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HOME   »  2013年02月27日
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 オーストリア・シュラートミングのアルペン世界選手権が幕を閉じたと思ったら、今度はイタリア・バルディフィエメでノルディックスキーの世界選手権が始まりました。ウィンタースポーツが花盛りです。

 ノルディックスキーの世界大会ですから、ジャンプ競技も実施されます。このジャンプ競技には「ウインド・ファクター」という制度が導入されています。私の記憶では、2010年~2011年シーズンから試験的に導入されたように思います。そして、現在では多くの大会で観られます。
 ある選手が試技する際に、追い風なら不利なので加点し、向かい風なら有利なので減点するという制度ですが、いかがなものでしょうか。

 本ブログでは、以前からジャンプ競技の結果に風は関係ないと書いてきています。一方で、大会では風の影響を考慮していこうとする試みが続いているのです。どのような経緯で「ウインド・ファクター」という制度が導入されたのかは分かりませんが、ジャンプ競技の面白さを半減させる、結果としてジャンプ競技の存続にも影響を与える、間違った制度の導入だと危惧しています。

 ゴルフ競技に全英オープンという大会があります。マスターズ、全米オープン、全米プロと共に、世界4大メジャー大会のひとつであり、世界で最も歴史のある、ゴルフのナショナルオープン大会です。
 スコットランドからイングランドにかけての、選定されている幾つかの海沿いのコース(リンクスコース)で開催されています。「なるべく自然のままで」というゴルフ競技の基本理念を体現している大会ですから、伸び放題のラフや深いバンカーが特徴ですし、海から或いは海への強い風も有名です。

 この全英オープンでは、競技者の1打1打によって、運不運が相当に発生します。

 例えば、ティーショットでフェアウェイFWの真ん中に打ったとします。これは、通常ならグッド・ショットです。ところが、ボールのところに行ってみると、FWの芝が剥げている、あるいは生えていない、ということがあります。ボールの下に芝が生えているかいないかは、次のショットの難易度に大きな影響を与えます。
 FWというのは文字通り、ラフに比べて次のショットが打ちやすい場所である筈で、アメリカのコースでは綺麗に整備されているのです。しかし、イギリスのリンクスコースでは「なるべく自然のままで」ということですから、こうした運不運が発生するのです。

 また、前述のように、リンクスコースは風が強いのです。ショットした瞬間に突風が吹くこともあります。そうすると打球は大きく曲がります。風が吹かなければ、打球は曲がりません。風の有無・強弱によって、ショットの成功・不成功が大きな影響を受けるのです。

 上記の様に、全英オープン大会では、1打毎に運不運があるわけですが、こうした状況を改めてほしいという意見は出てきません。また、全英オープン大会の価値や格式に、いささかの揺るぎもありません。
 何故でしょうか。
① 1打1打には運不運があるが、その運不運は、全てのプレーヤーに起こるもので、自分だけに発生するものではない、という考え方
② こうした様々な難しい要因を、乗り越える、あるいは軽減させるように、技術を磨き、腕を上げることで、克服したい

 といったことが、プレーヤーの気持ちにあるのだと思います。そして何よりも「これがゴルフなのだ」という考え方が、根底にあるのだと思います。

 1打1打の不運を嘆く=失敗を自然環境のせいにする=失敗の原因を他所にもとめる、といった「弱い心持」ではなく、どんな状況にも対応していこう、自分を鍛えて行こう、そして、もし肝心なところで不運に見舞われ、良い成績が残せなかったとしても、次の試合で、より良い成績を得るための糧にして行こう、という考え方が在るのだと思います。
 そして、この考え方こそが、ゴルフという競技のレベルを高めて行く要因なのだろうと思います。素晴らしいことです。

 もちろんゴルファーも人間ですから、自分のショットの時に吹いた強風を恨む気持ちがあるでしょう。FWのディボットにボールが入ってしまったことを、残念がる気持ちがあるでしょう。しかし、試合後に「あの風のせいで負けた」などという言葉を聞くことは、ありません。そんなことを理由にしたら、極めて情けないプレーヤーだと思われてしまうからなのかもしれません。

 ゴルファーのショットにも色々なタイプがあります。ピンや、あるいはボールの落とし場所を、寸分違わず狙っていく選手と、大体あの辺という感じで、直径5m位の円に打っていくタイプ、高いボールと低いボールなどです。全英オープンのようなゲームでは、後者の方が向いているのでしょう。そして、両方のプレーができる選手の方が、様々な外的要因への対応力が強い選手ということになります。

 そうなると、どちらのショットも打てる選手の方が強い選手ということになります。そして、多くの選手は、練習の積み重ね、経験の積み上げによって、より多くのバリエーションのショットが打てるようになりたいと考えるのでしょう。こうして、運不運に強いプレーヤーが生まれて来るのです。

 当然のことながら、ゴルファーにも様々なタイプが存在します。バーディー・イーグルをガンガン取りに行くタイプ、オールドマン・パーとの戦いを重視?し、キッチリとパーセーブを重ねて行くことが得意なタイプ。荒れたコースに強いタイプ、良く整備されたコースに強いタイプ。距離の長いコースに強いタイプ、距離は短いがテクニックを要するコースに強いタイプ。寒さに強いタイプ、暑さに強いタイプ。等々、選手は皆、様々な環境に対応するべくトレーニングを重ねるのですが、やはり得意・不得意が生じて来るのです。
 ましてや。世界トップレベルのゲームともなれば、全てのコース・状況で世界一という選手は存在しません。そして、より多様な環境に対応する力がある選手がトッププレーヤーということになるのでしょう。

 結果として、4大メジャートーナメントでも、得意・不得意が出てきます。とても難しい設定のために、なかなかバーディーが取れず、パーとするのさえ難しい全米オープンのようなトーナメントと、相応にバーディー・イーグルを獲得し、大きなアンダーパーを実現していかないと勝負にならないマスターズでは、活躍する選手が異なるのです。そして、タイガー・ウッズのようなトッププレーヤーは、どちらのトーナメントでも活躍できるのです。

 そのタイガー・ウッズでも、毎回好成績を残すことはできません。色々な選手が、一世一代のプレーをしたり、その大会の環境にベストフィットした選手が現れたりして、大会を変化に満ちたものとします。
 観客も、トーナメント毎に展開される、多様なプレーの展開に一喜一憂し、存分に楽しめるのです。いつも、同じ選手が勝つのでは詰まらない、しかし、核になる選手は居た方が良いと、ファンの望みは我儘?ですが、この我儘に対応できるシステムを持っているスポーツが、繁栄しつづけるスポーツなのでしょう。ゴルフ競技は、このシステムを保持し、一層充実させているスポーツだと思います。

 球聖と呼ばれ、現在のマスターズ・トーナメントの創設者でもあるアメリカのボビー・ジョーンズ選手は、生涯アマチュアでしたが、全英オープンにも1回だけ出場し、優勝しています。そして、コメントを残しました。「ここでのプレーは、私の人生でも、最も楽しいものだった。風というハザードに対応するために、1打1打工夫してプレーすることができたから」と。
 ラフ、バンカー、池といった、目に見えるハザード(障害物)に、全英オープンでは、風という見えないハザードが加わります。それに対応していくことが、とても楽しかったということでしょう。もちろん、ボビー・ジョーンズをもってしても、大会中全てのショットが上手くいったとは思えませんが、可能な限り対応し、概ね上手くやれたことへの満足感が大きかったということでしょう。
 これが、レベルの高いプレーヤーなのです。そして、ボビー・ジョーンズは全英オープンで体得したノウハウや風景を、マスターズ・トーナメントに反映させたのだと思います。ゴルフ競技全体のレベルアップと、見ていてより面白い競技への発展にも、寄与したのだと思います。

 続いてはラグビー競技です。ラグビーでも、風の方向が大きな影響を与えます。キックやパスが、風の影響を受けるからです。そこで、ラグビーでは前半と後半とで、サイドを交代するのです。最初右側だった自陣が、後半は逆サイドが自陣になります。結果として、前半向かい風だったものが、後半は追い風になる形を取って、出来るだけ公平な状況を作り出そうとしているのです。

 しかし、風は継続して同じ方向・強さで吹き続けるわけではありません。前半強かった風が、後半弱くなることは、当然ながら良くあることです。日差しに至っては、試合開始時には高かったものが、後半には低くなるのです。球が観易い・観難いということが起こります。

 こうした状況下でプレーするわけですが、負けた時に「後半になったら風が弱くなったから、負けた」などというチームやプレーヤーは存在しません。そんな考え方のプレーヤーでは、良いプレーはできないでしょう。プレーの成否の責任は、自らにあることを認識するのは、スポーツをする者の最低限の矜持でしょう。

 こうした、風の影響は、当然ながらサッカーにも、アメリカンフットボールにも、マラソンにも、短距離競走にも、跳躍競技にも、ベースボールにも、つまり殆どの屋外競技に存在するのです。

 屋内でも様々な運不運がありますが、屋外で行われるスポーツには、より多くの運不運が存在します。そして、プレーヤーは可能な限り、様々な要因に対応できるようになるために、トレーニングを重ねるのです。
(→『その2』に続きます)
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