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 7月19日~22日にかけてカーヌスティ・ゴルフリンクスを舞台に行われた全英オープンゴルフ大会2018において、タイガー・ウッズ選手は4日間通算279打・5アンダーパーで6位タイに食い込みました。
 様々なトラブルや体調不良からの復調の過程としては、とても良い成績を残したのです。

 特に最終日の前半では、他の選手がスコアを崩す中で、堅実なプレーを魅せて一時トップに立ちました。
 「タイガーの2008年以来のメジャー制覇」に期待が高まりましたが、サンデーバックナインで失速してしまい、6位タイに終わったのです。

 このラウンド、「最終ラウンドを首位から4打差の6位でスタートして、結局優勝できなかった」タイガー・ウッズ選手のプレーを観て、「全盛期のタイガーとは違う」といった見解がいくつか示されているようですが、それはタイガー・ウッズ選手の全盛期のゴルフと比較すると、的外れな感じがします。

 タイガー・ウッズ選手のメジャー14勝(マスターズ4勝、全米オープン3勝、全英オープン3勝、全米プロ4勝)は全て、「最終日、首位か首位タイからスタート」した時に達成されているというのは、相当有名な事実です。
 タイガー・ウッズ選手は、メジャー大会において、最終日に逆転優勝したことは1度も無いのです。

 全盛期においても最終ラウンドで逆転優勝したことが無いプレーヤーが、今回カーヌスティで4打差をひっくり返して優勝することは考えにくいことですし、もし逆転で勝利を収めることがあれば、それは「タイガー・ウッズ選手の変身」とでも呼ぶべきことでしょう。
 
 20世紀末から2008年までのプライムタイムにおいても、ウッズ選手は「最終日首位でスタートして逃げ切るというパターン」以外では、メジャートーナメントでは勝っていないのですから、今回勝利を収められなかったことは、「全盛期のタイガーと同じ」と評価するべきことでしょう。

 こうした形は、別にメジャー大会に限ったことでは無く、通常のPGAツアーの大会や他のトーナメントでも、ウッズ選手は殆どが逃げ切り勝ちです。逆転勝ちは、ごく僅かなのです。

 タイガー・ウッズ選手の戦い方は、第3ラウンドまでに首位に立ち=優位に立って、最終日にスコアを伸ばすことが出来れば伸ばす(2000年のペブルビーチGLにおける全米オープンはこのパターンでした)けれども、多くの場合には「第3ラウンドまでのスコアを維持」しようというプレーを展開します。決して、スコアを落とすリスクのあるプレー、バーディを無理に狙っていくといったプレーには挑まないのです。
 そして、他の選手のプレー振り・スコアを観ながら、「追い上げられたり、並ばれたり、逆転されたりしたら、リスクを取って行く」といった具合に、ホール毎に慎重に最終日のプレーを進める、という形なのです。

 タイガー・ウッズ選手は「とても慎重なプレーヤー」であると、私は考えています。
 従って、「最終日の派手な大逆転劇」とは無縁のプレーヤーなのです。

 「タイガーチャージ」という表現があります。タイガー・ウッズ選手がバーディやイーグルを連発し、スコアを大きく伸ばすラウンドを指した表現ですが、これは第1~3ラウンドまでの間に実行されるプレー振りで、多くの場合には「3ラウンドの内のひとつのラウンド」だけです。
 ウッズ選手は、タイガーチャージにより3日目終了時点で首位に立ち、最終ラウンドはそのリードをしっかりと守るタイプのプロゴルファーなのです。

 ウッズ選手は、自身のゴルフを良く知っているので、今回最終ラウンドの途中で追い上げて首位に立ちながら、結局6位タイに終わったことについて、ラウンド後のインタビューでもそれ程悔しさを表現しませんでした。
 「最終日首位でスタート」することが出来るようになってはじめて、「真の復活」であると、自身でも良く分かっているのではないでしょうか。

 タイガー・ウッズ選手がメジャートーナメントに勝てなくなってから「10年以上」が過ぎました。
 この10年間のゴルフ道具等の進歩は目覚ましく、300ヤードドライブは多くのプレーヤーが「容易に」実現できるプレーになっています。タイガー・ウッズ選手より飛ばすプレーヤーも何人も出てきました。タイガーの「飛距離の優位」は無くなったのです。

 一方で、ウッズ選手は42歳になりました。
 多くのゴルファーにとってのプライムタイムである「30歳前後」から、随分時を経たのです。
 肉体的な衰えは隠せないでしょう。

 こうした状況下で、しかし、ゴルフ界は「タイガー・ウッズ選手の復活」を待っています。切望していると言っても良いでしょう。
 何より、他の選手たちの「タイガー待望」は、本当に強いものだと感じます。

 ツアー復帰後のタイガー・ウッズ選手が出場しているトーナメントに出場した、数多くのライバルプレーヤー達が「ゴルフ場に響き渡る大歓声、(大ギャラリーを連れた)タイガーの組から発せられる大歓声を聞くと、以前のPGAツアーを思い出す」、「これこそPGAツアーの在るべき姿」であるとコメントしています。

 PGAツアーに出場している多くのプロゴルファーにとって、「タイガーの居ないトーナメント」は、とても寂しいものだったのでしょう。
 「タイガーが居なければ、自分が勝てる確率が上がる」などと考えるプレーヤーでは、世界最高峰のPGAツアーでプレーし続けることは出来ないのであろうと思います。
 「PGAツアーの繁栄が有って初めて、ツアープレーヤーとしての自分達の活躍の場がある」「大歓声が響き渡るコースこそ、自分がプレーする所である」「世界中の人達・メディアに注目されるフィールドで戦いたい」、と考えるようでなければ、生き残っては行けないのがPGAツアーなのであろうと思います。(他の世界最高峰のプロスポーツ競技でも同様でしょう)

 ファンはもちろんとして、ライバル選手達からも、その「復活」を切望されているのですから、タイガー・ウッズ選手は、何としても復活しなければならないのでしょう。

 スーパースターというのは、「とても辛い」存在なのかもしれません。
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