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HOME   »   スケート  »  [フィギュア] NHK杯 浅田真央選手と鈴木明子選手の演技
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 今年のフィギュアスケートNHK杯は、11月23日~25日の3日間にわたって、宮城セキスイハイム スーパーアリーナで開催されました。この大会は、国際スケート連盟のグランプリシリーズにも組み込まれていますから、その成績がグランプリファイナル(今年は12月6日~9日、ロシアのソチで開催)への出場権に影響するものでした。

 日本人選手の結果は、男子シングルでは羽生結弦選手が優勝、高橋大輔選手が2位になり、グランプリシリーズの他の大会の成績と合わせて、二人ともグランプリファイナルへの進出を決めました。
 女子シングルでは浅田真央選手が優勝、鈴木明子選手が2位になり、男子と同様に二人ともグランプリファイナルへの進出を決めました。
 この4名のスケーターの演技は、我が国のフィギュアスケートファンの期待に応えたもので、こうしたプレッシャーのかかる大会でしっかりとした結果を出したことは、素晴らしいことだと思います。
 先に出場を決めていた、男子の小塚崇彦選手と町田樹選手を含めた6人の選手のグランプリファイナルでの活躍が楽しみです。

 NHK杯2012で一点だけ気になったことがありました。女子シングルのフリー演技の採点です。そのテレビ放送をご覧になった皆さんの中にも、違和感を覚えた方がおられたのではないでしょうか。

 女子シングル・フリー演技の最終組、まず鈴木明子選手の演技が始まりました。最初のジャンプ成功で波に乗り、スピード十分な演技が続きました。予定されていた種目も概ね取組み、ジャンプでバランスを崩したシーンがひとつだけありましたが、目立ったミスもなく、演技全体の流れも良く、表現力も十分に発揮されていました。鈴木選手としても満足できる出来栄えであったと思います。
 やはり126.62と高得点が出ました。キスアンドクライの鈴木選手も笑顔です。

 全ての出場者の最後に、ショートプログラムでトップの成績を残している浅田真央選手が登場しました。登場するだけで華やかな雰囲気を漂わせるスケーターですので、場内の歓声も大変大きくなりました。白鳥の湖の曲に乗った演技が始まりました。最初のトリプルジャンプがダブルに変更されて、おやっと思わせました。その後の演技でも、トリプルジャンプが、ダブルやシングルに変更される演技が続きましたが、ストレートラインステップやスパイラル、スピンといった演目をキッチリと熟し、表現力も豊かでしたので、観客の歓声も盛り上がりました。そして、演技を終えましたが、ジャンプの失敗を気にしてか、浅田選手の表情は曇ったままでした。
 キスアンドクライでも暗い表情が続き、得点117.32がコールされ、合計点で0.05点鈴木選手を凌いで優勝が決まった後も、浅田選手の表情は晴れませんでした。

 テレビのインタビューの際にも「全然ダメでした」を繰り返していましたから、とても優勝者の雰囲気ではありません。浅田真央選手にとって、とても不満が残る演技であったことが、良く解りました。

 確かに、ショートプログラムが終わった段階で、浅田選手の得点は67.95、鈴木選手は58.60と、9.35の大きな差がついていました。
 一方で、フリープログラムの演技内容にも、逆の大きな差があったとように観えましたので、配点が大きい分、鈴木選手が逆転でNHK杯を制したように思われましたが、結果は前述の通りでした。

 現在のフィギュアスケート競技の採点法は、2003年から導入されているISUジャッジングシステム(=コード・オブ・ポイントCOP)です。私はCOPについて詳しいわけではありませんが、報道されている情報から少し検討してみたいと思います。

 浅田選手の今回のフリー演技では、当初予定していたジャンプシークエンスの内、4つの3回転ジャンプが2回転あるいは1回転になりました。

 COPの3回転ジャンプと2回転ジャンプの基礎点は以下の通りです。

・3回転ルッツ 6.0
・3回転フリップ 5.3
・3回転ループ 5.1
・3回転サルコウ 4.2
・3回転トウループ 4.1  3回転ジャンプの平均4.94①

・2回転ルッツ 2.1
・2回転フリップ 1.8
・2回転ループ 1.8
・2回転サルコウ 1.3
・2回転トウループ 1.3  2回転ジャンプの平均1.66②

 回転不足による減点や、出来栄え点の加除などがありますので、一概には言えないと思いますが、①と②には3.28の差がありますので、これが4回あったとすれば、3.28×4=13.12③の差があったと見ることもできると思います。

 浅田選手と鈴木選手のショートプログラムの差が9.35でしたので、③で逆転が可能ということになります。
 もちろん、実際の採点においてはステップ・スピンといったジャンプ以外の演目の技術面や演技構成点(浅田選手64.54、鈴木選手62.11で浅田選手が2.43上回りました)がありますので、こうした部分の配点・採点の結果として浅田選手が0.05という僅かな差で逃げ切ったのでしょう。当然ながら、公正な採点の結果であったと思います。

 新しい採点法としてのCOPは、以前の「6.0システム」において、技術点と芸術点により構成されていることもあって、どうしても恣意的な要素が入りうることを見直して、可能な限り公平・公正な採点を行いたいという、フィギュアスケート界全体の意向が反映されているものだと思います。

 他の「採点型競技」でも同様ですが、プレーヤー・観客の双方にとって解り易く、違和感のない採点方法の検討・導入・確立は、競技の人気、大袈裟に言えば存亡に関係する重要ポイントです。

 浅田選手の今回のフリー演技において、3回転ジャンプ演目の過半でミスをして、観客から見ると「ジャンプの出来がとても良くない」と感じる演技内容でありながら、僅少差で逃げ切る結果に結び付いたことは、採点方法としてのCOPのブラッシュアップを進めていく際に、十分考慮すべき点でしょう。
 結局は、以前の芸術点のように恣意性が大きく入りうる採点方法ではないかと、選手や観客に感じられるようなことがあれば、フィギュアスケート競技の発展にとって大きなマイナスになると危惧されるからです。

 色々と書きましたが、グランプリシリーズの結果は出ました。浅田選手、鈴木選手のグランプリファイナル大会での大活躍が楽しみです。
 2年後のソチオリンピックの準備という点でも、大切な大会になると思います。

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