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HOME   »   スキー  »  [世界アルペン2015・男子大回転] アメリカの意地 テッド・リゲティ選手優勝!
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 アメリカ合衆国のコロラド州ビーバークリークで開催されている、2015年アルペン世界選手権大会ですが、地元アメリカチームの不振が目立っていました。

 女子のリンゼイ・ボン選手はスーパー大回転で3位に入っていましたが、高速系種目「スーパー大回転」「滑降」と「アルペン複合」および「国別団体」という4種目を終えても、男女を通して金メダルを獲得できていなかったのです。

 世界一のスポーツ大国であるアメリカ合衆国が、自国で開催する世界大会で「優勝種目」が無いというのは、珍しいことでしょう。たとえ世代交代の狭間で有力選手が居ない場合でも、「新星」が登場して苦境を救うことも多かったのです。
 アメリカとは、そういう国なのでしょう。

 そのアメリカチームが、今大会では相当に追い込まれたという印象でした。
 そして2月13日の男子大回転を迎えました。

 この種目にはアルペン王国オーストリアの大エース、マルセル・ヒルシャー選手が居ます。ワールドカップ3連覇中のヒルシャー選手は、今大会も既にアルペン複合で金メダルを獲得していて、好調な状態であることが証明されていますから、大袈裟な言い方をすれば大回転は「ヒルシャー対他の全選手」という構図ということになると考えていました。

 1回目。
 ヒルシャー選手は「リスクを回避する滑り」を見せました。1回目で後塵を拝しても、2回目で十分逆転できるとの戦略だったのでしょう。「絶対に2回目に進める滑り」を指向し、転倒・コースアウトを回避する安全なスラロームを展開したのです。

 ところが、その「抑えた滑り」でもヒルシャー選手はトップに立ちました。2番目の選手との差は0.18秒と小さなものでしたが、他の選手との「圧倒的な実力の差」を感じさせる結果でした。
 このまま2回目も、攻撃的な滑りを見せるまでも無くヒルシャー選手が優勝する可能性が高いと思いました。

 ところが、1回目でヒルシャー選手に0.24秒差の5番目に付けていた、アメリカのテッド・リゲティ選手が2回目に驚異的な滑りを展開したのです。
 2013年シュラートミングの世界選手権において3種目で金メダルに輝いたリゲティ選手ですから、世界トップクラスのスキーヤーであることは間違いないのですが、それにしても凄まじい滑りでした。

 特にゴール手前200mの緩斜面でのスピードは圧倒的でした。

 リゲティ選手が滑り終えた時点で2番目の選手に「1.28秒という大差」を付けました。
 この大差は、続く選手達に大きなプレッシャーを与えたと思います。それは、絶対王者ヒルシャー選手にとっても同じだったことでしょう。

 ヒルシャー選手にとっては「無理をしなくとも(彼にとって)普通に滑れば勝てる」筈だったレースが、「攻め捲らなければ勝てない」レースに変わったのです。

 そして、ヒルシャー選手もさすがの滑りを展開しました。追い込まれても慌てる素振りも無く見事なプレーを魅せるというのは、超一流プレーヤーの特徴・特権です。

 残り200mまで、リゲティ選手とヒルシャー背選手のタイムはほぼ互角でした。そして、この200mのスピードでリゲティ選手が勝り、0.45秒差で優勝しました。

 今大会は「暖かい気候」が続いていますが、この日もゴール周辺は8℃という、標高3000m前後にセットされたコースとは思えない程の暖かさでした。加えて、ゴール周辺には1回目の競技開始の時から燦々と陽光が降り注いでいました。観客席には半袖姿のファンも目立ったのです。ゴール手前はコース前半のアイスバーンとは異なる、おそらく相当柔らかい雪質だったのではないでしょうか。こうした雪質のコースを速く滑るというのは、とても難しいことです。

 しかし、リゲティ選手とアメリカチームにとっては慣れたコースであり、リゲティ選手は「ビーバークリーク・スキー場で滅法強いスキーヤー」なのです。その相性の良さも存分に発揮した滑りだったのでしょう。

 滑り終えた後、2位に終ったヒルシャー選手はあまり悔しがる素振りを見せませんでした。「あの滑りを見せられては止むを得ない」という心境だったのではないでしょうか。「ヒルシャー選手が負けた」のではなく、「リゲティ選手が勝った」レースであったと思います

 これでテッド・リゲティ選手は「アルペン世界選手権大会・大回転種目3連覇」という偉業を成し遂げました。
 そして何より、自国開催世界大会・優勝0というアメリカチームのピンチを救ったのです。

 スポーツ大国アメリカの底力を感じます。

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テッド・リゲティ選手・大回転で世界選手権3連覇  
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