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 6月12日に開幕したFIFAワールドカップ2014ブラジル大会、毎日世界最高レベルのサッカーをお腹一杯になるまでいただいています。
 毎日3ゲーム、グループリーグ最終第3戦ともなると4ゲームの日が続きますから、全部観るのは大変です。サッカー好きにとっては至福の日々と言えるでしょう。

 そして現在は、ベスト16が出揃い決勝トーナメント1回戦が行われています。毎日2ゲーム、それも延長・PK戦有りの死闘が用意されているのです。

 ところが、このベスト16のゲームが終了すると、突然?ゲームが激減します。

 当たり前のことで、現在のワールドカップは全部で64ゲームが行われるのですが、決勝トーナメント1回戦が終了した段階で56ゲームが消化されているのです。残りは僅かに8ゲーム!

 決勝トーナメント1回戦が終了した翌日7月2日から13日までの12日間で8ゲームを行う上に、準々決勝は1日2ゲームずつですから、日程が空くのです。まる2日間ゲームが無いことが3回あります。

 サッカー漬けの至福の日々に慣れてしまったサッカー好きは、急に寂しくなり、途方に暮れるのです。

 これは32チームが出場するようになった1998年フランス大会以降、毎回繰り返されていることなのですから、サッカー好きはそろそろ経験を活かさなければならないのですが、大会が始まると日程前半の満腹感のため過去を忘れてしまい、準々決勝以降の空いたスケジュールに愕然とするのです。

 私達は、この空腹?を埋めるべく、グループリーグで見落としてしまったゲームやベスト16の好試合をキチンと録画し、閑散期?に備えなければなりません。

 そして、残された8ゲームを存分に楽しむのです。この8ゲームは、量は少ないが最高に美味であることは間違いありません。
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 6月28日のボストン・レッドソックス戦で、田中投手が魅せた9イニング・116球を投げ、被安打7、奪三振8、失点2という投球内容は、MLBの先発投手として十分なものです。
 
 レッドソックス先発のジョン・レスター投手も8イニング1失点という、エースに相応しい投球を見せましたので、負け投手にはなりましたけれども、この日の田中投手の投球は責められるものでは無いでしょう。
 アメリカンリーグトップの防御率も、ゲーム前の2.11から2.10へと改善しています。

 それにしても、田中・レスター両投手の投げ合いは見応え十分でした。MLBの看板カードで相手チームのエースを相手に一歩も引かない投球からは、何かメジャー10年選手のような貫録を感じました。

 ヤンキースタジアムを埋め尽くした48,000人を超える大観衆も、田中投手のピッチングを存分に楽しんでいる様子でした。

 レッドソックスの9回のマウンドには上原浩治投手が上りました。そして、ヤンキースの代打でイチロー選手が打席に立ちました。上原投手はイチロー選手も含めて、ヤンキースを3人で切って取り、今季17セーブ目を挙げました。

 日本人プレーヤーはメジャーリーグに欠かせない存在なのです。
 [ベスト16 コロンビア2-0ウルグアイ]

 コロンビアチームの快勝でした。

 まず、コンディションの良さが感じられました。イレブンの動きがとても良かったのです。地元に近い開催地とはいえ、ここまでの体調管理が上手く行ったのでしょう。ホセ・ぺケルマン監督を始めとするベンチスタッフの見事な成果だと思います。
 後半25分過ぎからは守備的なゲームに変更しましたが、それまでは6:4でゲームを支配しました。

 チーム全体が躍動する中で、前半28分スーパーゴールが生まれました。フィールド中央、ウルグアイ陣ペナルティーエリア外側の位置で、コロンビアの10番ハメス・ロドリゲス選手が胸でトラップしたボールをダイレクトシュート、これがクロスバーに当たって下に落ちゴール!目の覚めるようなゴールでした。

 狙いに狙ったシュートは中々入らない、相手チームも予想できるものなのですが、「まだ打ってこないだろう」というか、予想外のタイミングのシュートは効果的なのです。ロドリゲス選手のシュートはまさにそれでした。

 そして後半15分、クアドラード選手のヘッドでの折り返しを、再びハメス・ロドリゲス選手が右足で押し込みました。コロンビアチームの連動が際立つゴールでした。

 ウルグアイチームは、押され気味の展開の中でカバーニ選手を中心に良く攻め、少ないチャンスを好機に結び付けましたが、コロンビアのゴールキーパーGKオスピナ選手の好捕もあって、ついに得点を挙げることが出来ませんでした。
 たとえ1:9で押されていたとしても、得点を挙げていく驚異的な決定力を持つルイス・スアレス選手の不在が響いたという印象です。

 それにしても、カバーニ選手の運動量と献身的な働きには、このゲームでも感心させられました。パワーフォワードとして世界屈指のプレーヤーですが、攻撃から守備までピッチ全体を動き回り、それを1試合を通じて継続できる点では並ぶもの無き存在でしょう。

 このゲームは「ハメス・ロドリゲスのゲーム」でした。これで、大会通算5点目と、得点ランキングトップに立ちました。22歳のコロンビアの若きプレーヤーは、確実にこの大会の主役になりつつあります。

 コロンビアの準々決勝の相手はブラジルです。今日のコロンビアであれば、ブラジル相手でも好勝負を展開できるでしょう。

 「ハメス・ロドリゲスの大会」になる可能性も十分です。
 [ベスト16 ブラジル1-1チリ (PK戦3-2でブラジル勝ち)]

 激戦でした。

 負ければ終わりのトーナメント戦ですから、常に何とも言えない緊張感があります。
 ゲーム全体としては、ブラジルがボールを支配しているものの、ブラジルチームのやり方を知り尽くしているチリチームが決定的なシーンを創らせず、時折見せるカウンターで得点のチャンスを見出していて、5.5対4.5でチリが押し気味であったと思います。

 延長戦を終えて1-1、PK戦となりました。9割がブラジルファンのスタンドは、応援の声も大きいとは言えず、異様な雰囲気が漂います。PK戦はロシアンルーレットのようなものですから、何が起こるか分かりません。
 ここでブラジルチームを支えたのは、ゴールキーパーGKのジュリオセザール選手とダビド・ルイス選手、ネイマール選手の3プレーヤーでした。

① ジュリオセザール動かず。

 PK戦の主役は何と言ってもGKです。
 キッカーがどこに蹴って来るのか、GKは相手プレーヤーのクセ(キャリア上どこに蹴っていることが多いかの情報はベンチから伝えられているとも言われます)、仕草、構える位置・角度等々から予測します。そして、予測した方向に飛びます。
蹴るのを見てからでは間に合いませんから、一か八か予測した方向・角度に賭けて動くのです。これは、世界的なGKでも多くの場合そうします。

 ところが、この時のジュリオセザールは動きませんでした。キッカーが蹴ってからボールに反応することにしたのです。これはこれで、左右にスピードが無いシュートを打たれたとしてもゴールされてしまいますから、賭けなのですが、ジュリオセザールはそうすることを選択しました。

 そして、チリのひとり目・二人目を止めたのです。ファインプレーなのですが、正しい選択であったかどうかは分かりません。しかし、止めたのだから好判断だというプレーでしょう。まさに、世界最高のサッカー大会のプレーということでしょうか。

 「動かざること山の如し」という言葉がありますが、このジュリオセザールのプレー振りは語り継がれるものでしょう。

② ひとり目として決めたダビド・ルイス

 PK戦、ブラジルのひとり目を任されたのはディフェンダーDFのダビド・ルイス選手でした。PK戦のひとり目は、とても大事な役割です。ましてや、地元開催のワールドカップでのPK戦ですから、大きなプレッシャーがかかる場面。

 ここでひとり目に指名されるのですから、そのメンタルの強さに対して、スコラリ監督の信頼が極めて厚いということでしょう。
 そして、ダビド・ルイスはこれを決めました。見事です。

③ 5人目として決めたネイマール

 PK戦も4人まで終わって2-2。ブラジルは追い込まれていました。先攻のブラジルの5人目はネイマール選手。ここで外せば、後攻のチリの5人目が決めればチリの勝利です。

 また、PK戦では「チームのエースが外す」シーンをよく眼にするような感じがあります。フランスの将軍と呼ばれたミッシェル・プラティニ選手や1994年ワールドカップのイタリアのロベルト・バッジオ選手らが「枠を外してしまった」プレーが思い出されます。

 はかり知れない重圧の中でネイマールは決めました。これも見事としか言いようがありません。

 ブラジルチームは皮一枚で凌ぎ、ベスト8・準々決勝に歩を進めました。

 ゲーム終了後、ネイマールとダビド・シウバがピッチ上で抱き合っていました。相当長い間、膝をついて抱き合っていました。
 FIFAワールドカップ2014ブラジル大会もグループリーグを終えて、決勝トーナメント進出16チームが決まりました。
 好ゲーム・好プレー満載のグループリーグでしたが、良いゴールキーパーGKの活躍も目立っていると感じます。

 大会前に好GKと目されていたのは、スペインのカシージャス選手、ドイツのノイアー選手、イタリアのブフォン選手、ブラジルのジュリオセザール選手でしょうか。

 この4選手はワールドカップを始めとする国際大会の経験も十分ですし、素晴らしい実績も保持していますから、当然に存在感十分のGKです。強いチームには良いキーパーが居るとも言えるでしょう。

 4選手の内、カシージャス選手とブフォン選手は決勝トーナメントに進出することが出来ませんでした。
 もちろん、チーム全体の問題なのでしょうが、2人のキーパーにも精彩が無かったと感じます。特にスペインのカシージャス選手は、前回南アフリカ大会決勝でオランダのロッベン選手との1対1を2度止めて、スペインチーム1-0の勝利そして初優勝に大貢献した印象が強いのですが、今大会のオランダ戦では、次々と襲ってくる攻撃に対して輝きを魅せることは無く、5失点を喫しました。どうしてもそういう目で見てしまうのですが、集中力に欠け、「絶対に止める」という気迫も足りない感じがしました。

 カシージャス選手も「伝説のスペインチームの一員」になってしまったのでしょうか。

 こうして去って行くプレーヤーも居れば、この大会で「世界デビューしたGK」も居ます。

 一番手は躍進コスタリカチームのケイロル・ナバス選手でしょう。

 ワールドカップ優勝経験を持つウルグアイ・イタリア・イングランドと同組「死のグループD」で、目覚ましい活躍を魅せました。
 特に「ポジショニング」が素晴らしい。相当難しいボールをいとも簡単そうに捌いていましたが、いずれも個々のプレーにおける当初のポジション取りが完璧でした。
 当然ながら、ひらりひらりと空を飛び相手ボールを弾き止めるのは格好が良いのですが、「良いキーパーにはそういうプレーは少ない」ものです。そんな一か八かのようなプレーを連続して行わなければならないのでは、調子が悪ければ大量失点することになるでしょう。「何も無かったようにゴールに蓋をする」のが良いGKなのです。

 二番手はメキシコチームのギジェルモ・オチョア選手。

 特に第2戦ブラジル戦では、ネイマール選手を始めとするブラジルチームから放たれるシュートを悉く止めて、0-0の引き分けに大貢献しました。オチョア選手はセービングが上手いGKです。反応の良さは抜群でしょう。

 三番手はナイジェリアのヴィンセント・エニェアマ選手。

 31歳のベテランプレーヤーですが、その堅実なプレー振りは見事です。やはりポジショニングが良いGKですし、加えてボール扱いがとても丁寧な印象です。実は、フランス・リーグアン(1部リーグ)の連続無失点記録保持者でもあります。

 派手さはありませんが、世界最高レベルのキーパーだと思いますし、今大会ではその力を存分に発揮していると感じます。ナイジェリアチームのベスト16の対戦相手はフランスチームです。普段戦っているプレーヤーを相手に、エニェアマ選手の大活躍が見られるかもしれません。
 ちなみに、今大会アフリカ地区の代表チームには好GKが多いと思います。アフリカサッカーのレベルアップがGKにも感じられます。

 ナバス選手、オチョア選手、エニェアマ選手に共通しているのは、それ程長身ではないということ。ナバス選手が186cm、オチョア選手が183cm、エニェアマ選手が180cmと、190cm以上が当たり前のワールドクラスのサッカーにおいては、小さい方とさえ言えるかもしれません。
 「ゴールキーパーは身長だけでは無い」ことを地でいく活躍なのです。

 さて、決勝トーナメントです。ノイアー選手やジュリオセザール選手と言ったベテラン・有名キーパーと、今大会世界デビューしたゴールキーパー達の競い合いからも眼が離せません。
 引分けが無い決勝トーナメントは、グループリーグ以上にシビアで壮絶なゲームの連続です。延長戦・PK戦もあるでしょう。
 ゴールキーパーの信じられないようなプレーの連続が期待されます。
 ワールドカップのグループリーグで、大会前に評判が高かったチームのいくつかが敗退することは、珍しいことではありません。

 例えば、2010年南アフリカ大会では、イタリアとフランスが決勝トーナメントに進めませんでしたし、2002年の日韓大会では、ウルグアイ、アルゼンチン、フランス、ポルトガルがグループリーグで敗退しました。

 従って、今大会でスペイン、イングランド、イタリア、ポルトガルの各チームが敗退したことは、敗退チーム数から見れば、通例の範囲内ということになるかもしれません。

 ただし、この4チームがいずれもヨーロッパのチームであることは「いかにも南米・ブラジル開催の大会」という性格を示していると思います。

 この強豪4チームのグループリーグの戦い振りを見て行きましょう。

① スペインチーム

 前回大会優勝チームの敗退ということになりますが、これも珍しいことではなく、21世紀に入ってからは、2002年大会では1998年大会優勝のフランスがグループリーグで敗退、2010年大会では同じくイタリアが敗退、2014年はスペインが敗退ということで、2006年のブラジルチームのみがグループリーグを突破している形です。

 21世紀になってからは「前回優勝チームはグループリーグを突破できない」というジンクスが生まれつつあるのかもしれません

 さて、本題に戻ります。

 スペインチームの現状を良く表しているのが、第3戦オーストラリア戦でしょう。3-0で快勝したのですが、この3点はビジャ選手、フェルナンドトーレス選手、ファン・マタ選手の得点です。

 シャビ選手とイニエスタ選手を中心としたパスプレーには馴染みにくいトーレス選手やマタ選手が得点を挙げるチームになってきたことが、スペインサッカーの変質を表しているように感じます。「少ない得点を堅守で守るチーム」から「得点の取り合いを挑むチーム」に変わったのでしょう。

 そのスペインの心臓とも言うべきシャビ選手が、第2戦から出場していません。シャビ選手とデルボスケ監督との間に、何らかの確執があったのかもしれません。いずれにしても「シャビ選手がプレーしたいと思わないチーム」は、いわゆる「世界最強のパスサッカーのチーム」ではないことは、明らかです。

② イングランド・イタリア・ポルトガルの各チーム

 3つのチームをまとめて記述するのは失礼なことかもしれませんが、姿が似ているのでまとめることとしました。

 イングランドはルーニー選手、イタリアはバロテッリ選手、ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウド選手という「絶対エース」の実力を引き出すことなく、敗退したことが共通しています。

 ルーニー選手は、もともとワールドカップとは相性が悪く、長くイングランド代表チームの中心的ストライカーとして活躍してきたのですが、ワールドカップの得点は今大会が初めてでした。しかし、そのルーニーの得点も僅かに1に留まりましたから、イングランドが勝ち抜くのは難しいことでした。

 バロテッリ選手も同様です。雌雄を決するゲームであった第3戦のウルグアイ戦の後半開始時点から、バロテッリはベンチに下げられてしまいました。チームは「バロテッリで得点を狙うより、0-0の引き分けを狙った」のです。
 イタリアチームの敗因は「得点力不足」に尽きます。日本チームと同様、3ゲームで2得点しかしていないのです。現在のワールドカップのグループリーグのルールの下では、これでは勝ち抜けません。バロテッリ選手も1得点に終わりました。

 ポルトガルチームも、エースのクリスティアーノ・ロナウド選手は3試合で1点しか取れませんでした。それも第3戦になってから。
 帰趨を決める第1・2戦で、クリロナ選手が無得点ではポルトガルは苦しいでしょう。その第3戦の得点も、コール前でじっと待ち受けていたクリロナの前にボールが転げ出て、それを蹴り込んだものでした。

 50m以上を素晴らしいスピードでドリブルしながら、目が覚めるようなシュートを叩き込むプレーを身上としているクリロナ選手にとっては、全く持って不完全燃焼の大会となったことでしょう。

 ここまでは「南米で行われるワールドカップでは南米のチームが強いという大原則」に則って、大会が続いているように見えます。
 南米地区のチームは、グループAでチリがスペインを押し退け、D組でウルグアイがイングランド・イタリアを退けました。
 そして、6代表チーム中5チームが決勝トーナメントに進んだのです。

 さて6月28日から決勝トーナメント1回戦(ベスト16)が始まります。このまま南米優位の空気が漂う大会が続くのか、ヨーロッパの各チームが盛り返すのか、とても興味深く楽しい大会が続くのです。

 タイガー・ウッズが帰ってきました。

 6月26日に始まったPGAツアー・クイッケンローズ・インターナショナル大会に、アメリカのタイガー・ウッズ選手が出場しました。

 今年3月31日に腰の椎間板切除手術を受け、マスターズトーナメント、全米オープンと2つのメジャー大会を含めて競技会への出場を控えてきたタイガーが、久し振りに姿を見せたのです。

 トーナメント前の記者会見で述べたのが、表題の言葉です。

 「驚くほど早く回復したよ。」
 「時間と共にまた強くなっていくよ。怪我のリスクも最小限だからね。」
 「(手術後初めてのラウンドで9ホールをプレーして50を切ったことについて)まるで僕が3歳の頃のようだね。」

 といったコメントを述べたと伝えられました。ゴルフが出来る喜びが溢れるコメントの数々だと思います。

 この大会は2日間149打(初日74打、2日目75打)の7オーバーパー、103位で予選落ちしてしまいましたが、沢山のバーディが取れていますので、復帰戦としては十分でしょう。

 これから2週間休養して、7月17日から始まる全英オープン(於、ロイヤルリバプールG.G.)に参加すると伝えられています。

 やはり、タイガー・ウッズの姿はPGAツアーには不可欠だと思います。
 また、39歳になったとはいっても現在の道具の進歩やウッズ自身のフィジカルを考慮すれば、完治の後は少なくとも10年は世界のトッププレーヤーとして活躍できると思いますので、全く慌てる必要はないでしょう。

 タイガー・イズ・バック!世界中が待っていました。
 第55回宝塚記念競走G1が6月29日に阪神競馬場2200mコースで開催されます。

 ファン投票等により出走馬が選出される「夏のオールスター」レースですが、今年も12頭が出走してきました。
 現在の中央競馬会を代表する中長距離馬が一堂に会するレースです。

 いつものように内枠から有力馬を見て行きます。

・1枠1番ホッコーブレーブ
マーベラスサンデー産駒、牡6歳。速い脚が無いので中々勝ち切れませんが、前走G1天皇賞(春)では勝ったフェノーメノから首・鼻差の3着と大健闘しました。2200は少し短い感じもしますが、着はあるかもしれません。

・2枠2番デニムアンドルビー
ディープインパクト産駒、牝4歳。前々走のG1ドバイシーマCで10着と大敗し、前走G1ヴィクトリアマイルも7着。ドバイの影響が残っていたように感じます。精神面も含めた回復度合いがポイントでしょう。

・3枠3番ヴィルシーナ
ディープインパクト産駒、牝5歳。前走G1ヴィとリアマイルを快勝。常に極僅差の勝負を繰り広げてきた同馬にとっては、初めてのG1レース快勝(1/2馬身差)でした。これで吹っ切れたとすれば、このメンバーでも侮れません。

・5枠6番ジェンティルドンナ
ディープインパクト産駒、牝5歳。この馬が完調で出てくれば勝つ可能性は相当高いと思います。従って、体調次第ということになります。前走G1ドバイシーマCを快勝し、ジャパンカップを連覇している力、「世界の力」を魅せて欲しいものです。

・6枠7番ウィンバリアシオン
ハーツクライ産駒、牡6歳。オルフェーヴルが引退した今、現役牡馬最強馬との見方もあります。前走G1天皇賞(春)も「勝ったか」と見えた瞬間もありましたが惜しくも2着。2200mは向いている距離だとも思います。

・7枠10番メイショウマンボ
スズカマンボ産駒、牝4歳。前走G1ヴィクトリアマイルは、インを突いて伸びてきましたが、残り100mで脚が止まり1/2馬身差の2着。前々走G2産経大阪杯7着からの回復は感じられましたが、まだまだ完調には程遠い感じでした。パンとして来れば、このメンバーでも好勝負でしょう。

・8枠11番ゴールドシップ
ステイゴールド産駒、牡5歳。速い脚が無いので、高速レースでは持ち味が活きません。前走G1天皇賞(春)も上がりの競馬となって7着と完敗しました。阪神は相性が良いコースですが、このメンバー相手となればやはり馬場状態次第でしょう。パンパンの良馬場では3着までという感じがします。逆に重馬場になれば、相当強いと思います。

 さて絞り込みましょう。

 格から観れば、G1を6勝のジェンティルドンナが圧倒的です。15戦9勝と勝率も高く、世界最高峰のレースに勝ち、ジャパンカップではオルフェーヴルとの叩き合いをも制していますから、ちゃんと走られればこの馬が勝つでしょう。

 続くのはG1を4勝のゴールドシップですが、皐月賞以降13戦して2着がありません。1着か3着以下かといったレースを続けています。一方、阪神コースで強い点は好材料です。良馬場であれば、3角後方から一気の捲りでは届きませんので、先頭集団で4角を回らなければなりませんが、そこは屋根が横典ですので抜かりは無いでしょう。

 さらに、G1を3勝のメイショウマンボですが、前走の走りを観ると3歳時のキレと粘りが戻っていません。今回も完調には遠いのではないかと見ます。

 加えて、G1を2勝のヴィルシーナ。ヴィクトリアマイル連覇ですが、前走の走りには一皮むけた感じがあり、阪神ではG1秋華賞でジェンティルドンナと僅差の勝負を展開していることから、得意コースでもあります。

 では、注目馬です。

① 5枠6番ジェンティルドンナ
② 3枠3番ヴィルシーナ
③ 8枠11番ゴールドシップ

 今回はこの3頭に期待します。

 牝馬が一番手二番手となりましたが、このところの競馬は世界的にも我が国でも「女性上位の時代」なのでしょう。
 加えて、本命サイドの選定となりましたが、このメンバーで紛れを期待するのは難しいのではないでしょうか。

 現在の日本競馬を代表する優駿達の、正面からのぶつかり合いを観たいものです。
 変な表題で恐縮ですが、今大会のグループリーグは各チームのエースの活躍が目立ちます。

 後から「○○の大会」と呼ばれるとして、○○の候補プレーヤーが、グループリーグのゲームから大活躍していることが、「珍しいこと」だと感じますので、こうした題名になりました。

 例えば、1986年メキシコ大会は「マラドーナの大会」と呼ばれています。(「○○の大会」という呼ばれ方が始まったのも、この大会からだと思います)
 アルゼンチンが優勝した大会でしたが、この大会でアルゼンチンのエース、ディエゴ・マラドーナ選手が大活躍し、大会MVP=ゴールデンボール賞を受賞しました。数々の印象的なゴールシーンを生み出したマラドーナは、間違いなくこの大会の主役でした。

 しかし、この大会のグループリーグでは、マラドーナは1得点しか挙げていないのです。グループAに入ったアルゼンチンチームは、初戦韓国相手に3-1、2戦目イタリアと1-1の引き分け、3戦目でブルガリアに2-0の2勝1引分で、グループリーグを突破しましたが、マラドーナゴールはイタリア戦の1得点だけでした。

 グループリーグでは、同僚のバルダーノ選手やブルチャガ選手、ルジェリ選手が得点し、バルダーノは2得点しています。

 続く決勝トーナメント1回戦でアルゼンチンはウルグアイを1-0で下していますが、この1点もバスクリ選手でした。

 この大会を「マラドーナの大会」にした活躍は、準々決勝と準決勝の2試合でした。それぞれのゲームでマラドーナ選手は2点ずつ計4点を挙げ、準々決勝2-1イングランド戦勝利、準決勝2-0ベルギー戦勝利に大貢献しています。準々決勝と準決勝のアルゼンチンチームの全得点を、マラドーナが叩き出したのです。

 そして決勝は3-2で西ドイツを下し、アルゼンチンが優勝しましたが、マラドーナ選手は得点していません。ブラウン選手、バルダーノ選手、ブルチャガ選手が各1得点でした。

 この事実は、「マラドーナの大会」と呼ばれる基礎となった印象が、準々決勝と準決勝の4得点にあったことを示しています。特に準々決勝イングランド戦の「5人抜き」「神の手」の2ゴールが印象的だったのでしょう。
 もちろん、アシストプレーの活躍もありましたが、マラドーナ選手はグループリーグでは「鳴りを潜めていた」と言ってよいでしょう。

 このことは「1986年のアルゼンチンチームにはマラドーナ以外にも多くの優秀なプレーヤーが居て活躍した」ことを示しています。
 パサレラ、ブルチャガ、エンリケ、バルダーノ、バティースタ、ボルギ等々、素晴らしいプレーヤーが揃ったチームだったと思います。

 さて、翻って今大会を観てみましょう。(6月25日時点)

 ○○候補の、例えばブラジル・ネイマール選手はグループリーグで4得点、アルゼンチンのメッシ選手も4得点、オランダのロッベン選手とファン・ペルシ選手は3得点ずつ、ドイツのミュラー選手も3得点と、いずれもチームの勝利に貢献する大活躍です。

 このこと自体は素晴らしいことなのですが、気になるのは

① 各チームの選手層の厚み・得点力

 チームの総合力は得点シーンに表れると思いますので、特定のプレーヤーからしか得点が生まれないチームは、チーム力が十分とは言えないでしょう。

② エースプレーヤーのコンディション維持の難しさ

 グループリーグで「鳴りを潜めていた」マラドーナ選手は、決勝トーナメントで一気に実力を爆発させました。体力面・精神面の両面から、余力十分な形で準々決勝・準決勝に臨んだものと思われます。

 本大会でグループリーグから全開の各チームのエースプレーヤーの調子・コンディションが、決勝トーナメントが進むにつれてピークアウトしないか心配です。

 とはいえ、グループリーグから決勝トーナメントまで継続して活躍を続けるプレーヤーも居るでしょうし、大会が進むにつれて調子を上げて、複数のプレーヤーが得点するようになるチームも当然出てくるでしょう。

 こんな心配が杞憂に終わることを祈っています。
 [グループF アルゼンチン3-2ナイジェリア]

 グループFの最終戦は6月25日に行われ、アルゼンチンがナイジェリアを下して3連勝として、グループ1位通過を決めました。

 このゲームは点の取り合いとなり、試合開始早々の前半3分にアルゼンチンがメッシ選手のゴールで先制すると、その1分後ナイジェリアのアーメド・ムサ選手が同点弾を決めて1-1。
 前半ロスタイムに、メッシがこの日2点目となるゴールを奪い、アルゼンチンチームが2-1とリードして折り返しました。

 後半開始早々、ムサ選手が再び同点とするゴールを奪い2-2となりましたが、その僅か3分後にアルゼンチンが左コーナーキックにマルコス・ロホ選手が合わせて、再度勝ち越しました。

 その後ゲームは一進一退の様相でしたが、後半25分を過ぎてからはナイジェリアの攻勢が続き、アルゼンチンがこれを凌ぎ切って3-2で勝利しました。

 このゲームは、「得点直後に失点するパターン」が繰り返されました。両チームが凌ぎを削ってゴールを目指し続ける中で、1点が決まるとその直後に点が入るというのは、不思議な感じがします。

 ところで、今大会はこのゲームに限らず「先制得点と続く失点が近接した時間帯に表れるケースが多い」ように感じます。
 少し思い出しただけでも

① 6月14日 イタリア対イングランド
 イタリアのマルキジオ選手の先制ゴールの2分後にイングランドのスタリッジ選手が同点ゴール。

② 6月18日 オランダ対オーストラリア
 オランダのロッベン選手の先制ゴールの1分後に、オーストラリアのケーヒル選手が同点ゴール。

③ 6月20日 ホンジュラス対エクアドル
 ホンジュラスのコストリー選手の先制ゴールの3分後に、エクアドルのバレンシア選手が同点ゴール。

④ 6月21日 ドイツ対ガーナ
 ドイツのゲッツェ選手の先制ゴールの3分後に、ガーナのアユー選手が同点ゴール。

 サッカーの勝敗に関しては「先制点が極めて重要」であると、常に言われ続けて来ました。実際、サッカー競技における1点は重いものだと思います。

 両チーム0-0で拮抗した戦いを展開強いる中、一方のチームが先制点を挙げるというのは、大変大きな意味があるのは明らかでしょう。
 ところが、今大会ではその先制点の直後に失点してしまうケースが多いのです。不思議なことだと思います。

 「先制した側のチームに気の緩みが生ずる」のでしょうか。どうも、そうとは考えにくいでしょう。まだ1点しかリードしていない状況下で守備が緩むとは思えません。

 では「ゴールを挙げられた側のチームが大攻勢に出る」のでしょうか。もちろん反撃に出ることは間違いないのでしょうが、大反撃に出れば得点できるという訳でもないでしょうから、決定的な理由とは思えません。

 「ゲームが動く」という言葉がありますが、その先制点により「ゲームが動くことで膠着状態が崩れ、相手チームにも得点チャンスが生まれる」のでしょうか。これも一理ありそうですが、3分以内に同点となったケースが5例も存在することの中心的な理由とは思えません。

 色々と考えてみましたが「先制点直後の失点」についての原因は分かりませんでした。

 いずれにしても、「先制したチームが相当有利に試合を運ぶことが出来る」という、従来の常識が少し揺らいでいる大会なのかもしれません。

 そういえば「逆転勝ちが多い大会」と言われ始めています。今後の各ゲームの内容が、とても楽しみです。
 [グループC ギリシャ2-1コートジボワール]

 日本チームがコロンビアに負けて、自らがコートジボワールに勝つという、難しい条件を見事クリアして、ギリシャがグループCの2位となり決勝トーナメントに進出しました。

 第2戦を終えてグループC最下位、第一戦はコロンビアに0-3の大敗、第二戦で日本と0-0の引き分けと、良いところが無かったチームでしたから、日本に2-1で勝ち、コロンビアとも1-2の好勝負を展開したコートジボワール相手では分が悪いと思われました。

 ところが、前半42分に先制点を挙げてゲームの主導権を握ると、後半追い付かれたものの、ロスタイム3分にPKを獲得、これをサマラス選手がキッチリと決めて勝ち切りました。

 見事な、本当に見事な勝利だと思います。

① ベンチの戦術立案とプレーヤーの実行

 こうしたギリギリのゲームでは、「ベンチの明確な指示」が絶対に必要なのですが、このゲームのギリシャチームには、それが存在し、選手もその戦術を整斉と実行しました。
 体力・技術といった要素も、もちろん大切ですが、「戦術を忠実に実行できること」もチーム力の一部であることは間違いありません。ギリシャは、この点で優れたチームだったのです。

② 決して諦めない強い意志

 1-1の同点で後半ロスタイムに入ったとなれば、引き分けでも十分なコートジボワールは守りに徹しています。あと1~2分守り切れば、決勝トーナメントに進出できるのですから。
 しかし、ギリシャチームは全く諦める素振りもなく攻め続け、反則を誘いました。素晴らしい継続力であったと感じます。

 これまでワールドカップで決勝トーナメントに進出したことが無かったギリシャチームは、この強い意志を持って千載一遇のチャンスを物にし「悲願の勝ち抜け」を手にしたのです。

③ あと少しだったコートジボワールチーム

 コートジボワールは、過去2回ワールドカップに出場していますが、ともにグループリーグ敗退でしたから、「悲願の決勝トーナメント」であり、もう少しで手が届くところまで来ていました。あと1~2分だったのです。

 残念ながら今回も悲願達成はなりませんでした。
 守りの意識が強すぎて、守備ラインが下がり過ぎていたのです。まさに「魔が差した」状態でしょう。

 しかし、コートジボワールチームが今大会で示したパフォーマンスは素晴らしいものでした。日本戦で見せた「連続得点を生んだパスの精度とスピード」はまさにワールドレベルのものでした。決勝トーナメント進出に十分な実力を保持していたと感じますが、今回はギリシャチームの執念が勝ったということになります。

 この経験をコートジボワールのサッカー史に深く刻み、更なる強化に結び付けていただきたいと思います。

 それにしても、ギリシャチームのプレーは見事でした。第3戦の90分を過ぎた段階で、進出は到底不可能という状況だったものが、ひとつのプレーで「勝利と勝ち上がり」の両方を手にするという、サッカー競技の怖さと面白さを存分に魅せていただきました。

 「奇跡を起こすは我にあり」というところでしょうか。

 [グループC コロンビア4-1日本]

 残念ながら、ザックジャパンのワールドカップ2014ブラジル大会は終わりました。

 このゲームの日本チームは、第一戦・第二戦と比較すると攻撃への意識が高く、多くの選手が前を向きゴールを目指していましたし、動きも良かったとは思います。
 とはいえ、前ゲームから8人の選手を代えてきた「控えチームであるコロンビア」に1-4で大敗した事実には重いものがあります。この「1-4」が、現時点の日本代表チームと世界の差であろうと感じます。

 この「大差」を十分に認識し、消化するところから、次の進歩に結び付けていく必要があるでしょう。

① シュート力の差

 いつも言われることですが、大会の結果について観る限り、最も大きいのはこの差でしょう。「ワールドクラスのスピードのプレーの中で、ワールドクラスのディフェンダーDFを相手にして行うシュート」という点で、日本チームは他の出場国に比べて大きく劣りました。

 このゲームでも、後半20分の大久保選手や同38分の香川選手に絶好のチャンスがありましたが、シュートは枠を大きく外れました。ギリシャ戦でも何回か観られた事象ですが、日本チームのシュートは相手ゴールキーパーGKの正面か、枠外に飛ぶことが多いのです。

 一方で、コロンビアチームの2点目3点目4点目は、いずれも確かにチャンスではありましたが、日本のDFとGKを相手にして、一人のプレーヤーが勝負をし、キッチリと決めました。
 2・3点目はサイドネットへのシュート、4点目はふわりと浮かしたシュートが日本ゴールを揺らしました。日本DFを振り切る動きから、GKと1対1の局面を創り出し、サイドネットにシュートするというプレーは、「固まったもの」のように観えました。「慣れている」のでしょう。

 グループリーグ3ゲームで、ザックジャパンの得点は僅かに2点でしたが、その2得点は「長友→本田」と「本田→岡崎」の形から生まれています。ヨーロッパでプレーし、ワールドクラスのスピードとプレーが体に染みついている3人のプレーヤーから得点が生まれたのは、決して偶然ではありません。

② パスのスピードと強さの差

 特に初戦のコートジボワール戦のキックオフ直後、日本チームが妙にゆっくりした弱いパスを行っているのを見た時には「体力温存」かと思いましたが、それが「現在の日本チームのパス」であることに気が付くのに、時間はかかりませんでした。

 このワールドカップに出場している全チームの中で、日本チームのパスは最も遅く、最も弱いでしょう。
 「相手より一瞬でも速く、先手を取るプレーを展開」しない限り、得点・勝利はおぼつかない大会で、パスが遅いのでは勝負にはなりません。

 速く強いパスが出せない原因としては「フィジカルの弱さ・技術の低さ」とともに「勇気不足」も挙げられるでしょう。相手チームにカットされることを恐れない勇気が不足しているのです。リスクを取らなければ成果は得られません。
 筋力面・技術面の強化とともに、メンタル面の強化も不可欠だと思います。

③ トラップ力の差

 ワールドカップのゲームが面白い理由のひとつに「素晴らしいトラップ」があります。とても長く速く難しい角度からのパスを「いとも簡単に足下に収め」たり「狙う方向に置く」プレーは、ただそれだけで溜め息を誘いますし、世界トップクラスの技術を肌で感じることが出来ます。

 もちろんこの点は②と大きな関係が有ります。「いつも速くて強いパスを行っている」からこそ、素晴らしいトラップ技術が身に付くのです。②が出来ていなければ、③も進歩しないということでしょうか。

④ ベンチワークの差

 この差は、大会前から既に付いていたと言えるのでしょう。劣勢のゲームを立て直すべく投入された、途中交代のプレーヤーで目覚ましい活躍を見せた選手は、3試合でひとりも居ませんでした。

 代表選手選定時点で「インパクトプレーヤーを選定できていなかった」のは明白(そういうプレーヤーが日本には居ないのかもしれませんが)ですし、選手交代のタイミング、投入プレーヤーの選定も上手く行かなかったことは結果が示しています。

 先発メンバーの選定にも疑問が残ります。最も得点力がある岡崎をワントップに据えず、最も得点を取る可能性が高い本田にパスを出す選手である清武を使わず(清武は本田と役割が重なると考えたのでしょうか。「役割が重なるからこそ」使うのでしょう。ラストパスを出せる選手が2人居れば、攻撃のバリエーションは飛躍的に増えます)、中途半端に奇を衒ったような布陣は、結果として成果に結びつきませんでした。

 こうした世界大会では、結果が非常に重いものです。全てという人も居ます。2敗1引分と結果を残せなかった以上、監督・コーチを始めとするベンチの責任は隠しようがありません。
 
 ワールドカップに出場し、日本中のファンに夢と希望を与えてくれたザックジャパンには、大変感謝していますし、その健闘には大きな拍手を送ります。

 とはいえ「世界との大差を実感」したことも事実ですし、「4年前の南アフリカ大会の時より世界との差は相当拡大している」ことも間違いないでしょう。

 今大会の結果を真摯に受け止め、今後の日本サッカー発展の糧としていくことが大切だと思います。

 何はともあれ、ザックジャパンの選手・関係者の皆さん、お疲れ様でした。
 [グループA ブラジル4-1カメルーン]

 グループリーグの最終第3戦、ブラジルはカメルーンに勝利して2勝1引分としてグループリーグ突破を決めるとともに、3点差の勝利でしたので、同組のメキシコを得失点差で上回り、グループAの1位通過となりました。

 1位通過と2位通過では、決勝トーナメント1回戦(ベスト16)の対戦相手が異なります。グループBの1位通過がオランダ、2位通過がチリであることは、ゲーム前に分かっていたことですから、ブラジルとしては1位通過することで、ベスト16の相手をチリとしたかったと思いますから、このゲームは「安心できる得失点差」を確保しなければならない、難しいゲームでした。
 3点目4点目が入り、ようやく安心できたゲームだったことでしょう。

 案の定、ゲーム運びのうまさに定評があるメキシコはクロアチアを3-1で下しましたから、ブラジルとしては1-0での勝利や引き分けであれば2位通過となっていました。
 優勝を狙うチームは、「グループリーグを突破さえすれば良い」などとは、決して考えません。

 もちろん、たとえ2位通過でもベスト16のゲームでオランダに勝てばよいわけですが、チームの調子が上がる前に強豪国と対戦するのは回避したいと考えるのが、当然の戦略でしょう。

 さて、大会開幕後ブラジルチームの調子は上がりませんでした。

 初戦は、クロアチアに3-1で勝利したとはいえ、ネイマール選手の2得点に負うところが大きいゲームでした。第2戦はチリのゴールキーパーGK・オチョア選手の大当たりに遭遇したとはいえ0-0の引き分けで、1位通過が危ういところまで追い込まれました。

 そして、第3戦も前半17分にネイマール選手が先取得点を挙げたものの、前半26分に今大会ここまで無得点のカメルーンチームに初得点を許して同点とされました。
 そして前半35分、再びネイマール選手の得点で2-1とリードして前半を終了しましたが、ゲーム内容は互角、あるいはカメルーンにやや押され気味というもので、「ネイマール頼み」という試合内容は、とても安心できるものではありませんでした。

 ネイマール以外に得点できないチームという状態は、チームとしては良くないことであることは明らかですし、実際2-1のまま勝ち切ったところでメキシコとのグループ1位争いは微妙でしたし、2-2の同点とされるリスクもありました。もちろんネイマールのハットトリックという可能性もあったのですが、いかにネイマールとはいえ、狙ってハットトリック出来る程、ワールドカップは甘くないでしょう。

 後半開始の頃には「ブラジル危うし」という感じが漂っていました。

 そして後半4分、ネイマールのフリーキックからブラジルの波状攻撃、最後はフレッジ選手が決めて3点目。
 これで、相当安心したブラジルチームは、後半38分、フレッジ→オスカル→フェルナンジーニョと繋いで4点目を挙げ、ゲームを決めるとともに「おそらく1位通過できる」であろう状況を創り出したのです。
 ブラジルチームにとってギリギリのゲームであったと思います。

 このゲームの後半に入って「ブラジルはようやくチームとして動き出した」ように観えます。

 昨年のコンフェデレーションズカップのゲーム内容などから、ブラジルチームがチームとして考えている得点者の順位を推定してみます。

① ネイマール
② フレッジ
③ パウリーニョ
④ オスカル
⑤ その他のプレーヤー

 といったところではないかと思います。

 エースのネイマールは、その能力とポジションから、チームの得点エンジンであることは明らかです。
 また、ワントップのフレッジは、ポストプレー他により、相手ゴール周辺で味方プレーヤーにボールを供給するのが主たる仕事でしょうが、何しろ「常に相手ゴールに最も近いところに位置する」のですから、得点のチャンスも生まれます。
 ペナルティエリア付近での鬩ぎ合いの中から、一度中盤にボールを下げた時、ミッドフィールダーMFにミドルシュートのチャンスが生まれることが有りますが、ブラジルチームでこれを打っていくのはパウリーニョの仕事になります。
 ネイマールとのペナルティエリア近辺でのボールのやり取りから、自身もゴールを狙う機会があるという意味で、オスカルにもシュートチャンスがあるでしょう。

 この①~⑤のパターンの中で、このゲームの前半までは①ネイマールに頼り切ったチームとなっていたのですから、調子が上がっていなかったと言わざるを得ません。大変危ない状況だったのです。
 後半にフレッジ選手のゴールが生まれ=②が実現し、最後に⑤が実現した形。ようやくチームとしてのブラジルが稼働したように観えます。調子が上がらなかったチームをここまで支えてきたネイマール選手の貢献は、極めて大きなものだと思います。

 ただし、ブラジルチームの重要な得点源であり、相手にとっての驚異でもあり、得点パターンを飛躍的に広げる効果もある③パウリーニョのミドルシュートは、決まっていないどころか姿も見えないという感じです。これからということでしょう。

 従って「ブラジルチームの調子は70%位」という感じです。

 もちろん、70%というのはグループリーグを突破する段階での調子としては十分というか、「絶好という見方」もあります。
 近時の大会は「グループリーグ全勝のチーム」は中々優勝できていないという事実もあります。(2010年大会のスペインは初戦のスイス戦に敗れての2勝1敗、2006年大会のイタリアは2勝1引分での通過)

 さて、開催国ブラジルが、なんとか1位通過を決めました。

 ワールドカップ2014ブラジル大会は、これからです。

 [グループG アメリカ2-2ポルトガル]

 グループGでポルトガルが苦戦しています、この6月22日のゲームもアメリカにリードを許し、インジュリータイムも残り僅かというところで、クリスティアーノ・ロナウド選手からバレラ選手へのパスが通って2-2の同点に持ち込んだ形です。

 最終第3戦で、ポルトガルがガーナに勝ち、アメリカがドイツに負けて、得失点5点差をひっくり返すという「極めて難しい状況」に追い込まれたとはいえ、グループリーグ突破に向け、首の皮一枚残した形です。

 ポルトガル苦戦の要因はいくつかあるのでしょうが、エースであるクリスティアーノ・ロナウド選手が活躍していないことも、ひとつでしょう。「孤立している」「ボールが回ってこない」といった報道が目立ちます。

 Cロナウド選手の特徴を挙げてみましょう。
・縦に突破するドリブルの驚異的なスピードと力強さ
・強烈なミドルシュート
・全体としての圧倒的なフィジカル

 ゲームにおける典型的な得点パターンは、自陣深くからのパスを受け、フリーで前を向いてドリブルし、センターラインの後ろからでも相手ペナルティエリアまで独走で前進、20m内外の強烈なシュートを叩き込む形でしょう。
 相手チームに深いダメージを与えるゴールです。

 そうすると、Cロナウド選手は
① 長いドリブルを伴うプレーが、最も他の選手との差を活かせる
② ワントップは不向き

ということになりそうです。

 相手チームから見れば、ワントップでゴール前に居るCロナウドには2~3人のマークを付けるのは当然のこと(昨年のバロンドール受賞選手=現在世界最高の選手)ですから、さすがに僚友も、ガチガチにマークされているCロナウドにパスは出さないでしょう。
 結果として「孤立する」ことになるのは、自然なことです。

 本来は、Cロナウド選手が相手プレーヤーを複数引き付けているうちに、空いたスペースで他のプレーヤーが仕事をすれば、ポルトガルチームの得点が生まれる筈なのですが、これがなかなか上手く行っていません。

 「長いドリブルの圧倒的なスピードで勝負する」プレーヤーである、オランダのロッベン選手が、その持ち味を存分に発揮しているのと比較しても、ポルトガルチームのCロナウド選手の使い方には問題が有るのかもしれません。

 仮に、アメリカがドイツに1-2で敗れるとすれば、ポルトガルはグループリーグ突破に向けてガーナに少なくとも4点差を付けて勝たなくてはなりません。超崖っぷちにポルトガルチームは立たされているのです。

 センターライン手前からクリスティアーノ・ロナウド選手が走り出すのと同時に、ポルトガル陣内からロナウド選手の5m前にボールを落とし、Cロナウド選手が競りかけてくるガーナの選手をそのスピードで振り切って独走、フリーとなってシュートを叩き込むシーンが、少なくとも3回は必要なゲームなのではないでしょうか。

 ワントップ→左のミッドフィールダーへのCロナウド選手のポジションチェンジと、チーム全体として「とても守備的なフォーメーションからのロング・カウンター狙い」の戦術採用が必要なのではないかと思います。高い位置からのショート・カウンターでは、相手チームのセンターバックが残っているケースが多く、Cロナウド選手が「相手ディフェンダーを振り切ってフリー」という形は生まれ難いと思いますので。

 もちろん、ポルトガルチームは自陣深いところで2~3人のプレーヤーで相手ボールを奪い、Cロナウド選手の前にロングパスを送る必要があります。

 ハイリスクで無謀な戦術であることは十分に認識していますが、ターゲットがCロナウド選手だからこそ可能な戦術かもしれません。

 何より、あのドリブルと強烈なシュートが、この大会で一度も観られずに終わるというのは、とても残念なことなのです。

 6月21日に、東京・秩父宮ラグビー場で行われた日本対イタリアのゲームは、日本が26-23でイタリアを下しました。

 日本代表チームがイタリア代表チームに勝ったのは史上初めての快挙であり、これで現日本チーム=エディージャパンは、テストマッチ10連勝となりました。見事な成績です。

 このゲームの日本代表チームは、フォワードがイタリアと互角の動きを見せて安定したボールを供給し、フォワード・バックス一体となった前進が功を奏して、終始イタリアチームをリードしました。
 日本チームの突進を止めるイタリア選手の真剣な表情が、全てを物語っていました。

 シーズンオフのゲームとはいえ、欧州の強豪チームと互角以上の戦いを展開できたことは、素晴らしいと思います。

 直近の1年間で、ラグビー日本代表チームは本当に強くなりました。

 とはいえ、ワールドカップなどの国際大会におけるファイブネーションズの国々やニュージーランド、オーストラリア、南アフリカといった国々の代表チームの力・戦術は、また一味もふた味も違うものなのでしょう。

 日本チームとしては、出場権を獲得しているワールドカップ2015イングランド大会において、ガチンコ勝負の感触とノウハウを存分に吸収し、2019年日本大会に向けての一層の強化に結び付けていただきたいと思います。

 [グループH アルジェリア4-2韓国]

 初戦でベルギーに逆転負けを喫していたアルジェリアチームが、6月22日の第2戦に登場し、4点を奪って韓国チームに快勝しました。初戦から先発メンバーを5人入れ替えた采配が実を結んだ形です。

 6月21日にはガーナがドイツを相手に2-2で引き分けていますし、ナイジェリアがボスニア・ヘルツェゴビナに1-0で勝っていますから、初戦の出来がいまひとつであったアフリカ地区の代表チームが、第2戦では実力を発揮してきていると感じます。

 このゲームのポイントを挙げます。

① アルジェリアの見事な攻撃

 特に、韓国に1点を返され1-3とされた押され気味の後半16分、自陣からパスを繋いで、ゴール前でブラヒミ選手とフェグリ選手がワンツーを決めて挙げた4点目は見事でした。これだけ綺麗にパスを繋いでの得点は、今大会でも屈指のものであったと思います。

 それ以外の得点シーンも、強靭なフィジカルと正確なボールコントロールの賜物でした。アルジェリアサッカーの進歩がプレーに表れていました。

② 韓国サッカーの反発力の素晴らしさ

 前半0-3とリードされながら後半早々に1点を返し、1-4と再び3点差とされても1点を返し2-4と反撃したゲーム内容は、韓国チームの精神力の強さを感じさせるものでした。

 0-3となっても意気消沈する様子は全く無く、むしろ前半より良い動きを見せて、チーム全体が連動してアルジェリアゴールを目指す力強さは、まさに韓国サッカーの真髄でした。

 特に、後半14分のキ・ソンヨン選手のミドルシュートは強烈。ホン・ミョンボ監督の現役時代のミドルシュートを彷彿とさせるものでした。
 しかし、このシュートをGKエムボリ選手が好セーブ。打ちも打ったり、クリアするもクリアしたりという感じの、ワールドクラスのプレーの応酬でした。

③ 守りに入った時のアルジェリアチームの問題点

 初戦のベルギー戦でも観られたことですが、攻めている時(前半)と守りに入った時(後半)のアルジェリアチームは、別のチームのようです。
 守りに入ると、相手ボールを取りに行くことはせず、ズルズルと後退しますのでピンチの連続になるのです。

 「守り切るのが苦手なチーム」なのではないかと思いますので、今後はこのゲームの前半の後半のようなプレー、中盤で競ってボールを取りに行くプレーを、ゲームを通して展開していく方が、持ち味が活きるのではないでしょうか。

④ ロングボールからの得点

 今大会に共通する事象ですが、センターライン付近からの40m前後のロングボールからの得点が多くなっています。

 このゲームでも、アルジェリアの1点目と3点目、韓国の1点目の計3得点は、ロングボールからのものでした。
 ロングボールを受けたフォワードFWが、数的不利な状況下でもDFやGKと競り合って決めていく形ですが、DFの戦術や技術が進歩している現代サッカーでは、こうした「ロングボールをゴール前に送り込むプレー」が効果的なのでしょう。少なくとも、相手DFの人数を1~2名に抑え込むことはできます。
 昔戻りのようにも見えますが、螺旋階段状にサッカーが進歩しているということでしょう。

 それにしても、アルジェリアチームの4点目には「高度なパスサッカーの精神と技術」を感じました。もともとフィジカル面では一頭抜けていると言われるアフリカサッカーに、このようなパスサッカーが根付いて来ているのです。

 アフリカの代表チームが、ワールドカップ・ベスト4以上の成績を残すのは、そう先のことではないと思います。
 今ワールドカップの我が国における報道を見ると、決勝トーナメント進出チームを決めるA組~H組のリーグ戦の呼称を、「グループリーグ」と表記している場合と「1次リーグ」と表記している場合が混在しています。

 どちらであっても意味は掴めますから、大きな問題は無いのですが、「グループリーグ」と呼ぶ方がより正確でしょう。

 まず、「1次リーグ」と呼ぶ以上は「2次リーグ」の存在が必要でしょう。今大会には2次リーグがありません。

 推定ですが、例えば「グループリーグ・グループCの戦い」と表記すると「グループ」という言葉が重複するために「1次リーグ」という言葉を用いているのではないかと思います。「1次リーグ・グループCの戦い」と表記した方が重複感が無いからです。

 長いワールドカップの歴史においては「1次リーグ」+「2次リーグ」+決勝戦、が存在していた大会があります。

① 1974年西ドイツ大会
・出場 16チーム
・1次リーグ→4チームずつ4グループに分かれて実施。各組上位2チーム・計8チームが2次リーグに進出。
・2次リーグ→4チームずつ2グループに分かれて実施。各組1位のチーム同士が決勝戦を戦い、各組2位のチーム同士が3位決定戦を戦う。

② 1978年アルゼンチン大会
・出場 16チーム
・1次リーグ→4チームずつ4グループに分かれて実施。各組上位2チーム・計8チームが2次リーグに進出。
・2次リーグ→4チームずつ2グループに分かれて実施。各組1位のチーム同士が決勝戦を戦い、各組2位のチーム同士が3位決定戦を戦う。

③ 1982年スペイン大会
・出場 24チーム
・1次リーグ→4チームずつ6グループに分かれて実施。各組上位2チーム・計12チームが2次リーグに進出。
・2次リーグ→3チームずつ4グループに分かれて実施。各組1位の4チームがトーナメント方式で準決勝・決勝を戦う。

 以上の3つの大会が、1次リーグ・2次リーグ・決勝戦が存在した大会でした。
 つまり「1次リーグ」という言葉は、この3つの大会でしか使われなかった言葉なのです。

 それにしても、1978年大会まではワールドカップ本大会に出場できるのは16チームでした。現在の半分です。つまり世界各地の予選を勝ち抜くことが、現在の決勝トーナメント進出に相当する難関であった訳です。

 よく「昔はワールドカップに出場することなど夢のまた夢だった」といった言葉を耳にしますが、それは「日本サッカーのレベルが世界に比べて低かったから」ばかりではなく、そもそも16チームしか出場できなかったから、出場が困難だったことも要因のひとつなのでしょう。
 現在で言えば「決勝トーナメント進出16チームに入って初めて、当時のワールドカップ出場と同じステージ」なのですから。

 1982年スペイン大会から、出場チーム数が24チームに増えましたが、2次リーグの運営方法が変わりました。

 ちなみに1986年メキシコ大会から2次リーグは無くなり、16チームによる決勝トーナメント方式になりました。同時に「1次リーグ」という呼称は無くなり、「グループリーグ」となったのです。

 そして、1998年フランス大会から出場チーム数が24→32チームへと増えました。日本がワールドカップ初出場を果たしたのは、このフランス大会だったのです。

 [グループG ドイツ2-2ガーナ]

 このゲームは、ガーナチームの気迫がドイツチームを上回り、終始押し気味でした。

 前半を0-0で折り返し、後半ドイツに先制されるもののアンドレ・アユー選手とアサモア・ギャン選手のゴールで一気に逆転し、後半20分を過ぎました。

 試合経過とゲーム内容を勘案したのでしょう、後半24分、ドイツのレーヴ監督は「決勝トーナメントまでは使いたくなかった?」ミロスラフ・クローゼ選手とバスティアン・シュバインシュタイガー選手を投入しました。

 そして後半25分、左コーナーキック・クロース選手が蹴ったボールがヘディングの競り合いからゴール右前に落下、これをクローゼ選手が右足で押し込みました。2-2の同点。

 右足の裏で押し込んだシュートでしたが、これがこの試合のファーストタッチでした。何と言う「決定力」でしょうか・・・。言葉にならない凄さです。

 これでワールドカップ通算15得点目、ブラジルのロナウド選手と並び歴代1位タイとなりました。「生ける伝説」の記録は、まだまだ伸びそうです。

 試合後のインタビューで「ワールドカップ20試合で15得点は悪くない」と応えるクローゼ。
 確かに「悪くない」ですね。
 [グループD コスタリカ1-0イタリア]

 コスタリカの活躍が止まりません。ウルグアイ、イタリア、イングランド、コスタリカが所属するグループDですが、世界中の多くのサッカーファンは、ウルグアイとイタリアとイングランドの中から、どの2チームが勝ち抜くのだろうかと見ていたと思います。

 ワールドカップ優勝経験のある3チームが同組になってしまったため「死のグループ」とも呼ばれているのですが、チームのプレーヤー・ファンの皆さんには恐縮ながら、コスタリカは1勝を上げることも難しいのではないかと思われました。

 ところが、6月14日の初戦でウルグアイに3-1の快勝、続いて6月20日のこのイタリア戦も1-0で勝ち切ったのです。コスタリカチームは決勝トーナメント進出を決めました。イングランドの敗退が決まり、残る一枠をウルグアイとイタリアが直接対決で競うという、想像していなかった状況となっています。

 ワールドカップでは、どの大会でも「予想を超える活躍を見せるチーム」が出現しますが、今大会では、何と言ってもコスタリカでしょう。良い若手が育ってきていると伝えられてはいましたが、このグループでの一抜けと言うのは、見事としか言いようがありません。

 さて、コスタリカチームが1-0で勝ち切ったイタリア戦のポイントを観て行きましょう。

① 極めて高い位置からのプレス

 特に前半、コスタリカチームはイタリア陣のペナルティーエリア付近という極めて高い位置からプレスをかけて、ボールを取りに行きました。もの凄い運動量を必要とする戦術ですから、こんなことをして90分間持つのだろうかと心配になりましたが、コスタリカチームは整斉とプレスを続けました。気迫溢れるチームプレーであったと思います。

 イタリアチームは自陣においてさえ自由にボールをキープすることが出来ず、全く攻撃の形を作ることが出来ませんでした。前半25分を過ぎるまで、イタリアチームのシュートが0という事実が、その状況を物語っています。

② さすがのピルロ選手

 イタリアがこのゲームを落とした要因のひとつに、前半30分過ぎの2度の好機を逃したことが上げられます。ひとつ目はゴールキーパーと1対1になったマリオ・バロテッリ選手が、ふわりと浮かせたシュートを外したこと、ふたつ目はゴール正面からのバロテッリ選手の強烈なシュートをコスタリカのゴールキーパー・ナバス選手ががっちりとキャッチしたプレーです。
 この2本のシュートのどちらかが決まっていれば、ゲームは全く異なるものになっていたことでしょう。

 この2つの好機は、いずれもアンドレア・ピルロ選手のパスから生まれました。①から前半25分過ぎまではボールにタッチする機会が少なかったピルロ選手でしたが、30分を過ぎてから決定的なシーンを連続して演出しました。
 まるで「25分まではコスタリカチームの戦術やフォーメーションを見極めていた」かのようなプレー振りでした。さすがということでしょう。

 このピルロ選手率いるイタリアと、スアレス選手・フォルラン選手のウルグアイが決勝トーナメント進出を賭けて戦う6月24日のグループリーグ最終戦は、目が離せない大一番となりました。

 それにしても、10番のブライアン・ルイス選手や9番のジョエル・キャンベル選手、15番のフニオール・ディアス選手らを中心にスピード豊かなサッカーを展開するコスタリカチームの活躍には驚かされます。決勝トーナメントでもさらに上位に進出する可能性は十分にあると感じます。

 コスタリカチームは「世界を驚かせている」のです。
 [グループB オランダ3-2オーストラリア]

 オーストラリアチームは良いゲームを見せました。現状の実力を全て発揮したゲームであったと思います。

 特に前半の出来は素晴らしく、高い位置からの積極的な守備が功を奏して、オランダチームに殆ど仕事をさせませんでした。強いフィジカルと豊富な運動量が可能にした戦術であったと思います。
 オランダのメンバーやベンチスタッフには、少し驚いた様子が見られました。それ程のプレーだったのです。

 オーストラリアが押し捲っていた前半ですが、そうした中で、ワンプレーで得点してしまうのがオランダのアリエン・ロッベン選手です。

 前半20分、センターライン付近でボールをもらったロッベンはそのまま相手ゴール左サイドに突進、高速ドリブルです。そして、ペナルティエリア付近でシュート。これがオーストラリアゴール右側に突き刺さりました。
 本当に素晴らしいプレーでした。殆どボールを保持できないゲーム状況で、ひとりでドリブルしてひとりで得点するのです。何というパフォーマンスでしょうか。

 場内がロッベン選手のプレーに対する驚きでざわついている中、今度はオーストラリアのエース、ティム・ケーヒル選手が魅せました。

 ロッベンの得点から1分も経っていない前半21分、右サイドバックのマクガワン選手のクロスボールを、オランダゴール前でダイレクトシュート。これがゴールポスト水平部分に当たり、斜め下に落ちてゴール!

 こちらも、凄まじいシュートでした。ケーヒル選手の運動能力を如何無く見せたプレー。世界最高レベルのシュートでした。

 ロッベン選手とケーヒル選手のプレーに共通しているのは、「シュートが強くて正確」であることです。当たり前のことを書いて恐縮ですが、枠を捉える強烈なシュートは、誰でも打てるものでは無いことは、今大会の沢山のゲームにおいて再三見られることです。

 世界最高レベルのディフェンダーとゴールキーパーを相手にして、キッチリとゴールを奪うシュート力は、ワールドカップに出場するチームに不可欠なものなのだと感じます。

 このゲームは後半に入り、オーストラリアがペナルティキックで2-1とリードしましたが、オランダはファン・ペルシ選手のゴールで同点とし、デパイ選手のゴールで3-2と逆転して、そのまま押し切りました。
 オーストラリアチームの大健闘は、勝利には結び付きませんでしたが、スタンドを埋めた18,000人のオーストラリアファンを喜ばせるに十分でした。オーストラリアサッカー史に残るゲームであったと思います。

 また、このゲームは予想外の影響を次ゲームに残しました。オーストラリアのケーヒル選手とオランダのファン・ペルシ選手がイエローカードを受け、累積2枚となって、グループリーグ最終戦・第3戦に出場できなくなったのです。
 このゲームが真に激戦であったことを、如実に示す事象でした。
 横綱・白鵬のコメントです。

 6月15日のフジテレビ「ワンダフルライフ」のゲストは白鵬関でした。幼年期から現在に至る足跡をたどる番組でしたが、興味深い話がいくつも登場しました。

 特に印象的だったのが、掲題のコメントに繋がる下りでした。

 「関脇に上がるまでは毎日が楽しかった。時には横綱に勝てたりして、土俵に上がるのが楽しかったんです。」

 「大関に上がってからは、横綱と大関の番付は1枚しか違わないし、大した違いは無いだろうと思い、昇進しようと努力しました。周りからは『横綱になってみなければ分からない世界がある』と言われていましたが。」

 「ところが横綱になってみると、負けが込めば直ぐに引退・・・と考えてしまい、責任の重さは大関とは比較になりません。」
 
 「今29歳ですが、もし今大関なら横綱になろうとは思わなかったでしょう。大関なら8勝7敗を続けていればいいんですから。」といった流れの話であったと思います。

 横綱でなければ分からない世界というのは、言葉では表すことが難しいものであろうと重いますが、その一端を感じさせるコメントでした。

 そして、15歳・身長175cm・体重62kgで来日したモンゴルの少年が、14年の期間をかけて日本語を学び、日本文化に深く親しみ、日本伝統の大相撲を支える大黒柱となった関取から発せられたコメントであるだけに、心に沁みるものがありました。

 やはり、白鵬関は大相撲の宝というべきでしょう。
 [グループC ギリシャ0-0日本]

 ともに初戦を落とし、グループリーグを突破するためには絶対に負けられないギリシャと日本の対戦は6月19日に行われ、スコアレスドローに終りました。

 これで日本代表チームは0勝1敗1引分け・勝ち点1となり、僅かに可能性は残すものの決勝トーナメント進出は絶望的な状況となりました。とても残念です。

 このゲームはほぼ互角の内容でした。

 日本チームは、コートジボワール戦と比べればボールを良く動かしてギリシャゴールに迫りましたが、正直に言って「得点の匂い」はしませんでした。ワールドカップレベルのゲームでは、得点が入る前に「入りそうだ」という雰囲気というか、「独特の間」が存在します。

 プレーのスピード、相手チームとの関係等から生ずる雰囲気・間(ま)で、シュートの数秒前から直前までに感じられるものなのですが、このゲームの日本チームにはその感じは殆どありませんでした。前半37分にカツラニス選手がイエローカード2枚で退場し、11人対10人という数的優位を得た後も同様でした。

 その点では、ギリシャのコネ選手やトロシディス選手のプレーなどにはゴールの雰囲気がありましたから、強いて言えばギリシャが少し押していたゲームだったのでしょう。

 この結果、日本チームがグループリーグを突破する可能性は殆ど無くなりました。ゲーム後のインタビューでザッケローニ監督が「勝たなければならないゲームだった」とコメントしていたところにも、チームが追い込まれた状況が良く表れています。

 残念ながら日本チームは、第一戦・第二戦で結果を出すことが出来なかったのです。実力が不足していたのか、ゲームプランを失敗したのか、原因分析はこれからでしょう。

① コートジボワールが第三戦でギリシャに敗れ
② 日本がコロンビアに勝ち
③ 得失点差で上回る
 という条件を全て満たす結果を得ることは、相当困難なことは明らかです。実現するとすれば「奇跡」の類でしょう。

 こうした状況下でも、日本選手から「最終戦に勝って、突破を目指したい」というコメントが示されることについては、問題無しとしません。(リップサービスであろうとは思いますが)
そんな心持・決意では、コロンビア戦の勝利は覚束ないと感じます。結果を考えて戦う段階は第二戦で終わったのでしょう。

 実力的に明らかに上位のチーム相手に勝利を収めるためには、自らの最高のパフォーマンスをピッチ上で示していくしかありません。
 アジア地区予選を勝ち抜き、早々に本戦出場を決めたチームの実力を最大限発揮していくのです。

 ワントップに岡崎選手、その後ろに清武・本田・香川を配するザックジャパンのベーシックなフォーメーションで戦うべきではないでしょうか。大試合におけるザックジャパンの得点の源泉が、本田選手であることは明らかです。今大会も本田選手しか得点していません。極めて厳しい鬩ぎ合いの中で得点に結びつくレベルのシュートを放つ能力が、チーム内で最も高いプレーヤーが本田選手であることは、ゲームの結果が明確に示しています。

 その本田選手にラストパスを送るプレーヤーの数が多い程、得点の可能性は高くなると思うのです。

 6月24日のコロンビア戦、南米ブラジルで行われているワールドカップの南米地区予選を2位で勝ち上がったコロンビアを相手に戦うこのゲームは、「圧倒的なアウェイゲーム」でしょう。スタンドはコロンビアのチームカラーである黄色で埋め尽くされると思います。
 そのゲームで、勝ち負けなど考えることなく、日本代表チームの力を存分に示していただきたいと思います。

 頑張れザックジャパン!
 [グループD ウルグアイ2-1イングランド]

 ともに初戦を落とし、負ければグループリーグ敗退が決まってしまうウルグアイとイングランドのゲームは、6月19日にサンパウロ・アレーナで行われ、ウルグアイがスアレス選手の2得点の活躍で勝利を収めました。

 このゲームは「激戦」でした。今大会ここまでのベストマッチかもしれません。

 イングランドも初戦とは布陣を変更し、真ん中のトップ下にルーニー選手を据えて得点力アップを狙いました。ウルグアイもスアレス・カバーニの2トップという、破壊力抜群の布陣です。ただし、フォルラン選手はベンチスタートとしました。

 試合開始直後から、両チームはピッチを走り回りました。運動量が多かったのです。そして相手ゴールに迫ると、第二派、第三派と立て続けの攻撃が続きました。これは両チームに共通していましたので、5分毎に攻守が入れ替わる感じの試合でした。

 ウルグアイチームにとって、またこのゲームの帰趨にとってのポイントは、20日余り前に左膝の内視鏡手術を行い、初戦を欠場したルイス・スアレス選手の回復度合いでした。このゲームのスアレスは静かに始動した感じでしたが、前半20分を過ぎた頃から運動量を増加させたと思います。

 そして前半39分、左サイドからカバーニ選手がドリブルで上がり、相手ディフェンダーDFを引き付けてから、真ん中に走り込んだスアレス選手にパス。スアレス選手はこれを、「右に飛びながら、キーパーの左側にヘディングシュート」、これがイングランドのゴールキーパーGKジョー・ハート選手の動きの逆を突き、ゴールに吸い込まれました。

 素晴らしい、本当に素晴らしいゴールでした。何か、バスケットボールNBAのマイケル・ジョーダン選手のフェードアウトシュートを彷彿とさせるシュートでした。さすがに当代一の点取り屋の面目躍如です。

 この攻撃は、カバーニとスアレス2人によるもので、イングランドのDFは3人居ましたから、守備側の人数は足りていました。その状況でカバーニ選手は「ここしかない」絶妙のパスを出し、それをスアレス選手が「ここしかない」シュートを放ったのです。カバーニの極めて高い技術とスアレスの天才的な感性がマッチしたゴールでした。

 前半は1-0でウルグアイがリードして終了。

 後半も、両チームの動きの良さは変わりませんでしたが、1点リードした分だけ「ウルグアイチームが守備的」になりましたので、イングランドの攻撃時間が長くなりました。
 ルーニー選手やジェラード選手、ウェルベック選手、スタリッジ選手やスターリング選手が、代わる代わるウルグアイゴールに迫りますが、中々ゴールを割ることは出来ませんでした。

 特に後半9分のルーニーのシュートは、決定的というか何故入らないのか不思議なほどのチャンスでしたが、ウルグアイのGKムスレラ選手が好セーブ。
 ワールドカップを通じていまだ無得点のルーニーの運の無さも感じられるシーンでした。

 しかし、堅守速攻はウルグアイの十八番とはいえ、あまりに押し込まれる時間が長く、最終ラインもどんどん下がって来ましたから、いくらなんでも危ないだろうと観ていましたが、後半29分にゴール前に詰めたルーニーのシュートが決まりました。
 ワールドカップ初得点のルーニーは、左手を高々と上げて歓声に応えました。ワールドカップの1点というのは本当に重いものなのです。

 後半も30分を過ぎ、さすがに両チームに疲れも見え始めましたから、1-1引き分けの雰囲気も出てきました。そうなるとグループDは大変複雑な状況となり、最終第3戦の勝敗・得失点で、順位が大きく変動するなと考えていた後半39分、ウルグアイのGKムスレラのゴールキックが、センターサークル付近のカバーニ選手目掛けて蹴られました。

 しかし、ボールはカバーニを超えてイングランドのDFがヘディング、自陣ゴール方向にボールが飛びました。ここにスアレスが居たのです。前に走り出したスアレスは、ボールを確保、オフサイドはありません。そして、ペナルティエリア右サイドで右足を振り抜きました。
 ボールは、イングランドゴールに突き刺さりました。

 GKムスレラ→イングランドDF→スアレス→ゴールという、ウルグアイゴール前から10秒以内のゴールでした。

 このシュートも、GKハート選手の動きの逆を突いています。スアレス選手は動きの中で相手キーパーの動きを読んで打っていることになりますが、読むというよりは感じているのかもしれません。いずれにしても、その「決定力の高さ」には恐れ入ります。

 ルイス・スアレス選手の存在感というのは、本当に凄まじいものだと感じましたし、カバーニ選手の献身的な運動量も含めて、ウルグアイというチームの「しぶとさ」「勝負強さ」も改めて実感したゲームでした。
 
 6月25日のウルグアイ対イタリア戦がとても楽しみになりました。フォルランとスアレスの揃い踏みが観られるのでしょうか。

 ロサンゼルス・ドジャーズのクレイトン・カーショー投手(26歳)が、6月18日のコロラド・ロッキーズ戦に先発、9イニング107球を投げて、被安打0、奪三振15、エラー1、失点0の堂々たる内容で、ノーヒット・ノーランを達成しました。

 既に、2011年と2013年にサイ・ヤング賞(シーズン最優秀投手賞)を受賞し、2011年には最多勝利・最優秀防御率・最多奪三振の投手部門三冠を達成するなど、MLBを代表するピッチャーのひとりでしたが、ノーヒッターは今回が初めてでした。

 カーショーと言えば、調子が良い日には「分かっていても、かすりもしないカーブ」が絶対的な武器です。
 この日のノーヒッターも、ノーヒッター自体も凄いことなのですが、何と言っても「15奪三振」が見事です。最後のバッターも空振り三振でした。
 まさに「クレイトン・カーショー劇場」というところでしょう。

 この勝利で今シーズン通算7勝2敗としたカーショー投手ですが、カーショーにしては星が上がっていないのは、シーズン開始直後に肩の張りを訴えてDL(故障者リスト)入りし5月6日に復帰したためです。約1か月間を棒に振ってのこの成績ですから、今後の大活躍が期待されます。

 今年1月には、MLBの投手史上最高額となる7年総額2億1500万ドル(約219億円)で契約を更改し、「年俸30億円投手」と呼ばれていますが、その実力を存分に魅せた快投でした。

 リーグは違いますが田中将大投手と同い年(1988年生まれ)です。今年、所属チームと大型7年契約を締結したことも同じです。

 「ナショナルリーグNLのクレイトン・カーショー、アメリカンリーグALの田中将大」と言われるようなライバル関係が構築されることを期待するのは、少し我儘でしょうか。

 [グループB チリ2-0スペイン]

 アメリカのスポーツメディアのような見出しになってしまいましたが、将来2014年6月18日は、世界のサッカー界における「スペインの時代が終焉を迎えた日」と呼ばれるのかもしれません。2008年のユーロ優勝から続いてきた、ひとつの時代が終わったのです。

 グループリーグ初戦でオランダに大敗したスペインチームにとっては、第2戦チリとのゲームは「絶対に落とせない一戦」でしたが、結果は完敗でした。

 今後、たくさんの分析・論評が行われていくのでしょうが、本ブログでも「スペインサッカー転落の要因」をまとめておこうと思います。

① 主力プレーヤーの高齢化

 どんなに素晴らしいアスリートでも、加齢に伴う持久力の低下には抗えません。結果として、眼に見えない位の運動量の減少に結び付き、相手チームを上回る運動量を前提としたスペインサッカーの綻びに繋がったのでしょう。

② 得点力不足

 本ブログでは従来から、現行のスペインバスサッカーの得点力不足を指摘し続けてきました。この状況は2008年~2012年という全盛時においても同じであったのですが、「圧倒的な守備力でカバーしてきた」のです。

 何度も書いて恐縮ですが、2010年のワールドカップ南アフリカ大会、準々決勝・準決勝・決勝の3試合を、スペインチームは全て1-0で勝ちました。これは、長いワールドカップの歴史でも初めてのことでした。スペインチームは1試合に1点しか取れないチームなのですが、相手チームを0点に抑え込むことで、勝利を手にしてきたのです。スペインのパスサッカーは「相手にボールを渡さない」という究極のディフェンスサッカーなのです。

 2010年ワールドカップでのスペインの勝ちっぷりは「圧倒的な強さ」と評されることが多かったのですが、例えば決勝のオランダ戦、90分を戦って0-0、延長に入ってようやくイニエスタ選手のゴールで勝ったゲームを「圧倒的」と評するのは当たっていないでしょう。「薄氷を踏む勝利」という方が適切です。

 他方、2012年のユーロの決勝でスペインチームはイタリアを相手に4-0と、珍しく大量点を挙げました。私はこの時、スペインサッカーの変質を感じました。蝋燭が消える前の輝きにも似たものを感じました。本来、大量点が取れる筈がないサッカーであったものが、取れてしまったということは、10m内外の短いパスを繋ぎ続けるサッカーから、「時折長いパスを入れるサッカー」に変わっていたのです。長いパスを使えば得点力は上がりますが、相手にボールを取られるリスクも高まります。

 また、このチリとの一戦でも、「スペインゴール前での混戦の絵」が度々登場しました。本来のスペインサッカーなら「自陣ゴール前までボールを運ばせない」筈なのです。2008年のユーロや2010年のワールドカップで、スペインゴール前の混戦を観ることは殆どありませんでした。

 ところが、この試合では度々スペインゴール前でボールが細かく動きました。この段階で既にスペインのパスサッカーは機能していなかったのです。

 かつてサッカー選手であり、サッカーに造詣が深い友人は「スペインにはメッシが居ないから」と言います。
 シャビ選手、イニエスタ選手にメッシ選手の能力を加えると得点力が倍増するのは自然なことで、それがFCバルセロナのサッカーなのですが、メッシはアルゼンチン代表なのです。

 このチリとのゲームでも、スペインは何度もチリゴール前に迫り、決定的なチャンスを創りました。しかし、シュートを決めることが出来ませんでした。「決定力不足」という言葉が、スペインチームに向けられるとは思いませんでした。

③ 聞こえていた崩壊への足音

 昨2013年のコンフェデレーションカップ決勝で、スペインはブラジルに0-3で完敗しました。準決勝はイタリアと0-0からPK戦でようやく勝ち上がっています。
 この大会でも、準決勝・決勝で0得点と、スペインチームの得点力不足は深刻でしたが、それでも決勝はブラジルと互角のゲームを展開するであろうと見られていました。しかし完敗でした。

 ブラジルが「地元の利」を活かしたのか、スペインサッカー攻略の手法を見つけ出したのか、意見が分かれていましたが、今思えば既にスペインサッカーへの対抗策が構築されつつあったのでしょう。

 そして先日の、今大会グループリーグ初戦のオランダ戦。
 PKで1点をリードした段階で、スペインとしては1-0で勝ち切るという戦略を立てたでしょうし、これまではそうやって勝ってきました。

 ところが、ファンペルシ選手の華麗なダイビングヘッドで同点とされると守備陣が崩壊、ディフェンスラインの裏側を狙って次々にオランダチームの攻撃が続き、スペインはこれを阻止することが出来ませんでした。オランダは十分にボールを保持してプレーを展開し、大量5点を奪ったのです。

 とはいえ、事がここに到っても「まだまだスペインはやれる」との見方が有りました。そうした論調の報道も目立ちました。「完敗・大敗した相手は、ブラジルとオランダという強豪国なのだから、普通のチームを相手にすればスペインはまだまだ強い」という見方であったと思います。
 しかし、「ワールドカップは甘くない」のです。一度見つかってしまった穴は、容易には埋めることが出来ないのでしょう。ブラジルやオランダのようなビッグネームではないものの、実力十分なチリチームにも完敗を喫しました。

 2008年~2012年のスペインサッカーを「サッカーという競技における、ひとつの究極スタイル」とする見方が有ります。私もそう思います。「相手にボールを渡さないサッカー」は、負けないという点で究極ですし、素晴らしい戦法だと思います。

 そして、フィジカルで劣るチームは、スペインサッカーを導入すべきだという意見も数多く聞かれます。例えば、日本代表チームもスペインのようなサッカーをすべきだと。私は、この見方には賛成しません。「とても無理」だと考えるからです。

 「ひとつの究極のサッカー」を可能にしているのは、フォワードFWのイニエスタ、ビジャ、ダビド・シウバ、ミッドフィールダーMFのシャビ、シャビ・アロンソ、ブスケツ、ディフェンスDFのピケ、セルヒオ・ラモスといった「素晴らしいタレント達」です。
 目指すサッカーと、それを可能にする才能溢れるプレーヤー達が、同じ時期にスペインに存在し、チームを創ったということでしょう。

 スペインのパスサッカーは、「戦術と多くのタレントが融合」して出来上がっているものですから、真似をすれば出来るというものではないことは明らかです。真似をすれば出来るものが「究極」というのは、そもそも矛盾しているでしょう。

 もちろん、日本のみならず世界中のどの国でも、このスペインのパスサッカーを真似ることはできないでしょう。何より、2回の欧州選手権(ユーロ)と1回のワールドカップでスペインに名を成さしめ続けた強豪国の中に、スペインサッカーを取り入れている国が存在しないことが証左です。

 このスペインサッカーを象徴するゲームを挙げるとすれば、2008年ユーロ決勝と2010年南ア・ワールドカップ準決勝のドイツ戦でしょうか。両大会のドイツチームは、今大会のチーム同様に極めて強力な攻撃力を保持し、毎試合3~4得点というパフォーマンスを示して勝ち上がってきたのですが、スペイン戦では「本当に何もできません」でした。
 スコアはともに1-0でスペインが勝っています。この2つのゲームが、このスペインチーム・サッカーの結晶とも言えるものだと思います。

 私は、このスペインのパスサッカーをリアルタイムに観ることが出来たことを、とても幸せだと感じています。
 そして、このサッカーはこのメンバーが一人また一人とピッチを去っていくのと歩を同じくして、私たちの目の前からフェードアウトして行くものだとも思います。

 ちょうど、1970年ワールドカップのブラジルチームや、1972年ユーロ・1974年ワールドカップの西ドイツチーム、1974年ワールドカップのオランダチーム、1986年ワールドカップのアルゼンチンチームといった、史上最強レベルのチームと同じ運命なのでしょう。

 真に強いチームは、容易に継承することが出来ないということでしょうか。

 最後に、これまで素晴らしいサッカーを魅せてくれたシャビ選手やイニエスタ選手を始めとするスペインチームのメンバーの皆様に大きな拍手を送ります。
 ありがとうございました。
 6月17日の対トロント・ブルージェイズ戦に先発した田中将大投手は、104球・6イニングを投げて、被安打5、奪三振10、四球2で失点1の好投を見せて、ヤンキース3-1の勝利に貢献し11勝目(1敗)を挙げました。

 本当に素晴らしい活躍です。大袈裟に言えば「神がかり」な投球を続けている印象です。このゲームおよびここまでの田中投手の投球のポイントを列挙します。

① 調子が良くなくても6イニング・1失点の投球が出来ること

 この日の田中投手は、トロントの先頭打者ホセ・レイエス選手にホームランを浴びています。4回には先頭打者のフランシスコ選手を四球で出塁させました。先頭打者四球は、田中投手には珍しいことです。
 田中投手としてはコントロールが良くなく、甘いボールも多かったのでしょう。球数が多く、6イニングで104球を要したことからも伺えます。

 それでも1失点しか許さず、クオリティスタートを実現してしまうところが凄いところでしょう。調子が良ければ完投・完封し、調子が悪くともクオリティスタートというのですから、MLBの先発投手として完璧な投球を続けていることになります。

 「マー君が投げる時には打線の援護が有る」と言われますが、最近4試合のヤンキースの得点は、3点・2点・4点・3点です。決して大量点に守られての勝ち星ではありません。このところ調子が良くない味方打線が何とか取った得点未満の失点で、相手打線を抑え込むというピッチングが出来るというのは、見事という他はありません。

② デビュー以来の投球内容の素晴らしさ

 「勝利数11」は両リーグを通じてトップ、「防御率1.99」と「WHIP(1イニングに許す被安打・四球数)0.95」は規定投球回数に達している投手としてはアメリカンリーグALの1位、「奪三振113」はデビッド・プライス投手に次いでAL2位、「投球イニング数99.2」「与四球16」はAL3位と、投手に関する様々な項目でトップあるいは3位以内の成績を収めています。

 もの凄い成績です。これでルーキーというのですから・・・。

 そして、連続クオリティスタート(6イニングを3自責点以内に抑える)は14ゲームに伸びました。MLBトップの成績です。

③ 魅せる投球→5回表三者三振

 田中投手は、MLBの先発ピッチャーがやらなければならないことを整斉と実行している印象(それが凄いのですが)ですが、時々意図しないドラマティックな投球を魅せます。

 この試合では、5回表トロントの攻撃における三者三振の投球でしょう。
 先頭の2番打者メルキー・カブレラ選手、3番ホセ・ボティースタ選手、4番エドウィン・エンカルナシオン選手を連続三振に切って取った投球ですが、この3打者は、ブルージェイズの主軸打者であることは勿論として、現在のALを代表する打者でもあります。

 3人ともベテラン・バリバリのメジャーリーガーですし、この試合の前までにエンカルナシオン選手は20本塁打でAL2位、ボティースタ選手は15本塁打で同9位のロングヒッターなのです。

 トロントが誇る強力打線の中核を三者三振というのですから、恐れ入ります。

④ 日本人打者と初の対決

 意外なことに、MLBデビュー以降14ゲームに先発している田中投手ですが、これまで日本人打者との対戦はありませんでした。(近時日本人野手のメジャーリーガーが減少していることも要因のひとつでしょう)

 このゲームには、16日にメジャーに上がってきた川崎宗則選手・ムネリンが8番打者として出場していましたから、初の日本人対決が実現したのです。
 結果は、三振・三振・二塁ゴロと田中投手の完勝でした。

 マー君には抑え込まれたムネリンですが、9回の第4打席ではヤンキースのクローザー・ロバートソン投手から三塁打を放ち、気を吐きました。このまま、メジャーに定着していただきたいと思います。ムネリンの明るくて元気の良いプレーは、MLBのボールパークに似合っていると感じます。

 2013年の日本プロ野球NPBで魅せた24勝0敗1セーブという成績が本物であったことを、田中将大投手は2014年のMLBで証明しています。そして、ここに到って、メジャー最高水準の成績を残しつつあるのです。
 ここまで14登板で11勝ということは、シーズン32登板として25勝ということになります。「取らぬ狸の皮算用」と揶揄されそうですが、実現してしまいそうな気がするのも田中投手ならではなのでしょう。

 [グループA メキシコ0-0ブラジル]

 6月17日に行われたグループAのメキシコ対ブラジルのゲームは、スコアレスドローに終わり、両チームが勝ち点1を獲得しました。

 試合はフィールドプレーでブラジルが押していて、決定的なチャンスもブラジルの方が多かったと思いますが、その劣勢部分をメキシコチームのゴールキーパーGKギジェルモ・オチョア選手がファインセーブ連発でカバーし、五分五分のゲームとなった形です。

 特に素晴らしかったのは、前半のネイマール選手のヘディングを止めた動き。ゴールに向かって左端へのヘディングもクリーンヒットしましたが、横っ飛びでこれを弾いたオチョア選手の動きは見事でした。

 ブラジルチームはメキシコゴールの枠内に、計8本前後のシュートを放ちましたから、前述のネイマールのヘッドが決まっていれば、大量得点の可能性もあったゲームだと思います。

 このヘディング以外のブラジルチームのシュートは、おおむねオチョアの正面付近に飛びました。もちろん、正面付近にシュートが飛ぶということは「オチョアのポジショニングが良かった」ことに他なりませんから、全てファインプレーということになります。
 左右に軽業師のように飛びながら敵のボールをセーブするのは派手に見えますが、キャチミスやパンチングミスのリスクも高まりますので、当然ながら最も良いのは「正面でボールを処理すること」です。

 優秀なゴールキーパーは、ポジショニングが上手いのです。

 前半のブラジルの猛攻を、GKオチョアの好プレーで凌いだメキシコは、後半に入り反撃に転じました。フォワードFWのドスサントス選手やオチョア選手がブラジルゴールに迫り、試合終盤にはミッドフィールダーMFのグアルダド選手や、交替で入ったFWのヒメネス選手がチャンスを創りました。

 後半は、メキシコチームのシュートも何本かブラジルゴールを脅かしましたが、そこはブラジルのGKジュリオ・セザール選手のファインセーブで失点には到りませんでした。ゲームセットまで集中を切らすことが無かったセザール選手のプレーも見事でした。
 このゲームは、両チームのGKのプレーが目立つ試合だったことになります。

 オチョア選手は、フランスリーグのACアジャクシオに所属する28歳。ACアジャクシオは1910年創立の歴史を誇るチームですが、1部と2部を行き来する中堅のチームでもあります。このゲームでの活躍により、ビッグクラブからのオファーが有るかもしれません。
 ワールドカップは、そういう場でもあるのです。

 試合時間残り10分を過ぎてからは、両チームとも「負けない=失点しない」ことを基本にしたゲームを展開しました。
 久しぶりに、「ワールドカップの1次リーグらしい展開のゲーム」を観た気がします。

 ブラジルとしては、このゲームも勝利して勝ち点3を加え、決勝トーナメント進出に向け有利な状況を構築したかったのでしょうが、相手チームのGKが当たっている(オチョア選手は試合後のインタビューで「私にとって生涯最高のプレー」とコメント)ゲームでしたから、終盤には「負けない」ゲームに切り替えたように感じます。最低限の成果=勝ち点1を確保しました。

 一方のメキシコとしては、残されているクロアチアとのゲームに向けて、勝ち点を4に伸ばしたことには大きな意味があります。グループリーグ第3戦=最終戦を残して、勝ち点3と勝ち点4では、選択できる戦術の幅に大差が生まれるのです。
 「1位通過の可能性を残しながら、2位通過の可能性を広げた」引き分けでした。

 当然ながら、ワールドカップのゲームで1勝を挙げることは、常に大変難しいことです。それは、優勝候補で開催国のブラジルチームにとっても同じであることを示した、見応え十分なゲームでした。
 [グループG ドイツ4-0ポルトガル]

 6月16日に行われたグループG注目の対戦は、ドイツがポルトガルを4-0で下しました。世界ランキング最上位に位置する両チームの対戦としては一方的な内容となりました。

 本ブログでも指摘して来ていますが、ワールドカップにおけるドイツチームの1次リーグというかグループリーグにおける強さは圧倒的です。素晴らしい運動量を背景にした「どこからでも得点できる」サッカーが、大きな威力を発揮するのですが、ポルトガルチーム相手でも、その強さは不変でした。

 ワントップにトマス・ミュラー選手を据えて、ミッドフィールダーMFにメスト・エジル、フィリップ・ラーム、トニ・クロース、マリオ・ゲッツェの4プレーヤーを配する攻撃陣は連動性も抜群で、個々のプレーヤーの個性も活かせる形です。

 このゲームでは、ミュラー選手がハットトリックを達成しました。2010年南アフリカ大会ではMFとして出場しながらも得点王に輝いたプレーヤーです。もともと「独特の得点感覚」を保持していますから、思いもよらない動きからゴールをゲットするのです。

 トマス・ミュラー選手は、今後もドイツチームのカギを握るプレーヤーであろうと感じます。

 ところで、このゲームでは「大天才の点取り屋」ミロスラフ・クローゼ選手がベンチを温めました。

 現在、ゴール前でボールに触ることが出来れば、世界で一番高率でゴールを決めることが出来るプレーヤーを温存したのです。
 クローゼ選手が故障しているという情報はありませんし、大会前の親善試合でも高いパフォーマンスを示していましたから、意図的に出場させなかったということになります。どのような狙いがあるのでしょうか。

① 36歳となったクローゼ選手の体力消耗を防いだこと

 大抵のプレーヤーは年齢と共に持久力が低下していくので、「切り札的なプレーヤー」を温存するのは戦略のひとつでしょう。日本対コートジボワール戦でも、コートジボワールの切り札ドログバ選手は後半半ばにピッチに登場し、大活躍を見せました。

 加えて、クローゼの温存には、前回大会、前々回大会とベスト4で敗退したドイツチームの反省があるように感じます。
 2010年南アフリカ大会準決勝でスペインに敗れた後のインタビューで、クローゼ選手は「スペインのパス回しに対応して動かされてしまい、早々にスタミナを奪われて後半は動けなくなった」とコメントしていました。クローゼが動けなくなったことと、ドイツの得点力が低下したことはリンクしていると思います。そして、この疲労はこのゲームのみで蓄積されたものでは無く、準々決勝に勝ち上がる過程のゲームの影響も大きかったのでしょう。

 ひょっとすると、グループリーグの緒戦からトップギアで走ってしまう「ドイツ人気質」を踏まえて、切り札を決勝トーナメントまで温存するつもりなのかもしれません。

 ちなみに、グループリーグに出場しないことによる、クローゼ選手のコンディショニングについては、全く心配不要でしょう。既に、ワールドカップ歴代2位の14得点を挙げているプレーヤーですから、ぶっつけ本番でも十分にその能力を発揮できると思います。

② クローゼ抜きでも勝てると踏んだこと

 この点には、ベンチワークというか、ヨアヒム・レーヴ監督の自信が伺えます。縦に走らせた方が、より威力を発揮するタイプのミュラー選手をワントップに据えても勝てるという読みは、見事に当たりました。
 その意味では、ポルトガルチームとしては相当残念な敗戦とも言えるのかもしれません。

 さて、いつものように華々しくドイツチームが発進しました。

 2002年日韓大会以来の決勝進出、1990年イタリア大会以来の優勝を目指して、優勝候補の一角は順調なスタートを切ったのです。

 [グループF アルゼンチン2-1ボスニア・ヘルツェゴビナ]

 6月16日に行われたグループFの初戦、アルゼンチン対ボスニア・ヘルツェゴビナの一戦は、アルゼンチンが2-1で勝ちました。

 このゲームは、全体としてほぼ互角の内容であり、ボスニア・ヘルツェゴビナチームにも十分に勝つチャンスがあったと感じます。

 特に気になったのは、アルゼンチンチームのゲーム運びでした。

 アルゼンチンサッカーといえば「パスを繋ぎに繋いでゴールまで運ぶスタイル」です。

① 自陣ゴール前から8~9本のパスを繋ぎゴールを挙げるサッカーなのです。「パスサッカー」といっても、スペインのものとはやや異なり、「パスが意思を持った一本の線のようにピッチに描かれ、糸を引くような連続プレーの後、ボールがゴールに吸い込まれる」ものですから、11人のプレーヤーが有機的な連動を魅せますので、決まった時の美しさは芸術的とさえ言えるレベルなのです。
 個人技中心のブラジルサッカーとは異なる独特のチームプレーが特徴なのです。

② また、敵ゴール前で十分にシュートを打てる体制になったプレーヤーが必ず「もう一本短いパスをする」というのも、アルゼンチンサッカーの特徴です。「相手チームを完全に崩してからゴールしたい」という意思というかサッカー文化の表れではないかと感じます。

 ところが、こうしたアルゼンチンサッカーが、このゲームでは殆ど見られませんでした。とても不思議な感じでした。

 そもそも、3-2-3-2のフォーメーションでスタートしたと放送されていたアルゼンチンチームでしたが、画面には「5バック」の姿が目立ち、5-3-2のフォーメーションのようでした。

 5バックは極めて守備的なフォーメーションです。5人で固く守り、攻撃は前方の3人のミッドフィールダーと2人のフォワードが担当するという戦術。5バックが攻撃に参加する機会は、とても少なかったように見えました。

 もちろん、もともと3バックが守備的な体制ですから、変化形として5バックが敷かれることは想定されることなのですが、アルゼンチンのような「華麗な攻撃サッカー」を標榜するチームとしては、珍しいフォーメーションでしょう。

 そして、極めて守備的な5バックを継続することは、攻撃と守備が分業されることとなり、頭書①のアルゼンチンらしいサッカーが観られないことに繋がります。得点力は半減するでしょう。
 実際、ゲームにおける決勝点となったメッシ選手の得点も、チームとしての連動というよりは、メッシの個人技による得点でした。

 私は、5バックはアルゼンチンチームに向いていないと考えます。
 何より、ゲーム終了5分前にボスニア・ヘルツェゴビナに得点を許したシーンが如実に示しています。守りに徹していても失点してしまうのですから。

 開催国枠のブラジルが居ない南米予選をトップで通過したアルゼンチンの本番でのプレーが、このゲームのような「堅守・速攻」であるとしたら、それは本来のアルゼンチンサッカーを封印しての戦いのように感じます。

 アルゼンチンは何とか初戦をものにしましたが、今後ボスニア・ヘルツェゴビナより攻撃力が強いチームと当たった時、こうしたサッカーで戦っていけるのか、とても心配です。

 そして、こういうサッカーはアルゼンチンに求められているものとは異なると思います。

 「攻撃が最大の防御」というのが、アルゼンチンサッカーのDNAでしょう。次戦からは、チーム全体がひとつのシュートに向かって連動・躍動する本来のプレーを、是非展開していただきたいと思うのです。

 [グループD イタリア2-1イングランド]

 6月15日に行われたグループDのイタリア対イングランド戦は、イタリアチームがバロテッリ選手のヘディングシュートで挙げた勝越点のリードを守り抜き、初戦を勝利で飾りました。

 「死の組」におけるビッグネーム同士の一戦でしたが、イングランドは惜しくも敗れました。

 イングランドの得点は前半37分、左サイドでパスを受けたルーニー選手がドリブルで突進、ゴール前に走り込んだスタリッジ選手に見事なパスを通し、スタリッジ選手はワンタッチで押し込むというゴールでした。美しいゴールでした。

 この時のウェイン・ルーニー選手のプレーは、ドリブルのスピード、パスのコントロール・スピード・タイミング共完璧。
 ゲーム終了後、何度も録画を再生し、何度も「凄い」と呟きました。ルーニー選手のフィジカルの強さ、テクニックの高さを如何無く発揮したプレーであったと思います。

 一方で、このゲームにおいては、ルーニー選手はこのプレーまでは殆どボールにタッチする機会が無かったように観えました。

 後半になると、多少テレビに映る機会が増え、惜しいチャンスも何度かありましたが、ゲーム全体を観ると、イングランドチームはルーニー選手の力を十分に活用したとは言い難いと感じます。
 フィジカルが強いフォワードプレーヤーとしてのルーニーの存在感は、世界的に見ても屈指のレベルでしょう。イングランドとしては、この能力を活かさない手は無いと思います。

 死の組と言われるグループDは、本命ウルグアイがコスタリカに完敗しましたから、一層大混戦になりました。イングランドにも決勝トーナメント進出の可能性が十分に残されています。

 6月20日のウルグアイ戦は大勝負です。

 ウェイン・ルーニーが数多くボールにタッチする戦術・戦法を採用することなくして、イングランドの勝利は無いように思います。
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カエサルjr

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