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HOME   »  2014年11月09日
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 毎年11月3日に開催される全日本剣道選手権大会は、いつも私に大きな感動をもたらしてくれますが、剣道という競技には、他の競技とは明らかに異なる特徴があると思います。
 全日本選手権大会のルールに則って、見て行きましょう。

1. 試合時間10分、延長戦は無制限

 試合時間は10分間・2本先取です。どちらかの選手が1本取っている状態で10分が終了すれば、当該の1本を取っている選手の勝ちとなります。

 1本対1本、あるいは0本対0本の状態で10分が過ぎれば、延長戦に突入します。この延長戦は「時間無制限・1本勝負」です。

 このルールの明快さが素晴らしいと思うのです。

① 10分間通しは相当長いこと

 他の格闘技に比べて、本戦の10分間通しという試合時間は長いと思います。例えば、ボクシングやレスリングなら3分間の繰り返し、柔道なら5分間が一般的です。
 剣道が、ボクシング・レスリング・柔道などと比べて、「時間当たりの消費エネルギー量が少ない=疲れない」競技だとは考えられませんので、10分間通しのプレーというのは相当負担が重いと見られるでしょう。

 従って、試合時間が5分を過ぎた頃から、さすがの剣士達にも疲れが見え始めます。この辺りから、試合は次のステージに入るのです。
 疲れる前に勝負をつけようとか、疲れが見えてから勝負に入ろうとか、その併用とか、様々な作戦が存在します。

② 時間無制限の延長戦

 本戦の10分間で勝負が決しない時には、「どちらかが1本を取るまで、休むことなく、時間無制限」で試合が行われます。本戦の10分間でも、相当に疲労していますから、延長戦は双方疲れ切った状態での試合が続きます。
 激闘と呼ぶに相応しい戦いとなりますし、スピード・技術・体力に優れた最高のアスリートである剣士同士の戦いですが、そう長い時間がかかることなく勝敗が決するのです。

 「10分間+時間無制限」という、単純明快さは他の競技にはなかなか見られないルールでしょう。

2. 会場に時計=試合時間の経過を示すツール、がないこと

 前項の通り、本戦の試合時間は10分間ですが、その試合時間を示す時計が試合場に無いのです。

 つまり、選手は10分間を「体内時計」で把握しなくてはならないということです。試合における体力の配分や、例えば前半3分間で勝負、ラスト3分間で勝負といった作戦も、自らの時間感覚で対応していかなくてはならないということになります。

 これも素晴らしいことだと思います。

 現在の他の格闘技の多くは、試合場に秒単位で表示される時計が有り、選手はそれを観ながら、残り時間等を把握して戦います。コーチやセコンドが残り時間を大声で知らせることも珍しくありません。しかし、剣道にはそれが一切ありません。試合時間経過を知らせる場内放送・鐘やブザー音も、もちろん無いのです。当然ながら、観客も自らの方法で時間経過を把握しなくてはなりません。

21世紀のスポーツとして、凄いことだと感じます。
 
3. 試合中のコーチ他の指導・情報提供が無いこと

 前項・前々項とも関連しますが、剣道会場においては試合場の横からコーチの大きな声が聞こえることはありませんし、本戦から延長戦に入る時にコーチと相談することも出来ません。

 「戦いは己ひとり」で行うことが、徹底されているのです。武道としての剣道、命のやり取りを行う状況・環境を維持しているのではないかとも思います。
 練習・修練の段階では、先生やコーチの指導も大変大きな意味を持つのでしょうが、試合はひとりで、徹底してひとりで行うものであるという、剣道競技の精神は、とても日本的なものだと感じます。

 観客席からの大声の声援もとても少なく、もちろん、鳴り物による応援などは考えられません。
試合中に良いプレーや惜しい技があると、場内には静かに拍手が沸き起こります。同僚選手も、拍手をしています。「グッドプレーには拍手という競技」なのです。

4. 反則の取り扱い

 例えば、試合中に「竹刀を落す」という反則を犯すと、2回で相手選手に1本が与えられます。とても明快なルールです。

 おそらく、剣道の本質からすると「竹刀を落した時点で1本」としたいところなのではないかと思います。真剣による立合いなら、剣を落とした時点で相手に切られる可能性は相当高いからです。大袈裟に言えば「剣は剣士の命」でしょうから、それを手から離してしまうというのは、あってはならないことなのでしょう。
 ちなみに、剣を落とした時に「走って逃げるという概念」は、日本武道には存在しません。卑怯な行動は、日本文化において最も忌み嫌われることだからです。

 「場外反則」も同様です。真剣による立合いなら、川っ淵に追い込まれたり、壁に押しつけられたりしたら、相当不利な状況になることでしょう。勝敗に大きな影響を与える事象には、大きな制裁が課されるのです。
 従って、剣道の試合で場外際に押し込まれた際、剣士は決して下がりません。メンやコテなどで1本を取られること以上に、「場外」を避けようとしているかのように見えます。

 「反則2回で1本」というルールは、剣道が近代スポーツとなって行く過程で、真剣勝負とスポーツの折衷案として導入されたのではないでしょうか。

 以上の様に、1970年から世界選手権大会が実施され、参加国数も40か国以上になり、相当にメジャーなスポーツに発展した現在でも、剣道競技には武道としての精神が随所に生きていると感じます。

 この日本武道の伝統に裏打ちされた「独特のルール」「競技の在り様」が、スポーツとしての剣道の世界普及の最大の要因となっているというところが、最も素晴らしいことなのでしょう。

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