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HOME   »   NFL  »  [NFL-NFCチャンピオンシップ2015] 試合時間残り3分52秒間の攻防!
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 スーパーボウル2015を始めとして、NFL2014~2015シーズンのプレーオフにおいても極めて密度の高いゲームが相次ぎましたが、その中でも1月18日に行われたNFCチャンピオンシップゲーム、グリーンベイ・パッカーズとシアトル・シーホークスの戦いは、NFL史上に残る凄まじいものであったと感じます。

 本稿は、このゲームを採り上げることにします。特に、試合時間残り3分52秒からの目まぐるしい展開は、NFLにおけるプレーオフゲームの面白さ・怖さが満載でした。

 試合時間残り7分丁度の時点で、シーホークスがパントを蹴りパッカーズに攻撃権を渡すという状況に追い込まれた時、19-7でリードしているパッカーズの勝利の確率は、相当高くなったと思いました。
 2ポゼッション差(2つのタッチダウンTDが無ければ逆転できない点差)があるので、パッカーズはターンオーバーされ難いプレー=主にランプレーで時間を消化して行けば良いからです。

 ひとつのランプレーで最大40秒の時間を消化できますから、当然の様にパッカーズはランプレー主体の攻撃を見せました。
 とはいえ、もう一度1stダウンを許してしまっては、シーホークス勝利の可能性は殆ど無くなってしまいますので、シーホークスの守備陣が頑張りを見せて、「3アンドアウト」でパッカーズの攻撃を終わらせて、パッカーズのパントとなりました。
 この時、残り時間は5分22秒。パッカーズは、この3度の攻撃で1分32秒を消化したのです。

 残り時間5分13秒からシーホークスの攻撃でしたが、何とパスインターセプトを献上してしまいました。シーホークスのクオーターバックQBラッセル・ウィルソン選手からワイドレシーバーWRジャーメイン・カース選手へのパス攻撃でしたが、カース選手がこのパスを弾き、パッカーズのストロング・セイフティーSSホーガン・バーネット選手がこのボールをキャッチしてのインターセプトINTでした。

 QBラッセル・ウィルソン選手にとって、「このゲーム4つ目のINT」でした。1ゲーム4つも大変多いのですが、何しろ7-19で負けているチームが、試合時間残り5分で与えたINTでしたので、極めて痛いというか、致命的なターンオーバーに見えました。

 このINTがゲームの帰趨を決するものであろうという感覚は、パッカーズ側にも強く意識されていたものと見えて、INTしたSSバーネット選手は、自身の前方が大きく開けていて十分前進が出来る状況にもかかわらず、自らフィールドにしゃがみ込み、プレーを終わらせています。
 この上走って、シーホークスのプレーヤーとコンタクトし、万が一にも「ファンブル」などで、攻撃権を再びシーホークスに渡してしまってはならないという意識からのプレーでしょう。至極当然のプレーであり、シーホークスの息の根を止めるプレーであったと感じました。

 このINTプレーの後、パッカーズのベンチには笑顔が見えました。「これで勝った」と確信したプレーヤーが多かったのでしょう。パッカーズの守備の要であり、現在NFL屈指のラインバッカーLBでもあるクレイ・マシューズ選手にも笑顔が見られました。経験豊かなクレイ・マシューズ程のプレーヤーでも、「勝利→スーパーボール進出」を確信するプレーだったのです。

 残り時間5分04秒から始まったパッカーズの攻撃では、シーホークスの守備陣が良く頑張り、「3アンドアウト」に抑え込み、残り時間4分丁度でパッカーズのパントとなりました。この時の3度の攻撃でパッカーズが1分4秒しか消化できなかったのは、シーホークスがタイムアウトを2度使ったからです。

 シーホークスにとって時計を止める、殆ど唯一の手段であったタイムアウトを2度も(後半には3度の権利が与えられています)使ってしまいましたが、「とにかく時計を止めなくてならない=攻撃時間を残しておかなくてはならない」状況だったのです。

 さて、掲題の「試合時間残り3分52秒」の瞬間がやって来ました。ここからの凄まじい攻防は、番号を振って書いて行きます。

① シーホークス自陣31ヤードYからの攻撃です。ランニングバックRBマショーン・リンチ選手のランプレーで、1stダウンを獲得しました。1度の攻撃で1stダウンが取れたことは、とても大きいと感じました。

② 続いて、QBウィルソン選手からWRダグ・ボールドウィン選手へのパスが決まり、これも1度の攻撃で1stダウン。この時点で、残り時間は3分02秒、敵陣35ヤード地点、19-7でパッカーズリード。

③ ここでQBウィルソン選手は右ライン際のRBリンチ選手にパス。これを受けたリンチ選手はライン際を走り抜けてゴールエリアに入りました。TDの判定。

 しかし、オフィシャルレビューで判定が覆りました。リンチ選手の足がフィールド外に僅かに出ていたのです。敵陣9ヤード地点からの攻撃が残りました。残り時間は2分57秒。

④ 続くリンチ選手のランプレーで残り5ヤードに前進、続くQBウィルソン選手のランで残り1ヤードに前進、そして再びウィルソン選手のランプレーでタッチダウンTD。ポイントアフタータッチダウンのキックも決まって、シーホークスは14-19と追い上げました。残り時間2分09秒。

 シーホークスは1ポゼッション差に追い上げたとはいえ1分40秒位の時間を要しました。残り時間は2分09秒。まだまだ、パッカーズの勝利は濃厚であり、次のシーホークスのパントをキッチリと確保し、攻撃権を得れば、例えばランプレー4回で、2分を消化できる可能性がありますし、タイムアウトなどで試合を止めたとしても残り時間は相当に少なくなりますから、パッカーズの勝利は間違いないものと思われました。

⑤ シーホークス側からすると「オンサイドキック」により、パッカーズ側のファンブル他を誘い、自らのキックのボールを自らのものとして「攻撃権を獲得」するしか無い状況でした。
 このキックのボールを確保すればこの試合に勝てるパッカーズと、確保することで「逆転勝利への望みをつなぎたい」シーホークスにとっての、運命のキックでした。

 シーホークスのキッカーKスティーブン・ハシュカ選手が蹴ったボールは、パッカーズの最前列のプレーヤー辺りに落ちます。絶妙のオンサイドキック。
 これをパッカーズのタイトエンドTEブランドン・ボスティック選手がジャンプしながら捕球に行きました。191cmの長身を生かしたプレーでしたし、「絶対に捕って勝負を決める」という決意溢れるプレーだったのでしょう。

 ところが、ボールはボスティック選手の胸に当たり大きく弾かれました。そして、落下してきたボールを捕球したのは、シーホークスのWRクリス・マシューズ選手でした。

 「奇跡が起こった」のです。攻撃権はシーホークスが獲得しました。

 パッカーズのボスティック選手は、ジャンプすることなく、ボールの捕球を自身の後ろに居たWRジョーディ・ネルソン選手に任せて、自身はブロッカーに徹していれば、何の問題も無いプレーだったことでしょう。また、それが「チームにおいて決められていたプレー」であったと思います。

 しかし、ボスティック選手は「目の前に飛んできたボール」を捕りに行ってしまいました。「目の前に飛んできたNFCチャンピオンシップ=スーパーボール進出」を捕りに行ったと言っても良いでしょう。プレーヤーとして、その気持ちは無理も無い所であったのでしょうが、大きな後悔が残るプレーとなりました。

 このゲームを象徴するプレーを選ぶとしたら、このプレーでしょう。

⑥ 「九死に一生を得た」とはいえ、残り試合時間は2分と少々。シーホークスがTDを上げるのは容易なことではないと思いましたが、ここでついに「QBラッセル・ウィルソンのランプレー」が炸裂して、一気に前進。

⑦ 残り試合時間1分33秒・敵陣24ヤード地点からRBマショーン・リンチのランプレーでTD!ついに、逆転!20-19とシーホークスが、この試合初めてリードを奪いました。

   
⑧ 1点差も2点差も、フィールドゴールFGで逆転されてしまうところは一緒ということで、シーホークスは「2点コンバージョン」に挑戦しました。QBウィルソン選手が中々ターゲットを見つけられず、ポケットから追い出されて、相手守備陣から逃げ回っている様子。そして、ふわりとした山なりのパスを投げました。
  「投げ捨て」かと見えましたが、これがゴールライン上に居た味方選手に収まり、ゴールエリアに走り込んで成功。信じられないようなプレーでした。
  これでシーホークスは22-19と3点のリード。残り時間は1分25秒。

⑨ ゲームの流れは完全にシーホークスに傾き、シーホークスのホームセンチュリーリンク・フィールドは勝利を確信したサポーター達の大歓声が鳴り響きます。
 しかし、ここからがパッカーズQBアーロン・ロジャース選手の真骨頂でした。そして、ロジャース選手らの攻撃陣がフィールドに出て行くのと同時に、パッカーズのキッカーKメイソン・クロスビー選手がキックの練習に入るシーンが、テレビ画面に大きく映し出されました。

⑩ QBロジャース選手は、パス・パス・自身のランとプレーを続けて1stダウンを獲得。残り時間35秒で、敵陣36ヤードまで前進します。

⑪ 試合時間残り19秒で、敵陣32ヤードまで前進して、再度前進を試みますがここまで。

⑫ 残り14秒でKクロスビー選手が登場しました。48ヤードのフィールドゴール・アテンプト。「外せば負け」「敵地の大歓声」という状況下、これをキッチリと決めて22-22の同点!
 さすがのクロスビー選手でした。プロ中のプロと言うのは、凄いものです。

⑬ 試合残り時間11秒からシーホークスの攻撃となりましたが、さすがにここで無理なパスを投げて、INTといったターンオーバーを食らうのは不得策と考えたのか、QBウィルソン選手はニーダウンして、試合はオーバータイムOT(延長戦)に入りました。

 この後ゲームは、OTのコイントスで勝ったシーホークスがレシーブを取り、その攻撃で見事にTDを決めて、28-22で勝利しました。
 最後に物を言ったのは「コイントスの運不運」であったのかもしれません。

 凄まじい「3分52秒間」でした。

 ゲームの前半を終えて0-16という圧倒的不利に置かれたシーホークスが、残り時間3分52秒になっても7-19という、2ポゼッション差という絶体絶命に追い込まれていたにもかかわらず、何と1分25秒「も」残して、22-19と逆転したのです。「2分半で2TD・15得点」を挙げたシーホークスの攻撃力・爆発力は「奇跡的」なものでした。

 特に、上記⑤の「オンサイドキックからの攻撃権獲得」は、NFL史上に残るプレーであったと思います。

 しかし、アウェイのスタジアムで、「よもやの逆転」を見せられてしまったパッカーズの攻撃陣、とりわけQBアーロン・ロジャース選手がキッチリと「同点FG」を奪ったことも、特筆されるべきことでしょう。
 この精神面の強さと正確なプレー、そして足を引き摺りながらも「自ら走って1stダウンを奪う」という気迫!さすがに、NFL屈指のQBと呼ばれるだけはあります。

 まさに、「勝敗は時の運」を地で行くゲームであり、本当に興奮させられるゲームでした。
 最高のエンターティンメントのひとつでしょう。NFLの人気が高い理由が良く分かります。
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