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HOME   »  2013年02月28日
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 話を、スキージャンプ競技に戻します。

 スキージャンプ競技は、前稿のゴルフ競技やラグビーその他の競技に比べて、全く正反対の方向に向かっているように思います。

 私が、「ウインド・ファクター」という制度が、スキージャンプ競技の発展を妨げ、ひょっとすると衰退の要因になるのではないかと危惧する理由は、以下の通りです。

① 「ウインド・ファクター」という制度自体の精度の問題
 加除する数値を、風の強さ・方向とヒルサイズにより算定していますが、この手法は客観的で公平なものなのでしょうか。あまりに簡単すぎるし、観測時点も公平なものなのか、疑問です。
 では、この精度を上げて行けばよいのかというと、そうでもありません。例えば、風の強さ・方向の観測地点を、サッツ地点、ランディングバーンの10か所で調べてみても、観測時点を、アプローチ開始から着地までの間で10回測ってみたところで、さらに精度を上げるべきだという考え方が出てきてしまうでしょうから、真に公平であると、大半のプレーヤー・チームが納得するものには、ならないと思うからです。
 そもそも、こうした制度を導入したことが、競技を一層迷路に入れてしまったように感じます。

② 選手の技量向上の努力が不要になること
 「ウインド・ファクター」という制度の導入により、選手は「風に対する対応の努力」をしなくて良いことになります。向かい風の時、追い風の時、その角度、飛行中の風の変化等々に対応するために、選手はトレーニングを積み重ねるのでしょうが、ウインド・ファクター制度が定着し、その精度が向上するほど、「選手は、ひとつの飛び方のみを極めれば良い」ことになります。ひとつの形で、遠くに飛べるようになれば、風の状態が悪く、距離が出なかった場合には、ウインド・ファクター制度により救済されることになるのですから。
 様々な状況への対応力も、スポーツプレーヤーの能力の大切な要素ですが、この点が不要になってしまいます。

 結果として、同じ選手ばかりが勝つようなスポーツになってしまうかもしれません。そうなると、観客が観ていても、面白くない競技になりますから、競技は衰退・消滅していくでしょう。
 「いや、そうはならない。ウインド・ファクター制度が入っても、他の要素があるから。ジャンプは、そんな単純な競技ではない」という人が居るとしたら、申し上げたい。「でしたら、ウインド・ファクター制度も不要でしょう」と。論旨が矛盾しています。

③ プレー・プレーヤーの多様性が損なわれる怖れがあること
 当然ながら、スキージャンパーには様々なタイプが存在します。高い飛行線を描くジャンパーや低い飛行線が得意なジャンパー。サッツのパワーで、一気に飛んでいくジャンパーと飛行中のキメ細かな対応により飛距離を伸ばしていくジャンパーなどなど、こうしたジャンパーの特性の違いにより、異なるシャンツェ、異なる自然環境の下で、得意・不得意という違いが生まれて来るのでしょう。
 しかし、ウインド・ファクター制度の導入により「理想的な環境で飛距離を伸ばす」ジャンパーばかりになってしまうのではないでしょうか。追い風や難しい環境下でも、相応の飛距離を出せるジャンパーが、居なくなってしまうのではないでしょうか。

 ゴルファーには、全米オープンや全英オープンで好成績、つまり極めて難しいセッティングのコースにおいて、パーを拾っていくのが上手い選手が居ます。アイルランドのパドレイグ・ハミルトン選手などは典型でしょう。こうした選手は、バーディーの取り合い、アンダーパーを大きくしていかなければならないトーナメントでは、好成績を残すことができません。

 ウインド・ファクターを導入し続けようとするスキージャンプ競技は、スキージャンプ競技におけるパドレイグ・ハミルトンのような選手を排除・消滅させるつもりなのでしょうか。

 ちなみにハミルトン選手は、2007年・2008年に全英オープン2回・全米オープン1回のメジャートーナメント計3回の優勝を誇る、超一流プロゴルファーです。
 そして、当該の2007年・2008年の2年間、ハリントン選手は、他の一般なセッティングのPGAツアーやヨーロピアン・ツアーのトーナメントでは、1勝も挙げていません。極めて難しいセッティングのトーナメントにおいて、実力を発揮する選手であることが明らかです。

 ゴルフトーナメントで、例えば残り170ヤードの第二打、ショットの際に横風が吹き、グリーン上のピンから10m離れたところにボールが飛び・止まったとします。「今のショットのウインド・ファクターは8m」だったので、グリーン上でボールを動かし、ピンから2mの所に持っていく、こんなことは考えられないことです。それは、ゴルフでは無いでしょう。

 例えば、ラグビー競技のキックがゴールの右2mに外れたとします。今のキックのウインド・ファクターは3mだったので、ゴールが決まったと認定するなどということは、有り得ません。これも、ラグビーでは無いでしょう。

 現在スキージャンプ競技が実施し指向しているルールは、こうしたことなのではないでしょうか。

 そもそも、ピンから10mも離れたところにゴルフボールが止まった理由やラグビーのキックが外れた理由が、風のせいなのか、打ち損ね・蹴り損ねなのかは、判らないのです。加えて、風が吹いている、吹くことを想定してショット・キックするのが、上手なプレーヤーということになります。
 
 「風も考慮してプレーする」のは、スポーツとして当然のことなのです。

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