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 2014年の書き収めは、このテーマにしました。

 スクラメイジ(つかみ合い、乱闘、混沌といった意味。スクリメイジと表記されることもあります)とは、ごく初期のフットボールにおいて「ボール近辺で発生する大混雑・大混乱」のことです。

 日本各地のお祭りでも、裸の男達が雲霞の如く集まり「ひとつの木の球」を取り合うといった趣向のものが存在しますが、ごく初期のフットボールもこうした祭りと同様に、例えば、「収穫が終わった後の村同士の対抗戦」といった形で行われて来たことでしょう。

 この頃はチーム毎の人数がルール化されていた訳では無いでしょうから、ひとつのボールに何十人もの人が殺到して取り合うシーンが数多く発生したと思われます。このボールの取り合いの状態がスクラメイジです。

 スクラメイジは怪我が発生しやすい「とても危険な状態」ですし、そもそも見ている人達からは「何をやっているか分かり難い・見え難い」ものですから、初期フットボールが近代スポーツに進化して行く過程で、「スクラメイジの取り扱い」が課題のひとつになったと考えられます。

 19世紀の後半にイギリスで始まったラグビー競技においては、両チームがボールに殺到するスクラメイジ状態を「スクラムという形」に置き換えたのだろうと思います。怪我をする危険を軽減させるとともに、観客から分かりやすく観やすいという利点があります。

 一方で、「スクラメイジの精神」=「両チームのメンバーが必死にひとつのボールを争奪する」という面はしっかり継承されていて、スクラム状態が継続されている時には、スクラムからフランカーなどのプレーヤーが離れてしまうと反則となるのです。「ちゃんとボールの取り合いに参加しなさい」ということでしょう。

 ラグビー競技(15人制)においては、スクラメイジをスクラムプレーによって代替したと書きましたが、別の形でスクラメイジが残っているとも思います。最もスクラメイジに近いプレーはモールプレーでしょうし、時にはラックプレーにもそうした面があると感じます。
 「立ってプレーしながらボールを取り合う」モールは、かつてのスクラメイジの雰囲気を漂わせているプレーだと思うのです。

 さて、イギリスで始まったラグビーが19世紀後半にアメリカに渡り、1880年過ぎに誕生したスポーツがアメリカンフットボールであると言われています(本ブログの2012年9月9日の記事「アメリカンフットボールの始まり」ご参照)が、アメリカンフットボールにおいても独特の「スクラメイジの取り扱い」が行われています。

 アメフトにおいては、ラグビーにおけるスクラムという手法は取らず、「スクリメイジラインという概念」を創設したのです。
 攻撃側のセンターCプレーヤーがボールをフィールドに置き、クオーターバックにスナップすることでゲームが始まるのがアメフトですが、このセンターが置いたボールの位置からフィールドの両サイドに引いた線(もちろん実際には見えません)がスクリメイジラインです。
 両チームのラインメンと呼ばれるプレーヤーは、スクリメイジラインを挟んで睨みあい、Cプレーヤーのスナップの瞬間を待つのです。

 ラインメンがプレー開始前にこのスクリメイジラインを超えてしまうと、オフサイドやニュートラルゾーン・インフラクション、エンクローチメントといった反則に繋がってしまいます。
 そして、Cプレーヤーがスナップした瞬間、攻撃側と守備側のラインメンがぶつかり合います。このぶつかり合った瞬間は「初期フットボールのスクリメイジ」に近い状態なのですが、アメフトではラインメンの手の使用に制限を加えるなどして、「怪我・故障に繋がるリスク」を軽減しています。

 スクラメイジ(つかみ合い、乱闘、混沌)は、ラグビーやアメリカンフットボールといった「格闘系球技」にとっては見所・醍醐味のひとつであることは間違いありませんが、近代スポーツとしては相応に管理されている必要がありますので、それぞれの競技によって様々な工夫が施されているということになるのでしょう。

 また、アメリカンフットボールは、ラグビーをベースとして生まれたと伝えられていますが、現在では全く異なる競技になっていると考えます。
 この違いは「外見の違い」に留まらず、「本質的な違い」にまで拡大しているように観えます。「対極にあるスポーツ」とさえ感じます。

 大変興味深いテーマです。2015年には「ラグビー(15人制)とアメリカンフットボールの違い」について採り上げてみたいとも考えています。


 2014年も「KaZブログ」をご愛読いただき、ありがとうございました。

 皆様の応援のおかげで、1年間書き続けることが出来ました。

 2015年も、よろしくお願いいたします。

 それでは皆様、良いお年をお迎えください。
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