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[10月13日・横浜国際競技場]
日本28-21スコットランド

 夢のようなゲームでした。

 ブレイブブロッサムズは、スコットランドチームを破り、史上初の決勝トーナメント進出を決めたのです。
 それも、一次リーグ・プールAを全勝としての「首位通過」。

 アイルランドやスコットランドというラグビー先進国の代表チームとの、勝ち点の高低による競合いの中での突破では無く、結果としては「圧倒的な成績」による、堂々たる突破でした。
 ワールドカップにおけるひとつの壁を破ったのではなく、ふたつまとめて破った、ひとつは「決勝トーナメント進出」、もうひとつは「一次リーグ全勝・首位通過」という二つの壁を突破した、まさに歴史的な勝利でした。

 およそ世界中のラグビーファン・関係者が、想像もしていなかったこと、地元日本においても、「まさか全勝」「アイルランドとスコットランドの両チームに勝利」を実現したのです。
 「奇跡」と呼んでも足りないような戦い振りでしょう。

 ゲームは静かにスタートしました。
 ゲーム前、「最初の15分間でおおよそ分かる」と予想していましたが、その15分間で日本チームは、その地力を示してくれました。

 日本チームの「キックオフボールへのお粗末な対応」は、相変わらずでした。
 これを満足に確保することが出来ないというのは、今大会の日本チームの最大の弱点ですが、このゲームでも関連したミスによって大きく地域を失い、前半6分のスコットランドチームの先制トライの遠因となりました。
 ゴール前10m以内への前進を許してしまうと、スコットランドの様な一流チームを止めるのが至難の技であることは自明です。

 残された練習時間や戦術を構築する時間が少ないので、もう遅いかもしれませんが、決勝トーナメントに向けて、キックオフのボールを「確保する」方策を、日本チームには是非習得していただきたいものです。そのボールから、上手く攻撃に転ずるなどという「高度な」ことは考える必要はないと思います。とにかく、味方のボールとして確保すること、相手チームに簡単にボールを奪われることが無いように対応することが出来れば十分であり、今大会の日本チームならば、それ以上のことは望まない方が良いとさえ感じます。

 さて、簡単に先制トライ・ゴールを許してしまった日本チームですが、肝心の「前半15分までの戦い方」であれば、これは十分に戦えるという感触でした。
 アイルランド戦と同様に「互角のフィジカル」を実現していたからです。

 これなら、過去の強豪チームとの戦いで観られたような、「相手チームのやりたい放題」というゲームは回避できるし、日本チームがやりたいことも、ある程度できるであろうと観られました。
 日本チームの圧力、前に出るパワーは、決してスコットランドチームに劣らないものだったのです。

 次第にペースを掴んできた日本チームが、持ち前の攻撃を披露したのが、前半18分のトライでした。2人のスピードスターが、持ち味を発揮したのです。
 左サイドから、ウイングスリークオーターバックWTB福岡堅樹選手が突破し、相手のタックルによってバランスを崩して倒れながら「オフロードパス」を、もうひとりのWTB松島幸太朗選手に通しました。素晴らしいバランスと正確なパスでした。
 パスを受けた松島選手は、世界屈指のスピードを擁するランニングを披露して、真っ直ぐスコットランド陣に走り込みました。
 WTB福岡選手からWTB松島選手へのホットライン、ブレイブブロッサムズ「自慢」のウイングの威力が存分に発揮されたトライでした。

 スタンドオフSO田村優選手のコンバージョンキックも、なんとか決まって、日本チームは7-7の同点としました。

 ここから前半終了までは、日本チームがゲームを支配しました。
 あらゆる面でスコットランドチームを上回ったと言っても、過言ではないでしょう。

 前半26分、WTB松島選手の右サイドでの突進(この大会で再三威力を発揮する松島選手の突進です)から、ボールは真ん中方向に展開されました。
 そして、フッカーHO堀江翔太選手へのパス、これが相手プレーヤーとの競り合いの中でのギリギリのパスとなって「入れ替わった様なタイミング」となりました。この一連のプレーの中でポイントとなったものだと思いますが、「入れ替わり」はラグビーのプレーの中でとても大きな威力を発揮するのです。相手プレーヤーの後方のスペースに走り込み、大きく前進することが出来るのです。
 この時の堀江選手も3m位の前進を果たしました。
 相手ゴール前の3mの前進というのは、とてつもなく大きなもので、この前進によって、スコットランドチームのディフェンスラインがとても「細い」ものとなりました。

 SO堀江選手から、ロックLOトンプソン・ルーク選手への「オフロードパス」が決まり、相手プレーヤーのタックルを受けたルーク選手から、フルバックFBウィリアム・トゥポウ選手への「オフロードパス」が通り、相手プレーヤーのタックルを受けたトゥポウ選手から、ゴール前に走り込んでいたプロップPR稲垣啓太選手への「オフロードパス」が通って、稲垣選手がそのまま走り込んでトライ。
 「3本のオフロードパスを連ねた」見事なトライでした。

 「前半の日本チームには『教科書に出てくるようなプレー』が多かった」と、海外メディア、強豪国のラグビー関係者のコメントが紹介されていますが、このプレーなどは、まさに「お手本」のような、トライを取るための「お手本」のようなプレーでしょう。
 味方プレーヤーが突進する「後方」を、良い距離感で付いて行き、タックルを受けたプレーヤーは、倒れる寸前に、付いている味方プレーヤーをしっかりと目視で確認して、取り易く正確なパスを投げるという連続プレー。こうしたプレーが出来れば、ゴール前で相手チームを抜くことが出来、トライに結び付くという、ラグビーの教科書に記載することは出来るが、実践することは極めて難しいことを、日本チームはやってのけたのです。

 「大会ファイネスト・トライ」という概念・賞が存在するのかどうか知りませんけれども、もしそういう制度があるのであれば、稲垣選手のトライは候補となることでしょう。

 試合後、稲垣選手は、「このチームに加わって7年経つが、トライを挙げたことは初めて。こんなに大事なゲームでトライすることが出来て、本当に嬉しい」と、ニコリともせず、全く笑顔の無い表情で語りました。(稲垣選手は「笑わないプレーヤー」として知られています)

 通常であれば、トライに縁が無いポジションである「プロップPR」である稲垣選手が、基本に忠実に、味方プレーヤーの後方の良い距離感の位置に付けながら、精力的に走り続けていた努力と集中力が実った、本当に素晴らしいトライでした。

 このトライにより、ゲームは日本チームが14-7とリードしました。
 ついに逆転したのです。

 日本チームがゲームを支配する時間帯か続いていた前半36分、日本チームはペナルティーキックを得ました。SO田村選手が慎重に狙います。
 日本チームにとっては向かい風の中の、距離のあるキックでした。
 このキックは決まったかに観えましたが、最後のところで左に曲がり、惜しくも入りませんでした。決まっていれば17-7の10点差で、前半を終えることが出来たのですから、とても残念な結果となりました。

 この日本チームのペナルティーキックが決まらなかったことを受けて、スコットランドチームに「ホッとした様子・空気」が流れました。「これで日本チームの時間帯を終えることが出来る」「何とか7点差で後半に入れる」と考えたのでしょう。
 ラグビー競技を国技とし、1871年に世界初のテストマッチ「イングランド対スコットランド」を行ったラグビー発祥国のひとつスコットランド代表チームとしても、この時間帯の日本チームの「圧力」は抗しがたいレベルだったのでしょう。
 「ホッとした」のも、止むを得なかったかもしれません。

 ところが、その前半39分、日本チームの前半最後の攻撃が展開されたのです。
 ホッとして、やや動きが悪くなったスコットランドチームの右サイドから左に展開し、センタースリークオーターバックCTBラファエレ・ティモシー選手が突進し、キックパス。このキックパスをWTB福岡選手が綺麗にキャッチし、そのまま素晴らしいランニングを魅せてトライしました。
 スコットランド守備陣が見せた一瞬の隙を突いた、これも「教科書に載っている」ような、見事なトライでした。

 「キックパスからのトライ」はこのように行うもの、であることをティモシー選手のプレーが見事に示していましたし、2つ目の大きなバウンドのボールを右手で冷静にキャッチした福岡選手のプレーも、まさに「お手本」でしょう。
 そして何より、「残り時間が少ない中」で、美しい「展開ラグビー」を正確に実施した、日本チームの「チームとしての動き」が、最も「お手本」となるものであることは、言うまでもありません。

 日本チームは21-7とリードして、前半を終えたのです。

 前半を終えた時、私は「素晴らしい3本のトライ」を魅せていただいた日本チームに、心底から「ありがとう」と呟きました。感謝しか無い、前半戦でした。

 さて、後半が始まる時、私は「次の得点がどちらに入るか」によって、ゲームの帰趨は決まると感じていました。
 そして、後半開始早々から、スコットランドチームは「フルスロットル」で向かってきたのです。前半とは見違えるような気迫とスピードでした。

 世界屈指の強豪チームが「全力でアタック」してくるのですから、迫力満点でした。
 当然ながら「前掛かり」となったのです。

 その後半2分、良く守っていた日本チームに素晴らしいプレーが誕生したのです。
 WTB福岡選手が相手プレーヤーが保持するボールを奪って、そのまま独走、ど真ん中にトライしました。
 信じられないような個人技でした。

 相手チームの右胸に確保されていたボールを掻き出し、ポンと浮いたボールを確保しました。ボールがフィールドに落ちていればノックオンの判定であったかもしれませんが、福岡選手は落ち着いてボールを受け取り、その後は持ち前のスピード十分なランニングで、スコットランドチームのプレーヤーの追跡を許しませんでした。

 相手チームのボールを奪い取るのは、ラグビーにおいて最も重要で最も基本的なプレーです。立ったままで、相手プレーヤーが保持するボールを奪い取るのですから、ベーシックには「腕力勝負」であり、最近は「ジャッカル」と呼ばれたりしますが(「ジャッカル」という言葉は、ラグビー競技の公用語ではないと思いますが・・・)、この時の福岡選手のプレーは、パワー+タイミングも絶妙でした。アメリカンフットボール競技置ける「掻き出し」に近いプレーにも観えました。

 いずれにしても、この福岡選手の個人技によるトライで、日本チームは28-7とリードを広げました。後半最初の得点も日本チームが挙げたのです。
 「この試合、勝った」と私は思いました。こうした大試合での3ポゼッション差は、とても大きなものなのです。

 しかし、事はそう簡単では無かったのです。(考えてみれば、当然のことなのですが)

 後半開始早々の福岡選手のトライによってリードを広げた日本チームは、その後も快調に攻めました。この時間帯が、この試合において「日本チームが最も気持ち良く攻めた」時間帯であったと思います。「やりたい放題」という感じもしました。

 しかし、ワールドカップにおいて、世界屈指の強豪チームを相手に「やりたい放題」となれば、やや「調子に乗っている」という状況に陥るのも自然な話でしょう。日本チームは、やや緊張感を失っていたのかもしれません。
 続く得点機、相手ゴール前でボールを奪われて、陣地を押し返されてからは。「手負いのスコットランドチーム」の猛攻に晒されることとなりました。

 日本チームの弱点である、「キックオフボールを確保できないこと」と「ラインアウトが確保できない」という2課題も露呈して、スコットランドチームの必死のプレーの前に後退を続けたのです。

 不思議なもので、28-7とリードしてからは、日本チームのタックルも甘くなりました。
 「2人で行くタックル」も、前半の様には決まらなくなりました。
 おそらくは「僅かにタイミングが遅くなってきた」のでしょう。
 疲労が重なってきたことと、大きなリードで僅かに「気が緩んで」来ていたのだと思います。
 それまでなら、その場で止めていたタックルが、都度都度2~3mの前進を許すものとなりました。ひとつのプレーで+2~3mの前進を許容するものとなっては、毎回のようにゲインライン突破を許すこととなり、スコットランドチームの攻撃に勢いが出てきました。

 そして後半9分、再三の波状攻撃から、PRウィレム・ネル選手がトライを挙げました。反撃の狼煙が上がったのです。ラグビー競技の基本中の基本、ラックサイドのフォワードFWの突進で奪ったトライが、スコットランドチームに勇気を与えたことは言うまでも有りません。

 続く後半15分には、PRザンダー・ファーガソン選手がトライを挙げました。
 どんどん選手を交替するスコットランドチームが、フレッシュなプレーヤーによる怒涛の攻めを魅せて、連続トライを挙げたのです。
 これで21-28と「1トライ・1ゴール差」となり、試合の行方は全く予断を許さないものとなりました。

 この頃は、完全にスコットランドチームの時間帯、スコットランドがゲームを支配していた時間帯でした。
 後半12分に、スコットランドは一気に5名のプレーヤーを交替しました。
 中心プレーヤーであるスクラムハーフSHグレイグ・レイドロー選手さえ代えたのです。
 9分のネル選手のトライをきっかけとして、勝負に出たと見るべきなのでしょう。

 スコットランドチームの展開ラグビーに日本チームは後手後手となり、付いていけない状況が続きました。
 ピンチの連続。
 僅か6分間で2トライ・2ゴールを奪われ、まだ20分以上の試合時間が残っている状況でしたから、この後もトライを重ねられてしまい、勝利どころが、28-50位の大敗の可能性も十分有る状況となりました。
 日本チームの決勝トーナメント進出に暗雲が漂った時間帯でした。

 やはり「調子に乗ってのチームの緩み」は、怖いものだと感じました。

 こうした厳しい状況から日本チームを救ったのは、NO8姫野和樹選手のプレーでした。
 相手プレーヤーのボールを奪いに行くプレー、姫野選手が得意とするプレーを披露して、相手ボールを奪うことに成功したのです。
 この時、スコットランドのプレーヤーが激高し、両チームのプレーヤーが入り乱れての一触即発の状態となりました。
 この危険な状況はなんとか収まりましたけれども、こうした状況を惹起したことこそが、姫野選手のプレーの重さ、スコットランドチームにとっては「痛恨の失球」であったことを如実に示しています。

 このプレー以降、試合は再び「拮抗」したものとなりました。
 別の書き方をすれば「試合が落ち着いた」のです。

 一進一退の攻防の中で、時間が着々と進みました。

 この時間帯では、交替で入ったPR中島イシレリ選手の突進プレーが印象的でした。
 ボールを受けて2~3mの前進を実現するのです。
 試合終了間際、両チームの選手が疲労困憊の中での「2~3mの前進」は、とても貴重なプレーです。
 反撃したいスコットランドチームにとっては、とても厄介なプレーであったことでしょう。
 インパクトプレーヤーとしてのイシレリ選手は、日本チームにとってとても大きな存在なのです。

 試合時間75分、後半35分を過ぎてから、日本チームは冷静なプレーを繰り広げました。
 当然ながら「強引にボールを取りに来る」スコットランドチームに対して、ラックでのボール確保に注力したのです。
 とはいえ、正攻法で相手プレーヤーを剥がしに来る、そしてボールを奪いに来るスコットランドチームのプレーは迫力十分でした。世界の強豪チームのパワーと執念の凄さを存分に感じさせてくれるプレーが続いたのです。

 これから決勝トーナメントのゲームに臨むブレイブブロッサムズとしては、「ラックが完成」したからといって、安心することなど到底できないこと、日本国内のゲームであれば、決して失うことの無い体勢からでも、あっという間にボールを奪われるリスクが有ることを痛感させてくれるプレーの数々でもあったことでしょう。

 残り時間が着々と短くなる中で、交替で入ったSH田中史朗選手が、ラックからのボール出しを少しでも遅らせようと努力を続けました。
 そして、出す時には、日本FW陣が3~4名で待ち受けているところに投げ、再びしっかりとしたラックを形成しました。

 日本ゴール前、右側から始まったこのプレーは、少しずつ左側に移動し、最後は日本陣左側となりました。

 試合時間が79分となり、残り1分となりました。

 この段階で28-21とリードしていた日本チームの決勝トーナメント進出は、ほぼ決まっていたのです(スコットランドチームにトライ&ゴールを取られたとしても「引分」となって日本チームが決勝トーナメントに進出できます)が、選手もファンも「このゲームを勝つ」ことに集中していたのです。
 試合における「本能」なのでしょう。

 そして80分を過ぎてホーンがなりました。

 田中選手はラックからボールを出し、これを日本チームが蹴り出して、ノーサイド。

 日本チームがスコットランドチームを破った瞬間でした。

 我が家でも大歓声と大拍手が上がりました。

 横浜国際競技場はもちろんとして、日本中のあらゆるところで「大歓声」が挙がっていたことでしょう。

 ジェイミー・ジョセフHC率いる日本代表チームは「大仕事」をやってのけました。

 アイルランドとスコットランドという、とても強い2つのチームを破って魅せたのです。
 プール戦で、この2チームを両方破るというのは、オールブラックスやスプリングボクス、ワラビーズといった強豪でも、それ程容易なことではないでしょう。

 まさに「快挙」なのです。

 「快挙」を実現していただいた日本代表チームの皆さんに、力の限りの拍手を送ります。

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 ワールドカップ日本大会が始まってから、街で外国の方を見かける機会が増えました。

 特に、東京駅や品川駅といった、複数の鉄道が乗り入れている駅では、民族衣装というのか「ひと目でどこの国の応援団」かが分かる集団(もちろん普通の服装の方も居ます)を、見かけます。
 気のせいかもしれませんが、大柄な人が多いとも感じます。

 「駅でラグビーワールドカップを感じる」のも良いものだと思います。

 さて、THE ANSWERの9月30日配信の記事「日本人が”日本の価値”を知るW杯 アイルランドファンは富士山に息を呑んだ」は、とても興味深いものでした。

 9月28日の「日本VSアイルランド」の歴史的な一戦を前に、日本、アイルランド、双方のファンが、品川駅から新幹線に乗り込み、静岡・エコパスタジアムに向かうところから、記事は始まります。

 「白と赤」と「緑」のユニフォームを着た、沢山の人達が新幹線に乗り込んだわけですが、指定席は(当然のように)満席で、自由席も一杯、応援の方々の多くは立っていたと。

 そして1時間ほど経った時、背後から声をかけられたのだそうです。
 「Mt.Fuji?」
 振り返ると、外国人女性(アイルランドカラーのシャツを着ている)が指を差し、窓の外を見つめていた。
 車窓を見ると、街並みの向うに雄大な景色が広がっていることに気が付いた。
 「そうだ」と説明すると途端に眼が輝き、「ワーオ」と息を呑んだ。

 筆者は、東海道新幹線で、箱根を過ぎた辺りの住宅地の向こう側に「巨大な富士山の上部」が見えてくることは知っていたのですが、このアイルランドチームを応援する女性に指摘され、改めて感じ入ったと書いています、
 ワールドカップが、日本人に日本の良さを再認識させてくれるという趣旨の記事になっているのです。

 私も、その趣旨に全面的に賛意を表するものですが、ついでに言えば、「外国の方々に日本の良さを感じてもらう、日本という国を知ってもらう、良い機会」であることも、間違いないのでしょう。(当たり前のことを書き恐縮です)

 このアイルランドの女性は、おそらくは自国の代表チームを、はるか極東の地まで応援に来ているのですから、来日目的は「アイルランド代表チーム応援」です。
 日本という国の静岡という地域にあるスタジアムで、アイルランドチームを応援できれば、概ね目的は達成でしょうし、まず間違いなく勝利するでしょうから、とても気持よく帰って来られると考えていたことでしょう。(後者は、残念ながら実現しませんでしたけれども)

 完全なる目的客の彼女には、おそらく「富士山観光」は、来日目的には入っていなかったと推測されますが、幸いにも?競技場が静岡方面であって、天候にも恵まれたため、雄大な富士の姿を目の当たりにすることができたのです。
 富士山は、世界中の多くの方々が「美しい」と評するものと言われていますので、+αの思い出が出来たのではないでしょうか。

 日本大会の各ゲームが、日本各地の競技場で行われることの意義をも、改めて感じさせてくれる記事でした。
[10月5日・豊田スタジアム]
日本38-19サモア

 日本代表チームが、前半1・後半3、計4トライを挙げて、サモア代表チームに快勝し、プールAでの成績を3連勝としました。

 前半は「蹴り合い」で始まりました。
 日本のスタンドオフSO田村選手とサモアのセンターCTBタエフ選手がペナルティーゴールPGの応酬を披露しました。互いに2本ずつを決めて6-6の同点。
 田村選手は前半24分に3本目も決めて、日本が9-6とリードしました。

 そして前半28分、日本の松島選手が右サイドを突進しました。
 この突進は素晴らしい威力で、サモアゴール前1~2mに迫ったのです。
 そこから左に展開した日本チームは、ティモシー選手が左中間にトライしました。日本チームが持ち味を発揮した、見事なトライでした。
 田村選手のゴールも成功して、日本は16-9とリードして、前半を終えました。

 前半を終えて、サモアチームの強さ、勝利への強い執念が感じられました。
 当然のことながら、まだまた決勝トーナメント進出をあきらめてはいなかったのです。

 個々のプレーヤーのフィジカルの強さで勝負するサモアラグビーは、日本が苦手とするラグビーで、これまで4勝11敗と大きく負け越していた相手ですから、4トライを奪っての勝利どころか、勝敗は全く分からないというのが、前半終了時点の試合の流れであったと思います。

 後半が始まり、サモアチームが「ギアを変えて」きました。ぐいぐいと前に出ます。
 後半5分にはタエフ選手のPGで12-16と追い上げます。
 日本陣内でのプレーが続き、相当に押し込まれた展開でしたが日本チームは良く凌ぎました。特に、リーチ選手を中心とするフォワードFW陣の精力的な守備が印象的でした。

 このディフェンスが実ったのでしょう。後半11分、田村選手のPGが決まって、19-12と再びリートを広げたのです。このPGは、試合の流れの中では大きかったと感じます。

 そして後半14分、日本チームに見事なプレーが飛び出しました。
 ドライビングモールから姫野選手がトライを挙げたのです。
 モールが前進するスピード、迫力とも十分なプレーでした。ワールドカップにおける、日本チームとしての最高のドライビングモールであったかもしれません。

 これで26-12とリードを広げ、ゲームは日本チームに大きく傾きました。
 
 しかし、後半32分、リスタートからの日本チームのミスを付いて、サモアチームがトライを奪い、再び19-26と1トライ・1ゴール差となりました。
 今大会、日本チームに多い、キックを確保できないというミスでしたが、相手チームに大きな地域を提供してしまうミスは、絶対に回避していただきたいと思います。

 このプレーの直後の35分、福岡選手のトライが生れました。
 右サイドに展開し、最後の5mは福岡選手のスピードによるトライでした。
 アイルランド戦を思い出させるプレーでした。

 さて、これで3トライとなり、ゲーム勝利をほぼ手中にした日本チームは、時間が無い中で「4トライ目」を狙いにかかったのです。
 悲願の決勝トーナメント進出に向けては、ボーナスポイントの重要性は誰もが分かっていることなのです。

 スクラムトライを狙い、何度もサモアゴールに迫った後のラストプレー。
 後半43分、左に展開し、最後は松島選手が飛び込みました。素晴らしい、本当に素晴らしい突破力とステップとスピードでした。

 このゲームでは、松下幸太朗選手のランが再三威力を発揮しました。
 私にとっては、このゲームのMVPです。

 さて、われらが日本代表チームはプールAを3連勝としました。
 しかし、決勝トーナメントへの道は、まだまた険しいのです。
 2015年大会と同様に、「強い2チームが存在する一次リーグでは3勝しても必ずしも2位以内を確保できない」のです。

 日本チームには10月13日のスコットランド戦が待っています。
 この試合で「勝利するか引分け」れば、決勝トーナメント進出が成ります。
 
 もちろん、スコットランドチームは、日本チームが38-19で破ったサモアチームを34-0で破っています。強力なサモアチームの攻撃を零封しているのです。
 「得失点は正直」ですから、スコットランドの方が日本より力量上位であることは間違いないのでしょう。

 とはいえ今大会、日本チームはアイルランドチームを破っています。
 スコットランドチームを相手に、「ミラクル再び」を実現していただきたいものです。

 また、その可能性もあると感じます。

[9月29日・東京スタジアム]
ウェールズ29-25オーストラリア

 大接戦でした。

 前半はウェールズチームの、後半はオーストラリアチームの、ゲームだったのです。

 ウェールズは前半12分のセンターCTBハドリー・パークス選手、37分のスクラムハーフSHリース・パッチェル選手のトライと、スタンドオフSOダン・ビガー選手やビガー選手と交替で入ったパッチェル選手のペナルティーゴールPGなどで、23-8とリードしました。
 このレベルのゲームでは、大きな差と言って良いでしょう。

 前半を1トライに抑え込まれたオーストラリアチームは後半5分、フルバックFBデーン・へーレットペティ選手のトライから反撃に転じ、21分にはフランカーFLマイケル・フーパー選手のトライ(&ゴール)で22-26と追い上げ、SOバーナード・フォーリー選手に替って入ったマット・トゥームア選手が27分にPGを決めて、ついに25-26と1点差に迫りました。
 ゲームの帰趨は全く分からなくなったのです。

 そして後半31分、ウェールズチームはパッチェル選手がPGを決めて29-25と4点差に差を広げて、逃げ切りました。

 2019年の6か国対抗優勝チーム・ウェールズは、オーストラリアを辛くも退けたのです。
 プールDを1位で抜ける可能性が高くなったことになります。

 オーストラリアチームは「さすが」の強さでした。
 このところ、やや元気が無いとは言われていましたが、ワールドカップ優勝2回の強さ、「ワールドカップに強い」ことを示したのです。
 プールD2位での決勝トーナメント進出の可能性が高くなりましたが、決勝トーナメントにおける大活躍も期待されるゲーム内容でしょう。

 オーストラリアチームが後半27分に25-26に追い上げてから、ノーサイドまでの13分間は、まさにワールドカップの緊張感溢れる好ゲームであったと感じます。
 
 今大会眼につくプレーに「2人で行くタックル」があります。

 日本チームのディフェンスの基本プレーのひとつですが、オールブラックスも多用しています。

 もちろん、もともと行われていたプレーなのでしょうが、今大会ではとても目立つのです。

 このプレーは、スクラムサイドやラックサイドを突いて突進してくるプレーヤーに対して、守備側が「2人」でタックルに行くプレーです。
 攻撃側が走り始めたタイミング、まだトップスピードに乗る前に2人でタックルして、確実に突進を止める為に行うプレーに観えます。

 どんなプレーにも長所と短所がある(当たり前のことを書き恐縮です)のですが、このプレーの長所は、「相手の突進を止める確率が高いこと」でしょう。短所は、ひとりのプレーヤーにふたりで対応するのですから、「守備側のひとり分のスペースが空いてしまうこと」なのでしょう。従って、守備側は確実に止めないとピンチに繋がる可能性があるのです。

 とはいえ、これだけ「2人で行くタックル」が多用されているところを観ると、このプレーの効果が大きいことは間違いなさそうです。

 およそ、攻撃プレーにおいて最も効果的なのは、「対面のプレーヤーを抜く・交わす」プレーです。しっかりとした守備ラインが構築されている状況で、攻撃のチャンスを創り出すためには、どこかのタイミングで、ボールを持ったプレーヤーガ相手プレーヤーを抜かなければ、なかなか上手く行かないのは道理です。
 常に1対1でコンタクトを受けていては、なかなか守備ラインを突破することができないからです。

 従って、「抜く」ために各チームは、様々なサインプレーやスペシャルプレーを実施するわけですが、こうした特別なプレーを使わなくとも、個人のスキルで「抜いて」いくことができれば、それが最も効果的であることは自明です。何しろ、1対1で拭き去れば、その先にスペースが広がっていて、相手守備ラインの多くが「オフサイドポジション」になるからです。

 世界中のラグビーチームが、「個人のスキルで抜いていけるプレーヤー」を待望している理由も、そこにあるのでしょう。

 抜く方法・スキルは、個々のプレーヤーにより様々です。
 「圧倒的なスピード」や「素早いステップ」は、その代表的なものでしょうが、ステップと言っても個々のプレーヤーにより様々です。キレの良いサイドステップで抜いて行く選手もいれば、するりするりと「掴まりそうで掴まらない」ランを魅せる選手もいます。ランスピードに緩急を付ける選手もいます。そのテクニックこそが、その選手を「世界的プレーヤー」に押し上げて行く要素なのです。

 ワールドカップですから、そうしたテクニックを具備したプレーヤーが、各チームに数多く存在するのも当然のことなのでしょう。何しろ「世界一を決める大会」なのですから。

 そうしたハイレベルなプレーヤーに、スクラムサイドやラックサイドを抜かれてしまっては、たちまちピンチが訪れます。そうしたプレーヤーは、そのまま一気にトライする能力も有るのです。

 そうしたプレーヤーを相手に「1人でタックル」に行っても、サイドステップなどにより簡単に交わされてしまうリスクが有ることは、容易に想像が付きます。

 そこで「2人で行くタックル」が登場するのでしょう。

 「2人で行くタックル」は1人の場合よりも「タックルの幅が広い」ので、たとえ1人が捉まえきれなくとも、もう1人が仕留めることができる確率は高いでしょう。
 ひとりではパワーで抜かれてしまうような状況でも、ふたりなら対応可能というケースもありそうです。
 これらのことから、2対1の形により1人分の「スペースを与えるリスク」よりも、守備側のメリットが大きいと判断して、採用されているものと考えられます。

 もちろん、「2人で行くタックル」は相手チームのランナーが動き始めた時点で行わなければならないもの、相手チームのランナーが十分に加速してからでは、逆に2人共交わされて、相手ランナーに大きなスペースを与えるリスクが高いプレーになるのでしょうから、日本チームやオールブラックスもそのことは十分に承知の上で行っていると思われます。

 「2人で行くタックル」は、体格面・パワー面ではやや劣るであろう日本チームにとって、とても重要なプレーであり、日本チームの決勝トーナメント進出に向けてのキープレーのひとつでもあるのでしょう。

 今大会のプレーにおいて「キックパスの進歩」は、とても大きいと感じます。

 例えば、一次リーグ屈指の好ゲーム、ニュージーランド対南アフリカにおいて、3-3の同点から、オールブラックスが10-3、17-3とリードを広げた2つのトライ=ゲームを決めたプレーは、いずれも右サイドへのキックパスが発端となりました。

 特に1本目のトライの始動となったキックパスは、キッカーより後方になされたキックであったと思います。

 ラグビーというスポーツの基本中の基本として、「ボールを保持しているプレーヤーが、自分より前方に手で投げるパスをしてはならない」があります。
 このルールは、「ラグビー競技をラグビー競技とならしめている」鉄則ですが、キックなら自分より前方に蹴っても良いのです。

 従ってキックというのは、自分より前方にボールを運ぶ、合法的な唯一の方法ということになりますから、これまではそうした形で使用されてきたというか、「前に蹴ることが所与」のプレーとして認識されてきたものだと考えます。

 ところが、オールブラックスは「後方」か、少なくとも「水平」にキックパスを行ったのです。
 これには驚かされました。

 こうなると、キックパスを「腕では投げられない距離に居る見方プレーヤーにパスをするための手段」として捉えていることになります。
 革新的な考え方でしょう。

 そんなやり方にメリットがあるのか、という疑問も直ぐに出てきそうですが、オールブラックスVSスプリングボクスという、世界最高峰のゲームにおける最初のトライを生んだプレーとなれば、その効果は一目瞭然で、文句の付けようがないでしょう。

 腕を使って「長いパス」をしようとすれば、低いパスか、スピード不足の山なりのパスになってしまうところを、キックパスなら、相応のスピードを維持しながら、「取り易い」パスをすることができるのですから、十分に使えることは明らかです。

 もちろん、「キックによって正確な位置にボールを運ぶ」ことの難易度の高さは言うまでもありませんから、相手チームの意表を突く効果も絶大です。

 日本VSアイルランドのゲームでも、アイルランドチームのトライはキックパスから生まれています。

 2015年大会からの4年間で、キックパスは飛躍的に進歩したのでしょう。

 キッカーの技術的向上はもとより、「キックパスを使う戦法の研究」も長足の進歩を魅せているのです。

 今後も、キックパス周辺の戦術の進歩はますます進むものと思います。

 さすがに、ラグビー「フットボール」なのです。

[9月28日・小笠山総合運動公園エコパスタジアム]
日本19-12アイルランド

 ファンタスティックなゲームでした。

 日本チームは、狙い通りのプレーを展開し、現在の実力を100%、いや120%発揮して「会心」のゲームを披露してくれました。

 こんなに素晴らしい試合を、自国開催のワールドカップで魅せていただいた選手の皆さん、ベンチスタッフの皆さんに、心から感謝申し上げます。

 後半試合時間残り5分間は、泣きながらの観戦でした。

 さて、決勝トーナメント進出の「形」は整いました。

 あとは仕上げです。

 日本代表チームの健闘を祈ります。

[9月26日・神戸市御崎公園競技場]
イングランド45-7アメリカ

 イングランドチームがプールC第2戦を圧勝しました。2戦2勝、共に4トライ以上の勝利ですから、勝ち点を10として、プールCのトップに立っています。

 前半5分のスタンドオフSOジョージ・フォード選手のトライで圧勝劇の幕を上げたイングランドチームですが、イングランドのこのゲームの7トライには、なかなか観られない特徴がありました。

 「7トライ全てが先発メンバーによるもの」だったのです。

 2つ目のトライはNO8ビリー・ブニポラ選手、3つ目はフッカーHOルーク・カワンディッキー選手、これで前半を19-0とリード。

 後半に入り、4つ目のトライはウイングスリークオーターバックWTCジョー・ゾカナシンガ選手、5つ目は反対側のWTCルアルド・マコノヒー選手、6つ目はフランカーFLルイス・ラドラム選手、7つ目はWTCゾカナシンガ選手がこの試合2個目のトライでした。

 前半は、強力フォワードFW陣の破壊力でアメリカチームの守備を破り、後半に入ってアメリカチームが中央での攻防、FW戦に注力するようになると、スピード十分なバックスBK陣が自在に走り回るという、イングランドチームの戦略通りの試合だったことでしょう。

 それにしても、イングランドチームも「8名の交替」を行っているのですが、過半のプレーヤーを交替しながら、トライは全て「先発メンバー」から生まれているというのは、滅多に無いことでしょう。
 もちろん、トライ数が1~2本であれば普通の事なのかもしれませんが、5本以上のトライを挙げたゲームで、先発プレーヤーが全トライを挙げるというのは、珍しいことだと思います。

 選手交替の大きな目的が「フレッシュな選手を投入する」ことにあるのですから、本来なら「元気一杯」の交替選手が活躍するのが自然でしょう。ところが、イングランドチームでは疲労が蓄積しているであろう先発選手が、最後までトライを挙げ続けたのです。

 ひょっとすると「イングランドチームは先発と控えの力量差が大きい」のではないかと訝ってしまいますが、おそらくはそういうことではなく、イングランドの先発プレーヤーは「持久力十分」であり、イングランドの控え選手は「サポートが上手な、チャンスを生み出すのが上手い」ということなのでしょう。「フィニッシャーは先発プレーヤーが務める」というチーム創りが行われている可能性もあります。

 持ち前の「得点力」を如何なく発揮しているイングランドチームは、やはり優勝候補の一角なのです。

[9月25日・釜石鵜住居復興スタジアム]
ウルグアイ30-27フィジー

 世界ランキング19位のウルグアイチームが、10位のフィジーチームを破ったのですから、これは「番狂わせ」です。(9月23日時点のランキング)
 今大会初の本格的な?「番狂わせ」と言っても良いのでしょう。

 9月21日の緒戦で、オーストラリアに敗れていたフィジーとしては、絶対に勝たなくてはならないゲームを落としたことになりますが、このゲームではキックプレーの成功・不成功が明暗を分けたように観えます。

 前半2分、フッカーHOメスラメ・ドロコト選手のトライで幸先よくスタートを切ったフィジーチームでしたが、コンバージョンキックをスタンドオフSOジョシュ・マタベシ選手が失敗してしまいました。

 続く19分のトライのコンバージョンは成功しましたが、後半6分のペナルティーキックをマタベシ選手が失敗すると、後半7分のコンバージョンキックも失敗、後半26分のコンバージョンキックは、フルバックFBアリベレティ・ベイトカニ選手に代わって入ったベン・ボラボラ選手が挑みましたが失敗、後半40分のコンバージョンもボラボラ選手が外してしまいました。

 フィジーチームのキックが、もともと下手な訳ではないのは「世界ランキング10位」が証明しています。
 一方で、最初のコンバージョンキックを外してしまい、ウルグアイの健闘・攻勢に会って前半を12-24と劣勢で折り返したフィジーのキッキングチームに、大きなプレッシャーがかかったことも事実なのでしょう。
 当然ながら、ラグビー競技も心理的な要素があるのです。

 結果として、フィジーチームはコンバージョンキックの成功が1/5、ペナルティーキックは0/1と、5本のキックを外して、「11得点」を失いました。
 ゲームは3点差で敗れたのですから、キックがもう少し決まっていたならば、ゲームの帰趨は全く分からなかったことになります。

 加えて、「攻撃のリズム」という面でも、コンバージョンキックの成否は大きな影響を与えます。
 ご承知のように、「トライ→ゴール」がラグビーの基本なのです。

 「キックによる得点の重要性」を、改めて如実に示してくれたゲームでした。

[9月23日・豊田スタジアム]
ウェールズ43-14ジョージア

 持ち前の「華麗な攻撃」を披露して、レッド・ドラゴンズが快勝しました。

 前半2分、センタースリークオーターバックCTBジョン・テイビーズ選手が先制トライ、12分にはフランカーFLのジャスティン・ティプリク選手がトライ、18分にはウイングスリークオーターバックWTBジョシュ・アダムズ選手がトライ、39分にはフルバックFBリアム・ウィリアムズ選手がトライ、4つのトライを重ね、スタンドオフSOダン・ビガー選手のペナルティーゴール、コンバージョンキックをも合わせて、前半を29-0とリードして終えました。

 ジョージアチームのファンの方には申し訳ありませんが、これでゲームの勝敗は決まりました。

 後半は両チーム共、選手の交替が相次ぎ、特にジョージアチームが早め早めの選手交替で、攻勢をかけました。
 ジョージアは後半に2トライを奪い、後半だけなら14-14とウェールズと互角の勝負を演じて、面目を保った形です。
 今大会のジョージアチームは相当強いと予想されていましたが、前半のウェールズチームの怒涛の攻撃は、優勝候補の名に恥じないものでした。

 ウェールズでトライをしたプレーヤーのポジションを観るとバックスBKが多いのです。
 華麗な球回しとスピード豊かな走りという、ウェールズ伝統のラグビーは健在なのです。

 それにしても、かつての全盛時を支えたプレーヤー、マービン・デービス選手やJPRウィリアムズ選手、JJウィリアムズ選手と似た「名前」のプレーヤーが、ウェールズチームには多いと感じます。
 もちろん、ウィリアムズやデービスという名前がウェールズ国というか地域には多いということであり、偶然であろうとは思いますが、オールドファンにとっては、何か懐かしい感じもするのです。

 好発進のウェールズチームの今後の戦い振りに注目です。

[9月22日・横浜国際総合競技場]
アイルランド27-3スコットランド

 プールAの首位争いをすると目される2チームの激突は、アイルランドチームの圧勝でした。
 その突進力がスコットランドチームを「粉砕」したのです。

 ゲーム開始早々からアイルランドの猛攻が始まりました。

 開始5分には、ロックLOジェームズ・ライアン選手がトライ、スタンドオフSOジョナサン・セクストン選手がコンバージョンキックも決めて、7-0とリードします。
 前半13分には、フッカーHOロリー・ベスト選手がトライして、リードを12-0と広げます。
 24分には、プロップPRタイグ・ファーロング選手がトライ、スクラムハーフSHコナー・マレー選手がコンバージョンを決めて、19-3とアイルランドチームの一方的なゲームとなりました。
 アイルランドチーム・フォワードFWの前に出る力には凄まじいものが有り、さしものスコットランド守備陣も成す術が無いという感じ。

 スコットランドは、前半20分SOグレイグ・レイドロー選手がペナルティーゴールPGを決めて3点を返すのが精一杯という状況。

 前半から多くのプレーヤーを交替させていったアイルランドでしたが、後半にもどんどん選手を替えて行きました。
 そして後半15分、ウイングスリークオーターバックWTBアンドリュー・コンウェイ選手がトライを挙げて24-3とリードを広げ、後半27分には、SOセクストン選手に代わって入ったジャック・カーティ選手がPGを決めて、27-3としたのです。

 スコットランドという「伝統」チームを、長きに渡ってのライバルであるチームを、大差で破ったアイルランドチームの強さは、さすが「世界ランキング1位」でした。
 この「得点力」は、「FWの地力」によるものですから、好不調の波が小さく、多くのゲームで発揮されるものでしょう。(このゲームでも、PGを1本、コンバージョンを2本外しての27点です。本来なら27+7=34点を取っての勝利も可能だったのです)

 9月28日に対戦する日本チームにとっても、「超難敵」ということになります。
 日本チームが、このアイルランドチームに勝つことは「至難の技」であり、「奇跡」に近い物であろうとは思いますが、この壁を抜かない限り決勝トーナメントへの道は開きません。

 日本チームの「大健闘」が期待されます。
 
[9月21日・東京スタジアム]
フランス23-21アルゼンチン

 「死の組」プールCの大一番、決勝トーナメント進出に向けて絶対に負けられないライバル対決は、フランスが辛勝しました。

 実力互角の両チームの戦いを決したのは、このゲームの最初の得点チャンス=アルゼンチンチームにとっての最初のチャンスであった、前半12分のペナルティーゴールPGキックでした。
 スタンドオフSOニコラス・サンチェス選手のPGは、しかし、決まりませんでした。

 これが、最後まで響いたと思います。

 このプレーの2分後、サンチェス選手は再びPGに挑み、これを成功させました。アルゼンチンが先制し3-0とリードしたのです。

 先制を許したフランスチームでしたが、この後の前半は完全に支配しました。
 センタースリークオーターバックCTBガエル・フィクー選手が17分にトライ、SOロマン・ヌタマック選手のコンバージョンキックも決まって7-3と逆転しました。
 21分には、スクラム・ハーフSHアントワーヌ・デュポン選手がトライし、ヌタマック選手がしっかりとコンバージョンも決めて、リードを14-3と広げました。
 この後、ヌタマック選手が2本のPGを決めて、フランスが前半を20-3とリードして終えたのです。
 強豪を相手にして、フランスチームとしては会心のゲーム運びだったことでしょう。

 「南半球第4のチーム」として、このままでは終わることが出来ないアルゼンチンチームは、後半猛反撃に出ました。

 後半開始早々の1分、ロックLOグイド・ペッティパガディサバル選手がトライ、サンチェス選手のコンバージョンキックも決まって10-20。
 フッカーHOのアグスティン・クレビ選手に代わって入ったフリアン・モントジャ選手が13分にトライ、しかしナウエル・テタスチャパロ選手のコンバージョンはならず、15-20。

 後半20分には、SOサンチェス選手に代わって入ったベンハミンマリア・ウルダピジェタ選手がPGを決めて18-20と2点差に迫ります。
 前半とは打って変わった、アルゼンチンが支配するゲーム後半となったのです。

 両チームが目まぐるしく選手を交替する中で、後半28分、ウルダピジェタ選手がPGを決めて、アルゼンチンチームがついに逆転しました。
 素晴らしい反発力と言えるでしょう。

 さて、逆転を許し、後半ここまで無得点のフランスチームは、当然ながら反撃に出ました。
 ウイングスリークオーターバックWTBダミアン・ペノー選手に代わって入ったカミーユ・ロペス選手が、後半29分PGを決めたのです。もの凄いプレッシャーがかかるシーンでの見事なプレーでした。
 フランスチームが23-21と再逆転に成功したのです。

 勢いに乗ったフランスチームは、この後2本のPGに挑みますが決めることが出来ませんでしたけれども、「攻撃は最大の防御」の言葉通り、23-21で押し切り、大切な直接対決を制しました。
 両チームが死力を尽くした熱戦でした。

 振り返ってみれば、やはり、アルゼンチンの最初のチャンス、前半12分のPG失敗が惜しまれるところでしょう。
 世界トップクラスのチームの第1キッカーであれば、難しい角度でも決めて行って欲しいものなのです。特に、ワールドカップの舞台では1度の失敗が致命傷になる可能性が高いと感じます。

 これからの各ゲームにおいても、PG、ドロップゴールDG、コンバージョンゴールが勝敗を決するシーンが数多く観られることでしょう。

[9月20日・東京スタジアム]
日本30-10ロシア

 日本チームが、松島幸太郎選手とピーター・ラブスカフニ選手の計4トライで、ロシアチームを振り切り、緒戦を制しました。

 ゲームスタート直後の日本は、「ボールが手に付かない」状態で、ロシアのキックやバントを悉くキャッチすることが出来ないという、信じられないような試合展開が続きました。
 自国開催ワールドカップ緒戦のプレッシャーは、想像以上だったのでしょう。

 再三のピンチから前半4分、ロシアのフルバックFBアルテミエフ選手のキックを日本のFBトゥポウ選手が触ることも出来ずにフィールドにバウンドさせ、そのボールをロシアのゴロスニツキー選手がキャッチして、そのままトライしました。
 あっという間の先制トライ。今大会最初のトライがロシアチームに生まれたのです。
 ゴールもなって、ロシアチームが7-0とリードしました。

 その後、日本チームはロシア陣に攻め込みますが、なかなか得点を挙げることができませんでした。

 私の様なオールドラグビーファンは、ワールドカップにおける日本チームの戦績を良く知っているというか、ワールドカップにおける日本チームにとって、どれほど「1勝」が遠いものかが身に染みています。
 友人は、「今大会も全敗だと思う」と言っていました。
 この予想も、2011.年大会までの日本チームを見て来た身からすれば「無理も無い」ものでしょう。

 そして、優勢を予想されたこの試合でも、緊張から全く体が動かず、ロシアに0-7と先行を許したのですから、このままずるずると敗れるのではないかという、嫌な感じが漂ったのです。

 その嫌な感じは、前半11分に松島選手がトライを挙げて5-7と追い上げても続きました。
 田村優選手のコンバージョンキックが決まらないのです。

 キックの精度の高さでは世界トップクラスと言われる田村選手ですが、このゲームの前半は「全然ダメ」でした。

 前半38分の松島選手の逆転トライは、ほぼ正面の位置でしたが、このキックさえギリギリに入ったのです。蹴った瞬間左のポストに当たり跳ね返るのではないかと思いましたが、幸運にもこれは入ってくれました。

 「不安いっぱい」の日本チームは、しかし、前半を12-7と一応リードして折り返したのです。

 ハーフタイムでも、パントやキックの処理が粗末で、不安定なラインアウトプレーが多く、ノックオンも多発する日本チームが、このゲームを勝ち切るのは相当に難しいという感じが残りました。

 この不安を払しょくしてくれたのは、フランカーFL7番のピーター・ラブスカフニ選手であったと思います。
 後半7分、ロシアチームのボールを「捥ぎ取って」、そのままトライを挙げて魅せたのです。これで日本チームは20-7としました。

 このプレー、フォワードFWの動きの良さと強さでトライを奪ったプレーを観て、この試合が始まって初めて「勝てるかもしれない」と感じました。
 ラブスカフニ選手は南ア出身ですが、素晴らしいプレーヤーが日本代表チームに加わってくれたものです。
 ラグビーにおける多くのチームがそうであるように、我らが日本チームもFW第3列、FL6番のリーチ・マイケル選手、7番のラブスカフニ選手、NO.8の姫野和樹選手が活躍してこそ、勝利を獲得できるのです。

 この試合のMVPはピーター・ラブスカフニ選手でしょう。

 ようやくゲームをコントロールすることが出来るようになった日本チームは、後半29分、松島選手が自身のこの日3本目のトライ、チームにとっての4本目のトライを挙げ、松田力也選手がコンバージョンキックもしっかりと決めて、30-10とリードを広げました。

 そしてゲームはこのままノーサイド。
 日本代表チームが緒戦をものにしたのです。

 試合終了を見届けて、「日本チームがワールドカップでも勝てるようになった」こと、世界のラグビーにおいて、着々と力を付けてきていることを、今更ながら感じました。

 いよいよ、「夢の大会」の開催が明日に迫りました。

 今回は、決勝トーナメント検討の「パターン3」です。少し「夢」を見てみようと思います。

 一次リーグの勝ち負け自体を見直します。

 プールAでは、日本チームが勝ち抜き、スコットランドに続いて2位で決勝トーナメントに進出すると見るのです。
 プールAで日本チームが勝ち抜くとすれば、チームのタイプからして、アイルランドチームを破る可能性の方が高いと思います。
 もちろん、世界ランキング1位のチームですから、それは「奇跡」としか言いようがないのですけれども、日本チームが研究を重ね、狙ったプレーを100%近い確率で展開できれば、絶対に不可能とは言えないでしょう。
 9月28日という、日本チームにとっての第2戦で当たるという点も、大切な要素となります。

 スコットランドチームは、「堅守」、特にゴール前の守備が伝統的に強く、守り切ったうえで「個人技」により局面を打開していくラグビーですから、このチームを破るのは至難の技でしょう。
 サッカーに例えれば、ウルグアイチームに似ているかもしれません。ウルグアイと言えば「堅守・速攻」が持ち味ですが、中盤、バックス陣の献身的な守備から、世界的なプレーヤー(スアレス選手、フォルラン選手、カバーニ選手といった)による速攻で勝利を収めるプレーが印象的です。

 ラグビーのスコットランドチームも、何時の時代も世界的なプレーヤーに恵まれています。今大会なら、グレイグ・レイドロー選手とフィン・ラッセル選手でしょうか。
 ギャビン・ヘイスティングス選手やジョン・ジェフリー選手から、脈々と受け継がれている「世界トップクラスの攻撃力」が、スコットランドの強さの源泉となっているのです。
 このチームが、決勝トーナメントに進む確率は非常に高いと思います。

 結果としてパターン3では、プールAは1位スコットランド、2位日本となります。

 プールBの1位ニュージーランド、2位南アフリカは、不動でしょう。

 プールC1位はイングランドで不変ですが、2位でアルゼンチンが残ると見ます。
 アルゼンチンラグビーは「ランニングラグビー」です。それも、数10mを一気に前進する、多くの場合ひとりのプレーヤーで長い距離を前進する、ダイナミックなランニングラグビー。
 アルゼンチンは、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカといった南半球の強豪チームを相手に、独特のラグビーを創り出し、地力をどんどん上げてきました。

 このチームが調子に乗った時の攻撃は、本当に見事で、とても面白いのです。
 このランニングラグビーが、複数プレーヤーによる目まぐるしいパスで前進する、フランスチームの「シャンパンラグビー」を凌いで、決勝トーメントに進出すると見るのです。

 プールDは、1位がウェールズ、2位がフィジーと見ます。
 オーストラリアチームが一次リーグで敗退するというのは随分と思い切った見方ですが、近時のワラビーズは何故か元気が無いのです。
 スポーツ大国における、他の競技とのバランスから、ラグビーユニオンの選手層が薄くなっているとも言われています。
 一方で、フィジーチームは、世界ランキング9位が示すように、歴代最強レベルでしょう。
 ここで番狂わせが生まれる可能性は有ります。

 以上から、準々決勝の組合せは以下の通りとなります。

① イングランドVSフィジー
② ニュージーランドVS日本
③ ウェールズVSアルゼンチン
④ スコットランドVS南アフリカ

 この準々決勝で、フィジー、ニュージーランド、アルゼンチン、スコットランドが勝ち上がると見ます。

 日本チームにも勝ち上がってほしいのですが、さすがにオールブラックスを相手に勝利するというのは、想像できませんでした。ご容赦ください。やはり「準々決勝進出」が今大会の日本代表の大目標なのです。

 この結果を受けて、準決勝は下記の通りの組合せとなります。

⑤ フィジーVSニュージーランド
⑥ アルゼンチンVSスコットランド

 この準決勝で、フィジーとスコットランドが勝利すると見ます。
 フィジーチームにとっては、歴史的な勝利ですし、スコットランドチームにとっても史上初の決勝進出です。

 また、アルゼンチンとスコットランドのゲームは、個人的にとても観てみたいカードです。

 さて決勝は、

⑦ フィジーVSスコットランド

 この決勝はロースコアゲームとなって、スコットランドチームが競り勝つと見ます。

 これが、決勝トーナメントの「パターン3」です。

 確率は低いのかもしれませんが、有り得ないことでは無いと考えています。

 今回は、一次リーグの結果は「パターン1」と同じという前提で、パターン2を考えて行きます。

 従って、準々決勝の組合せは以下の通りです。
① イングランドVSオーストラリア
② ニュージーランドVSスコットランド
③ ウェールズVSフランス
④ アイルランドVS南アフリカ

 この準々決勝の激闘で、パターン1とは異なり、アイルランドが南アフリカに勝利すると仮定します。世界ランキング1位の力を示した形。
 他のゲームの結果は、パターン1と同じとします。

 そうすると準決勝の組合せは以下の通りとなります。
⑤ イングランドVSニュージーランド
⑥ ウェールズVSアイルランド

 ワールドカップにおける「激辛」チームである南アフリカを、アイルランドが破るとすれば、2019年日本大会は「北半球チームが優位」の大会となるでしょうから、準決勝の結果も変わってきます。
 イングランドが練りに練った戦術を駆使して、ニューシーランドを破るのではないでしょうか。
 ウェールズとアイルランドのゲームは死闘となるでしょうが、最後は6か国対抗のチャンピオンであるウェールズが勝ち抜くと見ます。

 そうすると決勝は、

⑦ イングランドVSウェールズ

 という「グレートブリテン対決」となります。これは、ワールドカップ史上初の北半球のチーム同士の決勝戦となります。

 そして、イングランドが2度目のチャンピオンに輝くのではないでしょうか。

 エディー・ジョーンズHC率いるイングランドが「世界一」になる「パターン2」、可能性十分の展開だと考えます。

 10月19日から始まる決勝トーナメントについて、観て行きましょう。

 準々決勝各試合の組合せは、一次リーグ各組の順位、1位通過か2位通過かで自動的に決まるレギュレーションとなっていますので、一次リーグの成績を「仮置き」する形で検討を進めます。
 今回は「パターン1」です。

[一次リーグの結果予想]

[プールA]
1位 アイルランド
2位 スコットランド

[プールB]
1位 ニュージーランド
2位 南アフリカ

[プールC]
1位 イングランド
2位 フランス

[プールD]
1位 ウェールズ
2位 オーストラリア

 この結果予想から、準々決勝の組合せは、以下の通りとなります。

① 準々決勝第1試合 イングランド-オーストラリア(10月19日)
② 準々決勝第2試合 ニュージーランド-スコットランド(10月19日)
③ 準々決勝第3試合 ウェールズ-フランス(10月20日)
④ 準々決勝第4試合 アイルランド-南アフリカ(10月20日)

 ベスト8の激突ですが、この試合結果も予想します。
 第1試合はイングランド、第2試合はニュージーランド、第3試合はウェールズ、第4試合は南アフリカが勝つという予想です。
 この予想から、準決勝の組合せが決まります。

⑤ 準決勝第1試合 イングランド-ニュージーランド(10月26日)
⑥ 準決勝第2試合 ウェールズ-南アフリカ(10月27日)

 準決勝は、第1試合がニュージーランド、第2試合がウェールズの勝利と予想します。

⑦ 決勝 ニュージーランド-ウェールズ

 南半球と北半球のチームの激突となる決勝は、ニュージーランドが勝利すると予想します。

 以上が「パターン1」の決勝トーナメント予想です。

 これが、ワールドカップ2019日本大会の「最もベーシックな予想」であると考えます。

 ニュージーランド・オールブラックスは、最も基本に忠実なプレーを展開するチームでしょう。いわゆる「組織プレーの精度・威力」という点では、他の追随を許しません。
 1987年の第1回ワールドカップの際に「ワンブランケット・モール」という言葉が有りました。モールが良く纏まっていて、一枚の毛布のスペースに入ってしまうという、オールブラックスのプレーを称した言葉です。天を突くような大男達のモールがワンブランケットに入るはずは無いのですが、「そう感じさせる」纏まりの良さ、無駄の無さ、だったのです。まさに組織プレーの神髄でしょう。その伝統は、21世紀になっても、脈々と受け継がれています。

 従って、少し力の差のあるチームを相手にすると、安定感抜群の試合をします。サッカー風に言えば、「完全にゲームを支配できる」のです。結果として、ワールドカップの一次リーグ不敗という、ある意味では信じられないような結果を残しているのです。

 一方で、相手の戦術に嵌り、相当のリードを許すことが有ると、これを跳ね返す技には欠けている印象です。既に、その試合においては有効では無い「同じ組織プレー」を繰り返してしまうことが有ります。結果として、決勝トーナメントにおいては、意外なほどの脆さを見せることが有るのです。(1999年大会の準決勝でフランスチームに31-43、2003年大会準決勝でオーストラリアチームに10-22、2007年大会の準々決勝でフランスチームに18-20、で敗れています)

 常に世界ランキング1位に居る印象が有りながら、2007年のワールドカップ終了時点までは優勝回数1回と、オーストラリア・南アフリカの優勝2回の後塵を拝していたというのは、意外という他は無いでしょう。2011年・2015年大会に連覇して、優勝回数を「3回」とし、世界ラグビー界を常に牽引するチームとしての面目を保ったとも言えそうです。

 オールブラックスの弱点は「逆境からの反発力」にあると観ています。
 「精神的支柱」でもあったリッチ―・マコウ選手の居ない今大会、ニュージーランドチームの決勝トーナメントにおける危機管理能力に注目しています。

 南アフリカ・スプリングボクスは、「粘り強い守備」が持ち味でしょう。この守備力を活かして「ロースコアゲーム」に持ち込み、ここぞというタイミングで得点を挙げて、僅少差で勝ち抜くラグビーです。
 結果として「決勝トーナメントに強い」のです。
 いつの時代も、他チームに比べてスタープレーヤーが少ない印象ですが、「渋いプレー」から、相手チームより1点でも多く取る術には、素晴らしいものがあります。

 また、準決勝戦辺りにチームのピークを持ってくる「調整力」も優れていると感じます。
 今大会も、プール戦は静かにスタートして(ニュージーランドには完敗?して)、徐々に調子を上げてくるのではないでしょうか。
 
 ウェールズ・レッドドラゴンズは、何時の時代も「華麗なるプレー」が持ち味でしょう。「個」のプレーヤーの長所を最大限に発揮させるラグビーは、ある意味ではオールブラックスとは対照的です。
 20世紀末から21世紀初頭にかけて、やや低迷した時期が有りましたが、2010年代に入り存在感を増し、2017年頃からはかつての強さが蘇ってきている感じがします。

 2019年の6か国対抗戦では、5勝全勝で圧勝しました。2位のイングランドと3位のアイルランドが3勝でしたから、これは圧倒的な強さ。
 個々のプレーヤーの「輪郭」が際立つラグビーですから、観ていてとても楽しいことも特徴のひとつだと思います。
 今大会は、優勝を狙えるのではないでしょうか。
 北半球のチームとして、イングランドに続く2チーム目のワールドカップ制覇が期待されます。

 イングランド代表チームは、「荒々しい攻撃」が持ち味でしょう。
 ラグビー競技発祥の地のチームとして、その伝統とプライドは際立っています。
 イングランドは、攻撃が決まり始めると「いくらでも得点を重ねる」印象が有ります。何時の時代も「大型のフォワード」の破壊力は凄まじく、「これがラグビーだ」と言っているかのようなプレーなのです。
 一方で、そうした強力フォワードを中心にしたチームは、良いハーフ団を得た時に強いというのは、かつての明治大学チームと共通しています。
 2003年大会は、あのジョニー・ウィルキンソン選手(スタンドオフ)を擁して、ワールドカップ制覇を成し遂げました。(北半球のチームとしての唯一のワールドカップ制覇です)

 イングランドチームは、自国開催でありながら一次リーグ敗退という「屈辱」を味わった2015年大会後、エディ・ジョーンズという名伯楽を得て、着々と強化を進めてきました。2016年、2017年の6か国対抗連覇は、その証でしょう。
 2018年と19年の6か国対抗では優勝できませんでしたけれども、おそらくはワールドカップ日本大会に照準を合わせて、チームのコンディションを作り、戦術を練ってきているのではないでしょうか。
 今大会の優勝候補の一角です。

  以上の4チームが、今大会の優勝候補だと考えています。

  さて、今回は「パターン1」、最もベーシックな予想を書いてみました。

  当然ながら、予想には色々なバリエーションがあるのです。

 9月20日に開幕する、ワールドカップ日本大会の一次リーグの組合せを観てみましょう。
 (チーム名の後ろのカッコ内は、9月9日時点の世界ランキング)

[プールA]
・アイルランド(1位)
・スコットランド(7位)
・日本(10位)
・ロシア(20位)
・サモア(16位)

[プールB]
・ニュージーランド(2位)
・南アフリカ(4位)
・イタリア(14位)
・ナミビア(23位)
・カナダ(22位)

[プールC]
・イングランド(3位)
・フランス(8位)
・アルゼンチン(11位)
・アメリカ(13位)
・トンガ(15位)

[プールD]
・オーストラリア(6位)
・ウェールズ(5位)
・ジョージア(12位)
・フィジー(9位)
・ウルグアイ(19位)

 当然のことながら、良く組分けされています。

 そして、これも当然のことかもしれませんが、直近の世界ランキングに則って、上位2チーム=準々決勝進出チームが決まる可能性が高いのです。
 ラグビーはサッカーとは異なり、「番狂わせの少ない競技」=「地力が上のチームが勝つ可能性がとても高い競技」なのですから。

 4つのプールの中で、2つの椅子を巡って最も熾烈な争いが予想されるのは「プールC」でしょう。サッカーワールドカップの一次リーグなら「死の組」と呼ばれる組です。
 特に、イングランド、フランス、アルゼンチンの3チームは、いずれも決勝トーナメントの常連です。

 エディー・ジョーンズHCのもと、優勝を目指しているイングランド代表チームとしても、全く油断できない組に入りました。
 このところ、やや精彩を欠いているフランスですが、大きな大会で突然の様に「シャンパンラグビー」が復活する可能性も十分ですし、独自のランニングラグビーを創り上げたアルゼンチンの得点力は脅威なのです。
 さらに、アメリカ、トンガの両チームも世界ランキングで観れば、13位、15位と決してひけは取りません。
 上位とされる3チームが、プール戦の過程でこの2チームに不覚を取るようなことが有れば、混戦はより深まります。

 世界ランキングから観て、次に「番狂わせ」が生じそうな組は「プールD」ということになります。
 プールDでは、オーストラリアとウェールズの力が抜けている印象が有りますが、ランキング一桁のフィジー、12位のジョージアも、虎視眈々と準々決勝進出を狙っているからです。
 しかし、個人的にはこの組はウェールズとオーストラリアが勝ち上がる可能性が高いと観ています。
 2019年の6か国対抗を圧倒的な強さで優勝したウェールズは、このところとても安定した戦い振りを披露していますし、オーストラリアは世界大会では「常に強い」という印象が有るからです。
 世界ランキングから観ると「死の組2」にも観える「プールD」ですが、これは順当な結果となるのではないでしょうか。

 さて、我らが日本チームが属する「プールA」を観てみましょう。
 まず、オールブラックスを抑えて世界ランキング1位となったアイルランド代表チームの強さは別格でしょう。
 そして「ラグビーの王国」スコットランドも、ワールドカップとなれば「宗主国」のひとつとしてのメンツにかけて負けられないところです。
 我らが日本チームが、プールAにおいて2位以内に入ることは、相当に難しいと観るのが冷静な見方です。
 もし日本チームが躍進するとすれば、9月28日の日本チームにとっての第2戦、アイルランドとのゲームがポイントとなりそうです。主力選手の疲労がまだ小さい段階で「ジャイアント・キリング」を現出して欲しいものです。

 「小笠山スタジアムの奇跡」に期待しています。

 最後の「プールB」は、ニュージーランドと南アフリカが強そうです。
 ワールドカップの一次リーグで不敗のオールブラックスは、様々な戦術を試行しながら全勝で勝ち上がるのでしょう。
 決勝トーナメントに強い南アフリカチームは、今回も一次リーグを2位で抜けて、優勝を狙っていく戦略だと思います。

 今回は、世界ランキングをベースに、今大会の一次リーグを観てきました。

 もちろん本番となれば、各チームのコンディションや戦術といった別の要素が加わり、そんなに簡単に結果は予想できないものなのですけれども、まずは「基本的な予想」ということで、ご容赦いただければと思います。
 
 ラグビーワールドカップ2019の開幕が9月20日に迫りました。

 世界屈指の規模と注目度の高さを誇るスポーツイベントです。

 夏季オリンピックとサッカーワールドカップが、規模・注目度から観てのスポーツイベントの双璧とすれば、ラグビーワールドカップは、現在の世界3番目のビッグイベントということになるのでしょう。

 そのビックイベントが我が国で開催されるというのは、本当に素晴らしいことです。
 
 日本という国の歴史と「経済力」がベースとなっていることは言うまでもありませんが、ラグビーという世界的競技における、日本という国の位置付けの高さも、こうしたビッグイベントの開催を可能にしている要素のひとつです。

 また、今大会は「第9回」ワールドカップなのですが、日本代表チームは「9回連続出場」を達成しています。
 1987年の第1回ワールドカップから日本チームは欠かせない存在なのでしょうし、世界大会出場レベルを長きに渡って維持していることも、本当に凄いことです。

 また、ラグビーが大好きな国民が多く、小学校・中学校・高校・大学・社会人といった各年代における数多くのチーム、日本一を決める大会の存在、各階層での数多くの指導者の存在、ラグビーが出来るグラウンドの整備、等々、ラグビーというスポーツに関する「体制」が、国家として整っているということも、大切な要素なのです。

 19世紀後半にイングランドで生まれ*、あっという間に世界中に広まったラグビー競技ですが、我が国にも19世紀の終盤には伝えられました。(*本ブログ2012年9月7日の記事「[ラグビー] ラグビーのはじまり」をご参照ください)

 そして、1926年には日本ラグビーフットボール協会が創設され、大学ラグビーを中心として発展しました。慶応義塾大学チーム、早稲田大学チーム、明治大学チーム、同志社大学チームといったチームが、対抗戦を繰り広げたのです。
 こうした歴史が、日本ラグビーの礎になっていることも間違いなく、第二次世界大戦終了後、1950年代のオックスフォード大学チーム、ケンブリッジ大学チームの日本遠征を皮切りに、世界中の強豪チームが「極東の島国」に遠征するようになったのです。
 1959年には、オックスブリッジチームも来日しています。

 1970年代に入ると、日本ラグビーの国際化はますます進みました。
 1971年、イングランドチームが来日しましたが、9月28日の試合で日本チームは3-6という僅少差でイングランドチームに敗れています。
 1973年には、日本チームによる「グレートブリテン遠征」が行われました。
 イングランド、ウェールズ、スコットランドという「本場」に、日本チームが姿を現したのです。

 そして、1983年10月2日、ウェールズの「カーディフ・アームズパーク」(この競技場名を聞くだけで胸が躍ります)の試合において、日本チームはウェールズチームと戦い、24-29という接戦を演じました。世界を驚かせる結果でした。(ウェールズチームは「選抜」チームであって、「代表」チームでは無かったと記憶しています)

 さらに1989年5月28日、秩父宮ラグビー場で、日本チームはスコットランドチームを28-24で破りました。
 この時のスコットランドは、ブリティッシュ・ライオンズのオーストラリア遠征に主力メンバー割いていたために、最強の代表チームでは無かったのですけれども、それでもラグビー発祥の地「グレートブリテン」の強豪チームを破った価値は、「有り得ないことが起こった」という意味で、いささかも減ずるものでは無いと、今でも思います。
 テレビで観戦した「あの時の興奮・シーン」は、生涯忘れないでしょう。
 
 もうひとつ忘れてはならないことは、日本で行われるラグビーにおいては「暴力や暴行」が殆ど無いという点でしょう。
 レフェリングについても、例えば、我が国のワールドカップのレフェリーを買収して、不正な判定を創り出そうという行動を取る(どのチームの関係者であっても)こと自体が、難しい雰囲気があると思います。国の「文化」の問題なのでしょうか。
 こうした基本的な要素も、日本でワールドカップが開催される理由のひとつであろうと考えます。

 長い間「憧れの存在」であったラグビーワールドカップが、ついに日本で開催されます。

 「開催されること」自体が、日本のラグビー界、ひいては日本国にとっての大きな誇りであることは、言うまでもありません。

 2月2日に開幕し、3月17日に最終戦を終えた、2019年の6か国対抗は、ウェールズが5戦全勝で優勝を飾りました。
 ウェールズチームは2013年以来の39回目の優勝となり、「4か国対抗」として1882年に始まった同大会の「最多優勝回数」となりました。

 2011年以降の6か国対抗は、イングランド、アイルランド、ウェールズの3チームが3回ずつ優勝するという形となりました。
 現在の北半球のナショナルチームをリードしているのが、この3チームであることは明らかです。

 2019年大会のウェールズの各ゲームを観て行きましょう。

① 2月2日 ウェールズ24-19フランス
② 2月10日 ウェールズ26-15イタリア
③ 2月24日 ウェールズ21-13イングランド
④ 3月9日 ウェールズ18-11スコットランド
⑤ 3月16日 ウェールズ25-7アイルランド

 こうして見ると、「圧勝」がありません。
 ゲームが傾き始めると、両チームの力量差以上の大差が付くことが有るラグビー競技において、今大会のウェールズチームは最多でも26得点・19失点という「測ったようなゲーム」を披露したのです。
 ここに、現在のウェールズの安定した実力を感じます。

 一方、3勝1敗1引分で2位となったイングランドチームは、2月11日のフランス戦で44-8、3月10日のイタリア戦で57-14と「大勝」しています。イングランドチームの「破壊力」を感じさせる結果ですが、そのイングランドを相手に21-13で勝ち切るウェールズの底力は素晴らしいものなのでしょう。

 3位には3勝2敗でアイルランドが入りました。
 「2010年代の3強」が、やはり上位を占めたのです。

 一方で、今大会5戦全敗で最下位となったイタリアチームは、これで「6か国対抗22連敗」となってしまいました。「降格・昇格制度」導入への議論が盛んになりそうです。
 3月16日のフランス戦、14-25で敗れたゲームをテレビで観ましたが、イタリアチームにもチャンスがあったゲームに観えました。
 おそらく、他の5チームとは「僅かな差」なのでしょうが、その僅かに見える差が、実際にはとてつもなく大きな差でもあるのでしょう。

 さて、ワールドカップ2019日本大会の年の6か国対抗は終わりました。

 南半球の強豪チーム、ニュージーランド、南アフリカ、アルゼンチン、オーストラリアのワールドカップ2019における優位が伝えられていますが、ウェールズやイングランド、アイルランドといったチームの反撃も、とても楽しみです。

 やはり、北半球の一番手は「安定した守備」のウェールズ、そして二番手は「爆発的な攻撃力」のイングランドということになるのでしょうか。
 
[1月12日・秩父宮ラグビー場]
明治大学22-17天理大学

 第55回全国大学ラグビーフットボール選手権・決勝が行われ、明治大学チームが天理大学チームとの接戦を制して優勝を飾りました。
 大学ラグビーの名門・明治大学チームとしても22年振りの優勝です。
 21世紀に入って初めての優勝ですから、名門「復活」と呼んでも良いのでしょう。

① ラインアウトでの優位

 このゲームは明大チームが押し気味に進めましたが、その最大の要因はラインアウトプレーでの優位でしょう。
 明大チームは自らのラインアウトは、ほぼ全て確保し、相手・天理大チームのラインアウトプレーの半数以上は獲得していたと思います。

 ご承知の通り、ラインアウトプレーでは、並んでいる選手のどの選手にボールを投げるかは、投げる側のチームにしか分かりませんから、そのボールを受け取ることについては、投げる側のチームが圧倒的に有利です。
 増してや「リフティング」が反則にならなくなって久しいので、ますますその有利さが拡大している印象でした。投げ手と受け手のタイミングが多少ズレても、受け手はリフティングのお蔭で長く空中に居ることができますし、自らのジャンプ力以上の高さまで上がることが出来ますから、投げ込まれる場所が分からない相手チームが、このボールを獲得するのは、20世紀以上に難しいものとなってきたのです。

 ところが、このゲームの明大チームは、天理大チームのラインアウトを良く読み、投げ込まれる選手を予測すると共に、天理大チームとほぼ同じタイミングでリフティングを行っていましたから、「敵ボールの奪取」に見事に成功していました。

 ラインアウトで相手ボールを取るには、相手チームのプレーを再三観て研究することが大事なことは言うまでも有りませんが、それ以上に「伝統の戦法」が駆使されていたように感じます。20世紀において、早稲田大学チームとの激闘などにおいても、明大チームは良く相手ボールのラインアウトでボールを奪取していました。
 「伝統の技」と呼んでも良さそうな、明大のプレーでした。

 天理大チームとしては、自陣から相手陣に蹴り込みタッチを切って地域を取ったとしても、相手ボールラインアウトを取ることがほぼ不可能であり、また、敵陣でペナルティーを得、タッチキックを蹴ることが出来るようになったとしても、敵ゴール前数メートルの地点のマイボール・ラインアウトプレーで、5割以上の確率で相手に奪取されてしまう、あるいは「自分達が狙う戦法にマッチした形で綺麗にボールを確保する」ことが出来ないとすれば、ラインアウトを選択し難くなってしまいます。天理大チームの「攻撃のバリエーション」が大きく制約されることとなりました。

② 伝統の「高い守り」

 相手チームがバックスにボールを展開した際に、明大チームのディフェンスは、凄く速いタイミングで相手プレーヤーにコンタクトします。

 これは「明治伝統の高い守り」と称されるプレーです。
 20世紀の早明戦などでは、この「高い守り」が随所で観られました。

 守備側のバックスプレーヤーが、深く・低い位置からトイメン他のプレーヤーに仕掛けるのではなく、最初から前の位置に居て、トイメンのプレーヤーがパスを受けた瞬間にタックルするというプレーは、一方で、相手プレーヤーに交わされてしまえば、がら空きの「自らの後方」を一気に走られて、大きな前進を許すリスクが有りますし、加えて「オフサイド」の反則を取られる怖れもあるプレーです。

 実際、20世紀の早明戦などでは、度々オフサイドを取られていました。

 当たり前のことで恐縮ですが、スポーツにおけるどんなプレーでも長所と短所があるのです。(もし、長所のみのプレーや、長所が短所を大きく上回るプレーが有れば、どのチームも直ぐに採用することになります)

 一長一短がある中で、守備において明大チームは「高い守り」を伝統的に使用しているのです。「相手プレーヤーの体制が整う前に」仕掛ける、あるいは「相手プレーヤーが『縦に』加速する前に」仕掛けることの効果を戦法上重視しているということなのであろうと思いますが、このゲームでもこの「高い守り」が随所に披露されました。
 天理大チームの展開プレーに対して、相当の威力を発揮したことは間違いありません。

 21世紀になって、「明治ラグビー」にも多くの変化が観られるのですが、伝統のプレーも活きているということなのでしょう。

③ 「目が覚めるのが遅かった」?天理大学チーム

 試合開始直後、最初の攻撃プレーで天理大チームはトライを挙げました。
 このトライによって天理大フィフティーンは「行ける。帝京戦と同じように戦える」と感じてしまった可能性が有ります。圧倒的にボールを支配し、自在の攻めを展開できると考えたのでしょう。

 ところが、各局面における明大チームの速い仕掛けの前に自分達のプレーが出来ず、ボール支配率も互角か、やや明治が上という展開となりましたから、天理の選手達は「?」と感じている内に、次々と得点を許してしまい、後半も半ばを過ぎた時点で「22-5」という大差を付けられてしまっていたのです。

 ここで、天理大学チームは「目が覚めた」ように観えました。(明大チームの選手達が疲労に伴って僅かにプレーの精度・威力を落としたことも、もちろん有るのでしょうが)
 この後、怒涛の攻めを魅せて2トライ・1ゴールを挙げたのです。

 もともと「個の力」では互角の両チームですから、もう少し早く「目が覚めて」いれば、試合の結果は異なるものになっていたかもしれません。

 逆に言えば、明治大学チームがとても上手に試合を進めたということになります。相手チームが眠っている内に得点を重ねたのです。
 ここにも、伝統校チームの「試合運びのノウハウ」を感じます。

 「縦の明治」と称される、「前に前に直線的に攻める」明治ラグビーは、その試合振りからも多くのファンに支持されてきました。
 かつて「重戦車フォワード」と呼ばれた「大きくて重いプレーヤー」を主体としたチームは、20世紀の大学ラグビー界において、「横の早稲田」と比較される、一方の雄だったのです。

 その明治ラグビーが、大学ラグビー界全般のプレーヤー大型化に連れて、その優位性を失い、なかなか勝てなくなって久しかったのですが、昨年に続く2年連続の大学選手権決勝進出に象徴されるように、「復活」に向けて着実な歩みを続けています。

 この試合、秩父宮ラグビー場は立錐の余地も無い程に「超満員」でした。
 観客同士が肩をぶつけ合い、遠目には座席の位置も良く分からず、立ち見客も大勢いるという「大入り満員」は、ラグビー界はもちろんとして、野球やサッカーを含めた全ての競技を通じても、久し振りの事の様に感じられます。

 押し合いへし合いのスポーツ観戦は「20世紀半ば・1970年頃までの現象」と思っていましたが、「そんなことはない」ことを、このゲームは示してくれました。
 当たり前のことを書き恐縮ですが、「見たい人が多く、入場制限を行わなければ」観客席は超満員になるのです。

 良い試合でした。
[1月2日・準決勝・秩父宮ラグビー場]
天理大学29-7帝京大学

 試合開始から、天理大チームの最初のトライ、バックスの展開プレーによる右隅へのトライを観て、「これは帝京にとって極めて厳しい試合になる」と感じましたが、前半19分のスクラムからの認定トライを天理大チームが挙げるに至って、「天理の方がずっと強い」と思いました。
 プレーヤーの体格自体が違うとも感じました。

 天理チームの突進を帝京チームは止めることが出来ないのです。

 コンタクトシーンでは、帝京チームのディフェンスを受けて後、天理チームのプレーヤーは1~2m前進するのです。この1~2mがラグビー競技においてはとても大事なものです。帝京大チームは、常に「下がりながらの守備」を強制されることとなりました。

 結果として、帝京大チームはマイボールが殆ど取れないという、これまで経験したことが無い事態に追い込まれました。
 スクラム認定トライの時点で、ボール支配率は天理チームが85%、帝京チームが15%であったと記憶しています。
 もちろん、ラグビー競技は、ボール支配率を競う競技ではありませんから、ボール支配率自体は問題では無いのですが、これほどにボールが取れないのでは、トライもゴールも挙げることが出来ないのは道理です。

 帝京大チームとしては、試合時間が経過し、天理大チームに疲労が観えたところで反撃に移ろうと考えていたのでしょうが、天理大チームの突進力は最後まで殆ど衰えませんでした。

 9連覇を開始した頃の帝京大チームは、早稲田大チームや東海大チーム、明治大チームといった伝統校チームを相手に、圧倒的な突進力で撃破していたのです。
 その後、自らが王者となり、優勝を重ねるに至って、5連覇頃からは「上手いプレーで得点を挙げるチーム」に変貌して行きました。
 「勝ち慣れることによってチームが変わってくる」のは、止むを得ないところもあるのです。誰でも、泥臭い突進を繰り返すより、少しでも「楽に勝ちたい」と考えるようになるのは、自然なことなのかもしれません。

 そして10年目、帝京大チームは「10年前の帝京ラグビーを見るような天理大チームのプレー」の前に、完敗しました。

 もちろん、10連覇がならなかったとはいっても、「9連覇の価値」は全く下がるものでは無く、全てのメジャー競技を通じて「大学日本一9連覇」というのは、他に類を観ない素晴らしい記録なのです。

 帝京大学チームの連覇は、ついに止まりました。
 アメリカのスポーツメディア風に言えば、我が国の大学ラグビーにおける「帝京王朝の時代」が終わりを告げたのです。

 今後、天理大学チームの時代が来るのか、3~4チームが覇を競い合う時代が来るのか、戦国時代が来るのか、時代の節目というのはいつも面白いものなのです。
[12月15日・秩父宮ラグビー場]
神戸製鋼コベルコスティーラーズ55-5サントリーサンゴリアス

 「名門」チームのド派手な復活劇でした。

 今季のトップリーグ順位決定トーナメント決勝戦を兼ねた(どちらがどちらを兼ねているのか分かりませんが)、第56回ラグビーフットボール日本選手権大会決勝で、神戸製鋼チームが「50点差」を付けて圧勝しました。

 これだけ一方的なゲームになるとは予想もしませんでしたが、今季のコベルコスティーラーズの充実を示したゲームでした。

 ご存知のように、神戸製鋼チームは、新日鉄釜石チームとともに「日本ラグビーを代表する名門チーム」です。

 新日鉄釜石チームは1978年から84年まで、神戸製鋼チームは1988年から94年まで、それぞれ日本選手権を「7連覇」しています。
 我が国のラグビー界に燦然と輝く金字塔であり、「伝説のチーム」なのです。

 新日鉄釜石は1976年にも優勝していて計8度の日本一、神戸製鋼は1999年と2000年、そして今回の優勝で計10度の日本一となりました。
 神戸製鋼の10度は、最多優勝記録となっています。

 2019年、ラグビーワールドカップ2019日本大会を控えたシーズンに「名門」チームが復活したのは、とても象徴的な出来事なのでしょう。
 ニュージーランド代表(オールブラックス)とオーストラリア代表(ワラビーズ)の対戦=キヤノン・ブロディスローカップ2018が10月27日に迫りました。

 ほとんど常に世界ランキング1位のオールブラックスと、その永遠のライバル・ワラビーズの対決は、世界ラグビー界注目のゲームでしょうし、それが来年に迫った、ワールドカップの決勝会場に予定されている神奈川・日産スタジアムで開催されるのですから、遠路はるばるやってきた両チームにとっても、色々と得るものが有ることになります。

 さて、お金の話で恐縮ですが、このゲームのチケット価格が興味深いと感じます。

 いずれも前売り価格ですが、カテゴリー1指定席が1枚30,000円、同2指定席が21,000円、同3指定席が15,000円、同4指定席-大人7,000円・子供3,500円、車椅子エリアが7,000円となっています。

 通常の我が国で開催されるスポーツイベントのチケット価格に比して、「高い」というイメージなのでしょうか。

 「公式戦ではなく親善試合」という点から見れば高いのでしょうし、「世界最高水準のチーム同士の対戦」という視点からは、相応、あるいは安いというご意見も有りそうです。

 私の感覚では「相応」というところでしょうか。

 昔の話で恐縮ですが、25年程前のNFLのニューヨーク対決のチケット、試合前日に宿泊先ホテルのコンシェルジュに依頼して用意してもらったチケットが1枚1,000ドル(現在のレートなら約110,000円)であったことや、新しいヤンキースタジアムのネット裏席のチケットが1枚440ドル(同約48,400円)、MLBの公式戦が東京ドームで開催された時のネット裏席が25,000円、であった等々の事例から見れば、オールブラックスVSワラビーズの親善試合の最も高価な席のチケットが30,000円というのは、良いバランスのように感じられるのです。

 ひょっとすると、日本のプロスポーツのチケット価格は、その他の物価と比べて、やや低いのかもしれないと考えてしまいます。
 もちろん、現代日本の需要と供給からチケット価格が決まっていることは当然のことですから、無暗に上げれば良いというものではありません。

 つまり、「日本のチケット代が安い」とすれば、安い理由が有ると考えるのが自然です。

 もちろんチケット価格は、選手の年俸やスタジアムの環境等、そのスポーツ全般に大きな影響を与えるものですから、その国のそのスポーツの維持・発展に、本質的な影響を与えるものであることは、言うまでも無いことでしょう。

 そして、スタジアムでの観戦、自分の眼でプレーを観、自分の五感でゲームを感じるというのは、テレビ観戦やパソコン観戦では到底得ることが出来ない「素晴らしい物」であることも、言うまでも無いことでしょう。
 現場での観戦は、画面で観るものとは「全くの別物」なのです。
 そして、その価値が、チケット価格に反映されるものなのでしょう。

 プロスポーツを主催する側としては、この「素晴らしい物・価値」をキッチリとお客様やお客様予備軍にアピールする努力が必要なのでしょうし、観戦する側としては、この「素晴らしい物・価値」を把握し感じる感性と知識・情報を、身に付けて行く必要があるのでしょう。
 最終の第5戦が3月17日に行われ、5戦全勝としたアイルランドが「6か国対抗2018」を制しました。5戦全勝=グランドスラムの圧倒的な優勝でした。

 3年連続優勝を狙ったイングランドチームは、2勝3敗で、よもやの5位に沈みました。

 2月4日の緒戦で、イタリアチームに46-15で圧勝し、好スタートを切ったイングランドでしたが、第2節・2月10日のゲームは、トゥイッケナムでウェールズチームを相手に12-6と辛勝、新メンバーも加わったイングランドチームの戦い振りに「?」が示されたゲームでした。

 その懸念は第3節で現実のものとなりました。
 2月24日のゲームは、マレーフィールドでスコットランドチームに13-25で完敗、第4節・3月10日はスタッド・ド・フランスで、フランスチームに16-22で敗れてしまいます。
 この第4節で、アイルランドチームは早々に優勝を決めたのです。

 そして最終戦、トゥイッケナムにアイルランドを迎えたイングランドは、「聖地」で15-24の完敗を喫しました。
 アイルランドチームは、「自分たちが『6か国対抗』のチャンピオン」であることを、誇示したのです。

 アイルランドの優勝は3年振りです。
 つまり、2015年から18年の4季では、アイルランドが2度、イングランドが2度、優勝しているということになります。

 ラグビー競技の「北半球NO.1」チームを決める大会における、アイルランドチームの強さは、アイルランドが世界屈指の実力を保持していることを明示しています。

 また、21世紀に入って「6か国対抗」での優勝が無いスコットランドチームも、今大会は3勝2敗と勝ち越し、3位に食い込みました。

 そのアイルランドチームとスコットランドチームは、ワールドカップ2019日本大会の予選リーグで、日本チームと同組です。
 間違いなく「強敵」なのです。
 2月3日、2018年のラグビー6か国対抗大会が開幕しました。

 2018年は、2月3日~3月7日の日程で行われます。

 実質的な「北半球最強ナショナルチーム」を決めるラグビー大会として位置づけられている6か国対抗(シックスネイションズ)ですが、今年も激しい戦いが繰り広げられることでしょう。

[2月3日・カーディフ]
ウェールズ34-7スコットランド

[2月3日・パリ郊外サンドニ]
アイルランド15-13フランス

[2月4日・ローマ]
イングランド46-15イタリア

 今シーズンの緒戦は、上記のような結果となりました。

 ウェールズ代表チームはスコットランド代表チームから4トライを挙げ、イングランド代表チームはイタリア代表チームから7トライを挙げて、それぞれ大勝しました。

 シックスネイションズ大会を連覇中のイングランドとしては、3連覇に向けて好スタートを切ったことになります。
 このゲームでは、23歳の新鋭NO.8シモンズ選手が2トライを奪う活躍を魅せました。
 故障者がでることは、ある程度避けられない競技ですので、「選手層を厚くする取り組み」は、常に重要な課題なのです。

 前日本代表監督のエディ・ジョーンズHCヘッドコーチが率いるイングランド代表チームの「現在の北半球最強チーム」としての戦いが続きます。

 一方、ジャック・ブリュネル新HCのもと、チーム再建中のフランス代表チームにとっては、厳しい緒戦となりました。アイルランド代表チームのジョナサン・セクストン選手に、45mの劇的なドロップゴールを決められて、逆転負けを喫したのです。
 このところ安定した力を示し、世界ランキングも3位のアイルランド代表チームが、その実力を示したゲームとも言えるのでしょう。

 ワールドカップ2019日本大会の一次リーグ・プールAで、日本代表チームはアイルランド、スコットランドの両チームと同組みです。

 ワールドカップ前年のシックスネイションズにおける、両チームの戦い振りは、ブロッサムズにとっても重要な情報源となるのでしょう。
[1月7日・秩父宮ラグビー場]
帝京大学21-20明治大学

 第54回ラグビー大学選手権大会の決勝は、明治大チームが先行し、帝京大チームが追いかける展開となりましたが、帝京大が後半逆転して優勝、9連覇を達成しました。

① 前半は明治大チームのペース

 明治大チームは最初のプレーから積極的な攻撃を魅せました。
 前半7分にはインターセプトからトライ。
 守備における早い仕掛けからのインターセプト、インターセプトから「真っ直ぐ走って」のトライは、明治伝統のプレーです。
 20世紀の頃から、何度もこのプレーを大舞台で披露してきたのです。

 さらに、前半14分、26分と立て続けにトライを奪い、帝京の攻撃を10分のトライ一本に抑え込んで、前半を17-7で折り返しました。

 後半最初の得点、後半5分のペナルティゴールPGも明示が上げて、20-7とリードを13点に広げたのです。

 早いタックルを中心とした明治大チームの守備が決まっていましたので、このまま押し切れるかもしれないというムードが漂いました。

② 後半、勝負どころでの帝京大チームの連続トライ

 後半、明治にPGを許した時には、帝京の動きが悪く、早々に疲れが出たかに観えましたが、ここからが帝京の強いところ。
 自陣でペナルティーを得ると素早いスタートから一気に明治ゴール前に迫り、15分にトライ・ゴール、20分にもトライ・ゴールと一気に21-20と逆転しました。

 この集中力が帝京大チームの最大のストロングポイントなのでしょう。

③ 後半22分から40分までの攻防

 このゲーム最大の見所は、この18分間でした。
 両チームのフィフティーンが「1点差」を巡って、攻め、守ったのです。
 気迫溢れるプレーの応酬でしたが、明治大フィフティーンに僅かに疲れが観えました。

 帝京大チームは「明治陣でのプレー」に徹しました。追加点を取れればよいが、取れなくても1点差で押し切るプレーを展開したのです。
 特に、残り8分からのプレー振りは、「点差以上の力の差」を感じさせるものでした。

 今季の帝京大チームには、対抗戦での慶応大チーム戦が3点差、選手権決勝の明治大チーム戦が1点差と、ギリギリ逃げ切った印象のゲームが観られましたが、実態は「負けない試合」を創ったということなのでしょう。

 とはいえ、「いつでも逆転できる」と考えて試合に臨むチームというのは、何か予想外のことが発生した時には負けるリスクがあります。
 このリスクが「連覇の目に観えない疲労」のひとつなのかもしれません。

 明治大学は、伝統の力とプレーで、このリスクを巧みに突いたプレーを展開しましたが、惜しくも届かなかったというところでしょうか。

 いずれにしても、帝京大学の「9連覇」は空前の快挙です。
 2018年の「負けないラグビー」も、大学ラグビー史上に輝くものでした。

 2018年の決勝戦を糧にして、岩出監督を始めとする帝京大学チームが来シーズンどのようなチームを創って来ていただけるのか、それがとても楽しみです。
 11月2日、ラグビーワールドカップ2019の日程が発表されました。
 5月10日の予選プール組合せ抽選会に続いてのイベントであり、2019年9月20日に開幕し、11月2日に決勝戦を迎える大会が迫ってきたことを、肌で感じる発表でした。

 日本代表チームの予選プール日程は、以下の通りです。

① 9月20日(金) 東京スタジアム(味の素スタジアム)
日本代表VSヨーロッパ地区代表

② 9月28日(土) 静岡エコパスタジアム
日本代表VSアイルランド代表

③ 10月5日(土) 豊田スタジアム
日本代表VSヨーロッパ・オセアニアプレーオフの勝者

④ 10月13日(日) 横浜スタジアム(日産スタジアム)
日本代表VSスコットランド代表

 予選プール「A組」における日本代表チームの日程は、試合間隔、会場の場所ともに、申し分のないものです。

 チームとしては、試合毎に十分な休息を取ることが出来るとともに、前の試合の反省を踏まえた戦術の見直しを行う時間も確保できることでしょう。
 また、移動距離も短いので、プレーヤーの疲労回復にも有利でしょう。

 観客としては、4試合の内3試合が土曜日・日曜日に行われますので、観戦しやすい上に、特に首都圏の観客から見れば比較的近隣に会場がセットされましたので、移動も楽です。

 「開催国」代表チームとして、相当に有利なスケジュールを頂いたということになるのでしょう。

 こうなると、我らが日本代表チームには「是非ともA組の2位以内を確保」頂き、決勝トーナメントに駒を進めてもらいたいと願うばかりです。

 その「日本ラグビー史上初の快挙」に向けて、ラグビー界上げての強化が進んでいることであろうと思います。

 とはいえ、アイルランド、スコットランドはもちろんとして、ヨーロッパ地区代表、ヨーロッパ・オセアニアプレーオフの勝者という、予選プールの対戦相手は、当然のことながら「強いチームばかり」です。
 このところの国際試合の内容を観ると、日本代表チームの「0勝4敗」「1勝3敗」「1引分3敗」の可能性も十分に有るとの見方もあります。

 まずは、2015年ワールドカップの時の「エディジャパン」に勝つことが出来る日本代表チームを、創り上げることが肝要だと感じるのは、心配し過ぎなのでしょうか。
 2017年の欧州ラグビー6か国対抗は、3月11日までに第4節を終えました。

 そして、第4節のゲームで、スコットランドを61-21の大差で下したイングランドが、最終の第5節を待たずに、優勝を決めたのです。

 イングランドチームは、2016年大会に続いての優勝でした。

 2015年、自国開催のワールドカップで1次リーグ敗退という、史上最悪の成績に終わったイングランドチームでしたが、見事に復活、V字回復を果たした形です。

 この「復活」に大いに貢献したのが、エディ・ジョーンズヘッドコーチHCであることに、異論を差し挟む人は少ないでしょう。
 もともと、ラグビーに対する才能豊かなプレーヤーが数多く居るチームに、適切な指導が導入されれば「一気に強くなる」のは道理です。エディ・ジョーンズ氏の指導力の高さ・適切さが、改めて認識させられる「事実」でしょう。

 第1節・2月4日のフランス戦を19-16の接戦で制したイングランドは、第2節・2月11日のウェールズ戦も21-16で競り勝ち、第3節・2月26日のイタリア戦は36-15で快勝して、第4節を圧勝したのです。これで4戦全勝。第5節・3月18日のアイルランド戦に勝利することとなれば、2年連続の「グランドスラム」を達成するとともに、「テストマッチ19連勝」という、これまでの記録(オールブラックスの18連勝)を超える新記録樹立となります。
 優勝が決まったとはいえ、注目のアイルランド戦ということになるのでしょう。

 日本代表チームのHC時代から、エディ・ジョーンズ氏の練習の厳しさ、チームに求める「規律」の高さは有名でしたが、ラグビーの母国・イングランドチームのHCとなっても、その点は全く変わらないと伝えられています。
 2016年の6か国対抗を全勝(グランドスラム)で制した後、やや慢心が見えるメンバーに対して「勘違いするな。態度を改めなければ、イングランド代表から外す。」と警告したと報じられました。
 さすがのリーダーシップであり、何かNFL・ペイトリオッツのビル・ベリチックHCを髣髴とさせる手法です。

 当然のことながら、「規律の高さ」とともに「適切な指導・指揮」なくしては、世界トップレベルのゲームでの勝利は覚束ないでしょうから、エディ・ジョーンズHCのコーチングの「バランスの良さ」が際立つのでしょう。

 本ブログでは以前から書いていますが、「2019年・日本開催のワールドカップの優勝候補」は、やはりイングランドチームだと思います。
 素晴らしい試合でした。

 両チームが持ち味を発揮しての「互角の試合」でしたが、試合運びの上手さで帝京大チームが勝ったと思います。

[1月9日・決勝 秩父宮ラグビー場]
帝京大学33-26東海大学

① フォワード戦は東海大チームが優位

 試合開始早々、東海大が帝京ゴール前に攻め込み、自慢のフォワードが威力を発揮して、スクラムトライを含む2トライ・2ゴールを挙げて14-0とリードしました。

 「帝京大の厚い壁」を破ろうとする東海大の気迫溢れる時間帯でした。

② 帝京大チームのランニングラグビーとエリアマネジメント

 0-14とリードを許した帝京大でしたが、次第にフォワード・バックス一体となったランニングラグビーと、松田選手を中心とした巧みなキックにより、エリアマネジメントで優位に立ちました。

 「ランニングラグビーの多彩さ」で勝る帝京大が、東海大陣で試合を進める時間が増え、帝京大のチャンスが多くなりました。

 そして、インゴールへのキックからのトライを含めて2トライ・2ゴールを挙げて14-14、
試合は同点となって、前半を終えました。

 まさに「互角」という印象でした。

③ 後半20分過ぎからの10分間の攻防

 後半に入り、両チームとも1トライずつを挙げて19-19。
 後半20分を過ぎても、19-19の同点のままでした。

 疲労からか、東海大チームのタックルが少し甘くなり、帝京のプレーヤーが一発のタックルでは倒れなくなってきた時間帯に、帝京の試合運びの上手さが目立ちました。
 
 後半22分、東海ゴール前の帝京の攻撃、東海の懸命の防戦が続きましたが、マッカラン選手が絶妙の突破を魅せて、吉田選手がトライ。
 難しい角度からのコンバージョンキックを松田選手がしっかりと決めて、帝京が26-19とリードしたのです。
 勝敗という面からは、松田選手のゴールの効果が大きいと感じました。

 続いて後半29分、再びインゴールへのキックから帝京大チームがトライを挙げ、再び難しいゴールキックを松田選手が決めて、帝京は33-19とリードを広げました。

 後半20分から30分までの10分間の攻防において、帝京は東海に勝りました。
 「勝負どころ」での強さ、戦術面・心理面での強さは、7連覇の伝統から生まれているものかもしれません。

 しかしこの後、東海大チームは諦めることなく良く反撃しました。
 ようやく展開ラグビーを披露して帝京ゴール前に迫り、この試合2本目のスクラムトライを挙げたのは、後半34分でした。ゴールキックも決まって26-33。

 残り5分からは、東海が帝京ゴールに再三迫りましたが、帝京も懸命にこれを凌いでいる間に「ホーン」が鳴りました。
 ホーン後2分近くに渡って東海大チームは攻め続けましたが、最期はボールが帝京ゴール内にこぼれ出て、これを帝京プレーヤーが蹴り出してノーサイド。
 帝京大学チームの優勝が決まりました。

 東海大学チームもよく戦いました。
 大学ラグビー界最強のフォワードの力を存分に発揮してくれたと思います。
 時折魅せていただいた「強烈なタックル」も見事でしたし、ターンオーバーを創り出すプレーも、よく鍛えられている印象でした。

 一方で、帝京大学チームの試合運びの上手さは、やはり一枚上手というところでしょうか。
 自陣ゴール前のラックサイドを突破しようとする相手チームのプレーヤーに対する「低く鋭いタックル」が徹底されていました。スクラムで圧倒的優位に立つ東海大フォワードは、ラックサイドも突破できると考えて突進を続けましたが、腰の位置が一段低いタックルに遭遇して、前進できない、あるいは後退を強いられることが多かったと思います。

 また、東海大のバックス展開の際の帝京大守備陣の「上りの速さ」も際立ちました。オフサイドギリギリのタイミングでの上りです。伝統のノウハウという観もあります。
 日本一を争っていた頃の明治大学チームの上りを髣髴とさせるスピードであったと感じます。

 帝京大チームの攻撃面では、松田選手とマッカラン選手の「強さと速さ」そして「ポジショニングの上手さ」が際立っていたと思います。
 ほぼ互角の試合でしたが、もし帝京が東海に明確に勝っていたポイントを上げるとすれば、この2人のプレーヤーの力でしょう。

 前夜からの雨の影響もあってか、秩父宮の芝生は柔らかく、両フィフティーンは泥だらけでプレーを続けました。

 かつての国立競技場、冬になると枯れてしまう芝のグラウンドで行われていた決勝戦を思い出させる「激戦」であったと思います。

 素晴らしい試合でした。
 12月13日、2017年のラグビー女子ワールドカップ大会のアジア・オセアニア地区の予選が香港で行われ、日本代表チーム=サクラフィフティーンはフィジーを55-0で破って、本戦への出場を決めました。
 日本代表チームにとっては、4大会ぶり4回目のワールドカップ出場となります。

 女子ラグビー日本代表チームは、最初から「国際的な存在」でした。
 世界の女子ラグビーと共に歩んできたのです。

 1991年の第1回ワールドカップ、1994年の第2回共に招待されて出場しています。
当初から女子ラグビーワールドカップのメンバーだったのです。そして、第2回大会では、スウェーデンチームを破り、記念すべき「ワールドカップ初勝利」を挙げています。

 この頃の女子ワールドカップには「予選が無く」、ラグビーユニオンの国際統括機関である「ワールドラグビー」が書類審査で出場国を決めていました。

 女子日本代表チームは第3回大会には出場できませんでした。国際試合の実績が乏しいという理由で招待されなかったのです。この頃が、日本女子ラグビーの最初の冬の時代だったのでしょう。

 2002年の第4回大会からは「予選」が行われるようになりました。
 日本チームは、サモア、香港と連続して破り、本戦出場を決めるとともに、本戦でもオランダチームを37-3で破って、ワールドカップ2勝目を挙げました。
 男子日本代表チームがワールドカップで2勝目を挙げたのは2015年大会ですから、女子の方が相当早く2勝目を挙げていたことになります。

 2006年大会、2010年大会、2014年大会、日本チームはいずれも予選でカザフスタンチームに敗れ、本戦出場を逃し続けました。 「カザフスタンの厚い壁」が立ちはだかった時期であり、女子日本ラグビー2度目の冬の時代と言えるのでしょう。

 そして、2017年大会(女子ワールドカップは原則中4年での開催ですが、この大会から男子大会の中間年に開催されることとなり、1年早く中3年での開催となりました。中3年は第1回と第2回に続いて2度目)の予選を勝ち抜いて、2002年大会以来の本戦出場を決めたのです。

 15人制ラグビー女子日本代表チームの愛称が「サクラフィフティーン」となったのは、2013年6月のことですから、2017年ワールドカップは「サクラフィフティーン」として臨む初めての大会ということになります。

 男子チームには「ブロッサムズ」という愛称があるのですが、こちらは「宿沢ジャパン」や「エディジャパン」に押されて、あまり使われていません。

 女子チームがメディア上でどのような名前で呼ばれていくのかも、もうひとつ興味深いところでしょう。
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