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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム128] ミホシンザン号 32歳の大往生
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 12月4日の朝、ミホシンザンの死亡が確認されたと報じられました。功労馬として繋養されていたのは、北海道日高町・谷川牧場でした。

 1985年の皐月賞・菊花賞の二冠馬にして、1987年の天皇賞(春)の優勝を最後に引退した名馬でしたが、「三」の数字と関係が深い生涯でした。

 まずは「三冠」。
ミホシンザンの全16戦に騎乗した名騎手・柴田正人の言を借りれば、「三冠馬になる力は十分」にあったとのことですが、皐月賞後に左前脚の骨折が判明し日本ダービーには出走できませんでした。秋になって復活し、セントライト記念→京都新聞杯→菊花賞と走って、菊を制したのは流石というところでしょう。

 続いては「三年連続の三冠馬誕生」。
 1983年はミスターシービーが、1984年はシンボリルドルフが三冠馬となっていましたので、ミホシンザンが三冠を制することとなれば三年連続だったのです。
 惜しくも成りませんでしたが、この頃は「三冠を制することが可能な優駿」が連続して生まれていたことになります。その理由は不明ですが、不思議なことだと思います。

 続いては「あと三年生きればシンザンの寿命に到達」。
 日本のサラブレッド史上第2位(少し前までは第1位)のシンザンの長寿記録は35歳ですが、ミホシンザンもサラブレッドとしては大変長寿で、32歳の生涯を全うしました。
 競走成績および種牡馬としての成績から観て、「シンザンの最高傑作」であろうミホシンザンは、父親の寿命まであと三年と迫ったのです。

 最後に「G1レース三勝」。
 これは見事な成績です。現在よりG1レースが少なかった時代に、皐月賞・菊花賞・天皇賞(春)を制したのです。3歳の暮れに挑戦した有馬記念は惜しくも2着でした。このレースに勝ったのは、あのシンボリルドルフです。中央競馬史上最強の一頭に数えられるシンボリルドルフ相手に、若駒ミホシンザンは戦いを挑んで敗れた形ですが、もしルドルフが出ていなかったら・・・と思ってしまいます。

 シンザンと母の父ムーティエの交配という、とても力強く勝負強い血統のミホシンザンは、関係者やファンの期待に応えて、とても良く走ったのです。

 さて、ミホシンザン逝くの報に接して、もう一頭のサラブレッドを思い出しました。

 私としては大変ショックな出来事で、なかなか書く気にもなれなかったのですけれど、ようやく書くことが出来ます。

 アドマイヤラクティ号の死です。

 ご承知の通り、今年の11月4日、オーストラリア競馬のG1レース・メルボルンカップに出走し、22頭中の1番人気に支持されながら、レースの4コーナーから様子がおかしくなりズルズルと後退して最下位でゴールイン。
 レース後、馬房に戻ってから倒れて、息を引き取ったのです。心臓麻痺と伝えられました。

 レース中に発症していたのは明らかです。
 とても苦しい状態で、フレミントン競馬場の3200mを走り切り、必死の思いで馬房まで帰って倒れたのでしょう。

 痛ましい、本当に痛ましい急死でした。

 心臓疾患が生じても、どんなに苦しくてもレースを止めないという「闘争心の強さ」は、まさにサラブレッドそのものです。そういう気性の馬を、人間は意図的に残して、交配を続けてきたのです。
 極端に言えば、アドマイヤラクティは「サラブレッドの血に殺された」のかもしれません。

 骨折から立ち直り、菊花賞と天皇賞(春)を制したミホシンザンと、心臓が十分には動かなくなり、大差の最下位になっても走り続けたアドマイヤラクティ。
 ともに、一流のサラフレッドに求められる「気持ちの強さ」を具備していました。

 サラブレッドの歴史の一部となった2頭の冥福をお祈り申し上げます。

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