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HOME   »   スポーツ共通  »  ラグビーとアメリカンフットボールの違い(その3)
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 今回のテーマはゲームにおける「ボールの位置」です。

 ラグビーにおいては、「ボールはチームの先頭」に位置します。ボールより前に居るプレーヤーがプレーに参加すれば「オフサイド」の反則になります。つまり、ボールより後ろがオンサイド(プレー可能な地域)、ボールより前がオフサイドなのです。

 これは相当に厳密で、例えば攻撃側を例に取れば、ボールがチームの先頭に位置しないのは、スクラムの時のナンバー8周辺にボールが在る時と、ドライビングモールの時、そしてラックプレーにおける球出しの時、位ではないでしょうか。これとて、スクラム時なら2m位、ドライビングモール時ならプレーヤーの体の厚さ分、ラックプレーの時なら1m位、ボールがチームの先端の後ろ側に存在するだけです。

 従って、「ラグビー競技は、ボールを後ろに回しながら、前進する競技」ということになります。近時は、真横にパスしても反則にはなりませんが、昔はパスは後ろに投げなければなりませんでした。「スローフォワード」という反則を取られたのです。(現在でも、ボールを少しでも前に投げればスローフォワードの反則となります)

 ラグビーにおいては、ボールを保持している選手がチームの先頭位置に居て、そこから後ろへ後ろへとボールを繋ぎながら前進するのです。

 もし、ボールを保持しているプレーヤーが、前方に居る味方プレーヤーにぶつかってしまうと「アクシデンタル・オフサイド(アンウィルフル・オフサイド)」の反則となりますし、ハイパントを蹴った場合に、その蹴った選手より前に位置していた味方のプレーヤーがボールをキャッチしても反則となります。
 とにかく「プレーする権利のある選手はボールより後ろに居た選手に限定される」のです。この点は、徹底されています。

 もちろん、様々なスポーツ競技に存在する「オフサイド」という反則は、「競技の面白さを担保するルール」なのですから、厳密に運用されなければなりません。

 例えば、ラグビーにオフサイド・ルールが無ければ、相手ゴールライン付近に味方選手を配置して、そこにキックすれば、容易にトライが取れるでしょうし、サッカーにオフサイド・ルールが無ければ、同様に相手ゴール前に味方選手を配置しておけば、ロングパス一本で味方選手と相手ゴールキーパーの1対1の局面を作ることが出来ますから、得点が容易になります。

 こうした形で、どんどんトライやゴールが生まれるようでは、スポーツとして面白くないし、戦術等の発展にも限界が生まれ、「奥行きの浅いスポーツ」となってしまいます。「オフサイド」ルールの存在意義は、ここにあるのでしょう。

 そして、「オフサイド」はごく初期のフットボールの頃から存在するルールであると言われています。大袈裟に言えば、「オフサイドが在るからこそ、ラグビー競技もサッカー競技も存在している」ということになるのかもしれません。

 一方で、ラグビーもサッカーも、競技技術・特に守備技術・戦術の向上に伴って、なかなか得点が入らなくなってしまいましたので、ラグビーにおいてなら「真横に投げてもスローフォワードにならない」、サッカーにおいてなら「パスの為のボールが蹴られた時に、相手プレーヤーと平行に並んでいるところから動き出してもオフサイドにはならない」といった形で、攻撃側に有利なルール変更が行われてきたのでしょう。
 昔、サッカーにおいては前述の場合「守備側の選手より後ろに攻撃側の選手が居なければオフサイド」でした。

 さて、本稿はラグビーとサッカーの比較では無く、ラグビーとアメリカンフットボールの比較ですので、話を戻します。

 ラグビーにおいては「ボールがチームの先頭に位置する」ことを書きましたが、アメリカンフットボールでは、どうなのでしょうか。

 ラグビーフットボールとアメリカンフットボールの大きなルール上の違いとして、アメリカンフットボールでは『ひとつのプレーにおいて1度だけボールを前に投げることが出来る』のです。これは、大変大きな違いなのです。
 一方で、「アメリカンフットボールにおいても、ひとつのプレーにおいてボールを後ろに投げることは何度でも出来る」のですから、ラグビーの精神は生きています。

 ラグビー競技を基にして出来上がったアメリカンフットボール競技においては、当然ながらラグビーの基本精神は継承されているのです。 

 また、アメリカンフットボールにおいて「1度だけボールを前に投げることが出来る」といっても、スクリメイジラインより後ろから投げなければならないのです。
 つまり、ラグビーにおけるスクラムの真ん中に当たる「チームの先頭箇所」を示すスクリメイジラインより後ろからしかパスを投げることは出来ないのです。

 これも競技の面白さを確保するためのルールであろうと思います。ランプレーでスクリメイジラインを超えて前進したプレーヤーが、ゴールライン付近に居るプレーヤーにパスを投げてタッチダウンというのでは、簡単すぎて面白くないし、技術・戦術上の進歩も小さい=奥行きの浅いスポーツになってしまう、ということでしょう。

 このように、アメフトにもラグビーの基本精神は生きているのですが、一方で全く違う点もあります。それは「アメフトにおいてはボールはチームの先頭では無い」ところです。

 先ほど書きましたように、ラグビーにおいてはボールを保持して前に走っている選手が、味方のプレーヤーにぶつかってしまうと反則なのですが、アメフトにおいては反則にはなりません。それどころか「ブロックプレー」という立派な戦術となるのです。

 アメリカンフットボールの基本的な攻撃プレーであるランプレーにおける、さらに基本的な戦法にアイフォーメーションがありますが、これはボールキャリアの前に「リードブロッカー」を配置して、リードブロッカーの後ろにボールキャリアが付いて走るプレーです。こうしたプレーはラグビーには存在し得ないのです。

 同様に、アメフトにおいて長いパスを受けたプレーヤーの周辺に居た味方プレーヤーは、パスを受けたプレーヤーが前進しようとするのを助けるブロックプレー=相手チームのプレーヤーが味方のボールキャリアに襲い掛かるのを邪魔するプレー、を展開します。この稿の話の流れで言えば「邪魔するプレーを行っても良い」のです。

 これはプレー可能な選手の位置=「オンサイド」の考え方が、全く異なることを示しているのではないでしょうか。

 前述の、ラグビーにおいては「ハイパントのボールは、蹴った選手の後ろに居た選手しかキャッチしてはいけない」、オンサイドはボールの後ろ側というルールとは、対極にある概念と言えるでしょう。
 これも「本質的な違い」であろうと思います。

 本稿まで3回にわたって、「ラグビー(15人制)とアメリカンフットボールの違い」について書いて来ました。

 もちろん、他にも違う点は多々有ろうと思いますが、「本質的な違い」はこの3点に集約されるように思います。

 今回の「違い探し」は、本稿を持って完結とさせていただきます。
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ラグビーとアメフトの違い・その3  
Comment
166
アメフトとラグビーの違い
アメフトにおいても、後方なら何度でもパスができるのにギャンブル・プレー時以外は行はないのでしょう?きっと、ターンオーバーの危険があるからなのでしょうが、私がアメフトが嫌いなのは、プレーがぶつぶつと途切れて、ラグビーのような連続攻撃の醍醐味が全くない点にあります。

167
Re: コメントありがとうございます。
アメフトにおいて後方にパスをするプレーとしては、QBのオプションプレーにおけるRBへのパスやフリーフリッカーといったスペシャルプレーがあると思いますが、そう多くは見られません。
おっしゃる通り、ターンオーバーのリスクが高いことや、戦術的に前にパスすることの方が勝っているという理由からなのでしょう。

こうした中で、今シーズンのプレーオフ・ワイルドカードのカージナルスVSパンサーズのラストプレーでカージナルスが後ろに4~5回のパスを続けたプレーは印象的でした。ちょうど日本のラグビーのビッグマッチにおいて、負けている方のチームが「最後に1トライを取りに行くプレー」のように、左右に動きながら次々と後ろにパスをしたのです。しかし上手く行かず、20ヤードくらいのロスでした。

「プレーがぶつぶつと切れること」については、アメリカ発祥のスポーツの特徴かもしれません。ベースボールは3ダウン、アメフトは4ダウンで攻撃権が相手側に移ります。これに対して、ヨーロッパというかイギリス発祥の競技であるサッカーやラグビーはプレーの連続性を重視しているように見えます。
 とても興味深いテーマです。

 これからも、コメントよろしくお願いいたします。

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