を保持している選手でさえ、「楽なレースはさせてもらえない」のです。
 かつての日本競泳陣であれば、世界トップクラスのスイマーであれば、多少苦戦はしても最後はしっかりと勝ち切るというのが、日本選手権大会であったと思いますが、今大会は「最後まで勝敗が分からないレース」が続きました。

 バタフライ100m・200m種目でも、小堀勇氣選手、坂井聖人選手、幌村尚選手に瀬戸大也選手を交えた大激戦が繰り広げられたのです。オリンピックでマイケル・フェルプス選手を追い詰めた坂井選手でも、ギリギリの戦いを強いられるのですから、世界最高水準の戦いがそこには有りました。

 凄いことだと思います。

各種目に複数の強豪選手が居て、秘術を尽くした競り合いが展開されるのです。
 全米選手権水泳も、こんな様相なのではないかと考えてしまいます。

 男子日本競泳陣は、本当に強くなったのです。
 1月29日の夕刻、嬉しいニュースが飛び込んできました。

 渡辺一平選手が、東京都選手権大会の200m平泳ぎで2分6秒67の世界新記録を樹立したのです。
 世界初の「6秒台」であり、これまでの記録2分7秒01を大幅に塗り替える、素晴らしい記録です。

 映像も入ってきましたが、特にラスト20メートルの泳ぎ、その加速は、観る者を圧倒する迫力でした。

 19歳・身長193㎝という、アメリカの「怪物」マイケル・フェルプス選手と同様のサイズという、我が国のスイマーとしては恵まれた体躯の渡辺選手に、大きな可能性があることが証明された世界記録樹立でしょう。

 それにしても、前の世界記録は2012年9月の国体で山口観弘選手によって樹立され、今回は東京都選手権大会と、男子200m平泳ぎ種目の世界記録は、オリンピックや世界選手権といった大会ではなく、「意外」な大会で出されているのは興味深いところです。

 男子200m平泳ぎという種目が、とても繊細な種目であり、僅かな「バランスの違い」「メカニカルな動作の違い」が記録に大きく反映されるものなのかもしれないと、感じるのです。
 リオデジャネイロ・オリンピックでは、競泳女子200m平泳ぎで金籐理絵選手が金メダルに輝きました。

 この金籐選手の金メダルが、競泳日本女子史上「5つめの金メダル」だったのです。

 では、その「5つの金メダル」を見てみましょう。

① 1936年ベルリン大会 200m平泳ぎ 前畑秀子選手
② 1972年ミュンヘン大会 100mバタフライ 青木まゆみ選手
③ 1992年バルセロナ大会 200m平泳ぎ 岩崎恭子選手
④ 2004年アテネ大会 800m自由形 柴田亜衣選手
⑤ 2016年リオデジャネイロ大会 200m平泳ぎ 金籐理絵選手

 100年になんなんとする歴史の中で、僅かに5つというのですから、その価値は計り知れないものです。

 この5つの内3つが200m平泳ぎ種目です。
 やはり「女子200m平泳ぎ」は、日本の得意種目なのです。
 「前畑ガンバレ」で有名な「日本女子競泳初」の金メダルから、岩崎選手、金籐選手とその系譜は脈々と受け継がれているのです。

 そして、青木まゆみ選手と柴田亜衣選手の大健闘は、永遠に語り継がれていくのでしょう。

 ここまでは「約20年に1つ」というペースですが、2020年の東京オリンピックでは、このペースをグンと上げて欲しいものです。
 シンクロナイズドスイミング競技は、予想通りデュエットもチームもロシアチームが圧勝しました。
 
 8人でプレーするチームのフリールーティンも圧巻でした。

 何より、その演技中の「移動」が素晴らしい。

 難しい演技をしながら、チーム全体が高速で移動するのです。
 他の選手との距離も不変。様々なフォーメーションが、何もなかったかのように展開されていきます。
 30mのプールの端から端まで、完璧なシンクロ演技を魅せつつ動くロシアチームのパフォーマンスには圧倒されました。

 99点越えという、ほぼ満点の演技でした。
 「こんなことが出来るのか」というレベルであったと感じます。
 
 この「高速移動の中での完璧なシンクロ」が有る限り、ロシアチームの王座は盤石でしょう。
 リオデジャネイロ・オリンピックが終了しました。

 我らが日本競泳チームも萩野選手、金籐選手の金メダル獲得など、素晴らしい活躍を魅せてくれましたが、今大会、圧倒的な強さを示したのがアメリカチームでした。

 男子のマイケル・フェルプス選手(金メダル4つ)や女子のケイティ・レデツキー選手(金メダル3つ)を始めとして、見事な活躍が続きました。

 「アメリカ合衆国がオリンピックの水泳で強いのは当たり前」といったご意見も有ろうかとは思いますが、今大会の強さは、「強いアメリカ」の中でも別格でした。

 競泳全32種目の内、16種目で金メダルを獲得したのです。

 詳しくは調べていませんが、全種目の半分の種目で金メダルというのは、いかに「オリンピック競泳で強いアメリカ」といっても、凄まじい記録です。

 ちなみに、銀メダル・銅メダルを含めた数では、33個と断然のトップ、2位のオーストラリアが10個、3位の日本の7個を大きく上回っています。(競泳のメダル数で日本が3位というのも素晴らしいことですが)

 常に、他の国々の標的となり、「打倒アメリカ」を目標に世界中のチーム、スイマーが日々切磋琢磨している中で、「その差をどんどん拡大している」というのは、競泳アメリカチームの実力の高さを如実に示しています。

 アメリカチームは、大会最終日の恒例種目となっている男女の400mメドレーリレーのメンバー選出を、当該オリンピックの個人種目成績で行うと伝えられています。
 成績下位のスイマーが予選を泳ぎ、成績上位のスイマーが決勝を泳ぐのです。

 アメリカチームの、世界一の「選手層の厚さ」を示す事実なのでしょう。
 昨2015年の世界選手権で、200m・400m・800m・1500mの「自由形四冠」を成し遂げた、アメリカのスーパーガール、ケイティ・レデツキー選手が、リオデジャネイロ・オリンピックでも200m・400m・800mでの金メダルという「自由形三冠」を達成しました。

 400mと800mでは「世界新記録」をも叩き出していますから、「底知れぬ強さ」ともいえるのでしょう。

 水泳王国というかスポーツ大国アメリカからは、いつの時代もスーパースターが連続して登場するのですが、おそらく今大会が最後のオリンピックとなるであろう、「水泳の王様」マイケル・フェルプス選手の後を継ぐ、スーパースイマーだと思います。

 15歳(アメリカ競泳チーム史上最年少)で出場したロンドン・オリンピックの800m自由形で金メダルを獲得した時にも、とても驚かされましたが、その後の4年間での成長も見事なものでした。(身長も5cm伸びて183cmになりました)

 それにしても、400m決勝レースでは2位のジャズ・カーリン選手(イギリス)に「5秒近い」差を付け、800mの決勝レースでも2位のカーリン選手に「11秒以上」の差を付けて、共に世界新記録の「独泳」でした。

 レデツキー選手の頭抜けた強さを観ると共に、これまで泳ぎ尽くされてきた筈の「水泳競技・自由形」の奥深い可能性をも感じさせてくれるレースでもありました。
 決勝のレースでは、金籐選手は他の選手を気にすることなく、自らのレースに徹していたと感じました。

 前半からトップ集団に食い付き、後半は自らの実力を如何なく発揮したのです。
 圧勝であり、堂々たる泳ぎであったと思います。

 北京オリンピックに出場しながら、ロンドンでは代表に成れず、引退も考えたと伝えられていますが、その実力は紛れも無く「世界一」なのです。

 27歳になって、世界選手権も含めて、世界大会で初めてのメダルが「オリンピックの金メダル」というのですから、とても珍しいケースではないでしょうか。
 こういうスイマーも居るのです。

 金籐選手の「喜びの表現」は控えめでした。
 こういう大会での好成績に慣れていないという見方もあるかもしれませんが、おそらく金籐選手の性格なのでしょう。
 とても日本人らしいとも感じます。
 
 最後の大舞台で、その世界一の実力を如何なく発揮した金籐理絵選手に、大きな拍手を送らせていただきます。
 素晴らしいシーンでした。

 粘りの泳ぎを魅せる松田丈志選手を、泳ぎ切った3人の選手がスタート地点で必死に応援します。
 そして歓喜のゴール。
 1964年の第一回東京オリンピック以来の銅メダルの瞬間でした。

 日本の自由形が世界の舞台で復活した瞬間でした。

 萩野公介選手が約1秒、江原騎士選手も約1秒、小堀勇気選手が約2秒、予選の時よりタイムを縮めたと報じられました。
 予選5位から、決勝では3位へと駆け上がったのです。

 この「本番での強さ」こそが、現在の「日本水泳の強さ」なのでしょう。

 22歳の萩野選手、23歳の江原選手、22歳の小堀選手を、32歳の松田選手が引っ張ってきたのでしょう。

 レース後のインタビュー、松田選手の「日本の自由形」という言葉が輝いていました。
 追い上げた坂井選手がマイケル・フェルプス選手を捉えたかに見えたところがゴールでした。

 100分の4秒差で2位でした。
本当に惜しいレースでした。
 ゴールがあと1m先なら、勝っていたかもしれません。

 このレースには瀬戸大也選手と坂井聖人選手の2人のスイマーが登場しました。
 戦前の予想では瀬戸選手に期待が集まっていました。
 一方で、坂井選手も昨年の世界選手権4位を踏まえて、「虎視眈々」とメダルを狙っていたのでしょう。

 静かに入って、ラスト50mで力を発揮するという作戦も当たりました。
 レース後のインタビューで、「ラスト50mは体が動かなかった」とコメントしていましたから、坂井選手も疲れていたのでしょうが、他の選手はもっと疲れていたのです。
 オリンピックのレースの難しさを感じさせました。

 まだ21歳の坂井選手。

 「フェルプスの後の200mバタフライ」は、坂井選手の時代になって欲しいものです。
 8月6日に行われた、競泳男子400m個人メドレーで、萩野公介選手が優勝しました。
 4分6秒05の日本新記録。今大会日本選手団最初の金メダルでした。

 このレースでは、萩野選手の「冷静さ」「精神力の強さ」が際立っていたと思います。

 今シーズン一気に記録を伸ばした、アメリカのチェース・カリシュ選手と日本の萩野・瀬戸両選手の争いと見られていましたが、レースは予想通りの展開となりました。

 バタフライで瀬戸選手がリードし、背泳ぎで萩野選手がトップに立ち、平泳ぎでカリシュ選手が追い上げて2番手に上がり、クロールでも追い上げを見せましたが、萩野選手はカリシュ選手の位置を良く把握しながら、慌てることなく「絶妙のペース配分」で対応しました。
 そしてラスト25mは「全力の泳ぎ」で対抗したのです。

 オリンピックイヤーのアメリカの新星というのは、いつの時代も「とても強い」ものです。カリシュ選手も、泳ぐ度に自己記録を更新し続けているという点では、「オリンピックイヤーのアメリカ選手」そのものであり、これまでの歴史において、「オリンピックイヤーのアメリカ選手」が負けるというのは、「有り得ないこと」だったのですが、萩野選手はこの「定理」をも押さえ込みました。

 この萩野選手の強さは「驚異的」と言う他は無く、コンディションが良いことも間違いないのでしょうが、心身の能力の高さを如何なく発揮したとも言えるのでしょう。

 金メダル・萩野公介、銅メダル・瀬戸大也、と2人の日本人スイマーがオリンピックで同じ表彰台に上るというのは60年ぶりの快挙です。

 そして、大会初日の金メダルというのは、日本選手団にとって「最高のエンジン」となったことでしょう。
 第92回大会が終わりました。

 「日本一」の称号とリオデジャネイロ・オリンピック出場権を目指すスイマー達の力と意地がぶつかり合った、素晴らしい大会であったと思います。

 本稿では、今大会で日本水泳陣が出場権を獲得できなかった種目を見て行こうと思います。
 種目別に挙げてみます。

[自由形]
・男子50m
・女子50m
・男子100m
・女子100m
・女子200m
・男子400m
・女子400m
・女子800m
・男子1500m

[平泳ぎ]
・男子100m

[背泳ぎ]
・女子100m
・女子200m

[バタフライ]
・男子100m

[リレー] 全種目で代表が選ばれました。

 様々な種目に、様々なスイマーが登場し、選手層が厚くなっていると感じられる日本競泳陣ですが、それでもまだ13種目に代表を送り込めていないのは、残念なところです。(もちろん、実際のリオ五輪では、他種目で選ばれたスイマーが「調整」の意味からも、これらの種目に出場してくると思われますが)

 特に自由形種目で多くの「穴」が空いています。

 もともと、50mや1500mは日本チームの弱点でしたが、今回も克服は出来なかったというところでしょうか。
 とはいえ、世界トップクラスとの差は着実に詰まっているという印象です。

 男子100m平泳ぎで派遣標準記録を突破できなかったというのは、「痛恨の極み」でしょう。北島康介選手にも十分にチャンスが有ったのです。
 この種目は、北島選手の複数のオリンピックにおけるメダル獲得も有り、「水泳日本」の得意種目となっていますから、もし本番で泳ぐ機会があるのであれば、小関選手・渡辺選手の活躍に期待したいところです。

 女子の背泳ぎ2種目も、今回は残念でした。
 21世紀に入ってから、世界のトップクラスに迫っていた種目でしたが、この種目に付いては「世代交代」が少し遅れているということでしょう。
 とはいえ、14歳の酒井夏海選手など、若手の成長が観られます。
 もし本番で泳ぐようであれば、酒井選手には思い切り挑戦していただきたいものです。

 男子100mバタフライも意外な結果でした。
 萩野浩介選手が出場していれば、十分に標準記録は突破できたとは思いますが、松田丈志選手らのスイマーが積み上げてきた伝統は、継続して行かなければならないでしょう。
 本番では、出場するスイマーが居ると思います。存分に泳いでいただきたいと思います。

 一発勝負で、タイムと順位を追わなければならないという、極めて難しいルール下での大会は、何時の時代も緊張感に溢れています。「悲喜こもごものシーン」が続くのです。
 今大会もそうでした。
 選手の皆様には「お疲れ様でした」と申し上げたいと思います。

 また、出場を決めた34名のスイマーの皆さんの本番での健闘を祈ります。

 こうした「厳しいルール」の下で、日本水泳の実力が維持され向上していることは、間違いないのでしょう。
 リオデジャネイロ・オリンピックの派遣選考会を兼ねた第92回水泳日本選手権大会も最終日を迎えました。

 5種目の決勝が行われましたが、全体として記録が伸びませんでした。
 前日までの「五輪出場権を賭けた一発勝負」の疲れが、選手のみならず、スタンドの観客にも表れていたように感じます。

① 男子1500m自由形

 7コースの山本耕平選手の挑戦が注目されましたが、派遣標準記録に2秒余り及ばず、惜しくも出場権獲得はなりませんでした。

 「競泳のマラソン」におけるラスト100mの頑張りには、頭が下がる思いでした。

② 男子50m自由形

 4コースの塩浦慎理選手と5コースの中村克選手の競り合いは、中村選手が制しました。
 しかし、両選手とも標準記録突破はなりませんでした。

 ラスト10mで伸びを欠いた印象です。
 この種目の男子陣の強化が急がれるところでしょう。

③ 女子50m自由形

 5コースの池江璃花子選手が積極的なレースを展開し、4コースの内田美希選手の追い上げをかわして優勝しました。この種目としては「大差」の結末でした。
 しかし、両選手とも標準記録突破はなりませんでした。

 あと一歩で、世界大会の決勝進出のレベルに達する種目です。
 今後の強化が待たれます。

④ 男子100mバタフライ

 5コースの川本武史選手が先行し、4コースの藤井拓郎選手が追いかける展開となりました。藤井選手は「思い通りの展開」で優勝した形でしたが、惜しくも個人種目のリオ出場権獲得はなりませんでした。

 とはいえ、メドレーリレーの標準タイムはクリアしました。北京大会銅メダル、ロンドン大会銀メダルと成績を伸ばしている種目ですので、日本男子チームの活躍が期待されます。

 30歳になったとはいえ、藤井選手にはまだまだ記録が伸びる余地が有ると言われています。ターン後のドルフィンキックの改良や前半の入り方等、リオまでにどこまで修正して来るのか、楽しみなところです。

⑤ 女子200m背泳ぎ

 今大会の最終レースとなった女子200m背泳ぎは、4コースの酒井夏海選手が先行し、5コースの川除結花選手と3コースの後藤真由子選手が追い上げる展開。

 150mで川除選手が一度逆転しましたが、ラスト50mで酒井選手が再度逆転して優勝しました。
 しかし、標準記録突破はなりませんでした。

 インタビューに臨んだ14歳は、日本選手権優勝にもかかわらず泣きながら答えていました。

 「この悔しさ」は、酒井選手の大きな財産となることでしょう。

 7日間に渡って開催された大会は、多くのドラマを魅せてくれました。
 そして、リオデジャネイロ・オリンピックに臨む日本チームの姿が固まりました。

 「ベテランと若手のバランスの良いチーム」ではないでしょうか。

 日本水泳界の「世代交代」は順調に進んでいるのです。
 6日目は、女子800m自由形、男子200m背泳ぎ、女子200m平泳ぎ、男子200m個人メドレー、の4種目で決勝が行われました。

 そして、日本新記録が2つ生まれました。

① 女子800m自由形

 4コースの高橋美帆選手が先行し、5コースの菊池優奈選手が追いかけましたが、逆に菊池選手が失速し、後半スピードを上げた3コースの池田麻未選手が最後の50mで猛烈な追い上げを見せて、高橋選手に50cmまで迫ったところがゴールでした。
 3位には2コースの和田麻里選手が入りました。

 現在のこの種目の選手達の地力から見て、大変高いレベルに設定されている派遣標準記録でしたので、オリンピック出場権を獲得したスイマーは居ませんでした。

 アテネ五輪で柴田亜衣選手が金メダルを獲得した種目でもありますから、日本人スイマーにとって不得意な種目とは考えられませんので、今後の強化が期待されます。

② 男子200m背泳ぎ

 「第一人者」の入江陵介選手が強さを見せたレースでした。

 4コースの砂間敬太選手が先行し、5コースの入江選手が追いかける展開でしたが、驚いたのは2コースの金子雅紀選手の「150mターンからのバサロ」でした。
 一気に上位グループとの差を詰め、175m地点では先頭の入江選手を捕えたように観えました。その後、入江選手が振り切った形でした。

 金子選手にとっては作戦通りの展開だったのでしょうが、このレベルの戦いにおいても「秘密兵器」が威力を発揮することに驚かされました。

 入江選手と金子選手がリオ五輪出場権を獲得、砂間選手は派遣標準記録を突破しながらも3位となって、出場権には届きませんでした。

 この大会では、少しコンディションが良く無さそうな入江選手ですが、トップの座は譲らないところに強さを感じさせます。この種目で「日本選手権10連覇」という、全ての種目を通じての「空前の記録」を樹立しました。

③ 女子200m平泳ぎ

 金藤選手の「積極的なレース展開」が印象的でした。
 公言通りスタートから飛ばす2コースの鈴木聡美選手を早々に捕まえて「独泳体制」を築き、後半も緩み無く泳ぎ切りました。素晴らしいレースであったと思います。

 脂の乗り切ったプレーとも言えるでしょう。

 2分19秒65というのは、世界歴代5位、日本人スイマーによる初の19秒台という見事なタイムでした。

 既に出場権を獲得していた渡部香生子選手も、コンディションが良くない様に観える中では、しっかりと2位を確保。3位には、伸び盛りの今井月選手が食い込んだレースでした。

④ 男子200m個人メドレー

 4コースの萩野公介選手と5コースの瀬戸大也選手の競り合いと予想されたレースでしたが、萩野選手の圧勝でした。
 
 この大会でやや精彩を欠く印象が有った萩野選手ですが、この種目で「溜飲を下げた」感が有ります。
 特に、最初の種目のバタフライの泳ぎは圧巻でした。バタフライで代表を決めている瀬戸選手を千切ったのです。
 「バタフライでリオに行った方が良いのではないか」という意見も出そうな泳ぎでした。

 一方で瀬戸選手は3コースの藤森太将選手にも追い越されて3位となりました。
 藤森選手にとっては、嬉しいオリンピック出場権獲得となりました。

 藤森兄弟が2位・4位を占め、5位の溝畑選手まで2分を切るという、層の厚さを見せつけるレースでもありました。

 6日目は、男子200m背泳ぎを除けば「独泳」のレースでしたが、2位争いは激戦が続きました。

 「一発勝負」の代表選考会の難しさを改めて感じさせた6日目でした。
 5日目は、男子100m自由形、女子100m自由形、男子200mバタフライ、男子200m平泳ぎ、の4種目の決勝が行われました。

 いずれも激戦でしたが、結果を観ると「現時点の第一人者」が実力を発揮したと感じます。そして、伸び盛りの若手が食い下がることで、好レースとなった形でしょうか。

① 男子100m自由形

 中村克選手と塩浦慎理選手の競り合いは、ゴール寸前まで続きました。
 掌ひとつの差で中村選手が勝ちました。日本新記録でした。

 中村選手も僅かなところで個人種目では派遣標準記録をクリアできませんでしたが、この接戦に引っ張られた形で上位4名のタイムが伸びて、400mリレーの代表権を獲得したのです。

 中村選手・塩浦選手・小長谷研二選手・古賀淳也選手4人のスイマーの笑顔が印象的でしたが、特に古賀選手は、専門種目で惜しいところで代表を逃していましたから、喜びもひとしおというところでしょうか。

 実力者がそろった、相当強いチームだと思います。リオでの活躍が楽しみです。

② 女子100m自由形

 素晴らしいダッシュで50mを26秒09でクリアした内田美希選手が先行し、池江璃花子が追いかける展開となりましたが、後半もしっかりと泳ぎ切った内田選手が優勝しました。
 男子同様、日本新記録でした。

 そして、400mリレーの出場権を獲得したのです。
 4人のタイムの合計に時間がかかったのでしょうか、しばらくの間4人のスイマーは不安な様子でプール内に居ましたが、「決定」が伝えられると喜びが弾けました。

 素晴らしい瞬間でした。

 内田選手・池江選手・松本弥生選手・山口美咲選手は、いずれも55秒を切りました。やはり高いレベルのレースだったのです。

 池江選手は、200m自由形と同様に、少し体が重そうな泳ぎでした。いかに若いとはいえ、さすがに疲れが蓄積されているのかもしれません。
 とても大切な「経験」が積み重ねられているのでしょう。

③ 男子200mバタフライ

 瀬戸大也選手と坂井聖人選手の競り合いは、100m自由形の中村・塩浦両選手の競り合いと同様に、ゴール寸前まで続きました。

 ゴール寸前、瀬戸選手が僅かに抜け出して優勝しました。
 こちらは「掌半分」の差であったと思います。

 そして両選手ともオリンピック出場権を獲得しました。
 1分54秒台前半で泳ぎ切った2人のスイマーのリオでの活躍が期待されます。

④ 男子200m平泳ぎ

 5コースの小関也朱篤選手がスタートから飛び出し、そのスピードをゴールまで継続しました。小関選手「会心」のレースだったのではないでしょうか。

 150mにかけて3コースの北島康介選手が食い下がりましたが、その差がなかなか詰まりません。
 そして、残り30mから4コースの渡辺一平選手の追い上げが始まり、ゴール前15m辺りで北島選手を抜き去り2位でゴールしました。

 小関・渡辺両選手とも派遣標準記録をクリアし、代表権を手にしました。
 とてもハイレベルなレースだったのです。

 北島選手は、隣のコースの渡辺選手に抜かれた瞬間、「諦めた」感じもありました。
 「先行する」小関選手と「追い上げる」渡辺選手の間に位置して、精一杯のレースを展開したのではないでしょうか。

 「日本水泳界のレジェンド」、北島康介選手のオリンピック挑戦が終りました。
 33歳になってからの、この素晴らしいトライは、レジェンドの名に相応しい、比類なきものであり、「記憶に残る」ものであったと思います。

 5日目は、内田選手に挑む池江選手、瀬戸選手に挑む坂井選手、小関選手に挑む渡辺選手と、「第一人者VS若手実力者」という構図のレースが続きましたが、全て「第一人者に軍配が上り」ました。

 第一人者がその実力に慢心することなく、この大会に向けて鍛え上げてきたことが如実にわかるシーンの連続でした。

 第一人者がグイグイと引っ張る種目は、全体のレベルがどんどん上がって行くものなのでしょう。
 多くのスイマーがリオ五輪出場を決めた5日目でした。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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ようこそ!
我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

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