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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム21] フランケル14戦14勝で引退
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 2012年10月20日、イギリス・アスコット競馬場で開催されたG1競走チャンピオンステークスは、イギリスの4歳馬フランケル-Frankelが快勝しました。そして、このレースがラストランとなり、競走馬生活を引退し種牡馬になることとなりました。

 これでフランケル号は、2~4歳の3年間で14戦して14勝、競走馬キャリアの当初2戦は、新馬戦・条件戦でしたが、以降12戦は何れも重賞、特にラストランに至る9戦は全てG1勝利という、輝かしい成績を残しました。生涯成績をまとめると、14戦14勝、G1が10勝、G2・G3が各1勝という内容です。
 また、14回の全てのレースにおいて1番人気で1着という、素晴らしい記録も残しました。

 私が、フランケルを認識したのは、2011年4月30日の2000ギニー競走でした。この2011年のクラシック競走はテレビ放送されましたが、フランケルという名前の5戦無敗の出走馬が居ることは報道されていましたので、大変興味深く観ました。

 イギリス・ニューマーケット競馬場の直線8ハロン・約1600mで争われる2000ギニー競走は、我が国の皐月賞のモデルになったレースです。例年思うことですが、直線走路で1600mというのも、とても広い競馬場ですし、いつも騎乗方法が難しいだろうなと思っていました。
 これまで観てきた2000ギニーのレースは、スタート後に2つか3つのグループに分かれて、グループ毎に纏まって走ります。このグループは、内ラチと外ラチに(どちらか内外かは判りませんが)、大きく分かれて走ることも多いように思います。人間の陸上競技100m競走のように、横に並んで走る形にはならないのです。
 そして、その2~3の馬群の中から、残り400m位で数頭が抜け出して、ゴール前まで叩き合いになります。ゴール地点では、内ラチ外ラチに大きく離れた2頭が競り合うということも間々あります。ゴール寸前で順位が入れ替わることもありますので、中々難しいレースという印象を持っていました。

 ところが、2011年の2000ギニーは様子が違いました。ゲートが開いた瞬間からフランケル1頭が飛び出し、1000m付近では後ろの馬群に10馬身以上の大差をつけて、ゆうゆうと走っています。ゴール前では差を詰められましたが、6馬身差で圧勝。ゴール前の脚色の違いで差を付けるのではなく、終始リードを保っての勝利というのは珍しいものでしたし、その絶対スピード値の高さには驚きました。

 6連勝で2000ギニーを制したフランケルが、ダービーに挑戦するかどうかが注目されましたが、調教師は当初からフランケルをマイル路線で使うと言っていましたので、やはり12ハロン・約2400mのダービーには向かわず、8ハロンのG1セントジェームズパレスステークスに臨むこととなりました。
 結果として、このレースがフランケルにとって生涯最大のピンチ、苦戦のレースとなりました。

 セントジェームズパレスS(このレースもテレビ放送されました)のフランケルは、残り5ハロンからスパートし5馬身程リードしましたが、いかにも早すぎるスパートで、残り1ハロン・約200mからは一杯となり、後続馬群との差が見る見る詰まります。これは危ないと思いましたが、2着馬Zoffanyに3/4馬身まで詰められたところがゴールでした。騎乗ミスという感じでしたが、あれだけバタバタでも粘り切ったというか、粘り切れたところに、フランケルの運の強さも感じました。

 その後は、G1サセックスSが5馬身差、G1クイーンエリザベスⅡ世Sが4馬身差、G1ロッキンジSが5馬身差、G1クイーンアンSが11馬身差、G1サセックスSが6馬身差、と全て8ハロン・約1600mのG1競走に圧勝を続けました。そして、2012年8月に、ついに13戦目に10ハロン強のG1レース・インターナショナルステークスに臨んだのです。

 馬が大人になり、騎手の指示に従えるようになったら挑戦する予定であった10ハロンのレースでしたが、このレースでは大きく出遅れ後方からのレースという、フランケルにとっては珍しい展開となりました。しかし、地力の差は大きく、直線でほとんど追うことも無く7馬身差で圧勝し、頭書のチャンピオンSに駒を進めたのです。

 この10ハロンのG1チャンピオンSでもフランケルは出遅れました。何か、出遅れ癖が付いたかのようなスタートでしたが、じりじりと前方集団に追いつき、直線半ばで先頭に立つまでは持ったまま、残り1ハロン・約200mで追い始めました。そのギャロップは迫力満点でしたが、2着になったシリュスデゼーグルも離されず粘りましたので、1と3/4馬身差しか付きませんでした。
 このレースは、デビュー戦以来、生涯2回目のSoft(重馬場)の馬場状態でした。実は、2歳時デビュー戦も1/2馬身差の僅差で勝っています。デビュー戦の2着馬は、あのナサニエル(後のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSとエクリプスSの両G1レース勝ち馬)であり、引退レースの2着馬のシリュスデゼーグルもチャンピオンS・ドバイシーマクラシック・ガネー賞の3つのG1レースを始めとする重賞11勝の2011年年間最優秀古馬に輝いた強豪です。

 フランケルとナサニエルが出走している新馬戦というのも豪華絢爛ですが、2011年の年間最優秀馬のフランケルと年間最優秀古馬のシリュスデゼーグルが激突した引退レースというのも凄いものです。
 このシリュスデゼーグルは、重い欧州の馬場で力を発揮するタイプですので、Soft馬場のチャンピオンSでは存分に力を発揮したのでしょう。フランケルとの2馬身差以内の決着は、重馬場におけるシリュスデゼーグルの力量の高さを十分に示したものだと思います。

 フランケルは、現役世代の2000m以下では並ぶものが無い馬であることを示しましたが、当然にレーティング・ハンディキャップの比較により、歴史上の名馬達とも比較されました。
 ハンディキャップは、その付与する機関により微妙に異なりますので、様々な比較が行われていますが、3歳時のタイムフォース誌(最も歴史あるレーティング)のレーティングではシーバード145ポンド、ブリガティアジェラルド144ポンド、テューダーミンストレル144ポンドに次ぐ143ポンドでした。
 4歳になった2012年のクイーンアンS後のタイムフォース誌は、ついにシーバードを上回る147ポンドを付けましたし、ワールド・サラブレッドランキングは歴代一位のダンシングブレイブに次ぐ140ポンドでした。

 私は、フランケルの競走成績の中にダービーやキングジョージ6世&クイーンエリザベスS、凱旋門賞、といった所謂大レース、2400mのG1の勝ち鞍が無いことに一抹の寂しさを感じますが、一方で、その立ち姿・ギャロップの素晴らしさには感心させられます。サラブレッドに求められる美・品格・オーラという点からは、フランケルは歴史上のあらゆる名馬に対して遜色がない、あるいは上回っているように思います。
 この美しさは、伝えられなければなりません。

 フランケル号は、父ガリレオ(英・愛ダービー馬・2008年英愛リーディングサイヤー)←父の父サドラーズウェルズ(愛2000ギニー、愛チャンピオンズS、エクリプスSの勝ち馬、欧州各国で17回のリーディングサイヤー、ノーザンダンサーの代表産駒にして代表的後継馬)←父の父の父ノーザンダンサー(20世紀最高の種牡馬)、母カインド(準重賞2勝)←母の3代前の父ノーザンダンサー。フランケルは、ノーザンダンサーの18.75%という血統。
 母の父ディンヒルの競走成績が短距離中心であったために、フランケルは主にマイル路線で使われたように思いますが、ディンヒル(英愛リーディングサイヤー3回)の産駒はあらゆる距離で活躍していますので、フランケルがダービーやキングジョージに出走しても、十分に戦えたような気がします。

 加えて、フランケルの戦績を見ると、Good馬場(良馬場)で大きな差を付けて勝っています。いわゆる高速馬場に強かったといえますから、欧州以外の固い馬場にも適応できそうですので、今後の種牡馬としての全世界的な活躍が大いに期待できます。我が国にも、ノーザンダンサー→サドラーズウェルズ系の新しい血統として、是非入ってきてほしいと思います。

 イギリスのニューマーケット郊外の牧場で2013年から種牡馬生活に入るフランケルですが、初年度の種付権利が30口に限定されそうだという報道もあります。そうなると世界中の競馬関係者の間で争奪戦になりそうです。

 私としては成績もさることながら、あの美しい姿とギャロップを受け継いだ産駒が、沢山出てきてほしいと願うばかりです。
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