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 1月場所は栃ノ心の優勝で幕を閉じましたが、優勝力士栃ノ心の髷を結う床山さんが話題になっています。
 1月28日の朝日新聞デジタルの記事「定年前・・・優勝力士の髪結う夢かなった 春日野部屋の床末」(竹園隆浩氏著)をとても楽しく読ませていただきました。

 現在63歳の床末(とこまつ)は、あと1年半で定年を迎えるのですが、これまで優勝力士の髪を結ったことが無かった、正確には、優勝力士が表彰式に出る直前の髪結いをしたことがなかったということになるのでしょうが、その床末が、1月場所の栃ノ心の優勝、名門・春日野部屋にして46年ぶりの優勝により、その機会を得たのです。

 優勝を決め、笑顔いっぱいの関取が、東の支度部屋の最奥、普段は横綱が座る場所に陣取り、マスコミのインタビューに応じながら、表彰式への身支度をする時間帯、床山は渾身の技を駆使して「大銀杏」を整えるわけですが、この「時間」は力士にとっては勿論として、床山にとっても「晴れ舞台」なのです。多くの記者に囲まれながらの髪結いは、何と華やかで、晴れがましいことでしょう。

 とはいえ、床山・床末にとっては、これが初めての場でした。

 床末は、床山の中で最高位の「特等床山」ですが、大相撲界の特徴としての「部屋付」ですから、春日野部屋の力士が優勝しない限り、このチャンスはありません。
 床山の世界における地位がどんなに高くても、所属部屋から優勝力士が出ない限りは、この晴れ舞台には立てないのです。

 もうひとりの「特等床山」(そもそも現在の大相撲界に2人しか居ないというのが凄い)である床蜂(とこはち、63歳)は、なんと宮城野部屋付ですので、横綱・白鵬の髪結いを担当し、40回の優勝における表彰式前の髪結いを経験してきました。
 同じ「特等床山」でも、床末とは大違い。

 ほとんど諦めていたかもしれない「晴れ舞台」が、定年まで1年半というタイミングで床末に訪れるのですから、人生と言うのは摩訶不思議なものです。

 この記事には、14日目、初優勝を決めた後の栃ノ心の髪を結う床末の写真が掲載されていますが、千秋楽の表彰式、天皇賜杯を拝戴する前の髪結いの時の、床末の表情をゆっくりと見てみたかったものです。

 もちろん「髪結い」が仕事、それも最高峰の仕事人ですから、真剣そのものの様子でしょうが、その真剣な表情の中に、何とも言えない「喜び」が、「満足感」が、「誇り」が、滲んでいたのでしょう。
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[14日目・東京両国国技館]
栃ノ心(寄り切り)松鳳山

 13日目まで1敗でトップに立っていた前頭3枚目の栃ノ心が、松鳳山を寄り切りで破り、13勝1敗として、千秋楽を待たずに幕ノ内最高優勝を決めました。
 初土俵から12年、30歳3か月での初優勝でした。

 今場所の栃ノ心の相撲は、本当に素晴らしいものでした。
 どっしりと腰が安定し、前に出る流れの中での積極的な攻めが続きました。
 これまで時折見られた、「がっぷり四つからの力勝負」という取組は、少なかったと思います。
 取り口に「良い流れ」が有ったのです。

 この取組でも、松鳳山との激しい突き合いから、松鳳山のタイミングの良いいなしが出ました。栃ノ心もバランスを崩しかけましたが、体勢を立て直して左下手を入れて寄り立てました。右の上手を取ることは、最期までできませんでしたが、前に出る圧力が十分だったのです。
 今場所を象徴するような取り口であったと思います。

 今場所の相撲内容を観る限り、「1月場所の幕ノ内力士の中で最も強い」ことは明らかで、優勝も自然なことだったと感じます。

 膝の大怪我を負い、幕下の下位に下がっていた頃、手術を前にした栃ノ心に会った方から話を聞きました。
 手術が決まり、同じように膝を怪我していた力士に対して「痛くない?」と聞いていたそうです。優しい人柄が滲んでいます。

 もともと場所後には、ジョージアで出産した奥様と赤ちゃんに会いに行くと報じられていましたので、何にも勝る、嬉しい報告が出来るのでしょう。

 本ブログでは何度も書いていますが、「十両で全勝優勝した力士は大関以上に昇進する」という大原則が有るのです。

 栃ノ心関には、この勢いで大関に駆け上がっていただきたいと思います。
 大相撲2018の1月場所は、場所前から危惧されていた横綱の休場、白鵬と稀勢の里が相次いで休場するという、残念な事態となりましたが、一方で番付の上位から下位まで全勝の力士が居るという、楽しみな展開でもあります。

 まずは前頭15枚目の朝乃山。
 初日から体が動いています。もともと力の有る力士ですから、体調さえ良ければ、この番付なら強いだろうとは予想していましたが、予想以上の快進撃。
 白星を積み重ねていただき、二桁、あるいは平幕優勝も目指してほしいものです。

 続いては前頭3枚目の栃ノ心。
 今場所は脚の具合も良く、持てる力を存分に発揮しています。「十両を全勝優勝した力士は大関以上まで昇進する」という大原則?(これまで例外無しの法則)がありますが、栃ノ心は「十両全勝優勝力士」のひとりなのです。これ位の成績を残すのは当然という意見もあるでしょう。
 大関昇進を目指して、その足場となる場所にして欲しいものです。

 続いては関脇御嶽海。
 今や大相撲の看板力士のひとりとなった感が有りますが、今場所も持ち味である「本場所での強さ」を如何なく発揮しています。幕ノ内で、2017年の6場所すべてにおいて勝ち越した唯一の力士ですから、その安定感は、現在の角界NO.1でもあります。
 2横綱が休場した場所ですから、優勝候補の一角となることでしょう。

 そして横綱鶴竜。
 「進退のかかる場所」で、さすがの相撲を展開しています。今場所は押されてもなかなか後退せず、悪い癖である「はたき」も出ていませんから、まずは好調と言うところでしょう。このまま落ち着いた取り口を継続できれば、優勝の本命です。

 7日目には、早くも「全勝対決」が組まれました。結びの一番、鶴竜と栃ノ心です。
 これでひとりは1敗になるのですけれども、いずれにしてもこの4力士が2018年1月場所の主役であることは間違いないでしょう。
 1月14日、両国国技館で開幕する2018年1月場所における注目力士の検討です。

 昨年末来、いろいろな事が起こり、落ち着かない大相撲界ですが、こういう時こそ本場所での充実した土俵を観たいものです。

 さて恒例の検討です。

1. 横綱陣

 「騒動」の渦中にある横綱陣ですので、今回は選定しないことにします。

 3名の横綱には、「横綱らしい相撲」を披露していただきたいと思います。

2. 大関陣

 このところ「影の薄い」大関陣ですが、横綱陣が土俵の地固めを行うのが難しい場所でしょうから、大関陣の奮起が期待されるのは自然な流れです。

 1月場所は、豪栄道、高安の両大関の活躍に期待します。

 豪栄道には持ち前のスピード溢れる相撲を、高安には勝ち負けにあまり拘らず、持ち味の「モリモリ相撲」に集中していただきたいと思います。

3. 関脇以下の力士

① 関脇・御嶽海
 今や大相撲の看板力士のひとりとなりました。本場所に強いという特徴を活かして、展開次第では優勝争いに参加してほしいものです。

② 小結・阿武咲
 「取り口を憶えられた」感のあった先場所でしたが、阿武咲もこれで三役の相撲を把握できたと思います。スピードとパワーを併せ持った相撲で、この壁を突破してくれることでしょう。

③ 朝乃山
 前頭16枚目まで番付を落としました。本来の実力を持ってすれば二桁勝利も可能だと思います。

④ 遠藤
 9月場所、11月場所と本来の相撲が戻ってきています。故障から、ようやく回復してきたのでしょう。相撲の上手さでは当代屈指の力士ですので、上位との対戦が予想される1月場所でも素晴らしい相撲を魅せてくれることでしょう。

⑤ 北勝富士
 先場所は11勝4敗で技能賞を受賞しました。前頭筆頭に上がった今場所も、横綱、大関陣を相手にした大活躍が期待できます。

⑥ 阿炎
 新入幕です。前に出る力が加わった「牛若丸相撲」に期待します。

⑦ 逸ノ城
 次第にかつての相撲が観られるようになってきました。大関取りに向けての活躍が期待されるところです。

⑧ 安美錦
 先場所は、前に出る形が出ない中、なんとか勝ち越しました。久し振りの幕ノ内での相撲で、何かを思い出してくれたことでしょう。番付が上がる程に持ち味が生きる相撲に期待します。

 様々な面で「変革の時期」に来ている大相撲界ですが、幕ノ内力士の「世代交代の時期」でもあろうと感じます。

 1月場所も数多くの力士が新入幕、再入幕を果たしています。

 三役、幕ノ内上位、それぞれの番付けにおいて、「次代を担う力士」の登場が待たれるところです。
 大相撲の12月冬巡業、九州・沖縄巡業が実施されています。

 連日の大盛況です。

 開場前の入口には、ファンの長蛇の列。
 どの顔にも、大相撲観戦を楽しみにしている「笑顔」が溢れています。

 テレビのインタビューには「お相撲さんを観るのが楽しみ」というコメントが多いように感じます。

 やはり、「大きな相撲取りの姿そのもの」が、ファンにとっての最大のご褒美なのでしょう。
 スポーツにおける「大きいということの非日常性」の偉大さを再び感じます。

 「お相撲さん」からサインを貰ったり、握手をしたり、巡業における力士とファンの距離はとても近いのです。
 子供たちが、力士を見、力士に触れ、抱きかかえてもらい、歓声を上げているのです。

 当然のことながら、地方のファンが大相撲や力士を生で観る機会は非常に少ないのですから、巡業が数年に一度の、ひょっとすると一生に一度の、滅多に無いチャンスということになります。

 老若男女を問わず、ファンの皆さんの屈託のない笑顔は、それ自体が素晴らしい風景だと思いますし、現在、他のあらゆるジャンルを通じても、世代を問わずにこれだけの楽しい時間、エンターティンメントを提供できるコンテンツは、そう多くは無いでしょう。

 大相撲の力は、想像以上に大きいものであることを示す情景ですし、長い歴史の礎となっている「大相撲の魅力・本質」なのかもしれません。

 この大らかさ、明るさを見ると、どこぞで行われている、訳の分からない騒動の、矮小さ、醜さを改めて感じます。
 千秋楽の相撲放送(NHK BS-1)が始まって直ぐに、幕下の明瀬山と豊ノ島の一番となりました。

 明瀬山も幕ノ内経験者ですが、ご存じの通り豊ノ島は三役経験者というか「三役の常連」でした。
 その豊ノ島が、大怪我(アキレス腱断裂)の為に番付を落としていて、取組を眼にすることも少なくなっていました。
 
 そういう意味では、「豊ノ島がテレビ放送の時間に帰ってきた」とも言えるのでしょう。

 明瀬山との、4勝2敗同士の一番は、立ち合いからの鬩ぎ合いから、豊ノ島が力強く前に出ました。
 元気いっぱいの取り口です。

 相当回復しているように観えました。

 豊ノ島は34歳、まだまだ老け込むには早すぎます。
 2018年の大活躍が期待されます。
 11月26日に千秋楽を迎えた九州場所ですが、7勝7敗で臨んだ安美錦が千代翔馬を上手出し投げで破り、勝ち越しを決めました。

 投げが決まった瞬間、安美錦は「よしっ」と呟いたように観えました。

 39歳の再入幕力士の勝ち越しとしてインタビュールームに入った安美錦は、涙また涙。

 いつもの飄々とした、「とぼけた」様子は微塵も無く、怪我からの復活、相撲への思いを切々と語りました。敢闘賞のことも取組の前には知らなかったと。
 素晴らしいインタビューでした。

 もっともっと稽古をしなければと語る安美錦には、「引退」の欠片も感じられませんでした。
 確かに、今場所は体こそ良く動いていましたが、引いたり叩いたりする相撲が多く、本来の「前に出る力を利した巧みな相撲」はなかなか見られなかったのです。

 「明日」を見つめ、真摯に取り組む安美関の2018年の相撲が、とても楽しみです。
 11月場所も15日間連続で満員御礼となりました。

 これで、2017年の大相撲は1月場所から11月場所まで6場所・90日間連続で満員御礼となったのです。
 これは平成8年以来の優秀な興行成績であり、大相撲人気はひとつのピークを迎えていることになります。

 八百長問題や数々の不祥事のために「地に落ちた」人気でしたが、「雌伏」の時期は、大関・魁皇、高見盛、遠藤といった人気力士の奮闘もあって何とか乗り切り、2015年頃から大相撲人気は回復に向かいました。
 そして、2017年に再びピークを迎えたことになります。

 現在では、本場所のチケットを入手することも極めて困難です。

 一方で、2017年は休場力士が増えました。
 11月場所も幕ノ内だけで9名に上ります。
 単純に考えれば、幕ノ内の取組が4~5番減っていることになります。

 最高峰である幕ノ内の取組、大相撲最高の見せ場が4~5番減っているというのは、ファンに対しての「エンターテインメント量が激減している」ことに他なりません。

 上質なコンテンツの減少が、当該プロスポーツというか、音楽でも絵画でも文学でも同じだと思いますが、ファンの人々の支持により成立している全ての分野において、「衰退」に繋がっていくことは道理というか、自然なことでしょう。

 ガチンコという言葉もありますが、真剣な取組が土俵上で繰り広げられていることはもちろんですが、だからと言って怪我・故障が従前より増加するというのでは、当該スポーツは、別の形で消滅してしまいます。

 怪我・故障に強い体躯を創り上げること、そういう稽古・トレーニングを実施して行くことは当然として、ガチンコであっても「怪我をし難い取り口」を身に付けて行くことも大事なことなのでしょう。
 協会、各部屋、各親方、各力士におかれては「怪我をし難い取り口」の研究・実行に注力していただきたいと思います。

 最後に「横綱の問題」です。

 ある横綱には、おかしな「待った」がありました。
 行司や審判の判定に従わないかのような様子に観えました。全力士の範となるべき横綱としては、あってはならないことでしょうし、少なくとも「土俵において見たことも無い行動」でした。

 別の横綱は暴力沙汰で注目されています。
 こちらは「何が本当の事か」全く分からない状況ですが、少なくとも大相撲界にとってプラスの事象ではないでしょう。

 大相撲は、2017年6場所90日連続満員御礼という、記録的な人気を博しています。

 こういう時こそ、奢ることなく頭を垂れるのが、日本文化でしょう。

 我が国のプロスポーツは、日本文化の上に成り立っているというのは、楽観的に過ぎる見方なのでしょうか。
 アキレス腱断裂という大怪我から復帰し、今場所幕ノ内・西前頭13枚目に返り咲いた安美錦が元気です。
 3日目を終えて3連勝。相撲内容も、当代屈指の「技士」の本領を発揮し、動きの良さが目立ちます。

 「39歳0ヵ月での幕ノ内復帰」という、昭和以降の最年長記録を樹立したことが、今場所前の話題となり、称賛の的ともなりましたが、初日の体を観た時、その充実ぶりは明らかでした。

 肌艶も良く、体全体のバランスも良いのです。
 何か、故障前より充実しているようにさえ感じられます。

 ご本人は三役への復帰、あるいは大関取りを標榜しているのでしょうが、この充実ぶりを観ると本当に実現できるのではないかとさえ、期待してしまうのです。

 安美錦関、頑張れ!
 西十両5枚目の阿炎(あび)が元気です。
 3日目を終わって3連勝、相撲内容もとても良いのです。

 幕下の頃から「自在の相撲」で注目されていましたが、さすがに立ち合いで強く当たることもせず、相手力士を一気に押し込むこともしないで、すらりとした体躯で、相手の取口に合わせて「ひらりひらり」と動き回りながら、押したり突いたりして勝機を見出していく相撲では、いずれ「壁」にぶち当たるだろうと感じていました。

 その「壁」が、番付のどの辺りかによって、阿炎の地力が分かるとも思いました。

 2016年から17年にかけて、「壁」の位置が分かりました。
 阿炎は、幕下と十両を往復するようになったのです。
 この辺りが「壁」でした。

 「ひらりひらり」の相撲で、関取まで上がるのですから、阿炎の地力は相当に高いことが分かります。
 序二段優勝、三段目優勝、幕下優勝と重ねてきたキャリアは本物なのです。

 さて次の段階として、阿炎が「自らの相撲を改革する」ことが出来るかどうかが注目でした。いかに高い能力を保有していても、「牛若丸相撲」には限界があります。
 一方で、阿炎が自らの取り口に「本格派の相撲」の要素を取り入れることが出来れば、一気に本格化し、番付もどんどん上がるだろうと考えていたのです。

 「改革」は起こりました。
 2017年に入って、「前に出る相撲」を身に付け始めたのです。
 
 こうなると、もともとの運動神経の良さが一層活きてきます。
 
 2017年9月場所で、阿炎関は優勝決定戦の末、十両優勝を成し遂げました。
 そして西の5枚目に番付を上げたのです。

 こういう相撲が取れるようになった以上は、もう「十両と幕下の往復生活」には戻らないでしょう。
 「前に出る阿炎」は、一気に幕の内に上がってくると思います。

 阿炎 政虎(あび まさとら)、23歳。身長187cm、体重132kg、埼玉県越谷市出身、錣山部屋所属。元寺尾・錣山親方の指導が実りつつあるのです。

 大相撲の次代を担う力士への成長が期待されます。
 11月12日に開幕する、大相撲2017年11月場所で活躍が期待される10名の力士を挙げてみたいと思います。

 2017年に入ってから、大相撲に「世代交代」の波が押し寄せていることは、皆さんご承知の通りです。

 所謂「大相撲氷河期」を乗り越えてきた世代の中に、新しい力士が次々と飛び込んできているのです。
 2018年以降の大相撲を背負って行くであろう力士達の活躍が期待される、11月場所なのでしょう。

1. 横綱陣

 ひとりを選ぶのは、とても難しいのが横綱陣でしょう。
 9月場所優勝の日馬富士が元気であろうことは予想できますが、ベテランとなった今、体のあちこちに故障が有るのは仕方のないところで、2場所連続で活躍できる状況かどうかは、分からないところでしょう。

 休場明けの白鵬、稀勢の里、鶴竜については、回復度合いが全く分かりません。

 こうした中では、まさに「期待する」という意味で、稀勢の里にしたいと思います。

 稀勢の里の怪我は、容易には直らないタイプのものですので、まだまだ完治には程遠いものと感じますが、巡業や関脇相手の稽古の情報では、相応に「相撲が取れる」ようになってきているようですので、久しぶりに土俵上で相撲を取る姿を見ることが出来そうです。

 鍵となる左腕は、5~6分の出来でしょうから、いつもにも増して、立ち合いから前に出る相撲を取る必要があるのでしょう。前に出る圧力を利用した相撲を取ることが出来れば、優勝争いに加わることも可能だと思います。

2. 大関陣

 こちらも、高安の回復度合いが不明です。

 そうなると、先場所の主役のひとり豪栄道を挙げることになります。
 先場所は、ほとんど掴みかけた最高優勝を自ら離したようにも見えましたから、今場所のリベンジに期待しましょう。

3. 関脇以下の力士

③関脇・御嶽海

 三役に上がってきた頃の勢いは、やや弱まっている印象ですが、よく考えて相撲を取るタイプですので、「関脇の相撲の取り方」を身に付けてきているのではないかと思います。
 今場所は星を伸ばしてくれるのではないでしょうか。

④朝乃山

 10勝5敗で敢闘賞を受賞した先場所の相撲には、驚かされました。相撲に文字通りの「勢い」が感じられたのです。入幕2場所目となれば、「壁にぶちあたる」のではないかという見方もありそうですが、その壁を超えていく「勢い」に期待したいと思います。

⑤小結・阿武咲

 入幕から3場所連続の二桁勝利という、素晴らしい記録を打ち立て、あっという間に三役となりました。「世代交代」の代表格でしょう。とにかく「前に出る力」が優れていますので、この番付でも活躍が期待されます。

⑥遠藤

 先場所は、久しぶりに遠藤らしい取り口が観られました。相当に回復しているのではないかと感じます。体が動くようになれば、「密着相撲」が威力を発揮するでしょう。番付を上げていく場所になってほしいものです。

⑦北勝富士

 「壁」にぶちあたった先場所でしたが、「一生懸命」をベースにした取り口は不変でした。
 意外に器用なところも有りますので、今場所は「白星に繋がる相撲」を身に付けてくれているのではないかと思います。

⑧貴景勝

 過去4場所で11勝が2度という爆発力が身上です。前頭筆頭という難しい番付ですが、元気いっぱいの相撲で、場所を湧かせてくれることでしょう。

⑨逸ノ城

 そろそろ「正念場」を迎えているのではないでしょうか。「怪物」と呼ばれたアスリートの真の力を披露していただきたいと思います。

⑩安美錦

 ついに帰ってきました。当代随一の「技士」の相撲がとても楽しみです。故障後、場所を重ねるたびに回復している印象ですから、久々とはいっても、幕ノ内という「慣れた場所」での活躍が期待されるのです。安美関の大ファンである私としては、外せないところです。

 11月場所は、以上の10力士に期待したいと思います。
 若手とベテランが切磋琢磨する場所ですから、面白くないはずがありません。
 炎鵬は、2017年9月場所の三段目で優勝しました。7戦全勝でした。

 これで炎鵬は、初土俵から序の口→序二段→三段目と「三場所連続優勝」を成し遂げたのです。

 三場所とも7戦全勝でしたから、炎鵬は「初土俵以来不敗の21連勝」なのです。優勝決定戦の勝利を加えれば、連勝はより増えます。

 将棋の藤井四段ではありませんが、「デビューしてからの連勝記録」を伸ばしているのです。

 デビューが遅かったことも有り、既に22歳の炎鵬は、身長167cm・体重93㎏と小兵力士、それも特に小さな力士です。
 しかし、その取り口はスピード十分で、力強さに満ちています。

 11月場所には幕下に昇進するでしょうから、これからはテレビ放送に登場する機会も増えることでしょう。
 
 「今牛若丸」としての炎鵬の今後の活躍から、眼が離せません。
 3横綱・2大関が休場し、史上稀に見る「大混戦」となった9月場所ですが、三賞受賞力士にも、9月場所の「輪郭」が良く現れています。

 殊勲賞には、貴景勝が選ばれました。
 自己最高位の西前頭5枚目で、場所に臨んだ貴景勝ですが、3連勝と絶好のスタートを切りました。そして10日目に日馬富士を破り、13日目に豪栄道に土を付けたのです。

 序盤の3連敗から立ち直りを見せていた横綱・日馬富士にとっては、貴景勝に敗れての4敗目は、優勝の可能性をほとんど0にする痛い黒星であったと思いますし、ほぼ優勝を手にしていた大関・豪栄道にとって、3敗目となる終盤での貴景勝戦の敗戦は、その勢いを一気に減ずるものとなったのです。
 貴景勝のこの2勝は、9月場所の賜杯の行方に大きな影響を及ぼしたのです。

 敢闘賞の阿武咲の前半の活躍は見事でした。
 初日からの5連勝、中日を終えての7勝1敗と、優勝争いの先頭を走ったのです。
 初日からの3横綱の休場、前半の2大関の休場と、残念なニュースが続いた、中日までの9月場所を支える大活躍でした。
 特に、星数もそうでしたが、その元気一杯、スピード十分な取り口も見事でした。

 終わってみれば10勝5敗、新入幕以来3場所連続の二桁勝利と言う、史上初の快挙となりました。
 今後の角界を背負う逸材であることも、間違いありません。

 新入幕で敢闘賞を受賞した朝乃山の活躍も素晴らしいものでした。
 3勝3敗と勝ち負けを繰り返していた朝乃山でしたが、7日目からの5連勝で勢いに乗り、この一番を勝てば二桁10勝となって敢闘賞という、千秋楽の千代大龍戦も堂々と押し出しました。東16枚目の幕尻の力士が、西3枚目の力士に完勝したのです。
 「この一番」に強いというのは、今後の力士キャリアにおいても、大きな武器です。

 技能賞の嘉風の活躍は、これはもう驚異的でした。
 4連敗のスタートで、どこか悪いのではないかと感じましたが、5日目から8連勝。
 そして敗れた相撲でも、その内容は攻防のある「大相撲」が多く、場内を大いに沸かせました。
 35歳にして、進化を続ける大力士なのです。

 3名の若手、それもいずれも入幕して1年未満という「生粋の若手」(変な言葉で恐縮です)は、大相撲の未来を支えて行く存在です。
 1名のベテラン、「土俵の充実」という大相撲の不滅の命題を体現してきた、そして現在も体現し続けている力士であり、まさに若手力士の範となる存在です。

 2017年9月場所の主役は、優勝した日馬富士ですが、この4名の三賞受賞力士も間違いなく主役だったのです。
 「大波乱」の9月場所でしたが、千秋楽もある意味では「思いもよらぬ展開」でした。

 千秋楽結びの一番、日馬富士VS豪栄道は、日馬富士が強さを魅せました。

 低く鋭い立合いを見せた日馬富士が、右前まわしを素早く取り、豪栄道の寄りにびくともせずに左前まわしも取りました。
 これで豪栄道の上体が浮き上がりましたので、日馬富士は寄り立てます。向う正面に寄り、左前まわしを離しながら寄りきったのです。

 圧倒的な内容でした。豪栄道に何もさせない上に、体を密着させての相撲でしたから、土俵際の紛れもありません。
 日馬富士にとっても「最強の相撲内容」であったと思います。

 優勝決定戦を前にして、東西の支度部屋の様子は対照的でした。

 東の日馬富士は、大銀杏を直した後、一門の十両の照強を立たせて立合いの練習をしています。
 何度もぶつかっていました。汗をかくまでやっているという感じです。

 西の豪栄道は、どっしりと腰かけたまま。取り口を考えている様子でしょうか。

 決定戦はあっという間の勝負でした。

 日馬富士が、再び低く鋭い立合いを魅せて豪栄道のぶちかましを止めると、豪栄道がはたきを見せました。その豪栄道の動きにぴったりと体を合わせて、日馬富士が寄り立て、そのまま寄り切りました。

 この相撲も日馬富士の圧勝でした。

 2017年9月24日に、横綱・日馬富士が示した本割と決定戦の2番は、日馬富士のキャリアにおいても「屈指の相撲」だったと思います。
 力士としての日馬富士が、その実力を如何無く示したのです。「ザ・日馬富士の相撲」といったところでしょうか。

 これだけ一方的な展開となったことは、とても意外でした。
やはり、11日目以降調子を落とした豪栄道と、調子を上げてきた日馬富士の、差が明確に出てしまったのでしょう。

 賜杯拝戴後の優勝力士インタビューで、控室に照強を呼んだ理由を聞かれ、「テレビに出してやろうと思って・・・」とユーモアたっぷりに応えた横綱には、優しさが溢れていました。

 そして、11月場所への意気込みを尋ねられ、「毎日毎日一生懸命に稽古をして、良い相撲を取る・・・」と応じました。
 奢りなど一切感じられない、極めて謙虚なコメントでした。

 我が国の「相撲精神」を体現した存在だと思います。

 日馬富士は、本当に素晴らしい横綱に成ったのです。
 大関・豪栄道が14日目の貴ノ岩との激戦を制して3敗を堅持、単独トップで千秋楽を迎えることとなりました。

 11日目を1敗でクリアした時には、さすがに大関、大混戦の場所をキッチリと制するかとも見えたのですが。やはり「2017年9月場所」は、そんなに単純な物ではありませんでした。

 12日目の松鳳山戦、13日目の貴景勝戦と平幕の2力士に連敗し、「大混戦」が続くこととなりました。

 このままでは「史上初の10勝5敗の幕ノ内最高優勝」かとも思われましたが、14日目に素晴らしい取口を魅せて、踏み止まったのです。

 立合いから、豪栄道、貴ノ岩、両力士の攻め合いが続きました。
 効果的な「いなし」が随所に観られ、豪栄道も2度たたらを踏みかけました。12日目、13日目の豪栄道なら、そのまま敗れていたかもしれませんが、この日は違いました。
 よく残して攻め続け、土俵際でも、貴ノ岩の乾坤一擲の突き落としを、渡し込みの返し技?凌ぎ、勝ち切りました。

 力の入った好勝負が多い今場所の中でも、屈指の「大相撲」であったと思います。

 これで賜杯の行方は、千秋楽・結びの一番、日馬富士VS豪栄道に持ち越されました。
 3敗の豪栄道と4敗の日馬富士の対戦と、横綱・大関が賜杯を競う結びの一番としては「異例」の感じがしますが、2017年9月場所を象徴する取組とも言えそうです。

 3横綱・2大関が休場するという、99年振りの惨事?の只中で、懸命に取組を続けた2人の看板力士の意地が感じられます。
 2人の看板力士は、「番付けの重み」を示し、「5敗の優勝」という記録を阻止したのです。
 横綱や大関に対しては失礼な物言いになってしまいますが、「健闘」したのでしょう。
 横綱・大関のプライドということなのかもしれません。

 さて、千秋楽・結びの一番は、文字通りの「大一番」です。
 素晴らしい一番でした。

 西関脇・嘉風と東前頭4枚目・松鳳山が「大相撲」を魅せてくれたのです。

 立合いから松鳳山が攻め込みました。テンポの速い突っ張りで嘉風を押し込んだのです。
 後退した嘉風ですが、さすがに反撃に移り、押し返しました。今度は松鳳山が後退する番でした。
 押し合う2力士の間には、突っ張り・張り手が交錯しました。

 土俵際に押し込まれた松鳳山でしたが、再び反攻に出て、押し返しました。
 「攻防」というよりは、両力士の「攻め合い」という形でした。

 両力士、力を振りぼっての押し合いが続きました。
 両力士の顔・頭が何度ぶつかったことでしょう。ごつごつと音が聞こえてくるような激突の連続。
 どちらも、決して自らは後退しないのです。

 場内の歓声がどんどん大きくなって行きます。

 2力士の押し合いは土俵中央で止まりました。
 嘉風が左下手を差し込みました。そして頭を付けたのです。

 体制を整えた嘉風が寄りました。
 力強い寄りでした。

 土俵を割った松鳳山の左腕には、べったりと血が付いていました。
 嘉風の顔から大出血していましたが、顔のどこからの出血なのかは、分かりませんでした。
 
 両力士死力を尽くしての一番でしたから、体中にダメージが残っていたのです。

 取組後、嘉風の出血は「鼻血」であると報じられました。
 眼、まぶたなどからの出血では無かったのです。翌日の取組に大きな影響を与える出血では無かったのです。

 打打発矢の戦いでしたから、1分もかかったかと感じられる相撲でしたが、実際には20~30秒位だったのかもしれません。

 今場所随一の「大相撲」でした。

 3横綱・2大関が休場するという「非常事態」に、残された力士達が力強い相撲を披露しているように感じられます。
 その代表的な相撲が、中日の嘉風・松鳳山の一番なのでしょう。

 9月場所は中日を終えて、大関・豪栄道、東前頭3枚目・阿武咲、東前頭12枚目・大翔丸が1敗で先頭を走っています。
 とはいえ、これだけの波乱の場所が、このままで進むとは思えません。

 本当の大混戦は11日目から始まるのでしょう。
 東十両2枚目の安美錦が好調です。
 7日目を終えて5勝2敗。

 2016年5月場所の2日目にアキレス腱を断裂する怪我を負い、以降7月場所も休場して、9月場所から十両に下がりました。
 もともと両膝に故障のある安美錦が十両の下位に下がり、年齢も38歳になったとあっては、さすがの安美錦も引退か、と囁かれました。
 2016年9月場所、11月場所は共に8勝7敗とかろうじて勝ち越しましたが、2017年1月場所は5勝10敗と大きく負け越し、西十両12枚目まで番付を落としました。

 私も「幕下に下がってまで、安美錦は相撲を取るのだろうか」と感じました。

 2017年3月場所は、しかし、9勝6敗と踏み止まり、5月場所も9勝6敗、7月場所は10勝5敗と盛り返して、東の2枚目まで番付を上げて来たのです。

 そして9月場所を迎えました。
 
 初日の土俵で安美錦の姿をテレビで観た時、「本当に良い体に成った」と感じました。
 肌艶も良く、全身の筋肉も戻りました。
 見た目には、アキレス腱断裂前より、フィジカル面では向上したように思います。

 取り口を観ると、全盛時に比べて「前に出る力・相撲」は戻っていませんが、動きのスピードは十分です。体中に故障を抱えている状態ですから、もりもりと前に出るのは少し早いと感じているのかもしれません。

 いずれにしても、仕切りを重ねる安美錦は「力強さ」に溢れています。

 来月10月3日には39歳となる安美関ですが、その姿を再び幕ノ内の土俵で観られる日が近づいていると思います。

 当代最高の技士の活躍から、眼が離せません。
 9月10日に幕を上げた9月場所ですが、休場力士が相次ぐ状況になっています。
 残念至極です。

 初日に5力士が休場しました。
① 横綱 白鵬
② 横綱 稀勢の里
③ 横綱 鶴竜
④ 前頭 碧山
⑤ 前頭 佐田の海

 昭和以降初めてという「初日からの3横綱休場」ですが、そもそも横綱が3名以上いないと起こりえないことですので、「4横綱の場所ならでは」といって良いのでしょう。
 とはいえ、4名の横綱の内3名が休場、それも初日から休場というのは、お客様にとってはとても残念なことであることは間違いありません。
 豪華絢爛な4横綱の土俵入りを楽しみにしていたファンにとっては、一人横綱の風景に接することになったのは、相当に期待外れということになります。

 加えて、7月場所で13勝を挙げて、実質的な「準優勝力士」であった碧山、そして当代屈指の技士・佐田の海までもが休場となったのですから、驚きました。
 止むを得ないこととはいえ、各力士のファンにとっては寂しい限りでしょう。

 出場してきた他の力士、特に上位の力士の頑張りが期待される場所となったのですが、2日目の土俵で波乱が連続して起きました。
 大関高安と宇良が、取組後「車椅子で運ばれた」のです。

 激しい相撲の結果とはいえ、3横綱+2力士の休場という場所の主役となりそうであった両力士が、到底本場所で相撲を取り続けることが困難であろうという怪我を負ったのです。

 そして、3日目に

⑥ 大関 高安
⑦ 前頭 宇良

 の休場が発表されました。

 大相撲界にとっては、とても大きなインパクトのある事象でしょう。
 現在、人気絶頂の大相撲とはいえ、その人気の中核・基礎となる7名の力士の離脱なのですから。

 残った力士が土俵を盛り上げていかなくてはならないことは、いまさら言うまでもないことでしょう。

 ところで、初日の土俵は「白熱した相撲の連続」という印象でした。
 多くの取組が、攻防のある、力の入った相撲だったのです。
 3横綱の休場を踏まえて、各力士が一生懸命の相撲を魅せてくれたということなのでしょうけれども、「優勝のチャンスが広がった」という意識が各力士にあったのかもしれません。

 厚い壁である4横綱が、ひとりに減ったのですから、上位力士のみならず、前頭下位の力士にも幕ノ内最高優勝のチャンスが拡大したことは間違いありません。

 もちろん、優勝争いの中心は横綱・日馬富士ですが、9月場所はとても多くの力士にチャンスのある場所となりました。
 故障を抱える日馬富士の体調がベストとは思えませんので、12勝3敗あるいは11勝4敗でも優勝できる場所なのかもしれませんから、どの力士も1つや2つの黒星で意気消沈しては居られないのです。

 4横綱が揃っていたとしても、上位と下位の力量差が小さくなってきたことから、場所前に「大混戦」と予想しましたけれども、7力士が休場することとなった以上は、2017年9月場所は「大大混戦」となるのでしょう。

 やはり、見所満載なのです。
 2017年9月10日に開幕する、大相撲9月場所の注目力士検討です。

 4横綱・3大関という豪華な番付に加えて、関脇から幕の内上位には元気の良い力士が目白押しの場所となりました。
 優勝争いは「大混戦」でしょう。

1. 横綱

 「安定感」という面から、今場所は白鵬を挙げたいと思います。

 稀勢の里の回復度合いは分からないところですが、この怪我は回復に時間がかかるものだと思いますので、年内一杯は無理をしない方が良いように感じます。
 稀勢の里には「勇気ある休場」が良いのではないでしょうか。

2. 大関陣

 「勢い」という面から、高安を挙げようと思います。

 地力という面では甲乙つけがたい3大関ですが、やはり近時の勢いでは高安が少しリードしているのでしょう。

3. 関脇以下の力士

③御嶽海

 すっかり、三役に定着しました。「考えて取る相撲」も相変わらずです。
 近時は、下位の力士に「楽をして勝とう?」というように見られても仕方がない取り口で、星を落とすことが時折見られます。「どの力士にも全力」の取り口を展開すれば、優勝も夢ではないと思います。

④豊山

 新入幕の場所は「跳ね返され」ました。どちらかというと「自分の相撲が取れなかった」という感じでしょう。2度目の今回は、思い切り土俵で暴れていただきたいものです。

⑤北勝富士

 力を付けてきました。幕の内上位に定着する力は有ると思います。この力士も「良く考えて」取りますから、毎場所ノウハウが蓄積されているのです。

⑥遠藤

 前頭14枚目まで番付を下げました。故障の影響もあるのでしょうが、前に出る力とスピードが不足していたことも事実なのでしょう。相撲センスは抜群ですから、「自分の相撲」を取り切ることが出来れば、星は自然に上がりそうです。

⑦玉鷲

 7月場所は、やや元気が有りませんでした。やや荒々しさに欠けていたというところでしょう。9月場所はコンディションを整えていただき、本来のパワー相撲を展開していただきたいものです。

⑧宇良

 前頭4枚目まで上がりました。十両下位の頃を思い出すと、正直に言って、驚きです。
 体重を増やしながら、前に出る力を養ってきたのです。さすがに家賃が高いという見方もあるのでしょうが、どれくらい活躍してくれるか楽しみでもあります。

⑨碧山

 7月場所の前半は、目を見張るような相撲が続きました。このところの不振を一気に吹き飛ばしてくれたのです。
 この相撲なら、番付が上がっても頑張れそうです。思い切りとっていただきたいものです。

⑩正代

 相手力士に相撲を覚えられたかのような7月場所でしたが、実際には自分の相撲が取れていなかったのでしょう。コンディションが悪かったのかもしれません。
 本来の力を出せば、直ぐに三役に戻れそうです。

 9月場所は、以上の10力士に期待します。

 嘉風、栃ノ心、勢、宝富士、豪風といったベテラン勢の奮起も、とても楽しみです。
 横綱・白鵬の39回目の優勝で幕を閉じた7月場所ですが、2つの大きな記録が達成されました。

① 白鵬関の通算1,050勝

 元大関・魁皇の1,047勝、元横綱・千代の富士の1,045勝という歴代1・2位の記録を、7月場所で一気に抜き去り、1,050勝まで伸ばしました。

 千代の富士が1,000勝を達成した時、「空前の記録」と呼ばれ、多くの相撲関係者から「レベルが高すぎて想像も出来ない記録」と言われていたことを思い出します。
 その記録を魁皇が更新し、そして今場所、白鵬が更新したのです。

 この記録を、白鵬はどこまで伸ばしていくのでしょうか。

② 日馬富士関の幕内701勝

 7月場所で11勝を挙げた、横綱・日馬富士の幕内通算勝ち星が701勝となり、歴代7位の元横綱・貴乃花に並びました。

 ちなみに、この記録の歴代1位は白鵬の955勝、2位は魁皇の879勝、3位は千代の富士の807勝、4位は北の湖の804勝、5位は大鵬の746勝、6位は武蔵丸の706勝となっています。

 千代の富士、北の湖、大鵬、貴乃花と、20回以上の優勝回数を誇る横綱の中に、日馬富士が食い込んできているのです。
 素晴らしいことだと思います。
 
 この記録は、横綱経験者にとっては、「横綱の地位に長く居る」ことによって積み上げが可能な記録ですから、日馬富士の息の長さ、故障・怪我を乗り越えてきたキャリアが感じられるのです。
 「横綱の地位に長く居る」ことが、とても大変なことであることは、皆さんご承知の通りです。
 2012年11月場所に横綱に昇進した日馬富士は、横綱としてそろそろ丸5年を迎えようとしているのです。

 白鵬と日馬富士、モンゴル出身の2人の横綱は、大相撲の歴史に大きな足跡を残し続けています。
 そして、何より「長い間、横綱の地位を守っている」のが、素晴らしいところなのだと思うのです。
 新大関・高安の誕生により、4横綱・3大関という豪華な番付となった7月場所も中日を終えました。

 ある意味では順当な、ある意味では意外な展開となっています。

① 横綱・白鵬が8連勝

 先場所、久し振りの優勝を飾った白鵬が、今場所も白星を重ねています。
 「自在の相撲」という感じの取口が続いています。立合いで思い切りぶつかるのではなく、相手によって様々なパターンで取組を開始するのです。

 序盤は、こんな取口では一気に押し込まれた時などには苦戦の怖れが有ると感じましたが、その自在性のレベルが高いのでしょう、相手力士を次々と倒し、全勝を維持しているのです。
 見事な取口と言って良いのでしょう。

 とはいえ、こうした取り口で15日間を取り切ることが出来るとすれば、「立合いは鋭く強い当たりが不可欠」と言われてきた、大相撲の長い歴史に疑問符が付く、「立合いは相手の力を削ぐ対応が良い」「無理に全力で当たる必要はない」と言うことになってしまうかもしれません。
 「大相撲の在り様の変化」に結び付く場所になる可能性もありそうです。

② 大関・高安の相撲

 初日、北勝富士に押し込まれ、良いところ無く敗れた時には、「新」大関の重圧が想像以上に重いのかとも感じられましたが、2日目から建て直し、中日まで連勝を続けているのは、さすがというところです。

 6日目の栃ノ心との相撲は、1分を優に超える長いものとなりましたが、これも勝ち切りました。慌てず騒がず、自らの相撲を取り切る姿勢は素晴らしいと感じます。

③ 碧山の健闘

 このところ、かつての強烈な押しが影を潜め、取組の途中で「押す体制が崩れて」敗れることが増えて、不本意な場所を続けて来た碧山が、見事な活躍を披露しています。
 「復活」という感じがします。

 7連勝の後、中日は阿武咲に敗れてしまいましたけれども、圧倒的なパワーという武器をベースに、引き続き大暴れしていただきたいと思います。

④ 宇良の頑張り

 自己最高位・東前頭4枚目まで上がってきた宇良の健闘が光ります。

 中日を終えて5勝3敗。横綱との取組も含めて、上位との対戦が続く中では大健闘でしょう。
 体重が増え、前に出る力が強くなっていること、そして機を見るに敏な取口に磨きがかかってきたことが好調の要因だと思います。
 上位との取組も「十分に相撲になっている」のです。

 伸び盛りの期待の力士の後半戦の活躍から、眼が離せません。

⑤ 御嶽海の存在感

 関脇として、存分な働きでしょう。
 相変わらず、対戦相手毎にしっかりと事前研究を行い、毎日取り口を決めて取組に臨み、それを実行するという相撲は、日々の成長にも結び付いていると思います。

 こうした姿勢を継続していただきたいと思いますけれども、一方で、前に出る力の強化も継続して欲しいと感じます。相撲の基本である前に出るパワーの一層の強化が、もう一つ上の番付への昇進のポイントなのです。

 鶴竜、稀勢の里、照ノ富士、遠藤といった「看板力士」の相次ぐ休場は本当に残念ですけれども、白鵬を中心とした優勝争いは、後半戦が勝負だと思います。
 先頭を行く力士の相撲に、どっしりとした盤石の強さは感じられませんから、まだまだ多くの力士にチャンスが有るのではないでしょうか。
 4日目に横綱・鶴竜の休場が報じられ、6日目には横綱・稀勢の里と大関・照ノ富士が休場することとなりました。
 とても残念なことです。

 4横綱3大関という「豪華絢爛な場所」としてスタートした7月場所でしたが、前半の内に2横綱・1大関が戦線を離脱してしまったのです。

 休場の原因は、個々の力士ごとに異なりますが、「怪我・故障」が主たる理由である点は、共通しています。

 特に、稀勢の里と照ノ富士については、過去に痛めた故障に、新たな故障が加わった、あるいは再発したといった様相です。

 「角界を背負う」人気力士が、そうそう簡単に休場することは出来ない、看板力士は場所開催に不可欠、といった考え方があるのはプロスポーツとして当然のことでしょうが、一方で「重い故障」であれば、じっくりと治療することも必要だと感じます。
 「角界を背負う」人気力士を再起不能に追い込む、あるいは本来なら数ヶ月で完治するものが、数年に及ぶ、あるいは直らない、というのでは角界にとっての大きな損失でしょうし、パフォーマンス十分な相撲を見てもらえないとすれば、ファンの期待にも背くことになります。

 「直ぐに横綱に昇進するだろう」と言われていた照ノ富士が、初優勝したころとは全然違う相撲しか取れないということ、久しぶりの日本出身横綱として、現在の大相撲人気の一翼を担っている稀勢の里が、得意の左差しが使えず、勝ったり負けたりを繰り返しているというのは、ファンの期待に応えているとは到底言えない姿でしょう。

 プロのプレーヤーであれば誰でも故障を持っている、という意見もあるのでしょうが、そのプレーヤーの持ち味を半減させるような故障は対応しなくてはなりません。
 そもそも、そのプレーヤーがプロフェッショナルとしてプレーする前提が崩れているのですから。

 休場した横綱・大関が「ファンが望む姿」になるまで(勝ち負けでは無く、取口として)、しっかりと治療していただくことができないものかと思うのです。

 7月9日に開幕する、大相撲7月場所の注目力士検討です。

 5月場所は、横綱・白鵬が38回目の優勝を遂げました。自身の持つ最多優勝記録を更新したのです。
 一方で、高安が大関昇進を決める場所ともなりました。

 7月場所は久し振りの「四横綱三大関」という豪華な番付となったのです。

 さて、注目力士の検討です。

1. 横綱陣

 5月場所では、鶴竜、稀勢の里が途中休場しました。日馬富士は終盤まで優勝争いに加わりましたが、力尽きた形。ここはやはり、先場所優勝の白鵬が最有力に観えます。

 しかし、キャリア終盤の横綱が連続優勝するのは容易なことでは無い、との見方もあります。

 こうした状況下で、横綱をひとり選ぶのはとても難しいことですが、稀勢の里の故障からの回復には、まだまだ時間がかかると見て、白鵬にしたいと思います。
 最多勝記録更新に向けた、気迫溢れる取り口に期待しましょう。

2. 大関陣

 新大関・高安に期待します。体調を整えて、大相撲新時代の相撲を披露してくれることでしょう。初優勝への期待もかかります。

3. 関脇以下の力士

③御嶽海

 ついに関脇まで上がってきました。良く考えた上で、気迫十分な取口を魅せてくれる力士ですので、大関取りの足場となる場所にして欲しいものです。

④正代

 5月場所は、少し前に出る力が不足していました。ご本人も十分に認識していると思いますので、場所前の稽古・対策立案は万全でしょう。

⑤隠岐の海

 故障からの回復度合い次第ですが、前頭9枚目であれば本来大勝ちしてしかるべき力士です。復活の場所にして欲しいものです。

⑥宝富士

 このところ、やや「もろい負け方」が目立ちますが、まだまだ老け込むには早いと感じます。大関候補と言われたころの「もりもり前に出る相撲」を魅せて欲しいものです。

⑦北勝富士

 いつの間にか、と言う感じで前頭2枚目まで番付を上げてきました。機を見るに敏な相撲が特徴でしょう。勝ち越すことがとても難しい番付けですが、持ち味を発揮してほしいものです。

⑧豪風

 さすがの大ベテランも、少し衰えが見えて来たかと言われていますが、この数場所は少し休んでいたのであろうと見ています。7月は大活躍の場所でしょう。

⑨貴景勝

 伸び盛り、次代を担う力士です。勉強の場所となるのでしょうが、自らの相撲を存分に披露していただきたいものです。

⑩宇良

 ひとまわり体が大きくなって、相撲が正攻法になってきました。もともと柔軟性には定評がありますから、上位相手でも怯むことなく取っていただきたいと思います。

 7月場所は、以上の10力士に期待します。

 御嶽海、正代や貴景勝、宇良といった新世代の力士と、遠藤、逸ノ城といった中核世代の力士、そしてベテラン勢が相俟って、激しい取組が展開されることでしょう。

 色々な意味で「暑い名古屋場所」になりそうです。
[5月28日・千秋楽]
正代○(寄り切り)●御嶽海

 小結・御嶽海と前頭5枚目・正代の対戦は、両力士一歩も引かない攻防から、正代が寄り切りました。力の入った大相撲でした。

 先場所の負け越しにより西前頭5枚目まで番付を下げていたとはいえ、正代は既に三役の常連ですし、この対戦に敗れたとはいえ、しっかりと勝ち越した御嶽海も堂々たる三役力士です。

 稀勢の里が横綱になり、高安が大関に昇進するなど、大相撲の世代交代・地殻変動が続いていますけれども、正代と御嶽海は次代を背負う関取ですし、2力士の取組が今後の「看板取組」のひとつになっていくであろうことも、間違いが無いのでしょう。

 本取組のように、「がっぷりと組み合った形」となれば、現状では正代の地力が勝ります。
 御嶽海は「相手力士との動き合いの中で勝機を見出していくタイプ」なのでしょう。

 一方で、御嶽海の「相手力士についての取組前の研究・作戦立案」は、現役の幕の内力士の中でもトップクラスだと感じます。
 相手が横綱・大関といった格上の力士でも、自らが決めた作戦・戦術に則って、実に思い切った取口を披露してくれます。
 それが上手く行けば好勝負となり、上手く行かなければあっさりと土俵を割ることもあるのですが、「敵を知り、己を知れば・・・」という孫子の兵法にもあるように、自らの力量、相手力士の力量、自らの得意技・得意な形、相手力士の弱点、等々を研究し、毎場所様々な作戦を立案・実行する御嶽海の相撲は、観ていてとても面白いものですし、感心させられることが度々あります。

 どんなに力量上位の力士でも、御嶽海を相手にする時には、十分な注意が必要なのです。

 正代の方はといえば、恵まれた体躯をベースに「前に出る力」では既に幕の内トップクラスでしょう。
 立ち合いで「そっくり返ってしまう」という欠点が指摘されますが、柔らかい体の動きで、相手力士を一度受け止めてしまえば、後は存分に料理してくれます。「相撲力が強い」タイプなのでしょう。

 「正代VS御嶽海」。
 これから何番の取組を観ることになるのでしょうか。
 まさに「次代の看板取組」なのです。
 5月場所を11勝4敗の好成績で終えた高安が、5月31日、大関に昇進しました。

 直近3場所で34勝を挙げた成績と、3場所共に11勝以上という安定感、そして横綱をも破るという強さ、が評価されての大関昇進でしょう。

 先輩の稀勢の里や琴奨菊が、直近3場所32勝で大関昇進を果たしていることと比較すれば、星勘定では問題の無い水準なのでしょうが、比較的慎重な見方が多かったのは、「稀勢の里との取組が無い」ことを考慮してのことかもしれません。

 いずれにしても、堂々たる相撲振りでの昇進に、大きな拍手を送ります。

 今場所というか、最近の高安の本場所での相撲、特に10日目までの強さは素晴らしいものがあります。テレビ放送の解説者の皆さんも「大関どころか、その上のレベル」といったコメントを残しています。
 強烈な立ち合いから、短時間で勝負を付ける取口は、確かに「強い」という印象です。

 一方で11日目以降の相撲には、毎場所やや精彩がありません。
 ここが不思議なところです。

 5月場所も、13日目に横綱・日馬富士を破って11勝目を挙げた後、14日目・正代、千秋楽・照ノ富士と連敗しました。

 終盤に星が上がらないというのが、現在の高安の弱点とも言えそうです。

① 終盤の対戦相手は強い。

 関脇・高安の終盤戦の対戦相手は、横綱や大関であることが多いので、前半戦や中盤戦とは相手が違うというのは間違いないところでしょうが、一方で前半戦や中盤戦でも横綱・大関と当たり、これに勝利していることも多いので、これだけが理由ではなさそうです。

② ほっとする。

 八角理事長のコメントにもあったように、目標を達成してホッとしてしまった、ということは考えられるのでしょうが、そうなると3月場所や1月場所の終盤の連敗の説明が付きません。

 1月場所も3月場所も、圧倒的な強さで10日目までを戦っていたのです。
 大関昇進を目指す過程では、11勝よりも12勝、12勝よりも13勝、そして関脇での優勝の方が、より確度が上がる筈です。

③ 「疲れ」

 特に、精神面の「疲れ」が要因なのではないでしょうか。
 私は、これが大きいと勝手に考えています。

 現時点の高安は、15日間を戦い切る「精神面の持続力」が不足しているのではないでしょうか。
 11日目以降に、心身の疲れが出るのでしょう。

 そうすると、その精神面の持続力が養われたとき、高安はとても強い力士、15戦全勝をいつも狙える力士になれることになります。

 これが、八角理事長の言う「伸びしろ」なのかもしれません。

 いずれにしても、かつての鳴門部屋(元横綱・隆の里が親方)、出稽古厳禁の鳴門部屋で、互いに切磋琢磨してきた、常に2人で稽古を積み重ねてきた、稀勢の里と高安が、横綱と大関になったのです。

 相撲協会の使者を迎えての伝達式において、横綱・稀勢の里は本当に嬉しそうでした。自らの横綱昇進の時より嬉しそうにも見えました。
 そういえば、稀勢の里の初優勝の時、優勝パレードで旗手を務めた高安は本当に嬉しそうでした。まるで自分のことの様にはしゃいでいたのが印象的でした。

 私には、「とても強い兄弟力士」のように見えます。
 5月28日に千秋楽を迎えた、大相撲2017年5月場所は、横綱・白鵬が全勝優勝を飾りました。
 1年ぶり、38回目の優勝でした。

 「第一人者」「大横綱」と称され、史上最多の優勝回数を誇る白鵬ですが、久しぶりの優勝ということもあってか、表彰式における横綱の表情はとても明るかったと感じます。

 何より、体が一回り大きくなったという印象を受けました。
 昨年の故障、秋の手術を経て、「徹底的に体作り」を行ったと報じられていましたが、眼に見える形で現れたのでしょう。

 もともと、身長192cmと長身の力士ですが、体全体がふっくらとし、柔軟性の向上も感じました。
 「さすがの改善」だったのです。

 今場所の取り口は「変幻自在」でした。このところの攻め続ける相撲の完成度が上がったのです。
 一方では、千秋楽の横綱・日馬富士との相撲のように、不利な体勢でもじっくりと我慢し、上手を取ってから勝負、1分半の相撲を勝ち切るという、粘り強さ・重厚さも身に付けました。
 慌てて動くことが無かったのです。
 体の改造・改善が、心の余裕にも結び付いていたのかもしれません。

 表彰式における優勝力士インタビューで、「ただいま帰ってきました」とコメントした白鵬関には、自信がみなぎっていました。

 大横綱・白鵬の「優勝40回」「通算1,048勝」への前進が、再開されたのでしょう。
 連日大入り満員の5月場所は、相撲内容も充実しているように観えます。
 熱戦が続くのです。
 恒例により、中日8日目を終えて、振り返ってみようと思います。

 まずは横綱陣。
 日馬富士と白鵬が8戦全勝とトップを走っています。失礼な書き方で恐縮ですが、意外な展開という見方もありそうです。
 このところ、前半で取りこぼすことが多かった両横綱が、快調な取口を魅せているのです。もう少し「混戦」になると予想していた優勝争いですが、この2横綱を中心としたものになることは間違いありません。

 稀勢の里は2敗しました。
 初日の嘉風戦の負け方を見ると、15日間取り切れるのか心配になりましたが、その後は慎重な取口を見せて、何とか取り続けています。
 とはいえ、必殺の「左からの強烈なおっつけ」は全く見られませんので、故障の回復にはまだまだ時間がかかりそうですし、ここで無理をして回復に悪影響が出るのも回避したいところですから、今場所は15日間取り切ることに意義を見出したいものです。

 鶴竜の休場は残念です。
 やはり、「四横綱が揃って15日間を全うする」ことの難しさを感ぜざるを得ません。

 大関陣は、照ノ富士が2敗、豪栄道が3敗となっています。
 初日・2日目と完敗した時には、照ノ富士の不調が目につきましたが、日を追うにしたがって調子を戻してきました。「後半戦の台風の目」となりそうです。
 豪栄道に対しては、番付が下の力士も思い切ってぶつかっていっている印象です。大関としては、持ち味の「圧倒的なスピード相撲」を繰り出して対抗していくほかは無いでしょう。

 関脇・小結では、高安と玉鷲の強さが際立ちます。
 高安の5日目までの相撲は、「大関を通り越して横綱クラス」との評が出る程でした。確かに、立ち合いの当たりの強さで相手力士を圧倒し、短い時間で勝負を決める取口は素晴らしいものです。

 このところ、10日目以降に連敗するという傾向が見られますから、ここをどのように乗り切るかがポイントでしょう。まだまだ、優勝も狙える位置に居ます。

 玉鷲も二桁勝利に向かって驀進しています。前に出る力という点では、大相撲界屈指の存在となりました。

 御嶽海と嘉風の両小結は、よく健闘していますが、3勝とさすがに星は上がっていません。無理もない番付ですが、後半戦での下位力士との取組で勝ち越しを狙いたいところです。

 平幕では、正代、北勝富士、栃ノ心、輝、宇良、大翔丸が2敗です。
 中日の段階で、平幕に全勝・1敗力士がいないというのも、珍しいのではないでしょうか。

 一方で2敗力士が6名も居るのですから、今場所の「拮抗した激しい相撲が続く」状況を、星取表が明確に表しているのだと感じます。

 正代は、本来の「ぶちかまし」の威力が戻りましたので、地力の高い力士ですから星が上がるのも自然なことです。
 栃ノ心は、怪我の具合が相当良いのでしょう。かつての相撲を思わせる、力強い取り口が蘇りました。
 北勝富士は力を付けました。栃煌山、宝富士という実力者を続けて破った7日目・8日目の取組内容に表れています。一場所ごとに地力を挙げている力士だと思います。

 健闘が目立つのは輝でしょう。
 もともと、下半身が脆いところがあって、相手力士の左右への変化に付いていけないタイプでしたが、今場所は連敗後、「自ら相撲を作る」取口に変わりました。こうなると「大きな体」が生きるのです。
 受け身から能動へ、この相撲を続けることが出来れば、一段のレベルアップとなります。

 宇良の相撲は、見事の一語でしょう。
 ひとまわり大きくなった体を縦横に使って、どの相撲も自らの力を発揮していますから、見ごたえ十分。エンターティンメントとして、最も「プロフェッショナル」な力士と呼んでもよいのかもしれません。
 一皮むけた感がありますので、今後の活躍が大いに期待されます。

 大翔丸は、幕の内の相撲に慣れたというところでしょうか。このところ、じりじりと番付を下げてきましたので、このあたりで一気に大勝をして、前頭上位進出を目指したいところでしょう。

 3敗以下の力士では、勢の相撲に「勢い」が戻ってきた印象です。人気力士ですから、場所を大いに盛り上げてくれています。

 一方で、逸ノ城の「ふがいなさ」は残念なところです。
 あの上がってきた頃のパワフルで器用な相撲を、どこに忘れてきてしまったのでしょうか。
 勝ち負けを気にすることなく、思い切って取っていただくだけで、三役の力があることは証明されているのですから、もったいないと感じます。

 盛り上がりを魅せてくれている5月場所。
 9日目以降も、思いもよらぬ展開が待っているような気がします。

 幕内最高優勝の行方は、全く分かりません。
 5月14日から始まる、大相撲5月場所の注目力士検討です。

 この場所の人気は凄まじいものがあり、チケットはなかなか入手できません。
 愚妻などは「大相撲の人気が上がるのは良いけれど、40年来の相撲ファン、国技館に毎場所行っていたファンにとっては本当に大変な状況になったわ」と漏らしています。
 桟敷席のチケットを「入札」で手に入れる、それも数十万円・百万円以上かけて、というのは現実的な話ではありませんから、相撲協会には「チケットの転売を禁ずる・制限する方策」の実行を、お願いしたいところです。

 この数年盛り上がりを見せていた大相撲の人気が「沸騰状態」になった最大の要因は、横綱・稀勢の里の誕生であることは、間違いないことでしょう。

 デビューとなった3月場所は大阪場所でしたので、東京や関東のファンにとっては、横綱・稀勢の里の姿、土俵入りを生で観ることが出来る最初の場所が、5月場所なのです。チケットがプラチナ化するのも無理のないところでしょう。

 さて、注目力士です。

1. 横綱陣

 3月場所の終盤に大きな故障をしてしまった稀勢の里、早々に休場した白鵬、調子が上がらなかった日馬富士、鶴竜、となれば、横綱陣の中から注目力士を選ぶのは、とても難しいことになります。

 特に、稀勢の里の回復度合いはなかなか分からないところでしょう。「筋肉損傷型の怪我」は、回復に時間がかかるとされていて、本当に良くなるには「年単位」だとも言われます。
 従って、5月場所の稀勢の里が本来の力を発揮できる状態ではないことは間違いなさそうです。問題は完調時の「何割位の状態か」ということですが、二所一門の連合稽古や、その後の三役力士との稽古をテレビニュースで見る限り、「左を差すことはできるが、左のおっつけはできない」といった様子でしょう。

 その稀勢の里が「手負い」の状態で、どれくらい戦えるか、場所中に怪我が悪化して休場する可能性、等々が検討項目となります。

 白鵬、日馬富士、鶴竜の体調についても、部外者の私には分からないことだらけです。

 以上から、今場所も稀勢の里に注目したいと思います。
 初優勝から「3場所連続優勝」という大記録を目指して、稀勢の里は「慎重」な「よく考えられた」取り口を展開してくれるものと期待しています。

2. 大関陣

 2人になってしまった大関陣。少し前は4人体制で合ったことを思うと、ややさびしい感じがしますが、照ノ富士、豪栄道共に元気な様子ですので、大活躍を魅せてくれそうです。

 大関陣の注目力士としては、やはり先場所準優勝の照ノ富士を挙げたいと思います。
 先場所は「ほぼ手にした感のあった」優勝を、決定戦の末に稀勢の里に奪われた形ですので、巻き返しに向けての奮起が観られそうです。おそらく、膝等の故障個所も相当良くなってきているのでしょう。

3. 関脇以下の力士

③高安
 
 大関が2人という状況下、「大関の椅子」は空いていると言っても良いのでしょう。その椅子に最も近いのが両関脇であることも、間違いありません。
 場所前の白鵬との3番稽古が報じられている通りに、高安も元気な様子ですから、「初優勝」を目指しての健闘に期待します。

④豊山

 懐かし四股名が帰ってきました。
 小柳改め「豊山」が誕生したのです。あの大関・豊山と同じ新潟県出身力士ですから、その名前に込める思いもひとしおでしょう。
 初入幕力士の元気いっぱいの相撲に期待します。

⑤御嶽海

 先場所は少し研究された感がありましたが、相手力士を上回る研究を期待しています。次代を背負う力士としての御嶽海の相撲が、とても楽しみです。

⑥魁聖

 前頭15枚目というのは、信じられない番付です。先場所は、持病の腰痛が再発したのでしょうか。暖かくなってきましたので、コンディションさえ整えば、この番付なら二桁勝利、ひょっとすると優勝も狙えるのではないかと思います。

⑦遠藤

 前頭筆頭に上がってきました。現在の大相撲の人気の礎となった力士ですが、ひざの故障からの回復に手間取りました。先場所の前半は、その不安を感じさせない活躍でしたが、後半には再び故障が気になる取口となってしまいました。
 回復していることを祈りつつ、活躍に期待したいと思います。

⑧正代

 先場所は、持ち前の馬力、前に出るパワーが不足していた印象です。取り口を考えるあまり、相撲を取ることを忘れてしまった場所だったかもしれません。心機一転、上がってきた頃の「思い切った相撲」を繰り広げていただければ、自ずと星は上がるでしょう。

⑨石浦

 先場所は、相撲を覚えられてしまった感じでしたが、今場所は、また新しい戦法を展開してくれそうな気がします。こうした小兵力士の成績にはムラがあるものでしょう。5月場所は、活躍する番だと思います。

⑩阿武咲

 この力士の相撲が幕の内で観られるのです。20歳そこそこという、21世紀としてはとても若い幕の内力士の「元気いっぱいの相撲」に期待がかかります。

 5月場所は、以上の10名の力士に期待したいと思います。

 3月場所に続いて、5月場所も、横綱・大関・関脇・小結・前頭のどこから優勝力士が出るのか、全く分からない「大混戦」であろうと思います。
 充実した土俵に期待しましょう。
 自己最高位の東前頭2枚目で相撲を取った蒼国来は、初めて全ての横綱・大関と取組が組まれる位置で、15日間を戦い抜きました。

 3日目、横綱・日馬富士との対戦は、初めての「結びの一番」でしたが、これを白星としました。金星を挙げたのです。

 取組後のインタビューの中で「結びで取るのが夢だった」と語りました。
 
 その様子は、本当に嬉しそうでした。

 確かに、力士になった以上は、関取となり、幕の内に昇進し、そして結びの一番、その日の最後の取組のために土俵に上がることが「大きな夢」なのでしょう。

 特に、中国内モンゴル自治区から来日し、2011年の「八百長問題」で一度は解雇となった蒼国来にとっては、番付を上げて結びの一番で相撲を取ることは、憧れであり夢であったろうと感じます。

 八百長問題で解雇となった後、「自分は絶対にやっていない」と言い続け、友人宅を転々としながら、公園等でトレーニングを積んでいたと報じられています。
 大変な努力です。

 そして、裁判を経て、2年半ぶりに復帰したのです。
 2013年7月場所、番付は西前頭15枚目でした。

 その7月場所、土俵に上がった蒼国来の体は、痩せ細っていました。やはり、公園等でのたったひとりでのトレーニングや、友人宅での食生活では、大相撲の力士、ましてや幕の内力士としての体躯を維持することは難しかったのです。

 当然のように「負け越し」の場所が続き、番付は東十両11枚目まで下がりました。
 幕下も間近という番付です。
 蒼国来は、力士を続けられるのだろうか、と心配したものです。
 とはいえ、体躯の方は徐々に充実し、パワーがついてきた印象でした。

 2014年3月場所では11勝4敗の好成績を上げて、5月場所に幕の内に復帰、以降の幕の内力士としての安定した相撲振りは、ご承知の通りです。

 身長185cm・体重146㎏と、現在の幕の内では小柄に入る体格ですが、相撲は正攻法そのもの。立合いの変化を、私は見たことがありません。
 現在では珍しい「正統派の四つ相撲」です。パワーも備えていて、「つり技」も時々披露してくれるのです。

 2017年3月場所の蒼国来は、場所の後半はやや精彩を欠きました。
 4勝11敗で場所を終えています。
 疲れが出たのであろうと思いますが、どこか故障でもしていないか、少し心配です。

 その真面目な取口と大相撲への情熱をもって、再び番付を上げ、三役昇進を狙っていただきたいものです。
 2017年3月場所は、2000年3月場所以来の「四横綱」の場所となりました。

 「四横綱」自体は、それ程珍しいことでは無く、今回が「16度目」ということになります。

 とはいえ、現在の大相撲ファンにとっては、1990年9月場所に始まり1991年5月場所まで続いた「千代の富士、北勝海、大乃国、旭富士」の四横綱時代(14度目・5場所・千代の富士の引退により終了)と、1999年7月場所に始まり2000年3月場所まで続いた「曙、貴乃花、若乃花、武蔵丸」の四横綱時代(15度目・5場所・若乃花の引退により終了)が記憶に新しいところでしょう。

 ところで、四横綱時代においては「四横綱が揃って土俵に上がる日」は多くはありません。
 どうしても休場が多くなってしまうのです。

 例えば、14度目の時の最初の場所・1990年9月場所では千代の富士と大乃国が全休でしたから、観客にとっては2横綱の場所でした。この14度目の四横綱時代において、四横綱が揃って15日間を皆勤したのは1990年11月場所の1場所だけでした。

 15度目の四横綱時代には、四横綱が揃って15日間を皆勤した場所は1場所も有りませんでした。
 1990年から現在に至るまでの28年間に渡って、四横綱が揃って1場所・15日間の土俵を務め上げた場所は、僅かに1場所しかなかったことになります。

 さて2017年3月場所はどうか、と思っていましたが、白鵬が5日目から休場しました。
 やはり「四横綱15日間皆勤」は難しいものなのでしょう。

 四度の横綱土俵入りを始めとして、四横綱時代は「豪華絢爛」な空気が漂います。

 14度目も15度目も、四横綱時代は5場所で幕を閉じています。1年間続いていないのです。

 長く在位している横綱と昇格したばかりの横綱が併存しているからこそ、四横綱が実現するのでしょうから、その寿命が短いのも止むを得ないことなのかもしれませんが、1日でも長く続いていただきたいと思いますし、四横綱が揃って土俵に上がる日が1日でも多くあって欲しいと思います。
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