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 一般のPGAトーナメントも同様ですが、特にメジャートーナメントにおいては、「3日目終了時点で首位、および首位から2打差以内」のプレーヤーでないと、優勝できない傾向が強い(大逆転優勝は滅多に起こらない)ので、最終ラウンドのスタート前の段階で、3日目まで5アンダーで首位のマシュー・ウルフ選手と、2打差2番手のデシャンボー選手の優勝争いと観ていました。

[全米オープン2020最終結果・ウイングドフットG.C.西コース(ニューヨーク州))]
1位 ブライソン・デシャンボー選手 274打・6アンダーパー
2位 マシュー・ウルフ選手 イーブンパー
3位 ルイ・ウーストハイゼン選手(南アフリカ) 2オーバー
4位 ハリス・イングリッシュ選手 3オーバー
5位 ザンダー・シャウフェレ選手 4オーバー

 最終日の前半では、デシャンボー選手がバーディを先行させたのに対して、ウルフ選手はボギーを先行させましたから、9ホールを終えて、両選手の順位が逆転しました。

 圧巻は9番ホール・パー5、550ヤードを超えるホールですが、共に2オンを果たしイーグルパットに入りました。
 まずデシャンボー選手、15mは有ろうかというロングパットでしたが、デシャンボー選手はこれをキッチリと入れました。ミラクルパッティング!
 続くマシュー選手は5m位のイーグルトライ。
 何しろ、1mでも難しいウイングドフットのグリーンですから、5mともなれば極めて難しいパッティングです。増してや、相手にミラクルなパットが決まっている状況ですから、通常?ならば入らない感じなのですが、ウルフ選手もこれをしっかりと決めました。

 「イーグルVSイーグル」、ウイングドフットの全米オープンで、このようなホールが観られるというのは、凄いことだと思います。

 両者の気迫、このトーナメントに対する強い気持ちがプレーにも現れていました。

 前半9ホールを終えて、追いかけているプレーヤー達が次々とオーバーパーになってしまい、アンダーパーのプレーヤーはデシャンボー選手△5とウルフ選手△4の2人だけとなりましたから、サンデーバックナインは2選手による「マッチプレー」となりました。

 そして、そのマッチプレーにおいて、デシャンボー選手が押し気味にトーナメントを進めることとなったのです。

① 気迫・心持ち

 これだけ難易度の高いコースと戦う時、少しでも気後れしては、あっという間にスコアを崩してしまいます。それはもうあっという間です。
 最終ラウンドにおいては、3日目まで「落ち着き払っていた」ウルフ選手の「心の乱れ」が時折観られました。
 ショット後に視線を動かす機会が、明らかに増えたのです。

 「恐ろしいウイングドフット」を相手にしてのラウンドですから、ミスショットや不運とも感じられる結果が現れることは珍しくはありませんので、いちいち反応していては、心が疲れてしまいますし、尾を引くことにもなりかねません。

 この日のマシュー選手は、ショット後すぐにキャディを観て、「上手く行かなかった」という表情を見せていました。

 一方のデシャンボー選手は、大きな声でプレー解説をしたりして、いつものようにプレーしているように見えたのです。

 「心身の疲れ」が大影響を齎す全米オープンですので、この日のこの点では、デシャンボー選手の方が上であったのでしょう。

② ラフに入った時のライ

 ラフの厳しさ(ショットを曲げたプレーヤーに対して厳格に罰を与える考え方)で知られる全米オープン開催コースの中でも、オークモントC.C.と並んで最も厳しいラフとして知られているウイングドフットG.C.ですから、ショットを曲げてラフに打ち込んだ時には、プレーヤー達は皆天を仰ぎます。
 次には「ライがどうなっているのか」が気になることでしょう。

 ボールが見えない程の深いラフの中にも、ラフが濃いところと薄いところ、ラフの流れが打って行く方向に順じているのか、逆なのか、横なのか、によって、次のショットの難易度は全く違うからです。
 このレベル=世界最高峰の選手達ですから、「キチンと振れるライ」ならば、相当困難な状況でも熟すのです。

 3日目のプレー後のインタビューで、マシュー選手は「ラフでも打てる状況が多かった」とコメントしていました。
 全米オープンにおける最高の僥倖が続いたことになります。
 簡単に言えば「ツイていた」のでしょう。

 しかし最終日は、今度はデシャンボー選手がラフからしっかり打っていたことが多かったように観えました。

 もちろん、新型コロナウイルス禍の中で体を鍛え捲り、別人とも言われる程にマッチョな肉体を創り上げて来たデシャンボー選手ですから、そのパワーは計り知れませんので、普通のPGAツアートップクラスのプレーヤー(矛盾した表現ですが)であればとても打ち抜けない、ウイングドフットのラフであっても、デシャンボー選手だけは打って行けるケースもあったのでしょうが、それにしても、ラフからあれだけのショットを何度も打てるというのは、「恵まれたライ」が多かったのではないかと考えています。

 ライの良し悪しはまさに「運・不運」の領域でしょうし、ゴルフの神様の存在を感じさせるところですから、全米オープン2020の最終日は「デシャンボー選手の日」だったのです。

 バック9の最初のホール・10番パー3において、ウルフ選手はボギーを叩きました。
 これで、デシャンボー選手が5アンダー、ウルフ選手が3アンダーとなって、2打差が付いたのです。
 ウルフ選手の様子から「気持ちが切れかかっている」と感じました。

 そして11番・パー4。
 デシャンボー選手は、このホールをバーディとしました。素晴らしいプレーです。
 デシャンボー選手6アンダー、ウルフ選手3アンダーと3打差となって、私はこのホールで、全米オープン2020は決着したと観ています。

 13番・224ヤードのパー3。
 デシャンボー選手はこのホールを8番アイアンで打ちました。224ヤードを8番アイアンというのは・・・。全く想像もできない世界です。
 このホールでデシャンボー選手は3m強のパーセービングパットを残しましたが、これをきっちりと入れました。
 一打一打に落ち着きと自信が感じられるプレーでしょう。

 14番・パー4。
 ウルフ選手がボギーとしました。既に気持ちが切れているウルフ選手は、3日目と比較すれば「僅かに雑」なプレーが目立ちました。
 気持ちが切れている、少し違いますが別の言い方をすれば、「集中力が不足している」状態では、ウイングドフットには抗しえないのです。
 2アンダーに後退したウルフ選手、アンダーパーの世界に残れるのだろうかという心配が頭をもたげました。

 16番・パー4。
 ウルフ選手がダブルボギーを打って、ついにスコアがEイーブンパーとなってしまいました。
 気落ちしたプレーヤーに対して、ウイングドフットは容赦しないのです。

 トーナメントはこのまま幕を閉じました。
 デシャンボー選手6アンダーパー、ウルフ選手イーブンパーという結末でした。
 
 5アンダーでラウンドを開始したウルフ選手が、5打落としてのE、3アンダーでスタートしたデシャンボー選手が3打伸ばして6アンダー。
 デシャンボー選手は、全米オープン2020最終日の「唯一のアンダーパープレーヤー*」でした。おそらくは、これまでのゴルファー人生において「最高のラウンド」を示現したのでしょう。
 このタイミングで生涯最高を実現できるところに、デシャンボー選手の強さが現れていることは、言うまでもありません。
(*パープレーヤーは、ザック・ジョンソン選手を始めとして3名居ましたが、このレベルのプレーヤーが61名もトライして、57名がオーバーパーというのですから、全米オープン最終日のウイングドフットG.C.西コースの凄まじさがよく分かります)

 「ゴルフを科学する」と公言し、全てのアイアンクラブのシャフトの長さを7番アイアン(37.5インチ)に揃えるという、「常識を超えるゴルフ」で名を馳せて来たブライソン・デシャンボー選手(27歳)が、初めてメジャートーナメントを制しました。

 185cm・106㎏というマッチョな肉体をも擁するプレーヤーの、今後の活躍が本当に楽しみです。
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 全米オープン2020=第120回大会は、9月17日~20日、ニューヨーク郊外のウイングドフットG.C.西コースを舞台に開催されます。

 新型コロナウイルス禍のために3ヵ月遅れの大会となりましたが、舞台は「ザ・USオープンコース」と呼んで良い、歴史と伝統を誇る、重厚な名門コースです。

 私の感覚=全米オープンのコースは「極めて難しい」、では、オークモント・カントリークラブとウイングドフット・ゴルフクラブが、最も全米オープンらしいコースなのです。
 ラフが深く、ラフに入れてしまえば「1打罰」と考えて良いほどのコース、そもそもテレビから流れる「絵」そのものが、重々しい感じ、挑戦するゴルファーに毅然と立ち向かうような雰囲気さえ与えるのです。

 ウイングドフットG.C.西コースにおいては、過去5度の全米オープンが開催されました。

① 1929年大会 優勝者はあのボビージョーンズです。「球聖」と呼ばれる伝説のプレーヤーが、ウイングドフットの全米オープンデビュー戦を制しています。

② 1959年大会 優勝者はビリー・キャスパー選手です。優勝スコアは2オーバーパー。キャスパー選手は、1966年のオリンピッククラブにおける全米オープンや1970年のマスターズ大会にも優勝した、名プレーヤーでした。

③ 1974年大会 優勝者はヘール・アーウィン選手です。優勝スコアは7オーバーパー。ヘール・アーウィン選手といえば「難コースに強い」ことで知られていました。この後、1979年と1990年の全米オープンも制覇していますが、メジャートーナメント制覇が、「全米オープンのみ・3度」というのが、アーウィン選手のゴルフを良く示す事実です。
 ちなみに、私の記憶に残るウイングドフットの全米オープンは、この1974年の大会からです。「何と難しいコースが存在するのだろう」と感じたことを、よく憶えていますし、「ブーツから羽が生えているようなマーク」、文字通りのウイングドフットですが、そのマークが記憶に残りました。

④ 1984年大会 優勝者はファジー・ゼラー選手です。優勝スコアは4アンダーパー。ウイングドフットでもアンダーパーが出るんだと、不思議な感じがしたものです。
 ゼラー選手は1979年のマスターズ大会にも勝っていて、メジャートーナメント2勝の名手でした。「葉巻を咥えながらラウンド」していて、豪放磊落なプレーヤーというイメージですが、そのためもあってか、米国民に大変人気があるプレーヤーでもあったと思います。
 この1984年大会では、4日間通算4アンダーで並んだ、グレッグ・ノーマン選手(オーストラリア)とゼラー選手がプレーオフを闘い、ゼラー選手が競り勝ちました。
 当時、長く「世界ランキング1位」に君臨していたノーマン選手ですが、メジャー大会には縁が薄く、残念ながら全米オープンやマスターズ、全米プロには勝てませんでした。(アメリカにおけるメジャー大会で2位が8回)

⑤ 2006年大会 優勝者はジェフ・オグルビー選手(オーストラリア)です。優勝スコアは5オーバーパー。1984年大会で「アンダーパーの優勝者」を生んだので、さすがのウイングドフットも「道具とボールの進歩」には抗しえないのかと感じていましたが、どうしてどうして、距離を伸ばしたことを主因に、再び「超難関コース」に変貌していました。
 この大会では、「悲願の全米オープン制覇」を目指したフィル・ミケルソン選手が最終日の18番ホールまで4オーバーパーでラウンドし、最終ホールをパーでクリアすれば優勝という状況でしたが、残念ながらこのホールをダブルボギーとして、オグルビー選手に逆転優勝を許してしまったのです。(ミケルソン選手は、全米オープンで2位が6度ありますが、まだ優勝していません)

 今回は、ウイングドフットG.C.西コースを舞台に開催された、過去5度の全米オープンをざっと観てきました。
 オーバーパーでの優勝も多く、また「劇的な幕切れ」も多い印象です。

 ウイングドフットG.C.を設計したのは、アルバート・ウォーレン・ティリングハースト氏(1876年~1942年)です。
 数多くのコース設計に携わったティリングハースト氏ですが、やはり全米オープン開催コースとして有名なバルタスロール・ゴルフクラブとウイングドフットが代表作なのではないかと、勝手に考えています。(ちなみに、1895年の第1回全米オープン大会の開催コース、ニューポート・カントリークラブもティリングハースト氏が改修設計しています)

 あの1980年大会、ジャック・ニクラウス選手と青木功選手の死闘(日本人プレーヤーが全米オープンタイトルに最接近した闘い)は、バルタスロールG.Cを舞台に繰り広げられました。この時の「箱庭のように美しく、しかしながら、とても難しいコース」が心に刻まれています。

 ウイングドフットもバルタスロールも、ニューヨーク近郊のコースです。ティリングハースト氏は、ニューヨーク近郊で数多くの素晴らしいコース、現在では「名門」と呼ばれる数多くのコースを手掛けているのです。
 ある意味では、「アメリカ合衆国のゴルフ史の一端を担った人物」と言っても良いのでしょう。
 ティリングハースト氏は、死後70年以上の後、2015年に世界ゴルフ殿堂入りしました。

 さて、2020年の全米オープンもオーバーパーの決着となるのか。(2020年の世界トップクラスのプレーヤー達とウイングフットG.C.の戦いです)

 いずれにしても、最終日・最終ホールまで目が離せない大会となることは、間違いありません。

 そして、6度目の開催となる「2020年大会のウイングドフットの『絵』」も、本当に楽しみです。
 9月4日~7日にかけて、ジョージア州イーストレイク・ゴルフクラブを舞台に開催された、PGAツアー2019~20シーズンの「フェデックスカップ」プレーオフ第3戦=最終戦、ツアーチャンピオンシップ大会byコカコーラは、ダスティン・ジョンソン選手が269打・21アンダーパーで優勝し、初の年間王者となりました。

 プレーオフ第1戦・ザ・ノーザントラスト大会で優勝し、第2戦・BMWチャンピオンシップ大会でプレーオフの末2位となって、最終戦にポイント1位で臨んだD.ジョンソン選手が、そのまま押し切ったという「堂々たる優勝・年間王者獲得」でした。

[ツアー選手権大会・最終結果]
1位 ダスティン・ジョンソン選手 269打・21アンダーパー
2位タイ ジャスティン・トーマス選手 18アンダー
2位タイ ザンダー・シャウフェレ選手 18アンダー
4位 ジョン・ラーム選手 17アンダー
5位 スコッティ・シェフラー選手 14アンダー
6位 コリン・モリカワ選手 13アンダー

 本大会の最終日にD.ジョンソン選手に食い下がったのは、ジャスティン・トーマス選手とザンダー・シャウフェレ選手でした。
 最終日を2アンダーでラウンドしたジョンソン選手に対して、トーマス選手とシャウフェレ選手は4アンダーで回り、最後までジョンソン選手を脅かし続けたのです。

 しかし、ジョンソン選手は慌てることなく、トーマス選手、シャウフェレ選手との差を2~3打差で維持して、とても冷静なプレーを続けていたように感じられます。

 20勝以上の勝利を挙げながら、メジャー大会は2016年の全米オープンのみであり、メジャー大会の2位が目立つ存在、「精神面の弱さ」を指摘されることもあった存在でした。
 今大会でも、最終日の16番パー4のティーショットで、珍しくフィニッシュでクラブがぶれる動きを見せた時には、「プレッシャー」かと感じられましたが、その後のショット・フォームは、いつもの形・リズムを取り戻していたように観えました。

 大選手を相手に恐縮ですが、「一皮剥けた」のかもしれません。

 PGAツアー2019~20シーズンは、ダスティン・ジョンソン選手が年間王者となり終了しました。
 例年通りのイーストレイクG.C.における、しかし、新型コロナウイルス禍の中での「無観客」の表彰式が、印象的でした。

 そして、2020~21年シーズンが直ぐに始まります。

 9月10日~13日は、セーフウェイオープン大会が行われ、9月17日~20日には「全米オープン」が開催されるのです。
 これは、本来2019~20年シーズンに開催されるはずだった大会です。
 舞台は、ニューヨーク州のウィングドフット・ゴルフクラブ。
 「ザ・全米オープン開催コース」と呼んで良い「超」名門コースです。

 2020~21年シーズンには、2021年6月17日~20日にも全米オープンが開催されます。舞台は、カリフォルニア州のトーリーパインズ・ゴルフクラブ。こちらも名門です。

 PGAツアー2020~21年シーズンは、全米オープンやマスターズ(2020年11月12日~15日、および2021年4月8日~11日に予定されています)が「2度開催される」シーズンなのです。
 そして、東京オリンピック2021のゴルフ競技も行われます。

 ビッグトーナメントが目白押しの新シーズン、本当に楽しみです。
 「年間王者」を決めるためのプレーオフシリーズ第3戦=最終戦・ツアーチャンピオンシップ大会2020の2日目、前半が終了しました。
 大会日程は、9月4日~7日(金曜日から月曜日)の4日間、会場はいつものように、アメリカ合衆国・ジョージア州アトランタ近郊のイーストレイク・ゴルフクラブです。

 昨年の大会から、プレーオフ最終戦に臨む時点のポイント順位によって、あらかじめ10アンダーパー、8アンダーパー、7アンダーパーといった形で、トーナメント開始時点でハンディキャップを設け、目の前で行われているトーナメントのスコアにより優勝・順位が決まる形に変更されました。

[9月5日・2日目終了時点の順位]
1位 ダスティン・ジョンソン選手 13アンダーパー(2日間3アンダー)
2位 イム・ソンジュ選手(韓国) 12アンダー(同8アンダー)
3位 サンダー・シャウフェレ選手 11アンダー(同8アンダー)
4位 ジャスティン・トーマス選手 10アンダー(同3アンダー)
5位タイ コリン・モリカワ選手 9アンダー(同4アンダー)
5位タイ ティレル・ハットン選手(イングランド) 9アンダー(同7アンダー)
5位タイ ジョン・ラーム選手(スペイン) 9アンダー(同1アンダー)

17位タイ 松山英樹選手 4アンダー(同イーブンパー)

 プレーオフ第2戦=BMW選手権大会を終えてポイントトップに立っていたD.ジョンソン選手が、2日間を戦って首位をキープしています。
 2日間で3アンダーは、爆発力を身上とするジョンソン選手としては「不本意」でしょうが、それても首位をキープしているところが、現在の好調さを示しているように感じます。

 ポイント2位の8アンダーからスタートしたジョン・ラーム選手は、1日目を65打・5アンダーとして、ジョンソン選手に並びました。BMW選手権大会で、ジョンソン選手をプレーオフの末に破り優勝した好調さを、最終戦にも持ち込んでいるように観えましたが、意外なことに2日目に失速、4オーバー・74打としてしまい5位タイに後退しました。

 イーストレイクG.C.は、PGAツアーのシーズン最終戦に使用されているコースですから、当然ながらとても良いコースであり、難易度も高いのですが、そうしたコースを相手にしても「爆発的なスコアを叩き出す」プレーヤーが「複数」登場するのが、世界最高のPGAツアーなのです。

 ツアー選手権2020の前半においても、イム・ソンジュ選手とザンダー・シャウフェレ選手が、2日間で8アンダー、ティレル・ハットン選手が2日間で7アンダーという、見事なラウンドを披露してくれました。
 一気の追い上げで、順位を大きく上げたのです。

 我らが松山選手は、1日目70打、2日目70打とイーブンパーの2ラウンドを重ね、スコアはスタート時の4アンダーのままです。
 初日が2バーディ・2ボギー、2日目が3バーディ・3ボギーと、スコアを伸ばせていないところは「歯痒い」ところですけれども、「パー」を重ねてのスコアというところに「可能性」、3日目以降の爆発の予感がします。
 ショットもパッティングも決して悪くは有りませんから、松山英樹選手の「追い上げ」が十分に期待できると思います。

 さて、ツアー選手権大会の優勝争い=年間王者争いですが、やはり、プレーオフ第1戦・ザ・ノーザントラスト大会の覇者にして、プレーオフ最終戦にポイントトップで臨んだダスティン・ジョンソン選手、プレーオフ第2戦・BMW選手権大会の覇者ジョン・ラーム選手、PGA2016~17シーズンの年間王者にして、プレーオフシリーズ開始前のポイントリーダーであったジャスティン・トーマス選手が、有力であろうと考えます。

 その他のプレーヤーであれば、PGA2015~16シーズンおよび18~19シーズンの2度の年間王者を誇るロリー・マキロイ選手(北アイルランド、2日目を終えて8位タイ・8アンダー)、今シーズン唯一のメジャー・全米プロ選手権大会を制したコリン・モリカワ選手、2018年のマスターズ大会チャンピオン・パトリック・リード選手、そして我らが松山英樹選手が有力だと思います。

 ツアーチャンピオンシップbyコカコーラ大会、3日目・4日目においては、何が起こっても不思議では無い、熾烈極まりない戦いが繰り広げられることでしょう。

 年間王者を決めるためのプレーオフシリーズに突入している、PGAツアー2019~20ですが、そのプレーオフ第2戦・BMWチャンピオンシップトーナメントで、松山英樹選手が見事な戦いを繰り広げました。

[8月27~30日・BMW選手権2020・オリンピアフィールズC.C.(イリノイ州)]
1位 ジョン・ラーム選手(スペイン) 276打 4アンダーパー
(プレーオフ1ホール目で決着)
2位 ダスティン・ジョンソン選手 4アンダー
3位タイ 松山英樹選手 2アンダー
3位タイ ホアキン・ニーマン選手(チリ) 2アンダー
5位 トニー・フィナウ選手 1アンダー

 出場プレーヤーから「全米オープン」レベルと評され、とても難しいセッティングであったオリンピアフィールズでの戦いでした。
 特にグリーンが硬く、ショットが直接グリーンヒットすると、そのままグリーンを出てしまうというシーンが何度も観られました。
 またラフも深く、大きな木々に囲まれた林間コースですから、僅かなショットのミスが1打の罰に結びついてしまう戦いとなったのです。

 そうした状況下、初日を3アンダーパーとして単独首位に立った松山選手は、トーナメントを通じて優勝争いを演じました。
 見事な戦い振りであったと感じます。

 3日目からは、「松山選手とダスティン・ジョンソン選手のマッチプレー」の様相を呈していた大会の4日目にも、その争いに絡んでくるプレーヤーが複数いるというのが、世界最高峰・PGAツアーの舞台なのでしょう。
 今回は、ホアキン・ニーマン選手とジョン・ラーム選手とトニー・フィナウ選手でした。

 これらの選手たちの追い上げに対して、ジョンソン選手は最後まで抵抗しました。
 プレーオフ第1戦のノーザントラスト大会を制し、プレーオフ2週連続を目指しての戦いでした。

 松山選手は、最終日の前半9ホールまで、良く食い下がりましたが、サンデーバック9においては、僅かに爆発力に欠けた感じがします。
 最終日11番パー4のアプローチショットが1m弱ショートし、バンカーに突き刺さってしまったことと、15番パー5のイーグルパットを決められなかったことが、本当に惜しまれます。距離のあるパッティングでしたが、「勝つ時はロングパットが決まる」、別の言い方をすれば、「ロングパットを決められなければビッグトーナメント制覇は覚束ない」のでしょう。
 この大会の3位タイを踏まえて、通算ランキング10位でプレーオフ最終戦・ツアーチャンピオンシップ大会に進出(7年連続!素晴らしい)する松山選手の、大活躍に期待したいと思います。

 優勝したジョン・ラーム選手は、2つの驚異的なパッティングを決めました。
① 最終日16番パー3の8m位のバーディパット
→15番パー4をバーディとしていたラーム選手が、連続バーディとして、一気に2位に2打差を付けたパッティングでした。
② プレーオフ最初のホールにおける15m位のバーディパット。
→ダスティン・ジョンソン選手が内側・より近いところに付けていた状況下、下りの大きなスライスラインの難しいパッティングであり、「2パット」でホールアウトするのも容易ではないと観られていましたが、ラーム選手はこれを真ん中から決めて魅せたのです。
 この後、6m位を狙ったジョンソン選手のパットは惜しくも右に外れました。

 そもそも、3アンダーで最終日18番ホールに向かったジョンソン選手が10m以上の「驚異的なパット」を決めて、プレーオフに持ち込んだ形ですから、驚異的なパッティングの数が「2つ」のラーム選手が、「1つ」のジョンソン選手を破ったようにさえ観える幕切れでしょう。

 BMW選手権大会がオリンピアフィールズC.C.(ノースコース)で開催されるのは1971年以来と報じられました。
 全米オープン大会にも2度使用されている名コースです。

 2003年の全米オープンでは、ジム・フューリック選手が優勝していますが、本当に久しぶりに「オリンピアフィールズの絵」を魅せていただきました。
 
 良いコースと良いプレーヤーのトーナメントは、本当に面白いものなのです。

 小樽カントリークラブを舞台に、8月27~30日開催された第11回ニトリレディスゴルフトーナメントは、笹生優花選手が制しました。
 19歳の笹生選手は2週連続優勝であり、プロデビュー後3戦2勝となりました。

[8月27~30日・小樽C.C.]
1位 笹生優花選手 275打 13アンダーパー
2位 小祝さくら選手 11アンダー
3位タイ 三ケ島かな選手 3アンダー
3位タイ 李知姫選手 3アンダー
3位タイ 濱田茉優選手 3アンダー

 女子トーナメントでは少ない4日間大会でしたが、3日目からは笹生選手と小祝選手の一騎打ちとなりました。
 
 雨が降りしきる北海道・小樽の地、相当寒い気候であったと思いますが、両選手は一歩も引かぬ見事なプレーを展開しました。
 圧倒的な飛距離を武器に押し続ける笹生選手に対して、小祝選手は正確なショットで応酬しました。見応え十分な戦いでした。
 小祝選手も、手ごたえ十分なプレーを展開していたのです。

 勝敗を分けたのは、最終日12番パー3であったと思います。
 2人共ティーショットでグリーンを捕えることが出来ず、アプローチ勝負となりました。ピンまでの距離は笹生選手の方が遠かったので、まず笹生選手がショットしました。
 低い球出しから転がしで寄せるアプローチ。
 これが直接カップインしました。
 素晴らしいチップインバーディでした。

 続いて小祝選手がショットしましたが、これは高い球で攻め、残念ながら寄りませんでした。

 1打差で競り合っていた2プレーヤーの差が開いたホールとなり、この後、出入りがありましたが、2人は「2打差」でホールアウトしました。

 テレビ解説の樋口久子氏が「(笹生選手は)次元の違うゴルフをする」とコメントしていましたが、250ヤードを遥かに超えるドライバーショット、200ヤードを正確に狙って行けるアイアンショットと、とても上手なパッティングを具備している笹生選手のゴルフは、大袈裟に言えば「日本の女子ゴルフを変える」もののように感じられます。

 丁度2000年前後に、タイガー・ウッズ選手がPGAツアーに新時代を齎した時の衝撃に似ています。

 当面の間、笹生選手が出場する大会は、笹生選手が普通に自分のプレーをすれば笹生選手が優勝し、笹生選手の調子が悪い時には、他の好調な選手が勝つという展開になるのではないか、とさえ思わせる「強さ」でした。

 今シーズンのPGAツアーの締め括りとなるプレーオフシリーズの初戦、ザ・ノーザントラスト大会が、8月20日~23日、TPCボストン(マサチューセッツ州)を舞台に開催され、ダスティン・ジョンソン選手が2位に11打差を付けて、独走での優勝を飾りました。

 3日目を終えて、2位に5打差を付けてトップに立っていたジョンソン選手は、最終日の前半、2番パー5でイーグル、4・5・7・8番ホールをバーディとして、一気に6打スコアを縮め、2位との差を大きく広げて、悠々と勝ち切りました。
 この大会の第2日目には、前半を27打・9アンダーとするなど、TPCボストンの1~9番を完全に制覇する、凄まじいラウンドを示現して魅せたのです。

[ザ・ノーザントラスト2020の最終順位]
1位 ダスティン・ジョンソン選手 254打 30アンダーパー
2位 ハリス・イングリッシュ選手 19アンダー
3位 ダニエル・バーガー選手 18アンダー
4位 スコッティ・シェフラー選手 17アンダー
4位タイ ケビン・キズナー選手 17アンダー
6位 ウェブ・シンプソン選手 16アンダー
6位タイ ジョン・ラーム選手(スペイン) 16アンダー

 圧倒的な飛距離とアイアン技術の高さから、世界ランキング1位にも相当期間居たことが有るダスティン・ジョンソン選手ですが、メジャートーナメントは1勝しかしていないこともあって、「最終日に弱い」という精神面を指摘する声もありますが、今大会は、圧倒的な強さで押し切りました。

 PGAツアーのトーナメントとなれば「1打が重く」、大差で優勝できるプレーヤーは、タイガー・ウッズ選手やロリー・マキロイ選手といった、頭抜けた力を保持するプレーヤーに限られています。
 そうした中での、プレーオフ大会における「11打差」は、通算22勝を誇るジョンソン選手としても「会心の勝利」でしょう。

 プロゴルファー、それも世界トップクラスのプロゴルファーしか成し得ない「超絶ショット」の連続は、世界中のゴルフファンを魅了するものであったと思います。

 この勝利で、今期のフェデックスカップポイント争いのトップに立った、ダスティン・ジョンソン選手の活躍が期待されるところです。

 さて、ポイント上位125位までのプレーヤーにーが出場した、プレーオフ第1戦が終了しました。

 我らが松山英樹選手は、ザ・ノーザントラスト大会を10アンダー・29位タイでクリアし、フェデックスカップポイント順位を18位として、プレーオフ第2戦に進出しました。

 プレーオフ第2戦・BMWチャンピオンシップ大会は、8月27日~30日、オリンピアフィールズ・カントリー・クラブ・ノースコース(イリノイ州)で開催されます。
 出場資格は、ポイント上位70位までのプレーヤーです。

 そして、BMW選手権を終えて、ポイント上位30位以内のプレーヤーが、プレーオフ最終戦、ツアーチャンピオンシップ大会(9月4日~7日、イーストレイク・ゴルフクラブ(ジョージア州))に出場できるのです。
 ツアー選手権大会への出場は、世界の「トッププロゴルファーの証」に他なりません。

 松山選手の7年連続のツアー選手権大会への出場が、大いに期待されるところです。

 最終日を3位でスタートした笹生優花選手が、この日9アンダー・63打の好スコアでラウンド、トータル16アンダーで快勝しました。
 19歳の笹生選手は、日本国内ツアーデビュー2戦目での優勝でした。

[8月14日~16日・軽井沢72ゴルフ北コース]
1位 笹生優花選手 220打・16アンダーパー
2位 若林舞衣子選手 12アンダー
2位タイ 藤田さいき選手 12アンダー
4位 有村智恵選手 11アンダー
5位 西郷真央選手 10アンダー

 最終ラウンドの笹生選手はパッティングが良く決まりました。3~6m位のパットがどんどん入ったのです。そして、パー5の第2打・195ヤードのショットがグリーンヒットし、この3mのイーグルパットを捻じ込むなどスコアを伸ばしました。ショットの飛距離も十分なのです。
 2位に4打差を付けての快勝は、笹生選手の潜在能力の高さを示しています。

 日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生を受けた笹生選手は、14歳の頃からゴルフで活躍し、2018年アジア大会の個人戦で優勝し一躍日本にも知られる存在となりました。
 2019年には日本のプロテストに合格し、新型コロナウイルス禍の中でツアーのトーナメントが激減する状況下、今回の優勝を勝ち取った形です。
 ジャンボこと尾崎将司選手に師事していると報じられています。

 「飛んでパッティングも上手い」となれば、まさに女性版ジャンボ尾崎ということになりますから、今後の活躍が大いに期待されるところです。

 それにしても、日本女子ゴルフ陣は本当に強力です。
 素晴らしいプレーヤーが次々と生まれてくるのですから。

 日本女子ゴルフは、今後の世界ゴルフ界を牽引する存在なのでしょう。

 サンデーバックナインに入って、トップタイの10アンダーパーに、一時は7名が並ぶ大接戦となりました。
 さすがはPGAツアー、さすがはメジャートーナメント、と感じましたが、それにしても「トップタイに7プレーヤー」というのは、観た記憶が無い程の競り合い。
 その競り合いから抜け出したのは、2019年にデビューしたばかりの23歳の新鋭、アメリカのコリン・モリカワ選手でした。

[8月9日・通算成績・TPCハーディングパーク(カリフォルニア州・サンフランシスコ)]
1位 コリン・モリカワ選手 267打 13アンダーパー
2位タイ ダスティン・ジョンソン選手 11アンダー
2位タイ ポール・ケーシー選手(イングランド) 11アンダー
4位タイ スコッティ・シャフラー選手 10アンダー
4位タイ ジェイソン・デイ選手(オーストラリア) 10アンダー
4位タイ トニー・フィナウ選手 10アンダー
4位タイ ブライソン・デシャンボー選手 10アンダー
4位タイ マシュー・ウルフ選手 10アンダー

 どこから誰が抜け出すのか、全く予想が付かない展開の中、コリン・モリカワ選手は「2つのミラクルショット」を魅せてくれました。

① 14番ホール・パー4の第3打をチップインバーディ。

 第2打を打って、グリーンに相当距離を残した第3打でした。砲台気味に観えるグリーンでしたから、モリカワ選手は高く打ち上げるアプローチショット。これがグリーンを捉えてホールに向かって転がり、そのまま入りました。

 大ピンチからのミラクルショット。

 アプローチショットが「寄らず入らず」のボギーの可能性が十分にあった状況でしたから、これは本当に大きな一打でした。
 メジャータイトルをグイッと引き寄せたスーパーショットだったのです。

 テレビ解説の丸山茂樹プロは「何か持ってるな」とコメントしました。

② 16番ホール・パー4のワンオン・イーグル

 16番ホールは294ヤード、距離の無いパー4でした。この大会に出場する選手ならば、大半の選手が「ワンオン」可能な距離ですし、我らが松山茂樹選手も4日間通してワンオンを狙って行ったと思います。

 しかし、メジャートーナメントの距離の無いパー4となれば、いくつものトラップが仕掛けられているのは当然のことでしょう。なかなかワンオンには成功できないのです。

 体格面では決して大きくは無く、所謂「飛ばし屋」では無いモリカワ選手にとっては、自らの1番ウッドの飛距離に合った距離のパー4でしたから、しっかりと打って行った最終日のティーショットは、トラップの間を縫ってグリーンヒット、転がったボールは、カップ手前2.5mに止まりました。

 スーパーショット!

 ラインも「ほぼ真っ直ぐ」の良い位置でしたから、慎重に読んだモリカワ選手は、このパッティングを綺麗に決めました。(僅かにスライスしてからストレートのラインでした)

 凄まじい競り合いの中でのイーグルは、「勝負を決めた」のです。
 この状況下、まさにミラクルなイーグルはコリン・モリカワ選手の「星の強さ」を感じさせると言えば、少し大袈裟でしょうか。

 本大会は、PGA2019~20シーズン唯一のメジャートーナメントですから、現在の世界ゴルフ界を代表するプレーヤーが集結しました。
 そして、サンデーバック9においては、ジャスティン・ジョンソン選手、ジェイソン・デイ選手、トニー・フィナウ選手といった現在のPGAを代表するプレーヤーと、コリン・モリカワ選手、スコッティ・シャフラー選手、マシュー・ウルフ選手といった、デビューしたばかりの「新世代」の争いとなったのです。
 そして、「新世代」のモリカワ選手が優勝を捥ぎ取りました。

 23歳のモリカワ選手は、2019年にデビューし、既にPGAツアーで2勝を挙げていました。メジャーは、2019年の全米オープン以来の2戦目、全米プロは初出場でしたが、これを制したのです。
 「23歳でのメジャー制覇」は、ジャック・ニクラウス選手、タイガー・ウッズ選手、ロリー・マキロイ選手に続いて、史上4人目の快挙でもありました。

 日系アメリカ人で、カリフォルニア大学バークレー校出身のコリン・モリカワ選手は、「優れたショットメーカー」でしょう。力みの無いフォームから、とても正確で美しいショットが生れます。その精神面、極めて冷静なプレーも印象的です。この大会において、唯一「(メジャー制覇への)プレッシャーの存在」を感じさせたのは、最終日18番・パー4の第2打でしょうか。珍しく左に引っ張ったように観えました。下半身の動きが少し悪かったのかもしれません。
 しかし、このショットとて、スイング中に修正して、そのミスを最小限に抑えていたように観えました。(ピン位置と反対側のリスクが低いと考えられる)グリーン右サイドを狙ったであろうショットは、ピン奥4mをヒットしたのです。

 さて、モリカワ選手を始めとする「新世代」の選手達は、アマチュア時代の輝かしい経歴から「黄金世代」と呼ばれることもあります。
 これらの「若き精鋭」達は、今後のPGA、世界ゴルフ界を牽引する存在となるかもしれません。
 その活躍が大いに期待されるのです。

 我らが松山英樹選手は、4アンダー・22位タイで大会を終えました。
 1日目のラウンドを観て、決して調子は悪くないと感じましたし、実際、次第にスコアを伸ばすラウンドを披露していましたから、3日目の午前中に2バーディを奪い「トップと2打差」に迫った時には、最終日の競り合いへの参加が期待されました。
 その「慎重なプレー振り」が、好調時を彷彿とさせたのです。

 その松山選手にとって惜しまれるのは、3日目の13番・14番の連続ボギーでしょう。
 12番~14番は、このコースでも最も難しいホールの連続ですから、止むを得ないという見方もあるのでしょうが、「メジャータイトル挑戦に向けての最終日午後の競り合いへの参加資格」を得るためには、どうしてもクリアしなければならなかったところでしょう。

 注目のタイガー・ウッズ選手は、1アンダー・37位タイでトーナメントを終えました。
 ところどころに、見所十分なプレーを魅せるのですけれども、「タイガーチャージ」を観ることは出来ませんでした。
 長袖の服を身に付けてのプレーが多かったので、「寒さ」が影響したのかもしれません。

 新型コロナウイルス禍の中の異例づくめの全米プロゴルフ選手権2020は、「新時代の到来」を予感させる大会でした。

 今シーズン唯一のメジャートーナメント、全米プロゴルフ選手権2020(第102回)が開幕しました。

 全英オープン2020が中止となり、マスターズ大会2020と全米オープン大会2020が今秋に開催時期が変更になったために、PGAツアー2019~20シーズンのメジャー大会は全米プロ2020のみとなったのです。
 
 当然のことながら、現在の世界のトップゴルファーが一堂に集う、極めて高いフィールドの大会となりました。
 その出場メンバーを観るだけでも嬉しくなってしまうトーナメントなのです。

[8月6日・大会1日目・TPCハーディングパーク(7,234ヤード・パー70)]
1位 ジェイソン・デイ選手(オーストラリア) 65打・5アンダーパー
1位タイ ブレンドン・トッド選手
3位 バド・コーリー選手 4アンダー
3位タイ ブレンダン・スティール選手
3位タイ マイケルロレンゾ・ベラ選手(フランス)
3位タイ スコッティー・シェフラー選手
3位タイ マーティン・カイマー選手(ドイツ)
3位タイ ザンダー・シャウフェレ選手
3位タイ ブルックス・ケプカ選手
3位タイ ジャスティン・ローズ選手(イングランド)

20位タイ タイガー・ウッズ選手 2アンダー

48位タイ 松山英樹選手(日本) イーブンパー

90位タイ 石川遼選手(日本) 2オーバー

 1日目のトップは、ブレンドン・トッド選手とジェイソン・デイ選手が△5で並びました。
 そして、「1打差に10選手」という、いかにもPGAツアーという形で上位が犇めきあっています。
 「1打の重み」という言葉がありますが、それは、世界最高のゴルフツアーPGAにおいて、最も良く分かることなのです。PGAツアーにおいては、例えば30cmのパッティングをうっかり外してしまったり、罰打を受けてしまったりしていては、勝利は到底覚束ないのです。

 タイガー・ウッズ選手も出場し、初日は20位タイという「絶好の位置」につけました。
 さすが、という感じがします。

 日本からは、松山選手と石川選手が出状していますが、両選手とも、1日目は出遅れました。
 松山選手は2バーディ・2ボギーのイーブンでしたが、その2バーディは共にチップインバーディでした。放送を見る限り、パッティングの調子は決して悪くないと思いますので、2日目以降の巻き返しが十分に期待できます。
 久しぶりにPGAツアー・メジャー大会に臨む石川選手の活躍にも期待です。

 この他にも、12位タイ(3アンダー)にトニー・フィナウ選手、20位タイにアダム・スコット選手(オーストラリア)、ブライソン・デシャンボー選手、33位タイ(1アンダー)にジャスティン・ジョンソン選手、48位タイにジョン・ラーム選手(スペイン)、ロリー・マキロイ選手(北アイルランド)、68位タイ(1オーバー)にジャスティン・トーマス選手、90位タイにフィル・ミケルソン選手、109位タイ(3オーバー)にリッキー・ファウラー選手、ジョーダン・スピース選手、等々、注目プレーヤーが目白押しなのです。

 2日目以降の戦いが、本当に楽しみです。

 それにしても、会場のTPCハーディングパークの「絵」が、とても印象的です。
 メジャートーナメントで使用されるのは初めてではないかと思いますが、「絵」の中核をなしている「糸杉」が、良く効いていて、コースのアイデンティティとなっています。

 アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに存するコースですが、コース全体に配されているアンジュレーションというか、「平らなところが殆ど無い」造作が、アメリカンコースのひとつの典型でしょう。
 フェアウェイの芝の色や、高速でありながら登りならばしっかり止まるグリーンなど、メジャートーナメントのコースの「格」をも感じさせるコースでしょう。

 「この雰囲気は別のコースでも・・・」と感じ、調べてみたところ、あの「ザ・オリンピック・クラブ」(全米オープン開催5度を誇る名門・難関コース)と同じ、サム・ホワイティング氏の設計とのこと。
 また、2つのコースは近隣に存するとのことですので、いくつかの理由により似ているのかもしれません。

 久しぶりのメジャートーナメントを、思い切り楽しみましょう。

 PGAツアー2019~20年シーズンの、再開後第3戦、トラベラーズ選手権大会は、ダスティン・ジョンソン選手が優勝しました。

[6月28日~28日・TPCリバーハイランズ(コネチカット州)]
1位 ダスティン・ジョンソン選手 261打 19アンダーパー
2位 ケビン・ストリールマン選手 18アンダー
3位 マッケンジー・ヒューズ選手(カナダ) 17アンダー
3位タイ ウィル・ゴードン選手 17ンダー
5位 ケビン・ナ選手 16アンダー

 再開後、鳴りを潜めていた?ダスティン・ジョンソン選手が「3日目に爆発」、その勢いで最終日も押し切り、今シーズン初優勝、PGAツアー13年連続・21勝目を挙げました。
 現在のPGAツアーにおける最強プレーヤーのひとりが、目を覚ましたというところでしょうか。

 3日目は「9バーディ・ノーボギー」の61、キャリア最少スコアのラウンドを示現し、一気に2位に浮上しました。

 9バーディ・ノーボギーというのは凄いラウンドですが、同じスコア・内容でラウンドしたプレーヤーがもうひとり居た、というところが、いかにもPGAツアーらしいところです。選手層が圧倒的に厚いのです。
 それは、ブランドン・トッド選手でした。
 トッド選手はこのラウンドにより3日目を終えてトップに立ちました。
 今シーズン既に2勝を挙げている好調さを示したのです。

 ところが、トッド選手は最終ラウンドで75と大叩きを演じてしまい、11位タイまで順位を下げてしまいました。
 前日61打で回ったコースを、同じプレーヤーが翌日75を打つのです。
 ゴルフ競技において時折眼にする状況ですけれども、何度観ても本当に不思議なことです。

 歴史と伝統を誇るトラベラーズ・チャンピオンシップ大会ですが、開催コースであるTPCリバーアイランズも、とても特徴があると感じます。
 距離が短く、深い林に囲まれているホールと、大きな池に面しているホールが連なり、大きな砲台グリーンが随所に観られ、ティーインググラウンドが段々になっている、というと、日本で良く観られるコースの様です。
 もちろん、随所にトラップが仕込まれ、とても難易度が高くなっているのですけれども、PGAツアー開催コースの中では、「最も日本的なコース」なのではないかと感じます。

 それが、TPCソーグラスなどの最もアメリカ的なコース設計で知られる、有名なピート・ダイ氏の設計というのですから、ダイ氏の多彩な視点に感心させられるばかり。

 池の中など随所に配された、トレードマークの大きな「赤い傘」が、いつも印象的なトーナメントなのです。

[RBCヘリテージ大会・6月18日~21日・ハーバータウンGL(サウスカロライナ州)]
1位 ウェブ・シンプソン選手 262打・22アンダーパー
2位 アブラム・アンセル選手(メキシコ) 21アンダー
3位タイ ティレル・ハットン選手(イングランド) 20アンダー
3位タイ ダニエル・バーガー選手 20アンダー

 PGAツアー再開後の第2戦、RBCヘリテージトーナメントは、アメリカのウェブ・シンプソン選手がサンデーバック9の猛チャージによって逆転勝ちを収めました。
 最終ラウンドの7アンダーも見事ですが、何より、12番・13番・15番・16番・17番と、バック9における5つのバーディーが素晴らしい。
 今季2勝目となるシンプソン選手ですが、34歳と「脂の乗り切ったシーズン」を迎えていますから、今後の活躍が本当に楽しみです。

 林、池というハザードを巧みに配したコース(ピート・ダイ氏の設計)ですから、まずフェアウェイキープが求められる戦いでしたけれども、シンプソン選手の巧みなコースマネジメントが印象的でした。

 そうした中で、ベテランプレーヤーの戦い振りも眼に付きました。

 まずは、ベルンハルト・ランガー選手(ドイツ)です。
 62歳になったランガー選手は、既にPGAグランドチャンピオンズツアーの一員なのですが、一般?のPGAツアーにも敢然と挑戦しています。
 この大会でも、予選を通過し、4日間通算8アンダーの58位タイでホールアウトしました。
 1985年と1993年のマスターズトーナメントを制し、世界中で40勝以上の優勝を飾っている名選手ですが、余程「ゴルフトーナメントが好き」なのでしょうか。60歳を過ぎても、若手のプレーヤー達を相手に、一歩も引かぬプレーを披露しているのです。

 続いては、アーニー・エルス選手(南アフリカ)です。
 50歳になったエルス選手は、PGAチャンピオンズツアーにも参加していますが、やはり一般の?PGAツアーにも挑んでいます。
 この大会でも予選を通過し、4日間通算10アンダー、48位タイでホールアウトしました。
 1994年と1997年の全米オープン、2002年と2012年の全英オープンと、メジャーを4勝している名プレーヤーは、まだまだメジャートーナメントへの夢を持ち続けているように観えます。

 最後は、ビジェイ・シン選手(フィジー)です。
 57歳となったシン選手は、この大会は惜しくも予選落ち(2日間通算1アンダー)でした。
 2000年のマスターズと1998年・2004年の全米プロのメジャー3勝を誇る名ゴルファーです。
 もともと「練習の虫」として知られていますが、その「ゴルフ好き」は不変なのでしょう。
 今後もPGAツアーへの挑戦が続くと思います。

 こうした素晴らしいベテランプレーヤー達が、まだまだ頑張っているのです。

 そして、こうしたベテランプレーヤー達の活躍が、新型コロナウイルス禍からのゴルフ界の復興にとって、とても重要な役割を果たすのではないかと感じています。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断していた、アメリカPGAツアー2019~20年シーズンが、6月11日再開しました。
 待ちに待った「再開」です。
 
[6月11日~14日・チャールズシュワブチャレンジ大会・コロニアルCC(テキサス州)]
1位 ダニエル・バーガー選手(アメリカ) 265打・15アンダーパー
2位 コリン・モリカワ選手(アメリカ) 15アンダー・プレーオフ1ホール目で敗退
3位タイ ザンダー・シャウフェレ選手(アメリカ) 14アンダー
3位タイ ブライソン・デシャンボー選手(アメリカ) 14アンダー
3位タイ ジャスティン・ローズ選手(イングランド) 14アンダー
3位タイ ジェイソン・コクラック選手(アメリカ) 14アンダー

 テキサス州の名門コロニアル・カントリークラブを舞台に行われたトーナメントは、PGAツアーらしい大接戦となりました。
 1打差・2打差に数多くのプレーヤーが犇めき、1ホール毎に一喜一憂する展開が続いたのです。

 そうした中で最も安定したプレーを続けていたザンダー・シャウフェレ選手でしたが、サンデーバック9に入ってから2つのボギーを打ってしまい、コリン・モリカワ選手とダニエル・バーガー選手に逆転を許してしまいます。

 3日目までトーナメントを引っ張った、ジャスティン・ローズ選手やブライソン・デシャンボー選手も、最終日の後半、良く追い上げましたが、惜しくも1打届かなかったのです。

 トーナメントは、再開初戦からプレーオフに入り、1ホール目の17番・パー4でモリカワ選手が1m余のパーパットを外して、バーガー選手の優勝が決まりました。
 PGAツアー3勝目の見事な勝利でした。
 
 「無観客」で行われたトーナメントは、当然ながら、グッドショットに対する大歓声も無く、近隣の住宅地から観えるホールで、小さな歓声が起こるだけの大会となりました。

 アメリカというか、世界ゴルフ史上屈指の名手ベン・ホーガン選手に因んで「ホーガンの庭」と呼ばれた名コースは、容易にスコアを伸ばすことを許さず、特に、最終日はテキサス特有の強風が選手達を悩ませました。

 3ヵ月振り(91日振り)のトーナメントは、プレーの様子、選手たちの様子にも、やはり影響を与えていたようです。
 デシャンボー選手は、随分と立派な体格に変わっていました。とても科学的というか、「ゴルフ競技に科学的に取り組もうとする」プレーヤーですから、この3か月の間に、自らの体躯の弱点を補うトレーニングに勤しんでいたのでしょう。

 全般的なショットについては「飛び過ぎ」が多かったように感じます。
 そして、コロニアルCCは、グリーン奥からの「寄せ」はとても難しいのです。
 多くのプレーヤーの「飛び過ぎ」は、試合から遠ざかっていた期間が長かったことを表しているのでしょう。

 好天に恵まれた大会でした。真っ青な空が広がっていました。
 とても美しい光景です。
 
 将棋の棋聖戦やNHK杯、京都フィルハーモニー室内管弦合奏団の演奏会、各地の遊園地、等々の再開が続いています。

 ようやく、新型コロナウイルス感染が続いている中での、「新しい」日常生活がスタートしつつあるのです。

 PGAツアー再開は、世界ゴルフ界「再スタート」の象徴なのでしょう。

 世界規模の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、スポーツイベントにも大きな影響が出ていて、毎日のように様々な情報に接します。

 ゴルフの4大メジャートーナメントも、もちろん、例外ではありません。

 現在までの情報では、まず全英オープン大会の中止が決まりました。
 1945年以来75年振りの中止。

 先日のテニス・全英オープン=ウインブルドン大会の中止に続くものです。
 2020年春夏は、イギリスにおいて開催予定であった2つのメジャー大会が、第2次世界大戦以降初めて中止になったのです。
 信じられないような事態です。

 続いては、4月に開催が予定されていたマスターズ大会の延期です。
 「マスターズ」が4月に行われることは、定着していたというか、本格的なゴルフシーズン到来を告げる、季節のイベントとして「固定」されていたものでしょうが、これが11月12日~15日に延期となりました。
 オーガスタナショナルG.C.において、4月ならばアゼリアを始めとする春の花々に囲まれた「華やかなトーナメント」が、2020年秋にはどのような「絵」になるのか、これは、楽しみに待ちたいと思います。

 続いては、5月に開催が予定されていた全米プロ選手権大会が、8月6日~9日に延期となりました。
 もともと、東京オリンピック2020との関係で、開催時期が変更されていたものですが、これが8月に戻ったというか、再変更になったのです。
 初の開催となるTPCハーディングパークでのプレーがとても楽しみですが、8月上旬となると、本当に開催できるのか心配になるのが、本当に残念なところです。

 最後は、6月に開催予定であった全米オープン大会が、9月17日~20日に延期となりました。
 秋の全米オープンというのも、なかなか観られないものです。
 2006年以来6度目の開催となる、名門ウイングドフットG.C.の「伝統のラフ」は、秋になるとどのような威力を発揮するのでしょうか。
 本当に楽しみです。

 こうした「大変更」が4月の上旬に決まったことは、対応のスピードとして、大変素晴らしいことだと感じます。
 関係者各位のご努力に、大きな拍手を送りたいと思います。

 そして、こうした「大変更」が行われた限りは、是非開催していただき、スーパープレーヤー達の世界最高のプレーを魅せていただきたいと思います。

[2月13日~16日・カリフォルニア州リビエラCC]
1位 アダム・スコット選手 4日間通算273打 11アンダーパー
2位タイ マット・クーチャー選手 同275打 9アンダー
2位タイ カン・スン選手 9アンダー
2位タイ スコット・ブラウン選手 9アンダー
5位タイ 松山英樹選手 276打 8アンダー
5位タイ ロリー・マキロイ選手 8アンダー
5位タイ ジョエル・ダーメン選手 8アンダー
5位タイ マックス・ホマ選手 8アンダー
5位タイ ブライソン・デシャンボー選手 8アンダー

 3日目に「64打・7アンダー」を叩き出し、一気に通算6アンダー・11位タイに追い上げてきた松山選手の、最終日のプレーが注目されましたが、5バーディ・3ボギーのプレーでスコアを2打のばしたものの、惜しくも5位タイに終わりました。

 ショット・パット共に好調だった3日目のプレーであれば、「大逆転優勝も」と感じたのですが、残念な結果でした。

 ジェネシス・インビテーショナル・トーナメント最終4日目のリビエラ・カントリークラブCCのグリーンは、とても固く締まり、速かったと報じられています。
 この「戦略性が極めて高いコース」において、グリーンが速くなれば、どのようなプレーヤーでもスコアを大きく伸ばすことは難しくなります。
 従って、上位の選手達もなかなかスコアを伸ばすことが出来ず、10アンダーのトップタイで最終ラウンドに臨んだ中で、唯一スコアを伸ばした(1打)アダム・スコット選手が、PGAツアー4年振りの優勝に輝きました。
 松山選手にとって惜しまれるのは、14番から17番の4ホールでしょう。ボギー、バーディ、ボギー、バーディと続いた4ホールでしたが、この2ボギーを抑え込めていたら、と感じます。もちろん、ゴルフに「たら」は無いのですけれども・・・。

 いつ観ても、リビエラCCは素晴らしいコースです。
 距離こそ、最近のコースの中では長い方ではありませんが、その「戦略性の高さ」は全米でも屈指でしょう。
 1926年開場の歴史と伝統が、コースの隅々にまで感じられる名コースだと思います。

 それにしても、2位タイが3人、5位タイが5人という、いかにも「PGAツアーらしい」リーダーボードです。
 世界最高峰のフィールドには、世界最高レベルのプレーヤーが犇めきあっているのです。

 PGAツアーにおける「1打の重み」を、改めて感じさせるトーナメントでした。

 2月9日朝のNHK・BS-1放送、PGAツアー・ペブルビーチプロアマトーナメントに、楽しい映像が流れました。
 ペイトン・マニング氏とイーライ・マニング氏の兄弟が同組でラウンドしていたのです。

 ペブルビーチプロアマ大会は、PGAツアーのプロ選手と各界の著名人がペアになってラウンドし、プロ選手の成績およびペアの成績を競うトーナメントです。

 その各界の著名人として、NFLのスーパースター、ペイトン・マニング氏とイーライ・マニング氏が出場し、この日(3日目)は同組でプレーしたということです。

 オフィシャルハンディキャップは、ペイトン氏が「8」、イーライ氏が「10」と報じられていましたが、お二人ともとても上手くて力強いプレーを披露していました。
 そして、ラウンドの最中には二人そろってインタビューにも応じていました。
 何だか、凄い「絵」なのですが、2015年に引退し、現在43歳のペイトン氏より、つい先日引退を表明したイーライ氏(39歳)の方が、やはり筋肉量が多く、やや大きく見えました。身長は両氏ともに196cm前後なのですが・・・。

 両氏ともに、とても楽しそうに、ペブルビーチゴルフリンクスをラウンドしていたのが印象的でした。

 ペブルビーチプロアマ大会は、1940年代から続く、歴史と伝統を誇る大会です。
 これまでも、沢山の著名人がプレーし、何時の時代も豊富な話題を提供して来ました。
 とても厳しいPGAツアーのトーナメントの中では「異色」の存在ですが、こうしたレギュレーションの大会が、プロアマ大会としてなら1937年から80年以上続いているというのが、いかにもアメリカ合衆国という感じです。

 今年の大会も、政界、芸能界、等々多彩なメンバーが揃って居ました。

 NFL関係者で観ると、マニング兄弟を始めとして、現役ならばアーロン・ロジャース選手やラリー・フィッツジェラルド選手(フィッツジェラルド選手は毎年のように出場しています)、OBならばトニー・ロモ氏(元ダラス・カウボーイズのクオーターバックQB)、スティーブ・ヤング氏(元サンフランシスコ49ersのQB)、らの顔がありました。

 他にも、NHLのスーパースターというか伝説的プレーヤーであるウェイン・グレツキー氏やMLBのジャスティン・バーランダー投手の姿もありました。
 ユニフォームを着ていない、こうした名選手の「絵」というのも、このトーナメントならではでしょう。

 アメリカ合衆国のスポーツ界の懐は、とても深いのです。
[ダイヤモンドリゾートトーナメントofチャンピオンズ・1月16日~20日・フォーシーズンGスポーツC(アメリカ合衆国フロリダ州)]

1位 ギャビー・ロペス選手(メキシコ) 271打 13アンダーパー
2位 畑岡奈紗選手 13アンダー
3位 朴仁妃選手(韓国) 13アンダー
(3選手によるプレーオフが19日~20日にかけて行われ、ロペス選手が優勝)

 アメリカLPGAツアーの2020年開幕戦に挑んだ畑岡選手は、4日間通算13アンダーで首位タイとなってプレーオフに進出、19日のプレーオフは5ホールが行われ、3ホール目で朴選手が脱落しましたが、畑岡選手とロペス選手は決着が付かず、日没で翌日のプレーに持ち越されたのです。

 そして20日の1ホール目は分けての2ホール目、193ヤードのパー3。
 女子には長いホールですが、オナーのロペス選手はキッチリとピン右側8mにグリーンヒット。続く畑岡選手のショットは狙い通りのグリーン右奥をヒットしました。ボールはグリーンの傾斜に乗ってピンに向かって転がり、ピン右上3mに付けたのです。

 「畑岡選手が有利」に観えました。

 ところが、この8mのパットをロペス選手が捻じ込んだのです。カップ左側からゆっくりと落ちて行くカップイン。距離がぴったりの見事なパッティングでした。

 こうなると立場は逆転。
 やや下りの3mは、とても難しいパッティングになりました。

 真っ直ぐ転がるのか、左に落ちるのかは、とても微妙なラインでしたが、畑岡選手は「あまり曲がらない」と判断したのでしょう、薄目に打っていきました。
 しかし、しっかりと左に曲がるラインだったのです。
 畑岡選手のボールは、カップに触れることも無く、カップ横では25~30cm程左でした。
 
 ギャビー・ロペス選手の優勝です。

 畑岡選手には残念な結果でしたけれども、試合後の畑岡選手には充実感が漂っていたように観えました。「自らのプレーを高く評価」していたように観えましたし、第1に勝ち負けより「プレーの内容」を考え感じるところが「一流アスリート」であることを証明しています。

 2020年の開幕戦で、畑岡選手にはとても良いプレーを披露していただきました。

 2019年にスタートした新しい大会である、ダイヤモンドリゾートトーナメントofチャンピオンズは、前シーズンのツアー優勝者だけが出場できる大会です。
 男子のPGAツアーの年初の大会・トーナメントofチャンピオンズに相当する大会なのでしょう。
 この大会で昨年16位に終わった畑岡選手は、2020年は首位タイ→プレーオフ→2位に食い込みました。
 自らのプレーに、十分な手ごたえを感じたことでしょう。

 日本女子ゴルファーの中で、現在最も東京オリンピック2020の代表に近い畑岡奈紗選手の、2020年の大活躍が期待されます。

[1月2日~5日・プランテーションコースatカパルア]
1位 ジャスティン・トーマス選手 278打・14アンダーパー(プレーオフにて優勝)
2位タイ パトリック・リード選手 278打・14アンダー
2位タイ ザンダー・シャウフェレ選手 278打・14アンダー
4位 パトリック・カントレー選手 281打・11アンダー
5位タイ ホアキン・ニーマン選手 282打・10アンダー
5位タイ リッキー・ファウラー選手 282打・10アンダー

 4日間・72ホールを終えて278打で並んだ、トーマス選手、リード選手、シャウフェレ選手がプレーオフを行い、プレーオフ3ホール目でトーマス選手がバーディとして、パーだったリード選手を振り切りました。シャウフェレ選手は、プレーオフ1ホール目で脱落し、連覇を逃しました。

 トーマス選手は、2017年に続いて本トーナメント2勝目、また、PGAツアー2019~20シーズンにおいても、2019年10月のCJカップ@ナインブリッジ大会に続いての2勝目となり、フェデックスカップポイントでも首位に立ちました。

 その名が示す通り、本トーナメントには前シーズンのPGAツアー優勝者しか出場できません。
 そして、チャンピオン達が年頭のPGAツアーを華やかに彩るのです。

 1953年(昭和28年)から開始されたトーナメントオブチャンピオンズですから、歴史と伝統を誇る大会となっています。
 優勝者にも、ジーン・リトラー選手、サム・スニード選手、アーノルド・パーマー選手、ジャック・ニクラウス選手、ゲーリー・プレーヤー選手、トム・ワトソン選手、フィル・ミケルソン選手、タイガー・ウッズ選手、といった錚々たる名前、時代時代を代表するゴルファーの名前が並んでいます。
 優勝回数比較では、ニクラウス選手の5回が最多、3回でジーン・リトラー選手、アーノルド・パーマー選手、トム・ワトソン選手、スチュワート・アップルビー選手が続いています。何だか、凄いトーナメントなのです。

 現在の開催コース、プランテーションコースatカパルアに会場が移ったのは1999年からですから、「21世紀のトーナメントオブチャンピオンズはハワイ・マウイ島」ということで定着しているのです。
 プランテーションコースは、PGAツアーのコースとしては起伏に富んでいて、高低差が300m以上あります。従って、打上げ、打ち下ろしのホールも多いのですが、特に有名なのが18番パー5でしょう。
 第2打が打ち下ろしの雄大なホール。
 チャンピオン達は、積極的に2オンを狙って行き、上手く行けばイーグルもある、スリリングなホールです。
 タイガー・ウッズ選手とアーニー・エルス選手のプレーオフにおいて、両選手が共に2オンし、共にイーグルを奪って(相当長めのパッティングが入っていました)、決着しなかったシーンは、今でも良く憶えています。
 「狙ってイーグルを取って行く」両選手の姿は、世界のトッププロそのものでした。

 さて、2020年の出場プレーヤーを見ると、ジェイソン・デイ選手やジョーダン・スピース選手、ロリー・マキロイ選手の「新3強」の名前が有りません。
 これは、やや寂しいというよりは、「時代の変遷」と言った方が良さそうです。

 フレッシュな選手名が数多く並んだ2020年のトーナメントオブチャンピオンズは、「PGAの新時代を開く大会」だったのかもしれません。

[10月24日~28日・アコーディアゴルフ習志野カントリークラブ]
1位 タイガー・ウッズ選手 19アンダーパー
2位 松山英樹選手 16アンダーパー
3位 ロリー・マキロイ選手 13アンダーパー
3位タイ イム・ソンジュ選手 13アンダーパー
5位 ゲーリー・ウッドランド選手 12アンダーパー

 日本で初めて開催されたPGAツアーの一戦、ZOZOチャンピオンシップ大会は、何か「シナリオが存在したかのような」結果となりました。

 タイガー・ウッズ選手が優勝し、PGAツアー通算82勝という「史上最多勝タイ記録」を樹立しました。不滅の記録、空前絶後の記録と呼ばれたサム・スニード選手の「82勝」に、ウッズ選手がついに並んだのです。
 あの「帝王」ジャック・ニクラウス選手でさえ73勝(史上3位)なのですから、この記録の凄さが分かります。
 
 この大記録が、習志野カントリークラブで達成されたのですから、習志野カントリークラブの名前も、PGA史にしっかりと刻まれました。

 そのタイガー・ウッズ選手を追いかけ続けたのが、松山英樹選手でした。

 日本で初めて開催されたPGAツアーのトーナメントで、日本出身プレーヤーが大活躍するというのは素晴らしいことですが、これは「狙ってできる」ことではないでしょう。

 松山選手にも一段と「気合」が入ったのでしょうが、見事な活躍に大きな拍手です。

 さて、このトーナメントを前にして、もしプロデューサー(名前は山田氏としましょう)が居て、各種の条件を考慮しながら「ストーリーを創造する」とすれば、

① タイガー・ウッズ選手の「82勝」達成
② タイガー・ウッズ選手と松山英樹選手の優勝争い

 の2点が最も望まれることであったと思います。

 とはいえ、これはなかなか実現できそうもないこと、世界最高峰のプレーヤーが数多く参戦してくるのですから、そんなにうまく行く筈が無いと見るのが普通でしょう。

 ロリー・マキロイ選手はもとより、ジェイソン・デイ選手、ジャスティン・トーマス選手、ババ・ワトソン選手、トニー・フィナウ選手、ジョーダン・スピース選手、ルーカス・グローバー選手、パトリック・リード選手、シェーン・ローリー選手、ザンダー・シャウフェレ選手、ライアン・パーマー選手、等々、キラ星の如く、一流プレーヤーが出場してきているのですから。

 タイガー・ウッズ選手は、マスターズ2019に優勝して以降不振で、8月には手術もしています。回復途上にあるのです。
 松山選手も、PGAツアーでは2017年8月以降勝利していません。もちろん、世界のトッププロとしての活躍は続けていますが、このところはなかなか優勝争いが出来ていないのが実情だったのです。
 山田プロデューサーの「目論見」が実現する可能性は、とても小さいと思われました。

 ところが、ところが、トーナメントは山田プロデューサーの狙い通りの展開・結果となりました。

 まさに「奇跡的」なことでしょう。

 「ゴルフの神様」の存在を信じるしかなさそうです。

[10月6日・最終成績]
1位 畑岡奈紗選手 18アンダーパー
2位タイ 岡山絵里選手 14アンダーパー
2位タイ ユ ソヨン選手(韓国) 14アンダーパー
2位タイ 大里桃子選手 14アンダーパー

 最終日を最終組でラウンドした畑岡選手が、3アンダーでまとめて、トータル18アンダーで「女子オープン」を制しました。
 3度目の制覇となりますが、20歳にして3度目の「女子オープン」制覇というのは、驚異的と言って良い成績でしょう。(「女子オープン」は、日本の全ての女子ゴルファーにとって特別なトーナメントであると、関係者の誰もが語ります。プレーヤーの誰もが一度は優勝したいと憧れる存在なのです)

 畑岡選手の、日本女子プロツアー初勝利が2016年の「女子オープン」でした。史上初めて、アマチュアで「女子オープン」を制覇したのです。高校生プレーヤーの優勝として、大きな話題となりました。

 それ以降、今大会の優勝でJLPGAツアー通算5勝目となりますが、内3勝が「女子オープン」というのですから、畑岡選手の大トーナメントでの強さは際立っています。

 2015年から世界ジュニアゴルフ選手権大会で活躍していたことも有ってか、プロ入りして早々に、畑岡選手は主戦場をアメリカツアーに定めました。
 そしてアメリカ女子プロゴルフツアーでも、既に3勝を挙げているのです。

 今大会最終日でも、ボギーが先行し苦しいラウンドとなりましたが、バックナインに入って「勝負どころでのバーディ奪取」が印象的でした。
 このポイントを外さないプレーが、畑岡選手最大の強みなのでしょう。

 畑岡選手は、日本女子プロツアーの最年少記録を次々と塗り替えています。
 そのプレー振りは「ミラクル」の一語でしょう。

 現在の世界ランキングは6位。全英女子オープン2019を制した渋野日向子選手が11位です。
 畑岡選手と渋野選手が日本女子ゴルフを牽引している両輪であることは、間違いないところでしょう。

 「奈紗」という名前は、宍戸ヒルズカントリークラブに勤務していたお母さんが、「前人未到の事を成し遂げるように」とアメリカ航空宇宙局NASAに因んで付けたと報じられています。
 お母さんの思い・願いどおりに、いや、それ以上に、畑岡選手は「空前のキャリア」を積み上げ続けています。

[9月12日・日本女子プロゴルフ選手権1日目・兵庫県チェリーヒルズG.C.]
・渋野日向子選手 70打 2アンダーパー

 快記録です。

 日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯、国内メジャー大会初日のラウンドで、渋野選手は5バーディ・3ボギーの2アンダーで回り、「29ラウンド連続オーバーパー無し」のツアー新記録を樹立しました。

 この日はボギーが先行する苦しい展開でしたが、前半で1バーディを奪って1オーバーで折り返すと、後半にはバーディを重ねて、快記録をものにしたのです。まさに「後半に強い」渋野選手の面目躍如たるものが有ります。

 8月初の全英女子オープンを制した後、大喧噪の中でコンディションを崩した時期もありましたが、トーナメントに出場し続けたところが、本当に凄いところでしょう。
 その間も、この記録を伸ばし続けたのですから、驚異的としか言いようが無く、ついに新記録に結びつけたのです。

 LPGAの新記録を樹立したということは、ある意味では「これまでLPGAツアーに登場した全てのプレーヤーを超える存在」ということですし、その実力を擁して「海外メジャー制覇」を成し遂げたことになります。
 海外メジャーを制する実力のレベルを明示したような新記録であると感じます。

 ラウンド後のインタビューで「今日は記録のことばかり考えていた。『あとはどうでもいいから、今日だけはオーバーパーを打たないように』って。名前が残るのはとてもうれしい」と渋野選手はコメントしました。
 渋野選手自身が記録を相当に意識していたことが分かりますし、「新記録を樹立しようと狙い、それを実現するパワー」に改めて感服させられます。

 プレーヤーとしての渋野選手のサイズは、どれ程に大きいのでしょうか。

 2018~19年のPGAツアーは、ロリー・マキロイ選手が年間王者に就き、8月25日に終了しました。

 そして、ほんの少し休んで、9月12日から2019~20年シーズンが開幕するのです。

 PGAツアーに出場するプレーヤーの皆さんは、本当に休み無く戦い続けていると感じます。
 もちろん、ベテラン選手やビッグネーム達は、9月12日~15日に開催されるア・ミリタリートリビュートatザ・グリーンブライア―大会や、9月19日~22日のサンダーソンファームズ選手権大会、9月26日~29日のセーフウェイオープン大会などは欠場して、心身の回復に努めるのかもしれませんが、昨シーズンのプレーオフシリーズに出場していなかった選手達にとっては、「もう、休養十分」ということかもしれませんので、新シーズンの緒戦から激しい戦いが繰り広げられることでしょう。

 2020年8月に向けての、「フェデックスポイントの取り合い」が、早々にスタートするのです。

 さて、2019~20年シーズンのビッグトーナメントのスケジュールを見てみましょう。

① ザ・プレーヤーズ選手権 2020年3月12日~15日
② マスターズ 2020年4月9日~4月12日
③ 全米プロ選手権 2020年5月14日~17日
④ 全米オープン 2020年6月18日~21日
⑤ 全英オープン 2020年7月16日~19日
⑥ 東京オリンピック 2020年7月30日~8月2日
⑦ ツアー選手権 2020年8月27日~30日

 3月からビッグトーナメントが毎月のように開催されますが、やはり「東京オリンピックの男子」が目立ちます。
 2020年のPGAツアーを彩る、とても大きなイベントなのです。

 また、2019年の日本に関することであれば、2019年10月24日~27日に開催される、ZOZOチャンピオンシップ大会でしょう。
 PGAツアーが日本・習志野カントリークラブにやってくるのです。
 丁度、ラグビーワールドカップ2020日本大会の終盤の戦いと重なる時期です。

 世界のスポーツが「日本で花盛り」という時期なのでしょうか。

 前述の7大会を中心とした「PGAツアー2019~20」は、また素晴らしいシーンの連続になりそうです。

[8月29日~9月1日・小樽カントリー倶楽部]
1位 鈴木愛選手 277打 11アンダーパー
2位 申ジエ選手 9アンダーパー
2位タイ アン・ソンジュ選手 9アンダーパー
4位 安田祐香選手(アマチュア) 8アンダーパー
5位 渋野日向子選手 7アンダーパー
6位 原英莉花選手 6アンダーパー

 名コース・小樽カントリー倶楽部を舞台にしての4日間トーナメント、ニトリレディスゴルフトーナメント2019において、鈴木愛選手が終盤の難ホールを見事にクリアして優勝を飾りました。
 1ホール毎に形勢が変わる難しい状況下、素晴らしいショットを魅せてくれたのです。

 特に勝負どころの16番ホール、女子選手にとっては相当に長いパー4の第2打、204ヤードのセカンドショットを3番ウッドで見事にグリーンヒット、パーをセーブしました。
 この「パー」が鈴木選手に優勝を齎したと言っても言い過ぎではないでしょう。

 18番ホールで最後のパッティングを決めた時、鈴木選手は「小さくガッツポーズ」を魅せました。
 とても格好良いと感じました。

 それにしても、このトーナメントにおける日本選手の活躍には、目を見張りました。
 
 アマチュアで4位に食い込んだ安田選手の堂々たるプレー振り、特に2~3mのパッティングの上手さは、今後のプロツアーでの大活躍を予感させるに十分でした。

 5位の渋野選手も、全英オープン制覇以降の「大騒ぎ」の中で、トーナメントに出場し続け、好成績を収め続けているというのは、「驚異的」という他は無く、このプレー振りに「メジャーチャンピオン」の地力を感じます。28ラウンド連続オーバーパー無しという「日本女子ツアー・史上最多タイ記録」も、見事の一語でしょう。

 6位の原選手、7位タイの脇元華選手のプレーも素晴らしいものでした。
 原選手にとっては、16番の第2打が惜しまれるところですが、そこから崩れることなく、冷静なプレーを続けたところに「強さ」を感じます。

 日本女子ゴルフ界の選手層は、「日に日に厚くなっている」のでしょう。

 新しいレギュレーションで実施された、2019年のPGAツアー最終戦、ツアーチャンピオンシップトーナメントbyコカコーラは、ロリー・マキロイ選手(北アイルランド)が優勝し、2018~19年シーズンのフェデックスカップ「年間王者」に輝きました。

 マキロイ選手は2015~16年シーズンに続いて2度目の年間王者となり、1,500万ドル(約16億円)を獲得しました。

 新レギュレーションの下、マキロイ選手は5アンダーパーでトーナメントをスタート(前トーナメントまでのポイント5位)しました。
 そして、プレーにおいて13アンダーパーを記録し、通算18アンダーパーで優勝したのです。

 前トーナメントまでのポイントランキングトップ、10アンダーパーからスタートしたジャスティン・トーマス選手は、4日間で3打しかスコアを伸ばすことができず、トータル13アンダーパーで3位タイに終わりました。
 前トーナメントまでのポイントランキング3位、7アンダーパーでスタートしたブルックス・ケプカ選手は、4日間で6打スコアを伸ばしましたが、トータル13アンダーパーでトーマス選手と並んで3位タイでした。

 2位には、4アンダーパーでスタートし、4日間のプレーで10打スコアを伸ばしたザンダー・シャウフェレ選手が14アンダーパーで入りました。
 シャウフェレ選手も良くスコアを伸ばしたのですけれども、第4ラウンドがマキロイ選手4アンダー、シャウフェレ選手イーブンパーという、この4打差がそのまま大会結果となったのですから、「逆転のシャウフェレ」としては、残念な形でしょう。

 3アンダーパーでスタートした、我らが松山英樹選手は、第1ラウンドと第3ラウンドのプレーで各4アンダーと気を吐きましたが、2日目・第2ラウンドの5オーバーが響き、結局トータル5アンダーパーの9位タイとなりました。
 PGAツアーのトップ30による年間王者を決めるトーナメントで9位タイというのは、もちろん好成績と観て良いのでしょうけれども、1日目を終えて「首位と3打差」まで迫っていたことを考え合わせると、残念な結果とも言えるでしょう。

 前週のプレーオフ第2戦・BMW選手権トーナメントを快勝して、プレーオフ第3戦・ツアー最終戦を迎えたトーマス選手が、4日間で3打しか伸ばせなかったというのは「意外」という感じがします。ゴルフという競技の難しさを、改めて感じさせる事実でしょう。

 また、2018~19年シーズンのメジャー大会での活躍が目立った、ケプカ選手とシャウフェレ選手も、あと一歩届きませんでした。
 
 最終日・最終組は、3日目までトップのケプカ選手と2番手のマキロイ選手のカップリングでした。
 そして、勝負を分けたのは、12番ホールと13番ホール(いずれもパー4)でしょう。
 
 この2ホールをマキロイ選手はバーディとし、ケプカ選手はボギーとして、「2ホールで4打の差」がついたのです。このレベルのトーナメントのサンデーバックナインとしては、決定的な大差でした。

 ビッグトーナメントに強く、プレーの安定度で言えば、現在のプレーヤーの中では世界一とも称されるケプカ選手に対して、これだけのプレッシャーを掛けるマキロイ選手の「強烈な」プレーが印象的な2ホールでした。

 「勢いに乗った時には手が付けられない」、ロリー・マキロイ選手の強さが際立ったトーナメントだったのでしょう。

 アメリカPGAツアー2018~19年シーズンの最終戦、ツアーチャンピオンシップトーナメントbyコカコーラが、8月22日、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ郊外のイーストレイクゴルフクラブを舞台に開幕します。

 例年通りの最終戦ですが、今年からレギュレーションが大きく変わりました。

 プレーオフ第2戦のBMWチャンピオンシップまでのポイントランキング順に「ハンディキャップ」が明示される方式になったのです。
 「衝撃的なルール」だと感じます。

 1年間戦って来て、BMW選手権までのランキング1位はジャスティン・トーマス選手ですが、このトーマス選手はいきなり「10アンダー」から4日間のプレーを開始するのです。
 同様に、ランキング2位のパトリック・キャントレー選手は「8アンダー」から、同3位のブルックス・ケプカ選手は「7アンダー」から、4位のパトリック・リード選手は「6アンダー」から、5位のロリー・マキロイ選手は「5アンダー」から、トーナメントに入るのです。

 そして、ランキング6位から10位の選手は「4アンダー」から、11位から15位の選手(松山英樹選手はここです)は「3アンダー」から、16位から20位の選手は「2アンダー」から、21位から25位は「1アンダー」から、26位から30位はイーブンパーで、初日の1番ティーのティーイングショットに臨むことになります。

 例えば、松山選手とトーマス選手には、最初から「7打差」が付いているというルールです。

 年間王者を決めるという戦いにおいては、360日の成績と最後のトーナメントの成績をどのように「年間成績」に反映させるかという、難しいテーマが常に存在します。
 フェデックスカップとプレーオフ制度が導入された2007年から、様々な取組が行われてきました。

① 観客の分かり易さ

 昨年までのツアー選手権大会では、それまでに積み上げられたポイントに、最終戦の「大きなポイント」が加算されて合計点を出し比較して、年間王者を決めるという方式でした。
 
 そのポイントの配分方法が毎年のように変更されていた印象があります。
 例えば、戦前のポイント上位5名がツアー選手権大会で優勝すれば、他の選手の成績に係わらず年間王者となるが、ポイントが6位以下の選手が優勝した場合には、上位の選手の順位(例えば戦前のポイント1位の選手がツアー選手権で2位に入った場合)によっては、年間王者の行方が分からないといった事態が、発生していたのです。
 実際に、ツアー選手権大会の優勝者と年間王者が別々のプレーヤーという年も、ありました。

 近年は、ツアー選手権大会で付与されるポイントの比重が高くなり、大会優勝者と年間王者が同じ選手というケースが多かったように感じます。

 いずれにしても、ツアー選手権大会の観客の立場からすれば、眼前で行われているプレー・成績と、年間王者との関係を把握することが、とても難しかったことは事実でしょう。

 一方で、BMW選手権大会までに、あるいはプレーオフに入る前までの、11ヵ月間で積み上げてきたポイントが重視されるべき、それこそ「年間王者」であろうという意見、「プレーオフおよび最終戦・ツアー選手権のポイントが大き過ぎる」という見方があったことも事実です。

 また、PGAやフェデックス社の立場からすると、プレーオフシリーズやツアーチャンピオンシップトーナメントに注目が集まるように、プレーオフの3大会、特に最終戦にポイントを重く配したいというニーズがあるのも、無理のないところです。

 2007年以降、毎年のように「このバランス」についての議論が交わされ、様々な形が採用・試行されてきたわけです。

 そして、ついに、「スタート前からハンディキャップ」を付するという、2019年大会の方式が採用されたのです。
 この方式ならば、目の前で行われているプレーのストローク順位がそのまま年間王者を決める競い合いとなりますので、観客には、とても分かり易いのです。

 他方で、「スタートする前からアンダーパーの選手が居る、それも『10打差』といった大差」があるのは、ゴルフ競技には馴染まないのではないか、といった意見も出てくることが予想されます。

 ツアー選手権大会2019は、PGAにとって、世界中のプロゴルフトーナメントにとっても、大きな挑戦なのであろうと感じます。

 とても興味深い取組です。

② プレーヤーにとっても挑戦し甲斐が有る方式ではないか。

 2018年までの方式ですと、例えばポイント30位で出場した選手が年間王者となるためには、まず自身がツアー選手権大会で優勝して、戦前のポイント1位から5位位までの選手が、軒並み25位以下の成績に成らなくてはならないという、あまり起こりそうもない事態が必要であったように記憶しています。(毎年のようにレギュレーションが変わりましたので、古い記憶かもしれません)

 それと比べると、2019年方式は、単純に言えば「10打差を逆転すれば誰にでも優勝のチャンスが有る」のです。
 出場するプレーヤーにとっても、「やりがいがある方式」になっているように思います。

 「10打差」は、4日間のプレーにおいては「1日2.5打」詰めて行けば並ぶことができます。
 世界トップクラスのプレーヤーを相手に、1日2.5打平均で詰めて行くのは、もちろん至難の技ですが、追いかけるプレーヤーが目の前でその差を明確に把握しながら、プレーを行うことができるところは、とても面白いのではないでしょうか。

 2019年大会は、プレーヤーにとっても、新方式の意義が分かる大会なのです。

 新方式による2019年ツアー選手権大会の「年間王者」関連ボーナスは、優勝者が約15億9千万円(1,500万ドル。1ドル=106円換算)、2位が約5億3千万円(500万ドル)、3位が約4億2千万円(400万ドル)と報じられています。桁違い、気が遠くなるような高額です。

 全てのプロゴルファーにとっての「世界最大の夢」が、PGAツアーのフェデックスカップ「年間王者」であることは、間違いないのでしょう。
 もし、最終日・最終ホールで1打を巡る争いとなれば、極めて明確な「超高額な1打=例えば1打10億円のパッティング」が現出することになります。
 
 2019年のツアーチャンピオンシップトーナメントは、例年以上に面白くなりそうです。


[BMW選手権・8月15日~18日・メダイナC.C.(イリノイ州)]
1位 ジャスティン・トーマス選手 25アンダーパー
2位 パトリック・カントレー選手 22アンダー
3位 松山英樹選手 20アンダー
4位 トニー・フィナウ選手 18アンダー
5位 ジョン・ラーム選手 16アンダー
5位タイ ブラント・スネデカー選手 16アンダー

 松山英樹選手が、今季のプレーオフ第2戦・BMW選手権大会で3位の好成績を収め、8月22日~25日にかけて開催される、今季PGAツアー最終戦・ツアー選手権大会の出場権を得ました。

 BMW選手権に、フェデックスポイントランキング33位で臨んだ松山選手は、この大会で好成績を収めない限り、ポイント上位30選手しか出場できないツアー選手権には進めないところでした。

 「正念場」のトーナメントでしたが、松山選手は2日目に新コースレコードの「63」を叩き出して首位に立つと、最終の4日目も63打でラウンドして、3位に食い込みました。
 この好成績でポイントを積み上げ、ランキングも15位として、堂々と最終戦の出場権を得たのです。

 毎年書きますが、このツアー選手権大会に出場する「30名のゴルファー」が、現在の世界のトップ30なのです。
 その大会に、松山選手は「6年連続」で出場することになります。

 2019年のツアー選手権出場選手で、6年連続以上に連続で出場しているのは、ダスティン・ジョンソン選手(11年連続)とパトリック・リード選手(6年連続)と松山選手の3名だけです。
 松山選手の「6年連続の価値」がいかに重いか、お分かりいただける事実でしょう。
 松山選手は、6年間に渡って「世界トップ30の地位」を維持していることになります。

 2019年のツアー選手権には、タイガー・ウッズ選手も、フィル・ミケルソン選手も、ジョーダン・スピース選手も、ジェイソン・デイ選手も、参加できません。
 ポイント30位以内に入ることができなかったのです。
 毎期のPGAツアー最終戦であるツアーチャンピオンシップトーナメントに出場したかどうか、というのは直近1年間の「PGAツアーにおける成績」を如実に表しているのです。

 調子を上げてきている、我らが松山英樹選手のツアー選手権2019における大活躍が、期待されます。

 8月4日にかけて、ミルトンキーンズ・ウォーバーン・ゴルフクラブを会場に開催された、今季の女子ゴルフメジャー大会最終戦、全英女子オープンゴルフ大会において、渋野日向子(しぶの ひなこ、20歳)選手が優勝しました。

 日本人プレーヤーによる海外メジャートーナメントの優勝は、1977年の樋口久子選手による全米女子プロ大会優勝に続く、史上2人目の「快挙」です。
 
 本当に「信じられない」優勝です。

 本トーナメントの第1日目・2日目では、渋野選手の「好調なショット」が伝えられました。
 アプローチショットが「ビシビシ」ピンに絡むのです。ピンから2m以内にグリーンヒットしたショットが、テレビ画面を飾り続けました。

 そして最終日のスタート時点では、2位に2打差を付けて首位のスタートとなったのです。

 メジャートーナメント最終日を「2位に2打差の単独トップ」で迎えること自体が、日本人プレーヤーにとっては「快挙」と評しても、何の問題も無いと感じます。

 ところが3番ホール・429ヤード・パー4で「4パット」のダブルボギーを叩き、首位から後退しました。
 心配性?の日本のサポーターとしては、「やっぱりダメか」「メジャーで勝つのは難しい」と感じた方が多かったと思いますし、私もそう思いました。

 しかし、ここからの渋野選手の「外連味の無いプレー」は見事でした。
 特にパッティングは、長短に係わらずしっかりと狙い、思い切り良く打っていったのです。
 「メジャートーナメントにおける痺れ」といった様子は皆無でした。

 5番・359ヤード・パー4をバーディとし、7番・520ヤード・パー5もバーディを重ねます。
 8番・171ヤード・パー3はボギーとしましたが、怯むことなく10番・385ヤード・パー4を再びバーディとして、優勝争いに踏みとどまりました。

 そして、12番、13番、15番とバーディを重ねて、ついに首位に並んだのです。
 何より驚いたのは、この時の渋野選手の笑顔と行動でした。
 数多くのファンとハイタッチをしながら、16番ホールに歩を進めました。

 ハイタッチによって「腕を痛める」リスクなど全く感じていない様子、トーナメントの流れを掴み、雰囲気を味方にして、残り3ホールに向かう渋野選手は、「本当にこの大会を楽しんでいる」ように観えました。

 ラウンド中の軽食も、笑顔と共に口にしていました。
 チーカマかと思いましたが、これが「タラタラしてんじゃねーよ」という名前のお菓子であることは、後から知りました。エスニック風味でピリッとするのだそうです。
 NBA八村塁選手の好物「白えびビーバー」に続く、「令和のアスリートが好きなお菓子」第二弾というところでしょうか。「タラタラしてんじゃねーよ」にも、今後注文が殺到するかもしれません。

 さて、16番、17番をパーで切り抜け、首位タイで迎えた18番ホール。
 4~5mのバーディパット。
 スライスラインのパッティングは、右に切れながらカップを目指し、あと10cmカップが遠くに在れば入らなかったであろうラインで、カップの右淵から吸い込まれました。
 素晴らしいパッティングでした。

 メジャートーナメントの最終日・最終ホールの長めのパッティング、このパットを決めれば優勝という局面に遭遇すること、そういう局面を創り上げること、自体がとても「凄い」ことでしょう。
 ましてや、そのパッティングを決めて優勝するとなれば、これは「全てのゴルファーにとっての『夢』の実現」です。

 渋野選手は、そのパッティングを、いつものルーティンから行ったように観えました。

 「思い切りの良い」プレーというのも少し違う感じがします。
 「確信を持って、いつものようにプレーした」というのが、最もピッタリくるのではないでしょうか。
 もちろん、調子が良かったことは言うまでも無いでしょう。

 少し強めのパットでしたから、もし入らなければ2~3m位オーバーしていたかもしれませんが、あの強さだったからこそ、カップ寸前で右に流される度合いが小さく、「入った」ことも間違いありませんから、「入れに行った」プレーだったのでしょう。

 ラウンド後のインタビューで、「3パットでも仕方がないと思って打ちました」と渋野選手はコメントしました。
 この日のラウンドにおいて、渋野選手はそうした心持ちでプレーを続け、優勝を飾ったのです。

[全英女子オープン2019・最終成績]
1位 渋野日向子選手 270打・18アンダーパー
2位 リゼット・サラス選手(アメリカ) 17アンダー
3位 コ・ジンヨン選手(韓国) 16アンダー
4位 モーガン・プレッセル選手(アメリカ) 15アンダー
5位 アシュー・ブハイ選手(南アフリカ) 14アンダー

 最終日に65打の好スコアを叩き出したアメリカのベテラン・サラス選手、同66打の好スコアで上がった韓国のコ選手を、キッチリと押さえて勝ち切った、渋野選手の見事な、本当に見事な優勝でした。

 渋野選手は、最近の日本女子ゴルフ界を席巻している、所謂「黄金世代」のひとりです。
 1998年生まれのプレーヤーを中心とした「黄金世代」は、日本女子プロゴルフツアーはもちろんとして、国際大会でもその存在感を増しているのです。

 原英莉花(はら えりか)選手、河本結(かわもと ゆい)選手、吉本ひかる(よしもと ひかる)選手、小祝さくら(こいわい さくら)選手、臼井麗香(うすい れいか)選手、勝みなみ(かつ みなみ)選手、高橋彩華(たかはし さやか)選手、大里桃子(おおさと ももこ)選手、新垣比菜(あらがき ひな)選手、といった「黄金世代」の選手たちは、「渋野選手がメジャーに勝てるのなら、私も」と考えている可能性が高いと思います。

 おそらく、「黄金世代」の選手たちが、世界中のトーナメントで活躍する日は近いのでしょう。

 渋野日向子選手は、日本女子ゴルフ界に「新時代」を開きました。

 7月18日~21日にかけて開催された、全英オープンゴルフ2019は、地元北アイルランドのシェーン・ロウリー選手が優勝しました。
 68年振りに北アイルランド・ロイヤルポートラッシュゴルフクラブを舞台に開催された「The Open」における、見事な勝利でした。

[最終スコア]
1位 シェーン・ロウリー選手 269打 15アンダーパー
2位 トミー・フリートウッド選手(イングランド) 9アンダー
3位 トニー・フィナウ選手(アメリカ) 7アンダー
4位タイ ブルックス・ケプカ選手(アメリカ) 6アンダー
4位タイ リー・ウェストウッド選手(イングランド) 6アンダー

 2日目から首位に立ったロウリー選手ですが、やはり3日目のラウンドが圧巻でした。
 8バーディ0ボギーの63打という、コースレコードを更新する素晴らしい第3ラウンド。
 特に15番、16番、17番の3ホール連続バーディの時には「神がかりの強さ」を感じました。パッティングが「当たり前のように」入るのです。ロイヤルポートラッシュGCのグリーンの状態とロウリー選手のパッティングのタッチ・打ち方がとても合致した結果ということなのでしょうが、それにしてもこれだけ入るというのは尋常ではありません。
 ゴルフの神様が微笑んだ時間帯だったのでしょうか。

 当然のことながら、メジャートーナメントのコースにおいて、これ程のプレーを展開することは至難の技です。世界トップクラスのライバルたちがひとつのバーディを取るのに汲々としている中で、8つのバーディを重ねているのですから、「ミラクル」なラウンドであったことは間違いないでしょう。

 2位に4打差を付けてスタートした最終ラウンドも、もちろんピンチは有りましたが、結局のところ、その差を6打に広げて逃げ切っています。
 全英オープン2019は、ロウリー選手のための大会だったのです。

 北アイルランドを代表するプロゴルファーであるロリー・マキロイ選手が、初日の1番ホールで8打を叩き、2日目に懸命にスコアを伸ばしたものの予選落ちしてしまった時には、北アイルランドのゴルフファンは失望したことでしょうが、その替わりをロウリー選手が立派に果たしました。
 「その替わり」というよりは、素晴らしい「圧勝劇」を演じてくれたと見る方が正しいのでしょう。
 
 メジャー初制覇を、地元のコース、北アイルランドで68年振りに開催された大会で成し遂げるというのは、本当に凄いことです。

 32歳のシェーン・ロウリー選手の、今後の活躍が期待されます。

 7月18日~21日に開催される全英オープンゴルフ大会の会場名を聞いて、「?」となりました。

 定められたコースで「もちまわり」で開催されることが慣例となっている全英オープンですから、毎年「今年はここか」と納得してきた(勝手に)のですが、約50年間「The Open」を観てきた身でも、「初めて聞くコース」だったからです。

 R&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ=イギリスあるいは世界を代表するゴルフ競技の総本山)も、ついに「新コースを全英オープン会場に組み入れたのか」と、次には考えましたが、これも違っていました。

 ロイヤルポートラッシュ・ゴルフクラブは、1951年に一度全英オープンに使われていたのです。
 「68年振り2度目の全英オープン開催」というのが、正しい理解ということになります。

 さすがに、1951年(昭和26年)には、全英オープンゴルフを観ていませんでしたので、「聞いたことが無かった」わけです。

 それにしても、セントアンドリュースやカーヌスティ―、ロイヤルトゥルーン、ロイヤルバークデール、ロイヤルリザム&セントアンズ、ロイヤルリバプール、ロイヤルセントジョージズ、といったお馴染みのコース達に、ロイヤルポートラッシュが「新たに加わった感」が強いことも事実でしょう。

 ロイヤルポートラッシュは「北アイルランド」にあります。
 アイルランドの首都ベルファストから北に約90km行ったアントリム海岸沿いに展開されているのだそうです。

 所謂英国本土というかグレートブリテン島以外の場所で、唯一の全英オープン開催コースなのです。そして今回が2回目です。
 2019年の大会は、もちろん北アイルランド史上屈指のスポーツイベントになりますが、今後定期的に開催されることとなれば、北アイルランドスポーツ界の一大イベントとして定着して行くことでしょう。

 数少ない情報を集めてみると、どうやら通常は7,143ヤード、パー72のようです。メジャー大会ともなれば、どのようにアレンジメントされるかは分かりませんが・・・。
 当然ながらリンクスコースで、アップダウンが有り、フェアウェイが狭く、グリーンのアンジュレーションも強いと・・・。難しいコースということになります。

 北アイルランドは、名ゴルファーを輩出する地です。
 ロリー・マキロイ選手、グレアム・マクドゥエル選手、ダレン・クラーク選手といったメジャートーナメントの優勝者も居ます。
 そうした「ゴルフ先進地域」で、ほとんど初めて開催されると言って良い全英オープン2019。

 その新鮮な「絵」が、とても楽しみです。

 ペブルビーチ・ゴルフリンクスを舞台に開催されている、第119回全米オープンゴルフ大会は、「カリフォルニアの青い空」は無く、曇天の3日間のラウンドを終えて、最終日を迎えることとなりました。

 最高気温で観ると、先週は26℃あったものが、トーナメント2日目には12℃、3日目も14℃と、この時期としては肌寒い気候でしたが、一方で、とても穏やかなラウンドが続きました。
 風が強い時のペブルビーチは、とても難しいのですけれども、今回の第3ラウンドまでは、微風と言っても良い状況であったと思います。(もちろんリンクスコースですから無風という訳には行かず、ときには5m位の風は吹いたのですが、「ペブルビーチとしては」穏やかな環境でした)

 さて、3日目を終えてのトップ10は、

・1位 ウッドランド選手 11アンダーパー
・2位 ローズ選手 10アンダー
・3位タイ ケプカ選手 7アンダー
・3位タイ リービー選手 7アンダー
・3位タイ ウーストヘイゼン選手 7アンダー
・6位 マキロイ選手 6アンダー
・7位タイ クーチャー選手 5アンダー
・7位タイ ハドリー選手 5アンダー
・9位タイ ウィレット選手 4アンダー
・9位タイ マクドゥエル選手 4アンダー
・9位タイ ラーム選手 4アンダー
・9位タイ ステンソン選手 4アンダー
・9位タイ ウォレス選手 4アンダー

 となっています。

① 優勝スコア予想→10~11アンダーパー

 メジャートーナメントですから、最終日にはスコアが伸びないのが通常です。ましてや、最も難しいセッティングの全米オープンですから、現在トップのスコアである11アンダーで、最終日最終ホールをクリアできれば、優勝の可能性は相当高いと見るのか妥当です。

 3日目まで非常に穏やかなペブルビーチ、いわば「借りてきた猫」のような様子でしたから、最終日に少しでも「牙を剥けば」、優勝スコアが下がる可能性が高いので、10アンダーの可能性もあるでしょう。

② 優勝候補

 優勝候補の1番手は、ゲイリー・ウッドランド選手です。スコアを伸ばしていくことが、とても難しい全米オープンの最終日ですから、3日目終了時点でトップに立っている選手が優勝候補筆頭であることは、自然なことです。

 優勝候補の2番手は、ジャスティン・ローズ選手です。前述と同様の理由で、3日目終了時点で2位の選手が、優勝候補次席となります。
 今回は「単独2位」であり、タイスコアの選手が居ませんので、明確な優勝候補2番手であると考えます。

 ウッドランド選手とローズ選手の比較ですが、3日目のラウンドの内容を観ると、ウッドランド選手に「ミラクルなプレー」がいくつか観られました(12番ホールのチップインや14番ホールの10m以上のパッティングが入ったことなど)ので、こうした「ミラクルなプレー」が連日続く可能性は低いと考えれば、優勝候補1・2番手の差は小さいと見るのが妥当でしょう。

 ウッドランド選手とローズ選手は最終日・最終組で「互角」の優勝争いを繰り広げると思います。

 優勝候補の3番手は「居ない」というのが、冷静な見方でしょう。

 現時点で3位タイのプレーヤーのスコアは7アンダーですから、優勝スコアを11アンダーとすれば、全米オープンの最終日、スタート時点でトップ10に入っている選手が「4アンダー以上のスコア」を叩き出す可能性は極めて低いてしょう。

 もし、3日目を終えて7アンダーパー以下のプレーヤーが、上位の2選手を捕えることがあるとすれば、ウッドランド選手とローズ選手が共にスコアを大きく崩した時に限られます。
 少なくとも、メジャータイトルホルダーであり、オリンピック金メダリストでもあるジャスティン・ローズ選手が、その精神力と経験をベースにしたプレーを展開すれば、スコアを大きく崩すというのは考えにくいところです。

 「何が起こるか分からない」と言われるメジャー大会ですが、実際のところは、大逆転優勝など滅多に起こりませんし、優勝者が「3日目を終えて首位から3打差以内のプレーヤー」から出る可能性がとても高いことは、皆さん良くご承知の通りです。

 世界トップクラスの選手達が、「スコア維持」の為に、世界最高の技と精神力を駆使して闘うのが、全米オープン最終日のラウンドなのです。
 そして、その戦いはとても味わい深いものなのでしょう。

 従って、優勝候補の3番手は居ないと観ているのですが、上位の2選手が大崩れした時に、どの選手が優勝に近いかということであれば、ブルックス・ケプカ選手とルイ・ウーストヘイゼン選手でしょうか。
 共にメジャータイトルホルダーであり、粘り強いプレーが持ち味です。

 114年振りの「全米オープン3連覇」を目指すケプカ選手にとっては、3日目までの「穏やかなコンディション」が想定外であったろうと感じます。
 通常の全米オープンの様に3日目を終えてアンダーパープレーヤーが10名以内というトーナメントとなれば、ケプカ選手が狙う最終日となったのでしょうが、今大会ここまでは26名のプレーヤーがアンダーパーであり、ケプカ選手にとっては「良いスコアが出過ぎている」ように観えます。

 我らが松山英樹選手は、3日目に7.バーディを奪い、スコアを1つ伸ばしました。
 7つのバーディを奪いながら、スコアが1つしか伸びないのは、コースのセッティングが難しいからであり、スコアを伸ばすためにアグレッシヴなプレーを展開すれば、バーディも取れるがボギーやダブルボギーも出るのが「全米オープンのセッティング」なのです。

 「堅実にパーを積み重ねる安全第一のゴルフをしながら、ここぞというチャンスで1つか2つのバーディを実らせ、1ラウンドで1打伸ばすプレー」を選択するのか、「攻め捲り、多くのバーディと多くのボギーを交錯させて1打伸ばすプレー」を選択するのかは、全米オープンに挑むプレーヤーの戦略判断そのものです。
 もちろん、全米オープンにおいて「1ラウンドで5打伸ばそう」とすれば、後者の戦略を採用し、ボギー・ダブルボギーを最小限に抑えるというラウンドを示現する以外にはありません。

 さて、本ブログでは何度も書いていますが、総合的に観て「世界最高のアイアンショットメーカー」であろうジャスティン・ローズ選手の、最終日のプレーに注目しています。
 今大会は2~3m位のパッティングも堅実ですから、2013年以来2度目の全米オープン制覇も、夢では無いでしょう。
プロフィール

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