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HOME   »  2019年04月24日
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 嬉しいニュースが飛び込んできました。

 4月21日にカタール・ドーハで開幕した、陸上競技のアジア選手権大会2019の男子100m競走で、桐生祥秀選手が優勝したのです。

 1973年から2年に一度開催されてきた、アジアNO.1を決める大会ですが、アジア大会などと比べるとやや報道が少なく、特に、男子100m種目となると過去22回・40年以上の間、この大会で日本人ランナーが優勝したことが無い、ということもあって、いつも?小さな扱いだったという印象が有ります。
 
 「本当は日本人ランナーの優勝を観たいのだけれども、『やっぱりダメか』という大会」が続いていたのではないでしょうか。

 そうした歴史的経緯?を踏まえて、今回のアジア選手権大会も、日本のマスコミにおいては「ひっそりと」開幕した感じがしますが、その大会2日目に「ビッグニュース」が生まれたというところなのでしょう。

 日本陸上界初の快挙であることはもちろんとして、今回の桐生選手の優勝には、大きな価値が有ると思います。

① 予選・準決・決勝の3レース全て1着であったこと。

 「予選は予選だから、通過すれば良いので、順位には拘らない」という意見もあろうとは思いますが、優勝するプレーヤーは、予選から決勝までの全てのレースで1着であることも多いのです。

 特に100m種目となれば、ややリラックスして走る、ゴール前で「流す」ことができる、予選や準々決勝、準決勝のタイムも、「全力」の決勝と大きな差が無いことが多く、このリラックスした状態でのタイムこそが、当該ランナーの地力と観て良いとも思います。
 もちろん、「流して1着」は素晴らしいことです。

 実際に今大会の桐生選手は、予選で10秒29、準決勝で10秒12、決勝で10秒10と素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。
 この準決勝の10秒12こそが、現在の桐生選手のベースの力なのでしょう。

② 10秒10という好タイム

 追風1.5mの中で行われた決勝レースを、桐生選手は10秒10で制しました。
 もちろん、9秒98の自己ベスト記録を保持する桐生選手にとっては、まだまたのタイムという見方もあるでしょうが、シーズン初めのこの時期としては、十分というか、とても良い記録であると考えます。

 東京オリンピック2020の前年シーズンの4月の国際大会としては、理想的なタイムなのではないでしょうか。
 そして、そのタイムで「優勝したこと」の価値はとても大きなものでしょう。

③ 60mからの高いパフォーマンス

 決勝レースの桐生選手のスタートから30m辺りまでは、やや「ギクシャク」した走りでした。スムースさに欠け、加速も十分では無かったと思います。
 内側コースのムハンマド・ゾーリ選手(インドネシア)らに、50m付近では70cmほどのリードを許しました。
 ご承知のように、100m競走においては「70cm」は大差ですので、桐生選手にとっては厳しいレースとなったのです。

 ところが60mを過ぎたあたりからの、桐生選手の走りは、リラックスしてバランスの良いものとなりました。「減速への対応」が上手く行ったのです。
 他のランナーがどんどん減速して行く中で、桐生選手は「減速を最小限に抑えて」、ゴール寸前に抜き去り、トップでゴールインしました。この「減速を抑える走り」は、世界で戦って行く上で不可欠の技術です。
 この技術を、この時期に披露してくれたことが素晴らしいと感じます。

 これで「前半30mまで」を、桐生選手や陣営が考えているような走りが出来れば、再び9秒台が出る可能性が高いと思います。

 それにしても、アジア屈指のスポーツ大国であり、アジア大会などではメダルラッシュに沸く「日本チーム」が40年間以上に渡って優勝することができなかったのが、この大会の「男子100m」なのです。

 人類にとって、最も「基本的なスポーツ種目」のひとつである100mは、国力とか競技人口といった物差しでは測れない、「ひとりの天才が、別々の地域で、別々の時期に生まれる」という性格のものなのでしょう。
 
 特別な施設・設備が無くとも、あるいは不足していても、誰もがチャレンジすることができる種目としての100m競走。市町村の、県の、地域の、国の、大陸の、そして世界の、「人類最速を決める種目としての100mの価値」を、改めて感じさせられるニュースでもありました。

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