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[7月14日・決勝]
望月慎太郎選手2-0カルロス・ヒメノバレロ選手(スペイン)

 「快挙」です。

 望月慎太郎選手(16歳)がウィンブルドンジュニアを制したのです。

 四大大会のジュニア部門制覇は、日本人男子プレーヤーとして「史上初」の快挙でした。

 神奈川県出身の望月選手は、12歳の時にアメリカ合衆国フロリダ州のIMGアカデミーに渡り、テニスの腕を磨いてきました。
 そして2019年の全仏オープンシュニアでベスト4に進出しました。
 これが、望月選手の「世界へのデビュー」と言って良いと思います。

 6月3日が誕生日の望月選手にとっては、全仏オープンジュニア・ベスト4は、16歳になりたての好成績であったと思われますが、今大会の優勝も含めて、望月選手にとっての「16歳」は、本当に節目の年ということになるのでしょう。

 ウィンブルドンジュニア制覇、ローランギャロスジュニア4強は、あの錦織圭選手でさえ成し遂げていない成績ですから、今後の望月選手の活躍が大いに期待されます。

 望月選手は、身長175cm・体重64㎏と報じられていますから、身長178cm・体重74㎏と報じられている錦織選手より、小柄で細身です。
 そのプレースタイルは、強力なバックハンドのパッシングショットをベースとし、「ボレー主体」の攻撃的なものです。そして「上にも強い」感じがします。スマッシュがとても上手なのです。これはとても大切なことです。
 テニスプレーヤーにとっての「上のボールへの対処の上手さ」は「天性のもの」と言われています。練習で上達するものではないのです。これが上手い、極限の状況で「上のボールを捌ける」というのは、今後の望月選手の世界で戦いにおいて強力な武器となることでしょう。

 ちなみに、日本人プレーヤーで四大大会のジュニアを初めて制したのは、沢松和子選手でした。
 沢松選手は18歳の時、1969年のローランギャロスとウィンブルドンのジュニアを制しています。素晴らしい活躍を魅せてくれたのです。
 沢松選手は、その後、1975年のウィンブルドン女子ダブルスで優勝しています。
 ウィンブルドンチャンピオンなのです。
 改めて、沢松和子選手の強さを思い出させていただきました。

 望月選手の今大会の優勝は、沢松和子選手に次いで、四大大会における日本人プレーヤー2人目の快挙なのです。

 望月選手は「ロジャー・フェデラー選手のプレーを観るのが好き」であると伝えられています。

 私達はこれから、望月選手の素晴らしいネットプレーに、何度も何度も大きな拍手を送ることになるのでしょう。

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[7月14日・決勝]
ノバク・ジョコビッチ選手3-2ロジャー・フェデラー選手

 文字通りの「激闘」でした。
 それも、両選手の気迫がぶつかっての激闘と言うよりは、両選手の「技」の競り合いと言う意味での激闘だったのです。

 この両選手の技術が「芝コート」において世界最高水準であることに、異論を差し挟む人は居ないでしょう。
 四大タイトルのシングルス、優勝20回のフェデラー選手と同15回のジョコビッチ選手の対戦、ウィンブルドンに絞っても、優勝8回のフェデラー選手と同4回のジョコビッチ選手の対戦なのですから。

 その両雄が4時間57分の決勝戦(決勝戦として史上最長)を披露してくれたのです。
 本当に凄い試合でした。
 ウィンブルドン男子シングルス決勝の歴史の中でも、そのプレーの「質の高さ」という面では、史上最高であったのかもしれません。

 そのスコアは、ジョコビッチ選手から見て、第1セット7-6、第2セット1-6、第3セット7-6、第4セット4-6、最終セット13-12という、凄まじい競り合いです。

 今大会から史上初めて導入された「最終セットのタイブレーク」を初めてコート上で魅せてくれた試合ともなりました。それも凄いことでしょう。

 「凄い」の連発で恐縮ですが、それ程にハイレベルな試合だったのです。
 フェデラー選手のドロップショットも凄いが、ジョコビッチ選手のクロスのパッシングショットの角度も、常識を遥かに超えているものでした。
 「あんな角度に打てるものだろうか」と感じますが、「あんな角度に打たなければポイントが取れない」というのが、本当に怖ろしい?レベルなのでしょう。

 現代のプロテニス界で「クレーの鬼」といえばラファエル・ナダル選手ですが、「芝の王者」といえばロジャー・フェデラー選手と言うことになります。これは、テニスファンなら誰でもご承知のことでしょう。

 ところが、ジョコビッチ選手は芝のサーフェイスでフェデラー選手を圧倒しているのです。
 両選手がウィンブルドンで初めて対戦したのは2012年の準決勝でした。
 この試合はフェデラー選手が3-1で制しています。

 2度目の対戦は2014年の決勝で、これは3-2でジョコビッチ選手が制しました。
 3度目の対戦は2015年の決勝で、これは3-1でジョコビッチ選手の勝利でした。
 そして4度目の対戦2019年の決勝でも、3-2でジョコビッチ選手が勝ちました。

 両選手の芝コートでの対戦成績は、ジョコビッチ選手の3勝1敗、ウィンブルドンの決勝では3戦3勝なのです。

 ちなみに、両選手の全通算対戦成績は、48回の対戦で、ジョコビッチ選手の26勝22敗ですから、ジョコビッチ選手にとってはオールウェザーコートも含めたフェデラー選手との対戦成績よりも、芝コートにおける対戦成績の方が勝率が良いことになります。
 ジョコビッチ選手が「芝コートでフェデラー選手に強い」ことは明白でしょう。

 それにしても、何度も書いて恐縮ですが、この「3強」の強さはずば抜けています。

 再び何度も書いて恐縮ですが、男子テニス界への「新星の登場」が待望されるところなのでしょう。

[7月10日・男子シングルス準々決勝・センターコート]
ロジャー・フェデラー3-1錦織圭

 今大会、4回戦までの試合を順調に勝ち上がった錦織選手でした。
 プレー内容もとても良く、「グランドスラムで、これだけ順調に勝ち上がるのは珍しい」という本人のコメントからも、コンディションの良さが感じられました。

 そして「芝の王者」フェデラー選手と激突したのです。
 
 4回戦までの戦い振りや、疲労度合を観ると、「十分に戦える」と感じていましたが、第1セットはまさに、今大会の錦織選手のプレーが披露されました。
 素晴らしいストロークと躍動感溢れるプレーで、フェデラー選手と互角以上に打ち合い、第1ゲームをブレイクしてそのまま押し切りました。
 ウィンブルドンのセンターコートで、フェデラー選手を相手に見事なプレーを披露したのです。
 これなら行ける、と思いました。

 しかし、さすがに「芝の王者」は強かった、半端無く強かったのです。
 
 第2セットに入り、フェデラー選手は積極的に「前に出」ました。
 ボレーを多用して、早い勝負に出たのです。
 これが見事に当たりました。
 
 第1セットで目立ったファーストサービスのミスもしっかりと修正し、完全に流れを自分のものとして、6-1のワンサイドで第2セットをものにしました。

 「天王山」たる第3セット、錦織選手もサービスゲームをキープして一進一退の戦いが続きましたが、第2セットで流れを掴んだフェデラー選手は、とても落ち着いていました。
 「ここ(ウィンブルドン)は私がプレーする所」だよ、と言わんばかりのプレーを続け、第7ゲームをブレイクして、フェデラー選手が6-4で第3セットを取りました。

 第4セットも一進一退の攻防が続き、錦織選手としては何とか試合の流れを奪い取ろうと色々なプレーを展開するのですけれども、フェデラー選手は「微動だにせず」ゲームを重ねて行きました。
 そして、第9ゲームをブレイクして、このセットも6-4でフェデラー選手が奪い、試合は終了しました。

 結果としては、ウィンブルドン男子シングルス優勝8度を誇る「芝の王者」ロジャー・フェデラー選手が、その強さを見せつけた試合でしたが、錦織圭選手の「進化」も感じられました。

 再び結果として、とても面白い、見所満載の試合であったと思います。

 世界最高峰のテニスマッチを観ることができたと感じます。

 我らが錦織圭選手は「もっともっと強くなる」ことを確信させてくれた、良い試合でした。

[6月4日・準々決勝]
ロジャー・フェデラー3-1スタン・ワウリンカ

[6月4日・準々決勝]
ラファエル・ナダル3-0錦織圭

[6月6日・準々決勝]
ノバク・ジョコビッチ3-0アレキサンダー・ズベレフ

[6月6日・準々決勝]
ドミニク・ティエム3-0カレン・カチャノフ

 準々決勝の4試合を終えて、準決勝進出選手が決まりました。
 第1シードのジョコビッチ選手、第2シードのナダル選手、第3シードのフェデラー選手、第4シードのティエム選手です。

 メジャー大会で、第1~4シードが順当に勝ち上がった形。その「順当さ」に少し驚きますが、何より、第1~3シードの「3強」、21世紀の「3強」の強さには、ただただ驚かされるばかりです。

 32歳のジョコビッチ選手は、22歳のズベレフ選手を一蹴しました。ストレート勝ちですが、何とこの大会でジョコビッチ選手は「1セットも落としていない」のです。

 33歳のナダル選手は、錦織選手に3セットで5ゲームしか与えず完勝しました。さすがに「クレーの鬼」です。

 37歳のフェデラー選手は、全豪・全仏・全米の優勝経験があるワウリンカ選手に勝利。第1セットと第3セットはタイブレークの末勝ち切りました。得意なサーフェスとはいえない全仏で、しかし、この「いざという時」の勝負強さは、信じられないレベルでしょう。

 印象ならば、これまでの「21世紀の男子プロテニス界」は、この「3強」が支配しているように感じられますが、それももう「19年」に及ぶのです。
 どう見ても「男子プロテニス史上最強の3強」でしょう。
 10年以上に渡る期間、世界中から若くて才能豊かな男子テニスプレーヤーが数多くデビューしたことは間違いないでしょうし、その中には「3強」を凌ぐ大才能も含まれていたことも間違いない筈(確率的にも間違いない筈)ですが、結局のところ「3強」を脅かす存在は現れていないように観えます。ここは「3強」の継続した強さと弛まぬ努力に、拍手を送るしかないのでしょう。
 50年後・100年後に語り継がれる事実であろうとも思います。

 準決勝の組合せは、フェデラーVSナダル、ジョコビッチVSティエムとなっています。
 この稿が掲載される頃には、準決勝2試合の結果が出ているかもしれませんが・・・。

 いったい「何時まで3強が圧倒的に強い時代が続くのか」、そして「3強を凌駕する若手の登場」はまだなのか・・・。

 もちろん、「3強」にはこれからも伝説を継続していただきたいのですが、男子テニス界の将来を考えれば、若手の台頭も不可欠であろうと思います。

[1月26日・決勝・メルボルン・ロッドレーバーアリーナ]
大坂なおみ2-1ペトラ・クビトバ

 見事な勝利でした。

 大接戦となった試合ですが、セットカウント1-1からの第3セット・第3ゲーム、クビトバ選手のサービスゲームをブレイクした大坂選手が、その後の自らのサービスゲームを取り続けて押し切りました。
 四大大会の決勝で「自らのサービスゲームをキープし続けることの難しさ」は誰もが知っていることでしょうが、大坂選手はこれを見事に実現したのです。

 これで、2018年9月の全米オープン大会に続いて、「四大大会を連勝」したことになります。「5ヵ月間でグランドスラムを2つ勝つ」というのは、これはもう世界一のプレーヤーにしか出来ないことであることは、自明でしょう。

① 第1セットを取れば・・・。

 第1セットを取った時の大坂選手の勝率が非常に高い、というか「過去2年間無敗」であることは知られていましたので、この試合でも第1セットに注目が集まりました。
 タイブレークの末、第1セットを7-6でものにした時、大坂選手の優勝が現実のものとなったのでしょう。

 ビッグサーブを主体としたクビトバ選手のプレーの質の高さは、さすがにファイナリストと感じさせるものでした。実際、第2セットに大坂選手がクビトバ選手のサービスゲームを40-0とリードし、トリプルマッチポイント=3チャンピオンシップポイントを掴んだ時には、このまま大坂選手が押し切ると思われました。
 しかしクビトバ選手はここからポイントを連取し、このゲームを確保するどころが、その勢いで第2セットを奪ってみせたのです。もの凄い「反発力」でした。

 とはいえ、「第1セットをものにしている」大坂選手の優位は不変で、このクビトバ選手の大反撃をもってしても、セットカウントで追い付いたに過ぎなかったとも言えるのでしょう。

 大坂選手が終始この試合をリードしていたということになります。

② クビトバ選手のフォアサイドへのパッシングショット

 この試合においては、肝となるポイントで、大坂選手のバックからのクロスのショット、レフティーのクビトバ選手にとってはフォアサイドへのショットとなりますが、が良く決まりました。
 大坂なおみ選手に「全豪のタイトル」を齎したショットでしょう。

 この試合を通じて、全体として正確なショットを繰り出していたクビトバ選手でしたが、唯一、フォアのストロークショットにはミスが多かったと感じます。

③ 世界ランキング制度1位は結果に過ぎない。

 かつて、日本男子最高の世界ランキング4位となった錦織圭選手が「世界ランキングは気にしていない」とコメントした(本ブログの2015年3月1日付記事「[メキシコオープン2015]ランキングは気にしていない錦織圭選手」をご参照ください)ように、世界ランキングは結果に過ぎないのでしょう。

 この試合とて、優勝すれば2000ポイントP、準優勝なら1300Pが付加されると報じられていましたが、何故「2000P:1000P」ではないのか、あるいは「2000P:1500P」ではないのか、といった「恣意性」がどうしても存在します。

 これに比べて、「四大大会優勝の価値」は厳然たるものです。
 歴史と伝統に彩られ、何時の時代もウイナーは絶賛されるのです。

 大坂選手は、「四大大会覇者」「全豪オープンチャンピオン」「四大大会2勝目」「四大大会連勝プレーヤー」として評価されるのが良いと感じます。

 大坂なおみ選手は、「日本テニス界の夢」を次々と実現しています。

 「精神面の年齢は4歳児位」と、ご本人が謙遜(グランドスラマーの精神年齢が4歳児位というのは、他の選手の立場を考えると、あまりにも謙遜が過ぎるようにも観えますが)するように、まだまだ技術面も含めて、大坂選手は成長途上なのでしょう。

 「伸びしろ十分」な大坂選手に、全仏オープン、全英オープン(ウインブルドン)の優勝、ひいては「年間グランドスラム」を期待してしまうのは、行き過ぎでしょうか。
 2019年のATP(男子プロテニス協会)ツアー・ブリスベン国際大会(オーストラリア・ブリスベン)の男子シングルス決勝は1月6日に行われ、第2シード・世界ランキング9位の錦織圭選手(29歳)が、第4シード・世界ランキング16位のダニエル・メドベージェフ選手(22歳)を、セットカウント2-1で破り、大会初優勝を飾りました。

 錦織選手は、2016年2月のメンフィス・オープン大会(アメリカ)以来3年振りの優勝でした。

 故障によりランキングを落とした錦織選手が、着々とランキングを上げてきたこの1年間でしたが、なかなかツアー「優勝」を飾ることが出来ませんでした。

 この大会での錦織選手は、動きがとても良く、全盛時に近いプレーを魅せるとともに、ベースラインの打ち合いでのショットの威力が増しているようにも見えました。「新生」錦織のプレーを披露してくれたのではないでしょうか。

 アメリカのスポーツ専門チャンネルESPNが「ケイ・ニシコリは52の大会出場で9度の決勝敗退を含む約3年に及んだ無冠の状態をついに止めた」と報じました。

 決勝で対戦したメドベージェフ選手は、現在売出し中のプレーヤーであり、それこそ「負ける気がしない」勢いで、アンディ・マレー選手やラオニッチ選手、ツォンガ選手を次々と下して決勝に進んできたわけですが、そのメドベージェフ選手を決勝で錦織選手が破ったのですから、その復活も「本物」であろうと感じます。

 錦織圭選手が久々のツアー優勝です。私達が待ちに待った優勝です。
 20代の内にグランドスラムを勝ちたいと言っている錦織選手にとって、とても大事な2019年シーズンが始まったのです。
 10月1日、中国オープン大会の1回戦に勝利した大坂なおみ選手が、「BNPパリバWTAファイナルズ・シンガポール大会(10月21日~28日)」への出場を決めたと報じられました。

 そのシーズンのツアーにおける獲得ポイント上位8名=世界トップ8、のみが出場できる大会に名乗りを上げたのです。

 今年3月のインディアンウェルズ大会でツアー初優勝を挙げた大阪選手が、一気に「ファイナルズ」に進出したことは、素晴らしいことですし、直近の8か月間の大坂選手の成長と勢いは驚異的であったことを、如実に示す事実でしょう。

 大坂選手は「8名の内3番目に進出を確定した」とも伝えられました。

 最初に進出を決めたのは、今季の全仏オープン覇者のシモナ・ハレプ選手(ルーマニア)、2番目に決めたのは、今季のウィンブルドン・チャンピオンのアンジェリック・ケルバー選手(ドイツ)でした。
 言うまでも無く、大坂選手は「8名の中でも上位での進出」となったのです。

 1972年開始の「ファイナルズ」には、これまで伊達公子選手が3回、杉山愛選手が1回出場しています。大坂選手は、日本人プレーヤーとして3人目の出場者となったのです。

 ホテルでの待遇やポルシェ専用車による送迎など、豪華絢爛な処遇も話題となる大会ですが、大坂選手には「日本人プレーヤー初の決勝進出→優勝」を期待してしまいます。
[9月8日・決勝]
大坂なおみ2-0セリーナ・フィリアムズ
(第1セット6-2、第2セット6-4)

 ビッグニュースでした。

 1世紀を超える日本テニス史上、初めての四大大会におけるシングルス優勝が実現したのです。

 第1セット、大坂選手は「丁度良い緊張感」で試合に入ったと感じます。
 「いつものように」プレーを始めたのです。
 こうした大試合は、リラックスして勝てるものではないと考えています。

 大坂選手とセリーナ選手は、共に「パワー型」のプレーヤーですから、自らのショットの威力で相手プレーヤーのリズムを崩していくプレーなのですが、この「パワー」においては、両選手「互角」であったと思います。

 そして「スピード」で大坂選手が明確に勝りました。
 結果として、大坂選手のショットにより、僅かに左右に振られることで、セリーナ選手は正確なショットが打てなくなり、次第にミスショットが増えて行ったのです。

 第1セットは、大坂選手がセリーナ選手のサービスゲームを2つブレイクし、6-2で完勝しました。
 第1セットのプレーにおいて、大坂選手がセリーナ選手を上回ったことは間違いないでしょう。

 第2セットは、とても荒れた展開となりました。
 セリーナ選手が試合中にコーチングを受けた、ラケットを打ち壊した、主審に猛抗議し暴言を吐いた、といったプレー以外の異常な事象が続き、第6ゲームで1ポイントが大坂選手に与えられ、第8ゲームはペナルティとして大坂選手に与えられました。
 こうした大きな大会の決勝ではまず観られない、相当大きなペナルティでしたが、結果として大坂選手は6-4で第2セットも制して、ストレートで優勝を決めたのです。

 試合で上手くプレー出来ないセリーナ選手に苛立ちが募り、最初の方の「不適切な行為」が生じたのでしょうが、主審としても後半の暴言については、セリーナ選手への対応について、他の選択肢があったかもしれません。

 いずれにしても、こうした「騒動」は、大坂選手とは無関係なところで展開されていたことです。
 この騒動が、大坂選手の勝利に、いささかの影も落とすものでは無いと思います。

 試合後、大坂選手は観客に向かって「セリーナが勝つところ(24度目の四大大会シングルス優勝)を観に来たと思うけれども、そうならなくてごめんなさい」とコメントしました。
 完全アウェイの中で、必死に戦った心情を吐露したのです。

 「勝って謝る」というのは、とても可哀そうなことだと感じましたが、こうした心持ちと行動は、「日本人ならでは」とも感じました。
 謝ったことの良し悪しは分かりませんけれども、ビッグトーナメントで優勝して、観客に謝るというのは、世界中で日本人プレーヤーしか居ないのではないでしょうか。(最近は日本人の中にも、こうした心持ちには程遠い=自分の利益の事しか考えることが出来ず、見苦しい言動・行動を取る人達が増えているようにも見えますが・・・)

 さて、20歳にして全米オープンで優勝した大坂選手は、今後の四大大会を含む大きな大会のシングルスで、常に優勝候補に挙げられる存在となりました。
 今後も優勝を重ねる実力が備わっていることは、明確に証明されたのです。

 グランドスラム大会などで優勝を重ね、「優勝しても謝らなくても良い雰囲気」を創り続けて行ってほしいものだと思います。

 大坂なおみ選手、全米オープン2018女子シングルスの優勝、本当におめでとうございます。
 
 私個人としては、「(男女を通じて)一生観られないのではないか」と感じていた、まさに「偉業」です。
[9月6日・準決勝]
大坂なおみ2-0マディソン・キーズ(アメリカ)

 第1セットを6-2、第2セットを6-4で制した大坂なおみ選手(20歳)が、決勝進出を決めました。
 日本女子プレーヤーにとって、史上初の四大大会シングルス決勝進出です。

 第20シードの大坂選手と第14シードのキーズ選手(23歳)の試合ですから、接戦が予想されましたけれども、大坂選手は第1セット、2ゲームオールからの第5ゲームをブレイクして勢いに乗り、第7ゲームもブレイクして1セットを先取。
 第2セットの最初のゲームを大坂選手がブレイクでものにした時には、このまま一気に行くかと思いましたが、さすがにキーズ選手も踏ん張り、その後はサービスキープが続いて、第10ゲームを大坂選手が取って、勝利を得ました。

 比較的順調な試合運びに観えますが、この試合で大坂選手は、キーズ選手に握られた「13本のブレイクポイント」を全て凌ぎました。これは凄いことでしょう。
 大坂選手の精神力、「心の強さ」がプレーに表れていたのです。

 大坂選手は、これまでキーズ選手に勝ったことはありませんでした。
 2016年のこの大会・3回戦で当たった時には、最終セットを5-1とリードしながら、5ゲームを連取されて敗れています。

 あれから2年、大坂選手は心身ともに強くなったのです。

 さて、9月8日の決勝戦は、セリーナ・ウィリアムズ選手との対戦となりました。
 36歳になったとはいえ、四大大会シングルス23度の優勝を誇る、テニス史上の伝説的な存在です。
 2017年の出産を経ての今大会ですが、準決勝は6-3・6-0とアナスタシア・セバストワ選手(ラトビア)を圧倒しました。全盛時と変わらぬ強さを示したのです。

 また、セリーナ選手は大坂選手の「憧れの存在」でもあります。
 大坂選手にとっては「どうしても戦いたい相手」と、全米オープンの決勝でまみえることとなったのですから、その喜びはどれほどなのでしょうか。

 決勝は「気持ちが強い」プレーヤーが勝つのでしょう。
 大阪なおみ選手にも、十分にチャンスがあります。

[9月5日・女子シングルス準々決勝]
大坂なおみ2-0レシア・ツレンコ(ウクライナ)

[9月5日・男子シングルス準々決勝]
錦織圭3-2マリン・チリッチ(クロアチア)

 テニスの四大大会のひとつ、全米オープンのシングルスで、日本の錦織選手と大坂選手が共に準々決勝を勝ち抜きました。
 男女そろっての準決勝進出は、日本テニス史上初の快挙です。

 大坂選手は、ゲームカウント6-1・6-1のストレートでツレンコ選手を下しました。
 第1セットの第2ゲームと第6ゲームをブレイクして、このセットを奪い、第2セットは4ゲーム連取の後、第7ゲームをブレイクしてのセットカウント2-0。
 各ゲームでは接戦も観られましたが、結果は圧勝でした。

 全米オープン・シングルスにおける日本女子プレーヤーのベスト4進出は史上初、四大大会におけるベスト4進出も、1996年全英オープン(ウィンブルドン)の伊達公子選手以来22年振りとなります。

 今大会の大坂選手は、とても集中力が高いと感じます。
 準決勝も、大いに期待できるでしょう。

 一方、錦織選手の準々決勝は死闘でした。
 第1セットは第4ゲームをブレイクされて、そのまま押し切られ、2-6で落としました。

 第2セットも第6ゲームを落として押し込まれましたが、ここから4ゲームを連取したところが見事。6-4で取り返しました。

 第3セットは錦織ペースで始まりましたが、第8ゲームをブレイクバックされて試合の流れは互角になり、タイブレークに入りました。ここでチリッチ選手が2本連続のダブルフォルトという、信じられないようなミスを犯して、錦織選手が7-6でこのセットを奪い、セットカウント2-1とリードしました。

 しかし、さすがにチリッチ選手もこのままでは引き下がらず、第4セットは4-6で奪われて、セットカウント2-2。試合は最終第5セットに縺れ込みました。

 この試合の錦織選手はとても冷静でした。チリッチ選手の強烈なサービスがやや不調なこともあって、第5セットで2度のブレイクに成功し、6-4で奪い、4時間を超える試合に決着を付けました。

 2014年の決勝で敗れた相手を、同じ全米の舞台で下したのです。

 錦織選手にとって、四大大会で最も相性が良い全米オープン大会で、2度目の決勝進出に向けた準決勝に臨むこととなりました。
 今大会はコンディション管理も上手く行っているように観えますので、大いに期待できると感じます。

 全米オープン2018の舞台、ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターのシングルス準決勝に、錦織圭選手と大坂なおみ選手が立ちます。
 なんと素晴らしいことでしょうか。

 試合後、大歓声の中で2人の笑顔を観たいものです。
 7月2日から15日にかけて行われたウィンブルドン2018の男子シングルスは、ノバク・ジョコビッチ選手が優勝しました。
 ジョコビッチ選手にとっては2015年大会以来、4度目の全英制覇でした。

 ロジャー・フェデラー選手、ラファエル・ナダル選手、ノバク・ジョコビッチ選手の所謂「3強」の時代が終焉に差し掛かっていると言われて久しいのですが、結局2018年のウィンブルドンも「3強」が制しました。

 先輩格のフェデラー選手が初めてウィンブルドンを制したのは2003年ですから、それから15年が経っています。
 次鋒格のナダル選手が初めて全仏に勝ったのは2005年ですから、13年が経過しました。
 末弟格のジョコビッチ選手が初めて全豪に勝ったのは2008年ですから、こちらも10年が過ぎているのです。

 随分長い間、男子テニス・メジャートーナメントのシングルスは、「3強の時代」が続いているということになります。

 四大トーナメントの男子シングルスで過去10年間、「3強」以外のプレーヤーが優勝したのは、以下の通りです。

① ウィンブルドン 2013年・2016年アンディ・マレー選手
② 全米 2009年デル・ポトロ選手、2012年アンディ・マレー選手、2014年マリン・マリッチ選手、2016年スタン・ワウリンカ選手
③ 全豪 2014年スタン・ワウリンカ選手
④ 全仏 2015年スタン・ワウリンカ選手

 「40個のタイトル」の内8個を「3強」以外のプレーヤーが制しているのですけれども、残る32個は「3強」が獲得しているのですから、その強さは別格でしょう。

 それにしても、「3強」以外の選手と言っても、マレー選手とワウリンカ選手が3回ずつ勝っていますから、全米オープンのポトロ選手とマリッチ選手を加えても、四大大会の男子シングルスタイトルは、過去10年間、7名のプレーヤーしか勝っていないことになります。これも驚かされる事実です。
 過去10年の四大大会男子シングルスにおいては、「若手の台頭」が喧伝されたのですが、実は「3強の時代」が続いていたことが良く分かります。
 デル・ポトロ選手は20歳11か月で全米を制し、その後の活躍が期待されたのですが・・・。
 また、マレー選手とワウリンカ選手も2017年以降はあまり振るいません。

 フェデラー選手が36歳、ナダル選手が32歳、ジョコビッチ選手が31歳と、「3強」も肉体的な衰えを感じる年齢になっている筈なのですが、その「支配力」は増しているように観えるのが凄いところでしょう。

 世界テニス界の男子シングルスにおいては「世代交代が進んでいない」という見方があるかもしれませんが、それよりは「3強がとても強い」、「3強の現状維持力・日々の鍛錬のレベルがとても高い」と考える方が良さそうだと感じています。

 テニスのイスタンブール・オープン男子シングルス決勝が5月6日に行われ、ダニエル太郎選手が、セットカウント2-0でマレク・ジャジリ選手(チュニジア)を破って優勝しました。

 ダニエル太郎選手のATPツアーでの優勝は初めてです。

 クレーコートの大会で、ダニエル太郎選手が躍動しました。
 第1セットを、タイブレークから見事なプレーを魅せて7-6で奪うと、第2セットも相手サービスゲームをブレイクして6-4で取り、ストレート勝ちを収めました。
 勝負所での「正確なパッシングショット」が印象的な試合でした。

 25歳、アメリカ人を父に持つダニエル選手ですが、身長190cmという恵まれた体躯を活かして、2010年からツアーに参加してきたのですけれども、これまではなかなか持ち味を発揮できずにいました。
 この大会も世界ランキング114位で臨んだのです。
 
 しかし、好調なショットを武器に、いわゆる「格上選手」を次々に破り、ついに優勝しました。
 準決勝、決勝のプレーぶりを観る限り、少なくともクレーコートでは今後も好成績を残していけるであろうと感じます。7歳の時に名古屋からスペインに居を移し、バレンシアのテニスアカデミーでトレーニングした成果がベースとなっているのでしょう。

 ATPツアーにおける日本人男子プレーヤーの優勝は史上4人目。
 松岡修造選手、錦織圭選手、杉田祐一選手に続く快挙です。
 ツアーに挑戦する日本人選手を大いに勇気づける優勝でしょう。

 先日のPGAツアー(ゴルフ)における小平智選手の優勝に続く、日本人男子プレーヤーの活躍。
 このところ女子陣の活躍が目立っていた日本スポーツ界ですが、各競技で男子陣の反撃が始まったというところでしょうか。
 4月15日から22日にかけて開催された、ATP1000・モンテカルロマスターズ大会で、錦織圭選手が準優勝しました。

 決勝こそ、ラファエル・ナダル選手に敗れましたけれども、錦織選手が世界ランキング4位に居た2015年頃でも、クレーコートにおいてナダル選手に勝つことは容易なことではありませんでしたから、止むを得ないことだと感じます。
 ナダル選手は、この大会「11度目の優勝」という、まさに「クレーの鬼」の本領を発揮したのです。

 錦織選手(世界ランク36位)の今大会の勝ち上がりを観てみましょう。(世界ランクは4月16日時点)

・4月16日・1回戦
 錦織圭2-1トマーシュ・ベルディハ(チェコ、世界ランク18位)
・4月18日・2回戦
 錦織圭2-0ダニル・メドベージェフ(ロシア、49位)
・4月19日・3回戦
 錦織圭2-1アンドレアス・セッピ(イタリア、62位)
・4月20日・準々決勝
 錦織圭2-1マリン・チリッチ(クロアチア、3位)
・4月21日・準決勝
 錦織圭2-1アレキサンダー・ズべレフ(ドイツ、4位)
・4月22日・決勝
 ラファエル・ナダル(スペイン、1位)2-0錦織圭

 さすがに「マスターズ」大会だけあって、世界ランク上位のプレーヤーが多数出場していました。
 準々決勝で世界ランク3位のチリッチ選手、準決勝で4位のズべレフ選手を連破したのは、「復活」の証でしょう。

 加えて、6試合中4試合が「セットカウント2-1」の勝利でした。
 いかにも「錦織選手らしい粘り強い戦い振り」だったのです。「自らの試合運び」をコート上で示すことが出来たということは、やはり「復活」の証左であろうと感じるのです。

 錦織選手は、故障(手首の痛み)により、2017年から大会に出るのもままならない状況が続き、世界ランクも下げていましたが、ようやく「戦える状態」になってきたということなのでしょう。

 勝ち負けももちろんですが、元気一杯の錦織圭選手のプレーこそが、日本のテニスファン待望の姿なのです。
 3月19日早朝、ビッグニュースが飛び込みました。

 大坂なおみ選手が、テニスのビッグトーナメント、BNPパリバオープン・女子シングルス決勝で、ダリア・カサキトナ選手(ロシア)を、6-3・6-2のストレートで破って優勝したのです。

 「快挙」です。

 今大会、好調なプレーを続け、準決勝も勝ち抜いて、決勝に進出したことは報じられていましたが、何しろ世界トップクラスのツアー、ATP・WTAツアーの「プレミア」大会といえば、いわゆる四大大会に次ぐ格付けの高い大会であり、男女を通じても、まだ日本人プレーヤーが優勝したことは無かったグレードの大会ですから、さすがに優勝は・・・と勝手に思い込んでいたのです。

 しかし、大坂選手は、そんな「先入観」など微塵も無く、今大会の好調さを決勝でも存分に発揮して、圧勝したのです。

[今大会の大坂選手の勝ち上がり]
① 3月7日 1回戦 大坂なおみ2-0マリア・シャラポア
② 3月9日 2回戦 大坂なおみ2-0アグニエシュカ・ラドワンスカ
③ 3月11日 3回戦 大坂なおみ2-0サチア・ビケリー
④ 3月13日 4回戦 大坂なおみ2-1マリア・サッカラ
⑤ 3月14日 準々決勝 大坂なおみ2-0カロリナ・ブリスコバ(第5シード)
⑥ 3月16日 準決勝 大坂なおみ2-0シモナ・ハレブ(第1シード)
⑦ 3月18日 決勝 大坂なおみ2-0ダリア・カサキトナ(第20シード)

 凄い勝ち上がりだと感じます。
 特に、準々決勝、準決勝は「一桁シード選手」を連破、準決勝では第1シードのハレブ選手(ルーマニア)を2-0のストレート、それも第2セットは6-0で圧倒しています。

 その勢いを、そのまま決勝にぶつけたのですからカサキトナ選手も、たまったものではありません。
 試合後、「大坂には、弱点が無かった」とコメントしています。

 この優勝がツアー初優勝だった大坂選手が、一桁シード選手を連破し、決勝で相手プレーヤーに「弱点が無かった」と言わしめたのです。この大会で、大坂選手がどんどん強くなって行ったことは間違いないのでしょう。
 そして優勝したのですから、その実力は「身に付いた」と判断するのが妥当だと思います。

 いったい、3月7日から18日の間に、大坂選手に何が起こっていたのでしょうか。

 7日の初戦で、あのマリア・シャラポワ選手に快勝したことは、大きかったと思います。
 
 結果として、大会初日に1回戦をクリアしたので、その後のスケジュールが安定したものになったのです。
 連日の試合は、4回戦から準々決勝への1度だけでした。
 こうしたビッグトーナメント、決勝まで7試合も戦わなければならない大会では、とても恵まれたと言えそうです。
 また、コートのサーフェスもぴったりだったという見方もあります。

 とはいえ、スケジュールに恵まれ、サーフェスが合っていたからと言って、それだけでプレミア大会に勝てるようなら、苦労はありません。

 連日テレビ放送された大坂選手のプレーは、強烈なサービスとパッシングショットの連続でしたが、特にバックハンドのパッシングショットは、その威力・コースともに抜群でした。(当然のことで、「抜群」でなければ、プレミア大会に優勝することなど不可能なのです)
 その「破壊力」は、ビーナスとセリーナのウィリアムス姉妹を髣髴とさせるものでした。

 このパッシングショットと強力なサービスがあれば、今後のツアー大会や四大大会でも、十分に世界のトップランカーと互角に戦って行けるように感じるのは、私だけでしょうか。

 日本女子テニス界に、新星というか「巨星」が現れたと見るべきではないかと思います。
 
 世界ランキングも、44位から一気に22位に上がりました。
 今後の四大大会他のビッグトーナメントにおける、大坂なおみ選手の活躍が、本当に楽しみです。
 6月11日、全仏オープンテニス大・男子シングルス決勝が行われ、スペインのラファエル・ナダル選手(31歳)がスタン・ワウリンカ選手(スイス)をゲームカウント6-2、6-3、6-1、セットカウント3-0のストレートで下して優勝しました。

 ナダル選手の全仏優勝は10回目。自身の持つ最多優勝回数記録を更新したのです。

 もともと「クレーコートの王者」と称されていたナダル選手ですが、4大トーナメントのひとつの大会のシングルスで10度の優勝という、男子テニス史上初の快挙を成し遂げました。

 このところ故障がちで、一時の強さは影を潜めたとも言われていましたが、見事な復活というか、全盛期の強さを髣髴とさせるプレーでした。

 全豪オープン2017ではロジャー・フェデラー選手が優勝し、全仏ではナダル選手と、かつての王者が次々と名乗りを上げる、2017年の4大大会。

 7月3日に開幕する、全英オープン=ウィンブルドン選手権大会からも、眼が離せません。
 ATPツアーの2017年マイアミ・オープン大会は、4月2日に男子シングルスの決勝が行われ、ロジャー・フェデラー選手がラファエル・ナダル選手を6-3・6-4のストレートで下し、優勝しました。

 フェデラー選手は今季3勝目、ツアー通算91勝目を挙げたのです。

 マイアミ・オープンは、ツアーの中でも格の高いマスターズ大会ですが、今季フェデラー選手は、BNPパリバ大会に続いてのマスターズ大会優勝となります。

 フェデラー選手は、四大大会シングルス優勝18回を始めとして、テニス界の男子の主な記録を悉く塗り替えてきている「男子テニス史上最強のプレーヤー」として知られています。
 その記録を数え上げていくと、枚挙にいとまがありません。

 「偉大」という言葉がぴったりくるプレーヤーなのです。

 そのフェデラー選手も、2010年シーズンで世界ランキング1位を明け渡してからは、次第に成績を落としてきました。「加齢」に最も抵抗し続けてきたプレーヤーなのですけれども、さすがに下降線に入ったと見られていたのです。

 2016年シーズンは故障の影響から出場する大会も減少し、世界ランクも16位まで下がりました。
 「引退」という言葉も、時折目にするようになってしまったのです。

 ところが、故障から復帰した2017年シーズン、フェデラー選手は素晴らしい成績を出し続けています。

 まずは、四大大会の全豪オープンで優勝しました。2012年以来の四大大会制覇でした。
 そして、前述のようにATPツアーのマスターズ大会に2勝しています。

 まさに「復活」と呼ぶに相応しい活躍でしょう。

 ちなみに、このマイアミ・オープンも第4シードからの優勝でした。往時には、いつも「第1シード」で出場していた印象のあるフェデラー選手ですが、今季の全豪オープンでは「第17シード」からの優勝でした。
 
 どんどん世界ランキングを上げ来ているフェデラー選手が、再び「世界ランク1位」に返り咲くシーンが見られるかもしれません。

 「偉大」を超える言葉を、探さなくてはなりません。
 2017年のテニス四大オープンの第一弾、全豪オープン大会は1月16日から29日にかけて実施され、男女のシングルス決勝は「意外?」なカードとなりました。

[女子シングルス決勝 1月28日]
セリーナ・ウィリアムズ2-0ビーナス・ウィリアムズ

[男子シングルス決勝 1月29日]
ロジャー・フェデラー3-2ラファエル・ナダル

 男女のシングルスのカードは、共に5~15年前に「世界トップクラスの大会で良く観られたカード」ですが、最近はお目にかかれなかった、いわば「世代交代前」のゴールデンカードでした。

 例えば男子シングルスであれば、アンディ・マレー選手、ノバク・ジョゴビッチ選手、ワウリンカ選手、ラオニッチ選手、錦織選手らが、近時のメジャー大会の決勝を彩ってきたのです。

 フェデラー選手、ナダル選手は、共に「世界テニス史に燦然と輝く巨星」であり、四大オープンのシングルス優勝数でも、通算18勝のフェデラー選手、同14勝のナダル選手と、圧倒的な実績を誇っているのです。

 とはいえ、フェデラー選手の四大オープン・シングルス制覇は2012年の全英依頼でしたし、ナダル選手は2014年の全仏に勝って以来故障がちで、このところは中々勝ち上がれない日が続いていたのです。

 その2人の名プレーヤーが、2人とも勢いに乗って、決勝を戦ったのです。
 この「2人とも」というというところが、不思議なところなのでしょう。

 女子シングルスも同様でした。
 ウィリアムズ姉妹の妹、セリーナ・ウィリアムズ選手は、シングルスにおいて2015年・16年の全豪・全仏・全英のタイトルをものにしていますから、まだまだ世界トップクラスなのですが、お姉さんのビーナス・ウィリアムズ選手は2008年の全英以降優勝できていませんでしたから、この大会の決勝で「姉妹対決」を観るのは相当難しいと感じていました。

 しかし今大会、ビーナス選手は順調に勝ち上がり、ついに決勝に駒を進めたのです。
 
 2002年頃の「ウィリアムズ姉妹の時代」を髣髴とさせる決勝戦でした。

 全豪オープン2017は、フェデラー選手、ナダル選手、そしてビーナス・ウィリアムズ選手が「復活」を遂げた大会となりました。
 
 3人の名プレーヤーが、「同時に復活」したということが、全豪オープン2017の特徴であったことは、長く語り継がれていくのではないでしょうか。
 ATPツアー「マスターズ・パリ大会」の男子シングルス、錦織圭選手は11月2日の緒戦でビクトル・トロイツキ選手をセットカウント2-0で破り、ツアー通算300勝を達成しました。
 錦織選手のツアー初勝利は2007年ですから、10年間をかけての大記録達成ということになります。

 ツアー300勝は、もちろん日本選手最高記録です。

 そして、ツアー史上では153番目の記録と報じられています。

 錦織選手のこの記録が報じられるのと同時に、ツアー歴代1位の記録も示されました。
 アメリカのジミー・コナーズ選手の1,256勝です。
 久し振りに懐かしい名前を聞きました。

 コナーズ選手は20世紀後半に活躍した名プレーヤーで、ビョルン・ボルグ選手やジョン・マッケンロー選手らと共に、男子プロテニスの「黄金時代」を支えました。
 左打ちの両手バックハンドから繰り出されるショットは、強烈かつ美しい、世界最高のストロークであったと思います。

 コナーズ選手は四大大会シングルスで8度の優勝(全米5勝、全英2勝、全豪1勝)を記録しています。
 四大大会シングルス8勝というのは、もちろん素晴らしい記録ですが、当時のコナーズ選手の活躍を思い浮かべると「やや少ない」と感じます。
 ツアーで毎試合の様に優勝していた印象が有るからです。

 やはり、全英と全仏のシングルスで計11度の優勝を誇るボルグ選手や、全英と全米で計7度優勝のマッケンロー選手といった「強力なライバル」が居た「黄金時代」でしたから、四大大会ではコナーズ選手ばかりが優勝するという訳には行かなかったのかもしれません。

 一方で、コナーズ選手はその他のATPツアー大会では、圧倒的な成績を誇りました。

 シングルスのツアー109度の優勝、1,256勝は現在に至っても歴代1位です。
 勝ち続けたという点からは、「黄金時代」においてもジミー・コナーズ選手が最強であったと言えるのかもしれません。

 ツアーシングルスの歴代2位はロジャー・フェデラー選手の1,080勝です。フェデラー選手はツアー大会優勝数でも96勝でコナーズ選手を追いかけています。

 コナーズ選手は1972年にデビューし1996年に引退しました。そして、1998年にフェデラー選手がデビューしたのです。
 男子プロテニスは、コナーズ選手からフェデラー選手へと受け継がれたのかもしれません。

 それにしても、1972年に20歳でデビューしたコナーズ選手は、44歳となる1996年まで現役を継続しました。
 この25年間に及ぶ長いキャリアが、数々の大記録に繋がっているのは間違いないことです。

 「世界トップクラスのプレー」を長く続けることが多くの記録を生むのは、テニスに限らず全てのスポーツ競技に共通しているのでしょうし、そのことが最も難しく、最も偉大なことなのかもしれません。
 9月7日に行われた、全米オープンテニス2016・男子シングルス準々決勝で、錦織圭選手は、イギリスのアンディ・マレー選手をセットカウント3-2で破り、準決勝進出を決めました。

 フルセット、3時間58分に及ぶ接戦を制した錦織選手は、準優勝を飾った2014年大会以来2年振り2度目の準決勝進出となりました。

 凄まじい一戦でした。

 9月8日早朝の日本のテニスファンは、一球ごとに一喜一憂したのです。
 
 第1セットを1-6と一方的に落とした時には、リオデジャネイロ・オリンピックの準決勝を思い出しました。
 しかし、第2セットの途中で雨天中断があり、その後、錦織選手の動きが格段に良くなりました。このセットを6-4で奪い、セットカウントは1-1。

 第3セットはマレー選手が6-4で制しましたが、第4セットは錦織選手が最初から押し込み6-1でものにして、セットカウント2-2。勝負は最終第5セットに持ち込まれました。

 その第5セットは錦織選手が優勢に進めましたが、ゲームカウント4-3とリードしての第8ゲーム、錦織選手のサービスゲームで40-0から「よもやの」ブレイクを喫し、ゲームカウントは4-4となってしまいました。

 ここが勝負どころであり、マレー選手としては「一気に押し込み」たいところでしたが、錦織選手の粘り強いプレー、特に驚異的なボレーが光り、このセットを7-5で勝ち切ったのです。特に、ゲームカウント5-5からのマレー選手のサービスゲームをブレイクしたプレーは見事でした。

 やはり、第2セットの後半から「打ち合い」に持ち込んだ、錦織選手の優位は動かなかったというところでしょうか。

 テニスの四大大会でベスト4に進出すること自体が「快挙」ですが、準優勝の経験もある「相性の良い」全米オープンですから、今度こそは「優勝」の期待がかかります。

 激戦を続けてきている錦織選手のコンディショニングが勝敗を分けることとなるのでしょう。

 準決勝はワウリンカ選手との対決となりました。ここを突破すれば、ジョコビッチ選手との決勝が待っているのでしょうか。
決勝のコートで、錦織圭選手の「満面の笑み」を是が非でも観てみたいものです。
 8月12日に行われた、テニス男子シングルス準々決勝で、錦織圭選手はガエル・モンフィス選手(フランス)を7-6、4-6、7-6のセットカウント2-1で破り、ベスト4に進出しました。

 この試合2度目のタイブレークとなった第3セット、タイブレークはモンフィス選手が先攻しました。ミニブレイクを重ねて6-3とマッチポイント、それもトリプルマッチポイントを握ったのです。

 この試合のモンフィス選手は好調でした。持ち味の「変幻自在」のプレーが冴え、サービスエースも決まって、錦織選手を追い込んだのです。

 この状況での「トリプルマッチポイント」ですから、錦織選手は絶体絶命でした。
 モンフィス選手の表情には「余裕」さえ感じられたのです。

 しかし、ここからが「錦織圭の真骨頂」でした。

 2ポイントを連取して5-6と追い上げ、モンフィス選手のサービスです。
 この段階では、モンフィス選手の表情からは余裕が消えていました。

 ファーストサービスはフォルト、セカンドサービス。
 錦織選手は前に出ました。
 これを見たモンフィス選手は「勝負を賭け」ました。ファーストサービスを打ってきたのです。
 モンフィス選手としては、この日の好調なサービスに賭けたのでしょう。
 しかし再びフォルト、ダブルフォルトとなって、6-6の同点となりました。

 続くポイントで、錦織選手はストレートにパッシングショットを放ち7-6とリード。
 最後は、モンフィス選手のショットがアウトとなりました。

 追い込まれた局面から「5連続ポイント」。
 錦織圭選手の素晴らしい粘り腰でした。

 勝利が決まった瞬間、錦織選手はまだ試合が続いているかのような表情でしたが、その後喜びの表情に変わりました。泣いていたのではないでしょうか。
 3度目のオリンピックで、ついに「ベスト8の壁」を突破したのです。

 ベスト4の相手は、イギリスのアンディ・マレー選手です。
 相手に不足は有りません。もちろん強豪ですが、勝機も十分に有ると思います。

 頑張れ、錦織圭選手!
 世界最高のテニスツアー、ATPツアー・マスターズ1000・マイアミオープン大会の男子シングルス決勝は4月3日に行われ、第1シードのノヴァク・ジョコビッチ選手が、錦織圭選手を、ゲームカウント6-3・6-3、セットカウント2-0のストレートで下し、優勝しました。

 格の高いマスターズ1000大会2度目の決勝進出となった錦織選手でしたが、今回も優勝は成りませんでした。

 ジョコビッチ選手は、これでマスターズ1000大会通算28勝目。自身の持つ史上最多優勝記録を更新し、史上単独トップに立ちました。
 また、生涯獲得賞金額でもロジャー・フェデラー選手を抜いて史上最高となりました。通算9800万ドル(約107億8000万円)というのですから、気が遠くなるような金額です。

 世界テニス史上に燦然と輝く地歩を残したのです。

① 低い打点からの両手打ちバックハンドの威力

 試合のキーとなるポイントで、ジョコビッチ選手の「両手打ちバックハンド」からのショットが炸裂しました。

 ギリギリまで引き付けてのショットですから、さすがの錦織選手も追いつくことが出来ずエースになっていました。

 このショットが、現在「一強」と呼ばれる、ジョコビッチ選手の最強の武器なのでしょう。

② 深く重そうなショット

 試合全体を通じて、ジョコビッチ選手のショットの深さが印象的でした。

 体勢を崩した状態でも、深いショットが錦織選手のコートをヒットします。

 そして、これらのショットが「重そうに見える」のです。良いショットで返球するのは、容易なことでは無いでしょう。

③ 「硬軟織り交ぜた」錦織選手のショットも通じず

 錦織選手は、ここぞというポイントで少しスピードを抑えたショットを交えたり、サービスでもスピードの変化を付けていました。そして、一定の効果も生み、ジョコビッチ選手のミスショットも誘っていました。
 第1セット・第1ゲームのサービスブレイクも、ここから生まれたと思います。

 しかし、ジョコビッチ選手のミスショットとスーパーショットの比率では、スーパーショットの数が勝ったのです。

 錦織選手の渾身の工夫も、この試合では及ばなかったということでしょうか。

 この大会の様な「ボールが良く跳ねる」サーフェイスでは、ジョコビッチ選手の強さが一層際立ちます。
 19歳の時に初優勝し、今回の優勝で6勝目という、素晴らしい成績を残している所以でしょう。

 圧倒的な安定感。

 世界テニス界においては、当分の間、「ジョコビッチ王朝」が続きそうです。
 ATPツアー2016・マイアミオープンの男子シングルス・準決勝は4月1日に行われ、錦織圭選手はニック・キリオス選手(オーストラリア)をセットカウント2-0のストレートで破り、決勝進出を果たしました。
 錦織選手がATPマスターズ1000大会の決勝に進出するのは、2014年5月のマドリード大会以来、2度目となります。

 決勝の相手は、準決勝でダビド・ゴフィン選手(ベルギー)を2-0で破ったノヴァク・ジョコビッチ選手です。
 4大大会に次ぐ格式を誇るマスターズ1000大会だけあって、世界ランキングNO.1のプレーヤーが待っていました。

 今大会の錦織選手は、準々決勝のガエル・モンフィス選手(フランス)選手との試合で端的に観られるように、冷静かつ粘り強いプレーが目立ちます。
 
 静かな立ち上がりから、相手プレーヤーの動き・調子、そして自らのコンディションを把握したうえで、試合の進め方を決めて、プレーを展開します。
 追い込まれても、プレーの冷静さが保たれていますから、相手プレーヤーのミスショットを巧みに引き出しているように観えるのです。

 モンフィス選手との試合では「5度のマッチポイント」を凌ぎました。特に、0-40からのトリプルマッチポイントを凌いだシーンは、今大会の錦織選手の真骨頂でしょう。

 さて、現在「王朝」を築いていると言われるジョコビッチ選手を倒すのは、どんなプレーヤーにとっても容易なことではありませんが、今大会の錦織選手なら、という可能性を感じさせます。

 「暑い大会」として知られているマイアミオープンですから、決勝までの間にどれだけエネルギーを残しているのかが第一のポイントとなるでしょうが、今大会の錦織選手はコンディション調整が上手く行っているように観えます。

 第二のポイントは、ショットの調子ですが、これは錦織選手、ジョコビッチ選手共に「絶好調とはいえない」感じがします。
 両選手共に、慎重な立ち上がりから少しずつ、試合を自らのペースに引き込んでいるように観えるのです。

 こうなると決勝のポイントは、最初の3ゲームでしょうか。
 今大会最後の試合として、ジョコビッチ選手が打ち込んでくるであろうカウンターショットを、錦織選手がどのように料理することが出来るのか。
 硬軟織り交ぜたショットでジョコビッチ選手のミスを誘発することが出来れば、互角の勝負となることでしょう。

 頑張れ、錦織選手!
 ATPツアー・マスターズ1000・インディアンウェルズ大会「BNPパリバ・オープン」2016の男子シングルス準決勝、ラファエル・ナダル選手とノヴァク・ジョコビッチ選手の試合が3月19日に行われました。

 このカードは48回目の対戦となり、ツアー史上最多対戦記録を更新しました。

 同じカードで48回もの対戦を積み重ねているというのは、凄いことだと感じます。

① 長きに渡って、世界トップクラスで戦う両選手

 対戦の回数を重ねて行くためには、両選手が共にATPツアーに出場できるレベルに在る必要があるのは勿論として、この両選手となれば「世界のトップランカー」の位置に存在し続けなければならないわけですから、驚異的なことです。

 ナダル選手がツアーにデビューしたのは2001年ですから、以降16年に渡ってツアープレーヤーとしてのキャリアを経ているのです。
 その間にツアーで74勝、全豪・全仏・全英・全米の四大大会シングルスで14度の優勝を遂げていて、グランドスラマーでもあります。
 ナダル選手といえば「クレーコートのスペシャリスト」という印象が強く、実際に全仏で9度も優勝しているのですから、クレーでの強さは圧倒的なのですが、芝のウィンブルドンでも2度チャンピオンになっているのです。

 ジョコビッチ選手がツアーにデビューしたのは2003年、ナダル選手の2年後です。
 以降60度以上のツアー優勝、四大大会シングルス11度の優勝と実績を積み重ねてきました。全仏で優勝すればグランドスラマーとなります。

 10年以上に渡って戦い続け切磋琢磨し合う存在というのは、素晴らしいものでしょう。

② フェデラー選手・ナダル選手が先行し、ジョコビッチ選手が追いかける展開

 48戦を重ねた「ナダルVSジョコビッチ」に続く対戦回数のカードは、「フェデラーVSナダル」の45戦です。

 21世紀の世界テニス界を牽引してきた、ロジャー・フェデラー選手がツアーデビューしたのは1998年。以降100勝に迫るツアー優勝回数を重ね、四大大会シングルスでも17度の優勝という、歴代最高記録を誇ります。ウィンブルドンで7度の優勝を遂げているのです。

 つまり、フェデラー選手とナダル選手が、芝とクレーという得意のサーフェイスを舞台として優勝を重ねていた状況で、ジョコビッチ選手が追いかけ続けてきたというのが、「21世紀の男子シングルス」と言って良いのでしょう。

 そして2014年頃から、ジョコビッチ選手が「3強」の先頭に立ちました。2015年は完全に「ジョコビッチのシーズン」となったのです。

 頭書の試合は、ジョコビッチ選手が7-6・6-2でストレート勝ちしました。
 両者の対戦は、48戦してジョコビッチ選手の25勝、ナダル選手の23勝となったのです。
 また、両者の対戦は「ジョコビッチの6連勝」中とのこと。

 こうした状況なら、頭書の試合もジョコビッチ選手の「一方的な試合」となったのではないかと思われますが、実際には違います。大接戦でした。

 第2セット、ゲームカウント5-2とリードしたジョコビッチ選手がナダル選手のサービスゲームで40-0とリードして3マッチポイントを握った時には、これで試合が終わると感じました。

 ところがナダル選手は3ポイントを連取して40-40、デュースとなりました。追い込まれてからの、ナダル選手の反発力は見事なもので、「さすがに四大大会シングルス14勝」のプレーヤーだと感じさせるものでした。

 試合は、デュースとなって6回目のマッチポイントでジョコビッチ選手が勝利しました。
 見応え十分の試合でした。

 ジョコビッチ選手がセットカウント2-0で勝った試合ですが、1時間58分もの時間を要したのです。
 
 やはりこの対戦は、現在の世界最高のカードのひとつなのでしょう。
 11月22日、ロンドンで開催されていた2015年のATPツアーファイナル・男子シングルス決勝は、ノバク・ジョコビッチ選手とロジャー・フェデラー選手の対戦となり、ジョコビッチ選手がセットカウント2-0で勝利、優勝を決めました。

 ジョコビッチ選手は、史上初の同大会4年連続優勝と成りました。

 近時の男子シングルス種目は、ジョコビッチ選手にフェデラー選手、ナダル選手、マリー選手を加えた「四強の時代」と言われてきましたが、2015年のテニス界を見る限り、「一強」「ジョコビッチの時代」というべき様相でした。
 ジョコビッチ選手が圧倒的な強さを魅せたのです。

① 四大大会の三大会で優勝

 ジョコビッチ選手は、2015年の四大大会の中で、全豪、全英、全米に優勝し、残る全仏でも準優勝でした。

 ここまで圧倒的な強さであったのなら、全仏も制して欲しかったとさえ感じます。

② ATPツアーマスターズ大会

 ツアーの中で、四大大会に次ぐ格の大会であるマスターズ大会(全9大会)で、8大会に出場して6度優勝、準優勝が2度でした。

 出場した全ての大会で決勝に進出する安定感も凄いのですが、その内6度優勝という強さも驚異的です。もちろん、史上初のことでした。

 前述①の四大大会と合わせて、現在のテニス界最高レベルの12大会に出場して、全ての大会で決勝に進出し9度優勝というのですから、2015年の男子シングルスは「ジョコビッチ選手を中心に回った」というか「ジョコビッチ選手と決勝で戦うプレーヤーは誰か」といった様相だったことも間違いありません。

 ジョコビッチ選手のプレーの特徴は、ストロークの強さと多彩さであろうと思いますが、2015年の各大会においては、そのレベルの高さが際立っていました。

 「これで入るのか」と観える角度・強さのショットが、相手コートに突き刺さります。
 テニス界の世界トップクラスの試合における常識(言葉に矛盾があるかもしれませんが)を遥かに超える変化量をボールに与えることができるのです。

 「こんなショットを決められては勝てない」と相手プレーヤーに感じさせる効果も絶大であろうミラクルショットが、試合中時々出現するのです。

 プレーヤー個人の肉体・精神に対するハードさ・過酷さという点から、あらゆるスポーツにおける世界トップクラスの試合・大会・ツアーのスケジュールの中で、私はATPツアーのシングルスが最も厳しいものではないかと感じています。

 そもそも、テニスというスポーツは1試合を勝ち抜くことだけでも、相当のリソース・エネルギーを消費しますが、その大会で優勝するためには連日の試合出場が必要となります。
 そして、毎週のように大会が開催されます。

 テニス界の看板プレーヤーであり、余程のことが無いと大会出場を回避することが許されないトッププレーヤーの皆さんとっては、年間11か月の間ほとんど休みが無いスケジュールとなっているのです。
 結果として、トッププレーヤー達は常に「故障との戦い」が続きます。我らが錦織圭選手も、いつも体のあちこちの故障に悩まされています。

 このハードスケジュールはジョコビッチ選手にとっても厳しいものであり、ジョコビッチ選手も各々の大会において、調子が良い大会と悪い大会がある筈なのですが、前述のような「極めて安定したプレー」を魅せ続けることが出来るのですから、他のプレーヤーとの「力の差が大きい」ことは明らかでしょう。

 全盛期を迎えた感のあるジョコビッチ選手のトップコンディションの状態を100とすれば、現在は80位でも優勝を狙える程の差があるのではないでしょうか。
 2015年においては、ジョコビッチ選手のコンディションが相当悪い時でなければ、他の選手が付け入ることが出来なかったのではないかと思います。

 さて、12月は世界トップクラスのツアープレーヤーにとって、年間唯一の1ヵ月間の休養期間です。
 
 この休みを経て開始される2016年シーズン、「ジョコビッチの時代」が続くのか、他の選手の追い上げ・反攻が観られるのか、注目されるところです。
 カナダのモントリオールで開催されている、ATPワールドツアー・マスターズ1000シリーズの大会であるロジャース・カップの男子シングルスで、8月14日錦織圭選手がスペインのラファエル・ナダル選手を6-2・6-4のストレートで破り、準決勝に進出しました。

 これまでツアーで7戦7敗と一度もナダル選手に勝てていなかった錦織選手は、8度目の対戦で初めての勝利でした。
 試合を通じて、錦織選手の「力強いストローク」が印象的でした。フットワークの良さをも含めて、今大会における好調さを物語っていたと感じます。

 今大会は、ATP(男子プロテニス協会)ツアーの中でも格の高い大会のカテゴリーであるマスターズ1000シリーズですから、世界ランキング上位のプレーヤーが揃って出場しています。

 8月15日の準決勝はアンディ―・マレー選手との対戦となりますし、ここを突破して決勝に進むと、準決勝のもう一試合、ノバク・ジョコビッチ選手とジェレミー・シャーディ戦の勝者との対戦となります。ジョコビッチ選手が進出してくる可能性が高いのでしょう。

 ナダル選手→マレー選手→ジョコビッチ選手と対戦が続くようであれば、四大トーナメント並みの極めて強いフィールドということになります。まさに、世界トップクラスの戦いなのです。

 錦織圭選手の健闘に期待します。
 テニスのATPワールドツアー500シリーズの一戦、シティオープン大会は8月3日~9日にかけて開催され、男子シングルスで錦織圭選手が優勝しました。

 アメリカのジョン・イスナー選手との対戦となった決勝は、第一セットを4-6で落としたものの、第二・第三セットを6-4で連取しての優勝でした。

 準決勝で、昨年の全米オープン決勝で苦杯を舐めさせられたマリン・チリッチ選手を、やはりセットカウント2-1で破っていますから、錦織選手の調子が上がってきていることは間違いなさそうです。

 チリッチ選手・イスナー選手とビッグサーバーを相手にしての準決勝・決勝でしたが、第一セットで相手プレーヤーの戦法を良く観察し、第二セット以降対応策を展開するという試合運びは、まさに錦織圭の真骨頂と言えるでしょう。

 錦織選手は全米オープン2015を前にしての大会で好成績を残しました。世界ランキングも4位に上がったと報じられています。
 コート上の自在な動きを見る限り、故障も相当回復しているようです。

 8月末から始まる2015年の全米オープン大会における大活躍が期待されます。
 試合を通して、ノバク・ジョコビッチ選手のパッシングショットの深さが際立ちました。

 7月12日に行われた男子シングルス決勝は、ロジャー・フェデラー選手(スイス)とジョコビッチ選手(セルビア)の対戦となりました。

 全盛期を過ぎたとはいえ、過去ウインブルドン・シングルスで7度の優勝を誇り、芝コートで絶対的な強さを魅せるフェデラー選手(33歳)が、準決勝まで好調なプレーを展開していましたから、現在世界ランク1位のジョコビッチ選手が相手とはいえ、「大接戦」が予想されました。

 第1セットは期待に違わぬ接戦となりました。
 まずフェデラー選手がジョコビッチ選手のサービスをブレイクしました。フェデラー選手独特の「軽く見えるタッチ」のショットが良く決まりましたから、このセットはフェデラー選手が押し切るかに見えました。

 ところが、その直後にジョコビッチ選手がブレイクバックしたのです。
 この大会で殆どサービスブレイクを許していなかったフェデラー選手が、あっという間にブレイクバックを喫したのです。
そのショットの深さが印象的でした。大半のショットがベースラインから1m以内をヒットしていて、時々は50cm以内に入っているように観えました。

 あの強烈なショットが、これほど深く入って来るのでは、フェデラー選手としても対応が大変であろうと感じられました。

 第一セットはタイブレークの末ジョコビッチ選手が取りました。タイブレークは、7-1の圧勝でした。

 第二セットは逆にフェデラー選手が奪いましたが、試合は「ジョコビッチが僅かながら終始押している」様子でした。

 第三セット、第四セットはジョコビッチ選手が徐々に優位を広げて押し切りました。
 フェデラー選手にとっては、準決勝で好調だったファーストサービスの入りが、少し悪かったことも響いたと思います。

 ジョコビッチ選手は、これで3度目のウインブルドン制覇となり、全豪・全米と合わせて9度目の4大トーナメント・シングルス優勝となりました。

 1987年生まれで28歳のジョコビッチ選手は、今全盛期を迎えていると感じます。
 ストロークプレーにおける「ボールの威力」は、他の追随を許さないものでしょう。

 4大大会シングルス優勝を目指す錦織圭選手にとっても、とても大きくて厚い壁であることは間違いありません。
 テニスの全英オープン、ウィンブルドン大会が6月29日に開幕しました。

 ローンテニスの聖地として、4大大会の中でも特別な位置付けを持つ大会でしょう。

 その男子シングルス1回戦に、錦織圭選手が早速に登場しました。

 錦織選手は、3時間20分に及ぶ激闘の末、セットカウント3-2でシモーネ・ポレリ選手(イタリア)を倒しました。

 この試合の報道において、「格下相手に苦戦」といった論調が目立ちます。
 世界ランキング55位のポレリ選手と同5位の錦織選手の対戦ということから、こうした表現となるのかもしれませんが、いかがなものでしょうか。

 もちろん、ランキング上位の錦織選手の方が「より安定した強さ」を保持していることは間違いありません。
 おそらく、10度試合をすれば、錦織選手の8勝2敗位の差、大きな力の差があるのでしょう。

 とはいえ、「その2敗」がウィンブルドンにおける対戦で出ていれば、ポレリ選手が勝つ可能性も有るのです。

 世界でも最もメジャーなスポーツのひとつであるテニス競技、競技人口が極めて多いスポーツにおいて、ランキング55位というのは相当高い順位であり、ランキング一桁のプレーヤーに土を付けることも可能な力量を備えていると思います。

 増してや、コンディションの良し悪し、サーフェイスへの適性、等を考慮すれば、55位のプレーヤーを倒すのは容易なことではないのです。
 錦織選手は、本試合中に左脹脛にテーピングを施していましたから、万全とは言えないコンディションでした。

 この試合は「よくぞ錦織選手が勝ち切った試合」であり、決して「格下相手に苦戦した試合」では無かったと思います。


 6月2日に行われた準々決勝、錦織圭選手対ウィルフィールド・ツォンガ選手の試合は、セットカウント3-2でツォンガ選手が勝ちました。

 日本期待の錦織選手はフルセットの末敗れてしまいましたが、素晴らしい試合であったと思います。

 この試合のツォンガ選手は、プレーにスピードが有り、とても正確でした。もともと爆発力のあるプレーヤーですが、この日は好調であったのだと思います。加えて、地元フランス選手として唯一ベスト8に駒を進めていましたから、会場内はツォンガ選手への応援一色でした。

 こうした応援は「プレーヤーが好調な時に大きな威力を発揮する」のです。

 この勢いの前に、さすがの錦織選手も力尽きたというところでしょう。この勢いを前にしても「フルセットの接戦」を演じた錦織選手にも、大きな拍手を送りたいと思います。

 82年前の佐藤次郎選手に続いてのベスト4進出は、残念ながら成りませんでしたけれども、82年振りのベスト8進出は見事でした。

 グランドスラム大会におけるベスト4・決勝進出には、様々な要素が関係してくるのでしょうが、現在の錦織圭選手の実力は、「様々な要素が揃えば決勝進出が出来るレベル」であろうと、改めて感じさせる大会でした。
 テニス競技における、クレーコートと芝コートは対照的なサーフェイスであると言われています。

 球足が速く、バウンドしたボールが「滑って行く」とも形容される芝コートと、球足が遅く、大きくバウンドするクレーコートは、試合で勝つために求められる技術も相当異なるものなのでしょう。

 4大大会で言えば、クレーコートは全仏オープン、芝コートは全英オープン(ウィンブルドン)で使用されています。

 現在のテニス界のトップクラスのプレーヤーとして、ラファエル・ナダル選手とロジャー・フェデラー選手を例に取ってみましょう。

 ナダル選手は、全仏の男子シングルスで優勝9回、全英で2回、フェデラー選手は全仏で1回、全英で7回の優勝を果たしています。

 ナダル選手もフェデラー選手も、4大大会の全てを制している「グランドスラマー」ですけれども、その得意とする大会は対照的なのです。
 ナダル選手は全仏→クレーコートに強く、フェデラー選手は全英→芝コートに強いことは明らかでしょう。

 フェデラー選手やナダル選手といった、「基本的な実力が極めて高いプレーヤー」にして初めて、苦手なコートを克服し、グランドスラムを達成することが出来るということなのかもしれません。

 ところが、テニスの歴史においては、「全仏と全英の両方に強いプレーヤー」が存在しました。本稿の主人公であるビョルン・ボルグ選手です。

 1956年にスウェーデンで生まれ、1970年代から80年代初頭にかけて世界のテニス界をリードした選手です。
 ボルグ選手は、全仏で6回、全英で5回の優勝に輝いています。
 1978年・79年・80年シーズンには、同一シーズンで全仏と全英を制しているのです。

 ボルグ選手は、「優勝するためには相当に異なるプレーが必要とされる全仏と全英」で、ほとんど同じレベルの好成績を残したプレーヤーなのです。

 ボルグ選手はテニス競技に「トップスピンのストローク」を齎した、あるいは確立したプレーヤーとも呼ばれています。このトップスピンのグランドストロークが、ボルグ選手の強みでしたが、この技術の高さ・新しさが、全仏と全英のどちらの大会でも優勝できるプレーの骨格であったのかもしれません。

 ボルグ選手の戦績には、もうひとつ特徴というか不思議なポイントがあります。
 全豪と全米で優勝していないことです。

 全豪と全米はオールウェザーコートです。クレーコートと芝コートの中間くらいのボールの速さが出ると言われるコートです。

 従って、トッププレーヤーの中でクレーコートが得意な選手も、芝コートが得意な選手も、ともに全豪・全米では相応の成績を残すもののように感じます。

 頭書に従って、ナダル選手とフェデラー選手を例に取ってみましょう。
 ナダル選手は全豪で1回、全米で2回、フェデラー選手は全豪で4回、全米で5回、優勝しています。そして、二人ともグランドスラマーとなっているのです。

 一方で、ボルグ選手は全豪・全米とも優勝していません。

 全豪オープンに対しては、ボルグ選手は1度しか出場していませんから、「自らのスケジューリングの中で全豪は回避していた」のかもしれません。
 他方、全米オープンはというと「準優勝4回」ですので、これは「勝ちに行って勝てなかった大会」なのでしょう。この4回の大会では、ジミー・コナーズ選手が2回、ジョン・マッケンロー選手が2回、優勝しています。

 「芝コートとクレーコートであれ程圧倒的な強さを魅せた」ボルグ選手が、オールウェザーコートのメジャー大会では勝てなかったというのは、テニス競技の難しさを感じさせる事実なのでしょう。

 そういえば、ボルグ選手と共に男子プロテニスの黄金時代を築いたコナーズ選手のプレー振りは、そのフラットなストロークから「芝コート」で強さを発揮できそうな感じです。
 実際、コナーズ選手は全英に2回優勝していますが、思ったよりは優勝回数が少ない印象です。(同時代にボルグ選手が居たせいも有るのでしょうが)

 一方で、全米では5回の優勝を誇っているのです。
 コナーズ選手が全米で活躍した時期(1974年~83年頃)は、全米オープンのサーフェイスが芝→グレーコート→ハード(オールウェザー)と変化した時期と重なりますから、一概には言えないのかもしれませんが、コナーズ選手がオールウェザーコートを得意としていたプレーヤーであったことは間違い無いことだと思います。

 「コートのサーフェイスとプレーヤーのプレーの質・特徴」との関係は、何時の時代もテニス競技における最大のテーマのひとつなのでしょう。
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