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 マイアミ・マーリンズのイチロー選手が、4月19日に行われたシアトル・マリナーズ戦の9回、右中間スタンドにホームランを放ちました。エバン・マーシャル投手からの一打は、2017年シーズン、イチロー選手にとっての初ホームランでした。

 古巣マリナーズのホーム、セーフコフィールドでの一発は、様々な意味で重い、記録にも記憶にも残るものとなりました。

① MLB17年連続

 このホームランは、イチロー選手にとってMLBにおける17シーズン連続のものとなりました。
 2001年に始まったMLBでの活躍ですが、2017年シーズンまで途切れることなくホームランが続いているのです。

 凄いことです。

 特に、2014年から2016年は、各シーズン1本ずつです。2016年シーズンは、シーズン終盤になって「1号ホームラン」が飛び出しました。正直、少し心配していたのです。
 加齢に加えて、出場機会の減少がありましたから、ひょっとすると出ないかも、と感じていたのです。

 それが2017年は、開幕早々の4月のホームランですから、ある面では今シーズンは「安心して?」シーズンの活躍を観ることが出来ます。

② 日米通算25年連続

 オリックス時代も通算すると25シーズン連続ホームランと言うことになります。

 「25年連続」は、MLB記録(リッキー・ヘンダーソン選手)に並ぶ数字です。
 日本プロ野球ならば、谷重元信選手の26年連続に次ぐ記録であり、野村勝也選手の25年連続に並んだことになります。

 「日米通算」ということですが、絶対期間としての「25年連続」の偉大さは、高く評価されるべきものでしょう。

③ セーフコフィールドでの最後のホームラン?

 地元やアメリカのメディアにおいては、この点が強調されているようです。

 「セーフコのファンは彼がベースを回る間、スタンディングオベーションし、彼がダグアウトに入って見えなくなっても名前をくり返した」と報じられていますし、シアトルの三塁手カイル・シーガー選手は「対戦相手のホームランは見たくない。でも、あの瞬間はとても特別なものだったね。ぞくっとしたよ。もちろん、彼にはホームランを打ってほしくはなかった。けど、イチローがセーフコで打つときは、これまで彼がやってきたこと全てがそうだったように、ベースボールにとって特別な、ゲームより大きなものだったと思う」とコメントしたとシアトルタイムズ紙が伝えました。

 MLBおけるイチロー選手の位置づけ・価値、特別な価値が良く分かるコメントだと感じます。

 そして一方では、シアトルタイムズ紙のディビッシュ記者が「イチローのセーフコでの最後の打席は、ホームランだったということになるのだろうか」と問いかけてもいます。

 確かに、43歳になったイチロー選手の2018年以降のシーズンのことは、誰にもわかりませんから、セーフコフィールドのファンがそうした気持ちになるのも分かります。

 それに対してイチロー選手は「自分たちの試合がここであれば、またここに戻ってくる。・・・このシリーズで最後の試合とだけ考えていた」と応えたと報じられました。

 何と力強いコメントでしょうか。
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 MLBの2017年シーズンが開幕しました。

 今年も「ベースボール・イズ・アメリカ」の季節が到来したのです。

 シーズン開幕早々ですが、田中将大投手、ダルビッシュ有投手、岩隈久志投手、前田健太投手と、日本人ピッチャーが次々とマウンドに登場するものの、まだ1勝も挙げることができていないのが気がかりなところです。(調子が出ていないプレーヤーばかりではありませんので、「めぐり合わせ」であろうと思っていますが)

 そういった中で、4月4日大リーグ機構から、今季のMLB開幕メンバー868名のデータが公表されました。

 アメリカ以外の国・地域の出身者が259名となり29.8%を占めました。統計を取り始めた1995年以降では最多の数字とのこと。出身地も19となり、過去最多を記録しました。ミネソタ・ツインズの外野手ケプラー選手がドイツ出身者として、初めてメジャー入りを果たしたのです。

 アメリカを除く国別では、ドミニカが93名と最多、ベネズエラ77名、キューバ23名、プエルトリコ16名と続き、日本は8名で第6位でした。

 チーム別の「外国人プレーヤー数」では、テキサス・レンジャーズの14名が最多、サンディエゴ・パドレスとシアトル・マリナーズが12人で続いていると報じられています。

 ベースボールというスポーツにおけるMLBの位置づけは極めて重いものです。
 例えば、サッカーにおけるリーガ・エスパニョーラやプレミアリーグの「重さ」比較にならない「重さ」でしょう。(単純に比較すべきものでは無いとは思いますが)

 ベースボールはサッカーに比べれば、盛んな国の数と言う面の国際化が遅れていて、アメリカの比重が大きい=MLBの比重が大きい競技ですから、現状では「MLBの様子」が「ベースボールの様子」に近いものとなっていると見てよいと思います。

 もちろん、日本プロ野球も素晴らしいプロスポーツとして、確固たる地位を築いていますが、こちらは「野球」の最高峰なのであろうと感じるのです。(野球とベースボールの違いは、説明することが極めて難しい、永遠のテーマであろうと思います)

 そのMLBにおいて、「外国出身プレーヤーの比率が最大になった」のですから、ベースボールの国際化が着実に進んでいると言って良いのでしょう。

 我らが日本人プレーヤーも、もちろん、MLBにおいては外国人プレーヤーです。

 一方で、MLBにおける日本人プレーヤーが「助っ人」であるという印象はありません。
 「世界最高の舞台で生き生きと戦うプレーヤー」という印象が強いのです。

 そのこと自体が、プロフェッショナル・ベースボール=MLBという実態を、改めて感じさせるところなのでしょう。
 3月2日、アメリカ大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会が、今シーズンのルール変更を発表しました。
 毎年この時期に行われる発表であり、今シーズンもいくつかの変更点が示されましたが、最もインパクトの有る変更点は「守備側の監督が審判に意思表示するだけで敬遠四球となる→投手が1球も投げずに四球が成立する」というルールでしょう。

① スピーディな試合進行をめざすものか

 近年のルール変更では「スピーディな試合進行実現を目指す施策」が多く、今年の変更点の中にも「監督がビデオ判定を要求するかどうかを判断する時間は30秒以内」といった変更も行われています。

 この「申告制敬遠四球」もその一環でしょう。
 観客にとっての「退屈な時間」を少しでも減らし、試合時間短縮を狙う施策であろうと思います。

② 暴投リスク

 敬遠四球で投手が4.球を投ずる際に、暴投が発生することがあります。
 ピッチャーにとっては「普段投げない位置」に投球するのですから、敬遠四球自体は、そう易しいプレーでは無いのでしょう。現役投手からも「易しいプレーでは無い」とのコメントが聞かれます。
 こうしたミスが生じないように、キャッチャーは大きくグラブを広げて、投球位置を示しています。

 この「敬遠四球」における不測の事態・暴投も、ベースボールのひとつのシーンであり、面白さの一部であるとのご意見も有りそうですが、このシーンは2017年シーズンでは観られないこととなりました。

③ 打って行くプレー

 これは滅多に観られないプレーですが、「敬遠四球」の投球を打者が打って行くというプレーがあります。日本プロ野球におけるクロマティ選手や新庄選手の打撃は、現在でも「好プレー・珍プレー」のひとつとしてテレビ番組で採り上げられることがあります。

 こうした「意外性満点のプレー」も、今シーズンは観られなくなりました。

 もちろん、敬遠四球プレー時に「暴投」や「ヒッティング」は滅多に起こらないことだからこそ、こうしたルール変更が実施されたのでしょう。

④ 投球数

 投手側から見れば、敬遠四球に要した「4球」の投球数が減ることになります。
 投球数が重要視されるMLBにおいては、この「4球」は思ったより大きな影響を与えるかもしれません。
 もちろん、敬遠四球の投球は通常の投球に比べて、投手の疲労蓄積が少ないという見方もあろうとは思いますが、前述のように「暴投」や「打ってくる」というリスクも存在しますので、そうそう手を抜いた投球も出来ないでしょうし、投球のリズムを変えることは投手にとってはリスクが大きいでしょうから、やはりこの「投球不要」は大きいと感じます。

 敬遠四球が2打者に対して行われれば8球になります。8球で1イニングを終らせることは、そう珍しいことでは無いでしょう。

 総合的に見れば、このルール変更は投手側・守備側に有利なものと言えそうです。

 この変更がレギュラーシーズンのプレーにどれ位の影響を与えるのか。
 とても興味深いところです。
 2017年シーズンのスプリングトレーニングにおいて、イチロー選手が怪我をしたというニュースが、2月22日に流れました。

 43歳のイチロー選手にとって、怪我・故障は絶対に回避したいところですので、ニュースに見入りました。

 事は外野フライをキャッチする練習で、センターを守っていたイチロー選手と、ライトを守っていたバーンズ選手が、同時に捕球体勢に入り、両選手とも声掛けをしたものの、両選手とも聞こえず、接触してしまったというもの。

 マーリンズ球団の公式ホームページによれば、この接触は「衝突」ではなく「かすめる程度」のものであったそうです。
 イチロー選手は、歩きにくそうにクラブハウスに入っていったと続きます。
 そして、現時点では、開幕出場に影響が出るほどの怪我ではないと結んでいます。

 怪我の程度が軽そうであることにホッとしますが、話はここから盛り上がるのです。
 イチロー選手ならではの「盛り上がり」といって良いでしょう。

 イチロー選手が「何人かの選手がトレーナー室に入ってきて、僕と一緒に写真を撮った。なぜなら、彼らは僕をトレーナー室で見かけたことが無いから」とコメントしたとも報じられています。
 「イチロー選手がトレーナー室に居ること自体が事件というかビッグニュース」なのです。

 トレーナー室でイチロー選手の患部を診察することに使われた、医療用の手袋が捨てられずに保存されていること、そして、治療に使用されたスチームが出る機器も別に保管されて二度と使われることは無い、とも伝えられています。

 「これらは全てクーパーズタウン(ベースボール殿堂博物館)行き」とも書かれています。

 「怪我さえ伝説になる」イチロー選手の存在感は、さすがという他はありません。

 後は、イチロー選手の怪我が、本当に軽傷であることを祈るばかりです。
 シーズンオフに入ったMLBでは、例年様々な記録が採り上げられます。

 先日も「ニューヨーク・デイリーニュース電子版」に、打率4割に近づいたプレーヤーが特集されていたと報じられました。

 ベースボールファンならご承知のように、シーズン打率4割の記録は、1941年のテッド・ウィリアムス選手の.406が最期となっていますから、既に75年間もの長きに渡って達成されていない記録となっています。

 ホームランの記録は近世になって次々と塗り替えられていますが、打率記録はなかなか更新が難しいというか、投球術・投手力の進歩も有ってか、過去の記録に近づくことさえ難しい状況が続いているのです。

 この「75年間」で最も4割に近づいたのは、1994年のトニー・グウィン選手です。
 グウィン選手は、1982年から2001年まで20シーズンに渡って、サンディエゴ・パドレス一筋のプレーヤーでした。20シーズン・1チームのMLBプレーヤーというのは、実は珍しいのではないかと思います。
 
 1994年シーズンのグウィン選手は165安打でした。意外に少ないと感じますが、この年は8月から「選手会による長期ストライキ」が有った年で、グウィン選手も110試合しか出場していません。
 このシーズンが中断した時点での打率が.394だった訳で、例年の通り150試合前後に出場していたら、4割を達成できたのかどうかは、とても興味深いところです。

 グウィン選手は、通算3,141安打、8度の首位打者タイトル獲得、オールスターゲーム出場15回という、まさにスーパースターでした。

 これに続くのは、1980年ジョージ・ブレット選手の.390、1977年ロッド・カルー選手の.388、1999年ラリー・ウォーカー選手、1948年スタン・ミュージアル選手の.376、2000年ノマー・ガルシアパーラ選手とトッド・ヘルトン選手の.372となります。

 そして21世紀に入ると、2004年イチロー選手の.372が輝いています。
 ご承知のように、2004年のイチロー選手は、MLB新記録の262安打を樹立し、首位打者タイトルも獲得しました。

 このイチロー選手以降、MLBでは.370を超える打者は登場していませんから、このイチロー選手の記録の偉大さがよく分かります。

 常に「幾多のベースボールの天才」が集うMLBにおいてさえ、「シーズン打率4割」は厚い壁として聳え立っています。

 2017年シーズンに、この「夢の記録」に挑む強者は現れるのでしょうか。
 その年に最も活躍した投手に対して、アメリカンリーグAL、ナショナルリーグNLのそれぞれから1人ずつ選出されるのが、投手にとってのMLB最高の栄誉「サイ・ヤング賞」です。

 11月16日に2016年の受賞者が発表されました。
 ALはボストン・レッドソックスのリックポーセロ投手(27歳。22勝で最多勝)、NLはワシントン・ナショナルズのマックス・シャーザー投手(32歳。228回と1/3イニング投球、20勝、共にリーグ最多)が選出されたのです。

 2投手の2016年の活躍は素晴らしいものでした。

 また、シャーザー投手は2013年に続いて2度目の受賞であり、2013年はALのデトロイト・タイガースにおける受賞でしたから、「両リーグにおけるサイ・ヤング賞受賞」を達成しました。

 30チームにより構成される、世界最高のベースボールリーグであるMLBにおいて、「NO.1ピッチャー」の称号を受けることは、ものすごく難しいことですが、それを「両リークで」というのですから、歴史に残る快挙ということになります。

 「両リーグでサイ・ヤング賞受賞」という投手は、MLBの歴史においても「僅か6人」しか居ないのです。
 達成した順に見てみましょう。

① ゲイロード・ペリー投手 

 1972年にクリーブランド・インディアンズ、1978年にサンディエゴ・パドレス、で受賞しました。キャリア通算314勝265敗、述べ9チームで活躍しました。MLB史上最も有名なスピットボーラーでしょう。

② ペドロ・マルティネス投手 

 1997年にモントリオール・エクスポズ、1999年にボストン・レッドソックス、2000年にもボストンでサイ・ヤング賞を受けています。「両リーグ」を達成したのは1999年ということになります。通算219勝100敗、速球(フォーシーム、ツーシーム)、カーブ、チェンジアップなど多彩な球種をコントロール良く投げ込むことから、イチロー選手が「完璧な投手」と呼んだと報じられました。

③ ランディ・ジョンソン投手

 1995年シアトル・マリナーズ、1999年アリゾナ・ダイヤモンドバックスで受賞すると、ここから2002年まで「4年連続のサイ・ヤング賞」という「連続受賞記録」(グレッグ・マダックス投手とのタイ記録)を成し遂げました。5度の受賞は史上2位。
 「両リーグ」を達成したのは1999年で、マルティネス投手と同じ年です。
 6フィート10インチ=約208cmの長身から投ずる、最速102マイル=約164kmの速球を主体に、スライダーやスプリットを投げ込みました。奪三振率10.61(9イニング当たりの奪三振数)はMLB史上1位です。
 「ビッグユニット」と称された、色々な面で「大きな」投手でした。

④ ロジャー・クレメンス投手

 1986年にボストン・レッドソックスで初受賞したのを皮切りに、1987年と1991年にもボストンで、1997年・1998年にトロント・ブルージェイズで、2001年にはニューヨーク・ヤンキースで受賞しました。そして2004年にヒューストン・アストロズで受賞して「両リーグ」を達成したのです。
 計7度のサイ・ヤング賞は史上最多、通算354勝184敗、MLB通算24年という息の長い名投手でした。

⑤ ロイ・ハラディ投手

 2003年にトロント・ブルージェイズで、2010年にフィラデルフィア・フィリーズで受賞し、「両リーグ」を成し遂げました。通算203勝105敗、シンカーやチェンジアップといった落ちるボールを得意とする、代表的なグラウンドボールピッチャー(ゴロを打たせてアウトを取る)と呼ばれています。結果として「少ない球数で打者を料理する」ことから、シーズン230イニング以上投球を5度も記録しています。

⑥ マックス・シャーザー投手 前述のとおりです。

 当然のことながら、いずれ劣らぬ名投手が並びますが、ペリー投手ほどではないにしても「多くの球団を渡り歩いた投手」が多いのも特徴でしょうか。
 マルティネス投手が5チーム、クレメンス投手も5チーム、シャーザー投手も減益ながら既に3チームを経験しています。

 MLBのピッチャーにとっての最大の勲章「サイ・ヤング賞」。

 日本人投手の受賞が待たれます。
 MLB2016ワールドシリーズは、シカゴ・カブスがクリーブランド・インディアンズを4勝3敗で下し、108年振り3度目の王座に就きました。

 常に凄まじい戦いが繰り広げられるワールドシリーズですが、2016年の戦いは接戦・激戦・死闘の連続という様相を呈し、歴史に残るシリーズになったと思います。

 その「歴史に残るシリーズ」をベンチの中に居て、つぶさに目の当たりにしたのが、川崎宗則選手でした。
 
 ワールドシリーズ2016の全試合を球場で観戦した人は、アメリカ合衆国には相当数存在すると思いますが、川崎選手のような形で観戦した方は、ほとんど居ないでしょう。

 川崎選手は、カブスのベンチの中から戦いを観ていました。

 一方で、今シリーズのカブスのロースター(出場可能選手)25名には入っていませんでしたから、試合に出場することは出来ない立場として、しかし、ベンチの中に常に居たのです。

 まず、こうした環境でワールドシリーズを観ることは、滅多にできないことでしょう。

 先発プレーヤーとして、あるいは控えのプレーヤーとして、ベンチに居ることはできるというか、ブルペンも含めて25名のプレーヤーは、こうした立場でゲームに関わっていました。常に緊張を強いられる立場です。

 これに対して川崎選手は、試合がどれほど煮詰まってきても、自ら出場したいという気持ちが高まったとしても、試合に出ることは出来ないのですが、緊張の極みにあるプレーヤーの隣に存在し、話をすることもでき、好プレーを演じたプレーヤーとハイタッチもする、立場だったのです。

 「ワールドシリーズに最も近い位置」に居ながら、とても冷静にシリーズを見つめることが出来る、私のような観客としての立場から見れば「素晴らしいポジション」だと思います。(不謹慎と言われそうで、恐縮です)

 川崎選手への役割期待は、どのようなものだったのでしょう。

① ベンチのムードメーカー

 おそらくは、この役割が最大だったのではないでしょうか。
 常に明るく、元気いっぱいの川崎選手は、チームメイトに勇気を与え続け、激励し続けたのではないかと思います。
 この役割を担わせて、ムネリン以上の活躍が出来るプレーヤーは、なかなか居ないのかもしれません。

② 「勝利の女神」としての存在

 男性の川崎選手を女神というのも変ですが、ひょっとするとこうした役割もあったのではないかと感じます。

 日本流にいえば「吉運」を齎す存在です。

 マッドン監督やカブスファンにとって、川崎選手は「勝利を招き入れる存在」だったのかもしれません。

 今シリーズ、川崎選手は「黒縁のメガネ」をかけていました。
 とても目立つメガネでしたから、時々カブスベンチがテレビ映像で流されると、川崎選手の存在が直ぐに分かりました。

 黒メガネの川崎選手は、味方がヒットやホームランを打つと「大喜び」し、味方のピンチには「神妙な表情」で見つめていました。

 そして、味方のシリーズ勝利が決まった瞬間には、一気にベンチを飛び出していました。
 ムネリンは「カブスの風景」の一部だったのです。

 もちろんワールドシリーズの試合に出場したかったのでしょうけれども、川崎選手はこのシリーズにおける役割を十分に果たしたように感じます。
 クリーブランド・インディアンズが3勝1敗として王手を掛けた、2016年のワールドシリーズでしたが、シカゴ・カブスが第5戦・第6戦を連勝して3勝3敗のタイとし、最終第7戦に縺れ込みました。

 11月2日、インディアンズの本拠地プログレッシブ・フィールドで行われた第7戦は、こちらも延長に縺れ込むという、まさに「死闘」となりました。

① 8連続フライアウト

 インディアンズの先発はクルーバー投手でした。このシリーズ3度目の先発です。
 1試合1試合、1点1点がとても重い、レギュラーシーズンの試合とは相当趣を異にする試合、疲労の蓄積が早い試合が続く状況下、中3日で3度目の登板というのは、まさに「大エース」の活躍ということになります。

 そのクルーバー投手が1回から3回にかけて、8連続フライアウトを取ったのです。

 8連続フライアウトというのは、そのこと自体とても珍しいことだと思いますが、投げているのが、「ゴロアウト」主体に打たせて取る投球を得意にする、今シーズン18勝を挙げた、インディアンズの大エース・クルーバー投手となると、本当に不思議な話となります。

 やはり、普段の投球と比べて、球筋が高く、投球の変化が小さかったと観るべきなのでしょう。
 今シリーズ既に2勝を挙げ、カブス打線を翻弄してきたクルーバー投手にも、さすがに疲労が蓄積していたのです。

 この「いつもより高く、キレの無い投球」を、カブスの一番打者・ファウラー選手が捉え、先頭打者ホームランを浴びせました。ここまで完璧に牛耳られてきたクルーバー投手に対して、カブス打線が魅せた意地の一発でした。

 クルーバー投手は4回にも、犠牲フライとセンターオーバーのタイムリー2ベースヒットにより2点を失い、5回にもバイエス選手のホームランで失点しました。
 4失点、いずれの失点も「フライ性の打球」から生まれています。

 残念ながらこのゲームでは、クルーバー投手は持ち味を発揮できなかったのです。

② レスター・ラッキー・アリエタの揃い踏み

 2回を終えたところで、カブスのベンチからレスター投手、ラッキー投手、アリエタ投手がブルペンに向かって歩き始めました。

 シカゴの誇る先発投手陣が、ブルペンに向かったのです。
 その姿は「迫力満点」。
 向かって左にレスター投手、真ん中にラッキー投手、右にアリエタ投手。

 このゲームは投手陣の総力を挙げて戦うという、マッドン監督の意志の表れだったのでしょう。

③ 不調だったミラー投手とチャップマン投手

 本来の投球を見せることができなかったクルーバー投手をリリーフしたのは、インディアンズブルペンの「切り札」ミラー投手でしたが、こちらも本来の投球とは行きませんでした。

 スピード・球のキレ共に、好調時とは比べ物にならないものでした。
 やはり、ポストシーズンに入ってからの厳しいゲームの連続で、疲労が相当蓄積されていたのでしょう。

 ミラー投手は、5回表、リリーフした直後に1失点し、6回表にもホームランを浴びてしまいました。
 5回裏に2点を挙げて、3-5とカブスが追い上げた後だけに、とても残念な被弾でした。

 カブス6-3の3点リードで迎えた8回裏、「守護神」チャップマン投手がマウンドに上がりました。
 MLB・NO.1の快速球投手にして、シカゴ・カブスのクローザーであるチャップマン投手がマウンドに上がった以上は、「これで試合は決まり」と観るのが常道です。

 ところが、このチャップマン投手も、本来の出来とはかけ離れた投球となってしまったのです。
 最初の打者に対する、最初の3球を見て「おやっ」と思いました。
 球速が160kmに届かないのです。

 8回1死からの、クローザーとしては「長い」投球になるので、力をセーブしているのかと思いましたが、そうではなくて、調子が悪いのだということに気が付くのに時間はかかりませんでした。

 長打を浴びて、1塁ランナーが一気にホームイン。
 6-4と2点差になりました。

 そして、続くデービス選手がレフトスタンドに突き刺さる、弾丸ライナーの2ランホームラン!6-6の同点。
 やや意気消沈気味であったインディアンズファンの喜びが爆発し、ボールパークは大声援に包まれました。観客として来ていた、NBAクリーブランド・キャバリアーズの大黒柱レブロン・ジェームズ選手も大喜びでした。
 カブスが押し続けていたゲームが、ついに振り出しに戻ったのです。

 今年ニューヨーク・ヤンキースから移籍してきた、インディアンズのミラー投手、カブスのチャップマン投手は、共にポストシーズンの両チームの勝ち上がりに、圧倒的な貢献を魅せてきましたが、共にこの最終戦では、全く「らしくない」投球に終わりました。

 ミラー投手には「疲労」、チャップマン投手には「右足首の故障」が大きな影を落としたのでしょう。

④ カブスファンの大歓声

 1回表、先頭のファウラー選手がホームランを放った時、プログレッシブ・フィールドには大歓声が響きました。

 アウェイのチームは、タイムリーヒットを打とうが、ホームランを打とうが、「何もなかったかのように」静まり返るのが、MLBの筈なのですが、この試合のスタンドには相当多くのカブスファンが詰めかけていたのです。

 どのような方法でチケットを入手したのかは分かりませんけれども、インディアンズファン対カブスファンの比率は、6対4というのは大袈裟にしても、7対3位ではあったという感じがします。

 赤い装束に身を包んだインディアンズファンの合間に、青い装束のカブスファンが相当数混じっていました。そして、カブスのプレーヤーの一投一打に大声援を送り続けたのです。
 これが、カブスの敵地での勝利に大きな力となったことは間違いありません。

 この試合の、良い席のチケットは、200万円近くの値段が付いたとの情報が有りました。1試合・1枚・1席・200万円というのは、驚きの価格ですけれども、それだけの価値が有る試合なのでしょうし、アメリカ合衆国におけるプロスポーツの人気の高さ、ひいてはアメリカ経済の実力を如実に示しているとも感じます。

⑤ 雨

 事前の気象情報でも、この日は夜遅くなると雨が降る、とされていました。
 そして試合は、6-6の同点で延長に入る長い試合となったのです。

 予報通り、雨が降り始めました。9回表から降り始めていた雨が、9回終了時には強くなったのです。
 ダイヤモンドには「覆い」がかけられました。

 時刻は、11月3日の午前0時を過ぎました。この時刻になっても、観客は誰も帰ろうとはしません。これがMLBなのです。

 雨足が相当強かったので、再開の目途は立ちそうも有りませんでしたから、このまま翌日に、この状況のままで再試合になるかもしれないと考え始めた頃、急に雨が止みました。

 「ベースボールの神様」が、この「死闘」にブレイクタイムを挟んでくれたかのようでした。

 10回表、クローザーのアレン投手をリリーフしたショー投手がマウンドに上がっていましたが、降雨中断後、カブス打線がショー投手に襲い掛かりました。
 そして2点を捥ぎ取り8-6として、10回裏を迎えました。

 10回裏2死ランナー無しとなった時には、これでカブスの優勝だと、誰もが思いましたが、ここからインディアンズが反撃して1点を返し、8-7。ランナーが居ましたから、ここでホームランが飛び出せばインディアンズのサヨナラ勝ち、という状況となりました。

 両チームの意地と意地のぶつかり合いは、最後の1球まで続いたのです。
 そしてインディアンズ最後の打者の打球を、カブスの3塁手が捌き、1塁に投げて、アウトとなった時にも、「試合終了」に気が付くまでに、少し(1~2秒)時間がかかりました。

 「いつ果てるとも知れない」ゲームが終ったことを実感するのは、なかなか大変なことだったのです。

 ゲームは8-7でシカゴ・カブスが勝ちました。
 そして、2016年のワールドシリーズを4勝3敗で制したのです。

 カブスにとって1908年以来、108年振り3度目の世界一でした。

 「クリーブランドの風」を制して、シカゴ・カブスは「ヤギの呪い」を完全に払拭したのです。
 10月29日に行われたワールドシリーズ2016・第4戦は、クリーブランド・インディアンズが7-2でシカゴ・カブスに快勝し、通算成績を3勝1敗としました。
 日本流に言えば、「ワールドチャンピオンに王手をかけた」形です。

 第3戦・第4戦はカブスのホーム・リグレーフィールドで開催されました。ブルー一色に染め上げられた「完全アウェイ」の中で、しかし、インディアンズは伸び伸びとプレーし、自らの持ち味である「競り合いでの強さ」を如何なく発揮しています。

 シリーズが始まる前は、レギュラーシーズン103勝を挙げたカブスが有利との意見が多く、伝説の「ヤギの呪い」も相俟って、今シリーズは「カブスのシリーズ」という観が強かったのですが、始まってみれば、ここまではインディアンズのシリーズとなっているのです。

 まるで「フランコーナ・マジック」の様だと思います。

 インディアンズのテリー・フランコーナ監督は今回で3度目のワールドシリーズ出場ですが、「まだ1敗しかしていない」のです。
 ボストン・レッドソックス時代の2度のワールドシリーズは共に4勝0敗でワールドチャンピオンに輝きました。
 フランコーナ監督にとっては、今シリーズ第2戦で1-5でカブスに敗れたのが、ワールドシリーズにおける初めての敗戦だったというのですから驚きです。

 これほど「ワールドシリーズでの勝率が高い監督」はなかなか居ないでしょう。

 それで「フランコーナ・マジック」となるわけです。

 采配を見れば、やはり「投手起用の妙」が特徴でしょう。今シリーズもここまでカブス打線を抑え込んでいます。第3戦で1-0の勝利、第4戦で7-2の勝利ですから、2試合で2失点ですから、勝利を挙げる確率は当然ながら高くなるわけです。
 ついでに言えば、初戦も6-0の完封勝ちでした。

 レギュラーシーズンにおいて得点力十分だったカブス打線をほぼ完全に封じているのは、見事という他はありません。

 さて、シカゴ・カブスは追い込まれました。
 第5戦は、エースのジョン・レスター投手を立てての戦いとなります。
 
 ちなみにカブスの先発として、第4戦に登板したジョン・ラッキー投手と第1戦に登板したジョン・レスター投手という「2人のジョン」は、フランコーナ監督の下でボストン・レッドソックスが黄金時代を築いた時の主力ピッチャーでした。
 ひょっとするとフランコーナ監督は、レスター投手とラッキー投手の攻略法を熟知しているのかもしれません。

 メジャーリーグベースボールの「聖地のひとつ」であるリグレーフィールドには、全米屈指の熱狂的な野球ファンが集まっています。
 そのファンの前で、カブスは3連敗する訳には行かないでしょう。

 フランコーナ・マジックを乗り越えるには、カブス打線の奮起が不可欠です。

 インディアンズのトレバー・バウアー投手に対して、カブスのプレーヤー達は、どのような戦術と気迫で立ち向かっていくのでしょうか。
 クリーブランド・インディアンズとシカゴ・カブスの戦いとなった、今季のワールドシリーズですが、今季のトレード期限ぎりぎりにニューヨーク・ヤンキースから移籍した2人の投手がカギを握っているシリーズとも言えそうです。

 インディアンズのアンドルー・ミラー投手は、セットアッパーとして、フランコナ監督の「絶対の信頼」を得ています。

 クローザーに繋ぐ7回・8回に出て来ると、バッタバッタと打者を打ち取って行きます。
 特に、その三振奪取率は高く、1イニング3アウトの内2つは三振で取っているという印象です。
 相手打者の内角を突く高速スライダーの威力は、MLB最高レベルでしょう。

 もうひとりは、カブスのアロルディス・チャップマン投手。こちらはクローザーです。

 チャップマン投手といえば、言わずと知れた「100マイルピッチャー」です。
 ほとんどストレートで押し、そのストレートがほとんど160kmを超えるのです。
 チャップマン投手が、その大きなユニットを稼働させて投球を魅せる時、カブスファンの声援は最高潮となるのです。

 ミラー投手とチャップマン投手、どちらの投手がより輝くかということが、ワールドシリーズの帰趨に大きな影響を与えることでしょう。

 それにしても、これだけ良いプレーヤーを次々と放出したヤンキースは、どんなチームを創ろうとしているのでしょうか。
 MLB2016ポストシーズンも、10月25日から始まるワールドシリーズを残すだけとなりました。

 今年のワールドシリーズは、アメリカンリーグALのクリーブランド・ブラウンズとナショナルリーグNLのシカゴ・カブスの対戦となりました。
 結果としては、両リーグともに順当なチームがリーグチャンピオンとなった印象です。

 ワールドシリーズ2016が興味深いのは、両チームとも「負けられない」シリーズとなっているところでしょうか。

 インディアンズにとっては「クリーブランドへの風」を受けてのシリーズとなります。
 アメリカ4大スポーツのチームが本拠地を置く都市の中で、最も長い間「優勝を味わっていなかった」のがオハイオ州クリーブランドでした。
 1964年のNFLクリーブランド・ブラウンズの優勝以来、50年以上に渡って「クリーブランドの市民」は優勝の喜びを忘れていたのです。

 この長い空白を破ったのが、今2016年のNBAのクリーブランド・キャバリアーズでした。
 エースのレブロン・ジェームズ選手の活躍などにより、1勝3敗からNBAファイナルを制し、初優勝を遂げると共に、クリーブランドのスポーツファンを歓喜の渦に巻き込みました。

 そして、今度はMLBの番だとばかりにインディアンズが快進撃を続け地区優勝。ポストシーズンに入っても、地区シリーズでボストン・レッドソックスを3勝0敗でスイープ、リーグチャンピオンシップでもトロント・ブルージェイズを4勝1敗で早々に退け、早々とワールドシリーズ進出を決めました。
 素晴らしい勢いで勝ち続けているのです。

 インディアンズ自体も、最後にワールドシリーズを制したのは1948年ですから、68年振りの世界制覇を目指すシリーズとなります。

 一方のシカゴ・カブスは、有名な「ヤギの呪い」を解くシリーズとなります。

 1945年のワールドシリーズでファンが、自分が飼っていたヤギと共にリグレーフィールドに入場しようとするのを止められた(それまでは入場を許されていたのですが、この時はそのヤギの匂いを理由に拒絶されたのです)時、このファンが「ワールドチャンピオンはおろか、二度とこの球場でワールドシリーズが開催されることは無いだろう」と予言したとされるのが、「ヤギの呪い」です。(この年のワールドシリーズでカブスは3勝4敗でデトロイト・タイガースに惜敗しました)

 それ以降、インディアンズは1984年・1989年・2003年・2007年・2008年と地区優勝するなどポストシーズンに挑んできましたが、リーグチャンピオンとなることは出来ず、今2016年シーズンでの優勝=ワールドシリーズ進出は71年振りのこととなりました。

 ワールドシリーズ進出で「ヤギの呪い」の半分はクリアされたように見えますが、やはりワールドシリーズを制してこそ、完全に呪いの呪縛から逃れることが出来ると見るのが順当でしょう。
 カブスにとっては、どうしても負けられないワールドシリーズ、最後に世界一になった1908年以来108年振りの制覇を目指すシリーズなのです。

 ポストシーズン2016突入時点では、戦力的にはカブスの方が優位と見られていましたが、地区シリーズ、リーグチャンピオンシップと戦いを続けて行くうちに、インディアンズの調子が上がり、接戦であろうと見られていたレンジャーズとの地区シリーズ、ブルージェイズとのリーグチャンピオンシップを悠々と勝ち抜いて行くに至って、「互角のワールドシリーズ」との評価が高まっています。

 テリー・フランコナ監督(インディアンズ)、ジョー・マッドン監督(カブス)、両監督の采配も注目されます。

 フランコナ監督(57歳)は、レッドソックスの監督時代、2004年シーズンと2007年シーズンの2度ワールドシリーズに勝っています。名門ですが、なかなかワールドシリーズに手が届かなかったレッドソックスに、久々の「世界一」をもたらした監督として知られていますし、特に「投手交代の妙」が高く評価されています。
 今季のインディアンズは「接戦での強さ」が目立ちますが、フランコナ監督の采配も冴えているのでしょう。

 一方のマッドン監督は、タンパベイ・レイズ時代の2008年シーズンにワールドシリーズに進出しましたが、この時はフィラデルフィア・フィリーズに敗れました。
 2008年と2011年にAL最優秀監督、2015年にNL最優秀監督に選ばれています。
 「バランスの良い采配」という印象で、選手の力を十分に発揮させる采配が得意だと思います。
 二人の名監督の対決も、見所のひとつでしょう。

 「68年振り」と「108年振り」の世界制覇を目指す戦いであり、「クリーブランドの風」と「ヤギの呪いの完全解消」という話題が存在するワールドシリーズでもあります。

 クリーブランドとシカゴという、五大湖を巡る「お隣同士」の対戦となったワールドシリーズ2016。

 興味は尽きません。
 ナショナルリーグNLのリーグチャンピオンシップゲーム、シカゴ・カブスの3勝2敗を受けての第6戦、追い込まれているロサンゼルス・ドジャーズは「大エース」のクレイトン・カーショー投手を先発に立て、必勝態勢を取りました。

 このシリーズ第2戦でも圧巻の投球を魅せ、日本のスポーツ紙に「神様・仏様・カーショー様」という見出しが躍りました。(日本プロ野球の1958年日本シリーズにおける西鉄ライオンズ・稲尾和久投手の大活躍を称して「神様、仏様、稲尾様」という有名な言葉が生まれましたが、この言葉にかけた見出しなのでしょう)
 現在のMLBを代表する先発投手であり、まさに「ミスター・ドジャーズ」と呼ぶに相応しいプレーヤーなのです。

 しかし、このゲームのカーショー投手は「不調」でした。

 「当てられる時のカーショーは良くない」を地で行く試合となってしまったのです。

 1回裏カブスの攻撃、先頭のファウラー選手がライトへ2ベースヒットで出塁しました。第2戦で「2安打」に封じていたカーショー投手が、いきなり長打を浴びたのです。
 続くブライアント選手もライトへクリーンヒット。あっという間の先制点でした。

 3番リゾ選手は左中間へのフライでしたが、これをドジャーズの左翼手トールス選手がグラブの土手に当てて、よもやの落球。無死2・3塁となって、ゾブリスト選手が右中間への犠牲フライで2点目が入りました。

 カーショー投手の投球は、いつものものとは大きく異なりました。
① カーブを投げなかったこと
② コントロールが悪く、ストライクが真ん中に集まってしまったこと

 カーショーと言えは「キレの良いカーブ」が最大の武器なのですが、この日カーブを投げたのは、27球目の投球が初めてでした。それも、いつもの内角低めにコントロールされたものでは無く、外角への「どろんとした」ものでした。

 おそらく、試合前の投球練習の時に「今日のカーブはダメだ」と感じたのでしょう。キャッチャーとも共通の認識が出来ていたのだと思います。従って、ストレートとチェンジアップ、スライダーの組合せによる投球となった訳ですが、それでコントロールが悪いというのでは、カブス打線を抑え込むことは難しかったのです。

 カーショー投手は1回裏を終らせるために30球を要しました。
 「当てられる時のカーショーは良くない」というゲームになってしまったのです。
 カーショー投手のこうした投球は、滅多に観られるものでは無いのですが、一方で、本ブログの2013年11月16日の記事「クレイトン・カーショー投手の1イニング48球」にも有るように、不調な日のカーショー投手は、ファウルを打たれることも多く、なかなか打者を打ち取れなくなってしまうのです。
 これほどの大投手・大ベテランにしても、「調子の波」からは逃れられないというところが、ベースボールというか、スポーツの怖いところだと、改めて思います。

 2回裏もラッセル選手に2ベースヒットを浴びて、ファウラー選手にタイムリーを打たれて3失点目。
 これでゲームの帰趨は、カブスに大きく傾きました。「勝負は決まった」と感じました。

 4回裏には6番のコントレラス選手がホームランを放ちました。これで4点目。
 5回裏には3番リゾ選手がホームランで5点目。
 今季の防御率が1点台のカーショー投手が、5イニングで5失点。

 信じられないような光景です。

 かといって、ドジャーズは投手を交替させることは出来なかったのでしょう。カーショー以上の投手は、チームには存在しないのですから。
 結局、カーショー投手は5イニング93球を投げて降板しました。今季も「ポストシーズンに弱いカーショー」という評価を覆すことは出来ませんでした。

 ドジャーズにとっては、1回裏のトールス選手のエラーのダメージも大きかったのですが、何よりも、戦力上位のカブスに勝つ為には獅子奮迅の活躍が不可欠とされていた、「頼み」のカーショー投手が打たれてしまっては「万事休し」ました。
 今季もワールドシリーズへの道は閉ざされてしまったのです。

 一方、カブスの先発カイル・ヘンドリクス投手は好調な投球を披露しました。低めにキレの良い投球を集中し、ドジャーズ打線に付け入る隙を全く与えず、試合を完全に支配しました。(結局、7イニングと1/3、88球、被安打2、奪三振6、失点0)

 さすがに、今季レギュラーシーズンで31試合に登板し、防御率2.13、16勝8敗という素晴らしい成績を残しただけのことはあります。まさに持ち味の「変幻自在」の投球を魅せたのです。

 余談ですが、カブスはヘンドリクス投手→チャップマン投手と継投してドジャーズを完封したのですが、ドジャーズは「打者27人」で試合を終えました。2安打を放ち、エラーによる出塁も有り、四球も選んでいるのですが、ダブルプレーや牽制アウトなどにより「完全試合」と同じ「27打者試合」が成立したのです。とても珍しい記録だと思います。
 リーグチャンピオンシップシリーズという大試合での珍しい記録ですから、カブスファンのみならず、MLB史に長く語り継がれるゲームとなったのかもしれません。

 この5-0の勝利で今シリーズを4勝2敗としたシカゴ・カブスは、ナショナルリーグチャンピオンに輝きました。

 そして、1945年・昭和20年(太平洋戦争終戦の年)のワールドシリーズ敗退の時に発生してしまった「ヤギの呪い」を解いて、1908年以来「108年振り!」の世界制覇を実現するために、クリーブランド・インディアンズとのワールドシリーズに臨むのです。
 MLB2016のポストシーズンも地区シリーズを終えて、リーグチャンピオンシップゲームが始まりました。対戦カードは、以下の通りです。

[アメリカンリーグAL]
クリーブランド・インディアンズ対トロント・ブルージェイズ

[ナショナルリーグNL]
シカゴ・カブス対ロサンゼルス・ドジャーズ

 ALのインディアンズとブルージェイズは共に、地区シリーズを3連勝で勝ち抜きました。

 インディアンズは、強打のボストン・レッドソックスを、5-4、6-0、4-3とスイープ。第2戦はともかくとして、第1戦・第3戦は1点差ゲームをものにしました。
 今季のインディアンズの「競り合いでの強さ」を如何なく発揮してきている印象です。

 フランコーナ監督の采配も功を奏しているのでしょうが、何とも言えない「流れの良さ」も感じられます。長い間全米チャンピオンのタイトルに恵まれなかったクリーブランドでしたが、バスケットボールNBAのキャバリアーズのファイナル制覇でその「呪縛」から逃れたのかもしれません。

 この「流れ」に乗って、「クリーブランド」は一気にワールドシリーズ制覇に向かって走りたいところでしょう。

 一方のブルージェイズは、ワイルドカードでボルチモア・オリオールズを延長の末、エンカルナシオン選手のサヨナラホームランで勝ち切ると、「勢い」に乗りました。

 今季ALレギュラーシーズン最高勝率チームのテキサス・レンジャーズを10-1、5-3、7-6と破りました。まさに「強打のトロント」を象徴する地区シリーズであったと思います。

 これでポストシーズン4連勝と負け無し。この「勢い」で一気に連勝を続けたいところでしょう。特に、2番のドナルドソン選手、3番のエンカルナシオン選手の打棒が好調です。

 一方のNLは、カブスがサンフランシスコ・ジャイアンツを3勝1敗で破りました。
 レギュラーシーズンの成績から見れば「順当な勝ち上がり」ということになりますが、相手は「21世紀になってポストシーズンに滅法強い」ジャイアンツでしたから、これを1敗でクリアしたところに、今季のカブスの充実振りが感じられます。

 ドジャーズは3勝2敗と最終戦に縺れ込む接戦を制して、ワシントン・ナショナルズを破りました。
 この5試合は、いずれも激戦でした。ドジャーズから見て、4-3、2-5、3-8、6-5、4-3というスコア。第5戦では、大エースのクレイトン・カーショー投手がクローザーを務めました。まさに「総力戦」で勝ち上がったのです。

 MLB・NO.1ピッチャーの名を欲しい儘にするカーショー投手ですが、これまでポストシーズンでは満足できる投球を披露していませんでした。
 今ポストシーズンでは「カーショー投手の執念の投球」が観られ続けることでしょう。

 リーグチャンピオンシップの帰趨ですが、ALは全くの互角でしょう。
 競り合いに強いインディアンズが、最後は4勝目をものにするような気もします。(「クリーブランドへの風」も考慮したいところです)

 NLは、やはりカブスが有利でしょう。
 今季のカブスの攻守の高いレベルでのバランスの良さは素晴らしいと思います。
 「ヤギの呪い」を解いて108年振りのワールドシリーズ制覇、という「大事業」完遂に向けてのカブスの進撃が続きます。

 こちらも久しくワールドシリーズ進出を果たすことが出来ていないドジャーズにとっては、カーショー投手の大車輪の活躍が、カブスを破る上では不可欠でしょう。
 レギュラーシーズンの成績においては、ほとんど全ての栄誉を獲得してきているカーショー投手にとって、最後の目標である「チャンピオンズリング獲得」に向けての、気迫の投球がとても楽しみです。

 インディアンズVSブルージェイズ、ドジャーズVSカブス。歴史と伝統を誇るチームが多いカードですが、21世紀に入ってからのリーグチャンピオンシップとしては「新鮮な」印象です。

 「久しぶり」のチーム同士のチャンピオンシップゲームも素敵なものだと思います。
[10月9日・AL地区シリーズ]
トロント・ブルージェイズ7-6テキサス・レンジャーズ

 ポストシーズンに突入したMLB2016ですが、アメリカンリーグALのトロントとテキサスのディビジョナル・プレーオフは、トロントが3連勝でテキサスを破り、リーグ・チャンピオンシップへの進出を決めました。

 地区シリーズは、意外なことにブルージェイズの3連勝で決着しました。
 地区優勝を飾り、AL勝率NO.1チームとしてワールドシリーズ制覇を目指したレンジャーズでしたが、よもやの「地元2連敗」からの反攻はなりませんでした。

 ブルージェイズは、ワイルドカードゲームを延長・サヨナラ勝ちで制した勢いそのままに、レンジャーズを圧倒したのです。

 2016年ポストシーズンのレンジャーズの中軸を打つプレーヤーは、エイドリアン・ベルトレイ選手とカルロス・ベルトラン選手です。(このゲームでは3番ベルトラン、4番ベルトレイでした)
 2人は共に、MLBを代表するスラッガーであり、イチロー選手に続いて「3000本安打」を達成する可能性が高いヒットメーカーとしても知られています。

 ベルトレイ選手はMLB19年目。現在通算2942安打、ホームランも445本と、まさにMLBのクリーンアップを打つに相応しいプレーヤーです。また、3塁手としての守備も素晴らしく、4度のゴールドグラブ賞、2度のプラチナ・ゴールド・グラブ賞にも輝く、MLBを代表するサードフィールダーです。
 レンジャーズはMLBキャリア4チーム目となります。

 ベルトラン選手もMLB19年目。通算2617安打、ホームランも421本、こちらはMLB史上に残るスイッチヒッターであり、通算300盗塁、3度のゴールドグラブ賞も達成していますから、走攻守全てに秀でた「5ツールプレーヤー」とも称されています。
 レンジャーズはMLBキャリア7チーム目となります。

 輝かしい実績を誇る2人のプレーヤーは、一方で、ワールドシリーズ制覇にはこれまで恵まれていないのです。

 今シーズン途中でニューヨーク・ヤンキースから、ベルトラン選手がレンジャーズに移籍して来ました。
 「無冠の帝王」2人がテキサスに揃ったのです。

 テキサスは見事にレギュラーシーズンで優勝し、ポストシーズンに駒を進めましたから、ベルトレイ選手とベルトラン選手も、「今年こそは」とワールドシリーズ制覇を誓ったことでしょう。

 しかし、その夢はあっという間に消えてしまいました。よもやの地区シリーズ敗退、それも3連敗での敗退でした。

 この日のゲームで、序盤トロントに5-2とリードされながら、5-4と追い上げ、6回表についに6-5と逆転した時、その後6-6と同点にされた時にも、ベンチにおけるベルトレイ選手の表情には余裕が有りました。笑みさえ浮かべていたのです。
 「まだまだ、このゲームも今地区シリーズもこれからだよ」と言っているようでした。MLBの大ベテランとして、テキサスの精神的支柱として、ベルトラン選手はその役割を果たしていたのでしょう。

 MLB屈指のプレーヤーとして、そのキャリアを積み上げているプレーヤー達にとっても、ポストシーズンを勝ち進み、ワールドチャンピオンに成るというのは本当に難しいことなのだということを、改めて感じさせるゲームでした。
 2016年シーズンもレギュラーシーズンの全日程を終えて、各地区の優勝チームが決まりました。

[アメリカン・リーグALの地区優勝チーム]
・東地区 ボストン・レッドソックス
・中地区 クリーブランド・インディアンズ
・西地区 テキサス・レンジャーズ

[ナショナル・リーグNLの地区優勝チーム]
・東地区 ワシントン・ナショナルズ
・中地区 シカゴ・カブス
・西地区 ロサンゼルス・ドジャーズ

 前半を終えた段階での記事にも書きましたが、2016年のレギュラーシーズンは、各地区とも「強いチームが存在」して、優勝に向けての大接戦という地区はありませんでした。
 もちろんベースボールですから、何ゲームの差が存在しようとも、「残り全部を勝てば・・・」といったトーンで日々のゲームに臨むのですが、実際には「残り1ヵ月で3ゲーム以上の差」というのは、なかなか逆転できるものではないのでしょう。

 特に「独走」が際立ったのは、NL中地区のカブスでしょう。
 103勝を挙げて、地区2位のセントルイス・カージナルスに17.5ゲームという大差をつけての、悠々たる優勝でした。
スプリングトレーニングの段階で、今季のカブスがこれほどまでに強いとは思いませんでした。

 1871年創立という、メジャーリーグの中でも最も長い歴史を誇る球団のひとつであるカブスですが、このところワールドシリーズ制覇からは見放されていますから、今季ポストシーズンでは1908年以来108年ぶりの世界一を目指すこととなります。

 攻守ともに、充実した戦力を誇りますから、ワールドチャンピオンの「本命」であることは間違いありませんが、一方で「地区優勝が早く決まり過ぎた」との見方もあり、地区シリーズで主力プレーヤーが「試合勘」を取り戻すまでに時間がかかるようですと、思わぬ不覚を取る可能性も有ります。

 カブスの地区シリーズの相手チームは、NLワイルドカード(ニューヨーク・メッツ対サンフランシスコ・ジャイアンツ)の勝者となりますが、どちらも強豪チームであり、今季特にカブスはメッツを苦手としています。

 103勝も挙げた無敵のチームにも苦手があったのです。メッツが勝ち上がり、その「強力先発陣」が登場したときには、カブスも褌を締めなおさなくてはならないでしょう。

 一方、ワイルドカードでジャイアンツが勝ち上がった場合でも、とても強力です。ポストシーズンのジャイアンツはレギュラーシーズンとは一味も二味も違う戦いを魅せます。
 ボウチー監督の下、とにかく「出てくれば強い」感じなのです。
ワイルドカードからのワールドシリーズ制覇は「お手の物」という印象ですから、こちらも油断は禁物となります。

 カブスとしては、地区シリーズを丁寧に戦っていかなければならないのでしょう。

 AL西地区のレンジャーズも、2位のシアトル・マリナーズに9ゲーム差をつけて、早々に優勝を決めました。
 レンジャーズにとっては「悲願」のワールドチャンピオンを目指すポストシーズンとなります。
 レンジャーズは2011年シーズンのワールドシリーズで、「あと1死」「あと1球」で世界一という場面を2度も造りながらも、カージナルスに苦杯を喫しました。このシリーズは、例年にも増して「重いゲーム」が連続した印象でした。
 今季は「悲願のワールドチャンピオン」への戦いとなります。

 こちらの地区シリーズの相手は、ALワイルドカード(トロント・ブルージェイズ対ボルチモア・オリオールズ)の勝者となります。地区シリーズ第2戦の先発登板が予想されているダルビッシュ投手の活躍が、本当に楽しみです。

 ALは、東地区のレッドソックスが93勝、中地区のインディアンズが95勝、そして西地区のレンジャーズが96勝と、地区優勝チームによる「最高勝率」争いが熾烈なシーズンでした。
 それは、取りも直さず「力が拮抗している」ことを示しています。

 ALチャンピオンに向けての、熾烈なポストシーズンゲームが続くことでしょう。
 レッドソックスの上原・田沢の両投手が、大きなカギを握っていることも間違いありません。

 既に、ALのワイルドカードゲームが始まっています。(ブルージェイズが延長戦の末、オリオールズを破りました)

 レギュラーシーズンからポストシーズンへの「シームレス」な戦いが、幕を開けたのです。
 9月21日の対サンフランシスコ・ジャイアンツ戦に先発登板した、ロサンゼルス・ドジャーズの前田健太投手は、5イニング・88球を投げて、被安打3、奪三振6、与四球2、失点2の好投を魅せてチームの勝利に貢献し、自身今季16勝目(9敗)を挙げました。

 シーズン終盤の優勝争い真っ只中、最強のライバル・ジャイアンツを相手にしての好投は、極めて大きな価値が有ると感じます。

 また、ルーキーイヤーの16勝は、ダルビッシュ有投手に並ぶ、MLBにおける日本人投手の最多勝記録です。本当に見事な活躍です。

 これで前田投手は、30度目の先発を果たし、169イニングを投げて、防御率も3.20です。MLB1年目にして、名門ドジャーズの先発投手陣の中核を占めるピッチャーとなったのです。
 大黒柱のクレイトン・カーショー投手が、故障で戦列を離れていた時期が有ったことを考慮すれば、ローテーションを守り続けた前田投手の頑張りが、現在のナショナルリーグNL西地区のドジャーズの「首位」に大きく貢献していることは、間違いないでしょう。

 一方で、前田健太投手の今季年俸が9億円を大きく超えたとも報じられました。

 シーズン前、「基本年俸300万ドル=約3億5百万円」という、日本プロ野球NPBにおける実績から観れば少ない金額での契約となり、一部のMLBプレーヤーからは「奴隷のような契約」だと指摘されていましたが、前田投手は実績で「出来高払い」項目を次々とクリアして来ました。

 そして今や、基本年俸の倍以上の出来高年俸を実現し、合計で9億円以上の年俸を手にすることとなったのです。

 まるで小説に出てきそうな「ミラクル」な活躍であり、プロスポーツ選手として、とても誇らしいシーズンを過ごしていると感じます。
 9月19日の対ワシントン・ナショナルズ戦に代打で出場したイチロー選手は1打点を挙げて、MLB通算打点を760とし、日本人メジャーリーガートップの松井秀喜選手の記録に並びました。

 メジャー16年目、MLB最年長野手でもあるイチロー選手が、ゲームに出場し活躍する度に、新しい記録が生まれ続けるのですが、この打点の記録も素晴らしいものだと感じます。

 また、イチロー選手が記録を樹立・更新する度に、「過去のメジャープレーヤーの記録」も再認識されるところが、とても興味深いところでしょう。

 今回の「760打点」についても、日本人メジャーリーガーの「打点トップ10」が報じられていました。(Full-Count 9月20日配信)

 では、見て行きましょう。(9月19日のゲーム終了時点。カッコ内はMLB通算出場年数。)

・第1位 松井秀喜選手(10年)、イチロー選手(現役16年目) 760打点
・第3位 松井稼頭央選手(7年) 211打点
・第4位 井口資仁選手(4年) 205打点
・第5位 城島健司選手(4年) 198打点
・第6位 福留孝介選手(5年) 195打点
・第7位 青木宣親選手(現役5年目) 179打点
・第8位 田口壮選手(8年) 163打点
・第9位 岩村明憲選手(4年) 117打点
・第10位 新庄剛選手(3年) 100打点

 懐かしい名前が並んでいます。

① ホームランバッターそして「クラッチヒッター」としても鳴らした松井秀喜選手は、デビュー年から3年連続の100打点越え、通算4度の100打点越えを達成しています。

② こうして日本人野手を観ると、「MLBでのプレー期間が4年前後」のプレーヤーが多いことが分かります。MLBで長くプレーすることの難しさを示している事実だと思いますが、それだけにイチロー選手や松井選手の10年を超える活躍が目立ちます。

③ 「日本人野手の減少」が顕著です。一時期は多くのチームで日本人野手の活躍が観られたのですが、近時はイチロー選手と青木選手、そして時々?川崎宗則選手と、3人だけになってしまいました。特に「内野手」は絶滅状態です。MLBにおける日本人プレーヤーの「苦手分野は内野手」と言うことになるのでしょう。

 日本プロ野球のグラウンドの多くが人工芝であり、MLBは自然芝が多いということもあるのでしょうが、その本来の守備力や打力からすれば十分に通用するようにも思います。

 日本人内野手のMLBへの積極的な挑戦が待たれるところです。
 9月15日のボストン・レッドソックス戦に先発登板した、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手は、7イニング・93球を投げて、被安打4、奪三振0、与四球3、失点1の好投を披露しました。
 ブルペンが打ち込まれ、残念ながらゲームは逆転負けとなってしまいましたが、田中投手としては、先発の責任を十分に果たした投球でした。

 この好投により、2016年シーズンの田中投手の成績が一段と素晴らしいものとなっています。

1. 防御率2.97

 シーズン通算防御率が3.00を切りました。アメリカンリーグALトップの成績です。そもそもAL唯一の「防御率2点台」の先発投手となっています。
 素晴らしいことです。

2. 投球回数193イニングと2/3

 MLBの先発投手に望まれる「シーズン200イニング投球」にあと一歩まで迫りました。
 既に今シーズンは30度の先発登板を果たしていますが、残り2~3ゲームの登板が予想されますので、200イニング突破は確実な状況です。

 MLB1年目の2014年シーズンが136イニングと1/3、2年目の2015年シーズンが154イニングであった投球回数が、3年目の今季「飛躍的」に増加しました。2016年シーズには、大きな故障も無く、順調に先発ローテーションを守り続けていることの証左であり、「ヤンキースのエース」としての活躍は見事です。

3. 奪三振0

 このボストン戦では、「珍しく」奪三振がありませんでした。MLBデビュー以降初めてのことと報じられています。「打たせて取るピッチング」を展開し、93球で7イニングを抑え込んだのです。
 2016年シーズン、田中投手は「MLBにおける投球」を完成させつつあるのでしょう。

 シーズン前、肘の故障からの回復状態が心配されていた田中投手でしたが、自身のMLBにおける最高のシーズンを展開しつつあります。

 田中将大投手が、MLB屈指のスターターに成長していく様子は、頼もしい限りです。
 9月10日のタンパベイ・レイズ戦に先発登板した、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手は、7と1/3イニング・102球を投げて、被安打5、奪三振10、与死球1、失点1の好投を魅せてチームの勝利に貢献、自身の登板で6連勝として、13勝目(4敗)を挙げました。

 このところすっかり定着した「低目に変化球を集める」投球に、ますます磨きがかかりました。田中投手の「MLBスタイル」が確立されつつある印象です。

 特に「ストライクが多い」ところが、MLBに適合してきていると感じます。
 このゲームでも、102球中74球がストライクでした。

 日本プロ野球では「ストライクからボールになる投球」が求められるケースが多いのですが、100球という暗黙の球数制限が有り、先発投手には「少なくとも6イニング」を投げ切り、ゲームを造ることが求められるMLBでは、「ストライクからストライク」になる球を主体にする投球が必要なのです。見逃してもストライクになる投球に対しては、MLBのバッターは打って行きますから、少ない球数でイニングを稼ぐことが出来ます。

 当たり前のことを書き恐縮ですが、三振は最低3球を投ずる必要があるのに対して、凡打打ち取りは1球で良いのですから、MLBでは「凡打打ち取り」を目指さなければならないのでしょう。

 こうして「凡打」を目指していく投球が上手く稼働すると、このゲームの田中投手の様に、二桁三振を取ることも出来るのでしょう。カウント3-2からの三振では無く、1-2からの三振が増えて行く形です。

 田中投手は13勝4敗で「9つの勝ち越し」という見事なシーズンを展開しています。

 もちろん個々のゲームの勝ち負けには運不運が有り、相手投手や相手打線そして味方打線・味方の守備力等々様々な要素が絡みますので、必ずしも良い投球を展開したからと言って勝ち星を挙げられるということでは無いことは、誰もが知っていることでしょうけれども、シーズンを通せば、そうした運不運も均等化されていくでしょうから、やはり「先発投手の貯金数」は重要な指標となります。

 田中投手は、現在のヤンキース先発投手陣では、ほとんど唯一の「貯金をしている投手」と言って良い存在ですから、まさにエースとしての投球を続けて居るということになります。

 この勝利でヤンキースは7連勝、今季通算76勝66敗として勝越数を二桁に乗せました。そして、MLBアメリカンリーグ東地区で首位を走るボストン・レッドソックスとの差を3ゲームに縮めたのです。

 残りゲーム数が20前後有ることを考え合わせても、まだまだ地区優勝の可能性が残されています。特に、ヤンキースとレッドソックスは直接対決が7試合も残っているのですから。

 7月から8月にかけて、ベルトラン選手、ノバ投手、ミラー投手、チャップマン投手、Aロッド選手と、いわゆる「ヤンキースの骨組み」となっていたプレーヤーを次々と放出したり引退させたりしたのを見た時には、「ヤンキースはどうなってしまうのか」と心配されましたが、若手プレーヤーの活躍により、「大放出」以降の方が成績が良くなっています。
 そして、現在ではポストシーズン進出を狙える位置まで上がってきているのです。

 新しい選手を前面に立てて、ポストシーズン進出を目指すヤンキースの「大黒柱」である、田中将大投手の2016年終盤の活躍が、とても楽しみです。
 シカゴ・カブスは9月6日、傘下の3Aアイオワの川崎宗則選手をメジャーに昇格させたと発表しました。

 優勝争い、シーズン終盤の戦いに向けて、ロースター(公式戦に出場できるプレーヤーの人数)を増員できる9月に入って、シカゴ・カブスとして川崎選手をメジャーに昇格させたという形です。

 川崎選手にとっては、2016年シーズン3度目のメジャー昇格となります。
 1度目は4月8日、この時は4月15日にマイナーに降格となりました。
 2度目は7月9日、この時は2日後にマイナーに降格となりました。

 ロースターは、8月31日までは25人、9月1日からは40人(セプテンバー・コールアップと呼ばれます)となります。
 MLBの試合光景で、9月に入るとベンチの中が混雑?しているように見えるのは、プレーヤーの人数が増加しているためなのです。

 川崎選手としては、今季3度目のメジャー昇格のチャンスを活かし、レギュラーシーズン終了まで、メジャープレーヤーとして活躍して行きたいところでしょう。

 それにしても、35歳になったとはいえ川崎選手・ムネリンは元気いっぱいです。
 ツィッターにも「メジャーに上がります。ぎりぎりでした。疲れましたけど、何とかぎりぎり間に合いました。9月、目いっぱい頑張りたいと思います」とコメントしたと伝えられました。

 今季、1908年以来「108年振り」のワールドシリーズ優勝に向け、快進撃を続けるカブスにとっても、頼もしい存在がベンチに帰ってきました。
 カブスファンからは「あいつはレジェンドだ」との声も上がっているようです。

 川崎宗則選手の大活躍に期待しています。
 頑張れ、ムネリン!
 9月6日のフィラデルフィア・フィリーズ戦の8回裏に代打で登場した、マイアミ・マーリンズのイチロー選手は、ネリス投手が投ずるカウント2-1からの4球目、138kmのスプリットを右翼席・マーリンズの投球練習場に運びました。

 2016年シーズンの初ホームランでした。

 これでイチロー選手は、日本プロ野球NPBで118本、MLBで114本のホームランとなり、日米通算本塁打数は232本となりました。

 また、NPBでビューした1992年こそ、本塁打数は0でしたが、翌1993年から24シーズン連続のホームランとなったのです。

 このホームランで、MLB通算3019安打としたイチロー選手は、もちろん「ヒットメーカー」として不動の位置を固めていますが、ホームランの成績としても、NPB8シーズン・MLB16シーズンの計24シーズン連続というのは、ものすごい記録なのです。

 MLBの記録と比較すれば「史上2位タイ」です。
 1位がリッキー・ヘンダーソン選手の25シーズン連続。2位がタイカップ選手の24シーズン連続です。ベースボール史を彩る名選手の数字と並んだのです。

 NPBの記録と比較すれば「史上3位」となります。
 1位が谷繁元信選手の27シーズン連続、2位が野村克也選手の25シーズン連続となっています。
 
 NPBとMLBの通算本塁打数トップに立つ、あの王貞治選手とバリー・ボンズ選手が22シーズン連続、日米で活躍した松井秀喜選手が20シーズン連続です。

 こうした歴史に残るホームランバッター達と比較しても、イチロー選手の24シーズン連続という記録の素晴らしさが分かります。

 2017年シーズン以降も現役を続行すると伝えられているイチロー選手にとっては、この2016年シーズン第1号にはとても大きな意味があったと感じます。

 「歴史的ヒットメーカー」であるイチロー選手が、このホームラン記録をどこまで伸ばして行ってくれるのか。
 本当に楽しみです。
 ロサンゼルス・ドジャーズの前田健太投手は、9月5日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に先発登板し、6と1/3イニング・102球を投げて、被安打3、奪三振8、与四球1、失点1の好投を魅せてチームの勝利に貢献、今シーズン14勝目(8敗)を挙げました。

① シーズン14勝はドジャーズ新人投手記録

 野茂秀雄投手の13勝を超え、石井一久投手に並ぶ、ドジャーズのルーキー記録となりました。素晴らしい記録であると共に、ドジャーズにおける日本出身投手の活躍の歴史を感じさせます。

② グレインキーとの投げ合いを制す

 ダイヤモンドバックスの先発は、昨年までドジャーズの二本柱のひとりであったザック・グレインキー投手でした。ドジャーズは、グレインキー投手が抜けた穴を埋める為に前田投手を獲得したとも言われました。そのグレインキー投手を相手にしての勝利は、前田投手の大活躍を象徴しているように感じられます。
 
 ちなみにグレインキー投手は現時点で12勝ですから、前田投手は勝ち星の面でも上回っているということになります。

③ 防御率3.29

 今シーズン27度目の先発登板となった前田投手の防御率は今季通算3.29となりました。
 150イニング以上を投げての「3点台前半」という数値は、とても価値のある成績だと思います。

 何より「ローテーションを守りながら」、防御率を上げ続けているところが素晴らしい。

 ルーキーイヤーでありながら、大きな故障も無く投げ続けているということは、前田健太投手がMLBに馴染んできていることの証左と言ってよいのでしょうし、低めの投球を上手く使いながら、「MLBの前田健太の投球」を完成させつつあるのでしょう。

 前田投手には、今季残り5試合前後の登板が予想されます。
 どこまで勝ち星を伸ばして行ってくれるのか、本当に楽しみです。
 MLB2016も後半戦を迎え、日本人先発投手の活躍が続いています。

 8月23日には、ロサンゼルス・ドジャーズの前田健太投手が13勝目(7敗)を挙げました。それも、同地区の「永遠のライバル」サンフランシスコ・ジャイアンツのエース・バムガーナー投手との投げ合いを制した勝利でしたから、その価値はとても大きいと思います。
 
 このゲームで、前田投手は被安打6・失点3と決して好調という投球ではありませんでしたが、粘り強い投球でジャイアンツにリードを許しませんでした。メジャーのプレーに徐々に慣れてきた、前田投手のパフォーマンスの高さを示していると感じます。

 前田投手はメジャーデビューシーズンの勝ち星を13勝に伸ばしました。これはドジャーズの大先輩でもある野茂秀雄投手のデビューシーズンの勝ち星に並んだことを意味していますので、見事な成績といってよいのでしょう。
 まだまだ勝ち星を伸ばしていってくれそうな前田投手の挑戦に、期待したいと思います。

 8月24日には、今シーズン2度目の日本人先発投手対決、シアトル・マリナーズの岩隈久志投手とニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が登板するゲームが行われ、ヤンキースが5-0で勝って、田中投手が11勝目(4敗)を挙げました。
 自己最多タイの15勝目を狙った岩隈投手は残念ながら敗戦投手となりましたが、それでも14勝9敗と、日本人先発投手の「勝ち頭」です。

 7イニングを投げて無失点の田中投手は、今季の特徴である「打たせて取る投球」に磨きがかかり、極めて冷静な試合運びを魅せてくれましたし、一方で150kmを超えるストレートも投じていましたので、相当コンディションが上がっている印象でした。

 中軸選手をどんどん放出しているヤンキースですが、逆にチーム成績が良くなっています。ベースボールというスポーツの不思議なところを感じます。

 戻ってきたダルビッシュ有投手も含めて、MLB2016における日本人先発投手陣の今後の活躍が、大いに期待されます。
 8月7日のコロラド・ロッキーズ戦で、MLB通算3000本安打を達成した、マイアミ・マーリンズのイチロー選手ですが、シアトル・マリナーズ時代からの熱心なファンである、エイミー・フランツさんがスタンドで掲げていたお手製のヒット数カウント用ボード「イチ・メーター」がニュースになっていました。

 この試合にもシアトルから応援に来ていたフランツさんは「イチ・メーター」の数字を3000に変えて、「とても興奮している。これで私の旅も終わり」と感無量の様子で語ったとのこと。

 2004年に最初のイチ・メーターが作られたと報じられていますが、この年「シーズン262安打」のMLB新記録が樹立されましたので、当該イチ・メーターはベースボール殿堂に寄贈されたそうです。何だか凄い話です。

 イチロー選手がシアトルを去り、フランツさんがイチロー選手のゲームを観る為に全米を駆け巡らなければならなくなった時に、「旅行費用の寄付」を募ったところ、あっという間に十分な金額が集まったとも伝えられました。
 これも凄い話です。

 この長年の熱心な応援に対して、イチロー選手から「バットやスパイク」がフランツさんに送られたそうです。

 今年45歳になったエイミー・フランツさんですから、イチ・メーターを作り始めた時には32~33歳くらいだったことになります。

 エイミー・フランツさんの13年に及ぶ長い旅が、ついに幕を閉じたのです。
 毎年7月31日・「トレード期限日」(ウェーバー方式を使わないでトレードできる期限日)には、驚かされることが多いのですが、今年も例外ではありませんでした。

 ニューヨーク・ヤンキースが7月31日を含む最後の1週間で「主力4選手」を放出したのです。

 まず「ザ・100マイル」アロルディス・チャップマン投手をシカゴ・カブスに出しました。
 続いて、アンドリュー・ミラー投手をクリーブランド・インディアンズに放出。
 そしてトレード期限寸前の時刻に、カルロス・ベルトラン選手をテキサス・レンジャーズへ、イバン・ノバ選手をピッツバーグ・パイレーツへ出したのです。

 最強のブルペンと言われたメンバーの中から、セットアッパーのミラー投手とクローザーのチャップマン投手、主力打者のベルトラン選手、そして先発投手陣の中核ノバ選手、というのですから、2016年ンシーズンの後半をどのように戦うのかと疑問を持ってしまうようなディールでした。

 もちろん、4プレーヤーの代わりに、例えばチャップマン投手なら「カブスのマイナーの3選手」といった形で若手選手を数多く獲得しているのですが、直ぐに戦力になりそうなプレーヤーは少ないのです。

 いくら「2016年シーズンを諦めた」とはいっても、これだけ露骨な「ファイアーセール」は珍しいでしょう。

 ヤンキースファンは、まだ半分近く残っている2016年シーズンをどのように楽しむのか、よくよく考えなければならない状況となりました。

 もちろんこの動きは、田中将大投手にとっても他人事では無く、「期限」は過ぎたと言っても、ウェーバー方式を使えばまだまだトレードは可能な訳ですから、「ファイアーセール」の対象外と一概には言えないのかもしれません。

 それにしても、今シーズン終了後、FAとなるマイク・トラウト選手(ロサンゼルス・エンジェルス)といった大物を獲得し、超大型補強を実施するための「資金作り」なのかもしれませんが、常に勝利を期待されるヤンキース球団としては、随分思い切った動きに出たものだと感じます。

 メジャーリーグにおいても「最もメジャーなチーム」ニューヨーク・ヤンキースは、いったい何処に行くのでしょうか。
 ついに達成しました。

 8月7日に行われた、コロラド・ロッキーズとマイアミ・マーリンズのゲーム。
 7回表、イチロー選手の放った大飛球はライトフィールダーを超えました。
 イチロー選手は悠々と3塁を陥れました。

 3塁ベース上に立つイチロー選手のもとへ、目の前のベンチからチームメイトが駆け寄ります。祝福の嵐。
 イチロー選手も満面の笑顔で応じました。

 マイアミから遠路応援に駆け付けていたマーリンズのファンはもちろんとして、敵地ロッキーズのファンも大歓声で祝福しました。
 素晴らしいシーンでした。

 達成が難しいと言われる「1シーズン200安打」を15年間実現することで、ようやくたどり着ける金字塔。
 空前の記録です。

 140年のアメリカ・ベースボールの歴史の中でも、僅か30人のプレーヤーしか辿り着いていないのです。
 今後、日本人プレーヤーについて「3,000本安打」の記事を書くことがあるのでしょうか。

 ベンチの中でサングラスをかけたイチロー選手の頬に、涙が流れていました。

 本当に、本当に美しい涙でした。
 8月6日の対コロラド・ロッキーズ戦の8回、代打で登場したイチロー選手はファウルで粘り、3塁線に内野安打を放ちました。
 ロッキーズの3塁手・アレナド選手もゴロを素手で取り1塁に素早く投げましたが、イチロー選手の脚が勝りました。

 これで通算3000安打に、あと1安打と迫りました。
 日本流にいうなら「王手をかけた」形です。

 このところ少し調子を落としていた上に、先発出場が少なく、殆ど代打での打席と言うことも有ってか、1週間以上に渡って安打が出ませんでしたので、随分久し振りのヒットという感じがします。

 残り1本となれば、いつ達成しても不思議ではない状態です。

 7日のロッキーズ戦であれば「アウェイ」での達成となりますし、8回以降のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦となれば「ホーム」での達成となります。
 マーリンズファンは、出来れば「ホーム」でと考えているでしょうが、イチロー選手は一気にコロラドの地で成し遂げてしまうかもしれません。

 ついに「ここまで来た」という感じです。

 日本時間8日・朝5時からのゲーム(デーゲームなのです)から眼が離せませんが、その時間帯にはリオデジャネイロ・オリンピックの放送も有りますので、忙しいことになりそうです。

 こういう忙しさは、スポーツ好きには堪えられません。
 MLBのトレード期限である7月31日(日本時間8月1日)を前にして、今シーズンも様々な動きが有ります。
 
 ニューヨーク・ヤンキースのチャップマン投手がカブスに移籍したことも話題になりました。

 そんな中で、イチロー選手にオファーが殺到していると報じられています。

 2016年シーズンの所属がなかなか決まらなかったことや、43歳を目前にしているということを考え合わせれば「意外」な話です。

 中でも熱心なのは、ボルチモア・オリオールズとロサンゼルス・ドジャーズの2チーム。オリオールズは機動力を備えた1番打者が不在、ドジャーズも1番打者及び守備範囲の広い外野手が不足しているからとのこと。
 共に、プレーオフを狙える位置に居ることから、何としても強化したいとの狙いなのでしょう。

① イチロー選手の好調さ

 こうした話が出て来る背景には、イチロー選手が今シーズン好調であることが上げられるのでしょう。

 打率は3割を優に越え、盗塁も二桁に迫る勢い。

 何より、打球に力強さが戻り、右に力強く引っ張る打球も増えてきている印象です。
 加えて「守備力」は健在。「予告先発」した7月29日のカージナルス戦でも見事な捕殺を魅せました。レフトの守備位置から、ほぼ地肩の強さだけでノーバウンドのボールをキャッチャーに送り、3塁からのタッチアップのランナーを完全に封じました。

 フライをランニングしながら捕球したのではなく、「走りの加速力」を使えなかったことを考慮すれば、「レーザービーム」と尊称された全盛期に匹敵する守備であったと思います。

② 先発ゲームが少ないこと

 マーリンズには、スタントン選手、イエリッチ選手、オスーナ選手という「盤石の外野陣」が完備しているために、イチロー選手の出番はとても少ない。

 ほとんどが代打、「盤石の外野陣」に休養を取らせる時、あるいは誰かがDL入りした時だけ、先発出場の機会がある、というのが現状です。

 こうしたチーム事情のマーリンズに「魅力的なトレード話」を持ち込めば、球団としても考慮するであろうというのが、イチロー選手を欲しがる各チームの思惑でしょう。

③ 「お買い得」感

 イチロー選手の今季年俸は約2億円と報じられています。
 全盛時の約17億円から見れば1/9程度ですが、「2億円で17億円のプレーを買える」とすれば、お買い得感があるのでしょう。

 それというのも、2015年シーズンより「グレードアップ」した感のあるイチロー選手のプレー内容が生んでいるものです。
 イチロー選手に「復活の兆し」があると見込んでいたチームが多かったのであれば、2016年シーズンを前にして、オファーしたチームがマイアミだけだった筈は無いのですから。

 イチロー選手の2016年シーズンの活躍は、メジャーのスカウトマン達やゼネラル・マネージャー達の予想を「遥かに超える」レベルなのでしょう。

 イチロー選手の「規格外」の能力・存在感を示す話です。
 「3秒98」とは、2015年シーズンにおけるイチロー選手が打ち、打席から1塁ベースに到達するまでの時間です。

 この記録は、MLB2015シーズンの第5位タイとなっています。(2016年2月の大リーグ公式ページに記載)

 1位から5位までのプレーヤーを並べてみます。(年齢は2016年2月時点)

第1位 3秒85 ビリー・バーンズ(オークランド・アスレティックス、26歳)
第2位 3秒91 ディー・ゴードン(マイアミ・マーリンズ、27歳)
第3位 3秒95 ビリー・ハミルトン(シンシナティ・レッズ、25歳)
第4位 3秒96 デライン・デシールズ(テキサス・レンジャーズ、23歳)
第5位 3秒98 イチロー(マイアミ・マーリンズ、42歳)
         ホセ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ、25歳)

 いずれ劣らぬ「現在のMLBを代表する20代のスピードスター達」の間に、40代のイチローが居るのは、とても不思議な感じがしますし、素晴らしいことだとも思います。

① 素早さ

 イチロー選手は、「盗塁」を狙う際に留意していることは「素早い動き」であるとコメントしていました。
 起動を素早くすることで、成功確率を上げているということになります。

 1塁までの走塁においても同様なのでしょう。
 スイングを終えてからの走り出しが早いのです。

 決して「脚の速さ」がポイントなのでは無く、「動きの素早さ」が大切であるところが、奥深いところです。

② 衰え知らず

 「もの凄いところ」だらけのイチロー選手ですが、その中でも「衰え知らず」という点は、最も凄いポイントのひとつでしょう。

 この記録においても、「20代のスピードスター」が居並ぶ中に42歳のイチローが居るのです。フィジカルの維持という面で、イチロー選手がスバ抜けた存在であることを示した事実でしょう。

 それどころか、2~3年前に比べてスピードが増しているようにさえ観えます。

 まさに「ミラクル」なプレーヤー。

 イチロー選手は、この「素早さ」を武器に「MLB通算3000安打」を達成しようとしているのです。
 7月16日に行われた、シアトル・マリナーズとヒューストン・アストロズのゲームに先発登板した岩隈久志投手は、7イニング・90球を投げて、被安打2、奪三振8、与四球1、失点0という素晴らしい投球を魅せました。

 チームは1-0でアストロズを破り、岩隈久志投手は10勝目を挙げたのです。
 今季19度目の登板での10勝(6敗)は、シーズン序盤なかなか打線の援護に恵まれなかったことを思えば、見事な成績です。

 2015年シーズン(9勝5敗)の勝ち星を既に上回りました。
 2014年の15勝9敗、2013年の14勝6敗をも上回るペースですので、今季は自己ベストの成績を残すチャンスとなっています。

 特にこの日はコントロールが良く、90球の投球の内66球がストライクと、早めに打者を追い込み打ち取るという、岩隈投手本来のスタイルが展開されていました。シーズン中盤に来て、調子を上げてきた印象です。

 こうなると、「日本出身投手の中で最もMLBの先発投手スタイルに馴染んでいる」岩隈投手のことですから、ここから勝ち星を積み上げて行っていただけるものと思います。

 「ストライクからストライク」というコースの投球で勝負する岩隈久志投手の、今後の大活躍が期待されます。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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