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HOME   »  2019年12月27日
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 世界陸上・ドーハは、2019年秋のビッグイベントでした。
 酷暑の下での女子マラソンの在り様は、東京オリンピック2020にも大きな影響を及ぼしてしまったのです。

 そして、短距離種目にはひとつの「革新」が登場しました。

 MGC2019においては、ピンク色のシューズが話題となりましたが、今大会では「黄色のスパイク」が話題となったのです。

 これは、男子100m競走に出場した桐生祥秀選手が使用したスパイクです。

 何が話題かというと、このスパイクには「ピンが無い」のです。
 それでは、そもそも「スパイク」シューズでは無い、ということにもなりかねませんが、トラックの短距離種目に使用されるシューズをスパイクと呼ぶことにして、ピンの無いスパイクについて考えて行きたいと思います。

 今から50年ほど前は、陸上競技のトラックは、シンダーやアンツーカ、つまり「土」のサーフェイスでしたから、短距離種目では18mmや15mmの金属製の長いピンが付いたスパイクシューズを使用していました。

 滑ることなく、脚の強い力を少しでも多く地面に伝え、前進力に変えるための仕組みだったのです。

 この長いピンは、とても尖っていて、大工道具の錐のような形状でしたから、肌に刺そうものならスーッと深く入ってしまうものでした。その頃の陸上競技場では時折、「スパイクのピンが刺さって」出血しているランナーを見かけたものです。
 従って、使用しない時には、ピンにはカバーをかけていました。

 さらに昔には、革製のスパイクに「ピンが据え付けられていた」のですが、使用すればするほど「ピンが削れて短くなってしまい」ますので、「ピン交換式のスパイク」が開発されて、長い間使用されていたと記憶しています。
 大会の前夜などには、真新しいピンをスパイクシューズの靴底面にスクリュー式に捻じ込んで、準備していたのです。ピンがとても輝いていたことを思い出します。

 ところが、1968年のオリンピック・メキシコシティ大会において、タータントラックと呼ばれるポリウレタン製のトラック(全天候型トラックとも呼ばれました)が登場してから、スパイクも劇的に変化し始めました。

 トラックが「土」から「ポリウレタン」に変わりましたから、長く刺さり易いピンでは、トラックにピンが刺さり抜け難く、ランニングに不向きなことは明らかでした。
 一方で、ポリウレタンのサーフェイスに脚のパワーを無駄なく伝える必要がありましたから、短い金属製のピン、形状も錐のようなものでは無く、ずんぐりとしたピンが付けられました。

 ピンの位置や数も変化しました。
 「土」用の短距離種目スパイクは、4本か6本のケースが多かったと思いますし、それは2列に2本ずつあるいは3本ずつ、脚の裏の左右に並んで配置されていました。
 「ポリウレタン」用は、本数がより多くなり、足裏の淵に近い部分まで、ピンが配置されました。

 そして、このトラックのサーフェイスとスパイクシューズの変化は、当然ながら、ランナーの「走り方」も変えたのです。
 道具の変化に合わせて、プレー内容が変化するのは、全てのスポーツに共通したことですが、陸上競技・短距離種目における変化も、とても大きなものだったのです。

 「土」の時代には、短距離走は大きく脚を跳ね上げて、なるべく「爪先だけを使って走るもの・踵を着けてはならない」とされていたものが、なるべく「歩くのに近い」フォームが良いとされたり、20世紀の後半から21世紀にかけて様々なトライが為されてきました。

 加えて、「より速いトラック」を求めて、全天候型トラックにも様々な変更が為され、ゴムを材質に加えたり、ポリウレタンとの混合や、サーフェイスの「形状・凸凹具合」にも工夫がなされましたから、シューズの形状も、それぞれの舞台、オリンピックや世界選手権の会場にマッチしたスパイクシューズが次々と作られていったと思います。

 そして、ついに、というか、世界選手権2019ドーハ大会に「ピン無し」スパイクが登場したのです。

 桐生選手が使用したスパイクは、アシックス社製の「次世代スプリントシューズ」と報じられていて、桐生選手以外にも、男子400m競走に出場したウォルシュ・ジュリアン選手も使用したとのこと。
 
 靴裏にピンが無く、カーボンファイバー素材のフジツボの様な形状の突起が、複雑に立体的に配置・構成されているシューズなのだそうです。
 
 桐生選手は「地面(全天候型トラック)からの反発を感じやすい」と本年8月から履き始め、今大会まで使用しているとのことです。

 このタイプのスパイクシューズが、短距離種目において今後広がっていくのかどうか注目されるところですが、東京オリンピック2020を前にして、マラソン用シューズと100m用シューズの両方が進化を続けているというのは、とても興味深いことだと感じます。

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