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 4月18日、荒川静香氏のフィギュアスケート世界殿堂入りが報じられました。

 「世界フィギュアスケート殿堂」は、アメリカ合衆国コロラド州コロラドスプリングスに在る、「世界フィギュアスケート博物館」と「栄誉の殿堂」が授与と管理を行っている賞です。

 当然ながら、容易には受賞できない栄誉であり、日本人では3人目となります。

 日本人受賞者のひとり目は、2004年の伊藤みどり氏でした。伊藤氏は、1992年アルベールビル・オリンピックの女子シングル銀メダリストであり、世界の女子で初めてトリプルアクセルと、3回転+3回転の連続ジャンプを成功させたことが評価されたものだと伝えられています。

 ふたり目は、2010年の佐藤信夫氏でした。佐藤氏はコーチとして、浅田真央選手を始めとする世界トップクラスの選手を数多く育てたことが評価されたものでしょう。

 そして、三人目が荒川氏で、2018年の受賞となります。2006年トリノ・オリンピック女子シングルの金メダルが評価されたことは、間違いありません。

 選手の表彰については「現役引退後5年以上経過」という条件がありますから、伊藤氏や荒川氏の受賞には少し「時間差」を感じることになります。
 いずれにしても、三氏の受賞は、世界のフィギュアスケート関係者からの高い評価を明示しているという点で、本当に素晴らしいことだと感じます。

 荒川静香選手のトリノにおける金メダルは、この大会の日本選手団「唯一のメダル」でしたから、日本のウインタースポーツファンにとって、とても貴重なメダルでしたし、男女を通じて、フィギュアスケート競技における「初めてのオリンピック金メダル」でもありました。
 今回の受賞に「日本チーム唯一」「日本フィギュアスケート界初」といった「物差し」がどの程度影響したかは、分かりませんけれども、その偉業は、誰もが納得する高いレベルのものだったのです。
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 オリンピックが終わり、恒例?のフィギュアスケート・ルール改正の季節がやってきました。

 国際スケート連盟が本年6月の総会で決議しようとしている「ルール改正(採点方法の改正と言った方が分かり易いかもしれません)」の内容が、明らかになってきました。

 「より完成度の高いジャンプに、より高い得点が与えられる」方向性のようです。

 例えば、現在13.6点の4回転ルッツの基礎点11.5点へ、同10.3点の4回転トウループが9.5点に下がる一方で、トリプルアクセルは8.5点から8.0点、トリプルルッツは6.0点から5.9点と、4回転ジャンプと比較して3回転の方が「基礎点の下げ幅が小さい」のです。

 一方で、いわゆる出来栄え点=加点幅が±3点から±5点に拡大される方向とのこと。

 そうすると、例えば最高の出来栄えのトリプルアクセルは8.0+5.0=13.0点となって、普通の出来の4回転ルッツの11.5点を上回ることになるのです。

 まだ「改正の内容」が固まっているわけではありませんが、とはいえ「改正の方向性」は固まっているようですので、2018年~19年シーズンの競技会では、「ジャンプの完成度の高さ」がポイントとなってくるのでしょう。
 理屈上では、4回転を一度も飛ばなくとも、高いレベルの3回転を積み上げることで対抗できる可能性があります。

 確かに、2017年~18年の「採点基準」では、男子においては多くの種類の多くの4回転ジャンプを成功させれば、「必ず優勝できる」ルールでした。「基礎点合計がより高いプログラムを組み、それを成功できるか否か」、ある意味では「一か八か」のトライといった感じがしたものです。

 結果として、ジャンプとジャンプの間を繋ぐシークエンスが軽んじられ、いわゆる「スカスカの演技」が見られた、増えたとの指摘もあります。それでは、フィギュアスケートの魅力も半減だといった意見もあることでしょう。

 加えて、「演技後半で行ったジャンプの基礎点が1.1倍」というルールも同時に見直され、後半で飛ぶことが出来るジャンプの本数に制限が付くという方向だそうです。
 「全てのジャンプを演技後半に」という戦術は、取ることが出来なくなるのです。

 演技全体の技のバランスという面からは、とても良い改正の様に感じられます。

 男子についていえば、「とにかく多くの4回転ジャンプを成功させた選手が勝つ」という「定理」の変更に結びつきますし、女子については「4回転ジャンプ習得・成功が生き残るための必須条件」との近時の方向感の、見直しに繋がる可能性があります。

 フィギュアスケート競技においては、高難度の技に果敢に挑んでいく「力強さ・勇気」が大切なポイントですけれども、一方で「ほれぼれするような美しさ・完成度」もとても重要な要素であろうと思います。
 「日本女子フィギュアスケート陣の意地」を魅せていただいた気がします。

 3月23日に行われた、2018年のフィギュアスケート世界選手権大会・女子シングルのフリースケーティングで、宮原選手、樋口選手が素晴らしい演技を魅せてくれました。

 特に、ショートプログラムSPで8位と出遅れた樋口選手は、最初の3回転サルコウ、続く3回転ルッツ+3回転トウループをキッチリと決めて勢いに乗り、全てのジャンプを成功させると共に、その他のシークエンスもミス無くクリアする「会心の演技」を披露しました。

 演技終了直後・リンク上の樋口選手の「雄叫び」(女子選手には似つかわしくない言葉ですが、正に心の底からの叫びでした)が全てを表現していました。
 大きな舞台での「思った通りのパフォーマンス」は、全てのアスリートの夢でしょうが、樋口選手はそれを実現したのです。

 結果が付いて来るのは、道理でしょう。

 それにしても、「転倒など考えられない雰囲気」のプレーを魅せて、平昌オリンピックで金メダルを獲得したザギトワ選手が、何度も転倒し、SPで80点越え・世界歴代3位を記録したコストナー選手もミスを連発するとは、思いもよらないことでした。
 フィギュアスケートの「怖さ」を如実に示したのです。

 これで、次回の世界選手権・女子シングルの日本チームの出場者数は3名となりました。

 少し前まで「日本からは3名出るもの」と思い込んでいましたが、2018年のオリンピックと世界選手権では2名しか出場できませんでした。
 最高人数である「3名」枠を維持するのは、とても難しいことなのです。(当たり前のことを書き、恐縮です)

 「次に誰が出るかは分からないが、3枠を獲得し続けること」が、世界フィギュアスケート界を牽引する国・チームとしての責務であり、沢山のフィギュアスケートファンの期待に応えて行く道なのでしょう。

 本当に「茨の道」ですけれども・・・。
 平昌オリンピックの興奮も冷めやらぬ3月11日、世界選手権大会における高木美帆選手優勝の報が齎されました。

 この大会は、スピードスケートのオールラウンダー世界一を決めるもので、500m、1500m、3000m、5000mを滑り、4種目の成績のトータルで競うものですが、1日目の500mと3000mの成績で首位に立った高木選手は、2日目の3月10日の1500mで1位、最終種目の5000mで4位となって、総合成績で優勝したのです。

 2位には、この大会で過去6度の優勝を誇るオールラウンダー、オランダのイレイン・ビュスト選手が入りました。

 2018年の大会は「ミスオールラウンダー」ビュスト選手と、高木選手の激しい争いだった形です。

 2プレーヤー対決のポイントは1500m種目でした。

 中距離が得意な高木選手としては、絶対に落とせない種目ですが、中距離から長距離まで安定した力を誇るビュスト選手としても、この種目で高木選手に先着することで、総合優勝を確保したいという狙いが有ったのでしょう。

 1500mは、2プレーヤーの直接対決となりました。
 1000mも強い高木選手が先行し、5000mも得意なビュスト選手が後半追い上げるという展開となり、2人がほとんど並んだところがゴールでした。
 100分の7秒、高木選手が先着したのです。
 この種目の1位が高木選手、2位がビュスト選手となり、この順位差が総合優勝の決め手となりました。

 おそらく、ビュスト選手としては、「スケート王国」オランダを代表するオールラウンダーとして、地元アムステルダムの「屋外リンク」で行われる世界大会で、自らが負けることは全く考えていなかったことであろうと思います。

 タイムが出難い*「平地の屋外リンク」、高速リンクとは異なり「高いレベルの筋力」が必要なリンクでは、絶対の自信を持っていたことでしょう。(*この大会の500mで40秒を切ったのは高木選手(39秒01)ひとりでした。平昌オリンピックにおいて小平選手が36秒台で滑ったことを考慮しても、タイムの出難いリンクだったことは明らかです)

 オランダ女子チームのリーダー格であるビュスト選手は、平昌オリンピックを去る時に「金メダルが取れずにオリンピックを終えるというのは、とても寂しいこと」とコメントしていました。これまでのオリンピックでは、必ず金メダルを獲得していたビュスト選手にとっては、残念な平昌五輪となったのです。
 そのビュスト選手は、オールラウンダーという自らのフィールドにおいて「世界一」は譲れない気持ちがとても強かったことでしょう。

 そのビュスト選手を破り、日本選手として初めての優勝を勝ち取ったのですから、高木選手の頑張りは素晴らしいものです。

 日本女子チームが、「王国」オランダにとっても端倪すべからざる実力を身に付けてきていることを、再び証明する結果でもあったのでしょう。
 普段は「エキシビション」は見ません。

 特に、オリンピック期間中ともなれば、撮り溜めた各競技の録画を観るのに、私の「時間」というリソースが投入され、それでも追い付かないような状況となりますから、「エキシビション」を観ている暇は残念ながら無いのです。

 ところが、今回は妻が「羽生君と宇野君のエキシビションを観ようよ」と強く言うので、久し振りにフィギュアスケートのエキシビションを「テレビの録画放送」で観ました。

 観て良かった、というのが感想です。

 羽生選手の演技は、とにかく「雰囲気」があり、「凛とした美しさ」が印象的でした。
 右足首を痛めている影響からか、複数回転のジャンプが見られず、「無理もない」と感じていたところへ、見事なトリプルアクセル。「少ない回数のジャンプで演技を構成する」お手本の様な滑りでした。

 宇野選手の演技には、「若さ」が感じられました。「堅さ」さえ感じられる「若さ」です。宇野選手の潜在能力の高さ、今後の伸長を予感させる、良い滑りでした。

 女子シングルのメドベージェア選手やザギトワ選手の演技も、見所満載でした。
 特にザギトワ選手の「豹柄のコスチューム」に身を包んだ演技は、とてもエロティックで、15歳とは思えない滑りでした。
 この2人のOAR(ロシア)の金・銀メダリストの演技で最も感心させられたのは、「いつでも3回転ジャンプが飛べる」という余裕でしょう。3回転+3回転の連続ジャンプでも、まず失敗しません。
 競技会から継続されている「安定感と正確さ」は素晴らしいレベルです。

 そして、秀逸だったのがハビエル・フェルナンデス選手(スペイン、男子シングル銅メダリスト)の演技でした。
 
 ジーパンにパーカー、スニーカーの靴カバーといった服装で、大きなバッグを持って登場、様々な演技を披露してくれました。

 途中からは「ハビエルマン」とでも呼んだらよいのでしょうか、スーパーマンの様な姿、スペイン国旗のカラーである、黄色に濃い茶色の縁取りのコスチュームに変身(上着を脱ぎ捨てたのですが)して、演技を続けました。
 背負っていた「赤いマント」がふたつに分かれ氷上に投げられたり、水を飲んだり、水をかけられたり、小道具も満載、サービス満点の演技でした。

 大会後のインタビューで、羽生選手が「とにかく優しい。優し過ぎて競技者には向かないのではないかと思うくらい・・・」とコメントしていましたが、フェルナンデス選手の性格が、全編に溢れているプログラムでした。

 既に、過去の大会のエキシビションでも行われているプログラムとのことで、「有名な」ものなのだそうですが、初めて見た私にとっては、とても新鮮でした。

 かつては、フランスのキャンデローロ選手のエキシビションが秀逸でしたが、現在はフェルナンデス選手が「エキシビションNO.1」の地位を確立している?のでしょう。

 フィギュアスケートとアイスショーは、何時の時代も密接な関係にあります。

 「美しく楽しいスケートショー」と「緊張感あふれる厳しい競技スケート大会」の間を取り持つのが、エキシビションなのかもしれません。
 マススタート女子で、姉の菜那選手が金メダルを獲得した翌日、某テレビ局の平昌スタジオに、高木姉妹、佐藤選手、菊池選手が登場し、インタビューが放送されました。
 笑顔あふれる、とても気持ちの良いインタビューでした。

 アナウンサーが、高木美帆選手が金・銀・銅の3個、菜那選手が金2個、姉妹でメダル5個ですね、とマイクを向けると、姉妹はやや困惑した様子で「これはみんなで取ったので」と言いながら、金メダルをひとつ持ち上げました。
 高木姉妹は、「2人でメダル4個」と言いたかったのでしょう。

 確かに、国別メダル数というときには、チームパシュートの金メダルは、チーム4人で1個と数えます。当たり前のことです。

 一方で、個々の選手のメダルを数える時には、チーム4名それぞれ1個というのでは、数が合わないと考えたのかもしれません。

 とても「合理的」な考え方です。

 こうした「合理的」な考え方が、普通に出来るアスリートだからこそ、複数のメダルを獲得できたのかもしれないと、妙に感じ入ってしまいました。

 さらに言えば、同じ番組に出演している、佐藤選手、菊池選手に配慮したのかもしれません。「パシュートのメダルは4人で取ったのよ」と。

 ところで、「4人で金メダル1個」なら、1人当たり0.25個という、「変な計算」も成立しそうです。
 そうすると、高木美帆選手のメダルは2.25個、高木菜那選手は1.25個となりますから、姉妹合計で「3.5個」となります。

 今回は「どちらでも良い記事」となりましたが、こういう「どちらでも良い記事」が書けるというのは、今大会の日本選手団のメダル獲得数が、とても多かったからだとも感じるのです。
 2月24日に新種目として行われた、スピードスケート・マススタート女子で、高木菜那選手が金メダルを獲得しました。

 6400mという長距離レースを、レース前に立案した戦法通りに滑り、優勝を手にした、極めて「クレバー」なプレー振りが、とても印象的でした。

① 準決勝での滑り

 4周目の最初のチェックポイントで1位となり5点をゲットしました。

 予選通過のためには、早期にポイントを獲得しておくことが狙いでしたが、最初のチェックポイントで早々に得点できたことは、その後の「体力温存」の面からも、有効でした。

 当然ながら、他の選手も早々のポイントゲットを目指している中でのプレーですから、3周目からの準備と直線走路での加速は、計算し尽くされたものであったと思います。

 加えて、5ポイントゲット後は、僅か1時間30分後に控えている決勝レースに向け、体力の温存に努めましたが、その際に残りの4000mを「あまり遅すぎないペース」、レースにおける集団の後方で滑り切ったところが良かったと感じます。
 このレベルのアスリートには、遅すぎるペースは逆に疲れますし、「試合における妙なペース」を体感させることは不得策だと考えます。

 高木選手は、「心地よいスピード」で準決勝を滑り切ったのではないでしょうか。

② 決勝レースでのポジショニング

 高木選手は、このレースを通じて「イレーネ・シャウテン選手の後ろ」に付けました。強豪選手、マススタートを良く知っている上に、走力も十分な選手に付けるのは、有効な作戦でしょう。

 とはいえ、16人ものスケーターが一斉に滑るのですから、「邪魔が入る」のは当然ですが、高木選手はこのポジションを決して譲りませんでした。
 1周目、「大きな隊列変更に制限」が設けられている周回においてさえも、何人もの選手が高木選手のポジションに割って入ろうとしました。良いポジションなのですから、止むを得ないところでしょう。

 それらの動きに対して、高木選手は「上手く」あるいは「毅然として」、その位置を譲りませんでした。周回が進んでも、高木選手は決して譲りませんでした。
 高木選手のこのレースにかける「強い意志」を感じさせるプレーであったと感じます。

 「直ぐ後ろでなくとも、後ろ二人目でも良い」とか「横でも良い」とか、様々な茶々が入る状況下では、安易に考えてしまいがちですが、それは「勝負が分かっていないプレーヤー」がすることでしょう。
 ここは「絶対にシャウテン選手の直後」でなければならない、風よけの意味と、シャウテン選手のスパートに即座に対応するために、直後でなければならないのです。

 「直後に付けた」プレーは、とても「クレバー」なものですが、クレバーを実験するのは大変なことなのです。(オリンピックの決勝ですから当たり前のことですが)

③ 最期の直線のスピード

 6400mのレースもラスト周回に入りました。
 先行する、シャウテン選手→高木選手→キムボルム選手の3スケーターによるメダル争いとなりました。
 シャウテン選手は、残り400mからスパートし、高木選手、キム選手がピッタリと付いて行きます。残り2周回辺りから、まるでチームパシュートの様な「3名一列」の姿でしたが、スピードが上がっても、隊列は乱れませんでした。

 そしてコーナーを回っての、最終コーナーの出口、高木選手はまず「インを締め」ました。キム選手の進出を許さなかったのです。
 続いてシャウテン選手は外にコースを取りました。

 これは、振り返って見れば不思議なコース変更でした。高木選手の前が大きく開けたのです。
 ここで高木選手は「フルスロットル」。
 一気に加速し、外にコースを取ったシャウテン選手、内側から進出してきたキム選手に約1.5mの差を付けました。
 そして、この差のままゴールに飛び込んだのです。

 つまり、「直線の走行スピード・走破タイムは3選手が同一」だった訳で、この直線入口で、高木選手が前に出て居なければ、優勝は無かったかもしれません。

 ラスト100mまで体力を温存するプレー、直線入口で、「前にグイッと出る」プレーは、共に、金メダル獲得に向けての「クレバー」なプレーでした。これ以外では、メダルは取れたのでしょうが、順位は不透明であったことでしょう。

 レース前に組み立てた戦法を、「クレバーな戦法」を、「頑固なまでに徹底して」実行した、高木菜那選手のパフォーマンスが際立ったレースでした。
 世界で戦って行くためには「クレバーなプレー」が必須なのです。

 この大会ふたつ目の金メダルは、オリンピックの日本選手団史上初の「同一大会で日本女子選手が初めて獲得した金メダル」でもありました。

 まさに、歴史的な快挙だったのです。
 金メダルのザギトワ選手と銀メダルのメドベージェア選手のフリー演技の得点は、156.65で同点でした。

 驚きました。
 こんなことが起こるとは・・・。

 現在の採点方法では、まず考えられないことです。

 今季シニアにデビューしたばかりのザギトワ選手に比べて、既に「世界の女王」として君臨し、様々な大会で圧倒的な強さを魅せているメドベージェア選手の方が、いわゆる「演技の完成度」という点で上回っているのは自然なことですから、演技構成点ではメドベージェア77.47、ザギトワ75.03と2点以上の差が有ったのです。

 この2点以上の差を、ザギトワ選手は技術点でカバーした訳ですが、カバーすると言っても、相手は世界女王ですからミスを期待するのは適切では無かったので、基礎点が1.1倍になるというルールを活かして、「ジャンプを全て後半に集中する」という戦術を採ったのでしょう。

 もちろん、1.1倍の得点を狙ってジャンプを全て後半に集めたとしても、自らがジャンプでミスをしてしまえば元も子もない(当然ながら、ジャンプを集中・連続して飛ぶのですから、肉体的な疲労蓄積や、精神的に追い込まれることになりますから、演技全体にバランス良くジャンプを散りばめる構成より難易度が高いことになります)のですが、ザギトワ選手は、最初のジャンプ=トリプルルッツからの連続ジャンプがルッツ単独に終わってしまったにもかかわらず、後のジャンプを連続にするなどして、表だったミスは皆無でした。
 ここが素晴らしいところです。

 一方のメドベージェア選手も、小さなミスはありましたが、演技全体の印象に大きな影響を与えるものではありませんでした。世界女王としても「ほぼ完璧な演技」を完成させたのです。

 彼我の技術点は、ザギトワ選手が81.62、メドベージェア選手が79.18となりました。

 そして、フリーの合計点が「156.65で同点」となったのです。

 演技構成点は、5つの項目に対して10点満点で「下二桁」まである得点(このレベルでは9.50点前後)が配され、技術点は、概ね12の演目に対して、基礎点と出来栄え点が配されますから、項目数は24となり、こちらも「下一桁・下二桁」の配点です。
 採点対象項目数は、計29です。

 二人が「異なる戦略・戦術」、技術点重視と演技構成点重視の戦術を駆使し、合計29もの採点項目で争いながら、合計して下二桁まで同点というのは、どのくらいの確率で発生するのか分かりませんが、まさに「奇跡的なこと」でしょう。

 そして、その接戦が「世界女子フィギュア史上最高の得点水準」なのですから、まさに今大会の女子フィギュア・シングルは「史上最高の接戦」だったことは間違いありません。

 結局勝負は、ショートプログラムの「1.13点差」で決しました。
 オリンピックのこの種目の得点差としても、史上最少なのではないかと思います。

 15歳のザギトワ選手は、初出場どころか、シニアデビュー1.年未満という、いわゆる「経験値」面では全く不十分な状況で、史上最強クラスの女王に競り勝ちました。
 個人競技の勝敗においては、経験値量は本質的には無関係であることを、ここでも明示してくれたのです。
 勇気溢れる「大胆なジャンプ演目配置」が功を奏した形。見事の一言です。

 メドベージェア選手は、女王として堂々たる演技を披露しました。
 自身の出来栄えから言って、普通なら「負ける筈が無い」試合でしたが、ちょっと「相手が悪かった」という感じがします。

 技術的に難度の高い演目を「これでもか」という感じで連発し、次々と成功させなければ高得点を挙げることが出来ないという、現在のフィギュアスケート競技においては、「実績・貫録・雰囲気」で長く王座を維持するのは至難の技でしょう。
 凄い身体能力をベースに、高いパフォーマンスを発揮する新鋭が、次から次へと世界中で登場して来るのです。

 15歳のザギトワ選手は、オリンピックチャンピオンとなった2018年2月23日から、既に「追われる身」となったのかもしれません。
 2月21日に行われたチームパシュート女子、準決勝、決勝で、日本チームはカナダチーム、オランダチームを破り、見事に金メダルを獲得しました。

 全体として、日本チームのプレー振りは、まさにチームパシュート競技の「お手本」の様に観えました。
 現時点で、男女を通じても、最も完成度の高いチームであろうと思います。

 決勝の戦前は、オランダチームが前半リードして、日本チームが後半追い上げる展開であろうと予想されていましたが、実際のレースは日本チームが前半から相当のスピードで滑り、オランダチームに大きなリードを許さないというか、2周目から3周目には日本チームがリードするという、「意外」なものとなりました。

 それでも、個人種目のメダリスト3名を揃えたオランダは、その圧倒的な走力で3周目、4周目を走破して、日本に最大0.5秒位のリードを奪いました。走力の有るチームとしての「先行押し切り」を狙ったのです。

 レース前には、残り2周の時点で「1.5秒」以内の差であれば、日本チームが十分に逆転できると考えていましたので、「これは日本が金メダルの展開」だと思いました。

 そして、高木美帆選手が先頭に立ってスピードアップした日本チームは、ゴールで1.59秒の差を付けて優勝したのです。

 自分たちのレースが出来れば勝てると考え、それを実行した、日本チームの快勝でした。

 日本チームの完成度の高さは、

① 滑り

 スタート直後から「3選手が一直線」の体制を構築し、手足の動きも揃えて、力みも無く滑る姿は、とても美しい。

 コーナーの入口や出口で、一直線の形に「少しズレ」が生じますが、これとても「2番手・3番手の選手に風が当たらないようにするために適した体制」に観えます。

 先頭の交代もスムース。
 毎回、下がって行く選手が、チーム全体の「リズム維持」に注意を払い、必要に応じて、前に出る選手の体を押したり、アドバイスを送っているように観えました。

 まさに「お手本」でしょう。

② チーム構成

 今大会の日本チームは、高木姉妹を骨格として、菊池選手と佐藤選手を配する形でした。

 この日は、準決勝が菊池選手、決勝が佐藤選手でしたが、この2人の選手の特徴、菊池選手の持久力と佐藤選手のスピードを、巧みに使い分けて、戦いに臨んでいました。

 高木菜那選手と美帆選手の姉妹は、とても「負けず嫌い」ですので、お互いがチーム内でのライバル関係にありますから、「自分がチームの足を引っ張った」とレース後言われるのを「死ぬより嫌」だと考えているに違いないので、先頭に立った時の気迫というか、迫力が凄い。

 4名の個性的な選手により構成されるチームは、まさに「お手本」なのでしょう。

③ 細部への拘り

 決勝レースの最終周回、佐藤選手の脚がやや止まりかけました。これを高木菜那選手が巧みにサポートしていました。
 最後の直線に出る時も、菜那選手は佐藤選手の1m位後方を進み、佐藤選手に何かあれば、直ぐに対応する体制を整え、維持していました。

 速く滑ることだけでは無く、「トラブルへの備え」、それも相当細部に渡る備えが見事であったと感じます。

 準々決勝のスタートを失敗した佐藤選手が、美帆選手にストップというか、スピードを落とすように大声を出した時も、体勢を立て直した後、何事も無かったかのように日本チームは滑りました。そして、余裕十分な滑りで、オランダチームに0.5秒以内の差で滑り来たのです。

 この細部に渡る備えは、まさに「お手本」でしょう。

 圧倒的な「個の力」を誇るチームが、チームプレーにやや無頓着になるのは、別にスケートに限ったことではありません。
 例えば、陸上競技男子400mリレーのアメリカチームやジャマイカチームは、「4名とも9秒台」のチームを投入してきますが、日本チームやイギリスチームはチームプレーで互角の戦いを演じます。

 チームパシュートも同じなのでしょう。
 1対1で滑れば、2敗1引分に終わりそうな相手ですが、3対3となれば「圧勝する」のですから、この種目も「奥が深い」のです。

 今、パシュート日本チームには、「世界一のノウハウ」が蓄積されている子でしょう。
 オリンピックにおけるチームパシュート種目初の金メダルを礎として、日本の「お家芸」にして行ってほしいものです。
 速報値36秒95、確定値36秒94、のオリンピック新記録をただき出した、小平選手の滑りには、この種目にかける「気迫」が溢れていました。

 スタート号砲前に小平選手の体がピクリと動きましたがフライングとはならず、小平選手は「良くも悪くもない普通の反応」で滑り始めました。
 両手を大きく振りながらの加速は、いつものパフォーマンス。
 100mは10秒26で通過しました。
 同組のカロリナ・エルバノバ選手も10秒30の僅少差で通過していましたから、接戦になる感じがしました。

 最初のコーナーを小平選手はとても上手く抜けたと思います。
 加速しつつ、極めて冷静なレース振りが印象的でした。

 バック側の直線も小平選手の加速は「気持ちの良い」ものでした。
 エルバノバ選手も良く負いましたが、動きは小平選手の方が上回りました。

 2つめのコーナー、とても大事な場所も、小平選手は上手く処理していましたが、一歩だけキックが抜けたように観えました。
 幸い体制を崩すまでの影響は無く、力強くしかし落ち着いたコーナリングから直線に入りました。

 ここでの小平-エルバノバの差は3~4m位だったと思います。エルバノバ選手が2つめのコーナーで追い上げていたのです。

 ここからゴールまでの、小平選手の滑りは「圧巻」でした。
 大きなフォームでスピードを維持し、ゴールまで高速を保ちました。
 ラスト100mの「驚異的な」滑りだったのです。

 テレビ画面のタイム表示と、選手の映像を同時に見て、おおよそのゴールタイムを把握することが出来ないほどのスピードと言うのは、ほとんどの場合「好タイム」に結びつくものですが、この時も走破タイム掲示は「37秒手前で止まっていた」のです。
 オリンピック新記録であり、「平地での世界最高記録」が出た瞬間でした。

 エルバノバ選手は37秒34の好タイムで、結局銅メダルを獲得しました。
 エルバノバ選手も、見事な滑り、オリンピック銅メダルの滑りを展開してくれたのです。

 小平選手が、今大会の日本選手団・主将に任命された時、「主将が金メダルを取るのは極めて難しい」と感じました。
 記憶ですが、夏・冬を通じて、オリンピック日本選手団の主将が金メダルを獲得した例は、無いか、あっても1度きりではないでしょうか。

 小平選手は、「そのことは知っていましたが、絶対に勝ってやろうと思っていました」とコメントしました。
 高い実力と強い意志の前には、ジンクスも形無しだったのでしょうか。

 「勝つべくして勝つ」というのが至難の技であることは、皆さまが良くご承知の通りなのです。
 フィギュアスケート男子シングルで、羽生選手と宇野選手は1位・2位を占めました。

 日本フィギュアスケート界の歴史に、燦然と輝く快挙です。

 これまで、多くの日本男子スケーターが営々と積み上げてきた努力が、大輪となって結実したのでしょう。

 宇野昌磨選手の今大会における戦い振りは、まさに「堂々たるもの」でした。

 注目が羽生選手に集まる状況下、自らの実力をリンクの上で披露し続けたのです。
 「羽生選手に何が起ころうとも、日本男子フィギュアのメダルは守る」という気迫に溢れていましたし、高いパフォーマンスを維持し続けることが出来る地力の高さは、世界チャンピオンに相応しいものだと感じます。

 表彰式後のインタビューで「自分が完ぺきな演技をすれば優勝できる(羽生選手の得点を超える)と考えていましたが、最初の4回転で転倒した時笑ってしまいました。後は、思い切りやるだけだと思いました」とコメントしました。
 極めて冷静なアスリートが、そこには居ました。

 宇野選手は、十分にオリンピックチャンピオンを争うことが出来るスケーターに成長しているのです。
 「日本の二枚看板」ということになります。

 宇野選手は20歳、羽生選手は23歳、我が国の二枚看板は、まだまだ若いのです。
 フリー演技を終えた時、羽生選手には「やり切った」雰囲気が漂っていました。

 得点は317.85。

 ショートプログラムで111点を超える演技を魅せて、世界中のフィギュアスケートファンを驚かせ、フリースケーティングを迎えました。
 
 フリーでも4回転ジャンプを決めて流れを創りました。

 さすがに後半は、ジャンプの軸が少し傾いていたというか、「軸が開いている」印象でした。
 演技の途中で右脚に痛みが走ったのかもしれません。

 いずれにしても、素晴らしい演技でした。

 まさに「神技」でしょう。

 21世紀に入って初めてのオリンピック連覇。

 羽生結弦は「歴史」になったのです。
 第12組でオランダのヨリン・テルモルス選手が、1分13秒56というオリンピック新記録をマークして首位に立ち、日本の高木美帆選手、小平奈緒選手がこの記録に挑むという構図のレースでした。

 記録が出にくい印象のカンヌンオーバルにおける1分13秒56というのは、まさに好記録であり、テルモルス選手のスケーティングは凄い迫力でしたが、我らが高木・小平の両選手は全く怯むことなく挑みました。

 カンヌンオーバルは、前半から飛ばすと後半は酷いタイムになってしまう感じですから、高木選手が前半抑えて滑っていた時には、十分にチャンスがあると思いました。
 その「前半抑えて入った」ように見える高木選手でさえ、残り1周の地点では、テルモルス選手より5m以上前の位置を滑っていたのです。
 最後の直線に入って、高木選手はややスピードを落とし、1分13秒98でゴールしました。13秒台はとても立派な記録なのですけれども、テルモルス選手には及びません。

 第15組に登場した小平選手も、相当に抑えて入りました。500mのスピードを封印して、じっと我慢の滑り。それでも、残り1周の地点では、テルモルス選手より1~2m前に居るのです。ラスト1周、小平選手は渾身の滑りを披露しゴール寸前まで、「仮想」テルモルス選手と接戦を演じましたが、残り50mで少しスピードが落ちました。
 それでも、1分13秒82のオリンピック新記録で走破していたのです。

 小平・高木の2選手は、持てる力を披露しましたし、「戦術」面でも、戦前に構築した方法を相当忠実に実行できていたように見えました。
 
 その高い実力と高度なトライが、銀メダルと銅メダルに結びついたことは間違いありません。
 夏・冬のオリンピックを通じて、日本女子チーム初の「同一種目複数メダル獲得」は、こうして実現したのです。
 まさに「快挙」でしょう。

 それにしても、テルモルス選手の滑りには「度肝を抜かれ」ました。
 特に、ゴール前80mのスピードは凄まじいもので、テレビ画面ではゴールの瞬間がよく観えなかった感じがするほど。有り得ないことなのでしょうが、「加速しながらゴールラインを通過した」ようにさえ見えました。

 オリンピックチャンピオンの称号に相応しい、素晴らしいパフォーマンスでした。
 死力を尽くして滑り切った高木選手の姿には、満足感が溢れていました。

 2月12日に行われた、スピードスケート女子1500mで、高木美帆選手が銀メダルを獲得しました。

 1分54秒55という好タイムで滑り切った高木選手は、走破後、手を挙げて歓声に応えました。そして、コーチ、同僚と抱き合い、涙を流しました。
 「やり切った」という満足感、今の力を出し切ったという感覚が、高木選手を覆っていたのではないかと感じます。

 最終組の高木選手がスタートラインに立った時には、1~3位をオランダ勢が占めていて、このまま「2大会連続のメダル独占」か、という雰囲気が漂いました。
 こういう時には、どうしても「入りが速くなりがち」であろうと思います。事実、高木選手と同組のベルフスマ選手(アメリカ)、現在のこの種目の世界記録保持者、昨年この会場で行われた世界距離別選手権大会の優勝者、はぶっ飛ばしました。最初の500mで高木選手を大きく引き離したのです。

 同組のスケーターに大きく離されれば、「焦り」が出そうなものですが、高木選手は冷静そのもの。自らのペースを全く崩しませんでした。

 ラスト1周に入る所で追い付いた高木選手は、それまでトップのブスト選手との争い、見えないライバルとの戦いに入りました。
 そして、僅か0.2秒、約2m及ばず2位となったのです。

 その結果を見た瞬間の、ブスト選手の喜びようが、高木選手の実力を証明しています。

 スケート王国オランダ史上でも最強の女王と呼ばれるイレイン・ブスト選手に、これだけの「勝利の喜び」を与えたのは、高木選手なのです。

 3000mではやや元気が無い感じがした高木選手は、次第にコンディションを上げてきました。

 1000mやチームパシュートにおけるパフォーマンスが、本当に楽しみです。
 12月24日、フィギュアスケート競技の平昌オリンピック代表選手が発表されました。

 男子は、全日本選手権大会2017の優勝者・宇野昌磨選手(20歳)、同大会2位の田中刑事選手(23歳)、現在の世界ランキング1位・羽生結弦選手(23歳)の3名です。

 女子は、同大会優勝の宮原知子選手(19歳)、坂本花織選手(17歳)の2名です。

 発表に先立って行われた、オリンピック代表選考を兼ねた全日本選手権大会は、やはり緊張感あふれるものとなりました。

 先行して実施された女子シングルは、「2席」を巡る大接戦となりました。
 5~6名の選手で2つの椅子を争うという、とても激しい争いとなったのです。

 そうした中で、宮原選手は持ち味の「安定感」を存分に示しました。
 ジャンプ、スピンといった技をきっちりと演じ、着々と加点して優勝を飾ったのです。
 派手な演目や、加点を狙う演技というよりは、準備した技を、基礎点+αで演じ切るという戦略は、こうした厳しい戦いにおいては効果的なものでしょう。

 坂本選手は「伸びやかな演技」が印象的でした。
 大舞台にも怯むことなく、自らの持っている力を存分に披露した感じがします。
 その「おおらかな動き」は、本番でも威力を発揮することでしょう。

 男子の田中選手は、相当に緊張していたのでしょうが、その緊張を上回る「信念」のようなもの、気持の強さが感じられる演技でした。凄まじいハードトレーニングに耐えてきたことも、その自信に繋がったのかもしれません。
 
 大会3位だった無良宗人選手も、長いキャリアにより積上げた経験とオリンピック出場に賭ける執念に溢れる、素晴らしい演技を披露してくれました。

 田中選手の「信念」が、無良選手の「執念」を上回ったというところでしょうか。

 宇野選手の演技は、前半と後半で少し差がありました。
 前半は、「世界最高レベル」の演技でした。演技から漂うオーラも凄かったと思います。この演技を最後まで続けることが出来れば、オリンピックチャンピオンも夢ではないでしょう。

 後半は疲れが観えました。相当に失速したのです。

 羽生選手の世界最高得点は320点を越えます。
 この大会の宇野選手の283点とは、約40点の差があるのです。
 
 この差は、後半の失速が主な要因だと思います。

 平昌オリンピック男子の優勝争いは、310~320点のレンジで繰り広げられると観ています。
 オリンピックでメダルを狙う選手として、最も練習量が多く疲労がたまっている時期の大会であろうことを勘案すれば、本番で宇野選手が320点に迫る得点を叩き出すことは十分に可能だと感じさせる演技でした。

 ペアとアイスダンスも含めた、フィギュアスケート日本チームのオリンピックでの活躍が、本当に楽しみです。
 12月10日、スピードスケートのワールドカップWC今季第4戦、ソルトレークシティ大会(アメリカ・ユタ州)の女子1000m種目で、小平奈緒選手が1分12秒09の世界新記録で優勝しました。
 2015年11月にブリタニー・ボウ選手(アメリカ)が記録した1分12秒18を0.09秒縮めた、堂々たる世界新記録でした。

 スピードスケートに強い我が国と言っても、世界新記録はおいそれとは出ておらず、女子では史上初、男子を含めても2005年の500m種目、加藤条治選手以来12年ぶりの快挙でした。

 これで今季WC1000m種目において、小平選手は4戦3勝、15連勝中の500m種目と合わせて「短距離2種目」で圧倒的な強さを示しています。

 こうなると平昌オリンピックにおける「二冠」の期待が高まります。

 一方で、500mと1000mは短距離とはいっても相当に異なる種目、スピード、持久力、技術等々が異なる種目ですので、両方で金メダルというのは「至難の技」です。
 1980年のレークプラシッド大会におけるエリック・ハイデン選手(アメリカ)、1992年アルベールビル大会と1994年リレハンメル大会のボニー・ブレア選手(アメリカ)くらいしか、直ぐには思い当たりません。
 例えば、1998年の長野大会の清水宏保選手も500mで金メダル、1000mは銅メダルでした。
 21世紀に入ってからは、男女ともに「短距離二冠」を成し遂げているスケーターは居ないと思います。

 1000m種目に求められる「持久力」のレベルは、想像以上に高い上に、「専門性」が一層高まっているのだと思います。

 こうした「至難の技」に、小平選手は挑むのです。

 「世界最強のスプリンター」小平奈緒選手、頑張れ!
 12月9日に幕を閉じたグランプリGPファイナル大会は、男女ともに、近年稀に見る接戦でした。

[GPファイナル男子結果]
① ネイサン・チェン(アメリカ) 286.51
② 宇野昌磨(日本) 286.01.
③ ミハエル・コリヤダ(ロシア) 282.00.

[GPファイナル女子結果]
① アリーナ・ザギトワ(ロシア) 223.30
② マリア・ソツコワ(ロシア) 216.28
③ ケイトリン・オズモンド(カナダ) 215.16
④ カトリーナ・コストナー(イタリア) 214.65
⑤ 宮原知子(日本) 213.49

 男子は、1位と2位の差が僅かに0.50点でした。これは「ひとつのジャンプの出来不出来」というよりもっと小さな差です。ステップシークエンスやスパイラルシークエンスの得点でも、あっという間にひっくり返る差ですし、全ての演技の合計をしてみたら「0.50点差」だったということであり(当たり前のことを書き恐縮です)、合計点を見てから個々の演技の点を少し見直せば、順位が変わってしまう程に「僅かな差」でした。
 もちろん3位の選手にとっても、優勝のチャンスが十分に有ったのです。

 女子の方は、特に2位から5位の差が僅差でした。「3点弱の中に4選手が犇めいた」のです。
 これはトリプルジャンプ1本の成否と言うか、出来の良し悪しでどの選手にも銀メダルのチャンス、5位になる怖れが有ったということになります。
 そして、1位と5位の差も9点弱と、演技全体のミスの数を考えれば、パーフェクトに近い演技をすれば、5位の選手にも優勝するチャンスが十分に有ったということを示しています。

 「これが現在の男女のフィギュアスケート・シングルの実情」なのでしょう。

 世界一の座に対して、数多くのスケーターにチャンスが有るということです。

 これまでのように「2~3人の有力プレーヤーによってタイトルが争われる時代」では無いのですから、「戦国時代」と呼んでも良いのでしょう。

 メダルを狙う各選手にとっては、平昌オリンピックのフィギュアスケート・シングル種目において「たったひとつのミス」が致命傷となるのです。

 緊張感あふれる大会となるのは間違いないでしょう。
 11月12日にかけて、大阪市中央体育館で開催された、2017年のNHK杯国際フィギュアスケート競技大会は、男子シングルはセルゲイ・ボロノフ選手(ロシア)、女子シングルはエフゲニア・メドベージェア選手(ロシア)の優勝で幕を閉じました。
 ペアとアイスダンスも含めて、日本チームは3位以内に入ることが出来ませんでした。

 NHK杯において、日本人プレーヤーがひとりもメダルを獲得できなかったのは、2000年大会以来のことです。
 21世紀に入って、日本チームは初めて表彰台に上ることが出来なかったのです。

 2001年以降、日本男子がメダルを取れなかったのは、2003年、2004年、2009年と3回ありますが、それらの大会では、女子が2003年には村主章枝選手が、2004年には荒川静香選手、2009年には安藤美姫選手が優勝しました。

 2001年以降、日本女子チームがNHK杯でメダルを取れなかったことは、1度もありませんでした。

 我が国において1979年に始まった「NHK杯フィギュア」が、全日本選手権に次ぐ格式、歴史と伝統を誇る大会であることは異論のないところだと思いますし、1995年からはISUグランプリシリーズの一角を占めるようになったこともあって、日本代表スケーターにとっては「地元で世界と戦う大切な場」ともなっているのです。
 その大会で、21世紀に入って初めてメダルを逃したというのは、世界フィギュアスケート界において、日本チームが地盤沈下を起こしていることの証左に他ならないでしょう。

 もちろん、男子のエース・羽生結弦選手が公式練習中に怪我をして出場できなかったことは、本当に残念なことでしたが、「羽生選手が居なければ誰も表彰台に上がれない」ということ自体が、トップクラスの選手層の薄さを露呈しているという指摘を受けそうです。

 ご存知のように、2006年大会では男女シングルで表彰台独占を果たしていますし、女子は2008年にも1~3位を日本勢が占めました。
 2名が表彰台に上がった回数も、男子が7回、女子が8回と、NHK杯は日本チームの独壇場だったと言っても良いのでしょう。

 21世紀に入ってからの日本フィギュア・シングルチームは、何時の時期もエースに続く、2番手3番手4番手のスケーターが、世界で十分に戦って行けるという、「選手層の厚さ」を誇ってきたのです。

 それがどうしたことか、2015年以降、急速に地盤沈下を起こした印象があります。

 「世代交代が上手く行っていないこと」「ロシアチームの急速な伸長」等々、要因はいくつかあるのでしょうが、せっかく「世界トップクラスに定着」したかに見えた日本フィギュアスケート界としては、とても「もったいない」という感じがします。

 平昌オリンピックでは、宇野昌磨選手と復活が期待される羽生選手が、日本を代表してメダル争いを演じていただけるのでしょうが、女子チームは相当厳しい戦いになりそうです。

 もちろん、どの競技・種目の、どんな国の代表チームにも浮沈はあります。

 日本フィギュアスケートチームには、2022年の北京冬季オリンピック大会に向けて、早急な立て直しが求められているのでしょう。
 4月10日、浅田真央選手の引退が報じられました。

 この記事において、競技名を記する必要が無いという点で観ても、「浅田真央」選手は、我が国における全てのスポーツ競技・種目を通じても、とても「メジャーな存在」であったことが分かります。

 女子フィギュアスケートの枠を遥かに超える存在なのです。

 14歳のころでしょうか、フィギュアスケート界に彗星のように現れ、10年を優に超える期間にわたって、「日本のフィギュアスケートの顔」でした。
 その点だけを取っても、その「偉大さ」が分かります。

 その「演技の華やかさ」は比類なきものであり、浅田選手がリンクに立つと、周囲の空気が変わりました。
 何とも言えない「柔らかさ」を内包した、スケールの大きな滑りは、「浅田ワールド」そのものだったのです。

 バンクーバー・オリンピックの女子シングル、キム・ヨナ選手との熾烈な金メダル争い、たまたま家電量販店の近くを通りかかった時、多くの人々がテレビの前に群がっていました。
 声ひとつ無い様子で画面に見入っています。

 昭和20年代、30年代初頭の「テレビがまだ珍しかった時代」の様な光景が、そこにはありました。

 そして、浅田選手がジャンプでミスをした瞬間、「あーっ」と残念そうな声が上がりました。大きな声ではなく、絞り出すような声であり、群がっていた人々全員が小さく叫んだのです。
 私も唸りました。

 みんな、大好きな「真央ちゃんの笑顔」、金メダルをかけた真央ちゃんの笑顔が見たかったのでしょう。

 これほど、多くの日本人に応援されたフィギュアスケーターは、居なかったかもしれません。フィギュアスケートのファンはもちろんとして、普段はフィギュアスケートを見ない人達の多くが注目したのでしょう。日本中の人達が、その演技の成功を心から祈っていたと言っても良いのかもしれません。

 「国民的プレーヤー」であった浅田真央選手も、2005年のグランプリファイナル優勝に始まった、世界一を競う舞台での戦いも13年に渡り、26歳となった2017年、とうとう現役を引退することとなったのです。

 オリンピックの金メダルこそ取れませんでしたけれども、世界選手権優勝3回を始めとして、我が国を代表するフィギュアスケーターとしての活躍は、枚挙にいとまがありません。

 何より「ひとつの時代を創ったスケーター」でした。
 
 同じ時代を生きた私達の「時間」大袈裟に言えば「人生」に、大きな潤いと喜びを与えていただいた浅田真央選手に、心からお礼を申し上げます。
 今大会で僅差の2位となった宇野選手でしたが、その実力が世界トップクラスであることを改めて示しました。

 オリンピック・世界選手権を通じて、日本選手が優勝・2位を占めたのは、史上初めてでした。(他の国でもあったかどうか、ロシアの「皇帝」プルシェンコ選手にからんで有ったかもしれないとは思いますが、記憶が定かではありません)

 宇野選手の演技の特徴は、速いスピードと安定感でしょう。
 これはもう、世界のトップと言って良いかもしれません。
 例えば、4回転ジャンプを成功させるレンジが広いのです。サッツや回転軸の角度、タイミングなどにおいて、小さなミスが有ったとしても、何とか着氷し演技を継続することが出来るます。
 この強みに磨きをかけて行けば、オリンピック・世界選手権の優勝も近いものと思います。

 それにしても、日本男子フィギュアスケートは「最強の布陣」となりました。

 ひとつの大会で、羽生結弦選手と宇野昌磨選手の両方が大きく失敗するというのは、想像し難いことです。
 この2プレーヤーが揃って出場する限り、今後数年に渡って、世界大会でメダルを獲得し続ける可能性が高いと思います。
 
 2月25日・26日の両日にわたって、カナダのカルガリーで行われた、スピードスケートの世界スプリント選手権大会において、小平奈緒選手が総合優勝を果たしました。
 日本の女子選手として史上初の快挙です。

 この大会は「とても格が高い」大会です。

 何時の時代も、その年その年の最強スプリンターを決める大会として、世界中のスケーターが目標としている大会なのです。

① 4回滑って3勝、3着1回

 小平選手は、500m×2回、1000m×2回の計4回のレースで、500mが2勝、1000mが1位と3位という、圧倒的な成績で総合優勝を飾りました。
 例年なら、各種目の各選手の順位が入り乱れて、僅差の総合ポイント争いになることも多いのですが、これほどの圧勝というのは珍しいと思います。

② 素晴らしいタイム

 初日25日の500mが36秒75、1000mが1分12秒51と、共に日本新記録。
 26日も同36秒80、1分13秒17という、極めて高いレベルのタイムを叩き出しました。

 そして、タイムをポイント化した総合ポイント146.390は「世界新記録」でした。
 この2日間の小平選手のスケートは、大会史上最高のスピードを具現したものだったのです。

 これで小平選手は、500m種目において「今季13回滑って13勝無敗」という、驚異的な強さを魅せています。長いシーズンにおける調子の上がり下がりや、氷の状態、風などの気象条件の変化、等々の要因を踏まえての「無敗」というのは、現在の小平選手の力が一頭抜けていることを証明しています。

 小平奈緒選手は、間違いなく、現在「世界最強の女子スプリンター」なのです。

 小平選手の積み上げてきた努力と、我が国の女子スプリンター育成に向けてのノウハウが結合した結果なのでしょう。
 この「知見」は、是非とも日本スケート界の財産にしてほしいものです。

 オランダを始めとする欧州各国、加えてアメリカやカナダといった強豪国のスプリンター憧れのタイトルを、圧倒的な強さで制した小平奈緒選手に、大きな拍手を送らせていただきます。
 フィギュアスケートの四大陸選手権大会男子シングルフリー演技は、2月19日に行われ、アメリカのネイサン・チェン選手が、ショートプログラムSPトップの差を守り切って、優勝を飾りました。

 羽生結弦選手は、フリー演技で206.67点をマークしてトップとなり追い上げましたが、SPの6点差を巻き返すことが出来ず、2位に止まりました。

 チェン選手、羽入選手が共に300点越えを達成するというハイレベルな戦いであり、その差が3点余りという接戦でもありました。

 それにしても、羽生選手が4度の4回転ジャンプで200点越えのフリーを披露した後、チェン選手が5度の4回転ジャンプ着氷に成功するというのですから、ほんの2年前には想像も出来なかった技術面の進歩です。

 特に、チェン選手の最初の演目「4回転ルッツ+3回転」という技は、基礎点が17点以上あり、出来栄え点の2点余りを加えて、計20点以上でした。ひとつの技で技術点20点以上を獲得できる時代となったのです。
 ステップシークエンスやスパイラル、スピンといった技と、演技構成の巧みさで対抗するには「あまりにも大きな得点」と言えるのでしょう。

 極端に言えば「雰囲気と巧みさ」でジャンプに対抗できる時代は終わった、のではないでしょうか。

 昔から日本人プレーヤーが苦手としているルッツジャンプ(最も難度が高く、最も得点の高いジャンプでもあります)の4回転に、3回転ジャンプをミックスする技を、チェン選手は完全にものにしていました。
 今後、4回転ルッツからの3連続ジャンプをものにしてくるようなら、チェン選手は平昌オリンピックの金メダルに最も近い選手となることでしょう。

 とはいえ、羽生選手を始めとする日本勢も、「チェン選手の失敗待ち」というわけには行かないでしょうから、対抗策を練り上げて、実行に移していることと思います。

 例えば、羽生選手が320点を超える「世界最高得点」をマークしたときには、SPの得点も高かったのですが、フリーのジャンプにおける出来栄え点が非常に高かったのです。
 そうでなければ、4回転ジャンプの数が現在よりも少ないプログラムで、より高い得点を叩き出すことが出来るはずがありません。
 
 確かに、あの時の羽生選手の4回転トゥループの着氷からの伸び、滑らかで大きな滑りは「息をのむ」もの、本当に美しいものでした。
 「成功のレベルが違った」のでしょう。

 羽生選手や宇野選手は、プレーの完成度を持って、チェン選手に対抗していくのかもしれません。

 平昌オリンピック2018の本番リンクで開催された、四大陸選手権2017の男子シングルは、「4回転アクセルジャンプ」や「4回転+4回転ジャンプ」の登場が、そう遠い日ではないことを感じさせてくれたと思います。
 ショートプログラムSP4位からの見事な逆転優勝でした。

 アメリカの長須未来選手が素晴らしいフリー演技を披露して、得点を194.95まで伸ばしトップに立って、SP上位の選手達に「大きなプレッシャー」を与えた直後の演技者が、三原選手でした。

 三原選手のフリー演技のスタートは緊張感に満ちたものでした。
 いつも笑顔が印象的な三原選手ですが、この時ばかりは厳しい表情で演技に入ったのです。
 しかし、冒頭の3回転+3回転を無事に乗り切った後、三原選手の演技はスピードに乗りました。ジャンプシークエンスを次々と成功させていきます。
 後半に入っても好調な演技が続き、最後のスピンもキッチリと決めた三原選手は、両手を胸に抱えて喜びを表現しました。「納得の行く演技が出来た」という喜びであったと思います。

 キス&クライに座った三原選手は笑顔に満ちていました。

 そして得点が表示されました。フリーの得点は134.34、合計200.85。
 200点越えを見た瞬間、三原選手は喜びを爆発させました。

 試合後のインタビューで、「本当は飛び上がりたいほど嬉しかった」とコメントしました。
 今大会の目標でもあった「200点越え」が余程嬉しかったのでしょう。

 本当に見事なフリー演技でした。72点を超える技術点が、ノーミス・パーフェクトな演技内容を如実に示しています。

 国際大会経験が豊富とは言えない三原選手が、このプレッシャーがかかる場面で、自らのキャリア上最高の演技を披露できたことは、驚異的という他はありません。

 実際のところ、長洲選手と三原選手の「パーフェクトな演技の連続」の前に、その後登場してきたSP1位~3位の選手達は、いずれも満足な演技が出来ませんでした。残念ながら、こうした大会のプレッシャーの大きさが良く分かる演技になってしまったのです。

 現在、世界のフィギュアスケート女子シングル種目は「戦国時代」と呼んでよい状況だと思います。
 絶対的な実力を誇示するプレーヤーが存在せず、今年3月の世界選手権、来年の平昌オリンピックの覇権に対して、多くのプレーヤーに可能性が残されていると感じます。

 そうした状況下、三原選手も覇権争いに名乗りを上げたことになるのでしょう。
 今回示した「本番での強さ」を考慮すれば、その資格は十分に有ります。
 加えて、今回のフリーの演技構成点が62点台に止まったことを考え合わせれば、得点を伸ばして行く余地が十分に有り、大きな伸びしろがあるからです。

 三原選手の今フリー演技のテーマは「シンデレラ」であったと伝えられています。
 四大陸選手権2017は、17歳の三原舞依選手にとって、まさに国際舞台における「シンデレラデビュー」となった大会となりました。
 北海道苫小牧で開催されていた、アイスホッケー女子の平昌オリンピック最終予選で、日本女子代表チーム「スマイルジャパン」は3戦全勝で1位となり、出場権を獲得しました。

 初戦のオーストリア戦を6-1で快勝したスマイルジャパンは、第2戦も4-1でフランスチームを撃破、2月12日に行われた第3戦・最終戦、無敗同士のドイツチームとの対戦も3-1で勝って、1位を決めたのです。

 この大会を通じて、スマイルジャパンのスピードと俊敏性には目を見張るものがありました。他の3チームを圧倒していたと感じます。

 特に、パスワークの速さと正確さ、そして守備スピードの高さが印象的でした。

 前回のソチ・オリンピックにも出場したスマイルジャパンですが、今回のチームは前回よりも相当強いと思います。

 ソチ・オリンピックで勝ち星を挙げることが出来なかったスマイルジャパンのメンバーは、その後猛トレーニングを積んできたと報じられました。
 特に「体を鍛えるトレーニング」を多く行ってきたのです。
 筋肉を付けて体を大きくするとともに、体幹の強化にも努め、体格で勝る外国チームに負けないパワーを身に付けることに注力してきたのでしょう。
 海外のチームでプレーしている選手も居ます。本場のスピードとパワーを肌感覚で知っているのです。

 その成果が、今大会で存分に発揮されていました。

 スマイルジャパンの目標は「本大会でのメダル獲得」と報じられています。
 世界の上位には、強いチームが数多くありますから、この目標達成は容易なことでは無いでしょうが、まずは緒戦でオリンピックでの初勝利を挙げていただき、勢いに乗ってメダルに突き進んでいただきたいものです。

 平昌オリンピック出場権を獲得し、メンバーの皆さんが集まってリンク上で喜ぶ様子がとても印象的でした。
 このチームの「笑顔」には、「オリンピックの場でアイスホッケーをやれることの喜び」が溢れています。
 フィギュアスケートの全日本選手権大会・男子シングルのフリー演技は、12月24日に行われました。

 第一人者・羽生結弦選手がインフルエンザ罹病で出場できなかった大会でしたが、「日本一の栄冠」を目指すスケーター達による戦いが繰り広げられました。

 ショートプログラムSPを終えて、トップは無良崇人選手、2番手が宇野選手、3番手に田中刑事選手が付けました。

 フリー演技の演技順で、この3人の中で最初に登場した田中選手は持ち味を活かした滑りを見せました。
 ところどころにミスは出ましたけれども、全体としては「点を取るべきところで取り」、自己最高の成績を示現したのです。合計249.38点でした。

 続いて無良選手が登場。最初の2本の4回転ジャンプは何とか形にして、その後も力強い演目を熟して行きました。日本一に向かっての気迫溢れるプレーが続いたのです。
 ところが、残り1分を切ってから疲れが出たのか、ジャンプの失敗が連続してしまいました。
 特に痛かったのは連続ジャンプの失敗で、基礎点が10点を大きく超える演目が単発のジャンプになってしまい、大きく得点を損ねてしまいました。まさに「失速」という演技になってしまい、得点合計も242.11に止まりました。

 そして、最終演技者として宇野選手がリンクに登場しました。
 宇野選手も最初の2本の4回転ジャンプをミスってしまいました。このところ安定した4回転ジャンプを見せていた宇野選手でしたが、この大会はタイミングがなかなか取れていない様子でした。

 これは大混戦になると感じられましたが、ここからの宇野選手の滑りは「1本芯が通った」ものでした。
 何と言っても、そのスケート移動のスピードが素晴らしい。
 リンクの端から端まで、あたかもスピードスケートのように移動します。上半身下半身共にブレが無く、見事なスケーティングです。演目は無くとも、その滑り・スピードだけで観客を魅了するというか、レベルの高さを感じさせるものであったと思います。
 このスピードは、4分30秒に渡って継続されました。

 非常にハイレベルな演技は、羽生選手が居ない国内大会であれば、宇野選手の力が一頭抜けていることを如実に示していると思います。
 得点計も280.41と、2位の田中選手に30点以上の差を付けての「圧勝」でした。

 これで、1本も満足に飛べなかった4回転ジャンプを成功していれば、300点越えは確実でしょう。逆に言えば、宇野選手は4回転ジャンプ無しで280点を取れるプレーヤーに成長したということです。

 2017年3月の世界選手権は勿論として、2018年のオリンピックにおいても、優勝を争えるスケーターだと思います。
 オランダのヘーレンウェインにおいて12月9日から11日にかけて開催されていた、今シーズンのスピードスケート・ワールドカップ第5戦、小平奈緒選手は女子500mで37秒69の好タイムで優勝しました。
 小平選手はこれで今シーズンのワールドカップ500m種目において4戦して4勝という素晴らしい成績を残しています。

 まさに「絶好調」という感じがします。

 特に印象的なのは、小平選手の「腕の振り」です。
 力強く、大きく、そして素早く振られる腕の軌跡が、どの大会でも目に焼き付くのです。その腕の振りに合わせて、下半身が良く動きます。

 上半身と下半身の連動が完璧で、無駄な動きや力みが全く無く、スムースな加速が実現しているという、見事なスケーティングが展開されているのです。

 今シーズンは、来年2月9日から11日にかけて韓国の江陵で開催される、世界距離別スピードスケート選手権大会(プレオリンピック)が最大の目標となるのでしょうが、こんなに早く調子を上げて大丈夫なのか、と素人の心配をしてしまう程のコンディションの良さでしょう。
 小平奈緒選手のこれからの活躍にも、期待が高まるばかりです。

 日本女子スピードスケートチームは、中距離の高木美帆選手や団体追い抜き種目でも、連続して表彰台に立つなど、素晴らしい勢いを感じさせるシーズンを送っています。体格面の劣勢を感じさせない滑りと巧みな試合運びが見事の一語でしょう。

 それに引き替え、かつてのお家芸であった男子500m種目はワールドカップ大会での入賞さえ難しい状況が続いています。
 世代交代が遅れているのでしょうが、「日本男子500mのスケート」は世界に誇る独創性を示してきた種目だと思います。この伝統と技術は、常に磨き上げて行かなければならないものでしょう。

 復活が待たれるところです。
 フィギュアスケートのグランプリGPファイナル大会は、12月10日、フランスのマルセイユで開催され、男子は羽生結弦選手が優勝、宇野昌磨選手が3位に食い込みました。
 女子は宮原知子選手が2位となりました。

 日本勢は出場した3名の選手が全てメダルを獲得しました。世界の大舞台で、実力をしっかりと発揮したということになります。

 羽生選手はショートプログラムSPでトップに立ち、フリーでは後半にミスが出ましたが合計ポイント293.90で、ライバルのハビエル・フェルナンデス選手、パトリック・チャン選手の試技を待つこととなりました。

 羽生選手の得点が思ったより伸びず、300点に届かなかったことから、フェルナンデス選手やチャン選手は「逆転できる」と考えたのでしょう。それが「演技の硬さ」繋がったのかもしれません。
 
 フェルナンデス選手が満足の行く試技が出来なかったことが、チャン選手に一層のプレッシャーとなったことも想像できます。
 結局、300点越えを狙うことができる2人の強豪は、いずれも失敗し、表彰台に上ることも出来ませんでした。

 現在の採点法の下では、過去の実績からくる「ネームバリュー」の価値が大きくはなく、基礎点の高い演目をしっかりと演じ切ることを継続しない限り、得点は上がらないことが改めて良く分かる結果となったのです。

 宇野選手は、第一滑走者というやや不利な状況ながら、しっかりと演じ切り、2年連続の表彰台を示現しました。実力が向上していることは間違いなく、来シーズン=オリンピックシーズンには、世界トップを争うスケーターとなることでしょう。

 羽生選手にとっては、4回転アクセルジャンプの転倒など、とても不満足なフリー演技だったのでしょうが、そうした状況下でも「失点を最小に抑えて行く力」が、優勝を齎したという印象です。
 世界選手権2017においては、現在のプログラム(私はSP・フリー共にとても気に入っています)の完成形を是非見てみたいものです。

 宮原選手は素晴らしい演技を披露しました。今シーズン一番の出来だったのではないでしょうか。

 僅か2年前のソチオリンピックの女王であったアデニア・ソトニコワ選手や2015年の世界選手権女王のエリザベータ・トゥクタミシェア選手が、世界のトップを争うGPファイナル2016のリンクに登場することも出来ないという「大変動」の時代に、2年連続で2位に食い込むというのは、見事です。
 時代の流れに飲み込まれることなく、自身の力を着実に磨き上げてきた宮原選手の努力が実ったものだと感じます。

 それにしても、いつものことながら、観客席の日本人サポーターの多さには驚かされます。フランス・マルセイユにおいても、その存在感は抜群でした。
 我が国は、フィギュアスケート・シングルス種目のファンの数という面では、間違いなく世界トップなのでしょう。
 表彰式で国歌・君が代を歌う羽生選手は、とても力強く見えました。

 フィギュアスケート・グランプリGPシリーズの一戦でもある、NHK杯大会の男子シングル・フリーは11月26日に行われ、羽生結弦選手は前日のショートプログラムSPに続いてフリー演技でも1位となり、トータル300点を超える高スコアをマークして優勝しました。
 昨年に続く2連覇でした。

 この1~2年というか、直近の1年間の男子フィギュアの演技内容の変化・進化には凄まじいものが有ります。
2014年のソチ・オリンピック大会の頃は、4回転ジャンプをSPとフリーに1本だけ入れて、それも演技の冒頭に入れて、「乾坤一擲」といった雰囲気でそれに臨むという印象でした。「4回転の成否」が演技全体に大きな影響を与えるものだったのです。

 それが今では、例えば羽生選手のフリー演技であれば4度の4回転ジャンプを組み込み、4回転からの連続ジャンプも入っているという、「4回転は演技の流れの中」に完全に組み入れられている感が有ります。

 「4回転ジャンプを成功するかどうか」が問題なのでは無く、「何種類の4回転を何回成功するか」がポイントとなっているのです。
 
 世界中のプレーヤーが次々と新しい4回転ジャンプに成功し、それを大会で披露するというのですから、ソチ五輪以降の変化は長足の進歩というよりも、「様変わり」と呼んだ方が相応しいと感じます。

 こうした「不連続に近い変化」が起こると、その前の時代の中心選手の中には「時代に付いて行けない」プレーヤーも多数居るものなのですが、羽生選手はその時代の急流にも、キチンと対応し、男子シングル界における地位を確保しているように見えます。
 見事な対応力です。

 その面から観れば、羽生選手とパトリック・チャン選手(カナダ)は適応力の高さと大きな伸びしろという点で、頭抜けた存在なのでしょう。

 この大会のフリー演技で、4度の4回転ジャンプに挑み3度成功させた羽生選手は、優勝が決まった後、とてもハイな状態に見えました。喜びを全身で表現していたのです。インタビューでも、観客の声援に応える時でも、そして国家を歌う時でも、笑顔と力強い様子が際立ちました。

 羽生選手が「時代の急流をクリアしたこと」を心底喜んでいたように観えたのは、私だけでしょうか。

 オリンピックチャンピオンであり、「絶対王者」を標榜した羽生選手にとっても、この1年間の男子シングルの変化は「容易ならざるもの」であり、この流れに付いて行けるのだろうかと心配した時期もあったのかもしれません。
 しかし、今季のGPシリーズを戦って行く過程で、王者・羽生結弦は「まだまだやれる」「十分に戦って行ける」と確信したのでしょう。
 その心持が、優勝決定後の様子に表れていたような気がします。

 それにしても、男女を通じて、フィギュアスケートの進化は、かつてない程のハイスピードです。
 かつてなら、一度世界のトップクラスに上り詰めれば10年近くは戦って行ける印象でしたが、現在は「進歩が止まってしまえば」1~2年で置いて行かれる感じです。

 年齢制限の為にシニアの大会に出場できない若いプレーヤーの中に、例えば男子であれば、ひとつの演技の中に5~6度の4回転ジャンプを入れ、成功させることが出来る選手が複数存在するのではないでしょうか。

 男子であれば「従来の3回転ジャンプのように4回転を飛ぶ」スケーターが、女子であれば「3回転+3回転(かつてキム・ヨナ選手が得意としオリンピック金メダルの原動力となった演目)を複数飛び、6種類の3回転全てを演技に組み込む」スケーターが、続々と控えているような気がします。

 こうした時代だからこそ、ステップやスピンといったジャンプ以外のシークエンスのレベルアップと完成度の高さ、そして演技全体の構成力が問われることになりそうです。

 世界大会において「この国のこの選手」と呼ばれる有名スケーターが集い、長く大会の風景を構成するという時代は、過去のものになったのかもしれません。
 今シーズンのフィギュアスケート・グランプリGPシリーズの第一戦アメリカ大会の最終日は、10月23日シカゴで開催され、男子シングルの宇野昌磨選手は、ショートプログラムSP・フリーともにトップの成績を収めて、優勝しました。
 自身2度目のGPシリーズ優勝でした。

 SP89.15、フリー190.19、合計279.34という得点は、宇野選手自身のパーソナルベストですが、世界のトップを争うに十分な水準でもあります。

 特にフリー演技において「3度の4回転ジャンプ」を全て成功させたことは、現在の男子フィギュアスケート界でも、なかなか観られない事実でしょう。

 演技全体の安定感が増し、独特のリズムも生まれてきていますから、「宇野昌磨の世界」が構築されつつあると感じます。
 この競技において、世界で戦っていく上では、とても重要なポイントです。

 GPシリーズ2016・アメリカ大会のリンクには、羽生結弦選手やハビエル・フェルナンデス選手にとっても容易ならざる敵に成長した、宇野昌磨選手の姿がありました。
 9月24日に行われた、フィギュアスケート女子のジュニア・グランプリシリーズ・スロベニア大会フリー演技で、14歳の紀平梨花選手が、1度の演技で6種類・8つの3回転ジャンプをすべて成功させるという、ISU(世界スケート連盟)主催大会における史上初の快挙を達成しました。

 「アクセル」「ルッツ」「フリップ」「ループ」「サルコウ」「トウループ」の6種類のトリプルジャンプを1度の演技の中ですべて成功させたというのは、確かにこれまで観たことがありません。

 特に「トリプルアクセル」は、単体としてもなかなか成功させることが難しいジャンプです。
 紀平梨花選手は、これもしっかりと成功させました。
 女子のトリプルアクセル成功者は、世界で7人目、日本では4人目だそうです。伊藤みどり選手や中野友加里選手、浅田真央選手に続く成功だったのです。

 紀平選手のジュニア・グランプリシリーズ挑戦は、今季が初めてです。
 この大会で2位に入った、昨季の世界ジュニア女王・本田真凛選手(15歳)とともに、日本女子フィギュアスケートの次代を担うホープに躍り出たことは間違いありません。

 紀平選手は、体にバネがあり、ジャンプの成功率がとても高いと報じられていますから、「伊藤みどり2世」と形容しても良さそうです。

 楽しみなプレーヤーが登場しました。
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