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 11月1日に行われる全日本大学駅伝競走2015について、11月30日の朝日新聞朝刊に大変興味深い特集記事が掲載されていました。 

 前々から感じていたことにスポットを当てた記事であったと思います。

 記事では、今回の大会に出場する25大学(2つの選抜チームを除く)の登録選手全325人(各校13人×25)の出身地を分析しています。多い順に並べてみます。

① 兵庫県 26人
② 愛知県 20人
③ 北海道・埼玉県・京都府・鹿児島県 14人
④ 栃木県 13人
⑤ 大阪府 12人

 となっています。

 兵庫県出身者の内訳を見ると、西脇工業高校出身者が10人、市立尼崎高校から4人、報徳学園高校から3人、となっています。
 愛知県では、豊川工業高校から5人、愛知高校から4人、豊川高校から3人となっているのです。
 西脇工業、報徳学園、豊川工業の各校が、全国高校駅伝大会の常連校であり強豪校であることは、ご承知の通りです。

 こうしたリストの中に、全国トップの高校数である東京都の名前が有りません。

 優勝を争うであろう有力大学の登録選手を見てみます。各大学13人の登録です。

[青山学院大学]
 東京都出身ランナーは0人。東京都を除く関東地域出身ランナー(以下同じ)が1人(栃木県)。

[駒澤大学]
 東京都2人、関東地域0人。

[明治大学]
 東京都1人、関東地域1人(埼玉県)。

[東洋大学]
 東京都0人、関東地域4人(埼玉県3人、栃木県1人)

 という結果です。

 今大会の有力チーム=箱根駅伝の有力チームの4大学を見ても、東京都出身のランナーは3人しか居ません。

 高校野球の甲子園大会予選を見ても、東西の地域計で約300校を擁する東京都は全国で最も高校数の多い地域です。
 その、高校生アスリートが最も多いエリアから、長距離ランナーが生まれていないということになるのでしょう。

 また、この傾向は神奈川県・千葉県にも当てはまりそうです。神奈川県や千葉県にも、とても沢山の高校が存在するのですが、前述の4大学には1人のランナーも登録されていません。

 そのことの良し悪しはともかくとして、こうした現象には理由がある筈です。考えられる理由を、順不同で挙げてみます。

① 野球・サッカー等の他の競技にアスリートが取られてしまう。
② 東京都・神奈川県・千葉県の高校生は「駅伝・長距離走」といった地味な競技を好まない。
③ 都会には、長距離走の練習場所が不足している。
④ 指導者が不足している。
⑤ 東京都・神奈川県・千葉県の高校では、駅伝に力を入れていない。

 何れも、関連の有る項目ですが、こういった理由が考えられるのでしょう。

 「あまり自分の高校のPRに役立たない」という見方から、駅伝競技や陸上競技には力を入れない高校が多く、結果として「駅伝・長距離走の指導者を集めること」はせず、結果として「好成績を挙げることができず」、結果として「生徒も興味を持たない」、といった循環が生まれているのかもしれません。

 日本の駅伝競技の草分けである「箱根駅伝」の優勝は、東京都に在る大学チーム間で争われることが多いのですが、そのランナーには東京都・神奈川県・千葉県の高校出身の選手が殆ど居ないという実態が、この記事により明らかになりました。

 「箱根駅伝は大学駅伝の華だから、全国から選手が集まってくるのは当然」という見方もあるでしょうし、一理あるとも思います。

 一方で、「本来ならマラソンや長距離走で日本一・世界一を目指すことが出来る人材」が、東京や神奈川・千葉の高校に行ったために他の競技に取り組んでしまい、時には埋もれてしまうという可能性も有りそうです。

 それは、もったいないことの様な気もします。
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 11月1日、東京競馬場芝2000mコースで開催される、第152回天皇賞(秋)競走G1の注目馬検討です。

 スピードと持久力を兼ね備えた馬でなければ、なかなか栄冠を勝ち取れないレースです。

 また、前半のペースが遅くなると、4角からヨーイドンのレースになってしまい、上り3ハロン32秒台の脚を持つ馬なら、どの馬にもチャンスが生まれる、波乱含みのレースでもあります。

 今年は、G1レースで圧倒的な力を誇る有力馬が存在しませんから、もともと混戦の様相を呈しています。
 18頭のフルゲートとなった理由のひとつも、そこにあるのでしょう。

 大レースの実績から観れば、昨年の日本ダービー馬・ワンアンドオンリーや皐月賞馬・イスラボニータ、天皇賞(秋)の勝ち馬・スピルバーグが上位ということになるのでしょうが、この3頭の近時の成績は、いまひとつです。

 特に、天皇賞(秋)2014でジェンティルドンナを破って快勝したスピルバーグが、その力を維持していれば本命になっていたところでしょうが、2015年に入ってからの走りには精彩がありません。

 中距離と長距離の中間に在る「府中の2000m」における「今後の主役」を探るレースというところでしょうか。

 さて、注目馬です。

 第一の注目馬は、4枠8番のラブリーデイ。
 キングカメハメハ産駒の5歳牡馬。既に24戦しています。3歳・4歳時は、G1レースでは力不足という印象でしたが、ここにきて重賞3連勝、前々走はG1宝塚記念にも勝ちました。
 5歳になって、一皮剥けた感じの走りを見せています。前走G2京都新聞杯(2400m)も素晴らしい末脚を見せて勝ちました。東京2000mを勝つに十分なスタミナとスピードを示したのです。
 ピークを過ぎていないかは心配ですが、ここを勝つようなら実力は本物と言うことでしょう。

 第二の注目馬は、5枠9番のエイシンヒカリ。
 ディープインパクト産駒の4歳牡馬。こちらも3連勝中です。
 前走G2毎日王冠は、東京コースの直線で粘り強い脚を披露しました。G1レースでの実績は有りませんが、ここまで9戦して8勝という抜群の安定感を見せています。
 まだG1では厳しいかなとも感じますが、レースを使う毎に強くなっている印象ですので、調子の良さに期待したいと思います。

 第三の注目馬は、2枠3番のサトノクラウン。
 Marju産駒の3歳馬。G1レース経験という点からは、常に同期のトップを争って来た馬として十分なものがあります。
 今年の皐月賞と日本ダービーで、あのドュラメンテの6着・3着とまずまずの成績を残していますから、力量は上位。久しぶりで「息が持つのか」という心配は有りますが、面白い存在でしょう。
 
 今回は、以上の3頭に注目します。

 何しろ「混戦」ですから、他にもショウナンパンドラ、イスラボニータ、スピルバーグ、ペルーサといった、「一発」有りそうな馬が目白押しです。

 残り200mからの競り合いが楽しみです。
 10月29日に行われた、日本シリーズ2015の第5戦、ソフトバンク・ホークスがヤクルト・スワローズを5-0で破り、通算成績を4勝1敗として、今シーズンの日本チャンピオンに輝きました。
 ソフトバンクは、球団史上初めての日本シリーズ連覇でした。

 「他球団との力の差」を見せ付けたシーズンでした。

① パシフィックリーグのペナントレースで独走

 ご承知の通り、ペナントレースでは「悠然たる」戦い振りを見せて、早々に優勝を決めました。

② プレーオフでは8戦して7勝1敗

 クライマックス・シリーズのファイナルステージでは3連勝、日本シリーズに入っても4勝1敗ですから、「負ける気がしない」戦いが続いたのではないでしょうか。

 投手力・打力共に、他の球団を圧倒する力を魅せました。

③ プレーオフ唯一の敗戦は「記録的なゲーム」

 大混戦であったセントラルリーグのペナントレース2015を制した、ヤクルト・スワローズも、その持てる力を精一杯発揮したシリーズであったと感じました。決して、ヤクルト・スワローズが不調であった訳ではないと思います。

 そのヤクルトが唯一勝利したシリーズ第3戦は、山田哲人選手の「3打席連続本塁打」という、日本シリーズ史上初の快挙が生まれた試合でした。

 こうした過去に例が無い程の活躍が有って初めて勝利できる、逆に言えば、過去に例が無い程のプレーを見せなければ、現在のソフトバンクには歯が立たない、ということなのでしょう。

④ 「常に優位」という雰囲気・試合運び

 今シリーズの大事な局面においては、常にソフトバンクのプレーヤーが「精神的優位」に立っていたように観えました。

 ソフトバンクの攻撃・チャンスの時には、ヤクルトのピッチャー陣が追い込まれた様子になり、ソフトバンクの守備・ピンチの時には、ヤクルトのバッター陣が追い込まれた様子でした。
 「心の余裕」に大きな差が有ったのでしょう。

 過去の日本シリーズでも、これ程の「心の余裕の差」が感じられたシリーズは無かったように思います。

 過去、長期間に渡って最強チームの名を欲しい儘にした、読売ジャイアンツや西武ライオンズの全盛時でも、感じられなかった程の「差」でした。

 2015年シーズンにおける福岡ソフトバンク・ホークスと、他の11球団との力の差は、日本プロ野球史上最大のものであったのかもしれません。
 イギリス・グラスゴーで開催されている、体操の世界選手権大会は10月28日に男子団体種目の決勝を迎え、順位が目まぐるしく変わる大混戦の中、日本チームが金メダルを獲得しました。
 本当に僅差の勝負でした。

 各チームが最終種目を迎えて、トップは日本チーム、アメリカチームが続き、中国チームは3位でした。
 予選をトップで通過した日本チームは、この日も堅実な演技を続けてきましたが、残り2種目となってから失敗が目立つようになり、追い上げるチームが好演技を連発したことから、2番手・3番手・4番手のチームとの差がどんどん詰まりました。

 残り2種目となった平行棒においては、田中佑典選手がよもやの落下。そもそもこのレベルの大会で、平行棒種目で落下すること自体が珍しいことです。
 日本チームのエース格である田中選手が落ちるのは考えにくいことでしたから、「久しぶりの悲願の優勝」に向けて、日本チームも固くなっていることが伺われました。

 6連覇中の中国チームは、「いつものように」決勝に入って順調に得点を伸ばしてきました。アメリカチームも健闘していました。地元のイギリスチームもミスを最小限に抑えて、得点を積み重ねていました。

 そして、最終種目を迎えたのです。

 日本と中国が鉄棒、イギリスは床でした。

 ここで意外なことが起こりました。
 中国チームが鉄棒でミスを重ねたのです。

 一方で、イギリスチームは好演技を連発します。最終演技者も見事な、ほぼ完璧な演技を披露して高得点を叩き出し、イギリスが中国を追い抜きました。
 金メダルを目指す日本チームのライバルは、イギリスチームに代わったのです。

 とはいえ、日本チームの最終演技者は内村航平選手でしたから、安心して観ていました。
 「絶対エース」、世界大会の経験も十分な内村選手であれば、日本のお家芸でもある鉄棒種目において、完璧な演技を魅せて「大会を締めてくれる」と信じていたのです。

 ところが、その内村選手が落下したのです。
 驚きました。「見たことも無い光景」と感じました。

 落下の際に内村選手は、相当強くマットに叩きつけられましたから、演技の継続も心配されましたが、内村選手は起き上がり演技を継続しました。

 この「落下後の演技」が見事でした。

 全ての演目をキッチリと熟し、着地もピタリと決めたのです。
 内村航平というプレーヤーの、本当の強さを魅せていただいた感じがしました。

 日本チームというか、全ての選手の最終演技者であった内村選手の得点は、なかなか出ませんでした。
 14点以上の得点が示されれば、日本チームの優勝ですが、何しろ「落下」しているのですから、13点台が出ても何の不思議も有りません。
 日本チームの選手達も、心配そうに発表を待ちました。

 14点台半ばの得点が示されました。日本チームの金メダル獲得を示すスコアでした。
 世界選手権では37年振り、オリリンピックを含めても11年振りの金メダルでした。

 日本チームの皆さんは飛び上がりながら喜びを表現します。
 当の内村選手は、他のメンバーより1~2秒遅れて笑顔になりました。少しはにかんだ様な笑顔でした。まさに「ほっとした」表情だったのでしょう。

 金メダル決定後のインタビューで内村選手は「また課題が見つかった」とコメントしました。

 落下は、内村選手に肉体的・精神的に大きなダメージを与えるものであったと思われますが、内村選手はそのダメージを跳ね返して素晴らしい演技を続けました。その「落下後の演技の内容・クオリティの高さ」に、世界NO.1プレーヤーとしての内村航平選手の能力の髙さが表れていました。

 そして、「絶対王者」と呼ばれながらも「また課題が見つかった」とコメントするところに、「飽く無き向上心・探究心」も感じられました。

 内村航平選手は、本当に凄いアスリートなのです。
 2015年のラグビー・ワールドカップ・イングランド大会の決勝は、ニュージーランドとオーストラリアの対戦となりました。
 11月1日、トゥイッケナム・スタジアムで行われる決勝戦の見所を検討してみたいと思います。

① 初の決勝カード

 20世紀後半から、常に世界のラグビー界を牽引してきた存在であり、共に2度の最多優勝を誇る両チームですが、意外なことにワールドカップの決勝で戦うのは初めてです。

 1987年の第一回大会ではオーストラリアが準決勝で敗れ、第二回大会ではニュージーランドが準決勝で敗退といった具合に、オールブラックスとワラビーズが揃って決勝に進出することが無かったのです。不思議な感じがします。

② 共に4度目の決勝進出

 ニュージーランドは、第一回・第三回・第七回大会で決勝に進み2勝1敗、オーストラリアは、第二回・第四回・第五回大会で決勝を戦い、やはり2勝1敗となっています。

 ニュージーランドが決勝で敗れたのは第三回大会で、南アフリカに12-15、オーストラリアが決勝で敗れたのは第五回大会で、イングランドに17-20、共に「延長戦」の末準優勝に甘んじました。
 ロースコアのゲームで、勝ち切れなかったという形でしょう。

③ 決勝戦での戦い振り

 ニュージーランドは、第一回大会を除くといずれも3点差以内のゲームとなっていますし、各ゲームの得点は12点以下です。

 オーストラリアも第四回大会をのぞくと6点差以内のゲームとなっていて、各ゲームの得点は17点以下となっています。

 両チームとも決勝戦では「負けないラグビー」に徹している印象です。ワールドカップのタイトルは、かように重いものなのでしょう。

 一方で、早めに大きな差を付けたゲーム(第一回・第四回大会決勝)では、自在な攻めから30点前後の得点を挙げて快勝しています。

 以上の過去の戦績を考慮すると、今大会の決勝戦は、両チームともに「慎重に入る」と観られます。
 
 試合開始直後は、リスクを取った大胆な攻撃は行わず、エリアマネジメントに徹しながら、相手の様子を見る時間帯が続くことになりそうです。

 共に素晴らしいフランカー陣によるボールの取り合いが展開され、ロック陣も最先端のプレーを展開してくれることでしょう。一進一退が続くと見ます。

 こうした睨み合いが続く中で、局面を大きく動かす可能性があるプレーヤーとしては、ニュージーランドは11番サヴェア選手と12番ノヌー選手、オーストラリアは11番ミッチェル選手と15番フォラウ選手だと思います。

 特に、ゲームを左右しそうなのはオーストラリアのフルバック・フォラウ選手の出来でしょう。

 故障した脚の状態は、少なくとも準決勝では思わしくなく、得意のランプレーを披露することなく交替してしまいましたが、徐々に回復している筈ですので、コンディションが決勝戦までに相当回復するようなら、ワラビーズの「切り札」になる可能性があります。
 決勝戦最大の注目プレーヤーと観ています。

 準決勝の戦い振りを観ると、ワラビーズの調子が上がってきている印象ですが、ベテランを揃えたオールブラックスは「ワラビーズを知り尽くして」いますから、互角の戦いと観るのが妥当です。

 その互角の戦いの中で、今大会における「精神的な疲労」がやや少ないと思われるオールブラックスが、終盤の競り合いで抜け出して、4点差以内(予想スコアは17-15)で勝ち切るのではないかと考えています。
 日本競馬において、2年連続で天皇賞(秋)と有馬記念を優勝した馬は、シンボリクリスエスしか居ません。

 また、1984年から2000mとなった(前年までは3200m)天皇賞(秋)を連覇したのは、現在に至ってもシンボリクリスエスしか居ません。

 加えて、2003年にはこの2つのレースを共に「レコード勝ち」しています。

 シンボリクリスエスは、日本競馬史上屈指の強豪馬なのです。

 1999年1月にアメリカで生まれ、日本で調教を受けた外国産馬であったシンボリクリスエスは、皐月賞には間に合わず、青葉賞を勝って日本ダービーに駒を進めました。

 2歳時の重賞レースには縁が無かったクリスエスでしたが、この日本ダービー2002でタニノギムレットに次いで2着に入りました。
 クリスエスが、同期トップクラスに躍り出たレースでした。

 秋緒戦の神戸新聞杯で、ノーリーズンに2・1/2馬身の差を付けて圧勝しました。
 陣営は、シンボリクリスエスの血統を考慮したのか菊花賞には向かわず、天皇賞(秋)に照準を絞りました。

 3歳の若駒が、いきなり古馬の一線級と矛を交えることとなった訳ですが、クリスエスは前年の菊花賞馬ナリタトップロードを3/4馬身抑えて優勝。初のG1タイトルを物にしたのです。
 素晴らしい快走でした。

 シンボリクリスエスは、勢いをかってジャパンカップに臨みました。1番人気でしたから、日本馬陣の大勝格であったことになります。
 クリスエスは、このレースでも大健闘を魅せ、優勝したファルブラブ、2着のサラファンからハナ・クビ差の3着でした。
 ゴール前、「僅かに末脚が甘くなったところ」を、世界の強豪古馬に突かれたという印象のレースでしたが、堂々たる内容であったとも思います。

 3歳にして、天皇賞(秋)・ジャパンカップという「非常に厳しく疲れが残り易い」大レースを連戦したシンボリクリスエスでしたが、敢然と有馬記念にも出走しました。
 「走り過ぎではないか」と思ったことを憶えています。

 ファインモーションに次ぐ2番人気の有馬記念2002でしたが、レースではタップダンスシチーとの競り合いを制して優勝しました。
 
 3歳にして、天皇賞(秋)、有馬記念を勝ち、ジャパンカップでは日本馬としての最先着の3着と、堂々たる成績を残したシンボリクリスエスは、この年の年度代表馬に選出されました。

 4歳となったシンボリクリスエスは、前年秋→冬の連戦の疲労残りを考慮したのか、春競馬では走らず、6月の宝塚記念にぶっつけで出走、1番人気でしたがヒシミラクルの5着に敗れました。
 生涯で3着以内を確保できなかった唯一のレースとなりましたが、さすがに、6ヵ月間休養後にいきなり宝塚記念というのは、厳しかったのでしょうか。

 シンボリクリスエスの次戦は11月の天皇賞(秋)でした。
 4歳・古馬となったクリスエスは、「足慣らしのレース」無しでG1競走に挑戦し続けたことになります。

 前走の宝塚記念から4ヶ月ぶり、その前が6か月空いていたこと、この年2戦目、と不安材料が並びましたが、ファンはシンボリクリスエスを1番人気に押しました。
 
 シンボリクリスエスは1番人気で走ることが多かった馬でした。
 その堂々たる体躯とレース振りから、ファンが支持するサラブレッドだったのでしょう。

 天皇賞(秋)2003のシンボリクリスエスは、完勝でした。
 2着のツルマルボーイに1・1/2馬身差を付けて、1分58秒0のレコードタイムで駆け抜けました。
 ツルマルボーイは、この頃、自身の最強の時期を迎えていたと思いますが、相手が悪かったという感じでしょうか。

 天皇賞(秋)を連覇したシンボリクリスエスは、3歳時と同様にジャパンカップに挑戦して来ました。
 ここでも1番人気となったのですが、タップダンスシチーの大駆けの前に3着に敗れました。
 ジャパンカップでは「2年連続3着」に終わったシンボリクリスエスですが、不思議とこのレースには縁が無かったというところでしょうか。

 そして、2年連続で有馬記念にも出走して来ました。
 3歳と4歳の2年連続で、天皇賞(秋)→ジャパンカップ→有馬記念というローテーションで走った馬というのも、多くは無いと思います。相当厳しいローテーションなのです。

 有馬記念2003は、歴史的なレースとなりました。
 シンボリクリスエスが9馬身差のレコードで優勝したのです。
 中山競馬場の直線では、2番手以下の馬との差は広がるばかり。文字通りの圧勝でした。

 鞍上の世界的ジョッキー、オリビエ・ペリエが「自分が乗った馬の中では、パントレセレブルに匹敵するベストホース」だと評するほどの強さでした。パントレセレブルは、凱旋門賞やフランスダービー、パリ大賞典などに優勝した歴史的強豪馬です。

 この天皇賞(秋)・有馬記念の連覇が評価され、シンボリクリスエスは、2003年も年度代表馬となりました。2年連続の年度代表馬受賞も中々見られない偉大な記録です。

 シンボリクリスエスは、このレースを最後に競走馬を引退し種牡馬となりました。

 種牡馬になってからの活躍もご存知の通りですが、菊花賞とジャパンカップを制したエピファネイア、安田記念優勝のストロングリターン、フェブラリーステークスの勝ち馬サクセスブロッケンなどなど、産駒の活躍が続いています。
 年を追う毎に、重賞ウイナーが増えている印象も有ります。

 シンボリクリスエス号、父Kris S(クリス・エス!)、母Tee Kay、母の父ゴールドメリディアン、母の父の父シアトルスルー(アメリカ三冠馬)。通算成績15戦8勝、2着2回、3着4回。

 安定した成績を残す一方で、「強い時には滅法強い」のがシンボリクリスエスでした。

 530kg前後の雄大な黒鹿毛の馬体が躍動した、天皇賞(秋)・有馬記念が忘れられません。
 [10月25日・準決勝・トゥイッケナムスタジアム]
 オーストラリア29-15アルゼンチン

 凄まじい攻め合いでした。

 試合開始からの10分間、両チームはフルスロットルで攻め合いました。
 走り回り、パスを繋いで、相手ゴールを目指したのです。

 その攻め合いを優位に進めたのは、ワラビーズでした。

 試合開始早々の前半1分、アルゼンチンゴール前でインターセプトからのトライ。ロックのシモンズ選手でした。
 続いて前半9分、アシュリー・クーパー選手がチーム2つ目のトライを挙げました。
 キッカーのフォーリー選手もしっかりとゴールキックを決めました。

 前半10分までにオーストラリアチームは14-3とリードしました。

 「勝敗の帰趨は概ね決まった」と感じました。このレベルのゲームでの「11点差」は大きいのです。
 この後の70分間で、両チームは点を取り合うでしょうが、この11点差が物を言って、オーストラリアチームが勝ち切る可能性が極めて高いと思いました。

 アルゼンチンチームは、その持ち味であるランニングラグビーで試合開始早々にオーストラリアチームを圧倒しようとしたのでしょう。自らの長所を活かしていこうとするのは、世界トップレベルの戦いにおいては大切なことです。

 そして、オーストラリアも受けて立ちました。
 準々決勝のゲームでは、グループリーグ「死の組・A組」を戦ってきた疲れが感じられましたが、このゲームの開始直後、フレッシュな状態では、本来の動きが観られました。
 アルゼンチンに負けないスピードとパワー溢れる攻撃を展開したのです。

 この10分間の両チームの攻め合いは、運動量といい前進するパワーといい、今大会一のぶつかり合いでした。
 ボクシングで言えば、壮絶な打ち合いというところでしょう。

 両チームには「出血するプレーヤー」が続出しました。鼻血を出すものは数知れず、鼻の穴に綿の様なものを詰めています。その他の部位から血を流しているプレーヤーも居ます。
 両チームの数多くのプレーヤーのユニフォームは、血に染まりました。

① ターンオーバーの多発

 この時間帯、両チームのフォワード陣の頑張りから、ターンオーバーの応酬となりました。スピードとパワー溢れる「フィッシングプレー」が続いたのです。

 攻め合いの中で両チームは、「攻撃の継続」に力を尽くしましたから、プレーが長く続きます。なかなか切れないのです。

 結果として、ボールが止まった場面で、味方プレーヤーのフォローが間に合わないことも多く、相手プレーヤーの「ジャッカル」が成功したのです。
 「こんなに飛ばしてスタミナが持つのだろうか」と心配になる程のプレーの応酬でした。

 前半24分、オーストラリアチームの反則から、ニコラス・サンチェス選手のPGが決まり、アルゼンチンチームが14-6と追い上げました。
 今大会ここまでの得点王であるサンチェス選手のキックの安定感は、このゲームでも際立っていました。「外すことなど考えられない」という感じです。

② アシュリー・クーパー選手の3トライ

 ワラビーズは、このゲームで4つのトライを挙げました。
 中でも、14番ウイングのアシュリー・クーパー選手は3トライと気を吐きました。

 前半31分、追い上げられたオーストラリアチームが、クーパー選手のトライで19-6と再びリードしたのです。

 結局のところ、このゲームはトライを挙げたオーストラリアが勝ちました。
 アルゼンチンは、PG5本での15得点に留まったのです。

 素晴らしいスピードを活かした、ランニングラグビーが持ち味であったアルゼンチンチームですが、このゲームではノートライだったことがこのゲームを象徴しています。
 決して、アルゼンチンの攻撃の切れ味が鈍かった訳ではないのですが、オーストラリアの守備が勝ったということでしょう。

③ ワラビーズの守備最終ライン

 ランニングスピードと、巧みなフォーメーションで、一気に相手守備ラインを突破するアルゼンチンの攻撃は、このゲームでも健在で、度々オーストラリアの第一次防衛ラインを突き抜けました。

 これまでのゲームでは、そのままトライに結び付けてきたのです。今大会のアルゼンチンチームの高い得点力の源泉となってきたプレーです。

 ところが、このゲームでは、ワラビーズの「守備最終ライン」が良く機能していました。
 一次防衛ラインを、素晴らしいスピードで突破してくるアルゼンチンのプレーヤーを、22mライン付近で止め続けたのです。見事な守備フォーメーションと、プレーヤーの働きでした。

④ 後半15分からのゲームの膠着

 後半14分に、サンチェス選手が「いつものこと」の様にPGを決めて、22-15とアルゼンチンが追い上げ、7点差に迫ってから、ゲームは膠着状態に入りました。

 試合時間残り25分という、普通なら「まだまだ、これから何が起こるか分からない」という時間帯から、ゲームは突然「得点が入らない」状態に変貌したのです。

 さすがの両チームのプレーヤーにも、疲れが観え(試合開始直後からあれだけ飛ばしたのですから無理も無いところ)、運動量が低下したことが主因であろうとは思いますが、オーストラリアチームの守備力が如何なく発揮される試合展開となりました。

 途中交代で入ってきたアルゼンチンのフレッシュなプレーヤーの前進を、ギリギリのところで止め続けました。今大会NO.1と評されるワラビーズのディフェンスが威力を発揮したのです。

 逆に、後半31分、11番ミッチェル選手の巧みなステップによる大きな前進から、14番クーパー選手の、このゲーム3つ目のトライが生まれ、オーストラリアチームが29-15とリードを広げました。
 2トライ2ゴール差となって、勝敗は決しました。

 この時のミッチェル選手の突進は素晴らしいものでした。
 グラウンドの左サイドから、右サイドに横に走りながら前進するプレーでしたが、疲れの見えるアルゼンチンプレーヤーをひとりまたひとりと交わして、20m以上は前進しました。
 見事な技術とスピードを魅せた、今大会のベストプレー候補でしょう。

 11番と14番という2人のウイングプレーヤーで捥ぎ取ったトライは、ワラビーズ攻撃陣の決定力を如実に示すものでした。

 ゲームは、このまま29-15でオーストラリアが勝利しました。

 残り5分から、アルゼンチンチームはトライを取るために波状攻撃を続けましたが、オーストラリアチームの守備は崩れませんでした。
 オーストラリアの「前に出る守備」のために、アルゼンチンのプレーヤーは得意とする「走りながらのプレー」を行うことが出来ず、止まった状態でパスを受け続けますから、持ち味が活きなかったのです。

 ワラビーズは、前半10分までの攻め合いを制して得た「11点差」を持って、ゲームを終始支配し続けました。
 会心の勝利であったと感じます。

 一方のアルゼンチンチームは、持ち味であるランニングラグビーで初の決勝進出を目指しましたが、プレー毎の最も大事な瞬間の競り合いで僅かに及ばなかったというところでしょう。彼我の差は、とても小さいと思います。

 トゥイッケナムスタジアムを埋め尽くした8万大観衆の7割以上はアルゼンチンチームを応援していました。サッカーのスーパースター、ディエゴ・マラドーナ氏も応援し続けていました。
 しかし、悲願の決勝進出は残念ながらなりませんでした。

 とはいえ、「一瞬のスピードでゲインラインを大きく切って行く」というアルゼンチンラグビーは、観ていてとても面白く楽しいもので、今大会を最も沸かせたチームであったとも思います。
 南半球の強豪チーム、オールブラックス・ワラビーズ・スプリングボックスとの歴年の戦いの中で、編み出されてきた戦法であろうと思いますが、このラグビーを完成させていけば、決勝進出・ワールドカップ制覇も夢では無いでしょう。

 ワラビーズは、12年振り4度目の決勝進出を果たしました。

 11月1日の決勝はオールブラックスとワラビーズの対戦となりましたが、「番狂わせが極めて少ない」ラグビーという競技において、現在実力1・2を争う両チームの決勝進出は、とても順当なものでしょう。

 そして、「手の内を知り尽くしたチーム同士」のハイレベルな決勝戦となることも、間違いないところだと思います。
 week6を終えて6連勝と快走するデンバー・ブロンコスの攻撃の中心は、今シーズンもクォーターバックQBペイトン・マニング選手です。

 ペイトン・マニング選手といえば、インディアナポリス・コルツ時代からNFL屈指のQBの名を欲しい儘にしてきた名プレーヤーですし、NFL史上に残る素晴らしいQBであることも間違いありません。

 そのマニング選手の今シーズンのプレイコールが、とても面白いのです。
 QBの前に位置するC(センタープレーヤー)がボールをスナップするタイミングや攻撃陣全体の始動を指示するコールですが、今シーズンは「オ・マ・ハ」と叫びます。

 短めに「オマハ」と言ってみたり、ゆっくりと「オ・マ・ハ」と言ってみたり、時には言わなかったりします。

 QBのプレイコールには、相手チームに「攻撃の始動」を悟られない為に様々なバリエーションがあるものでしょうから、そのコールの内容・構成は秘中の秘なのでしょうけれども、それにしても「オマハ」というのは面白い。

 「何のおまじない」なのかとも思ってしまいますし、「オマハ」という言葉をペイトン・マニング選手が、いつ仕入れたのか、発見したのか、何故使用することにしたのか、興味深いところです。
 既に、NFLで最も有名なQBのひとりであるペイトン・マニング選手が、話題作りの為にやっている訳ではないでしょう。

 QBのプレイコールには、相手守備陣の反則を誘う意味もあります。
 「オマハ」の声に惑わされて?、相手チームがオフサイド系の反則を犯すこともあります。
 しかし、ゲーム全体としては従来のコールと比べても、相手チームの反則が増えているようには見えません。

 加えて、今シーズンここまでのデンバーの攻撃陣は、昨シーズにと比べて「あまり機能していない」印象です。得点が上がっていないのです。
 マニング選手自身のプレーとしても「らしくない」プレーが随所に観られます。

 「オ・マ・ハ」の効果は、まだ上がっていないというところでしょうか。

 「オ・マ・ハ」が、今シーズンのデンバー・ブロンコスに栄冠を齎すコールとなるかどうか、注目したいと思います。
 [10月24日・準決勝・於トゥイッケナムスタジアム]
 ニュージーランド20-18南アフリカ

 南アフリカチームが6PGで18点を挙げましたが、ニュージーランドチームが2トライを挙げて押し切ったゲームでした。

 現時点の戦力では、正面から挑んではオールブラックスに及ばないと判断したスプリングボックスが、終始巧みな試合運びを魅せて、互角の展開に持ち込んだゲームだったと思います。

 ワールドカップの決勝トーナメントでは、「極めて手堅い」試合運びを見せるオールブラックスの傾向が、このゲームでも出ましたが、勝ちに拘ったマネジメントがこのゲームでは功を奏して勝ち切ったというところでしょう。

 以下、順不同の雑感です。

① 反則を最小限に抑えた南アフリカチーム

 南アフリカチームは、特に前半、特に自陣での反則を最小限に抑え込みました。それは見事なものでした。

 ラグビーの世界では「規律が取れている」と呼ばれる試合振りですが、オールブラックスの再三のアタックに対して、どうしても犯しがちな反則を、前半は全くと言っても良い程犯さなかったというのは、ある意味では驚異的なことでしょう。

 これに対して、ニュージーランドは前半、自陣で反則を数多く犯しました。
 そして、南アフリカのキッカー・ポラード選手は、PKショット4本を悉く決めました。このレベルのゲームでは、PKは「入るか入らないか」というものではなく、「全部決めるか、1本外すか」というものなのでしょう。

 前半は、4PGの南アフリカが12-7とリードして折り返しました。

② 最適な人員配置を図った南アフリカ

 ラグビーのゲームにおいては、プレーヤー・人員というリソースの最適配置が重要ですが、このゲームの南アフリカは見事なマネジメントを魅せました。

 例えば、「ボールを取りに行かないと決めたラックプレー」には1人の選手も参加させませんでした。
 ニュージーランドチームが「2人のプレーヤーで構成」しているラックに対して、南アフリカは1人も行きませんから、残りのプレーヤーの人数は、ニュージーランド13人に対して南アフリカが15人となります。

 南アフリカは、その人員をラックサイドやラインのディフェンスに充当することで、強力なニュージーランド攻撃陣のアタックに備えたのです。

 こうしたシーンが、随所に観られました。見事なマネジメント、フィフティーンへの徹底であったと感じます。

③ ラインアウトで優位に立ったニュージーランド

 このゲームにおいては、南アフリカボールのラインアウトにおいて、ニュージーランドがスティールするプレーが再三見られました。
 南アフリカの受け手の少し投げ手側に位置するニュージーランドのプレーヤーが飛び上がり、ボールを確保・カットするプレーです。

 当然ながら、南アフリカの投げ手が個々のラインアウト毎にどのプレーヤーに投ずるかは、ニュージーランドのプレーヤーには判らないのですから、こうしたスティールプレーは極めて難しい筈なのですが、再三にわたってニュージーランドが成功していました。
 世界最高レベルのゲームにおいては、なかなか観られるものでは無く、不思議でさえありました。
 オールブラックスは、スプリングボックスのラインアウトを研究し尽くしていたのでしょうか。

④ ハイパントとグラバーキックを多用したニュージーランド

 このゲームのオールブラックスは、ハイパント戦法とグラバーキックを多用しました。

 バックスにボールを回したプレーにおいて、相手プレーヤーの裏側にグラバーキックを蹴るのは、五分五分の状況を作り出すために有効な戦法ということで採用したのであろうと思われます。

 一方で、ハイパント戦法は「相手チームにボールを渡してしまう」という意味で、こうしたハイレベルなゲームでは、あまり使われなくなった戦法という感じがしていましたが、このゲームにおいては、「正確な(距離と時間)ハイパント」と「(パントを蹴った位置からの)勇気ある突進と高度なキャッチ技術」から、相当の確率でニュージーランドチームがマイボールにしていました。

 高いレベルであれば、ハイパント戦法も有効というか、エリアマネジメントの点からもとても有効な戦法であることが証明された形です。
 ボールを横に回していく際に、パスして行く過程で、ノックオンやインターセプトのリスクを負うより、ハイパントの方が確率の高い戦法との判断であったかもしれません。

 「絶対負けられないゲーム」におけるオールブラックスの選択であったのでしょう。

⑤ 2トライを挙げたニュージーランド

 このゲームでは、南アフリカはノートライでした。一方でニュージーランドは2トライ。
 戦略の違いも有るのでしょうが、トライを取り切る力という点からは、ニュージーランドチームの方が上回ったということでしょう。

 前に出て、相手陣を破壊し切る力ではニュージーランドが勝ったのです。
 南アフリカとしては、この力で今大会はニュージーランドに分があるとの判断から、PGだけで勝つ戦略を選択したのかもしれません。

⑥ オールブラックスの「守り切るマネジメント」

 後半28分に、南アフリカのパット・ランビー選手(ダニエル・カーター選手との交替)がPGを決めて20-18と追い縋りました。

 このプレーの後、ニュージーランドチームは「この2点差を守り切る」戦略に切り替えたように観えました。
 「手堅い戦法で得点できるチャンス」が来れば、点を取りに行くが、それ以外は「相手に得点をさせない」プレーに切り替えたのです。

 試合時間が10分以上残っている段階での「切り替え」でしたし、2点差はひとつのミスで逆転されてしまう僅差なのですが、さすがにオールブラックス・フィフティーンはキッチリとやり切りました。
 マイボールとなれば、直ぐに相手陣深く蹴り込み、エリアマネジメントを展開したのです。

 試合時間残り4分頃からは、ニュージーランドは相手陣でのプレーを続けました。
 南アフリカという、世界屈指のチームに対して、終始ゴール前に押し込んだ状態でのゲームを継続できるというのは、ニュージーランドチームならではなのかもしれません。

 以上、雑感でした。

 前述のように、ニュージーランドチームは「負けないゲーム」を展開した形です。20-18の2点差ゲーム以上の差が、このゲームの両チームには存在したように感じます。
 「攻め捲ることにより発生するリスクを回避する」という、ワールドカップ・決勝トーナメントにおけるオールブラックスの戦い方が如何なく発揮されたゲームでした。(私などは、無類の攻撃力を誇るオールブラックスなら「点の取り合い」に持ち込んだ方が、より高い確率で勝てそうな気がするのですが)

 この「戦い方」を実践し、しっかりと勝利を捥ぎ取れるということ自体が、今大会のオールブラックスのチーム力の高さを示しているのでしょう。

 史上初の2連覇・史上最多3度目の優勝を目指して、オールブラックス2015の挑戦が続きます。
 アメリカンリーグALのリーグ・チャンピオンシップゲーム第6戦は、カンザスシティ・ロイヤルズがトロント・ブルージェイズを4対3のスコアで破り、通算成績を4勝2敗として、ALチャンピオンに輝くと共に、ワールドシリーズへの進出を決めました。

 ロイヤルズは2年連続のワールドシリーズ進出となり、昨年の雪辱を期して「世界一」を目指すこととなります。

[ALチャンピオンシップ・シリーズの経過]
・第一戦 ロイヤルズ5-0ブルージェイズ
・第二戦 ロイヤルズ6-3ブルージェイズ
・第三戦 ブルージェイズ11-8ロイヤルズ
・第四戦 ロイヤルズ14-2ブルージェイズ
・第五戦 ブルージェイズ7-1ロイヤルズ
・第六戦 ロイヤルズ4-3ブルージェイズ

 シリーズ全般を通して、ロイヤルズの投手陣がブルージェイズの強力打線を良く押さえ込んだという印象でした。

 ロイヤルズにとっては緒戦・第二戦を連勝したことが物を言ったのですが、この2ゲームでブルージェイズに3点しか与えなかった、逆に言えばトロントは3点しか取れなかったのです。
 レギュラーシーズン中も、強力打線が「打ち勝ってきた」ブルージェイズですので、これでは苦戦を免れません。

 特に、レギュラーシーズンで41ホームラン・123打点と活躍した2番ドナルドソン選手の今シリーズにおける不振が響きました。
 「ここでドナルドソンに一発が出れば」というシーンで、悉く凡退したのは、とても残念なことでした。

 さて、カンザスシティは去年に続いてのワールドシリーズです。
 2014年はワイルドカードからの快進撃でしたが、2015年は地区優勝からの見事な進出です。

 オールスターゲーム2015では、各ポジションでロイヤルズのプレーヤーの得票が伸びました。ファンによる「集中的な投票」が要因であろうと言われましたが、こうして2年連続でワールドシリーズ進出を実現したことを見ると、本当にチーム力が上がったという印象です。

 ロイヤルズは、2015年のALの堂々たるチャンピオンなのです。

 ニューヨーク・メッツとのワールドシリーズでも、「攻守のバランスの良い」チームとして、素晴らしいゲームを展開してくれるものと感じます。

 10月27日から始まるワールドシリーズのポイントは、メッツのホーム・シティフィールドで行われる第一戦・第二戦の試合内容でしょう。
 この2ゲームで、ロイヤルズがメッツの先発陣に抑え込まれるようだと、ロイヤルズにとっては苦しいシリーズになってしまいます。

 10月27日1回表のカンザスシティの攻撃、1番のエスコバー選手と2番のゾブリスト選手がどのようなバッティングを見せるかが、シリーズの行方を占うものになるような気がします。
 NFL2015~16のレギュラーシーズンもweek6を終えて、1/3を越えました。

 今シーズンは、ここまで全勝のチームが多い一方で、全敗のチームが無いという形に成っています。
 トップを快走するチームの後に、多くのチームが団子状態で追っているということですから、今後の展開次第では、まだ相当数のチームにプレーオフ進出のチャンスが有るということになるのでしょう。

[アメリカン・フットボール・カンファレンスAFC]
・ニューイングランド・ペイトリオッツ 5勝0敗(東地区)
・シンシナティ・ベンガルス 6勝0敗(北地区)
・デンバー・ブロンコス 6勝0敗(西地区)

[ナショナル・フットボール・カンファレンスNFC]
・グリーンベイ・パッカーズ 6勝0敗(北地区)
・キャロライナ・パンサーズ 5勝0敗(南地区)

 以上の様に、全8地区の内5地区で全勝チームが存在するのです。

 安定した戦い振りを魅せているのは、パッカーズとペイトリオッツでしょうか。
 クオーターバックQBアーロン・ロジャースとトム・ブレイディを中心とした攻撃陣が機能している上に、守備陣も健闘しています。この2チームは、これからも安定した戦いを続けるのではないでしょうか。

 今季、チーム状態がとても良いのがベンガルスとパンサーズでしょう。シーズン開幕前の準備が上手く行き、一気の開幕ダッシュを見せています。今後対戦するチームは、両チームのプレー内容を十分に検討した上で臨んでくると思われますから、それを超える新プレーの展開が必要だと思います。

 期待通りの快進撃とはいえ、今季のブロンコスの戦い振りには驚かされます。
 QBペイトン・マニングを中心とした攻撃陣は、なかなかその力を発揮することが出来ず、パス・ランともに不完全燃焼です。得点力が低いのです。
 一方で、「驚異的な守備力」を示しているのです。まるで、昨シーズンのシーホークスのような迫力です。
 ブロンコスは、ここまで守備陣の頑張りで全勝をキープしています。今後、攻撃陣が本来の力を発揮できるようなら、「鬼に金棒」のチームとなることでしょう。

 他方、全勝チームが存在しない地区は大混戦となっています。

 AFC南地区は、コルツが3勝3敗で首位、テキサンズが2勝で続いています。QBアンドリュー・ラックを中心としたコルツの攻撃は、とても不安定な状態が続いていますから、AFC南地区は、シーズン終盤までもつれる展開となるでしょう。

 NFC東地区に至っては、さらに大混戦です。
 イーグルスとジャイアンツが3勝で並び、カウボーイズとレッドスキンズが2勝で追うという展開。各チームの試合毎の出来不出来が激しいという感じですから、今後も熾烈な争いが続くことでしょう。

 NFC西地区は、シーホークスの不調が混戦を生んでいる形でしょう。
 カーディナルスが4勝で首位に居ますが、シーホークス、ラムズ、49ersとの力の差は殆ど無いと思います。
 シーホークスの強力守備陣が眼を覚ますのは、いつのことになるのでしょうか。

 また、NFC南地区のファルコンズは5勝1敗、AFC東地区のジェッツは4勝1敗と好調です。パンサーズ・ペイトリオッツとの首位争いは注目されます。

 NFL2015~16シーズンも中盤に入りました。
 全勝チームの快走が際立つシーズンとなっていますが、全敗のチームが居ないことから、まだまだ多くのチームにチャンスが残されているシーズンとも言えるでしょう。

 個人的には、AFC西地区のオークランド・レイダーズとNFC東地区のダラス・カウボーイズの大反攻に期待しています。
 10月25日に京都競馬場芝3000mコースで行われる、第76回菊花賞競走G1の注目馬検討です。

 近時の菊花賞は、トライアルレース神戸新聞杯G2で好走した馬が良い成績を残す傾向があります。ローテーションやレースの性質が、本番に向けてのとても良いステップレースとなっているということでしょう。

 もちろん、個々の神戸新聞杯のレース内容がポイントとなるわけですが、今年の神戸新聞杯は「強い馬がキッチリと走った」印象がありますので、その結果は信頼して良いと思います。

 従って、

 第一の注目馬は、8枠17番のリアファル。
 神戸新聞杯のレース振りは、力の無い馬ではとても出来ないものでした。春のクラシックレースには間に合いませんでしたが、秋になって見事に本格化した印象です。
 2着馬に2馬身差を付けたことといい、ここまで8戦して4勝、2着2回、3着1回、4着以下1回という安定感も買えます。
 勝ち負けの勝負が出来る軸馬でしょう。

 第二の注目馬は、6枠11番のリアルスティール。
 神戸新聞杯はリアファルに完敗しましたが、3着以下には2馬身以上の差を付けて力の差を示しました。
 日本ダービー2015・4着、皐月賞2015・2着と、同期トップクラスの走りを見せてきていますので、ここでも上位に食い込んでくる可能性が高いと思います。

 さて、神戸新聞杯の1・2着と3着以下には力の差が感じられましたので、3頭目の注目馬は、他のレースから発掘することにしましょう。
 一長一短で、とても難しい選定ですが、

 第三の注目馬は、4枠8番のミュゼエイリアンにしましょう。
 前走セントライト記念G2は、ゴール前の大混戦の中2着を確保しました。皐月賞7着、日本ダービー10着とG1の経験は十分。
 あっと驚くレースを魅せた父スクリーンヒーローに母の父エルコンドルパサーという血統に期待したいと思います。
 京都の直線で、粘り強い脚を見せてくれるのではないでしょうか。

 今回は、以上の3頭に注目したいと思います。

 圧倒的な力を誇った二冠馬ドゥラメンテ不在の菊花賞ですから、基本的には「混戦」ということなのですけれども、リアファルが世代トップクラスに躍り出るレースになるかもしれません。
 今大会のタックルプレーにおいて、ボールに直接行く形が時折観られます。

 もともと、ラグビー競技におけるタックルプレーは、「ボールを保持している相手プレーヤーの動きを止めるため」に、ボールキャリアに向かって「バインド」していくものです。

 腕で相手プレーヤーを捕まえに行くバインドプレー無しに、ただプレーヤーにぶつかって行くプレーは反則となります。

 これまでは、まず相手プレーヤーの動きを止めて、その保持するボールを取りに行くというプレーが主体だったのです。

 ところが今大会では、始めから「ボールを狙って手や体を使う」プレーが増えているように感じます。

 こうしたプレーで「相手プレーヤーのファンブル」や「ノックオン」を狙っているようです。

 このようなプレーは、アメリカンフットボールのプレー、NFLのプレーで多く観られるものに似ています。
 このアメフトのプレーを参考にして、ラグビーにおいても行われるようになったのでしょうか。

 アメリカンフットボール競技においては、ボールキャリアがボールをファンブルすることは、直ぐにターンオーバーに結び付く可能性が高いプレーですから、極めて効果的なプレーということになります。
 NFLにおいては、全くバインドせず、ボールに直接ぶつかっていく、あるいはボールを掻き出す、プレーが多く観られるのも道理でしょう。

 一方で、ラグビー競技ではルールの違いから、ファンブルしたとしても、時にはタックルを行ったプレーヤー側のノックオンになったりしますから、アメフトに比べて「不確実性の高いプレー」ということになりそうです。導入に向けては注意が必要なプレーということになるのでしょうか。

 アメフトに比べて、「ボールを落とさせる角度」等、難しいプレーということになりそうですが、とはいえターンオーバーに向けてはひとつの有効な方策ですから、「ボールに直接行くタックル」がラグビーにおいて増加することが予想されます。「ボールを掻き出そう」としたり、「腕をボールに絡ませていく」プレーが増えてくるのでしょう。

 当然ながらこうしたプレーは、アメフトに比べてまだ発展途上に観えます。

 今後、世界中のトッププレーヤー達が「ラグビーにおけるボール自体へのタックル技術」を磨いて行くことになりそうです。
 ナショナルリーグNL・チャンピオンシップゲーム第4戦は、ニューヨーク・メッツがシカゴ・カブスを8対3で破り、対戦成績を4勝0敗として、15年振り5度目のリーグチャンピオンとなり、ワールドシリーズ2015への進出を決めました。

 敵地リグレー・フィールドでの対戦でしたが、初回・2回に6点を挙げたメッツが、ゲームの主導権を握り、そのまま押し切りました。
 レギュラーシーズンで地区3位ながら、ワイルドカード・地区シリーズと勝ち抜いてきたカブスでしたが、ついに力尽きたというところでしょうか。

 一方のメッツは、地区シリーズは最終戦を勝ち3勝2敗で辛くもリーグ・チャンピオンシップに駒を進めた形でしたが、一気に4連勝でNLリーグチャンピオンの座を獲得しました。
 ポストシーズンに入って、試合毎に調子を上げてきている感があります。

① 強力な先発投手陣

 NLチャンピオンシップ2015の経過を見てみます。
・第一戦 メッツ4-2カブス
・第二戦 メッツ4-1カブス
・第三戦 メッツ5-2カブス
・第四戦 メッツ8-3カブス

 メッツは、カブスの攻撃を3点以下に抑え込んでいることが分かります。

 デグロム投手とシンダーガード投手の2本柱を擁する先発陣を始めとする投手陣は、相当強力なのです。
 この若き2本柱を中心としたメッツを相手にしたチームは、「3点以上取るのは困難」だと考えるべきでしょう。
 2本柱は共に155kmを超えるストレートを主体に投球を組み立てています。ボールのキレが良い上に、マウンド度胸も満点ですから、相手チームにとっては脅威の存在です。

 メッツは4連勝スイープでワールドシリーズに進出しますから、ワールドシリーズ第一戦までに5日間有ります。デグロム投手とシンダーガード投手は、「休養十分」の状態でワールドシリーズに臨むことが出来ることになりました。

② 好調な打線

 ポストシーズン6試合連続ホームランという、MLB新記録を樹立したマーフィー選手を始めとして、メッツ打線も調子を上げてきました。

 前述の投手陣に加えて、打線も好調となれば、リーグ・チャンピオンシップゲーム・スイープも頷けるというところです。

 唯一と言っても良い心配事は、今シーズンの「メッツ躍進の象徴」であったセスペデス選手の不調でしょうか。第4戦では肩の痛みを訴えて途中欠場しました。
 ワールドシリーズまでに復帰できるかどうかは不透明ですが、5日間の休みはセスペデス選手にとっても大きなものであろうと思います。

 本ブログでは、若く強力な先発投手陣を背景にして、今後メッツは「王朝を築いて行く」のではないかと観ていましたが、予想より早く、今シーズンから黄金時代が始まる可能性があります。
 現在のメッツの強さは、ワールドシリーズを制覇する資格が十分に有ると感じさせるものです。

 シカゴ・カブスは、今シーズンもワールドシリーズ制覇に届きませんでした。
 1945年に発生?した「ヤギの呪い」を解くことは、残念ながら再びお預けとなってしまいました。

 それにしても、そのヤギの名前は「マーフィー」というのです。
 今シリーズ大活躍を魅せ、カブスの前に立ちはだかったメッツのマーフィー選手と同じというのは、皮肉というか、「そんな偶然もあるのか」と考えさせられてしまいます。
 10月24日から始まる今季の日本シリーズは、福岡ソフトバンク・ホークスと東京ヤクルト・スワローズの対戦となりました。
 何か、とても新鮮な印象のカードです。

 両チームには、ペナントレースでトリプルスリーを達成した選手が居ます。
 ヤクルトの山田哲人選手とソフトバンクの柳田悠岐選手です。
 二人とも、素晴らしい2015年シーズンを魅せました。

[山田選手の成績]
・打率.329
・本塁打38
・盗塁34
・打点100

[柳田選手の成績]
・打率.363
・本塁打34
・盗塁32
・打点99

 両プレーヤー共に、打率3割・本塁打30本・盗塁30という所謂「トリプルスリー」を悠々とクリアし、100点前後の打点を記録しましたから、「チームの攻撃の核」であったことは間違いありません。

 当然ながら、日本シリーズ2015においても、両チームの攻撃の中心選手となりますし、柳田選手・山田選手の活躍度合いが、シリーズの行方に大きく影響することも間違いないことでしょう。

 ほとんど同水準の記録を残した両選手ですが、バッティングの形は異なります。

 常にホームランを狙っているかのような柳田選手の大きなフルスイングは、柳田選手のアイデンティティでもあります。
 打球は、大きな放物線を描きます。飛距離も出ます。横浜スタジアムの電光掲示板を直撃した打球は、その電光板の相当上の部分を壊していました。

 一方の山田選手は、ライナー性の打球が多いように観えます。本質的にはシュアな「中距離ヒッター」ということなのでしょうか。

 そうすると、山田選手は高打率を確保し、柳田選手は多くのホームランを放つ、打者の様に感じられますが、実際の成績では、打率は柳田選手の方が高く、本塁打数は山田選手の方が上なのです。
 とても興味深いことです。

 記録は嘘を付きませんから、おそらくは、振り回しているように観える柳田選手はキッチリとミートしヒットを積み重ねていく技術を保持しており、コンパクトなスイングでヒット狙いに徹しているように観える山田選手はいつも「強くボールを叩いている」のでしょう。

 「13年振りに同じ年に登場した二人のトリプルスリー・プレーヤー」が対決する日本シリーズ2015。

 スピードとパワーに溢れた、素晴らしいプレーが期待されます。
 10月18日に鳥取で行われた、「布施スプリント」記録会の100m競走で、2度走って、2度10秒09を記録しました。

 1本目は、静かなスタートから力みの無いフォームで50m付近からリードを広げて、ゴールを駆け抜けました。追い風2.4mのレースでしたから参考記録とはなりましたが、本当に滑らかな走りであったと思います。

 2本目は、1本目と比較してスタートから力を入れた走り。上半身の動きも大きく、60m付近から他の選手を寄せ付けませんでした。今度は追い風0.3mでしたから、公認記録となり、今季日本最高記録タイでした。

 今季は故障に悩まされ続けてきた桐生選手でしたが、シーズン最後の大会で「それなりの」走りが出来たことは、来シーズンに向けての良い材料となったことでしょう。
 1日2本キチンと走れたことは、何よりでした。

 1本目と2本目は、相当に違う走りに観えました。1本目でこの日の調子を測り、2本目は少し体幹に力を入れてみたというところでしょうか。
 風速が2m以上違う中での同タイムですから、2本目の方が速かったことは間違いありません。

 一方で、2位のランナーとの差は、1本目・2本目とも同じ位であったように観えましたから、変な書き方で恐縮ですが、「共に10秒09の走り」であったのでしょう。

 ご本人は百も承知のこととは思いますが、このところの桐生選手の走りに共通している「30m~40mの加速」がいまひとつという課題は残ったと感じます。
 50m以降の「減速を最小限に抑える走り」は、とても安定しているように観えますから、来季の課題は「30m~40mの加速」ということになりそうです。

 日本男子短距離陣は、今年の世界選手権で相当の活躍を魅せてくれましたが、やはり華種目である100mのエース不在は、とても残念なことでした。

 桐生祥秀選手の、オリンピックイヤーでの活躍が期待されます。
 今大会では、走ってパスできる「ロック」のプレーに注目が集まっています。

 もちろん、フランカーやNO.8というフォワードFW第3列は、従来からラグビー競技における「ボールの取り合いプレー」の中心的存在ですから、運動量も多く、所謂「FW戦」の主役でした。当然、走ってパスも自在に行ってきたのです。
 また、第一列2番のフッカーも様々な役割を果たしてきました。

 一方で今大会目立つのは、FW4番・5番のロックと呼ばれるプレーヤーの動きです。

 「ロック」といえば、スクラムプレーにおける「スクラムの重さ・安定感」を支えるプレーヤーであり、ラインアウトプレーにおいて長身を利してボールをキャッチしたりタップしたりする役割を負ってきましたから、「長身で体重が重い」所謂大柄なプレーヤーが多いのです。
 強豪国のロックプレーヤーともなると、身長2m以上(体重は100㎏を優に超えます)も珍しくありません、というか2m以上でなければならないといった時代であろうと感じます。

 大柄なプレーヤーが多いラグビーにおいても、一段大きいプレーヤーであるロックが、走ってパスをするのです。オフェンスラインの一角を占め、前進の為に大きな役割を果たしています。

 もちろん、近年のラグビーは、サッカー風に言えば「トータルフットボール」の時代ですから、フィフティーン全てのプレーヤーが様々な役割を果たして来ているのですけれども、ロックプレーヤーがランニングプレーにおいて縦横に活躍するというのは、新しい、今大会新たに数多く観られるようになった戦術であろうと思います。

 こうしたプレーが生まれてきた背景には様々な理由が存在するのでしょう。
 
 スクラムプレー自体の減少も、そのひとつかもしれません。
 準々決勝のニュージーランドとフランスの対戦では、そのゲームにおける最初のスクラム=ファーストスクラムが行われたのは、前半32分過ぎでした。ひょっとすると、前半には「スクラムが無い」かもしれないと感じながら観ていましたが、世界最高水準のゲームにおいて30分以上に渡ってスクラムが行われなかったのです。

 前述のように、「ロックはスクラムプレーにおける中心的プレーヤー」ですから、そのスクラムプレー自体が減少してきている中では、別のプレーが割り当てられるのも無理のないところでしょう。

 また、チームの攻撃プレーにおいて、「チームで最も大きなプレーヤー」が参加するのも、有効であろうと思います。大きくて重いプレーヤーが走って来るのを止めるのは、容易なことでは無い筈です。

 とはいえ、当のロックプレーヤーにとっては、走ってパスをするというプレーは、そう簡単なものでは無いでしょう。身長2mを超えるプレーヤーが「素早く動くこと」を期待されるのですから。
 今後、強豪チームのロックを目指すプレーヤーには、大変難しい身体能力が期待されることになるのでしょう。

 ワールドカップやオリンピックといった世界最高峰の大会は、どのスポーツ競技においても「最先端の戦術・技術」が展開されますし、当該スポーツの将来像をも予感させるものです。

 ラグビーWC2015においても、新しいプレーが随所に観られます。
 ワールドカップというのは、そういうものなのでしょう。
 1976年の菊花賞という表記より、「グリーングラスが勝った菊花賞」と言った方が、オールドファンには馴染み深いものでしょう。

 天馬・トウショウボーイと日本ダービー馬クライムカイザーの一騎打ちのレースと見られ、関西のエース・テンポイントが2強に挑んだレースでした。
 テンポイントがトウショウボーイを振り切り、ゴールを目指した直線で、内ラチ一杯から抜け出したのがグリーングラスでした。

 春のクラシックに縁が無かったグリーングラスが、世代トップクラスに躍り出たレースであり、トウショウボーイ・テンポイント・グリーングラスの「3強時代」が始まったレースでもありました。
 この3頭は、それぞれ有馬記念に優勝しましたから、世代間比較でも最強と呼ばれました。

 しかし、この菊花賞のレース前には、前述のように「トウショウボーイとクライムカイザーの一騎打ち」と見られていたのです。

 両馬は「単枠指定」されました。

 今から40年ほど前には、「馬番」馬券は存在しませんでした。
 馬券は、単勝・複勝・枠番連勝複式だったのです。

 現在も存在する「枠番連勝複式」は1・2着を予想する馬券ですが、「枠番」ですので、多頭数レースになると「人気馬と同じ枠に入った人気薄馬」の魅力が下がってしまうという面がありました。

 枠は全部で8ありますから、例えば16頭立てのレースなら、ひとつの枠に2頭が入ることになります。もう一頭が「穴」っぽい馬でも、残りの馬が大本命であれば、馬券上は高い人気となってしまいます。妙味が削がれるのです。

 こうした馬券体系の時代に、「超人気馬」が登場しました。あのハイセイコーです。
 1973年の日本ダービーで66.7%の単勝支持率を記録しました。圧倒的な一番人気だったのです。
 ハイセイコーの前走・NHK杯(当時は日本ダービーのトライアルレース)では、単勝支持率は80%を優に超えていたと記憶しています。ハイセイコーは、ゴール直前でかろうじて先行馬を捕え人気に応えましたが、単勝馬券は「100円元返し」でした。

 こうした「日本競馬史上空前絶後の人気馬」が登場したこともあって、競馬界は対策を講じたのでしょう。翌1974年から「単枠指定制度」が導入されたのです。圧倒的な人気、一本かぶり人気が予想される馬は、「1枠1頭」にするという制度です。(そのかわり、他の枠の頭数が増えることになります)
 「中央競馬会公認の強い馬を明示することになる」という批判も有りましたが、導入に踏み切られました。

 そして、「ひとつのレースで2頭の馬が単枠指定された初めてのレース」が、1976年の菊花賞だったのです。
 このレースで、トウショウボーイは3枠、クライムカイザーは4枠に入りました。
 皐月賞を5馬身差で圧勝したトウショウボーイと、そのトウショウボーイを日本ダービーで破ったクライムカイザーですから、こうした制度適用も止むを得なかったのでしょう。

 レース結果は、前述の通り、1着グリーングラス、2着テンポイント、3着トウショウボーイ、クライムカイザーはタニノレオとともに同着の5着でした。
 単枠指定の両馬は、枠番連勝複式という馬券には全くからむことが出来なかったのです。

 後から見れば、2000m前後のレースで圧倒的な力を示したトウショウボーイと、ヴェンチアの代表産駒であり、やはり中距離馬であったクライムカイザーを、長距離3000mの菊花賞で単枠指定馬とすることには無理が有ったということになりますが、当時は「何の不思議も無い」取扱いと見られていたのです。

 レース後、思いもよらぬ報道がなされました。

 「このレースの枠番連勝馬券に5000万円を投じたファン」が居た、という報道でした。
 トウショウボーイとクライムカイザーの「枠番連勝複式3-4」の一点買いであったかと思いますが、この馬券に5000万円を投じたというのです。

 この頃は、現在のような磁気が施された1枚の紙に複数の馬券が併記され、購入金額も金額別に記載されるという形式では無く、「1枚の馬券の価格が決まっていた」のです。
 大きな金額を投ずるファンは、「特券」という1枚1000円の馬券を複数購入しました。
 例えば、1-2に30000円、2-3に20000円を投ずる場合には、1-2の特券30枚、2-3の特券20枚を購入することになります。手許には「50枚の馬券」が存在するのです。

 馬券発売窓口には「全ての組合せの馬券が、相応の枚数ずつ用意」されていて、窓口のお姉さんがお客の指示に基づき、用意されている馬券を手渡していたのです。

 従って、馬券は「あらかじめ印刷」されているものを提供することになります。
 この菊花賞の3-4の馬券は、高い人気が予想されたのですから、あらかじめ多くの枚数が準備されていたことでしょう。

 当時の報道を思い出してみます。
 京都競馬場にレース当日午前中に現れた「紳士然とした男性」が、5000万円の現金を窓口に出し3-4の馬券の購入を指示したのだそうです。
 窓口としても、多くの枚数を準備してあった組合せの馬券とはいえ、5000万円となると特券で50000枚ですから、さすがに不足しました。

 これ程の大口購入は予想を超えるものでしたから、競馬会としても「馬券の追加印刷」が必要となったのでしょうか、引換用の紙を当該男性に渡し、「後で取りに来るように」と伝えました。

 しかし前述のように、この馬券は外れました。
 そして、当該男性は窓口に現れなかったそうです。

 競馬会は、50000枚・5000万円分の馬券を用意し、大きなバッグに入れて、当該男性の窓口来訪を待っていたのですが、当日の開催が終了するまで現れませんでしたので、「遺失物」として警察に届け出たと報じられました。

 その後、その遺失物がどうなったかは伝えられなかったと思いますが、一定の保管期間の後、処分されたのでしょう。

 3強が誕生した伝説のレースは、超大口の外れ馬券が生まれたレースでもありました。

 凄いと感じるのは、1着賞金が4500万円であった時代の菊花賞競走において、5000万円の馬券・一点勝負をするファンが存在したことでしょう。
 トウショウボーイ・クライムカイザーの枠番連勝複式3-4馬券の予想配当は、おそらく3倍に満たないものであったと思います(申し訳ないのですが記憶が欠落しています)が、5000万円を1億円以上にしてくれるものと信じての投票であったのでしょうか。

 余程、この2頭の強さを信頼していたものと思われますが、それにしても「豪快な金額」です。

 一方で、宣伝や自己PRのための行動で無かったことは、馬券を取りに来なかったことからも明らかです。

 1976年11月14日、菊花賞が行われた京都競馬場に現れた「紳士然とした男性」は、その後競馬を続けたのかどうか、要らぬ心配をしてしまいます。
 ラグビーワールドカップ・イングランド大会は、10月18日までに準々決勝が行われ、ベスト4が決まりました。

・南アフリカ23-19ウェールズ

 大接戦でした。
 前半は13-12とウェールズが1点のリードで折り返しました。
 後半も一進一退の展開が続き、ウェールズチームが19-18とリードして迎えた後半35分に、南アフリカのデュプレア選手がトライを決めて逆転、そのまま押し切りました。

 ウェールズとしては、グループリーグGLのA組で故障者が続出し、ベストメンバーを組めない状態にも拘らず、ハイパント攻撃やダン・ビガー選手のドロップゴールなど、伝統国の力を如何なく発揮したゲームであったと感じます。

 南アとしては、全体にやや小粒で「攻め込まれると受け身に回ることが多い」という今大会のチームの弱点が、このゲームでも露見した形ですが、最後は勝利をものにするという「伝統の勝負強さ」は健在でした。

・ニュージーランド62-13フランス

 オールブラックスの圧勝でした。
 フランスチームは、前半こそ1トライを挙げて13-29と追い縋りましたが、後半10分にニュージーランドチームにトライを許すと、その後は守勢に回り、ゲーム残り20分からは一方的なゲームとなってしまいました。言葉は悪いのですが「切れてしまった」状態でしょうか。

 ニュージーランドは、計9トライを挙げて大差の勝利を収めました。
 ワールドカップにおける対フランス戦では、苦戦が多かった印象ですから、意外な大勝とも言えそうです。
 サヴェア選手を始めとする、個々のプレーヤーの圧倒的な能力の髙さが如何なく発揮されたゲームでした。

・アルゼンチン43-20アイルランド

 アルゼンチンチームが、持ち前の攻撃力を発揮して快勝したゲームでした。
 勝負は前半13分までに決まったように感じます。この13分間でアルゼンチンチームは17点を挙げて、17-0とリードしたのです。
 戦前、「ロースコアゲームに持ち込めれば」アイルランドチームが有利と予想しましたが、それが実現できなかったのです。

 大きなリードを許した後、アイルランドは反撃に移り、一時3点差まで追い上げましたが、一度火が付いてしまったアルゼンチンの勢いは止まらず、その後は差が開く形のゲームとなってしまいました。
 初のベスト4入りが期待されたアイルランドの戦いは終わりました。

・オーストラリア35-34スコットランド

 ワールドカップの歴史に残る大激戦でした。「逆転に次ぐ逆転」とは、こういうゲームを指すのでしょう。

 オーストラリアチームが先制しましたが、スコットランドチームが逆転し、前半は16-15とスコットランド1点リードで折り返しました。
 後半に入るとオーストラリアチームが猛攻を見せて逆転しました。総合力に勝るワラビーズが優位に立ったかと思われましたが、スコットランドチームが猛然と反撃に転じて再び逆転しました。

 残り3分を切って、スコットランドがリードしたままゲームは最終盤。ここでオーストラリアがPGを決めて、再度再度の逆転、試合時間の残りは30秒でした。

 スコットランドの健闘が際立ったゲームといえるでしょう。

 ベスト4・準決勝の組合せは、以下の通りです。

① 南アフリカVSニュージーランド
② アルゼンチンVSオーストラリア

 スプリングボックスとオールブラックスの対決となったゲーム①は、今大会これまでの試合内容を見る限り、オールブラックスの方に分がありそうですが、「やってみなければ分からない」という側面もあります。

 抜群の得点力を示しながら、決勝トーナメントに入ると「突然、得点力が落ちるゲーム」をオールブラックスが見せるというのは、いくつもの大会で現出してきたことなのです。
 組織的なプレーを得意とするニュージーランドチームですが、試合前半にその組織的な攻撃が抑え込まれた時、後半これを跳ね返すことは、あまり得意ではないようです。

 このゲームにしても、前半30分まで南アフリカチームが「伝統の守備力」を発揮して、ニュージーランドの攻撃をノートライ・1~2本のPGに抑え込めるようであれば、大接戦となるでしょう。

 南アフリカチームが自らのペースでゲームを展開できれば、残り10分まで縺れる「互角の勝負」となる可能性も有ります。

 大接戦を勝ち上がったオーストラリアチームと、持ち味を存分に発揮して準々決勝を快勝したアルゼンチンチームの対戦となったゲーム②ですが、こちらも見所十分です。

 ワラビーズは準々決勝で大苦戦しました。
 スコットランドの健闘は見事でしたが、オーストラリアの動きにはいつもの「切れ味」が無かったという見方もありそうです。「死の組・A組」の激闘の疲労が、チーム全体に残っていたのかもしれません。
 準々決勝を勝ったことで、ワラビーズにいつもの力が戻って来るとすれば、総合力に勝るオーストラリアですから、アルゼンチンを相手にしても分があるでしょう。

 一方のアルゼンチンチームは、アイルランド戦で抜群のパフォーマンスを示しました。得意とする「攻撃ラグビー」が炸裂したのです。
 欧州トップクラスの実力を保持するアイルランドを撃破したことは、チームに大きな自信を与えたことでしょう。

 アルゼンチンとオーストラリアのゲームは、「オーストラリアの疲労の回復度合い」次第という感じがします。

 アルゼンチンにとっては、決勝進出に向けて絶好のチャンスが到来したとも言えそうです。

 イングランド開催となった今大会で、ワールドカップ史上初めて「ベスト4進出チームが全て南半球のチーム」となったことは、少し皮肉なことですが、ラグビーの聖地たるトゥイッケナム・スタジアムで、南半球の4チームが激突するというのも、「ラグビー競技の長い歴史・世界中への普及」を感じさせる事実です。

 北半球の、特に欧州の各チームにとっては、今大会のプレーを十分に分析・研究し、従来のトレンドに囚われない新たなチーム造りを開始する時が来たのでしょう。
 小平智選手と池田勇太選手の息詰まるような戦いは、最終18番ホールで決着しました。

 小平智選手の初優勝でした。

 小平選手にとっては、昨2014年大会で池田選手に1打差で敗れていますから、リベンジを果たしたということにもなります。

 池田選手にとっては、最終18番ホールのティーショットの際に「物音」がして、一度ルーティンを解き、打ち直さなければならなかったことが惜しまれるのかもしれません。そのショットは、クロスバンカーに入ってしまいました。

 勝敗に最も大きな影響を与えたのは、小平選手の15番ホールの8m位のバーディパットであったと思いますが、結果的には「2打差」を付けて最終日のティーインググラウンドに立ったことが、最後まで大きかったのでしょう。

 「ビッグトーナメントの1打は重い」のですから、2打のリードはとても重いのです。
 それはつまり、大会二日目の62打のラウンド=日本オープン史上最少スコアのラウンドが物を言ったということになります。

 それにしても、会場となった六甲国際ゴルフ倶楽部は、4日間を通して好天に恵まれました。プレーに影響を与えるような風も吹きませんでした。
 4日間連続でこれ程風の無い六甲国際G.C.も珍しいのではないでしょうか。

 難しいレイアウトで知られているコースですから、少し風が吹くと難度が大きく上がります。
 そういうことを考慮したのでしょうか、今大会のラフは「日本オープンとしては異例に浅い」ものでした。

 ところが、風は吹かなかった、ついに4日間吹かなかったのです。

 小平選手の優勝スコアが13アンダーパーという、日本オープンとしては大きなアンダーとなったのも、この影響ではないかと感じます。今回の六甲国際は、想定より易しかったのでしょう。

 「第80回」という節目の大会を迎えて、六甲国際ゴルフ倶楽部が「優しさ」を見せてくれたのかもしれません。
 ワールドカップ2015で、日本ラグビー史上初の「3勝」を成し遂げたエディ・ジョーンズヘッドコーチHCが退任し、次のHCの選任作業が始まりました。
 60人前後の候補者の中から選ばれると報じられています。

 今回は「次期HCの仕事」「次期HCに期待されること」を書いて行きたいと思います。
 特にラグビー競技に限定された内容では無く、「当たり前のこと」を書きそうですが、お付き合いください。

1. 戦略の立案・目標の策定

 ナショナルチームの監督の仕事としては、当然のものになりますが、実は最も難しいことなのではないかと思います。

① 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
 有名な孫子の兵法の一文ですが、日本代表チームの「強み」と「弱み」をキッチリと把握し、チーム造りの大方針を立てる必要があります。エディ・ジョーンズHCの仕事ぶり中で、最も優れていたポイントのひとつであろうと感じます。

 肝心なのは「強み」と「弱み」の把握が正確かどうか、でしょう。「敵」、すなわち世界中の強豪チームの実力・作戦等々を十分に知っていなければなりませんし、日本チームの内情にも精通していなくてはなりません。

 ちなみに、孫子には「敵を知らず己を知らざれば百戦悉く危うし」という言葉も有ります。

② 目標達成の為に「為すべきこと」の明示
 次期HCに求められる大目標としては、日本開催となるワールドカップWC2019における「ベスト8進出」が挙げられるのでしょうが、「WC2019のベスト8進出」というのは、それ自体にはあまり意味の無いスローガンだと思います。大切なのは「ベスト8進出の為に為すべきこと」の明示でしょう。

 そう簡単には見つけられないポイントです。

③ 長期の目標と短期の目標
 目標には、達成のための期間が存在します。4年後までに達成すべき目標、1年後までに達成すべき目標、半年後までの目標、3か月後までの目標、1か月後までの目標、1週間後までの目標、そして今日達成すべき目標、等々、目標はきめ細かく具体的に策定されなければならないものでしょう。

 HCを始めとするチームスタッフは、毎日この目標策定をして行かなければなりません。「目標策定に追われる」という感じではないでしょうか。「寝ている暇もない」という感じかもしれませんが、ここがしっかりしていなければ、強いチーム造りは出来ないと思います。

 エディ・ジョーンズHCは、この課題を相当高いレベルで実現していたように観えます。私生活を相当犠牲にしていたのではないでしょうか。
 まさに「お疲れ様でした。ありがとうございました。」というところです。

④ 世代交代への対応
 4年間という期間は、長いようで短く、短いようで長い、ものでしょう。WC2015のメンバーの中でWC2019でもプレーできる選手が、どれくらい居るのかも含めて、メンバーの選定は重要なことです。

 WC2015後のインタビューで、エディ・ジョーンズHCは「WC2019日本大会で、日本チームがベスト8に進出するのは相当難しい」とコメントし、その理由として「大事なポジションのプレーヤーが居ない」と説明しました。
 全く、おっしゃる通りだと感じます。

 エディ・ジョーンズHCはWC2015を戦って見て、ベスト8に進出するチームと日本チームの「差」を肌で感じ、その差が極めて大きいことを改めて把握したのでしょう。

 両フランカーやNO.8のフォワード第3列とか、バックス陣とか、「ここにこうしたスキルの選手が複数居てくれれば」と、感じたのではないでしょうか。連戦と避けられない故障者の発生を考慮すれば、WCを勝ち抜いて行くには「肝心なポジションに複数の優秀なプレーヤー」が必要なことは、自明の理でしょう。

 エディ・ジョーンズHCの眼から、WC2019における日本チームをイメージした時に、プレーヤーの不足を痛感したということになります。

 日本出身プレーヤーで足りないのであれば、外国出身プレーヤーを登用していかなければなりません。そのためには「時間が不足」しているのです。早々に必要なスキルの、あるいは必要なスキルを4年間の内に身に付けて行ってくれるであろうプレーヤーを、日本に集めてこなければなりません。

2. 強化体制の構築

 チームを強化するためには、スタッフを充実させなければなりません。
 コーチ陣・メディカルスタッフを始めとするスタッフを集めなければならないのです。

 エディ・ジャパンにおける「スクラム担当コーチ(フランスから招聘)」の働きが素晴らしかったことは、よく知られていますが、日本チームに合ったコーチを世界中から発掘して招聘して行くことは、HCの大切な仕事でしょう。

 HCには、世界に通用する「プレーヤーを見抜く眼」とともに「コーチ・スタッフを見抜く眼」も必要なのです。そして、そうした人材に「日本に来たい」と感じさせる魅力も必要でしょう。
 相当難しい仕事です。

3. 個々のプレーヤーを鍛えること

 前述の戦略・目標の達成に向けて、個々のプレーヤーを鍛えていかなければなりません。

 もちろん、ハードなトレーニングを積み上げていくことになります。エディ・ジャパンのトレーニングの厳しさは、再三報じられている通りです。「オーストラリア代表チームでも2週間で音を上げるトレーニングを続けた」と言われます。凄いことです。

 トレーニングの量と共に、肝心なのはトレーニングの質です。あるトレーニングを10本行うとして、10本キッチリ行うか、8本目以降は「少し手を抜くか」では全く異なる結果となるのでしょう。

 「エディ・ジョーンズのトレーニング方法・内容」については、これまでに十分に把握・習得した、と日本のラグビー関係者は思っているのかもしれませんが、それはトレーニングの種類と量が記録に残っているだけで、「質」についての把握は難しいことでしょう。

 「質」の高いトレーニングを、選手に取り組んでもらうために、エディ・ジョーンズHCが何をしていたのか、ここがポイントです。このポイントは「HCの個性・人格」の領域に入りますから、「真似をすることがとても難しい」ところなのです。

 この監督・HCのもとなら「どんなに厳しいトレーニングにも耐えていこう」と選手が感じる人物でなければ、どんなに立派な「トレーニング内容」でも、求める効果は望めません。

 他のスポーツ競技を観ても、「名監督が去った後、チームが弱体化」する例は、枚挙に暇がありません。
 当該名監督に長期間に渡って教えを受け、「トレーニング内容は熟知している筈」の人物が後任となっているにも関わらず、チームが弱体化してしまうのです。
 「同じ練習を同じ量・同じハードさ」で実行しているのに何故?、ということになります。

 当たり前のことですが、それぞれの監督・HCの個性・人格は異なりますから、その違いに合わせた指導方法が必要なのです。「他人の真似」では、同水準の効果は得られないのでしょう。

4. ゲームにおける采配

 個々のゲームにおける采配が、HCにとって重要な仕事であることは間違いありません。

① 対戦するチームの戦力・メンバーを踏まえてのスターティングラインナップの選定
② 様々な状況に合わせた「交代方法」の準備
③ 当該ゲームにおける「戦術・スペシャルプレー」の選定・通知
④ 当該ゲームにおける戦い振りの策定・実施

 等々、検討しなくてはならない点は幾らでもあるのでしょう。
 ラグビーにおいては、HCはスタンドに居ますから、こうした準備も「事前」に行う点が多いのでしょう。
 「事前」に漏れなく準備するのは、容易なことでは無さそうです。

 今回は、ラグビー日本代表チームのヘッドコーチに求められる「仕事」について、簡単に考えてみました。やはり、「当たり前のことばかり」になってしまいました。
 細部に入り込めば、ページがいくらあっても足りない、極めて奥が深いテーマでしょう。

 「日本ラグビーの父」(と私が勝手に呼んでいます)であったエディ・ジョーンズ氏は、こうした役割期待に、相当な水準で応えてきたヘッドコーチであったと思います。
 日本ラグビー史上空前の実績が、それを明示しています。

 そのエディ・ジョーンズ氏が残した成績以上の成績を、WC2019で目指して行かなければならないのが「次期HC」ですから、エディ・ジョーンズ氏以上の能力を保持したHCを選任しなければならないことになります。

 とても難しいことなのでしょうが、そうした人物を発掘し選任して行くことが、協会に求められる役割期待ということになりそうです。

 前回は、エディ・ジョーンズという素晴らしいHCが就任しました。今回も、とても楽しみです。
 10月15日、地区シリーズ2015が終了しました。

 今季地区シリーズは、4カードの内3カードが3勝2敗、1カードが3勝1敗での決着となりました。
 例年なら、勢いに乗って3勝0敗で突破するチームがありますから、今季は「接戦」が多かったという印象です。

[アメリカンリーグAL地区シリーズ]
① カンザスシティ・ロイヤルズ3勝-2勝ヒューストン・アストロズ
② トロント・ブルージェイズ3勝-2勝テキサス・レンジャーズ

[ナショナルリーグNL地区シリーズ]
③ シカゴ・カブス3勝-1勝セントルイス・カージナルス
④ ニューヨーク・メッツ3勝-2勝ロサンゼルス・ドジャース

 ALは、戦前優勢と見られていたロイヤルズとブルージェイズが、接戦の中から勝ち上がりました。
 地区シリーズ序盤で勢いを示したアストロズとレンジャーズは、最終戦の敵地で力尽きたというところでしょうか。
 特に、ワイルドカードを勝ち上がったアストロズには、2014年のロイヤルズの様な雰囲気が有りましたが、最後は打力の差が出てしまいました。

 NLは、「久しぶりの2チーム」が勝ち上がりました。
 カブスは、ポストシーズンに強いカージナルスを相手に3連勝という、堂々たる戦いを魅せました。「点の取り合い」となったゲームで勝ち切るという、勢いを感じさせるゲームの連続でした。

 メッツも、ドジャースを相手にアウェイで第5戦を勝ち切りました。
 ドジャースは、またもポストシーズンを勝ち進めませんでした。レギュラーシーズンの強さとのギャップは、今季も埋められなかった形です。

 さて、いつものように間を置くことなく、リーグチャンピオンシップの戦いが開始されます。

 ALは、レギュラーシーズンで好調であった2チームの激突です。投打のバランスが良い両チームの戦いは、ロイヤルズのホーム・カウフマンスタジアムでの最初の2ゲームの内容がポイントとなるでしょう。

 NLは、ポストシーズンで勢いに乗る2チームの戦いです。
 特に、「ヤギの呪い」解消を目指す、レギュラーシーズン地区3位のカブスの戦い振りが注目されます。好調な打線が、強力なメッツ投手陣をどれだけ打てるかが、ポイントとなるでしょう。

 ロイヤルズ以外の3チームは、最近では新鮮な顔ぶれです。

 素晴らしいゲームが期待されます。
 10月18日に京都競馬場・芝内回り2000mコースで行われる、第20回秋華賞競走G1の注目馬検討です。

 秋華賞も20回を迎えファンの研究が進んできたのか、近年は比較的本命サイドのレースが多くなっていますが、小回り・短い直線というコース特性から、波乱の要素を内包しているレースでもあります。
 実力馬が順当に活躍する一方で、ゴール前の大混戦から人気薄の馬が抜け出す、あるいは着に残る可能性も有るということでしょう。

 さて、今年のレースも18頭がエントリーして来ました。
 オークスからの直行馬が3頭、ローズSから8頭、紫苑Sから5頭となっています。
 春のクラシック好走馬と上り馬が混在して、多士彩々のレースとなりました。
 
 第一の注目馬は、6枠11番のタッチングスピーチ。
 前走ローズステークスの勝ちっぷりは、本物という印象です。春のクラシックレースには間に合いませんでしたが、一気に本格化したというところでしょう。
ゴール前の脚色もしっかりしていて、オークス馬ミッキークインの追い上げをキッチリと抑え込みました。
 力の要る京都内回りでも、結果を残してくれそうです。

 第二の注目馬は、8枠18番のミッキークイン。
 前走ローズSでは良く伸びましたが、タッチングスピーチの2着。とはいえ、本番に向けて調子を上げてきている様子でした。
 実力は折り紙つきのオークス馬が、夏を乗り切りトライアルレースでも好走しているのですから、軸馬と観るのが妥当でしょう。まだ2着を外したことが無い安定感も買えます。
 大外に回ってしまったことを割り引いても、活躍が期待できます。

 第三の注目馬は、1枠2番のクインズミラーグロ。
 前走紫苑ステークスのゴール前の脚は出色でした。短いが力が必要な中山コースの直線で魅せた脚は、本番の京都でも威力を発揮してくれそうです。

 今回は、以上の3頭に注目したいと思います。
 ディープインパクト産駒2頭が競り合うゴール前、マンハッタンカフェ産駒が絡んでくるレース展開となるのではないでしょうか。

 ゴール前の叩き合いが楽しみです。
 今大会で一気にブレイク?した感のある、日本代表チームのフルバック・五郎丸歩選手ですが、何と言っても「プレースキックの際の独特のルーティン」が注目を浴びています。

 両手を顔の前で合わせて、へっぴり腰?のような姿勢で構えるものですが、このフォームを観た時に、あのジョニー・ウィルキンソン選手に似ていると感じた方も多いのではないでしょうか。

 ジョニー・ウィルキンソン選手は、ワールドカップにおける歴代最多得点記録249点を誇るプレーヤーで、イングランドラグビーの至宝とも言える存在です。
 2003年のワールドカップ決勝戦で、試合終了間際にドロップゴールを決めて、チームを優勝に導いた存在でもあります。

 五郎丸選手は若き日にウィルキンソン選手と会い、現在のルーティンのヒントを得たとも伝えられています。

 遠目にはよく似たルーティンですが、細かいところは異なります。

 最も違う点は「手の形」でしょう。

 ウィルキンソン選手は片手を握りこぶし状にして、もう片方の手でそれを包み込んでいるように観えます。

 一方の五郎丸選手は、左手人差し指を真上に付きあげ「NO.1」を示すような形でセットし、右手をボールの軌道あるいは自身の脚の動きをイメージしているように何回か動かした後、左手に添える形です。
 結果として、左手の人差し指と右手の人差し指・中指が立っている形となります。右手の薬指は「両手を合わせた塊」に触れていたり、少し離れていたりするようです。立っている指は「3~4本」ということになります。

 おそらく両プレーヤーの意図していることには、違いがあるのでしょう。

 とはいえ、ルーティンの目的である
① 精神集中
② 練習通りの体の動きを確保すること

 を目指していることは間違いないと思います。

 特に、五郎丸選手がコメントしていた「体の真ん中・芯に力が集中するように」というポイントは、両プレーヤーに共通している「ルーティンの狙い」であろうと感じます。
 このポイントが、ウィルキンソン選手から五郎丸選手が学んだところなのかもしれません。

 五郎丸選手の「キック時のルーティン」は、今大会のエディ・ジャパン快進撃の象徴ともなりました。大人も子供も両手を合わせて真似をしていますし、この格好をしただけで、何も言わなくとも五郎丸選手だと分かるのです。
 日本のラグビーファンの心に深く刻まれ、世界中のラグビーファンにもインパクトを与えたことでしょう。

 イチロー選手が打席には行った時、「左手指で右肩のユニフォームをちょいと抓む」ルーティンは、MLBファンに憶えられているものですが、こうしたスター選手の独特な動き、普段の行動としては少し変な動きは、とても印象に残るものなのです。

 こうした「象徴となるルーティン」が生まれたこと自体が、我が国におけるラグビー人気の盛り上がりを如実に示す事象なのでしょう。
 [アメリカンリーグ・地区シリーズ・第5戦]
 トロント・ブルージェイズ6-3テキサス・レンジャーズ
 
 このゲームの7回表、2-2の同点、テキサスの攻撃中に、そのプレーは起こりました。

 2死ランナー3塁、カウントは2ボール・2ストライク、トロントのキャッチャーがピッチャーに返球しました。
 そのボールが左打席に居たテキサスの打者のバットに当たって、3塁前に転がって行きました。

 その間に3塁ランナーがホームベースを駆け抜けて、テキサスが得点し3-2とリードしました。

 2勝2敗で迎えた第5戦、2-2の同点からの勝ち越し点が、こうしたプレーから生まれたのです。

 審判団がビデオ映像によるチェックを行いました。
 テキサスの左打者が「意図的にバットを前に出した」とすれば、守備妨害の可能性があり、守備妨害であれば得点は認められないことになる、といった検証なのでしょう。

 ピッチャーの投球がキャッチャーのグラブに収まり、打者はルーティンの動きに入ります。この打者のルーティンは片手でバットを立てて持ち、前に出す形。自然な動きです。
 その前に出したバットに、キャッチャーからピッチャーへの返球が当たっています。

 打者がバットをベース上に出してから、キャッチャーの送球が行われています。キャッチャーが投げるのと同時にバットを前に出しているわけではありません。
 打者が意図的にバットを出し、「送球の邪魔をした」のでは無さそうです。

 結局、審判団も反則は無かったと判定し、得点が認められました。
 レンジャーズは、思いもかけぬ形で勝ち越し点をゲットしたのです。

 この試合は、この7回裏にブルージェイズ打線が奮起し、3ランホームランを含めて一挙4点を挙げて6-3と逆転、そのまま押し切り、このゲームに勝利すると共に、地区シリーズを3勝2敗として、リーグチャンピオンシップに駒を進めました。

 ホームのトロント・ブルージェイズが勝ったので、試合後、7回表の「とても珍しいプレー」はあまり問題にはなりませんでした。
 
 しかし、問題になっていないとはいっても、この判定については「十分に検討する必要」があるように思います。

 打者がバットを前に出した、ベース上に相当かかる位置まで前に出したことは事実です。打者には、「意図的にバットにボールを当てる意思は無かった」としても、結果として守備妨害になっていないか、というところは検討すべきだと思います。

 「わざとじゃない」からといって、反則では無いという理屈は、ありません。「わざと」あるいは故意であれば、より重い反則となるべきでしょう。
 スポーツにおいては、わざとではなくとも反則になるケースはいくらでもあるというか、「大半の反則はそうしたもの」です。

 サッカーにおいて、ボールに向かってスライディングしたものの、相手プレーヤーの脚に自分の脚がひっかかってしまっての反則や、ラグビーにおいてパスダミーで走り込んだプレーヤーが相手プレーヤーにぶつかってしまってのオブストラクションの反則等々。反則する意志など皆無でも、反則は反則なのです。

 わざとやる反則などという悪質なプレーというのは、本来あってはならないものでしょう。
 
 投球を捕球したキャッチャーがピッチャーに返球するという普遍的なプレーにおいて、そしてキャッチャーがキチンとピッチャーに送球したプレーにおいて、「バットに当たる」というのは、「発生するべきでは無いプレー」だと考えます。

 私は、このプレーは「打撃妨害」であろうと思うのです。

 そもそも、「見たことも無いようなプレー」というのは、慎重に検証されるべきでしょう。長い歴史を有し、これまで何千・何万という試合が行われてきているスポーツ競技においては尚更です。

 ひとつひとつのプレーは、「悠久の歴史に洗われてきている」のですから。
 今大会も、素晴らしいキッカーが登場しています。
 そのキック力・技術力の高さには、本当に驚かされます。

① オーウェン・ファレル選手(イングランド)
② ダン・ビガー選手(ウェールズ)
③ バーナード・フォーリー選手(オーストラリア)

 オーウェン・ファレル選手の対ウェールズ戦のキックは、見事でした。
 PG5本、ドロップゴール1本、コンバージョンゴールキック1本の計7本を悉く決めました。
 緒戦のフィジー戦と合わせて、9本連続の成功であったと思います。

 神経質そうなルーティンから、一気に落ち着いた雰囲気に変わり、キッチリと決めて行きます。
 蹴った後は、「決めて当たり前」のような空気が漂います。

 ウェールズのダン・ビガー選手も、グループリーグGL4試合で16本蹴って15本を成功させました。成功率は93.75%。
 オーストラリア戦の最後のペナルティーキックを外すまでは「15本連続成功」でした。

 バーナード・フォーリー選手も、GL4試合で19本蹴って17本を成功させました。成功率は89.47%です。
 いつも「ゴールの真ん中を通過するキック」という印象です。

 もちろん、ニュージーランドのダニエル・カーター選手など、他にも驚異的なキッカーが居るのですが、GL段階においては「死の組」であるA組のキッカー達、「極めて厳しいゲームが続き、疲労の極致に在りながら」しっかりと蹴ってくるプレーヤー達を挙げてみました。

 ファレル選手もビガー選手もフォーリー選手も、「当たり前のように」決めます。

 決める時は真ん中からです。ギリギリに入ったというショットは、とても少ない印象です。

 どちらかといえば、「外した時に不思議な感じが漂う」キッカー達だと思います。

 そして、ゴール前の短い=比較的容易なショットでも、とても慎重にプレーします。
 僅かなミスにより「(例えば)2点を追加できない」ことが、チームの勝敗に大きな影響を与える可能性があることを、十分に認識しているのです。

 こうしたプレーは、どれほどの才能と修練から生まれてくるのでしょうか。
 そして、何時の時代も世界の強豪国には素晴らしいキッカーが存在することに、感心させられます。

 決勝トーナメントにおいても、素晴らしいキックが沢山観られることでしょう。
 [10月13日 国際親善試合(於、イラン・テヘラン)]
 日本1-1イラン

 イラン代表チームとは久しぶりのゲームでした。

 両チームにとって、予想されるワールドカップ最終予選における対戦を見据えてのゲームであったと思います。

 ゲームは1-1の引き分けに終わりました。

 現アジア王者であり、世界ランキングもアジア最上位のチーム相手に、アウェイで引分けたことは「上出来」といった評価もあるようですが、日本チームの戦い振りを観て、満足しているファンは少ないのではないでしょうか。

 日本チームは前半終了間際に、イランにPKを与えてしまいました。
 吉田麻也選手の反則を犯した場所がペナルティエリアギリギリの位置であり、イランのプレーヤーが得点機に有ったようにも見えなかったので、この判定にも疑問は感じましたが、「中東の笛」ということかもしれません。

 さて、PKです。
 ゴールキーパーGKの西川周作選手が右に動いて、見事に跳ね返しました。素晴らしいプレーでした。
 ところが、イランの選手に、この跳ね返したボールを再び蹴り込まれてしまい、失点となりました。

 気になったのは、PKプレーが開始されると同時に「動くべき」両チームのプレーヤーですが、日本チームのプレーヤーがゴール前に詰める動きが「後手を引いた」ように観えたことです。

 PKをGKがパンチングで防いだり、ゴールポストに当たって跳ね返ってきたりすることは、当然予想されることなのですから、他の選手もボールの動きに集中していなければなりません。

 しかし、日本チームの選手はイランの選手に比べて「最初の一歩」で出遅れたように観えました。

 日本のプレーヤーが「このPKは決まるだろう」といった予見を持ってプレーしていたとは思いませんが、反応スピード・集中力において、イランチーム比劣後していた可能性があります。

 どのようなスポーツにおいても、国際大会ではこうした一瞬のプレーが勝敗に大きな影響を与えるものでしょう。
 その点では、このPKプレーにおける日本チームの動きには、緊張感不足というか「なすべきこと」についての認識不足・意思統一不足・絶対に先取点を与えないという気迫不足、があったように感じられました。
 本当に残念なことですが、GK西川選手の好セーブが活かされなかったのです。

 ハリル・ジャパンは、現在若手を発掘中と伝えられています。

 「基本中の基本」に忠実なプレーヤーの発掘をお願いしたいと思います。
 2003年の秋華賞に優勝し、中央競馬史上2頭目の牝馬三冠に輝いたのが、スティルインラブでした。

 桜花賞で2着のシーイズトウショウに1と1/2馬身差、オークスで2着のチューニーに1と1/4馬身差、そして秋華賞で2着のアドマイアグルーヴに3/4馬身差と、キッチリとした勝ち方を魅せたのです。

 スティルインラブの3歳時の競走成績は、見事なものでした。
 7戦して4勝、2着2回、秋華賞前走のローズステークスが5着というもので、この年の最優秀3歳牝馬に相応しいものでしょう。

 スティルインラブは、メジロラモーヌに続いての史上2頭目の牝馬三冠ですけれども、メジロラモーヌは桜花賞・オークス・エリザベス女王杯の三冠(当時は秋華賞が無く、エリザベス女王杯が3歳牝馬限定)であるのに対して、スティルインラブは桜花賞・オークス・秋華賞の三冠ですから、その三競走という意味では、史上初であり、アパパネやジェンティルドンナの先駆けということになります。

 にもかかわらず、ジェンティルドンナと比較して、あるいは同期のアドマイアグルーヴと比較しても、やや低い評価であるように感じられるのは何故なのでしょうか。

 それは、やはり4歳以降の競走成績の為であろうと思います。

 4~5歳、スティルインラブは8戦して0勝、2着もありませんでした。

 スティルインラブは「3歳で燃え尽きてしまった」ように観えます。

 これ程の牝馬を、3歳で引退させることは出来なかったものか、肌馬としては血統が良くなかったのか、と色々なことを考えてしまいます。

 スティルインラブ号、父サンデーサイレンス、母ブラダマンテ、母の父ロベルト、通算成績16戦5勝、主な勝ち鞍は桜花賞・オークス・秋華賞。サンデーサイレンス産駒を代表する牝馬でしょう。

 2003年10月19日、好天の阪神競馬場、スティルインラブの栗毛の馬体が躍動し、ゴール寸前外からアドマイアグルーヴとともに「飛んできた姿」が、今でも思い出されます。
 10月11日のゲームを最後に、グループリーグGLの戦いが終わりました。
 A組~D組の1位・2位チームが確定し、ベスト8進出チームおよび決勝トーナメントの組合せが決まりました。

 「死の組」と呼ばれたA組は、1位がオーストラリア、2位がウェールズとなりました。地元のイングランドは、ウェールズとの直接対決で25-28と逆転負けを喫したことが響き、「まさかのGL敗退」となりました。
 これまでの7大会すべてにおいてベスト8入りを果たしていたイングランドが、地元開催の今大会で初めて決勝トーナメント進出を逃すというのですから、A組がいかに厳しい組であったが分かります。
 オーストラリアとウェールズが見事に勝ち抜いたのですが、GLにおける厳しい試合の連続が、チームにどのような影響を及ぼしているのかが心配なところです。

 B組は、1位が南アフリカ、2位がスコットランドでした。
 南アフリカは、緒戦で日本相手に敗れ、「ワールドカップ史上最大の衝撃」と称される番狂わせを演じてしまいましたが、その後は安定した試合を続けました。サモアを相手に6トライ、アメリカを相手に10トライを挙げて圧勝し、スコットランドにも34-16と18点差を付けての完勝でした。まさに優勝候補の力を示した形です。
 スコットランドは緒戦の日本戦で5トライを挙げて大勝し、その後も安定した戦いを展開しました。

 C組は、1位がニュージーランド、2位がアルゼンチンでした。
 ニュージーランドは、緒戦のアルゼンチン戦こそ苦戦しましたが、その後は自在な攻撃を披露して圧勝を積み重ねました。その強さは、優勝候補筆頭の名に恥じないものでした。
 アルゼンチンもニュージーランド戦以外のゲームでは、圧倒的な力を示しました。近年、ベスト8の常連チームに成った感が有りますが、その力を今大会でも示した形です。

 D組は、1位がアイルランド、2位がフランスでした。
 アイルランドはGL最終戦でフランス相手に24-9と完勝しました。近時の6か国対抗で魅せた実力を、今大会でも発揮しています。現在のチームは、アイルランドラグビー史上でも屈指の強さなのでしょう。今大会のダークホース的存在となりました。
 フランスはイタリア・ルーマニア・カナダとのゲームでは安定した力を示しましたが、「少し得点力が不足」しているかなという印象でした。そして最終戦のアイルランド戦では、決定力不足が露わになってしまいました。

 ベスト8のチームを観ると、皮肉なことにウェールズ・スコットランドという「イギリスを構成するイングランド以外の出場チーム」がベスト8入りを果たしました。もちろん両チームとも、歴史と伝統を誇るラグビー強豪国ですから、何の不思議も無い進出です。

 ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの南半球のラグビー大国3チームは、順当に決勝トーナメントに駒を進めました。オールブラックス、ワラビーズ、スプリングボックスは「常に強い」のです。

 アイルランドとアルゼンチンは、台風の目と言う感じでしょうか。特に、今大会のアイルランドチームは、優勝候補チームといえども油断できない存在でしょう。

 さて、ベスト8の組合せは以下の通りです。

① 南アフリカVSウェールズ(10月17日)
② ニュージーランドVSフランス(10月17日)
③ アイルランドVSアルゼンチン(10月18日)
④ オーストラリアVSスコットランド(10月18日)

 南アフリカVSウェールズは、南アフリカが有利でしょう。

 ウェールズがベストメンバーで臨むことが出来れば、良い勝負になると思いますが、何しろ「死の組」を勝ち上がる過程で、ウェールズには故障者が続出してしまいました。レギュラーメンバーが次々とグラウンドを後にしたのです。手負いのウェールズチームでは、スプリングボックスを倒すのは、容易なことではありません。

 ニュージーランドVSフランスは、ニュージーランドが有利でしょう。

 今大会のフランスチームは、やや得点力不足が否めません。
 加えて、ニュージーランドはGLで余力を残して戦いました。「ベストメンバーは決勝トーナメントに行ってから組む」と言わんばかりの戦い振りでした。「オールブラックスは地元大会以外では勝てない」というジンクス?を破りつつ、ワールドカップ史上初の「連覇」に向けて、準備万端というところでしょうか。

 アイルランドVSアルゼンチンは、概ね互角ですが、ややアイルランドが有利でしょう。

 アルゼンチンの攻撃力は今大会屈指のものです。試合開始20分以内に勢いに乗れば、アイルランドといえども容易な相手ではありません。
 一方で、アイルランドが伝統国の技術で「ロースコアゲーム」に持ち込めれば、総合力に勝る分、手堅く勝ち抜くことでしょう。

 オーストラリアVSスコットランドは、オーストラリアが有利でしょう。

 「死のA組」の影響がワラビーズにどれくらい残っているかは分からないところですが、地力面から観れば、オーストラリアの方が相当上だと思います。
 スコットランドとしては、守備を固めてロースコアゲームに持ち込み、「伝統の蹴り合い」の中から勝機を見出す形でしょう。

 以上、勝手な準々決勝予想でした。

 ラグビーワールドカップ2015イングランド大会は、佳境に入りました。

 素晴らしいゲームの連続でしょう。
 エディ・ジャパンは3勝1敗でグループリーグGLを戦い抜きましたが、B組の3位となってしまい、上位2チームに与えられる「決勝トーナメント進出」はなりませんでした。
 残念なことでした。

 今大会、3勝1敗の成績で決勝トーナメントに進出できなかったのは、日本チームだけでした。

 その理由は、A組・C組・D組には「4勝0敗」のチーム、全勝のチームが存在したのですが、B組には全勝チームが居なかったからです。

 何故、B組には全勝チームが存在しなかったかと言えば、「日本チームが南アフリカチームに勝つ」という、「ワールドカップ史上最大の番狂わせ」が発生したからに他なりません。

① もし、スコットランドが南アフリカに勝っていれば、スコットランドが4勝0敗となり、日本が2位となって、決勝トーナメントに進出することが出来ました。

② もし、サモアがスコットランドに勝っていれば、スコットランドは2敗となり、日本が2位となって、決勝トーナメントに進出できました。

 実際には①、②共に実現せず、3勝1敗で南アフリカ・スコットランド・日本が並ぶことになって、「ボーナスポイントの差」で日本が3位となったのです。

 では、日本チームもボーナスポイントを取れば良かったのではないか、ということになりますが、残念ながら「ブロッサムズには、まだそこまでの力は無い」ということでしょう。

 特に「1試合4トライ以上」に与えられるボーナスポイントに付いては、南アフリカやスコットランドにとっては、勢いに乗れば悠々と達成できる基準ですが、日本チームにとっては「達成が極めて困難」な水準です。

 実際に、日本チームはGL4試合で一度も1試合4トライを挙げることが出来ませんでした。
 日本チームと対戦した4チームとの間に大きな力量差を持つことが出来なかったことが原因です。
 力量上位の南アフリカ・スコットランドの両チームとの比較では、両チームの方が日本チームより力量上位ですし、サモア・アメリカとの比較でも「互角」と言って良いと思いますので、こうしたチームを相手に日本チームが1試合で4トライを挙げることは、極めて難しいでしょう。

 「ラグビーは地力がそのまま試合結果に結び付き易いスポーツ」ですので、対戦した4チームの中で最も力量が低いと見られていたアメリカ戦で、日本チームにとっての4戦で最多の3トライを挙げたことは、とても自然なことだと感じます。

 また、そういう特質を持ったスポーツにおいて、エディ・ジャパンが南アフリカを破ったことの偉大さ、異常さ?、を改めて感じます。

 では、今大会で日本チームが決勝トーナメントに進出する可能性が「最初から無かった」のかと言えば、そんなこともないと思います。

 前述の②が実現する可能性は有ったのです。

 サモアチームは33-36でスコットランドチームに苦杯しました。僅かに「3点差」です。
 スコットランドに「ひとつの大きなミス」が有れば、番狂わせの可能性が十分あったのです。
 しかし、さすがの伝統国スコットランドは、キッチリと勝ち切りました。

 決勝トーナメントに進出することは出来なかったとはいえ、GLで3勝を挙げたことは、ラグビー日本代表チームの「壮挙」です。
 過去7大会で1勝しか出来なかったチームが3勝したのです。世界中のラグビーファン・関係者が驚いていることでしょう。
 その大健闘の価値は、決勝トーナメントに進出できなかったからといって、いささかも色褪せるものでは無いでしょう。
 文句無しの「奇跡的活躍」なのです。

 一方で、前述の通り、ワールドカップに出場してくる各国チームと比較して、「GL3勝」に相当する力量差を付けたかと言えば、それも違うと思います。

 日本チームは、
① ほぼ「実力互角」のサモアチームとアメリカチームとの対戦で見事に勝利し
② 圧倒的に実力上位の南アフリカチームに「信じられないような」勝利を挙げた。

 というのが、今大会の成績であったと思います。決して、サモアやアメリカより「実力上位」になった訳では無いことを、しっかりと認識しておく必要があるでしょう。(日本のラグビー関係者の皆さんは「百も承知」のことでしょうが)

 WC2015で3勝を挙げたことで、地元開催のWC2019における日本チームの活躍が約束されたかのような論調が観られますが、油断は禁物というところです。

 今大会でも、これまでの7大会同様に1分3敗や1勝3敗、0勝4敗の可能性も十分あった訳ですから、今後4年間の日本チームの成長度合い次第では、WC2019のGLで全敗する可能性も有るのです。

 一方で、日本チームは「殻を破った」のですから、今後の成長次第ではWC2019におけるベスト8進出の可能性も有る、ということでしょう。今大会で1分3敗あるいは0勝4敗であったなら、その可能性は極めて低かったのですから。

 今大会のエディ・ジャパンの活躍は、掛け値無しに素晴らしいものです。決勝トーナメントに進出できなかったことは「結果論」に過ぎないものでしょう。

 一方で、2019年大会までの間に、「他国チームの成長」を上回る成長を遂げることが出来なければ、また2011年大会以前の「1勝を挙げることもままならないチーム」になってしまうのでしょう。

 彼我の力量は、極めて僅差なのです。

 厳しい書き方になってしまい恐縮ですが、2011年から2015年の間にエディ・ジャパンが成し遂げてきた大成長、今後4年間も少なくともそれに匹敵するかそれ以上の成長を実現し、2019年の日本大会では何としてもベスト8・ベスト4に進出していただきたいという、強い願いからの記事でした。

 頑張れ、ラグビー日本代表チーム!
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