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 12月8日、阪神競馬場芝1,600mコースで行われる、第71回阪神ジュベナイルフィリーズ競走G1の注目馬検討です。

 2歳牝馬NO.1を決めるレースです。
 今年も16頭が出走してきました。

 メンバーを観ると「頭抜けた存在」は居ないという印象です。
 一方で、「2戦2勝馬」が3頭も居て、このレースの中心となりそうです。

 阪神外回りの1,600mコースは直線がとても長いので、マイラーよりは1,800m、2,000mに強い馬向きでしょう。

 さて、注目馬です。

 第1の注目馬は、2枠3番のウーマンズハート。
 前走8月の新潟2歳ステークスから間が空きましたが、しっかり調整されていると観ます。ハーツクライの2歳牝馬というのも、とても楽しみです。

 第2の注目馬は、5枠10番のクラヴァシュドール。
 前走のサウジアラビアロイヤルカップG3は、サリオスのレコード勝ちの2着でしたが、良く走っていたと感じます。こちらも、ハーツクライの2歳牝馬。ハーツクライの親子丼(そういう言い方が有るのかどうか?)に期待します。

 第3の注目馬は、8枠15番のリアアメリア。
 前走アルテミスステークスG3の上がり33秒の脚は素晴らしいものでした。外枠になってしまったのが残念ですが、ディープインパクト産駒の2020年に繋がる走りに期待します。

 今回は、以上の3頭に注目します。

 この時期の牝馬の戦いですから、何が起こっても不思議ではありません。

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 12月1日、中京競馬場ダート1,800mコースで行われる、第20回チャンピオンズカップ競走G1の注目馬検討です。

 2019年のダート競走馬NO.1を決めるレースです。

 かつてはジャパンカップダートとして、ジャパンカップと同週に東京競馬場(第3回は中山競馬場)にて行われていましたが、2008年の第9回からは阪神競馬場にコースを移し、2014年の第15回からは、レース名もチャンピオンズカップに変更し、コースも中京競馬場となり、現在に至っています。
 このまま、「中京のダートGI」として定着して行くのでしょうか。

 地方競馬の多くがダートコースですので、ダートレース重賞は様々な競馬場で開催されます。とてもバラエティに富んでいるのです。加えて、一口に「ダート」といっても、コース毎に微妙に異なります(当然ながら、芝コースもコース毎に異なるのですが、異なる度合いがダートコースの方が大きいと感じます)ので、あのコースで好成績を収めたから、このコースでも、という風には成り難いのが、難しいところでしょう。
 同じコースで、連続してレースが行われることの意義のひとつが、ここにあるのです。

 さて、注目馬です。

 第一の注目馬は、6枠11番のゴールドドリーム。
 2017年のこのレースの覇者です。前走、10月4日盛岡のMCS南部杯Jpn1は3着でしたが、このところG1級のダートレースで3着以内を継続している安定感を評価します。
 前走からのローテーションも良いと思います。

 第二の注目馬は、2枠3番のチュウワウィザード。
 前走・JBCクラシックG1を快勝しました。今、最も乗っている馬でしょう。
 こちらもG1級レースでの安定感は抜群ですが、鞍上の乗り替わりと、ややローテーションがきついことが心配材料でしょうか。

 第三の注目馬は、3枠5番のクリソベリル。
 3枠両頭で迷いましたが、こちらにしました。3歳馬ですが、このところ急に力を付けてきた印象です。ここを勝つようなら、ダート界の次代を担う存在になるかもしれません。

 今回は、以上の3頭に期待します。

 青空の下でのレースを観たいと思います。
 
 11月24日、東京競馬場芝2,400mコースで開催される、第39回ジャパンカップ競走G1の注目馬検討です。

 海外からの出走馬が0のジャパンカップとなりました。
 当然ながら、「国際競走」として、いかがなものかというご意見が出されています。

 2018年のアーモンドアイの優勝タイム2分20秒6は、現在の芝2,400mの世界最高記録ですが、今年の凱旋門賞の優勝タイムより11秒以上速いのです。
 もちろん、馬場状態の違いから生まれる「差」なのでしょうが、世界最速のスピード競馬となっている、現在の中央競馬芝レースに対して、海外の強豪馬が尻込みするのは止むを得ないところでしょう。
 
 「重い芝の馬場」で強さを発揮するサラブレッドと、「固い芝の馬場」で力を発揮するサラブレッドは、全く異なるタイプであることは明白ですので、今後も海外強豪馬の「ジャパンカップ敬遠」は続くものと思われます。

 もちろん、日本の競馬は高速馬場における優劣を競い、高速馬場で強いサラブレッドの血統を育んできたものですから、今後ジャパンカップに海外の馬に出てもらうために、「馬場を柔らかく重いものにしていく」というのも、これまでの日本競馬の歴史を無にしてしまうことの様にも感じます。
 
 なかなか対策が難しい問題でしょうが、今後の検討を待ちたいと思います。

 海外馬が居ないとはいえ、さすがにジャパンカップ、とても良いメンバーが揃いました。
 特に「古馬牡馬」という面であれば、日本の強豪馬勢揃いという感じもします。

 また、「このところ勝てていない馬」が多いことも特徴でしょうか。
 出走15頭の内、前走1着は僅かに2頭なのです。
 「このところ勝に恵まれていないG1馬」のレースという形になっています。
 そこに、上がり馬が加わり、難しいレースになっているのです。

 さて、注目馬です。

 第一の注目馬は、5枠8番レイデオロ。
 前走オールカマーG2も伸びきれず4着と、このところ勝ち切れないレースが続いていますが、府中2,400mの大レース・日本ダービーを勝った力に期待します。そろそろ、でしょう。

 第二の注目馬は、2枠2番のワグネリアン。
 こちらも日本ダービー馬として評価したいと思います。ゴール前の叩き合いとなれば、この馬の持ち味が生きるでしょう。

 第三の注目馬は、3枠4番のムイトオブリガード。
 前走アルゼンチン共和国杯G2は快勝でした。上り馬として、思い切ったレースに期待します。

 今回は、以上の3頭に注目します。

 実力馬同士の大混戦。
 骨太のレースが展開されることでしょう。
 11月17日、京都競馬場芝1,600mコースで行われる、第36回マイルチャンピオンシップ競走G1の注目馬検討です。

 秋のマイル王決定戦に17頭が出走してきました。
 良いメンバーです。
 
 天皇賞(秋)組、毎日王冠組、毎日スワンステークス組、富士ステークス組が主体となっています。
 天皇賞(秋)からは中3週です。20世紀なら問題の無い休息期間ですが、現代競馬では少し短いという見方もあるでしょう。特に、天皇賞(秋)はとても厳しいレースですから。
 ちなみに、毎日王冠からは5週、毎日スワンSと富士Sからは4週、空いています。

 さて、注目馬です。

 第1の注目馬は、1枠1番のダノンキングリー。
 前走毎日王冠G2は快勝でした。皐月賞3着、日本ダービー2着と世代トップレベルの力量は証明されています。そろそろG1を勝つ頃でしょう。

 第2の注目馬は、3枠5番のインディチャンプ。
 安田記念2019を制覇しました。春のマイル王が2019年のマイル二冠に挑んできた形です。前走毎日王冠は3着。マイラーズカップ4着からの安田記念制覇と、同じローテーションです。

 第3の注目馬は、8枠17番のレイエンダ。
 前走富士ステークスは差の無い2着でした。多士済々のレースであり、3番手は大混戦ですが、ここはクリストフ・ルメール騎手の冷静な騎乗に期待します。

 今回は、以上の3頭に期待します。

 大接戦から残り100mで抜け出してくるのは、どの馬なのでしょうか。
 11月10日、京都競馬場芝2,200mコースで行われる、第44回エリザベス女王杯競走G1の注目馬検討です。

 当初は、牝馬三冠の最後の一冠レースという位置付けだったエリザベス女王杯が、古馬も含めた「秋のNO.1牝馬決定戦」となって、44回を数えるまでになりました。「歴史と伝統」を備えるレースとなったのです。

 2019年は、オークス馬と秋華賞馬が出走してきました。
 3歳馬が中心のレースです。

 オークス2019の勝ち馬ラヴズオンリーユーはここまで4戦4勝。ここを勝つようなら、名牝への道まっしぐらという感じです。

 秋華賞2019の勝ち馬クロノジェネシスはここまで7戦4勝・2着1回・3着2回。とても安定した強さを魅せています。

 そして「上がり馬」も揃いましたから、とても面白いレースとなりそうです。

 さて、注目馬です。

 第1の注目馬は、4枠8番のクロノジェネシス。
 前走・秋華賞は強い勝ち方を魅せました。秋の充実を評価します。

 第2の注目馬は、6枠11番のラヴズオンリーユー。
 やはり、無敗馬を外すことはできません。成長振りを観るレースです。

 第3の注目馬は、3枠5番のポンデザール。
 このところ4連勝中の上がり馬。前走の丹頂ステークスは圧勝でした。格下ですが、ここでも良い勝負を期待しています。

 今回は以上の3頭に注目します。

 「あっと驚く」結果になる可能性もあると思いますが・・・。

 第80回菊花賞のテレビ放送を観ていて、びっくりしました。

 「とても小さな馬」が出走していたのです。

 4枠8番のメロディーレーンでした。

 他の馬より、ひとまわり、いや、ふたまわりは小さく観えました。
 馬体重は340㎏とのこと。
 加えて牝馬ということもあってか、トモまわりの貧弱さが目立ち、「本当に菊花賞・京都淀の3,000mを走破できるのか?」と心配になりました。
 馬主さんは、どうしてこの馬を菊花賞に出走させたのだろう、と余計な心配までしてしまいました。

 さて、スタート。
 メロディーレーンは良いスタートを切り、先頭から5~10番手に居ましたが、鞍上・坂井瑠星騎手はゆっくりと下げました。後方から5番手辺りの位置としたのです。

 レースは淡々と進みました。
 そういう目で見るせいか、メロディーレーンは「やっと付いていっている」ように観えました。
 「大差の最下位でなければ良いが」と感じました。

 レースは残り500m辺りからの「ヨーイドン」になりました。
 各馬が一斉に加速したのです。
 メロディーレーンにも「ゴー」が出ました。

 後方から5番手辺りに居た彼女が、徐々に前に進出します。
 残り100mからは、大外一気という感じでした。
 
 「5着」。ワールドプレミア、サトノルークス、ヴェロックス、ディバインフォースについでの5着に入線したのです。

 「凄いな」というのが、最初の言葉でした。

 「完走できるのか」「可哀そうだろう」などと考えた自分の浅慮を恥じ入りました。
 メロディーレーンは立派に菊花賞を戦ったのです。
 上がり3ハロン・35秒7は、サトノルークスと並ぶメンバー最速でした。

 340㎏というのは、中央競馬のG1レースに出走した馬の中で史上最軽量記録だと報じられました。
 中央競馬にグレード制が導入されたのは1984年ですから、それ以前、1960年前後には、これ位小さな馬がレースに出ていた可能性が有ります。
 ダイナナホウシュウやタカオーといった名馬も、390kgくらいで走っていたと伝えられていますから、その頃ならメロディーレーンも「少し小さな馬」であったことでしょうが、大型化が進む時代にあっては、本当に小さく観えるのです。
 このレースで一番重かったユニコーンライオン(526kg)と比較すれば、186㎏も少ないのですから。
 とはいえ、メロディーレーンは5着、ユニコーンライオンは15着でしたけれども・・・。

 メロディーレーン号(3歳牝馬)、父オルフェーヴル、母メーヴェ。通算成績13戦2勝(重賞勝ちはありません)。勝っているレースは、2,400m(3歳未勝利)と2,600m(3歳上1勝クラス)ですから、ステイヤーである可能性が高いと思います。

 次はいつ、彼女が出走するレースを観ることができるのでしょうか。

 10月27日、東京競馬場芝2,000mコースで開催される、第160回天皇賞(秋)競走G1の注目馬検討です。

 競走しているところを観てみたいと願う2頭のサラブレッドの「対決」を、実際に目にすることができるのは、滅多に無いことでしょう。

 強い馬は、なかなか一緒には走らないのです。

 しかし、天皇賞(秋)2019では、その「夢の対決」が実現しました。
 アーモンドアイとサートゥルナーリアが出走してきたのです。

 「2,000mという距離」なら、一時期は世界最強ではと称されたアーモンドアイと、3歳馬最強と言われるサートゥルナーリア。
 その2頭の名前が出馬表に並んでいるだけで、本当にワクワクします。

 ところが?、このレースには他にも素晴らしいメンバーが揃ったのです。
 出走馬16頭を、2つ、あるいは、3つのレースに分けても「豪華」と言われるであろう強豪馬・実績馬が、これでもか、と言わんばかりに並んでいるレース、それが天皇賞(秋)2019なのでしょう。

 2018年の日本ダービー馬・ワグネリアン、2016年の日本ダービー馬マカヒキ、2019年香港のクイーンエリザベス2世カップG1優勝馬ウインブライト、2018年のNHKマイルカップ馬ケイアイノーテック、2017年のNHKマイルカップ馬アエロリット、2017年の皐月賞馬アルアイン、2017年の朝日杯FS馬ダノンプレミアム、2018年の大阪杯馬スワーヴリチャード、とG1ホースを挙げて行くだけでも、とても大変という、何だか凄いレースになってしまいました。

 大袈裟に言えば、「現在の中央競馬を象徴するレース」なのでしょう。

 さて、注目馬です。

 第一の注目馬は、5枠10番のサートゥルナーリア。
 6戦5勝。敗れたのは日本ダービー2019の4着1度だけ。前走の神戸新聞杯G2は2着のヴェロックスに3馬身差の圧勝。「菊」には目もくれず、敢然と古馬とのG1に出走してきました。「勢い」十分を買います。

 第二の注目馬は、1枠2番のアーモンドアイ。
 完調なら、この馬が一番強いのでしょうが、近時はやや「ずぶく」なっている感じがします。レース後の熱中症のような症状というのも気になるところです。勝たれれば「あっさり」ということもありそうですが、ここは二番手にしました。

 第三の注目馬は、2枠4番のスワーヴリチャード。
 ジャパンカップ2018、ドバイシーマC2019、宝塚記念2019と、このところG1レースの3着が続いています。ある意味での「安定感」、ハイレベルなレースでの安定感を評価しています。日本ダービー2017の2着馬でもありますから、東京コースへの適性も十分でしょう。

 今回は、以上の3頭に期待します。

 馬場の回復状況も大きく影響するでしょう。

 本当に目移りするメンバーです。

 「歴史に残るレース」となることを期待しています。

 10月20日、京都競馬場芝3,000mコースで開催される、第80回菊花賞競走G1の注目馬検討です。

 2019年のクラシック三冠を締めくくるレースです。

 出走馬を見ると、日本ダービー馬、皐月賞馬がおらず、春のクラシックレースには縁が無かったものの、秋になって力を付けてきた「上がり馬」が数多く居ます。

 もともと、この時点で「3,000mという長距離」に対する3歳各馬の適性が分からないために、いつも難しい予想が、今年は一層難しいと思います。
 申し訳ありませんが、知らない馬も多いので、展開さえ想定できないのです。

 とはいえ、「こういう菊花賞」も時々ありますので、これはこれでとても楽しみです。

 さて、注目馬です。

 第1の注目馬は、7枠13番のヴェロックス。
 大本命に成りそうです。春の二冠の勝ち馬が居ない中では、皐月賞2着、日本ダービー3着という実績は圧倒的です。地力が高いことが証明されています。加えて、トライアルレース神戸新聞杯も2着と、調整も順調なのです。
 なかなか1着になれないという面はありますが、「軸」はこの馬でしょう。

 第2の注目馬は、5枠10番のカウディーリョ。
 前走HTB賞を勝ちました。まだまだ格下という感じですが、3,000mで一気に花開く馬として期待します。キングカメハメハ×サンデーサイレンスという、現代を代表するクラシック血統にも期待しています。

 第3の注目馬は、1枠1番のザダル。
 前走セントライト記念は3着でした。ようやく本格化開始というところでしょうが、「混戦の一発屋・トーセンラー」の血に期待しています。

 我が国の競馬においても、皐月賞・日本ダービーと菊花賞は別物、という考え方が一般的になってきているのかもしれないと感じさせる、2019年の菊花賞です。

 10月13日、京都競馬場芝2,000mコースで開催される、第24回秋華賞競走G1の注目馬検討です。

 台風19号の接近、首都圏通過後の13日に行われたG1として、後世に語り継がれるかもしれません。レースとしては、京都コースですからしっかりと実施されることになるのでしょうが・・・。

 桜花賞馬グランアレグリア、オークス馬ラヴズオンリーユーが共に出走してこないレースとなりました。
 やはり「混戦」ということになりそうです。

 トライアルレースである、ローズステークスG2と紫苑ステークスG3の好走馬が中心となりそうです。

 ローズSは、ダノンファンタジーがレコード勝ちを収めました。もともと阪神JF2018の勝ち馬であり、2019年の牝馬クラシック戦線の主役と目されていた存在ですから、ここでは軸馬と観たいところなのですが、ローズSの2・3着馬との着差がクビ・アタマというところが心配です。この上位3頭は、ほぼ力の差は無いと観ています。

 紫雲Sも勝ったパッシングスルーと2着馬との着差はハナですので、こちらも抜けた存在とはいえません。

 やはり、秋華賞2019は「混戦」なのでしょう。

 さて、注目馬です。

 第一の注目馬は、4枠7番のビーチサンバ。
 前走ローズSはダノンファンタジーの2着。もともと、阪神JF2018では3着と、同期トップクラスの実力は示してきている存在です。デビュー戦以降1勝もできていない「ジリ脚」タイプですが、一方で「必ず上位に来る」ところを評価したいと思います。混戦向きと観ています。

 第二の注目馬は、5枠10番のシェーングランツ。
 2歳時は、藤沢和雄厩舎の牝馬2枚看板として、グランアレグリアと共に評価が高かった馬です。こちらも、このところなかなか勝てていませんが、そろそろ実力を発揮する頃でしょう。

 第三の注目馬は、3枠5番のクロノジェネシス。
 阪神JFで2着、桜花賞とオークスで3着、と安定した成績を誇ります。桜花賞馬とオークス馬が居ないのであれば、この馬がトップに来る可能性は十分です。

 今回は、以上の3頭に注目します。

 ミルコ・デムーロ騎手が乗るサトノダムゼル、クリストフ・ルメール騎手が乗るコントラチェックが気になるところですが・・・。

 JRA唯一人の女性ジョッキー・藤田菜七子騎手が、10月2日、大井競馬場で行われた第53回東京盃(JPNⅡ、ダート1,200m)においてコパノキッキングに騎乗し、見事な勝利を飾りました。

 2016年にデビューし、今年で4年目・22歳になる藤田騎手にとって初めての重賞制覇であり、同時にJRA女性騎手による初めての重賞制覇という偉業でもありました。

 レースはコパノキッキングの逃げ切り勝ちでしたが、スタートからグイグイ行ったのではなく、スタート直後は外枠の馬が前に居たものを、少しずつ差を詰めて自然な形で先頭に立ち、一気に差を広げるのではなく、「だましだまし」という感じで4角を回って、直線では差を広げる一方というレース内容でした。
 「秀逸な騎乗」と言って良いと思います。
 藤田騎手の騎乗技術は、騎乗を重ねる度に向上しているのでしょう。

 通算勝利数77(2019年9月29日時点)を始めとして、藤田騎手はJRAにおけるあらゆる女性騎士の記録を塗り替え続けています。
 そして、重賞制覇も成し遂げました。

 11月4日に開催されるJBCスプリント(G1、1,400m)に、コパノキッキングとのコンビで挑戦するという話も出ているとのこと。

 次に目指すは「G1制覇」ということなのでしょう。

 藤田菜七子選手の活躍から眼が離せません。

 第98回凱旋門賞が迫りました。
 10月6日、舞台はいつものパリ・ロンシャン競馬場です。

 日本からは、キセキ、ブラストワンピース、フィエールマンの3頭が挑みます。
 欧州以外の地域の馬が勝ったことが無い凱旋門賞ですから、日本馬がなかなか勝てないのも不思議では無いのですが、エルコンドルパサーやオルフェーヴルの2着惜敗など、いまや日本競馬の悲願でもある「凱旋門賞制覇」に向けて、頑張っていただきたいものです。

 とはいえ、今年も「大本命」が存在します。
 エネイブル(5歳牝馬)です。
 2017年、2018年と連覇を成し遂げ、3連覇を目指して勇躍出走してくるのです。
 3連覇となれば、これは「凱旋門賞史上初」です。

 2017年・3歳時から強かった(オークスG1、アイリッシュオークスG1、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS・G1、ヨークシャーオークスG1、凱旋門賞G1とG1を5勝)エネイブルですが、4歳時にも凱旋門賞とブリーダーズカップターフG1を勝ち、5歳になってもG1エクリプスS、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、ヨークシャーオークスを制して、G1通算10勝。
 他格付けのレースを含めて、13戦12勝・3着1回という、おそらくは「21世紀最強牝馬」の実績を積み上げています。

 3歳時には、いわゆる「斤量に恵まれた3歳牝馬」という面もあると言われていましたが、4歳になっても、5歳になっても、全く「負けることを知らない」というのですから、これはもう歴史的名馬の仲間入りを果たしている感じがします。

 その勝ちっぷりも、2017年の凱旋門賞は2と1/2馬身差で快勝したかと思えば、2018年の凱旋門賞は短クビ差という接戦を制していますし、2017年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSを4と1/2馬身差で圧勝したかと思えば、2019年の同レースはクビ差で競り勝ちました。
 つまり、ちぎっても勝てるし、競っても強い、ということになって、「死角」が見当たらない様子なのです。

 この「21世紀最強牝馬」の3連覇に「いちゃもんを付ける」ことはとても難しいのですが、強いて言えば、「3・4歳時に比べて5歳になってから2着馬との着差が小さくなっている傾向が有る」という点と、「凱旋門賞を3連覇した馬は居ない。あのタンティエームでも、リボーでも、アレッジドでも2連覇しか出来なかったのだから、無理だろう」という、あまり合理的ではないものしかないように、観えます。

 2019年のレースでエネイブルのライバルになりそうなのは、ガイヤース(4歳牡馬)、ヴァルトガイスト(5歳牡馬)あたりなのでしょうが、やはりエネイブルの優位は動かないと感じます。
 加えて、斤量に恵まれていると言われる「3歳牝馬」が2019年のレースには居ないのです。

 凱旋門賞2019、エネイブルを破る馬が現れるのでしょうか。


 JRA秋のG1レース緒戦、9月29日に中山競馬場芝1,200mコースで開催される、第53回スプリンターズステークスの注目馬検討です。

 台風が日本列島を襲った2019年の夏もようやく終り、本格的な秋の到来を告げる、「伝統」のレースです。
 「電撃の6ハロン」とも呼ばれますが、これまでも数々の名レースを生んできました。

 2019年のメンバーを観ると、「世代交代」を強く感じます。
 2020年以降の短距離界の「地図」を示してくれるレースとなることでしょう。

 さて、注目馬です。

 第1の注目馬は、4枠8番のタワーオブロンドン。
 前走・産経賞セントウルステークスG2の勝ちっぷりは見事の一語。ハンデ頭57㎏を背負っての3馬身差レコード勝ちは、この馬の本格化を高らかに宣言したものに観えました。
 ここも勝つようなら、今後の短距離界の「軸」になることでしょう。

 第2の注目馬は、8枠16番のファンタジスト。
 前走セントウルSは、タワーオブロンドンのレコード勝ちの2着と健闘しました。1分7秒2という走破タイムは、とても優秀です。もともと2歳時は、クラシック戦線の主役の一頭と目されていた存在ですから、こちらも本格化しつつあると観ます。ロードカナロア×ディープインパクトという血統も、日本競馬にはピッタリでしょう。

 第3の注目馬は、7枠13番のミスターメロディ。
 春の高松宮記念2019の勝ち馬です。久々だった前走セントウルSでは8着と敗れましたが、高松宮記念の時も前走・阪急杯G3は7着でした。「叩かれて良くなる」タイプなのでしょう。高松宮記念では1分7秒3という優秀な時計で走破しています。地力十分と観ます。

 今回は、以上の3頭に注目します。

 この3頭の中から、ロードカナロアに続く「世界で活躍できるスプリンター」が出て来て欲しいものです。
 9月15日、ヴェルサイユリゾートファームから、同場で暮らしているタイキシャトルとローズキングダムの鬣(たてがみ)が、何者かによって切り取られていたと、報じられました。

 切り取られていた鬣が見つかったという報はありませんので、切り取られたうえで、盗まれた可能性が高いのでしょう。

 タイキシャトルの鬣は、幅15cm・長さ8cmに渡って切り取られていたそうです。相当に大きな切り取り方ですので、相応の大きさの刃物を使用したと思われます。
 タイキシャトルやローズキングダムに怪我が無かったことは、不幸中の幸いでしょう。

 犯人=泥棒の目的は何なのでしょうか。

① 熱狂的なファンによる犯行

 タイキシャトルとローズキングダムの熱狂的なファンの犯行という見方です。
 この場合、盗み取った鬣は、大切に本人が保管していることになります。

 こうしたファンによる犯行なら、まずは牧場の関係者に「鬣を分けてもらえないか」と相談するものかもしれません。
 鬣は伸びるものでしょうから、牧場の方も「小さな鬣」を譲ってくれるかもしれません。

 とはいえ、一部のファンに「特別に」ということが公になると、他のファンからも申し込みが殺到する可能性が有りますから、牧場側も断る可能性が有りますし、こうしたやり方なら「8cm×15cm」といった大きなものは入手できそうもありませんから、大ファンが自ら切り取ったということになるのかも知れません。

 また、前述のように、相当に大きな刃物を、馬体近くで使用することになりますから、馬が少し暴れたりすれば、怪我をしてしまうリスクがあります。
 大ファンなら、そんなリスクは冒さないのではないかとも思います。

② 転売目的による犯行

 タイキシャトルもローズキングダムも、G1レースを複数勝利している名馬ですので、その鬣は、その種のマーケットで高く売れるものなのかもしれません。
 つまり、お金に困った犯人が、転売目的で犯行に及んだ可能性です。

 更には、両馬のコレクターである人物あるいは「名馬の鬣マーケットに強い人物」が、別人に「泥棒を依頼した」可能性も有りそうです。
 この場合には、売却先が固まっていますので、前述のケースとは異なりますが、転売目的=お金のための犯行である点は同じです。

③ 名馬のDNA確保目的による犯行

 鬣から良質なDNAが採れるのかどうか、私は知りませんが、何らかの理由で「名馬のDNAを確保」しようとした人物の犯行という見方です。
 前述の2説と比べて、可能性は低そうですが、近時のDNA関連科学の長足の進歩を観るにつけ、有り得ないことでは無いとも思います。

 こうした研究においては、相応の量を確保する必要があると聞いていますので、大きく切り取った理由にもなります。

 今回の不思議な犯行について、犯行動機を考えてみました。

 やはり、②が最もありそうに観えます。

 もし「お金欲しさ」から、名馬2頭の鬣(たてがみ)を切り取り盗んだ人物あるいは人達がいるのであれば、その人物・人達の「心の貧しさ」に呆れている人達が、沢山いることでしょう。

(後日、ウイニングチケット号やビワハヤヒデ号の鬣が切り取られ、盗まれて、ネットで売りに出されたりするという事件が報じられましたが、こちらはそのやり方から観て、頭書の事件とは別の泥棒かもしれません。いずれにしても、こうした事件が続くと、本当のサラブレッドファンが名馬に触れる機会がどんどん減っていくことになるのでしょう。迷惑至極です)
[8月1日・グッドウッド競馬場(イギリス)右回り芝1,980m]
1着 ディアドラ(牝5歳) 2分2秒93
2着 メダーイー(牝3歳) 1・1/4馬身
3着 ローダー(牝4歳) 1・1/4馬身

 英国遠征中だった、2017年の秋華賞馬ディアドラが、見事に英国のG1レースを制しました。
 牝馬限定のナッソーステークスです。

 日本馬による英国G1制覇は、2000年のアグネスワールド(ジュライカップ)以来です。
 21世紀初の快挙なのです。

 レースは直線で先行したメダーイーをディアドラが追い上げ、きっちりと差し切った形です。
 斤量60㎏のトップハンデ(メダーイーは56.5kg)での快勝は、ディアドラの実力を示したものでしょう。

 4歳の3月にドバイターフG1に挑戦(3着)して以来、ディアドラは海外G1レースに挑み続けてきました。
 4歳の12月には香港・沙田競馬場の香港カップで2着、5歳の3月には再びメイダン競馬場のドバイターフで4着、4月には沙田競馬場でのクイーンエリザベス2世カップで6着、6月には英国・アスコット競馬場のプリンスオブウェールズステークスで6着と、世界の舞台で健闘しながらも、なかなか勝てないレースを続けていたのです。

 そして、海外G1の6レース目で、ついに今回の優勝に辿り着きました。
 粘り強く、着実な取組が実ったということになります。

 レース後、橋田調教師は「ニューマーケットでの調教でイギリスの馬場に合うように仕上げることができた」とコメントしています。

 日本競馬の国際化を如実に示すコメントでしょう。

 7月30日、ディープインパクトの安楽死が報じられました。
 頸椎の骨折から、立ち上がることができなくなり、安楽死が選択されたと。
 3月頃から具合が悪く、種付けを行っていなかったとは報じられていましたが、7月29日の午前中は元気であったことを考え合わせれば、急死です。
 本当に残念です。

 競走馬としては、「日本競馬界史上最強馬」の話題の際に、必ず採り上げられる一頭です。
 三冠馬にして14戦12勝・2着1回という成績は、歴代の名馬に全く引けを取りません。
 
 例えば、10勝以上の名馬ならば、
① セントライト 三冠馬 12戦9勝・2着2回・3着1回
② クリフジ(牝) 三冠(日本ダービー、オークス、菊花賞) 11戦11勝
③ シンザン 三冠馬 19戦15勝・2着4回
④ シンボリルドルフ 三冠馬 16戦13勝・2着1回・3着1回

 こうした、それぞれの時代を代表する名馬たちと比べても、勝るとも劣らない競走成績なのです。
 ディープインパクトの現役時代は2004年から2006年ですから、「21世紀を代表する競走馬」と評して良いのでしょう。

 一方、内国産種牡馬としての評価であれば、これはもう「史上最高」です。
 2012年から2018年まで「7年連続リーディングサイアー」という金字塔。
 中央競馬はもちろんとして、地方競馬も含めた日本競馬全体のリーディングサイアーを7年連続で成し遂げたのです。
 「空前絶後」と言って良いと思います。

 また、産駒のG1レースでの強さ(51勝)も特筆すべきですが、特にクラシックレースでの強さは素晴らしいものです。

① 2008年産 マルセリーナ(桜花賞)
② 2009年産 ディープブリランテ(日本ダービー)、ジェンティルドンナ(桜花賞、オークス)、
③ 2010年産 キズナ(日本ダービー)、アユサン(桜花賞)
④ 2011年産 ハープスター(桜花賞)
⑤ 2012年産 ミッキークイーン(オークス)
⑥ 2013年産 マカヒキ(日本ダービー)、シンハライト(オークス)
⑦ 2014年産 アルアイン(皐月賞)
⑧ 2015年産 ワグネリアン(日本ダービー)、フィエールマン(菊花賞)、[サクソンウォリアー(英国2,000ギニー)]
⑨ 2016年産 ロジャーバローズ(日本ダービー)、ラヴズオンリーユー(オークス)、グランアレグリア(桜花賞)

 2008年から2016年まで、全ての年の産駒からクラシックホースを輩出しているというのは「驚異的」であり、おそらくは「奇跡的」なことでしょう。
 日本で活躍した外国産種牡馬も含めて「初年度から8年連続でクラシックホース輩出」というのは、過去に例が無く、他の国の大種牡馬を見ても、21世紀においては滅多に観ることができない偉業であろうと感じます。

 ディープインパクト産駒は1,600頭に上ると報じられました。

 ディープインパクトが、これまでも、そしてこれからも、「日本競馬の屋台骨を支える存在」であることは、間違いないでしょう。
 今後、種牡馬の父として、ブルードメアサイアーとして、ディープインパクトの血統は長く日本競馬の発展に貢献して行くのです。

 「偉大な競走馬」であり「偉大な種牡馬」でもあった、「優駿」ディープインパクト号のご冥福をお祈り申し上げます。
 「強い競馬」でした。

 追い縋るキセキ、スワーヴリチャードを寄せ付けず、どんどん引き離してゴールに飛び込んだのは、リスグラシューでした。
 
 3馬身という着差も含めて、これほどの圧勝は2019年の中央競馬G1レースにおいて初めてでしょう。

 パドックでは、屈強な男馬達を前にして、460㎏のリスグラシューはいかにも牝馬という体格でした。ひとまわり小さく観える馬体からは、クラシックホースを始めとする牡馬一線級とのレースは厳しいかと感じられたのです。

 パドックでは、特にキセキが良く観えました。筋骨隆々という雰囲気で、500㎏を越える馬体が黒光りし、ツル首で悠然と走り出した返し馬では、首を低く出して、好調を印象付けました。

 スタートから、予想通りにキセキが先頭に立ちましたが、外からリスグラシューが並びかけました。「ひっかかっているのか」と思いましたが、レーン騎手の指示通り2番手に控えて向う正面を走ります。

 3角から4角にかけて、レイデオロのルメール騎手が押しに押していますから、行きっぷりが良くないか、手応えが無くなったのかもしれない、と思いました。

 4角を回って最後の直線、リスグラシューが直ぐにキセキに並びかけました。力強く美しいフットワーク。
 キセキも粘りますが、その差はじりじりと詰まり、ついに抜き去りました。
 後ろからスワーヴリチャードが追ってきますが、リスグラシューの脚色が勝ります。

 残り100mからは、リスグラシューが後続馬との差を拡大しました。
 その差は開く一方。
 リスグラシューの疾駆する馬体がとても大きく観えました。

 リスグラシューはグランプリレースを圧勝したのです。
 日本ダービー馬2頭、皐月賞馬、菊花賞馬を従えての勝利。
 語り継がれるレースです。
 
 世界の競馬を観ても「牝馬の強さ」が目立つ昨今ですが、アーモンドアイに続いて、日本競馬にも「強い牝馬」が登場しました。

 5歳と遅咲きですが、その強さは十分に世界に通用するものでしょう。

 6月23日、阪神競馬場芝2,200mコースで開催される、第60回宝塚記念競走G1の注目馬検討です。

 メンバーが揃いました。G1ホースが6頭と豪華です。
 それも、クラシックレースの勝ち馬が並んでいます。
 やはり「夢のレース」なのです。

 一方で、このところ「なかなか勝てない」馬が並んでいるとも言えます。重賞レースの上位入着と健闘はしているのですけれども、1着が遠いのです。
 キセキは、2017年の菊花賞に勝って以後、8戦して勝てていません。
 エタリオウは、2017年の未勝利戦に勝って以降、9戦して勝てていません。(2着が7回というのも凄い感じがしますが)
 マカヒキは、2016年のニエル賞に勝ってから、10戦して勝てていません。
 スワーヴリチャードは、2018年の大阪杯に勝って以降、5戦して勝てていません。
 
 これ程のサラブレッド達が、なかなか勝てないというのも不思議なことです。
 このレースで「前走1着」はアルアイン1頭です。
 グランプリレースたる宝塚記念の出走馬に、前走1着馬が1頭しか居ないレースというのが、これまで有ったのでしょうか?とても珍しいように感じます。

 さて、注目馬です。

 第1の注目馬は、2枠2番のレイデオロ。
 前走ドバイシーマクラシックG1の6着からのコンディション作りが気になる所ですが、大レースにおける安定感という面では、この馬が「軸」でしょう。

 第2の注目馬は、8枠11番のスワーヴリチャード
 前述のように、なかなか勝てていないのですが、前走ドバイシーマCでは3着とレイデオロに先着しています。相当調子が上がってきていると観ます。

 第3の注目馬は、8枠12番のリスグラシュー。
 有力馬が目白押しですので、3番手を選ぶのはとても難しいところですが、このところの香港での安定した成績と「右回りに強そう」という点を考慮しました。牝馬の健闘に期待します。

 今回は、以上の3頭に期待します。

 マカヒキ、アルアイン、キセキといった「クラシックホース」の走りにも期待しています。
 6月1日、2019年のダービーステークスがイギリスのエプソム競馬場(左回り芝コース・約2,410m)で行われました。

 もとより、「ダービー」はイギリス発祥のレースですから、本家のレースをイギリスダービーや英ダービーというのも不自然。本来なら「Theダービー」とでも呼びたいところですが、あまり一般的な呼び方では無いので、本稿では「ダービーステークス」と呼ぶことにします。

 さて、レース結果です。

1着 アンソニーヴァンダイク 2分33秒38
2着 マッドムーン 1/2馬身差
3着 ジャパン ハナ差
4着 ブルーム 短アタマ差
5着 サードラゴネット 短アタマ差
6着 サーカスマキシマス 4と1/2馬身差

 アンソニーヴァンダイクが快勝したレースですが、このレースには大きな特徴が3つあります。

① エイダン・オブライエン厩舎の「7頭出し」

 全13頭が出走したダービーステークス2019ですが、過半の7頭がエイダンA・オブライエン厩舎でした。
 イギリス競馬界におけるA.オブライエン厩舎の影響力は、減ずるどころか益々増大している印象です。(本ブログの2018年2月17日の記事「[競馬コラム201] エイダン・オブライエン調教師の凄さ」をご参照ください)

 ちなみに、このレースの1着、3~6着はA.オブライエン厩舎所属でした。
 逆に言うと、「7/13頭も出して優勝できなかったとすれば」、とても残念ということかもしれません。

 ちなみに、5月4日に行われた2000ギニー競走2019も、A.オブライエン厩舎のマグナグリーシアが優勝しています。

② アイルランド馬の強さ

 そもそも、A.オブライエン厩舎がアイルランドの厩舎ですので、結果としてこうした傾向になるのですけれども、このレースの1着・2着・4~6着はアイルランド馬でした。上位6頭では3着のジャパンだけがイギリス馬です。
 もともとアイルランド馬はとても強かったのですけれども、21世紀になって一層この傾向が強くなっているように観えます。

③ ガリレオ産駒の強さ

 2001年のダービーステークスと愛ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを制したガリレオは、2010年代のイギリスとアイルランドのリーディングサイアーを連続して獲得している大種牡馬ですが、今年のダービーステークスでも、1着のアンソニーヴァンダイクや3着のジャパンがガリレオ産駒です。

 欧州競馬における、種牡馬としてのガリレオの存在感は、日本におけるディープインパクト以上のように感じられますが、21歳になった現在でも、その力はいささかも衰えていないという印象です。
 特に、2,400mのレースに強い感じがします。

 1780年に始まり、今年2019年で第240回!を数えるダービーステークスですが、決して「古ぼける」ことがなく、21世紀になっても、欧州の競馬、あるいは世界の競馬を牽引する存在であり続けているところが、「さすが」です。

 2019年のケンタッキーダービーは、5月4日、アメリカ合衆国ケンタッキー州ルイビルのチャーチルダウンズ競馬場ダート左回り2000mコースで行われました。

 アメリカ三冠レースの第1弾ですが、結果は以下の通りです。
1着 カントリーハウス 2分3秒93
2着 コードオブオナー 3/4馬身差
3着 タシトゥス 3/4馬身差
4着 インプロバブル アタマ差
5着 ゲームウィナー 1/2馬身差
6着 マスターフェンサー アタマ差
7着 ウォーオブウィル 1/2馬身差

 カントリーハウスの快勝でした。
 カントリーハウスは、前走アーカンソーダービーG1で3着、前々走ルイジアナダービーG2で4着と勝ち切れないレースが続いていましたが、「本番」で見事に優勝した形です。

 コードオブオナーは、前走フロリダダービーG1で3着、前々走ファウンテンオブユースステークスG2で1着と実績を重ねてきましたが、「本番」では惜しくも2着でした。

 タシトゥスは、前走ウッドメモリアルステークスG2、前々走タンパベイダービーG2を連勝して臨みましたが3着でした。

 つまり、「2019年のアメリカクラシック戦線は『大混戦』」ということになります。
 傑出した馬は居ませんが、毎回とても面白いレースが繰り広げられているということになるのでしょう。

 ちなみに、三冠レース第2弾のプリークネスステークス2019は5月18日に行われ、ウォーオブウィルが優勝しました。
 ウォーオブウィルは、ケンタッキーダービー2019の7着馬です。

 ちなみに、ケンタッキーダービー6着のマスターフェンサーは、日本馬・ジャスタウェイ産駒です。

 2019年のアメリカ三冠レースを締めくくるベルモントステークスは、6月8日(日本時間6月9日早朝)に行われます。
 日本から唯一出走するマスターフェンサーは、馬番3となりました。
 活躍が期待されます。
 残り400mからの、ロジャーバローズとダノンキングリーの競り合いは、迫力満点でした。

 ダノンキングリーが懸命に追いかけるのですけれども、ロジャーバローズは一歩も引かず、残り100mからは少し引き離したようにさえ観えました。

 令和最初の日本ダービーは、リオンリオンの強烈な逃げで幕を開けました。
 「伝説のカブラヤオーの逃げ」を髣髴とさせる一気の逃げ、素晴らしいスピードでした。

 スタート後200~400mの1ハロンが10秒7・・・。逃げを狙っていたであろうロジャーバローズが2番手に控えざるを得ないスピードでした。
 前半1,000mを57秒8でクリアして魅せたのです。
 馬場の様相こそ全く違いますが、1975年のカブラヤオーと殆ど同じタイムでした。

 リオンリオンは、その後もスピードを緩めることなく4角まで走り切りました。
 ゴールでも15着に粘りました。
 「無謀な逃げ」の結末が大差の最下位というのは時々眼にしますから、リオンリオンの逃走は「無謀」なものでは無かったということでしょう。凄い逃げ馬なのです。

 さて、2番手の位置でリオンリオンの逃げを観ながら、自身も「離れた2番手」として、逃げているのと同じような気分で走れたであろうロジャーバローズは、4角を回ってリオンリオンを捉え先頭に立ちました。
 当然ながら、後続の馬達も一気に迫ってきます。

 前半のペースがとても速かっただけに、こちらの「一気」は、後続の馬達の脚・リソースを相当に消費したものと思われます。
 
 残り150mで3番手まで上げてきたサートゥルナーリアが一杯になりました。
 そしてヴェロックスに追い抜かれたのです。

 「3強」の一角・ダノンキングリーは、とても長くて良い脚を使いました。
 直線入り口からゴールまで「追い詰」でした。

 しかし、ダノンキングリーと同じくらい長くて良い脚を使ったのがロジャーバローズだったのです。
 この脚は、一世一代のものに観えました。
 その脚が、日本ダービーの大舞台で使えたことが、何よりも素晴らしいことなのでしょう。

 二桁人気の馬が勝ったのは、1966年のテイトオー以来53年振りとのこと。
 テイトオーも12番人気だったそうですが、あのころは確か「フルゲートが32頭」の時代ですから、テイトオーは出走馬中、真ん中より上位の人気だったと思います。
 ロジャーバローズは「フルゲートが18頭」の時代ですから、考え方によっては、テイトオーより穴要素が強かった勝利とも言えそうです。

 「平成時代には現出しなかった二桁人気馬の日本ダービー制覇」を、令和の競馬はいきなり魅せてくれました。
 
 予想にも情報が溢れている21世紀なのですが・・・。

 おそるべし、「令和の日本ダービー」。
 6月2日、東京競馬場芝1,600mコースで行われる、第69回安田記念競走G1の注目馬検討です。

 「シーズン前半のマイル王決定戦」としてすっかり定着した感のあるレースです。
 今年も16頭が出走してきました。

 歴史と伝統を誇る安田記念ですので、毎年注目度が高いのですが、2019年のレースはさらに期待が高いと感じます。

 「現役最強馬」とも目されるアーモンドアイと「現代のマイルの鬼」ダノンプレミアムの対決が実現したからです。
 両馬共に「1敗馬」です。
 アーモンドアイは8戦7勝2着1回、2着はデビュー戦でしたから、現在7連勝中。
 ダノンプレミアムは7戦6勝、敗れたのは日本ダービー2018で6着でした。

 この両馬の評価が、このレースの評価ということになります。

 ダノンプレミアムはマイル戦3戦3勝ですから、マイルでは絶対的な強さを誇ります。一方のアーモンドアイは、現在G1レース5連勝中、しかも1,600mから2,400mまで、いずれも「圧勝」していますので、「現役最強馬」との称号も自然です。

 安田記念において、どちらが強いかと判断するのかは、評価が分かれるところでしょう。

 加えて、アーモンドアイはレース後「熱中症」のような症状が現れるとも報じられています。これが「積年の疲労」(4歳になりたてと言っても、戦っているレースが日本競馬最高峰、世界競馬最高峰のレースですから、想像を超える疲労が有ると観るのが妥当でしょう)によるものか、彼女の通常パターンなのかも、考慮する必要があるでしょう。

 さて、注目馬です。
 
 第一の注目馬は、7枠14番のアーモンドアイ。
 直線が長い府中のコースとなれば、展開にも左右されず、存分に実力を発揮してくれるのではないでしょうか。斤量56㎏も有利です。
 「熱中症」のような症状は気になりますが、現状では心配しなくとも良いのではないかと考えます。

 第二の注目馬は、8枠15番のダノンプレミアム。
 マイルの鬼として、最後までアーモンドアイに食い下がってくれると思います。

 第三の注目馬は、3枠6番のグァンチャーレ。
 前走マイラーズカップ2019はダノンプレミアムの2着でした。最後の100mのしっかりした脚色、少しですが差を詰めた脚を評価したいと思います。「晩成」型のスクリーンヒーロー産駒が7歳になって本格化したと観ています。

 今回は、以上の3頭に注目します。

 いろいろな展開が想定されます。
 クリストフ・ルメール騎手の騎乗にも、注目したいと思います。
 さて、今年も日本ダービーがやってきました。

 日本競馬最大の「お祭り」です。

 2019年のレース検討のポイントは、皐月賞馬・サートゥルナーリアの取捨選択でしょう。
 皐月賞は、ヴェロックス、ダノンキングリーとの接戦でした。
 ゴール前の脚色も互角。
 この強さが「本物かどうか」の判断により、レースの様相は全く異なります。

 ダービーウィークに入ってから、色々と考えました。
 結論は、「本物」ということに落ち着きました。
 皐月賞は、この馬にとって最も望ましくない展開であり、その最も苦手な展開のレースをも、大きな飛びで抑え込んだと観ます。
 従って、展開次第では大きな差を付けて勝つこともできるタイプと観ます。

 続いての検討ポイントは、皐月賞におけるヴェロックスとダノンキングリーの評価です。
 これも色々と考えてみましたが、「どちらも強い」という結論となりました。
 決して、展開に恵まれての2・3着では無いと・・・。

 ダノンキングリーは3戦3勝で皐月賞に臨み、僅差の3着でしたから、まだ底を見せていないとも言えるでしょうし、ご本人というかご本馬?としては、「いまだに無敗」と感じている可能性もあります。

 さて、注目馬です。

 第一の注目馬は、3枠6番のサートゥルナーリア。
 第二の注目馬は、4枠7番のダノンキングリー。
 第三の注目馬は、7枠13番のヴェロックス。

 皐月賞の1~3着馬となりました。
 もちろん、京都新聞杯や青葉賞組も強いのでしょうけれども、2019年は「ダービーまでは3強」なのではないかと観ています。

 当日は好天に恵まれそうですし、30℃を優に超える気温が予想されています。

 暑い、熱い、ダービーとなるのでしょう。

 5月19日、東京競馬場芝2,400mコースで開催される、第80回優駿牝馬競走(オークス)G1の注目馬検討です。

 今年も「3歳牝馬NO.1」の座を目指して18頭が出走してきました。
 フルゲートです。

 今年は桜花賞の2、3、4着馬が出走していますので、本来ならばこの3頭を中心としたレースが展開されると観るのが自然なのですが、その後のレースで出走権を得た馬との比較から「混戦」との見方が多いと思います。
 ある意味では不思議なことですが、それだけ桜花賞のダノンアレグリアの勝ち方の印象が強かったということでしょうか。

 前哨戦の中では、やはりフローラステークスG2の結果を重視すべきなのでしょう。3歳春の時期、2,000m重賞は、「誰にも分からない」とも言われる2,400mへの適性を観る上で、大切な参考資料となるからです。

 さて、注目馬です。

 第1の注目馬は、6枠12番のウィクトーリア。
 前走フローラステークスは競り合いを制して優勝しました。ヴィクトワールピサ×ウォーエンブレムは、スタミナと競り合いでの強さを感じさせる血統です。

 第2の注目馬は、4枠7番のシャドウディーヴァ。
 前走フローラステークスは僅差の2着でした。ハーツクライ×ダンシリは、こちらもスタミナを感じさせる血統です。

 第3の注目馬は、2枠3番のコントラチェック。
 前走フラワーカップG3は快勝でした。ディープ産駒の強さは健在でしょう。

 今回は、以上の3頭に注目します。

 唯一のG1ホース・ダノンファンタジーや3連勝中のラヴズオンリーユーの走りも、とても楽しみです。

 ゴール寸前まで激しい競り合いが続く、眼が離せないオークスになることでしょう。
 5月12日、東京競馬場芝1,600mコースで行われる、第14回ヴィクトリアマイル競走G1の注目馬検討です。

 18頭が出走してきました。フルゲートです。
 クラシックホースやG1馬など、実績馬が多数出てきましたが、このところ調子が上がっていない馬も多く、「大混戦」という印象です。

 今後の「古馬マイル戦線」を占う、大事なレースということになります。

 さて、注目馬です。

 第一の注目馬は、3枠6番のラッキーライラック。
 2017年の阪神ジュベナイルフィリーズ優勝馬。この馬で、2018年のオークスまでは仕方がないと目されていた時期もありましたが、アーモンドアイの登場もあって、このところ勝てないレースが続いています。
 前走・阪神牝馬ステークスG2は8着でしたが、大接戦の差の無い8着でした。鋭い脚が無いという、この馬の欠点が出てしまった形ですが、レース展開にも恵まれなかったのです。
 このまま終わる馬では無いと考えています。

 第二の注目馬は、4枠7番のミッキーチャーム。
 その阪神牝馬Sの勝ち馬です。秋華賞2018で2着の力を示しました。ここを勝つようなら、今後の牝馬マイル戦の主役に踊り出ます。

 第三の注目馬は、6枠11番のアエロリット。
 1月の米国遠征の疲れも取れた頃でしょう。安田記念2018で勝ったモズアスコットと差の無い2着の実力を示していただきたいものです。

 今回は以上の3頭に期待します。

 個人的には、ソウルスターリングの様子も気になるところですが・・・。

 東京競馬場の長い直線とゴール前の競り合いは、見所十分でしょう。

 5月5日、東京競馬場芝1,600mコースで行われる、第24回NHKマイルカップ競走G1の注目馬検討です。

 かつては、このレースと日本ダービーの「変則二冠」を狙う馬の挑戦が有りましたが、2008年のディープスカイ以降は変則二冠馬が出ていませんし、そもそも「そうした使い方」をされる馬も居なくなりました。やはりスケジュールが厳しいのでしょう。

 2009年以降は「3歳マイル王決定戦」という位置づけが確立されつつある感じがします。

 それは、取りも直さず、阪神ジュベナイルフィリーズや朝日杯フューチュリティステークスを勝利した「2歳王者」が挑戦し易いレースになりつつあることを示しているとも言えるのでしょう。
 2011年のグランプリボス(朝日杯FS、NHKマイル、優勝)、2016年のメジャーエンブレム(阪神JF、NHKマイル、優勝)のパターンですが、血統面からマイラーと判断される2歳王者のひとつのルートになってきています。

 2019年のレースについて観れば、このパターンの出走馬はアドマイヤマーズということになります。(同馬は皐月賞にも出走していますから、純粋なこのルートでは無いとも言えます)

 さて、注目馬です。

 第一の注目馬は、4枠7番のグランアレグリア。
 前走桜花賞は快勝でした。さすがに牡馬一線級相手ではやや苦しいかと思いましたが、枠順に恵まれました。4角まで力を貯めて来ることが出来れば、十分に勝負になりそうです。
 ここを勝つようなら、2005年のラインクラフト以来の桜花賞+NHKマイルとなります。

 第二の注目馬は、2枠3番のダノンチェイサー。
 久々が気になりますが、池江師のことですからキッチリと仕上げてくれるでしょう。

 第三の注目馬は、6枠12番のワイドファラオ。
 ここまでの全4走がマイル戦です。前走ニューシーランドトロフィーは接戦を制しています。スペシャリストの力に期待します。

 今回は、以上の3頭に注目します。

 力量上位のアドマイヤマーズは、枠に恵まれなかったと感じます。

 東京競馬場の長い直線、残り100mで抜け出してくるのは、どの馬でしょうか。
[平成31年4月28日・天皇賞(春)・京都競馬場]
1着 フィエールマン(騎手 クリストフ・ルメール)
2着 グローリーヴェイズ(同、戸崎 圭太)
3着 パフォーマプロミス(同、北村 友一)

 「平成」最後のG1競走・第159回天皇賞(春)は、最後の直線300m以上に渡る壮絶な叩き合いの末、フィエールマンがグローリーヴェイズをクビ差押さえて優勝しました。

 残り200m付近で、一度は先頭に立ったグローリーヴェイズでしたが、内から差し返すフィエールマンに再逆転を許し、「大魚を逸し」ました。

 このレースでフィエールマンに騎乗したルメール騎手は、これで所謂「八大競走」完全制覇を達成しました。
 まさに「偉業」です。

 「八大競走」というのは、1984年にグレード制が導入される以前、中央競馬を代表する8つの大レースを指します。
 それは、桜花賞、皐月賞、優駿牝馬(オークス)、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞、天皇賞(春)、天皇賞(秋)、有馬記念の8レース。

 クラシック競走5レース+天皇賞(春)(秋)+有馬記念という組合せは、1983年以前においては「最も高い栄誉」が与えられるレース群であり、その頃にグレード制が有ったとすれば、この8レースがG1であったことでしょう。

 もちろん、中央競馬最高賞金レースであるジャパンカップや、マイル王を決める安田記念、短距離王を決めるスプリンターズステークスといったレースの重要性は言うまでも無いことで、現在では「八大競走」というカテゴリーは存在しないのですけれども、特にオールドファンにとっては、この言葉を耳にすると独特の感慨が有ります。

 加えて、「八大競走完全制覇の難しさ」が、その価値をより重くしていると感じます。

 中央競馬の長い歴史の中で、保田隆芳騎手、武豊騎手、そしてクリストフ・ルメール騎手の3人しか、完全制覇を達成していません。

 武豊騎手は、我が国の競馬を代表する存在として、国際的にも良く知られる存在ですが、ルメール騎手の今回の快挙によって、再び脚光を浴びたのが保田隆芳騎手でしょう。

 保田騎手は、1936年(昭和11年)から1970年(昭和45年)まで、東京・尾形藤吉厩舎(名門。当時の日本競馬を代表する厩舎でした)の主戦ジョッキーとして大活躍しました。
 「名人」と称された騎乗は、特に天皇賞10勝に観られるように、騎手の技量がより必要なレースにおいて存分に発揮されました。

 通算「1,295勝」は長い間、中央競馬騎手最多勝記録として輝きました。
 「1,295」と聞いただけで、当時の競馬ファンには、その意味が分かったものです。
 大袈裟に言えば、競馬界における固有名詞の様な数字であったと感じます。

 この当時に比べて、現在に至る過程でレースの数自体が相当に増えましたから、「1,295勝」の価値は、依然として極めて高いものでしょう。

 この伝説的な「1,295勝」は、野平祐二騎手(1,339勝)に追い抜かれました。しかし、大騎手であり、当時の人気NO.1ジョッキーでもあった野平騎手にしても、皐月賞、日本ダービー、菊花賞の牡馬クラシックレースは一度も勝っていません。

 この野平騎手の最多勝記録を更新したのが、加賀武見騎手(1,352勝)でした。
 しかし、大レースに強かった印象がある加賀騎手にしても、どうしても皐月賞だけは勝てませんでした。

 20世紀から21世紀にかけて活躍した、JRAの大騎手ならば、岡部幸雄騎手が挙げられます。
 通算2,943勝という大記録を打ち立て、数々の大レースを何度も制しましたが、不思議な事に、桜花賞にだけは縁が無かったのです。

 こうした数々の大騎手にしても、「八大競走完全制覇」は厚い壁であったのですが、クリストフ・ルメール騎手は、2015年に中央競馬に本格参戦後、僅か5年で成し遂げました。
 「驚異的」と言うしかないでしょう。

 Cルメール騎手による「八大競走」制覇の内容は以下の通りです。

① 桜花賞 アーモンドアイ(2018年)、グランアレグリア(2019年)
② 皐月賞 サートゥルナーリア(2019年)
③ オークス ソウルスターリング(2017年)、アーモンドアイ(2018年)
④ 日本ダービー レイデオロ(2017年)
⑤ 菊花賞 サトノダイヤモンド(2016年)、フィエールマン(2018年)
⑥ 天皇賞(春) フィエールマン(2019年)
⑦ 天皇賞(秋) レイデオロ(2018年)
⑧ 有馬記念 ハーツクライ(2005年)、サトノダイヤモンド(2016年)

 2019年シーズンに入って、残されていた皐月賞と天皇賞(春)を制して、一気に達成したことになります。

 加えて、ルメール騎手は天皇賞(春)制覇の翌日4月29日には、史上最速で通算1,000勝も達成しています。

 皆さんご承知の通り、「ルメール騎手の騎乗にはミスがとても少ない」のです。
 レース前の戦略・戦術の構築(馬主や調教師を交えての打合せの上でしょう)、それをレースできっちりと実践する実行力、そして何より騎乗馬に負担をかけない素晴らしい騎乗技術と柔らかい騎乗フォーム。

 当代随一のジョッキーであることは、衆目の一致するところです。

 フランス競馬において11シーズン(718勝)を戦ってきた後に、日本に登場したこともあり、既に39歳のルメール騎手ですが、「油の乗り切った騎乗」を魅せてくれていますので、「令和」の競馬も、当分の間は「Cルメールの時代」が続くことでしょう。
 1868年に発足した明治新政府が対応しなければならない課題は山積していましたが、中でも欧米諸国等と徳川幕府が締結した不平等条約の撤廃・改正は、最も重要な課題のひとつでした。

 所謂国際社会や国際法についての知識が、日本側に不足していた江戸時代に結んだ条約は、相手国にとってとても有利な内容になっていたのです。
 欧米列強に追い付け・追い越せという目標実現のためには、不平等条約への対応は不可欠のものでした。

 とはいえ、「日本という国は立派な国に成ったので条約を改正してください」と申し入れたとしても、相手国が直ぐに「分かりました」と言う筈も無く、取組は難航を極めました。
 そもそも、自分に有利な条約は、できることなら永続したいと考えるのは当然のことでしょう。

 こうした状況下、日本政府としては「日本が急速に欧化している」ことを示し、近代国家となったことをアピールする必要がありましたから、東京・日比谷に「鹿鳴館」という会館を造り、毎日のように各国の大使等を招待してパーティなどを開催しました。
 参加する日本人は、いずれも洋服というかパーティドレスを身に纏い、ダンスを行ったり、欧米の人達と会話を楽しんだりしました。日本の近代化を明示しようとしたのです。

 海外に使節団を送り、相手国で条約改正の申入れを行うとともに、国内ではこうした取組によって、我が国が「平等な条約を締結するに相応しい国」であることをアピールし続けたのでしょう。

 そうした取組の一環として、根岸競馬場におけるロビー活動が有りました。

 横浜山手の外国人居留地に根岸競馬場(後の横浜競馬場)はありました。(本ブログ2013年1月27日の記事「[競馬コラム33] 根岸競馬場 日本近代競馬発祥の地」をご参照ください)
 この根岸競馬場は、来日した外国人が設立し運営していて、会頭も歴代のイギリス公使が務めていました。
 日本に赴任した欧米各国の大使館や企業の関係者にとっては、所謂「母国に置けるものと同じ競馬」を楽しむ場として、根岸競馬場の存在感・価値は、とても大きなものであったことでしょう。
 当然ながら、競馬開催日には、根岸競馬場に海外列強の要人が数多く集まりました。

 こちらから出向くまでも無く、数多くの外国要人が集まっている根岸競馬場が「外交交渉の場」として、とても貴重なものであったことは言うまでも無いことで、日本政府もこれを大いに活用したのです。
 明治天皇も外交官や外務担当政治家を連れて、頻繁に足を運んだと言われています。

 ご承知のように、サラブレッドの母国イギリスでは、王室と競馬との係わりはとても深く、現在でも「ロイヤル・アスコット」は王室主催の大イベントですし、エリザベス女王の所有馬が大レースに出走することがあれば、大きなニュースとして報じられます。
 
 根岸競馬場に頻繁に足を運んでいた明治帝は、明治13年(1880年)に競馬場に豪華な花器を下賜しました。
 この花器(金銀銅象嵌銅製花瓶一対)を賞品として、日本レースクラブによる初めてのレース「The Mikado’s Vase Race」が1880年の春に開催されたのです。それまで、根岸競馬場で開催されたレースは全て外国人主催でしたので、まさに記念すべきレースであったと思います。

 私は勝手に、この1880年春のレースが実質的な「第1回天皇賞」であったと考えています。

 さて、明治30年代に入ると、イギリスとの条約改正を始めとして、各国との不平等条約改正が一気に進みました。
 前述のような各種の取組の成果とも言えるのでしょうが、何より、農業、鉱工業、商業等の産業の勃興・成長による国力増大が最大の要因でしょう。国民一人一人の頑張りが、日本を「対等の条約を締結するに相応しい国、対等の条約を締結することが相手国の利益に結びつく国」に引き上げたのであろうと思います。

 この頃の日本は、イギリスと密接な関係にありました。
 明治35年(1902年)には日英同盟が結ばれ、イギリスは明治37年(1904年)から始まった日露戦争における大きな後ろ盾となりました。
 さらに、日露戦争で日本の軍馬の質・量両面からの劣後が明らかになると、日本軍部は日英同盟を拠り所としてイギリスに優秀な軍馬の大量輸入を依頼しました。これにイギリスが応え、英連邦に属し日本に近く、馬産地であったオーストラリアから3,700頭を日本に輸出したのです。
 日本の軍部は、体格面で日本在来の馬を圧倒する、オーストラリアからの輸入馬を、そのまま軍馬として使用することは無く、日本国内の馬の改良のために1頭200円で民間に払い下げたと伝えられています。将来を見据えた施策でしょう。
 この時の3,700頭が、我が国の馬の改良に大きな力となったことは間違いありません。

 こうした日本とイギリスの親密な外交関係において大きな役割を果たしたのが、当時の駐日イギリス公使(後に全権大使)であったクロード・マクドナルドでした。
 当時、横浜競馬場会頭も兼務していたマクドナルド公使は、明治天皇とも親しかったとされており、明治天皇から贈られた「盃」を賞品として、明治38年(1905年)5月6日「The Emperor’s Cup(エンペラーズカップ)」を創設しました。以降、横浜競馬場では毎年、このレースに明治天皇から商品が下賜されることとなったのです。
 「毎年」という点がとても重要で、JRAでは「エンペラーズカップ」を天皇賞の前身としています。

 この「The Emperor’s Cup」と言う英語呼称が色々な形で和訳され、最終的には「帝室御章典」に統一されて、横浜競馬場だけでは無く、東京競馬場や鳴尾競馬場(後の阪神競馬場)、そして馬産地である福島、札幌、函館、小倉の各地においても「帝室御章典」競走が拡大実施されたのです。

 年2回開催の競馬場もあり、7つの競馬倶楽部による帝室御章典が「年10回開催」体制となって、それが統合されながら、昭和12年(1937年)に天皇賞が創設され、太平洋戦争を経、1984年からは秋の天皇賞の距離が3,200mから2,000mに短縮されて、現在のような「天皇賞(春)(秋)の形」が出来あがったことは、皆様ご承知の通りです。

 ところで、明治天皇は明治32年(1899年)までは、横浜競馬場に足繁く巡幸されたのですが、不平等条約改正が進むと、以後は一切競馬場に行かなくなりました。
 いろいろな理由が有るのでしょうが、「きっぱり」という感じもします。

 この後、帝室御章典が全国に拡大するのですけれども、いわゆる「天覧競馬」は全く行われなくなったのです。
 少し不思議な感じもします。

 大正天皇、昭和天皇も競馬場に巡幸されることはありませんでした。

 そして平成17年(2005年)の天皇賞(秋)、第132回天皇賞において、平成天皇が106年振りに競馬場に姿を現したのです。「天覧競馬」の復活であり、史上初の「天覧天皇賞」でもありました。

 競馬が「日本社会における健全な娯楽として定着した」との判断が有ったのかどうか、「復活」の理由は分かりませんけれども、「天皇賞レースを天皇陛下が観戦する」という、ごく自然なことが、史上初めて実現した瞬間でした。

 このレースは、5歳牝馬のヘヴンリーロマンスが、大豪ゼンノロブロイ(5歳牡馬、前年の優勝馬)をアタマ差抑えて優勝しています。上がりの競馬における凄まじい競り合いでした。
 レース後、ヘヴンリーロマンスの鞍上・松永幹夫騎手は、天皇皇后両陛下がご覧になられているメモリアルスタンド前で、ヘルメットを取って、馬上から深々と一礼をしました。
 大きなニュースとなったこの一礼も、日本競馬史上初のものということになります。

 そして7年後の平成24年(2012年)、第146回天皇賞(秋)、平成天皇は東京競馬場に2度目の巡幸を行いました。
 このレースは、直線でインを突いたエイシンフラッシュが、良く伸びて圧勝。
 レース後、両陛下がご覧になられているフジビュースタンド前に引き上げてきた、鞍上のミルコ・デムーロ騎手が、下馬してヘルメットを取り、深々と一礼したシーン、この美しいシーンは、記憶に新しいところです。

 「平成」は「天覧競馬」が復活した時代でもありました。

 「令和」時代にも、日本競馬において素晴らしいシーンが数多く生まれるよう、祈らずにはいられません。
 「平成最後の」が流行語の様に使われていますが、まさしく、JRAの平成最後のG1レースが、4月28日に開催されます。

 「淀の天皇賞」には、独特の空気が有ります。
 本命、あるいは有力とレース前に目されていた馬が、最後の直線で「パッタリ」と動けなくなることが有るのです。
 「3,200mの恐ろしさ」と言って良いのでしょう。

 「長距離」がスペシャリストの戦いになったのは、何時頃からでしょうか。

 かつては、2,400mの大レース、例えば日本ダービーを勝った馬が、「何とか辛抱する」ことができた距離であったものが、今では3,200mを走り切るのは「長距離のスペシャリスト」でなければならない時代になってきているのです。

 その結果でしょうか、天皇賞(春)2019も13頭立てとなりました。
 近年は当然のように、フルゲートになり難いのです。
 
 また、ウオッカやジェンティルドンナ、近時ならアーモンドアイといった「男勝りの牝馬」が活躍する時代にあっても、「淀の3,200m」は厳然たる「男の世界」です。
 これまで牝馬が優勝したことが無いのです。

 やはり「過酷なレース」なのでしょう。

 さて、注目馬です。

 第一の注目馬は、7枠10番のフィエールマン。
 菊花賞2018の勝ち馬です。そして、強いと言われる現4歳世代です。加えて、5戦3勝・2着2回という抜群の安定感を誇ります。やはり中心馬でしょう。

 第二の注目馬は、2枠2番のエタリオウ。
 菊花賞2018の2着馬、それも優勝したフィエールマンとハナ差でした。ここまで10戦1勝・2着7回と言うのは、いかにも「勝ち切れない」という特徴が出ていますが、長距離への適性は十分でしょうし、大崩れもなさそうです。

 第三の注目馬は、6枠9番のユーキャンスマイル。
 前走3,400mのダイヤモンドステークスG3を快勝。菊花賞2018の3着馬です。長距離への適性は十分です。

 今回は、以上の3頭に注目します。

 結果として、菊花賞2018の1・2・3着馬=4歳馬となりました。

 「平成最後のG1」の最後の直線の競り合いが、とても楽しみです。

 4月21日に行われた読売マイラーズカップ競走G2は、ダノンプレミアムが快勝しました。
 ゴール前、「グイッと」1馬身あまり突き放したレース振りは「鮮やか」の一語。
 このサラブレッドの強さを高らかに示したのです。

 「上がりの競馬」となりました。
 このレベルのマイル戦としては、とても遅い前半でした。ハロンタイムが、12秒6→11秒4→12秒0→12秒5と前半800mが48秒5もかかっています。
 一方で後半は、11秒8→10秒9→10秒3→11秒1の44秒0でしたから、要は4角を回って「ヨーイドン」の競馬だったのです。

 こういう競馬は「荒れる」ことが多いのですが、ダノンプレミアムは上がり3ハロン32秒2という快足を飛ばして、快勝しました。
 上がり3ハロンで33秒を切ってくる脚というのは、それ自体が凄いものですが、それでもこのレースで最速の上がりではありませんでした。5着のストーミーシーが32秒0、3着のパクスアメリカーナ、4着のインディチャンプ、6着のケイアイノーテックは32秒1で走り抜けています。まさに「ヨーイドン」を明示した内容のレースなのです。

 それでもダノンプレミアムの強さが際立つのは、ゴール前100mから「グイッと」出た脚の鋭さと力強さ故でしょう。
 「ヨーイドン」にも拘わらず、ゴール直前で「格の違い」を魅せたのです。

 この勝利で、ダノンプレミアムは7戦6勝。
 日本ダービー2018以外には負けていないのです。

 「本物」の強さを身に付けたサラブレッドだと感じます。
 2019年のクラシック競走の序盤を飾る2レース、クラシックレースの母国・イギリスで言えば、1,000ギニー競走と2,000ギニー競走に相当する、桜花賞と皐月賞が終了しました。
 共に、素晴らしいレースでした。

[4月7日・桜花賞]
1着 グランアレグリア レコード勝ち
2着 シゲルピンクダイヤ 2・1/2馬身
3着 クロノジェネシス クビ
4着 ダノンファンタジー ハナ
5着 ビーチサンバ クビ

[4月14日・皐月賞]
1着 サートゥルナーリア
2着 ヴェロックス アタマ
3着 ダノンキングリー ハナ
4着 アドマイアマーズ 2馬身
5着 クラージュゲリエ 1・1/2馬身

 どちらのレースも「ゴール前の各馬の脚色」が秀逸でした。
 私には、日本競馬のレベルアップが強く感じられたのです。
 「こういうハイレベルなレース」を、我が国で普通に?観られるようになったという「感慨」さえ感じる程です。

 桜花賞は、直線でグランアレグリアが一気に抜け出しました。素晴らしいスピードでした。
 一気に3馬身ほど開きましたが、そこからの他馬の粘り強い走りも秀逸で、シゲルピンクダイヤとクロノジェネシスは、グランアレグリアの「独走・大差勝ち」を許しませんでした。

 皐月賞は、大外を回ったサートゥルナーリアが直線で先頭を伺いました。飛びの大きい、豪快な走りでした。ここで一気に先頭に突き抜けるのかと思いましたが、内からダノンキングリーが、中からヴェロックスが伸びて、3頭の叩き合いとなりました。
 サートゥルナーリアがアタマ差を懸命に維持して、ゴール板を駆け抜けたレースでした。

 3頭の叩き合いはハイレベルなものでした。
 疲れ切っての倒れ込むような競り合いでは無く、ゴールに向かって加速して行く、迫力満点の争いだったのです。

 サートゥルナーリアは相当強い馬だと感じましたが、その「相当強い馬」に一歩も引けを取らない馬が2頭も居たというところが、凄いと思います。
 「圧倒的な素質」だけでは勝つのが難しい、楽勝できないのが、現在の日本のクラシックレースであることを明示してくれました。

 サートゥルナーリア陣営としては、今後のレースに向けて、「ランニングフォームの修正」さえ含めた、「大人の走り」を追及して行く必要があるのかもしれません。

 20世紀から21世紀初頭までのレースであれば、どちらのレースも4着に入った馬の走りで十分に勝てていたと思います。
 「その前を走っている3頭分が日本競馬の進歩」なのでしょう。

 2つの良いレースを魅せていただきました。

プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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