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 今回は、スポーツの個人競技における「経験」の意味を考えてみたいと思います。

 ここで言う「経験」とは、ある競技をどれくらいの期間やっているかとか、世界一・日本一を決めるレベルのゲームに何回出場しているか、といったことですので、「経験値」と呼んだ方が良いかもしれません。

 「初出場」という言葉は、様々なスポーツ競技において「特別な意味合い」で使われることが多いですし、「ベテランの味」といった形で「経験値の大きさ」が取り上げられることも多いと思います。
 「経験値」は、競技能力を構成する重要な要素であると、一般的には捕えられているということでしょう。しかし、

1. 個人競技における勝敗と「経験値」は基本的には無関係

 1992年バルセロナ・オリンピックの女子200m平泳ぎにおいて岩崎恭子選手が14歳で金メダルを獲得したことや、石川遼選手が15歳で日本プロゴルフツアーの大会で優勝したことといった例を挙げるまでも無く、「経験値が低いプレーヤー」が、オリンピックや世界選手権といった世界的な大会や日本一を決めるゲームで大活躍している例は、枚挙に暇がありません。
 最近でも、柔道グランドスラム大会男子の阿部一二三選手や全日本総合バドミントン選手権大会女子の山口茜選手、共に17歳のプレーヤーの優勝など、様々な競技で観られる事象でしょう。

 つまり、世界一・日本一を決めるような大会で勝利を収めるレベルの「競技能力」と「経験値の大きさ」は、基本的には無関係であることは明らかです。

 個人競技の能力の高低を決めるのは
① パワー・スピード・テクニック・持久力・瞬発力といった「肉体的能力の高さ・大きさ」がベースであり、その肉体的能力をゲームにおいて存分に引き出すための
② 「精神力の強さ・安定性」が副次的要素となるのでしょう。

 ここに「経験値の大きさ」は、直接的には無関係なのです。

 どんなに長く当該競技を続けているプレーヤーであっても、経験値は低くいながらも前述①と②を十分に具備しているプレーヤーには、歯が立たないことになります。何となく残念な感じもありますが、事実はそういうことでしょう。

2. 「肉体的能力」と「精神的な強さ」を向上させるための経験値の積み上げ

 では、「経験値を積み上げること」が無意味かというと、そうではないのでしょう。「肉体的能力」や「精神的な強さ」を向上させるという面からは、経験値の積み上げは有効だと考えられます。

 例えば、世界トップクラスのプレーヤーの競技能力を10という数値で表すとして、競技能力9のプレーヤーがレベル10に引き上げて行くために、経験値を積み上げることがあることは、予想できます。

 精神面が弱く、本来の肉体的能力を十分に発揮できないために、競技能力9に留まっているプレーヤーが、経験値を積み上げながら「精神面の強化・安定」を図り、レベル10に上がっていくという例も沢山あるように思います。

 もちろん、レベル5のプレーヤーが6や7に上がって行く例も多いことでしょう。

 また、様々な理由でレベル10から9とか8に下がってしまったプレーヤーが、そのレベルを10に戻していくためにも有効なのかもしれません。

 つまり、「肉体的能力」や「精神的な強さ」といった「競技能力を構成する要素」の強化に取り組む過程で「経験値が積み上げられていくこと」は、ありそうです。もちろん、この取組においては、「経験値を積み上げること」自体が目標ではありません。「肉体的能力」と「精神力の強化」のためには、相応の時間が必要だという意味になります。
 
 一方でこのことは、「経験の長さとは直接的な関係は無い」ということを示しているとも言えそうです。つまり「当該競技を長くやっているということ」自体は、やはり競技能力とは無関係なのです。

3. 「肉体的能力」と「精神的な強さ」を向上させるための弛まぬ努力の必要性

 前項までの考察から、ただ長く当該競技を続けているだけでは、競技能力の向上には結びつかないことが解ります。

 競技能力を高めたいと考えているプレーヤーは、その為に何をしたら良いかを日々考え、練習や試合のプランを立案し実行して行かなければならないということになります。そして、自らの「肉体的能力」と「精神的な強さ」を磨いて行かなければならないのです。
 それ以外には、競技能力を高める方法が無いように観えます。

4. 「有効な経験値の大きさ」=「当該競技をしている期間」×「密度」

 経験を、有効な経験値に昇華させて行くために大切なことは、「密度」という概念になるのではないでしょうか。自らの「肉体的能力」や「精神的な強さ」においての「弱点」「短所」を改善し、「強み」「長所」を伸ばしていくために、日々の練習やゲームに臨まなければなりません。
 
 その為のプランの内容は、当然にプレーヤー毎に異なるのでしょうが、共通していることは「練習やゲームでの取り組みは高い密度の下で行われなければならない」ということでしょう。
 単純な例を挙げれば、期間2年で密度5の経験値を積み上げるのと、期間1年で密度10の経験値を積み上げるのは、同じ効果を齎すということになります。

 もっと強くなりたいと考えているプレーヤーにとっては時間がいくらあっても足りないのでしょうし、一方でピークに達したプレーヤーの肉体的な能力が、加齢と共に下がって行くことは自明の理ですから、「有効な経験値」を速く積み上げて行かなければ、間に合いません。
 競技能力を上げたいと考えているプレーヤーには、ぼんやりと当該スポーツに取組んでいる暇は無いのでしょう。

 さて、ここまで書いて来ましたが、スポーツの個人競技と「経験」の関係というのは、とても難しく奥行きが深いテーマなのでしょう。書いていて、他の要素がいくつも頭に浮かびました。
 ゲームを構成していく力と経験値の関係とか、慣れることと強くなることとの関係、気象条件や自身の調子の良し悪しに対してどのように対応して行くかのノウハウ蓄積と経験値の関係、といった諸点です。今回はこうした諸点について関連付けて行くことが出来ませんでした。

 従って、今後も同じテーマを何度も採り上げて行くような気がします。また、次回採り上げることが出来る時が来ることが、とても楽しみでもあります。
 今回は、「2014年12月時点の考察」ということにさせていただきたいと思います。
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スポーツ個人競技における「経験」の意味  
Comment
149
中々興味深い考察ですね。
競技内容によって、求められるスキルや難易度が変わってきますからね。
卓球やテニスみたいな競技なら、プレイヤースキル(技術、経験)がないとほぼ絶対に勝てないし、ビリヤードやダーツのような競技なら素人でもまれに勝つようなビギナーズラックの可能性もありますしね。

ただどの競技にも共通なのは、
>4. 「有効な経験値の大きさ」=「当該競技をしている期間」×「密度」
まさにこれで、効率よくor手際よく勝つために練習を反復する、ということでしょうかね。

152
Re: コメントありがとうございます。
おっしゃる通りで、「競技による違い」もこのテーマにおける
重要な検討ポイントになります。

奥行十分なテーマですので、今後も採り上げてみたいですね。

引き続き、コメントよろしくお願いいたします。

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