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 熱戦が続いた夏の甲子園2017の観客動員数は83万人近くに達し、10年連続で「80万人越え」となったことが報じられました。

 夏の甲子園大会における1大会の最多観客数記録は、1990年の92万9千人です。

 その後、サッカー人気に押されたこともあってか、1996年には64万5千人まで急減しました。
 確かに、20世紀末頃の大会では、地元チームが登場する試合以外は空席が目立っていました。
 スポーツとしての「野球」自体の人気が下がっていったのと並行する動きのように見えたものです。

 ところが21世紀に入って、高校野球人気は息を吹き返しました。
 2006年のハンカチ王子・斎藤祐樹投手とマー君・田中将大投手の投げ合いの頃から客足が戻り始め、2008年から2017年まで10年連続の80万人越えとなっているのです。

 1990年頃の多くの観客動員と現在の観客動員の中身・要因は、異なるように感じます。

 現在は、所謂「団塊の世代」がリタイアし、ようやく「子供の頃やっていた野球」を球場でゆっくりと観ることが出来るようになったことが、大きな理由なのではないでしょうか。

 私の住まいの近くにも野球場が有り、そこで甲子園大会の地方予選や中学校、小学校の試合など、様々なゲームが行われます。
 その観客席には、当然ながら選手のご家族や生徒といった「関係者」が目立ちますが、関係者の横には近所のお年寄り、60歳代から70歳代の男性が相当数見守っています。一部には、奥様と一緒に来ている姿もあります。
 午前中早くから、観客席は賑わっているのです。

 一度球場で、生の試合を観てしまうと、その面白さに「嵌る」のはよく分かります。
 加えて、プロ野球が開催されるような主要な球場ではありませんから、入場料が安価というか、タダという場合も多いのでしょう。

 甲子園大会の地方大会ともなれば、相当に日差しが強く、暑い試合も多いのですが、麦わら帽子などをかぶりサングラスをして、水筒持参で来場し、贔屓のチームを応援しているのです。

 これが、甲子園球場の近くにお住まいの方ともなれば、聖地・甲子園に毎日足を運びたくなるのも道理です。

 こうした観客が増えているとすれば、これからしばらくの間、夏の甲子園大会は観客80万人越えが続くのでしょう。

 子供の頃、野原や空き地で草野球に熱中した世代にとって、高校野球を、ゆっくりと、生で観戦するのは、相当に「幸せ」なことなのです。
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 第99回全国高等学校野球選手権大会は「打の大会」となりました。

 好打者が犇めいた大会でしたが、とても印象的だった3選手を挙げたいと思います。

 ひとり目は、花咲徳栄高校の3番西川選手です。
 「バッティングセンスの塊」と呼ぶにふさわしいプレーヤーでしょう。
 軟らかいスイングから、自在にバットを操ります。何よりタイミングの良さが抜群です。
 まだ細身の体躯であり、パワー面では伸びしろが大きいので、今後の成長がとても楽しみです。
 進路については情報が少ないので分かりませんが、プロに行くとすれば、大打者になる可能性が十分に有ると感じます。

 ふたり目は、広陵高校の3番中村選手です。
 1大会6本塁打という新記録を樹立しました。あの清原選手の記録を破る打者が登場するとは、思いもよりませんでした。
 「インパクトの強さ・長さ」が印象的なプレーヤーです。「これ程に打てる捕手」というのは、近時なかなかいませんので、貴重な存在なのでしょう。
 ここぞというシーンでの勝負強さ、集中力の高さも素晴らしいものでした。

 三人目は東海大菅生高校の遊撃手田中選手です。
 その守備プレーは、本当に見事でした。東海大菅生の試合では、恐縮ながら、相手チームの打球がショートに数多く飛んでほしいとさえ思いました。打球への反応、球際の上手さ、送球の強さと正確性、何より「送球の球筋」が素晴らしいと思います。
 ワンプレー毎に、唸りながら観ていました。
 
 もちろん、甲子園大会は全国の高校生プレーヤーから選りすぐられた、ハイレベルなショートストップが勢揃いするのですけれども、その中でも田中選手のプレーは秀逸でした。
 日本プロ野球はもちろんとして、MLBでそのプレーを観てみたいと感じました。

 例年のことながら、甲子園大会は素晴らしいアスリートが集う大会なのです。
[8月23日・決勝]
花咲徳栄14-4広陵

 第99回全国高等学校野球選手権大会は、史上最多68本塁打が乱舞する大会でした。

 そして、ビッグイニングが毎日のように観られる大会でした。1イニングに5点、6点といった大量点が入るシーンが頻発したのです。

 「勢い」に乗ったチームが試合を制するケースが多い大会でもありました。
 彼我の力量差と言うより、その試合における「勢い」が勝敗を分けたように感じられます。

 決勝戦も、両校の試合に入ってからの「勢い」の違いが勝負を決めたように見えます。

 1回の表、3番西川選手のタイムリーヒットで2点を先制した花咲徳栄が、5回に集中打で6得点、6回に4得点を加えて、試合を決めました。
 こうしたビッグイニングによく観られるように、広陵守備陣のミスが火に油を注いだ格好です。

 決勝戦前の花咲徳栄高校と広陵高校の地力は、「互角」だったのでしょう。
 共に、好打者・好投手を揃え、決勝戦に相応しいカードとなったのです。

 試合における安打数も、16本対13本と大きな差はありません。
 しかし、スコアは14-4と10点差の大差ゲームでした。

 もちろん、ここぞいう局面での好打・好投・好守が得失点を分けたのですけれども、「勢い」に乗って「試合の流れ」を掴んだのは、花咲徳栄だったということでしょう。
 昔から言われていることですけれども、「試合の流れ」というのは怖いものです。

 花咲徳栄の優勝は、埼玉県勢初の選手権制覇でもありました。

 多数の優勝校を輩出している関東地方各都県に在って、強豪校も多数ある埼玉県から、夏の甲子園大会優勝校が出ていないのは、とても不思議なことでした。
 夏の甲子園大会「最大の不思議」と言っても良かったのではないでしょうか。

 1年中屋外で野球をすることができ、人口も多く高校野球選手数も全国屈指、強豪校犇めく関東地方ですから高いレベルの練習試合の相手にも事欠かない、という恵まれた環境にある埼玉県勢が夏の全国制覇を成し遂げていなかったのですから。

 しかし、今大会の花咲徳栄高校チームの優勝により、この「呪縛」から逃れたことも間違いないでしょう。
 今後の甲子園大会における埼玉県勢の活躍が、とても楽しみです。

 広陵高校チームにとっては、とても残念な試合となりました。
 「試合の流れ」をついに掴むことなく、ゲームセットを迎えてしまったのです。
 前述の通り、地力は互角であったと感じます。

 準決勝までの「打ち合いゲームの連続」を観るにつけ、決勝は比較的点の入らない試合になるのではないか、4-3・5-3といったスコアのゲームになるのではないかと予想していましたが、見事に外れました。

 2017年夏の甲子園大会は、まさに「打ち合いの大会」だったのです。
 甲子園大会は準々決勝が一番面白い・・・と、昔から言われ続けてきました。

 これは、準々決勝4試合が1日で行われるときに言われるフレーズです。
 その大会で優勝するチームを必ず眼にすることができるという理由もあるのでしょうが、何より既に複数の試合を戦い勝利を収め、勢いに乗っているチーム同士の試合を、4試合も観戦できるからなのでしょう。

 そして、2017年夏の大会は8月20日に、その4試合が行われたのです。

① 一方的な試合

・第一試合 東海大菅生9-1三本松
・第二試合 天理13-9明豊
・第三試合 広陵10-4仙台育英
・第四試合 花咲徳栄10-1盛岡大付

 4試合とも、一方的な展開となりました。
 もちろん、得点差が一方的だったといっても、試合内容も一方的だったことにはならないのですが、野球が「得点を争う競技」である以上、得失点差が勝負の傾向を表すのは当然のことで、敗れたチームにとっては至極残念なことですけれども、2017年の準々決勝4試合は全て一方的なゲームとなったのです。意外に珍しいことかもしれません。

 第二試合の明豊、第三試合の仙台育英、は共に最終回に猛反撃を魅せましたけれども、時すでに遅しの感は否めませんでした。

② 「先制点」の重み

 4試合とも、先制したチームが勝利を収めました。
 東海大菅生高校は1回裏に3点、天理高校は1回表に6点、広陵高校は1回表に3点と、いずれも1回に2点以上の得点を先制し、その後の試合を優位に進めました。
 花咲徳栄高校は2回表に1点を先制し、2回裏には盛岡大付属高校にすぐに追いつかれたのですけれども、その後毎回のように得点を重ねて、押し切りました。

 高校野球に限らず、野球という競技では、そして野球に限らずサッカーにおいても、やはり「先制点は重い」ものなのでしょう。

 2017年夏の大会のように、1イニングで5得点や6得点は珍しいものでは無いという雰囲気の大会でも、やはり「逆転勝ちは難しい」ことが明示された準々決勝4試合でした。

 準決勝2ゲームにおいても、先制したチーム、特に1回表裏に2点以上を先制したチームが、相当に有利になることは間違いないのでしょう。
[8月19日・大会11日目]
盛岡大付12-7済美

 5回の攻防において、99回の大会の歴史上初のシーンが観られました。

 5回表盛岡大付属高校は、2-2の同点として、満塁で6番の小林選手が打席に入りました。
 小柄な二塁手の小林選手ですから、ヒットが期待される場面でしたが、高々と放った打球はレフトスタンドに跳ねました。
 満塁ホームラン!
 ホームランが多い今大会でも、初の満塁弾でした。

 5回裏、2-6と4点のリードを許した済美高校は満塁と攻め立て、打席には5番の吉岡選手。ここは2点でも3点でも返しておきたいところでしたが、低めの変化球をジャストミートした打球はバックスクリーンに飛び込みました。
 満塁ホームラン!

 1試合2満塁ホームランは、大会史上初めてのことですが、その2本が、5回の表裏に飛び出したのです。凄いとしか言いようがない攻防でした。
 試合は6-6の振り出しに戻ったのです。

 済美高校は7回裏、宇都宮選手のレフトスタンドへのホームランで7-6と勝ち越しました。

 9回の表を迎えて、さしみの「打ち合い」もここまでかと思いましたが、盛岡大付3番の植田選手が左中間にホームランを叩き込みました。
 
 ホームランでリードされた1点を、ホームランで追い付くという、凄まじい展開となったのです。

 10回表盛岡大付は1点を挙げて8-7とリードしました。
 これで10回裏の攻防となるのが「普通の延長戦」でしょう。
 ところが、ランナーを2人置いて3番の植田選手が、2打席連続・2イニング連続のホームランを放ったのです。
 センターバックスクリーンの深部に叩き込む、とても大きなホームランでした。

 試合前、両チームの監督が「7、8点勝負」「8-7、9-8で勝利したい」といった「打ち合いの展開」を予想していました。
 そして、試合はその通りの展開となり、9点を超える得点を挙げた盛岡大付が勝利したのです。

 そもそも「9-8の試合を予想すること」も異例な感じがしますが、その通りの展開となるのですから凄いものです。

 両チーム合わせて5本のホームランが飛び出し、満塁ホームランが2本。
 第99回大会を象徴する試合だったのでしょう。
 
[8月17日・大会9日目第一試合・2回戦]
広陵6-1秀岳館

 強豪同士の対戦は、広陵高校に軍配が上がりました。

 甲子園3大会連続ベスト4の秀岳館高校と「出てくれば強い」広陵高校の対戦でしたが、2回戦で当たるには「もったいない」という戦前評通りの好ゲームとなりました。

 1回表裏から両チームがランナーを二塁に進めるなど、両チームの打線が襲い掛かりましたが、秀岳館の川端、広陵の平本、両先発投手が丁寧な投球を続け、「あと一本」を許さない展開となりました。
 また、2回表の広陵の攻撃、秀岳館の竹輪中堅手の捕殺など、バックの好守も随所に見られました。まさに好ゲームとなったのです。

 4回表に暴投から、広陵が1点を先制しました。この試合では、ところどころでエラーもありましたが、「ギリギリのプレー」から生まれたエラーが多かったと感じます。
 「1点を巡るギリギリのプレー」というのは、昔?の甲子園大会ではよく見られたシーンです。

 5回裏、秀岳館の8番打者、幸地選手がレフトスタンドに本塁打を放ち、試合は1-1の同点となりました。
 これは、本塁打が珍しいものでは無くなった?現代の甲子園大会のシーンとも取れますが、こうした同点ホームランは、かつての甲子園大会でも時折眼にしたものです。

 忘れもしない1979年夏の甲子園、簑島VS星稜の試合、延長18回の末、簑島高校が勝利した試合。球史に残る激戦でした。
 この時、既に社会人だった私は、仕事を終えて、友人と共に職場近くの喫茶店に入りました。テレビが設置されていて、甲子園大会を観戦できるお店です。

 丁度9回を終えて延長戦に入るところでした。簑島と星稜の試合はその日の第4試合だったのです。
 まさか、それから、1杯のアイスコーヒーで、9イニングを観戦することになろうとは、想像もしませんでした。

 この試合で、延長に入ってから、先攻の星稜は2度リードし、その裏後攻の簑島は2度追いつきましたが、これが2度ともソロホームランによるものだったと記憶しています。
 まさに、信じられないような展開だったのです。
 つまり、現在と比べればホームランが少なかった、昔の甲子園大会でも、同点ホームランというのは時折見られたのです。

 従って、今大会この試合の幸地選手の同点ホームランは、甲子園大会の「今でもあり昔でもある」のでしょう。

 1-1の同点の試合は7回表に動きます。

 1死2・3塁から広陵の平元選手(投手)がスクイズを決めたのです。結果として「投手前安打」とはなりましたが、まさにスクイズでした。
 スクイズは、かつての甲子園における常套戦術でした。
 スクイズプレーを巡って、どれほどのドラマが生まれたことでしょう。

 この回広陵は、相手のエラーで2点目も挙げて、3-1とリードしました。

 大接戦の試合は、広陵高校に大きく傾いたのです。

 そして9回表、1死2・3塁チャンスで、広陵の3番・中村選手が3ランホームランを放ちました。試合を決める強烈な一発でした。
 これはもう、間違いなく現代の甲子園大会のシーンでした。
 2試合連続3本目のホームランというのは、かつての甲子園では、まず見られないものでしたが、今大会では複数選手が成し遂げています。
 「ホームランが常態化した高校野球」のシーンなのです。

 広陵高校は、緒戦で中京大中京高校を破り、2回戦で秀岳館高校との接戦を制しました。
 強敵を連破したのです。

 甲子園の名門・広陵高校にとっても、初の夏・全国制覇の絶好のチャンスが訪れたことになります。
 第99回全国高等学校野球選手権大会も2回戦に入りました。

 連日熱戦が続いていますが、今大会は「両チームによく点が入る試合」が多いと思います。
 そして、ホームランが多い大会になっている印象です。

① ひとりで1試合に2本塁打

 特に、同じプレーヤーが1試合で2本塁打を放つケースが時折観られます。
 8月11日の中京大中京VS広陵のゲームでは、広陵の中村選手が、8月12日の北海VS神戸国際大付のゲームでは、神戸国際大付の谷口選手が、8月13日の大垣日大VS天理の試合では、天理の神野選手が、それぞれ2本塁打を放ちました。
 2打席連続ホームランも観られます。

 もともと甲子園大会では、2打席連続本塁打が最高記録であり、3打席連続は無いのですから、この2打席連続ホームランが複数回数記録される大会と言うのは、珍しいことでしょう。
 
② 打球飛距離が伸びている?

 ホームランが多い印象の大会ですが、その飛距離も伸びている感じがします。
 これまでのように「フェンスをギリギリに超える」という当たりよりも、スタンドの中段近くまで飛ぶ本塁打が多いように観えます。
 また、神戸国際大付の谷口選手の2本目のように、右打者がライトポール際に運ぶといった「反対方向への本塁打」も観られます。

 明らかに飛距離が伸びているのですが、これはプレーヤーの体力・技術の向上によるものなのか、他の要因によるものなのかは分からないところです。

③ 大振りが目立つ。

 バットを長く持っての「目振り」が目立ちます。
 思い切りの良いスイングが続くのですが、局面によってはいかがなものかとも感じます。

 かつては、高校野球・甲子園大会というのは「スモールベースボール」の場でした。
 四球やエラーで出たランナーを、送りバントで進め、時にはスクイズで得点し、その「虎の子の得点」を好投・好守で守り切るという試合が数多く観られたものです。
 徳島の池田高校が登場した頃から、「目振り」の野球が広まり始め、強い打球を打って行く野球が一般的になったのでしょう。
 これは高校野球のひとつの革命的な事象でした。

 確かに、バント・バントで1点ずつ積み重ねても、長打で大量点を挙げられてしまうのでは、なかなか勝利はおぼつきませんし、思い切り振って行く野球の方が、選手も楽しんでやれるという面が有りそうです。

 しかし、一方で今大会では「高目の釣り球」にひっかかり、空振りの三振というシーンも数多く観られます。
 「あんな球を何で振っちゃうの」と愚妻は嘆きます。

 かつてなら、手を出さなかったであろう「頭の高さ位の投球」を目振りしてしまうのです。
 「振ると決めたら振る」といった思い切りが良いというか、荒っぽいプレー、時には「雑に見えるプレー」もあるのです。
 キメ細かな野球からは、遠いところに在る野球になって来ているようです。野球の持つ本来の面白さの、相当部分が失われている可能性も有ります。

 「金属バットの打撃技術・理論」が極まってきているのかもしれません。

 野球というスポーツにとって、良いことなのかどうか、考えてみる時期が来ているように感じます。

 以前も書きましたが、「木製バットに戻す」時期が来ているのではないでしょうか。
 
 「バットの費用」、練習で折れてしまうバットを数多く用意するために高額な費用が掛かることを考慮して、「折れない」金属バットを使用することとした施策は、その歴史的使命を終えたのかもしれません。

 バットは、高校野球連盟から全国の高校に支給することにして(甲子園大会の入場料を少し上げるといった施策も考えられます)、バット費用負担の問題に対応するのです。
 
 「ボールを木製バットで打つ」という「野球本来の形」、日本プロ野球やMLBで行われている形の高校野球を観てみたいと感じます。
 8月7日に開幕する第99回全国高等学校野球選手権大会の組合せ抽選会が8月4日に行われ、各チームの緒戦の相手が決まりました。

 毎年のことですが、注目校同士の組合せが今大会でもいくつか観られます。

 第2日の第1試合は、作新学院と盛岡大付の対戦となりました。昨年の優勝校と今年のセンバツ大会の上位進出校の対戦です。

 第4日は好カードが目白押しです。
 第1試合は、広陵VS中京大中京。伝統校同士の戦いです。共に「出て来れば強い」という、甲子園で力を発揮するチームですので、好ゲームとなるのは必定です。
 第2試合は、横浜VS秀岳館。
 常に優勝候補に名を連ねる横浜と、甲子園3大会連続ベスト4の秀岳館の戦いは、点の取り合いとなることでしょう。自分達の得点チャンスをより多くものにしたチームに勝利の女神が微笑みそうです。
 第3試合は、興南VS智弁和歌山。
 やはり「出て来れば強い」興南と甲子園の常連・智弁和歌山の戦いです。智弁和歌山の投手陣が興南打線をどこまで抑えられるかがポイントとなります。

 第4日の第4試合には大阪桐蔭が登場します。
 強豪校とされているチームの多くが4日目に集まったことは、優勝争いにも大きな影響を与えます。準々決勝以降は再び抽選が行われる夏の大会とはいえ、2回戦までは最初の抽選に従って進められるのですから。

 さて、注目の10チームです。

① 大阪桐蔭
② 中京大中京
③ 作新学院
④ 前橋育英
⑤ 東海大菅生
⑥ 神戸国際大付
⑦ 二松学舎大付
⑧ 京都成章
⑨ 仙台育英
⑩ 花咲徳栄

 ベスト8が決まる8つの山から各々1チームずつを選定し、残り2校は1回戦から登場するチームの中から選びました。
 今回は、以上の10チームに注目します。

 近年の甲子園大会は実力が拮抗していますから、他にも実力校は数多くあります。
 緒戦から眼の離せない試合の連続となることでしょう。

 球児の皆さんの思い切りの良いプレーに期待します。
[7月29日・東東京大会決勝]
二松学舎大付属9-1東海大高輪台

[7月29日・神奈川大会決勝]
横浜9-3東海大相模

[7月29日・愛知大会決勝]
中京大中京9-1栄徳

[7月30日・西東京大会決勝]
東海大菅生6-2早稲田実

[7月30日・大阪大会決勝]
大阪桐蔭10-8大冠

 夏の甲子園2017の地方大会も終盤となった7月29日と30日に、東京・横浜・大阪・名古屋の所謂大都市地域の代表が決まりました。
 最近10年・10回の夏の大会では、この4大都市圏から6回優勝校が出ていますから、本大会を占う意味でも、大事な試合が続きました。

① 接戦が多かった印象

 大阪大会決勝では、8回裏に大阪桐蔭高校が一挙に5点を挙げて10-4とリードしました。
 大冠高校が先行し、大阪桐蔭が逆転した形ですが、さすがに8回裏の5点で勝負ありと観えたのですが、9回表に大冠が猛反撃を見せて4点を挙げ追いすがったのです。
 まさに大接戦でしょう。

 神奈川大会や西東京大会のように、結果として得失点差が大きかった試合でも、内容は「互角」という試合も多かったと感じます。

 やはり、「強力な先発投手」が少なかったことが要因かとも感じます。
 打たせて取るタイプ、粘り強く投げ続けるタイプの投手が多かったのです。
 
② 中京大中京高校の強さ

 そうした中で、愛知大会決勝の中京大中京は文字通りの圧勝でした。

 「出てくれば強い」中京高校は、今大会の優勝候補筆頭かもしれません。


③ 名門校の勝ち上がり

 接戦が多かったとはいえ、4大都市圏の代表チームは、いずれも「日本中に名前が知られている」、甲子園大会の名門校・常連校となりました。

 苦しみながらも、名門校の意地を見せてくれたということでしょうか。

 各チームの皆さんの健闘が期待されます。
[7月26日・高知大会決勝]
明徳義塾7-3梼原

 明徳義塾高校が4回裏の集中打で4点を挙げてリードを広げ、梼原高校の追い上げを凌いで高知大会を制しました。

 明徳義塾は2010年から8年連続の甲子園大会出場を決めたのです。

 明徳は、これまで2度「7年連続出場」を果たしてきました。
 第80回大会から86回大会までの7年連続と、第92回から98回までの7年連続です。そして、第99回大会にも出場することとなり、8年連続の記録を達成したのです。

 1回目の7年連続の時には、第84回大会で全国制覇を成し遂げました。
 2回目の7年連続(こちらは8年連続になりましたが)では、本大会でベスト4が2度あります。
 いずれにしても、好成績を収めているわけですが、第99回・2017年は、久しぶりの決勝進出・優勝を狙う大会となるのでしょう。

 それにしても、聖光学院の11年連続、明徳義塾の8年連続、作新学院の7年連続と、
 2017年の夏の甲子園大会は連続出場、それも歴史に残る長い連続出場が多い大会となっています。
 
 どのチームにとっても、「各地方の絶対王者」としての甲子園球場における戦い振りが、大いに期待されているのでしょう。
[7月25日・秋田大会決勝]
明桜5-1金足農

 地方予選・秋田大会の決勝で、明桜高校(2007年まで秋田経法大付属高校)が金足農業高校を下して、8年ぶり9度目の夏の甲子園出場を決めました。

 このチームを率いるのは輿石重弘監督(54歳)ですが、輿石氏は明桜高校が野球部監督をハローワークなどを通じて「公募」しているのを知って応募し、今年4月から就任したばかりでした。
 監督就任から4か月弱での、秋田大会優勝です。

 輿石監督は昨年夏まで、山梨県の帝京三高の監督としてチームの指揮を執っていましたから、高校野球監督の経験は十分だったわけですが、秋田に来ての短期間での見事な成果です。

 本ブログでは、「高校野球における監督の重要性」について、再三書いてきました。(例えば、2012年8月26日の記事「高校野球 甲子園大会 監督考」をご参照ください)

 新監督が就任することにより、短期間で「甲子園大会出場」が実現するということは、時々眼にすることなのです。

 当然ながら、2017年3月末と4月初めにおいて、選手に大きな入替があるとは思えませんので、急速にチームの地力が向上するというのも考えにくいところですので、不思議と言えば不思議なことでしょう。

 輿石監督の的確な指導・指揮がチームにぴったり合ったということであり、チームの持つ実力が如何なく発揮されたことに他なりません。

 勢い十分な明桜高校チームの、甲子園大会での活躍がとても楽しみです。
[7月23日・栃木大会決勝]
作新学院15-1国学院栃木

 2017年栃木大会の優勝候補筆頭と目されていた作新学院高校が、国学院大栃木高校を大差で破りました。
 2回表に3点を先制し、その後7回まで毎回の15得点という圧勝。投げては、篠原投手、大関投手の継投が功を奏しました。

 これで作新学院は、栃木大会7年連続優勝と成ります。
 もともと栃木県の強豪として知られているチームですが、2011年以降の強さは別格という感じがします。

[2011年以降の栃木大会決勝]
・2011年 作新学院17-5宇都宮商
・2012年 作新学院3-1宇都宮工
・2013年 作新学院3-2青藍泰斗
・2014年 作新学院7-1佐野日大
・2015年 作新学院9-2国学院栃木
・2016年 作新学院15-6国学院栃木

 こうして観てくると、2014年以降のチームは「得点力十分」という印象です。
 春の甲子園も含めて、2014年以降は「甲子園大会における存在感を増して」きて、ついに2016年には「二度目の全国制覇」を成し遂げたのです。
 「勝負強いチーム」になっていると感じます。

 2017年の夏の甲子園・開会式では、「前年優勝校チームが優勝旗と共に入場行進する」光景が観られるのです。

 地方大会の決勝で「2年連続15得点」というのは、なかなか見られないことでしょう。

 2017年の大会でも、作新学院は優勝候補の一角を占めるのです。
[7月22日・福島大会決勝]
聖光学院5-4いわき光洋

 第99回全国高校野球選手権大会の各地方予選が進んでいますが、福島大会の決勝で聖光学院高校がいわき光洋高校を5-4で破り、本大会への出場を決めました。

 聖光学院は11年連続の出場となり、自身の持つ戦後の最長連続記録を「11」に伸ばすとともに、14度目の出場となりました。

 試合は、聖光学院が先行し、いわき光洋が追い付くという展開となりましたが、3-0から3-3、4-3から4-4と2度追い付いたいわき光洋が逆転できなかったことが響き、9回裏1死満塁から、聖光学院がサヨナラ勝ちを収めました。

 すっかり、福島の王者となり、夏の甲子園大会の常連となった感のある聖光学院ですが、当然のことながら毎年メンバーが変わっている訳ですから、第89回大会から第99回大会までの11年間の予選大会では、数え切れない程のドラマが有ったことでしょう。

 第99回の予選大会決勝は、この11年間では相当苦労した試合と言えるのではないかと思います。
 いずれにしても、11年「連続」というのは、強いだけでは実現できる記録では無く、監督を始めとするスタッフの皆さんの弛まぬ努力、選手のご家族の弛まぬ支援、そして学校を取り巻く地域社会・伊達市の皆さんの温かい支援、「絶対に出場するという強い意志」をベースとした、各年代の選手達による的確なトレーニングとチーム作りがあってこその、快挙です。

 ここまでの10年連続出場における、本大会での最高成績は「ベスト8」です。4度あります。
 10年間で4度のベスト8進出も見事な成績ですが、一方では「ベスト8の壁」になりつつあるとも言えるでしょう。

 苦労して勝ち取った「夏の甲子園2017」の舞台では、是非ベスト4以上の記録を残していただきたいと思います。
[4月1日・決勝]
大阪桐蔭8-3履正社

 大阪桐蔭高校が「甲子園大会での勝負強さ」を発揮して、優勝を飾りました。

 史上初の大阪対決となった決勝でしたが、好走守いずれもレベルの高い試合でした。
 
 両チームの先発、履正社・竹田投手、大阪桐蔭・徳山投手は共に十分な球威とコントロールを備えていました。まさに好投手対決となったのです。
 打線も共に長打力十分、守備も良く鍛えられています。

① 大阪桐蔭の一発攻勢

 履正社の竹田投手、昨年秋の明治神宮大会から全国大会で負け知らずの好投手から、大阪桐蔭打線はホームランで得点を重ねました。

 初回、2回、6回とソロホームラン3本で3-0とリード。8回裏の履正社の反撃で同点に追いつかれた9回表も2ランホームランで5-3と突き放したのです。
 ホームランを打たれるたびに、竹田投手は外野スタンドを見つめて驚いたような表情を見せていました。「あんなに飛ぶのか」と言っているようでした。

 今大会の多くのチームの特徴でもある「フルスイング」が、この試合でも威力を発揮したのです。

② ボールを揃え過ぎたか?

 履正社高校・竹田投手は、十分な球威とコントロールを備えたピッチャーです。これまでの幾多のピンチも、この投球で乗り切ってきたのでしょう。
 この試合でも、堂々とコーナーを突く投球を続けました。

 しかし、ボールがストライクゾーン周辺に投じられていますので、フルスイングに当たれば飛んでしまいます。球威十分な投球だけに、尚更飛ぶのでしょう。

 持ち球のひとつでもあるフォークをワンバウンドさせるような投球、「少し荒れているな」「次の投球は何処に来るか分からない」といった印象を打者に与えることができれば、結果は違うものになっていたのかもしれません。

 もちろん、これだけホームランが飛び出すというのは、大阪桐蔭打線の素晴らしさを示していることは、間違いありません。

 西谷浩一監督率いる大阪桐蔭高校は、本当に「甲子園で強いチーム」です。

 センバツ2017の優勝で、
・春は7回目の出場で優勝2回、18勝5敗
・夏は6回の出場で優勝3回、24勝3敗
 春夏通算13回の出場で優勝5回、42勝8敗(勝率84%)

 もの凄い成績です。
 甲子園大会に出場すること自体がとても難しいことであり、そこで1勝することも大変なことなのですが、そこで5戦して4勝以上の成績を残すというのは、驚異的でしょう。

 夏に比べて春は、これまで少し荒さが目立って、早々に姿を消すこともあったのですが、今大会の優勝で一気に勝率を上げました。

 この西谷・大阪桐蔭の甲子園大会における強さは、往時の中村・PL学園に匹敵するレベルになったと感じます。大会史上屈指の強さを具備するチームということになります。
 
 西谷・大阪桐蔭高校は、現在の甲子園大会をリードする存在なのです。
[第2日・第1試合]
盛岡大付10-9高岡商

 打ち合い・点の取り合いとなった試合でしたが、延長10回裏、盛岡大付が逆転サヨナラ勝ちしました。
 両チーム一歩も引かぬ大接戦であったと思います。

 大接戦でしたが、一方で少し荒さの目立つ試合でもあったと思います。

① 投手陣、打撃陣共に高いレベル

 両チームの先発投手、リリーフ投手は、いずれも球威十分な好投手でした。140kmを超えるストレートがコースに決まるシーンも観られました。

 両チームの打撃陣の破壊力が十分であったことは、両チーム合わせて27安打・19得点であったことを見ても明らかです。ホームランもそれぞれ1本ずつ飛び出しました。

② 相手チームが得点すると直ぐに得点するパターン

 この試合では、相手チームが得点した次のイニングで必ず得点するという「法則」が継続されました。

 1回表高岡商が2点を先制すると、1回裏に盛岡大付が2点を返して追い付き、2回裏盛岡大付が1点を勝ち越すと、3回表高岡商が1.点を挙げて追い付き、4回表高岡商が3点を挙げて突き放すと、4回裏盛岡大付が3得点で再び追い付き、5回裏盛岡大付が2点をリードすると、6回表高岡商が2点を挙げて追い付くというパターン。見事な程に「次の攻撃で追い付いて」いるのです。

 8-8のまま延長に入った試合でしたが、10回表高岡商が1点をリードすると、その裏盛岡大付が2点を挙げて逆転勝ちしたのです。「法則」は最後まで生きていました。

 前述のような強力な投手陣を要しながら、どちらのチームもリードを守れないというのは、とても不思議な感じがしましたし、強力な攻撃陣が、同点に追いつくことは出来ても、同じイニングで勝ち越し点を挙げることが出来ないのも、不思議でした。

③ 「丁寧さ」が足りないのか?

 両チームとも、実力十分な投手陣・攻撃陣を擁しながら、得点の取り合いになりながらも、なかなか突き放すことができない、試合展開になったのは何故なのでしょうか。

 投手について観れば、
A. 要所での投球がストライクゾーンに集まり過ぎていたこと
B. 死球が多かったこと
 が挙げられそうです。

 攻撃について観れば、
A. 打者は常にフルスイング
B. 超積極的な姿勢

 この両面の要素が相俟って、この試合は点を取り合う大接戦となったのでしょう。

 ピンチのシーンで、投手は常に全力でストライクゾーンに投げ込みます。打者は常にフルスイング。バットに当たる位置に投球が来るので、当たれば痛烈な打球が飛びます。
 こうした場面で「低目のボール球」が使えなかったものかと思います。ワンバウンドするような投球であっても、「積極的に打ちに行っている」打者が振ってしまう可能性が十分にあったと感じます。

 例えば4回裏、2死ランナー無しからの4連打で盛岡大付は3点を挙げました。
 盛岡大付打線が良く打ったという場面ですが、あまりにも正直すぎる投球のように観えました。高岡商投手陣とすれば、もう少し「工夫をすれば」、こうも連打を浴びなかったように思います。

 真ん中から外角の投球は痛打されるので、内角を突くと「死球」という悪循環。
 真ん中から外角でも、高低の変化・球速の違い等により十分に対応できたでしょう。何しろ「球威十分」な好投手揃いなのですから。

 攻撃面も同様で、常にフルスイング、超積極的というのでは、得点・追加点を挙げるチャンスを潰してしまいます。

 例えば8回裏の盛岡大付の攻撃、1死満塁で強攻、強い当たりの2塁ゴロ・ダブルプレーでチェンジ。9回表の高岡商の攻撃、1死ランナー2塁で浅めのライトフライ、ランナーはタッチアップから果敢に3塁を狙いましたが憤死。あの浅いフライでは3塁を取るのは打球が飛んだ瞬間に難しいように観えました。「相手チームのミスに期待する」プレーではリスクが高すぎます。

 自分達はこうやって勝ってきた、このチームはそういうチーム、「首尾一貫」した野球を展開しなければ勝てない、といったご意見もあるのでしょうし、そもそも甲子園では思いもよらぬ展開が生れる、というのも分かりますが、この試合では両チームともに「残念なシーン」が数多く観られたと思います。

 連打を浴びる可能性を少しでも下げる為に、得点する可能性を少しでも上げる為に、もう少しの丁寧さと工夫が有れば、強力な投手陣は失点を減らすことが出来たし、強力な打線はもっと得点を挙げることができたように感じました。

 甲子園大会で戦って行くことの難しさを改めて感じさせられた「大接戦」でした。
 3月19日に開幕する第89回選抜高校野球大会の注目校検討です。

 出場校の「選抜」に当たっては、2016年秋の各地の大会・秋季大会の結果が重要視されますので、少し見てみようと思います。
 各地区の秋季大会の優勝校と準優勝校、関東地区、近畿地区は準決勝進出校、そして各地区大会優勝校等が集う明治神宮大会2016のベスト4を挙げます。

[北海道大会]
① 優勝 札幌第一
② 準優勝 札幌日大

[東北大会]
① 仙台育英
② 盛岡大付属

[北信越大会]
① 福井工大福井
② 高岡商

[関東大会]
① 作新学院
② 東海大市原望洋
③ 前橋育英
健大高崎

[東京大会]
① 日大三
② 早稲田実業

[東海大会]
① 静岡
② 至学館

[近畿大会]
① 履正社
② 神戸国際大付属
③ 大阪桐蔭
滋賀学園

[中国大会]
① 宇部鴻城
② 市立呉

[四国大会]
① 明徳義塾
② 帝京第五

[九州大会]
① 福岡大大濠
② 東海大福岡

[明治神宮大会]
① 履正社
② 早稲田実業
③ 福岡大大濠
札幌第一

 冬の間のトレーニングによる実力向上の差はありますが、各チームの地力は秋季大会の成績に表れていると見るのが常道でしょう。

 従って、前述の高校の中から優勝チームが出る可能性が高いと思います。

 一方で、3月10日に行われた組合せ抽選会の影響度も大きなものが有ります。
 有力校同士が1回戦、2回戦でつぶし合うことや、センバツは最初からトーナメント表が確定していますから、有力校が入っている「山」に入っているかどうか、などがポイントとなります。

 2017年のトーナメント表を見ると、有力校同士の1回戦が目立ちます。
 まずは、第1日第2試合の「日大三VS履正社」。
 秋季大会2016の東京大会優勝校と近畿大会優勝校が緒戦でまみえるのです。これは「東西の横綱同士の対戦」といっても良い好カードです。
 履正社高校は、明治神宮大会2016の優勝校でもありますから、センバツの優勝候補筆頭でしょう。その履正社が明治神宮大会決勝で破った、打ち勝った早稲田実業高校を、東京大会決勝で、やはり打ち勝った日大三高と戦うのですから、これは大接戦が予想されます。
 緒戦の緊張感をも考慮すれば、全くの互角と言って良いでしょう。

 続いては、第3日第3試合の「健大高崎VS札幌第一」。
 明治神宮大会ベスト4の札幌第一と、近年充実著しい関東地区で「走力を活かした」独自の野球を展開する健大高崎の対戦です。
 眼の離せないゲームとなることでしょう。

 続いては、第5日第2試合の「早稲田実業VS明徳義塾」。
 東京大会と明治神宮大会で共に準優勝した早稲田実業高校と四国大会優勝校である明徳義塾高校の激突です。
 戦力的には、やや早実が上かと思いますが、「甲子園を知り尽くしている馬淵監督」率いる明徳は、試合巧者です。打打発矢の戦いが展開されることでしょう。早稲田実業の清宮選手に対して、馬淵監督が「敬遠四球」の指示を出すかどうかも面白いところです。

 いずれのゲームも力量が接近していますので、やはり「先取点の重み」がポイントとなりそうです。

 以上の要素等を考慮して、活躍が期待される注目の10高校を挙げてみます。

① 東海大市原望洋
② 作新学院
③ 履正社
④ 健大高崎
⑤ 大阪桐蔭
⑥ 早稲田実業
⑦ 盛岡大付属
⑧ 前橋育英
⑨ 仙台育英
⑩ 静岡

 とても難しい検討でしたが、今大会は以上の10校に注目したいと思います。

 日大三や明徳義塾は、当然ながら、緒戦を勝ち抜くことが出来れば一気にベスト4まで勝ち上がる可能性が有ります。
 「甲子園での勝率が高い」西谷監督率いる大阪桐蔭も有力ですが、とても強い高校が集まっている山に居るのが気になる所です。

 近時は、北信越地区や北海道地区の健闘が目立つセンバツですので、全国の実力差が小さくなっていることは明らかです。

 「接戦に次ぐ接戦」の大会になることでしょう。
 高校野球の秋季東京大会2016決勝、早稲田実業高校が日本大学第三高校を8-6で破り、優勝しました。
 9回表に2点を勝ち越した日大三でしたが、9回裏早実は連打と暴投で6-6の同点とし、野村選手の2ランホームランでサヨナラ勝ちを収めたのです。

 早実は、11年振り10度目の栄冠でした。

 当然のことながら、この大会の結果は来春の甲子園大会出場校を決めるための重要な材料となります。
 秋季東京大会の優勝チームが、センバツに選ばれる確率は非常に高いのです。

 2016年夏の甲子園大会では、西東京大会で敗れてしまい、早実チームの姿を甲子園球場で観ることは出来ませんでしたから、来春のセンバツ大会がとても楽しみです。

 その早実の中軸プレーヤーである清宮選手は、秋季大会の準決勝から調子を崩したのでしょうか、決勝は5打数5三振でした。
 「5打数5三振」というのも、なかなか出来ることでは無いでしょう。ヒット欲しさに「当てに行く」バッティングに走り易いからです。そういう意味では、最期まで自らの打撃に徹して「しっかりと振りに行った」清宮選手の気持ちの強さを感じるというのは、言い過ぎでしょうか。

 逆に言えば、早実チームは清宮選手が完全に抑え込まれても、大豪・日大三チームを相手に勝ち切る力を身に付けているということになります。

 早実は、この後、明治神宮大会でも決勝に進出しました。
 決勝では壮絶な打ち合いの末履正社に敗れましたけれども、清宮選手も調子を取り戻し、活躍を魅せてくれました。

 新生早稲田実業チームの春の甲子園2017大会での大活躍が、十分期待できると感じます。
 好投手の揃った「夏の甲子園2016」でしたが、過密な日程の中で、様々な要素もからみ、エースを先発させず、残念ながら「5失点」してしまったゲームが3つありました。

① 8月14日第四試合
 履正社5-1横浜

 組合せ抽選の結果、東西の横綱格チーム同士の対戦となったゲームです。
 横浜高校は、履正社の左バッター主体の打線に対して、先発に左腕・石川投手を立てました。

 石川投手は1回裏の履正社の攻撃を三者三振に打ち取り、上々の立ち上がりを見せました。
 ところが2回裏、死球から始まった横浜の守備は、雷雨による試合中断もあり、長く苦しいものとなってしまいました。

 結局この回、横浜はエース・藤平投手をも投入することとなりましたけれども、この回5失点、試合は5-1で履正社がリードすることとなったのです。

 履正社の好投手・エースの寺島投手を相手にしての4点差はいかにも重く、試合はこのまま履正社が勝ちました。

 横浜高校にとっては「雷雨中断」が残念な試合であったともいえるのでしょう。

② 8月16日第四試合
 常総学院7-4履正社

 履正社高校は、横浜高校との激戦から中一日で迎えたこのゲームで、山口投手を先発に立てました。寺島投手の疲労蓄積を考慮してのことだと思います。

 山口投手は1回表に2失点、2回もランナーを許してしまいましたので、ここで寺島投手にスイッチしました。しかし、寺島投手も常総学院の勢いを止めることができず、この回3失点。履正社は1・2回で5失点と、苦しい立ち上がりとなったのです。

 この後、履正社打線は反撃を見せ、計13安打を放ちましたが、常総学院の鈴木昭投手の丁寧な投球の前に、逆転はできませんでした。

③ 8月17日第二試合
 作新学院6-2花咲徳栄

 この試合、花咲徳栄高校はエースの高橋昂投手を温存し、綱脇投手が先発しました。埼玉大会でも威力を発揮した投手陣の力を見せる試合となったのです。

 綱脇投手は1回の表は2安打を許しながらも、何とか0点に抑えましたが、2回裏作新打線に掴まりました。
 花咲徳栄はリリーフに清水投手を立てて防戦に努めましたが、作新打線を抑えきることは出来ずに5失点。試合は作新学院高校が先行したのです。

 3回から登板した高橋昂投手はその後の攻撃を3安打1失点に抑えましたけれども、打線は作新学院のエース・今井投手に2点に抑え込まれてしまったのです。
 やはり、序盤の5失点は痛かったのです。

 いずれも大会屈指の好投手を擁した、横浜、履正社、花咲徳栄の3チームが、いずれもエース以外の投手を先発させ、いずれも試合の2回までに「5失点」したという3つのゲームでした。
 もちろん、いずれも同じ「5失点」であったというのは偶然なのでしょうけれども、この3試合において失点数が揃ったというのは、不思議な感じがします。

 日程が過密な甲子園大会であり、エースの負担を少しでも少なくするために、複数の投手によるやりくりがとても大切なことなのですけれども、そのことがこれほどはっきりとゲーム展開に影響を及ぼしたケースが3試合見られたというのも、珍しいことなのかもしれません。

 甲子園大会を勝ち抜いて行くのは、本当に難事なのです。
 南北海道代表と栃木代表の対戦となった、第98回全国高等学校野球選手権大会は、作新学院高校が北海高校を7-1で下し、54年振りの優勝に輝きました。

 今井投手(作新学院)と大西投手(北海)という両エースを軸とした「堅い守り」と集中打で勝ち抜いてきた両校でしたから、決勝戦も接戦が予想されました。

 1・2回は、北海高校のペースでした。
 連投の疲れからか、体の動きが悪い今井投手を攻めて、2回裏に先取点を挙げました。
 今井投手の速球に振り遅れまいと、バントの構えからのヒッティングが有効であったと感じます。

 北海高校が1-0とリードしての3回裏、ようやく体が動き始めた今井投手が「152km」の速球で三振を取り、チェンジとしました。

 この「152kmの速球」が、作新学院に「喝」を入れたような気がします。

 この回の守りで、左打者の鈴木選手を起用した小針監督の采配も、極めて有効でした。
 「3回裏の守り」が試合の流れを変えたのです。

 4回表の作新学院の攻撃。
 4番の入江選手が粘って四球を選びました。集中打の始まりでした。
 センターフェンス直撃の2塁打などで無死満塁と攻め立てます。

 ここでボテボテの1塁ゴロ。複雑な回転が掛かっていたのでしょう、難しい打球となって「好守」の北海内野陣にもほころびが観られ1-1の同点。無死満塁が続きます。

 続いてセンター前ヒット、2-1と作新学院が逆転。無死満塁が続きます。

 続いてライト前ヒット、3-1。ここで北海は大西投手から多間投手にリレー。無死満塁が続きます。

 続いてライト・ライン際へのヒットで5-1と突き放しました。

 見事な集中打でした。

 北海の大エース・大西投手としては、さすがに力みが出て、本来の「巧みな投球」が出来ませんでした。ナチュラルにベース上で沈み込むストレートとスライダーを織り交ぜた投球が持ち味でしたが、この場面では力が入って、ストレートが沈みませんでした。沈まないとなれば、130km台後半のストレートでは「強打の作新打戦」を抑えるのは難しかったのでしょう。
 このタイプの投手は、ピンチの時ほど力を入れずに投げることが重要だと、改めて思いました。

 作新学院はこの後、3回裏途中出場の「快足」鈴木選手の活躍で得点を重ね、調子が戻った今井投手が、強打の北海打線を抑えました。

 両チームの堅い守りが印象的でしたが、特に遊撃手の上手さは特筆すべきでしょう。
 両選手とも、高校野球に求められる「最高レベル」のショートストップだと思います。

 今井投手は、好投手が多かった今大会の中でも1・2を争う投球を魅せてくれました。
 150kmを優に超えるストレートと、鋭い曲りのスライダーは、見事でした。
 この試合でも、132球を投げて、被安打7、奪三振9、与四球3、失点1で完投しました。前半は球数が多く心配されましたが、後半にはチェンジアップも交えて、球数の増加を抑えました。
 花咲徳栄高校、木更津総合高校と、好投手を擁する優勝候補校を連破した力は、素晴らしいものでした。

 54年前、1962年・昭和37年に、甲子園大会史上初めての「春夏連覇」を達成した作新学院高校と、全国最多37回目の出場を誇る北海高校という、「伝統校」同士の対戦は、作新学院高校が勝ちました。

 試合後に北海の大西投手がベンチで「やり切ったぞー」と叫んだと伝えられました。

 さわやかな試合でした。
 第98回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園2016)の初戦の組合せ抽選会が8月4日に行われました。

 本ブログ恒例の「注目の10校」です。

 春の甲子園大会2016の内容・結果、それぞれの地方大会の内容・結果、夏の甲子園との相性等々から、今大会の注目稿を挙げて行きたいと思います。

 まず、地力からの分類です。今回は大相撲の「横綱」「大関」「関脇」に例えました。

[横綱級] 履正社、横浜

[大関級] 花咲徳栄、智弁学園、常葉菊川

[関脇級] 明徳義塾、嘉手納、前橋育英、東邦、関東一、作新学院、木更津総合、秀岳館、京都翔英、八王子

 横綱級の2校は、地力が高く最も優勝に近いと考えられるチームです。大関級の3校はベスト4進出の可能性が十分にある3校です。もちろん、勢いに乗れば優勝も狙えます。関脇級の10校はベスト8進出の可能性が十分ある上に、今大会の台風の目となり得るチームだと思います。

 この地力ランキングと初戦の組合せを勘案して「注目の10校」を選定します。

① 横浜
② 履正社
③ 花咲徳栄
④ 智弁学園
⑤ 常葉菊川
⑥ 前橋育英
⑦ 東邦
⑧ 作新学院
⑨ 木更津総合
⑩ 八王子

 今大会は緒戦での強豪と目されるチーム同士の対戦が、余り多くは有りません。

 抽選の結果、有力と目される高校同士がいきなりぶつかることが少ない大会となっているのです。実は、意外に珍しいことでは無いかと感じます。

 そうした中では、第5日・第3試合の「嘉手納VS前橋育英」は注目の一戦でしょう。
 「夏に強い」沖縄代表と、「出て来れば強い」前橋育英の対戦となりました。

 続いては、第6日・第4試合の「秀岳館VS常葉菊川」でしょうか。
 春の大会ベスト4チームと、「フルスイング打線」を擁する常葉菊川の激突は、目の離せない一戦となることでしょう。

 また今大会は「好投手」が多い大会でもあります。

 横浜の藤平投手、履正社の寺島投手は、今大会を代表する左右の本格派ですし、花咲徳栄の高橋投手は「3大会連続」の甲子園ですから、マウンドさばきは抜群でしょう。
 この3投手は「夏の甲子園2016のビッグ3」とも呼ばれています。

 さらに、木更津総合の早川投手、常総学院の鈴木投手、東邦の藤嶋投手、創志学園の高田投手、近江の京山投手、松山聖陵のアドゥワ誠投手、作新学院の今井投手と、文字通り「目白押し」です。
 間違いなく、夏の甲子園2016は「好投手の大会」なのです。

 一方で今大会は、大会前から騒がれる「強打者」は多くないかもしれませんが、こういう大会は「開幕後グッドプレーヤーが次々に登場する」傾向がありますので期待しましょう。

 さて、今大会は以上の10校に注目したいと思います。

 リオデジャネイロ・オリンピックと重なる大会となった第98回大会。
 球児の皆さんには、甲子園球場で思いきり暴れていただきたいものです。
 山形大会の決勝は7月21日に行われ、延長11回の末、鶴岡東高校が10-8で山形中央高校を下して、甲子園大会への切符を手にしました。

 1-1の同点から、山形中央は5回裏に3点を挙げてリードしました。
 鶴岡東は8回表一挙5点で逆転、しかし山形中央はその裏2点を返して6-6の同点。試合は延長戦となりました。

 延長10回表、鶴岡東は2点を挙げて再びリードしましたが、その裏山形中央も2点を挙げて、再び8-8の同点となったのです。

 そして11回の表、鶴岡東は2点を奪って再びリードしました。そして、その裏の反撃を抑えて勝ったのです。
 鶴岡東にとっては「3度目のリード」でついに勝ち切った形です。
 山形中央としては、「2度の同点」の際にリードを奪えなかったことが残念です。

 両チームが、その持ち味である強打を披露しあった、見事なゲームでした。

 今大会の両チームは、まさに強打で勝ち上がって来たのです。
 鶴岡東は、ベスト16で9-0、準々決勝を9-2、準決勝を16-5で決勝に進出しました。
 山形中央は、ベスト16を8-1、準々決勝を9-4、準決勝を8-1で決勝に進出したのです。

 こういう強打のチーム同士が決勝でぶつかり、文字通りの「打ち合い」となって、延長で決着が付くというのは、とても珍しいことだと感じます。

 素晴らしいゲームを繰り広げた両チームの皆さんに、大きな拍手を送らせていただきます。
 福島大会の決勝が7月24日に開成山野球を舞台として場行われ、聖光学院高校が6-5で光南高校を下し、甲子園大会進出を決めました。
 聖光学院は10年連続の出場となり、連続出場記録として歴代2位、戦後最高となりました。

 光南との決勝は、追いつ追われつの接戦となりました。
 初回に光南に2点のリードを許した聖光学院は4回裏に追い付きましたが、8回表に再び2点を奪われました。
 しかし8回裏に一挙4点を挙げて逆転、9回表の反撃を1点に抑えて勝ち切った形です。
 光南高校にとっては「大魚を逸した」といったところでしょう。

 今大会の聖光学院は「接戦をものにして」来ました。
 4回戦は6-5で喜多方高校を破り、準々決勝は6-2で小高工業高校に勝ち、準決勝は7-3で日大東北高校を下しました。
 今年のチームは、投手力というよりも「競り合いでの強さ」がストロングポイントなのかもしれません。

 夏の甲子園大会の連続出場と言うと、直ぐに明徳義塾高校(高知)や智弁和歌山高校が思い浮かびます。
 この両校は、一時期常に代表となっていた感じがしますが、明徳義塾は「7年連続が2度」、智弁和歌山は「8年連続」でした。

 聖光学院は、この両「常連校」の記録を上回り記録を伸ばしているのです。
 そして、2008年、2010.年、2014年には夏の甲子園大会の準々決勝まで勝ち上がっています。
 そろそろ、準決勝や決勝で戦う聖光の姿を、福島県の皆さんは期待していることでしょう。

 ちなみに、戦前戦後を通じての最長記録は、和歌山中学の14回連続だそうです。

 智弁和歌山高校もそうですが、和歌山県は同じ学校が連続して夏の甲子園に出場する傾向が有る県なのでしょうか。
 埼玉大会の決勝は、7月27日に大宮球場で行われ、花咲徳栄高校が6-0で聖望学園を破り、甲子園大会に駒を進めました。

 この試合でも、強打の聖望学園打線を完封した花咲徳栄投手陣・高橋昂也投手ですが、この大会での花咲徳栄チームの投手力は見事なものでした。
 勝ち上がりを観てみましょう。

・2回戦 14-3
・3回戦 15-0
・4回戦 9-0
・5回戦 10-0
・準々決勝 9-0
・準決勝 5-0
・決勝 6-0

 緒戦の2回戦こそ3失点していますが、その後の6試合は完封勝ち、7試合合計で僅か3失点という、素晴らしい成績です。

 緒戦の桶川西高校戦は、本田投手から清川投手に繋いでの勝利であり、大エース・高橋投手は登板しませんでした。
 高橋投手は3回戦の3番手で、この大会初めて登場し、4回戦では6イニング無失点で交替、5回戦は6イニングで完封、準々決勝も6イニング無失点で交替、準決勝・決勝は9イニングを投げ切り完封しています。

 そして、決勝では13奪三振、準決勝でも13奪三振、準々決勝では11奪三振、5回戦では14奪三振、計37イニング無失点、というのですから、見事という他はありません。

 この花咲徳栄投手陣の良いところは、大エース+リリーフ陣という体制が出来上がっていることでしょう。清水投手や本田投手といったリリーフ陣も安定しているのです。

 また見逃してはならないのは、高い守備力です。
 どんなに強力な投手陣を擁していても、連戦の中ではエラーがらみの失点が有るものです。ところが、花咲徳栄は「6試合連続完封勝ち」を成し遂げました。
 チームの総合力の高さを証明してみせたのです。

 期待されながらも、これまで甲子園に行くと「いまひとつ」の成績であった花咲徳栄高校ですが、夏の甲子園2016では、大いに期待できます。

 埼玉大会決勝、最後の打者を打ち取った高橋昂也投手の「雄叫び」が印象的でした。

 甲子園球場でも、この「雄叫び」を観てみたいものです。
 静岡大会の決勝は7月27日に草薙球場で行われ、常葉菊川高校が12-0で袋井高校を破り、甲子園大会出場を決めました。
 1回裏に4点を先制した常葉菊川は、3回・4回に2点ずつを追加し、7回・8回に4点を挙げて圧勝。まさに「中押し」「ダメ押し」の試合展開だったのです。

 凄まじかったのは、この大会の常葉菊川高校の「得点力」でしょう。勝ち上がりを観てみましょう。

・1回戦 10-0
・2回戦 8-4
・3回戦 12-2
・4回戦 14-0
・準々決勝 5-2
・準決勝 12-0
・決勝 12-0

 準々決勝の東海大静岡翔洋高校戦こそ5得点でしたが、7試合合計73得点、1試合平均10得点以上なのです。レベルが高いと言われる静岡大会での結果ですから、素晴らしいものです。

 さすがは、伝統の「フルスイング打線」です。

 2007年春の甲子園で、バントはしない、常にフルスイングで打ち捲るプレーで全国を制覇した、森下知幸監督の野球が健在なのです。
 準決勝・決勝を共に12-0というワンサイドゲームで制した、2016年のチームは「一層パワーアップ」していると観るのが妥当でしょう。

 また、打線の陰に隠れがちですが、この2試合を完封した落合投手のピッチングも見逃せません。
 準決勝の相手、常葉橘高校はこの大会の優勝候補筆頭でしたが、落合投手は被安打7、奪三振2、与四死球1で完封しました。「打たせて取る」持ち味が発揮されたのです。

 静岡大会決勝後、森下監督から「8月1日付で他の高校に移る。甲子園では常葉菊川を指揮しない」とのコメントが発せられたと報じられた時には驚きましたが、周囲の慰留も有ってか、引き続き指揮を執ることとなったようです。

 そうなれば、常葉菊川は夏の甲子園2016の優勝候補の一角であることは、間違いないでしょう。

 また甲子園球場で、あの「フルスイング打線」を観ることが出来るのかと思うと、今からとても楽しみです。
 7月23日の朝、日本テレビのズームインサタデー「プロ野球熱血情報」の中で、読売ジャイアンツのエース・菅野智之投手が語った言葉です。

 キャスターの宮本和知氏が「何で?」と聞くと、「授業も無いし、朝から1日中練習なんですよ」と答えました。母校の東海大相模高校時代のことです。
 「夏休みは1日の休みも無かったです」と続けます。

 「冬休みもそうなんです。さすがにお正月は3日間くらい休みが有ったと思いますが、それ以外は休み無し」

 「朝5時起きなんですよ。5時30分にはグラウンドのホームベース集合なんです。結構寒い。そして、ウォーミングアップもしていないのに、いきなりグラウンド10周のランニング。それが終ると5周のランニング。続いてリレーで半周。次に階段登り10回。うちの学校6階建てですが、上までです」
 「7時には朝食ですが、食べ終わると、またランニング。どんだけ走らされるのかと・・・」

 「練習は夕方7時頃まで続きます。そして、夜が憂鬱なんですよ。眼をつむって眠ると、直ぐ目覚まし時計が鳴るんです」
 「眠ると直ぐ朝なんです」

 高校野球強豪校の練習の厳しさが良く分かるコメントの連続でした。

 朝5時30分から夕方7時までの練習というのも、凄いものです。

 また、「寝たらすぐ朝が来る」というのは、その熟睡度合を良く示した言葉でしょう。体はクタクタだから眠りたいのだけれども、寝てしまうと直ぐ朝が来て、またあの厳しい練習が待っているのが怖い、というのも、いかにも「健康な高校生」の気持ちを表現していて、とても微笑ましいと思います。

 こうした、本当に厳しい練習を積んできた球児たちの、夏の甲子園の都道府県大会が続いています。
 7月21日、北北海道大会の決勝戦が行われ、クラーク記念高校が3-0で滝川西高校を破り、夏の甲子園大会初出場を決めました。

 2回裏に3点を先制したクラーク記念は、先発の平沢津投手が好投を披露し強打の滝川西打線を5安打完封に抑え込みました。

 クラーク記念高校は、通信制高校として史上初の夏の甲子園大会出場を成し遂げました。(春の甲子園大会では、2012年に長野県の地球環境高校が出場しています)

 クラーク記念高校野球部は、創部3年目の快挙でした。

 わずか3年で甲子園大会出場を成し遂げたチームの監督は、あの駒大岩見沢高校で春夏通算12度の甲子園出場を誇る佐々木啓司監督です。
 決勝戦後佐々木監督は「3年で甲子園に行くと公約していた」とコメントしました。
 
 やはり、高校野球の勝ち負けには「監督の力量」の影響が大きいのでしょう。(本ブログ・2012年8月26日付記事「甲子園大会 監督考」ご参照)
 日々の心身のトレーニング、試合での采配、には監督の力量がはっきりと反映されるのです。
 
 クラーク記念高校野球部は、佐々木監督の的確な指導のもと、平沢津選手-岸選手のバッテリーや、4番安田選手を始めとする野手陣が、持てる力を存分に発揮して、甲子園初出場を達成したのでしょう。
 7月21日、大阪大会3回戦で大阪桐蔭高校が姿を消しました。
 関大北陽高校が2-1で地区大会優勝候補筆頭の大阪桐蔭高校を破ったのです。

 3回表に中山選手の本塁打で先制した大阪桐蔭でしたが、4回裏に逆転を許し、以降は関大北陽の清水投手の粘り強い投球を打ち崩せませんでした。

 この試合では、関大北陽の「対大阪桐蔭作戦」が功を奏しました。
 春の地区大会準決勝で大阪桐蔭に敗れた関大北陽の、「乾坤一擲」の作戦であったと感じます。

① 守備位置

 外野手は「定位置より10m後ろ」で守りました。フェンスが直ぐ後ろという感じの位置です。
 長打力十分な大阪桐蔭打線への対応策として、外野手の頭上を抜かれる長打、左中間・右中間を抜かれる長打を防ぐための布陣でした。

 この布陣では、テキサスリーガーズヒットは止むを得ない物として扱っています。単打はOKという考え方なのでしょう。

 内野は、1塁手と3塁手はベースの後方に位置し、2塁手と遊撃手は深い位置、時には芝生に入る位置まで下がりました。
 この布陣では、ボテボテの当たりによる内野安打はOKということなのでしょう。

② 丁寧に低めを付く投球

 この「守備布陣」を背景にして、清水投手は低目を丁寧に突く投球を続けたのです。

③ 大阪桐蔭の27アウトの内14がフライアウト

 前述の作戦実行の効果でしょうか、大阪桐蔭のこの試合の27アウトの内過半の14がフライアウトでした。大阪桐蔭は、持ち前の長打力を発揮し、大飛球を外野に飛ばすのですが、関大北陽の守備網にかかり、結局4安打に抑え込まれたのです。

 加えて、投球が低めに集まっていますから、さすがの大阪桐蔭打線の打球も、なかなか外野フェンスを超えるところまでは飛ばなかったのでしょう。

 関大北陽高校の辻本監督を中心として編み出された作戦が、この試合では見事に成功しました。
 もちろん、「作戦」を立てたからと言って必ず成功する、効果があるということでは無いのですが、「無策」であれば、「勝利を収める確率が低下する」ことは間違いないでしょう。

 実力上位のチームに対する、素晴らしい戦い方でした。

 熟慮の末の作戦立案、そして見事な実行。
 関大北陽高校の会心のゲームであったと感じます。
 6月30日の朝日新聞・朝刊に、日本高校野球連盟の調査結果が掲載されていました。

 5月末時点の高野連加盟校数と部員数調査です。

 それによると、硬式野球部員数は16万7635人で、昨年比1263人減少、2年連続の減少とのこと。
 加盟校数も4014校で、昨年比7校減とのことでした。

 都道府県別の部員数および増減も掲載されていました。
 多くの都道府県で部員数が減少していましたが、宮城県・埼玉県・東京都・岐阜県・富山県・福井県・和歌山県・岡山県・鳥取県・島根県・徳島県・愛媛県・福岡県・沖縄県では、部員数が増加していました。

 最も増加数が多かったのは福岡県で+210人、沖縄県の+92人、岡山県の+74人と続きます。
最も減少数が多かったのは大阪府で△253人、北海道の△219人、熊本県の△171人と続きます。
 もともとの母数と比較して極端な増加・減少は見られませんから、学校の新設・廃止等の影響が主因であろうと思います。

 2年連続で全国の部員数が減ったからといって、高校の部活全体の中で硬式野球の人気が下がっているとは、一概には言えません。
 少なくとも、こうした情報を公開する際には、過去2年間の「高校生徒数推移」は、資料として必要だと思います。
 全体の生徒数が減少していれば、硬式野球部員数が減少するのは不思議なことでは無いでしょう。

 一方で、「新入生が進級して3年生になったときに部に残っている割合を示す継続率」は、13年連続で増加し、90.1%となり、統計を取り始めた1984年以来、初めて90%台に乗ったとのこと。

 少なくとも、生徒・部員の硬式野球に対する熱意は不変であり、部員の気持ちや体にダメージを与えるような「乱暴な指導」が減ってきていることは、間違いないようです。

 硬式高校野球の裾野というか、日本の硬式野球競技の裾野は相当程度確保されているのでしょう。
 第88回選抜高校野球大会の決勝戦が3月31日に行われ、智弁学園高校(奈良)が高松商業高校(香川)を2-1で破って、初優勝を飾りました。延長11回に縺れ込む、大接戦でした。

 この決勝戦もそうですが、今大会は「接戦が多かった」という印象です。

 準決勝以降の戦いを観てみましょう。

[準決勝]
・智弁学園2-1龍谷大平安(京都)→9回裏・智弁学園が2点を奪ってのサヨナラ勝ち
・高松商4-2秀岳館(熊本)→延長11回表・高松商が2点を奪っての勝利

[決勝]
・智弁学園2-1高松商→延長11回裏・智弁学園が1点を奪いサヨナラ勝ち

 この結果・試合内容を観ると、少なくともベスト4に残った4チームの実力は極めて接近していたと思われますし、大会に入って調子を上げたチームが「勢いで優勝」したということでも無かったように感じられます。各チームが、着実に自分達の力を発揮し、ギリギリの戦いを展開したのでしょう。

 こうした大会は、実は珍しいのではないかと思います。
 多くの大会では、大会が進むにつれて打線が調子を上げてきたチームが、一方的なゲームを展開することが多く観られるのです。

 2006年から2015年の10度の春の甲子園の「準決勝のスコア」を観てみましょう。

[2006年大会]
・横浜12-4岐阜城北
・清峰6-0PL学園

[2007年大会]
・常葉菊川6-4熊本工
・大垣日大5-4帝京

[2008年大会]
・聖望学園4-2千葉経大付
・沖縄尚学4-2東洋大姫路

[2009年大会]
・清峰4-1報徳学園
・花巻東5-2利府

[2010年大会]
・日大三14-9広陵
・興南10-0大垣日大

[2011年大会]
・九国大付9-2日大三
・東海大相模16-2履正社

[2012年大会]
・大阪桐蔭3-1健大高崎
・光星学院6-1関東一

[2013年大会]
・浦和学院5-1敦賀気比
・済美3-2高知

[2014年大会]
・履正社12-7豊川
・龍谷大平安8-1佐野日大

[2015年大会]
・敦賀気比11-0大阪桐蔭
・東海大四3-1浦和学院

 2006年から2015年の準決勝20試合を観てみました。

 例えば、「10点以上の得点を挙げた試合」が6試合も在りますし、2010年大会は2試合とも10点以上の得点が入っています。2014年大会でも、勝利した2チームは12得点・8得点を挙げているのです。
 また、2010年の「日大三14-9広陵」や2014年の「履正社12-7豊川」といった「打ち合い」のゲームさえ存在するのです。

 では、2006年から2015年大会の「大量点が入った決勝戦」を挙げてみましょう。

[2006年大会決勝]
・横浜21-0清峰

[2008年大会決勝]
・沖縄尚学9-0聖望学園

[2010年大会決勝]
・興南10-5日大三

[2013年大会決勝]
・浦和学院17-1済美

 4試合で大量点が入っています。
 特に、2006年大会・横浜の21得点、2013年大会・浦和学院の17得点には驚かされました。

 こうした近時の10大会と比較しても、2016年大会が「接戦続きの大会」であったことは明らかでしょう。

 ある意味では「珍しい大会」となった理由を考えてみましょう。

① コントロールが良い投手が多かったこと

 決勝を争った、智弁学園の村上投手、高松商の浦投手もそうですが、コントロールが良く粘り強く丁寧なピッチングを展開する投手が多かったという印象です。
 いわゆる「剛球タイプ」の投手を擁するチームは、勝ち上がれなかったのです。

② 準決勝・決勝に到っても投手がスタミナを残していたこと

 前述の大量点が入った過去の試合を観ると、連戦の疲れからエース投手の球威・コントロールが落ち、連打を浴びるというケースが多かったようです。
 これと比較して、今大会の準決勝以上に進出したチームの投手は、最後までスタミナが持ちました。

 準々決勝の後に1日の休息日を設けるという日程も、効果が有ったのかもしれません。

③ 超強力打線のチームが少ないのか

 ひょっとすると、2016年の高校野球チームには、「超強力打線」を擁するチームが少ないのかもしれません。

 夏の大会でも注目したいと思います。

 今大会は、釜石2-1小豆島、明石商3-2日南学園、海星3-2長田、敦賀気比1-0青森山田、龍谷大平安2-0八戸学院光星、海星2-1敦賀気比、秀岳館2-1木更津総合、龍谷大平安2-1明石商と、準々決勝までのゲームでも「大接戦」が続きました。

 春の甲子園2016は「手に汗握る大会」だったのです。
 春の甲子園2016も2回戦に入りました。
 3月26日・大会7日目も2回戦3試合が行われましたが、見所十分の好ゲームが続きました。

① 龍谷大平安2-0八戸学院光星

 今大会屈指の好投手である平安の市岡投手に対して、光星打線が挑みました。
 ヒットこそ5本でしたが、6四球を選び攻撃を続けました。

 これに対して「ここぞ」というシーンで光星の攻撃の芽を摘んだのは、平安の内野守備でした。難しい打球を再三処理しました。そして守り切りました。

 今大会の龍谷大平安チームの強さは、この守備力なのかもしれません。

② 明石商3-0東邦

 1回裏の攻防がポイントであったと思います。
 
 東邦のエース・藤嶋投手があっという間に2アウトを取り、3番の橋本選手に四球を与えました。4番の小西選手を迎えます。
 カウント3-2となって、内角やや真ん中寄りのストレートをレフトオーバーの2ベースヒット。明石商が先制したのです。

 緒戦、関東一打戦を1安打に抑え込んだ藤嶋投手としては、「打たれない」という自信の投球だったのでしょうが、これを小西選手がコンパクトに振り切りました。

 2アウト・カウント3-2でしたから、1塁ランナーが投球と同時にスタートを切っていたこともあり、悠々とホームインできたことも大きかったと思います。

 この「思わぬ失点」により、藤嶋投手は試合を通して「力み」の目立つ投球となり、持ち味のボールのキレが影を潜めてしまいました。
 そして、エース・4番・キャプテンという藤嶋投手の僅かな心理的動揺は、東邦チーム全体に影響を及ぼした感じがします。

 運動神経・野球センスの塊である藤嶋選手にとっては残念な結果でしたけれども、この敗戦を糧として、一層素晴らしいプレーヤーになって欲しいものです。

 一方の明石商のエース吉高投手は、持ち味を存分に活かした投球を展開しました。
 変化球主体の投球ながら、要所で145kmのストレートを投げ込みました。9イニング・126球、被安打5、奪三振6、与四球1は歩かせたものでした。ほぼ満点の投球なのではないでしょうか。

 優勝候補の一角・東邦を破った、初出場明石商の気迫溢れる試合であったと思います。快進撃がどこまで続くのか、楽しみです。

③ 木更津総合4-1大阪桐蔭

 木更津総合・早川投手の好投が際立ったゲームでした。
 変化球とストレートの使い分けが絶妙でした。「抜いた」ようなボールが有効で、強打の大阪桐蔭打線に最後まで的を絞らせませんでした。

 1回裏、大阪桐蔭の3番・吉沢選手にホームランが飛び出しました。キャプテンの先制本塁打ですから、この試合も大阪桐蔭の活発な打線が爆発するかに観えました。

 ところが3回表、ここまで快調な投球を続けていた大阪桐蔭の高山投手の投球を、木更津総合打線の中軸が一気に捕えました。2番の木田選手から5番の山下選手まで4連打。
 この回一挙4点として逆転しました。

 今大会屈指の好投手と目されていた高山投手でしたが、この回はボールの威力・キレとも不足していた印象です。

 大会7日目は、優勝候補に挙げられていた、東邦と大阪桐蔭が姿を消しました。
 緒戦を快勝した両チームに、僅かに油断が有ったのかもしれません。

 甲子園に出場してくるチーム間の力の差が極めて小さいことを、示している結果なのでしょう。

 混戦模様の春の甲子園2016の、今後の展開が楽しみです。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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