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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム25] ジャパンカップ・ダートのこれから
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 世界の競馬は、芝馬場主体のヨーロッパ競馬とダート馬場主体のアメリカ競馬に大別されますが、我が国の競馬は、その両方を取り入れています。両方といっても、中央競馬は芝馬場のレース主体、地方競馬はダート馬場のレース主体(というか、ほとんどダートのみ)という違いがあります。

 中央競馬におけるダートレースは、新馬戦とか条件戦に多く、いわゆる重賞レース、特に格・賞金が高いG1レースは、1996年までありませんでした。表立っては言われませんでしたが、中央競馬においては、ダートレースは芝のレースに比べて格下のレースという位置付けであったと思います。

 一方で、アメリカ競馬におけるケンタッキー・ダービーやプリークネス・ステークス、ベルモント・ステークスの三冠レースを始めとして、大レースの多くがダートレースでしたし、ブリーダーズカップのように、近年創設された大レースもダートレース主体でした。
 また、我が国においても地方競馬の大レースは、ダートレースでしたので、中央競馬にもダート馬場の格上のレースの創設が期待されました。こうした期待の中で、1997年にフェブラリーステークスがG1に昇格し、2000年にジャパンカップ・ダートが創設された経緯にあると思います。

 こうして創設されたジャパンカップ・ダート競走(以下、JCD)は、当初東京競馬場の2100mのダートコースで行われました。アメリカのダートの大レースが、2000mで行われていることに習った距離設定だったと思います。また、芝のジャパンカップ(以下、JC)と同じ週に開催される、ジャパンカップシリーズとでも呼びたい2つの大レースという位置付けでした。
 まず、土曜日にダートレースのジャパンカップが行われ、日曜日に芝のジャパンカップが行われるという形でした。

 これが、2008年からは、JCDはJCの翌週の日曜日に、阪神競馬場で開催されるように変更され、距離も1800mに短縮されました。ドバイワールドカップやブリーダーズカップのように、同じ日にいくつかのG1レースが行われるような形になって行くのかと思っていたジャパンカップ関連レースですが、逆に別週のレースになってしまいました。

 JCDは、2000年開始のレースですから、まだ12回を数えるのみと歴史が浅いのですが、創設当初から疑問に思っていたことがあります。それは、海外馬の出走頭数が少ないことです。
 JCDは、JCと同じく、外国から出走する場合には、競走馬の輸送費、日本における厩舎や飼料の費用、馬主や調教師・騎手およびその奥様の交通費・宿泊費、厩務員・助手の交通費・宿泊費、は全て日本中央競馬会が負担する国際招待競走です。特にJCDには、ダートレース主体のアメリカからの出走馬がもっと多くても良いのにと思っていました。

 ダート馬場の性質が、アメリカと日本では異なることを知ったのは、だいぶ後のことでした。

 アメリカのダート馬場は、「土」主体の文字通りのダート(=土)馬場です。煉瓦を砕いたような赤い土が主体のコースです。一方、我が国のダート馬場は、「砂」主体のグレー色のコースです。我が国も競馬創成時期には、アメリカ式のダートコースを導入したようなのですが、大量の雨が降るとどろどろの馬場になってしまい、レースに使えません。従って、水捌けの良い「砂」を土に混ぜた形の、現在のダートコースになっていったのです。

 雨が少ないアメリカの赤土のコースは固く締まっていますので、ダートレースといっても芝コースのレースと同水準のタイムが出ます。高速ダート馬場といっても良いコースです。一方、日本のダートコースは、砂が多いので柔らかく、馬の脚が深く潜ってしまいますから、タイムが遅くなってしまいますし、アメリカのダート馬場に比べて、より力の要る馬場となっています。

 ジャパンカップを目指すアメリカ馬は、最初の段階でこの事実に気が付きましたので、JCDへの出走頭数は少なくなってしまったのでしょう。優勝馬も2003年・第4回のフリートストリートダンサーの一頭です。
 アメリカの一流馬は、どちらかというと芝のJCの方が出走馬も多く、第一回・第二回・第八回・第十一回のJCの優勝馬はアメリカ馬です。普段は、アメリカのダートレースで走っていても、芝のJCでも十分に勝負になる速い脚を保持しているということになります。

 ヨーロッパ馬でJCDに出走する馬は少ないので、こうした事情から、JCDには外国馬の出走が少ないということになります。
 2010年、2011年と外国馬の出走はありませんでした。残念ながら、中央競馬と地方競馬の交流競走のようになっているのです。

 日本競馬の国際化を目指して創設されたジャパンカップですので、JCDにも外国一流ダート馬の出走が期待されますが、多雨という日本独特の事情から独自に発達してきた我が国独自のダートコースは、それ自体が国際的な基準には合致しないものということになります。

 この問題点に対する対応は、容易なことではありません。

 我が国の競馬場のダートコースをアメリカ式の赤土型に変更するのは、頭書の通り多雨という理由から無理ですし、最近アメリカで導入が進んでいるオールウェザー型コースを導入するにしても、地方競馬も含めて導入するには費用が掛かります。そもそも様々な種類があるオールウェザー型馬場のどれを導入したらよいかも、難しいところです。

 1着賞金1億3000万円という、天皇賞(1億3200万円)にも匹敵するG1レースとしてのジャパンカップ・ダート競走ですが、このまま外国馬の出走が殆ど無い状態が続くようなら、レースそのものの存続が議論される状態になってしまうかもしれません。

 私としては、芝馬場で走っているヴィクトワールピサが勝利し、JCDの勝ち馬トランセンドが2着になったドバイワールドカップのオールウェザーコースを参考にして、芝コースよりは力の要る日本独自のオールウェザーコースを中央競馬の一か所の競馬場に導入し、芝・ダートのどちらが得意な馬でも出走可能な「ジャパンカップ・オールウェザー」というレースに改編するのも、現実的で将来性も有る、ひとつの方法だと考えています。
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