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HOME   »  2013年08月13日
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 モスクワで開催されている陸上競技世界選手権大会の、男子100m競走は8月11日に決勝レースが行われ、ジャマイカのウサイン・ボルト選手が9秒77の好タイムで優勝しました。

 降りしきる雨の中、向かい風0.3mという、肉体的にも精神的にもハードなコンディションの下、キッチリと今季自己最高タイムを出して勝ち切るのですから、現在の男子100m競走界において、ボルト選手が一頭抜けた存在であることを、改めて示しました。

 レースは、唯一ボルト選手に対抗し得るランナーと見られていた、アメリカのジャスティン・ガトリン選手がスタートで先行、ボルト選手に30cm差を付けて50mを通過、70m付近でガトリン選手に追いついたボルト選手が、残り30mでガトリン選手を突き放し、1mの差を付けてゴールしました。

 ガトリン選手は9秒85で2位でしたが、さすがにアテネオリンピックの金メダリストです。この大会の予選から見せた好調さを、決勝でも発揮しました。現在のガトリン選手にとっては、力を出し切った会心のレースだったと思います。

 スタートから50m付近までは、ガトリン選手のピッチがボルト選手を上回っていました。競走は常に「ストライド(歩幅)×ピッチ(脚を前後に動かす速さ)」で決まります。(当たり前のことで恐縮です)
 身長185cmのガトリン選手と196cmのボルト選手を比較すれば、ストライドはボルト選手の方が長いので、ガトリン選手はボルト選手よりピッチが速くなければ、勝負になりません。50m付近までは、ガトリン選手の方が明らかにボルト選手よりピッチが速く、これがリードの源泉でした。

 50mから、ガトリン選手のピッチが少しずつ落ち始め、70mで並んだ後は、2人のスプリンターのピッチは全く同じになりました。そうなれば、ストライドに勝るボルト選手が、一歩毎にガトリン選手より前に出ることになり、ゴールでは1mの差になったという形です。

 ガトリン選手がボルト選手に勝つためには、現在のストライドを維持したまま、50m迄見せたピッチを100mの間続けることが必要です。あのハイピッチの継続は、容易な事ではないと思いますが。

 一方、ボルト選手は、通常196cmといった長身の人間では実行が難しいピッチを実現することで、現在の走りを手に入れたということになります。

 20世紀には、190cmを越える長身のランナーは100m競走には不向きと言われていました。実際、ローマオリンピックのアルミン・ハリー182cm、東京オリンピックのボブ・ヘイズ183cm、ミュンヘン・オリンピックのワレリー・ボルゾフ182cmと、180cm前後のランナーが金メダルに輝いていました。(いずれも、当時は大型スプリンターと言われましたが)

 1990年前後になると、ロサンゼルスとソウルでカール・ルイス188cm、バルセロナでリンフォード・クリスティ189cmと、190cm近い身長のスプリンターがストライドを活かしてオリンピックを制しましたが、どちらかといえば例外的な存在でした。

 1996年のアトランタでは183cmのドノバン・ベイリー、2000年のシドニーでは175cmのモーリス・グリーン、2004年のアテネでは前述の183cmガトリン選手が、金メダリストとなり、「100mはピッチが速い者が勝つ」という時代が続いたのです。

 100m競走に「ストライド時代」の幕開けを報じたのは、前述のカール・ルイスとリンフォード・クリスティであり、21世紀に入り、長身ランナーで世界記録を連発したのが190cmのアサファ・パウエル。そして、ストライド時代を完成させたのが196cmのウサイン・ボルトとなるのでしょう。

 ボルト選手のストライド(中間走)は、歴代の世界トップスプリンターの中で最長の275cmと伝えられています。スタート直後のストライドは短く、ゴール前のストライドは300cmとのことですから、平均を中間走の275cmとすれば、100mを36~37歩で駆け抜けることになります。

 けた違いの走りです。
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