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 2月25日に幕を閉じた平昌オリンピックでは、日本選手団の活躍が目立ちました。

 これまで最多だった長野オリンピックにおける10個を大きく上回る、13個のメダルを獲得したのです。
 金メダル4、銀メダル5、銅メダル4の13個です。

 「17日間の大会で13個のメダル」、開会式と閉会式の日程を考慮すると、何となく「毎日、日本人プレーヤーのメダル」を観ていたような感じさえします。
 なんと楽しい2週間であったことでしょう。

① 日本選手団の大会MVPは原大智選手

 KaZブログが認定(勝手に)する、平昌オリンピックにおける日本選手団のMVPは、フリースタイルスキー・モーグル男子の原大智選手です。
 2月12日に行われた準々決勝から一気に得点を伸ばし、銅メダルに輝きました。

 この原大智選手と男子モーグルチームの活躍は、「日本選手団に勢い」を齎してくれたと思います。

 大会前から「史上最多のメダル獲得」が期待されていた日本選手団ですが、2月9日に開幕以降、2月12日のフリースタイル・モーグル男子種目の予選までは、全然元気が無かったのです。

 期待された、スノーボード・スロープスタイル男子やフィギュアスケート団体、スピードスケート・女子3000mといった種目では、何か「オリンピックの重圧」に押しつぶされているようなプレーが連続しました。採点競技では、日本選手になかなか良い点が出ない印象でした。

 「この大会の日本選手団は持てる力を発揮できずに終わるのではないか」といった雰囲気が漂い始めていました。
 そうした「暗雲」を一気に吹き飛ばしてくれたのが、原大智選手の銅メダルだったのです。

 同じ12日の夜、スピードスケート女子1500mで高木美帆選手が銀メダルをゲットし、「1日で複数のメダルを獲得した」日本選手団は、一気に勢いに乗ったと感じます。

 原大智選手は、文句無しの最優秀選手でしょう。

② 期待通りの活躍

 大会前にメダルに向けた活躍が期待されていたプレーヤーの多くが、メダルを獲得した大会でした。
 当然のことながら、これは凄いことです。

 予想精度が高いと評されている海外メディアから「金メダル最有力」と言われていた、フィギュアスケート男子シングル、スピードスケート女子500m、スピードスケート女子チームパシュートの3種目は、見事に金メダルでした。

 日本選手が、海外メディアから予想されていた種目の全てにおいて、金メダルを獲得したオリンピックというのは、過去に有ったでしょうか。
 各プレーヤーの実力の高さ、本番での強さ、には感服させられます。

 そして、スノーボード男子ハーフパイプ、スピードスケート女子1000m・1500m、スキー複合ノーマルヒル、そしてスキージャンプ女子ノーマルヒルといった、活躍が期待された各種目で、「着々と」銀メダル、銅メダルを獲得しました。
 これも凄いことです。

 これらの種目における日本選手に共通していたのは、「持てる力をオリンピックの舞台で如何無く発揮する能力」でしょう。
 この「大舞台で実力を発揮する能力」の向上が、近時のオリンピックにおける日本選手の活躍に結びついていることは、間違いありません。

 もちろん、世界トップクラスの大会に数多く出場し、世界トップクラスのゲームの雰囲気、ライバル選手たちのプレーぶりを肌で感じ、自らのノウハウとして蓄積してきていることも、「実力を発揮するための要素」として、重要なことです。

 そして、ここが一番大事なこと(当たり前のことでもあります)なのですが、「オリンピックでメダルを争う実力」を身に付けているのです。
 各競技のワールドカップクラスの大会で、時々3位に入るとか、1度だけ3位になったことがある、というのでは、大舞台でメダルを争うには力不足であることは明白でしょう。
 「一発ひっかけてのメダル」というのは、殆ど有り得ないのです。

 今大会でメダルを獲得した日本選手は、いずれも「世界の頂上の実力」を保持している選手ばかりです。
 「メダルの色」は、相手選手の出来や時の運に左右されるのは、スポーツにおいては止むを得ないことです。スポーツの順位は優れて「相対的なもの」なのですから、自分より強い選手、速い選手が居れば、金メダルを逃すこともあるのです。
 しかし、この域に達したプレーヤーは、メダルを逃すことは無いのでしょう。
 本大会の日本選手団に「メダルを逃すことは無いプレーヤーが多数揃っていた」ことになると思います。

③ 神様からの「+α」

 こうしたメダルラッシュの大会では、大抵、勝利の神様からのご褒美というか+αがあります。

 今大会終盤の2月24日、まずスピードスケート女子マススタートで高木菜那選手が金メダルを獲得し、続いてカーリング女子チームが銅メダルを獲得したのは、まさに「+α」でしょう。
 
 マススタートレースの最終周回、最後の直線に入るところで、高木菜那選手の前が一気に開きました。振り返ってみれば「天恵」のような、ワイドオープンでした。
 カーリングの第10エンド、イギリスチームの最終ショットは、イギリスの銅メダルを確定するためのショットでした。
 ところが、NO.1ストーンになったのは黄色でした。信じられないような光景であったことは言うまでも有りません。

 勝利の神様のプレゼントの様な「+α」のメダル。
 もちろん、高木菜那選手や女子カーリングチームが、そのメダルに相応しい実力を具備していたことは間違いありませんが、メダル獲得の過程で「勝利の神様がほほ笑んだ」ことも間違いないことの様に感じるのです。

 平昌オリンピックにおける日本選手団の大活躍は、2月9日から25日までの間、日本国民にこの上ない喜びを齎しました。
 毎日、多くの人々が笑顔で過ごしていたのです。

 スポーツの力を、改めて感じます。
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 2018年のJ1リーグが、2月23日に開幕しました。
 そして第1節は、25日にかけて行われました。

 平昌オリンピックの終盤と重なっての開幕でしたが、緒戦から好試合が続きました。

 まずは23日のリーグ開幕戦、サガン鳥栖VSヴィッセル神戸は、鳥栖が試合開始早々にPKを獲得し、これを田川選手がキッチリと決めて1-0とリードしました。
 開幕戦の開始3分のPKというのも、蹴る側としてはなかなか難しいシュートでしょうが、田川選手は落ち着いていました。
 ホームでリードした鳥栖は、持ち味である「堅守速攻」サッカーを展開し、優位にゲームを進めましたが、神戸は後半の後半に入っても攻撃の手を緩めず、次第に鳥栖守備陣を押し込みました。
 守備ラインがゴールライン際まで押し込まれると、危険な状況であることは、洋の東西を問わずサッカー競技において普遍的な真理です。
 後半42分、神戸のハーフナー・マイク選手のシュートが決まり1-1の同点。
 
 鳥栖としては、守り切れなかったゲームでしたが、それだけ神戸の攻撃力が高かったということでしょう。

 昨季のチャンピオン川崎フロンターレは、25日にジュビロ磐田と緒戦を戦い、3-0で快勝しました。
 前半24分の中村憲剛選手のヘディングシュート→ゴールで一気に勢いに乗り、谷口選手、エドゥアルド選手が立て続けにゴールを決めて、前半で3-0とリード。
 磐田の守備陣は、比較的簡単に背後を許していました。守備陣の戦法が間違っていたという感じもしますし、修正の遅れは致命的なものでしょう。
 後半には松本選手、田口選手、上原選手を投入して、互角以上の戦いを魅せただけに、磐田の前半の不出来は、とても残念です。
 川崎は、相変わらずの得点力を披露しました。
 今季も優勝争いを魅せてくれそうです。

 第1節は緒戦ということもあってか「引分ゲーム」が目立ちました。
 動きの良くないチームが多かったとの報道も眼にします。
 12月1日の第34節までの長いシーズンですから、慌てることは無いという考え方も有るのでしょうが、3月末の第5節のゲームまでには、「今季の風景」が概ね決まってしまうとの見方もありますので、悠長なことは言っていられないでしょう。

 それにしても、世界各国の主要リーグが7・8月に開幕し、5月にシーズンを終えるのに対して、我がJリーグは2月開幕12月終了というスケジュールです。

 「夏は野球、冬はサッカーという形に、日本もならないかな」と友人に聞くと、「日本じゃ無理だね」という、いつもの回答が帰ってきます。

 アメリカ合衆国なら、夏はベースボール、冬はアメリカンフットボールとバスケットボールとアイスホッケーと、とてもはっきりとした棲み分けが行われています。

 欧州各国なら、7月から5月までサッカーを観て、自国リーグが休みの期間には、2年に1度はワールドカップかユーロがありますから、欧州のファンがサッカーからゆっくり?離れるのは、2年に1度の6~7月ということなのでしょうか。

 日本では、観客動員を考慮すると、どうしても現状のスケジュールになってしまうのかもしれませんが、日本より遥かに、冬季の気温が低いドイツやイングランドにおいて、氷点下の屋外スタジアムで、スタンドから溢れんばかりの大観衆が力の限り応援している光景を見ると、日本と欧州のサッカーの違いを、改めて感じます。

 2018年のJリーグが開幕しました。

 今季は、どんなシーンが観られるのでしょうか。
 クロスカントリースキーの伝統的な種目、男子50kmクラシカルが2月24日に行われ、フィンランドのイーボ・ニスカネン選手が快勝しました。

 1周8.3kmのコースを6周するレース。

 1周目は、ニスカネン選手とノルウェーのマルティンヨンスル・スンビ選手が集団を引っ張りました。
 「王国」ノルウェーのリーダー格のスンビ選手は、同僚を引き連れ、大きな第一集団でのレースをしばらく続け、その中で3名のノルウェーチームの力を擁して、勝機を見出そうとする、「伝統のプレー」を指向したのでしょう。

 一方で、チーム力では一歩劣るフィンランドのニスカネン選手は、今大会の30kmでも見せたような「スパートからの独走」に勝機を求めていたように思います。

 20.kmを過ぎた辺りで、ニスカネン選手が少しスピードを上げ、21kmからはスパートに入りました。
 早い段階でのスパートに付いて行ったのは、カザフスタンのアレクセイ・ポルトラーニン選手だけでした。
 ニスカネン選手のスパートが続き、25km付近では、後続の3番手集団とは相当の差が付きました。
 これで、会場付近まで集団→スプリント勝負、という「21世紀型の50km」となる可能性は低くなりました。「持久力・耐久力勝負」の伝統的な50kmクラシカルとなったのです。

 30km辺りに、OARのアレクサンドル・ボルシノフ選手が後方集団から抜け出し、ニスカネン選手・ポルトラーニン選手を追い始めました。
 そして32km辺りでポルトラーニン選手を抜いて2番手に上がりました。ボルシノフ選手の勢いは止まらず、ニスカネン選手との差をどんどん詰めて行きます。

 33km辺りの差は、ニスカネンとボルシノフが13秒、ポルトラーニンが26秒、4番手集団=スンビ選手やダリオ・コログナ選手(スイス)が含まれる集団との差が1分40秒余りとなっていました。
 4番手集団がニスカネン選手を捉えるのは、相当難しい状況になっていたのです。

 ボルシノフ選手の追い上げは続き、37.5km付近でついにニスカネン選手を捕えました。
 見事な追い上げです。

 単独走による自力勝負に出たニスカネン選手は、ノルウェー勢との競り合いを避けることには成功したのですが、とはいえ独走はさせてくれないのがオリンピックです。
 さすがに、世界トップクラスのレースでは、選手の力量は接近しているのです。

 そして38km付近で、ついにボルシノフ選手が先頭に立ちました。
 長い間先頭を走ってきたニスカネン選手は、ついに2番手に下がったのです。
 とはいえ、ニスカネン選手も離されることなく付いて行きます。

 2名の先頭集団は、40kmを1時間42分12秒で通過しました。
 クラシカルのレースとは思えない程に速いタイムです。
 4番手集団との差は2分16秒に開きました。
 金メダル争いは、ニスカネン選手とボルシノフ選手に絞られた感がありました。

 41.7km、最終周回の6周目に入る会場の中で、ニスカネン選手はスキー交換を行いました。ボルシノフ選手との差は広がりますが、最後の8.3kmでの追い上げにかけた、フレッシュなスキー・ワックスにかけたのでしょう。

 ニスカネン選手の追い上げが始まりました。猛然と追い上げます。
 42.5kmでは、その差は7秒まで詰まりました。
 そして44kmで追い付きました。

 しかし、ボルシノフ選手は余裕が有り、ニスカネン選手には「一杯一杯」という雰囲気でしたから、ここから抜き去るのは難しい感じでした。
 ニスカネン選手は、両太ももを自分でマッサージしたり、いかにも苦しそうだったのです。

 ところが、48.5km、その苦しそうなニスカネン選手がスパートしました。
 勝負に出たのです。

 ボルシノフ選手との差をどんどん広げます。
 
 ゴールまで700メートルの地点で、その差は7秒に拡大しました。
 ボルシノフ選手に諦めの表情が浮かびました。

 会場スタンドのフィンランドサポーターに向かって、大きく手を振りながら(この金メダルは今大会のフィンランド男子チーム唯一のメダルでした)、ニスカネン選手はゴールインしました。2時間8分22秒/50kmという、陸上競技のマラソンより遥かに速いタイムでの走破でした。

 ノルウェーチームは、4位にスンビ選手が入りましたが、「伝統の50kmクラシカル」レースでメダルを逃したことは、「王国」に一抹の不安を残したものとなりました。
 今大会でのクロスカントリースキー競技においても、「王国」は沢山のメダルを獲得し、金メダルの国別獲得数はオリンピック史上の新記録であったと報じられていますが、男女ともに、特に男子チームにおいては「選手層の薄さ」が感じられました。
 過去の、メダル獲得が少なかった大会でも、ノルウェーチームには有望な若手が数多居て、その潜在能力の髙さを感じさせてきたものですが、今大会はその逆でしょう。
 王国としても、体勢の建て直しが急務なのではないでしょうか。

 平昌オリンピック・男子50kmクラシカルレースは「ニスカネン選手のレース」でした。
 閉会式会場で大観衆の前で表彰されるニスカネン選手の姿は、本当に晴れやかなものでした。

 勇気溢れる20kmでのスパート、ボルシノフ選手との競り合い、乾坤一擲のスキー交換と、レース前の様々な事態を想定してのフィージビリティスタディに基づいたレースの実行、何より、作戦通りにレースを進めることを可能にした「実力の高さ」に、大きな拍手を送らせていただきます。
 
 今季のUEFAチャンピオンズリーグも、いよいよ決勝トーナメントに入り、2月13日から21日にかけて、1回戦のファーストレグ・第1戦が行われました。

[2月13日]
ユベントス2-2トッテナム・ホットスパー
マンチェスター・シティ4-0FCバーゼル

[2月14日]
リバプール5-0FCポルト
レアル・マドリード3-1パリ・サンジェルマン

[2月20日]
チェルシー1-1FCバルセロナ
バイエルン・ミュンヘン5-0ベジクタシュ

[2月21日]
セビージャFC0-0マンチェスター・ユナイテッド
シャフタル・ドネツク2-1ASローマ

 興味深い対戦結果が続きます。

 まずは、「CLに愛されている」レアルが、パリ・サンジェルマンに快勝しました。
 前半33分にラビオ選手のゴールで先制を許したレアルでしたが、同45分にクリスティアーノ・ロナウド選手のゴールで同点とし、1-1の緊迫した展開から、後半38分再びロナウド選手のゴールで2-1とリード、同41分にはマルセロ選手のゴールが決まり、試合を決めました。
 ホーム・ベルナベウでレアル・マドリードが魅せた強さでしょう。

 いわゆる「クラブ3強」の牙城を崩そうと狙っているサンジェルマンにとっては苦しい立ち上がりとなりましたが、第2戦のホームでの戦いに期待したいところです。

 バルセロナとチェルシーは1-1で引分けました。
 0-0で迎えた後半17分、ウィリアン選手のゴールでチェルシーが先制しましたが、同30分にメッシ選手が同点のゴールを挙げました。
 「さすがにメッシ」というところですが、バルセロナとしてはアウェイでの引分、それも1点を取っての引分ですから、これで十分なのかもしれません。
 とはいえ、プレミアの大豪チェルシーとしては、このまま引き下がるわけには行きません。

 ユベントスとスパーズも2-2で引分けました。ユーベとしては2失点の引分は、いただけないというところでしょう。スパーズはアウェイで2得点の引分は、相当有利になった感じです。

 シャフタル・ドネツクがホームでASローマに勝ちました。このまま押し切る様なら、今大会の台風の目になることでしょう。

 バイエルン、リバプール、シティは大勝しました。ベジクタシュ(トルコ)の健闘が楽しみでしたが、さすがにアウェイでは分が悪かったようです。第2戦の反攻に期待しましょう。

 ユナイテッドは、セビージャFCと0-0で引分けました。絶対に勝ち上がらなければならないと考えているであろうマンUとしては、まずまずの立ち上がりなのかもしれません。

 3月6日から14日にかけて、第2戦が行われます。
 パリ・サンジェルマンVSレアル・マドリード、トッテナム・ホットスパーVSユベントス、FCバルセロナVSチェルシー、ASローマVSシャフタル・ドネツク、マンチェスター・ユナイテッドVSセビージャFC・・・第1戦の結果を踏まえて、好ゲームが目白押しです。
 イギリスチームと日本チームにより争われた3位決定戦で、日本チームは5-3で勝ち、3位・銅メダルを獲得しました。
 
 緊迫感あふれるゲームでしたが、振り返って見れば「ゲームは終始日本ペース」であったと感じますし、日本の4選手は集中力を維持し続けたと思います。

 予選リーグの残り2試合くらいから、疲労もあってかやや集中力に欠け、ミスショットも多かった日本チームでしたが、この3位決定戦に到って、ようやく調子を戻したというところでしょうか。
 再び、笑顔や「そうだねー」という大きな声が日本チームに戻ってきたのです。素晴らしいことでした。

 ゲームは、常に積極的なプレーを伝統とするイギリスチームが、らしくない「手堅いプレー」を展開しました。
 結果として「2点以上」のエンドがひとつもない、ジリジリするような競り合いとなったのです。ある意味では、珍しいことだったと思います。

 いつも3点・4点を狙ってプレーするイギリスが、このゲームでは1点勝負を展開しましたので、「ゲーム序盤の大量失点」で苦しい戦いを強いられることが多かった日本チームにとっては、ゲームに慣れるまでの時間を得ることが出来たということでしょう。
 結果として、ゲームは日本ペースとなったのです。

 日本チームは、第8、第9、第10エンドで連続1得点を重ねました。
 3エンド連続1得点というのは、このレベルの大会ではなかなか観られないものです。

 この3度のエンドで日本チームにはミスショットも有りましたが、概ね「イギリスチームにとって難しい形」をハウス内に作り続けました。

 第10エンドのラストショット、イギリスのスキップの2投目は、イギリスが同点、あるいは逆転するためのショットであり、そのチャンスも十分に有るショットでしたが、ハウス内のストーンの配置は「極めて不確実性の高い」ものでしたから、とても難しいものでもあったのです。
 数cmのコースのズレやウエイトの僅かな違いにより、日本チームのスティールになる可能性も十分に有りましたから、テレビの前で私は「ロシアンルーレットのようなショットだ」と呟きました。

 相当のウエイトでハウスに迫ったショットでしたから、「当たってみるまで分からない」ものでした。
 そしてブレイク。黄色のストーン=日本チームのストーンが真ん中方向にゆっくりと動いて止まったのです。一目瞭然の一番ストーンでした。

 何故、イギリスチームが普段の攻撃的なプレーを展開しなかったのかは謎ですが、粘り強い日本チームのプレーの前に、最期はイギリスチームが「じれてしまった」感がありました。

 大会前に、日本女子チームがメダルを獲得できると考えた方は多くは無いでしょう。「期待」していた方は多いと思いますが。

 そうした中で、予選リーグ3連勝で勢いに乗り、最終戦で敗れ5勝4敗となった時には状況が悪化しましたが、アメリカチームの敗退により、初めて準決勝に駒を進めました。

 この「準決勝進出」だけでも、「カーリング日本」にとっては初の経験ですし、大きな財産であると見られましたが、銅メダルを競うゲームを制して、表彰台に上がりました。

 日本女子カーリングのレベルが着実に向上していることを、世界に示したのです。
 
 2月24日に新種目として行われた、スピードスケート・マススタート女子で、高木菜那選手が金メダルを獲得しました。

 6400mという長距離レースを、レース前に立案した戦法通りに滑り、優勝を手にした、極めて「クレバー」なプレー振りが、とても印象的でした。

① 準決勝での滑り

 4周目の最初のチェックポイントで1位となり5点をゲットしました。

 予選通過のためには、早期にポイントを獲得しておくことが狙いでしたが、最初のチェックポイントで早々に得点できたことは、その後の「体力温存」の面からも、有効でした。

 当然ながら、他の選手も早々のポイントゲットを目指している中でのプレーですから、3周目からの準備と直線走路での加速は、計算し尽くされたものであったと思います。

 加えて、5ポイントゲット後は、僅か1時間30分後に控えている決勝レースに向け、体力の温存に努めましたが、その際に残りの4000mを「あまり遅すぎないペース」、レースにおける集団の後方で滑り切ったところが良かったと感じます。
 このレベルのアスリートには、遅すぎるペースは逆に疲れますし、「試合における妙なペース」を体感させることは不得策だと考えます。

 高木選手は、「心地よいスピード」で準決勝を滑り切ったのではないでしょうか。

② 決勝レースでのポジショニング

 高木選手は、このレースを通じて「イレーネ・シャウテン選手の後ろ」に付けました。強豪選手、マススタートを良く知っている上に、走力も十分な選手に付けるのは、有効な作戦でしょう。

 とはいえ、16人ものスケーターが一斉に滑るのですから、「邪魔が入る」のは当然ですが、高木選手はこのポジションを決して譲りませんでした。
 1周目、「大きな隊列変更に制限」が設けられている周回においてさえも、何人もの選手が高木選手のポジションに割って入ろうとしました。良いポジションなのですから、止むを得ないところでしょう。

 それらの動きに対して、高木選手は「上手く」あるいは「毅然として」、その位置を譲りませんでした。周回が進んでも、高木選手は決して譲りませんでした。
 高木選手のこのレースにかける「強い意志」を感じさせるプレーであったと感じます。

 「直ぐ後ろでなくとも、後ろ二人目でも良い」とか「横でも良い」とか、様々な茶々が入る状況下では、安易に考えてしまいがちですが、それは「勝負が分かっていないプレーヤー」がすることでしょう。
 ここは「絶対にシャウテン選手の直後」でなければならない、風よけの意味と、シャウテン選手のスパートに即座に対応するために、直後でなければならないのです。

 「直後に付けた」プレーは、とても「クレバー」なものですが、クレバーを実験するのは大変なことなのです。(オリンピックの決勝ですから当たり前のことですが)

③ 最期の直線のスピード

 6400mのレースもラスト周回に入りました。
 先行する、シャウテン選手→高木選手→キムボルム選手の3スケーターによるメダル争いとなりました。
 シャウテン選手は、残り400mからスパートし、高木選手、キム選手がピッタリと付いて行きます。残り2周回辺りから、まるでチームパシュートの様な「3名一列」の姿でしたが、スピードが上がっても、隊列は乱れませんでした。

 そしてコーナーを回っての、最終コーナーの出口、高木選手はまず「インを締め」ました。キム選手の進出を許さなかったのです。
 続いてシャウテン選手は外にコースを取りました。

 これは、振り返って見れば不思議なコース変更でした。高木選手の前が大きく開けたのです。
 ここで高木選手は「フルスロットル」。
 一気に加速し、外にコースを取ったシャウテン選手、内側から進出してきたキム選手に約1.5mの差を付けました。
 そして、この差のままゴールに飛び込んだのです。

 つまり、「直線の走行スピード・走破タイムは3選手が同一」だった訳で、この直線入口で、高木選手が前に出て居なければ、優勝は無かったかもしれません。

 ラスト100mまで体力を温存するプレー、直線入口で、「前にグイッと出る」プレーは、共に、金メダル獲得に向けての「クレバー」なプレーでした。これ以外では、メダルは取れたのでしょうが、順位は不透明であったことでしょう。

 レース前に組み立てた戦法を、「クレバーな戦法」を、「頑固なまでに徹底して」実行した、高木菜那選手のパフォーマンスが際立ったレースでした。
 世界で戦って行くためには「クレバーなプレー」が必須なのです。

 この大会ふたつ目の金メダルは、オリンピックの日本選手団史上初の「同一大会で日本女子選手が初めて獲得した金メダル」でもありました。

 まさに、歴史的な快挙だったのです。
 2月16日から19日にかけて行われた第23節のゲームを終えて、バイエルン・ミュンヘンがトップに立っています。
 ブンデスリーガでバイエルンがトップというのは、「定位置」でしょう。

 23試合を終えて19勝2敗2引分・勝ち点59、2番手のボルシア・ドルトムントが11勝5敗7引分・勝ち点40、3番手のアイントラハト・フランクフルトが11.勝6敗6引分・勝ち点39というのですから、圧倒的な首位です。
 とはいえ、この段階で「もう2敗しているのか」「例年より負け数が多い」と感じるのですから、バイエルンの強さはずば抜けているということなのでしょう。

 今季ここまでのチームの得点王は、ロベルト・レバンドフスキ選手(ポーランド)の20点で、これはリーグの得点王でもあります。現在のバイエルンのエースストライカーということです。

 近時のバイエルンは、2つのチームを併用しているように見えます。
 もちろん、世界トップクラスのビッグクラブは、力があまり変わらないAチームとBチームを用意していることが多く、そういう体制を取ることが出来ないと、リーグ戦とカップ戦の連続、ビッグクラブに期待される試合数の多さ、に対応できないのですけれども、そうしたビッグクラブの中でも、バイエルンのAとBのチーム分けは「豪華」という感じがします。

 例えば、2017年12月20日のドイツ杯3回戦のボルシア・ドルトムント戦(2-1でバイエルンの勝利)のフォワードFW・ミッドフィールダーMFを観ると、トーマス・ミュラー選手、レバンドフスキ選手、ハビ・マルティネス選手、ハメス・ロドリゲス選手、フランク・リベリー選手、アルトゥロ・ビダル選手と並びますが、第20節のホッフェンハイム戦(5-2でバイエルン勝ち)では、アリエン・ロッベン選手、レバンドフスキ選手、コレンティン・トリッソ選手、キングスレイ・コマン選手、ビダル選手、セバスティアン・ルディ選手と並ぶのです。
 「豪華絢爛」というところでしょう。

 レバンドフスキ選手とビダル選手以外は、自在に組み換えが可能な印象ですし、このどちらのゲームでも、ディフェンダーDFのジェローム・ボアテング選手が得点しているのを観ても、「どこからでも点が取れる体制」をも具現しているのです。

 このバイエルンが「ここぞ」というゲームで、どのようなチームを組んでくるのかは、とても興味深いところです。

 「常勝軍団」バイエルン・ミュンヘンの今シーズンの戦いも、「王道を行く」ものなのです。
 金メダルのザギトワ選手と銀メダルのメドベージェア選手のフリー演技の得点は、156.65で同点でした。

 驚きました。
 こんなことが起こるとは・・・。

 現在の採点方法では、まず考えられないことです。

 今季シニアにデビューしたばかりのザギトワ選手に比べて、既に「世界の女王」として君臨し、様々な大会で圧倒的な強さを魅せているメドベージェア選手の方が、いわゆる「演技の完成度」という点で上回っているのは自然なことですから、演技構成点ではメドベージェア77.47、ザギトワ75.03と2点以上の差が有ったのです。

 この2点以上の差を、ザギトワ選手は技術点でカバーした訳ですが、カバーすると言っても、相手は世界女王ですからミスを期待するのは適切では無かったので、基礎点が1.1倍になるというルールを活かして、「ジャンプを全て後半に集中する」という戦術を採ったのでしょう。

 もちろん、1.1倍の得点を狙ってジャンプを全て後半に集めたとしても、自らがジャンプでミスをしてしまえば元も子もない(当然ながら、ジャンプを集中・連続して飛ぶのですから、肉体的な疲労蓄積や、精神的に追い込まれることになりますから、演技全体にバランス良くジャンプを散りばめる構成より難易度が高いことになります)のですが、ザギトワ選手は、最初のジャンプ=トリプルルッツからの連続ジャンプがルッツ単独に終わってしまったにもかかわらず、後のジャンプを連続にするなどして、表だったミスは皆無でした。
 ここが素晴らしいところです。

 一方のメドベージェア選手も、小さなミスはありましたが、演技全体の印象に大きな影響を与えるものではありませんでした。世界女王としても「ほぼ完璧な演技」を完成させたのです。

 彼我の技術点は、ザギトワ選手が81.62、メドベージェア選手が79.18となりました。

 そして、フリーの合計点が「156.65で同点」となったのです。

 演技構成点は、5つの項目に対して10点満点で「下二桁」まである得点(このレベルでは9.50点前後)が配され、技術点は、概ね12の演目に対して、基礎点と出来栄え点が配されますから、項目数は24となり、こちらも「下一桁・下二桁」の配点です。
 採点対象項目数は、計29です。

 二人が「異なる戦略・戦術」、技術点重視と演技構成点重視の戦術を駆使し、合計29もの採点項目で争いながら、合計して下二桁まで同点というのは、どのくらいの確率で発生するのか分かりませんが、まさに「奇跡的なこと」でしょう。

 そして、その接戦が「世界女子フィギュア史上最高の得点水準」なのですから、まさに今大会の女子フィギュア・シングルは「史上最高の接戦」だったことは間違いありません。

 結局勝負は、ショートプログラムの「1.13点差」で決しました。
 オリンピックのこの種目の得点差としても、史上最少なのではないかと思います。

 15歳のザギトワ選手は、初出場どころか、シニアデビュー1.年未満という、いわゆる「経験値」面では全く不十分な状況で、史上最強クラスの女王に競り勝ちました。
 個人競技の勝敗においては、経験値量は本質的には無関係であることを、ここでも明示してくれたのです。
 勇気溢れる「大胆なジャンプ演目配置」が功を奏した形。見事の一言です。

 メドベージェア選手は、女王として堂々たる演技を披露しました。
 自身の出来栄えから言って、普通なら「負ける筈が無い」試合でしたが、ちょっと「相手が悪かった」という感じがします。

 技術的に難度の高い演目を「これでもか」という感じで連発し、次々と成功させなければ高得点を挙げることが出来ないという、現在のフィギュアスケート競技においては、「実績・貫録・雰囲気」で長く王座を維持するのは至難の技でしょう。
 凄い身体能力をベースに、高いパフォーマンスを発揮する新鋭が、次から次へと世界中で登場して来るのです。

 15歳のザギトワ選手は、オリンピックチャンピオンとなった2018年2月23日から、既に「追われる身」となったのかもしれません。
 2月18日に行われた女子スケルトンは、イギリスのレジー・アーノルド選手が金メダルに輝きました。
 銀メダルには、ドイツのジャックリーン・レリング選手が食い込みました。

 この競技は、伝統的にイギリスチームが強く、ドイツチームが近時追い上げを見せています。

 そのドイツチームの選手達の「スタートタイムが悪い」のです。

 今大会の女子スケルトンのスタートタイムは5.20秒前後でした。5.20秒より速ければ「速いスタート」、遅ければ「遅いスタート」と言われたのですが、ドイツの選手達は、軒並み「遅い」のです。
 それも、半端無く遅い。銀メダルのレリング選手の3本目のスタートは5.42秒、4本目は5.37秒でした。

 当然ながら、これは「スタートが遅い」のではなく、「ゆっくりとスタートしている」のです。
 どのスポーツ競技においても「圧倒的なパワー」を誇るドイツチームが、本気で速いスタートを追求しながら、僅か「5秒ちょっとの区間」において、0.2秒以上遅れるということは、考えられません。
 レース全体のタイムを上げる為に、スタートのスピードを抑えているのでしょう。
 いかにも、合理性を追求するお国柄が表れています。

 21世紀に入ってからオリンピック種目に加わった「若い競技」であるスケルトンは、まだまだ改良の余地が多く残されている競技なのでしょうし、各国の様々な角度からの検討が進んでいるものと思われます。

 また、この競技はオリンピック大会でも無ければ、なかなかゆっくりとテレビ観戦することが出来ませんから、観戦する側からしても「観る力の向上」を図る機会が少ないことになります。

 私の「オリンピック女子スケルトン」観戦方法です。

① 禁止事項

 1/100秒を争うスケルトンですから、そりの滑走スピードを上げることを追求し、「スピードを落すこと」は回避しなくてはなりません。

 選手がスピードを維持するために、絶対にやってはいけない「禁止事項」は二つ。
 ひとつ目は「そりを側壁にぶつけること」、ふたつ目は「そりをコースに対して斜めにすること」、このふたつでしょう。

 それ以外は、あまり気にする必要が無いというか、タイムの速い遅いには直接の関係は無いと思います。

 例えば、コースとかラインです。
 望ましいコースとか、カーブに入るラインというのは、その瞬間のスピードによるのでしょう。
 凄いスピードが出ていれば、望ましいラインなど取れる筈が無いのです。
 逆に言えば、スピードが出ていなければ、望ましいライン・コースを取れる訳ですが、それは「オリンピックのスケルトン」で求められる要素とは矛盾しています。

 このことは、スピードスケートやアルペンスキーと同じです。
 「スピード水準とのバランス」が大切なのです。

② そりの上での重心移動

 技術面で最も重要なのは、そりの上での重心移動でしょう。
 選手は、そりを操るために色々な技術を使います。一見、両脚の爪先を使っての方向コントロールが目立ちますが、私は「重心移動」の方がより重要であろうと感じています。

 左右はもちろんとして、前後の重心移動、上下の重心移動の巧拙がタイムに大きく影響しそうです。

 頭書の「スタートが遅いドイツ選手達」は、必ず「後半タイムを伸ばす」のです。そうでなければ勝負になりませんから、「落ち着いたスタート」からカーブ毎に着々と加速を続けているのでしょう。
 特にドイツチームは、「上下の重心移動」が巧みなのではないかと観ています。
 頭や胸、腰を数cm単位で細かく動かしながら、そりのスピードを上げる、あるいはスピードを維持しているのでしょう。

 スピードが最重要視される競技において、「スタートが最速である必要が無い」というのは、陸上競技100m競走を見れば明らかでしょう。ウサイン・ボルト選手のスタートが速いという話は聞いたことがありません。
 100m競走でも、残りの95mでスピードを上げ維持するために「静かにスタートを切る」のが、現在は良いスタートとされているのです。

 そして、ドイツチームは近時、リュージュ競技において、「王国」と呼んでも良いような圧倒的な強さを魅せています。全ての種目において優勝するという国際大会も、珍しくない程の強さなのです。
 そのドイツのスケルトンチームは、同じ氷上を滑り落ちる競技として、おそらくはリュージュチームの関係者で固めているのではないでしょうか。
 リュージュの世界一のノウハウを導入して、新戦法を模索しているドイツが、今後どのようなスケルトンを構築してくれるのか、とても興味深いところです。

 「スタートが速い」イギリスチームと、「スタートが遅い」ドイツチームの今後の戦い振りから眼が離せません。
 2月17日に行われたアルペンスキー女子スーパー大回転は、チェコのレデツカ選手が金メダルを獲得しました。
 2位のアナ・ファイト選手(オーストリア)、というかフェニンガー選手と呼んだ方が分かり易い、に1/100秒差、1分21秒11のタイムでの優勝でした。

 第1シードではなく26番目にスタートしたレデツカ選手は、この種目では余り知られた存在ではありませんでした。
 
 それもそのはずで、レデツカ選手はスノーボード女子パラレル大回転の世界のトッププレーヤーなのです。スノーボードの大回転では、圧倒的な実績を誇り、今大会でも優勝候補の筆頭に挙げられているのですが、その選手がアルペンスキーの種目に登場し、優勝してしまったのですから、凄いの一言でしょう。

 アルペンスキー競技とスノーボード競技、両競技において「スピードを上げる技術」には、共通点も多いのかもしれませんが、事がオリンピックでの戦いとなると「異なる競技」で世界トップクラスのパフォーマンスを示すというのは、信じられない事実でしょう。

 先日も、ショートトラックスケートとスピードスケートの両方をプレーし、今大会のスピードスケートで金メダルを獲得した、オランダのテルモルス選手が話題になりましたけれども、今大会は「二刀流」が目立つ大会なのかもしれません。

 レデツカ選手の「本職」?であるスノーボード女子パラレル大回転の決勝は、2月24日です。ここでも金メダルを獲得するようなら、「二刀流」完結と言うことになります。

 これまで、夏季と冬季のオリンピックの二刀流というのは聞いたことが有りますが、同じ大会での異なる競技における二刀流というのは記憶に在りませんし、もし「二冠」を達成するようなら、史上初の快挙なのではないでしょうか。
 2月21日に行われたチームパシュート女子、準決勝、決勝で、日本チームはカナダチーム、オランダチームを破り、見事に金メダルを獲得しました。

 全体として、日本チームのプレー振りは、まさにチームパシュート競技の「お手本」の様に観えました。
 現時点で、男女を通じても、最も完成度の高いチームであろうと思います。

 決勝の戦前は、オランダチームが前半リードして、日本チームが後半追い上げる展開であろうと予想されていましたが、実際のレースは日本チームが前半から相当のスピードで滑り、オランダチームに大きなリードを許さないというか、2周目から3周目には日本チームがリードするという、「意外」なものとなりました。

 それでも、個人種目のメダリスト3名を揃えたオランダは、その圧倒的な走力で3周目、4周目を走破して、日本に最大0.5秒位のリードを奪いました。走力の有るチームとしての「先行押し切り」を狙ったのです。

 レース前には、残り2周の時点で「1.5秒」以内の差であれば、日本チームが十分に逆転できると考えていましたので、「これは日本が金メダルの展開」だと思いました。

 そして、高木美帆選手が先頭に立ってスピードアップした日本チームは、ゴールで1.59秒の差を付けて優勝したのです。

 自分たちのレースが出来れば勝てると考え、それを実行した、日本チームの快勝でした。

 日本チームの完成度の高さは、

① 滑り

 スタート直後から「3選手が一直線」の体制を構築し、手足の動きも揃えて、力みも無く滑る姿は、とても美しい。

 コーナーの入口や出口で、一直線の形に「少しズレ」が生じますが、これとても「2番手・3番手の選手に風が当たらないようにするために適した体制」に観えます。

 先頭の交代もスムース。
 毎回、下がって行く選手が、チーム全体の「リズム維持」に注意を払い、必要に応じて、前に出る選手の体を押したり、アドバイスを送っているように観えました。

 まさに「お手本」でしょう。

② チーム構成

 今大会の日本チームは、高木姉妹を骨格として、菊池選手と佐藤選手を配する形でした。

 この日は、準決勝が菊池選手、決勝が佐藤選手でしたが、この2人の選手の特徴、菊池選手の持久力と佐藤選手のスピードを、巧みに使い分けて、戦いに臨んでいました。

 高木菜那選手と美帆選手の姉妹は、とても「負けず嫌い」ですので、お互いがチーム内でのライバル関係にありますから、「自分がチームの足を引っ張った」とレース後言われるのを「死ぬより嫌」だと考えているに違いないので、先頭に立った時の気迫というか、迫力が凄い。

 4名の個性的な選手により構成されるチームは、まさに「お手本」なのでしょう。

③ 細部への拘り

 決勝レースの最終周回、佐藤選手の脚がやや止まりかけました。これを高木菜那選手が巧みにサポートしていました。
 最後の直線に出る時も、菜那選手は佐藤選手の1m位後方を進み、佐藤選手に何かあれば、直ぐに対応する体制を整え、維持していました。

 速く滑ることだけでは無く、「トラブルへの備え」、それも相当細部に渡る備えが見事であったと感じます。

 準々決勝のスタートを失敗した佐藤選手が、美帆選手にストップというか、スピードを落とすように大声を出した時も、体勢を立て直した後、何事も無かったかのように日本チームは滑りました。そして、余裕十分な滑りで、オランダチームに0.5秒以内の差で滑り来たのです。

 この細部に渡る備えは、まさに「お手本」でしょう。

 圧倒的な「個の力」を誇るチームが、チームプレーにやや無頓着になるのは、別にスケートに限ったことではありません。
 例えば、陸上競技男子400mリレーのアメリカチームやジャマイカチームは、「4名とも9秒台」のチームを投入してきますが、日本チームやイギリスチームはチームプレーで互角の戦いを演じます。

 チームパシュートも同じなのでしょう。
 1対1で滑れば、2敗1引分に終わりそうな相手ですが、3対3となれば「圧勝する」のですから、この種目も「奥が深い」のです。

 今、パシュート日本チームには、「世界一のノウハウ」が蓄積されている子でしょう。
 オリンピックにおけるチームパシュート種目初の金メダルを礎として、日本の「お家芸」にして行ってほしいものです。
 フランスのフールカデ選手が、バイアスロン競技で大活躍を魅せています。

 2月20日までに行われた、バイアスロン5種目の内3種目を制したのです。

 近時はドイツチームが強いバイアスロンですが、その牙城をひとりで脅かしているのが、フールカデ選手といった様相でしょうか。

 2月11日に行われた、男子の最初の種目「10kmスプリント」はドイツのアルント・バイファー選手が制しました。フールカデ選手は22.1秒遅れの8位でした。
 今大会のバイアスロン男子も、ドイツチームのメダルラッシュになるか、という結果だったのです。

 翌12日に行われた「12.5km追い抜き(パシュート)」種目は、10kmスプリント種目の順位・タイムを元にスタートが切られますから、7位までに3名の選手を並べていたドイツチームが有利に観えました。
 しかし、8位=追い抜き種目で8番目のスタートであったフールカデ選手は、前にスタートした選手たちを着々と「追い抜き」、ゴールでは2位のセバスティアン・サムエルソン選手(スウェーデン)に12.0秒の差を付けて快勝したのです。
 ドイツチームは、ベネディクト・ドル選手が3位に入るのが精いっぱいでした。

 フールカデ選手が、今大会ひとつ目の金メダルを獲得しました。

 続く15日の「20km」では、フールカデ選手は5位に終わりました。ちなみに、この種目の優勝はノルウェーのヨハンネスティングネス・ベー選手で、スロベニアのヤコフ・ファク選手との競り合いを制しました。ドイツチームは9位にエリク・レサー選手が入ったのが最高でしたから、今大会のドイツチームはやや調子が上がっていないのかも知りません。

 続いて18日の「15km」。
 フールカデ選手は、ドイツのジモン・シェンプ選手との大接戦を制して優勝しました。
 ふたつ目の金メダルを獲得したのです。

 そして20日の「混合リレー」でも、フランスチームが優勝しました。
 アンカーのフールカデ選手にとっては、今大会三つ目の金メダルとなったのです。
 ちなみに、ドイツチームは4位でした。

 さて残るは23日の「男子30kmリレー」です。

 もしフランスチームが優勝するようなら、おそらくアンカーで登場するであろうフールカデ選手の「四冠」の可能性があるのです。

 平昌オリンピックの最優秀選手に、バイアスロンのプレーヤーが選出されることになるかもしれません。
 2月14日から始まった、ロサンゼルス・エンゼルスatアナハイムの2018年のスプリングトレーニングにおける、大谷翔平選手の動静が、毎日のように報じられています。

 「36球投げた。20球と16球に分けて」、「正捕手マルドナルド選手が全ての球が素晴らしいと評価」といった報道が続きますが、近時(といってもまだ1週間しか経っていないのですが)目立つのが、「打撃も凄い」という評価です。

 2月15日のフリーバッティングで、35スイング、安打性打球が20本、内12本が柵越え、中にはバックスクリーン越えの150m弾も、と伝えられました。
 1/3が柵越えというのは、大谷選手の飛距離を示すものです。

 当然ながら、「柵越えの為のスイング」によって大きな飛球を飛ばすだけなら、メジャーリーグのスプリングトレーニングに参加しているプレーヤーなら、それほど珍しいことでは無いのでしょう。
その打球が「生きた打球」であるかどうかは、MLB関係者であれば即座に見抜くのです。

 そのMLB関係者から、「素晴らしいパフォーマンス」との評価が高まっているというのですから、頼もしい限り。

 シーズン前には「二刀流」に懐疑的だった関係者、その多くは「投手・大谷翔平」を評価していた人達ですが、その人達からも「打者としての可能性を見出した」といったコメントが、数多く出されているのです。
 
 また、エンゼルスのマイク・ソーシア監督からは、2月17日に「三刀流」も考えている旨のコメントも出されました。大谷選手の走力を高く評価しての発言で、先発投手として出場する合間の試合でDHや代打として出場することはもちろんとして、「代走」でも活躍してもらうとの方針なのです。

 日本においては、投打はともかくとして、「走」が注目されたことは少なかった大谷選手ですが、スプリングトレーニング3日目にして、指揮官の眼には「素晴らしい走塁」が焼き付けられたことになります。

 大谷翔平というアスリートの「底知れぬ潜在能力」については、およそ「スポーツを知っている人」「スポーツを理解している人」なら、誰でも高く評価することは、これは間違いのないところで、特に世界トップクラスのプレーに係わっている人達が異口同音に「凄い」と言うのですから、物凄い身体能力を具備していることは、疑いの余地がありません。

 その大谷選手が、「伸び伸びとプレーしている」様子が報じられていることが、何より嬉しいことだと思います。
 「ベースボールが出来る喜び」を感じている様子が、沢山の報道の随所に感じられるのです。

 球聖ベーブ・ルースが「13勝7敗・11本塁打」を記録したのは1918年、今から100年前です。

 ベースボールも、この100年間に随分と変わったとは思いますが、21世紀のベースボールにおいて、大谷翔平というアスリートが、どんな活躍を魅せてくれるのかは、全てのベースボール&野球関係者・ファンの、大きな大きな関心事なのです。
 2月10日~12日にかけて行われた第27節の試合を終えて、今季のプレミアリーグはマンチェスター・シティが悠々と首位を走る展開となっています。

 全38節の内27節を終えていますから、概ね2/3強を消化して、シティは23勝1敗3引分で勝ち点72、2番手のマンチェスター・ユナイテッドが17勝5敗5引分・勝ち点56、3番手のリバプールが15勝3敗9引分の勝ち点54、4番手チェルシーが16勝6敗5引分で勝ち点53となっていますから、シティは断トツのトップなのです。

 今季のシティの成績は「負けも引分も少ない」形ですから、要は「勝ちに行って強い」ということになります。守備ももちろん安定しているのですが、「守り勝っている」訳では無く、79得点という圧倒的な得点力を武器に、相手より多く点を取るサッカーなのです。

 チームの得点王はセルヒオ・アグエロ選手(アルゼンチン)の21点、2番目はラヒム・スターリング選手の15点ですが、3番目以降が凄いのです。
 ガブリエル・ジェスス選手(ブラジル)が8点、レロイ・サネ選手(ドイツ)とケビン・デ・ブライネ選手(ベルギー)が7点、と続いているのです。

 まさに「どこからでも得点できる体制」が出来ている感があります。
 今季のマンチェスター・シティは、チーム全体が躍動しながらゴールを目指すプレーが出来あがっているのでしょう。

 1月31日の25節のゲームでも、ミッドフィールダーMFのフェルナンジーニョ選手(ブラジル)とデ・ブライネ選手が、先制点と2点目を挙げ、アグエロ選手が追加点という形で、3-0でウェスト・ブロムウィツチ・アルビオンを下しました。
 これだけMFにゴールを決められては、相手チームはたまったものでは無いでしょう。

 今季のシティは強い、これはプレミアリーグの中だけのことでは無く、様々な国際試合でも言えることでしょう。

 マンチェスター・シティは、今、世界最強のクラブチームなのかもしれません。
 速報値36秒95、確定値36秒94、のオリンピック新記録をただき出した、小平選手の滑りには、この種目にかける「気迫」が溢れていました。

 スタート号砲前に小平選手の体がピクリと動きましたがフライングとはならず、小平選手は「良くも悪くもない普通の反応」で滑り始めました。
 両手を大きく振りながらの加速は、いつものパフォーマンス。
 100mは10秒26で通過しました。
 同組のカロリナ・エルバノバ選手も10秒30の僅少差で通過していましたから、接戦になる感じがしました。

 最初のコーナーを小平選手はとても上手く抜けたと思います。
 加速しつつ、極めて冷静なレース振りが印象的でした。

 バック側の直線も小平選手の加速は「気持ちの良い」ものでした。
 エルバノバ選手も良く負いましたが、動きは小平選手の方が上回りました。

 2つめのコーナー、とても大事な場所も、小平選手は上手く処理していましたが、一歩だけキックが抜けたように観えました。
 幸い体制を崩すまでの影響は無く、力強くしかし落ち着いたコーナリングから直線に入りました。

 ここでの小平-エルバノバの差は3~4m位だったと思います。エルバノバ選手が2つめのコーナーで追い上げていたのです。

 ここからゴールまでの、小平選手の滑りは「圧巻」でした。
 大きなフォームでスピードを維持し、ゴールまで高速を保ちました。
 ラスト100mの「驚異的な」滑りだったのです。

 テレビ画面のタイム表示と、選手の映像を同時に見て、おおよそのゴールタイムを把握することが出来ないほどのスピードと言うのは、ほとんどの場合「好タイム」に結びつくものですが、この時も走破タイム掲示は「37秒手前で止まっていた」のです。
 オリンピック新記録であり、「平地での世界最高記録」が出た瞬間でした。

 エルバノバ選手は37秒34の好タイムで、結局銅メダルを獲得しました。
 エルバノバ選手も、見事な滑り、オリンピック銅メダルの滑りを展開してくれたのです。

 小平選手が、今大会の日本選手団・主将に任命された時、「主将が金メダルを取るのは極めて難しい」と感じました。
 記憶ですが、夏・冬を通じて、オリンピック日本選手団の主将が金メダルを獲得した例は、無いか、あっても1度きりではないでしょうか。

 小平選手は、「そのことは知っていましたが、絶対に勝ってやろうと思っていました」とコメントしました。
 高い実力と強い意志の前には、ジンクスも形無しだったのでしょうか。

 「勝つべくして勝つ」というのが至難の技であることは、皆さまが良くご承知の通りなのです。
 オーストリアのヒルシャー選手が、2位に1.27秒の大差を付けて圧勝しました。

 固いバーンで、コースアウトするスキーヤーも続出しましたが、ヒルシャー選手は冷静かつ果敢なプレーを展開しました。
 現在のアルペンスキー技術系種目において「第一人者」と称される実力を、見事に披露してくれたのです。
 2007年に世界デビューし、既にワールドカップ総合優勝6度を誇る、28歳のヒルシャー選手ですが、平昌オリンピックがプライムタイムなのかもしれません。

 それにしても見事な滑りでした。
 短く素早く正確なエッジングは、かつてのインゲマル・ステンマルク選手に似てきたようにさえ感じられます。

 今大会は、アルペン複合種目に続いて2つ目の金メダル獲得です。

 マルセル・ヒルシャー選手が、2月22日に行われる回転種目も制するようなら、トニー・ザイラー選手(オーストリア、1956年オリンピック・コルチナダンペッツオ大会)、ジャン・クロード・キリー選手(フランス、1968年同グルノーブル大会)以来3人目、21世紀に入っては初めての「アルペン競技において3つの金メダル獲得」を達成することになります。

 大注目です。
 2月16日に行われた、男子15kmフリー種目で、スイスのコログナ選手が優勝し、この「15km」種目でのオリンピック3大会連続の金メダルを達成しました。

 クラシカルスキー王国のノルウェー勢を相手にして、10年以上に渡って世界トップクラスの成績を残していることは、コログナ選手の高い実力を如実に示しています。

 前回のソチ大会は「クラシカル」、今大会は「フリー」スタイルで争われた「15km」ですが、コログナ選手はスタートから飛ばしに飛ばしました。

 10km辺りまでに、ノルウェー勢に20秒以上の差を付けたのです。
 
 当然ながら、前半にリソースを多く使ったコログナ選手に対して、10km以降、ノルウェーのクルーガー選手の追い上げが始まりました。
 しかし、前半の差は大きく、クルーガー選手の追い上げは18秒以上続きませんでした。

 コログナ選手の「前半差を付け、後半粘る」という戦略が、見事に功を奏したのです。

 30kmスキーアスロンで表彰台を独占したノルウェー勢は、そのメンバー、クルーガー選手・スンビ選手・ホルン選手で15kmフリーにも臨みましたが、3選手ともスキーアスロンの疲労がまだ残っている感じで、パフォーマンスは上がりませんでした。

 これまでなら「15kmフリーのスペシャリスト」を参加させることもできたノルウェーチームだと思いますので、現在の「王国」はやや選手層が薄いのかもしれません。

 尚、このレースでは、日本の吉田圭伸選手が13位に食い込みました。
 スタートから快調に飛ばし、10km以降も良く粘りました。オリンピック男子クロスカントリースキー種目における日本人選手としては、久し振りの好成績だと感じます。

 男子にとっての最終種目50km、今大会は「クラシカル」で行われます。

 「クロスカントリー50kmクラシカル」という、伝統的な、最もクラシカルスキーらしい種目における、各国プレーヤーの戦いがとても楽しみです。
[2月15日・男子滑降・龍平アルペン競技場]
1位 アクセルルント・スピンダル選手(ノルウェー) 1分40秒25
2位 チェーティル・ヤンスルード選手(ノルウェー) 1分40秒37
3位 ベアト・フォイツ選手(スイス) 1分40秒43

 「安定した滑り・最短距離のコース・なるべく飛ばないジャンプ」といったスキーイングでは、オリンピックの滑降種目で好成績を残すことは出来ません。(これまでの記事にも何度も書き恐縮です)

 コース難度が高く、世界トップクラスの選手が勢揃いする大会ですから、「より高い滑走スピードを実現するため」には、そんな悠長な?ことは言っていられないのです。

 このクラスの選手達は、スピードを少し落とせば、「安定した滑り」を実行できますし、「最短距離のコースを滑ること」が出来ますし、プレジャンプの飛距離も抑えることが出来るのですが、その「スピードを少し落とすこと」がメダル争いの致命傷となるのです。

 バランスを多少崩してもスピードを上げ・維持し、コースが多少膨らんでもスピードを維持し、多少ジャンプで飛び過ぎてしまっても好重心位置を実現して減速を最小限に抑える、といった「リスクを取った滑り」が必須なのです。

 ベテラン、35歳になったスピンドル選手は、「果敢な滑り」を魅せてくれました。
 長期間に渡って、ノルウェーのアルペンスキー陣を牽引してきたスピンドル選手にとっては、オリンピックにおける4つ目のメダルであり、滑降種目では初めての金メダルです。

 惜しかったのは、2位のヤンスルード選手でしょう。前半見事な滑りを魅せ、スピンドル選手をリードしたのですが、後半ややスピードが落ち、最期は0.12秒差で銀メダルでした。
 先に滑ったスピンドル選手からの各種の情報も十分に活かした滑りでしたので、終盤の失速が惜しまれるところでしょう。

 近年のオリンピックにおいては、全てのアルペン種目の先頭を切って行われることが多い「男子滑降」ですが、今大会は天候不良により順延されていました。
 この日は青空にも恵まれ、時速120kmを優に超える、豪快な滑りを存分に楽しむことが出来ました。

 とはいえ、「アルペンの華」と呼ばれる滑降は、やはり大会の最初に観たい種目なのです。
 フィギュアスケート男子シングルで、羽生選手と宇野選手は1位・2位を占めました。

 日本フィギュアスケート界の歴史に、燦然と輝く快挙です。

 これまで、多くの日本男子スケーターが営々と積み上げてきた努力が、大輪となって結実したのでしょう。

 宇野昌磨選手の今大会における戦い振りは、まさに「堂々たるもの」でした。

 注目が羽生選手に集まる状況下、自らの実力をリンクの上で披露し続けたのです。
 「羽生選手に何が起ころうとも、日本男子フィギュアのメダルは守る」という気迫に溢れていましたし、高いパフォーマンスを維持し続けることが出来る地力の高さは、世界チャンピオンに相応しいものだと感じます。

 表彰式後のインタビューで「自分が完ぺきな演技をすれば優勝できる(羽生選手の得点を超える)と考えていましたが、最初の4回転で転倒した時笑ってしまいました。後は、思い切りやるだけだと思いました」とコメントしました。
 極めて冷静なアスリートが、そこには居ました。

 宇野選手は、十分にオリンピックチャンピオンを争うことが出来るスケーターに成長しているのです。
 「日本の二枚看板」ということになります。

 宇野選手は20歳、羽生選手は23歳、我が国の二枚看板は、まだまだ若いのです。
 フリー演技を終えた時、羽生選手には「やり切った」雰囲気が漂っていました。

 得点は317.85。

 ショートプログラムで111点を超える演技を魅せて、世界中のフィギュアスケートファンを驚かせ、フリースケーティングを迎えました。
 
 フリーでも4回転ジャンプを決めて流れを創りました。

 さすがに後半は、ジャンプの軸が少し傾いていたというか、「軸が開いている」印象でした。
 演技の途中で右脚に痛みが走ったのかもしれません。

 いずれにしても、素晴らしい演技でした。

 まさに「神技」でしょう。

 21世紀に入って初めてのオリンピック連覇。

 羽生結弦は「歴史」になったのです。
 アイルランドの調教師エイダン・オブライエン(48歳、エイダン・オブライエン厩舎)は、1997年から2006年まで10年連続でアイルランド競馬平地リーディングトレーナーを獲得し、2001年・2002年にはイギリスの同リーディングトレーナーも獲得しています。
 この頃のAオブライエン調教師の勢いは、凄まじいものがありました。

 こう書くと「過去の栄光」のように聞こえてしまうかもしれませんが、リーディングトレーナーを獲得しなくなってからのAオブライエン調教師の方が、欧州競馬全体へのインパクトが一層強くなっているように感じられるところが、素晴らしいと感じます。

 例えば、2017年の所謂「欧州三大レース」の様子を観てみましょう。

 6月3日に行われた英ダービーは、ウイングスオブイーグルス号が勝利を収めました。2着はクリスオブモハー号でした。この両馬の調教師がAオブライエンなのです。
 それどころか、Aオブライエン厩舎からは、このレースに6頭が出走しています。全18頭の1/3がAオブライエン調教師の管理馬だったのです。

 7月29日に行われたキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスは、10頭が出走し、エネイブル号が制しましたが、このレースの3着・アイダホ号を始めとして3頭がAオブライエン調教師の管理馬でした。

 10月1日の凱旋門賞には18頭が出走してきました。そしてエネイブル号がキングジョージに続いて優勝しましたが、このレースにもAオブライエン調教師は5頭を送り出しています。
 ちなみに、2016年の凱旋門賞では、Aオブライエン調教師は3頭を出走させ、その3頭(ファウンド号、ハイランドリール号、オーダーオブセントジョージ号)が1~3着を独占しました。信じられないような成績を収めたのです。

 欧州の大レースの出走馬の1/3~1/4を常時送り出し、好成績を収め続けているように見えるというのは、驚異的というか奇跡的な活躍と言った方が良さそうです。

 「良い馬を預かっている」ことは間違いないのでしょうが、いくら良い馬を沢山預かっているとしても、これ程の成績を残し続けるというのは尋常なことでは無く、Aオブライエン調教師および厩舎スタッフの「極めて高い能力」は疑いようがなさそうです。

 加えて、自身が管理し2001年の英ダービー・愛ダービーの2ダービー制覇に輝いたガリレオ号の産駒により、素晴らしい成績を残している(例えば2016年の凱旋門賞1~3着は全てガリレオ産駒)ことを考え合わせると、「ガリレオ産駒の調教に精通している」ことも間違いないのでしょう。

 欧州競馬には、20年以上に渡って、Aオブライエン旋風が吹き続けているのです。
 第12組でオランダのヨリン・テルモルス選手が、1分13秒56というオリンピック新記録をマークして首位に立ち、日本の高木美帆選手、小平奈緒選手がこの記録に挑むという構図のレースでした。

 記録が出にくい印象のカンヌンオーバルにおける1分13秒56というのは、まさに好記録であり、テルモルス選手のスケーティングは凄い迫力でしたが、我らが高木・小平の両選手は全く怯むことなく挑みました。

 カンヌンオーバルは、前半から飛ばすと後半は酷いタイムになってしまう感じですから、高木選手が前半抑えて滑っていた時には、十分にチャンスがあると思いました。
 その「前半抑えて入った」ように見える高木選手でさえ、残り1周の地点では、テルモルス選手より5m以上前の位置を滑っていたのです。
 最後の直線に入って、高木選手はややスピードを落とし、1分13秒98でゴールしました。13秒台はとても立派な記録なのですけれども、テルモルス選手には及びません。

 第15組に登場した小平選手も、相当に抑えて入りました。500mのスピードを封印して、じっと我慢の滑り。それでも、残り1周の地点では、テルモルス選手より1~2m前に居るのです。ラスト1周、小平選手は渾身の滑りを披露しゴール寸前まで、「仮想」テルモルス選手と接戦を演じましたが、残り50mで少しスピードが落ちました。
 それでも、1分13秒82のオリンピック新記録で走破していたのです。

 小平・高木の2選手は、持てる力を披露しましたし、「戦術」面でも、戦前に構築した方法を相当忠実に実行できていたように見えました。
 
 その高い実力と高度なトライが、銀メダルと銅メダルに結びついたことは間違いありません。
 夏・冬のオリンピックを通じて、日本女子チーム初の「同一種目複数メダル獲得」は、こうして実現したのです。
 まさに「快挙」でしょう。

 それにしても、テルモルス選手の滑りには「度肝を抜かれ」ました。
 特に、ゴール前80mのスピードは凄まじいもので、テレビ画面ではゴールの瞬間がよく観えなかった感じがするほど。有り得ないことなのでしょうが、「加速しながらゴールラインを通過した」ようにさえ見えました。

 オリンピックチャンピオンの称号に相応しい、素晴らしいパフォーマンスでした。
 前半のジャンプが終了した時点で、渡部暁斗選手には、エリック・フレンツェル選手(ドイツ)とルーカス・クラブファー選手(オーストリア)とのメダル争いになることは、分かっていたのではないでしょうか。

 そして、フレンツェル選手が強敵となることも分かっていたのでしょう。

 逆に言えば、フレンツェル選手から見れば、ジャンプ終了時点でクロスカントリーの出走順が5番目で、ライバルの渡部選手との差が「8秒」となったところで、金メダルを確信したことになりそうです。
 
 毎週のように試合を行っている、世界トップクラスのアスリート達にとっては、相対的な自らの強み・弱みが十二分に把握されている筈で、フレンツェル選手はクロスカントリーの能力において渡部暁斗選手に勝っていること、特にゴール前のスプリント勝負となれば、絶対に負けないという自信が有ったと思います。

 ジャンプで3位につけた渡部選手としては、ジャンプ1位・2位の選手よりクロスカントリーの力量が勝っているものの、後ろから「8秒差」で追ってくるフレンツェル選手とは、厳しい戦いになることが予想されていたのでしょう。
 クロスカントリー開始前のインタビューでも、そうしたニュアンスが感じられました。
 渡部選手としては、フレンツェル選手のコンディションが良くないことを祈る形だったのだと感じます。

 しかし、オリンピック2連覇中のフレンツェル選手の、今大会に向けての準備は万全でした。残念ながら、渡部選手はクロスカントリー競技のゴール前の坂で、フレンツェル選手のスパートに付いて行くことが出来ず、僅か4.8秒差の2位となったのです。

 陸上競技の中・長距離でも同断ですが、「スプリント力」の差を埋めることは至難の技です。渡部選手がフレンツェル選手に勝つためには、ゴール前2km辺りからのロングスパートが考えられますが、ロングスパートを行ったところでフレンツェル選手に差を付けることが出来るかは分からないところですし、自身のスタミナを消費するプレーですから、金メダルどころか4位かに落ちるリスクも有るわけです。うかつには採り得ない戦術ですし、何より毎週のように戦っている相手ですから、そのプレーの特質・力量を十分に知っている相手ですから、今回の様な形になるのは止むを得ないことだったのでしょう。

 そういう意味で、前半ジャンプ競技終了時点で、フレンツェル選手の優勝・オリンピック3連覇の確率はとても高かったことになります。

 一方で、渡部暁斗選手の力量の高さ、安定感も特筆されるべきでしょう。
 もし、フレンツェル選手のジャンプが不調で、渡部選手から1分以上後にスタートしていれば、渡部選手が優勝していたのでしょうから。
 フレンツェル選手が僅少差でスタートすることになった今大会iにおいて2位となったということは、「この形なら他の選手には負けない」力があり、その力を存分に発揮したということになるからです。

 この安定感は、素晴らしいの一語でしょう。

 渡部暁斗選手もオリンピック2大会連続銀メダルという、我が国の複合競技史上に輝く活躍を魅せてくれました。

 日本の誇りなのです。
 「金メダル獲得」「打倒ショーン・ホワイト」を目指していた平野選手にとっては、悔しい、本当に悔しい銀メダルであろうと思いますが、その戦い振りは「堂々たるもの」でした。

 この競技において、世界一はショーン・ホワイト選手、世界NO.2は平野歩夢選手ということを、世界中に明示したのですから。

 世界中の誰もが認める「世界NO.2」のプレーヤーというのは、今の日本人アスリートに何名いるのでしょうか。
 平野選手の偉大さがよく分かります。

 決勝の2本目でダブルコーク1440を2回連続で決めて95.25点をマークし、それまでトップだったショーン・ホワイト選手を抜き、平野選手が首位に立ちました。試合前からの「予定通り」の試技であったと思います。
 オリンピックの決勝という、これ以上は無い大舞台で、「予定通り」の技を決め、予定通りにトップに立つというのは、当然ながら、とても凄いことです。

 一方で、抜かれたホワイト選手が、3回目に、平野選手と同じくダブルコーク1440を2回決めて、さらにマックツイスト1260を続け、97.75点を挙げて再びトップに返り咲くというのも、本当に凄いことです。

 現在の男子ハーフパイプ界は「ホワイト・平野時代」と呼んで、差支えないでしょう。

 「冬のオリンピック2大会連続」銀メダルというのは、我が国のスポーツ史上に輝く快挙です。

 しかし、平野歩夢選手の眼は「金メダル」を観ているというか、「金メダルしか観ていない」ように感じられます。

 世界一を目指す、平野選手の挑戦が続きます。
 2月12日に行われた、スキージャンプ女子ノーマルヒルで、高梨沙羅選手が銅メダルに輝きました。
 ソチ大会に「大本命」で臨みながら4位に終わった雪辱を果たしたというところでしょうか。

 優勝したマーレン・ルンビ選手(ノルウェー)が264.6点、2位のカタリナ・アルトハウス選手(ドイツ)が252.6点、3位の高梨選手が243.8点、4位のイリーナ・アブバクモア選手(個人資格・ロシア)が230.7点でしたから、今回の女子ノーマルヒル種目は「10点差」のジャンパーが綺麗に?並びました。

 何か、高梨選手の3位・銅メダルが「必然」だったように見えます。

 まるで「勝負の神様」が、それぞれのメダルを配置した結果のようです。

 ソチ大会前から、世界の女子スキージャンプを牽引してきた高梨選手に「勝負の神様からのご褒美」が贈られたようにも感じるのです。

 2本目のスタート台に座っている高梨選手の表情は、真剣ながら気負いも無く、とても良い姿に見えました。
 そして、アプローチからサッツ、美しく安定した空中姿勢から着地と、とても完成度の高いジャンプでした。
 着地後、ランディングバーンを滑り降りてくる高梨選手はガッツポーズ。
 満足できる試技だったのです。

 試合後のインタビューでも、「最後に、ここ(平昌)に来て一番良いジャンプが出来ました」とコメントしていました。
 現在の実力を存分に発揮したということになります。

 その後、各テレビ局の平昌スタジオでインタビューを受ける度に、「金メダルへの意欲」が増していました。現状では銅メダルの力であり、金メダル目指して、今後も精進する、というコメントが多くなりました。

 確かに、ルンビ選手の飛距離、105.5mと110.0mに対して、高梨選手は103.5mが2本ですから、現状の飛距離の差は明らかです。色々な要素があるとはいえ、やはり「サッツのパワー・スピードと角度」の差が、飛距離に出ていると見るのが常道なのでしょう。
 高梨選手にも、それが分かっているのだと思います。

 高梨選手は既に、ワールドカップ通算53勝という史上最多勝ジャンパー(男子のシュリーレンツァウアー選手と同記録)ですから、世界スキージャンプ史上に燦然と輝く大選手であることは、間違いありません。

 その高梨選手が、オリンピックチャンピオンを目指す道程を継続するのです。

 2022年の北京大会における活躍に期待しましょう。
 死力を尽くして滑り切った高木選手の姿には、満足感が溢れていました。

 2月12日に行われた、スピードスケート女子1500mで、高木美帆選手が銀メダルを獲得しました。

 1分54秒55という好タイムで滑り切った高木選手は、走破後、手を挙げて歓声に応えました。そして、コーチ、同僚と抱き合い、涙を流しました。
 「やり切った」という満足感、今の力を出し切ったという感覚が、高木選手を覆っていたのではないかと感じます。

 最終組の高木選手がスタートラインに立った時には、1~3位をオランダ勢が占めていて、このまま「2大会連続のメダル独占」か、という雰囲気が漂いました。
 こういう時には、どうしても「入りが速くなりがち」であろうと思います。事実、高木選手と同組のベルフスマ選手(アメリカ)、現在のこの種目の世界記録保持者、昨年この会場で行われた世界距離別選手権大会の優勝者、はぶっ飛ばしました。最初の500mで高木選手を大きく引き離したのです。

 同組のスケーターに大きく離されれば、「焦り」が出そうなものですが、高木選手は冷静そのもの。自らのペースを全く崩しませんでした。

 ラスト1周に入る所で追い付いた高木選手は、それまでトップのブスト選手との争い、見えないライバルとの戦いに入りました。
 そして、僅か0.2秒、約2m及ばず2位となったのです。

 その結果を見た瞬間の、ブスト選手の喜びようが、高木選手の実力を証明しています。

 スケート王国オランダ史上でも最強の女王と呼ばれるイレイン・ブスト選手に、これだけの「勝利の喜び」を与えたのは、高木選手なのです。

 3000mではやや元気が無い感じがした高木選手は、次第にコンディションを上げてきました。

 1000mやチームパシュートにおけるパフォーマンスが、本当に楽しみです。
 2月12日に行われたフリースタイルスキー男子モーグルで、原大智選手が銅メダルを獲得しました。
 この種目で、日本男子が初めて獲得したオリンピックのメダルでした。

 この種目の予選では、日本勢の得点が上がりませんでした。
 滑りもジャンプも良く出来ているように観えるのですが、80点をなかなか超えないのです。
 この大会の「採点競技」では全般に日本チームには厳しい採点が多いように感じていましたので、この種目もか・・・と思いました。

 ところが、準々決勝に入ると、日本勢の得点がみるみる上がってきたのです。

 何か「吹っ切れたような」印象でした。

 もちろん、日本チームの各選手が予選より良い試技を披露したことは間違いないのでしょうが、それにしても「一気に」壁を突破した感じがしました。

 「これは行ける」と思いました。

 決勝進出の6プレーヤーを決める準決勝では、遠藤尚選手、堀島行真選手は共にコースアウト、あるいは転倒してしまい、途中棄権となりましたが、そのダイナミックなチャレンジは本当に迫力満点でした。
 素晴らしいトライ、思う存分、オリンピックチャンピオンを目指す試技を披露してくれたのです。ほんのわずかなミスにより、残念ながら棄権となりましたが、ある意味では納得できるトライだったのではないでしょうか。

 さて、日本勢で唯一決勝に駒を進めた原選手の、ラストチャレンジは、見事なものでした。
 スピード十分に、真っ直ぐ降りてくるのです。

 頭がほとんど動かず、下半身は自在に動きます。
 「無心の滑り」だと感じました。ただ、ゴールを目指して、ひたすら滑るスキーの美しいこと・・・。
 24秒9で滑り切り、82点19、3位でした。

 原選手に笑顔が溢れました。こんなに笑っている日本のメダリストも珍しい、と思いました。

 「とても楽しかった。こんなに楽しかった大会は初めて」とコメントしていましたが、その表情には満足感が滲んでいました。

 そして、この原選手の銅メダルは、大会開始以降、日本選手団を覆っていた「どんよりとした雲」を一気に払ってくれたように感じます。
 
 日本選手団にとっての平昌オリンピックは、「男子モーグルの準々決勝」から始まったのかもしれません。
 フィラデルフィア・イーグルスが初優勝した第52回スーパーボウルですが、アメリカ合衆国では、こうしたメジャースポーツで「初優勝」とか「何十年ぶりの優勝」といった際に、「呪いの話題」が登場することが多いようです。

 2016年のMLBワールドシリーズでシカゴ・カブスが108年ぶりに優勝した際にも、「ヤギの呪い」がついに解けたと騒がれました。これは、ワールドシリーズ2016終了後も相当の期間取り上げられ続け、1945年にそのヤギを球場に連れて行ったビリー・サイアニス氏のご子孫の方々までがメディアに登場し、様々なコメントを残しました。

 今回のイーグルス・スーパーボウル制覇に関する「呪い」は、「ヤギの呪い」に比べて、やや取り上げ量は小さいのですが、それでも様々なメディアに登場しています。

 この「ウィリアム・ペンの呪い」は、17世紀にフィラデルフィアという町を作った英国人ウィリアム・ペン氏の銅像が市庁舎の最高地点に据え付けられているのですが、大きな建物である市庁舎より高い建物は、フィラデルフィアには造らないという不文律が有ったのです。

 時は流れ、1987年複合商業施設ワン・リバティ・プレイスが完成しました。これが高さ288mという、市庁舎より遥かに高い建造物だったのです。次代の流れの中でこうした建物が登場するのは、自然なことでしょう。

 ところが、前述の不文律を破った「呪い」からか、1987年以降、フィラデルフィアにホームを置くメジャー4スポーツのチームが、全く頂点に立つことが出来なくなってしまいました。
 「呪いの威力」は物凄いものだったのです。

 そこで2007年、ワン・リバティ・プレイスが出来てから20年後と言うのも遅すぎる感じがしますが、このビルの屋上にウィリアム・ペン氏の銅像のレプリカが設置されました。
 すると2008年には、MLBのフィラデルフィア・フィリーズがワールドシリーズを制覇したのです。
 銅像のレプリカを、市内で最も高い建物の頂上に設置した効果は、かくも偉大なものだったのです。
 これで「呪いは解けた」とフィラデルフィアの市民は安心したことでしょう。

 再びところが、その2008年にワン・リバティ・プレイスより54mも高い、コムキャスト・センターが、市内に完成してしまったのです。
 そして再び、フィラデルフィアをホームにするメジャーチームは、優勝から見放されてしまいました。
 本当に「呪いの威力」は凄まじいものなのでしょう。

 とはいえ、フィラデルフィアの人達も、しばらくはこの「呪い」を忘れていたのでしょうか、あまり話題にも上りませんでした。2008年のMLBワールドシリーズ制覇の喜びが、長く続いていたのかもしれませんし、大都会にしてアメリカ合衆国屈指の歴史と伝統を誇るフィラデルフィアの人達は、ホームチームの成績に対して比較的「鷹揚」なのかもしれないと感じます。

 再び再びところが、NFL2017~18シーズンが始まると、我らがイーグルスの快進撃が始まりました。クオーターバックQBカーソン・ウェンツ選手の活躍もあって、カンファレンス勝率首位を狙えるプレーが続いたのです。

 ここでフィラデルフィア市民は「ウィリアム・ペンの呪い」を思い出しました。
 この「呪い」が在る限り、イーグルスはスーパーボウルに優勝できません。
 2017年の秋になって、この話題が突然?のように、取り上げられるようになったのです。

 そして2017年11月27日、コムキャスト・センター建設の現場監督補佐だった人物が、この建物のてっぺんに這い上がり、鉄骨の梁の上に「ウィリアム・ペン氏のフィギュア」を置いてきたと報じられました。
 これで「呪い」が解けるかと期待されたのですが、事はそう簡単ではありませんでした。

 2017年12月10日のweek14のゲームで、QBカーソン・ウェンツ選手が、「今季絶望」の大怪我を負ってしまいました。
 「呪い」は弱まるどころか、一層強くなった感が有りました。
 何しろ、フィギュア設置早々の大怪我でしたから、「フィギュアなんて置きやがって。許さないぞ(荒っぽい言葉で恐縮です)」とウィリアム・ペン氏が怒りを増大させたかのようでした。

 「銅像では無くてフィギュア」を設置したのが良くなかったのか、理由は不明でしたが、今季のイーグルスを牽引してきた中心選手が戦列から離脱してしまったのですから、2018年のスーパーボウル制覇は、遠のいたように見えました。
 メディアもポストシーズにおける「イーグルスの早々の敗退」を予想するものが多かったのです。

 再び再び再びところが、ウェンツ選手に代わったQBニック・フォールズ選手を中心としたイーグルスは、ポストシーズンを快走し、ついにスーパーボウルを初制覇したことは、ご存じの通りです。

 銅像では無くてフィギュアでも、市内最高の建物の頂点に置くことで「呪いは解けた」ことになりました。
 スーパーボウル2018におけるイーグルスの優勝後、この話題も幾度か取り上げられていました。

 それにしても、フィラデルフィアのメジャースポーツファンの方々は、市内最高の建物を建設したら、その都度ウィリアム・ペン氏の像を、当該建物の最高点に設置すれば良いのにと思いますが、今後はどのような対応になるのでしょうか。
 「ウィリアム・ペンの呪い」は、繰り返されるタイプのものですから、繰り返しの対応が必要なのです。

 「ヤギの呪い」にしても「ウィリアム・ペンの呪い」にしても、これは「偶然」であると考えるのが、科学的な見方なのでしょう。
 長く不振に喘ぐチームが、着々と強化を進め、その強化が実を結び始めた頃に、「呪い」の話が出てきている、と見るのが合理的なのでしょう。

 とはいえ、あまりに「タイミングが合っている」、例えば「ウィリアム・ペンの呪い」について見れば、2度とも「像を設置して早々に」優勝しているのは、やはり不思議と言わざるを得ません。
 やはり「呪い」はあるのだと考えたくもなるのです。

 アメリカ合衆国の人達は、「自分たちの国には長い歴史が無い」と嘆くように言います。(もちろん、心底から嘆いているわけではないのでしょうが)
 アメリカ合衆国はやはり「新世界」なのです。

 その「新世界」においては、「呪い」さえ歴史の一部として、ある意味では「大切にされる」ものなのかもしれません。
 2月11日、アルペンシア距離センターで行われた男子30kmレースで、ノルディックの本家、クロスカントリースキーの「王国」ノルウェーチームが、メダルを独占しました。

 前半の15kmをクラシカル走法、後半の15kmをフリー走行(殆どの選手がスケーティング走法)で争われたレースでした。
 
 オリンピックや世界選手権といった大きな国際大会では、30km競走は最後まで先頭集団が形成され、残り1km辺りからのスプリント勝負になることが多いのですが、今回は違いました。

 スタート直後からフィンランドのイーボ・ニスカネン選手が出たのです。
 世界選手権の優勝経験もあるニスカネン選手が早々に独走を目指したのですから、他の選手達も「放っておく」訳には行きません。
 5~6名の選手がこれを追ったのです。相当速いペースに観えました。

 ニスカネン選手としては、常に集団走を展開し、自分達に有利な体制を創り上げることが上手なノルウェーチームに対して、「1対1の力勝負」を目指したのだろうと思います。

 ところが、この日の競技場は「風が強かった」、それも地表の雪が吹き飛ばされる程の強風でした。この環境下での単独走では、体に強風をまともに受けてしまいます。疲労の蓄積が速いのです。

 クラシカルからスケーティングへの切り替えのタイミング以降、ニスカネン選手はズルズルと後退し、最期は19位でした。今回は、ニスカネン選手のトライは成功しなかったのです。

 さて、後半に入って、ノルウェーのマルティンヨンスル・スンビ選手とハンスクリステル・ホルン選手がレースを引っ張りました。ノルウェーチームのお家芸「集団走」を展開したのです。
 そしてここに、シモンヘルスタッド・クルーガー選手が加わり、3名のチーム走になりました。
 当然のことながら、オリンピックチャンピオンを決めるレースにおける「集団走」ですから、個々の選手が世界トップクラスの力を身に付けていることは明らかです。
 やや力が劣る選手達が集まって、力不足を補おうとする集団走とは、全くの別物なのです。

 なお、このレースの開始直後、大集団の中で3名が巻き込まれる転倒がありました。
 その転倒に、クルーガー選手が含まれていたのです。スキーやストックが壊れるレベルの転倒でしたから、レースに戻ったクルーガー選手は、先頭集団から大きく遅れたのです。
 しかし、クルーガー選手は慌てることなく、前半の15kmをかけて先頭集団に追い付いていました。
 世界トップクラスの選手、かつ、「王国」ノルウェーの代表とはいっても、高速レースにおいて大差を取り戻すというのは至難の技の筈です。そういう面からも、この日のクルーガー選手のコンディションは、相当良かったのでしょう。

 さて、先頭集団に追い付いたクルーガー選手は、後半の4周回の3周目の最後の坂で飛び出しました。
 転倒で大きく遅れ、ようやく追いついた選手が、今度は先頭集団から飛び出したのです。
 「凄いレース振りだな」と感じました。
 他の先頭集団の選手達は、様子見といった雰囲気でクルーガー選手のスパートを許容しました。ゴールまでには追い付けると考えたのかもしれません。

 ラスト1周前半、クルーガー選手は逃げました。
 その差を次第に広げ、一時は20秒位まで広げました。
 2番手集団から「見え難い位置」まで離れたのです。

 この状況下、2番手集団から2名の選手が抜け出しました。ノルウェーのスンビ選手とホルン選手でした。
 同僚のクルーガー選手を追い上げ始めたのです。

 この時、スンビ選手とホルン選手が、クルーガー選手に追い付き、追い越そうとしていたかどうかは分かりませんが、少なくとも「メダルを目指す」ためには必要なことだったのでしょう。
 そして27km以上を走ってきて、余力を残していたことが素晴らしいことだと感じます。

 先頭のクルーガー選手とスンビ選手、ホルン選手との差が縮まります。
 その差が、スンビ選手とクルーガー選手との差が8秒まで詰まったところが、クルーガー選手のゴールでした。

 実力が拮抗している(オリンピックですから当たり前のことですが)選手同士の戦いでは、自らのリソースをどこで使うかがポイントとなります。
 クルーガー選手が、あのまま先頭集団に残り、ラストスパート勝負に出た場合と、今回のように残り4kmで抜け出す場合とでは、結果がどのように変わっていたのか、これはとても興味深いところです。まさに、オリンピックチャンピオンを争うレースの醍醐味でしょう。

 結果として、あのタイミングで自身のリソースを使うことにより、クルーガー選手は金メダルを獲得しました。
 ゴール前で、1秒でも前に居るためのスパートが功を奏したのです。

 実力が拮抗しているレースですから、スンビ選手達との差が詰まるのは自然なことなのです。試合というのは、こういうものなのでしょう。

 そして、ノルウェーチームは金・銀・銅メダルを独占しました。
 世界に冠たる「クロスカントリースキー王国」ですから、オリンピックのクロスカントリースキー種目でノルウェーの選手がメダルを取ることは、珍しい風景ではありません。

 しかし、これが「表彰台独占」となれば話が違います。

 「王国」ノルウェーとはいっても、男子チームのオリンピックでの成績は世界選手権程には圧倒的な物では無く、21世紀に入ってからも「どうしたノルウェー男子」と言われるような大会もありました。

 メダル独占も、女子チームでは観られても、男子チームではなかなか無いことであったと思います。

 このレースは、「王国」ノルウェー男子チームにとっても、会心のレースだったのです。

 それにしても、2月10日のスピードスケート女子3000mにおける「王国」オランダチームのメダル独占に続いての、クロスカントリースキーにおけるメダル独占です。

 「王国」の底力を感じます。
 NFLの2018年ポストシーズンゲームは、全て記事にしようと考えていました。
 ひとつだけ残っていましたので、ここで採り上げようと思います。

 ニューイングランド・ペイトリオッツが今季プレーオフに初登場したゲームです。

[1月13日・ジレットスタジアム]
ニューイングランド・ペイトリオッツ35-14テネシー・タイタンズ

 タイタンズがペイトリオッツ「王朝」に挑んだゲームは、ペイトリオッツの一方的な内容となりました。

 そもそも、ペイトリオッツがプレーオフゲームで大勝すること自体が「珍しい」ことだと感じます。

 ベリチックヘッドコーチHCとクオーターバックQBブレイディ選手は、プレーオフゲームにおいては「負けない試合」に徹する傾向が有り、「過剰な得点を狙うこと」による、インターセプトといったターンオーバーのリスクを最少にしようとする傾向があるのです。

 そのペイトリオッツが「21点差」を付けて勝つというのですから、このゲームは第2クオーターの3タッチダウンTD・21得点の威力がとても大きかったということになりそうです。
 第3Qと第4Q、ペイトリオッツは余裕を持った試合運びが出来たのでしょう。

 QBマーカス・マリオタ選手とランニングバックRBデレック・ヘンリー選手の「ハイズマントロフィーコンビ」を中心にした攻撃でペイトリオッツに挑んだタイタンズでしたが、第1Qの先制TD以降は、ペイトリオッツの攻撃を受け続ける展開となってしまいました。
 まだ「王朝」に挑むのは少し早いということなのでしょうか。

 それにしても、ペイトリオッツの5TDは、ボルデン選手とホワイト選手のラン、グロンコウスキー選手とホーガン選手とホワイト選手のパスレシーブととても「多彩」です。

 「自在な攻撃」はペイトリオッツ王朝を支える最強の武器なのでしょう。

 このゲームは、「ポストシーズンでは常に慎重な試合運びをする」ペイトリオッツとしては、珍しい大勝だと書きました。
 2017~18年シーズンのペイトリオッツは、2001年以降のチームの中ではやや異質なチームであったことを示すゲームだったのかもしれません。

 ペイトリオッツがスーパーボウル2018でイーグルスに惜敗したことは、皆さんご承知の通りです。
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
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