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 2018年のMLBレギュラーシーズンも、4月21日時点で、各チームが約20試合を終えました。
 全162試合中の20試合ですから、約1/8を消化したことになります。

 まだ1/8ではないかとの見方も有りますが、各チームの今シーズンの調子の良し悪しが把握できる時期でもあります。

 各地区の様子を観て行きましょう。

[アメリカン・リーグAL]

[東地区]
① ボストン・レッドソックス 17勝3敗
② トロント・ブルージェイズ 13勝7敗 4.0ゲーム差
③ ニューヨーク・ヤンキース 10勝9敗 6.5
④ タンパベイ・レイズ 7勝13敗 10.0
⑤ ボルチモア・オリオールズ 6勝15敗 11.5

[中地区]
① クリーブランド・インディアンズ 10勝9敗
② ミネソタ・ツインズ 8勝7敗 0.5ゲーム差
③ デトロイト・タイガース 9勝10敗 1.5
④ シカゴ・ホワイトソックス 4勝13敗 5.5
⑤ カンザスシティ・ロイヤルズ 4勝15敗 6.5

[西地区]
① ヒューストン・アストロズ 15勝7敗
② ロサンゼルス・エンゼルス 14勝7敗 0.5ゲーム差
③ シアトル・マリナーズ 11勝8敗 2.5
④ オークランド・アスレチックス 10勝11敗 4.5
⑤ テキサス・レンジャーズ 7勝15敗 8.0

[ナショナル・リーグNL]

[東地区]
① ニューヨーク・メッツ 14勝6敗
② フィラデルフィア・フィリーズ 13勝7敗 1.0ゲーム差
③ アトランタ・ブレーブス 12勝8敗 2.0
④ ワシントン・ナショナルズ 10勝11敗 4.5
⑤ マイアミ・マーリンズ 5勝15敗 9.0

[中地区]
① セントルイス・カージナルス 12勝8敗
② ミルウォーキー・ブリュワーズ 13勝9敗 0.0ゲーム差
③ ピッツバーグ・パイレーツ 12勝9敗 0.5
④ シカゴ・カブス 9勝9敗 2.0
⑤ シンシナティ・レッズ 3勝17敗 9.0

[西地区]
① アリゾナ・ダイヤモンドバックス 14勝6敗
② コロラド・ロッキーズ 12勝10敗 3.0ゲーム差
③ ロサンゼルス・ドジャーズ 9勝10敗 4.5
④ サンフランシスコ・ジャイアンツ 8勝12敗 6.0
⑤ サンディエゴ・パドレス 8勝14敗 7.0

 AL東ではボストンが走っています。17勝3敗・勝率.850というのは、凄いスタートダッシュです。打線が好調で、投手陣も持てる力を発揮しているのですから、不思議の無い勝ちっぷりと言っても良いのでしょう。
 まだ20試合を消化した時点で3.0ゲーム差を付けているのですから、今シーズンのレッドソックスは相当強いと観て良いでしょう。
 ヤンキースは、ようやく勝率が5割を超えました。自慢の打線の調子が上がらないのが苦しいところです。トロントと共に、どこまでボストンを追えるかに注目です。

 AL中は、全体に勝率が低いシーズンとなっています。
 トップのクリーブランドでさえ、僅かに貯金2。ホワイトソックスとカンザスシティは、建て直しが待たれるところです。

 AL西は、2017年のワールドチャンピオン・ヒューストンがトップ、エンゼルスが僅差の2位となっています。
 戦力的にはやや苦しいエンゼルスですが、大谷翔平効果でどこまでアストロズに付いて行けるかが注目でしょう。

 NL東では、ニューヨーク・メッツが走っています。現在のニューヨークでは、メッツの方がヤンキースより好調と言うことになります。
 とはいえ東地区では、4番手のナショナルズまで含めた4チームの争いが続くように観えます。

 NL中は文字通りの「接戦」。セントルイスとミルウォーキー、ピッツバーグの3チームが1.0ゲーム差内に犇めいています。加えて、4番手のカブスもなんとか付いていますから、中地区はこの4チームによる競り合いが続くことでしょう。
 それにしても、シンシナティの3勝17敗・勝率.150というのは悲惨です。早急な立て直しが必須でしょう。

 NL西ではアリゾナが走りました。
 常に西地区の覇権を争っているドジャーズとサンフランシスコは3番手と4番手に留まっていますし、何より「借金生活」というのが意外なところです。ダイヤモンドバックスが、どこまで走り続けるのか、2強+コロラドが何時上がって来るのかが注目です。
 
 MLB2018は約20試合を終えた段階で、AL東・ボストンとNL西・アリゾナが走りました。
 一方で、NL中は大混戦の気配ですし、AL中と西は2チームによる熾烈な首位争いとなっています。

 今シーズンも、ホームランが数多く飛び出す展開となっています。
 ALではマイク・トラウト選手(エンゼルス)が早くも8号、NLでもブライス・ハーパー選手が8号を放っています。
 そして、ALには2番手タイの6号を放っているプレーヤーが7名も居ますし、NLにも7号のプレーヤーが2名、6号が5名と、両リーグともに同じような様相、いつでも・どこでもホームランが飛び出す、といった様相を呈しているのです。

 結果として、いわゆる「ビッグイニング」が多いシーズンとなっていると感じます。
 各チームともに「1イニングの失点を2点以下に抑える工夫・努力」が、シーズンを戦って行く上での、大事なポイントとなるのではないでしょうか。
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[4月12日・カウフマンスタジアム]
ロサンゼルス・エンゼルス7-1カンザスシティ・ロイヤルズ

 MLBにデビューしたばかり、まだ10試合程度しか出場していないルーキーの大谷翔平選手の活躍が続いています。

 このゲームでは「申告敬遠」と「三塁打」を初めて経験しました。

 このゲームの7回表、8番DHで出場していた大谷選手に二死満塁のチャンスで打席が回ってきました。
 そして、大谷選手は右中間真っ二つの長打を放ち、満塁のランナー全員をホームに迎え入れるとともに、長身・大きなストライドのベースランニングで快足を飛ばして、三塁ベースを陥れました。
 滑り込みこそ見せましたが、実質的には「スタンドアップ・トリプル」と呼んで良い、悠々とした三塁打でした。

 「凄いな」と感じました。

 三試合連続ホームランも凄いのですが、この日の三塁打を観た時、これまでで一番「凄いな」と感じたのです。

 大谷選手の活躍は、既にMLBに鳴り響いています。何しろ「週間MVP」に選ばれたのですから。
 であれば、相手投手の研究も進んでいて、打ち辛い球種・コースで攻められることは必定です。当然ながら「初めて対戦する投手」ばかりですから、時々は「ノーヒットの試合があっても良い」というか、あるのが普通?でしょう。
 例え、MLBで10年プレーしている選手でも「ノーヒットのゲームはある」のです。それも、相当数・相当の頻度で・・・。

 にもかかわらず、大谷選手は先発出場した全試合でヒットを続けています。

 この日の4打席目に飛び出した三塁打ですが、大谷選手に「この日ノーヒット」という気負いの様なものは全く感じられませんでした。全ての打席において「同じように打席に入り、同じように構え、同じように投球を見、同じように振っている」のです。

 何だか「凄い」と思いませんか。

 この打席では、ロイヤルズのマウアー投手の内角速球、156km/hのストレートを「両腕を畳んで振り抜き」、右中間へライナーを飛ばしました。
 「腕を畳んで内角球を捉まえる」というのは、高度な打撃技術であることは誰でも知っていることですが、相手がメジャーの速球投手となれば、その難しさは増すばかり・・・。
 それを「芯で捉えてフェンスまで運ぶ」のですから、本当に「凄いバッター」なのです。

 そろそろ「打てなくなっても」何の不思議もないのに、まだ打ち続けている、それも「満塁走者一掃の三塁打」なのです。
 大谷選手にとって「初めての経験」ということは、観る側にとっても「初めてのシーン」なのですが、大谷選手は毎試合の様に、観客に初めてのシーンを提供しています。

 「凄いな」・・・。
 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の勢いが止まりません。

 DHで出場したゲームで3試合連続ホームラン、先発登板した2ゲームで2連勝、とアメリカファンの言葉を借りれば「彼は現実か?」という活躍なのです。

 100年位前の、ボストン・レッドソックス時代のベーブルース選手との「二刀流」比較も、相当回数行われていますが、既にこの比較も難しいレベルの活躍になっていますから、現在の大谷翔平選手の活躍は「空前絶後」のものと言っても良いのでしょう。

 特に凄いと感じるのは、
① パワー=打球の初速と飛距離
② 投球のコントロールの良さ

 の2点でしょう。

 コンパクトに振った1号・2号ホームランがスタンドに飛び込み、3号は少し強く振ったというか、MLBのゲームに慣れてきて、大きなスイングで打っていった感じですが、この初速がMLBトップクラスの180km/h越え、137m弾というのですから、素晴らしいの一語。同じ試合で一塁正面を付いた強いゴロ(アウトになりましたが)の初速も177km/hと報じられました。とにかく「強い打球」を打てるのです。
 練習では150m弾を複数放っていると報じられていますから、今後もとても大きなホームランを魅せてくれそうです。

 投球としては、「まだ」160km/h前後の速球しか投げていません?し、スプリット(フォークボール)の切れ味が高く評価されていますが、何より「コントロールの良さ」が際立っています。
 MLBでは、160kmの速球は珍しいものでは無いのでしょうが、それが「狙ったところ」に投じられるとなると話は別なのでしょう。
 また、剛球投手でありながら殆どフォアボールを出さないというのも、相手チームにとってはとてもやり難いことなのでしょう。「剛球投手は四球から崩れる」というパターン?が大谷投手には当てはまらないのです。
 これではなかなか失点しないのも道理で、4月8日の「19打者連続アウト」という驚異的な投球となって現れるのです。
 いきなりパーフェクトかと期待されたこの試合後の記者会見でも、「初ヒットを許した後の四球」を反省していたと伝えられていますから、大谷投手は与四球を常に注意していることが分かります。

 まだ「大谷選手がMLBに慣れて行く途上」であることは明白ですので、今後、これまで以上のパフォーマンスを魅せてくれることは、間違いないことの様に思われます。

 本拠地初登板となったゲームの観客数は4万5千人近くとなり、スタジアムの最高入場者数ゲームのひとつとなったそうです。大谷投手の一挙手一投足に大歓声が上がり続けたのです。
 また、アメリカのSNSでは、「ベースボールは普段見ないが、これから大谷が出場するゲームは全部見る」といった書き込みが多いそうです。

 デビューして僅か10日位しか経っていないのに、目新しい「二刀流」の活躍はMLBファンを拡大しつつあるようです。

 「大谷翔平」は早くも、MLBの「宝」になりつつあるのかもしれません。

 「日本の漁網技術が、メジャーリーグのファンを守る。」、スポーツライター・谷口輝世子氏の記事が4月3日に配信されました。
 とても興味深く読ませていただきました。

 MLBでは近時、ファウルボール等による観客の怪我のリスク増が問題になり、2018年シーズン開始時には全30球団が、ホーム球場の「防球ネット」を拡大したこと、そして、その「防球ネット」には、日本の漁網製造会社・ニチモウ社のものが数多く使われているという記事です。

 太さ約1.2mmで、色もグレーと緑が混ざったような特別な色が使われている糸で編まれているネットですから、観戦の邪魔になりにくいという技術が、アメリカにおいても支持されているということで、こうしたものについての「日本の物づくり技術の高さ」が、ここにも表れているということになります。

 私が感心したというか、印象的だったのは、「MLBの観客席において、ファウルボールにより怪我をする人が増えた」という事象です。

 かつては、「メジャーリーグの観客は『ゲームに集中している』ので、ファウルボールが観客にぶつかる確率が低い(ちゃんと避ける)」と言われていました。MLBの観客は「ボールの行方」を良く観ているということです。

 一方で、日本プロ野球NPBの観客は、「応援に忙しくて、試合を観ていない」と言われていましたし、現在でも野球ファンの友人からそういう声を聞きます。
 剛速球やタイムリーヒットのシーンを「見逃す」ことも多いのでしょう。ヒットが出たかどうか、好プレーが出たかどうかは、「他の観客の歓声」で分かる、といった人もいるのかもしれません。せっかくのLIVE観戦なのに、もったいないことです。
 また、NPBの応援は、相当に難しい?のかもしれません。プレーヤー毎に動作や掛け声、歌詞が異なりますから、応援席で正当な?応援が出来るようになるまで(変な書き方で恐縮です)には、相当の経験が必要?ということなのでしょうか。
 「他のファンと同じ応援が出来ないと、応援席には居づらい」という意識も有るのかもしれません。
 もちろん、こうしたバラエティに富んだ応援を繰り広げることが、観客にとっての野球観戦の楽しみのひとつという側面も有ります。
 結果的に、応援に夢中になる余り、プレー観戦は疎かになるという指摘もあるのです。

 さて、「防球ネット」の話です。

 こうした事情から、プレーやボールの様子を良く観ていないNPBの観客の為に、NPBでは、もともと「防球設備」が充実というか、内野から外野のポール際まで広範囲に敷設されているのだ、という説明になりそうです。

 ベースボール発祥の地であるアメリカのMLBでは「防球ネットは最小限に」という考え方で、これまでは運営されてきたのでしょう。
 「もともとベースボールには防球ネットなど存在しなかった」という考え方をベースにした運営がなされてきたのでしょう。

 従って、バックネット部分に限定されてネットが在っただけで、内野席側にはネットが在りませんでしたから、痛烈なライナー性のファウルボールや時には折れたバットが勢いよく観客席に飛んで行ったのです。
 それは相当に危険ですが、MLBの観客は気にしないというか、「それもベースボール」という意識で捉えていたように感じます。

 10年ほど前のMLB中継で、お子さんを連れて内野席で観戦していた観客にインタビューが行われ、放送されました。その時、そのお父さんは「ベースボールで使われているボールが、『どれほど堅くて、どれほどのスピードで飛んでくるか』を肌で感じてもらうには、ボールパークに来るのが一番」「選手たちがどんなに凄いことをやっているのか。そして、ベースボールはちゃんとやらなければ危険なもの、ということを子供たちに教えてあげたいと思って・・・」とコメントしていました。

 アメリカの普通のお父さん(変な書き方で恐縮です)ですが、お子さんへの教育的視点は素晴らしいなと感じましたし、さすがに「ベースボール・イズ・アメリカ」だと感じ入ったことを憶えています。

 文化としてのベースボールが浸透しているアメリカにおいては、「防球ネットは最小限」という考え方が変わることはないだろうとも思ったものです。

 ところが、インターネットの普及、特にスマートフォンの普及により、近時はMLBにおいてもグラウンドから眼を放す観客が増え、この数年はファウルボールやバットで怪我をする人が増えてしまったのです。
 
 もちろん、スマホから得られる、ベースボールに関係が無い情報に夢中になりゲームを観ていない観客も増えたのかもしれませんが、スマホから得られる各種の情報を、ボールパークでの観戦に活かそうという意味での、スマホ使用もあるのでしょう。
 いずれにしても、観客のほぼ全員が、MLBのプレーに真剣に集中し、チャンス・ピンチのシーンともなれば、「息を飲む状態」となって、ボールパークが水を打ったように静まり返るといったシーンが、徐々に変わりつつあるということになります。

 歴史と伝統に育まれたMLBの観客席も、IT技術の進歩・普及と無縁では無かったのです。
 MLBに挑戦している大谷翔平選手が、メジャーデビューを果たし、3月29日の開幕戦(オークランド・アスレティックス戦)に「打者・大谷」として8番・DHで出場して初打席、ライト前に初ヒット(5打数1安打)を放つとともに、4月1日には敵地で「投手・大谷」として初先発(アスレティックス戦)し、6イニング・92球を投げて、被安打3・3失点・奪三振6・与四球1の好投を魅せて、勝利投手となりました。

 ホームランを打ったわけでは無く、165km/hのボールを投じたわけでもなく、完封勝利を挙げたわけでもない、打撃・投球ともに、「もの凄い」という内容では無いのですが、残した結果は「もの凄いもの」だと感じます。

 日本から渡米したばかりのプレーヤーが、メジャーでスプリングトレーニングを積み、それも異例の「二刀流」プレーヤーとしてトレーニングを積み、投手としても野手としてもプレシーズンゲームでは満足な成績は残せなかったにもかかわらず、「開幕メジャー」に名を連ね、開幕戦から出場して、初打席・初安打を放つとともに、開幕第4戦に先発登板してクオリティスタートを実現し、初勝利を挙げたというのですから、「なんだか凄いな」というか、「底知れぬ可能性」を漂わせているのです。

 そもそもルーキーが「メジャー初打席・初ヒット」、「メジャー初先発・初勝利」という結果を残すこと自体が驚異的であることは、異論のないところでしょう。どちらかひとつであっても、ベースボールを志す若者にとって「夢のような成果」なのです。

 それを両方、開幕から1週間も経たないうちに実現してしまうのですから・・・。

 これが「大谷選手の心身の才能の大きさ」なのであろうと思います。

 日本から来た若者が、「二刀流」などと言って騒いでいる、プレーをさせて観て「その可能性」が感じられなければ、ただの「ほら吹き」という扱いになる(嫌な言い方で恐縮です)筈なのですが、スプリングトレーニングで全く成績が上がらなくとも、エンゼルスのマイク・ソーシア監督以下のスタッフは、事も無げに「ロースター」に大谷選手を加えました。「メジャープレーヤーの資格有り」と明確に判断したのです。
 その「才能の大きさ」を感じたと言っても良いかもしれません。

 たとえ早々に結果が出なかったとしても、ベンチは、開幕1ヵ月位は「慣れる期間」として我慢して使い続けるつもりだったのかもしれませんが、そのプレーヤーは「最初から結果」を出しました。

 「・・・マウンドに行く時も、一番最初に野球を始めてマウンドに行く時の様な気持ちで行けたので、すごく楽しかったです」と初勝利の後コメントしました。
 これ程のコメント(少なくとも私はこれまで聞いたことが有りません)は、事前に用意できるようなものでは無いでしょう。本当に、そのように感じたのでしょうし、ひょっとすると「本当に初めて、ベースボールのマウンドに立つ」心持であったのかもしれないとさえ思います。日本における野球の経験など、全く頭に無かったのではないでしょうか。
 大谷選手は、日本での実績を背景にMLBに挑戦しているのではなく、ご本人の心持ちとしては、単純に「MLBに挑戦している」だけなのかもしれません。
 信じられないような領域に存在するアスリートという気がします。

 当然のことながら、大谷選手・投手は、メジャーの投手の「動くボール」などの投球に不慣れで、良く滑ると言われるメジャー球にも不慣れで、メジャーのマウンドや投球練習のやり方にも不慣れで、遠征やスケジュール管理にも不慣れです。慣れるまでには、相応の時間がかかるのでしょう。

 大谷投手が165km/hの投球を魅せてメジャーの打者をバッタバッタと打ち取り、場外ホームランを連発するまでには、まだまだ時間がかかるのです。
 しかし、大谷投手・選手がいずれ、こうした活躍を魅せるであろうことは間違いないことの様に思われます。
 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が、同僚のマイク・トラウト選手と共に、アメリカのスポーツ誌「スポーツ・イラストレーテッド」の表紙を飾ることになったと報じられました。

 3月26日の「MLB開幕特集号」です。

 スポーツ・イラストレーテッド誌は、単なるスポーツ雑誌というよりも、世界中のスポーツ専門誌を代表する存在といって良く、その歴史と伝統・内容は、他の追随を許さないものがあります。特に、掲載されている「写真」は素晴らしいのです。
 当然ながら、その「表紙」に写真が掲載されることは、全ての、特にアメリカのアスリートにとって「憧れの的」であることは、間違いありません。
 

 まだ、MLBにおいて活躍していないというか、一球も投げていないし、一球も打っていない大谷選手が、メジャーを代表する強打者であるトラウト選手と共に、「いきなり」表紙を飾るのですから、今季の大谷選手への注目度の高さが、MLBにおける高さが良く分かります。
 ひょっとすると、日本においてより、アメリカにおける注目度の方が、相当高いのではないでしょうか。

 前にバットを持ったトラウト選手、後ろにグラブを持った大谷選手が、少しずれて並び、膝から上を「大写し」にした表紙写真は、とても堂々としています。2名の選手の前には、白色で「MVP」と大書してあるのですから、とても「かっこいい」のです。

 エンゼルスのスプリングトレーニングに参加中の、大谷選手のスプリングゲームにおける成績は、良くありません。投げては連続ノックアウト、打っては打率1割を行ったり来たり、というのですから、「散々」と指摘されても仕方がないでしょう。

 しかし、それは「当たり前」なのではないかと思います。
 ボールやグラウンドを始めとする全ての環境が「初体験」という「若いプレーヤー」がいきなり大活躍することなど、世界最高のベースボールリーグであるMLBでは考えられないことでしょう。
 MLBの底は、そんなに浅くは無いのです。

 そうした状況下で、大谷選手は「おおらかに」トレーニングしプレーしていると感じます。

 「メジャーに残れるかどうか」を心配している風は、全く感じられませんし、マイク・ソーシア監督を始めとするスタッフも、その話題には触れません。
 それは、腫物に触れるような扱いというよりは、「まだまだ慣れるまでに時間がかかる」ということを十分に認識しつつ、「大谷選手のパフォーマンスの高さを十分に感じている」様子に見えます。

 開幕メジャーが実現できるか否か、ということを余り気にする必要も無い、大谷選手本人が「最も気にしていない」のではないかとさえ思うのです。
 イチロー選手のコメント、「(メジャー関係者の)誰に聞いても最高の才能」が花開くときを待てばよいのでしょう。
 それは、そう遠い時期では無いとも思います。

 それにしても、ここにも「呪い」が登場します。
 それは「スポーツ・イラストレーテッドの表紙を飾ると成績が落ちる・悪い」という「呪い」で、「スポイラの呪い」と呼ばれることもあるそうです。

 アメリカ合衆国のスポーツファンの「呪い好き」にも驚きますが、大谷選手には「のびのびと」その呪いを吹き飛ばしていただきたいと思います。
 3月5日、イチロー選手がマリナーズに入るのでは?、という報道が入り、7日には正式に発表されました。

 今季FAマーケットの異例の動きの中で、まだ50名位の元メジャーリーガーの行く先が決まっていない状況下、イチロー選手の去就が決まり、少なくとも2018年シーズンはシアトルでプレー出来そうなのですから、日本のMLBファン、イチローファンにとっては、とても嬉しいニュースです。

① マリナーズとの「縁」

 マイアミ・マーリンズを追われた?理由も、「チームの根本的な若返り」でしたから、当然ながらMLB全体の趨勢として、「年俸が高いベテラン選手」が敬遠されることとなっているのです。

 こうした状況下、44歳のイチロー選手を採ろうとする球団は、本来スターターと考えていた外野手および本来2番手と考えていた外野手が共に故障した場合しかないだろうと思っていました。

 そして、開幕に向けて、そうした緊急事態に追い込まれたのがシアトル・マリナーズであったところに、イチロー選手とマリナーズの深い「縁」を感じてしまいます。

② 「興行面」の効果

 強いチームを創り、ポストシーズンに進出し、チャンピオンシップゲームやワールドシリーズに進出することは、MLBの球団経営者にとっては最大の目標でしょうし、ファンにとっても最大の楽しみのひとつであることは、間違いありません。

 その一方で、「勝利」以外の分野でも、球団経営陣としては「ファンに喜んでもらう」施策を展開する「義務」があります。プロスポーツなのですから、「勝てばよいというものでは無い」ことは当然のでしょう。

 「興行面」と呼ぶと、やや違う意味も感じられてしまって残念なのですが、他に適当な言葉も思い当りませんので、この言葉を使わせていただきます。

 マリナーズファンがセーフコフィールドに来たり、ゲームのテレビ放送を観た時に、「イチロー選手の姿・プレー」を観ることが出来るのは、相当高いレベルのエンターティンメントでしょう。
 マリナーズが今より強かった時代、MLB記録を次々と塗り替えていくイチロー選手の雄姿は、マリナーズファンの心に深く刻まれているのです。

 そのイチローが帰ってきた、背番号も前と同じ「51」、そしてライトフィールダーとして守備に就いているとなれば、セーフコフィールドの観客動員にプラスになることは相当高い確率で予想されます。
 仮に私がシアトルに住んでいたなら、必ず球場に足を運びます。それも、年間5~10試合は行くでしょう。
 
 そういう意味からも、イチロー選手はマリナーズにとって大切なプレーヤーなのです。

③ ノーリスク

 イチロー選手との契約内容は、1年・545,000ドル(約5,780万円)=規程上のメジャープレーヤーの最低年俸、と伝えられています。

 イチロー選手の年俸としては、とても安価な印象ですが、「メジャーでプレーすること」が目標であったイチロー選手には納得の条件でしょうし、「マイナー契約では無かった」ところに、マリナーズの敬意が表れているようにも感じます。

 40歳を越えたFAプレーヤーを雇用する場合には、普通はマイナー契約から始めることが多いと思います。マイナーで実力を示してメジャー昇格を目指してもらうのです。
 メジャー昇格期間中、日割りでメジャー最低年俸が支払われる形ですが、今季も「MLB最年長プレーヤー」であるバートロ・コロン投手(イチロー選手より1歳年上)も、この形で2月4日にテキサス・レンジャーズと契約しました。

 他方、イチロー選手より2017年シーズンの成績が良い、30歳台のバリバリの外野手達が、まだFA市場に複数残っています。
 マリナーズが本格的に外野陣の立て直しを考えているとすれば、こうしたバリバリのプレーヤーを採り上げる可能性も有るのです。

 当然ながら、こうした「脂の乗った」プレーヤーは「高価」です。少なくとも、年間5~10億円の年俸が要るでしょう。
 そこには、球団経営者にとっての「活躍できなかった時のリスク」が存在します。

 翻って、メジャー最低年俸のイチロー選手には、そうしたリスクはありません。
 それでも575,000ドルのリスクが有るではないか、というご指摘もありそうですが、イチロー選手関連のグッズ販売、入場者数の増加分等を考慮すれば、ノーリスクというか、球団にとっては「黒字額の積み上げ」だけに注目すればよい存在なのでしょう。
 2012年までのユニフォームと2018年のユニフォームの違いをベースに、日本から観戦に行った沢山のファンが、また沢山のユニフォームレプリカを購入することは、自然なことでしょう。日本人観光客にとって、シアトルのお土産にこれ以上のものは存在しません。
 物凄い売上になることは間違いないでしょう。

 これは丁度、日本プロ野球の松坂大輔投手に似ています。
 今季、年俸1,500万円で中日ドラゴンズと契約した松坂投手ですが、既に松坂関連のグッズ売上で年俸分を越えたと報じられています。これからもどんどん伸びるでしょう。

 こうしたプレーヤー、「伝説的な存在」として「多数の固定ファン」が存在する、「ビッグネーム」を、安価に雇用した球団は、ノーリスクであり、逆に短期間での黒字が計算できるのです。

 下賤な感じの話で恐縮ですが、「採算面」だけを観れば、中日ドラゴンズもシアトル・マリナーズも「上手くやった」ことになるのでしょうか。

④ イチロー選手の2018年シーズンの出場機会

 マリナーズの正外野陣の一角が故障から回復するまでには、少なくとも3~4週間はかかると見られていますから、イチロー選手は開幕から2週間位はレギュラーシーズンのフィールドに立つことになるでしょう。

 その後は、イチロー選手の活躍次第ということになります。

 代打で使われるのか、正選手の休養日に使われるのか、という視点は、イチロー選手が25人のロースター枠に残ることを前提としていますが、これとて容易なことではありません。
 出場している間の活躍が無ければ、直ぐにロースターから外されてしまいます。メジャーのベンチに入るのは、とてもとても大変なことなのです。
 代打や代走、守備要員として、ひとり何役もこなすための、「野手の最後のひとり」(おそらく25人の中ではひとつしか控え外野手の枠は無いでしょう)として、ロースターに残る努力が、イチロー選手に求められるのです。

 シアトル地元のマスコミは、「イチロー選手の帰還」を好意的に捕えている報道ばかりではありません

 「正外野手の代わりは、マイナーリーグの若手を使え」「若手の中から将来のマリナーズを支えるプレーヤーを発掘しろ」という論調の記事も数多いのです。
 当然でしょう、「今後10年間使えるプレーヤー」の発掘は、シアトル・マリナーズを長く愛してきた人々にとって、とても大事なことだからです。
 イチロー選手をロースターに入れれば、「ひとりの若手プレーヤーの居場所が無くなる」のですから。

 イチロー選手としては、シーズン開幕当初の出場機会に、2018年シーズンを通じて「マリナーズに貢献できること」を証明するプレー、連続出場してもパフォーマンスが落ちないことを示す必要がありそうです。

 いろいろ書きましたが、いずれにしても私達にとっては、「イチロー選手のシアトル帰還」は慶事です。
 そのプレーが、イチロー選手らしいプレーが、いまからとても楽しみです。
 2月14日から始まった、ロサンゼルス・エンゼルスatアナハイムの2018年のスプリングトレーニングにおける、大谷翔平選手の動静が、毎日のように報じられています。

 「36球投げた。20球と16球に分けて」、「正捕手マルドナルド選手が全ての球が素晴らしいと評価」といった報道が続きますが、近時(といってもまだ1週間しか経っていないのですが)目立つのが、「打撃も凄い」という評価です。

 2月15日のフリーバッティングで、35スイング、安打性打球が20本、内12本が柵越え、中にはバックスクリーン越えの150m弾も、と伝えられました。
 1/3が柵越えというのは、大谷選手の飛距離を示すものです。

 当然ながら、「柵越えの為のスイング」によって大きな飛球を飛ばすだけなら、メジャーリーグのスプリングトレーニングに参加しているプレーヤーなら、それほど珍しいことでは無いのでしょう。
その打球が「生きた打球」であるかどうかは、MLB関係者であれば即座に見抜くのです。

 そのMLB関係者から、「素晴らしいパフォーマンス」との評価が高まっているというのですから、頼もしい限り。

 シーズン前には「二刀流」に懐疑的だった関係者、その多くは「投手・大谷翔平」を評価していた人達ですが、その人達からも「打者としての可能性を見出した」といったコメントが、数多く出されているのです。
 
 また、エンゼルスのマイク・ソーシア監督からは、2月17日に「三刀流」も考えている旨のコメントも出されました。大谷選手の走力を高く評価しての発言で、先発投手として出場する合間の試合でDHや代打として出場することはもちろんとして、「代走」でも活躍してもらうとの方針なのです。

 日本においては、投打はともかくとして、「走」が注目されたことは少なかった大谷選手ですが、スプリングトレーニング3日目にして、指揮官の眼には「素晴らしい走塁」が焼き付けられたことになります。

 大谷翔平というアスリートの「底知れぬ潜在能力」については、およそ「スポーツを知っている人」「スポーツを理解している人」なら、誰でも高く評価することは、これは間違いのないところで、特に世界トップクラスのプレーに係わっている人達が異口同音に「凄い」と言うのですから、物凄い身体能力を具備していることは、疑いの余地がありません。

 その大谷選手が、「伸び伸びとプレーしている」様子が報じられていることが、何より嬉しいことだと思います。
 「ベースボールが出来る喜び」を感じている様子が、沢山の報道の随所に感じられるのです。

 球聖ベーブ・ルースが「13勝7敗・11本塁打」を記録したのは1918年、今から100年前です。

 ベースボールも、この100年間に随分と変わったとは思いますが、21世紀のベースボールにおいて、大谷翔平というアスリートが、どんな活躍を魅せてくれるのかは、全てのベースボール&野球関係者・ファンの、大きな大きな関心事なのです。
 投手なら2月14日頃、野手なら2月20日頃に、メジャーリーグの「スプリングトレーニング」が始まります。
 NPBにおける「キャンプ」に相当するものですから、球団が公式に行う、2018年シーズンに向けての準備ということになります。とても重要なことは、言うまでもありません。

 2018年のスプリングトレーニング開始を目前にして、しかし、今季のFAマーケットの動きは、かつて見たことも無いほどに悪いと報じられています。

 日本人メジャーリーガーも例外では無く、ダルビッシュ有投手を始めとするプレーヤーの所属チームがまだ決まっていないのです。

 いくつかのチームとの交渉が進んでいるという報道もありますから、ダルビッシュ投手が2018年シーズンでプレーできないということは無いのでしょうが、それにしても遅すぎるという感じがします。

 2018年シーズン終了後のFA史上に、質・量共にFA史上最高レベルのプレーヤーが登場するため、ここに資金を投入するために、今FA市場では各球団とも「可能な限り出費を抑えている」とも伝えられています。
 高年俸チームに課せられる「ぜいたく税」の抑制方針とも相まって、こうした「異例な」状況が続いているのでしょうか。

 もちろん、メジャーリーガー、それも一流のプレーヤーともなれば、スプリングトレーニングで、他の同僚との練習をしなくとも、直ぐにチームに合流し、持てる力を存分に発揮できることは、毎年7月末の移籍期限ギリギリのやり取りの中で、移籍して翌日や翌々日には新しいユニフォームを着たプレーヤーがグラウンドに立つ姿を観てきましたから、理解できなくもないのですけれども、シーズン途中の移籍とスプリングトレーニング前の移籍は少し違うようにも思います。

 こうした「異例な」状況が生まれてしまった根源には、「メジャーリーガーのサラリー高騰」もあるのでしょう。総額100億円を超えるような契約が珍しいものでは無くなってしまったのです。

 球団の経営者から見れば「1ドルでも安く、良いプレーヤーを手に入れたい」と考えるのも分からなくはありません。

 一方で、球団の雇用行動とプレーヤーの就職活動が「チキンレース」の様になってしまうことが良いことがどうか、という視点もありそうです。
 契約締結を伸ばしに伸ばして、球団にとっての「最安値」を示現した時に、当該プレーヤーの気持ちはどんなものなのでしょうか。

 プロフェッショナルなのだから、心情で働きに差が出るのはおかしい、といった見方もあるのでしょうが、そもそもFA制度が1976年に導入される契機となった事件、1975年に「球団から提示された契約条件」に不満を持った2人のプレーヤーが、契約書にサインしないまま1シーズン働き、裁判、MLB機構と選手会の話し合いを経てFA制度が導入されたことを思い起こせば、プレーヤーの心情というのは、とても大事なもののように感じられるのです。

 また、ある意味では、「夢」を提供する義務のあるプロスポーツにおいて、「チキンレース」の様な有様をファンの眼前で繰り広げるのも、得策とは言えないでしょう。

 2018年スプリングトレーニング前のFA市場が、早く穏便に収束していただきたいものだと思います。
 12月11日、今季のウインターミーティングが始まって早々に、ビッグニュースが流れました。ニューヨーク・ヤンキースがマイアミ・マーリンズのスタントン外野手をトレードで獲得したと発表したのです。

 スタントン選手は、MLB2017年シーズンのナショナルリーグNLホームラン王・打点王の2冠に輝く長距離ヒッターです。
 59本塁打・136打点を記録し、リーグのMVPにも輝きました。

 ご承知のようにヤンキースには、2017年シーズンのアメリカンリーグALホームラン王のアーロン・ジャッジ選手が居ますから、2018年のヤンキースには「AL・NL両リーグのホームラン王」が並ぶことになります。長打力という面ではこの上ない打線となるのです。

 それにしても、マイアミ・マーリンズの「チーム大改革」は驚くべき規模とスピードで進んでいる印象です。
 先日、「マーリンズの顔」とも言うべき、快足・好守のディー・ゴードン二塁手をシアトル・マリナーズに放出しており、今般シーズンMVPのスタントン選手も、ということですから、2018年のマーリンズは「2017年とは全く別のチーム」になりそうです。(イチロー選手も出されてしまいました)

 元ヤンキースのスター選手であった、デレク・ジータ氏によるマーリンズの「チーム大改革」の行方・成否も、2018年シーズンの大きな見所であることは間違いありません。
 12月5日、ニューヨーク・ヤンキースの新しい監督に、アーロン・ブーン氏が決まったと報じられました。

 10月下旬に、ジョー・ジラルディ前監督が2018年シーズンは指揮を取らないと報じられて以来、約1ヵ月半が経っての発表でした。

 アーロン・ブーン氏は、1973年生まれの44歳。シンシナティ・レッズやヤンキース等、MLBの6球団で三塁手としてプレーした後、2010年に現役を引退し、ESPNの解説者として活躍してきました。MLBおよび傘下の球団も含めて、指導者としてのキャリアは初めてとも報じられています。

 私たち日本のMLBファンにとっては、アーロン・ブーン氏のお兄さん、ブレット・ブーン氏の方が馴染みがあります。
 イチロー選手がMLBに挑戦し、シアトル・マリナーズで活躍を始めた頃、その同僚として、「強打の二塁手」として大活躍を魅せていたからです。この2001年のブレット・ブーン選手は141打点で打点王に輝くとともに、37本塁打を放ち、シーズン116勝という史上最高記録を達成したチームに、多大な貢献をしたのです。

 「ブーン家」は、祖父のレイ・ブーン氏、父のボブ・ブーン氏、兄のブレット・ブーン氏、そしてアーロン・ブーン氏と「3代4名のメジャーリーガー」を輩出していて、これはMLBの記録となっています。
 何より凄いのが、その4名が4名ともオールスターゲームに出場していることでしょう。

 メジャーリーガーに成るだけでも、類稀なことであることは言うまでもありませんが、その中でオールスター戦に出場するというのは、MLBのトッププレーヤーの証です。
 3代4名がオールスター戦に出場するというのは、空前絶後の記録に見えます。

 さて、そうした「MLBのエリート一族」の一員であるアーロン・ブーン氏に、ヤンキース監督というMLBでも最も注目される監督就任の「白羽の矢」を立てたということになります。

 ヤンキースの監督ひいてはMLBの監督の選定基準は、当然ながら、私のような素人には計り知れないものですが、近時は「40代の若い監督」が増えているように見えます。
 2017年のワールドシリーズも、43歳のAJヒンチ監督率いるヒューストン・アストロズと、45歳のデーブ・ロバーツ監督率いるロサンゼルス・ドジャーズの対戦となりました。
 40歳台のMLB監督は、決して珍しくはなくなっているのです。

 様々な関連情報を見ると、現在MLBで求められている監督像には
① 若いプレーヤー達と良好なコミュニケーションを取ることが出来るパーソナリティを具備していること
② 各種のデータ分析に精通し、実践の戦術に応用する力があること

 の2点が必要とされているようです。
 この①などは、コミュニケーション能力では無く、コミュニケーションを取ることが出来る「パーソナリティ」というのですから、才能としてもともと備わった「個性」ということになります。
 MLBの監督に就任するためには「天賦の才」が必要ということになるのです。

 ニューヨーク・ヤンキースは、アーロン・ブーン氏に「その能力あり」と判断したことになります。

 もうひとつ、ヤンキース固有の事項として、久し振りに「捕手出身」以外の、三塁手という「野手出身」の監督ということが挙げられそうです。

 ヤンキースは、1996年~2007年のジョー・トーリ監督、2008年~2017年のジョー・ジラルディ監督と2代・22シーズンに渡って、捕手出身者が監督を務めてきました。
 色々な理由があると思いますが、「トーリ監督の成功」が大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。

 MLB史上最多の27回のワールドシリーズ制覇を誇るヤンキースですが、その内20回は1960年代前半までに獲得されたもので、1970年代以降「世界一」の回数は激減し、1970年から1995年までの間には、僅か2回しか優勝できませんでした。
 そして、1980年から95年の間は、ワールドシリーズどころか、ポストシーズンもままならないシーズン、「低迷の時代」が長く続いたのです。

 この苦境からヤンキースを引き上げて魅せたのが名将ジョー・トーリ監督でした。
 トーリ監督は、4回のワールドシリーズ優勝、6回のリーグ優勝と、ヤンキースファンに久方ぶりの「黄金時代」を提供したのです。

 「捕手出身監督は良い」という評価が、ヤンキースおよびヤンキースファンの間で固まることは、自然なことだったのでしょう。
 そして、ジラルディ監督も10シーズンの間指揮を執り、2009年シーズンにはワールドシリーズを制覇しました。松井秀喜選手がMVPを獲得したワールドシリーズです。

 そのジラルディ監督も2010年以降は、なかなかワールドシリーズにチームを導くことが出来なくなり、今回の退任ということになったのでしょう。
 ポストシーズン進出位では、ヤンキースファンは満足してくれないということでしょうか。大変なポストです。

 さて、ブーン新監督には、ワールドシリーズ制覇が期待されるのでしょう。
 2016年シーズンから「一気の若返り」を進め、アーロン・ジャッジ選手を始めとする、今後10年のヤンキースを支えるプレーヤー達が育ちつつあるチームを、ワールドシリーズに連れて行く責務が課されることは、間違いないのでしょう。

 若きプレーヤー達との良好なコミュニケーションと、セイバーメトリクスを始めとするデータ分析と戦術・プレーへの応用をベースとして、ブーン監督ならではの工夫を加えた指揮が、2018年のヤンキースに大きな変革を齎すことでしょう。

 その采配が、今からとても楽しみです。
 11月13日、MLB2017シーズンの両リーグの新人王が発表されました。

 アメリカンリーグALは、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手、ナショナルリーグNLはロサンゼルス・ドジャーズのコディ・ベリンジャー選手でした。

 2人共「満票」での選出でした。「文句無し」の受賞だったのです。
 両リーグともに満票での選出は20年振り、史上4度目だそうです。

 ジャッジ選手は打率.284、本塁打52本、打点114、ALホームラン王です。
 ベリンジャー選手は打率.267、本塁打39本、打点97、チームのNLチャンピオンシップ勝利に大貢献しました。

 2人の若手プレーヤーに共通しているのは、打撃面、守備面共にまだまだ未完成であるということでしょう。
 ポストシーズンに入って、ジャッジ選手もベリンジャー選手もなかなか打てませんでした。当然ながら、相手チームの研究による対策の「壁」にぶち当たったのです。

 そして2人に共通しているのは、この「壁」を正面から破って行ったことです。
 当てに行くといった「対処療法」を実施することなく、自身本来のスイングを続けながら、次第に相手投手の投球のコース・変化・スピードに対応し、打てるようになって行ったことが、本当に素晴らしいと感じます。「伸びしろ」がとても大きいのです。

 2人共「本物」なのでしょう。
 今後、メジャーリーグを代表する野手に育って行ってくれるものと思います。

 ジャッジ選手は、ヤンキースのプレーヤーとして、1996年のデレク・ジータ選手以来の新人王受賞と報じられました。
 ヤンキースがジータ選手の登場と共に黄金期を迎えたことは、ご存じの通りです。
 
 ジャッジ選手の新人王受賞も、ヤンキース黄金期到来の起爆剤となるような気がします。
 11月3日、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が、残り3年のヤンキースとの契約を破棄せず残留する旨を表明したと、報じられました。

 2014年にNPB楽天ゴールデンイーグルスから、MLBヤンキースに移籍した田中投手の契約には、「2017年シーズン終了後に田中投手側から契約を破棄できる条項=オプトアウト条項」が含まれているとされていて、田中投手の動向が注目されていたのです。

 オプトアウト条項は、田中投手側が「より良い契約を示したチームに移籍する権利」です。田中投手の活躍を観て、ヤンキースより良い条件を提示するチームが登場した時に、田中投手が移籍を検討することができる権利ということになります。

 一方で、2017年のレギュラーシーズンの田中投手は、13勝を挙げたものの、12敗と田中投手としては珍しく負け数が多く、防御率4.74もキャリアワースト、登板毎の出来不出来の波が大きく、被本塁打も目立つという、田中投手にとっては不満の残るものでした。

 地元ニューヨークにおける評判も厳しいものが多く、「田中はもはやヤンキースのエースでは無い」から始まって、「田中は要らない」といったものまで、厳しい論評が続きました。
 オプトアウトどころではなく、ヤンキースの方が田中投手を放出するのではないかという状況だったのかもしれません。

 そうした評価の下で迎えたポストシーズンで、田中将大は自らの力を示したのです。

 3試合に先発して、総失点は僅かに2、2勝を挙げて、チームの窮地を救ったのです。
 MLBにおける自身の投球を確立したポストシーズンでもあったのでしょう。

 「大試合に強い投手」として、ニューヨークにおける田中投手の評価は、再び高いものとなりました。

 そして今回の「残留表明」となったのです。

 2018年シーズンも「ピンストライプ」を身に付けた田中投手の活躍を観ることが出来るようになったことは、とても嬉しいことです。

 「2018年の田中投手の素晴らしい投球」が、今からとても楽しみです。
 NHK-BS放送では、今シーズンからピッチャーの投ずるボールの回転数や、バッターの放つ打球の初速や角度を測定する仕組み、「スタットキャスト」と称している映像解析システムを導入し、放送の中でデータを紹介しています。

 プレーの結果を数値化することで、新しい視点を提供しているのです。

① 投球の回転数

 MLBの各投手のストレート、ツーシーム、スライダー、チェンジアップ、スピリットといった各球種の平均回転数(/分)を示し、放送している試合で投げている投手の回転数と比較したりします。

 「MLBの平均は2300回転ですが、この投手は2500回転です。」といったアナウンスが流れるのです。

 時々感じるのは、「回転数が多い方が良い」といったニュアンスの放送が行われることです。「先ほどのスライダーは2300回転でしたが、今の投球は2600回転と上がりました」「平均より相当多い回転数です」といった具合。

 当たり前のことを書いて恐縮ですが、「回転数が多ければ良い」といったことは無いわけですから、「回転数が上がりました」といったアナウンスが、やや興奮気味に行われるというのは、ピントがずれています。

 投球の回転数は、投手毎のフォームや体格によって様々なのですし、球種によって適した回転数も異なるのでしょうから。例えば、スプリットは回転数が少ない方がよく落ちそうです。

 一方で、「何回転なら相手打者を抑えられる」といった、絶対値としての物差が出来上がることも、現状では期待できないと思います。投手毎に体躯や筋力が異なる以上は、それぞれのピッチャーは自らに合った投球を指向し練習するのでしょうから。

 また、「自分のスライダーは、いつもは2200回転なのに、今日は2300回転だから、調子が悪い(あるいは良い)」といった判断材料に、ピッチャーが使うということも、少なそうです。
 MLBのマウンドに立つことが出来る程のピッチャーは、自らの調子の良し悪しは、何球か投げてみれば自分で分かるでしょうし、投球を受けるキャッチャーやコーチも、その投手の調子を掴むのに、回転数を必要とはしないでしょう。

 投球の回転数というのは、「結果」として観るものなのでしょうが、その意味からも、今のところ「新しい発見」に結び付くような傾向は、見つかってはいない様に思います。

② 打球の初速・角度

 どんな打球でも適用できるのでしょうが、主にホームランについて解析が行われているように見えます。

 初速158km/時以上、角度30度前後の打球が、ホームランになり易いと言った説明もされています。

 この分析も、プレーヤーにとっては「結果」に過ぎず、自らのプレーの向上などに活かしていくのは、難しいことの様に見えます。

 再び当たり前のことで恐縮ですが、初速158km・角度30度の打球を狙って打って行く打者は居ないでしょう。そんな難しいことを考えていては、プレーは出来ません。
 打者は、タイミングを合わせて、強い打球を打って行こうとするだけです。

 打者毎に、身長や体重、筋力等が異なるわけですから、スイングプレーンやバットを振る速度が異なるわけですし、相手投手の体格等によって投球の角度やスピードが異なりますし、球種によってもホームベース上の投球の軌道も異なりますから、打球の初速158km・角度30度を実現しようとすれば、「変数」がとても多くなります。
 やはり、タイミングを合わせて強く振って行くことになりそうです。

 もちろん、180km以上の初速を実現できる筋力やスピードを保持する打者なら、打球角度は15度位でもホームランを打つことが出来るでしょう。マーリンズのスタントン選手などは、大袈裟に言えば「水平に見える打球でもホームラン」、実際には角度5度位の打球でもスタンドまで運ぶことが出来ます。

 ここまで観てきましたが、少なくとも現時点では、投球の回転数や打球の初速・角度といったデータから、新しいトレーニング方法やゲームにおける戦術が生れているようには見えません。

 いまのところは「単なる結果論」に過ぎないように見えます。
 そして「結果論」としての観戦する側のツールという面からも、効果的で興味深い物差が生れているようにも見えません。

 とはいえ、今季からの新しい取組ですから、今後何か大きな発見に結び付く可能性はあるのでしょう。

 「データ分析が大好き」なアメリカにおいて、この仕組みから思いもよらぬ「物差」が生れ、ベースボールにおける新しい取組方法が構築されることを期待しています。
[10月24日・第一戦・ドシャースタジアム]
ロサンゼルス・ドジャーズ3-1ヒューストン・アストロズ

[10月25日・第二戦・ドシャースタジアム]
アストロズ7-6ドジャーズ(延長11回)

[10月27日・第三戦・ミニッツメイドパーク]
アストロズ5-3ドジャーズ

[10月28日・第四戦・ミニッツメイドパーク]
ドジャーズ6-2アストロズ

[10月29日・第五戦・ミニッツメイドパーク]
アストロズ13-12ドジャーズ(延長10回)

 5試合を終えて、アストロズが3勝2敗と一歩リード。

 「例年通り」のこととはいえ、ワールドシリーズWS2017も毎試合「劇的なシーン満載」のシリーズとなっています。
 変な言い方で恐縮ですが「このクオリティの高さ」には、いつも感心させられます。

 「世界一」の栄誉に向けての、メジャーリーガー達の高いパフォーマンスと「凄まじい執念」がワンプレー・一球ごとに感じられるところは、プロフェッショナルスポーツの究極形というか、それを超えたところに存在する、「世界最高の領域」のようです。
 観戦している私たちの口から出るのは「凄い」という言葉ばかり・・・。

 ドジャーズにとっては、リードしながら9回に追いつかれてしまい、延長に入って壮絶な・信じられないようなホームランの打ち合いとなった第二戦を落としたことがとても痛く、第五戦で9回に3点差を追い付いて、第二戦の悲劇を帳消しにしようとしましたが、それは成就しませんでした。

 一方でアストロズとしては「ミニッツメイドパークにおける不敗伝説」を第四戦で失ったダメージは、とても大きなものでしょう。
 ドジャーズは「ベリンジャー選手の復活」により、アストロズと互角の得点力を得たのです。

 さて、第6戦は「バーランダー投手VSドジャーズ打線」の戦いとなります。

 悲願のWS制覇に向けて、バーランダー投手は自らのスキルを最大限に発揮し、「精魂を込めたピッチング」を披露することでしょう。
 ホームに戻ったドジャーズが、どのようにこの大投手を攻略するのでしょうか。

 ベースボールファンにとっての最高の「ごちそう」も残りは僅か。

 第七戦も、両チームが死力を尽くしたプレーの連続となることでしょう。
[10月24日・WS第1戦・ドジャースタジアム]
ロサンゼルス・ドジャーズ3-1ヒューストン・アストロズ

 ワールドシリーズWS第1戦は、ドジャーズ先発のカーショー投手が7イニングを投げて、被安打3、奪三振11、失点1の好投を魅せ、モロー投手、ジャンセン投手と繋いで、強打のアストロズ打線を1失点に封じ、快勝しました。
 大エースを立てて、ドジャーズにとっては「負けられない初戦」をキッチリ物にした形です。

 レギュラーシーズンを通じて、打率・得点等、打撃部門でリーグトップの成績を誇るアストロズから二桁奪三振を奪うこと自体が、とても難しく、アストロズから見れば「珍しい」ことですが、それが「ワールドシリーズの舞台」となると、その価値は飛躍的に高まるのは道理です。

 ドジャーズにおいて、WSで「二桁奪三振」を記録した投手は、1965年の第7戦、サンディ・コーファックス投手がミネソタ・ツインズを相手に11三振を奪って以来というのですから、52年・半世紀振りということになります。

 こうした快記録が出ると、過去のプレーヤーにスポットライトが当たるものですが、サンディ・コーファックス投手とは懐かしい・・・。

 1954年ブルックリン・ドジャーズ(ニューヨーク)時代に入団し、チームのロサンゼルスへの本拠地移転と共にロサンゼルス・ドジャーズのエースとなり、3度のWS制覇(内2度はコーファックス投手がシリーズMVP)など、ドジャーズの黄金時代を支えた、まさに「大投手」でした。

 身長188cmの体躯から、大きく脚を上げて投げ下ろすストレート(4シーム)と落差十分のカーブの威力は抜群で、1963年のWSを戦い、敗れたヤンキースの中心選手だったヨギ・ベラ選手(伝説的なキャッチャー)は「何故、あの男が25勝できたかはよく分かった。分からないのは、何故5敗したのかということだ」と語ったと伝えられています。

 コーファックス投手は、通算165勝87敗と、高い勝率(65.5%)を誇りました。
 カーショー投手は、現時点で144勝64敗と、こちらも抜群の勝率(69.2%)です。

 20世紀半ばと21世紀のドジャーズを背負って立つ「2人の左腕」は、それぞれの時代のMLBを代表するピッチャーでもあるのでしょう。

 1935年生まれのコーファックス氏は、81歳となってまだまだ元気。ドジャーズのスペシャルアドバイザーを務めておられるそうです。
 コーファックス氏に、現在のカーショー投手についてのコメントを伺いたいものです。

 それはもう宝石のような「深いコメント」であろうと思います。
 MLB2017のワールドシリーズWSは、10月24日(日本時間25日)に開幕します。

 ロサンゼルス・ドジャーズとヒューストン・アストロズは、どちらもレギュラーシーズン中の一時期、驚異的な強さを魅せて、圧倒的な勝率を残したチームですから、ある意味では順当な組合せと言っても良いのでしょう。

 では、WSでの戦い振りはどのようになりそうなのでしょうか。

① コンディション

 ドジャーズは4勝1敗でナショナルリーグ・チャンピオンシップNLCSを勝ち抜きました。そしてWSに向けて「中4日」の休養期間を得たのです。
 ドジャーズは、地区シリーズも3連勝で勝ち上がりましたから、やはり地区シリーズからNLCSまでの間にも「中4日」ありました。

 こうしたスケジュールは、ポストシーズンを戦って行く上での「疲労」、特に「心の疲労」を取るためには有効なものだと思います。

 一方でアストロズは、アメリカンリーグ・チャンピオンシップALCSを最終の第7戦まで戦いました。そして殆ど休み無しでWSに臨みます。

 コンディション面では、ドジャーズが有利と観るのが常識的なのでしょう。

② 達成感

 こうした大きなシリーズ、大会では、「達成感」を感じたチーム、目標としてきた位置まで勝ち上がった次の試合で、チームが敗れ去るというシーンを、時折目にします。

 甲子園大会やユーロ(サッカー欧州選手権)、ワールドカップなどで、チームの歴史上最高の成績を確保した次のゲームで、意外にも敗れてしまうケースがあるのです。

 プレーヤーの「心持ち」が、プレー内容に微妙に影響しているのではないかと考えます。

 今シリーズに臨むに際して、「達成感」がより高いチームはどちらでしょうか。
 私はドジャーズなのではないかと思います。

 西海岸の名門チームとして、常にポストシーズンに駒を進めるチームですが、1988年以来、NLCSの勝利、WSへの進出から遠ざかっていました。
 同じ、ニューヨークから西海岸に移動したライバルチーム、サンフランシスコ・ジャイアンツの21世紀における活躍、何度もWSを制覇する姿を観て歯がゆい思いをしてきたことでしょう。

 そのドジャーズが29年振りにNLCSを制して、リーグチャンピオンに輝いたのです。

 選手やチーム関係者の喜びは、他から見るより遥かに大きいものであったのではないでしょうか。「達成感」は、想像以上に大きいと感じます。

 一方のアストロズは、いまだWS制覇の実績は無く、ALCSを勝ち上がったのも初めてです。
 WS初制覇に向けて、意欲満々と言うところでしょう。
 連戦連戦で疲れは残っているけれども、空腹感十分で、眼をぎらつかせている野獣といった雰囲気があります。

 「達成感」という面からは、アストロズに分がありそうです。

 コンディションではドジャーズが優位、「達成感」ではアストロズに分がある、といった状況下、2つの要素を総合すると、どうでしょうか。

 私は、僅かにアストロズが4勝を挙げる可能性が高いと感じます。

 ドジャーズは、初戦をものにして一気に押し切る形を取りたいところでしょう。コンディションの良さで圧倒したいところです。
 逆にいえば、クレイトン・カーショー投手を立てての初戦を落とすようだと、苦しくなりそうです。

 アストロズは初戦を落としたとしても、「諦めることの無い戦い」を続けて行きそうです。

 今シーズンの「世界一」を目指して、激闘が幕を開けます。
2017年のワールドシリーズWSは、ロサンゼルス・ドジャーズ(ナショナルリーグNL)とヒューストン・アストロズ(アメリカンリーグAL)の対戦となりました。

 共に、レギュラーシーズンで一時期、驚異的な強さを示したチーム同士の争いとなったのです。
 ある意味では、順当な組合せと言って良いのでしょう。

 そして、レギュラーシーズン途中で、それぞれのチームの「ワールドシリーズ制覇」に向けて、トレードで移籍してきた、バーランダー投手とダルビッシュ投手にとっても、「本番」がやって来た形でしょう。

 サイ・ヤング賞を始めとする、MLBにおいて投手に与えられる栄誉のほとんどを手にしてきたバーランダー投手にとっては、残る栄冠は「ワールドシリーズのチャンピオンズリング」のみとなっていましたから、今季WS進出の可能性が高いアストロズへの移籍は、望むところであった筈です。
 そして、見事にその夢を実現しました。

 日本からMLBに挑戦し、数々の活躍を魅せてきたダルビッシュ投手にとっても、WSの舞台は「憧れの場所」であり、一度は立ってみたいところであったことでしょう。
 こちらもポストシーズンで見事な投球を披露して、その場に辿り着いたのです。

 ドジャーズにはカーショー投手、アストロズにはカイクル投手という「絶対的なエース」が存在しますから、バーランダー投手とダルビッシュ投手は「絶対的な2番手」ということになります。
 そして、両チームの2人の投手は、チームの「世界一」に向けて、とても大きな責任を負っているのです。

 見所満載の今シリーズですが、「優勝請負人」としてのバーランダー投手とダルビッシュ投手の比較も、見逃せないポイントなのです。
[10月21日・ALCS第7戦]
ヒューストン・アストロズ4-0ニューヨーク・ヤンキース

 両チーム3勝3敗を受けての、アメリカンリーグ・チャンピオンシップALCSシリーズの最終戦は、アストロズ投手陣がヤンキース打線を零封し勝利、ワールドシリーズWS進出を決めました。
 アストロズはALCS初制覇、WSへの2度目の進出となりました。

① 両チームとも地元で負けず。

 ミニッツメイドパークで行われた4試合はアストロズが4勝、ヤンキースタジアムの3仕合はヤンキースが3勝というシリーズとなりました。

 両チームとも「地元で強かった」のです。

 第7戦も、ミニッツメイドパークを埋め尽くした4万3000人の大観衆の大声援が、1回表から試合終了まで響き続けました。

 「ミニッツメイドパークの力」が、アストロズプレーヤーの背中を押し続けたのです。

② 打てなければ勝てない。

 第7戦、ヤンキースは完封負けを喫しました。
 ベースボールは「0得点では勝てない」のです。(当たり前のことを書いて恐縮です)
 特にMLBのポストシーズンでは、打てなければ勝利はおぼつきません。

 こうした結果になってみると、ヤンキースにとっては第1戦・2戦の「1-2の2連敗」が痛かったのでしょう。打線が打つことで、どちらかのゲームを取れていれば、シリーズの流れは全く違うものとなったことでしょう。

③ 精神的支柱

 2016年シーズンの半ばからスタートしたヤンキースのチーム大改造は、最短期間で大きな成果を上げました。
 野手陣の若返り施策が、これ程速く成果を挙げると予想した人は少なかったのではないでしょうか。

 ポストシーズンでもワイルドカードを勝ち抜くと、地区シリーズではレギュラーシーズン102勝のクリーブランド・インディアンズを相手に0勝2敗の土俵際からの3連勝という、「驚異的な反発力」を魅せました。
 田中将大投手の第3戦の好投が、流れを大きく変えたことは、間違いありません。

 そしてALCSでも2連敗から3連勝を魅せました。
 常に追いかける立場、追い込まれた立場で「若きヤンキース」は地力を発揮したのです。

 しかし、初めて3勝2敗と、あと1勝でWS進出という立場、相手チームより優位な立場になった時、初めて「若さ」が顔を覗かせたのではないでしょうか。

 第6戦を落として3勝3敗となっての最終戦、先制を許して劣勢になった時、「チームを鼓舞するプレーヤー」が見当たりませんでした。
 ベンチに元気が無かったのです。

 「若きヤンキース」では止むを得なかったのでしょう。
 
 それでも、2017年シーズンは「若きヤンキース」にとって、とても有意義なものであったと思います。ひとりひとりのプレーヤーが、多くのものを学び、身に付けたことでしょう。
 2018年シーズン以降の飛躍に向けての土台となったと感じます。

 田中将大投手の2017年シーズンも終了しました。
 ポストシーズンにおける活躍は、見事でした。MLBにおける自らの投球スタイルを確立したシリーズであったと思います。

 契約の関係から、2018年シーズンに田中投手がどのチームでプレーするのかは決まっていないのでしょうけれども、「ヤンキースにとって不可欠なプレーヤー」であることを、自ら証明したポストシーズンともなったのです。
[10月18日・ALCS第5戦・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース5-0ヒューストン・アストロズ

 ヤンキースの先発として登板した田中将大投手は、7イニング・103球を投げて、被安打3、与四球1、奪三振8、失点0という見事なピッチングを魅せました。
 「ポストシーズンの先発投手の投球」の見本のような、端正で美しいプレーであったと感じます。
 これで田中投手は、今季ポストシーズン2勝目となりました。

 1回目の登板が失点0、2回目の登板が失点2、そして今回・3回目の登板が失点0というのですから、ポストシーズンゲーム=大試合における強さを如何なく発揮している形でしょう。
 マウンドを降りる田中投手に対して、ヤンキースタジアムのファンからの拍手が、なかなか鳴り止みませんでした。

 これで、今季ポストシーズンに出場した日本人3投手は、いずれも「ポストシーズン2勝目」を挙げたことになります。

 凄い活躍です。

 本来の先発としてでは無く、中継ぎとして登板している前田健太投手(ロサンゼルス・ドジャーズ)は、レギュラーシーズンの投球にも増して「素晴らしいコントロールと球威」が際立っています。
 「必ずストライクが取れる投手」を相手にすると、打者は初球から打っていかないと、追い込まれてしまっては分が悪いと考えますので、自然に早打ちになります。
 前田投手の2勝目の登板(3度目の登板)は「わずか5球で3アウト」を取りました。
 これで、ポストシーズン4度の登板で、全て1イニングを投げて、12人の打者を相手にパーフェクト。「何事も無かったかのように抑えて」いるのです。

 あたかも、ボストン・レッドソックス時代の上原浩治投手のポストシーズンの活躍の様です。あの時は「上原浩治の3分クッキング」と称されました。
 今季の前田投手の活躍は、上原投手の後を継いでの「3分クッキング」に観えます。
 上原投手は、日本プロ野球史上屈指のコントロールを誇る投手ですが、前田投手にもそのコントロールの良さが備わっているのでしょう。加えて150km台半ばのストレートがありますから、「鬼に金棒」状態なのです。

 ドジャーズにワールドシリーズ制覇を齎すために、今季途中で移籍してきたダルビッシュ有投手は、その期待に存分に応える活躍を魅せています。
 こちらは「気迫溢れる投球で相手打線を捻じ伏せている」印象。
 ストレートの数を抑えて、メジャー屈指と評されるスライダーを始めとする変化球を、容赦なく投げ込みます。
 パワーピッチャーが、自在に変化球を操るとなれば、これは打てないのが道理です。
 ダルビッシュ投手は、ドジャーズに行って、その持てる力を十分に発揮できるようになった感が有ります。

 さて、前田投手とダルビッシュ投手が所属するドジャーズと、田中投手が所属するヤンキースが、それぞれのリーグチャンピオンシップシリーズを優位に進めています。

 ドジャーズVSヤンキースのワールドシリーズとなる可能性が十分にあるのです。

 さて、「ポストシーズン3勝目」を先に挙げるのは、どの投手なのでしょうか。

 ワクワクします。
[10月17日・ALCS第3戦・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース8-1ヒューストン・アストロズ

 アストロズ2勝0敗を受けての、アメリカンリーグ・チャンピオンシップゲームALCS第3戦は、ヤンキースが2回裏に3点、4回裏に5点を挙げてリードし、先発のサバシア投手が6イニングを無失点の好投、アストロズの反撃を9回表の1点に抑えて、快勝しました。

 第1戦、第2戦を1-2という接戦で落としたヤンキースでしたが、地元に戻っての快勝ですから、反撃開始というところでしょう。

 第1戦の先発・田中将大投手、第2戦の先発・セベリーノ投手が共に良く投げ、アストロズ打線を抑えたのですけれども、2ゲーム共に1点しか取れなかったヤンキースとしては、何か「負けた感じがしない」ゲームが続いていたように思います。
 とはいえ、シリーズとしてはアストロズが2勝とリードし、相当優位に立っていたことも事実です。

 レギュラーシーズンの勢いそのままに、アストロズがこのまま押し切ってしまうのではないかと思われましたが、ヤンキースとしては「踏み止まった」形でしょう。

 特に、ジャッジ選手の3ランホームランが飛び出したのが大きいと感じます。
 「ヤンキースのワールドシリーズ進出」に、ジャッジ選手のホームランは不可欠だからです。

 ポストシーズンに入って「絶不調」だったジャッジ選手が、ついに目覚めたのです。
 これでヤンキースとしては「戦う態勢が整った」ということでしょう。

 まだ2勝1敗と、アストロズが優位にあることは間違いありませんが、一方でアストロズ打線は、ヤンキースから1試合に2点までしか取れない状況が続いているのですから、余裕のある戦いを披露しているわけではありません。

 こうなると、第4戦は「天王山」となりそうです。
 アストロズが勝って「王手」をかけるのか、ヤンキースが勝って「シリーズの流れを掴むのか」、注目の一戦です。
 アメリカンリーグのチャンピオンシップALCSも2試合を終えました。
 ヒューストン・アストロズが2勝0敗と、ニューヨーク・ヤンキースをリードしています。

 レギュラーシーズンにおける強さをホストシーズンでも示している形ですが、特に目立つのはアルトゥーベ選手の大活躍でしょう。
 攻・走・守の全てに渡って、絶好調と言える活躍を魅せているのです。

① 23打数13安打

 地区シリーズの4試合とALCSの2試合、計6試合で23打数13安打・打率.565という驚異的な成績。
 4打数3安打が3ゲームも有るのです。

 今季レギュラーシーズン204安打の首位打者としての打棒を如何なく発揮しているのです。

② 初球から打つ

 相手投手の投ずる初球から打ち、ヒットにするシーンが多いと感じます。
 カウントを取りに来る投球=ストライク投球を逃さずに打っている形ですが、相手投手の様子を見ている暇も無く振っていているという難しさもあるでしょう。

 「ボールがよく見えている」ことは間違いありません。

③ 抜群の走塁

 10月14日のALCS第2戦、1-1で迎えた9回裏、1塁ランナーだったアルトゥーベ選手は、コレア選手の2塁打で一気にホームインしました。サヨナラ勝ちを演出したのです。
 とても本塁を陥れることは出来そうもないタイミングでしたが、アルトゥーベ選手は全く迷うことなく快足を飛ばし、3塁ベースを蹴って、本塁に突入しました。
 素晴らしいベースランニングでした。

 当然、塁に出れば常に盗塁を狙いますから、相手チームとってこれ程嫌なプレーヤーは居ないでしょう。

④ ファインプレーの連続

 もともと2塁守備に定評があるアルトゥーベ選手ですが、今季のポストシーズンでも再三ファインプレーを魅せています。
 「抜けるか」というゴロを止めて、アウトにするのです。

 派手な動きはありませんが、ファインプレーレベルの守備がとても多いと思います。

 身長168cm(165cmとの報道もあります)のMLBで最も小さなプレーヤーと言われているアルトゥーベ選手は、まさに「小さな巨人」なのです。
[10月11日・地区シリーズ第5戦・プログレッシブフィールド]
ニューヨーク・ヤンキース5-2クリーブランド・インディアンズ

 最終の第5戦まで縺れ込んだ地区シリーズでしたが、アウェイのヤンキースが快勝しました。
 先発のサバシア投手が4と1/3イニングを2失点で乗り切り、リリーフしたロバートソン投手とチャップマン投手がインディアンズ打線を無安打・無失点に抑え込んでの勝利でした。
 打っては、3番のグレゴリアス選手が2本のホームランでリードしました。
 9回表の追加点、インディアンズ守備陣の乱れも加わっての追加点には、このシリーズにおけるインディアンズの焦りが観えました。

 戦前は「インディアンズの優位」が伝えられました。
 9月の記録的な「22連勝」で勢いに乗るインディアンズに対して、ついにボストン・レッドソックスを捉えることが出来ず、ワイルドカードを勝ち上がってきたヤンキースでしたから、ポストシーズンへの準備という面からも、インディアンズの優位は動かないという見方が、多かったのです。

 そしてシリーズ第1戦、ヤンキースはインディアンズが繰り出す、バウアー投手・ミラー投手・アレン投手の前に手も足も出ず「3安打・零封」を喫したのです。
 「力の差とコンディションの差は明確」と誰もが感じました。

 第2戦、8-3とリードし好投を続けていたサバシア投手を早々にグリーン投手に交替し、大逆転負けを喫した時には「采配ミス」との指摘も多かったのですが、ヤンキースベンチも「第1戦完敗」のショックを引き摺っていたのでしょう。
 それ程に、シリーズの流れは一方的なものでした。

 この流れを一気に堰き止め、逆にヤンキースの流れに引き戻したのは、第3戦の田中将大投手の7イニング・無失点の力投であったことは、異論のないところでしょう。
 贔屓目では無く、客観的に観て、あの力投の価値は計り知れないものが有ります。

 「縦に落ちるボール」を持つ投手と、殆ど対戦が無かったインディアンズ打線は、田中投手の投球に「きりきりまい」したのです。(古い言葉で恐縮です)
 そして、「田中投手がいつ何時マウンドに上がるかもしれない」という恐怖?のようなものが、インディアンズ打線の調子を狂わせたというのは、穿ちすぎた見方でしょうか。

 地区シリーズ「2連敗からの3連勝」というのは、滅多に観られるものではありません。
 まさに「大逆転」なのです。

 アメリカンリーグALのチャンピオンを決めるリーグチャンピオンシップは、10月13日から始まります。
 ヒューストン・アストロズとニューヨーク・ヤンキースの顔合わせとなりました。

 今シーズン開始直後からAL西地区を独走し、早々に地区優勝を決めたアストロズは、地区シリーズでもレッドソックスを3勝1敗で破り、悠々とリーグチャンピオンシップに進出してきました。

 このリーグNO.1決定シリーズも、やはりアストロズ優位という評判なのでしょう。

 しかし、レギュラーシーズン102勝のインディアンズを破ったヤンキースですから、レギュラーシーズン101勝のアストロズにも、怯むことなく戦いを挑んでくれることでしょう。

 レギュラーシーズン100勝以上のチーム2つ破って、ワールドシリーズに進出したチームというのは、過去に有るのでしょうか?

 ヤンキースには、「MLBの歴史に残る快挙」を期待します。
[10月8日・地区シリーズ・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース1-0クリーブランド・インディアンズ

 ヤンキースの先発・田中将大投手が素晴らしい投球を魅せました。

 7イニング・92球を投げ、被安打3・奪三振7・与四球1の失点0という見事な投球でした。

 1回表はストレート主体、2回表は変化球主体と、キャッチャーのサンチェス選手との協働も万全というところでしょう。ひとつのイニングが終わる度に、ベンチ内で入念な打ち合わせが行われていました。

 4回表の1死3塁のピンチは2者連続三振で乗り切り、6回表のリンド選手の大飛球はジャッジ選手が冷静に捕りました。
 身長201cmのジャッジ選手ですから、ほんの少しジャンプすれば届く打球でしたが、何しろタイミングが大切、少しでも狂えばホームランになる打球でしたが、完璧なタイミングでした。「絶対に負けられない試合」という重みを考慮すれば、大ファインプレーでしょう。

 いくつかの山を乗り越えながら、田中投手は冷静で気迫十分な投球を続けました。

 0勝2敗と追い込まれた状況で、相手打線を零封するために、持てる力を存分に発揮したのです。
 特に、「打たせて取る」ピッチングが出来たことが何よりでした。球数を抑えることが出来、必要な時には三振を取るという、超一流投手の投球だったと思います。

 2017年シーズンは、被本塁打も多く、防御率も4.7を超えるという不本意かつ不安定な投球であった田中投手ですが、この大事なゲームで今季1・2の投球が出来るのですから、凄いものです。

 チャンスに強い打者をクラッチヒッターと呼びますが、この日の田中投手はさながら「クラッチピッチャー」といったところでしょうか。
 この大試合での強さは、田中投手に備わった特質なのかもしれません。

 ヤンキースは、7回裏のバード選手の特大ホームランで奪った1点を、ロバートソン投手、チャップマン投手のリレーで守り切りました。
 2安打を浴びながらも、4三振を奪って、1と2/3イニングを粘り強く投げ切ったチャップマン投手の熱投も見事でした。

 1敗を喫したとはいえ、地区シリーズにおけるインディアンズの優位は変わらないところでしょうが、ヤンキースが第4戦をジャッジ選手のホームランで勝つようなら、大逆転も有り得るでしょう。
[10月7日・地区シリーズ・ナショナルズパーク]
ワシントン・ナショナルズ6-3シカゴ・カブス

 試合は、8回裏の大逆転でナショナルズの勝利となりましたが、カブスの先発・レスター投手の好投が印象的でした。

 ボストン・レッドソックス時代の活躍を始めとして、大試合の経験十分なレスター投手は、「落ち着き払った投球」を展開しました。
 6イニング・86球を投げて、被安打2、奪三振2、与四球2、失点1という、見事な投球でした。

 何より素晴らしいと感じるのは、フライアウト・ゴロアウトが多いことです。特に、フライアウトは9(全18アウトの半分)を数えました。
 従って、球数を抑えることが出来ます。4回を終えて44球と、極めて効率的な投球でした。「三振を取らない、取りに行かない」ことが、この好投の要因のひとつなのでしょう。

 5回裏には2死満塁のピンチを招きましたが、ナショナルズの1番テイラー選手を三振に抑えました。ここぞという場面では、狙って三振を取ることが出来る能力の高さは、素晴らしいものです。
 外角へのチェンジアップで空振りを取ったのですが、さすがにレスター投手もガッツポーズを魅せました。

 当然ながら、「落ち着き払った」プレーでも、心の中には「闘志が溢れている」訳です。闘志満々でありながら落ち着いているから意味が有るのであって、冷え切って意気消沈した状態で、静かにプレーしていても、何の意味も有りません。
 そうした心持では、ベースボールの最高峰であるMLBのポストシーズンゲームを戦って行くことは、到底不可能でしょう。

 5回に多くの球数を要したため、レスター投手の球数は73となりました。
 そして6回を無失点で抑えたレスター投手は、86球でマウンドを降りたのです。

 「1球が重い」ポストシーズンゲームでは、各チームのエースと位置づけられる投手でも、クオリティスタート(6イニングを3失点以下で投球すること)を実現するのは至難の業です。
 ご承知のように、2017年のポストシーズンでも、各チームの大エースと呼ばれる投手達が、次々と2回、3回といった短いイニングでマウンドを降りています。打者側の気迫がもの凄く、レギュラーシーズンの様な投球を披露するのが、非常に難しいのです。

 そうした中で、キッチリとクオリティスタートを切ったレスター投手の好投が際立ちます。
 86球での降板でしたが、「1球が重い」ポストシーズンですから、レギュラーシーズンゲームにおける100球以上の投球に相当するのではないでしょうか。

 ジョン・レスター投手は、まさに「MLBのスターター」なのです。
[10月6日・地区シリーズ・ドジャースタジアム]
ロサンゼルス・ドジャーズ9-5アリゾナ・ダイヤモンドバックス

 ナショナルリーグNL西地区同士の対戦となった地区シリーズの第1戦は、初回に4点を先制したドジャーズが、そのままリードを保って押し切りました。

 その1回裏のドジャーズの攻撃において、「ワンアウトを取る難しさ」が表れていました。

 地区シリーズ第1戦の先発を任された、ダイヤモンドバックスのウォーカー投手でしたが、いきなり2人のランナーを許し、3番のターナー選手を迎えました。
 そしてターナー選手は3ランホームランをレフトスタンドに叩き込みました。

 続くベリンジャー選手がヒットで出て、プイーグ選手のタイムリーヒットが生まれて、ドジャーズは4-0とリードしたのです。
 ここまでノーアウト。

 ウォーカー投手が、グランダーソン選手を三振に仕留め、ワンアウトを取ったのは「38球目」でした。

 本当に長い道のりだったのです。

 9番のカーショー投手を打ち取って、ウォーカー投手が1回表のドジャーズの攻撃を終らせるのに要した球数は「48球」に及びました。
 そして、1イニングでマウンドを降りたのです。

 先発投手は「ワンアウトを取ることで落ち着く」と言われますが、そのワンアウトを取ることは容易なことではありません。ましてや「1球が重いポストシーズンゲーム」となれば尚更でしょう。
 ウォーカー投手、そしてダイヤモンドバックスにとっては、ワンアウトを取る難しさを痛感する試合となってしまいました。

 ダイヤモンドバックを苦手とし、打線のコンディションが心配されていた、ドジャーズにとっては、絶好の「ポストシーズン立ち上り」となりました。
 このゲームにとっても、ポストシーズンを戦って行く上でも、大きな4得点だと感じます。

 1回の表を投げ切って、ベンチで休んでいた大エース・カーショー投手が、1回裏の自軍の攻撃の際に、少し驚いたような表情を見せていたのが印象的でした。
 「長い長い攻撃」が続き、ついには自身の打席が回ってきてしまったのです。

 カーショー投手は、このゲームでソロホームランを4本浴びました。
 現在のメジャーリーグNO.1投手との呼び声が高いカーショー投手としては、不本意な投球だった訳ですが、この「長い長い攻撃」の間が、カーショー投手にも影響を与えた可能性が有ります。

 一方で、この攻撃で火が付いたドジャーズ打線は計9点を挙げて、カーショー投手が勝利投手となりました。
 ポストシーズンゲームの初戦に登板することが多い(大エースですから当然のことですが)カーショー投手ですが、これまでは殆ど負け投手となっています。(ポストシーズン初戦でカーショー投手が勝ち投手になったゲームが有ったかどうか、記憶に在りません)

 そのカーショー投手が「勝利投手」になったのです。

 ドジャーズにとっては、この上無い、ポストシーズンの幕開けとなりました。
[10月4日・ワイルドカード・チェースフィールド]
アリゾナ・ダイヤモンドバックス11-8コロラド・ロッキーズ

 地区2位と3位の対戦となった、ナショナルリーグNLのワイルドカードは、2位のダイヤモンドバックスが17安打・11得点の猛打で、13安打・8得点のロッキーズを押し切り、地区シリーズ進出を決めました。

 ロッキーズ・グレイ投手、ダイヤモンドバックス・グレインキー投手の先発で始まったゲームでしたが、初回からダイヤモンドバックス打線が火を噴き、1~3回で6点を挙げて一方的な展開になるかと思われました。

 ところが、ダイヤモンドバックスの大エース・グレインキー投手が4回表に掴まり、一挙4失点。ゲームは一気に接戦となったのです。
 
 グレイ投手は1イニングと1/3、グレインキー投手は3イニングと2/3しかマウンドに居られなかったのですから、ポストシーズンゲームというのは怖いものです。

 ロッキーズは7回表に1点を加え5-6と追いすがりましたが、7回裏と8回裏に計5点を挙げたダイヤモンドバックスが勝ち切ったゲームでした。

 さすがに、「大貯金」でゆうゆうと首位を走るロサンゼルス・ドジャーズを横目に、こつこつと?貯金を積み上げてきた両チームの戦いは、一筋縄では行きませんでした。まさに「実力十分なチーム同士」のワンゲームプレーオフだったのでしょう。

 さて、NL勝率トップでポストシーズンに臨むドジャーズの、地区シリーズの相手はダイヤモンドバックスに決まりました。
 
 レギュラーシーズンで104勝(今季MLB最多勝利数)を挙げ、「向かうところ敵無し」といった雰囲気のドジャーズですが、実はダイヤモンドバックスには苦労していたのです。
 その「苦手」が地区シリーズの相手となりました。

 我らがダルビッシュ有投手・前田健太投手にとっても、「相手にとって不足は無い」といったところでしょうか。

 ダルビッシュ投手・前田投手のポストシーズンの戦いが始まります。
[10月3日・ALワイルドカード・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース8-4ミネソタ・ツインズ

 1回表、ヤンキースの先発セベリーノ投手が4安打・1四球で一気に3点を失い、わずか1アウトを取っただけで降板した時には、ヤンキースの前途は真っ暗闇でした。
 1ゲームプレーオフとしては、相当に痛い失点であり、先発投手のノックアウトだったからです。

 しかし、ヤンキース打線は劣勢をものともしませんでした。
 1回裏、グレゴリアス選手の3ランで同点とすると、2回裏にはガードナー選手のソロホームランで勝ち越し、3回裏にはバード選手のタイムリーヒット、4回裏にはジャッジ選手の2ランホームランと畳み掛けて、ゲームを優位に進めました。

 ポストシーズンゲームにおける打線の活躍の重要性が、よく分かる試合になったのです。

 ツインズとしては、ヤンキースのセべリーノ投手ほどではないにしても、先発のサンタナ投手が2イニングしか持たずに降板したのが痛く、不安定さが指摘されていたブルペン陣もヤンキースの攻撃を支えきれませんでした。
 逆にヤンキースは、2番手のグリーン投手、3番手のロバートソン投手、4番手のカンリー投手がよく踏ん張りました。この好調な中継ぎ投手陣は、今後のポストシーズンゲームにおいても、頼もしい存在となることでしょう。

 ヤンキースは地区シリーズに駒を進めました。

 我らが田中将大投手の出番が来たのです。
 アリゾナ・ダイヤモンドバックスの傘下マイナーに所属している中後悠平選手(元ロッテ・マリーンズ)の、今季メジャーリーグへの昇格が無くなり、1995年の野茂英雄投手以来毎年続いていた日本人プレーヤーのメジャーデビューが「22年連続」で途絶えたと報じられました。

 このニュースは「残念なこと」として取り扱われていましたが、逆に、1995年以来毎年、日本人プレーヤーが22年間に渡ってメジャーデビューを続けてきたことに、驚きを感じました。
 日本人プレーヤーは、集中的にメジャーリーグに挑戦したのではなく、継続的に挑戦し続けてきたのです。
 これは凄いことだと思います。

 野茂英雄投手、イチロー選手、松井秀喜選手、黒田博樹投手、上原浩治投手といったプレーヤー達の華やかな活躍は、誰の眼にも留まるものですけれども、当然ながら「デビューは1度」しかありませんから、22年間連続の為には、他の数多くのプレーヤーの挑戦があったのです。

 最初から「メジャー契約」というプレーヤーは多くはありませんから、マイナーからメジャーへの「厚い壁」を突破して、我らが日本人プレーヤーはメジャーにデビューして行ったのでしょう。

 柏田貴史投手(読売→1997年メッツ)、小林雅英投手(ロッテ→2008年インディアンズ)、高橋健投手(広島→2009年メッツ)、多田野数人投手(立教大学→2004年インディアンズ)、建山義紀投手(日本ハム→2011年レンジャーズ)、野村貴仁投手(読売→2002年ブリュワーズ)、福盛和男投手(楽天→2008年レンジャーズ)、薮田安彦投手(ロッテ→2008年ロイヤルズ)、といった選手たちは、メジャーでのプレーの期間は短く、ご本人には不満の残る挑戦だったのでしょうが、何より「メジャーリーガー」となったこと、それ自体がとても大きな勲章なのです。
 何時の時代も、メジャーデビューというのは、ベースボールプレーヤーにとって大きな夢なのですから。
 
 2017年シーズンにメジャーデビューを果たした日本人プレーヤーが居なかったこと自体は、そういう年もあるのであろうと思います。

 一方で、「メジャーリーグへの日本人プレーヤーの挑戦者数が、その絶対数が減ってきている」とすれば、それはとても残念なことだと思うのです。

 「世界最高峰のリーグ」を目指すプレーヤーが減るということは、パフォーマンスと気概・夢の両面から、野球に限らず、その国の当該スポーツのレベルにも影響があるのではないでしょうか。
 2017年レギュラーシーズンも終盤を迎えましたが、最近のMLBでは「アッバーステング」が増えてきたという見解が多いように感じます。
 打者のスイングプレーンの方向の事ですが、下に向かって振るのがダウンスイング、水平に振るのがレベルスイング、上に向かって振るのがアッパースイング、とざっくり言えばそういうことだと思います。

 かつては、ダウンスイングの方が優れていると言った見方が多かったように思います。
 投球を待ち構えている形から「最短距離でバットが出て行く」点や、ボールに逆回転スピンをかけやすいのでボールが良く飛ぶ、ゴロは攻撃の時に様々なバリエーションを生むのでゴロを打ち易いダウンスイングが良い、といった理由からでしょう。
 特に、「最短距離でバットが出て行く」点は、体や視線の上下動を防ぐという面から、ダウンスイング優位の論拠であったと思います。

 MLBにおけるダウンスイングヒッターの代表格といえば、昨年引退したアレックス・ロドリゲス選手でしょうか。600本以上のホームランを記録した、21世紀を代表するロングヒッターです。ダウンスイングから「高々とした打球」を放ち、ボールをスタンドまで運ぶプレーヤーでした。

 ところが、近時のMLBにおいてはアッパースイングを選択する打者が多いというのです。

① 守備シフト

 2010年以降でしょうか、MLBにおいては「極端な守備シフト」が敷かれるようになりました。徹底したデータ分析から、各打者の打球方向を分析し、野手を打球が飛ぶ方向に集めるのです。

 守備シフトが始まった頃には、これで逆方向に打たれたら簡単にヒットになってしまう、と心配したものですが、シフトが成功して来たのでしょうか、守備位置はどんどん極端なものになって行き、現在では、左バッターの時に1塁手と2塁手の間に遊撃手が居るというのは、珍しくも無い守備体型となりました。
 打者の方も、2塁ベースより左側には1人しか野手が居ないという状況でも、決してその方向を狙おうとはしません。

 これはいかにもMLBらしい感じがします。「自分が打つ方向に、沢山の野手が守っていても、その間を抜くことが出来る強く速い打球を打てば良い」と考えるのでしょう。メジャーリーガーのプライドという面もあるのでしょうし、普段と違う打ち方をすることで、バッティングの調子自体を崩してしまうことを怖れているのかもしれません。

 ファンの方も、「がら空きの方向」を狙えといった意見は全く持っていないようです。アンフェアと考えるのか、「せこい」と感じるのかは分かりませんが、少なくとも、極端な守備シフトに対して、反対方向を狙うことが「クレバーなプレー」であるとは、絶対に考えないのでしょう。ひょっとすると「卑怯な行為」と捉えるのかもしれません。
 MLBのプレーヤーとファンの在り様なのです。

 さて、話を戻します。

 この極端な守備シフトによって、「ゴロでヒットを打つのが、以前より困難になった」ことは間違いないことの様です。従って、バッターとしては、よりボールを上げやすいアッパースイングを採用するようになったという見方です。

② アーロン・ジャッジ選手

 ニューヨーク・ヤンキースのルーキー、アーロン・ジャッジ選手の活躍が続いています。
 オールスター以降は、やや勢いが衰えたとはいえ、9月27日時点でホームラン50本、111打点と、ルーキーとしてのヤンキースの記録、MLBの記録を樹立する勢いの打撃が続いているのです。

 このジャッジ選手がアッパースイングなのです。
 打球の初速や角度について、従来以上に詳細な情報が開示されるようになった2017年シーズンを代表するバッターなのです。

 ジャッジ選手の打球初速は200km/時に近い数値(もちろんMLBのNO.1です)ですし、打球角度も理想的とされる25度前後となることが多く、結果としてホームランが量産されることらなるのです。

 ジャッジ選手の大活躍は、現代のMLBのプレーにおける「アッパースイングの優位性」を具現しているものだという見方です。

 さて、アッパースイングとダウンスイング、これにレベルスイングも加えて、3つの打ち方のどれが優れているのでしょうか。

 これは、まだ結論が出ていない、というか、結論の出ない議題なのでしょう。(当たり前の話で恐縮です)

 頭書しましたが、21世紀最高のホームランアーティストのひとり、アレックス・ロドリゲス選手の打球は、本当に高く上がって、スタンドに落下する時には「真上から落ちて来たのではないか」と観える程でした。あれ程高い打球でホームランを放つ打者を、他に直ぐには思い当りません。
 つまり、ボールを上げること、高い打球を打つことに関しては、Aロッドは比類なき打者だったのです。そしてAロッドはダウンスイングの打者でした。

 もちろん、Aロッドにはライナー性の打球も数多くありました。ダウンスイングからライナーも放っていたのです。

 現代最高の「ライナー性ホームラン打者」であるジャンカルロ・スタントン選手、そしてアッパースイングの代表格であるアーロン・ジャッジ選手、レベルスイングから素晴らしい打球を披露するアルバート・プポールズ選手、今後も、それぞれの打者が自らに合ったスイングを選択し、プレーに反映して行くことになるのでしょう。

 どの「スイング」も、とても美しく力強いものだと感じます。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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ようこそ!
我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

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