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 一般のPGAトーナメントも同様ですが、特にメジャートーナメントにおいては、「3日目終了時点で首位、および首位から2打差以内」のプレーヤーでないと、優勝できない傾向が強い(大逆転優勝は滅多に起こらない)ので、最終ラウンドのスタート前の段階で、3日目まで5アンダーで首位のマシュー・ウルフ選手と、2打差2番手のデシャンボー選手の優勝争いと観ていました。

[全米オープン2020最終結果・ウイングドフットG.C.西コース(ニューヨーク州))]
1位 ブライソン・デシャンボー選手 274打・6アンダーパー
2位 マシュー・ウルフ選手 イーブンパー
3位 ルイ・ウーストハイゼン選手(南アフリカ) 2オーバー
4位 ハリス・イングリッシュ選手 3オーバー
5位 ザンダー・シャウフェレ選手 4オーバー

 最終日の前半では、デシャンボー選手がバーディを先行させたのに対して、ウルフ選手はボギーを先行させましたから、9ホールを終えて、両選手の順位が逆転しました。

 圧巻は9番ホール・パー5、550ヤードを超えるホールですが、共に2オンを果たしイーグルパットに入りました。
 まずデシャンボー選手、15mは有ろうかというロングパットでしたが、デシャンボー選手はこれをキッチリと入れました。ミラクルパッティング!
 続くマシュー選手は5m位のイーグルトライ。
 何しろ、1mでも難しいウイングドフットのグリーンですから、5mともなれば極めて難しいパッティングです。増してや、相手にミラクルなパットが決まっている状況ですから、通常?ならば入らない感じなのですが、ウルフ選手もこれをしっかりと決めました。

 「イーグルVSイーグル」、ウイングドフットの全米オープンで、このようなホールが観られるというのは、凄いことだと思います。

 両者の気迫、このトーナメントに対する強い気持ちがプレーにも現れていました。

 前半9ホールを終えて、追いかけているプレーヤー達が次々とオーバーパーになってしまい、アンダーパーのプレーヤーはデシャンボー選手△5とウルフ選手△4の2人だけとなりましたから、サンデーバックナインは2選手による「マッチプレー」となりました。

 そして、そのマッチプレーにおいて、デシャンボー選手が押し気味にトーナメントを進めることとなったのです。

① 気迫・心持ち

 これだけ難易度の高いコースと戦う時、少しでも気後れしては、あっという間にスコアを崩してしまいます。それはもうあっという間です。
 最終ラウンドにおいては、3日目まで「落ち着き払っていた」ウルフ選手の「心の乱れ」が時折観られました。
 ショット後に視線を動かす機会が、明らかに増えたのです。

 「恐ろしいウイングドフット」を相手にしてのラウンドですから、ミスショットや不運とも感じられる結果が現れることは珍しくはありませんので、いちいち反応していては、心が疲れてしまいますし、尾を引くことにもなりかねません。

 この日のマシュー選手は、ショット後すぐにキャディを観て、「上手く行かなかった」という表情を見せていました。

 一方のデシャンボー選手は、大きな声でプレー解説をしたりして、いつものようにプレーしているように見えたのです。

 「心身の疲れ」が大影響を齎す全米オープンですので、この日のこの点では、デシャンボー選手の方が上であったのでしょう。

② ラフに入った時のライ

 ラフの厳しさ(ショットを曲げたプレーヤーに対して厳格に罰を与える考え方)で知られる全米オープン開催コースの中でも、オークモントC.C.と並んで最も厳しいラフとして知られているウイングドフットG.C.ですから、ショットを曲げてラフに打ち込んだ時には、プレーヤー達は皆天を仰ぎます。
 次には「ライがどうなっているのか」が気になることでしょう。

 ボールが見えない程の深いラフの中にも、ラフが濃いところと薄いところ、ラフの流れが打って行く方向に順じているのか、逆なのか、横なのか、によって、次のショットの難易度は全く違うからです。
 このレベル=世界最高峰の選手達ですから、「キチンと振れるライ」ならば、相当困難な状況でも熟すのです。

 3日目のプレー後のインタビューで、マシュー選手は「ラフでも打てる状況が多かった」とコメントしていました。
 全米オープンにおける最高の僥倖が続いたことになります。
 簡単に言えば「ツイていた」のでしょう。

 しかし最終日は、今度はデシャンボー選手がラフからしっかり打っていたことが多かったように観えました。

 もちろん、新型コロナウイルス禍の中で体を鍛え捲り、別人とも言われる程にマッチョな肉体を創り上げて来たデシャンボー選手ですから、そのパワーは計り知れませんので、普通のPGAツアートップクラスのプレーヤー(矛盾した表現ですが)であればとても打ち抜けない、ウイングドフットのラフであっても、デシャンボー選手だけは打って行けるケースもあったのでしょうが、それにしても、ラフからあれだけのショットを何度も打てるというのは、「恵まれたライ」が多かったのではないかと考えています。

 ライの良し悪しはまさに「運・不運」の領域でしょうし、ゴルフの神様の存在を感じさせるところですから、全米オープン2020の最終日は「デシャンボー選手の日」だったのです。

 バック9の最初のホール・10番パー3において、ウルフ選手はボギーを叩きました。
 これで、デシャンボー選手が5アンダー、ウルフ選手が3アンダーとなって、2打差が付いたのです。
 ウルフ選手の様子から「気持ちが切れかかっている」と感じました。

 そして11番・パー4。
 デシャンボー選手は、このホールをバーディとしました。素晴らしいプレーです。
 デシャンボー選手6アンダー、ウルフ選手3アンダーと3打差となって、私はこのホールで、全米オープン2020は決着したと観ています。

 13番・224ヤードのパー3。
 デシャンボー選手はこのホールを8番アイアンで打ちました。224ヤードを8番アイアンというのは・・・。全く想像もできない世界です。
 このホールでデシャンボー選手は3m強のパーセービングパットを残しましたが、これをきっちりと入れました。
 一打一打に落ち着きと自信が感じられるプレーでしょう。

 14番・パー4。
 ウルフ選手がボギーとしました。既に気持ちが切れているウルフ選手は、3日目と比較すれば「僅かに雑」なプレーが目立ちました。
 気持ちが切れている、少し違いますが別の言い方をすれば、「集中力が不足している」状態では、ウイングドフットには抗しえないのです。
 2アンダーに後退したウルフ選手、アンダーパーの世界に残れるのだろうかという心配が頭をもたげました。

 16番・パー4。
 ウルフ選手がダブルボギーを打って、ついにスコアがEイーブンパーとなってしまいました。
 気落ちしたプレーヤーに対して、ウイングドフットは容赦しないのです。

 トーナメントはこのまま幕を閉じました。
 デシャンボー選手6アンダーパー、ウルフ選手イーブンパーという結末でした。
 
 5アンダーでラウンドを開始したウルフ選手が、5打落としてのE、3アンダーでスタートしたデシャンボー選手が3打伸ばして6アンダー。
 デシャンボー選手は、全米オープン2020最終日の「唯一のアンダーパープレーヤー*」でした。おそらくは、これまでのゴルファー人生において「最高のラウンド」を示現したのでしょう。
 このタイミングで生涯最高を実現できるところに、デシャンボー選手の強さが現れていることは、言うまでもありません。
(*パープレーヤーは、ザック・ジョンソン選手を始めとして3名居ましたが、このレベルのプレーヤーが61名もトライして、57名がオーバーパーというのですから、全米オープン最終日のウイングドフットG.C.西コースの凄まじさがよく分かります)

 「ゴルフを科学する」と公言し、全てのアイアンクラブのシャフトの長さを7番アイアン(37.5インチ)に揃えるという、「常識を超えるゴルフ」で名を馳せて来たブライソン・デシャンボー選手(27歳)が、初めてメジャートーナメントを制しました。

 185cm・106㎏というマッチョな肉体をも擁するプレーヤーの、今後の活躍が本当に楽しみです。
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