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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム132] 元祖・中距離の名馬 ブリガディアジェラード号
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 今年1月13日の記事「世界3大・競馬の祭典」の中で、近時は中距離、特に1600m~2000mのG1レースが多いと書きました。現代は、中距離馬全盛の時代なのです。

 もともと12ハロン・約2400mあるいはそれ以上の距離で争われていた重賞競走が、中距離中心に変化して行った時期は1970年代であろうと思います。
 そして、その1970年代の初頭にイギリスに「中距離の名馬」が登場したのです。

 それが、ブリガディアジェラードでした。

 ブリガディアジェラードは1970年6月にデビューし、2歳時に4戦4勝という優秀な成績を残しました。
 しかし、この年のフリーハンデ(ジョッキークラブ作成)は、マイスワローがトップ、ミルリーフが2位、ブリガディアジェラードは3位に留まりました。

 「名馬は同時期に複数登場する」と言われますが、確かにヨーロッパの12ハロンの大レースを悉く制覇したミルリーフとブリガディアジェラードが同期で、同じイギリスで走っていたというのは、何とも言えない位凄いことであり、不思議なことです。

 翌1971年、3歳となって、この2頭の名馬、マイスワローを含めれば3頭の強豪馬は当然の様にクラシック緒戦の2000ギニー競走に出走しました。1番人気はミルリーフ、2番人気はマイスワロー、3番人気がブリガディアジェラードでした。
 後から見ると、8ハロン・1マイル・約1600mの2000ギニー競走でブリガディアジェラードが3番人気というのは考えられないことなのですが、強豪馬、それも歴史に残る強豪馬が同期の場合に、こうした不思議な現象が起こるのです。

 ブリガディアジェラードは、2000ギニーを圧勝しました。2着のミルリーフに3馬身差を付けての勝利でした。

 そしてここからがブリガディアジェラード陣営の凄いところで、クラシック緒戦を圧勝しながらダービーステークスには進まず、セントジェームズパレスステークス(G1、1マイル)、サセックスステークス(G1、1マイル)、クイーンエリザベス2世ステークス(G1、1マイル)といったマイルの重賞レースを4連勝したのです。 秋には、初めての10ハロン重賞であるチャンピオンステークス(G1)に挑み、接戦ながらこれを制しました。
 3歳時6戦6勝・内G1レースが5勝という、素晴らしい成績でした。(グレード付けは後に行われたもので、現在のグレードを表示。以下同じ。)

 この間、ライバルだったミルリーフはダービー(12ハロン・約2400m)を快勝し、エクリプスステークス(G1、10ハロン・約2000m)に勝ち、続くキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(G1、12ハロン)を2着に6馬身差で圧勝しました。
 秋には凱旋門賞に臨み、これをレコードタイムで快勝したのです。
 3歳馬にして、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスと凱旋門賞を制し、英国ダービーも含めた、所謂「欧州3大レース(いずれも12ハロン)」に優勝したミルリーフは、この年の欧州年度代表馬に選出されました。

 このミルリーフの成績、6戦5勝・内G1レース5勝・内3勝が欧州3大レース、というのは文句の付けようが無いもので、欧州年度代表馬も至極当然なことなのでしょうが、そのミルリーフが唯一敗れたのが2000ギニー競走であり、その勝者はブリガディアジェラードだったのです。

 この年のフリーハンデは、ミルリーフが133ポンドで首位、ブリガディアジェラードは129ポンドで2位でした。

 1972年に入り4歳となったブリガディアジェラードは、エクリプスステークス(G1・10ハロン)への出走を表明、ミルリーフも3歳時に続く連覇を目指して出走することとなりましたから、この2頭の2度目の対決に注目が集まりました。
 これ程の実績を積み上げて来た2頭にとっては、距離10ハロン・約2000mが、唯一の「共通距離」だったのでしょう。

 しかし残念ながら、ミルリーフが発熱を理由に出走を断念してしまい、2頭の名馬の再戦は実現しませんでした。
 ミルリーフの居ないエクリプスステークス1972を、ブリガディアジェラードは快勝しました。

 この勢いを駆って、ブリガディアジェラードはついに12ハロンのレースに挑みました。この年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスに挑戦したのです。そして、これを勝ち切りました。最強マイラーとして、欧州3大レースのひとつ・12ハロンのレースをも制したのです。
 そして同時に、「デビュー以来15連勝」という大記録も達成しました。(当時というか、現在でもイギリス競馬史上トップタイの記録だと思います)

 7月22日にキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスに優勝したブリガディアジェラードは、続いて8月15日のベンソン&ヘッジズゴールドカップ(G1、約2100m)に挑むことになりました。デビュー以来連勝の欧州記録である16連勝に挑む舞台が用意されたのです。

 しかし、やはりキングジョージの疲労が残っていたのでしょう、このレースで2着に敗れたのです。このレースの勝ち馬は、この年の英ダービー馬ロベルトでした。(ロベルトは日本競馬とも関係が深く、リアルシャダイやブライアンズタイムの父です)

 あれだけブリガディアジェラードの中距離への適性を信じて、慎重に走らせてきた陣営が、魔が差したかのようなローテーションであったと感じます。キングジョージにさえ勝ったのだから、今度も大丈夫だと考えたのでしょうが、この2着がブリガディアジェラード唯一の敗戦となりました。
 一定の休養後の出走であれば、あのリボーに並ぶ「デビュー以来16連勝」は十分に手の届くところにあったと思います。

 初の敗戦後、クイーンエリザベス2世SとチャンピオンS(共にG1)を連覇して、ブリガディアジェラードは引退しました。
 この年・1972年の成績は8戦7勝、イギリスの年度代表馬となりました。

 ブリガディアジェラード号、父クイーンズハサー、母ルパイバ、通算18戦17勝・2着1回。グレード制導入後のグレードを当て嵌めてみると、少なくともG1レースを10勝しています。

 世界の競馬をリードする存在であるイギリス競馬に「中距離馬」という概念を根付かせたサラブレッドであり、現在でもイギリス競馬史上最も人気が有ると言われているブリガディアジェラードは、「元祖・中距離の名馬」であろうと思います。

 そして、もちろん世界競馬史上に燦然と輝く「稀代の名馬」であることも間違いありません。

 現在の競馬界においては、2010年~2012年に活躍し14戦14勝・内G1レース10勝の優駿フランケルとの比較を時々目にします。「史上最強の中距離の名馬」はどちらか、という視点の採り上げです。

 共に、クラシックレースである2000ギニーを勝っていますから、私はブリガディアジェラードとフランケルは互角であろうと思いますが、強いて言えばフランケルが走っていない12ハロンの大レース・キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを制している分だけ、中距離馬のスピードで12ハロンの大レースを押し切る能力があることを証明して見せた分だけ、ブリガディアジェラードの方が上かとも感じます。

 40年の月日を経ての比較は極めて困難なものでしょうが、ブリガディアジェラードが確立した「中距離路線というステージ」で、フランケルが評価されていることは間違いないことなのでしょう。
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