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 シカゴ・カブスのダルビッシュ投手は、6月21日の対ニューヨーク・メッツ戦に先発登板しましたが、このゲームでも「勝ち負け」が付かず、これで5月4日の対セントルイス・カージナルス戦に先発登板してから「10先発登板連続で勝ち負けが付かない」という、とても珍しい記録となりました。

 調子を落とし、MLBの先発投手としては不十分な状態となれば、先発投手として登板できなくなる筈ですから、「先発投手として十分な力量が有り、その力量を発揮している」投手として、10試合も勝ち負けが付かないというのは、いかに「先発投手の勝ち負けは打線との兼ね合い」であるMLBにおいても、なかなか見られない事象でしょう。

 ダルビッシュ投手の「不思議な10登板」を観てみましょう。

① 5月4日 カージナルス戦 4と0/3イニング・81球 被安打6・奪三振4・与四死球5・失点5・自責点4 チームは勝利
② 5月9日 マーリンズ戦 4イニング・97球 被安打1・奪三振7・与四死球6・失点1・自責点1 チームは勝利
③ 5月15日 レッズ戦 5と1/3イニング・102球 被安打5・奪三振11・与四死球0・失点2・自責点2 チームは敗戦
④ 5月20日 フィリーズ戦 6イニング・95球 被安打4・奪三振7・与四死球3・失点3・自責点3 チームは敗戦
⑤ 5月25日 レッズ戦 7と0/3イニング・108球 被安打12・奪三振5・与四死球2・失点6・自責点6 チームは勝利
⑥ 5月30日 カージナルス戦 6イニング・93球 被安打3・奪三振6・与四死球4・失点1・自責点1
チームは敗戦
⑦ 6月5日 ロッキーズ戦 5と1/3イニング・95球 被安打3・奪三振6・与四死球3・失点3・自責点2 チームは勝利
⑧ 6月10日 ロッキーズ戦 6イニング・83球 被安打6・奪三振3・与四死球1・失点4・自責点4 チームは敗戦
⑨ 6月15日 ドジャース戦 7イニング・109球 被安打2・奪三振10・与四死球1・失点1・自責点1 チームは勝利
⑩ 6月21日 メッツ戦 6イニング・88球 被安打4・奪三振6・与四死球2・失点4・自責点4 チームは敗戦

 「不思議な10登板」の前半は、与四死球が多く不安定な投球が目立ちました。

 ゲーム開始直後はとても良いコントロールを魅せて、「今日は大丈夫」という雰囲気なのですが、「ある打者」「ある一球」から突如コントロールを乱し、四球を連発するのです。
 いったい何がダルビッシュ投手に起こっているのか、というゲームが多かったと感じます。

 それが、6月10日のロッキーズ戦辺りから安定してきました。
 6月15日のドジャース戦などは「7イニング1失点10奪三振」という素晴らしい投球を魅せてくれたのですが、この時は打線の援護に恵まれませんでした。
 まさに「投打が噛み合わなかったゲーム」でしょう。

 そして直近の6月21日のメッツ戦では2本塁打を浴びて4失点でした。
 「突然ホームランを打たれる」現象はまだ続いています。(そもそもホームランは、どの投手も突然打たれるものなのですが、ダルビッシュ投手の場合には、それまでの投球が上質なだけに「突然感が強い」ように思います)

 さて、ダルビッシュ有投手のピッチングは、5月中旬までより相当良くなっていると思いますので、そろそろ「勝ち負け」、それも「勝ち星」が付くと思います。

 この長いトンネルが、ダルビッシュ投手の「大連勝への跳躍台」になって欲しいものです。

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 6月14日の大谷翔平選手のサイクル安打達成に伴って、様々な角度からの分析が行われ、色々な記事が掲出されています。
 Number Webの6月19日配信の記事「大谷翔平のサイクルは球史に残る?ノーヒッターよりレアな”勲章”か。」(ナガオ勝司著)も、とても興味深いものでした。

 ノーヒッター(ノーヒットノーラン)とサイクル(サイクル安打)の達成難易度等を題材とした記事です。
 2019年6月15日時点で、MLBにおけるサイクル達成者は327人、ノーヒッター達成者は300人となっているとのこと。
 人数的には、「同じような数」と判断すべきなのでしょう。

 本記事では、最初は「ノーヒッターの方が難しい」という見方を披露し、次第に「サイクルも難しい」という方向に話が進展します。
 
 そして、MLBにおける多くの公式記録が1908年以降のものであるのに対して、サイクルとノーヒッターは1800年代、ベースボール黎明期から記録が残っている点に及びます。そして、1908年以前に、サイクルは通算52度、ノーヒッターは53度、記録されているとの事であり、これはほぼ同数です。
 つまり、眼にする機会・頻度として、当時「サイクルはノーヒッターみたいなもの」であったことは間違いありません。

 最後に、ベーブルース選手は三塁打を通算136本打っているがサイクルは出来なかった。大谷選手は自身3本目の三塁打でサイクルをものにしたと締め括っています。
 この辺りになると「不思議」という感じになります。

 私は、サイクルとノーヒッターの難易度は同じくらい、ではないかと感じています。
 
 頭書の達成者数、327人対300人を観ても、毎日のように試合に出場する野手と、5試合に1試合くらいの頻度でマウンドに上がる先発投手では、そもそもサイクルやノーヒッターに挑戦する回数が異なる、サイクルの方がノーヒッターより、相当多くの試合で挑戦できるものであるにもかかわらず、100年以上の歴史の中で達成者数がほぼ同じというのは、「サイクルの達成者に成る難しさ」を示しているのではないかと考えるからです。

 いずれにしても、大谷翔平選手がMLB2年目にサイクルを達成したことは本当に凄いことであり、やはり「ベースボールの神様に祝福されている」と感じます。

[6月17日・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース3-0タンパベイ・レイズ

 先発した田中投手は、9イニング・111球を投げて、被安打2、奪三振10、与四球1の完璧な内容で完封勝ちを収めました。
 低めに球を集め、相手打者に的を絞らせませんでした。
 レイズとの首位攻防戦で披露した「快投」です。

 「100球が目途」といわれるMLBの先発投手にとって、完投勝ちは至難の技です。まして完封勝ちとなると、全ての先発投手に出来ることでは無いと感じます。
 各打者を早いカウントで打ち取って行かなければならない、相手打者に「打てる」と判断させるボールで切って取る必要があるからです。相手打者に「追い込まれると打てない」と感じさせる必要もあるのでしょう。三振も少ない球数で取って行かなければなりません。
 いつも5イニング~7イニングでブルペンと交替する先発ピッチャーでは、完投・完封は成し得ないでしょう。
 これは「+α」の能力のような気もします。

 2018年7月24日以来の「4度目の完封勝ち」ということですから、田中投手には前述のような、MLBで完投できる投球を行うことができる能力が有ることは、間違いないでしょう。
 素晴らしいことです。

 2019年シーズンの田中投手は、これまで、全体としては良い投球が出来ているのだけれども、勝ち星には恵まれないという印象でした。

 3月は1勝0敗、4月は5度登板して1勝2敗、5月は6度登板して1勝2敗、そして6月はこの試合まで3度登板して2勝1敗、計5勝5敗となっています。
 防御率は3.23と、ローテーションを守っている先発ピッチャーとしては相当良い方だと思いますが、勝ち負けは同数なのです。

 もちろん、MLBの先発投手において最も重視されるのは、登板回数と投球イニング数なのですけれども、やはり勝ち星も大切でしょう。

 田中将大投手には、この「完封」、ヤンキースでは「被安打2以下&奪三振10以上の完封劇は2002年のマイク・ムッシーナ投手以来17年振り」という極上の完封、を契機に、どんどん勝ち星を積み上げて行っていただきたいと思います。
[6月13日・トロピカーナフィールド]
ロサンゼルス・エンゼルス5-3タンパベイ・レイズ

 第一打席で、今シーズン第8号ホームランを左中間スタンドにライナーで叩き込んだ大谷選手は、第2打席で左中間2塁打、第3打席に1塁手の頭上を抜ける3塁打(スライディングしなくとも3塁を陥れたスタンドアップ・トリプル)と畳み掛け、第4打席をセンター前ヒットとして、サイクル安打を達成しました。4打数4安打での、綺麗な達成でした。

 日本出身プレーヤーとしてMLB史上初の「快挙」と報じられています。
 また、MLB史上326人目の記録とも報じられました。

 第1打席のホームランに良く現れていますが、「バットヘッドが下がらなくなって」きましたから、6月半ばに至って、大谷選手の調子が相当上がってきていると感じます。

 故障・手術明けのプレーヤーとして、5月7日に復帰した大谷選手ですけれども、当然のことながら、「試合に耐えうる体作り」「試合勘の回復」「長期連戦の移動負担への対応」「外角攻め・内角攻め・左投手起用の様な相手チーム・投手の大谷対策への適応」といった、とても難しい多くの課題に一歩一歩取組んできたのです。

 何しろ、舞台が世界最高のベースボールのフィールドですから、その困難さは半端なものではありません。いかに大谷選手を持ってしても、コンディションを上げて行くのは、とても難しいものだったと考えるのが妥当でしょう。

 5月の復帰当初は「バットヘッドが下がり気味」で、投球がそのバットの下に当たることが多かったため「凡ゴロ」の山を築いていた印象でした。

 これは、現役時代のイチロー選手や松井秀喜選手にも共通していると感じますが、「調子が良い時にはバットが地面と水平に振られているように観える」のです。
 これは、投球の高低にかかわらず「水平に観える」のが深遠なところです。

 大谷選手の復帰後2週間位までは、バットヘッドがかなり下がっていました。
 復帰後1ヵ月位で、だんだん上がり始めました。
 そして、このゲームの第1打席のホームランは、水平に近いスイングになっていたと感じます。「あとバットヘッドの太さ1本分位・10cm位」バットヘッドが上がって出てくるように観えてくれば、完全復調なのではないかと、勝手に考えています。
 頭書のサイクル安打は、完調まであと少しというところで実現されているのでしょう。

 少しずつ、しかし着実に、自らのコンディションを良い方向に持って行き、その途中経過時期・まだまだ調子が上がっていない時期においても、ホームランを始めとして相応の成績を残しているところ、そして「完全復帰に向けての努力中の苦労・苦心をファンには少しも感じさせない」ところが、大谷翔平選手の凄いところだと思います。

[2019年6月11日・エンゼルスタジアム]
ロサンゼルス・エンゼルス5-2ロサンゼルス・ドシャース

[2004年6月19日・ドジャースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース6-2ロサンゼルス・ドジャース
(MLB日本人対決・第1号ホームランが生まれたゲーム)

 ドジャースの前田健太投手が先発したインターリーグの1戦、6月11日のエンゼルス戦の1回裏、エンゼルスの3番DH・大谷翔平選手が、右中間スタンドにホームランを放り込みました。

 前田投手の失投というか、甘く入った変化球をキッチリと弾き返した、大谷選手にとって快心の当りであったと思います。
 このホームランは、初速が174km/h、飛距離が127mと報じられています。
 2019年シーズンの大谷選手のホームランの飛距離は2018年と比べてやや落ちていますが、どうやら「強振」していないように観えます。
 このホームランも、しっかりと芯で捕えていて、スイング自体は「軽く」振っているようにさえ観えました。「強振せずに右中間スタンドに運ぶ」というのは、2019年シーズンの大谷選手のテーマのひとつなのかもしれません。

 さて、冒頭に2004年のインターリーグ、ドジャースとヤンキースの試合結果を表記しました。
 このゲームの1回表、ヤンキースの松井秀喜選手が、ドシャース先発の野茂英雄投手からホームランを放ったのですが、このホームランが「MLBにおける日本人選手対決の第1号」だったのです。

 野茂投手の投じたフォークボールを上手く拾い上げた印象の打球は、ライトポール際ギリギリに入る3ランホームランとなったのです。結局この3ランを含めて1回に4点を挙げたヤンキースが、この試合を押し切っています。

 松井選手にとっては2004年シーズンの第12号ホームランでした。
 6月19日時点で12号ですから、やはり長距離ヒッターとしての存在感を示していたことになります。

 一方、この試合の5回裏に、野茂投手もレフトスタンドにホームランを放っています。
 「ガツン」と打った感じの、飛距離十分のホームランでした。

 「MLB日本人選手第1号ホームラン」という記録、「永遠不滅の大記録」保持者・野茂投手の意地の一発というところですが、野茂投手は打つ方でも素晴らしい能力を保持していたことがよく分かります。

 MLB日本人対決の組合せは、他にも色々と可能性があったのでしょうけれども、「野茂VS松井」という、重量級対決というか、看板選手対決から「第1号」が生まれていることは、「いかにも」という感じもします。

 確かに、MLBの日本人投手として最も多くの勝ち星を挙げている野茂投手と、日本人野手として最もホームランが似つかわしい打者の松井選手の対決から、「日本人対決・第1号」が生まれるのは、自然な感じがしますが、この件については、どうやらそうでも無さそうです。
 というのは、ドシャースとヤンキースの対決は、21世紀においては滅多に観られないものだったからです。

 もともと、東海岸を代表するチームであるヤンキースと、西海岸を代表するチームのドジャースは、20世紀においては11度もワールドシリーズで相まみえ、激闘を繰り返していたのです。「MLBの看板カード」といっても良い存在だった訳です。
 ところが21世紀になってからは、ドジャースがなかなかワールドシリーズに進出できないこともあってか、リーグの異なる両チームの対戦はめっきり少なくなっていたのです。(毎年のインターリーグでも相手リーグのどのチームと当たるかは、様々な要素により決められますので、ヤンキースとドジャースの対戦が長い間組まれなかったということになります)
 冒頭の2004年6月19日のゲームは、何と「24年振りのドジャースVSヤンキース」の一戦だったのです。

 その「滅多に戦うことが無いチーム同士の対戦」において、先発投手のローテーションも合って、当然ながら「たまたま」松井VS野茂が実現し、その第1打席で松井選手がホームランを打ったというのですから、これは野球とベースボールの神様が組み上げた「奇跡の一発」と観た方が良さそうです。

 松井選手は、このゲームの第2打席・第3打席で連続三振を喫しています。野茂投手のフォークにきりきり舞いという印象でした。
 野球・ベースボールを通じて圧倒的な威力を魅せた「野茂のフォーク」は、なかなか打てないものなのです。(そうでなければ、両リーグでのノーヒッターなど達成できる筈が有りません)

 その「野茂のフォーク」を、松井選手は第一打席でホームランにしています。
 おそらくは「ボール1~2個分高めに来たフォーク」だったのでしょうが、それでもキャッチャーまで届くときにはワンバウンドしそうな投球を拾い上げた松井選手の打撃は、対野茂英雄ということであれば、「生涯最高のスイング」だったのかもしれません。

 さて、話を2019年に戻します。

 6月11日のゲームで、大谷選手が前田選手から放ったホームランは、「MLB日本人対決・第8号」と報じられました。
 「16シーズン・15年間で8本目」なのですから、やはり、日本人対決でホームランを観るのは、何時の時代も至難の技ということなのでしょう。

 現在、野手の日本人プレーヤーでレギュラーを張っているのは大谷選手だけです。
 
 「日本人対決」の機会を増やすためにも、日本人野手のMLB挑戦が増えてほしいものだと改めて思います。(1ファンの勝手な要望です)
[5月25日・リグレーフィールド]
シカゴ・カブス8-6シンシナティ・レッズ

 先発したダルビッシュ投手は、7と0/3イニング・108球を投げ、被安打12(被本塁打3)、奪三振5、与四球3、失点6という粘り強い投球を見せました。マウンドを降りる際に6-6の同点であったことも有り、勝ち負けは付きませんでした。

 この試合では、7イニングを投げ切った時にカブスが6-5とリードしていたことも有り、8回からはブルペン投手が登板するものと思いましたが、8回表もダルビッシュが登板し、本塁打を浴びて同点とされ降板するという、ある意味では「不思議な」投手起用に見えました。

 7回表2死で、レッズのプイグ選手を三振に切って取った「97マイルのストレート」が素晴らしい威力でしたので、カブスベンチとしては「8回も」と考えたのかもしれませんが、球数も多くなっていましたから、通常なら交替の状況であったと感じます。

 何か、マドン監督を始めとするカブスベンチが、「ダルビッシュならもっと投げられる筈」と考え、「本来の投球を思い出して欲しい」という思いから、球数を重ねても良いから「完投」させようとしたのではないかとさえ感じられる、異例の続投にも観えました。

 カブスベンチの期待を推し量るまでもなく、2019年シーズンのダルビッシュ投手の投球には、「何かが足りない」と感じているファンが多いのではないでしょうか。

 投球の内容は、全盛時と変わらないように観えます。
 ストレートのスピード・パワー共に十分ですし、スライダーも素晴らしい威力を感じます。
 調子が良い時には、「簡単には打てないピッチング」に観えるのですが、同じゲームの中で突然の様に「変調」を来すことがあるのです。
 「ストライクが入らなくなる」「いきなりホームランを浴びる」といった事象が発生します。
 形容し難い「不安定さ」を内包しているのが、2019年シーズンのダルビッシュ投手といえるのかもしれません。

 こうした事象の原因については、私には分かりませんけれども、ダルビッシュ投手には「ピンチの際に思い切って投げ込んでほしい」と感じます。
 しっかり投げ込んだダルビッシュ投手の投球は、簡単には打てない筈だと思うのです。

 もちろん、世界最高のベースボールの舞台ですから、相手打者も強者ぞろいですので時には打たれることも有るのでしょうが、MLBの先発投手は3失点位までなら、失ったとしても役割期待に応えたことになりますので、「何も怖れることは無い」でしょう。

 この試合で今季11度目の登板を果たし、先発投手としてキッチリとローテーションを守っているダルビッシュ有投手。
 その地力の高さは、誰もが認めるところです。

 「打てるものなら打ってみろ」という、少し開き直った様な投球が、今のダルビッシュ投手には期待されているのではないでしょうか。
[5月19日・Tモバイルパーク]
シアトル・マリナーズ7-4ミネソタ・ツインズ

 先発した菊池投手は、6イニング・93球を投げて、被安打5、奪三振6、与四球3、失点3(自責点1)の好投を魅せて、3勝目を挙げました。
 高めの速球を主体にした、菊池投手らしいピッチング内容であったと思います。

 MLBデビュー後の4ゲームは勝ち負けが付かず、4月15日の5戦目は負け投手になるなど、やや恵まれないスタートでしたが、4月20日のVSロサンゼルス・エンゼルス戦で初勝利を挙げてからは次第に調子を上げ、5月に入ってからは、とても安定した投球を続けています。
 4月20日時点で4.68だった防御率が、5月19日の試合終了後は3.43まで改善していることが証左でしょう。

 そして何よりも凄いことは、「4月5日以降、チームの5試合に1試合は先発登板している」ことでしょう。
 MLBデビュー早々にして、9試合連続で先発ローテーションを堅持しているのです。
 何もかもが初めてのルーキーにとって、とても難しいことは言うまでもないことでしょう。

 肘や肩が張っている、痛いといった話も一切出ていませんから、とても良い準備をして、シーズンに臨んだことになります。

 2019年シーズンの菊池雄星投手は、予想を遥かに超える大活躍を魅せてくれるかもしれません。
[5月12日・トロピカーナフィールド]
ニューヨーク・ヤンキース7-1タンパベイ・レイズ

 今シーズン9試合目の登板となった田中投手は、7イニング・73球を投げて、被安打5(被本塁打1)、奪三振7、与四球0、失点1の好投を魅せて、3勝目(3敗)を挙げました。

 コントロールが良く、低めに投球を集めて、レイズ打線に的を絞らせませんでした。

 今季の田中投手の投球で目立つのは、「100球以上は投げていない」ことでしょう。(○、●は田中投手の勝ち負け)

・3月28日 VSオリオールズ 5・2/3イニング 83球 ○
・4月2日 VSタイガース 6・2/3イニング 87球
・4月8日 VSアストロズ 6イニング 78球
・4月14日 VSホワイトソックス 4・0/3イニング 81球 ●
・4月20日 VSロイヤルズ 7イニング 94球 ○
・4月25日 VSエンゼルス 5・2/3イニング 89球 ●
・5月1日 VSダイヤモンドバックス 4イニング 74球 ●
・5月7日 VSマリナーズ 6・1/3イニング 95球
・5月12日 VSレイズ 7イニング 73球 ○

 先発した、今季ここまでの9試合で最も多い球数は95球です。

 一方で開幕以来、チームにとっての「5試合に1試合は先発」していますから、先発投手のローテーションをキッチリと守っています。これは、素晴らしいことでしょう。

 さらに、頭書のゲームは「73球で7イニングを投げ切っています」から、完投勝ちも展望できる内容でしたが、予定通り?7イニングでマウンドを降りているのです。

 今季の田中投手は、「先発ローテーションを堅持する」ことに注力していることは明らかです。
 アーロン・ブーン監督以下のベンチスタッフも、田中投手に「先発投手陣の柱としての安定した登板」を期待しているのでしょう。

 こうした在り様を観ると、田中将大投手は「いよいよMLBの先発投手」として成熟してきたと感じるのです。
[5月13日・ターゲットフィールド]
ロサンゼルス・エンゼルス5-4ミネソタ・ツインズ

 昨秋のトミージョン手術から、5月7日に打者として復帰した大谷選手に、待望の今季初ホームランが飛び出しました。

 このゲームの3回表、逆転2ランホームランを左中間スタンドに放ったのです。
 ツインズ先発ベリオス投手のストレートを捉えたもので、スタッツキャスト(MLB公式データ解析システム)によれば、打球の初速は111.6マイル(約180km/h)、確度は31度、飛距離は429フィート(約131m)と報じられました。
 大谷選手らしい、とても大きなホームランです。

 加えて、左中間に運んだところも、大谷選手らしいと感じます。
 センター方向が「大谷ゾーン」なのです。

 5月7日に復帰し、5月11日までの出場5試合では4安打を放っていましたが、ライナー性の打球が多く、「ボールが上がらない」感じでした。
 とはいえ、アウトになった打席でも、大谷選手のコンディションはとても良さそうでしたし、何より、プレーの姿・形が美しいと感じられましたから、実戦に慣れることで、次第に成績を上げて行くことが予想されました。
 5月末か6月にはホームランも出てくるだろうと、私は勝手に楽観?していたのです。

 しかし、大谷選手はその勝手な予想より遥かに早くホームランを打ってくれました。
 故障、大手術明けの状況でのスピーディな適応能力・・・。
 いくら練習を重ねていたとはいえ、多くの野球・ベースボール関係者が口を揃えて言うように、「練習と試合は全然違う」筈です。
 全身の筋肉や治療箇所への「試合時の筋力・スピード」の負担は、予測不可能なものでしょう。時間をかけて、少しずつ慣らしていく性質のものであろうと考えていました。
 にも拘わらず、復帰後僅か6試合目に、131mのホームランを放つのですから・・・。

 改めて、凄いプレーヤーだと感じます。

 MLB2019年シーズンの「大谷劇場の幕が開いた」のでしょう。

[5月9日・コメリカパーク]
ロサンゼルス・エンゼルス13-0デトロイト・タイガース

 エンゼルスが大勝したゲーム、大谷翔平選手が打者として復帰後の初安打を放ったゲームの3回表、プホールズ選手はソロホームランを放ち、通算2,000打点を達成しました。

 「2,000打点」というのは、凄い記録です。
 MLBの長い歴史上でも、プホールズ選手を含めて僅か4人しか到達していないのです。

 それは、
① 2,297打点 ハンク・アーロン選手(引退)
② 2,213打点 ベーブ・ルース選手(引退)
③ 2,086打点 アレックス・ロドリゲス選手(引退)
④ 2,000打点 アルバート・プホールズ選手

 の4選手です。

 この4選手を観ると、「ホームランの多いプレーヤー」であることが分かります。
 「打点」という記録は、必ずしもヒットから生まれるものでは無く、ランナーが居る時の内野ゴロや外野フライ、四球からも生まれますから、とてもバリエーションに富んだ記録ということになりますが、別の見方をすれば、他の選手の働き次第という面が有ります。
 結果として、「自力のみで獲得できる打点はホームランだけ」ということになります。

 歴代上位4プレーヤーがいずれも、MLBの歴史上屈指のホームランバッターであることが、それを証明しているとも言えるのでしょう。

 プホールズ選手は、このゲームまでに通算639本塁打を放っていますが、これは「アメリカ合衆国出身以外のMLBプレーヤーの中で史上最多」です。
 ドミニカ共和国出身のプホールズ選手にとって、とても大切なホームラン記録なのですけれども、今度は偉大なる「2,000打点」が加わったことになります。

 ちなみに通算記録の5番手以降も観てみましょう。
⑤ 1,996打点 バリー・ボンズ
⑥ 1,995打点 ルー・ゲーリック
⑦ 1,951打点 スタン・ミュージアル
⑧ 1,938打点 タイ・カップ

 まさに「錚々たるメンバー」が並んでいます。何か「長距離打者部門のMLBの歴史」そのもののようなメンバーだとも感じます。

 今回のプホールズ選手の「偉大さ」を裏打ちする面々と言って良いでしょう。

 今回の記録達成後のインタビューで、プホールズ選手は「最近は打点の評価が高くないようだが、走者を迎え入れないと試合では勝てない。誇りに思う。」とコメントしています。

 不思議なことに、21世紀のサイバーメトリクスを使った新しい評価方法においては、「打点」には重きが置かれていないのだそうです。

 前述の1位から8位までのプレーヤーを観れば、「打点」がベースボールにおいて最も大切な記録のひとつであることは、歴史が証明していると思います。

 少なくとも「プロスポーツ」として、観客に喜んでもらうという視点、長距離打者としてのスター性の視点からは、打撃における最重要項目といっても良さそうです。

 ひょっとすると、「打点・RBI」を的確に評価する手法が、いまだに発見・開発されていないということなのかもしれません。

[3月21日・東京ドーム]
シアトル・マリナーズ5-4オークランド・アスレティックス

 菊池投手は4・2/3イニング、91球を投げて、被安打4、奪三振3、与四球1、失点2の投球なるも、勝ち負けつかず。

[3月29日・セーフコフィールド]
ボストン・レッドソックス7-6シアトル・マリナーズ

 菊池投手は6イニング、86球を投げて、被安打4(被本塁打2)、奪三振5、与四球0、失点3の投球なるも、勝ち負けつかず。

[4月5日・ギャランティートレードフィールド]
シカゴ・ホワイトソックス10-8シアトル・マリナーズ

 菊池投手は5イニング、93球を投げて、被安打7、奪三振4、与四球1、失点6の投球成るも、勝ち負けはつかず。

[4月10日・カウフマンスタジアム]
シアトル・マリナーズ6-5カンザスシティ・ロイヤルズ

 菊池投手は6イニング、80球を投げ、被安打5(被本塁打2)、奪三振3、与四球1、失点3の投球成るも、勝ち負けは付かず。

 菊池雄星投手は、3月21日のメジャーデビューから4度先発登板しましたが、ここまで「勝ち負けが付かない」という状況です。
 このこと自体が、とても珍しいことのように感じられます。

 投球内容は、MLBデビュー直後の登板であることを考え合わせると、「相当良い」ピッチングに観えます。
 第2戦から4戦は、いずれも5イニング以上を投げていますから、「ゲームを造る」という、先発投手としてのベーシックな、そして最も大事な仕事は出来ています。

 では、味方の援護不足で勝ち星が付かないのかというと、そうでもなく、第3戦では、菊池投手の6失点で大きくリードされたマリナーズでしたが、反撃して8点を挙げ一度は逆転に成功しました。この時点では、菊池投手に勝ち投手の権利が生じたのです。
 こうした展開なら、そのままマリナーズが押し切りそうなものですが、再逆転を許して敗れ、結局菊池投手には勝ち負けが付かなかったのです。

 菊池投手は、自らへの役割期待に相応に応えています。
 「80球で6イニングを投げ切った」第4戦などは、MLBの先発投手として望ましいピッチングといっても良いでしょう。しっかりとメジャーに適応しつつあるのです。

 時折、「投げる時は味方がなかなか点を取ってくれない」といった、味方打線との巡り合わせが悪い投手が居ますが、菊池投手の場合には、マリナーズ打線は良く打ってくれていますので、これには当たりません。

 そうすると、菊池投手に勝ち負けが付かないのは、まさに「たまたま」ということになりそうです。

 こうした「不思議な状況」が続いている時こそ「踏ん張りどころ」なのでしょう。
 
 ベースボールの神様は、ちゃんと観ていると思います。
 MLB2019年レギュラーシーズンは、各チームが10~16試合を消化しました。
 まだスタート直後ですから、チーム順位については「これから」ということなのでしょう。

 一方で、4月11日時点の個人成績を観てみると、目立つ記録がありました。

① 打率5割1分4厘

 アメリカンリーグAL、シカゴ・ホワイトソックスのティム・アンダーソン選手の成績です。
 9試合に出場して「37打数19安打」というもの。
 この時期には、4割手打者が数名居るのが例年の形(今季もナショナルリーグNLに3名、ALに2名居ます)ですが、「5割打者」は驚異的でしょう。

 アンダーソン選手がどこまで走ってくれるのか、とても楽しみです。

② 8セーブ

 ALデトロイト・タイガースのシェーン・グリーン投手が8セーブでトップを走っています。
 凄いのは「8登板・8セーブ」というところ。
 セーブ成功率が100%なのです。

 タイガースは8勝4敗で、AL中地区の首位を走っていますから、8勝すべてがグリーン投手のセーブ試合ということになります。
 シーズン開始直後とはいっても、何だか凄い成績だと感じます。

 グリーン投手は、部門2番手のホセ・アルバラド投手(タンパベイ・レイズ)、ロベルト・オズナ投手(ヒューストン・アストロズ)の4セーブを大きく引き離して、トップを快走しています。

 どこまでセーブ数を伸ばしてくれるのか、こちらもとても楽しみです。

 MLBは、個々のプレーヤーの活躍を追っていくのも、とても面白いのです。
[3月31日・ドジャースタジアム]
ロサンゼルス・ドジャース18-5アリゾナ・ダイヤモンドバックス

[4月6日・クアーズフィールド]
ロサンゼルス・ドジャース10-6コロラド・ロッキーズ

 先発陣の3番手投手として、3月31日に今季初登板した前田健太投手は、6と2/3イニング・106球を投げて、被安打5(被本塁打3)、奪三振6、与四球2、失点3という安定したピッチングを魅せて勝利投手となりました。
 被本塁打3というのは、前田投手としては珍しく多かったのですが、いずれもソロホームランだったのが不幸中の幸いでしょうか。

 続いて今季2戦目・4月6日は、5イニング・91球を投げて、被安打4、奪三振4、与四球4、失点1という好投を魅せて勝ち投手となりました。
 しっかりとゲームを造るピッチングだったのです。

 「開幕2戦2勝」というのは、MLBに挑戦した日本人投手にとって史上初のことと報じられています。
 野茂英雄投手から、数多くの投手がメジャーリーグで活躍して来ましたが、前田健太投手は、誰も成し得なかったことをやってのけたのです。

 大差のゲームとなったとはいえ、今季初登板から100球を超える投球を演じているのを観ると、前田投手の2019年シーズンに対する準備が順調であったことを示しています。
 そして、第2戦では、緒戦に罹病しかけた「ホームラン病」をしっかりと抑え込んでいます。

 2016年にMLBデビューした前田投手は、1年目に175と2/3イニングを投げて16勝、2年目は134と1/3イニングを投げて13勝、3年目は125と1/3イニングを投げて8勝と、成績を落してきました。
 あまり報じられませんでしたけれども、2018~19年にかけて、前田投手は十分な準備をしてきたのではないでしょうか。

 前田健太投手の2019年シーズンの活躍が、本当に楽しみです。
 イチロー選手の現役時代には、数多くの「本音のコメント」が聞かれました。

 これは、「自分は打てなかったけれど、チームが試合に勝ったから、良しとします」といった、他の選手の発言に対して、イチロー選手が語った言葉です。

 イチロー選手は、「自分が打てなかった(良い成績を残せなかった)試合で、チームが勝ったから満足している」というのは、プロのプレーヤーでは無い、プロ選手なら「自分が活躍して、チームが勝った時に満足しなくてはならない」ということを言っているのでしょう。

 イチロー選手が言っていることは、個々のプレーヤーとしては当たり前のことのように聞こえますが、近時のスポーツ報道においては、前者のような内容のものが多いことに、警鐘を鳴らしたようにも見えます。
 妙に「センチメンタルなコメント」はプロスポーツの本質を見えにくくする、と言っているのかもしれません。

 イチロー選手は、「プロ選手としての心掛け」を言葉にしてくれたのでしょう。
 試合においては、自分に対する役割期待に対して全力を尽くすことが肝要であると。

 それは、イチロー選手であれば、打席に立ちヒットを打ち、塁に出れば盗塁を狙い、外野手として責任を持った守備を行うこと、といったことになります。

 従って、チームが勝つか負けるかと言うのは、そのミッションを背負っている人、つまり監督やコーチのマネジメントの範疇であって、イチロー選手には直接は関係が無いこと、と言う風に考えていた可能性も有ります。
 監督やコーチは、チームの勝利に向かって、個々のプレーヤーの能力を最大限に引き出し、ゲームをマネジメントして行くのが仕事ということになります。

 こうした「明快」な考え方を言葉にしてくれる選手は、これまでも少なかったと思いますが、イチロー選手という、この面で最も大切な存在、その圧倒的な実績を背景に「高い説得力を有する発言」をしてくれる存在が、ベースボールの現場から失われてしまったことは、ある意味では大きな損失です。

 イチロー選手は、自身のプレーの局面局面で、「自分の仕事の仕方、仕事に対する考え方」を表明します。それは、至極当たり前のことなのかもしれませんが、なかなか他の選手からは聞かれない、貴重なコメントであることが多いのです。

 スポーツ競技に対する「達人のコメント」を聞く機会が減ることは、とても残念なことでしょう。

 先日の引退会見でも「僕、おかしなこと言ってます?」を連発したイチロー選手。

 もちろん、「おかしなことを言っている、おかしな考え方をしている」のは、こちらの方なのでしょう。
[3月28日・ヤンキースタジアム]
ニューヨーク・ヤンキース7-2ボルチモア・オリオールズ

 4度目の開幕投手としてオリオールズ戦に先発登板した田中将大投手が、83球・5と2/3イニングを投げて、被安打6、奪三振5、与四球0、失点2(自責点1)の好投を魅せ、今季初勝利を挙げました。

 4度目の開幕投手でしたが、これまでの3度は勝利投手とはなっていませんでしたので、田中投手にとっての「開幕戦初勝利」でした。

 コントロールが良く、安定感十分な投球でした。

 「変身中」と報じられる田中投手(本ブログ2019年3月5日の記事「[MLB2019] 田中将大投手 変身中?」をご参照ください)ですが、今回は昨年までの投球、低めにボールを集める丁寧な投球で相手打線を抑えていました。

 さて3月28日、アメリカ本土におけるMLB2019年シーズンが開幕しました。

 「ベースボール・イズ・アメリカ」。
 春から秋にかけてのアメリカ合衆国を彩る戦いが、今年も始まったのです。

 守備プレーにおいて、イチロー選手は「頭からのダイビングキャッチはしない」、と言われています。

 確かに、とても多くのイチロー選手の守備を観てきて、数々のスーパーキャッチやレーザービームを眼にしてきましたが、ヘッドスライディングプレーは直ぐには思いつかないのです。
 考えてみれば、不思議なことでしょう。

 イチロー選手には、守備においては「走り抜けた方が速い」という持論があるのだそうです。
 なるほどと思いますが、さらに「怪我・故障や味方の選手との接触を避けるため」と聞けば、心底なるほどと感じます。
 イチロー選手は、守備プレーにおいても、「出場を続けること」を第一義に考えていたのでしょう。それは、とても良く理解できます。
 こうしたプレーの繰り返しの中で、2001年から2010年までの10年連続ゴールドグラブ賞という、気の遠くなるようなキャリアを積み上げ、「エリア51」を確立して行ったことに、改めて驚かされるのです。
 そして、こうした日々の取組から、「10年連続200安打越え」を達成するための必要条件が整っていたということになります。

 また、走塁においても「ヘッドスライディングをしない」ことを実践していたと伝えられています。
 確かに、イチロー選手のヘッドスライディングも観たことが有りません。
 スライディングは「必ず足から」行っていました。

 これも「怪我・故障に見舞われない」ことが、目的のひとつであることは明らかでしょう。
 ヘッドスライディングには、数多くのリスクが存在します。相手守備プレーヤーのスパイクとの接触は、その最たるものでしょう。スパイクの歯によって、手や指を傷つけることは、そう珍しいことではありません。手や指を怪我してしまえば、打席に立つ時に大きな障害になります。

 そうした考え方から「慎重で、ややもすると萎縮したようなプレー」を続けるのではなく、日本プロ野球で199個、MLBで509個、通算708盗塁という素晴らしい成績・金字塔を樹立する中で、「怪我をしない工夫」も実践していたというところが、本当に凄いと感じます。

 イチロー選手は、毎試合継続して打席に立ちヒットを放ち続けるために、守備・走塁においても「細心の注意」をはらっていたことになります。

 このことは、理屈では誰にでも理解できることなのでしょうが、実践するとなればとても難しいことでしょう。
 世界最高峰の舞台でのプレーですから、「とっさのダイビングキャッチやヘッドスライディング」はありそうなことに観えます。

 そうすると、イチロー選手は守備や走塁の時にも、常に「極めて冷静」であったことになります。

 とても人間技とは思えないような「冷静さ」が、数々の記録の礎になっていることも間違いないのでしょう。

 3月21日から22日の深夜に実施された「引退会見」で、イチロー選手は「監督になることだけは無い」と明言しました。

 その理由を「人望が無いんですよ。本当に人望が無い」と説明したのです。

 このコメントには、全く同意できませんでした。

 MLBでイチロー選手と共にプレーした選手たちは、一様にイチロー選手の素晴らしさを称賛し、イチロー選手と一緒にプレーしたことは自らの誇りであるとコメントし、イチロー選手の人間性の高さ、気さくな人柄、等々称賛の嵐に観えます。

 こんな人物が「人望が無い筈が無い」のです。

 引退会見という場で、「自分には人望が無い」と明言する、確信を持って言い張る?のは何故なのでしょうか。

 私は、イチロー選手が「ヒットを打つこと」の為に「全てを集中してきた・捧げてきた」キャリアに対して、イチロー選手自身が感じていることなのではないかと思います。
 
 その2にも書きましたけれども、「レギュラーシーズンで1本でも多くのヒットを打つため」に、全ての事を犠牲にしてきたという意識がイチロー選手に在るのではないかと思うのです。

 従って、チームの同僚との食事会や飲み会、休日のレジャー会合などにも、イチロー選手は「一切参加してこなかった」のでしょうから、「そんな自分に人望など在る訳がない」と考えているのかもしれません。

 しかし、当然のことながら、イチロー選手の身近にいるプレーヤー達は、そうした「求道者のような日々の過ごし方」に感心し、リスペクトし、出来ることなら自分もイチロー選手のようになりたいと考え、イチロー選手に話しかけ、その高い人間性に触れて、すっかりファンになっているように観えるのですから、話がややこしいのです。

 イチロー選手が「絶対に人望を得られない日々の行動」と考えているものが、周囲の関係者からの「人望の高さ」に結びついているという、不思議な現象が発生している形でしょうか。

 2004年シーズン、シスラー選手を超える258安打目を放ち塁上に居るイチロー選手のもとに、マリナーズベンチから数多くのプレーヤーがフィールドに歩み出て、イチロー選手を取り囲み祝福しました。盛大な祝福でした。
 その取り囲まれたイチロー選手の方が、その様子に戸惑っている感じが漂っていました。
 この試合の後のインタビューで、「みんながベンチを出て祝福してくれるとは思ってもみなかった」と語っていたと記憶しています。

 つまり、イチロー選手は「人付き合いの悪いプレーヤー」として、ボールパークと自宅を往復するだけの人物は、同僚から普段「何なんだあいつは・・・」と思われていると思っていて、自分が記録を樹立したとしても、誰も祝福などしてくれる筈もない、と考えていたのに、あにはからんや、ベンチ内の前関係者がグラウンドに出てきて祝福してくれたのですから、とても「驚いた」ということになります。

 さて2004年の「驚かされた祝福」から15年を経ても、いまだにイチロー選手の口から「人望が無い」という言葉が出てくるのは、本当に意外です。
 この15年間に、MLB2,000本安打、3,000本安打等々の記録が樹立され、都度多くの関係者から祝福を受けてきた、本当に多くの世界中のファンからも祝福を受けた筈なのに、「まだ、そんなことを・・・」という感じがします。

 そうした捉え方を、イチロー選手が取り続けている理由は「謎」ですけれども、やはり「求道者としての意識」が強いところから、生じているのかもしれないと感じます。
 
 ベースボールに全てを捧げて生きてきた生き様からは、周囲の人々との良好なコミュニケーションは絶対に生まれない、と15年経っても考えている可能性があります。(ひょっとすると「監督はやりたくないので口実にしている」可能性もありますが)

 当然のことながら、お世辞や耳触りの良いことばかりを周囲の人々に言い続け、実際の行動に実が無く粗末で、表裏のある人物に、本当の人望など集まる訳はありません。
 そんな人物は、周囲の人々から軽蔑されるのがオチでしょう。

 イチロー選手には「人望が有り」ます。
 それも「半端無い人望」です。
 そのイチロー選手が「人望が無い」と明言する理由は、やはり不明です。
 
 確かに、自ら「人望が有る」などという言葉を平気で使うようでは、その人物に「人望が無い」ことを証明していることになってしまうのかもしれませんが・・・。

 日本プロ野球NPBで1,278安打、メジャーリーグMLBで3,089安打を放ったイチロー選手が、史上屈指の「ヒットメーカー」であることに、異議を差し挟む人は少ないでしょう。
 空前絶後の記録と言って良いと思います。

 イチロー選手のプレーヤーとしての目標は、ほぼ「レギュラーシーズンでヒットを打つこと」にあったのではないかと、私は感じています。
 その結果として、イチロー選手の「ヒットに関する記録」は枚挙に暇がないレベルになりました。

 今回は、その中でも特筆すべき記録を挙げようと思います。

① MLB2004年シーズンの262安打

 MLBにおけるシーズン最多安打数です。84年間破られなかったジョージ・シスラー選手の257安打を更新した金字塔。このシーズンのプレー振りは「圧巻」の一語でしょう。
 プレーヤーとしてのイチローを象徴する記録であり、10年後20年後にイチロー選手を語る時、真っ先に採り上げられる記録でしょう。

② NPB1994年シーズンの210安打

 NPBにおいて、当時のシーズン最多安打記録でした。
 その後、この記録は本数では塗り替えられましたが、イチロー選手が示現した「130試合で210安打」という記録の凄さは、現在でも燦然と輝くものでしょう。

 メジャー移籍後、大活躍を続けていた時期のイチロー選手が、「ヒットを沢山打ったという印象のシーズンは?」という質問に対して、「1994年シーズン」と答えていたのを思い出します。

 イチロー選手にとっても「ヒットを打って打って打ちまくったと最も感じたシーズン」は、NPB1994年だったのかもしれません。

③ MLB2001~2010年シーズンの「10シーズン連続200安打越え」

 これももちろんMLB最高記録です。

 それまでの「8シーズン連続」を塗り替えたものですが、やはり「空前絶後」であろうと思います。
 毎シーズン、200安打をクリアした際にイチロー選手へのインタビューが行われましたが、その答えは常に「厳しい戦いだった」というトーンで一貫していました。「シーズン200安打」は、イチロー選手にとって最大・最重要の「必達目標」だったのでしょう。

 2009年に「9年連続」を成し遂げた時のイチロー選手へのインタビューには、本当に「安堵感」が満ち満ちていました。「やっと、この争いを終えることができる」という言葉の重みをひしひしと感じたものです。

 この記録は、イチロー選手の極めて高度なコンディション管理能力をも、如実に示しています。
 世界最高水準の舞台、ベースボールにおける世界で最もハードな職場で、10年間に渡って、大きな故障も無く(故障したとしても短期間で復帰できる状態をキープし続け)、体調を維持し、打撃技術水準も維持していたというのは、「神業」という以外に呼びようが無いでしょう。

 2010年代=現代最高のヒットメーカー、ヒューストン・アストロズのホセ・アルトゥーベ選手は2014~2017年の4シーズン連続で200安打越えを達成しましたが、2018年は故障の為に惜しくも169安打に止まりました。
 もちろん、4年連続200安打越えも素晴らしい記録なのです。
 それを考え合わせる時、イチロー選手の「10年連続」の偉大さが、一層際立つのでしょう。

 2019年3月21日日中、NHK-BS放送で「全て見せます イチロー選手の3,089安打」という番組が有りました。これは再放送でしたが、この日の「引退発表}を予測して放送したものでしょう。

 何回目の視聴でしょうか。その番組を延々と観ることができました。
 
 次から次へとヒットを放つイチロー選手のシーンが連続するわけですが、痛烈な当たりや内野安打と共に印象的だったのは、「二塁ベースの少し左側を抜けて行くヒット」と「テキサスリーガーズヒット」でした。

 MLB初安打も、2004年の258安打目もそうであったと記憶していますが、二塁ベースの左側へのヒット」はイチロー選手が得意とするものであり、イチロー選手「独特のコース」であったと感じます。他の打者では、なかなか観られないコースの打球だからです。
 もちろん、イチロー選手は「狙って」打っているに違いありませんが、あのコースに強い打球を運ぶという技術には、感心また感心です。

 テキサスヒットも数多く登場しました。
 内野手と外野手の間にポトリと落とすヒットですが、これが絶妙です。
 かつて「打撃の神様」と称された川上哲治選手がその晩年に得意としたと言われるテキサスヒットを、イチロー選手は「狙って」打っていたのでしょう。

 「野手が居ないところに打つ」こと、「(1塁に走る)時間を稼げる打球を打つ」ことに、これ程に習熟していたバッターは、イチロー選手だけだったのではないでしょうか。

 「THEヒットメーカー」なのです。

 どんな選手でも、この日はやってくるのですが・・・。

 2019年3月21日、MLB2019年シーズンの開幕シリーズ、シアトル・マリナーズとオークランド・アスレティックスの東京ドーム2連戦の第2試合終了後、イチロー選手が引退を表明しました。

 前日から、引退会見がありそうだと報じられていたのですが、深夜のインタビューでイチロー選手の口から「引退」の言葉を聞いた時には、やはりショックでした。

 1992年7月11日、日本プロ野球でデビューし、2019年3月21日にMLBで引退。
 28年に及ぶ「イチロー選手の長い旅」。
 素晴らしい旅でした。

 どれほど多くの夢・希望・喜びを、私達に齎してくれたのでしょうか。

 稀代の野球選手、ベースボールプレーヤーが引退しました。

 その活躍に、心からお礼申し上げます。

 3月9日、ニューヨーク・ヤンキースは、田中将大投手を2019年シーズンの開幕投手に指名したと公表しました。

 MLB6年目の田中投手にとって4度目の開幕投手となります。
 4度は、日本人投手の最多記録です。

 素晴らしいというか、凄いことです。

 メジャーリーグのどのチームにおいても「開幕投手になること」は素晴らしい栄誉ですが、それが「メジャーで最もメジャーな球団」と呼ばれ、豊富な資金力を擁して、毎年のように大きな戦力補強を行っているヤンキースともなれば、その価値というか、その希少性はより高まると見るのが自然でしょう。

 ましてや「6年目で4度目」なのです。
 田中投手に対する、ヤンキース首脳陣の信頼の高さを如実に表している事実でしょう。

 もちろん、2019年シーズンについて見れば、本来ならルイス・セべリーノ投手(2018年シーズン19勝のチームの勝ち頭)が務めるべきなのでしょうが、そのセべリーノ投手が右肩炎症で開幕に間に合わないとなって、田中投手に白羽の矢が立ったのです。

 故障無くスプリングトレーニングを過ごすことの重要性というか、故障なく過ごすことがメジャーリーガーにとって最も大事なことのひとつであることを、改めて認識させてくれました。

 「6年で4度」も開幕投手となるというのは、そのピッチャーの能力の高さはもちろんとして、「開幕時に故障していないことの証明」であることも明白です。
 「田中将大の準備能力の高さ」もよく分かります。

 2014年のMLBデビューから5年連続で二桁勝利を挙げている田中投手が、現在のニューヨーク・ヤンキースで最も安定しているピッチャーであることも、言うまでもないことなのでしょう。

 開幕戦での素晴らしいピッチングが、とても楽しみです。
 
 お金の話で恐縮ですが、2018~2019年オフシーズンのFA市場の目玉プレーヤーであった、ブライス・ハーパー選手とマニー・マチャド選手の移籍先が決まりました。(本ブログの2018年11月20日付の記事「[MLB2018オフシーズンFA] ブライス・ハーパー選手とマニー・マチャド選手」をご参照ください)

 両プレーヤーとも、「FA史上最高額の契約」を示現する可能性があると見られていましたが、予想に違わぬビッグディールでした。

 まずは2月21日、サンディエゴ・パドレスがマニー・マチャド選手を獲得したと発表しました。
 10年・総額3億ドル(約330億円。1ドル=110円として)という、物凄い契約です。
 総額、1年あたりの平均金額(約33億円)ともに、FA史上最高額と報じられました。

 続いて2月28日、フィラデルフィア・フィリーズがブライス・ハーパー選手と契約合意したと報じられました。
 こちらは、13年・総額3億3千万ドル(約363億円、同上)です。契約総額ではMLB史上最高額と伝えられています。

 いやはやなんとも、空前の契約が成立したものです。

 注目の2プレーヤーでしたが、「なかなか決まらない」と感じていましたけれども、ビッグディールは最後の最後ということなのでしょう。2019年のスプリングトレーニング開始直後にキッチリと決まるところが、色々な意味で凄いところでしょう。

 こんなにお金を使って、球団として成り立つのだろうか、と余計な心配をしてしまいますし、両プレーヤーとも「サラリーに見合うだけの活躍が出来るのかしら」と、こちらも大きなお世話を焼いてしまうのが、私の様な庶民の悲しさ?かもしれません。

 「アメリカンドリーム」という言葉、とても「古い言葉」が有りますが、こうしたビッグディールを観ると、21世紀にもなお、アメリカンドリームの存在を感じます。

 世界最大のスポーツ大国アメリカ合衆国で認められることが、スポーツ界において、どれほど大きな価値を持つものなのかを如実に示してくれた、2つのビッグディールでした。

 2019年のスプリングトレーニングも佳境に入り、各チームのゲームに主力選手が登場しています。

 3月3日にはフロリダ州タンパで、ニューヨーク・ヤンキースとデトロイト・タイガースのゲームが行われ、田中将大投手が先発登板したと報じられました。
 田中投手は、今スプリングトレーニングにおける初登板でした。

 3イニングを投げ、40球・奪三振2・被安打1・無四球・無失点という投球内容でしたから、初登板としては上々ということになります。
 スプリングトレーニングでの登板ですから、最も大切なのは「内容」ですが、この内容がとても興味深いものであったと報じられています。

① カーブ主体の投球

 最速82マイル/時から最遅76マイルのカーブを巧みに使って、凡打の山を築いた投球だったと伝えられました。
 田中投手というと「速球主体」という印象が有りますが、2019年はカーブ主体の投球になるのかもしれません。(もちろん、2018年シーズンまででも、ストレートに各種の変化球を交えた投球でしたが、「カーブ主体」とは言えなかったと思います)

 この日は、打者10人中7人に対してカーブで入ったとのこと。
 相当、投球スタイルが変化しています。

② ナックルカーブ?

 その遅いカーブが「ナックルカーブ」であったと、本人もコメントしています。
 かつての大投手、マイク・ムッシーナ投手*が得意としたナックルカーブを、田中投手も駆使して行くことになるのでしょうか。(*ボルチモア・オリオールズとニューヨーク・ヤンキースで1991年から2008年までメジャー18シーズン、通算270勝153敗、2019年1月殿堂入り)

 ナックルカーブがMLBの打者に対して効果的なことは、既に証明されていますが、30歳になった田中投手も、「今後の仕様」として前向きに捉えているのでしょう。

 開幕後、新生・田中将大投手の投球を観るのが、とても楽しみです。

 MLB2019年シーズンの開幕戦は、2012年以来7年振りに日本でのゲームとなりました。

 3月20日・21日、東京ドームでのシアトル・マリナーズとオークランド・アスレチックスの連戦です。(7年前と同じカードです)

 そこで注目されているのが、「イチロー選手がプレーするかどうか」という点なのです。

 そして、アリゾナで行われているマリナーズのスプリングトレーニングから、「イチロー選手の近況」が報じられています。

 報道によれば「好調」とのこと。
 コーチが投げるフリー打撃では、25球中8本の柵越えと「ホームラン性の打球をバンバン飛ばしている」ようです。

 昨2018年5月から球団の会長付特別補佐に就任し、ゲームには出場していないイチロー選手ですが、さすがに「体作りは万全」ということなのでしょう。

 もともと「打球を飛ばす技術」という面では、全盛時にも高く評価されていたイチロー選手、オールスターゲームの「ホームラン競争に出場してみては」という声も何回か出ていたと記憶していますので、外野フェンスを越える打球を狙って打つことについては、メジャーでも屈指の技術を保持していることは間違いないのでしょう。
 45歳になった現在でも、フィジカルに裏打ちされた技術は健在ということです。

 イチロー選手が「開幕ロースター入り」を果たして、3月20日東京ドームのゲームに出場する可能性は、とても高いのでしょう。
 2月18日に、アリゾナ州テンピで、ロサンゼルス・エンゼルスの野手組がスプリングトレーニングに入ったと報じられました。

 昨2018年10月1日に、右肘のトミージョン手術を受けた大谷翔平選手は、当然ながら別メニューの調整に入ったのですが、いきなりバッティングケージに入って「約20分間の素振り」を行ったと報じられています。
 とても明るい表情であったとも伝えられましたから、術後の経過は順調なのでしょう。

 それにしても「早い」と感じます。

 2018年10月の手術であれば、打者としての復帰は2019年6月頃、投手としての復帰は2020年シーズンの後半と言われていましたので、2019年2月中旬に「バットが振れる」までに回復しているというのは、とても「早い」という印象です。

 球団からは「慎重を期して5月頃からの出場」を検討しているとも発表されています。

 世界中のファンが、打者・大谷選手のプレーを心待ちにしているのは、無理もないところでしょうが、ここは慌てることなく、「打者としての完全回復」を待ってフィールドに戻ってきて欲しいものだと思います。

 今後の長きに渡ってのメジャーリーガー大谷選手の活躍が、何より大事なことなのですから・・・。

 長い歴史と伝統を誇る、アメリカ合衆国のプロベースボールですが、スプリングトレーニングが開始されたのは1886年と伝えられています。
 開始したチームはシカゴ・ホワイトストッキングス(1889年まで存在しました。現在のシカゴ・カブスの前身です)。
 このホワイトストッキングスのプレーヤー兼監督だったキャップ・アンソンがスプリングトレーニングを始めたのです。

 アンソン監督は、4月のレギュラーシーズン開始に向けて、ある程度前から選手達を集めてトレーニングを積ませたら、シーズンの戦いに向けて大きな効果があるのではないかと考えました。現在なら当然のことでしょうが、当時としては「画期的な考え方」だったのです。(現在では「当たり前」「当然」と思われることでも、最初にそれを考え、アイディアを創出し、実行するというのは大変なことです。そのこと自体が素晴らしい才能であり、実行力であることは間違いありません。どんなことであっても、「当たり前」「当然」と考えるのではなく、常に「疑問」を持ち、様々な角度から物事を考えて行く習慣を身に付けたいものだと、いつも思います。そうした行為、物の捉え方こそが、「進歩を生む」ものなのでしょう)

 さて、この案を球団内に提案したところ、反対が多く出されました。
 各プレーヤーが「この時期は別の仕事をしているから事前トレーニングには参加できない」というのが、その理由でした。
 当時のメジャーリーガーはプロスポーツ選手としての収入が少なかったので、オフシーズンには皆、別の仕事をしていたのです。

 なるほど、と感じさせられる話です。

 21世紀に隆盛を極めているプロスポーツの多くが「19世紀後半に始まっている」のですが、開始当初は、どのスポーツでも十分な収入が得られなかったのでしょう。「お金を払ってスポーツを観る」ということが、時代の最先端のエンターティンメントであった頃です。多額のお金を観戦に支払うということが一般化するのは、もっとずっと後の時代なのでしょう。

 そこでアンソン監督は「スプリングトレーニング中は1日に付き何ドルか支給する」ことを確約し、1886年2月はじめに、アーカンソー州ホットスプリングスの地に全選手を集めたのだそうです。
 
 こうして、史上初のスプリングトレーニングが始まったのですが、その効果は絶大で、このシーズン、ホワイトストッキングスは独走優勝を飾ったのです。

 こうした「良い取組」が他のチームに広がっていくのは自然な流れでしょう。翌年から導入するチームもあって、1890年代に普及し、1910年頃には一般的なものになったそうです。

 スプリングトレーニング実施に向けての最大の障害が「選手達の低収入」にあったというのは、プロスポーツの創成期、そして発展期を考えて行く時、とても興味深いところです。

 NPBは、例年通り2月1日にキャンプインしましたが、MLBもキャンプインというかスプリングトレーニングのスタートが近付いてきました。

 アメリカらしい、というか、別に厳密な規則がある訳ではないのでしょうから、各球団が自主的に決めた日にスタートする形ですが、2019年シーズンの開始日は以下のように報じられています。

・ボストン・レッドソックス 2月14日
・ロサンゼルス・ドジャース 2月13日
・ヒューストン・アストロズ 2月13日
・ニューヨーク・ヤンキース 2月13日
・アトランタ・ブレーブス 2月13日
・クリーブランド・インディアンズ 2月14日
・シカゴ・カブス 2月15日
・ロサンゼルス・エンジェルス 2月13日
・シアトル・マリナーズ 2月14日
     ・
     ・
     ・

 現世界チャンピオンのレッドソックスは2月14日スタートですけれども、今季は13日に開始するチームが多いようです。

 この開始日は、ご承知のように「バッテリーのトレーニング開始日」です。
 野手陣は、概ね1週間位後にスタートするのです。

 こちらもご承知のように、スプリングトレーニングの開催場所は「フロリダ」と「アリゾナ」です。日本で言えば、沖縄と宮崎と高知に相当するのでしょう。
 この2箇所に、丁度15チームずつが入るというところも興味深いところです。自主性が尊重されるアメリカ合衆国の事ですから、「偶然」ということなのでしょうか。

 そして、フロリダでトレーニングを行う15チームを「グレープフルーツ・リーグ」と呼び、アリゾナ組を「カクタス・リーグ」と呼びます。
 NPBで言うところのオープン戦、MLBではこのシーズン前のゲームのこともスプリングトレーニングと呼びますから、「狭義のスプリングトレーニング」と言って良いのかもしれません。

 こちらのゲームの方は、2月22日のアスレティックスVSマリナーズの試合によりスタートします。カクタス・リーグの方が1日早くゲームを始めるという形です。グレープフルーツ・リーグの方は、2月23日のレイズとフィリーズの試合でスタートするのです。

 スプリングトレーニングへの注目度は、当然ながらとても高いので、スプリングトレーニングの両リーグの成績も日々報じられます。「MLBでも球春真っ盛り」という様相を呈するのです。
 近時は、日本からの「スプリングトレーニング・ゲーム観戦ツアー」も増えてきました。

 もちろん、レギュラー争いというか、レギュラーシーズン開幕に向けて「ロースターを目指す各プレーヤーの争い」は熾烈を極めます。これはNPBのキャンプと同じです。
 「グレープフルーツ」や「カクタス」から感じられる、ほのぼのとしたムードは、スプリングトレーニングの現場には皆無なのです。

 「メジャーリーガーを目指して」の2019年のスプリングトレーニングが迫りました。

 1月22日、今季のMLBベースボール殿堂入りプレーヤーが発表されました。
 オフシーズンの恒例行事です。

 そして、元ニューヨーク・ヤンキース、2013年シーズンを最後に引退したクローザ、マリアノ・リベラ氏が「資格獲得1年目」にして殿堂入りを果たしました。

 リベラ氏が「殿堂入り」するのは、誰もが予想していた通りですが、特筆すべきはその得票率でした。425名の全投票資格保持者が、全員リベラ氏に投票したのです。
 これは、ベースボール殿堂制度史上初めてのことでした。

 「投票資格者」とは、全米ベースボール記者協会に10年以上在籍している記者です。
 この資格自体が、相当に難しいものだと思いますけれども、そうした「ベースボールを知り尽くした記者425名」を相手にしての「満票」というのは、信じられないというか、ある意味では「異常」なことのように感じられます。
 どんなに素晴らしいプレーヤーでも、425名の中には「あまり評価していない記者」が5名や10名いても何の不思議もありませんし、19シーズンに渡ってプレーしたリベラ選手の事を、何らかの出来事・きっかけによって嫌っている記者が居ても、これも何の不思議もないでしょう。ヤンキースの事が大嫌いな記者もいる筈です。
 人間社会において、同業者425名全員が高く評価してくれることなど、本当に有り得るのか、と考えてしまいますが、リベラ氏への投票は、その「異常な事態」を示現して魅せたのです。

 何か、現役時代の「信じられないようなプレー」を観ているようです。

 殿堂への選出ラインは、全投票資格者の75%以上の得票です。
 
 これまでの最高得票率は、2016年のケングリフィー・ジュニア氏の99.23%でした。これとて、信じられないような高率と当時言われました。
 あのベーブルース氏が95.13%(1936年)、カルリプケン・ジュニア氏が98.53%(2007年)であったことを勘案しても、今回のリベラ氏の「100.00%」の凄さが分かります。

① 通算652セーブ

 というMLB最多記録は、もちろんとして

② ポストシーズン通算96試合登板・141イニングを投げて42セーブ、防御率0.70

 という、大舞台での強さは、ズバ抜けて居ます。登板数、セーブ数、防御率は、もちろんMLB最高記録です。

 試合の流れが完全に相手チームに傾いた場面でマウンドに上がり、「何もなかったかのように」抑えるというシーンを、私たちは何度も眼にしました。
 他に類を見ない、文字通りの「火消し」役でした。

 それも、ここぞという投球は「必ずカットボール」なのです。相手打者は、次に必ずカットボールが来ることが分かっているのに打てない、という本当に不思議なシーンが続きました。
 世界最高レベルの打者が揃うMLBのポストシーズンゲームで、来る球が分かっていても打てないというクローザは、「空前絶後」なのかもしれません。

③ ヤンキースにおいて1115試合登板

 同一球団における、史上最多登板記録です。リベラ投手は、最後のシーズン=2013年シーズンにも44セーブを挙げるなどヤンキースにおいて長く好成績を挙げ続け、ヤンキースファンに長く愛され、ヤンキース球団も常に高い評価を与え続けたことが分かります。
 本当に素晴らしい記録だと思います。

 マリアノ・リベラ氏は、ベースボール殿堂入り投票においても、ひと癖もふた癖もある数多くの記者達を相手に、見事な投球を魅せてくれたのでしょう。

 NPB西武ライオンズからポスティングシステムでMLB挑戦を目指していた菊池雄星投手でしたが、契約交渉期限となる2018年12月31日(日本時間2019年1月1日)にシアトル・マリナーズとの契約が発表されました。

 そして1月3日、マリナーズの本拠地Tモバイルパークで入団会見を行ったのです。

 「流暢な英語」が、入団会見を報じた記事に共通したポイントでしょう。
 15歳の時からメジャーリーグを夢見ていた菊池投手にとっては、メジャーでプレーをして行く、メジャーで通用する投手になるために効果的なことは全て対応して行くことにしていたのでしょう。「英語」もそのひとつだったのだと思います。

 入団会見でも、マリナーズを選んだ理由を聞かれ、”I feel this team needs me the most. I felt the chemistry between us.”(このチーム=マリナーズが最も自分を必要としていてくれると感じました。相性の良さを感じました。)と応え、メディアの記者達を驚かせたと伝えられました。”the chemistry between us”が「相性が良い」という意味なのを、私は初めて知りました。

 マリナーズでの背番号は「18」。
 これは、2019年からNPB読売ジャイアンツでプレーすることとなった岩隈久志投手が2018年までマリナーズで背負っていた番号です。
 
 菊池投手は、まるで岩隈投手と「交替」のように、マリナーズ入りしたのです。

 MLBでは(NPBでも)、「左腕先発投手」はとても貴重な存在です。
 当然のことを書き恐縮ですが、右腕投手と左腕投手は違うのです。
 これまでMLBを観て来た感じからすると、例えば「スピードボール」について観れば「右腕の160kmと左腕の155kmが同じ位」打ち難い投球ではないでしょうか。
 変化球に付いても同様で、左腕の変化球はとても効果的です。

 もともと右利きのプレーヤーの方が多いので、大半のプレーヤーにとって右投手と当たる回数の方が多く慣れていること、逆に言えば左投手の投球に不慣れなことがこうした違いの要因のひとつでしょう。
 また、左打者にとっても同様で、やはり右投手の球を打ってきた経験の方が多いのです。
 投球の出所・角度・球筋が右投手とは明らかに異なりますから、打ち難いのも自然なことなのでしょう。

 MLBのスーパースターで言えば、ランディ・ジョンソン投手やクレイトン・カーショー投手が「左腕先発」の代表格でしょうか。

 菊池雄星投手のMLB挑戦は「日本の左腕先発投手」の挑戦でもあります。

 菊池投手の「高目ストレート」がMLBの強打者に通じるのか、MLB2019最大の見所のひとつでしょう。
 12月2日から5日にかけて、シアトル・マリナーズとニューヨーク・メッツの間で「大きなトレード」が行われたと報じられました。

 その内容は下記の通り。

[マリナーズ]
・ロビンソン・カノ選手(内野手)
・エドウィン・ディアス選手(クローザ)
+2000万ドル(約22億円)

[メッツ]
・ジェイ・ブルース選手(外野手)
・アンソニー・スウォーザック投手(右腕)
・ジャレッド・クレニック選手(外野手、2018年ドラフト1位)
・ジャスティン・ダン投手(右腕、2016年ドラフト1位)
・バーソン・バティスタ投手(右腕)

 2名+2000万ドル対5名という大型トレードが成立したのです。

 ロビンソン・カノ選手(36歳)といえば、2005年から2013年までニューヨーク・ヤンキースでプレーし、ヤンキースはもとよりMLBを代表する強打の二塁手としてならしましたが、突然マリナーズと10年契約を結んで、2014年からはシアトルでプレーしていました。
 現役プレーヤーの中では、「3000本安打に最も近いプレーヤー」と目され、殿堂入り確実とも言われる名選手です。

 また、エドウィン・ディアス投手(24歳)は2017年からブレイクし、2018年シーズンでは57セーブを挙げて、アメリカンリーグのセーブ王に輝きました。

 この2名が「マリナーズの看板プレーヤー」であることは間違いありませんから、マリナーズとしては思い切った決断をしたことになります。

 2015年9月に就任以来、毎年のように「MLBを驚かせるトレード」を披露している、マリナーズのジェリー・ディポートGMが、2018年オフシーズンでも大型トレードを実現した形です。
 2019年以降のマリナーズは、メッツから移籍してきた「若手」の育成に注力し、チームを再生しようという意図なのかもしれませんが、それにしても「右投手」が3名も居るのは驚きです。
 マリナーズは「右投手が不足」していたのでしょうか。

 さて、カノ選手とディアス投手の2名は、12月4日、メッツの本拠地・ニューヨークのシティフィールドで入団会見を行いました。メッツのユニフォームに袖を通し、「満面の笑み」でインタビューに答える姿が配信されています。

 メッツのブロディ・バンワグネンGMとしては、2018年7月に放出したファミリア投手に代わるクローザを入団させ、かつては代理人をしていて、熟知しているカノ選手を獲得したのですから、こちらは「2019年シーズンの優勝・ワールドシリーズ進出」を狙う強化ということになります。

 正直に言って、マリナーズ入団後のカノ選手には、ヤンキース時代の様な「輝き」が不足していると感じていましたので、「ニューヨークのロビンソン・カノ」に大いに期待しているのです。

 今回は、2018年レギュラーシーズンのチーム毎のOPSとERAを見てみましょう。

 OPS(出塁率+長打率)は打力の、ERA(防御率)は守備力の、代表的な指標と位置付けてみようという試みです。

[OPS・アメリカンリーグAL]
・1位 ボストン・レッドソックス .792
・2位 ニューヨーク・ヤンキース .781
・3位 クリーブランド・インディアンズ .766
・4位 オークランド・アスレティックス .764
・5位 ヒューストン・アストロズ .754

[ERA・AL]
・1位 ヒューストン・アストロズ 3.11
・2位 タンパベイ・レイズ 3.74
・3位 ボストン・レッドソックス 3.75
・4位 クリーブランド・インディアンズ 3.77
・5位 ニューヨーク・ヤンキース 3.78

[OPS・ナショナルリーグNL]
・1位 ロサンゼルス・ドジャース .774
・2位 コロラド・ロッキーズ .757
・3位 ワシントン・ナショナルズ .753
・4位 ミルウォーキー・ブリュワーズ .747
・5位 シカゴ・カブス .744

[ERA・NL]
・1位 ロサンゼルス・ドジャース 3.38
・2位 シカゴ・カブス 3.65
・3位 アリゾナ・ダイヤモンドバックス 3.72
・4位 ミルウォーキー・ブリュワーズ 3.73
・5位 アトランタ・ブレーブス 3.75

 両リーグの第5位までを挙げました。

 NLは、OPS・ERA共にドジャースがトップでした。こうなると、リーグチャンピオンシップ勝利とワールドシリーズ進出は「妥当」ということなのかもしれません。

 シカゴ・カブスはOPS5位・ERA2位とバランスの良いシーズンを送ったのですが、ワイルドカードゲームでロッキーズに1-2で敗れてしまい、ポストシーズンで十分にはその力を発揮することが出来ませんでした。
 もちろんロッキーズもOPS2位と、攻撃力で勝ってきたチームですから、その力が一発勝負の場で発揮されたということなのでしょう。

 ブリュワーズはOPS・ERA共に4位ですから、攻守に優れたチームであることを示し、ポストシーズンでもワールドシリーズまであと一歩に迫りました。

 ALでは、レッドソックスがOPS1位・ERA3位とバランスの良さを示しています。
 ヤンキースはOPS2位・ERA5位とやはりバランスが良いのですが、レッドソックスが投打に渡って少し上回ったという形でしょう。

 アストロズはOPSが5位ですがERAが1位、それも3.11と断トツの1位でした。確かに、今シーズンの前半は先発投手陣の5名が全員しっかりとローテーションを守って投げ続けるという、他のチームから見れば羨ましい限りの運営がなされていました。その素晴らしい運営が、2018年のチームの活躍に結びついていたことが良く分かります。

 今回は、チームのOPSとERAを観てきました。

 やはり、レギュラーシーズンで良い成績を残し、ポストシーズンでも活躍したチームは、OPS、ERA共に相応の数値を残しています。

 その面からは、2018年のポストシーズンは「波乱が少なかった」ということになりそうです。
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