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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム20] マイルチャンピオンシップとダイタクヘリオス
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 春の安田記念と並ぶ、秋の1600m・約1マイルのG1競走がマイルチャンピオンシップ(以下、マイルCS)です。とはいえ、1951年に創設された安田記念に比べ、マイルCSは1984年開始ですから、比較的新しいG1競走ということになります。

 日本中央競馬会は1984年、重賞競走にグレード制を導入しましたが、その際に重賞レース体系も変更・整備しました。特に、中距離・短距離のG1競走の整備を推進し、天皇賞(秋)の距離を3200mから2000mに短縮したり、安田記念をG1に格付けし実施時期を6月中旬から5月中旬のオークスの前週に変更したりしましたが、その際に秋の京都競馬場芝1600mG1競走として創設されたのがマイルCSです。以来、この春・秋のマイルG1競走体系が継続されています。

 マイルCSの特徴のひとつとして「連覇」が多いというのが挙げられると思います。1984年から昨年までの28回のレースで、5頭(ニホンピロウイナー、ダイタクヘリオス、タイキシャトル、デュランダル、ダイワメジャー)の馬が連覇を達成しています。マイル・1600mレースというのは、専門性が高く、実力差が明確に出やすい距離なのかもしれませんが、それにしても多い。春の安田記念が62回の歴史の中で、連覇は3頭(スウヰイスー、ヤマニンゼファー、ウオッカ)しか出ていないのと比較しても多いと思いますし、中央競馬の全てのG1競走の中でも、連覇馬が5頭も居るレースは、このレースだけではないかと思います。

 また、マイルCSは本命サイドのレースでした。創設された1984年から1994年までの11回のレースでは、一番人気の馬が100%連対していましたし、それ以降も2001年までは比較的固い馬券が多かったと思います。ところが、2002年以降は高配当のレースが多くなっています。2002年以降も、連覇馬が2頭出ていることを考えると、2着3着に人気薄の馬が入ってくるということかもしれません。

 こうした変化の要因としては、1600mレース全体のレベルアップもあるように思います。マイルレースに強く実績がある馬が多数出てくるようになったため、そもそも一番人気でも3倍を切ることが珍しくなってきました。その意味では「荒れるレース」になって来たのではなく「実力伯仲の難しいレース」になってきたということなのでしょう。取りも直さず「面白いレース」になってきたということです。

 秋のマイル王決定戦・マイルCSの勝ち馬には、錚々たる名馬が並びます。その中で、本稿で採り上げるのは、1991年・1992年の連覇馬ダイタクヘリオスです。

 ダイタクヘリオス号は、父ビゼンニシキ、母ネヴァーイチバン。生涯成績は35戦10勝。マイルCSの連覇と共に、春のマイラーズカップG2も1991年・1992年と連覇していますので、マイル重賞に強かった馬です。

 ダイタクヘリオスが勝ったレースは「良配当のレース」が多かったなと思い調べてみました。ダイタクヘリオス自身も、1番人気で勝ったのは2歳時の条件戦1レースのみで、残りの9勝はいずれも2番人気以下でした。マイルCSを連覇するほどの馬ですから、1番人気になることもあったのですが、1番人気になると走らない。それも4着以下に大敗したりしますので「オッズが解っている馬」と言われたりしました。

 加えて、ダイタクヘリオスが4歳古馬になって以降引退するまでに出走した20回のレースの全てにおいて、一番人気馬が勝てませんでした。
 こうなると「ダイタクヘリオスの呪い」という感じです。この20回のレースには、自身が勝ったG1マイルCS2戦以外にも、安田記念2回、有馬記念2回、天皇賞(秋)1回の5レースのG1も含まれています。「ダイタクヘリオスが出走してきたら本命馬は勝てない」のですから、一番人気馬の関係者や競馬予想を行う人達からは、随分と嫌がられたのではないでしょうか。5歳時の有馬記念12着を最後に引退した時には、ホッとした競馬関係者も多かったのかもしれません。

 さらに、ダイタクヘリオスはいつも口を割って(開けて)走りますので、騎手との折り合いも不安でしたし、パドックでもイレ込みが激しい様子がよく見られましたので、ムラ馬と呼ばれることも多かったと思います。(実際には、パドックや返し馬の時に大人しいと走りませんでしたので、暴れるのが好調の証?だったのでしょう)
 最近少なくなった、極めて個性的な馬でした。

 一方で、4~5歳の2年間でG1の2勝を始めとして重賞を6勝もしたのですから大変強い馬でした。
 逃げ馬ではないのですが、勝ったレースは3コーナーから進出し4角先頭、先頭に立つのが早過ぎる・いつ抜かれるのかなと思って見ていると、結局粘り切ってゴールイン、思い返してみると強い、というレースが多かったと思います。「良い脚が長く使える馬」の典型で、確かマイラーズカップで4角先頭、直線も引き離し、5馬身差位で勝ったレースがありました。強い!大きな差が付きにくいマイル戦では珍しいと思ったことを憶えています。

 ダイタクヘリオスのお父さんはビゼンニシキ。1984年春のクラシック戦線の主役でした。新馬戦からの4連勝で臨んだ弥生賞G3は一番人気。何と、この時の二番人気がシンボリルドルフでした。(ルドルフが3歳馬同士のレースで唯一一番人気になれなかったレースです)このレースはルドルフの2着。
 続く、スプリングステークスG2に勝って、皐月賞でルドルフと共に単枠指定馬となりましたが、二番人気で2着。ダービートライアルのNHK杯を優勝して、日本ダービーに臨み、やはりルドルフと共に単枠指定馬となりましたが、二番人気で14着と初めて3着以下に敗れました。今思えば2000m以下の距離で強い馬でした。

 栗毛・大流星の大型馬だったビゼンニシキは、間違いなく皐月賞まではクラシック戦線の主役でした。1984年皐月賞・中山競馬場の直線、外側(左側)から並びかけて来るビゼンニシキに、シンボリルドルフ(鞍上岡部騎手)は馬体をぶつけました。ビゼンは失速、1馬身程の差でゴール。勝ったルドルフ、2着のビゼン共にレースレコードタイムでした。
 急な斜行でしたからルドルフの失格もあるかもしれないと思いましたが、審議の後、岡部騎手の騎乗停止処分のみで、ゴール板到達順位通りに確定しました。皇帝シンボリルドルフとその陣営を最も震え上がらせた馬が、ビゼンニシキでした。

 ビゼンニシキとダイタクヘリオスの父子は、中央競馬の歴史に渋く輝く強者達だと思います。
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