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 神宮の秋を彩る明治神宮野球大会2018高校の部の決勝が11月13日に行われ、北海道地区代表の札幌大谷高校が、北信越地区代表の星稜高校を2-1で下して、初優勝を飾りました。

 今大会の札幌大谷高校チームの勝ち上がりは以下の通り。
・11月9日・1回戦 札幌大谷6-5龍谷大平安(近畿地区代表)
・11月11日・2回戦 札幌大谷7-3国士舘(東京地区代表)
・11月12日・準決勝 札幌大谷5-2筑陽学園(九州地区代表)
・11月13日・決勝 札幌大谷2-1星稜

 この大会の宿命ですが「5日間で4試合」というハードスケジュールを乗り越えて、札幌大谷高チームは栄冠を手にしました。
 勝ち上がりを観ると、やはり緒戦の龍谷大平安戦の勝利が大きいと感じます。
 強豪犇めく近畿地区から出場した龍谷大平安高チームは、優勝候補の一角でした。
 この試合を6-5という競り合いで制して、札幌大谷高チームは一気に勢いに乗ったのでしょう。

 2回戦以降も強豪チームを連破し、決勝では「優勝候補筆頭」の呼び声も高い星稜高チームを逆転で破ったのです。

 もちろん、この勝ち上がりを観る限り、札幌大谷高チームのチーム力が非常に高いことが伺われます。
 まずは打力。準決勝までの3試合で5得点以上を挙げていますから、打線が強力な上に、決勝の7回2死からの北本選手のタイムリーに代表される「勝負強さ」も評価されなくてはなりません。

 続いては投手力。決勝の2年生・西原投手の好投、強打で鳴る星稜打線を1点に抑え込んだ投球は、まさに秀逸。
 ハードスケジュールの中では投手陣の頑張りが不可欠ですが、札幌大谷チームは投手の層も厚いのです。

 甲子園大会に出場経験の無い札幌大谷高チームが、明治神宮大会という全国大会を制覇したのは、見事の一語です。

 一方で、このところ言われている「甲子園常連校の変化」、かつての「殴る蹴るの指導方」(そのタイプの指導方がどれくらい広まっていたのかは分かりませんけれども)が使えなくなったために、「甲子園常連校チームが普通のチームになってしまった」という、やや乱暴な意見が、再び叫ばれる可能性もありそうです。(全ての常連校チームが「殴る蹴るの指導方」を取っていたとは思いませんが)

 「とても厳しい指導を経てきた伝統校チームの選手には『一種の凄み』があるので、相手チームの選手は、試合前の挨拶の時から『あいつら命賭けてるし、勝ってはいけないのかな』と感じてしまう」、それが伝統校チームの強さの一部だったという、ある意味では不思議な理屈が展開されることがあるのです。

 もし、こうした理屈が存在するのであれば、スポーツの指導局面で暴力を使うことがとても難しい時代となった現在、「一種の凄み」を身に纏ったチームはどんどん減り、消滅して行くのでしょう。

 日本の高校野球に「新しい伝統」が構築される時代が、来ているのかもしれません。

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 8月18日に行われた「金足農VS近江」の試合の、秋田地区の視聴率(NHK総合放送)が平均で53.8%、瞬間最高が66.0%に達したと報じられましたから、準決勝や決勝の視聴率がどれくらいになったのだろうとニュースを待っていましたが、なかなか報じられませんでした。

 不思議に感じていたのですが、何と「計測していない」というのです。

 そんなことがあるのか、と驚きました。

 秋田地区の視聴率調査は「当該月の第1月曜日から2週間」の間行われるというルールになっていて、2018年8月なら6日から19日の間だけ調査されていたのだそうです。
 従って、20日の日大三戦、21日の大阪桐蔭戦は、そもそも調査されていなかったのです。

 ちょっとガッカリしました。

 そういうルールがあるにしても、秋田代表チームが決勝に進出するという「100年に一度の事象」(今後はもっと頻度が上がるかもしれませんが)に対しては、特例で調べておいてほしかったと感じます。

 それでも、決勝戦の関東地方のNHK平均視聴率は20.3%に達し、2017年の決勝の17.1%を上回ったとのこと。
 やはり、金足農チームの活躍が、夏の甲子園2018の全国的な盛り上がりに一役買ったことは間違いないのでしょう。

 先日のサッカーワールドカップ2018ロシア大会、6月16日のアイスランドVSアルゼンチンのゲームにおける「アイスランド国の視聴率が99.6%に達した」ことは、大きく報道され、地元の盛り上がりの凄さを示すというか、「異常な高率」が大いに話題となりました。
 「残りの0.4%は試合が行われたスタジアムに居た」という、洒落たコメントも報じられていました。
 「視聴率99.6%」、こういった数字は、連綿と語り継がれるものでしょう。
 それだけに、2018年夏の甲子園大会決勝の秋田地区の視聴率を計測しておいてほしかったのです。

 スポーツにおける「地元ファンの盛り上がり」というのは、時に、想像を遥かに超えるものとなるのですが、「我らの代表」という要素に、どのような別の要素が加わると、「大ブレイク」となるのかは、なかなか把握が難しいところです。

 ケースバイケースということなのでしょうが・・・。
 かつては、代表的な「甲子園戦法」のひとつであった「スクイズバント」を観る機会は、めっきり減りました。

 20世紀においては、好投手の投げ合いで「0の行進」が続くゲームも多く、ゲームの後半になると「1死3塁」からのスクイズバントの攻防が、1試合に1度や2度は観られたものでした。

 当時は、初球から仕掛けることは少なく、並行カウントやボールが先行したシーンで、「この1球」という渾身のプレーとしてトライされ、バッテリーも相手チームのサイン、タイミングを見抜いて「(バットが届かない位置に)投球を大きく外したり」しましたから、1球毎に「ハラハラ、ドキドキ」のプレーが続いたのです。
 「スクイズバント」を巡って、どれほどのドラマが生まれていたのか、想像を遥かに超える数でしょう。

 21世紀になってからは、当然ながら、戦法のバリエーションが拡大しました。
 
 バントの失敗(例えば、フライ)に備えて、3塁ランナーが「バントが地面に転がったことを確認してからスタートするプレーが多用されるようになると、守備側も、1塁手や3塁手がダッシュ・前進して「本塁封殺」を狙うようになりました。
 「(ランナーが)確認してからのスタート」では本塁到達までに時間が余計にかかりますから、バントが成功しても、ランナーが本塁でアウトになるシーンも数多く観られました。

 そして、「スクイズバント自体が行われなくなる時代」がやってきたのです。

 そもそもスクイズバント戦法というのは、「得点を取ることが非常に難しい時代」「1点がとても重い時代」の戦法です。
 「3塁ランナーをホームに返すために最も確率の高い戦法」として、かつての甲子園大会で多用されてきたのです。

 ところが、21世紀になってからは出場チームの得点力が格段に向上しました。

 今大会でも、決勝における大阪桐蔭チームの13得点や、大会二日目の山梨学院チームと高知商チームの対戦の様に12-14という、10点以上を取っても勝つことが出来ないゲームが現出するなど、「スクイズバントで1点ずつ積み上げている場合では無い」と言わんばかりのゲームが数多く観られました。
 今大会、勝利したチームが「4得点以下」の試合は20試合、「5得点以上」の試合は35試合となっています。
 「甲子園の野球が変わってきた」ことは、間違いないのでしょう。

 こうした流れの中で、「スクイズバント」は次第に絶滅危惧種となってしまいました。
 「滅多に観られない戦法」になりつつあると思います。

 そして、この絶滅危惧種を大切に護り、戦法として脈々と使い続けているのが金足農業チームということになります。

 金足農チームは、吉田投手を中心とした堅い守りで失点を抑え、スクイズバント戦法で得点を挙げて、少ない得点で勝利するという野球を、厳然と継続したのです。

 準々決勝の近江戦などは、全3得点をスクイズで挙げています。
 「全得点をスクイズで挙げて、甲子園で勝利した試合」というのは、何時以来のことであろうかと感じます。21世紀においては、まず観られない試合でしょう。

 甲子園戦法としてのスクイズバントの伝統を受け継ぐ者として、金足農業高校チームには、これからも甲子園大会に数多く出場していただきたいと、(勝手に)考えているところです。

 8月22日「BASEBAII GEEKS」配信の「金足農・吉田投手の球質を公開!プロ投手を上回るホップ成分とは!」という記事は、とても面白いものでした。

 「秋田県・高校野球強化プロジェクト」のデータとして紹介されていたものですが、「ボール変化量」という項目が採り上げられていました。
 投球が、キャッチャーに到達するまでの変化量を数値にしたものだと思います。
 
① 高校生平均 横変化18cm、縦変化32cm
② 吉田投手 横変化10cm、縦変化53cm
③ プロ投手平均 横変化26cm、縦変化44cm

 吉田投手の投球は、高校生平均より、縦方向に21cm(53cm-32cm)上に到達するという結果なのです。
 21cmはボール2~3個分に相当しますから、夏の甲子園2018で各チームの打者の多くが、吉田投手の投球軌道の下を振って空振りしていた理由が、良く分かります。
 それにしても「21cm」というのは、凄い数値でしょう。

 高めの、キャッチャー到達時には明らかなボール球を「ストライクだと思って振った」という、相手打者のコメントも、なるほどという感じ。低めの投球に対して「ボールだと思って見送った」ケースも多発していましたが、この記事では「吉田投手のストレートは、いわゆる『真上に伸びるような』球質」であるとしています。
 昔風の言い方をすれば「ホップする」投球ということになるのでしょう。

 そのホップする度合いが、プロ投手平均を9cmも上回っているというのですから、吉田投手の将来性を感じてしまうのは、私だけではないでしょう。
 加えて、「ボールの変化量」は、必ずしも回転数だけに影響されるものでは無いと指摘しています。

 甲子園大会の試合において、吉田投手がロジンバックを使った後、投げた時の細かい粉末の飛び方は凄いものでした。吉田投手の手からボールが離れた瞬間、大袈裟に言えば、ボールの周囲70cm位の球形に「白い粉」が飛び散りました。これは、どの試合でも共通していましたから、「吉田投手の投球は、物凄いスピードで回転している」ことが直ぐに分かりました。
 今後は、その回転数の情報も、今後詳細に開示されてくるのであろうと期待します。

 この記事では、その回転数に「回転軸」の要素が加味されて、「ボールの変化量」が決まってくるとしています。
 とても興味深い内容です。

 この記事の、さらに素晴らしいところは、最後に「こうしたスキルをどのように身に付けたか」に言及しているところです。
 「・・・しかしながら、本当の吉田投手の凄さとは、測定したこれらのデータを自分の上達につなげる頭の良さかもしれない。先述の神事氏は、吉田投手の投球よりも貪欲に吸収しようとメモを取り質問する姿に強い印象を受けたという。『高校生離れ』しているのは球質だけではなく、偉業の裏側には『どうやったら上手になるのか』を自分自身で答えを見つけようとするトップアスリートの姿勢があったのかもしれない。・・・」と書いています。
 とても深い記述だと感じます。

 自らのプレーを自ら考えて、より良いプレーに昇華させようとする姿勢と能力こそが、吉田輝星投手の最強のスキルなのかもしれません。
 もちろん、このスキルが「アスリートにとっての大切な才能のひとつ」であることは、言うまでもないでしょう。

 そして、このスキルが在る限り、吉田投手の進化は続くのであろうと感じます。
 8月11日の1回戦で、鳥取城北高校チームにサヨナラ勝ちを収めた龍谷大平安高校チームが、春夏の甲子園大会通算100勝を達成しました。

 気の遠くなるような数字ですが、中京大中京高校チームに続いて、史上2校目の「100勝」です。

 春夏の甲子園大会を通じての、チーム毎の勝ち星トップ10は以下の通り。
 (2018年8月15日時点=夏の甲子園2018の2回戦終了時点)

① 中京大中京 133勝(夏78勝、春55勝)
② 龍谷大平安 101勝(夏61勝、春40勝)
③ PL学園 96勝(夏48勝、春48勝)
④ 県岐阜商 87勝(夏39勝、春48勝)
⑤ 松山商 80勝(夏60勝、春20勝)
⑥ 天理 75勝(夏48勝、春27勝)
⑦ 広陵 71勝(夏34勝、春37勝)
⑧ 東邦 70勝(夏19勝、春51勝)
⑨ 早実 66勝(夏43勝、春23勝)
⑩ 広島商 62勝(夏43勝、春19勝)

 錚々たるチームが並びました。
 甲子園大会の歴史を彩る強豪チームばかりです。

 夏の大会の方が、出場チーム数が多く試合数も多いので、一般的には夏の勝ち数の方が多くなるのが道理ですが、そうでは無いチームもあって、各チームの特徴が良く出ています。

 例えば、東邦高校チーム(愛知)は、夏19勝・春51勝と、圧倒的に「春に強い」のです。「春の東邦」と呼ぶに相応しい実績です。

 一方で、松山商業高校チーム(愛媛)は、夏60勝・春20勝と、圧倒的に「夏に強い」のです。確かに、夏の大会で「松山商は出てくれば強い」という印象が有ります。

 中京大中京と龍谷大平安は、春も夏も強いというところでしょうか。春・夏の勝ち星のバランス?(そんなものがあるのかどうかは分かりませんが)が良く観えます。
 このトップ2のチームは、「何時の時代でも、春でも夏でも、常に安定した力を披露してきた」ことが、如実に示されているのでしょう。

 今大会の龍谷大平安チームは2回戦も勝って、通算101勝としましたが、この勝利が、「京都代表チームの通算130勝」でもあったと報じられました。
 この数字を観るにつけ、京都代表における龍谷大平安チームの存在の大きさが分かります。何しろ、京都代表の甲子園大会における勝ち星130の内の101、「77.7%」が、龍谷大平安チームによって齎されているのですから。

 甲子園大会において「京都と言えば平安高校」というのは、20世紀の頃からの定番ですが、それでも、大会開催数と比較すれば1/3位の頻度でしか?(本来は「も」と表現すべきところですが、ここでは「しか」)、例えば夏の大会なら「第100回で34回目の出場となっています。

 その「約1/3」の出場回数で、京都代表全体の勝ち星の「77.7%」を、龍谷大平安チームが挙げているのです。

 間違いなく、「龍谷大平安チームは甲子園大会でとても強い」のです。

 第100回全国高等学校野球選手権大会は大阪桐蔭高校の優勝で幕を閉じましたが、大会通算の入場者数が100万人を超え101万5千人となって、史上最多を記録したと報じられました。
 これまでの最多は、1990年・第70回大会の92万9千人だったとのこと。

① 史上最多の56チームが出場

 今大会は「記念大会」、それも「第100回大会」という1世紀を刻む記念大会でしたから、地方大会での「2チーム出場地区」も最多となって、56チームという史上最多出場の大会となりました。

 従って、試合数も多くなり、入場者数が増加したのは、その意味では自然なことでした。

 これまでの最多記録であった1990年の大会も「第70回記念大会」でした。

② 外野席が有料化された大会

 今大会は、これまで無料だった外野席で500円(子供100円)という入場料を、初めて取ることとした大会でした。
 大会前には「有料化の影響」によって、入場者数が減るのではないかとも指摘されていましたが、全く影響が無かったどころか、新記録を樹立?したのですから、「甲子園大会の人気」の凄さが感じられます。

③ 観客・応援者の熱中症対策

 夏の甲子園2018は、私の周辺でも「甲子園に応援に行く」という人がいつになく多い大会でした。
 そして、現地で応援した人達からは一様に「とにかく暑かった」との言葉が・・・。

 特に、次の試合の応援席に入るために、球場外で待っている際の暑さは「尋常なものでは無かった」とのことでした。
 グループで行った友人は「(球場外で待っていた時)一緒に行った知り合いの男の子の具合が悪くなってしまって、係員に通報した」との話があり、応援したチームは初戦を突破したのですけれども、当該グループの人達は全員「第2戦の応援は回避」したそうです。
 スポーツが大好きで、スポーツを観るためになら大抵の試練?には耐える友人も、今回ばかりは、「第2戦はクーラーの効いたリビングルーム」で観戦したそうです。

 前の試合が大熱戦となり、目指していたゲームの開始時刻が、予定より1時間以上後ろ倒しになってしまったという特殊要因もあったのですけれども、甲子園球場外の直射日光が注ぐエリアでの入場待ちは、相当に厳しいものであったことが分かります。

 決勝戦も、午後2時開始に向けて、通常なら午前11時に開門する所を、今回は午前6時30分に開門したと報じられています。(史上最も早い開門とのこと)
 人気の凄まじさを物語る事実ですが、そうすると、午前6時30分に入場した観客は、試合開始まで「7時間30分」を待ったことになります。
 ずーっと観客席に居たわけでは無いのでしょうが、それにしても2時間半位のゲームを観るために7時間以上待つというのは、今年の様な酷暑の夏はもちろんとして、普通の夏(変な書き方で恐縮です)でも、大変なことでしょう。

 選手の体調管理に向けては、様々な意見・対策が論じられているようですが、「入場者数100万人突破」を契機として、観客・応援者の健康管理・ウェイティング方法にも、何らかの対応が必要であろうと感じます。
[8月21日・決勝]
大阪桐蔭13-2金足農

 2018年の大阪桐蔭高校チームの打線が、一度火が付いたら止められないものであることは、北大阪大会決勝の23得点を観れば分かっていたことでした。

 第100回記念大会の決勝でも、その威力が如何なく発揮されたのです。

 勝負のポイントは1回裏の攻防に在ったと思います。

 ノーアウト1・3塁から、金足農業高校チームの吉田投手は、3番中川選手・4番藤原選手を連続三振に切って取りました。素晴らしい投球でした。
 しかし5番根尾選手の時に暴投で1点を献上します。コントロールの良い吉田投手としては、珍しく「力み」の観られる投球でしたが、大阪桐蔭のクリーンアップを迎えての「フルスロットルの投球」でしたから、この1点は止むを得ないものとも感じました。

 そして6番の石川選手を迎えました。
 この石川選手が、吉田投手渾身のストレートを右中間に弾き返したのです。

 3-0、試合は大阪桐蔭のリードで始まりました。

 この1回裏を1失点で抑え切れば、金足農にも勝利の可能性が残ったと思いますが、3失点は大き過ぎました。
 また、吉田投手にとっても、全力投球が通じなかったというショックが残り、連戦の蓄積された疲労が一気に出てしまったのであろうと思います。

 東北のチームの初制覇か、史上初の2度目の春夏連覇か、に注目が集まった一戦は、大阪桐蔭チームの圧勝で幕を閉じました。

 惜しくも準優勝に終わりましたが、第100回記念大会を最も盛り上げてくれたのが、金足農チームであったことは間違いないでしょう。
[8月20日・準決勝]
大阪桐蔭5-2済美

 「大本命」と目されたチームが、順調に決勝まで歩を進めるというのは、夏の甲子園大会においては「至難」の技でしょう。
 大阪桐蔭チームは、これをやってのけました。

 緒戦から準決勝戦までの道のりは、当事者の眼から見れば「茨の道」だったのでしょうが、各々の試合を観ている限り「勝つべくして勝ってきた」ゲームを披露し続けたと感じます。

 このチームは、とても「強い」のです。

 この試合は、柿木投手を立てました。
 今大会最速の151kmの速球を具備している柿木投手を準決勝に先発させることが出来るというのが、大阪桐蔭チームの選手層の厚さでしょう。

 決勝では、休養十分の根尾投手を先発に立てるのでしょうか。

 狙い通りに「春夏連覇」を達成するとすれば、底知れぬ強さを保持したチームとして、夏の甲子園大会の歴史を飾ることになります。

 金足農VS大阪桐蔭。
 1915年・第1回大会の決勝、京都二中VS秋田中以来の秋田代表の登場です。
 
 いかにも、2018年第100回大会の決勝戦というところでしょうか。

 大阪桐蔭が地力を発揮して勝ち切るのか、金足農が「黄金の9人」によるミラクルな戦いを魅せるのか。

 素晴らしい決勝戦が期待されます。
[8月20日・準決勝]
金足農2-1日大三

 秋田大会から「9人の選手」で戦ってきた金足農業高校チームが、準決勝を勝ち抜き、ついに決勝に駒を進めました。

 この夏の大会、金足農チームには、代打も、代走も、リリーフ投手も、一切無かったのです。
 とても厳しい接戦も、この不動のメンバーで乗り切ってきました。
 私は「黄金の9人」と呼びたいと思います。

 もちろん、金足農チームにも控えのプレーヤーが居て、「黄金の9人」に怪我や故障が出た時には、しっかりとフォローする体制は出来ているのでしょうが、この「9人」の素晴らしいところは、ここまでひとりの落伍者も無く、勝ち上がってきたというところでしょう。

 秋田県勢103年振りの決勝進出は、もちろん凄いことですけれども、私は「不動の9人」が戦い抜いてきたことに、大きな価値を感じます。
 戦術的な一体感の高さは当然のこととして、決して「無理なプレー」に走らなかったことの証左でしょうし、本当の意味での「チームワーク」の存在を強く感じます。

 チームの中心に立っているのは「吉田投手⇔菊池亮捕手」のバッテリーなのですが、このバッテリーを支える守備陣は、上手いというより強力と言う感じでしょう。
 
 この試合でも、9回裏日大三チームの反撃、1死1塁のシーンでの佐藤英選手の強い当たりを、三塁手・打川選手は止めました。一塁への送球は間に合わず、日大三のチャンスは一死1・2塁へと拡大したのですけれども、この「止めたプレー」がチームに大いなる勇気を与え、日大三への無言のプレッシャーとなったと感じます。
 吉田投手にも、とても頼もしいプレーであったことでしょうし、ピンチの中でも「自分達のプレーが出来ている」という自信に繋がったと思います。

・1番二塁手 菅原 天空 選手
・2番左翼手 佐々木 大夢 選手
・3番投手 吉田 輝星 選手
・4番三塁手 打川 和輝 選手
・5番中堅手 大友 朝陽 選手
・6番一塁手 高橋 佑輔 選手
・7番右翼手 菊池 彪吾 選手
・8番捕手 菊池 亮太 選手
・9番遊撃手 斎藤 璃玖 選手

 金足農チームの歴史に、秋田県高校野球の歴史に、そして第100回全国高等学校野球選手権記念大会の歴史に、永遠に刻まれるであろう「黄金の9人」。

 決勝戦でも、「これまでやって来たプレー」を継続し、「黄金の9人の野球」を甲子園球場で存分に披露していただきたいと思います。

[8月18日・準々決勝・第4試合]
金足農3-2近江

 金足農業高校チームが9回裏の大逆転で勝利し、準決勝進出を決めました。

 試合開始直後からの投手戦の中で、大事なシーンでの得点で勝り、試合を優位に進め、勝利目前だった近江高校チームでしたが、最期は「金足農チームの勢い」に押された感じであり、惜しい星を落としました。

 9回裏、6番高橋佑輔選手の安打などで、金足農はノーアウト満塁というチャンスを創りました。
 そして、9番斎藤璃玖選手のスクイズバントが決まったのですが、とても思い切った、とてもハイリスクな攻撃でした。

① フライとなればトリプルプレーの怖れ

 斎藤選手のバントが小フライとなり、例えば近江の林優樹投手が捕った場合には、そのまま、三塁・二塁とボールが転送され、トリプルプレーが成立していた可能性が有ります。
 金足農の3塁ランナー・2塁ランナーは、このプレーにおいて「一気のスタート」を切っていましたから、フライと観て塁に戻ることは出来なかったことでしょうし、「戻ることが出来るような中途半端なスタート」では、2ランスクイズは成功していなかったことでしょう。

② 斎藤選手のバントの強さ

 近江の三塁手・北村恵吾選手は、スクイズバントを捕球し迷うことなく1塁に投じました。
 2-2の同点にされたものの、まだまだ試合はこれからであり、同点のままで延長戦に突入するためには、アウトカウントを増やしていく必要があるという、とても合理的な判断からでしょう。

 この際に、斎藤選手のバントがもう少し強ければ、北村選手は「本塁封殺」を狙って、本塁に送球していたかもしれず、そうすれば、ひとり目のランナーは刺せなかったとしても、二人目のランナーは生還できていなかった可能性が高いのです。

 逆に、斎藤選手のバントがもう少し弱ければ、近江の捕手・有馬諒選手が捕球していたかもしれず、そうなれば、2塁ランナーが一目散に三塁ベースを回り本塁に突入してくる姿が見えた可能性が有りますから、2人目のランナーを封殺することが出来たでしょう。

 結果として、斎藤選手のスクイズバントは「絶妙の強さ」だったことになります。
 斎藤選手の技術の高さを示す事実ですが、まさに「球運」も大きく働いたようにも感じられます。

③ 2塁ランナーが3塁ベースを回ったことに、誰も気づかなかったのか?

 三塁手の北村選手がバントを捕球した瞬間に、近江チームの他の選手から「ホーム」という声がかかっていたようには観えませんでした。
 近江の守備陣全員が、金足農の2塁ランナーの動きを観ていなかったのかもしれません。

 サッカー競技では時々見られることですが、野球においても「ボールウォッチャー」という現象、チーム全員がボールを観てしまい、他の状況に気が付かなず、体も動かないという現象、が発生するのかもしれないと思いました。

 別の見方をすれば、近江の内野に居た野手の誰かが、金足農の2塁ランナーの動きに気付き、大声で「ホーム」と叫んでいれば、ホームで封殺されていた可能性が有った訳です。

 以上のようなリスクが存在する、多くのリスクが存在する中で、百も承知で、金足農チームの中泉一豊監督は敢然と2ランスクイズのサインを出したことになります。
 「スクイズのサインは、監督にとって、とても勇気がいる」といわれますが、2ランスクイズのサインともなれば、「その勇気は何倍にもなる」のでしょう。

 日々の練習を信じ、「自分達の戦い方」を貫いた、本当に見事なチームプレーに、野球の神様も思わず頷いたというシーンだったのかもしれません。

 前日の横浜高校チームとの激闘で160球以上を投げていた、金足農のエースというか、「他に投手が居ない」中では、マウンドに立ち続けなければならない存在である吉田輝星投手は、さすがに疲労の色が濃く、横浜戦で150km/hを記録したストレートも、この試合では140km台前半でした。
 それでも、「ボールのキレ」は前日同様というか、前日以上であったようにも感じられ、強打の近江高校打線を2点に抑え込んだのです。

 9回表も、ノーアウト1・2塁という大ピンチでしたが、最期は速球で三振を奪って、このピンチを乗り切りました。
 三振を奪った瞬間、マウンドから駆け下りながらの吉田投手の笑顔が、本当に印象的でした。

 金足農チームの9回裏の劇的な大逆転勝利を生んだのが、この「堅守」であったことは間違いありません。
 「稀代の好投手」吉田輝星を得た金足農チームは、秋田大会から一貫した戦いを継続しているのでしょう。

 34年振りの準決勝進出を果たした金足農チームは、休養日を挟んだ8月20日、日大三チームとの戦いに臨みます。
 僅か1日ですが、その間に吉田投手の体調が回復していることが期待されます。
 低目で良く伸びる、最近の甲子園ではなかなか見ることが出来ない「素晴らしい回転のストレート」、150kmを超えるストレートを、再び披露していただきたいものです。

 甲子園の常連、優勝候補の一角でもある大豪・日大三チームとのゲームが、とても待ち遠しいところです。
 第100回大会も2回戦を終えました。
 熱戦に次ぐ熱戦が繰り広げられています。

 1イニング8得点というゲームがありました。
 7点のリードも、1イニングで逆転されるのかと思うと、セイフティリードは何点なのだろうかと感じます。

 そうして観ると、今大会は所謂ビッグイニングが多いのかもしれません。

 今大会ここまで=8月15日終了時点=2回戦終了時点の「1イニング5得点以上」を挙げてみます。「5得点」としたのは、満塁ホームランを超えるという物差しです。

① 8月6日 山梨学院VS高知商 5回表山梨学院8得点
② 8月10日 木更津総合VS敦賀気比 6回表木更津総合6得点
③ 8月10日 日大三VS折尾愛真 1回裏日大三7得点
④ 8月12日 星稜VS済美 1回表星稜5得点、8回裏済美8得点
⑤ 8月12日 高知商VS慶応義塾 2回表高知商7得点
⑥ 8月14日 横浜VS花咲徳栄 4回表横浜6得点

 以上の6試合7ケースがありました。
 1ゲームに2度あるのもびっくりします。
これが例年の大会より多いのか少ないのかは調べてはいないのですけれども、十分な数の「集中攻撃・集中打」が生まれていることは間違いないでしょう。

 そして、①や④では1イニング5得点以上のビッグイニングを創出しても、残念ながら敗れているチームが有るのですから、これも驚きです。
 「流れが大きく変わる」試合があるということになります。

 多くの場合には、連打に四死球とエラーが重なっての大量失点なのですが、一度傾いた流れを引き戻すのが、とても難しくなっているということかもしれません。
 堅守を誇っていたチームに、突然エラーが生まれるのも不思議です。

 プレーヤーの精神面が主な要因なのかもしれませんが、「ピンチになると動揺する」というプレーヤーが増えてきているとすれば、その原因は「強いチームを創ろう」とする指導者の皆さんとしては、把握して行かなければならないのでしょう。
 もちろん、とても難しいことなのでしょうけれども。

 野球に限らず、劣勢になった時の「強さ」は、全ての競技において求められているのです。
 「第100回記念大会」に関連して、様々な催し物が行われていますが、8月5日にテレビ朝日系列で放送された「ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙!」も面白い企画でした。

 投票結果も、相当味わい深いものであったと思います。

 ベスト10までを記載します。(敬称略)

・1位 松井秀喜
・2位 松坂大輔
・3位 江川卓
・4位 清原和博
・5位 田中将大
・6位 大谷翔平
・7位 王貞治
・8位 桑田真澄
・9位 清宮幸太郎
・10位 ダルビッシュ有

 番組における各タレントというか野球専門家の「1位予想」は、野村克也氏が「田中将大」、太田幸司氏が「江川卓」、定岡正二氏が「太田幸司」でした。
 これらの皆さんの予想とも、相当に違う結果となっていたのです。

 夏の甲子園大会における成績とも、無関係と言って良いほどの、ある意味では「意外」な結果でした。

① 高校野球ファンは「怪物」が好き?

 上位を占めたプレーヤーは、いずれも「怪物感あふれる選手」達です。
 元祖(投票した人達にとっての元祖)怪物・江川卓、平成の怪物・松坂大輔はもちろんとして、松井秀喜、清原和博もまさに「怪物」でした。

② 「怪物」の度合いを決めたものは・・・。

 その「怪物感あふれる選手」達の中で、その順位を決めたのは、「ファンが受けた印象の強さ」であったように感じます。

 「5連続敬遠」は、想像以上のインパクトを日本中に及ぼしたのでしょう。あの星稜VS明徳義塾のゲームで、明徳のキャッチャーは松井選手の打席で1度も立たなかったと記憶していますので、厳密には「敬遠」ではないのかもしれませんが、ファンには「松井は1度も勝負してもらえなかった」という印象が残り、それが世代を超えて「ゴジラの迫力」として深く心に刻まれたものと(勝手に)考えております。

 3位の江川投手も、「あの投球」、ボールがホップする凄まじい投球の迫力が、とても強かったのであろうと思います。信じられないようなパフォーマンスだったのでしょう。

 そして、2位の松坂投手は「甲子園で無敗」という実績や、決勝でのノーヒットノーランという「ミラクル」な活躍がありました。

 4位の清原選手も、「驚異的な飛距離とホームラン数」がファンの心を捕えたものと思います。何時ホームランが飛び出すのだろうという期待と、それに応えるプレーの現出の繰り返しは、深く心に刻まれたのです。

 優勝・準優勝は、もちろんファンにとって大きな思い出となりますが、「観たことが無いレベルのプレー」が持つインパクトは、それを超えるものなのかもしれません。
[8月12日・大会8日目・2回戦]
済美13-11星稜(延長13回・タイブレーク)

 大会史上2試合目のタイブレークゲームは、済美高校チーム・矢野選手の「逆転満塁サヨナラホームラン」という、球史に輝く形で決着しました。

 延長13回表、星稜高校チームは2点を挙げて、再びリードしました。
 7-1から7-9と逆転され、9回表に2点を返して9-9の同点となり、延長戦に入った試合でしたから、この2点のリードは大きいという感じがしました。

 ところが済美チームは、政吉選手の「絶妙な3塁前へのバントヒット」を決めて、満塁と攻め立てます。
 少し話は戻りますが、このバントは本当に見事でした。あの局面で、これだけ精緻なプレーを披露するのは、素晴らしいの一言でしょう。

 そして、矢野選手のライトポール直撃の本塁打が飛び出したのです。
 テレビ画面で、矢野選手が「ファウルか」と観たのでしょうか、打席に戻りかけたところで、ポールに打球が当たりました。
 矢野選手が「事態を把握するのに少し時間がかかった」ように観えました。
 滅多に起こることでは無いというか、大会史上僅か2度目の「サヨナラ逆転満塁ホームラン」だったのですから。

 星稜の寺沢投手も良く投げました。
 延長12回の裏、一死満塁のピンチを2者連続三振、それも2打者とも「カウント3-2からの真ん中低め一杯のストレート」で見逃し三振に切って取ったのです。
 気迫あふれる投球でした。

 「どちらが勝ってもおかしくないゲーム」は済美チームの勝利という結果となりました。
 タイブレーク制度下での劇的な試合ですから、このゲームは球史に刻まれる好ゲームとなりました。

 それにしても、星稜チームは、第61回大会の箕島高校チームとの死闘もそうでしたが、「球史に残る延長戦における敗者」という、残念な役回りが続いているようにも感じられます。

 甲子園大会で、次こそは「星稜高校チームが笑顔でゲームセットの延長戦」を観てみたいものだと思います。
[8月7日・大会3日目第4試合]
常葉大菊川8-7益田東

 逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームでしたが、8回裏に2点をあげて再逆転した常葉大菊川チームが押し切りました。

 こうした「点の取り合い」というゲームが、近時の甲子園大会では増えていると感じます。

 ところで、常葉大菊川チームといえば、大会前から「ノーサイン野球」が話題になっていました。
 高橋利和監督(32歳)が掲げる手法なのですけれども、特に攻撃の時には一切ベンチからのサインは無いのだそうです。

 随分と思い切ったやり方ですが、高橋監督自身が常葉菊川の選手だった時に、重圧から「サイン通りのプレーが出来なかった」経験を踏まえての、やり方であると報じられています。

 当然ながら、選手たちは試合の局面ごとに「自分達で考えなくてはなりません」し、やろうとしているプレーについても、お互いに、例えば打者とランナー、ランナーとランナー、同士で、「何らかの方法で意思疎通」を行い、「何らかの方法で合意」して、プレーを続けるわけですから、とても難しい攻撃となる訳です。

 おそらくは、「送りバント」といったプレーは選択されにくくなるのでしょう。

 このゲームでも、1回裏と2回裏に「ノーアウト1・2塁」という絶好のチャンスを迎えましたが、1回裏は三振・三振・左邪飛で、2回裏は2塁ゴロ併殺・三振で、得点を挙げることが出来ませんでした。
 もし、監督からのサインに従ってプレーするチームであれば、序盤でもあり、打者のカウントを観ながら「送りバント」が指示されていたことでしょう。
 得点の確率が高かった、という見方もありそうです。

 しかし、そうした野球=監督からサインが出される野球、を展開した場合に、このゲームに勝利できていたかどうかは、誰にも分からないでしょう。

 「ノーサイン」をベースにした、とても自由奔放?な=一方でとても思い切ったプレーができる、攻撃によって、3回裏のタイムリー2塁打2本やタイムリーヒットが生まれ、4点を挙げることが出来たとも言えるのでしょうから。

 「100%監督のサイン野球」と「ノーサイン野球」の功罪は、今後の検討課題なのでしょう。

 とはいえ、近時は「選手に考えさせる」チームが、他のスポーツにおいても増えているように観えます。

 その代表格が、大学ラグビーの帝京チームでしょう。
 岩出雅之監督の下で、2009年から2017年まで、大学選手権9連覇中の帝京大学ラグビーチームは、今や「大学ラグビーの覇者」です。
 連覇を伸ばす度に、岩出監督から「選手が考えてプレーしている」「選手に任せている」といったコメントが聞かれます。その「任せ度合い」(変な言葉で恐縮です)は、毎年高まっている印象です。
 そのチームが、9年連続大学日本一に輝いているのですから、「そのやり方」が優れていることは、異論を挟む余地がありません。
 大学ラグビーにおいては、間違い無く「岩出方式」が史上最強なのです。

 試合の時に、全てを選手に任せていたら、監督の仕事が無くなると言ったご心配は、当然ながら無用なことなのでしょう。
 監督には「日々のチーム創り」という、とても重要な仕事が有りますし、試合においても故障者などが出た時の「交替判断」においては、監督の役割が大きいと思います。

 「ノーサイン野球」の常葉大菊川高校チームの「第100回記念大会」における今後の活が注目されるところです。
[8月6日・1回戦]
佐久長聖5-4旭川大高(延長14回)

 2018年の春の甲子園大会から導入されていた「タイブレーク制」が適用されたゲームが、史上初めて行われました。
 8月6日の第4試合でした。
 甲子園大会の歴史に刻まれるゲームとなったのです。

 12回を終えて4-4の同点となった試合は、大会規定に則り、13回からタイブレークに突入しました。
 毎回「ノーアウト1・2塁」という状況から試合が始まるものです。

 今大会の地方大会では、計35試合がタイブレークで決着したと報じられていますが、甲子園大会で「その野球」が行われるのは初めてでした。

 延長13回の表裏は、両チームともに犠打失敗等の為に無得点に終わり、14回の表、佐久長聖高校チームは1番真銅選手のバントが内野安打となってノーアウト満塁のチャンス。続く上田選手の二塁ゴロの間に、三塁ランナーが生還して1点を勝ち越しました。
 旭川大高校チームも、14回裏の攻撃が残っていますから、この二塁ゴロでは本塁封殺を狙うことなく、併殺を取りに行ったのです。大量点を阻止する観点からのプレーでしょう。

 選手の体力面、健康維持の観点からのタイブレーク制度導入は、高校野球の将来を考えれば必要な措置であろうと、私は考えています。
 延長13回からの開始では無く、より早い回からのスタートでも良いのではないかとも考えています。

 「歴史的な試合」が行われた以上、今後は「タイブレーク下での勝ち方」の研究・実行が続いて行くことになるのでしょう。

 そして、それはそれで「劇的なドラマ」が数多く生まれるのであろうと思います。
 7月31日にFull-Countから配信された「・・・代表56校出身のプロ野球選手は・・・」という記事は興味深いものでした。

 夏の甲子園2018の出場56校のOBが、どれくらい日本プロ野球およびMLBの現役選手として活躍しているかを調べたものです。

 以下、現役プロプレーヤーが多い順に並べます。

① 横浜 18人
② 大阪桐蔭、広陵 16人
③ 日大三 9人
④ 仙台育英、花咲徳栄 8人
⑤ 敦賀気比 7人
⑥ 北照、星稜、龍谷大平安、報徳学園 5人

 以上がベスト10になります。

 横浜からは中日ドラゴンズの松坂大輔投手やDeNAベイスターズの筒香嘉智選手、大阪桐蔭からは西武ライオンズの中村剛也選手や日本ハムファイターズの中田翔選手、広陵からは読売ジャイアンツの小林誠司選手や広島カープの野村祐輔投手、日大三からはヤクルトスワローズの近藤一樹投手、等々、数多くのプロプレーヤーが出ているのです。

 「甲子園常連校」の錚々たるチームが並んでいますが、やや意外?なのは南北海道代表の北照高校でしょうか。今大会で4度目の夏になりますが、ベスト10の他のチームと比べれば出場回数も多くは無く、甲子園大会における成績も上位という訳では無いチームです。
 とはいえ、2010年と2013年の春の甲子園大会ではベスト8に食い込んでいますから、この頃のプレーヤーがプロに進んでいるのでしょうし、高校時代の指導内容がプロ向きと言って良いのではないでしょうか。

 ベスト10には入りませんでしたが、4人を送り出している花巻東からはMLBの大谷翔平選手・投手が、同じく4人の二松学舎大付属からは広島カープの鈴木誠也選手が、2人の鳥取城北からは阪神タイガースの能美篤史投手が出ています。
 全国津々浦々から、プロ野球を支える人材が、甲子園から巣立っていることがよく分かります。

 当然のこととお叱りを受けそうですが、甲子園大会は未来のプロプレーヤーが登場する晴れ舞台でもあるのです。
 8月2日、第100回大会の組合せ抽選会が開催されました。

 いわゆる「常連校」が多い大会ですから、緒戦の組合せも豪華?絢爛、決勝や準決勝のカードでも何の不思議もない対戦が数多く登場しました。

 こうした強豪校同士の戦いは、優勝チームを予想して行く中では「大きな不確定要素」となりますので、結果として、今大会活躍が期待されるチームの選定も、とても難しいものとなれます。

 さて、注目の10チームです。

① 大阪桐蔭

 春の甲子園2018での戦い振りと北大阪大会での勝ち上がりを観ると、このチームだけは初戦の相手がどこであろうと、第一の注目チームでしょう。その強さは「底知れない」感じがします。

 とはいえ、緒戦の相手・作新学院もとても強いチームです。8年連続の夏の甲子園でもあり、気後れなく甲子園球場でのプレーに臨めるのですから。
 大阪桐蔭に弱点があるとすれば「あまりに伸び伸びとプレーしてしまう」ところでしょうか。作新学院チームの投手陣が1~3回を無難にクリアして、「3点以内に抑える」ことが出来れば、作新学院チームにも十分にチャンスがあります。

② 日大三

 このところ、甲子園において、かつてのような強さが観られない日大三チームですが、苦戦が続いた西東京大会を勝ち抜いた価値は大きいと感じます。
 持ち味の「おおらかな野球」に期待します。

③ 花巻東

 優勝旗を東北に・・・と言われて久しいのですが、今大会の花巻東チームには、その可能性が十分に有ると感じます。
 最後は「チームワーク」が物を言いそうです。

④ 花咲徳栄

 昨年のチャンピオンです。今年のチームは、昨年に比べればやや小粒な感じがしますが、逆に良く纏まっていると思います。
 競り合いに強いところを魅せていただきたいものです。

⑤ 聖光学院

 2回戦からの登場となります。緒戦の報徳学園戦は接戦となるでしょうが、ここを勝ちぬいて勢いに乗りたいところです。

⑥ 星稜

 石川大会の決勝は「打ちまくり」ました。記録ずくめのゲームでした。
 大会初日の第一試合を引き当てて、大先輩・松井秀喜氏の始球式を目の当たりにするという「小説の様なストーリー」を実現したところに、このチームの「運」を感じます。

⑦ 浦和学院

 緒戦の最後に登場します。しかも相手は仙台育英。浦和学院VS仙台育英は、決勝戦でも不思議の無いカードでしょう。当然に、どちらが勝ってもおかしくないわけですが、浦学がこの難敵を抜くことができれば、勝ち進んで行くことでしょう。

⑧ 智弁和歌山

 春の甲子園2018の準優勝チームです。春は「ミラクル」な戦いを続けました。
 甲子園歴代最多勝記録を誇るの高嶋監督のもと、第100回でも大暴れしてほしいものです。

⑨ 木更津総合

 近時、千葉代表が振るいません。久し振りに、習志野、銚子商、拓大紅陵と続く「千葉の野球」の存在感を示してほしいと思います。

⑩ 慶応

 1916年の第2回大会優勝チームは慶応普通部でした。第100回大会で「慶応」の名が再び輝く可能性は十分でしょう。
 今年のチームは、投打のバランスの良いチームです。

 夏の甲子園2018は以上の10チームに期待します。

 好カードが目白押しの大会ですから、毎日ハラハラドキドキのゲームが続くことでしょう。
[7月25日・準々決勝]
大阪桐蔭2-1金光大阪

[7月27日・準決勝]
大阪桐蔭6-4履正社

[7月30日・決勝]
大阪桐蔭23-2大阪学院大

 春の甲子園2018で圧倒的な強さを魅せて優勝した大阪桐蔭チームが、北大阪大会を制して、夏の甲子園2018に駒を進めました。
 史上初の「2度目の春夏連覇」を目指しての登場です。

 その強さを考えれば、ゆうゆうと地方大会を勝ち抜いたのではないかと思われますが、さすがに「甲子園への道」は簡単なものではありませんでした。

 準々決勝の金光大阪とのゲームは、3回裏に大阪桐蔭が先制し、4回表に金光大阪が1-1に追い付いて、5回裏に大阪桐蔭が2-1とリードする展開でした。
 ゲームはこのまま9回を終えたのです。

 金光大阪チームの2人の投手、久下投手と鰺坂投手の小刻みな投手リレー=久下→鰺坂を3度繰り返しました、の前に、大阪桐蔭チーム自慢の打線が追加点を挙げることが出来ず、1点差の接戦となったのです。
 大阪桐蔭は根尾投手が完投しました。
 「何が起こるか分からない1点差ゲーム」を凌ぎ切った、大阪桐蔭チームの守備力の高さが伺われる試合でしたが、イレギュラーバウンドや思わぬエラーが発生する可能性もあったのですから、辛勝でもあったのでしょう。

 準決勝は「九分九厘追い込まれたゲーム」でした。
 強豪・履正社チームを相手にしての準決勝は、0-0の拮抗した展開から、7回表大阪桐蔭チームが3点を挙げて優位に立ちました。
 しかし、「打倒・大阪桐蔭」に燃える履正社が反撃、7回裏に1点を返し、8回裏に一挙に3点をあげて逆転に成功しました。
 「8回裏の逆転」が、こうしたゲームでどれほど有効かは、野球をやったことがある人なら直ぐに分かることです。
 相手チームは「がっくり」来ると言われます。

 9回表の大阪桐蔭の攻撃も2死ランナー無し。
 履正社としては、ついに大阪桐蔭の壁を破ったかに見えました。
 
 しかし、野球は2アウトからとはよく言ったもので、信じられないことにここから「4者連続四球」で4-4の同点となり、6番山田選手のタイムリーヒットで6-4と再逆転したのです。
 何か小説の様な展開ですが、好投を続けてきた履正社チームの投手陣が、最後の最後で踏ん張り切れなかったということになりますし、大阪桐蔭チームの上位打線の圧力(2番打者から5番打者の4連続フォアボール)は、尋常なレベルでは無いのでしょう。
 それにしても、薄氷を踏む勝利であったことは間違いありません。

 そして決勝。
 こちらは序盤から一方的な展開となりました。

 準々決勝、準決勝と苦しいゲームを続けてきた大阪桐蔭チームの打線が大爆発したのです。記録ずくめの決勝でした。

 1回裏に4点を先制して、完全に勢いに乗りました。
 こうなると「手が付けられない打線」なのでしょう。
 2回裏に4点を加え、3回裏に1点、5回裏に1点で2桁の10点となりました。
 そして大坂学院大チームに2点を返された6回裏、11連打で13点を加えたのです。
 「何時終わるともしれぬ攻撃」でした。

 23得点は、大阪大会の新記録、あの桑田・清原のPL学園が樹立した17得点を大きく更新するものでした。

 金光大阪投手陣を相手にして2得点と苦しんだ打線とは、とても思えないような豪打でした。

 「全く異なる様相の準々決勝・準決勝・決勝」を勝ち抜いた大阪桐蔭チームには、何か「恐ろしい強さ」が感じられます。
 「どんな展開でも負けない強さ」とでも言うのでしょうか。

 夏の甲子園2018=第100回選手権大会、の優勝争いの中心となるチームは、間違いなく大阪桐蔭高校なのです。

 7月30日、第100回全国高等学校野球選手権大会の出場56チームが決まりました。

 第100回の記念大会であり、史上最多の出場チーム数となりました。

 最多出場回数は京都の龍谷大平安の34回目、宮城の仙台育英27回目、和歌山の智弁和歌山と広島の広陵と高知の高知商が23回目で続きます。

 今大会は「10回台」の出場チームがとても多い印象です。
 沖縄の興南12回目、鹿児島の鹿児島実業19回目、佐賀の佐賀商16回目、徳島の鳴門12回目、東兵庫の報徳学園15回目、北大阪の大阪桐蔭10回目、滋賀の近江13回目、西愛知の愛工大名電12回目、石川の星稜19回目、富山の高岡商19回目、新潟の中越11回目、南神奈川の横浜18回目、北神奈川の慶応18回目、西東京の日大三17回目、南埼玉の浦和学院13回目、栃木の作新学院14回目、福島の聖光学院15回目、と19チームを数えるのです。

 夏の甲子園大会に10回以上出場しているというのは「常連校」ですから、今大会は常連校が多いのでしょう。
 「第100回」ですから、地方大会において「野球の神様も少し匙加減をした」のでは、と感じるのは、穿った見方でしょうか。

 こうなると逆に、初出場が少なくなるのが道理ですが、6チームでした。
 西千葉の中央学院、三重の白山、西兵庫の明石商、奈良の奈良大付、北福岡の折尾愛真、南福岡の沖学園の6チームです。
 この6チームの中で、春夏を通じての初出場=「甲子園初見参」は白山と折尾愛真、沖学園の3チーム。
 こうして見ると、南北福岡大会は、本当にフレッシュなチームを送り込んできたことになります。

 この56チームが、どんな記念大会を描いてくれるのか、本当に楽しみです。

[7月25日・三重大会決勝・四日市市営霞ヶ浦球場]
白山8-2松坂商業

 5回表の猛攻・6得点が効果的でした。
 三重県立白山高校が、初めて甲子園に駒を進めたのです。

 「初出場」であることはもちろんですが、毎年「惜しくも」という戦いを演じてきたというよりは、突然登場した印象です。
 2007年から2016年までは「三重大会で10年連続1回戦負け」だったというのですから、信じられないような飛躍でしょう。

 白山チームは地方大会で、いつも1回戦負けのチームでも、2年間で甲子園出場を実現できるということを証明したのです。
 全国的に見ても、こうした例が過去にあったのか?と感じてしまいます。

 新しく野球部を創設し、選手を集めて、名監督を招聘し、強化を進めれば、短期間・創部数年での甲子園出場は可能でしょうし、毎年のように地方大会の上位に顔を出した末の「悲願の甲子園大会出場」も有り得る話だと思いますが、「10年連続1回戦負け」から2年後に甲子園初出場というのは、とても考えにくい「ミラクル」なケースでしょう。
 
 2013年の東拓司監督の就任が契機になったことは間違いないのでしょうが、それにしても、草だらけのグラウンドで、投球マシンも無いという環境下、これほどまでに強くなったのには、何か要因がある筈です。

 2017年の三重大会で11年ぶりに初戦突破、3回戦に進出し、昨秋と今春の県大会ではベスト8に進出したとのことですから、2017年の秋頃から急速に力を付けたということになります。

 「要因」は追って判明するかもしれませんが、まずは「ミラクル」白山高校の第100回大会での活躍に期待しようと思います。
[7月23日・南埼玉大会・決勝・県営大宮球場]
浦和学院17-5川口

[7月24日・北埼玉大会・決勝・県営大宮球場]
花咲徳栄4-1上尾

 第100回記念大会には、埼玉からも2チームが出場します。
 地方大会も北と南に分かれて行われました。

 そして、南埼玉大会からは浦和学院高校チームが、北埼玉大会からは花咲徳栄高校チームが、勝ち上がりました。
 厳しい戦いが続く「甲子園への道」ですが、埼玉大会は接戦・激戦を経て、「21世紀の埼玉高校野球を代表する2チーム」を、夏の甲子園2018に送り込むこととなったのです。

 浦和学院チームは、圧倒的な得点力で勝ち抜きました。「ソツの無い攻撃」で着々と得点を積み上げたのです。投手力は、「伝統の継投」です。

 花咲徳栄チームは、こちらも伝統の「先発投手力」が生きました。決勝も野村投手がひとりで投げ切りました。

 浦和学院が2013年春の甲子園大会優勝校であり、花咲徳栄が2017年・第99回の夏の甲子園大会の優勝校であることは、皆さんご承知の通りです。
 特に花咲徳栄は、埼玉勢として初の選手権大会優勝チームなのです。

 例年なら1校の代表が、記念大会で2校に拡大され、その2校が「21世紀の埼玉高校野球を代表する」存在、全国的にもビッグネーム、というのは、埼玉の高校野球ファンにとっては堪らない展開なのではないでしょうか。

 浦和学院も花咲徳栄も、甲子園の決勝では打線が爆発し、17-1、14-4という大差で優勝を決めました。

 その強さを、第100回大会の舞台でも披露していただきたいと感じます。
[7月23日・北福岡大会・決勝・北九州市民球場]
折尾愛真12-9飯塚

[7月24日・南福岡大会・決勝・北九州市民球場]
沖学園1-0九産大九州

 南北2地区で戦われた福岡大会ですが、折尾愛真高校と沖学園高校が制し、甲子園へと駒を進めました。共に「初出場」です。

 第100回記念大会では、大坂や神奈川等の地区と共に、福岡地区からも2校が甲子園大会に出場することとなりました。「野球どころ」ならではの複数代表です。

 そして両地区ともに、並み居る常連校を後目に新鋭校チームが勝ち抜いたのです。

 北福岡の決勝は、折尾愛真チームが打ち合いを制しました。
 5回までを10-6とリードした折尾愛真が飯塚の反撃を凌いで12-9で勝ち切ったのです。

 一方の南福岡は、沖学園チームが投手戦を制しました。
 沖学園の大エース・斎藤投手が、3回表に挙げた1点を守り切ったのです。21世紀の甲子園大会の地区大会決勝では珍しい、完投シャットアウトでした。

 21世紀に入ってから、福岡代表の甲子園での成績は芳しいものではありません。
 
 1992年の西日本短大付属以来、優勝チームは出ていません。
 準優勝とて、1988年の福岡一まで遡らねばならないのですから、福岡の高校野球ファンにとっては切歯扼腕の日々なのでしょう。

 フレッシュな2チームには「新しい福岡代表の戦い」を、甲子園球場で披露していただきたいと思います。

[7月22日・福島大会決勝・いわきグリーンスタジアム]
聖光学院15-2福島商業

 福島大会の決勝は、前半から優位に試合を進めた聖光学院高校チームが、7・8・9回に9得点を重ねて、快勝しました。

 聖光学院は、自ら持つ戦後の夏の甲子園大会連続出場最長記録を「12年連続」に伸ばしました。素晴らしい記録です。

 毎年選手が入れ替わる高校野球において、12年連続というのは空前の記録でしょう。
 福島の他のチームも「打倒・聖光学院」の旗印のもと、毎年チームを強化して挑んでいる筈です。

 当然ながら、聖光学院チームも毎年持ち味が異なるのですが、2018年のチームは例年以上に強打のチームであり、また投打のバランスが良いチームでもあります。

 「甲子園への道」は、どんな強豪チームにとっても容易なものでは無いことは、言うまでもありません。「一度負ければ終わり」というのは、想像以上に厳しいものなのです。
 特に、相手投手の調子が良い場合には、どんな強力打線でも打ち倦むもので、逆に見方チームにエラーが出たりして失点することも、十分に有り得ることなのです。

 今大会の聖光学院チームの「道」について見れば、準決勝のいわき海星チームとのゲームは、拮抗した大接戦でした。
 3回までに3-0とリードしたものの、その後はいわき海星・岩崎投手を打てず、9回表には2点目を献上して3-2の1点差となりました。聖光学院チームは、上石投手→川口投手→衛藤投手のリレーで逃げ切ったのです。
 終わってみれば、いわき海星が8安打、聖光学院が7安打、四死球はいわき海星7個、聖光学院4個と互角の試合内容でした。聖光学院としては、2つのダブルプレーを成立させたことが、勝利を呼び込んだと言えるのかもしれません。

 こうした接戦をも物にして、甲子園に駒を進めたのですから、2018年の聖光学院チームが「粘り強い」ことは間違いありません。

 第100回記念大会での初優勝、福島県勢としての初優勝をも目指して、聖光学院チームの甲子園での戦いが始まります。

[7月10日・夏の甲子園岩手大会2回戦]
大船渡11-2盛岡三

 夏の甲子園2018=第100回全国高等学校野球大会の地方大会が、全国各地で開催されています。
 高校球児の暑い夏が、2018年も繰り広げられているのです。

 そうした中で、岩手大会の2回戦、大船渡高校の2年生投手として先発・完投した、佐々木朗希(ささき ろうき)投手に注目が集まっています。

 身長189cmと長身の佐々木投手は、この試合で154km/hの速球を投げ込みました。
 これは、自己最高スピードであったそうです。
 そして、ゲームを通して「150km台の投球」を数多く投げたのです。

 そもそも、高校生時点で150kmの速球を投げることができる投手というのも、それ自体が滅多に居ないのですが、佐々木投手が毎回のように150km台の速球を披露したこと、つまり「150km投球を常態化」したという点は、ひょっとすると日本高校野球史上初めてのことかもしれません。
 これまでの「150km越え高校生投手」は1試合に数球というケースがほとんどだったからです。

 加えて、現時点で最高速度154kmを叩き出していますが、あの大谷翔平投手でも、高校時代の最速は150kmであったことを考え合わせると、その潜在能力には驚かされるところです。

 佐々木投手は、第100回大会に向けて「フォークボール」を習得したとコメントしていて、この速球とフォークのコンビネーションで、盛岡三高打線から11個の三振を奪いました。
 この佐々木投手の投球については、専門家筋から「ダルビッシュ有投手に良く似ている」という評価が在るようです。
 投球フォーム、投球の威力や球の回転の様子、変化球のキレ等々の比較から、ダルビッシュ投手に似ているとの評価になっているのでしょう。

 一方で、この試合で佐々木投手は「1番・投手」で出場しています。そして3安打を放ちました。
 「二刀流」という視点から、大谷翔平投手・選手にも似ているということになります。
 同じ岩手県の出身プレーヤーですから、地元で「大谷二世」と称されるのは、自然なことです。

 もちろん、佐々木投手が最も注目されているポイントは、その体格とプレーヤーとしての高い資質でしょう。この点が、最も大谷翔平投手・選手やダルビッシュ有投手に似ているのであろうと思います。

 佐々木選手を夏の甲子園2018で観ることが出来るかどうかということになると、これは容易なことでは無いのでしょう。夏の甲子園大会の地方大会を制するのは、何時の時代も至難の技だからです。
 大谷翔平投手・選手も高校3年生の夏は地方大会決勝で敗れています。
 とても厳しく、運にも恵まれて居なければ、なかなか実現しない甲子園大会出場ですが、今夏の大会に佐々木投手が登場するのを楽しみに待ちたいと思います。

 それにしても、大谷選手→佐々木選手と続くと、岩手県は「体格に恵まれた、才能溢れる超高校級の野球選手」を生む土地柄と言うことになるかもしれません。

 こうした「トッププレーヤーに関する地域的な偏り」は、他の競技でも観られることですが、いつも不思議なことだと感じます。

 第90回選抜高校野球大会は、甲子園大会に初めて「タイブレーク制」が導入された大会でした。

① 適用された試合は無し。

 今大会導入されたタイブレーク制は「延長13回から適用」されるものでした。一方で、今大会において、延長13回まで縺れ込んだ試合はありませんでしたから、実際にこの制度が稼働した試合はありませんでした。

 では、「タイブレーク制」導入の影響は、無かったのでしょうか。

② 今大会の延長戦
・3月30日・3回戦 創成館2-1智弁学園(延長10回)
・3月31日・3回戦 花巻東1-0彦根東(延長10回)
・3月31日・3回戦 星稜4-3近江(延長10回)
・4月1日・準々決勝 智弁和歌山11-10創成館(延長10回)
・4月3日・準決勝 智弁和歌山12-10東海大相模(延長10回)
・4月3日・準決勝 大阪桐蔭3-2三重(延長12回)

 大会前半は、延長戦が無く、順調に?試合を消化しました。「今大会は延長が少ない」と感じました。
 しかし3回戦になると、試合にも慣れ、実力が拮抗するチーム同士の対戦となりますから、縺れる試合が増えました。
 とはいえ、「延長10回」のゲームばかりが続きましたから、「今大会は延長も短い」と妙な感想を持ちました。
 
 こうした状況でしたから、甲子園球場の照明が使われる試合はありましたが、夜のとばりが降りた状態でのプレーは無かったと思います。

 準決勝は2試合とも延長になりました。
 これは、大会史上初のことと伝えられていますが、何しろ1日で2試合の日程ですから、やはり夜遅い試合には、ならなかったのです。

 準決勝・第2試合、大阪桐蔭VS三重が今大会唯一の11回以降まで戦ったゲームとなりました。12回裏に大阪桐蔭がサヨナラ勝ちを収めなければ、ついにタイブレーク制が適用される試合になるところだったのです。

 いずれにしても、今大会前半は延長戦が少なく、後半延長戦が増えたと言っても「10回まで」の試合が多かったのです。
 これは、やはり「珍しい」状況と言えそうです。

 チームを預かる、各チームの監督さん達の頭の中、気持に、「タイブレークには入りたくない」という意識が有り、様々な局面で「早めの勝負」が採用されることが多かったのではないでしょうか。

 「無死1・2塁」から始まるタイブレークは、リスクが高いというか、何が起こるか分からないという面があるでしょうから、勝利の確率を少しでも上げたいと考えている監督にとっては、選択したくない局面なのであろうと思いますし、それが今大会の延長戦事情に現れているように感じるのです。

 次は夏の甲子園2018、第100回の記念大会です。

 甲子園大会における初めてのタイブレーク制適用試合は、何時観られるのでしょうか。
 第90回選抜高校野球大会・決勝が4月4日に行われ、大阪桐蔭高校チームが智弁和歌山高校チームを5-2で破り、優勝しました。
 大阪桐蔭は、2017年大会に続く連覇達成です。36年振り、史上3校目の快挙でした。

 緒戦からの勝ち上がりを観てみましょう。

① 3月26日・2回戦 大阪桐蔭14-2伊万里(佐賀)
② 3月31日・3回戦 大阪桐蔭5-1明秀学園日立(茨城)
③ 4月1日・準々決勝 大阪桐蔭19-0花巻東(岩手)
④ 4月3日・準決勝 大阪桐蔭3-2三重
⑤ 4月4日・決勝 大阪桐蔭5-2智弁和歌山

 こうして見ると、2回戦と準々決勝では「強打の大阪桐蔭」を示現していますが、その他のゲームでは「守り勝っている」印象ですので、バランスの取れたチームということが分かります。

 特に、準決勝と決勝では、相手チームに追加点を許さない堅い守りから、「勝負所での一本のヒット」がキチンと飛び出しています。
 「本当に強い」というのは、こういうことなのかもしれません。

 大会前から、優勝の大本命と呼ばれ、その期待に応えたというのは、とても偉大なことです。

 夏の甲子園2018も、大阪桐蔭高校チームを中心とした戦いが展開されることになるのでしょう。
[4月1日・第2試合]
智弁和歌山11-10創成館(長崎)

 延長10回の激闘の末、智弁和歌山高校チームが逆転サヨナラ勝ちを収めました。
 創成館高校チームにとっては、本当に惜しいゲームでした。

 ゲームは創成館のペースで進みました。
 初回に3点を先制し、5回表を終わって7-2とリードした時には、「さすがの智弁和歌山強力打線も苦しいか」に観えました。
 ところが5回裏、智弁和歌山は4点を捥ぎ取り6-7と追い上げました。

 創成館も怯むことなく7回表に2点を加えますが、その裏智弁和歌山も1点を挙げて、9-7と創成館が2点をリードして9回裏を迎えます。
 ここで智弁和歌山は2死1・3塁から、8番東妻選手が四球を選んで2死満塁、このフォアボールが大きかったと思います。続く9番の平田選手がレフト前にタイムリーヒットを放ち9-9と追いついたのです。このゲームで智弁和歌山が初めて追いついた瞬間でした。

 智弁和歌山には逆転のチャンスが続きましたが、ここは創成館の4番手投手・酒井が踏ん張り得点を許さず、試合は延長に入りました。

 延長10回表、創成館は6番鳥飼選手が犠牲フライ、再び10-9とリードします。智弁和歌山のミスを活かした見事な攻撃でした。このまま創成館が押し切るかに見えた試合は、しかし、まだドラマが待っていたのです。

 10回裏2つの四球で2死1・2塁とした智弁和歌山は、6番黒川選手がレフトオーバーの2ベースヒットを放ち、逆転サヨナラ勝ちとしたのです。
 
 壮絶な打ち合いと言う以外にない好ゲームでした。
 「四球」が明暗を分けたとも言えそうです。

[4月1日・第4試合]
三重14-9星稜

 三重高校チームが先行し、星稜高校チームが追いかけるという展開。
 星稜は、本当に良く追いかけました。
 「諦める」という言葉を知らないかのような反撃でした。

 2回表に三重が3点を先取すると、その裏星稜は2点を返し、3回表に三重が4点を追加すると、その裏星稜が2点を返して7-4。

 7回までに両チーム2点ずつを加えて9-6と三重高校が3点をリードして、ゲームは8回裏を迎えました。
 相手のエラーで1点を返した星稜は、2死満塁で6番奥川選手がセンター前タイムリーヒットでついに9-9の同点としました。
 このゲームで初めて星稜が三重に追いついたのです。

 しかし9回表、敵失から三重の波状攻撃が続き一挙に5点を挙げて、14-9とリードしました。

 この大会「3点差までなら追い付いてきた」星稜高校チームでしたが、さすがに5点差は重かったのでしょうか。失意の様子がプレーに表れていました。

 それにしても、取られても取られても追い上げるプレーには、「諦めない気迫」が溢れていました。

 2018年4月1日の第90回選抜高校野球大会・準決勝の一日は、記録的なものとなりました。
 「4試合の合計得点67」という新記録が生まれたのです。

 第3試合における大阪桐蔭高校チームの「19得点」も大きかったのですが、いずれにしても「凄まじい得点力」を有する各チームが、準々決勝に数多く登場したことになります。

 近時の甲子園大会の傾向とも言えるのでしょうが、連投の疲れ等の要因により、相手投手の投球が本来のものでない時には、「容赦無く打つ」というチームが増えているように見えます。

 投手にとっては「受難の時代」と言えるのでしょうが、これからの甲子園大会で好成績を残すためには、チーム創りにおいて「相当の力量を保持する複数の投手」を擁する必要があることを、まざまざと示しているようにも観えるのです。
 第90回選抜高校野球大会も3回戦に入りました。

 接戦が続く大会ですけれども、追加点の絶好のチャンスを「併殺」で逃してしまい、試合の流れも失ってしまったゲームが2つありました。

[3月28日・2回戦]
彦根東4-3慶応

 前半は投手戦となりましたが、6回に彦根東が1点を先制しました。
 なかなか「あと一本」が出なかった慶応でしたが、7回裏ついに増居投手を捉え、ノーアウト満塁から8番善波選手の左中間へのタイムリーヒットで2-1と逆転に成功しました。
 続くノーアウト1・3塁のチャンスをものにすれば、終盤でもあり、相当優位に立てる場面でした。
 しかし、9番生井選手が空振りの三振、1アウト1・3塁から1番宮尾選手が2塁ゴロゲッツーで、大チャンスが潰えてしまったのです。
 慶応義塾高校チームにとっては「悪夢」のような攻撃となりました。

 そして8回表、彦根東高校チーム6番高内選手に、2アウト1・3塁から逆転3ランホームランが飛び出しました。

[3月30日・3回戦]
日本航空石川3-1明徳義塾

 投手戦となったゲームは、8回表明徳が相手エラーに乗じてついに1点を捥ぎ取りました。
 そして9回表、追加点の絶好のチャンスを迎えたのです。1アウト満塁、迎えるは7番菰渕選手。ここで追加点を挙げれば、最終回でもあり、試合は明徳義塾高校チームに大きく傾くところでした。
 ところが、1塁ゴロゲッツー。明徳は、追加点を挙げることが出来なかったのです。

 その裏、9回裏です。日本航空高校石川チームの3番原田選手に逆転サヨナラ3ランホームランが飛び出したのです。
 昨秋の明治神宮大会の優勝投手であり、この試合もここまで相手チームを零封してきた市川投手にとっては「悪夢」のような被弾であったことでしょう。

 慶応義塾と明徳義塾、2つのチームは自力十分な実力校です。

 にも拘わらず、絶好のチャンスを「併殺」で潰してしまいました。
 
 とはいえ、まだリードしていたのですが、信じられないような逆転=逆転3ランホームランを許してしまいました。

 両チームにとっては「信じられないような展開」でしょうし、とても残念なゲームとなったのです。

 野球における「試合の流れ」の怖さを、まざまざと感じさせるゲームでした。
 3月23日に開幕する第90回選抜高校野球大会の注目校検討です。

 「第90回」の記念大会ですから、例年より4校多い36校が出場します。
 有名校も数多く出場しています。「記念大会」に相応しいラインアップと言えるでしょう。

 1回戦・2回戦の組合せを見ると、今年は有力とされているチーム同士の対戦は少ないように感じます。

 さて、注目の10校です。

① 大阪桐蔭
② 日大三(東京)
③ 明徳義塾(高知)
④ 智弁学園(奈良)
⑤ 東海大相模(神奈川)
⑥ 星稜(石川)
⑦ 東邦(愛知)
⑧ 智弁和歌山(和歌山)
⑨ 国学院栃木
⑩ 聖光学院(福島)

 有力校同士の緒戦対戦が少ないとはいっても、当然存在します。
 
 明徳義塾と3日目に対戦する中央学院(千葉)、東邦と4日目に対戦する花巻東(岩手)の両校は、もし緒戦を取れば勢いに乗って勝ち進む可能性が有ります。
 また2日目の静岡と駒大苫小牧(北海道)も有力校同士の対戦であり、接戦となるでしょうし、どちらが勝ち残ってもベスト4に進む力が有ると思います。

 この10チームを選定したポイントは以下の通りです。

 トップに選んだ大阪桐蔭は、昨年の覇者であり、相変わらず高い実力を擁していると思います。日大三は、実力校の上に「春の三高」との異名もあります。明徳義塾は、昨秋の明治神宮大会の優勝校です。智弁学園は、このところ甲子園大会で好成績を残し続けています。東海大相模の「大きな野球」はとても楽しみです。星稜は、このところ強い北陸代表としての活躍が期待できます。東邦は、今大会最多29回目の春ですし、春に強いチームでもあります。智弁和歌山は、高嶋監督のマネジメント力に期待します。国学院栃木は、近時強い北関東の代表として活躍してくれることでしょう。聖光学院は、2010年以降甲子園大会出場実績を積み上げています。「そろそろ」決勝に進出しても不思議はないでしょう。

 春の甲子園2018は、以上の10チームに期待します。
 「実力校が揃った記念大会」という印象があります。

 見逃せない好ゲームが続くことでしょう。
 昨夏の甲子園大会を最後に、熊本・秀岳館高校の監督を辞めた鍛冶舎巧氏が、母校・県立岐阜商業高校の監督に就任すると、昨年末に報じられました。

 県岐商といえば、甲子園大会の「常連」です。
 岐阜県出身の方々に話を聞くと、かつては「毎年、県岐商が出ていた」印象だと言います。

 夏の甲子園大会の28回出場は、北海高校の38回、松商学園の36回らに次いで、中京大中京高校や天理高校と並ぶ5位タイの回数です。
 春の甲子園大会の28回出場は、龍谷大平安高校の40回、中京大中京高校の30回に次いで、東邦高校と並ぶ3位タイです。

 そして、夏1回、春3回の全国制覇を果たしていますし、甲子園大会通算87勝は全国の公立高校NO.1の勝ち星なのです。

 甲子園の名門中の名門と呼んでよいと思います。

 その県岐商も21世紀になってからは、めっきりその姿を甲子園大会で眼にすることが減りました。

 そこで、秀岳館高校時代に4度の甲子園で通算10勝4敗、3季連続ベスト4という、目覚ましい活躍を魅せた鍛冶舎監督に白羽の矢が立ったということなのでしょう。

 比較的選手を集め易かった私立高校とは異なり、県立高校ですから、主に岐阜県の高校生プレーヤーで戦って行くこととなり、現在の甲子園大会に出場すること、そして甲子園で勝利を重ねることは、一層難しいことなのかもしれませんが、鍛冶舎監督の手腕に期待したいと思います。

 2018年の春の甲子園大会の出場校も発表されました。

 寒い日が多い今冬、「春はセンバツから」ということで、甲子園大会の開幕が待たれる今日この頃です。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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