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HOME   »   スキー  »  [世界アルペン2015・男子複合2] 華麗なるスラローム マルセル・ヒルシャー選手
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 (前の記事からの続きです。)

 「転倒しながらも25位でゴールした」かのように観えたチェコのバンク選手が失格となり、26位以下の選手達がひとつずつ順位を上げました。

 前半の滑降種目を終えて31位と表示されていた、オーストリアのマルセル・ヒルシャー選手の順位も30位に上がったのです。

 31位と30位、この違いはとても大きなものでした。

 この大会の男子アルペン複合種目では、後半の回転種目の滑走順番は、前半の滑降種目で30位だった選手から1位の選手まで滑り、その後31位の選手以降の選手が順番に滑るというルールなのです。
 従って、前半30位の選手は、後半の回転種目で「最初に滑ること」が出来るのです。

 アルペンスキー競技はどの種目でも、早い順番で滑る方が有利です。他の選手のスキーの轍が少ないのですから。特に先頭で滑る選手は、「良く整備された雪面」を滑ることが出来るのです。

 そして、今回その利点を得た選手がヒルシャー選手だったのです。

 マルセル・ヒルシャー選手はオーストリアの25歳、過去3年間ワールドカップ総合優勝を続けている、オーストリアのエースというか、現在の世界男子アルペン競技・技術系の若き絶対王者です。

 このヒルシャー選手が、バンク選手の転倒・失格により1番滑走という絶好のスタート順番を手にしたというのは、何という偶然なのでしょうか。

 ヒルシャー選手はこの幸運を見事に活かしました。
 積極的かつ冷静な、素晴らしい滑りを展開したのです。圧巻のスラロームでした。

 1番滑走ですから、当然ながらトップに立ったのですが、この後前半の滑降種目でヒルシャー選手より上位に居た選手達が次々と回転種目に挑んでも、ヒルシャー選手の合計タイムを超えることが出来ません。

 29名の選手が滑り終えても、ヒルシャー選手はトップに居ました。現在のこうした大会では、ゴールエリアにその時点でトップの選手が待ち受けるという形ですから、ヒルシャー選手は1番滑走でゴールしてから、ずっと待ち続けたのです。

 ついに前半・滑降トップのランスルー選手(ノルウェー)の試技となりました。
 ランスルー選手はヒルシャー選手に対して3.16秒という大きな差を持ってスタートしました。高速系のランスルー選手は回転種目は苦手ですから、「3.16秒の貯金」を活用して、合計タイムでヒルシャー選手を上回ることを目指したのです。
 とても良い滑りに見えました。途中計時も、ヒルシャー選手の合計タイムと互角以上の数値を示していました。

 そしてゴール。

 僅かにヒルシャー選手が上回りました。大逆転優勝でした。

 バンク選手の転倒なかりせば、転倒したとしても「転がりながらのゴール」が認められていれば、ヒルシャー選手は滑降31位となり、ランスルー選手の後に31番目で滑らなければならなかったのです。
 コース・雪面が相当に痛んだ状態で、ヒルシャー選手があれだけのタイムを叩き出せたでしょうか。
 「神様のみぞ知る運命」というか「勝利の女神の気紛れ」が、勝負事には存在することを強く感じさせるレースであったと思います。

 それにしても、マルセル・ヒルシャー選手のスラロームは見事の一語でした。
 エッジングが極めて短く、次のポールに向かう体勢作りに全く無駄が有りませんでした。「惚れ惚れする滑り」です。

 エッジングの短さ・軽さで一世を風靡し、現在に至るまでワールドカップの最多勝利数記録86勝を誇り「史上最強のスラローマ―」の名をほしいままにしているインゲマル・ステンマルク選手(スウェーデン)と比べても、見劣りしないエッジングスピード・技術に観えました。
 比較すれば、ステンマルク選手より「少し力強いエッジング」でしょうか。

 そうなると、力強く豪快なエッジングで回転系種目を席巻したアルベルト・トンバ選手(イタリア)とステンマルク選手を足して2で割ったようなスキーヤーということになるのかもしれません。

 まだ25歳の若さで、世界アルペン競技・技術系種目に君臨するマルセル・ヒルシャー選手。現時点でワールドカップは29勝です。
 オリンピック・世界選手権のメダルの積み上げも含めて、どこまで記録を伸ばしていくのか、とても楽しみです。

 マルセル・ヒルシャーは「新しい歴史にトライすることが出来る選手」なのでしょう。
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マルセル・ヒルシャー選手の素晴らしいスラローム  
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