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[10月18日・ALCS第5戦・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース5-0ヒューストン・アストロズ

 ヤンキースの先発として登板した田中将大投手は、7イニング・103球を投げて、被安打3、与四球1、奪三振8、失点0という見事なピッチングを魅せました。
 「ポストシーズンの先発投手の投球」の見本のような、端正で美しいプレーであったと感じます。
 これで田中投手は、今季ポストシーズン2勝目となりました。

 1回目の登板が失点0、2回目の登板が失点2、そして今回・3回目の登板が失点0というのですから、ポストシーズンゲーム=大試合における強さを如何なく発揮している形でしょう。
 マウンドを降りる田中投手に対して、ヤンキースタジアムのファンからの拍手が、なかなか鳴り止みませんでした。

 これで、今季ポストシーズンに出場した日本人3投手は、いずれも「ポストシーズン2勝目」を挙げたことになります。

 凄い活躍です。

 本来の先発としてでは無く、中継ぎとして登板している前田健太投手(ロサンゼルス・ドジャーズ)は、レギュラーシーズンの投球にも増して「素晴らしいコントロールと球威」が際立っています。
 「必ずストライクが取れる投手」を相手にすると、打者は初球から打っていかないと、追い込まれてしまっては分が悪いと考えますので、自然に早打ちになります。
 前田投手の2勝目の登板(3度目の登板)は「わずか5球で3アウト」を取りました。
 これで、ポストシーズン4度の登板で、全て1イニングを投げて、12人の打者を相手にパーフェクト。「何事も無かったかのように抑えて」いるのです。

 あたかも、ボストン・レッドソックス時代の上原浩治投手のポストシーズンの活躍の様です。あの時は「上原浩治の3分クッキング」と称されました。
 今季の前田投手の活躍は、上原投手の後を継いでの「3分クッキング」に観えます。
 上原投手は、日本プロ野球史上屈指のコントロールを誇る投手ですが、前田投手にもそのコントロールの良さが備わっているのでしょう。加えて150km台半ばのストレートがありますから、「鬼に金棒」状態なのです。

 ドジャーズにワールドシリーズ制覇を齎すために、今季途中で移籍してきたダルビッシュ有投手は、その期待に存分に応える活躍を魅せています。
 こちらは「気迫溢れる投球で相手打線を捻じ伏せている」印象。
 ストレートの数を抑えて、メジャー屈指と評されるスライダーを始めとする変化球を、容赦なく投げ込みます。
 パワーピッチャーが、自在に変化球を操るとなれば、これは打てないのが道理です。
 ダルビッシュ投手は、ドジャーズに行って、その持てる力を十分に発揮できるようになった感が有ります。

 さて、前田投手とダルビッシュ投手が所属するドジャーズと、田中投手が所属するヤンキースが、それぞれのリーグチャンピオンシップシリーズを優位に進めています。

 ドジャーズVSヤンキースのワールドシリーズとなる可能性が十分にあるのです。

 さて、「ポストシーズン3勝目」を先に挙げるのは、どの投手なのでしょうか。

 ワクワクします。
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[10月17日・ALCS第3戦・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース8-1ヒューストン・アストロズ

 アストロズ2勝0敗を受けての、アメリカンリーグ・チャンピオンシップゲームALCS第3戦は、ヤンキースが2回裏に3点、4回裏に5点を挙げてリードし、先発のサバシア投手が6イニングを無失点の好投、アストロズの反撃を9回表の1点に抑えて、快勝しました。

 第1戦、第2戦を1-2という接戦で落としたヤンキースでしたが、地元に戻っての快勝ですから、反撃開始というところでしょう。

 第1戦の先発・田中将大投手、第2戦の先発・セベリーノ投手が共に良く投げ、アストロズ打線を抑えたのですけれども、2ゲーム共に1点しか取れなかったヤンキースとしては、何か「負けた感じがしない」ゲームが続いていたように思います。
 とはいえ、シリーズとしてはアストロズが2勝とリードし、相当優位に立っていたことも事実です。

 レギュラーシーズンの勢いそのままに、アストロズがこのまま押し切ってしまうのではないかと思われましたが、ヤンキースとしては「踏み止まった」形でしょう。

 特に、ジャッジ選手の3ランホームランが飛び出したのが大きいと感じます。
 「ヤンキースのワールドシリーズ進出」に、ジャッジ選手のホームランは不可欠だからです。

 ポストシーズンに入って「絶不調」だったジャッジ選手が、ついに目覚めたのです。
 これでヤンキースとしては「戦う態勢が整った」ということでしょう。

 まだ2勝1敗と、アストロズが優位にあることは間違いありませんが、一方でアストロズ打線は、ヤンキースから1試合に2点までしか取れない状況が続いているのですから、余裕のある戦いを披露しているわけではありません。

 こうなると、第4戦は「天王山」となりそうです。
 アストロズが勝って「王手」をかけるのか、ヤンキースが勝って「シリーズの流れを掴むのか」、注目の一戦です。
 アメリカンリーグのチャンピオンシップALCSも2試合を終えました。
 ヒューストン・アストロズが2勝0敗と、ニューヨーク・ヤンキースをリードしています。

 レギュラーシーズンにおける強さをホストシーズンでも示している形ですが、特に目立つのはアルトゥーベ選手の大活躍でしょう。
 攻・走・守の全てに渡って、絶好調と言える活躍を魅せているのです。

① 23打数13安打

 地区シリーズの4試合とALCSの2試合、計6試合で23打数13安打・打率.565という驚異的な成績。
 4打数3安打が3ゲームも有るのです。

 今季レギュラーシーズン204安打の首位打者としての打棒を如何なく発揮しているのです。

② 初球から打つ

 相手投手の投ずる初球から打ち、ヒットにするシーンが多いと感じます。
 カウントを取りに来る投球=ストライク投球を逃さずに打っている形ですが、相手投手の様子を見ている暇も無く振っていているという難しさもあるでしょう。

 「ボールがよく見えている」ことは間違いありません。

③ 抜群の走塁

 10月14日のALCS第2戦、1-1で迎えた9回裏、1塁ランナーだったアルトゥーベ選手は、コレア選手の2塁打で一気にホームインしました。サヨナラ勝ちを演出したのです。
 とても本塁を陥れることは出来そうもないタイミングでしたが、アルトゥーベ選手は全く迷うことなく快足を飛ばし、3塁ベースを蹴って、本塁に突入しました。
 素晴らしいベースランニングでした。

 当然、塁に出れば常に盗塁を狙いますから、相手チームとってこれ程嫌なプレーヤーは居ないでしょう。

④ ファインプレーの連続

 もともと2塁守備に定評があるアルトゥーベ選手ですが、今季のポストシーズンでも再三ファインプレーを魅せています。
 「抜けるか」というゴロを止めて、アウトにするのです。

 派手な動きはありませんが、ファインプレーレベルの守備がとても多いと思います。

 身長168cm(165cmとの報道もあります)のMLBで最も小さなプレーヤーと言われているアルトゥーベ選手は、まさに「小さな巨人」なのです。
[10月11日・地区シリーズ第5戦・プログレッシブフィールド]
ニューヨーク・ヤンキース5-2クリーブランド・インディアンズ

 最終の第5戦まで縺れ込んだ地区シリーズでしたが、アウェイのヤンキースが快勝しました。
 先発のサバシア投手が4と1/3イニングを2失点で乗り切り、リリーフしたロバートソン投手とチャップマン投手がインディアンズ打線を無安打・無失点に抑え込んでの勝利でした。
 打っては、3番のグレゴリアス選手が2本のホームランでリードしました。
 9回表の追加点、インディアンズ守備陣の乱れも加わっての追加点には、このシリーズにおけるインディアンズの焦りが観えました。

 戦前は「インディアンズの優位」が伝えられました。
 9月の記録的な「22連勝」で勢いに乗るインディアンズに対して、ついにボストン・レッドソックスを捉えることが出来ず、ワイルドカードを勝ち上がってきたヤンキースでしたから、ポストシーズンへの準備という面からも、インディアンズの優位は動かないという見方が、多かったのです。

 そしてシリーズ第1戦、ヤンキースはインディアンズが繰り出す、バウアー投手・ミラー投手・アレン投手の前に手も足も出ず「3安打・零封」を喫したのです。
 「力の差とコンディションの差は明確」と誰もが感じました。

 第2戦、8-3とリードし好投を続けていたサバシア投手を早々にグリーン投手に交替し、大逆転負けを喫した時には「采配ミス」との指摘も多かったのですが、ヤンキースベンチも「第1戦完敗」のショックを引き摺っていたのでしょう。
 それ程に、シリーズの流れは一方的なものでした。

 この流れを一気に堰き止め、逆にヤンキースの流れに引き戻したのは、第3戦の田中将大投手の7イニング・無失点の力投であったことは、異論のないところでしょう。
 贔屓目では無く、客観的に観て、あの力投の価値は計り知れないものが有ります。

 「縦に落ちるボール」を持つ投手と、殆ど対戦が無かったインディアンズ打線は、田中投手の投球に「きりきりまい」したのです。(古い言葉で恐縮です)
 そして、「田中投手がいつ何時マウンドに上がるかもしれない」という恐怖?のようなものが、インディアンズ打線の調子を狂わせたというのは、穿ちすぎた見方でしょうか。

 地区シリーズ「2連敗からの3連勝」というのは、滅多に観られるものではありません。
 まさに「大逆転」なのです。

 アメリカンリーグALのチャンピオンを決めるリーグチャンピオンシップは、10月13日から始まります。
 ヒューストン・アストロズとニューヨーク・ヤンキースの顔合わせとなりました。

 今シーズン開始直後からAL西地区を独走し、早々に地区優勝を決めたアストロズは、地区シリーズでもレッドソックスを3勝1敗で破り、悠々とリーグチャンピオンシップに進出してきました。

 このリーグNO.1決定シリーズも、やはりアストロズ優位という評判なのでしょう。

 しかし、レギュラーシーズン102勝のインディアンズを破ったヤンキースですから、レギュラーシーズン101勝のアストロズにも、怯むことなく戦いを挑んでくれることでしょう。

 レギュラーシーズン100勝以上のチーム2つ破って、ワールドシリーズに進出したチームというのは、過去に有るのでしょうか?

 ヤンキースには、「MLBの歴史に残る快挙」を期待します。
[10月8日・地区シリーズ・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース1-0クリーブランド・インディアンズ

 ヤンキースの先発・田中将大投手が素晴らしい投球を魅せました。

 7イニング・92球を投げ、被安打3・奪三振7・与四球1の失点0という見事な投球でした。

 1回表はストレート主体、2回表は変化球主体と、キャッチャーのサンチェス選手との協働も万全というところでしょう。ひとつのイニングが終わる度に、ベンチ内で入念な打ち合わせが行われていました。

 4回表の1死3塁のピンチは2者連続三振で乗り切り、6回表のリンド選手の大飛球はジャッジ選手が冷静に捕りました。
 身長201cmのジャッジ選手ですから、ほんの少しジャンプすれば届く打球でしたが、何しろタイミングが大切、少しでも狂えばホームランになる打球でしたが、完璧なタイミングでした。「絶対に負けられない試合」という重みを考慮すれば、大ファインプレーでしょう。

 いくつかの山を乗り越えながら、田中投手は冷静で気迫十分な投球を続けました。

 0勝2敗と追い込まれた状況で、相手打線を零封するために、持てる力を存分に発揮したのです。
 特に、「打たせて取る」ピッチングが出来たことが何よりでした。球数を抑えることが出来、必要な時には三振を取るという、超一流投手の投球だったと思います。

 2017年シーズンは、被本塁打も多く、防御率も4.7を超えるという不本意かつ不安定な投球であった田中投手ですが、この大事なゲームで今季1・2の投球が出来るのですから、凄いものです。

 チャンスに強い打者をクラッチヒッターと呼びますが、この日の田中投手はさながら「クラッチピッチャー」といったところでしょうか。
 この大試合での強さは、田中投手に備わった特質なのかもしれません。

 ヤンキースは、7回裏のバード選手の特大ホームランで奪った1点を、ロバートソン投手、チャップマン投手のリレーで守り切りました。
 2安打を浴びながらも、4三振を奪って、1と2/3イニングを粘り強く投げ切ったチャップマン投手の熱投も見事でした。

 1敗を喫したとはいえ、地区シリーズにおけるインディアンズの優位は変わらないところでしょうが、ヤンキースが第4戦をジャッジ選手のホームランで勝つようなら、大逆転も有り得るでしょう。
[10月7日・地区シリーズ・ナショナルズパーク]
ワシントン・ナショナルズ6-3シカゴ・カブス

 試合は、8回裏の大逆転でナショナルズの勝利となりましたが、カブスの先発・レスター投手の好投が印象的でした。

 ボストン・レッドソックス時代の活躍を始めとして、大試合の経験十分なレスター投手は、「落ち着き払った投球」を展開しました。
 6イニング・86球を投げて、被安打2、奪三振2、与四球2、失点1という、見事な投球でした。

 何より素晴らしいと感じるのは、フライアウト・ゴロアウトが多いことです。特に、フライアウトは9(全18アウトの半分)を数えました。
 従って、球数を抑えることが出来ます。4回を終えて44球と、極めて効率的な投球でした。「三振を取らない、取りに行かない」ことが、この好投の要因のひとつなのでしょう。

 5回裏には2死満塁のピンチを招きましたが、ナショナルズの1番テイラー選手を三振に抑えました。ここぞという場面では、狙って三振を取ることが出来る能力の高さは、素晴らしいものです。
 外角へのチェンジアップで空振りを取ったのですが、さすがにレスター投手もガッツポーズを魅せました。

 当然ながら、「落ち着き払った」プレーでも、心の中には「闘志が溢れている」訳です。闘志満々でありながら落ち着いているから意味が有るのであって、冷え切って意気消沈した状態で、静かにプレーしていても、何の意味も有りません。
 そうした心持では、ベースボールの最高峰であるMLBのポストシーズンゲームを戦って行くことは、到底不可能でしょう。

 5回に多くの球数を要したため、レスター投手の球数は73となりました。
 そして6回を無失点で抑えたレスター投手は、86球でマウンドを降りたのです。

 「1球が重い」ポストシーズンゲームでは、各チームのエースと位置づけられる投手でも、クオリティスタート(6イニングを3失点以下で投球すること)を実現するのは至難の業です。
 ご承知のように、2017年のポストシーズンでも、各チームの大エースと呼ばれる投手達が、次々と2回、3回といった短いイニングでマウンドを降りています。打者側の気迫がもの凄く、レギュラーシーズンの様な投球を披露するのが、非常に難しいのです。

 そうした中で、キッチリとクオリティスタートを切ったレスター投手の好投が際立ちます。
 86球での降板でしたが、「1球が重い」ポストシーズンですから、レギュラーシーズンゲームにおける100球以上の投球に相当するのではないでしょうか。

 ジョン・レスター投手は、まさに「MLBのスターター」なのです。
[10月6日・地区シリーズ・ドジャースタジアム]
ロサンゼルス・ドジャーズ9-5アリゾナ・ダイヤモンドバックス

 ナショナルリーグNL西地区同士の対戦となった地区シリーズの第1戦は、初回に4点を先制したドジャーズが、そのままリードを保って押し切りました。

 その1回裏のドジャーズの攻撃において、「ワンアウトを取る難しさ」が表れていました。

 地区シリーズ第1戦の先発を任された、ダイヤモンドバックスのウォーカー投手でしたが、いきなり2人のランナーを許し、3番のターナー選手を迎えました。
 そしてターナー選手は3ランホームランをレフトスタンドに叩き込みました。

 続くベリンジャー選手がヒットで出て、プイーグ選手のタイムリーヒットが生まれて、ドジャーズは4-0とリードしたのです。
 ここまでノーアウト。

 ウォーカー投手が、グランダーソン選手を三振に仕留め、ワンアウトを取ったのは「38球目」でした。

 本当に長い道のりだったのです。

 9番のカーショー投手を打ち取って、ウォーカー投手が1回表のドジャーズの攻撃を終らせるのに要した球数は「48球」に及びました。
 そして、1イニングでマウンドを降りたのです。

 先発投手は「ワンアウトを取ることで落ち着く」と言われますが、そのワンアウトを取ることは容易なことではありません。ましてや「1球が重いポストシーズンゲーム」となれば尚更でしょう。
 ウォーカー投手、そしてダイヤモンドバックスにとっては、ワンアウトを取る難しさを痛感する試合となってしまいました。

 ダイヤモンドバックを苦手とし、打線のコンディションが心配されていた、ドジャーズにとっては、絶好の「ポストシーズン立ち上り」となりました。
 このゲームにとっても、ポストシーズンを戦って行く上でも、大きな4得点だと感じます。

 1回の表を投げ切って、ベンチで休んでいた大エース・カーショー投手が、1回裏の自軍の攻撃の際に、少し驚いたような表情を見せていたのが印象的でした。
 「長い長い攻撃」が続き、ついには自身の打席が回ってきてしまったのです。

 カーショー投手は、このゲームでソロホームランを4本浴びました。
 現在のメジャーリーグNO.1投手との呼び声が高いカーショー投手としては、不本意な投球だった訳ですが、この「長い長い攻撃」の間が、カーショー投手にも影響を与えた可能性が有ります。

 一方で、この攻撃で火が付いたドジャーズ打線は計9点を挙げて、カーショー投手が勝利投手となりました。
 ポストシーズンゲームの初戦に登板することが多い(大エースですから当然のことですが)カーショー投手ですが、これまでは殆ど負け投手となっています。(ポストシーズン初戦でカーショー投手が勝ち投手になったゲームが有ったかどうか、記憶に在りません)

 そのカーショー投手が「勝利投手」になったのです。

 ドジャーズにとっては、この上無い、ポストシーズンの幕開けとなりました。
[10月4日・ワイルドカード・チェースフィールド]
アリゾナ・ダイヤモンドバックス11-8コロラド・ロッキーズ

 地区2位と3位の対戦となった、ナショナルリーグNLのワイルドカードは、2位のダイヤモンドバックスが17安打・11得点の猛打で、13安打・8得点のロッキーズを押し切り、地区シリーズ進出を決めました。

 ロッキーズ・グレイ投手、ダイヤモンドバックス・グレインキー投手の先発で始まったゲームでしたが、初回からダイヤモンドバックス打線が火を噴き、1~3回で6点を挙げて一方的な展開になるかと思われました。

 ところが、ダイヤモンドバックスの大エース・グレインキー投手が4回表に掴まり、一挙4失点。ゲームは一気に接戦となったのです。
 
 グレイ投手は1イニングと1/3、グレインキー投手は3イニングと2/3しかマウンドに居られなかったのですから、ポストシーズンゲームというのは怖いものです。

 ロッキーズは7回表に1点を加え5-6と追いすがりましたが、7回裏と8回裏に計5点を挙げたダイヤモンドバックスが勝ち切ったゲームでした。

 さすがに、「大貯金」でゆうゆうと首位を走るロサンゼルス・ドジャーズを横目に、こつこつと?貯金を積み上げてきた両チームの戦いは、一筋縄では行きませんでした。まさに「実力十分なチーム同士」のワンゲームプレーオフだったのでしょう。

 さて、NL勝率トップでポストシーズンに臨むドジャーズの、地区シリーズの相手はダイヤモンドバックスに決まりました。
 
 レギュラーシーズンで104勝(今季MLB最多勝利数)を挙げ、「向かうところ敵無し」といった雰囲気のドジャーズですが、実はダイヤモンドバックスには苦労していたのです。
 その「苦手」が地区シリーズの相手となりました。

 我らがダルビッシュ有投手・前田健太投手にとっても、「相手にとって不足は無い」といったところでしょうか。

 ダルビッシュ投手・前田投手のポストシーズンの戦いが始まります。
[10月3日・ALワイルドカード・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース8-4ミネソタ・ツインズ

 1回表、ヤンキースの先発セベリーノ投手が4安打・1四球で一気に3点を失い、わずか1アウトを取っただけで降板した時には、ヤンキースの前途は真っ暗闇でした。
 1ゲームプレーオフとしては、相当に痛い失点であり、先発投手のノックアウトだったからです。

 しかし、ヤンキース打線は劣勢をものともしませんでした。
 1回裏、グレゴリアス選手の3ランで同点とすると、2回裏にはガードナー選手のソロホームランで勝ち越し、3回裏にはバード選手のタイムリーヒット、4回裏にはジャッジ選手の2ランホームランと畳み掛けて、ゲームを優位に進めました。

 ポストシーズンゲームにおける打線の活躍の重要性が、よく分かる試合になったのです。

 ツインズとしては、ヤンキースのセべリーノ投手ほどではないにしても、先発のサンタナ投手が2イニングしか持たずに降板したのが痛く、不安定さが指摘されていたブルペン陣もヤンキースの攻撃を支えきれませんでした。
 逆にヤンキースは、2番手のグリーン投手、3番手のロバートソン投手、4番手のカンリー投手がよく踏ん張りました。この好調な中継ぎ投手陣は、今後のポストシーズンゲームにおいても、頼もしい存在となることでしょう。

 ヤンキースは地区シリーズに駒を進めました。

 我らが田中将大投手の出番が来たのです。
 アリゾナ・ダイヤモンドバックスの傘下マイナーに所属している中後悠平選手(元ロッテ・マリーンズ)の、今季メジャーリーグへの昇格が無くなり、1995年の野茂英雄投手以来毎年続いていた日本人プレーヤーのメジャーデビューが「22年連続」で途絶えたと報じられました。

 このニュースは「残念なこと」として取り扱われていましたが、逆に、1995年以来毎年、日本人プレーヤーが22年間に渡ってメジャーデビューを続けてきたことに、驚きを感じました。
 日本人プレーヤーは、集中的にメジャーリーグに挑戦したのではなく、継続的に挑戦し続けてきたのです。
 これは凄いことだと思います。

 野茂英雄投手、イチロー選手、松井秀喜選手、黒田博樹投手、上原浩治投手といったプレーヤー達の華やかな活躍は、誰の眼にも留まるものですけれども、当然ながら「デビューは1度」しかありませんから、22年間連続の為には、他の数多くのプレーヤーの挑戦があったのです。

 最初から「メジャー契約」というプレーヤーは多くはありませんから、マイナーからメジャーへの「厚い壁」を突破して、我らが日本人プレーヤーはメジャーにデビューして行ったのでしょう。

 柏田貴史投手(読売→1997年メッツ)、小林雅英投手(ロッテ→2008年インディアンズ)、高橋健投手(広島→2009年メッツ)、多田野数人投手(立教大学→2004年インディアンズ)、建山義紀投手(日本ハム→2011年レンジャーズ)、野村貴仁投手(読売→2002年ブリュワーズ)、福盛和男投手(楽天→2008年レンジャーズ)、薮田安彦投手(ロッテ→2008年ロイヤルズ)、といった選手たちは、メジャーでのプレーの期間は短く、ご本人には不満の残る挑戦だったのでしょうが、何より「メジャーリーガー」となったこと、それ自体がとても大きな勲章なのです。
 何時の時代も、メジャーデビューというのは、ベースボールプレーヤーにとって大きな夢なのですから。
 
 2017年シーズンにメジャーデビューを果たした日本人プレーヤーが居なかったこと自体は、そういう年もあるのであろうと思います。

 一方で、「メジャーリーグへの日本人プレーヤーの挑戦者数が、その絶対数が減ってきている」とすれば、それはとても残念なことだと思うのです。

 「世界最高峰のリーグ」を目指すプレーヤーが減るということは、パフォーマンスと気概・夢の両面から、野球に限らず、その国の当該スポーツのレベルにも影響があるのではないでしょうか。
 2017年レギュラーシーズンも終盤を迎えましたが、最近のMLBでは「アッバーステング」が増えてきたという見解が多いように感じます。
 打者のスイングプレーンの方向の事ですが、下に向かって振るのがダウンスイング、水平に振るのがレベルスイング、上に向かって振るのがアッパースイング、とざっくり言えばそういうことだと思います。

 かつては、ダウンスイングの方が優れていると言った見方が多かったように思います。
 投球を待ち構えている形から「最短距離でバットが出て行く」点や、ボールに逆回転スピンをかけやすいのでボールが良く飛ぶ、ゴロは攻撃の時に様々なバリエーションを生むのでゴロを打ち易いダウンスイングが良い、といった理由からでしょう。
 特に、「最短距離でバットが出て行く」点は、体や視線の上下動を防ぐという面から、ダウンスイング優位の論拠であったと思います。

 MLBにおけるダウンスイングヒッターの代表格といえば、昨年引退したアレックス・ロドリゲス選手でしょうか。600本以上のホームランを記録した、21世紀を代表するロングヒッターです。ダウンスイングから「高々とした打球」を放ち、ボールをスタンドまで運ぶプレーヤーでした。

 ところが、近時のMLBにおいてはアッパースイングを選択する打者が多いというのです。

① 守備シフト

 2010年以降でしょうか、MLBにおいては「極端な守備シフト」が敷かれるようになりました。徹底したデータ分析から、各打者の打球方向を分析し、野手を打球が飛ぶ方向に集めるのです。

 守備シフトが始まった頃には、これで逆方向に打たれたら簡単にヒットになってしまう、と心配したものですが、シフトが成功して来たのでしょうか、守備位置はどんどん極端なものになって行き、現在では、左バッターの時に1塁手と2塁手の間に遊撃手が居るというのは、珍しくも無い守備体型となりました。
 打者の方も、2塁ベースより左側には1人しか野手が居ないという状況でも、決してその方向を狙おうとはしません。

 これはいかにもMLBらしい感じがします。「自分が打つ方向に、沢山の野手が守っていても、その間を抜くことが出来る強く速い打球を打てば良い」と考えるのでしょう。メジャーリーガーのプライドという面もあるのでしょうし、普段と違う打ち方をすることで、バッティングの調子自体を崩してしまうことを怖れているのかもしれません。

 ファンの方も、「がら空きの方向」を狙えといった意見は全く持っていないようです。アンフェアと考えるのか、「せこい」と感じるのかは分かりませんが、少なくとも、極端な守備シフトに対して、反対方向を狙うことが「クレバーなプレー」であるとは、絶対に考えないのでしょう。ひょっとすると「卑怯な行為」と捉えるのかもしれません。
 MLBのプレーヤーとファンの在り様なのです。

 さて、話を戻します。

 この極端な守備シフトによって、「ゴロでヒットを打つのが、以前より困難になった」ことは間違いないことの様です。従って、バッターとしては、よりボールを上げやすいアッパースイングを採用するようになったという見方です。

② アーロン・ジャッジ選手

 ニューヨーク・ヤンキースのルーキー、アーロン・ジャッジ選手の活躍が続いています。
 オールスター以降は、やや勢いが衰えたとはいえ、9月27日時点でホームラン50本、111打点と、ルーキーとしてのヤンキースの記録、MLBの記録を樹立する勢いの打撃が続いているのです。

 このジャッジ選手がアッパースイングなのです。
 打球の初速や角度について、従来以上に詳細な情報が開示されるようになった2017年シーズンを代表するバッターなのです。

 ジャッジ選手の打球初速は200km/時に近い数値(もちろんMLBのNO.1です)ですし、打球角度も理想的とされる25度前後となることが多く、結果としてホームランが量産されることらなるのです。

 ジャッジ選手の大活躍は、現代のMLBのプレーにおける「アッパースイングの優位性」を具現しているものだという見方です。

 さて、アッパースイングとダウンスイング、これにレベルスイングも加えて、3つの打ち方のどれが優れているのでしょうか。

 これは、まだ結論が出ていない、というか、結論の出ない議題なのでしょう。(当たり前の話で恐縮です)

 頭書しましたが、21世紀最高のホームランアーティストのひとり、アレックス・ロドリゲス選手の打球は、本当に高く上がって、スタンドに落下する時には「真上から落ちて来たのではないか」と観える程でした。あれ程高い打球でホームランを放つ打者を、他に直ぐには思い当りません。
 つまり、ボールを上げること、高い打球を打つことに関しては、Aロッドは比類なき打者だったのです。そしてAロッドはダウンスイングの打者でした。

 もちろん、Aロッドにはライナー性の打球も数多くありました。ダウンスイングからライナーも放っていたのです。

 現代最高の「ライナー性ホームラン打者」であるジャンカルロ・スタントン選手、そしてアッパースイングの代表格であるアーロン・ジャッジ選手、レベルスイングから素晴らしい打球を披露するアルバート・プポールズ選手、今後も、それぞれの打者が自らに合ったスイングを選択し、プレーに反映して行くことになるのでしょう。

 どの「スイング」も、とても美しく力強いものだと感じます。
 MLB2017のレギュラーシーズンも大詰めを迎えました。
 ポストシーズン進出チームが続々と決まっています。

 9月に入ってからのよもやの11連敗もあって、地区優勝が遅れていたロサンゼルス・ドジャーズも9月22日地区優勝を決めました。ドジャーズのポストシーズン進出決定がここまで遅れた最大の要因は、11連敗では無く、同地区2位のアリゾナ・ダイヤモンドバックスと3位のコロラド・ロッキーズの頑張りであることは明らかでしょう。
 ダイヤモンドバックスは9月23日時点で89勝65敗、勝率.598と他の地区なら優勝してもおかしくない好成績(例えば、ナショナルリーグNL中地区首位のシカゴ・カブスは86勝68敗、勝率.558です)
 ロッキーズも83勝71敗、勝率.539と、他地区の2位チームを上回る好成績で続いています。NLのワイルドカードは、この両チームで争われると見られています。
 つまり、今季のポストシーズンに、NL西地区から3チームが進出するのです。

 98勝というリーグ最高勝率のドジャーズでも、この2位・3位チームが居ては、なかなか優勝できなかったということでしょう。

 さて、そのドジャーズにとっては1988年以来のワールドシリーズ制覇を目指すポストシーズンとなります。
 様々な面から、着々と準備が進められていることでしょう。

 シーズン途中、11連勝、10連勝、9連勝と驚異的な強さを魅せて来た2017年のドジャーズですが、気になる点として「打戦の核の不在」を、以前にも指摘させていただきました。
 その弱点が、9月の大連敗の要因のひとつであったとも感じます。

 連勝を重ねていた頃のドジャーズは「どこからでも点が取れる」と言われていました。それは取りも直さず「打てなくなれば、全然打てない」ということの裏返しとなることが多いのです。
 「ここぞという時に打ってくれる打者」「チャンスに強い打者」、いわゆる「リーグ屈指のクラッチヒッター」の不在が、強い強い2017年のドジャーズの、唯一と言ってもよい問題点だったのです。

 この問題点のクリアに向けて期待したいのが、コディ・ベリンジャー選手です。

 ルーキーのベリンジャー選手は、9月16日のゲームで今季第38号のホームランを放ちました。新人としては驚異的な記録です。
 また、7月15日にはサイクルヒットも記録(新人として球団初)しています。
 
 身長193cm、体重95kgという恵まれた体躯から繰り出される打球は、リーグ屈指の初速を誇っているのです。

 短期決戦は、打てなければ勝てません。

 ベリンジャー選手を核として、シーガー選手、ターナー選手、プイグ選手、グランダーソン選手らが、伸び伸びとした打撃を発揮してこそ、名門ロサンゼルス・ドジャーズの、1988年以来のワールドシリーズ制覇が実現するのです。
[9月18日・マーリンズパーク]
マイアミ・マーリンズ13-1ニューヨーク・メッツ

 近時は「出場すれば記録が生まれる」感のある、マーリンズのイチロー選手ですが、7番・センターフィールダーで出場したメッツ戦で、「17年連続・敬遠四球」という記録を打ち立てました。

 イチロー選手の敬遠は、通算181個目だそうですが、メジャーデビューした2001年からの連続記録を更新したことになります。
 また、「投げずに四球」は自身初めてであったとも報じられました。

 こうした記録を見ると、21世紀当初からMLBで活躍を続けるイチロー選手の凄さを改めて感じます。

 この日は、自身の持つ「MLB最年長中堅手先発記録」も「43歳331日」に更新しました。
 まさに「伝説のプレーヤー」なのです。

 こうした次から次への記録更新もとても嬉しいことなのですけれども、私達にとって何より嬉しいのは、「イチロー選手が先発出場し、ヒットを放った」というニュースであることは間違いありません。

 この試合でマルチヒットを記録したイチロー選手の通算安打数は、3078となったのです。
[9月14日・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース13-5ボルチモア・オリオールズ

 先発した田中将大投手は、7イニング・102球を投げて、被安打8、与四球2、奪三振8、失点2の好投を魅せて、今季12勝目(11敗)、日米通算150勝という節目の勝利を挙げました。

 278試合登板での150勝到達は、松坂投手の285試合を上回る、日本投手史上最速でした。

 このゲームは、1回裏にヤンキース打線が爆発、一挙に6得点を挙げました。田中投手にとっては大きな援護点となったのです。
 4回表に1点を失いましたが、その裏再びヤンキースは3点を挙げてリードを広げ、6回表に2点目を取られると、その裏に4点を追加するという猛打振り。頼もしい限りの打線の頑張りでした。

 この試合を終えての、田中投手の今季の防御率は4.73とまだまだの水準ですが、ポストシーズン進出に向けて、「田中が投げれば、打線が打つ」という好循環が生まれるとすれば、田中投手にとっても、ヤンキースにとっても、とても良いことだと思います。
 8月24日から勝ち続け、いつまで続くのか、と注目していた連勝ですが、9月12日のデトロイト・タイガース戦も2-0で勝ち切り、インディアンズの連勝はついに20の大台に乗りました。

 連戦が続くMLBでは、連勝も連敗も起き易いとは言われますが、それにしても「20連勝」は滅多に見られるものではありません。
 シーズン終盤に入って、インディアンズは間違いなく調子を上げているのです。

① 史上4度目の20連勝越え

・ニューヨーク・ジャイアンツ 26連勝(1916年9月7日~30日)
・シカゴ・カブス 21連勝(1934年9月4日~27日)
・オークランド・アスレティックス 20連勝(2002年8月13日~9月4日)
・クリーブランド・インディアンズ 20連勝(2017年8月24日~継続中)

 1876年開始という、長いMLBの歴史上でも、20連勝以上はこの4度しか記録されていません。(単純に割り算すると35年に一度となります)
 この4度の大連勝に共通しているのは、「8月から9月」つまりシーズン終盤の記録であることです。
 シーズン前半には存在しないところが、興味深いところでしょう。

② 20連勝の内、19試合で先制

 やはり、ベースボールは「先制することが大事」なのです。先制点の価値は、考える以上に大きなものなのでしょう。試合に臨んでは、チームとして「先制する」ことに注力しなくてはならないのです。

③ この20試合は、134得点・32失点

 投打のバランスという面から、素晴らしい数字です。
 この得失点なら、後はゲームマネジメントを上手く行えば、連勝が出来るのでしょう。

④ アメリカンリーグ中地区 89勝56敗 勝率.614となりマジック5

 インディアンズは、69勝56敗・勝率.552・貯金13から、一気に貯金を33に増やしました。(20連勝したのだから、当然なのですが・・・)
 地区優勝へのマジックも「5」に減らしています。

 この間に、突っ走っていたロサンゼルス・ドジャーズが10連敗を喫していますから、ひょっとすると、インディアンズはドジャーズより先に地区優勝を決めるかもしれません。
 8月の半ばには想像も出来ないことでした。

 大連勝の威力というのは、凄いものです。
 MLB2017レギュラーシーズンも、残り約1ヵ月・30ゲームを残すのみとなり、終盤戦に突入しました。

 チーム成績、個人成績も固まりつつある時期ですが、OPS(出塁率+長打率)は、アメリカンリーグALとナショナルリーグNLにおいて異なる様相を呈しています。

 OPSは「打者のチームへの貢献度」を示す値として、近時定着してきている指標です。

 0.9を超えていれば「チームの中心打者」であり、1.0を超えていれば「リーグを代表する打者」といった評価となります。

 8月30日時点でのNLを見ると、
・ジャンカルロ・スタントン選手(マイアミ) 1.049
・ジョイ・ボット選手(シンシナティ) 1.037
・ブライス・ハーパー選手(ワシントン) 1.034
・ポール・ゴールドシュミット選手(アリゾナ) 1.026
・チャーリー・ブラックモン選手(コロラド) 1.023

 の5名のプレーヤーが1.0を超えています。
 いずれ劣らぬ好プレーヤーが並んでいます。打率上位に居て、出塁率が高いボット選手やゴールドシュミット選手、ブラックモン選手らに対して、長打率が高いスタントン選手、どちらも高いハーパー選手と、各プレーヤーの特徴が良く出ていると感じます。

 一方でALは、というと、「OPSが1.0を超えているプレーヤー」が居ないのです。
 上位は、
・アーロン・ジャッジ選手(ヤンキース) 0.990
・ホセ・アルトゥーベ選手(ヒューストン) 0.977
・ジャスティン・スモーク選手(トロント) 0.933

 となっています。実際には、春先からオールスターゲーム前までは、アーロン・ジャッジ選手が1.0を超える、それもかなり大幅に超える数値を記録していたのですが、本人の調子が下がったことと、他チームの対ジャッジ選手への研究が進んだためか、以降OPSが下降して、1.0を切っているのです。

 とはいえ、両リーグで、これだけの違いが生ずるのも珍しいことでしょう。

 今季のALは、投手が優位なのか、打者の調子が今ひとつなのか・・・。

 これだけは言えると思うのは、「今季のNLにおけるOPS1.0超えのプレーヤー5名は多い」ということでしょう。
 例えば、2016年シーズンでは、両リーグでOPS1.0超えのプレーヤーは1名しか居ませんでした。2015年は3名、2014年は0名だったのですから、2017年の5名はとても多い印象です。

 そうなると、今季のNLは打者が優位なのかもしれません。

 いずれにしても、このままこの5名のプレーヤーが「1.0超えを維持」したままレギュラーシーズンを戦い切るのか、注目なのです。
 2017年のMLBレギュラーシーズンも、各チームが残り30試合前後となり、終盤戦に突入しました。

 8月30日時点のアメリカンリーグALの東地区では。ボストン・レッドソックスがニューヨーク・ヤンキースに5.0ゲーム差を付けて首位に立っています。
 今季当初はヤンキースが若手野手の活躍で首位争いを演じましたが、ここにきて投手力の差が出てきています。若手野手にも、少し疲れが見えると言ったところでしょう。

 ヤンキースとしては、ワイルドカードでポストシーズン進出を見据えているのでしょうが、少し前までは「間違いなく」と思われていたワイルドカード争いでも、他チームとの差が詰まってきています。
 2番手のミネソタ・ツインズと1.5ゲーム差、3番手のボルチモア・オリオールズとの差が2.5ゲームですから、チームの調子が下降気味のヤンキースとしては油断ならない状況と言えるでしょう。

 AL中地区は、クリーブランド・インディアンズがミネソタに7.5ゲーム差を付けてトップに立っています。もともと地力の高いチームですから、次第に調子を上げてきたというところ。連勝ができる状態になってきていますので、ポストシーズンに向けても、十分に期待できます。

 AL西地区は、ヒューストン・アストロズがロサンゼルス・エンジェルスに12.0ゲーム差を付けての独走を続けています。春先に「突っ走った」アストロズが、ゆうゆうと走っている感じですが、このところ勝ったり負けたりのゲームを続けていますから、春先程の勢いはない感じがします。
 アストロズとしては、ポストシーズンを睨んだチーム力向上が求められるところです。

 ナショナルリーグNL東地区は、ワシントン・ナショナルズがマイアミ・マーリンズに15.0ゲーム差を付けて独走しています。
 終始安定した戦いを繰り広げていますし、8月下旬になって一層調子を上げている感じですから、ポストシーズンにおけるナショナルズの活躍が期待できます。

 NL中地区は、シカゴ・カブスがミルウォーキー・ブルワーズに3.0ゲーム差で首位に立っています。
 2016年のワールドチャンピオンが地力を魅せているということなのですけれども、「意外にもたついている」という印象は否めません。
 3ゲームは、残り30試合で十分に射程距離ですので、ブルワーズの戦い振りが注目されるところです。

 NL西地区は、ロサンゼルス・ドジャーズがアリゾナ・ダイヤモンドバックスに18.0ゲーム差を付けて「大独走」しています。
 91勝39敗で勝率.700というのですから、圧倒的な強さを魅せているのです。
 21世紀になって、リーグチャンピオン、ワールドチャンピオンのタイトルを取っていない「名門」にとっては、今季は絶好のチャンスと言えるでしょう。
 とはいえ、ポストシーズンの短期決戦を控えては、「打線の爆発力」が不可欠ですから、やや「軸になるバッターの不在」が心配なところです。
 まあ、これだけ勝っていて、心配というのも、ぜいたくな悩みなのでしょうけれども。

 NLのワイルドカードは、現時点ではアリゾナとコロラド・ロッキーズが3番手のミルウォーキーに3.0ゲーム差を付けて優位に立っています。
 アリゾナもコロラドも西地区のチームですから、西地区の2位と3位のチームがワイルドカードに進出する可能性が高いということになります。
 「大独走」しているドジャーズの陰に隠れてはいますが、2チームとも「10以上の貯金を持って、良く戦っている」ということであり、ドジャーズの勝ちっぷりの凄さを示す事実でもあるのでしょう。

 MLB2017のレギュラーシーズンは、ポストシーズンを睨んだ戦いの段階に入りました。

 地区優勝を巡る厳しい競り合いに注目ですが、独走している各チームの投手陣・打撃陣のコンディションアップに向けた取り組みにも、注目して行きたいと思います。
[8月25日]
ロサンゼルス・ドジャーズ3-1ミルウォーキー・ブリュワーズ

 先発した前田投手が好投を魅せました。
 6イニング・84球を投げて、被安打1、与四死球2、奪三振7、1失点は、唯一の被安打であるドミンゴ・サンタナ選手に浴びたホームランでした。

 もともとコントロールの良い投手ですが、この日はストレートが走っていましたので、自在の投球が出来ました。
 球速も153kmという、自身のMLBにおける最速、ひょっとするとNPBも含めてキャリア最速のストレートを投じていたのではないかと思います。

 そのストレートを、主に「高目の釣り球」に使いながら、変化球で打者を料理するというクレバーな投球を繰り広げました。
 クレバーな投球と言っても、投球に一定の「威力」が必要なことは言うまでも無いことです。

 例えば、ストライクコースから「ボールひとつ分」外した、コントロール抜群の投球であっても、スピード・威力共に不足しているなら、MLBの打者なら簡単に安打にすることでしょう。「ボールの出し入れ」以前の問題なのです。

 この日の前田投手の投球には、「MLBで戦って行くために十分な威力」が感じられました。
 「12勝」というのも立派な成績です。
 前田健太投手の今後の大活躍を予感させます。

 8月25日~27日の3ゲームは、MLBのプレーヤーズ・ウィークエンドです。
 各プレーヤーが、自らの「あだ名」を、背番号の上に表記したユニフォームでプレーするのです。
 あだ名が表示されるユニフォーム自体も、普段使っているものよりカラフルです。とても華やかと言うか、浮き浮きするような雰囲気がボールパークを覆っているのです。

 MLBも色々な企画を考えるものだと感心しますが、このウィークエンドは少年野球のイベントと連動しているものだそうです。
 少年野球とMLBのコラボというのは、いかにも「将来のファン」を確保するために有効な施策でしょう。

 思わぬ副産物もあります。あのニューヨーク・ヤンキースのプレーヤー達も「あだ名」を背負うのです。プレーヤー名を背番号の上に表示するのが一般的になったMLBにおいても、ヤンキースは「頑なに?」名前を表示していません。
 そのヤンキースでも、プレーヤーズ・ウィークエンドばかりは、背中にあだ名を表示するのです。ヤンキースファンにとっては、贔屓の選手達の「滅多に観られない」貴重な姿なのです。ちなみに田中将大投手は「MASA」と表示されているそうです。
 ヤンキースは、メジャーリーグの中でも、最もメジャーな球団のひとつですから、MLBファンの間でも注目されているのではないかと思います。

 この日の、前田健太投手のあだ名は「MAEKEN」でした。
 NPB広島カープ時代のあだ名を、そのまま使用した形です。

 このゲームの投球を観ると、アメリカ中のMLBファンが前田選手を「MAEKEN」と呼ぶ日が来る可能性が十分に有ると感じました。
 
 まず先輩格のイチロー選手(フロリダ・マーリンズ)が、フィラデルフィア・フィリーズとのゲームの7回に代打で登場し、右中間スタンドに3ランホームランを叩き込みました。
 今シーズンの第3号です。
 チームも12-8で勝利しましたから、イチロー選手の3ランは大きな価値がありました。

 それにしても、近年は1シーズン1本塁打が続いていたのですが、出場機会が減った2017年シーズンは既に3号というのですから、少し驚かされます。
 飛距離も132mと報じられています。よく飛んでいるのです。
 まさか、今季はホームランを狙っているわけではないのでしょうけれども・・・。

 続いてトロント・ブルージェイズの青木選手。
 タンパベイ・レイズ戦に1番で先発出場し、先頭打者ホームランを放ちました。
 先発・フル出場というのが一番嬉しいことなのですけれども、そこに先頭打者ホームランとなれば、喜びも倍増です。
 但し、こちらはチームが敗れてしまった(5-6)ところが、我流点睛を欠くところです。

 最後はヤンキースの田中投手。
 右肩炎症によるDL(故障者リスト)からの復帰登板で7イニングを投げて被安打6・3失点で9勝目を挙げました。(10敗)チームは13-4で快勝です。
 やはり、先発投手にとっては、味方打線の援護が何よりなのでしょう。

 この日に、ロサンゼルス・ドジャーズのダルビッシュ投手の登板が無かった(腰の張りでDL入り中)のが少し残念ですが、とにもかくにも、2017年8月22日は日本人プレーヤーにとって、とても良い日だったのです。
 
 毎年「驚かされる」ことが多い、MLBの7月31日ですが、2017年はダルビッシュ有投手の移籍が話題の中心でした。

 2017年のポストシーズン進出が難しい成績となったテキサス・レンジャーズの、今季今後の対応策として、相当前から移籍の話が出ていて、移籍先候補としてニューヨーク・ヤンキースとロサンゼルス・ドジャーズ、そして「第三の球団」(結局どこであるかは分かりませんでしたが)が上げられていました。

 トレードの期限である7月31日午後4時(日本時間8月1日午前5時)の寸前に、このトレードが成立したのです。
 毎年のことながら「ギリギリのビッグディール」が必ず有るのがMLBなのです。

 ご承知のように、7月31日現在、ドジャーズは74勝31敗・勝率.705(驚くべき高率)で、ナショナルリーグ西地区の「断トツの首位」、メジャーリーグ全体でも圧倒的な勝ち星と勝率で2017年のレギュラーシーズンを快走中です。
 今シーズンは、地区優勝はもちろんとして、久しく遠ざかっている1988年以来のワールドシリーズ制覇に向けて、準備中だったのです。

 もともとニューヨークに存した球団(ブルックリン・ドジャーズ)であり、1958年にロサンゼルスに移転してからは、東のヤンキース、西のドジャーズとして、MLB屈指の名門チームとしての存在感は抜群です。ワールドシリーズ制覇も6回を数えます。

 とはいえ、そのドジャーズもこのところのポストシーズンではなかなか勝ち進むことが出来ず、気が付けば「21世紀に入って1度もリーグチャンピオンになっていない」のも事実。
 熱狂的なことで知られるドジャーズファンにとっては、ライバルであるサンフランシスコ・ジャイアンツ(同じく1958年にニューヨークからサンフランシスコに移転)の21世紀に入ってからの活躍(3度のワールドシリーズ制覇)を横目で見ながら、「歯痒いシーズン」が続いていたことになります。

 こうした状況下ですから、2017年シーズンに賭けるファンの気持ちはとても強かったのです。

 ところが、2017年の快進撃、圧倒的な強さの中心プレーヤーであった大エース、クレイトン・カーショー投手が、持病の腰を悪化させて戦線を離脱してしまったのです。7月23日のことでした。

 ドジャーズにとっては、「カーショーが帰ってくるまでチームを支える、エース級のピッチャー」が急募されることとなったのは自然なことでした。
 そして、ダルビッシュ有投手に白羽の矢が立ったということになるのでしょう。

 カーショー投手の2016年シーズンの故障期間を考慮すれば、マウンドに帰ってくるまでには2ヵ月位を要すると思われますので、8月から9月末まで、つまり「2017年レギュラーシーズン終了まで」、ドジャーズはカーショー投手抜きで戦うことになりそうです。

 現在の大きな貯金を考え合わせれば、地区優勝は当然として、ポストシーズンに体制を整えて気持ち良く向かうための準備期間を、カーショー投手抜きで戦うことになったドジャーズにとって、ダルビッシュ投手への期待は極めて大きいということになります。

 カーショー投手が帰ってくるポストシーズンでは、チームを支える「2本柱」としての活躍が期待されることでしょう。

 ダルビッシュ投手にとっては、メジャーリーグで最初に所属した球団であり、5年半を過ごしたレンジャーズへの思いは、相当強いものがあると思います。
 大投手ノーラン・ライアン球団社長と共に行われた入団会見や、9回裏2アウトまで続けた完全試合へのトライ、トミー・ジョン手術で1年半ほどプレーが出来なかったことなど、ダルビッシュ投手にとってレンジャーズは忘れることが出来ないチームでしょう。

 しかし、2017年8月1日から、ダルビッシュ投手はドジャーズの一員として戦うこととなったのです。
 野茂英雄投手、石井一久投手、黒田博樹投手、そして前田健太投手の例を出すまでも無く、「ドジャーブルーのユニフォーム」は日本出身投手に良く似合います。

 ダルビッシュ有投手のワールドシリーズ制覇に向けての戦いが、今始まったのです。
 ロサンゼルス・ドシャーズが走っています。

 驚異的なハイペースです。

 7月18日時点、オールスターゲーム2017を挟む34試合で30勝、この間の勝率が88%を超えるというのですから、想像を絶する強さでしょう。

 これ程の勝率は、1977年のカンザスシティ・ロイヤルズ以来40年振りと報じられています。
 これ程勝ち続けている状態が、史上初では無く、過去にも存在したいというのが、MLBの歴史を感じさせるところです。

 また、同時点でドジャーズはナショナルリーグNL西地区で2位のアリゾナ・ダイヤモンドバックスに10.5ゲーム差を付けて首位を快走していますが、2位チームとの差という面では、MLBのNO.1ではないというのも、興味深いところです。

 各地区で、最も2位との差が大きいのは、アメリカンリーグAL西地区で、ヒューストン・アストロズが2位のシアトル・マリナーズに16.5ゲーム差を付けてトップですし、NL東地区でも、ワシントン・ナショナルズが2位のアトランタ・ブレーブスに11.5ゲーム差を付けていますから、ドジャーズの10.5ゲーム差というのは「3番目の大差」ということになるのです。
 AL3地区、NL3地区、計6地区で3番目ですから、特出した大差ということにはならないでしょう。

 リーグ内での各地区間のチーム同士の対戦や、インターリーグもあって、各地区毎の勝率が異なるところがポイントなのでしょう。

 とはいえ、ドジャーズの65勝29敗・勝率.691は、アストロズの63勝31敗・勝率.670、ナショナルズの57勝36敗・勝率.613を上回っていますから、2017年レギュラーシーズンで今のところ「最も勝っているチーム」であることは、間違いありません。

 大エースのクレイトン・カーショー投手も既に15勝を挙げました。

 ドジャーズの驚異的な勝ちっぷりは、どこまで続くのでしょうか。
[7月11日・マーリンズパーク]
アメリカンリーグAL 2-1 NLナショナルリーグ(延長10回)

 例年同様に素晴らしいプレーヤーに彩られた「夢のゲーム」でしたが、2017年はピッチャー陣の頑張りが目立ちました。

 NLの先発はマックス・シャーザー投手(ナショナルズ)。
 1回表、ランナーを置いてALの3番、現在売出し中のルーキー、アーロン・ジャッジ選手(ヤンキース)を迎えました。オールスターゲームでの先発登板も含めて経験十分のシャーザー投手ですが、ジャッジ選手への投球は慎重を極めました。カウント3-2から変化球を外角に投じて空振りの三振としたのです。
 シャーザー投手の「実績と意地」が感じられる対決でした。

 ALの先発はクリス・セール投手(レッドソックス)。
 1イニングで交替したシャーザー投手とは異なり、セール投手は2イニングを投げました。NL打線に3安打は許しましたけれども、要所を締めて零封しました。

 この2先発投手の頑張り、安打は許したものの、「絶対に抑える」という強い意志を感じさせる投球が、試合を締まったものにしたと感じます。

 その後ALは、ベタンセス、バルガス、キンツラー、サンタナ、オズナ、デベンスキー、キンブレル、ミラーと投手を繋ぎました。
 NLは、ニシェク、マルティネス、ウッド、グレインキー、ハンド、ホランド、ジャンセン、デービスと投手を繋いだのです。

 そして、両チームの投手陣は、MLBを代表する打線を9回1失点に抑え込んだのです。

 オールスターゲームは、年によって打撃戦になることもあれば、投手戦になることもあるのですが、2017年は投手戦だったということになります。

 久しぶりに延長戦に縺れ込んだゲームは、延長10回表、ALのロビンソン・カノー選手(マリナーズ)がホームランを放ち、決着しました。
 こうした展開ですから、MVPはカノー選手となったのです。

 レギュラーシーズンのゲームであれば、100球前後の投球を任せられる、両リーグのエース級先発投手が1~2イニングを任せられた時の投球の凄さが、特に印象的でした。
 各々の投手の投球フォームが「超スローモーション映像」で流されたこともあって、まさに「腕も折れんばかりの投球」を観ることが出来たのです。

 愚妻が「あれだけ腕を酷使するのだから、故障するのも当然ね」と感心していました。

 もちろん、この「腕も折れんばかり」に観える投球フォームは理に適ったもので、「この投げ方とバランスであれば故障の心配はない」という、NHK-BS放送の小宮山氏の解説を聞いて、安心した次第です。

 今年から、オールスターゲームの勝利リーグがワールドシリーズの開幕戦を取るというルールが適用されなくなりました。
 本当の理由は知りませんけれども、ひょっとすると「この権利を取るために、オールスターゲームが真剣勝負になってしまい、面白くない」といった指摘に応えるルール変更だったのかも知れません。

 「オールスターゲームは、もっと和気あいあいとしたもの」になるべきであり、「華やかな打ち合いが望ましい」という見方もあるのでしょうか。

 しかし、ゲーム内容は、そうした狙い?とは裏腹に、息づまるような投手戦となりました。
 両リーグを代表する投手たちが「己のプライド」にかけて、両リーグを代表する打線を抑え込んだのです。

 登板する投手達の表情には「和んだ様子」は皆無で、「まなじりを決した」雰囲気が漂い続けました。
 最初は、少し華やいだ空気が漂っていた野手、打席に入る野手達も次第に本気モードになり、フィールドでは「世界最高レベルのプレー」が展開されたのです。

 ベースボールの頂点に居るプレーヤー達のプライドの高さを、改めて感じた、素晴らしいゲームでした。
 MLBオールスターゲーム2017の出場選手による「恒例」の個別会見が、7月10日にマーリンズパークで行われました。
 
 ベースボールプレーヤーにとっての名誉ある舞台・MLBオールスターゲームに選ばれたプレーヤーにとって、とても誇らしい舞台です。

 今年は、日本人選手はダルビッシュ有投手ひとりでしたが、ダルビッシュ投手も喜び一杯の個別会見だったそうです。

 ところが、その会見でダルビッシュ投手が「飛び過ぎるボール」について言及したと報じられたのです。

 2017年レギュラーシーズン前半は、過去に例をみないほどホームランが量産されていて、MLB使用球が飛ぶようになっているのではないかという話は、時々耳にしてきましたが、これほど明確にコメントしたのは珍しいかもしれません。

 「先日、眼を閉じた状態でコーチから2つのボールを渡され、明らかに固いボールがあったので、これが固いですと答えたら2017年のものだった。(他の投手も)みんな一致していた。2016年も前年から変わっていたはずなのですが、さらに今年は飛ぶようになっているのかなと思います」と。

 「自分がバッティング練習していてもセンターに入っちゃう。そんなこと絶対、自分の野球人生で、ホント1回も無かった。それが今、この31の年になって、センターに入るって、絶対におかしいと思います」と続きます。

 ダルビッシュ投手は、苦笑交じりにコメントしていたそうです。

 これが、ダルビッシュ投手の勘違い、肉体改造によりパワーが増したこと等によるものなのか、それとも本当に「飛び過ぎる」ボールに変わっているのか、は分からないところでしょうが、世界最高レベルのプレーヤーが集まるMLBのことですから、各プレーヤーは直ぐに分かった筈です。

 それでも、各々のプレーヤーからは中々言い出しにくいことを、ダルビッシュ投手が「外国人」プレーヤーとして、(やや気楽な立場から)明言したのかもしれません。

 日本プロ野球NPBでは数年前から何度も「飛ぶボール」が話題となってきました。

 その議論の根底には、「飛ぶボールなど使っていては、何時まで経っても、メジャーリーグには追いつけない」「飛ばないと言われるメジャーリーグのボールを遠くへ飛ばしてこそ、本当のパワーヒッターなのだ」という考え方があったと思います。

 そのメジャーリーグのボールが「飛び過ぎる」ようになっている、それも2016年・2017年と「2年連続で、より飛ぶように変化してきた」というのは、残念な話です。

 ファンは「ホームランが沢山出るゲーム」を観たがる、派手な打ち合いを喜ぶ、といった見方があるとすれば、少しファンをバカにしている感じもします。

 それにしても、その「飛び過ぎるボール」を投げながら、前半戦だけで14勝を挙げ、防御率2点そこそこ、99球・13奪三振で完投するという、クレイトン・カーショー投手というのは、改めて凄いプレーヤーだとも思うのです。
[7月9日・ドジャースタジアム]
ロサンゼルス・ドジャーズ5-2カンザスシティ・ロイヤルズ

 オールスターブレイクを控えた、両チームにとっての2017年レギュラーシーズン前半最終戦は、カーショー投手の素晴らしいピッチングで締めくくられました。

 「記録ずくめ」の快投と言って良いでしょう。

① 99球の完投勝利
② 13個の奪三振

 この2つの要素は、通常はトレード・オフの関係にあるものです。

 100球未満の完投勝利を挙げるためには、「打たせて取る」必要があります。三振を取るには「最低3球」の球数を要しますし、このゲームでカーショー投手は6安打を浴びて、33人の打者と対していますから、まさに「1打者・平均3球」でゲームを進めて行かないと99球での完投は出来ないのです。

 当然のことながら「概ね3~5球」で三振を取り、加えて三振を取れない打者からは「早いカウントで打たせて取る」ピッチングが必要となるのです。
 結果として「ストライク」コースで勝負しながら、三振と凡打を積み上げるという、至難の技が求められることになります。「有り得ないこと」のようにさえ感じます。

 ストライクが来ると分かっていながら、MLBの打者が三振してしまう「凄まじい球威」と、コーナーに投げ分けながら凡打を取る「絶妙なコントロール」の「併存」という、「ピッチャーの夢」を具現した投球、クレイトン・カーショー投手はこれをやってのけました。

 ミラクルでしょう。

 もちろん、「100球未満で完投し13個の三振を奪った」のは、MLB史上初のことです。

③ 前半戦で14勝

 2017年シーズンのカーショー投手の成績は、本当に高いレベルのものです。
 19試合に先発登板し、132と1/3イニングを投げ、防御率は2.18で14勝2敗。
 
 シーズン20勝を挙げることが、とても難しいMLBにあって、シーズン200イニングを投げることが「エース級の先発投手の条件」であるMLBにあって、何という素晴らしい成績なのでしょう。

 既に、2011年・2013年・2014年と3度のサイ・ヤング賞に輝き、現在のMLBを代表するピッチャーであるカーショー投手にとっても、2017年シーズンの前半は「生涯最高のパフォーマンス」であることは、間違いなさそうです。

 「こんな投手が存在するんだ」というのが、私の素直な感想です。
[7月6日]
セントルイス・カージナルス4-3マイアミ・マーリンズ

 イチロー選手が6日のカージナルス戦に7番ライトで7試合ぶりに先発出場し、3打数2安打として、MLB通算安打数を3054安打に伸ばし、歴代24位に上がりました。

 今回イチロー選手が抜いたのは、3053安打のロッド・カルー選手ですが、パナマ出身のカルー選手は、これまで「アメリカ以外の国の出身者」としての最多安打数記録を保持していましたから、これでイチロー選手がMLBにとっての「外国人」プレーヤーとして最多安打記録保持者となりました。

 首位打者7度・15シーズン連続打率3割という、MLB史上屈指の「安打製造機」カルー選手を抜き去ったことも凄いことですが、日本プロ野球で9シーズンもプレーした後、27歳でMLBデビューしたプレーヤーとしては「驚異的」な数字でしょう。

 この記録達成後のインタビューでイチロー選手は「誰の記録を抜いたかが、僕にとっては重要。・・・(カルー氏は)ちょっと王さんに通じるもの(雰囲気)があって、そういう意味で特別な記録だった」とコメントしました。

 「達人は達人を知る」ということなのでしょう。

 私にとっては、この大記録もとても嬉しいことですが、何より「イチロー選手が先発で試合に出場すること」、フィールドでプレーする姿を観ることが、最も嬉しいことなのです。
 2017年のMLBレギュラーシーズンは、6月19日時点で両リーグに10勝投手が登場する展開となりました。

 まずはナショナルリーグNLのクレイトン・カーショー投手(ロサンゼルス・ドジャーズ)。

 「泣く子も黙る」感じの、現MLBのNO.1投手が2017年も好調なのです。
 15試合・103と1/3イニングを投げて、防御率2.61、奪三振115、10勝2敗と安定感抜群の投球を続けています。
 何より凄いのが、開幕後「中4日のローテーションを維持」しているところでしょう。
 「完璧なMLBの先発投手」なのです。

 続いてアメリカンリーグALのジェイソン・バルガス投手(カンザスシティ・ロイヤルズ)。
 14試合・87と1/3イニングを投げて、防御率2.27、奪三振68、10勝3敗と、こちらはキッチリと打たせて取るピッチングを続けています。
 トミージョン手術からの回復過程にあった2016年シーズンは3試合の登板に止まりましたが、まさに「故障からの回復」のためのシーズンを過ごし、2017年の大活躍に結びつけました。
 チームと本人が一体となった、素晴らしい復活でしょう。
 「故障前より良いピッチング」が出来ているとの評もあります。

 今季は、この2投手以外にも、好成績を挙げている先発投手が目白押しです。

 NLなら、コロラド・ロッキーズのセンザテーラ投手が9勝で続き、同じロッキーズのフリーランド投手が8勝と続きます。
 ロッキーズとドジャーズはNL西地区で首位争いを演じていますが、センザテーラとフリーランド2投手の活躍が、ロッキーズの原動力となっていることは間違いありません。

 そして、ザック・グレインキー投手、マックス・シャーザー投手、ストラスバーグ投手といったベテラン、実績十分な投手も8勝で続いていますから、NLのサイヤング投手争いは激戦となるでしょう。カーショー投手が先頭を走りながらも「激戦」というところが、凄いところです。

 ALは、2015年のサイヤング賞・カイケル投手が9勝で続き、セール投手、サンタナ投手が8勝となっています。
 NL程ではないにしても、こちらも大接戦です。「勝ち慣れている」カイケル投手がどこまで星を伸ばすかがポイントとなりそうです。

 2017年は「有力な先発投手が勝ち星を積み重ねているシーズン」となっています。(6月25日時点では、カーショー投手とバルガス投手は共に11勝目を挙げています)

 しっかりとした実力を保持する投手が、故障も無く、好調な投球を続けているシーズンということになるのでしょう。(日本人投手の名前が無いのが少し残念ですが)

 こうした好調な投手たち、「負ける気がしない投手たち」の「投げ合い」はMLB最大の見所のひとつですが、優勝争いの帰趨を決めることにも繋がりそうです。
[6月23日・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース2-1テキサス・レンジャーズ(延長10回)

 MLBにおいて初めて実現した、田中将大投手とダルビッシュ有投手の対決は、両先発の見事な投手戦となりました。

 7回を終って0-0。両投手の投球内容も文字通りの「拮抗」したものでした。
・田中投手 84球、被安打2、奪三振7、与四球1
・ダルビッシュ投手 88球、被安打2、奪三振10、与四球0

 投球の迫力では、ダルビッシュが勝りました。4シーム、スライダーを主体とした投球でヤンキース打線から三振の山を築いたのです。
 特に、6回から7回にかけての4連続三振は圧巻。売出し中のジャッジ選手からも、糸を引くような154kmの4シームで三振を奪いました。
 7回の三者三振は、このゲームで最も力を入れた投球でしたから、この回で交替かなと感じました。

 一方の田中投手は、投球を低めに集め、スプリットを効果的に使って対抗しました。
 ストレートも154kmを記録しましたが、どちらかと言えば打たせて取るピッチングであったと感じます。
 3回の無死1・2塁のピンチ、ヒットとフォアボールで招いたピンチは、3塁手トレイエス選手の好守備もあってダブルプレーで切り抜けました。
 このゲームでは、トレイエス選手の好守備が光りました。

 ダルビッシュ投手は7回で降板しましたが、田中投手は8回表もマウンドに上がりました。そしてヒットとフォアボールで再びピンチを招きましたが、これを気力で凌ぎ、8回を投げ抜きました。
 100球を投げて、被安打3、与四球2、奪三振9、無失点という、素晴らしい投球でした。

 ベンチに戻る田中投手には、スタンドのファンから大きな拍手が送られました。

 降雨の影響で、1時間半ほど遅れて始まった試合でしたが、両投手はこの「異例の事態」にも全く動じることなく、持ち味を存分に発揮してくれました。
 MLBにおける日本人投手を代表する2人が、その存在感を発揮したのです。

 レンジャーズとヤンキースという、強力打線を持つチームをキッチリと抑え切ったのです。
 
 田中将大とダルビッシュ有が、MLBにおける存在感を十分に披露した好ゲームでした。
 ドミニカ出身のMLBプレーヤーを代表する、2選手が大記録を樹立しつつあります。

 まずは、ロサンゼルス・エンゼルスのアルバート・プホルズ選手(37歳)が6月4日のミネソタ・ツインズ戦の4回に満塁ホームランを放ち、MLB通算600号を達成しました。
 MLB史上9人目であり、2001年4月にメジャーデビューして、17年をかけての大記録でした。(6月19日時点では602本としています)

 続いては、テキサス・レンジャーズのエイドリアン・ベルトレイ選手(38歳)。
 6月19日現在、通算安打数を2959まで伸ばしています。3000本安打まで、あと41本。
 1998年6月にメジャーデビューしていますから、19年かけての記録達成となりそうなのです。

 今季は故障で出場が遅れ、5月29日からの登場となりましたが、出場してくればいつもの「元気いっぱい」のプレーを披露して、連続試合安打を続けていますから、2017年シーズン中に3000本に到達するのは間違いないところでしょう。

 実は、プホルズ選手は6月19日時点で通算2886安打も記録していますから、現在の活躍を観る限り、3000本安打を達成する可能性は、かなり高いと思います。

 従って、ドミニカ共和国出身のMLBプレーヤーとして、初の「3000本安打クラブ」プレーヤーがベルトレイ選手、2人目がプホルズ選手になるものと予想されます。

 共に、チームの中心プレーヤーであり、迫力十分、そして「そのプレーを是非観たい」と感じさせる、本物のプロフェッショナルなのです。
 ヒューストン・アストロズが好調です。
 アメリカンリーグAL西地区の首位を快走しているのです。

 今シーズンは、青木宣親選手を始めとして、カルロス・ベルトラン選手やブライアン・マッキャン選手を補強し、その補強が功を奏して、6月17日時点でチーム打率が.276でAL2位と、攻撃力が格段に向上しました。

 今季からメンバー入りした青木選手も、生き生きとプレーしている感じがします。

 ご存じのように、青木選手は2012年にミルウォーキー・ブリュワーズでMLBデビューし、その後2014年にカンザスシティ・ロイヤルズ、2015年にサンフランシスコ・ジャイアンツ、2016年にシアトル・マリナーズ、そして2017年にアストロズでプレーしています。

 その2014年にはワールドシリーズに出場しました。残念ながらジャイアンツの前に敗れて、世界一はなりませんでしたけれども、あの時のロイヤルズの中心メンバーのひとりであったことは間違いないでしょう。
 そして今季も、ポストシーズンゲームに向けてまっしぐらと言う感じなのです。

 青木選手には「勢いのあるチームの一員となる」という巡り会わせがあるように思います。
 別の見方をすれば、青木選手がチームに「福」を齎していると言えるのかもしれません。
 当然のことながら、相当の一流プレーヤーでも、ワールドシリーズに出場することは難しいことです。まさに「巡り会わせの賜物」という気がします。

 この「招福」効果と言う点では、田口壮選手が青木選手の上を行っているかもしれません。
 田口選手は、2002年から2009年までMLBでプレーし、2006年にセントルイス・カージナルスで、2007年にフィラデルフィア・フィリーズで、ワールドシリーズを制覇しました。
 日本人プレーヤーで、2度の世界一に輝いているのは田口選手だけでしょう。

 客観的に観て、田口選手はどちらの世界一の時も、チームの中心選手とは言えなかったと思いますが、チームに勝ちを齎す存在であったことは、カージナルス時代に地元紙のアンケートで「ベストなベンチ要員」において断然トップであったことを見ても明らかでしょう。
 多くのポジションを熟せるユーティリティプレーヤーとしての側面と、ムードメーカーとしての役割が高く評価されていたのです。
 カージナルスの名称ラルーサ監督も、田口選手を大変高く買っていたと何度も報じられました。

 「招福」効果が髙いと思われる青木選手が加わったヒューストン・アストロズですから、2017年シーズンの大活躍が期待されるのです。
[6月14日・インターリーグ・マーリンズパーク]
マイアミ・マーリンズ11-6オークランド・アスレティックス

 5回に代打で出場したイチロー選手がヒットを打ち、チームの勝利に貢献しました。
 これでイチロー選手は5試合連続ヒットとなり、打率も.217に上げました。

 そして、このヒットはMLB通算3048安打目であるとともに、インターリーグ(交流戦)での365安打目となりました。(301試合出場、打率.318)
 インターリーグ365安打は、それまで364安打でトップタイに並んでいたデレク・ジータ選手の記録を抜いて、MLB新記録となりました。

 このところのイチロー選手のキャリアは「記録との戦い」という側面がありますが、今回も素晴らしい記録を樹立することとなったのです。
 27歳からメジャーリーグに登場したプレーヤーが、通算記録でMLB歴代トップに躍り出るというのは、「驚異的」という他はありません。

 頭書のヒットは、イチロー選手にとっての今季18本目のヒットでした。
 1ヵ月に50本以上のヒットを量産したことが何度もあるイチロー選手にとっては、とても少ない数です。

 今季はシーズン当初から出場機会に恵まれず、途中ヒットが出ない時期もあったものですから、「限界説」も囁かれました。
 伝説のプレーヤーも43歳になって、さすがに衰えが目立つようになった、などと報じる記事も目に付くようになったのです。

 私としては、そんなことはない、要は試合出場機会が少な過ぎるだけ、試合勘というよりも「試合体力」を鍛えるチャンスが無いだけ、感じていました。

 当たり前のことで恐縮ですが、どんなスポーツにおいても、「練習と試合は全く違う」のです。

 練習でどんなに真剣・正確にプレーしても、試合のそれとは多くの点で異なるのは当然のことでしょう。そもそも、アドレナリンの出方ひとつ、心持ひとつ、違うのですから。

 従って、どんなに優れたトレーニングを継続していたとしても、試合におけるパワー・スピード・瞬発力を維持するのは困難なのです。
 試合で通用するパワーやスピードは、試合に出場しながら積み上げていく他は無いのでしょう。

 レギュラーではないプレーヤーのコンディション作りの難しさが、そこにあります。

 この数年、イチロー選手は「控え」の立場でしたから、相当の準備をしてゲームに望んできたのでしょうが、シーズン60試合を越えた時点で89度しか打席に立てないという、出場頻度の少なさでは、さすがに「試合レベルのパワー・スピードの養成」は困難だったのです。
 もともと「スロースターター」のイチロー選手にとっては、尚更でしょう。

 ここにきて、少なくとも「毎試合出場できる状況」になりましたので、イチロー選手のフィジカルも試合用に向上してきたと考えます。

 もし、イチロー選手が毎試合出場し、3試合に1試合でも先発出場できるようになれば、打率も上がり、ヒット数も飛躍的に増えることでしょう。

 イチロー選手には、まだまだ、その能力が十分に有ると思います。
 
 リーグ屈指の「強力な外野手トリオ」を有するマーリンズにおいては、イチロー選手の出場機会の飛躍的増加は難しいのかもしれませんが、ドン・マッティングリー監督におかれては、DHも含めて、「イチロー選手の力をチームの優勝・成績アップの為に」活用していただきたいと思うのです。
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カエサルjr

Author:カエサルjr
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