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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム19] エリザベス女王杯とカブラヤオー・ハイセイコーの娘たち
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 1970年から始まったビクトリアカップが、1975年のイギリスのエリザベス女王来日に伴い、翌1976年からエリザベス女王杯に改称されたのは、以前の本ブログでも採り上げています。その通りなのですが、不思議なことは開催回数が通算されていないことです。

 通常、レース名が改称された場合には開催回数は通算されます。例えば、帝室御賞典→天皇賞の場合にも通算されていますし、先週開催されたアルゼンチン共和国杯も、アルゼンチンジョッキークラブカップから改称されたレースですが、開催回数は通算されています。他にも、多くの重賞レースで改称と開催回数の通算が行われています。

 エリザベス女王杯のように改称されながら開催回数が通算されていないレースは、他にもあるようですが、珍しいことは間違いありません。中央競馬会が「ビクトリアカップの廃止」と「エリザベス女王杯の新設」という扱いにした理由があるものと思いますが、どういう理由だったのでしょうか。

 結果として1976年を第一回開催とするエリザベス女王杯は、京都競馬場の2400mコースで行われる3歳牝馬限定のレースでした。我が国の3歳牝馬三冠レースの最後のレースという位置付けだったのです。秋華賞の時も書きましたが、範としたイギリスには、牝馬限定の三冠目のクラシックレースは存在しませんので、我が国でもクラシックレースという位置付けではなく、いわゆる「牝馬三冠レース」の三つ目のレースでした。

 1976年~1995年の20回に渡り、この位置付けでレースが行われたのですが、私は「華やか」で「勝つのが難しい」レースであったという印象を持っています。「華やか」というのは、春の桜花賞・オークスの頃は、少女だった3歳牝馬が、秋の京都競馬場に登場する頃には、相当に大人になっているということで、成人式を迎えた直後のレースという感じがしました。
 「勝つのが難しい」というのは、京都の2400mコースは相当に力の要る馬場ですから、夏の間にしっかり成長しておかないと、春のスピードだけでは対応できないレースという印象だからです。春のクラシック路線の有力馬が、上がり馬の大駆けに屈することが珍しくないレースでした。

 1976年の第一回には、その年の桜花賞・オークスを快勝したテイタニアが、初の牝馬三冠を目指して出走してきましたが、ディアマンテの4着に敗れました。あのアローエクスプレスの代表産駒として、3歳春の牝馬路線を席巻したテイタニアの完敗は、とても記憶に残っていて「エリザベス女王杯はなかなかやっかいなレース」だと思いました。

 1996年に秋華賞が創設され牝馬三冠の最終レースに位置付けられるのと同時に、エリザベス女王杯は、3歳以上の牝馬限定レースとなり、距離も2200mに短縮されました。確かに、これ以前は4歳以上・古馬の牝馬は、牡馬と戦う大レースしか無かったので、この「新しいエリザベス女王杯」は、3歳馬・古馬が集まるNO.1牝馬決定戦G1として、面白いレースになったという印象でした。
 やんちゃ娘から大年増?まで、牝馬が一堂に会するG1レースというのは、初の取組でしたし、大変興味深いものでした。

 2006年の春には、牝馬古馬限定のヴィクトリアマイル競走G1が設立されましたので、牝馬古馬にとっては、春秋に各1回ずつ牝馬限定G1に出走する機会が出来た形です。距離も異なりますので、とても面白いレース体系になったと思います。

 1996年からの新しいエリザベス女王杯は、1999年から国際競走となり、2010年・2011年と2年連続でイギリス馬スノーフェアリーが連覇しました。一層、国際的でハイレベルなレースになったという感じです。

 こうした歴史を持つエリザベス女王杯ですので優勝馬も様々ですが、今回は3歳牝馬限定2400m時代の1988年の勝ち馬ミヤマポピーと1989年の勝ち馬サンドピアリスを採り上げたいと思います。

 ミヤマポピー号は、父カブラヤオー・母グリーンシャトー、生涯成績は14戦3勝。重賞勝ちは、エリザベス女王杯だけです。
 サンドピアリス号は、父ハイセイコー・母イエンライト、生涯成績は18戦3勝。重賞勝ちは、エリザベス女王杯だけです。

 ミヤマポピーは、3歳時2勝馬の段階で、当時のトライアルレース・ローズステークスG2に挑戦、4着となりエリザベス女王杯の出走権を得て、本番ではローズステークスの勝ち馬シヨノロマンにハナ差競り勝ちました。当然人気薄でしたので、正直に言ってゴールしてから、馬名を確認したことを憶えています。

 サンドピアリスは、3歳時ダート戦で2勝(さすがにサンドピアリス=砂の貴婦人)していましたが、芝コースには実績が無かったので、前年のミヤマポピー以上に人気が無く、20頭立ての20番人気でした。最後の直線で伸びてきたときには、2年連続で「この馬、何」と叫んだことを憶えています。単勝配当は43000円を超える超大穴。いまだに、G1レースの単勝高配当記録です。

 この両馬は、エリザベス女王杯に臨む段階で新馬戦と400万下の条件戦の2勝馬であったこと、人気薄で勝利したこと、エリザベス女王杯以降は勝ち星が無かったこと、など共通点がありますが、何と言ってもお父さんが内国産の有名馬だったというのが、最大の共通点だと思います。

 ミヤマポピーのお父さんは、カブラヤオー。1975年の皐月賞・日本ダービーを驚異的なペースで逃げ切った二冠馬です。三冠確実と言われましたが、夏時期に蹄鉄の打ちそこねで屈腱炎を発症、菊花賞を回避してしまいました。

 カブラヤオーは、父ファラモンド・母カブラヤという良血とは言い難い血統でしたので、蹄鉄処置の失敗などという理由で三冠が取れないようにされた、という噂さえ広がったほどの強豪馬でした。生涯成績は13戦11勝、日本競馬の最強馬を語る時、一部のファンから必ず候補に上がる馬です。特に、日本ダービーの前半のペースは凄まじく、あの異常な?ペースで逃げながら、勝ち切ったという点から「最強の日本ダービー馬」と言う競馬関係者も少なからずいます。私も、大好きな馬です。おそらく繁殖牝馬にも恵まれなかったであろうカブラヤオーの代表産駒がミヤマポピーなのです。

 ミヤマポピーは繁殖に入った後、重賞中京2歳ステークスの優勝馬ゼンノカルナックを出しています。ゼンノカルナックが子孫を残したのかどうかは、伝わっていません。カブラヤオーの直系の血筋は絶えてしまったのでしょうか。

 サンドピアリスのお父さんは、あのハイセイコー。説明不要の日本競馬史上最高の人気馬です。このハイセイコーの人気の凄まじさについては稿を改めますが、父チャイナロックの代表産駒として、種牡馬としても日本ダービー馬カツラノハイセイコを出すなど活躍しましたが、種牡馬生活後半の代表産駒がサンドピアリスです。
 サンドピアリスは繁殖牝馬としても、ダート重賞4勝のタマモストロングの母となるなど活躍し、その産駒の牝馬はハイセイコーの直系血筋を今に伝えています。

 ミヤマポピーとサンドピアリスは、繁殖牝馬として重賞勝ち馬を1頭出したという点でも、似ています。

 カブラヤオーとハイセイコーは、現役時代に何度もファンを唸らせる大活躍をしましたが、種牡馬になってからも、娘たちが2年連続でファンを唖然とさせる大仕事をやってのけました。
 日本の競馬を支えた2頭の血統は、大切に守られなければならないものだと思います。
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