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HOME   »   スキー  »  [世界アルペン2015・女子回転] ノーミスのスラローム シフリン選手
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 2015年アルペン世界選手権の女子最終種目「回転」が2月14日に行われ、アメリカのミカエラ・シフリン選手が優勝しました。

 シフリン選手の1回目・2回目の滑りは共に「完璧」でした。
 アルペンスキー競技における世界一を争う大会でノーミスの滑りというのは、滅多に観られないものです。

 「ギリギリのスピード」を追及する競技なのですから、優勝選手であっても必ずエッジング(タイミング・方向・強さ)やコース取りのミス等々が1回や2回は観られるものなのです。ところが、この日のシフリン選手の滑りには、殆ど無いというか皆無であったように感じました。

 もともと「雪煙が少ない滑り」には定評があるところでしたが、この日は他を圧して少なかったように思います

 スキーは、雪面をスキー板の滑走面で押すことで雪が解け、水の幕がスキー板と雪面の間にできて摩擦が小さくなり、斜面を下りながら引力で加速して行くスポーツですから、

① できるだけスキー板と雪面の接地面積が大きい方が速く滑ることが出来る
② スキー板をできるだけ大きな力で雪面を押し続ける方が速く滑ることが出来る

 競技なのです。(当たり前のことを書き恐縮です)

 従って、滑走に当たっては、なるべくジャンプを短くする、エッジングを出来るだけ小さく短くする、スキー板をバタつかせない、といった点に留意する必要があります。

 特にエッジングは、旗門の都度行う動きですので、その1度当たりの差は小さくとも、コース全体では大きな差となって表れるのです。

 エッジングはスキー板のエッジを雪面に立ててスキーの方向を変える運動ですから、「エッジの角度を立てる程、雪面との接地面積は小さくなり」前述の①に悪影響を与えます。
 なるべく「エッジを立てること無く」エッジングを行う方が、①を実現できることになります。

 また、「エッジングに要する時間が短ければ短い程、スキー板と雪面を水平にして滑る時間が増えます」から、①を実現できます。従って、エッジングは、なるべくエッジを立てることなく、短く行うことで、早く滑れる可能性が高くなることになるのです。

 「スキーのエッジを立てることなく、短く」エッジングを行えば、「雪煙が少なくなる」のは理の当然です。

 ちなみに②を実現するには、選手が自らの重心をスキー板の真上に置く努力が重要なのでしょう。足首の角度や腰の位置・上体の移動方法など多くの要素が関係して来ます。

 何か、今回の記事はファンの方なら良くご存じのことを長々と書いてしまい、申し訳なく思いますが、今大会「他の選手に比べて明らかに雪煙が少ない滑り」を魅せているのは、男子のヒルシャー選手(オーストリア)と女子のシフリン選手(アメリカ)の2人のスキーヤーでしょう。

 これが世界トップクラスのプレーヤーが勢揃いした大会における現象であること、平均斜度が25度前後という急斜面に「世界最難度のポール配置」が施されたコースにおいて観られる現象であること、を考え合わせれば、いかに驚異的なこととであるかが分かるでしょう。

 最高斜度が30度を優に超えるコースを世界最高水準のスピードで滑る時に、エッジをなるべく立てず、短い時間で方向変更を、ミスを最小限に抑えて、連続して行うことが出来る、ヒルシャー選手とシフリン選手というのは超人的なアスリートなのです。

 世界中のスキーチームが2人の滑り・細部の動きを研究し尽くしているにも係らず、同様の滑りを自国のスキーヤーに展開させることが出来ないというのも、現代のような高度情報化社会においては不思議なこととさえ言えそうです。

 さて、本稿の主役・シフリン選手に話を戻します。

 自国開催の世界選手権大会において、実力通りに金メダルを獲得するというのは、体力・技術面の優位はもちろんとして、精神面の強さをも存分に発揮したということになります。

 これも凄いことです。

 「絶対的優勝候補」とされながらプレッシャーに押し潰されてしまうプレーヤーは、残念ながら時折登場します。
 しかし、若干19歳のシフリン選手には「強靭な精神力」も備わっているのです。

 これで、2013年のシュラートミング世界選手権、2014年のソチ・オリンピック、2015年の今大会と、世界一を決める大会の回転種目で「3大会連続優勝」を遂げました。
 17歳で世界選手権を制し、18歳でオリンピックチャンピオンとなり、19歳で世界選手権連覇を成し遂げたのです。

 ミカエラ・シフリンというスキーヤーの「アルペンスキー技術系種目における桁外れの才能の大きさ」を明示する事実であり、本ブログの記事にも書いた通り「世界一の大会に勝つことと経験値の大きさは無関係」であることを如実に示すプレーヤーのひとりでもあります。

 ゴール直後、優勝を決めたシフリン選手が「全身で喜びを表現すること」はありませんでした。「勝って当然」と考えていたというよりは、「勝ててホッとした」様子に観えました。

 19歳にして、スポーツ大国アメリカの期待(今大会女子種目4種目を終えて「金メダル0」)を一身に背負うこととなったスキーヤーが、その期待に応えたのです。

 年齢から見ても、シフリン選手のキャリアはまだ序盤です。これからも長きに渡って女子アルペンスキー技術系種目のアメリカチームのエースとして、そして世界のトップスラローマ―としての道が続いて行くことでしょう。
 早々に世界のトップに躍り出たプレーヤーは、次に「継続力」が試されるのです。
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「回転」で完璧な滑りを見せたシフリン選手  
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