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 自己最高位の東前頭2枚目で相撲を取った蒼国来は、初めて全ての横綱・大関と取組が組まれる位置で、15日間を戦い抜きました。

 3日目、横綱・日馬富士との対戦は、初めての「結びの一番」でしたが、これを白星としました。金星を挙げたのです。

 取組後のインタビューの中で「結びで取るのが夢だった」と語りました。
 
 その様子は、本当に嬉しそうでした。

 確かに、力士になった以上は、関取となり、幕の内に昇進し、そして結びの一番、その日の最後の取組のために土俵に上がることが「大きな夢」なのでしょう。

 特に、中国内モンゴル自治区から来日し、2011年の「八百長問題」で一度は解雇となった蒼国来にとっては、番付を上げて結びの一番で相撲を取ることは、憧れであり夢であったろうと感じます。

 八百長問題で解雇となった後、「自分は絶対にやっていない」と言い続け、友人宅を転々としながら、公園等でトレーニングを積んでいたと報じられています。
 大変な努力です。

 そして、裁判を経て、2年半ぶりに復帰したのです。
 2013年7月場所、番付は西前頭15枚目でした。

 その7月場所、土俵に上がった蒼国来の体は、痩せ細っていました。やはり、公園等でのたったひとりでのトレーニングや、友人宅での食生活では、大相撲の力士、ましてや幕の内力士としての体躯を維持することは難しかったのです。

 当然のように「負け越し」の場所が続き、番付は東十両11枚目まで下がりました。
 幕下も間近という番付です。
 蒼国来は、力士を続けられるのだろうか、と心配したものです。
 とはいえ、体躯の方は徐々に充実し、パワーがついてきた印象でした。

 2014年3月場所では11勝4敗の好成績を上げて、5月場所に幕の内に復帰、以降の幕の内力士としての安定した相撲振りは、ご承知の通りです。

 身長185cm・体重146㎏と、現在の幕の内では小柄に入る体格ですが、相撲は正攻法そのもの。立合いの変化を、私は見たことがありません。
 現在では珍しい「正統派の四つ相撲」です。パワーも備えていて、「つり技」も時々披露してくれるのです。

 2017年3月場所の蒼国来は、場所の後半はやや精彩を欠きました。
 4勝11敗で場所を終えています。
 疲れが出たのであろうと思いますが、どこか故障でもしていないか、少し心配です。

 その真面目な取口と大相撲への情熱をもって、再び番付を上げ、三役昇進を狙っていただきたいものです。
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 2017年3月場所は、2000年3月場所以来の「四横綱」の場所となりました。

 「四横綱」自体は、それ程珍しいことでは無く、今回が「16度目」ということになります。

 とはいえ、現在の大相撲ファンにとっては、1990年9月場所に始まり1991年5月場所まで続いた「千代の富士、北勝海、大乃国、旭富士」の四横綱時代(14度目・5場所・千代の富士の引退により終了)と、1999年7月場所に始まり2000年3月場所まで続いた「曙、貴乃花、若乃花、武蔵丸」の四横綱時代(15度目・5場所・若乃花の引退により終了)が記憶に新しいところでしょう。

 ところで、四横綱時代においては「四横綱が揃って土俵に上がる日」は多くはありません。
 どうしても休場が多くなってしまうのです。

 例えば、14度目の時の最初の場所・1990年9月場所では千代の富士と大乃国が全休でしたから、観客にとっては2横綱の場所でした。この14度目の四横綱時代において、四横綱が揃って15日間を皆勤したのは1990年11月場所の1場所だけでした。

 15度目の四横綱時代には、四横綱が揃って15日間を皆勤した場所は1場所も有りませんでした。
 1990年から現在に至るまでの28年間に渡って、四横綱が揃って1場所・15日間の土俵を務め上げた場所は、僅かに1場所しかなかったことになります。

 さて2017年3月場所はどうか、と思っていましたが、白鵬が5日目から休場しました。
 やはり「四横綱15日間皆勤」は難しいものなのでしょう。

 四度の横綱土俵入りを始めとして、四横綱時代は「豪華絢爛」な空気が漂います。

 14度目も15度目も、四横綱時代は5場所で幕を閉じています。1年間続いていないのです。

 長く在位している横綱と昇格したばかりの横綱が併存しているからこそ、四横綱が実現するのでしょうから、その寿命が短いのも止むを得ないことなのかもしれませんが、1日でも長く続いていただきたいと思いますし、四横綱が揃って土俵に上がる日が1日でも多くあって欲しいと思います。
 千秋楽の優勝争いは、大変劇的な展開となりました。

 13勝1敗の大関・照ノ富士と12勝2敗の横綱・稀勢の里の本割取組は、最初の立合いで稀勢の里が右に変化しました。
 右上手を取り、右からの上手投げで勝負しようとしたのでしょうか。
 これは立合い不成立となりました。

 2度目の立合いでは、今度は左に変化しましたが、もともと「注文相撲」など不得手な稀勢の里のやることですから、上手く行くはずも無く、照ノ富士は前みつをがっちりと取り、西土俵に押し込みました。
 ここで稀勢の里が左に突き落とし。照ノ富士の頭を押さえつけての突き落としでした。
 これが見事に決まって、照ノ富士は土俵外に転げ落ちました。

 優勝決定戦は、1度の立合いで取組が始まりました。稀勢の里は両手を照ノ富士の胸に当てましたが、照ノ富士の勢いと圧力が勝り両差しとなりました。そのまま、やはり西土俵に寄り立てました。
 ここで稀勢の里は小手投げ。乾坤一擲の小手投げで、照ノ富士が飛び、稀勢の里も飛びましたが、一瞬早く照ノ富士の体が落ちました。

 本割・決定戦と、稀勢の里が2連勝し、逆転優勝が成ったのです。

① 右腕と両脚

 左腕が使い物にならなかった稀勢の里にとっては、右腕と両脚で勝負するしかなかったのは道理です。
 この2番の取口は、稀勢の里が考えに考えた内容であったように感じます。

 寄り立てて来るであろう照ノ富士の勢い・パワーを利用した取口だったのです。
 この考え方は、本割・決定戦に共通しています。

② わざと両差しに?

 決定戦の稀勢の里の立合いからの動きは、不可思議なものでした。
 痛めている左肩に衝撃を与えないような立合いを目指した点では、本割も決定戦も同様でしたが、正面から当たっている決定戦は、左を差しこむことが難しいことを考慮すれば、照ノ富士に両差しを許す可能性が高いことは、あらかじめ予想できたはずです。

 それでも、この立合いを選択したのですから、「わざと両差しにさせて、出て来る勢い・パワーを活用して」の小手投げ、というとても思い切りの良い取口を、最初から予定していたのかもしれません。

 右腕と両脚のパワーを最大限活かそうという、作戦だったのです。

③ いつもの稀勢の里とは正反対の相撲

 左下手を差し込んで、右腕を自在に使って勝負するのが、稀勢の里というか、元横綱・隆の里・元の鳴門親方直伝の相撲です。

 しかし左腕を大負傷してしまった稀勢の里は、この「伝統の相撲」を取ることは出来ませんでしたから、全く別の相撲になりました。

 「全く別の相撲」になってしまったことが、照ノ富士にいつもの相撲を取ることを許さなかったのかもしれません。
 これまで戦ってきた稀勢の里とは、重心の位置も、パワーも、体の使い方も全く違う力士との相撲になったのです。
 いつもならば、もっとじっくりと寄り立てる相撲を得意とする照ノ富士が、この2番に限っては、「慌てて寄り立てた」ように観えました。

 これは、稀勢の里が意図したことではないのかもしれませんが、結果として、稀勢の里にとっての「勝機の拡大」に結び付いた可能性が有ります。

 「手負い」の新横綱は、伸るか反るかの「思い切った相撲」を展開し、見事に2番共成功させました。
 「思い切った相撲」ですから、失敗すれば簡単に負けてしまうリスクも高かったのです。

 それでも、このやり方を信じて土俵に上がったのでしょう。

 その稀勢の里に、相撲の神様が微笑んだ2番だったように感じます。

 「大相撲」を魅せていただきました。
 2017年3月場所も中日を終えました。

 ある意味では期待通りの、そしてある意味では意外な展開となっています。

① 稀勢の里と高安が8戦全勝

 横綱・稀勢の里と関脇・高安が、前半戦を全勝でクリアしました。田子の浦部屋と言うか、かつての鳴門部屋(元横綱・隆の里が親方の時代)の兄弟弟子が、その強さを誇示している形です。

 共に安定感も十分ですから、後半戦もこの2力士を中心とした展開となりそうです。

 気の早い話ですが「同部屋力士同士の優勝決定戦」の可能性もあります。
 そうなれば、5月場所では新大関が誕生することになるかもしれません。

② 「西」方の力士が好調

 もちろん偶然のことなのでしょうが、3月場所は「西」に好調な力士が集まっています。
 前述の2力士を始めとして、大関・照ノ富士、栃煌山が7勝1敗で続いているのです。
 「東」は、横綱・日馬富士、大関・琴奨菊、千代の国の2敗が最上位です。

 そして、東の横綱・白鵬と大関・豪栄道が休場しているのです。
 特に「打倒・稀勢の里」を公言していた白鵬の休場は、とても意外でした。

 もうひとりの横綱・鶴竜もなんとか2敗で踏ん張っていますし、千代翔馬や徳勝龍と言った前頭勢も2敗ですから、冷静に観れば、優勝に向かって大奥の力士に可能性があるのでしょう。

 主役が主役としての役割をしっかりと果たし、一方で横綱から幕尻まで多くの力士が頑張っている3月場所は、後半戦に入りました。
 新横綱・稀勢の里が、7日目まで全勝と好調な相撲を展開しています。

 過去の例を見ると、難しいと言われる「新横綱の場所」ですが、稀勢の里の取組を見ると「一段と強さを増した」ようにさえ感じられます。

 その表れのひとつが「土俵外に出ない」という点でしょう。

 初日から6日目まで、稀勢の里は押し出しや寄り切りといった決まり手で白星を挙げましたが、どの取組においても「相手を土俵外に出し、自らは土俵内に残って腰を落とした姿勢」で取組を終えています。
 「相撲という競技の性格上」絶対に負けない形を創り上げているのです。

 もちろん、相手を破った後、土俵外に出ても問題は無いのですが、土俵外に出ないという取り口には「何とも言えない余裕」が感じられます。

 その稀勢の里も7日目の御嶽海戦は、押し出した後、自らも土俵外に出ました。
 立合いからの御嶽海の寄りが強く、後退を余儀なくされた稀勢の里が押し返していく段階で「勢い余って」出てしまった形です。
 
 初日から6日目までと7日目の取組における「余裕度の差」が、この土俵際の動きに良く表れていたと感じます。

 新横綱・稀勢の里が、何日目まで安定感抜群の取り口を続けて行けるのか、この場所の最大の注目点なのでしょう。
 3月12日に開幕する大相撲3月場所は、いつもの場所にも増して、見所が満載です。

1. 新横綱・稀勢の里の初の本場所

 西の横綱に「稀勢の里」が入りました。
 当たり前のこととはいえ、番付を見ると思わず笑みがこぼれます。土俵入りから取組まで、一挙手一投足が注目されます。

2. 関脇・小結の充実

 今後の大相撲を支えて行くであろう力士がズラリと顔を揃えました。
 大袈裟に言えば「美しさ」さえ感じさせる番付でしょう。

 東関脇・玉鷲、西関脇・高安、東小結・御嶽海、西小結・正代・・・。
 これに大関復帰を目指す琴奨菊が加わった関脇・小結陣は、今場所の台風の目というより、今場所の中核という様相です。

3. 前頭も多士済々

 ベテランと新鋭がバランスよく配された前頭も、楽しみな力士が目白押し。
 「世代交代」の雰囲気を感じさせながらも、「ベテランの巻き返し」への期待も高まる布陣です。

 2枚目まで上がってきた蒼国来が横綱・大関を相手にどんな相撲を取ってくれるのか。
 同じく2枚目の貴ノ岩の捲土重来はあるのか。
 5枚目の遠藤と北勝富士が自分の相撲を披露できるのか。
 7枚目の逸ノ城と千代翔馬が暴れまわる姿が観られるのか。
 12枚目の宇良と13枚目の貴景勝は「次の次の力士」として、これまで通りのライバル関係を続けるのか。
 そして、8枚目に並んだ、魁聖と隠岐の海はベテラン勢の代表格として、若手の厚い壁になるのか。
 筆頭の豪風と4枚目の嘉風、「風風コンビ」の活躍やいかに・・・。

 挙げていけば、注目点はキリがありません。

4. 注目の10力士

① 横綱陣 稀勢の里
② 大関陣 豪栄道
③ 御嶽海
④ 正代
⑤ 遠藤
⑥ 高安
⑦ 宇良
⑧ 逸ノ城
⑨ 蒼国来
⑩ 貴景勝

 今場所は、今後の大相撲を占う場所と位置付けて、「昇り竜のパワー」に期待した選択になりました。

 優勝争いは、平幕力士も含めた大混戦となることでしょう。
 3月場所を前にして、最近まで土俵を沸かせた力士達、現在は部屋付親方として後進の指導に当たっている3人の親方の独立が報じられています。

 まずは西岩親方・若の里です。
 3月1日に、田子ノ浦部屋からの独立の意向を示したと報じられました。
 大阪市生野区の勝山高校において、同高3年の佐竹風汰君を初めての内弟子とすることを表明し、「時期は具体的には言えないが、将来的には佐竹を連れて独立を考えている」とコメントしました。
 佐竹の指導に際しては、師匠(元横綱隆の里・鳴門親方)の教えが中心になるとも述べています。新横綱・稀勢の里や若の里、高安らを育てた手法で、素晴らしい力士を育成していただきたいものです。

 続いては鳴門親方・琴欧洲です。
 3月3日に、佐渡ヶ嶽部屋からの独立を表明したと伝えられました。
 3月場所後に都内で部屋を設けるとのこと。ブルガリア出身の力士・親方として初めて「師匠」となることは、言うまでもありません。既に協会理事会の承認も受けているとのことですから、3親方の中では、最も早く独立することになりそうです。

 そして大島親方・旭天鵬です。
 3月5日に、友綱部屋を継承すると報じられました。
 5月場所後に、現在の友綱親方と名跡を交換して、部屋を継承するとのこと。最初から多くの弟子を持つ師匠になる形です。
 旭天鵬が大島親方となった時には、「大島部屋の再興」に期待しましたが、色々な経緯も有って、こうした形に落ち着いたのでしょう。
 協会理事会の承認が得られれば、モンゴル出身力士・親方として、初めての「師匠」となります。

 かつての人気力士(3人共、現在でもとても人気が有ると思います)が師匠となって、新しい力士を育てていくというのは、とても素晴らしいことだと思いますし、こうしたニュースが重なったことにも、何か因縁を感じます。

 旭天鵬と若の里は、現役時代にも「800勝以上」の力士同士としてのライバル関係が注目されていましたが、親方としても切磋琢磨して行くことになるのです。

 「大相撲新時代」は、多方面にわたって展開されているという印象です。
 稀勢の里の「奉納土俵入り」が、1月27日、東京・明治神宮で行われました。
 
 この新横綱による初めての「公開土俵入り」に、18,000人ものファンが詰めかけたと報じられました。

 この一年で最も寒い季節に、凄い数です。新横綱による奉納土俵入りの観客としては、貴乃花の時の20,000人に次ぐ記録だそうです。
 テレビ放送のインタビューに登場した男性ファンは「朝6時から並びました」と。

 やはり、ファンにとって「待ちに待った横綱昇進」だったのです。
 何度も何度も期待を裏切られたファンにとって、その喜びも一塩なのでしょう。

 稀勢の里の初めての奉納土俵入りは、とても良い出来であったように観えました。
 「何とも言えない大きさ」を感じさせるものだったのです。

 1月25日に昇進し、26日に「綱打ち」、そして27日に奉納土俵入りですから、常のこととはいえハードスケジュールです。土俵入りの練習時間は少ないのですが、その僅かな時間の内に「稀勢の里の土俵入り」が形作られるのですから、不思議と言うか、「土俵入りの形・雰囲気」は普段の相撲の上に成り立っていることがよく分かります。土俵入りの個性は、殊更作る必要などないものなのでしょう。

 好天の下の、新横綱・稀勢の里の明治神宮・奉納土俵入りでした。
 どんな力士にも相性の良い力士と苦手な力士があるものでしょう。

 横綱・白鵬のように、ほとんどどの力士に対しても圧倒的な勝率を誇る存在というのは、逆に珍しい、それだけ白鵬の強さが際立っているということになります。
 一方で、元大関・琴欧洲に対する安美錦のように、ほぼ「天敵」といった取組もあります。
 大相撲の面白いところです。

 さて、新横綱・稀勢の里の場合は、どうなのでしょう。データはウィキペディアの「稀勢の里」から引用しました。通算10番以上取っている力士が対象です。

 まず苦手ですが、意外なところで旭天鵬でしょうか。稀勢の里の14勝9敗です。
 負け越しているわけではないのですが、相撲の質から見て、これほど対戦成績が接近しているとは思いませんでした。旭天鵬の「土俵際のはたき・突き落とし」が威力を発揮していたのでしょうか。

 続いては、琴奨菊、これは29勝33敗と稀勢の里が負け越しています。確かに、大事な一番で何度も苦杯を舐めていた印象があります。初優勝した2017年1月場所でも、唯一の黒星を喫しています。
 稀勢の里VS琴奨菊は、かつての魁皇VS千代大海と似た関係だと思いますが、少し異なるのは、魁皇VS千代大海が、最初は千代大海が優勢だったものが、次第に魁皇が盛り返したのに対して、稀勢の里VS琴奨菊では、相当の対戦回数を重ねていながらもパターンがあまり変わらないことです。
 横綱め稀勢の里は、琴奨菊に対してどのような取り口を見せてくれるのでしょうか。

 続いては栃煌山。稀勢の里の25勝14敗ですが、意外に苦戦している印象です。
 栃煌山のさしみの良さからの「もろ差し」→寄り、に苦労しているのかもしれません。

 さらには安美錦。稀勢の里の31勝17敗です。
 安美錦の「自在の相撲」、隙があると見れば押し出したり寄り切ったりする「前に出る力をベースにした相撲」は、上位力士には脅威ということになります。

 一方、相性の良い力士です。
 
 まずは横綱・鶴竜。稀勢の里が31勝17敗と勝ち越しています。正面からの攻め合いとなれば、稀勢の里に分があるのでしょう。

 続いては、横綱・日馬富士。稀勢の里は24勝36敗と負け越していますが、このスピード十分の横綱に対して2勝3敗ペースというのは、十分勝負になっていると感じます。

 そして、横綱・白鵬。16勝43敗と大きく負け越していますが、白鵬との対戦においては「ここ一番」での強さが印象的です。
 64連勝を目指した白鵬を破った一番や、白鵬の初期の連捷記録を23で止めた相撲など、大横綱・白鵬にとっては、稀勢の里に相手に痛い黒星を喫している印象でしょう。

 稀勢の里が横綱に昇進した要因の一つとして、横綱陣との好勝負が挙げられることは、間違いありません。

 新横綱は、こうした対戦成績をどのように改善して行くのでしょうか。
 稀勢の里は、「ここ一番」の取組で星を落とすことが多かった印象があります。

 これまで何度もあった優勝のチャンスや横綱昇進のチャンスを逃すことに繋がっていたのです。

 私の妻は、「稀勢ちゃんは凄く緊張するタイプなのよ」と言って憚りません。
 大力士を「ちゃん」呼ばわりするのも、いかがなものかとは思いますが、彼女は熱心な稀勢の里ファンなのです。

 そして、1月25日の「昇進伝達式」においても、稀勢の里の緊張した様子が映像に捕えられていました。

 まず使者を迎える段階で、しつらえられた部屋で立ちながら、深呼吸をしています。その音がマイクに入るくらいに大きな深呼吸。緊張を解いていたのでしょうか。

 そして、横綱昇進が伝えられると「横綱の名に・・・」と返事をしました。この「儀式」において、最も盛り上がる場面であり、今後何度も映像として流されるシーンです。
 「名に」のところで、少しカンでしまいました。

 伝達式後のインタビューで、稀勢の里本人も「少しカンだ」とコメントしていました。

 伝達式の返答で「カンだ」のですから、これが「カミ終わり」と考えたいところです。

 横綱・稀勢の里には、どの取組においても「泰然自若」たる取り口を魅せていただきたいものです。
 「横綱」稀勢の里のキャリアには、様々な記録が在りますが、最も素晴らしいもののひとつが「15年間の土俵生活で休場が1日だけ」という記録でしょう。

 大相撲という「ハードコンタクト」を前提としたプロスポーツにおいて、デビュー以降「公式戦88場所・1,224取組*における不出場が1回だけ」というのは、驚異的なことでしょう。(*88場所の内、幕下以下12場所、十両以上76場所)
 特に、横綱や大関といった「大相撲の看板力士」という立場、「負けがこむことが許されない立場」にある力士としては、奇跡的と言っても良さそうです。

 ちなみに、その1日の休場は、2014年1月場所の千秋楽でした。右足親指の故障が悪化し、何とか取り続けていたものの、ついに千秋楽は土俵に上がることが出来なかったのです。
この取組は琴奨菊の不戦勝・稀勢の里の不戦敗という記録となりますから、稀勢の里のキャリアには「休場の表記」は無いことになります。
 この1日の休場により、稀勢の里の連続出場記録は「953」で止まってしまいました。この頃、大きなニュースとして報じられたことを記憶しています。

 横綱昇進に際してのインタビューでも、稀勢の里自身が「丈夫に生んでくれた両親への感謝」を口にしていましたが、もともと「頑丈」な肉体を授けられたとはいっても、力士になってからの精進というか、日々の稽古、本場所や巡業における取組等々における、極めて適切な対応、そして高度な注意力の継続が無ければ、決して残せる実績ではありません。

 人間なら誰しも不注意や、気が抜けた一瞬で怪我・故障に見舞われるリスクがあります。
 増して、150㎏前後の巨体を有する力士同士のハードコンタクトプレーの連続の中では、怪我・故障を回避し続けることは、極めて困難なことであることは間違いありません。

 稀勢の里という力士が、とても注意深い上に、身に着けたノウハウを日々の仕事・生活にしっかりと活かしていけるタイプであること、そしてコンディションの維持に細心の注意を払っていることが、よく分かる記録でもあります。

 この点が「稀勢の里の最大の強み」なのでしょう。

 休場が少ないという点では、横綱・白鵬も特筆されるべき素晴らしい存在ですが、稀勢の里も「本場所において、常に土俵に上がる横綱」として、「一生に一度、本場所観戦に訪れたファンの期待」に応え続けて行くという、大相撲の大看板としての最大の役割を果たしていってほしいものです。

 横綱・稀勢の里なら、やってくれるものと思います。
 1月場所で初優勝した、稀勢の里の相撲を振り返ってみようと思います。

[初日から7日目]
 この間の相撲は、堂々たる内容でした。立ち合いから相手力士を圧倒していて、安定感抜群の取り口が続いたと感じます。

 こうした相撲を展開できた大きな要因は「立ち合い」のパワーとスピードが十分であったことが挙げられるのでしょう。

 右手をしっかりと土俵について、足と手の間隔も従前よりは5㎝位広かったように見えました。もともと、立ち合い時の「足と手の距離が狭過ぎる」のではないかと言われていた稀勢の里ですが、1月場所の前半はこの点が改善され、膝が前に出て、脛にも角度がありました。このことにより、従来比数㎝低い立ち合いが実現し、大きな圧力・前に押す力が生まれていたのでしょう。
 この形からの「ぶちかまし」により、相手力士には強い圧力がかかり、体勢を崩すことが出来ましたから、左下手を素早く取ることが出来、有利な体勢を構築できたのです。

[8日目から千秋楽]
 ところが、8日目の隠岐の海との取組で、稀勢の里はこの形を採りませんでした。
 きちんと手を土俵に付けることなく、動きの流れの中で土俵に触る立ち合いを採ったのです。「高めの立ち合い」になりましたし、脛の角度も土俵に対して直角でした。前に圧力がかかり難い形でしょう。

 結果として、立ち合いの威力が減ったのでしょうか、中日から千秋楽まで、稀勢の里は「一度は相手に押され、そこからの反撃という形」の取り口に変わりました。

 千秋楽の白鵬との一番でも、土俵際の粘りで勝つには勝ちましたが、取組後のインタビューで白鵬は「(稀勢の里の体は)軽かった。一気に持って行けた・・・」とコメントしていました。

 また、9日目の琴奨菊との取組では、琴奨菊の押し・寄りを止めることが出来ず、1月場所唯一の黒星を喫しています。

 初日から7日目までの素晴らしい立ち合いを、稀勢の里が8日目以降止めてしまった理由は何なのでしょうか。
 7日目までの立ち合いでは、変化された時などにそのまま負けてしまう怖れがあると考えた可能性はあると思います。
 動きの中での立ち合いであれば、変化技にも対応できるからです。

 一方で、動きの中の立ち合いでは、本来のぶちかましの威力は半減してしまいます。

 両方のやり方のバランスの中で、どちらを選択するかというのは、「どちらの方が勝率が高いか」という点、あるいは「相手力士の力量・特徴」なども考慮して決めていくことなのでしょう。
 8日目以降、稀勢の里は「動きの中での立ち合い」を選択し、8日間を7勝1敗で乗り切って優勝しました。1月場所のこの選択は成功したと判断できそうです。

 しかし、後半の相撲には「危ないシーンが多かった」ことも事実です。
 どの取組でも、一度は押し込まれているからです。

 「横綱」に昇進する稀勢の里が、3月場所でどちらの立ち合いを選択するのかは、興味深いところです。

 私は、圧倒的な強さを披露した「1月場所・初日から7日目」の立ち合いの方が、新横綱に相応しいと感じます。
 2017年1月場所の最後の取組「白鵬VS稀勢の里」は、大相撲の歴史に刻まれる一番であったと思います。

 この場所、荒鷲や高安、貴ノ岩といった若手力士の一気の寄りに屈していた白鵬が、この一番では逆に、一気の寄りに勝機を見出そうとした取組でした。

 NHKテレビのリポートで、支度部屋で白鵬が「左四つ」になる形を何度も繰り返していると報じられていました。稀勢の里得意の左四つに自ら誘導することで、早期に両力士が密着し、自らは相手力士のまわしを取って、一気に寄ることで、寄り切り・押し出しを実現しようという目論みだったのでしょう。

 この目論見は概ね成功し、白鵬は稀勢の里を西土俵際に追い詰めました。
 ここで稀勢の里が踏ん張り、踏ん張りながら左をこじ入れ、右へのすくい投げで逆転勝利を収めたことは、ご承知の通りです。
 白鵬としては、相撲に勝って、勝負に敗れたというところでしょう。

 こうした取り口を見るにつけ、横綱・白鵬の相撲の変遷を感じます。

[第一期]
 白鵬が最も強かった時期、驚異的な勝率を誇り、63連勝を記録した時期には、「低く鋭い立ち合いから前みつを取り、上手も取って、相手には片方の回ししか許さず、寄り切りや上手投げで料理するという、「万全の取り口」が目立ちました。
 この頃の白鵬の立ち合いは見事なもので、少し右足を引いた形から、右膝が土俵から10㎝位しか離れていない形で突進し、相手力士のまわしをものにしていました。この立ち合いこそが、白鵬の相撲だったのです。

[第二期]
 その後、白鵬は相手力士のまわしを取る頻度が下がりました。その原因は、「相手力士の研究」「白鵬自身のフィジカルの衰え」等々いくつかの要因が重なったものなのでしょうけれども、いずれにしても「万全の形」になる頻度が下がったのです。
 その結果、白鵬は「かち上げ」や「張り手」を多用するようになりました。これらの手段により、相手力士のバランスやリズムを崩し、自らの有利な形を作り易くしたのでしょう。
 結果として、白鵬の立ち合いは次第に「高い」ものとなり、当たりの威力も減少していったのではないでしょうか。

[第三期]
 「かち上げ」や「張り手」といった手段がファンからの意見等も有って多用できなくなると、白鵬はスピードと連続技で勝機を見出すようになりました。相手力士の重心が落ち着く暇を与えない相撲であり、「自在の取り口」とも言えますが、見方によっては自身の重心も落ち着かない相撲ですので、失敗するリスクの上昇に繋がったのかもしれません。

 もともと白鵬は、スピード相撲が得意ではなかったはずです。

 史上最長であった、横綱・朝青龍の「ひとり横綱」時代や、朝青龍と白鵬が横綱として張り合っていた時代には、白鵬は朝青龍のスピード相撲に苦労していました。
 時には、朝青龍が体を交わした後、白鵬が自ら土俵外に飛び出していくという取組があったほどです。

 こうした経験を踏まえて[第一期]の取り口を身に着け、大横綱への道を歩み始めた白鵬でしたが、時間の経過と共にスピード相撲に回帰してきたことは、ある意味では皮肉なことかもしれません。

 そして、1月場所では荒鷲や貴ノ岩のスピード相撲に敗れたのです。

 三種類の全く異なると言っても良い取り口を、いずれも「高いレベル」で身に着け、白星を積み上げていったという点からは、白鵬の力士としての非凡さ、極めて高い能力を感じます。
 
 史上最多37度の優勝を誇る大横綱・白鵬には、「第四期」の相撲を期待したいところです。

 千秋楽、1月場所最後の取組、今場所最大の見所となる取組で稀勢の里が白鵬を土俵際のすくい投げで破り、優勝に花を添えた瞬間、国技館内は大歓声に包まれました。
 我が家でも、テレビの前で拍手が鳴り止みません。

 そして、幕の内最高優勝の表彰セレモニーが始まりました。

 まず、国歌斉唱。

 テレビの前の私と妻は、「君が代の声、いつもより大きい」と呟きました。
 「表彰式に先立ちまして、国歌君が代の斉唱・・・」は毎場所行われることなのですが、テレビから聞こえる歌唱声が、いつもの場所より大きい、それも相当大きいのです。

 観客席の観衆は皆、口を大きく開けて、しっかりと歌っています。国技館に詰めかけた稀勢の里ファン、ひいては大相撲ファンの「心からの喜び」が感じられたシーンでした。

 そして、賜杯拝戴、優勝旗授与、内閣総理大臣杯授与と続きました。いつものように続きました。
 ふと観客席を見ると、多くのお客様が残っています。

 千秋楽の表彰式で、賜杯拝戴が終了すると、いつもの場所なら相当数のお客様が席を立ちます。帰路の混雑回避のためでしょう。
 確かに、取組終了後のお茶屋さんの前の通路は、東京の朝の通勤ラッシュを凌ぐ?混雑ぶりですので、早めに出口へ急ぐのは無理もないところですし、合理的な行動とも言えるのかもしれません。

 しかし、2017年1月22日の優勝表彰式では、ほとんどのお客様が席に残りました。

 「稀勢の里の晴れ姿」、待ちに待った晴れ姿を、少しでも長く見ていたいという気持ちの表れなのでしょう。
 滅多に観られない光景だと思います。

 表彰式が終わり、正装に着替えた稀勢の里は、優勝パレードに向かいました。
 白いアウディのオープンカーに、旗手の高安と並んで乗り込んだ稀勢の里は、とても嬉しそうでした。隣の高安も笑顔また笑顔でした。
 そして、国技館の階段にはファンが鈴なりでした。
 本当に沢山のファンが、優勝パレードを見送ったのです。

 車上の二力士は、まるで「悪ガキ友達」の様でした。
 鳴門部屋で親方(元横綱・隆の里)の厳しい稽古に耐えながら、お互いに切磋琢磨してきた者にしか分からない空気が、そこには有りました。
 なにしろ、鳴門部屋は「出げいこ禁止」の部屋だったのですから、いつもこの二力士は、同じ土俵でお互いを相手に稽古を続けていたのでしょう。「いつも一緒」だったのです。2人にしか理解しえない感慨が有ったのだと思います。

 稀勢の里の優勝は、少なくとも21世紀に入ってから、最も多くの大相撲ファンに祝福された優勝だったのではないでしょうか。

 これだけ多くのファンに喜んでいただける稀勢の里関は幸せだと思いますし、その幸せは、辛抱強く続けてきた、自らの努力の賜物なのでしょう。
 大関・稀勢の里が、ついに優勝しました。

 長い間、ファンの期待を一身に受け、優勝に何度も迫りながら、ここ一番の星を落とし、何度も悔しい思いをしてきたことでしょう。

 14日目の取組は、平幕の逸ノ城でした。立合いが少し合わず、稀勢の里は「ふわっと」立った印象でしたが、その後は逸ノ城の懐に入り込み、モリモリと押して勝ち切りました。
 自らの足を土俵の中に残した「完勝」でした。
 
 支度部屋に戻った稀勢の里は、報道陣からのインタビューに答えながら、千秋楽の白鵬戦に向けて闘志を燃やしていたことでしょう。

 その白鵬は結びの一番で、貴ノ岩の挑戦を受けました。
 好調時であれば初顔の相手を上手く料理する横綱ですが、今場所は荒鷲に不覚を取ったことも有り、慎重な相撲が予想されましたが、立合いから押し込まれ、貴ノ岩に右の下手を許し、土俵際で右に突き落としを見せたものの、寄り切られました。

 貴ノ岩が右下手を取った瞬間に、場内から驚きの声、大歓声が上がったのが、とても印象的な一番でした。稀勢の里ファンの思いが、地響きのような音に成った瞬間だったのでしょう。

 千秋楽の白鵬との一戦に向けてのインタビューが、優勝インタビューへと変わりました。

 沢山の問いに、稀勢の里は短い言葉で答え続けました。

 その稀勢の里の右眼から一滴が流れました。

 あれは、涙だったのであろうと思います。
 13日目となる1月20日、大関・豪栄道の休場が報じられました。

 横綱・日馬富士、横綱・鶴竜に続いての休場です。

 これで、場所が始まった時には7名だった横綱・大関陣が、4名に減ってしまったのです。

① 優勝争いへの影響

 とても大きなものがあります。
 本来なら、場所の大団円に向かって、横綱・大関同士の対戦が並ぶ筈の14日目・千秋楽の取組が、大きく組み換えになるからです。

 平幕力士の活躍が目立つ1月場所ですから、平幕優勝の可能性も十分に考えられる状況下、平幕力士を上位と対戦させるといった取組編成が行われる可能性があるわけですが、それを行う際にも、大きな影響が生ずるでしょう。
 有力力士が居ないことの影響は、ドミノのように全体の取組編成に広がるのかもしれません。

② 「2017年1月場所優勝」の価値についての見方

 横綱・大関が半減に近い状況になると、この場所の「優勝の価値」についても議論が発生しそうです。

 「有力力士との取組が無かった場所の優勝は、いつもの場所の優勝に比べて軽い」のではないかといった見方です。

 もちろん、花形力士が次々と戦線離脱するという危機的な状況下、体調を維持して自らの役割を果たし、「1月場所を支えた」ことの価値も、非常に大きいことは間違いありませんので、評価が難しいところなのでしょう。

 1月場所では、カド番の大関・琴奨菊も負け越し、来場所の関脇への陥落が決まりました。
 大関・照ノ富士も負け越して、来場所はカド番です。
 かつて三役の常連であった栃煌山や妙義龍も星が上がりません。

 広範囲の世代交代の感さえ有る1月場所は、まさに「激動」の場所となっているのです。
 大相撲1月場所は11日目を終えて、大関・稀勢の里が10勝1敗でトップを走っています。
 9日目に大関・琴奨菊に不覚を取ったのは、今場所の琴奨菊の戦い振りを考慮すれば、とても残念なことでしたが、とにもかくにも優勝争いの先頭に居るのです。

 そして2敗で続くのは、横綱・白鵬、前頭10枚目の貴ノ岩、同じく10枚目の蒼国来、13枚目の逸ノ城の4力士。
 白鵬は、日馬富士、鶴竜が次々と休場し戦線離脱した後を受けて、横綱陣の孤塁を守っている形です。

 やはり1月場所の特徴は、平幕力士の大活躍ということになるのでしょう。
 横綱・大関陣に全勝力士が居なくなってみると、平幕で星を伸ばしている力士たちが目立ってきたのです。
 貴ノ岩、蒼国来、逸ノ城の3力士には、十分に優勝の可能性が残されています。

 「混戦・波乱」の1月場所の空気を考慮すれば、3敗力士、それも3敗の平幕力士、御嶽海や北勝富士にもチャンスがありそうです。
 ここに、大関・豪栄道や小結・高安が3敗で名乗りを上げるのですから、1月場所終盤は、毎日情勢が変わる場所であることは、間違いありません。(12日目以降は、2敗・3敗力士同士の取組が組まれていくことでしょう)

 「戦国時代」に突入した大相撲は、極端に言えば「役力士から平幕まで、誰が優勝してもおかしくない」力関係にあることが証明されている、1月場所とも言えそうです。

 プロスポーツとして面白いことこの上ない、最高のエンターティンメント状態なのです。
 西前頭筆頭の御嶽海は初日から7日目まで、全て横綱・大関戦でした。

 前頭最上位の力士にとっては必然的な取組の連続とはいえ、大相撲界において最も「勝ち越すことが難しい7日間」であることは間違いありません。

 この「大相撲で最も厳しい7日間」を御嶽海は4勝3敗で乗り切りました。

 2横綱2大関を破ったのです。

 素晴らしい活躍です。

 どの相撲も、戦前に十分に考え練り上げた作戦・取り口を土俵上で展開した印象です。
 
 御嶽海が敗れた、白鵬や稀勢の里との取組でも、「ここで勝負に出る」という局面が存在する相撲内容でした。
 今場所の「活躍が期待される10名の力士」記事にも書きましたけれども、よく考えた上で土俵に上がるというのは、御嶽海の相撲の大きな特徴でしょう。とても大切な取組姿勢だと思います。

 もちろん、「よく考えて練り上げた作戦」を土俵上で発揮できること、そしてその作戦が相手に効果的である水準まで、パワー・スピード・気迫が身に付いてきたことも見逃せません。
 毎場所・毎取組、自らの強みと相手力士の持ち味・得意の形等々を考慮して作戦を構築し、それを土俵上で展開しながら、成功と失敗を繰り返し、日々フィジカル面も進歩してきたのでしょう。

 この7日間の相撲には、注文相撲と言った「奇襲」戦は有りませんでした。堂々たる相撲を取り、堂々たる星を残したのです。

 御嶽海に三役の力が在ることは、見事に証明されました。

 この取組姿勢を継続し、大相撲を代表する力士に成長していただきたいと思うのは、私だけではないでしょう。
 2017年1月場所が1月8日に開幕します。

 2016年は6場所の優勝を5力士で分け合うという大混戦、「戦国時代」の1年となりました。
 現在の大相撲は、一頭抜けた存在の居ない、その時々で調子が良く、ある意味では「幸運な」力士が優勝する状況なのでしょう。
 もちろん、横綱・大関陣の力量が上位にあることは間違いのないところで、3横綱・4大関の中でコンディションの良い力士が優勝する可能性が最も高いことは言うまでもありませんが、2017年は関脇以下の力士にも幕ノ内最高優勝のチャンスが十分に有るのでしょう。

 1月場所・初場所には独特の「華やかさ」があります。
 新春を迎えた人々の「和やかさ」「新年への期待」が館内や土俵上にも漂っているのです。
 その土俵で、2017年最初の賜杯を抱くのは、どの力士なのでしょうか。

1. 横綱陣

 2016年11月場所で優勝した鶴竜が一番優勝に近いと思われます。もともと器用な力士が「前に出る力」を発揮すれば強いのは道理です。

 一方で鶴竜には「連続優勝」のイメージが無いことも事実でしょう。好調な相撲を取り続けていても、ある一番であっけなく敗れると急に調子を崩す面があります。

 また、日馬富士は調子が上がらないと報じられています。故障が再発というか悪化しているのかもしれません。軽量の上に体の一部が痛いとなれば、あのスピードに溢れる相撲を土俵で展開するのは難しいでしょう。

 先場所の白鵬には、不敗の体勢が存在しませんでした。がっぷり四つとなると攻め手が無かった印象です。連続技と、機を見るに敏な取口で対応していますが、かつての安定感は感じられません。

 横綱陣から1人を選ぶのはとても難しい状況ですが、1月場所は鶴竜にしたいと思います。
 白鵬・日馬富士に「積年の疲れ」が感じられる中では、鶴竜の若さに期待したいのです。

2. 大関陣

 2016年に賜杯を抱いた琴奨菊と豪栄道。久し振りの日本出身力士の優勝は高く評価できます。
 一方で、優勝の次の場所の不甲斐なさも、共に残念なことでした。
 とはいえ、この2人の大関には「優勝」する力が在ることは証明されたのです。

 4大関の中で優勝したことが無いのは稀勢の里だけになりましたから、優勝が期待されるのは自然なことでしょう。とはいえ、全盛時と比べて「左右の動きへの対応力」が落ちていることも指摘されているところです。

 照ノ富士は、膝の故障からの回復度合いがポイントです。11月場所では、強い相撲と弱い相撲が混在していましたから、まだ途上にあることは間違いないところでしょう。

 横綱陣同様、大関陣から1人を選ぶことも難しいところですが、ここは「期待」を籠めて稀勢の里にしようと思います。
 受け身になることなく「攻めの姿勢」を継続できれば、白星を積み重ねて行けることでしょう。

3. 関脇以下の力士

③ 正代
 1月場所は両関脇が元気な相撲を披露してくれるでしょう。共に十分な体格を活かした相撲ですから、安定した土俵が期待されます。
 良く考えて取るタイプの正代には、大関取りの足場となる場所を創り出してほしいものです。

④ 玉鷲
 怯むことなく、自身のスピードと圧力を活かす相撲を取り始めてから、玉鷲の相撲は一段も二段も強くなりました。
 小手先で対応するのは難しいタイプに成長しましたので、1月場所でも大活躍が期待されます。

⑤ 魁聖
 先場所は、下半身がフラフラした相撲でした。
 上位の力を身に付けたはずの魁聖の相撲としては残念な内容でしたが、あれが実力では無いと思います。
 稽古は十分に積んだことと思いますので、9枚目に下がった今場所は、その力を存分に発揮してくれることでしょう。

⑥ 遠藤
 先場所の前半は素晴らしい取り口でした。逆に後半は別人の様でした。
 膝の故障が悪化したのではないかと思います。
 出て来る以上は、膝の具合は相当回復していると見て、期待したいと思います。

⑦ 御嶽海
 初の三役に跳ね返された先場所でしたが、相応に地力を発揮出来た場所でもありました。
 「よく考えて、一生懸命に取る」のが御嶽海の持ち味でしょう。上位陣との戦いのノウハウを身に付けつつあることを思えば、先場所を超える成績が期待できるでしょう。

⑧ 貴景勝
 十両時代の「佐藤」改め貴景勝です。「もりもり押す」、伝統的な押し相撲です。
 十両に上がった時よりも、体が一回り大きくなり、パワーも向上しました。
実は、伝統的な押し相撲の力士は数が減って来ていたのです。ばんばんと2~3発の押しで一気に相手力士を土俵外に運ぶのではなく、相手力士の懐に入ってもりもりと押して行く相撲を、幕ノ内の土俵でも存分に披露していただきたいものです。

⑨ 逸ノ城
 このところ、パッとしない土俵が続いています。潜在能力に遠く及ばない相撲を取っているようにも感じます。
 「立合いの威力」さえ戻れば、かつての幕ノ内上位の相撲を取れるはずなのですが・・・。

⑩ 石浦
 先場所は見事な相撲でした。迷いの無い取り口を披露し続けたのです。少しタイプは違いますが、大横綱・千代の富士が上がってきた頃の勢いを感じます。
 上位に上がって、研究もされるでしょうから、勝って行くのは容易なことでは無いでしょうが、勝機に賭ける取り口でこの壁を突破して欲しいところです。

 1月場所は、以上の10力士に期待したいと思います。

 前頭5枚目に並んだ「風風コンビ」や、自己最高位の荒鷲、15枚目まで下がってしまった佐田の海、結婚が報じられた琴勇輝、などなど他にも楽しみな力士が目白押しです。

 充実した土俵が展開されることでしょう。
 2016年の書き収めは、このテーマにしました。

 12月23日、川崎大師信徒会館で行われました。

 大広間の舞台の前に14名の力士が着物姿で並びました。
 続いて、順番に断髪式を行いました。3~4人の力士が同時に行ない、4回に分けての実施でした。
 これだけ多くの数の力士が同じタイミングで断髪式を行うことは、珍しいことでしょう。

 それぞれの力士の支援者の方々が司会者から名前を呼ばれ、ステージに上がって順に髷(まげ)(に鋏を入れ、続いてお父さん・お母さんなどの親戚・縁者の方々が鋏を入れ、最後に元春日山親方が髷を切り離しました。
 
 ひとりひとりの髷を元春日山親方が上に掲げる度に、会場から大きな拍手が送られます。時には四股名が呼び掛けられます。
 会場は、終始和やかな雰囲気でしたが、力士の中には泣いている人も居ました。

 13年間という長い現役生活から引退する幕下15枚目だった水口が居る一方で、入門6か月のキャリアの力士も居ました。様々な年齢、相撲歴、大相撲への思いの力士14名が同時に相撲界を去ることとなったのです。

 春日山部屋の親方株を巡る騒動について、私はその内容をよく知りませんので、ここでは書きません。
 いずれにしても、14名の力士が突然、角界を去ったのです。

 14名の力士は、この後それぞれの人生を歩んでいくのでしょう。
 この「引退断髪式」は、元力士の方々の新しい人生の第一歩となるものなのかもしれません。

 断髪式後しばらくの時間を経て、髪形を整えた元力士の皆さんが、スーツやブレザーに身を包んで並びました。そして、ひとりひとり、これからの人生に向けての決意を語りました。
 ステージから降りた元力士達は、笑顔で支援者の方々と写真に納まったりしています。

 新しい人生に幸多かれと祈ります。
 11月27日に幕を閉じた11月場所は、横綱・鶴竜が14勝1敗で優勝しました。
 7場所ぶり3回目の優勝でした。

 2016年に入って、3横綱と大関以下の力士との力の差が小さくなりましたので、本ブログでは「戦国時代の到来」と書いてきました。
 そうした混戦の中で、第3の横綱・鶴竜が安定した15日間を送り、結果としては14日目に早々と優勝を決めた形です。

 本場所の流れから見れば、最期は意外な形でしたが、内容の濃い土俵が続いたと感じます。

 横綱・鶴竜は、持ち味である「自在の相撲」に磨きがかかった場所でした。不利な形になった時にも「引き技」に頼ることなく、前に出続けながら、いなしを多用して、体勢を立て直していました。
 もともと、とても器用な横綱ですから、体が良く動き、相手力士の動きがよく見える状況となれば、本来の力を発揮できるのです。この場所の取口を継続できれば、今後も活躍が続くことでしょう。

 綱取りを目指した大関・豪栄道は、6日目以降、相撲のスピードが落ちました。理由は分かりませんが、スピードと機を見るに敏な取口が持ち味ですから、そのスピードが少しでも下がると体格が劣るだけに、勝ち星を続けることは容易なことでは無いのでしょう。

 大関・稀勢の里の相撲にも触れておきましょう。
 3横綱を破っての12勝は立派な成績ですが、一方で3横綱を破りながら3敗しているのは、いつものことながら「もったいない」ところです。
 特に、2敗で迎えた13日目に栃ノ心に敗れた一番は、本当にもったいない敗戦でした。
 大事な一番こそ、本来の立合いの当たりを披露することが絶対に必要なのでしょう。

 大関・照ノ富士は「不思議な15日間」であったと感じます。初日・2日目の相撲を見た時には、負け越し→陥落もあるのではないかと思われましたが、中盤から見違えるように力強い相撲が戻ってきて、横綱・白鵬を寄り切っての勝ち越しは、同じ力士とは思えない程の強さでした。
 ところが、勝ち越しを決めた後は再び力強さが無くなってしまったのです。
 今場所は、コンディションが良くない中で「とにかく勝ち越す」ことに注力したのかもしれません。膝他の状態がもっと良化するのを待ちたいところです。

 関脇・小結では、玉鷲の活躍が見事でした。
 恵まれた体躯を活かし、強烈な突き押しで白星を重ねました。9月場所から取口が変わったと感じていましたが、それを継続できたことはとても大きなことです。こうした相撲を2017年も続けることが出来れば、大関昇進も夢では無いでしょう。

 大関取りを目指した高安は、前に出る力が不足した場所でした。
 9月場所の14日目以降の不調が続いていた感じがします。体重を増やしたことがマイナスであったとの見方もありますが、とにかく「前に出ながら勝機を見出すこと」に徹していただければ、星は上がると思います。

 前頭では、前半素晴らしい相撲を披露していた遠藤の失速が意外でした。
 特に、10日目以降は先々場所までの相撲に戻ってしまった印象が有ります。膝の故障が再発したのでなければ良いのですが。

 正代の相撲は、力強く臨機応変でした。
 立合いで押し込まれるものの、体勢を立て直してからの攻めは威力十分。来場所は、初の三役の場所となるのでしょうが、このまま自分の相撲を磨いて行けば、活躍を続けることが出来るでしょう。
2017年が大関取りの年になるかもしれません。

 御嶽海は6勝9敗と負け越してしまいましたが、新小結としての相撲内容はとても良かったと思います。勝負に賭ける気迫に溢れていました。横綱・大関に1勝6敗では、なかなか勝ち越すのは難しいので、来場所はひとつでもふたつでも勝ち星を増やしていって欲しいと思いますし、その力も付いてきていると感じます。

 新入幕の石浦の活躍も、場所を大いに盛り上げてくれました。
 小さな体で一気に相手力士を押し切る相撲は見事の一語。取組を見終わった後、思わず拍手をしてしまった相撲が何番も有りました。
 来場所以降は、相手力士の研究が進むでしょうから、活躍を続けるためには一層自らの相撲に磨きをかける必要がありそうです。

 また、荒鷲の相撲も印象的でした。体に一本鋼が入っているような取口は、この力士独特のものです。「平幕優勝をするタイプ」に見えますので、「戦国時代の大相撲」においては、見逃すことが出来ない存在でしょう。

 以上、11月場所をざっと振り返って見ました。

 2016年の大相撲は、6場所を5人の力士で優勝を分け合うという、とてもスリリングな展開が続きました。
 これは2017年にも続いて行くものと思います。

 そして、2017年こそは、日本出身力士の横綱昇進を見てみたいものです。
 2016年に入って「戦国時代」に突入した大相撲ですが、11月場所も毎日激戦が続いています。

 好調な力士を観て行きましょう。

 まずは、横綱・鶴竜。
 好調です。柔らかい取り口にスピードが加わって、万全の相撲を魅せています。
 今場所は、自らの体が良く動き、相手の動きも良く観えているようです。
 優勝争いの先頭に立つ存在でしょう。

 続いては遠藤。
 得意とする「密着相撲」に、前に出る力が加わりました。とても素晴らしい相撲を展開していると思います。特に、横綱・白鵬を破った一番は見事でした。

 続いては玉鷲。
 体に一本芯が入った印象です。もともと身に付いていたパワーを土俵上で発揮できるようになりました。対戦相手としては、この破壊力十分な相撲に対応して行くのは大変なことでしょう。

 続いては正代。
 相手の力を吸収するような取り口を特徴としていますが、今場所は前に出る力も加わりました。地力が付いた感じです。

 以上の4力士は、今場所の中心となる力士だと思います。

 綱取りを期待されている豪栄道は、5日目までは後退しない相撲を取っていましたが、6日目からは前に出るスピードと力が衰えてしまいました。相撲内容が著しく悪くなってしまいましたから、今後の横綱・大関戦に向けては心配なところです。先場所からの蓄積された「疲れ」が出ているのかもしれません。

 大関取りを期待された高安ですが、今場所はスピードが不足しています。「左下手」が取れるかどうかが「鳴門部屋の相撲」のポイントなのですが、今場所は相手力士との押し合いの過程で、素早く左下手を取ることができません。

 また、魁星、碧山、栃ノ心の3力士が、本来の力を出せていません。3人共「体幹」が弱い感じの取り口です。3人共「太った」ように見えますから、少し体に余計な肉が付き過ぎてしまったのかもしれません。

 後半戦は、「1日毎に優勝争いの風景が変わる」場所が続くことでしょう。
 それが「戦国時代」の大相撲なのです。

 横綱・鶴竜が好調さを背景にどこまで走れるかがポイントとなるのでしょうが、早々に土が付くようですと、多くの力士にチャンスが訪れる「大混戦の場所」になる可能性も有ります。
 2016年11月場所が、11月13日に幕を開けます。
 早いもので、2016年収めの場所が迫っているのです。

 今場所は、大関・豪栄道の連続優勝そして横綱昇進がなるかどうかが、最大の焦点です。
 9月場所で圧倒的な強さを披露し、15戦全勝優勝を遂げた豪栄道が、その強さを再び魅せてくれるのでしょうか。

 また。東前頭3枚目まで番付を上げてきた遠藤の相撲も期待十分です。
 馬力と腕力で相手を倒すのではなく、理詰めの相撲で「相手に力を出させない」遠藤の取り口は、スポーツとしての大相撲の本質を示しているように見えますし、日本古来の相撲の型を体現しているものであろうとも思います。(体が大きく、力が強い方が勝つというのでは、単純に過ぎ、奥行きに欠けるスポーツということになってしまうでしょう)

 さて、注目力士の検討です。

1. 横綱陣

 先場所、久し振りに休場した白鵬の動向がポイントとなります。史上最多優勝を誇る大横綱ですから、出て来る以上はコンディションを整えていると見るべきでしょうし、場所前の稽古での好調も伝えられていますが、「第一人者」としての長いキャリアが白鵬に目に見えない心身の疲労を蓄積させていると見ることもできます。

 今場所は日馬富士に注目したいと思います。先々場所優勝し先場所も「素早い動き」が健在でした。現在の横綱陣を支える存在と見ています。

2. 大関陣

 ここは豪栄道に期待します。
 稽古場での強さを本場所の土俵でも発揮することが出来るようになった今、豪栄道は優勝候補の筆頭でしょう。
 もともと好調時には白鵬にも強かった豪栄道ですから、大横綱・白鵬の居る場所でも優勝して、堂々と横綱に昇進して欲しいものです。

3. 関脇以下の力士

③ 遠藤

 9月場所の遠藤の強さは本物でした。膝の故障が回復しつつあり、ようやく四股を踏めるようになったと伝えられていましたが、それであの強さです。11月場所までの2ヵ月間を順調に過ごしているようなら、優勝も狙えると見ます。
 遠藤の、横綱・大関との取組が本当に楽しみです。

④逸ノ城

 西前頭13枚目というのですから、信じられないような番付です。9月場所では、情けない相撲が目立ちました。バタバタせず、腰の重さを活かした相撲、じりじりと前に出る相撲から勝機を見出す取り口を実現出来れば、星が上がると思います。

⑤高安

 9月場所の14日目・15日目の相撲は、前に出る相撲を取ることが出来ませんでした。その点は気になりますが、13日目までの相撲を思い出していただければ、11月場所でも9月場所と同様の成績を残すことが出来る力を身に付けていることは、証明されています。
 自信に満ちた相撲に期待しています。

⑥勢

 9月場所はコンディションが良くなかったというか、どこか故障していたのだと思います。本来の「素早く動きながら前に出る」相撲が影を潜めていました。体調を整えて臨むであろう11月場所は、西前頭8枚目の番付けであれば十分に戦えるでしょう。

⑦御嶽海

 強くなりました。上位の力士との取組でも、自らの力を発揮できるようになっています。初の三役でも、その力を魅せてくれることでしょう。

⑧妙義龍

 かつての「スピード十分に動きながら一気に押す相撲」がなかなか観られません。少し相撲に迷いが有るのかもしれませんが、取組の流れに逆らうことなく、体の動くままに前に出ることが出来れば、「関脇」の相撲が蘇ることでしょう。

⑨正代

 そろそろ上位の相撲に慣れることでしょう。地力は十分ですから、後は自信を持って臨むことだと思います。立合いを低くすることが課題だと言われますが、もはや身に付いた相撲でしょうから、気にすることなく「強く当たる」ことができれば、自在の相撲が活きると思います。

⑩北勝富士

 北勝海と千代の富士からいただいたという新四股名での活躍が期待されます。
 思い切った相撲を魅せて欲しいものです。

 今場所は、以上の10力士に注目します。

 他にも、碧山、魁聖、貴ノ岩、佐田の海、千代翔馬、千代鳳、と活躍が期待される力士が目白押し。

 「戦国時代」に入った大相撲ですから、どのような展開になるのか、想像もつかないというところでしょう。
 10日目からの「凄まじい星の潰し合い」が、今からとても楽しみです。
 11月13日から、大相撲2016年11月場所が始まります。
 この場所で大活躍が期待されるのが、前頭3枚目の遠藤関です。

 遠藤は9月場所を13勝2敗で終えました。

 素晴らしい成績でした。
 15戦全勝の豪栄道が居なければ、優勝力士の成績としても何の不思議もありません。

 とはいえ、星勘定以上に見事だったのは、相撲の内容ではないでしょうか。

 立ち合いでしっかりと当たり、まわしを取り、相手に力を出させない体制を次第に構築して、勝ち切る、という取り口には、何とも言えない落ち着き、少し大げさに言えば「美しさ」さえ感じられました。

 日本古来の大相撲の雰囲気漂う取組が続いていたと思います。

 痛めた膝が相当回復し、「四股を踏めるようになった」と伝えられていた場所で、遠藤は如何なく力を発揮してくれたのです。

 膝の状態は、まだ完全ではないと報じられていますが、完全ではない状態でもこれだけの相撲を魅せていただけるのですから、期待は高まるばかり。

 11月場所で、あの美しい相撲がまた観られるのです。
 9月場所は、一度だけ国技館で観戦しました。

 ほんの2年前なら当日国技館の入り口でチケットを求めて、入場することが出来たのですが、今ではチケットの発売日をチェックの上、電話やネットで早々に申し込まないと、なかなかチケットは手に入りません。贔屓力士の取組を確認してからチケットを購入するのは、もはや不可能になりました。

 大相撲人気の復活は嬉しいことですが、何10年も前から国技館に足を運んでいるオールドファンにとっては、難しい時代が来たという意見もあることでしょう。

 私達は、大体お昼を食べてから午後1時頃に国技館に行き、席に付きます。
 幕下の取組から観戦するのです。

 9月場所の国技館周辺で気が付いたことですが、入り口付近で外国人の家族が大きなジェスチャーで嘆いています。チケットが売り切れなのです。
 「午後1時ともなれば、当日売りのチケットもとっくに売り切れているだろう」という見方もあると思いますが、「当日売りが有る」という情報を基に、家族で国技館に足を運んだ外国人家族にとっては、残念至極なことでしょう。手を広げて、天を仰いでいるご家族が何組も目に付きました。
 もちろん、「もう、売切れなんだって」と話している、日本人の方々も居ました。

 現在の当日売りチケットというのは、おそらく自由席(2階椅子席の最後尾の列)のみだと思います。枚数も少ないので、朝一番でなければ購入することはできないのでしょう。

 協会には、当日売りのチケットはとても少ないことと、直ぐに売り切れてしまう可能性が高いこと、そして当日の販売状況の広報を、ネット等でしっかりと行っていただきたいと思います。
 12日目(9月22日)幕内の取組、豪風VS千代翔馬の立合いの直前に、その事象は発生しました。

 行司に向かって左側の「砂被り席(維持員席)」に居た女性が、さかんに手を振っています。人を呼んでいるようでした。

 その女性は、呼び出しの人を呼んでいるようでしたが、なかなか人は来ない様子でした。

 状況が分かってきました。

 その女性に向かって左側の観客・男性が、後ろに倒れていたのです。胡坐をかいた姿勢から、上半身が後ろに倒れた感じでした。全く動かない様子。

 東の通路に居た大島親方(元・旭天鵬)がやって来て、倒れた男性に声をかけていました。

 70歳くらいの男性に見えましたが、返事が有った様で、次第に動きが出てきました。

 続いて、警備員が駆け付け、男性は立ち上り、警備員に支えられながら、席を後にしました。両国国技館には消防署の担当者が詰めている筈ですから、十分な治療が出来たことでしょう。

 この男性が、その後どうなったのかは分かりませんが、無事であって欲しいものです。

 さて、考えてみれば、大勢の観客が詰めかけているスポーツの会場において、観客に急病の人が出ることは、容易に想像が付きます。
 
 例えば、5万人の観客が入っているサッカーの大試合において、2~3時間の間観戦・応援をしているとすれば、ひとりも急病人が出ないと考える方に無理が有るのかもしれません。
 暑い・寒い、風・雨といった天候の要素に加えて、熱狂的な応援に伴う「大興奮」も原因となりそうです。

 こうした「観客の急病」は、あまりニュースになりませんから、急病を発症した観客の周囲の方々が適切に対応しているということなのでしょう。

 とはいえ、イベントの主催者としては可能な限りの準備をしておく必要があることも、間違いないのでしょう。
 もちろん、こうしたイベントの開催に関する法令上の対応策順守は当然として、それに加えた対策も用意したいところです。

 国技館に行ってみれば分かりますが、大相撲の観客には高齢の方々も多いので、協会には一層の準備が求められるところでしょう。
 また、近時の外国人観客の急増にも、この面からの対応が必要なのかもしれません。
 
 スポーツにおいては、プレーヤーの健康管理と共に、観客の健康管理も大切な要素なのでしょう。
 7場所連続の負け越しという、ご本人にとってとても不本意な成績を続けていた佐田の海が、9月場所で久しぶりに勝ち越しました。

 一方で、佐田の海は「7場所連続で負け越しながら、幕ノ内の地位を維持」していました。これは1958年・1年6場所制になって以降の最高記録でもあります。

 「幕ノ内力士」は、大相撲最高峰の力士であり、序の口・序二段・三段目・幕下・十両と並ぶクラス全ての力士の憧れの的です。幕ノ内に上がることは、大相撲を志すアスリートの「大目標」なのです。

 そして、「幕ノ内の地位」を維持して行くことは、当然ながら極めて難しいことです。
 念願の入幕を果たしても、短期間で再び十両や幕下に落ちてしまう力士はとても多いのです。

 そうした状況下で、7場所連続で負け越しながら、幕ノ内に留まってきたというのは、それはそれで奇跡的なことの様に感じられます。「マジック」の様だとの感想も有るでしょう。

 佐田の海のこの「マジック」の秘訣は、「負け越しても、大きくは負け越さない」ところにあります。

 よく知られていることですが、大相撲においては「負け越しの数=番付が下がる枚数」という原則?があります。
 もちろん、他の力士の成績とのバランスで、この原則通りの運用とはならないことも多いのですが、例えば7勝8敗なら「番付は1枚下がる」のが原則なのでしょう。(東から西に動くケースも多々あります)

 佐田の海の今回の負け越しは、2015年の7月場所から始まっています。この時の番付は西前頭筆頭でした。前頭は、通常16枚目あるいは15枚目まで有りますから、佐田の海にとっては「下に15枚は有る」という状況だったのです。

 ここから、佐田の海の粘り強い負け越し?がスタートしました。
 2016年に入ってからは、1・3・5・7月場所の全てが7勝8敗でした。番付は「じりじりと」下がりましたが、大きく落ちることはありませんでした。

 「7場所連続負け越しながらも幕ノ内を維持」という新記録を樹立?する過程で、佐田の海は西前頭筆頭から西前頭10枚目まで下がったのです。

 そして2016年9月場所で8勝7敗と、久しぶりに勝ち越したのです。

 大相撲の本場所に臨むに際して、全ての力士の最大の目標は「勝ち越し」です。これは横綱・大関であろうと同じでしょう。
 まずは勝ち越しを決めてから、次の目標を目指すのです。

 負け越してしまうと、次の場所で番付が下がることとなります。全ての力士にとって大きなショックなのです。

 さてここで「手本とすべきは佐田の海の頑張り」なのでしょう。

 例えば、場所の途中で5勝8敗と負け越してしまった時、残りの2取組をどう戦うかが、とても重要なのです。
 残り2番を連勝できれば7勝8敗とすることができ、番付の下落を最小限に抑えることが出来ます。
 逆に2連敗して5勝10敗となれば、5枚もの番付下落のリスクを負うこととなり、時には幕ノ内から十両へ、十両から幕下への陥落のケースも発生するでしょう。

 負け越してからの取組が、とても重要なのです。

 そうした意味から、「7場所連続で負け越しながら、幕ノ内を維持した」という記録は、大記録であり、大相撲で戦って行く全ての力士にとって、とても大切な教訓なのであろうと感じます。

 また、久しぶりに勝ち越した佐田の海には、大相撲の次代を支える「技士」として存分に実力を発揮していただき、11月場所での二桁勝利を期待しています。
 14日目、大関・豪栄道が玉鷲を破り、優勝を決めました。

 見事な14日間でした。

① 14戦全勝

 何より、これが素晴らしい。2横綱にも勝ちましたから、文句のつけようの無い優勝です。

② スピードと間合い

 もともと「秀でたスピード」が豪栄道相撲の持ち味でしたが、今場所はそこに「絶妙の間合い」が加わっていたと感じます。

 今場所、上位の力士との対戦では、四つになることを避け、離れて取りました。この離れている時の攻守の間合いが絶妙であったと思います。

 特に「押しに出る時のタイミングの良さ」は、これまでの豪栄道の相撲を大きく超えていたのでしょう。

③ 連続優勝と綱取りに向けて

 「稽古場横綱」と称されて来ている豪栄道ですから、実力が有ることは以前から指摘されていたことです。

 この力を9月場所の土俵で出し切った結果が「優勝」だったのでしょう。

 地力の高い大関が壁を破ったのですから、次は「綱取り」ということになります。

 11月場所の連続優勝が大いに期待されるところです。
 大関・豪栄道の快進撃が続いています。

 11日目、大注目の稀勢の里戦も持ち前のスピードで勝ち切りました。
 初優勝に向けて、第一関門を突破したというところでしょう。

 11日目には、日馬富士と遠藤が敗れ、1敗力士も居なくなりましたから、豪栄道が相当有利な状況に立ったことは間違いありません。

 もともと稽古場では圧倒的な強さを示し、「稽古場横綱」と呼ばれてきた豪栄道が、本場所の土俵でも、持てる力を発揮できるようになってきたという感じがします。そのずば抜けたスピードが威力を魅せているのです。

 この強さで2横綱を破り優勝するようなら、来場所は「綱取り」の場所となります。

 初優勝のゲットはもちろんとして、豪栄道関には、この9月場所で「本場所の土俵での力の出し方」を、しっかりと体得していただきたいと思います。

 そうすれば、結果は自然に付いて来るのでしょう。
 7日目を終って、東前頭筆頭の隠岐の海は2横綱・4大関との対戦をすべて終えました。
 そして、2横綱・3大関を破りました。

 初日、「綱取り」の期待がかかった大関・稀勢の里に完勝したことで勢いに乗ったのでしょうか、2日目には横綱・鶴竜、3日目は横綱・日馬富士、4日目に大関・照ノ富士、6日目に大関・琴奨菊を倒したのです。

 「守りに強い」という印象の取り口が多く、一度、横綱・大関に相撲を取らせてから、反撃に転じ、自らの力を発揮するという相撲ですから、決して一発勝負の大技を繰り出しているわけでは無く、「地力の高さ」が感じられます。

 7日目の大関・豪栄道戦も、立合いから一気に押し込まれましたけれども、西土俵際で押し返し、「さて、ここから」というところで豪栄道の振り回すような投げが出て、さすがに土俵を割りました。

 6戦全勝同士の取組らしい、中身の濃い一番でしたし、今場所の豪栄道の好調さも感じられました。

 「綱取り」の稀勢の里が早々に2敗してしまい、鶴竜も3敗となってしまいましたが、豪栄道、隠岐の海、そして遠藤が元気です。

 横綱・日馬富士が中心の優勝争いとはいえ、これらの力士にも十分にチャンスが有りそうです。

 豪栄道と隠岐の海、遠藤には、「初優勝」を目指して、一番一番「丁寧かつ思い切った相撲」を魅せていただきたいものです。
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