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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム127] 日本馬初の欧州G1優勝 シーキングザパール号
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 1996年のデイリー杯2歳ステークスにおいて、2着に5馬身差を付けレコードタイムで圧勝したのがシーキングザパール号です。名前からもお分かりのように牝馬です。

 そして、日本馬として史上初めてヨーロッパ(フランス)のG1モーリス・ド・ゲスト賞で優勝しました。この時もレコードタイムでした。シーキングザパールの後、日本馬によるヨーロッパG1レースを始めとする国際G1競走優勝が続いていますが、レコード勝ちというのは滅多に観られません。

 シーキングザパール号、父シーキングザゴールド、母ページプルーフ、母の父シアトルスルー。通算競走成績21戦8勝、主な勝ち鞍、G1モーリス・ド・ゲスト賞、NHKマイルカップ、G2 ニュージーランドトロフィー、G3 デイリー杯2才S、シンザン記念、フラワーカップ。
 父シーキングザゴールドは、大種牡馬ミスタープロスペクター産駒、母の父がシアトルスルーですから、力強さこの上無い良血でしょう。
 アメリカ・バージニア州で生まれた彼女は、日本人馬主に18万5千ドル(現在の為替相場で約21百万円)で購入されて、日本に渡り調教されました。

 小倉のデビュー戦を7馬身差で圧勝しましたが、第二戦中山の新潟3歳ステークスはスタート直後の逸走のため3着に敗れ、迎えた3走目がデイリー杯2才S(当時は3歳呼称)でした。そして、頭書の様に圧勝したのです。このレースの2着は、後に天皇賞(春)などを制するメジロブライトでした。

 鞍上が武豊騎手であったことを見ても、シーキングザパールに対する陣営の期待の高さが伺われますが、その天才・武豊騎手をもってしても、時折見せる彼女の気性の難しさは御しがたいものだったようです。

 このころ外国産馬にはクラシックレースへの出走権利がありませんでしたから、シーキングザパールは外国産3歳牝馬が出走可能なG1レース・NHKマイルカップを目指しました。
 そして、3歳の4月までに7戦して5勝という堂々たる成績を引っ提げて、5月のNHKマイルCに挑み、見事に優勝しました。

 陣営はこの後、秋のG1秋華賞を目指しました。桜花賞馬キョウエイマーチ、オークス馬メジロドーベルと、「最強3歳牝馬」を決めるレースに挑戦することにしたのです。
 秋緒戦はローズステークスを選びましたが、キョウエイマーチの3着に敗れました。元気の無い走りだと感じましたが、気管の入り口がふさがれてしまう病気に罹っていることが判明し、治療に専念することとなりました。ローズSの時にも、呼吸困難な状態でのレースであったようです。

 手術を行い、7か月の休養の後4歳になった彼女は、緒戦のG3シルクロードSこそ勝ちましたが、続くG1高松宮杯・安田記念に連敗しました。さすがに病気・休養が堪えているかと思いましたが、後から思えば「重い馬場」が苦手であったようです。この年の高松宮杯はやや重、安田記念は不良馬場でした。

 シルクロードSに勝った時点でヨーロッパ遠征を決めていた陣営は、敢然と欧州遠征を実行しました。前述の安田記念に圧勝したタイキシャトルも欧州に渡りましたので、この1998年の夏には、2頭の強豪日本馬が欧州競馬に挑んだのです。

 シーキングザパール陣営は当初G1ジャック・ル・マロワ賞(1600m)に挑戦する予定でしたが、タイキシャトルが同レースに出走するとの情報を得てこれを回避(1600mならタイキシャトルの方が強いとの判断)、G1モーリス・ド・ゲスト賞(1300m)を選んだのです。

 結果として、この判断が「日本馬初の欧州G1制覇」の栄誉をシーキングザパールにもたらしました。
 この年のモーリス・ド・ゲスト賞は8月9日に行われ、ジャック・ル・マロワ賞は翌週8月16日に行われたのです。

 加えて、会場のフランス・ドービル競馬場は当時全く雨が降らず、例年にない「硬い馬場」であったそうです。これも彼女に大いに味方したのでしょう。直線コース1300mのレースで、彼女はスタート直後から先頭に立って逃げ、そのまま2着馬に1馬身強の差を付けてレコードで快勝しました。ゴールまで全く緩みの無いギャロップが印象的でした。彼女のレコードタイムは、この後15年間破られませんでした。

 また、翌週のジャック・ル・マロワ賞におけるタイキシャトルの優勝により、日本馬の2週連続G1レース制覇が実現しました。
 それまで、1度も欧州のG1レースで勝ったことが無かった日本馬の突然?の大活躍に対して、フランスでは驚きと共に、ノルマンディー地方に存するドービル競馬場に掛けて「日本馬による歴史的なノルマンディー上陸」と大きく報じられたそうです。

 シーキングザパールとタイキシャトルの快挙は、日本競馬のレベルの高さを欧州そして世界に示すと共に、国際G1レースに挑戦する後続の日本馬・関係者に対して大いなる勇気を与えたと思います。
 また、単純な言い回しをすれば「どれくらいの強さの馬ならば、国際G1レースで勝負になるか」という、最初の物差し・基準になったのではないでしょうか。

 競走馬を引退したシーキングザパールはアメリカ屈指の大牧場であるクレイボーン牧場で繁殖に入りました。そしてストームキャットとの初仔がシーキングザダイヤと命名されて日本で走り、中央・地方、芝・ダートで活躍、重賞5勝の好成績を挙げました。

 シーキングザパールは460kg~470kg位のそれほど大きな馬ではなかったものの、均整がとれた鹿毛の馬体でした。加えて、細面の美人タイプであったと記憶しています。表情には、意志の強さが感じられました。

 シーキングザパール=「真珠探し」とは何とも綺麗な馬名です。
 馬主さんがアメリカで探し当てたサラブレッドは、日本競馬界の「新しい扉」を開いたスーパーガールだったのです。
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