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[国際親善試合・10月16日・埼玉スタジアム2002]
日本4-3ウルグアイ

 森保ジャパンが、相手ゴール前でのスピード十分な攻撃で4点を挙げて、ウルグアイチームとの競り合いを制しました。

① きびきびした動き

 このゲームに勝利したこと、世界ランキング5位のチームに勝利したことは、もちろん大きな成果ですが、何より良かったのは「日本チームの動き、特に攻撃時の動きが良かったこと」ではないかと考えます。

 高いレベルで、これだけ動くことが出来れば、日本チームは十分に世界と互して戦って行くことが出来るでしょう。

 こういう「生き生きとしたプレー」が、日本代表チームに求められていたものだと感じます。

② ドリブルと動き出し

 ウルグアイのペナルティーエリア付近で、日本チームは効果的なドリブルを繰り出し、相手ディフェンダーの裏側に鋭く飛び出しました。
 中島選手や堂安選手が、縦横無尽に動き回ったのです。

 世界屈指のストライカーを持たないチームとして、世界トップクラスのチームと戦って行く上で、最も求められる動きが出来ていたと思います。
 スピード・俊敏性共に十分なプレーの連続は、これからの日本チームの「あるべきプレー」を示現していました。

③ 相手ゴールキーパーGKのクリアボールを押し込むプレー

 森保ジャパン2点目の大迫選手のシュートと4点目の中島選手のシュートは、相手GKムスレラ選手の好クリアのボールを叩き込んだものでした。

 これまでの日本代表チームに求められていながら、なかなか出来なかったプレー・ゴールを、このゲームでは2度も実現して魅せたのです。相手が世界屈指の守備力と世界屈指のGKを誇るウルグアイ代表チームだったのですから、喜びも一塩。

 2点共に、ペナルティーエリア付近からの威力十分なシュートも素晴らしいものでしたし、そのクリアボールへの反応というか、飛び出しの俊敏性とボールの「将来位置の予測」の的確さは、見事なものでした。

 日本代表チームによる「こういうゴール」を長い間渇望していたのです。

 日韓ワールドカップ2002の決勝、ドイツVSブラジル戦における、リバウド選手のシュートを、ドイツGKカーン選手が弾き、こぼれたボールをロナウド選手が蹴り込んだプレーは、とても有名なプレーであり、あの大会のワールドカップの行方を決めたプレーでしたが、世界トップクラスのゲームでは、こうしたゴールがとても大切なのです。
 
 国際親善試合とはいえ、このゲームにおける森保ジャパンのプレーは、とても気持ちの良いものでした。

 この「動き」さえあれば、我らがサムライブルーは、世界のどのチームと戦っても「試合になる」と感じます。
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 ヨーロッパNO.1クラブチームを決める、UEFA(欧州サッカー連盟)チャンピオンズリーグCLの2018~19年シーズンが、9月18日に開幕しました。

 「64回目」(1955年開始)のヨーロッパNO.1チームを決める大会であり、UEFA-CLとしては「第27回」の開催となります。

 21世紀においては、ヨーロッパNO.1クラブチーム=世界NO.1という図式ですので、実質的にはクラブチーム世界一を決める大会です。

 今季も、出場32チームを、4チームずつA~Hの8グループに分けて、各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出するという、いつも通りの形で争われます。

[グループA]
・9月18日 ボルシア・ドルトムント1-0クラブ・ブルージュ
・9月18日 アトレティコ・マドリード2-1ASモナコ

 グループAは以上の4チーム。
 リーガ・エスパニョーラ3強の一角アトレティコがきっちりと緒戦をものにしました。
 ドイツ・ブンデスリーガのボルシアもブルージュを破りました。共にアウェイでの勝利です。
 クラブ・ブルージュはベルギーの名門、UEFA-CLの前身の大会であるUEFAチャンピオンズカップの1977~78年シーズンで決勝に進出したことがある古豪です。(ベルギーのクラブチームで唯一の実績)
 グループAは、アトレティコとボルシアを中心とした戦いになりそうですが、ASモナコ、クラブ・ブルージュも十分に戦えると思います。

[グループB]
・9月18日 FCバルセロナ4-0PSVアイントホーフェン
・9月18日 インテルナツィオナーレ・ミラノ2-1トッテナム・ホットスパー

 グループBは以上の4チーム
 バルセロナとインテルが緒戦を制しました。バルセロナはホーム・カンプノウで、メッシ選手がハットトリックを決めて圧勝しました。インテルもホームのジュゼッペ・メアッツァスタジアムでスパーズを振り切りました。
 グループBは、バルセロナとインテルとスパーズの3チームの争いに、PSVがどこまで食い下がるかが見所でしょう。

[グループC]
・9月18日 リバプール3-2パリ・サンジェルマン
・9月18日 レッドスター・ベオグラード0-0ナポリ

 グループCは以上の4チーム。
 首位を争うであろう2チームの対戦はリバプールがホームでPSGを破りました。PSGはムニエ選手とエムバペ選手がゴールを挙げて、2度追いつきましたが、リバプールはインジュリータイムにフィルミーノ選手が決勝点を挙げ、振り切りました。
 PSGでは、ネイマール選手とカバーニ選手も先発しました。
 
 グループCは、この2チームを中心とした戦いになりそうです。

[グループD]
・9月18日 ガラタサライ3-0ロコモティヴ・モスクワ
・9月18日 FCポルト1-1シャルケ04

 グループDは以上の4チーム。
 トルコのガラタサライがホームで快勝し、ポルトとシャルケは引分けました。

 大混戦となりそうなグループDですが、長友選手が所属し、このゲームにも先発しているガラタサライに期待します。

[グループE]
・9月19日 アヤックス3-0AEKアテネ
・9月19日 バイエルン・ミュンヘン2-0ベンフィカ

 グループEは以上の4チーム。
 アヤックスはホームで快勝。バイエルンはアウェイの緒戦をしっかりとものにしました。
 ワールドカップ2018では調子が上がらなかった感のあるレバンドフスキ選手ですが、ブンデスリーガ2018~19で良いスタートを切り、このゲームでも先制ゴールを挙げています。

 グループEはバイエルンが首位通過候補、2位争いはアヤックスとベンフィカの争いでしょうか。

[グループF]
・9月19日 シャフタル・ドネツク2-2ホッフェンハイム
・9月19日 オリンピック・リヨン2-1マンチェスター・シティ

 グループFは以上の4チーム。
 ドネツクとホッフェンハイムはドロー、リヨンがアウェイでシティを破りました。リヨンはコルネ選手のゴールで先制し前半を2-0とリードすると、後半のシティの反撃をベルナルド・シウバ選手の1ゴールに抑えて、初戦を快勝しました。

 グループFの首位通過候補であり、スター軍団でもあるシティがホームで敗れましたので、リーグ戦として面白くなりましたが、やはりシティが1枚上だと思います。2番手争いは大混戦でしょう。

[グループG]
・9月19日 レアル・マドリード3-0ASローマ
・9月19日 ヴィクトリア・ブルゼニ2-2CSKAモスクワ

 グループGは以上の4チーム。
 レアルはASローマに快勝し、ブルゼニとCSKAモスクワは引分けました。
 クリスティアーノ・ロナウド選手が抜けたレアルですが、イスコ選手やガレス・ベイル選手が得点して、相変わらずの強さを魅せました。

 首位通過はレアルでしょうし、2番手もローマが有力だと思います。
 個人的には、チェコのブルゼニの活躍に注目しています。

[グループH]
・9月19日 マンチェスター・ユナイテッド3-0BSCヤングボーイズ
・9月19日 ユベントス2-0バレンシアCF

 グループHは以上の4チーム。
 マンUはヤングボーイズに快勝し、ユーベはバレンシアを破りました。
 前半29分にクリスティアーノ・ロナウド選手がレッドカード退場(CLに150試合以上出場しているクリロナ選手にとって初めてのレッドカードでした。不可解な判定との評もあります)して、アウェイのユーベとしては苦しい試合となりましたが、ミラレム・ピャニッチ選手(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の2コールでバレンシアを押し切りました。

 グループHは、ユベントスとマンUの勝ち抜けが有力視されますが、バレンシアにも十分チャンスがあると思います。

 UEFA-CL2018~19のグループリーグ緒戦の様子を、ざっと見てきました。
 
 今季から出場チームの選定方法が少し変更になっていますが、相変わらずの「豪華絢爛」な大会となっています。

 レアル・マドリード、FCバルセロナ、バイエルン・ミュンヘンの「クラブ3強」の戦い振り、イングランド・プレミアリーグ勢の巻き返し、決勝戦の会場となるエスタディオ・メトロポリターノをホームスタジアムとするアトレティコ・マドリードの決勝進出、等々、いつものように見所満載の大会です。

 チャンピオンズリーグは、世界トップクラスのプレーヤーが集う、「世界一華麗なプレーが飛び出す大会」だと思います。

 今シーズンも大いに楽しませていただきましょう。

 8月30日、2017~18年シーズンの欧州最優秀選手賞の授賞式がモナコで開催され、ルカ・モドリッチ選手(32歳)が、クリスティアーノ・ロナウド選手、モハメド・サラー選手を抑えて、受賞しました。

 クリスティアーノ・ロナウド選手が2013~14年シーズン、2015~16年シーズン、2016~17年シーズンと3度受賞し、リオネル・メッシ選手が2014~15年シーズンで受賞していた本賞ですが、久し振りに、この2人以外のプレーヤーが選出されたことになります。

 モドリッチ選手の2017~18年シーズンの活躍は「完璧」なもので、所属クラブのレアル・マドリードでUEFAチャンピオンズリーグに優勝(3連覇)、そしてFIFAワールドカップで母国クロアチアチームを準優勝に導きました。
 UEFA-CL2017~18においても、ワールドカップ2018においても、何よりそのプレー振りが素晴らしいの一語でした。

 「ワールドカップが開催される年には、ワールドカップで活躍したプレーヤーが欧州最優秀選手に選出されるのが望ましい」と考える、UEFA(欧州サッカー連盟)のミシェル・プラティニ会長も満足しているのではないでしょうか。

 クロアチアリーグ1部のディナモ・ザグレブでプロプレーヤーとしてのキャリアをスタートしたモドリッチ選手は、その後イングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーで4シーズンに渡って大活躍、6年前にリーガ・エスパニョーラのレアル・マドリードに移籍し、今季キャリア最高のシーズンを迎えたのです。

 ワールドカップ2018ロシア大会のMVPにも選出されているモドリッチ選手が、欧州年間最優秀選手にも輝きましたから、9月24日に発表されるFIFA年間最優秀選手(FIFAバロンドール)の最有力候補となったことも間違いないでしょう。

 過去10シーズン、FIFA年間最優秀選手はメッシ選手とクリロナ選手が5度ずつ分け合ってきたのですが、久し振りに「新しい名前」がコールされることになりそうです。

 ドイツ・ブンデスリーガの2018~19年シーズンは、8月24日に開幕し、9月2日までに第2節を終えました。

 第2節を終えての順位は下記の通りです。
・1位 バイエルン・ミュンヘン 勝点6、得失点差5
・2位 ヴォルフスブルグ 勝点6、得失点差3、得点5
・3位 ヘルタBSC 勝点6、得失点差3、得点3
・4位 ボルシア・ドルトムント 勝点4、得失点差3
・5位 ボルシア・メンヘングラードバッハ 勝点4、得失点差2
・6位 ヴェルダー・ブレーメン 勝点4、得失点差1、得点3
・6位タイ アウグスブルク 勝点4、得失点差1、得点3

 まだ第2節を終わった=2試合を消化したばかり、にもかかわらず、「常勝軍団」バイエルンが首位に立っています。
 もちろん、2連勝=勝点6のチームは3つあるのですが、得失点差や得点という基準により、しっかりと順位が付いているのです。

 先日、イングランド・プレミアリーグの第2節終了時点の順位についても書きましたが、ブンデスリーガの方も、まるでシーズン終盤の様な順位になっているのは、ある意味では驚きでしょう。

 以前にも書きましたように「得失点は正直」なのです。
 また、サッカー競技のリーグ戦における「順位を決めるための諸ルール」は、良く考えられている上に、歴史と伝統に裏打ちされたものだと、改めて感じます。

 「いつものように」首位を走るバイエルン・ミュンヘンの開幕2試合の内容は「圧巻」です。

 8月24日、今シーズンのリーグ開幕戦は、ホッフェンハイムを3-1で下しました。
 この3ゴールは、トーマス・ミュラー選手、ロベルト・レバンドフスキ選手、アリエン・ロッベン選手が1ゴールずつを挙げたものです。

 9月1日の第2節の試合は、シュツットガルトを3-0で下しました。
 この3ゴールは、レオン・ゴレツカ選手、レバンドフスキ選手、ミュラー選手が挙げています。

 シーズン前には、「バイエルンに新戦力無し」といった報道がなされ、今季の戦いへの不安が囁かれましたが、始まってみれば、世界を代表するストライカー達が「いつものように」活躍しているのです。
 何だか凄い感じがします。

 それにしても、いかに「常勝軍団」とはいえ、2012~13年シーズンから6連覇中のバイエルンが、今季も独走することになれば、「面白くない」というファンの声が強まりそうな気もします。

 他のチームの奮起に期待したいところです。
[9月6日・リーグAグループ1]
フランス1-1ドイツ

[9月9日・リーグAグループ2]
スイス6-0アイスランド

[9月7日・リーグAグループ3]
イタリア1-1ポーランド

[9月9日・リーグAグループ4]
スペイン2-1イングランド

 UEFA(欧州サッカー連盟)肝いりの「新」大会として、第1回ネーションズリーグが開幕しました。
 UEFA加盟の全55か国の代表チームが参加し、55チームをA~Dの4つのリーグに分け、各リーグでは3~4チームでグループ分けされて、リーグ戦で戦うという形式。
 リーグ分け、グループ分けの基準は、抽選日(今回であれば2018年1月24日)のFIFA世界ランキングが使用されます。

 ワールドカップが終了した後、これまではしばらくの間「国際親善試合」が行われて、各代表チームの力量などを判断してきたのですが、UEFAとしては「より真剣なゲーム」を指向して、こうした新たな大会を創設したのでしょう。

 ワールドカップ終了早々に、欧州選手権では無いが、欧州全ナショナルチームが参加する大会を構築するというのは、随分と思い切った企画です。
 この大会、UEFAネーションズリーグの位置付け、ワールドカップやユーロとの関係は、今後徐々に固まって行くことになるのでしょうが、ワールドカップで好成績を残し、今後も世界トップクラスのチームとして当面は戦って行こうとするチーム、或いはワールドカップで不本意な成績に止まったり、ワールドカップに出場することすら叶わなかったチームにとっては、新生チームを創っていかなければならないわけで、その為にこの大会での貴重な「ナショナルチーム同士の本気度の高いゲーム」を、どのように活用して行くのかは、とても興味深いところです。

 最上位リーグ=リーグAの各グループの緒戦の結果を頭書しました。
 ホーム&アウェイ方式で行われるリーグ戦の緒戦です。

 リーグAは各グループ3チームで構成され、リーグ戦でトップとなった4チームが、2019年6月に行われるトーナメント戦に進出し、リーグAの優勝を競うこととなります。
 リーグB、C、Dも同様です。

 そして、凄いところは、各リーグの優勝4チームが、ユーロ2020の出場権を獲得する所でしょう。リーグA~Dの優勝4チームは、ユーロの予選に出場する必要が無いのです。
 これは、特にB、C、Dに入っている各チーム、もっと言えばC、Dという「比較的ランキング下位」のチームにとっては、とても大きな「賞品」でしょう。
 結果として、ネーションズリーグへの参加は、UEFA所属の多くのチームにとっては、ウェルカムなことであろうと感じます。

 さて、リーグAグループ1の緒戦は、フランスチームとドイツチームが0-0で引分けました。グループ1のもうひとつのチームはオランダです。
 ワールドカップ2018の優勝チーム・フランスと、ワールドカップ2014で優勝したものの、2018年大会では「よもやのグループリーグ敗退」を喫したドイツチーム、そして2018年大会は予選で敗退したオランダチームという、とても興味深い組合せとなりました。

 ワールドカップ2018ロシア大会の準優勝チームであるクロアチアはというと、グループ4に入り、スペイン、イングランドと同組みです。
 ワールドカップ2018で決勝トーナメントに駒を進めた3チームが同組みですから、1位勝ち抜けに向けて厳しい戦いが続きそうです。

 ワールドカップ2018で3位となったベルギーチームはグループ2に入りました。
 スイス、アイスランドの両チームと同組です。相変わらずの攻撃サッカーを魅せてくれることでしょう。

 ワールドカップ2018では、よもやの予選敗退だった強豪イタリアチームはグループ3に入り、ポーランド、ポルトガルと同組みです。
 新生アズーリの戦い振りから眼が離せません。

 「第1回」UEFAネーションズリーグが幕を開けました。
 今後のこの大会の方向性と価値を決める、大切な大会が始まったのです。
[8月31日・決勝]
日本1-0中国

 後半45分、つまり試合終了寸前に、なでしこジャパンが魅せた攻撃は、見事というか、素晴らしいプレーで、「信じられない」ほどのハイレベルなものでした。

 岩渕選手から、右サイドの中島選手に長いパスが通り、中島選手が右サイドを突進、中央に走り込んできた菅澤選手にセンタリング、これを菅澤選手が頭で押し込みました。

 中島選手のセンタリングも相当長いものでしたが、これがドンピシャ。
 菅澤選手としても、遠くに居る中島選手からのパスを綺麗に合わせて、相手ゴールキーパーがセーブし難いと言われる、ゴール前でワンバウンドするシュートにして叩き込んだのです。

 筋力面で男子より劣ると言われる女子サッカーにおいて、これだけ長いパスを繋いで、難しいシュートを決めたのです。アジア大会の女子サッカー史上に刻まれるゴールであったと感じます。

 このゲームは、開始直後から中国チームのプレスが高い位置から続き、日本チームは相手側のピッチに入ることさえ難しいという展開となりました。
 結果として、なでしこジャパンは「自陣で横パスを繋ぐ」プレーが多くなりました。
 その結果として、ポゼッションでは6割:4割と中国チームを圧倒したのです。
 当然ながら、あまり意味の無いポゼッションの優位でした。

 中国チームは日本陣内から日本チームのボールを奪い、ショートカウンターでペナルティエリア周辺に殺到、何度も好機を創出して、シュートも数多く放ちました。
 
 「シュートを打ってゴールを挙げるのがサッカー」ですから、その意味では、中国チームが日本チームを圧倒し続けたゲームでしょう。
 スピードと局面局面での運動量で勝ったのです。

 日本チームは、中国陣内にほとんど入ることが出来ず、高い位置でボールを奪われ、中国チームの攻撃に会って、これを何とか凌ぎ、ゴールキーパーGKから配給されるボールを持ってハーフラインに到達しようとして自陣でパスを繋ぐものの、ハーフライン手前で中国チームにボールを奪われ、攻撃を受ける、という展開が続き、日本チームのポゼッションばかりが高くなるゲームとなってしまったのです。

 一方で、なでしこ守備陣はとても良く守りました。
 最後の最後で、中国チーム攻撃陣に仕事をさせなかったのです。
 シュートのコースも、良く消し続けました。
 「堅守」という面では、世代交代中のなでしこジャパンにとって収穫の多いゲームだったのでしょう。

 こうした「苦しい展開」の中で、ほとんど唯一のチャンスを得点に結び付け、勝利を捥ぎ取るというのは、「なでしこの伝統的な戦い方」であろうと思います。

 澤選手や宮間選手が居た頃のなでしこも、例えばアメリカチームを相手に、こうした「苦しい展開」のゲームを戦い、そして時には、勝利を収めてきたのです。

 後半45分に、中島選手が右サイドを駆け上がった時、「これはゴールに結びつくかもしれない」という予感めいたものがよぎったのは、これまで沢山のなでしこのゲームを観てきたからかもしれません。

 そして大きなセンタリングを菅澤選手が頭で合わせた時、「なでしこ伝統のゴール」が生まれたのです。

 本当に不思議なことですが、「なでしこ」にはそういう力が有ります。
 その力は、脈々と受け継がれているのです。

 準々決勝で北朝鮮チームを2-1、準決勝で韓国チームを2-1、決勝で中国を1-0と、決勝トーナメント3試合を全て1点差で勝ち抜き、金メダルを獲得しました。
 
 表彰式、なでしこジャパンメンバーの笑顔がピッチに輝きました。

[8月24日・決勝・バンヌ(フランス)]
日本3-1スペイン

 なでしこジャパンが、決勝でスペイン代表チームに快勝しました。

 前半38分に宮沢選手が先制ゴールを挙げると、後半12分に宝田選手が追加点、後半20分に長野選手が3点目を挙げて3-0とリードし、スペインの反撃をアンドゥハル選手の1点に抑えて押し切りました。

 U-20女子日本代表チームにとっては、6度目の出場で初の栄冠でした。

 今大会の勝ち上がりを観てみましょう。

[グループリーグC組]
・8月6日 日本1-0アメリカ
・8月9日 スペイン1-0日本
・8月13日 日本6-0パラグアイ

[準々決勝]
・8月17日 日本3-1ドイツ

[準決勝]
・8月20日 日本2-0イングランド

 グループリーグGLはとても厳しい組=「死の組」に入ってしまいました。
 大会前に組合せを見た時には、今回も相当難しいと感じました。

 U-20なでしこチームの帰趨を決める緒戦で、なでしこは見事にアメリカチームに勝ちました。これで今大会の「道が開けた」と思います。
 GL第2戦はスペインに敗れましたので、「死の組」のなでしこに求められたのは「アメリカかスペインのどちらかに勝つ」ことだったのでしょう。

 決勝トーナメントTに入ってからは、自分達のサッカーを繰り広げました。

 ドイツチーム、イングランドチームに快勝して、決勝ではGLで敗れたスペインチームを破りました。
 GL同様にポゼッションはスペインが圧倒しましたが、局面ごとの組み立てとスピードで、なでしこが勝りました。

 決勝Tでは得点力が向上し、「ひとつ壁を破った」かのような、見事な戦い振りでした。
 
 これで「なでしこ」は、各世代のワールドカップに優勝したことに成ります。

① 2011年 フル代表ワールドカップ
② 2014年 U-17代表ワールドカップ
③ 2018年 U-20打表ワールドカップ

 残るは、女子サッカーの最高峰「オリンピック金メダル」です。

 このところ国際大会で苦しい戦いが続いている「フル代表なでしこ」にとっても、今回のU-20チームの健闘は、大きなパワーとなったことでしょう。

 U-20チームからフル代表チームに加わる選手も居るでしょうし、何より「U-20の戦術・戦法」が、なでしこジャパンの財産になると思います。
 8月10日に開幕した、2018~19年のプレミアリーグは、8月20日までに「第2節」を終えました。各チームが2試合を消化したのです。
 全38節の内の2節を終えたばかりなのですが、その順位がとても興味深いものとなっています。

第1位 マンチェスター・シティ 2勝・勝点6・得失点差7
第2位 リバプール 2勝・勝点6・得失点差6
第3位 チェルシー 2勝・勝点6・得失点差4・総得点6
第4位 ワトフォード 2勝・勝点6・得失点差4・総得点5
第5位 トッテナム・ホットスパー 2勝・勝点6・得失点差3・総得点5
第6位 AFCボーンマウス 2勝・勝点6・得失点差3・総得点4

第9位 マンチェスター・ユナイテッド 1勝1敗・勝点3

第17位 アーセナル 2敗・勝点0

 まだ2試合ですから、2連勝のチームが6つ、当然ながらいずれも勝点6です。
 とはいえ、キッチリと順位が付いていて、「タイ」は在りません。
 たった2試合でも、勝点・得失点差・総得点といった構成要素によって、明確な順位が付くというのは、ある意味では凄いことでしょう。
 サッカー競技の歴史に裏打ちされた「リーグ戦における順位決定基準」は、しっかりと機能しているのです。

 そして、一見して「概ね今シーズンの順位」が示されていると判断するのは、気が早すぎるでしょうか。

 以前の記事にも書きましたが、サッカーにおける「得失点は正直」に各チームの実力を表すのです。
 たとえ、たったの2試合でも、今シーズンに臨む各チームの実力が現れている結果だと感じます。

 プレミアリーグは今季も、シティを中心とした優勝争いが展開され、シティに食い下がるのはリバプールとチェルシーであろうこと、次の挑戦者候補としてはスパーズとワトフォードが続くのでしょう。
 ロベルト・ペレイラ選手(アルゼンチン)を、地元イングランド選手がフォローする形の今季のワトフォードは、相当強いのではないかと感じます。

 一方で、早々にブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンに2-3で完敗したユナイテッドは、早速守備力不足を露呈したと言われても仕方がないところです。ロメル・ルカク選手とポール・ポグバ選手という、ワールドカップ2018で大活躍を魅せたプレーヤーが1点ずつを挙げながらの敗戦は残念至極でしょう。守備陣の早急な立て直しが期待されます。

 また、2敗という散々なスタートを切ったアーセナルは、しかし、相手がシティとチェルシーでしたので、少し救いはあるのでしょうが、いずれにしても、「振り向けば降格圏の18位」というのは、ビッグクラブとしては気持が悪いことでしょう。
 こちらも第3節以降の巻き返しに期待です。

 第2節を終わったばかりの段階で、「今季の姿を観るようだ」と書くのは、もちろん乱暴なことでしょう。今後、順位は大きく変動するのかもしれません。
 とはいえ、これ程見事に「全38節の結果を凝縮したような第2節までの結果」を眼前に示されると、色々と考えさせられてしまうのです。
 少し前の話になりますが、恒例となっている元ブラジル代表フォワードのロナウド氏が選ぶ「世界ベストイレブン」の2018年版が、ワールドカップ2018ロシア大会開催を控えて公開され、話題となりました。

[ロナウドのベストイレブン2018]
・ゴールキーパーGK ブフォン選手(イタリア)
・ディフェンダーDF カンナバーロ選手(イタリア)、マルディーニ選手(イタリア)
           カフー選手(ブラジル)、ロベルト・カルロス選手(ブラジル)
・ミッドフィールダーMF ジダン選手(フランス)、ピルロ選手(イタリア)
             マラドーナ選手(アルゼンチン)、メッシ選手(アルゼンチン)
・フォワードFW ペレ選手(ブラジル)、ロナウド選手(ブラジル)

 相当「腹に落ちる」ベストイレブンです。
 
 華麗な攻撃ならば「セレソン」のブラジル。そのブラジルからペレ選手とロナウド選手のツートップ、サイドバックにカフー選手(ワールドカップ3度出場・2度優勝・1度準優勝)と、レアル・マドリードなどで強烈なフリーキックで鳴らしたロベルト・カルロス選手(ワールドカップ優勝1度、準優勝1度)。

 堅守ならば「アズーリ」のイタリア。そのイタリアからブフォン選手とカンナバーロ選手、マルディーニ選手(ワールドカップ4度出場。本来は左サイドバック)のGKとセンターバック陣、加えて「ザ・司令塔」のピルロ選手。(ブフォン選手、カンナバーロ選手、ピルロ選手は2006年ワールドカップ優勝メンバー)

 MFの右にマラドーナ選手、左にメッシ選手のアルゼンチン勢。
 そして、「魔術師」ジダン選手が締めるという布陣。

 ロナウド選手と「同時代の輝く星」を主体に、過去と未来から、唯一無二のプレーヤーを加えた形となっています。

20世紀、21世紀を問わずの「ベストイレブン」ですから、当然のことながら、「選出されるべきプレーヤーが漏れる」ことがある訳ですが、今回はクリスティアーノ・ロナウド選手が選ばれなかったことが、評判です。

 所謂「有名選手」となれば、どうしても得点に絡むプレーヤーが多くなるのが道理。一方で各ポジションの数には限りがあります(当たり前のことですが)から、結果として、FWやMFのスタープレーヤーが選から漏れることになるのです。

 頭書のベストイレブンを観ても、FWの「神様」ペレ選手は「誰が見ても」選ばれるのでしょうが、ロナウド選手のところに、ヨハン・クライフ選手(近代サッカーの申し子、空飛ぶオランダ人)やゲルト・ミュラー選手(ドイツ、ワールドカップ得点3位・14得点)、ミロスラフ・クローゼ選手(ドイツ、ワールドカップ得点王・16得点)らが選出されても、何の不思議もない訳で、バロンドール5度受賞を誇るクリスティアーノ・ロナウド選手と言えども、「ひとつの椅子」を競うとなれば、なかなかゲットするのは難しいのでしょう。

 ここは、ワールドカップ得点2位・15得点を誇り、レアル・マドリードやFCバルセロナ、インテル等々で活躍した、ロナウド選手が自ら選んだベストイレブンを尊重するしかないのです。

 それにしても、ワールドカップ優勝5度のブラジルから4選手、同4度のイタリアからも4選手が選ばれ、アルゼンチンから2選手、フランスから1選手が選ばれていますが、同4度のドイツからはひとりも選ばれていないのは、興味深いところです。

 ドイツにも、前述の2プレーヤーに加えて、例えば、「皇帝」フランツ・ベッケンバウアー選手やDFベルディ・フォクツ選手らのスーパースターが居るのですが・・・。

 ドイツ代表チームが伝統的に「個の力よりも組織プレーを重視する」サッカーであることも、要因のひとつなのでしょうが、それよりも、世界の強豪ナショナルチームにとって、世界中のスーパースターにとつて、「何時の時代も最も戦いたくないチーム」がドイツであることを、示しているような気もします。

 2018年ロシア大会では、ドイツチームが史上初めてグループリーグGLで敗退するという「サプライズ」がありました。(これがサプライズになること自体が凄いことですが)
 「ドイツチームも決勝トーナメントに進出できないことがある」ことを踏まえて、来年以降のロナウドの世界ベストイレブンに変化が生まれるのかどうか、こちらも興味深いところです。
 ワールドカップ2018ロシア大会の興奮も冷めやらぬ中、欧州各国リーグの2018~19年シーズンが開幕しました。

 開幕日順に見て行きましょう。

[8月10日(金)]
① プレミアリーグ(イングランド)
② リーグ・アン(フランス)
③ エール・ディ・ヴィジ(オランダ)
④ プリメイラ・リーガ(ポルトガル)

[8月17日(金)]
① リーガ・エスパニョーラ(スペイン)

[8月18日(土)]
① セリエA(イタリア)

[8月24日(金)]
① ブンデスリーガ(ドイツ)

 所謂4大リーグでは、イングランド・プレミアリーグが先頭を切っての開幕です。
 開幕ゲームは、マンチェスター・ユナイテッドVSレスター・シティとなっていて、前シーズンの優勝チームが登場するわけでは無いところが、興味深いところです。

 4大リーグの他の3リーグ、リーガ・エスパニョーラ、ブンデスリーガ、セリエAは1週あるいは2週遅れの開幕となりますが、言わば「準メジャーリーグ」である、リーグ・アン、エール・ディ・ヴィジ、プリメイラ・リーガは、プレミアリーグと同日に開幕する所が、面白いところでしょう。

 ワールドカップ2018で活躍したプレーヤー達の「移籍」が話題となっています。

 「祭典」は終わり、サッカー界は「日常」に戻ったということになるのでしょう。
 欧州各国のリーグ戦、2018~19年シーズンの開幕が目前に迫りました。
 今季も素晴らしい戦いを期待しています。

 開幕に向けて、各チームが補強を続けて来たわけですが、今回はプレミアリーグのチェルシーFCの話題です。

 イタリア・セリエAのナポリが「このところ強い」という感じは受けていました。

 セリエAでは、2015~16年シーズンで2位、2016~17年は3位、2017~18年は2位と、「常勝」ユベントスに次ぐチームとして存在感十分でしたし、UEFAチャンピオンズリーグでも、特に2016~17年大会はベスト16に進出しました。

 正直に言って、世界的な有名プレーヤーが数多く居るわけでもありませんでしたから、「良くまとまったチーム」として長く戦っている、という印象だったのです。

 これが私の認識不足であったことが、今回のチェルシーの監督交代で分かりました。

 「強きナポリ」の要因のひとつに「良き監督の存在」があったのです。

 マウリツィオ・サッリ監督は元大手銀行員という変わり種、40歳の時にサッカー指導者を志してアマチュアクラブの監督に就任し、15年間に渡って下部リーグで監督を続け、セリエAに到達したのは55歳の時なのです。

 31歳の時に「9部リーグ」のチームの監督となり、銀行員生活を送りながら監督業を開始、「6部リーグ」のチームを率いていた40歳の時に、監督を本業としたというのは、やはり異色のキャリアでしょう。

 そして59歳にして、プレミアリーグの強豪・チェルシーの監督となったのです。

 あのペップ・グアルディオラ監督が「ヨーロッパ最高の監督のひとり」とコメントしているとのことです。

 2018~19年シーズンのチェルシーのプレーがとても楽しみです。
 ワールドカップ2018ロシア大会も終わり、2018~19年の世界各地のリーグ戦開始に向けてプレシーズンマッチが行われていますが、前シーズンのセリエAの話題をひとつ採り上げようと思います。
 名物プレーヤーの引退です。

 2015年6月、イタリアサッカー界の名門・パルマFCが破産し自由契約となった、アレッサンドロ・ルカレッリ選手でしたが、後継チームとしてSSDパルマ・カルチョ1913が発足、セリエD(4部)のチームとしてスタートした時、その後継チームと契約を結びました。

 以降3年間に渡り、ルカレッリ選手はSSDパルマのセリエA昇格に向けて尽力し、2017~18年シーズンのセリエBにおいてチームは好成績(2位)を残し、来季からのセリエA復帰を決めたのです。

 そして40歳となったルカレッリ選手は、2018年5月27日、引退を表明しました。
 チームの「セリエA昇格セレモニー」における引退表明でした。
 パルマFCからSSDパルマにかけて、9年間のパルマでのプレーが終わりを告げたのです。

 アレッサンドロ・ルカレッリ選手のキャリアを観ると、イタリアを代表する超一流のプレーヤーという訳ではありません。アズーリに選出されたことは有りませんし、所属したチームも、ユベントスやミラノの2チーム、ASローマといった、セリエAを代表するようなチームはありません。

 しかし、所属したチームが「セリエAで戦う」という点では、とても大切な役割を果たしてきたのです。

 2004~05年シーズンはリヴォルノにおいて、チームのセリエA残留に貢献、2007~08年シーズンはジェノアCFCのセリエA残留に力を発揮しました。
 2008~09年シーズンには、兄のクリスティアーノ・ルカレッリ選手と共にパルマFCのセリエA昇格に向けてチームを牽引し、これを成し遂げています。

 「セリエAへのこだわり」という面では、とても印象的なプレーヤーでしょう。。

 身長182cm・体重78㎏のディフェンダーは、セリエAにて「いぶし銀の様に輝く星」だったのです。

 SSDパルマ・カルチョ1913は、アレッサンドロ・ルカレッリ選手の背番号「6」を永久欠番にすると報じられました。
 21世紀になってからは、ワールドカップが近づくと、過去の「名勝負」がテレビ放送されることが多くなりました。
 今大会も、NHK-BS放送などで、懐かしいゲームの映像がいくつも採り上げられました。

 こうした放送を観ると「現在に比べると・・・」という言葉が頻繁に、解説者やアナウンサーから出てきます。
 どんな分野においても、「回顧」となれば現代との比較が行われることは自然なことなのでしょうが、気になるのは、「古いサッカー」「時代遅れのサッカー」といったニュアンスが、感じられるコメントです。

 あたかも、「現在のサッカーの方が、過去のサッカーより優れている」、あるいは「サッカーが明確に進化している」、かのようなコメントなのです。
 こうしたコメントを耳にすると、いつも違和感があります。

 例えば、「こうやってドリブルでずーっと前進できる」と、ドリブル前進するプレーヤーを、中盤で放置するサッカーが古い、といったニュアンスです。

 私は、サッカー競技は20世紀に比べて「変化」してきているとは思いますが、必ずしも「進化」しているとは感じません。
 レギュレーションの変更に伴い、サッカー自体が変化していると考えています。

 レギュレーション変更の中で、サッカー競技に最も大きな影響を与えていると考える項目は「ボールの変更」でしょう。

 20世紀に比べて21世紀のボールは、明らかに「軽く」なりました。
 悪い言い方をすれば「小手先で操作できる重量」になったのです。
 そして、「皮」から「プラスティック」に素材も変わりましたから、雨が降っても濡れて水が沁みこむことが無くなり、重くならなくなったのです。
 現象面で観れば、サッカーボールは以前に比べて、良く飛ぶようになり、10m位の距離なら、軽くタッチするだけで飛ばすことが出来るようになりました。

 そして、サッカーの戦法は「ボール重量の変更に伴い」変化してきました。

 「蹴り方」によって、ボールの軌道に様々な変化を付けることが「容易になり」ました。
 かつては、ボールを30m以上速く飛ばすためには「相応の筋力」が必要であり、誰でも出来る技では無かったものが、相当簡単に出来るようになり、多くのプレーヤーにそうしたプレーが可能になったのですから、プレーにも大きな影響を与えたことは、自然なことです。

 限られたプレーヤーにしかできなかったことが、多くのプレーヤーに可能になるというのは、当該競技に劇的な変化を齎すのです。

 10m前後の「強いパス」も、20世紀においては、キチンと踏み込んで蹴らなければできなかったものが、現在では、短いストローク、面を作って軽く当てるだけで可能になっていますから、ダイレクトパスプレーは相当容易になっているのでしょう。

 こうした「ボールの変更」が、プレーの「大変化」に繋がっていると考えています。

 20世紀の名手達、ペレ選手やベッケンバウアー選手、ギュンター・ネッツァー選手や、ボビー・チャールトン選手、エウゼビオ選手らは、その「強靭な筋力」や突出した技術を持って、重いボールを正確に遠くに蹴ることが出来ました。ネッツァー選手などは、そのボールを「大きく曲げて」遠くに正確に運ぶことが出来たのです。

 そうしたプレーヤー達が、現在の軽いボールに接した時、どのようなプレーを魅せてくれるのかは、とても興味深いところでしょう。

 ボールの変更に「オフサイドルールの変更=攻撃側に有利な変更」等が相まって、「コンパクトなサッカー」、ピッチ上20m位の範囲に全20プレーヤーが入ってしまうといったプレーが求められるようになり、ゴール前の細かいパス回し、ワンタッチやヒールパスといったプレーが多用されるようになり、目の前のディフェンダーDFをふわりと超えるパスやシュートも、数多く観られるようになりました。

 かつては滅多に観られなかった、オーバーヘッドシュートによるゴール(生涯1000ゴール以上を挙げているペレ選手にして、オーバーヘッドキックによるゴールは1本だけです)が、現在では時折観られるようになった(2018年だけでもクリスティアーノ・ロナウド選手とガレス・ベイル選手のゴールが思い出されます)のは、軽いボールの貢献も大きな要素なのでしょう。(もちろん、さすがにオーバーヘッドシュートは、21世紀においても超一流選手のプレーでしか観られませんから、こうした選手の技術の高さを示していることは間違いありませんが・・・)
 「軸足を地面に着いていない」オーバーヘッドシュートは、ボールに推進力を与えるのがとても難しいので、重いボールでゴールまで、相応のスピードで相応の距離を飛ばすのは、至難の技だったのです。

 もちろん、前述の「20世紀の名手達」は、あの時代の重いボールでも、現代と同様のプレーを行うことが出来ました。
 1958年ワールドカップ・スウェーデン大会の決勝で、17歳のペレ選手が魅せた、パスを受け、DFをふわりと浮かせたボールで交わし、落ちてくるボールをダイレクトシューで叩き込んだプレー、パスを受けてからシュートまで、一時もボールを地面に付けなかったプレーは、長いワールドカップの歴史の上でも、ゴール前で観られた最も華麗なテクニックのひとつでした。
 まるで21世紀の軽いボールで行っているかのようなプレーだったのです。

 要すれば、かつてはワールドカップ出場クラスの選手の「100人にひとり」しか出来なかったプレーが、現在では「5人にひとり」位のプレーヤーが出来るようになったという感じ、そして、それに伴って戦法・戦術が大きく「変化」してきたということ、なのであろうと思います。
 決して「進化」ではないと考えています。

 このことについては、色々なご意見があると思いますが・・・。

 他の競技で観てみましょう。

 例えば、陸上競技の100m競走。
 東京オリンピック1964までは、アンツーカという「土」の走路でした。錐のように先の尖った18mm位の長いスパイクを付けたシューズを履いて、走っていたのです。
 
 それが、1968年のメキシコシティ・オリンピックでは「タータントラック」と呼ばれたオールウェザー型の走路に代わりました。分かり易く言えば「ゴム素材」のような走路です。

 アンツーカ走路であれば、スパイクにより地面が掘られ、土が後ろに飛んでいたのですが、オールウェザー走路では、地面が後ろに飛ぶことは無くなったのです。
 シューズのスパイクも、短いものとなり、形状も変わりました。

 大袈裟に言えば「違う競技」になったのでしょう。
 そして、土が飛ぶことにより「失われていたエネルギー」が走りに、前進力に利用できるようになり、タイムが向上しました。(ある意味では、当然のことです)
 メキシコシティ・オリンピック100m男子決勝で「10秒の壁」を破った人類は、その後21世紀に入って9秒58までタイムを伸ばしてきたのです。

 さて、これを「進化」と見るのでしょうか。

 東京オリンピック1964の男子100m金メダリスト、ボブ・ヘイズ選手と、現代のウサイン・ボルト選手は、どちらが強く速いのでしょうか。
 ヘイズ選手がオールウェザー走路様にトレーニングを積んで走った時、どれ位のタイムが出るのでしょうか。
 逆に、ボルト選手がアンツーカで走ったら、どれ位のタイムが出るのでしょうか。

 これは「比較のしようが無い」競い合いです。意味が無い比較なのかもしれません。
 やはり、アンツーカ走路とオールウェザー走路の100m競走は「別のもの」と見るのが、妥当だと思います。
 適応する走り方も異なりますし、必要な筋肉の部位や使い方も異なるのは、自然なことです。
 100m競走は「変化」してきたのでしょう。

 ワールドカップ1974西ドイツ大会の優勝チーム・西ドイツと2010年南アフリカ大会の優勝チーム・スペインが戦ったら、どちらが強いのだろう・・・。

 ベッケンバウアー選手、ゲルト・ミュラー選手、オフェラート選手、ベルディ・フォクツ選手、ゼップ・マイアー選手らを擁する西ドイツチームと、シャビ選手、イニエスタ選手、セルヒオ・ラモス選手、カシージャス選手らを擁するスペインチームです。
 それぞれの時代を代表する、素晴らしい、本当に素晴らしいチーム同士の戦いとなります。

 目の覚めるようなパスワークから、西ドイツチームにボールを渡さないスペインチームに対して、自軍ゴール前でボールを奪ったスイーパーというかリベロのベッケンバウアー選手がゆっくりとドリブルで前進を始めると、スペインチームのプレーヤーがボールを奪いに高い位置から襲い掛かります。

 しかし、ベッケンバウアー選手は容易にはボールを失うことなくプレーを続け、右足で素晴らしいパスをオフェラート選手に送ります。
 オフェラート選手のドリブルが始まり、ボールはセンターラインを越えて進むのです。

 想像するだけでもエキサイティングなゲームでしょう。

 ワールドカップ1970メキシコ大会の優勝チーム・ブラジルと2014年ブラジル大会の優勝チーム・ドイツが戦ったら、どちらのチームが勝つのでしょうか。

 ペレ選手、ジャイルジーニョ選手、トスタン選手、リベリーノ選手、カルロス・アルベルト選手らを擁するブラジルチームと、エジル選手、サミ・ケディラ選手、クローゼ選手、シュバインシュタイガー選手、ポドルスキー選手、トニ・クロース選手、ノイアー選手らが居るドイツチームの戦いです。

 トスタン→ペレ→ジャイルジーニョと繋いでドイツゴールに迫るブラジルチームに対して、エジル→シュバインシュタイガー→トーマス・ミュラー→ケディラといった自在な攻めを魅せるドイツチームの戦いは、長短のパスとドリブルを織り交ぜた、華麗なゲームに成りそうです。

 サッカーファンなら誰もが「夢の試合」を空想すると思います。
 サッカーの楽しみ方のひとつでもあるのでしょう。

 もし「サッカーが時代と共に進化してきた」とするなら、前述の2ゲームは、2010年のスペインチームと2014年のドイツチームが勝つことになります。40年前後の時間をかけての進化はとても大きなものである筈ですから、圧勝すると見るのが普通でしょう。

 しかし、私には1970年のブラジルチームや1974年の西ドイツチームが、簡単に敗れるとは到底思えないのです。
 もちろん、この2チームが簡単に勝つとは思われないのですが、接戦になることは間違いないと考えますし、最期はペレ選手やベッケンバウアー選手がその決定力を示すのではないかと感じます。
 これは「思い出の方が美しく見える」という現象の一種なのかもしれませんので慎重に取り扱わなければならないのですが、少なくとも「互角の戦い」になることは間違いないでしょう。

 2018年のロシア大会は、20世紀後半のサッカーを髣髴とさせるゲームが続いたように観えました。
 もちろん、軽いボールやオフサイドルールの違いが有るので、あの頃と同じとはいかないのですけれども、30mを優に超える長いパスや、10m以上のドリブル突破が、ゲームの中に数多く散りばめられていました。
 「コンパクトなサッカー」も少なかったと思います。前線とバックスの間には、大きな距離があった試合が多かったのです。

 また、イビチャ・オシム氏に代表される意見として「ティキタカ時代の終焉」も叫ばれました。「ティキタカは時間の無駄」というオシム氏の意見は、やや過激なのかもしれませんが、得点を挙げることが目的であるサッカー競技における「ティキタカの効果」、他の戦術と比較しての「効果」に大きな疑問が提示されたことは、興味深いところです。
 少なくとも「ポゼッションが試合の勝敗とは無関係」であることは、多くの試合で証明されました。

 1970年のブラジルチームから2018年のフランスチームまで、サッカーはレギュレーションの変化に伴って、様々に「変化」し、再び、良く似た戦術・戦法が多用されるようになったのかもしれません。

 「温故知新」ではないのですが、サッカー競技は「変化」を続けているのでしょう。
 ロシア大会のピッチには、人工芝が使用されると大会前から伝えられていました。

 本田圭佑選手がCSKAモスクワに所属していた頃から、ロシアには人工芝のサッカー場があることは知られていましたが、ついにワールドカップでも使用されることになったのです。

 人工芝というと、野球場に使われているものしか思い浮かばなかったので、ゴム板の上に緑色のプラスティック素材の芝が植えてあるものと、勝手に想像してしまいましたから、ゴー・ストップをくり返すサッカープレーにおいては、プレーヤーの足腰への負担が大きく、大会中に故障者が多く出てしまうのではないかと、心配さえしていたのです。

 そして開幕戦、メイン会場であるルジニキスタジアム(モスクワ)でのロシアVSサウジアラビアのゲームに見入りました。
 
 ところが、見た目も、プレー振りも、天然芝とほとんど変わらない光景が広がっていました。選手達も、いつものようにプレーしています。

 さすがに、イギリスSIS社製のハイブリッド人工芝(SISGrass/シスグラス)は、とても良く出来ていたのです。
 構造の細部は分かりませんが、ハイブリッドと表記するのですから「天然芝+人工物」であろうとは思います。

 大会が進むにつれて、「わらじの様な芝」が飛ばないことが分かってきました。スライディングタックルの際などに、天然芝の試合で良く眼にした、大きな芝が舞い上がるシーンが無いのです。

 プレー中に、選手が滑るシーンは時折観られましたが、これは天然芝のピッチでも眼にするシーンです。
 「滑る頻度」は、柔らか目の天然芝ピッチよりは余程少ないように感じられました。

 そして、大会も終盤に差し掛かり、メインスタジアムであるルジニキスタジアムでは、多くのゲームが行われました。準決勝までに6試合が行われたのです。
 メインスタジアムで多くのゲームが行われるのは、どの大会でも同様です。
 結果として、これまでの大会では、決勝になるといくつかの場所の芝が剥がれていたものです。ゴールエリア周辺などは、芝が無くなっている場所もありました。

 ところが、ロシア大会の決勝のルジニキスタジアムの芝は、開幕戦の時と同じように観えました。綺麗に生え揃っていたのです。

 これが、人工芝の威力であることは間違いないでしょう。
 メンテナンス面では、とても有効なのです。

 人工芝SISGRASSに対するプレーヤー達の評価は、それほど多くは公表されていません。
 とはいえ、「ロシア大会の人工芝が良くなかった」とか「人工芝のせいで負けた」「足腰に大きな負担がかかった」といった声は選手達から聞こえてきません。(私の情報収集不足かもしれませんが)

 ワールドカップ2018ロシア大会は「人工芝の大会」でした。

 このサーフェイスへの最終的な評価はFIFAが下すのでしょうが、様々な気候が存在し、メンテナンスにかけることが出来る財力も色々なレベルが存在するであろう、世界各地へのサッカーの普及という大命題遂行という面からは、「今後も使用して行く」という方針が示されることになりそうです。
 初めてその名前を聞いた時、前にもどこかで・・・と感じましたが、1970年メキシコ大会、1974年西ドイツ大会の公式試合球も「テルスター」と呼ばれていたことが分かり、納得しました。

 ロシア大会のテルスターは、「18」という進化形だったのです。

 2010年南アフリカ大会の「ジャブラニ」は、良く飛ぶボールという感じで、フリーキックFKでは「ふかす」プレーが続出しました。ジャブラニをコントロールするのは至難の技だったのです。

 2014年の「ブラズーガ」は、「ブレ球」という印象です。蹴られたボールが微妙に、しかも鋭く変化をくり返すものですから、ゴールキーパーGK泣かせのボールとも呼ばれました。

 今大会のグループリーグGLで使用された「テルスター18」は、どんなボールだったのでしょうか。

 大会前6月6日「スポーツ報知」配信の記事によれば、
① 中速(時速20~40km)のパスが良く飛ぶ
② ブレ球よりはカーブ球
③ ボール面を把握せよ

 との3つの指摘がありました。

 中速のパスが良く飛ぶというのは「ブラズーガ」と同様だそうで、スピーディなパスワークを得意とするチームに有利であろうと・・・。まさに、前回優勝のドイツチームは「中速で長めのパス」によって、相手ゴール前で左右にパスを散らして「フリーな状態でシュート」するという攻撃を展開しました。

 一方で、過去2大会のボールとは異なり、ボールに回転を与えやすい構造になっているとのことで、「正確なカーブ球」を蹴るのに向いているとのこと。
 確かに、GLポルトガル対スペイン戦のクリスティアーノ・ロナウド選手の3点目のフリーキックFKや決勝トーナメントT準決勝クロアチア対イングランド戦のキーラン・トリッピアー選手の先制FKなど、見事なFKからのゴールがありました。
 ブラズーガやシャブラニより、より正確なボールコントロールが可能だったのでしょう。

 「蹴る面」によって、ボールの軌道が大きく変わるとの分析結果も出ていました。縫合線が曲線のブラズーガとは異なり、直線が多いテルスター18は、蹴る場所によって球質が相当異なるようです。
 逆に言えば、FKではボールの置き方により異なる球質を出すことが出来たということになります。

 このところ「不安定な飛び方をするボール」が続いていたワールドカップにおいて、テルスター18は「相当コントロールできるボール」であったようです。

 とはいえ、決勝T準々決勝のウルグアイ対フランス戦のフランスの2点目は、ウルグアイの名ゴールキーパーGKフェルナンド・ムスレラ選手がセーブできない程の変化もしました。蹴り方によって、微妙に、しかし決定的な変化をするボールでもあったのでしょう。

 テルスター18は「モノトーン」です。
 これは「白黒テレビでも軌道が観やすい」ことを狙ったものと報じられていましたが、決勝Tに入って「赤色」が加わりました。
 これは「テルスターミチター」という別のボールなのだそうです。
 ワールドカップの大会中に試合球が変わったのは、史上初めてであったそうです。

 「ミチター」の動きは「18」と、大きくは変わらなかったように観えました。
 おそらく、表面印刷の違いだけであったのではないかと感じます。

 これからしばらくの間、色々なゲームでテルスター18あるいはテルスターミチターが使用されることになります。

 ワールドカップ使用球は、世界中のサッカープレーヤーの誰もが蹴ってみたいボールなのでしょう。
 6月8日SOCCEW DIGEST WEB配信の「英紙が『W杯の歴代ゴラッソトップ10』を選出!・・・」の記事で、これまでのワールドカップにおける、美しいゴールシーンを思い出しました。

 英紙Daily Mailの6月6日の記事だそうですが、その「トップ10」は以下の通りです。

第10位 ザイード・オワイラン(エジプト、1994年アメリカ大会)
第9位 マイケル・オーウェン(イングランド、1998年フランス大会)
第8位 エステバン・カンビアッソ(アルゼンチン、2006年ドイツ大会)
第7位 デニス・ベルカンプ(オランダ、1998年フランス大会)
第6位 マキシ・ロドリゲス(アルゼンチン、2006年ドイツ大会)
第5位 ハメス・ロドリゲス(コロンビア、2014年ブラジル大会)
第4位 ペレ(ブラジル、1958年スウェーデン大会)
第3位 マヌエル・ネグレテ(メキシコ、1986年メキシコ大会)
第2位 カルロス・アルベルト(ブラジル、1970年メキシコ大会)
第1位 ディエゴ・マラドーナ(アルゼンチン、1986年メキシコ大会)

 いずれも、ワールドカップ史に残る、素晴らしいゴールばかりです。

 10位のオワイラン選手のゴールを挙げているところに、この記事のレベルの高さというか、公平さを感じます。「何人抜きのゴール」という視点ならば、このゴールは突出しています。
 グループステージのベルギー戦でのゴールは、いつまでも語り継がれるものでしょう。

 7位のベルカンプ選手のゴールも見事なものでした。オランダ代表フォワードFWらしい、大柄で迫力満点のベルカンプ選手が、羽毛を扱うようなトラップから、右足アウトサイドで押し込んだのです。オランダ史上屈指のFWですが、これがベストシュートでしょう。

 「神様」ペレ選手の17歳の時のゴールは、世界中で最も多くの人が観たゴールかもしれません。大会中のみならず、大会終了後も、21世紀に至っても、時折テレビ画面に登場するのですから・・・。
 その「胸トラップ」の見事さ、相手ディフェンダーDFを交わし、シュートするまで、ボールは地面に落ちていません。まるで練習中のリフティングを観るようですが、ワールドカップ決勝の大舞台でやってのけるペレ選手の能力の高さには、ただ感嘆の声を上げるしかないでしょう。

 3位のネグレテ選手のゴールは、アルゼンチンらしい「ゴール前のパス」を駆使した、美しいものでした。ジャンピングボレーのシュートも見事なもので、このゴールがFIFAのワールドカップベストゴールに選出されているそうです。

 2位のカルロス・アルベルト選手のゴールは、史上最強との呼び声も高い「1970年のブラジル代表チーム」による、決勝イタリア戦で生まれたビューティフルゴールでした。
 相手ゴール前に陣取ったペレ選手が横に丁寧なパスを出し、後方から走り込んだアルベルト選手が叩き込んだものですが、このシュートは「地上30cm位の高さ」のまま飛び、イタリアゴールに突き刺さりました。強烈なシュートでありながら、全く「吹き上がる」ことが無かったのです。
 この大会の「finest Goal」にも選ばれたと記憶しています。

 1位のマラドーナ選手の「5人抜き」も、世界で最も多くの人が観たゴールのひとつでしょう。1986年メキシコ大会を「マラドーナの大会」にした要因のひとつでもあります。
 私は、このゴールに我流点睛を欠くところがあるとすれば、「ファンタスティックなドリブル後の最後のシュートはマラドーナ選手自身が蹴ってはいない」ように見えるところです。イングランドDFが後方からクリアしようとして蹴ったものが、ゴールインしたようにも見えるのです。
 これは、私の見損ねなのでしょうけれども・・・。

 さて、このトップ10に2018年ロシア大会のゴールが割って入ったのかどうかは興味深いところです。

 決勝トーナメントTラウンド16、ウルグアイVSポルトガル戦の「カバーニ→スアレス→カバーニ」による1点目のゴールなどは、歴代トップ10の資格が十分にあるように感じます。

 何時の大会でも、ワールドカップにおいては「もの凄いゴール」が生まれます。
 この「トップ10」にも、異存というか、「他にももっと凄いゴール」があるというご意見も多数ありそうです。
 ひとりひとりのファンが「自分のトップ10」を持っているのが、ワールドカップなのでしょう。

 こうした「凄いゴールシーン」が、ワールドカップという世界最高の舞台で、世界最高のプレーヤーが、その持てる力の全てを出し切ったプレーから生まれる、そういうプレーからしか生まれない、ことは、言うまでも無いことなのでしょう。
 ワールドカップが行われると、関連して過去の名選手のデータが色々と発掘されますが、これもそのひとつです。

 6月22日のFootball ZONE WEB配信の記事に、クリスティアーノ・ロナウド選手がグループリーグGLモロッコ戦で「今大会4点目」を挙げて、ポルトガル代表としての通算ゴール数を85に伸ばし、欧州最多得点記録を樹立したという内容です。

 そして、当然ながら、クリロナ選手の記録更新後のA代表としての得点「世界歴代10傑」が記載されているのです。(英紙「フォー・フォー・トゥー」のデータ)

1位 アリ・ダエイ(イラン) 109得点/149試合
2位 クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル) 85得点/152試合
3位 フェレンツ・プスカシュ(ハンガリー) 84得点/85試合
4位 釜本邦茂(日本) 80得点/84試合
5位 ゴッドフリー・チタル(ザンビア) 79得点/108試合
6位 フセイン・サイード(イラク) 78得点/137試合
7位 ペレ(ブラジル) 77得点/92試合
8位 バシャール・アブドゥラ―(クウェート) 75得点/133試合
8位 シャーンドル・コチシュ(ハンガリー) 75得点/64試合
10位 キンナー・フィリ(マラウィ) 71得点/115試合
10位 ミロスラフ・クローゼ(ドイツ) 71得点/137試合
10位 マジェド・アブドゥラー(サウジアラビア) 71得点/147試合
(以上、敬称略)

 何だか、凄いデータです。(もちろん、対戦相手が異なりますので単純比較はできないのですが・・・)

 「王様」ペレやクローゼといった、ワールドカップ史に燦然と輝くストライカーが居るかと思えば、「マジックマジャール」の代表格、プスカシュとコチシュも居ます。
 コチシュなどは、代表64試合で75得点なのですから、1試合1ゴールを遥かに超える得点力です。驚異的の一語。

 一方で、サッカー発展途上国の時代に、当該ナショナルチームを背負ってゴールを重ねたプレーヤーも数多く居ます。

 1位はイランのアリ・ダエイでした。1990年代から2000年代まで、常に日本チームの前に立ちふさがった名プレーヤー。「何時まで経ってもアリ・ダエイ」と呼ばれ、長く日本チームのワールドカップ出場の「壁」として活躍したのです。

 我らが釜本邦茂も堂々と4位に食い込んでいます。何時見ても素晴らしい記録です。
 日本サッカー史上最高のストライカーとしての実績は、時代が変わろうと全く色褪せません。

 クリスティアーノ・ロナウド選手は歴代10傑の中で「唯一の現役プレーヤー」です。
 20世紀に比べて、相当ディフェンスが進化し、ゴールを挙げにくくなったと言われている中で、堂々と2位に食い込み、ヨーロッパNO.1の地位に上がったのですから、そのストライカーとしての実績は文句の付けようがないでしょう。
 クリスティアーノ・ロナウド選手は、「ナショナルチームにおける現代最強のストライカー」なのです。

 アリ・ダエイとクリロナの差は24ゴール。
 ちょっと大きいかなとは思いますが、ひょっとするとクリロナ選手が歴代トップに躍り出る日が来るかもしれません。
 ロシア大会はフランス代表チームの優勝で幕を閉じましたが、そのフランスチームで中心的な活躍を魅せたプレーヤーがキリアン・エムバペ選手でした。
 
 大会前から、その圧倒的なスピードで注目されていたエムバペ選手ですが、その期待に十分に応えたのです。19歳という大会最若手プレーヤーのひとりであったことを考え合わせると、驚異的な活躍でしょう。

 1958年スウェーデン大会で、ブラジル代表チームの一員として戦った、17歳のペレ選手が大活躍を魅せ、「ヨーロッパで開催されたワールドカップで唯一南米チームが優勝する」という快挙をブラジルチームに齎したことは、とても有名な事実です。

 ペレ選手は、この後も計4度ワールドカップに出場し、ブラジルの3度の優勝に貢献しています。

 1958年大会のペレ選手は、6得点を挙げて得点ランキングの2位タイでした。
 この大会では、フランスチームのジュストフォンテーヌ選手が13得点を挙げて得点王に輝きましたが、この「1大会13得点」はいまだにワールドカップ最高記録です。

 その大会でペレ選手は、西ドイツのヘルムート・ラーン選手と共に6得点で2位となっているのです。

 2018年ロシア大会のエムバペ選手は、4得点を挙げて得点ランキングの2位タイでした。
 イングランドチームのハリー・ケイン選手が6得点で得点王に輝き、エムバペ選手はクリスティアーノ・ロナウド選手(ポルトガル)やロメル・ルカク選手(ベルギー)らと共に2位タイだったのです。

 こうして観て行くと、ペレ選手とエムバペ選手のワールドカップデビューは、「60年の時を経て」良く似ています。

 10歳台でワールドカップにデビューし、大活躍を魅せてチームの優勝に貢献、得点ランキングで2位タイだったのです。

 エムバペ選手が、ペレ選手の様に「ワールドカップに4度出場」することは、年齢的には可能なことです。
 
 大きな故障などせずに、自らの実力を磨き上げていただき、「21世紀のペレ」となれるかどうか、とても注目されるところでしょう。

 ペレ選手は、その活躍によりブラジルを世界一のサッカー王国に押し上げ、世界最高のサッカープレーヤーとして誰からも認められ、「サッカーの王様」と称されるまでになりました。
 その評価は、現在に至るまで不変です。

 もし、エムバペ選手が「21世紀のペレ」になった時には、フランス代表チームがワールドカップ優勝回数を更に増やしていることになるのでしょうし、「21世紀の王様」と呼ばれるようになるかもしれません。
 その可能性は十分に有ると感じます。
 7月15日の読売新聞朝刊に「データスタジアム社のランキング」という、ワールドカップ2018ロシア大会関連の記事が掲載されました。
 とても面白い記事でした。

 これは、7月11日・準決勝終了時点で、様々なプレー項目の各プレーヤーのランキングをデータスタジアム社が調査・公表したものです。

① シュート数
第1位 ネイマール(ブラジル) 26回 枠内率50.0%
第2位 コウチーニョ(ブラジル) 23回 同26.1%
第3位 クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル) 22回 同36.4%
第4位 ペリシッチ(クロアチア) 21回 同14.3%
第5位 グリーズマン(フランス) 18回 同38.9%
第5位タイ メッシ(アルゼンチン) 18回 同33.3%

② ラストパス数
第1位 ネイマール(ブラジル) 23回
第2位 トリッピアー(イングランド) 18回
第3位 デ・ブルイネ(ベルギー) 16回
第4位 モドリッチ(クロアチア) 15回
第5位 コウチーニョ(ブラジル) 13回
第5位タイ ベラ(メキシコ) 13回

 この記事では、攻撃の項目として「シュート数」「ラストパス数」が挙げられていますが、ネイマール選手は2項目共にトップ、それも圧倒的なトップです。
 他競技で言えば「シュート」と「アシスト」の両項目で首位となっているのです。

 ブラジルチームの試合を観ていて、凄いパフォーマンスだと感じていましたので、その感じが数字でも証明されたことになり、納得でした。

 この大会のネイマール選手は、もの凄い活躍を魅せてくれたのです。

 シュート数項目でいえば、その「枠内率」も50%と圧倒的です。
 クリスティアーノ・ロナウド選手やメッシ選手、グリーズマン選手といった錚々たる世界の「点取り屋」を相手に、世界最大の大会で圧倒的な数値を残しているのですから、ネイマール選手のゴールゲッターとしての能力が世界屈指のものであることは、疑う余地がありません。

 また「ラストパス数」項目では、2位に大差を付けてのトップです。
 こちらも、ルカ・モドリッチ選手やデ・ブルイネ選手を相手にしての圧倒的な実績ですから、自軍の他の選手を活かして得点を狙って行くという役割においても、ネイマール選手の能力が世界屈指のものであることも、間違いありません。

 「俺が俺がと出しゃばり」、めったやたらとシュートを放って、シュート数の増加を果たしたわけでは無く、チームにとって良いと判断した時には、味方プレーヤーにパスを出し、自分が打つ方が得点の可能性が高いと判断した時にはシュートして行く、そしてその「枠内率」が圧倒的、世界最高の大会で圧倒的と言うのですから、冷静かつ客観的に観て、ロシア大会最高のオフェンスプレーヤーはネイマール選手ということになるのでしょう。
 
 ネイマール選手は、円熟期を迎えつつあるのかもしれません。
 7月5日に西野ジャパンが帰国しました。
 ロシア大会で決勝トーナメント進出という見事な成績を挙げての「凱旋」帰国でした。

 そしてチームのキャプテン、長谷部誠選手(34歳、静岡県藤枝市出身)がインタビューに応じました。

 「99%の満足感と1%の後悔」と心情を披露したのです。

 スポーツに限らず、どんな事についても、「100%満足」ということは滅多に無いのでしょうから、「99%」というのは、とても満足な期間を過ごすことが出来たということでしょう。

 世界のサッカー界には、「ザ・キャプテン」と称されるプレーヤーが居ます。
 例えば、史上最高の左サイドバックとも称された、イタリアのパオロ・マルディーニ選手は、ACミランのキャプテンとして、イタリア代表チームのキャプテンとして、「比類無き存在感」を示しました。世界最高の「ザ・キャプテン」のひとりでしょう。

 そして、我らがキャプテン長谷部も、この域に到達しているのではないかと感じます。

 2010年5月、当時の岡田ジャパンにおいて代表チームのキャプテンに就任しました。
 以来2018年7月まで「8年2ヵ月」の間、チームを牽引したのです。
 「心身の疲労」はどれほどだったことでしょうか。

 2014年ブラジル大会の指揮を執ったアルベルト・ザッケローニ監督は「長谷部はキャプテンとしか言いようがない。これほどキャプテンとして相応しいプレーヤーは居ない」と、そのキャプテンシーを絶賛していました。

 海外の監督から見ても「ザ・キャプテン」に観える、余人をもって代えられない、というところが凄いところで、ハリルホジッチ監督も全幅の信頼を置いていました。

 日本代表チームの「ザ・キャプテン」が代表チームを去ります。

 あの冷静なプレーと運動量、何より「時々見せる、はにかんだ様な笑顔」は、まさにチームの牽引役でした。

 長谷部誠キャプテンに、心からの感謝の拍手を送ります。

 アントワーヌ・グリーズマン選手(フランス)、ルカ・モドリッチ選手(クロアチア)、エデン・アザール選手(ベルギー)の3プレーヤーが、ワールドカップ2018ロシア大会を彩る、素晴らしい活躍を魅せたことに異論を挟む人は少ないでしょう。

 各代表チームの中核をなすプレーヤーとして、見事なプレーを披露しました。
 モドリッチ選手は大会MVPの栄誉に輝きました。

 この3プレーヤーの身長は、公表によれば、グリーズマン選手が174cm、モドリッチ選手が172cm、アザール選手が173cmとなっています。
 180cm以上、あるいは190cm以上のチームメイトが多い中では、小柄なプレーヤーと言うことになります。
 確かに、試合前のセレモニー・国歌演奏の際には、この3プレーヤーの身長は一段低いように観えました。

 一方で、世界のサッカー史を飾るスーパースターの身長を観てみましょう。

 「王様」ペレ選手(ブラジル)は171cm、ディエゴ・マラドーナ選手(アルゼンチン)は165cm、ボビー・チャールトン選手(イングランド)は173cm、トスタン選手(ブラジル)は172cm、エウゼビオ選手(ポルトガル)は175cm、フェレンツ・プスカシュ選手(ハンガリー)は172cm、ロマーリオ選手(ブラジル)は167cm、デル・ピエロ選手(イタリア)は174cm、ヨハン・クライフ選手(オランダ)は176cm、パウロ・ロッシ選手(イタリア)は174cm、現役ですがリオネル・メッシ選手が170cmとなっています。(いずれも公表数字)
 こうした名選手に共通しているのは、ピッチ上では決して小柄には観えないこと、それどころか「とても大きく見えて」存在感抜群、フィールドのどこに居てもひと目で分かるところでしょう。

 多くのスーパースターが「身長170cm前後」なのです。

 20世紀から2018年へと連綿と続くサッカーの歴史上、後世に渡って語り継がれて行くであろう名選手の中で多くのプレーヤーの身長が170cm前後というのは、決して偶然ではないと感じます。

 もちろんロシア大会でも、高身長の好プレーヤーも沢山登場しました。
 大会屈指のセンターフォワードFWマンジュキッチ選手(クロアチア)は190cm、攻撃タイプのミッドフィールダーMFポグバ選手(フランス)は191cm、得点力抜群のFWルカク選手(ベルギー)は190cm、そしてクリスティアーノ・ロナウド選手(ポルトガル)が187cm。
 もちろん、これまでの歴史上にも、大柄な名選手も数多く登場しました。

 当然のことながら、身長が高ければ良いとか、低ければ良い、体が大きければ良いとか、小さければ良い、といった概念が存在するはずはありません。
 体格により、明確に「適性」が決まってしまうような類のスポーツが、長く存続し、広く愛される可能性は低いのでしょう。

 とはいえ、サッカー競技においては「身長170cm前後」のプレーヤーに、「名オールラウンダー」が多いように観えるのは、やはり偶然では無いように感じるのです。
 ドリブルが上手く、敏捷性に優れ、パスもシュートも高品質、という名プレーヤーは、このサイズに多く存在すると思うのです。
 そして、「オールラウンダーの方が、サッカー史により深く名前を刻んでいる」ようにも、見えます。

 スポーツにおいては、体格の大小は本質的には無関係なのでしょう。
 一方で、バスケットボールやラグビー、アメリカンフットボールなど、やはり大柄なプレーヤーの方が有利だと言われる競技が存在することも事実でしょう。

 そうした中で、サッカーにおいては「身長170cm前後」のプレーヤーの方が、世界的オールラウンダーを目指すには向いている、と言えるのかもしれません。

 他の競技以上に、サッカーにおいては身長の高低・体の大小は、そのプレー能力とは無関係なのでしょう。
 この稿を書いていると、ワールドカップ2018ロシア大会も幕を閉じたと、改めて感じます。
 この素晴らしいイベントを再び体験するには、また4年の月日を待たなければならないのです。

 さて「ベストイレブン」です。

 何時の大会も、素晴らしいプレーヤーがどんどん登場しますので、選出は困難を極めます。今大会も「選びようが無い」と何度も感じ、諦めかけましたが、とはいえ、自らの記録としても「選ばなくてはならない」と強い意志を持って臨みました。(少し大袈裟ですが)

 まずは一覧。

GK ティボー・クルトワ(ベルギー)

DF リュカ・エルナンデス(フランス)
  ディエゴ・ゴディン(ウルグアイ)
  ラファエル・ヴァラン(フランス)
  ホセ・マリア・ヒメネス(ウルグアイ)

MF ケビン・デ・ブライネ(ベルギー)
  ルカ・モドリッチ(クロアチア)
  ポール・ボグバ(フランス)
  ネイマール(ブラジル)

FW キリアン・エムバペ(フランス)
  マリオ・マンジュキッチ(クロアチア)

 ゴールキーパーGKはクルトワ選手としました。
 今大会も、良いGKが多かったと感じますし、GKの良いチームが勝ち上がっているようにも観えました。
 クルトワ選手のスーパーセーブは、毎試合の様に観られましたし、安定感も抜群でした。このクルトワ選手を相手にしての、原口選手と乾選手が挙げた2ゴールは、日本チームの攻撃・シュートの質の高さを如実に示しています。

 ディフェンダーDFは、フランスチームとウルグアイチームから2名ずつ。この2チームの守備は、今大会でも際立っていたと感じます。
 グループリーグGL無失点のウルグアイはもちろんとして、準決勝、決勝のフランスの守備も見事でした。派手さは無いが着実で、実にスピーディー。今後求められるディフェンスを具現していたと思います。

 ゴディン選手のインターセプト(決勝トーナメントで大会最多の13回)からの突進は、まさに「ワールドカップのDF」を感じさせるものでした。
 アトレティコ・マドリードでもゴディン選手とコンビを組むヒメネス選手の守備は、まさに「鉄壁」。23歳の若さも魅力で、GL緒戦のエジプト戦での豪快なヘディングシュートも印象的でした。

 ヴァラン選手の「最終ライン」としての安定感は、ほれぼれとさせられました。クリアが多いと感じていましたが、44回と今大会最多とのこと、納得です。
 左サイドバックのエルナンデス選手は、今大会最多の16タックルを記録。22歳の若さ溢れる溌剌としたプレーが印象的でした。

 ミッドフィールダーMFのモドリッチ選手とポグバ選手は、文句の付けようのない活躍でした。クロアチアとフランスの決勝進出の原動力であった2名のプレーヤーは、ロシア大会を代表するMFでしょう。

 デ・ブライネ選手は、その30m超の高速ドリブルと、正確なミドルシュートで、ベルギーチームの心臓としての活躍が見事でした。日本戦の「あのカウンタープレー」における、ゴール前からハーフラインを超えるところまでの突進のスピードと迫力は、今大会のハイライトシーンのひとつでしょう。

 ネイマール選手はFWとしても活躍しましたが、何より「ラストパス23回」が大会最多記録でした。ブラジルチームの変幻自在の攻撃を演出したのです。チームは準々決勝で敗退してしまいましたが、そのパフォーマンスはさすがでした。
 「王国」チームの中心選手として沢山の反則を受け、倒れ続けました(テレビ画面に映し出された穴だらけのストッキングふくらはぎ側が象徴的でした)が、MFとしてもFWとしても、良く働いた大会だったと思います。

 フォワードFWは、エムバペ選手とマンジュキッチ選手。
 マンジュキッチ選手は、相手ゴール前エリアにおける、5m以内の素早く無駄の無い動きで「得点機を創出し、得点する」という「伝統的センターフォワード」として、今大会NO.1だったと感じます。
 するすると出てきて、ズドンと決めるFWは、何時の時代も観ていてとても楽しいものですし、絶対に必要な存在なのです。
 
 エムバペ選手は、その圧倒的なスピードがミラクルでした。
 相手プレーヤーはもちろん驚かされたと思いますが、観ているこちらの方も「ここからでは抜けられないだろう」「ここからでは追い付けないだろう」という、従来の、50年間観てきた「ワールドカップのプレースピード」(当然ながら、各々の時代の世界最高速ですが)を超えるスピード、前例の無いパフォーマンスを魅せていただいたのです。
 俯瞰で見ている観客の予測をも超えるスピードと言うのは、本当に凄い。
 これから、どんな「規格外の」プレーを魅せてくれるのでしょうか。

 KaZブログが選ぶ、ワールドカップ2018ロシア大会の「ベストイレブン」は以上です。

 何と素晴らしいプレーヤー達なのでしょうか。
 7月2日のラウンド16・ベルギー戦を終えて以降、本田選手から「今大会が最後のワールドカップ」発言が出され、長谷部選手の「代表引退」表明がありました。
 2010年以降の代表チームの骨格を成してきた選手達、現在ではベテランとなったプレーヤーの去就が注目を浴びているのです。

 ロシア大会における西野ジャパンは、現在の日本サッカーのプレー・実力を世界に示したのですけれども、一方で「とても上手く世代交代を行った」ように観えます。

 各ポジションに、世界と戦ってきた経験十分な選手と今後の代表チームを担っていく選手が、バランスよく配されていた印象です。

 フォワードFWなら岡崎選手と大迫選手・武藤選手、ミッドフィールダーMFなら長谷部選手・香川選手・本田選手と柴崎選手・原口選手・山口選手、ディフェンダーDFなら吉田選手と昌子選手、長友選手と酒井(宏樹、高徳)選手といった形です。

 取りあえず、「ベテラン」と「若手」と区分しますが、今大会では「若手」の活躍も目立ちました。
 大迫選手や原口選手が得点を挙げ、柴崎選手が素晴らしいパスを出し続け、昌子選手が日本ゴールを死守したのです。
 そして、これまで「日本チームの顔」として戦ってきた「ベテラン」達のプレーを目の当たりにしました。
 合宿中、大会期間中にも、一緒にいる時間が長かったのですから、多くのことを学んだのでしょう。

 この経験と学習が、2022年大会に活きることは間違いありません。

 なんとなくスッキリしない書き方で「若手」と記しましたが、実は「若手」と言うより、既に「脂の乗り切った」プレーヤーが多いのです。
 乾選手は30歳で香川選手(29歳)より年上ですし、大迫選手は28歳、原口選手は27歳、柴崎選手は26歳、昌子選手と武藤選手は25歳です。

 いまさらですが、遠藤(今大会は出場していません)・長谷部・本田・岡崎・長友・香川といった「ベテラン」看板プレーヤー諸氏が、少し長く代表プレーヤーのポジションを占め過ぎたという見方もあるのかもしれません。

 前述の今大会の「若手」プレーヤーは、2022年大会が最後のワールドカップになる可能性があります。つまり「ベテラン」が軒並み実現してきた「3大会連続出場」は難しいかもしれないのです。

 こうした過去10年間ほどの代表の在り様の良し悪しは私には分かりませんが、今大会の「西野ジャパンによる世代交代」は、代表チームに求められる、現状の最良の形であったと感じます。

 今大会の「若手」プレーヤーは、今後の日本代表チームの骨格を成します。

 これらのメンバーに、FW浅野選手や中島選手、久保選手、MF井手口選手らを加えたプレーヤー達が、これからの「日本チームの顔」となるのです。

 今大会の「若手」プレーヤーの皆さんは、「伝承した日本サッカーのDNA」を次代のチームに反映させていかなければならないのでしょう。
 そして、より強いチームを創り上げ、ワールドカップ・ベスト8以上を目指して戦って行く責務があるのです。
 4試合を戦った西野ジャパンですが、どのゲームも「90分を過ぎても」選手は動けていました。
 もちろん、試合開始時と比較すれば疲労の色は観えましたが、「フラフラ」といった状態ではありませんでした。

 忘れもしない1993年10月28日、カタールはドーハで行われた、ワールドカップ・アメリカ大会・アジア地区最終予選のイラク戦、ロスタイムに同点にされた「ドーハの悲劇」のゲーム。
 日本チームは最後のイラクチームのコーナーキックの際に、殆どボールを追うことが出来ませんでした。残念ながら、多くの選手が「ボールウォッチャー」と化していたのです。

 忘れもしない2006年6月12日、ワールドカップ・ドイツ大会のグループリーグGL緒戦・オーストラリア戦、前半中村俊輔選手のゴールで先制した日本チームは、後半40分までリードを続けましたが、そこから47分までの8分間で3失点、逆転負けを喫したのです。
 最後の10分間のジーコジャパンのメンバーは「夢遊病者の様」であったと報じられました。残念ながら、多くの選手が疲れ切って「フラフラ」の状態だったのです。

 試合開始から全力で入り、必死のプレーを続けてしまえば、80分を過ぎて「疲労の極」に達するのは仕方がないことだと、当時は考えていました。

 しかし、今大会の西野ジャパンは違いました。
 
 チームとしても、個々のプレーヤーとしても、試合における「体力の使い方」が上手く、90分を過ぎてアディショナルタイムにはいっても、チームとして十分に機能していました。

① 個々のプレーヤーの基礎体力・持久力が向上したこと
② 個々のプレーヤーが「ゲームのペース配分」を身に付けたこと(そういうプレーヤーを代表として選抜したこと)
③ 無暗に体力を消耗するような戦法・戦術を選定しなかったこと
④ 疲労回復等のスポーツ科学的対応力が向上したこと
⑤ スタジアムの気候(気温、湿度、等)

 等々、いくつかの要因が考えられるのですけれども、他の出場国と同様に、日本チームも90分をしっかりと戦い抜いていたのです。
 長友選手などは、90分間走り抜いた後のインタビューにも、涼しい顔で応じていたように観えました。「心身の持久力の高さ」に感心させられました。

 「2018年なのだから当たり前」とのお叱りを受けそうですが、私は決してそんなことは無いと感じています。

 世界最高レベルの舞台では、普段のゲームより遥かに疲労の蓄積も速く大きいであろうと思います。

 そうした中で、「90分間戦い切る」ということ自体が、ワールドカップ出場資格のひとつなのではないでしょうか。
 西野ジャパンは、立派にその資格をクリアしていたのです。
 西野ジャパンの挑戦はラウンド16で終了しました。

 グループリーグGLからの4試合は、日本のサッカーファンは勿論として、世界中のサッカーファンに大きなインパクトを残してくれました。

 今回は、日本チームのシュートを観て行きましょう。

 GL第1戦コロンビア戦の大迫選手のヘディングシュート、第2戦セネガル戦の乾選手のシュート、ラウンド16ベルギー戦の原口選手と乾選手のシュート、はいずれも「サイドネット」へのシュートでした。

 大迫選手のヘッドは右ポール直撃でしたから、厳密にはサイドネットでは無いのですが、ゴールの右側一杯と言う意味では同種でしょう。

 やはり「サイドネットへのシュート」は決まる確率が高いのです。(当たり前のことを改めて書き、恐縮です)

 ベルギーチームのゴールキーパーGKクルトワ選手は身長199cmですから、長身+長い腕ということで、守備範囲が物理的にも広いプレーヤーですあり、今大会屈指のGKですが、原口選手・乾選手のシュートは、その長い手をもってしても届かないところに打ちこまれたのです。
 
 もちろん、どんなにコースが良くても、遅いシュートは止められてしまうのですが、相応のスピードのシュートであれば、コースがポイントとなり、サイドネットがベストコースでしょう。

 サイドネットを狙うシュートは「枠を外してしまう」可能性も高いのですから、10~15m位の強いシュートをサイドネットに決める確率を上げて行くことが、国際大会における得点力を上げるひとつの方法であることも、間違いなさそうです。

 今大会、「サイドネットへのシュート・ゴール」を何度も魅せていただいた西野ジャパンのメンバーに感謝するとともに、これからも日本代表のゲームで何度も観て行きたいものだと感じます。

 ロシア大会は、フェアな試合が多かったように感じました。

 例えば、西野ジャパンが戦った、セネガル戦、ベルギー戦を観ると、本当に反則が少ないゲームでした。

 ベルギー戦などは、ゲームを通して両チームでイエローカードが1枚だけでした。
 この1枚は前半終了間際の柴崎選手のものであったと記憶しています。当然ながら、「ここを抜かれたら大ピンチ」という局面での、「戦術的なファウル」に相当するものでしたが、そうした「戦術的なファウル」を含めても、ゲームを通して1枚だけというのは、ある意味では凄いことだとも思います。(ワールドカップのノックアウトステージでイエローカードが1枚だけというゲームが、これまで存在したのでしょうか?)

 両チームともに「ファウルなどしている暇は無い」と言わんばかりの展開の速さ、攻めと守りの切り換えのスピードは、見事なものでした。

 セネガル戦でも、柴崎選手から長友選手へのロングパスが決まり、長友選手のトラップがセネガルチームのディフェンダーDF2人の間を抜けてペナルティーエリアに入り、これを長友選手が取りに行って確保、乾選手へのパスから、乾選手のシュートが決まったのです。
 セネガルDF側からすると、長友選手のトラップのボールを長友選手が取りに来た時、体を当てて行くことも出来たでしょうし、長友選手から乾選手へのボール交換の際にもアタック出来た筈なのですが、これをやっていません。
 狭いエリアながら、乾選手はしっかりとシュートを打つことが出来たのです。

 この日本VSセネガル、日本VSベルギーの試合は、最もスピーディーなゲーム、「見応え十分なゲーム」として、大会全体の中でも、世界中からとても高く評価されているように観えます。
 「現代の望ましいゲーム」の在り様だったのでしょう。(今大会出場していないイタリアにおける「日本VSベルギー」戦のテレビ視聴率が38%を記録し、今大会ここまでの全てのゲームの中で最高だったと報じられています。サッカーを良く知っているイタリアの人達が「最も面白い」と評価したことを示す事実でしょう)

 一方で、相も変わらず「反則を繰り返す」チームもまだまだ存在しています。
 ホイッスルの度に試合が切れ、反則タックルをされた選手がピッチに横たわることも多いのですから、試合は断続的なものとなり、連続性に乏しいゲームとなってしまいます。
 観ていて面白くないゲームになる訳ですが、こうしたゲームはプレーヤーとしても面白くないものだと思います。
 怪我・故障に繋がるリスクも大きいことは、言うまでもありません。

 テクニックや敏捷性で攻め守るゲーム、ボールの取り合いを演じるゲームであれば、スピーディーで見所満点の展開になります。
 こうしたゲームは、サッカーの進歩にも寄与するものでしょう。

 一方で、「反則によって相手プレーヤーを止める」ことが習慣化しているようなチーム・サッカーは、あまりサッカーの進歩には寄与しないもののように感じられます。
 技術やフィジカルが劣っているから、反則に依存するという面もあるでしょう。
 攻撃や守備において、相手チーム・プレーヤーに勝るためにスピードやテクニックを磨き自己を向上させようとするのではなく、ゲームにおいて相手よりプレー能力で劣っている時に「反則」を繰り出すというのでは、粗末で見苦しい限りです。

 VARが導入された以上は「反則は丸見え」ということになりますし、VARの精度・適用範囲は今後向上・拡大する一途であろうとも思いますから、今後の世界大会では、反則を行うこと自体が「時代遅れ」という評価となりそうです。

 「反則しないこと」がこれからのサッカー競技の潮流になっていくと思います。
 「オープン・フェアの時代」のサッカーなのでしょう。

 こうした流れを加速する方策として、「反則の計量化がどんどん進む」ことを前提として、FIFAとしては「反則が多いチームの世界ランキングを下げる」という施策も有効かもしれません。
[7月15日・決勝]
フランス4-2クロアチア

 点の取り合いになると予想していましたが、合わせて6点も入るとは思いませんでした。

 決勝トーナメントTに入って、3試合連続で120分戦ってきたクロアチアチームに、さすがに疲労が観えて、これまでの運動量が発揮されませんでした。
 その隙をついてフランスチームが3点目・4点目を挙げて、押し切ったゲームだと思います。

 試合開始前のセレモニーにおける国歌演奏、フランスのデシャン監督は力いっぱい歌っていました。このゲームに対する決意を感じさせる姿でした。

 クロアチアチームは紅白の正ユニフォーム。決勝Tでは、黒と紺の副ユニフォームが多かったので、新鮮な印象でした。

 試合の入りは、まずクロアチアチームが攻勢に出ました。フランスチームが受ける形。
 前半11分頃までは、クロアチアが点を取りに行ったのです。

 しかし、前半18分に、フランスチームがフリーキックFKを獲得します。この試合最初のセットプレー。
 クロアチアゴールに向かって右側からのFKですが、これをグリーズマン選手が蹴り込みました。ボールは一直線にクロアチアゴールに飛び、これをゴール前で守っていたマンジュキッチ選手がすらしましたが、そのままゴールイン。

 フランスはクロアチアのオウンゴールで先制したのです。

 前半20分、突然雨が降ってきました。相当強い雨でした。雨中の戦いとなったのです。

 前半27分、フランスのカンテ選手にイエローカードが出されました。
 マンジュキッチ選手をマークしていたカンテ選手にイエローが出されたことは、その後の展開に影響が有ると思われました。

 そして前半28分、クロアチアがFKを得ます。これを蹴るのはモドリッチ選手。
 モドリッチ選手は右サイドに蹴り、これをヘッディングでゴール前に折り返し、さらにパスしたボールをペリシッチ選手がシュート。これが見事に決まりました。

 試合は1-1の振り出しに戻ったのです。

 準備されたシステマティックなプレーをキッチリと実行したものでしょう。
 「逆転のクロアチア」の面目躍如たるプレーでした。

 しかし、前半33分、クロアチアゴール前のコーナーキックCKからのプレーでペリシッチ選手の手にポールが当たりました。
 当初主審はノーファールの判断でしたが、VARから連絡が入り、主審はVAR画面で確認することとなりました。
 そして3分後、ペナルティーキックPKが宣せられました。手に当たったことが偶然か故意かは分かりませんが、偶然であろうと故意であろうと「手を使えば反則」なのです。
 「疑わしい行為」が、PKと判定されました。

 このPKをグリーズマン選手がしっかりと決めました。

 前半はフランスチームが2-1とリードして終えました。
 前半の3ゴールは、いずれもセットプレーからのものでした。

 クロアチアチームにとっては、PKによる2失点目が痛かったと感じます。

 後半も開始直後はクロアチアチームが攻勢に出ました。早期の同点を目指して攻めたのです。これをフランスチームは、前半と同様に丁寧に対応しました。

 後半9分、意外な選手交替が行われました。
 フランスチームのカンテ選手がヌゾンジ選手に代わったのです。
 フランスチームの守備の要であり、このゲームでもクロアチアチームのエース・モドリッチ選手の動きを封じていたカンテ選手を下げたことは、クロアチアチームに有利な交替のようにも感じられました。

 しかし、この交替がデシャン監督からの「攻撃開始指令」だったのです。

 後半14分ポグバ選手、後半20分エムバペ選手と、フランスは立て続けに得点を挙げました。
 共にクロアチアゴールのペナルティーエリア近辺から放たれたミドルシュートでした。
 「前がかり」に攻勢に出ていたクロアチアチームのゴール前の守備DFは、やや薄くなっていましたので、シュートコースが広いのです。
 こうした状況で「正確なシュート」を打たれる(それは難しいことなのですが)と、ゴールキーパーGKが止めることは困難なのですが、ポグバ選手とエムバペ選手は、とても上質なシュートを打ち、これが見事にゴールに突き刺さりました。

 また、これまでなら、中盤のプレーヤーが戻ってきて守備に加わっていたものが、エムバペ選手のシュートシーンでは観られませんでした。疲労が重なり、クロアチアのプレーヤーの運動量が落ちていたのでしょう。「どこにでも顔を出してきた」モドリッチ選手の姿も、ありませんでした。

 フランスチームが4-1とリードして、ゲームは決しました。

 後半24分には、マンジュキッチ選手がGKロリス選手の軽率なプレーをついて2点目を挙げましたが、クロアチアの反撃もここまで。
 守備を固めたフランス陣を、この後抉じ開けることは出来ませんでした。

 初の決勝に挑んだクロアチアチームは、これまで観られなかったような「フルパワーの攻勢」を前半と後半の始めに繰り出しました。得点を取りに行ったのです。
 今思えば、これは「疲れていて、長い間はこれまでの様には動けない」ことをチームとして認識していたので、「先行逃げ切り」のゲームを目指したのでしょう。
 しかし、フランスチームも体力十分な時間帯では、この攻撃は不発でした。
 「得点されても、いつものように粘り強く攻撃を繰り返す」という、今大会のクロアチアスタイルを実行することは出来なかったのです。
 相当、疲労が残っていたものと考えます。

 フランスチームは、エムバペ選手のスピードを存分に活用しました。
 エムバペ選手の「突進」は、圧倒的な威力でクロアチアゴールを脅かし続けました。
 クロアチアDFはエムバペ選手を止めることが出来なかったのです。
 19歳のスーパープレーヤーは、今後の世界サッカー界を牽引して行く存在でしょう。

 フランスチームは20年振り「2回目」の優勝を果たしました。
 ワールドカップの「複数回優勝チーム」の仲間入りを果たしたのです。
 ブラジル(5回)、イタリア(4回)、ドイツ(4回)、ウルグアイ(2回)、アルゼンチン(2回に続くものです。
 加えて「自国開催以外の大会での優勝」も実現しました。

 ロシア大会は、フランスが真のサッカー強豪国になった大会、と言っても良いのかもしれません。

 フランスは「とても若いチーム」です。
 チームリーダー格のグリーズマン選手でさえ、まだ27歳なのです。
 多くのプレーヤーが20歳代前半、10歳代のエムバペ選手も居ますから、今後2度のワールドカップは現行のメンバー主体で戦うことができます。

 当分の間、世界サッカー界におけるナショナルチーム同士の戦いは、フランスチームを中心に動いて行くのでしょう。
 
 フランスは「とても強いチーム」になりました。

 試合後の表彰式、雨が強くなりました。どしゃぶりです。
 その雨の中で、ワールドカップが輝きました。
 「フランス時代の到来」を告げる、鮮やかな黄金色でした。
 日本代表チームのサポーターが試合後、自分達が使ったスタンドの掃除を行っていることが、各国のメディアから称賛を浴びました。
 別に今大会から始まったことでは無く、「いつものこと」なのですが、海外の皆さんからすると、何度見ても信じがたい光景なのでしょう。

 中には、「負け試合にもかかわらず・・・」といったコメントが付けられることもあります。
 勝ちゲームなら掃除するが、負けゲームの場合には掃除をしないで帰る、という文化は、日本にはありません。
 そんなことをすれば「気分の良い時だけ掃除する」ということになりますので、逆に人間性を疑われてしまいそうですから、勝ちゲームも掃除をしない方が、余程良さそうです。

 今大会において新たに注目されたのは、ラウンド16のベルギー戦敗戦の後、西野ジャパンのメンバーがロッカールームを綺麗に掃除し、「スパシーバ(ロシア語でありがとうの意)」と書かれたカードを残し、カードの前には「青い折鶴」を2~3個置いて去って行ったという行為でした。

 「絶賛」されています。

 このことについても、日本サッカー協会から「いつもやっていること」とのコメントが出されていますから、ワールドカップに限らず、代表チームの「習慣」となっていることなのでしょう。
 試合で疲れ果てた後、ロッカールームを掃除する代表プレーヤーやスタッフの姿と言うのは、とても素晴らしいと感じます。

 「俺は日本代表メンバーだ。偉いんだぞ、凄いんだぞ」などという「威張り」が感じられないところ、「誇り」はしっかりと保持しながら、威張るところが無いというのは、日本文化においては「あるべき姿」として当然のことと見られているというか、重要視されているポイントです。
 羽生結弦選手を例に出すまでも無く、「一流選手であればあるほど謙虚」であるというのは、とても日本的で「美しい」と感じさせる行動規範なのでしょう。
 それが、ワザとらしくなく、自然にできることも大切なポイントとなります。

 さて、話を「掃除」に戻します。

 「来た時よりも美しく」と言う言葉を、私は中学生の頃聞かされました。
 それを私達生徒に説いた先生の顔を、今でもよく憶えています。
 とても良い先生でした。

 とはいえ、その先生から、そう言われたから、そういう行動をとっているのかと言えば、それはそうでは無いのでしょう。
 幼少の頃から、日本人であれば自然に身に付いているものであろうと思います。

 もちろん、全ての日本人がそういう行動を取るわけではないことも明らかです。
 ゴミを散らかし放題、わざわざ公共の場に汚れ物を捨てて行く日本人も、少なからず居ます。
 他人の迷惑を全く気に留めない日本人も居ます。
 日本人らしくない日本人ということでしょう。

 須らく、こういうことは「比率の問題」なのであろうと思います。
 「日本人10人中8人の人」が「来た時よりも美しく」を実行し、2人は実行しない、といった位の比率なのでしょうか。

 これ位の高率であれば、それはDNAと評して良いのだろうと感じます。
 ロシア大会の決勝は、フランスVSクロアチアになりました。
 何度見ても「新鮮」なカードです。

 今大会最も「若いチーム」のひとつに挙げられるフランスは、グループリーグGLを2勝1引分で1位通過し、決勝トーナメント3試合をいずれも90分間の勝利で勝ち抜きました。
 決勝トーナメントを3戦連続90分間勝利しているところが特筆ものです。
 間違いなく、戦前の戦略通りに勝ち上がっているのでしょう。

 一方のクロアチアは、GLを3戦全勝で1位通過し、決勝トーナメントはラウンド16、準々決勝とPK戦での勝利、準決勝は延長の末の勝利で、ここまで6戦6勝(4勝2引分という見方もあるのでしょうが、ノックアウトステージということを考慮すれば、6戦6勝と観るのが妥当でしょう)。
 6戦全勝というところが特筆もので、その「勝負強さ」は驚異的です。

 当初の戦略通りにゲームを運ぶフランスチームと、逆境に在っても粘り強いプレーを続けるクロアチアチームの激突は、見所満載ということになります。

 ラウンド16のアルゼンチン戦、準々決勝のウルグアイ戦、準決勝のベルギー戦と、いずれも「先制」しているフランスは、決勝でも「先制」を狙ってくることでしょう。「先制」するための戦術も、事前に用意されていると思います。

 従って、フランスが先制すれば、決勝戦もフランスペースということになります。
 たとえ先制されたとしても、クロアチアは全く怯むことなく「いつものように」反撃を続けると考えられます。
 フランスとしては、これまでの相手以上に、「危険な攻撃」を受け続けることになりそうです。

 こうした中で、もしクロアチアが先制するようであれば、試合は全く違うものになるでしょう。壮絶な打ち合いとなる可能性も有ります。

 クロアチアは、GLのアルゼンチン戦で今大会最高のプレーを披露しました。これは「ワールドカップ史上に残る90分間」でした。
 大袈裟に言えば「サッカー新時代を感じさせるプレー」でした。

 ところが、決勝トーナメントに入るとそのプレーが影を潜めました。
 チーム全体のコンディションの影響が大きいのであろうと思いますが、チーム全体の動きが悪くなった(アルゼンチン戦と比べて)のです。
 チーム全体の動きが悪くなった状況下でも、勝ち抜いてきたのですから、そのチーム力は相当高いと判断されます。

 フランスはラウンド16のアルゼンチン戦、4-3の打ち合いでしたが、そのゲームで素晴らしい「スピード」を魅せてくれました。これは、フォワードFWのキリアン・エムバペ選手を中心とした攻撃ですが、続くウルグアイ戦以降は、その驚異のスピードが影を潜めています。
 相手チームの「エムバペ封じ策」が実っているのかもしれませんが、エムバペ選手の動きにもアルゼンチン戦の精彩が無いようにも感じられます。

 これを「エムバペ選手のコンディション」と観るのか、「デシャン監督の作戦」と観るのか、は微妙なところです。
 決勝トーナメントのゲームでフランスチームは、戦略通りに「先制」していましたから、リーサルウェポンを温存できたと観ることも出来るからです。
 「デシャンの懐」は相当深いのではないでしょうか。

 こうして観ると、クロアチアチームもフランスチームも、共にアルゼンチンチームとの試合で、最高のプレーを披露しているところは興味深いところです。(メッシのアルゼンチンは当然ながら戦い甲斐のあるチームで、他チームのリトマス試験紙のような役割を果たしていたのかもしれません)
 私は、このアルゼンチンとのゲームで両チームが展開したサッカーが、決勝で観られるのではないかと期待しています。

 クロアチアは、ルカ・モドリッチ選手を中心に、FWのマリオ・マンジュキッチ選手やイバン・ペリシッチ選手、アンテ・レピッチ選手が躍動し、そこにミッドフィールダーMFのイバン・ラキティッチ選手やディフェンダーDFのシメ・ブルサリコ選手らが絡んでいく、連動性が高く、分厚い攻撃です。

 フランスは、エースのアントワーヌ・グリーズマン選手、オリビエ・ジルー選手、キリアン・エムバペ選手の強力なFW陣に、エンゴロ・カンテ選手、ポール・ポグバ選手の「玄人好み」のMF陣に、パンジャマン・パバール選手他のDF陣が絡んで、ゲームをコントロールする力に優れています。

 特にエムバペ選手の俊敏性は、5~10m位であっという間に相手選手を置き去りに出来る程、このレベル、ワールドカップというレベルでそれが出来る類稀なものです。

① 「決勝進出」に対する達成感

 こうした大きな大会では、達成感の有無・量がゲームに影響を与えると観ています。
 この決勝はどうでしょうか。

 フランスチームは2006年大会以来の決勝進出ですが、「ジダン選手が居ないチーム」としては初めての決勝進出となりますので、達成感は相当高いと思います。

 クロアチアチームは、これは史上初の決勝進出ですので、この達成感は極めて高いと思われます。
 とはいえ、クロアチアチームのメンバーのコメント・様子を観ると、勝利への執念の強さが感じられます。意外に「欲深い?」チームなのでしょう。

 以上から、決勝進出による「達成感」は、「互角」と見ます。

② 試合展開の予想

 試合開始直後から、先制点を狙ってフランスチームが攻勢をかけると思います。
 それも、準々決勝、準決勝では披露しなかったエムバペ選手を中心とした攻勢です。

 さすがのクロアチア守備陣も、初めての「生」エムバペのスピードには戸惑うと思います。

 ・前半15分、フランス先制。エムバペ選手のゴール。

 フランスチームのさすがの先制パンチが決まったとはいっても、決勝進出で意気上がるクロアチアチームの動きは良く、フランスチームの攻撃に慣れてくると、ショートカウンターを主体としてフランスゴールに迫る機会が増えてきます。

 ・前半40分、クロアチア同点に追い付く。レビッチ選手のゴール。

 ・前半は1-1で折り返す。

 後半に入るとクロアチアの攻勢が強まり、モドリッチ選手が躍動し、マンジュキッチ選手がボールに絡む回数が増えます。

 ・後半20分、クロアチア追加点。マンジュキッチ選手のゴール。

 1-2とリードを許したフランスチームは、グリーズマン選手とポグバ選手、ジルー選手の連動でチャンスを創造し、反撃に出ます。本気のフランスです。

 ・後半35分、フランス同点に追い付く。グリーズマン選手のゴール。

 ・2-2となって、延長戦に突入。

 壮絶な攻め合いが続き、両ゴールキーパーGK、クロアチアのダニエル・スバシッチ選手、フランスのウーゴ・ロリス選手の好プレーも連発します。

 さすがに、両チームに疲労感が出てきたところで、モドリッチ選手の運動量が威力を発揮し始めます。モドリッチ選手は、今大会プレーした時間の合計ならば一番疲れている筈なのですが、決勝の大舞台でプレーできる高揚感が、疲れを吹き飛ばしているかのようです。

 ・延長後半7分、クロアチア勝ち越し。モドリッチ選手のゴール。

 ・ゲームはこのまま終了し、クロアチアチームが3-2で勝利。

 と、(勝手に)予想しました。

 こうした形で考えれば考える程、この決勝戦は見所満載です。

 ワールドカップ史上に輝く、素晴らしいゲームが期待されます。
[7月11日・準決勝]
クロアチア2-1(延長)イングランド

 試合開始早々にイングランドチームが先制しましたが、クロアチアチームは粘り強い戦いを続け、後半23分に同点として、ゲームは延長に入りました。
 両チームとも疲労の色が濃い延長の戦いでしたが、後半4分にクロアチアがついに勝ち越し、イングランドの反撃を抑えて勝利。
 ワールドカップにおいて初めての決勝進出を実現しました。

 終始、イングランドゴールへの攻勢を継続したクロアチアチームの見事な勝利でした。
 加えて、ゴール前での「シュート精度の高さ」も印象的でした。

 前半5分、イングランドチームはクロアチアゴール正面でフリーキックFKを獲得、これをキーラン・トリッピアー選手が鮮やかに蹴り込みました。
 クロアチアチームの「壁」を超えて、ゴールに運ぶ、見事なキックでした。
 これでイングランドは、大会通算12得点の内9得点をセットプレーで挙げたということになります。セットプレーの強さが際立ちました。

 1-0とリードしたイングランドチームに「この1点を死守しよう」という気分が生じたとしても無理のないところでしょう。
 前日フランスチームが1-0でベルギーチームを破っていますし、ワールドカップにおける「1点はとても重い」のですから・・・。

 とはいえ、前半早々にイングランドチームが「やや守備的」になったことは、ゲーム展開に大きな影響を与えたと感じます。

 ラウンド16、準々決勝と120分+PK戦の激闘を戦ってきたクロアチアチームに疲労が無かったはずは無く、このゲームが「攻守が目まぐるしく入れ替わる」展開となれば、クロアチアチームにとっては容易ならざる事態になったと考えられますが、「やや守備的」になったイングランドチームの運動量が少し落ちたことは、クロアチアにとっては助かったのではないでしょうか。

 疲労が残っている状況下、「リードされることに慣れている」クロアチアチームは、ある意味では「淡々と」攻撃を続けました。「いつものようにプレーした」と感じます。

 一方のイングランドは、1-0の展開が長く続き、前半をリードしたまま終えて、後半も20分を過ぎました。
 決勝進出まであと25分、イングランドチームのドライブが進みました。

 その後半23分、イングランドの守備陣が少し前に上がった刹那、クロアチアのシメ・ブルサリコ選手から鋭いクロスがゴール前に配され、これをイバン・ベリシッチ選手がワンタッチの技ありボレーシュート。
 さすがのゴールキーパーGKジョーダン・ピックフォード選手も反応できず、イングランドゴール左隅に飛び込みました。
 イングランドゴール前にスペースが生じた一瞬の出来事であり、ペリシッチ選手のポジショニングと高度なシュート技術が際立ったプレーでした。

 「1-0で勝ち切る」というゲームプランが頓挫してしまったイングランドは、一転攻勢に出ますが、同点として元気を増したクロアチアの動きが勝り、ゲームはクロアチアが押し気味の展開が続きました。

 とはいえ、イングランドも懸命に守り、時折獲得するセットプレーで状況を打開しようとする展開が続き、1-1のまま90分の戦いを終え、延長に入りました。
 延長に入っても、流れの中の攻め合いとなれば依然クロアチアが押していました。

 そして延長後半4分、イングランドゴール前にイバン・ペリシッチ選手がヘディングでボールを流し込むと、マリオ・マンジュキッチ選手がグラウンダーのシュート。これがゴール右サイドに突き刺さりました。
 何度もイングランドゴール前への進出・シュートをくり返してきたマンジュキッチ選手が、ついに決めた、とても高度で値千金のゴールでした。

 2-1とリードしたクロアチアでしたが、その後も守備的になったようには観えませんでした。強いて言えば「人数が揃っていない無理なカウンター攻撃」は行わなくなったところが、勝利に向けての、チームとしての対応だったのでしょうか。

 リードを許したイングランドは懸命の攻撃を行いますが、攻撃の形がなかなか創れませんでした。
 セットプレーに依存した攻撃の弱点が、ここに来て出たということかもしれません。

 52年ぶりの決勝進出を目指したイングランドチームにとっては、残念な結果となりましたが、若き「新生」イングランドチームは、まだまだ発展途上にあります。発展途上の段階でワールドカップの準決勝進出というのは、本当に見事な活躍でしょう。
 2022年大会に向かって、イングランド代表の活躍・成長が期待されます。

 クロアチアチームは、決勝トーナメント3試合連続で120分を戦い切って、ついに決勝に進出しました。

 以前も書きましたが、グループリーグを突破し決勝トーナメント進出チームが決まった時点では、最も強い=優勝候補筆頭という印象でした。現代サッカーを代表するプレーを、クロアチアチームが提示していると感じたのです。

 その「クロアチアのサッカー」がワールドカップの決勝で披露されることとなったのは、素晴らしいことですし、「ワールドカップ新時代到来」を明示するものでしょう。

 フランスVSクロアチア、何と新鮮な決勝カードでしょう。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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