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HOME   »  2017年02月27日
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 事前に報じられていたように、ペースメーカーは「世界最高タイムを目指すペース」で走り始めました。

 やや海抜が高いところに在る都庁前からの下りも相俟って、素晴らしいラップが刻まれて行きました。
 15kmは43分33秒で通過、世界最高タイムが出た時の44分10秒を大きく上回るペースです。

 この世界最高のペースを刻む先頭集団に、しかし、日本選手は居ませんでした。
 全くついて行けなかったという形です。

 日本選手の先頭は設楽悠太選手でした。
 一時は先頭集団に50m位まで迫りましたが、設楽選手の健闘もそこまででした。

 レースを終始支配したのは、ゼッケン1番、ケニアのウィリアム・キプサング選手でした。
 2時間3分13秒の自己ベストタイムを誇り、3分台4分台で42.195kmを走り切るレースが多いという、世界トップクラスのランナーですが、このレースでも余裕綽々というか、極めて冷静にレースを進めました。

 20kmを過ぎて、ややペースが落ちたペースメーカー達に「もっとベースアップするように」といった仕草も見せていました。「2時間3分00秒」のペースを体で知っていて、そのペースで走り切る実力が備わっているランナーならではの仕草でした。

 ペースメーカーは「必死に世界最高ペースを刻み続け」ました。30kmでも、まだ世界最高より11秒上回っていたのです。
 
 34.5km付近で、キプサング選手は並走していた、同じケニアのディクソン・チュンバ選手を引き離しにかかりました。そして突き放しました。チュンバ選手としては、食い下がりたかったのでしょうけれども、力が違いました。

 キプサング選手の独走が始まり、ゴールまでその走りが続きました。

 終盤に来て発汗こそ増えましたけれども、その美しいランニングフォームは不変でした。つまりそのストライドも余り小さくならなかったのであろうと思います。そこが素晴らしい。42kmを走っても、そのバネが衰えないというのは、見事という他はありません。

 東京駅前のゴールに走り込んだ時、仲間に迎えられて、キプサング選手は笑顔になりました。清々しい笑顔でした。

 「疲労困憊」とは程遠い、清々しい笑顔。ここにキプサング選手の地力が感じられました。
 肉体は疲れているが、気持ち・精神はまだ大丈夫、余力を残しているのです。
 強いマラソンランナーに必須である要素を魅せていただきました。

 日本選手では、初マラソンにも拘わらず、日本最高記録を大きく上回るペースで先行した設楽悠太選手が、35kmを過ぎて失速し、後方集団に居た井上大仁選手が37km付近でこれを追い抜きました。
 井上選手はこのまま日本選手トップを守り、2時間8分22秒でゴールしました。
 2時間7分という「世界選手権代表内定」への標準記録には、残念ながら遠く及ばないものでした。

 東京マラソン2017も「日本と世界の差を痛感」させられるレースとなりました。

 「全く勝負にならない」のです。厳しい言い方をすれば「競走になっていない」ということでしょう。

 2時間3分58秒と2時間8分22秒、4分以上のタイム差が有りますが、実際のレースの景色は4分差どころの話ではありません。
 次々とゴールする海外ランナーから、日本選手は全く見えないのですから。
 
 この4分間に、オリンピックや世界選手権であれば、何人の選手が入って来るのか、20人か30人か・・・。彼我の力の差は、年々拡大している印象です。

 「当たり前の話」だとお叱りを受けそうですが、キプサング選手は「日本のマラソンコースにおいても3分台が出る」ことを証明してくれました。
 海外のコースなら3分台が出るが、日本のコースでは出ないという「迷信」(そんな迷信は無かったのかもしれませんが)も打ち消してくれたのです。

 日本マラソン苦難の時代は、まだまだ続くのでしょう。
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