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 ドイツチームは銀メダルを獲得しました。

 オリンピックでドイツチームが銀メダルを獲得したのは初めてです。
 大活躍だった訳です。

 しかし、決勝でOAR(ロシア)チームに敗れたドイツチームのメンバーの顔には、悔しさが溢れていました。
 ドイツチームは、金メダルに手をかけたのです。殆ど掌中にしていましたが、その「財宝」はするりと掌から抜け落ちてしまいました。
 銀メダルも大変な財宝なのですけれども、金メダルに手をかけていたドイツチームにとっては、大魚を逸した感じだったのでしょう。

 2017年の世界ランキング8位のドイツチームが、決勝戦でOARチームと死闘を演じるまでの「大冒険」を観て行きましょう。

① 1次リーグは9位

 1次リーグC組に入ったドイツは、1勝2敗という成績でC組の3位、全体では9位でした。
 スウェーデンに0-1、フィンランドに2-5で敗れ、ノルウェーに延長・ペナルティーショット戦でかろうじて2-1で勝ちました。

 世界ランク8位というポジション相応の結果だったのです。
 ここまでは「普通のオリンピックの戦い」(変な言葉ですが)を披露していたわけで、冒険ではありませんでした。

 今大会の1次リーグは、「準々決勝進出決定戦」の組合せを決めるものでした。
 ドイツチームはスイスチームとの対戦となりました。

② 準々決勝進出決定戦

 「大冒険」の始まりです。

 世界ランク7位のスイスとの対戦は、1-1の同点から延長に入り、辛くも2-1で勝利しました。薄氷を踏む思いの勝利であったと思います。
 この時、ドイツが決勝に進出すると考えていたアイスホッケーファンは、殆ど居なかったでしょう。

③ 準々決勝

 世界ランク3位の強豪スウェーデンとのゲーム、誰もがスウェーデンの勝利を予想していたカードでしたが、3-3の同点から延長に入り、4-3でドイツが勝ち切りました。

 このゲームは第1ピリオドにドイツチームが2点を挙げ、終始ゲームをリードしましたが、さすがのスウェーデンチームは第3ピリオドに3点を挙げて追いついたのです。
 オリンピックでも何度もメダルを獲得している強豪国の意地が感じられる展開でした。

 このゲームをドイツが勝ったころから、ドイツチームのディフェンス、「体を張ったシュート阻止」が評判になり始めました。
 ドイツチームは、相手チームのシュートを守備選手らが「自らの体に当てて・自らの体を盾にして阻止する」のです。「ゴールキーパーまでシュートを届かせない」という必死の守備ですが、これが徹底しています。

 実は、1次リーグのスウェーデン戦でも、あのスウェーデンの波状攻撃を「1失点」で抑えていました。
 ドイツチームは、自軍の守備戦術に手応えを感じていたのかもしれません。

 そして、準々決勝では「攻撃も機能」しました。
 カウンターからのゴールを量産したのです。相手チームの「一瞬の隙を突く攻撃」は、この後も格上チームを苦しめることになります。

④ 準決勝

 世界ランク1位というか、世界の、そしてオリンピックのアイスホッケーを常にリードするカナダチームが相手でした。
 さすがに、カナダが圧勝するだろうと見られていました。

 第1ピリオド、カナダの猛攻が続きましたが、ドイツは「体を張った守備」でゴールを許さず、逆に1点を取りました。
 第2ピリオド、カナダの攻勢は続きましたが、パワープレー時の攻撃他でのドイツチームの攻めが勝りました。
 このピリオドに一挙に3点を挙げたのです。
 何か「あれよあれよ」という感じがしました。カナダチームとしては「前がかり」のフォーメーションの隙を突かれたというところでしょうか。

 4-1とドイツがリードしての第3ピリオドは、「本気」のカナダの攻撃が続きましたが、これはもの凄い攻撃が続きましたが、ドイツチームは2失点に抑え切り、4-3で勝利したのです。

 試合終了のホーンが響き渡った時、ドイツチームは歓喜に包まれました。
 「有り得ないこと」が起こったのです。

 「シンプルなホッケー」を展開するカナダチームに対して、「シンプルな」体を張ったディフェンスが終始機能したゲームでした。

 オリンピック・アイスホッケー史上屈指の「番狂わせ」でしょう。

⑤ 決勝

 伝統的に、冬季オリンピックの最終日、閉会式の前に、アイスホッケー男子決勝が行われます。
 ある意味では不思議なことですが、大会最後の競技に似合っているということなのでしょうか。今大会もそうなりました。

 そしてこの試合が、ドイツチーム「大冒険のクライマックス」となりました。

 ゲーム前は、ドイツの戦法・戦術は「カナダには通じてもOAR(ロシア)には通用しないのではないか」と考えていました。「正面から個の力で押す」シンプルなカナダのアイスホッケーには、「身を挺する」ドイツのプレーで適応できるが、「高速パスを繋ぐ」ロシアのプレーには、通用しないのではないか、「身を挺した」瞬間にパスが行われ、ドイツのプレーヤーが居ない角度からロシアのシュートが飛んでくるのではないか、と考えたのです。

 世界ランク2位のロシアのアイスホッケー、伝統的な「正確な高速パス」を自在に操るホッケーの前に、ドイツは大敗を喫するのではないかと、危惧しました。

 第1ピリオド、その懸念が現実化しました。
 押し気味にゲームを進めていたOARチームが先制したのです。

 準々決勝以降「体格差」が気になっていました。スウェーデン戦でも、カナダ戦でも、ドイツチームは「ひとまわり小さい」のです。
 そして決勝のOAR戦では、一層OARチームのプレーヤーの大きさが目立ちました。

 そもそも体格面でドイツチームが相手より劣っているスポーツ競技というのは滅多に観られない、ドイツ民族は大柄なものだと感じていましたが、アイスホッケーだけは別の様でした。
 OARの赤いユニフォームがリンクを圧していました。

 そして、相変わらずの素早く強いパスと、「単独で持ち込むパワーとスピード」でドイツチームを押し続けました。

 準決勝までは「先制して相手チームの焦りを誘う」試合運びであったドイツチームが、ついに「先制を許した」のですから、ゲームはこのままOARペースで進むかと思われたのです。

 ところが、第2ピリオド、ドイツは同点に追いつきます。
 この大会で時折観られた、数少ないチャンスをものにするプレー、ある意味では「ミステリアスな攻撃」がOAR戦でも登場しました。
 「まだドイツチームは死んではいない」と示したのです。

 そして1-1の同点で迎えた第3ピリオド、ドイツチームが先行します。
 そもそも、カナダやロシアにとっては、第2ピリオドまでにドイツにリードを許すとか、1-1という最少得点で同点となった状態、というのは「想定外」の筈です。
 両チームとも「世界一の攻撃力」を誇るチームなのですから。

 従って、1-1で最終ピリオドに入った段階で「試合は既にドイツペース」なのです。

 第3ピリオドで両チームが1点ずつを取り合った後、試合時間残り3分、ドイツのヨナス・ミュラー選手が勝ち越し点を挙げました。素晴らしいシュートでした。

 ドイツ3-2でリード。
 場内は騒然としてきました。
 世界ランキング1位・カナダ、2位・ロシア、3位・スウェーデンを連破しての金メダルが、とても現実味を帯びてきたのです。

 加えて、試合時間残り2分25秒だったと思いますが(数秒違うかも知れません。違っていた場合にはご容赦ください)、OARの選手が反則を犯し、2分間の出場停止となりました。

 これでOARチームは追い込まれたのです。
 試合時間残り2分余りで、2分間ひとり少ない、というのは絶望的な状況に観えました。

 一方、このタイミングでパワープレーを得たドイツチームにとっては、金メダル獲得が眼前に迫ったのです。

 ここで、これまで「大冒険」「夢のようなツアー」を続けてきたドイツチームのプレーヤーが、現実に引き戻されたのかもしれません。
 あと2分凌げば、オリンピックチャンピオンのタイトルが手に入る、と感じた可能性があります。
 ひとり多いにも関わらず、初めて「守備的な空気」がチームに流れたのです。
 守備体形も「ひとまわり小さくなった」ように観えました。危険な兆候でした。

 一方のOARチームは、戦意を落とすどころか、一層「勝利への執念」を燃え滾らせたのです。
 ここが凄いところです。カナダと共に世界のアイスホッケーを牽引してきたロシアチームの強さというか、凄さがよく分かるプレー振りでした。

 まず、ゴールキーパーを下げました。
 ひとり少ない状況をゴール前以外は解消して見せたのです。
 ゴールはがら空きですが、「とにかく得点する以外に勝つ方法は無い」ことを、フォーメーションで示しました。

 「ショートハンドを解消するための博打」に打って出たというところでしょうか。

 それでも、フォワード・ディフェンスの人数は5対5の同数なのですが、OARチームは攻めに攻めました。気迫の差が明らかにプレーに出ていました。

 とはいえ「アイスホッケーの1点は重い」ので、そう簡単には同点にはなるまいと感じた直後、試合時間残り30秒位でしょうか、ニキータ・グセフ選手のゴールが決まりました。

 「呆然とするドイツチーム」と「歓喜に沸くOARチーム」、対照的な光景がリンクに広がりました。

 3-3の同点となっての延長は、キーパー以外が4対4と、両チームともひとりずつプレーヤーを減らしての戦いですが、こうなると、ゲーム前に予想していた「高速パスの威力」が増大しますし、ドイツとしては「身を挺するプレーヤーがひとり少ない形」ですし、「勢いの違い」も明らかですから、OARが決勝ゴールを決めるのは時間の問題だろうと観ていました。

 そして、ドイツゴール正面から、「守備プレーヤーがキーパーの前にひとりも居ないゴール正面から、強烈なシュートがドイツゴールに突き刺さりました。

 「どうだ」と言わんばかりのシュートでした。

 ドイツチームの「大冒険」は、こうして終焉を迎えました。
 決勝の残り3分まで「夢のようなツアー」を続けていたドイツが、急に現実に戻り、「勝ちを意識した時」に、終焉が始まっていたのかもしれません。

 もちろん、「絶対に諦めない」OARチームの勝利への執念、ショートハンドからキーパーを上げる戦術や、攻め続ける気迫、60分近く戦って来ての正確なプレーは、まさに感服に値します。

 惜しくも銀メダルに終わりましたけれども、平昌オリンピックの男子アイスホッケーが「ドイツチームの大会」であったことは、間違いが無いことでしょう。
 
 ドイツチームの「大冒険」は、長く語り継がれるのです。
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 ウインタースポーツ2014も、そろそろエンディングを迎えます。今季の締めに当たって、お願い事をひとつ。

 アイスホッケーを生で観に行くのは、とても楽しいことです。どのスポーツでも、現場で目の当たりにすることは、何物にも代え難いものなのですが、アイスホッケーは特にテレビ観戦とリアル観戦の差を感じる競技です。

 フォワード3人が並んで敵陣に突進していく時のスピード感・迫力、プレーヤーが前傾し膝を深く曲げ、両手を大きく動かして始動する時には、一瞬空気が圧縮されたような感覚です。

 プレーヤー同士の激突、ボードへの衝突、スティックの絡み合い等々の際の「音」は、何とも言えない緊迫感と重量感に溢れています。
 
 こうした種々のインパクトは、テレビではなかなか伝わらないものです。

 私もアイスホッケーの持つ独特の雰囲気が大好きですから、以前は代々木第一体育館や東伏見、品川のリンクへ観戦に行きました。
 しかし、最近は足が遠のいています。理由は「寒いから」です。妻を誘っても「寒いから遠慮するわ」と断られてしまいます。

 「何を軟弱なことを。アイスホッケーを観戦しようという者が、寒いなどと言ってはいけない」「好きならば、寒さなど気にならないものだ」と注意されそうです。おっしゃる通りだとも思いますが、観客席に座っていると足元から深々と寒気が上がってきます。真冬のサッカー・ラグビー観戦とは、寒さの種類が違うのです。相応の年齢になってくると、長時間の観戦は結構しんどいものです。

 もちろん、アイスホッケーチームのファンの人は、そんな寒さは気にならないのでしょうし、大声で応援していれば暑いくらいのものだとおっしゃるのでしょう。それも、その通りだと思います。

 しかし、「当該スポーツがメジャーになるため」には、熱狂的なファンだけが観客席に来る状態では難しいのです。
 スター選手の姿を観たい一心で、初めてリンクに足を運んだ人達にとっては、観客席の寒さは応えると思います。将来のアイスホッケーファン候補だった人達が、たった一度のリンク観戦で懲りてしまって、二度と観戦に来ない=好きになる前に退散してしまう、というのは残念なことでしょう。

 アメリカ・ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンでプロアイスホッケーNHLのゲームが行われる時には、観客席が床暖房になると聞いたことがあります。こうした対応を、我が国でも取り入れることが出来ないものでしょうか。

 もちろん、札幌・帯広・苫小牧・八戸・釧路・日光・横浜・西東京といった全てのリンクに「常設設備として床暖房を配すること」は、費用面から難しいと思いますので、「移動式の床暖房設備」を用意し、各会場で設置するといった対応ができないものかと考えます。

 なかなか難しいことなのでしょうが、あのアイスホッケーの持つ独特の素晴らしい特質を、ひとりでも多くの人達に観て頂くために、何か方法は無いものかと思うのです。
 第3ピリオド10分を過ぎて、アメリカが2-0でリードしていましたから、金メダルはアメリカのものだろうと思いました。
 オリンピックのような大舞台では1点が極めて重いアイスホッケーですから、カナダの逆転は難しいように思われたのです。

 16分過ぎに、ブーリン選手の得点で1-2とカナダが追い上げました。アメリカにとっては2-0で勝ち切るべきゲームだとは思いましたが、それでもまだ、アメリカが優位でした。

 残り2分を切って、カナダが6人攻撃。アメリカ陣のブルーラインとサイドフェンスのところにパックが流れます。当然、カナダの選手が待ち受けていましたが、審判も居たので邪魔になりました。その隙にアメリカの選手がパックを叩きました。パックは、無人のカナダゴールに向かって滑ります。

 アメリカにとって、大きな勝機でした。これが決まれば3-1となり、アメリカの勝利は決定的な物となります。「勝負の神様がアメリカに微笑んだ」ようにも見えました。

 カナダゴールの向かって左側のポストに滑って行ったパックは、しかし、左に弾かれました。スローモーションで何度見ても、左右どちらに弾かれても不思議の無いシーンでした。
 「勝負の神様は結論を先延ばしにした」のです。

 カナダチームは6人攻撃で攻めに攻めます。アメリカチームも必死に守ります。女子アイスホッケー世界最高のプレーが続きました。

 残り時間が1分を切った瞬間、カナダのブーリン選手のシュートが決まりました。同点!
「勝負の神様がもう少しゲームを観ていたい気分になった」のでしょうか。

 2-2の同点でゲームは延長戦に入りましたが、試合の流れはカナダに傾いていました。8分過ぎのパワープレーでブーリン選手が再び得点し、カナダが勝ちました。
 「今日はブーリン女史の日にしよう」と勝負の神様が考えたのかもしれません。

 アイスホッケー史上に残るであろう好ゲームでした。
 第3ピリオド15分を過ぎて、永遠のライバル・アメリカチームに0-2とリードを許している状況で、全く諦める気配も無く攻め続けたカナダチームの、心身の強さが際立ったゲームでした。

 オリンピック4連覇。アイスホッケーを国技とする「カナダの底力」を魅せていただきました。
 「得点力の強化」と書きましたが、より正確には「得点を取る形の開発・習得」という意味です。

 昨年この時期に行なわれた予選を勝ち抜き、予選を勝ち抜くという形では初めてオリンピック出場を決めた日本女子アイスホッケー代表チーム「スマイルジャパン」のソチ・オリンピックが終わりました。

 残念ながら、5戦全敗でした。

 大会を通じて惜しまれるのは、初戦2月9日のスウェーデンとの試合でしょう。0-1で惜敗しました。
 実力・実績で大幅に上回るスウェーデンチームを相手に、スマイルジャパンは良く守り、時折反撃に出るという試合運びで、接戦を演じました。

 ソチ・オリンピックに出場している他のチームは、当然ながら全てスマイルジャパンより格上のチームばかりです。従って、スマイルとしては、守りを固め、相手の得点を許さず、何とか1点を捥ぎ取って、1-0あるいは2-1あるいは1-1からの延長戦に活路を見出して勝利するという構想で、ゲームに臨んでいたと思います。

 今大会もベスト4まで進出した女子アイスホッケーの強豪スウェーデンチームに対して、スマイルジャパンは、その作戦通りの試合を展開したのですが、1点が取れませんでした。集中力十分で、体を張ったスマイルジャパンの懸命の守備が印象的な好ゲームでした。
 
 続くロシア戦も同様の戦いを演じましたが、1-2で敗れました。

 これで、決勝トーナメント進出の望みを断たれてしまいましたから、第3戦のドイツ戦では集中力が切れてしまったのか0-4で完敗しました。
 予選リーグの3チームで最も実力が接近していると言われたドイツに、最も圧倒されて負けるのですから、やはり精神面は大きな影響があるのです。

 そして5~8位の順位決定戦の初戦でロシアに3-6、7~8位順位決定戦でドイツに2-3で敗れて、スマイルジャパンの8位が決まりました。8チーム出場しての8位は、残念なことでしょうが、8チームしか出場できない大会で5戦を戦ったという意義は、とても大きなものだったことでしょう。

 返す返すも、気力・体力十分であったスウェーデン戦で「勝ち点が取れなかったこと」が悔やまれますが、やはり「得点しなければ勝てない・勝ち点は取れない」ということでしょう。

 今大会の女子アイスホッケーでは、
① ロングシュートをゴール前に居る選手がコースを変える形
② シュートの跳ね返りを叩く形

 での得点が多かったと思います。この形は、通常でも得点を上げ易い形です。

 一方、前述①②の形は、十分な体格があり、守備側の選手に当たられてもバランスを崩さないフィットネスを保持している場合には可能ですが、スマイルジャパンのように相手チームの方が常にひとまわり・ふたまわり大きいという場合には、必ずしも有効な攻撃とはいえません。
 ゴール前に位置取る選手の動きが封じられてしまうからです。

 「得点しなければ勝てない」上に「通常の形では得点を上げることが難しい」ということになれば、「独自の得点奪取方法を創造する」しかありません。
 なでしこジャパンがパスサッカーで活路を見出したように、スマイルジャパンにも「ザ・スマイル」と呼ばれるプレーが必要なのでしょう。

 もちろん「新戦法・戦術の創造」は、容易なことではないのでしょうが、現状のままでは、オリンピックでの勝利は覚束ないでしょう。

 スウェーデン戦、ロシア戦は、7~8割のボール支配を許し、画面には日本ゴール周辺の絵ばかりが流れ、小柄なスマイル戦士たちが懸命にゴールを守るシーンの連続でした。たまにパックを奪っても、直ぐにターンオーバーされ、自陣ブルーラインを越えるのも容易ではない有様。とても胸が痛くなりました。
 「押し込まれ、守っているばかりでは勝てない」と痛感しましたし、何より、このアイスホッケーでは選手が参ってしまいます。精神的に持たないでしょう。アイスホッケー選手にとって一番面白い「攻撃」が殆ど出来ないのですから。

 例えば、ゴール前を相当のスピードで横切りながら滑る選手が、外からのロングシュートのコースを変えるプレーや、ゴールの左右のスミを角度のないところから狙って行くプレー、といった日本チームならではのプレーが欲しいところです。

 強いチームばかりなので難しいことはもちろんとして、初戦で大番狂わせを演じることが出来れば、メダルも有り得ると予想・期待していたソチ・オリンピックでしたが、今回は相手チームの方が上でした。

 しかし、あのスウェーデンチームをオリンピックの舞台で1点に押さえ込むことには成功したのです。これは大きな成果でしょう。
 あとは、高い確率で1試合に1点が取れるプレー、スマイルジャパン独自のプレーさえ創造できれば、もっと良い戦いが展開できます。パワープレーや通常の攻撃プレーに、「スマイルスペシャル」を加えるのです。

 体格・体力・持ち味が、欧米各国とは異なるスマイルジャパンだからこそ、その可能性が十分に有ると思います。

 日本女子アイスホッケーチーム「スマイル・ジャパン」の活躍もあって、ソチでは女子アイスホッケーを見る機会が多いと思います。

 予選リーグの試合を観ていて、少し気になっているのは、女子アイスホッケーでは男子と違い「ボディチェック」が許されていないと報道されている点です。

 試合を観ていても、確かに激しいボディチェックは行なわれていません。成る程とは思いましたが、

① ボディチェックが禁止されている状況下では、大型選手がキチンとボールコントロールをしながら前進すれば、これを止めることはできない。

 ということになってしまいます。体格面で劣る選手にとっては、勢いを付けてぶつかって行くボディチェック以外に、大きな選手の突進を止める方法が無いのですが、そのボディチェックが「反則」なのですから、対処方法が見当たらないことになります。

② フェンス際のぶつかり合いなどでも、大型選手に有利

 故意のボディチェックは反則ですが、試合の流れの中でぶつかる分には反則にはなりません。従って、試合中には体格の大きな選手が小柄な選手を吹っ飛ばすシーンが再三見られますが、反則は取られないのです。

 以上の点から、「現在の女子アイスホッケーでは、体が大きい選手の方が、相当有利」ということになります。

 翻って、今大会参加の各チームを観ると、体格面で優位にあるのはアメリカチームとカナダチームであり、おそらくこの両チームが金メダルの最有力チームであろうと思います。

 両チームとも、大型の中心選手がひとりでリンクを突進し、チャンスを作ります。スマイル・ジャパンならパスで繋ぐところを、単独での突破からチャンスメイクし、リバウンドを叩くといったシンプルな攻撃が、極めて効果的なのです。
 
 一方で、以前の女子サッカーを観ているような気分にもなりました。

 「なでしこ」も当初は、体の大きなアメリカチームやドイツチームと戦い、ヘディング攻撃などで再三痛い目に合いましたが、「パスサッカー」という対抗策を編み出し、そのレベルを上げて行くことで、互角の戦いが出来るようになりました。

 「スマイル」も、大柄な選手が多いチームに対する対抗策を構築している過程なのであろうと思います。
 予選リーグ緒戦で、惜しくもスウェーデンに0-1で敗れてしまいましたが、「世界トップクラスのチームと本気の勝負」が出来る機会は、そう多くはありません。対抗策を練りに練った上で、キッチリと実行して欲しいと思います。

 女子アイスホッケー日本代表チーム「スマイルジャパン」の強化試合、ブリジストン・ブリザック・チャレンジが、11月7日~10日にかけて新横浜スケートセンターで開催されました。

 現在世界ランク10位のスマイルジャパンにとって、上位の4チームと計5チームで争う国際大会でした。
 「良い大会・ゲームが組まれた」というのが、大会開催を初めて聞いた時の印象でしたし、大会が進むにつれて、スマイルジャパンにとって極めて有意義な大会であったと改めて感じます。
ソチオリンピックを控えて、日本アイスホッケー連盟の良いマネジメント・施策であったと感じますし、簡単に組成できたとも思えませんので、大会担当者の皆さんのご努力に拍手を送りたいと思います。

 素晴らしい強化策であったと思う理由は、以下の通りです。

 まず、世界ランクの5位~10位のチーム5チームが集まっていることです。5位のスイス、7位のドイツ、8位のスロバキア、9位のチェコ、とスマイルジャパンにとって格上のチームが揃い、それも大きな実力差が無い直上位チームとの対戦であったことは、実力向上を図る上では一番有効でしょう。
 カナダやアメリカ、フィンランドといった世界ランク最上位のチームとの対戦で、自信を失うリスクも回避できます。

 加えて、短期間の間に4試合を行えるというのは、チームフォーメーションの見直しや新施策の展開には絶好であったと思います。

 続いて、スマイルジャパンの試合振りが素晴らしかったことです。
 緒戦のチェコ戦は点の取り合いとなり、日本は先行しましたが第3ピリオドに3失点して逆転負け。守備の重要性と、1対1の対応力が反省点となりました。

 第二試合のスロバキア戦は6対0で快勝しました。スロバキアと日本は、世界ランクも近く、常に僅差で争っているのですが、地元であることと緒戦の反省点に対応したゲーム運びが見事でした。特に、完封したことが何よりでした。
 そして、第三試合は世界ランク5位と今大会最上位の力を保有するスイス戦。これをスマイルジャパンは2対0で破りました。2得点とも、スイス守備陣の虚をついたものでしたし、1対1の守備も良く機能しての快勝でした。チェコ戦第3ピリオドの反省が、最も活きた一戦でした。

 最終戦のドイツとの試合は1対3で敗れました。ドイツの戦略勝ちという感じで、2ピリオドまでに3点を奪われ、そのまま押し切られました。日本チームのボールの出どころをチェックする戦法であったと思いますが、この大会が始まって、相手チームを研究しているのは日本チームだけではないことを感じさせるゲームでした。スイスを零封したチームを、ドイツも十分に研究していたのです。
 この試合は、スマイルジャパンにとってとても良い反省材料を残してくれたと思います。

 ブリジストン・ブリザック・チャレンジ大会のスマイルジャパンは、2勝2敗でした。世界ランク一桁のチームとも、十分に戦えるという手ごたえを感じると共に、少しでも後手を踏めば敗れてしまうことも、改めて確認できた大会でした。

 本ブログでは、早々にソチオリンピック出場を決めたスマイルジャパンを「相当強いチーム」と位置付けてきましたが、今大会を観て、一層その感を強くしました。本番に向けて、整斉と長所を伸ばし、短所を見直して行けば、メダル獲得も夢ではないと考えます。

 そして、最も大切なことは、オリンピックゲームが始まってからの1試合1試合の戦略立案と実行でしょう。ここで先手が取れれば、旋風を巻き起こすことも十分可能だと思います。
 第2ピリオド残り10秒、日本チームのフォワードFW久保選手のシュートが決まりました。相手ゴールに向かって右サイドから、相手ゴールキーパーGKの左肩上を抜いた、上手なシュートでした。
 これで試合は4対0となり、日本チームのリードが4点となりましたので、この試合の勝利、そして来年のソチ・オリンピック出場が決まったと思いました。

 来2014年、ロシアのソチで開催される冬季オリンピックのアイスホッケー競技への参加チームを決める最終予選大会、その最終戦、日本代表対デンマーク代表の試合は、日本時間の2月10日、スロバキアはポプラドのポプラドアリーナで行われました。

 試合結果は5対0で日本が勝ち、オリンピック出場を決めました。

 第1ピリオド残り11分、日本チームにとってこの試合最初のパワープレーも、残り10秒というところで、FW平野選手からのパスが相手ゴール前に飛び、ポストプレーで待っていたFW獅子内選手が合わせてゴール。
 さすがに緊張からか、やや動きが固かった日本チームにとっては、貴重な先制点でした。

 そして第1ピリオド残り1分、シュートクリアのパックをFW久保選手が、相手ゴール左サイドから押し込み2点目。日本チームに勇気を与える2点目でした。アイスホッケーの試合においては、とても重い2点目です。

 第2ピリオド残り13分、FW平野選手の股抜きゴールが決まって3点目。ベテランのテクニックが光るゴールでした。

 そして第2ピリオド残り10秒、頭書のゴールが決まりました。既に相当優位に立っていた日本チームの、オリンピック出場を決定づけるFW久保選手のこの試合2得点目となるゴールでした。
 デンマークチームは、疲れもあってかフォーメーションが小さくなり、ゴールから3m以内に全選手が入ってしまうような状態になっていました。この形では、失点は時間の問題でした。

 第3ピリオド残り9分、ディフェンスDF小池選手のダメ押しとなる5点目のゴールが決まりました。相手ゴール右サイドからのシュートでした。

 日本チームにとっては、見事なゲームでした。連日のゲームにもかかわらず動きの良さも目立ちました。コンディショニングが良かったのでしょう。
 日本チームの特徴でもある「スピードとテクニック」は、デンマークチームを圧倒していました。特に、第2ピリオドの中盤からは、デンマークチームは全く日本チームの動きに付いて行けない状態でした。

 得点の時間帯にも特徴がありました。各ピリオドの中盤・残り10分近辺に得点しています。そして、第1・第2ピリオドの終了間際に得点しています。これで計5得点。
 試合終了後のインタビューで、飯塚ヘッドコーチが「良い時間帯に得点できた。ゲームプラン通りだった」とコメントしていましたが、こうした時間帯に得点するゲームプランの内容について、より深く聴いてみたいものです。自チームのセット、相手チームのセット、相手チームの疲労度合、自チームのフォーメーション・得点を取る体制などの関係なのでしょうか。
 私にとっては、この日本チームの得点時間帯の符合は、この試合最大の謎でした。偶然ということは有り得ないのです。また、偶然でしか得点できないチームは、オリンピックには出場できないでしょう。

 試合終了後の各選手へのインタビューで「この試合は通過点。オリンピックでもっと良い試合をしたい」と口をそろえてコメントしていました。1998年の長野オリンピック以来2度目の出場とはいえ、予選を勝ち抜いての出場は初めてですから、実質的には初出場です。
 しかし、この試合のプレー振りを観ると、相当良い試合ができるのではないかと感じさせます。もちろん世界のトップチームの当たりの強さ、スピードは、予選のレベルを遥かに超えるものでしょうから、この試合のような動きを日本チームが見せられるかどうかは、判らないところですけれども。

 8チームで戦うソチ・オリンピックの舞台で、日本女子アイスホッケーの力を存分に魅せていただきたいものです。旋風を起こしていただきたいものです。その力は、十分に備わっていると思います。

 試合前日本選手たちは、笑顔を見せながら静かにロッカールームに向かいました。緊張感の中に漂う優しさ。この雰囲気が今回のアイスホッケー女子日本代表チームなのでしょう。相当強いチームです。
 冬になると氷が張り、その冬が長い地域では、相当古い時代から氷上の遊戯が行われていたと考えるのが自然です。スコットランドのシンティ、アイルランドのハーリング、ネイティブアメリカンのバゲタウェイなど、現在のアイスホッケーの原型ではないかといわれる遊戯も存在します。
 とはいえ、これらは現在のアイスホッケーとは相当に異なるものと言われていて、直接つながるものではないと思われます。

 近代アイスホッケーの起源地についても、これだけの人気スポーツになってしまったためもあってか、カナダのモントリオールを始めとして複数の都市が名乗りを上げている状況で、特定するのは難しいようです。

 1875年3月3日に、初の屋内でのフィールドホッケー式の競技が行われたとの記録が、モントリオール市公報に記載されていますから、少なくとも19世紀の後半には、モントリオール市では様々なルールで、フィールドホッケー型のスポーツが屋外、後には屋内でも、行われていたようです。

 1877年にマギル大学の学生であったジェームズ・クライトン、ヘンリー・ジョセフ、リチャード・スミスらが、ラグビーなどのルールを参考にして7つのルールを創り、地方新聞紙上で発表しました。このルールは、短い期間にモントリオール中に広がり、1883年にはモントリオールの冬祭りで実施されるようになりました。「統一されたルールができること」「そのルールのもとで行われる競技が人気があること」という条件を充足しますので、1877年をアイスホッケーのはじまりとしたいと思います。

 それにしても、カナダ・モントリオールのマギル大学は、1821年に創立された、カナダ最古の大学ですが、アメリカンフットボールの起源に関係する1874年の「ハーバード大学対マギル大学の試合」の一翼を担ったり、バスケットボールの発明者ネイスミスの出身大学であったり、今度はアイスホッケーの最初のルールを創ったり、近代スポーツの起源に、よく登場する大学です。
 19世紀後半に、そうした気風に溢れた学校であったことは間違いないでしょう。

 もともと氷上のフィールドホッケー型競技が盛んに行われていた地域ですから、この7つのルールが発表されると、アイスホッケーはカナダ中に広まり、1887年にはオンタリオ州でアイスホッケーのリーグ戦が始まり、1896年にはアメリカでも公式戦がスタートし、1897年には、カナダ・モントリオールで現在のルールに近いルールが制定されるなど、アイスホッケーは急速に発展しました。

 1888年、当時のカナダ総督スタンレー卿は、冬祭りで観たアイスホッケー競技に痛く感激し、優勝杯を贈ろうと考えたとの説があります。これが、いわゆるスタンレーカップのはじまりとされています。現在、NHL(ナショナル・ホッケーリーグ)の優勝チームに贈られるスタンレーカップのことです。

 NHLは、世界初のプロアイスホッケーリーグとして1917年に始まりました。現在では、北米4大スポーツのひとつとして隆盛を極めています。

 尚、スタンレーカップそのものの写真や映像をご覧になった方であれば、上部に小さなカップが付いていて、土台部分が長く・広がっている形をご存知だと思います。
 当初は、上部の小さなカップと普通の土台だったのですが、「優勝チームとその全選手の名前」を土台部分(金属製のリング)に刻むこととされていましたので、どんどん金属製のリングが追加されていって、土台部分が下に伸びたのです。さすがに限界ということで、いまでは古い刻印板を順次外して、博物館に保存し、新しい優勝チーム・選手の名前を刻印するスペースを確保しているとのことです。

 とはいえ、高さ88cmになってしまった現在のカップを当初の大きさ(高さ40cm程度といわれています)に戻そうとはせず、88cmのままにしておくのは、スタンレーカップとはこういう形のものだというのが、定着しているからでしょうか。




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