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HOME   »   テニス  »  [全仏オープン・テニス] ルネ・ラコステとアンリ・コシュ
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 テニスの4大トーナメントのひとつ、全仏オープン大会がフランス人選手だけでは無く、国外の選手の参加をも認めるようになったのは、1925年の大会からです。
 別の言い方をすれば、全仏オープン・テニスは1925年から「4大大会」にデビューしたということになります。

 この国際化された全仏オープンの男子シングルスにおいて、最初の6年間「フランス人の優勝を確保」したのが、ルネ・ラコステ選手とアンリ・コシュ選手でした。当時のフランスを代表する二人のプレーヤーは、国際化された自国最高の大会のタイトルを守り続けたのです。

 1925年から1930年までの全仏オープン男子シングルスの優勝者を列挙します。

① 1925年 ルネ・ラコステ
② 1926年 アンリ・コシュ
③ 1927年 ルネ・ラコステ
④ 1928年 アンリ・コシュ
⑤ 1929年 ルネ・ラコステ
⑥ 1931年 アンリ・コシュ

 二人のスーパースターは、見事に「1年交替」で優勝を重ねています。不思議なほどに規則的です。

 では、この間の各大会の決勝戦は、いつもこの二人の対戦だったのかというと、そうではなくて、1926年と1928年はコシュ選手がラコステ選手を破って優勝していますが、残りの4度の大会は、決勝戦の相手が異なるのです。例えば1927年と1930年は、アメリカのエース、あのビル・チルデン選手が決勝に進出しているのですが、ラコステ選手とコシュ選手はこれを退けています。

 必ずしも、いつも同じカードの決勝戦では無かったにもかかわらず、綺麗に「1年交替」の優勝を積み重ねているのですから、ますます不思議な感じがします。

 ちなみに、1931年には同じフランスのジャン・ボロトラ選手が初優勝を飾り、1932年にはコシュ選手が4度目の優勝に輝いて、1933年の大会でオーストラリアのジャック・クロフォード選手がコシュ選手を決勝で破り、「全仏オープンのタイトルはフランス人だけのもの」という伝統がついに破られました。

 そして、1933年~39年の間、フランス人プレーヤーは全仏オープンで優勝することは出来ませんでした。1940年~45年の間は、第二次世界大戦の影響で全仏オープンは開催されませんでしたから、次にフランス人プレーヤーがこのタイトルを取るのは、戦後1946年のマルセル・ベルナール選手を待たなくてはなりません。

 さらに、1946年のベルナール選手の優勝以降、フランス人プレーヤーが全仏オープンに優勝したのは、37年後の1983年ヤニック・ノア選手まで下らなければなりませんし、ノア選手以降「全仏オープンで優勝したフランス人プレーヤーは出現していない」のです。

 「スポーツの国際化・メジャー化というのはこういうこと」だということを示す例にも感じられる事実です。
 少し話は違いますが、「大相撲で日本出身力士がなかなか優勝できなくなったこと」は、「大相撲の国際化」を示している現象なのかもしれません。

 何しろ、全仏オープン・テニスでは、「1946年以降2014年まで69回の大会でフランス人プレーヤーが優勝したのは2回だけ」ですし、「フランス人プレーヤーが最後に優勝した1983年から31年間、フランス人の優勝者は出ていない」のですから。

 話が逸れてしまいました。ラコステ選手とコシュ選手に話を戻します。

 4大大会で唯一のクレーコートの大会である全仏オープンにおいて、ラコステ選手は3回、コシュ選手は4回の優勝を誇っていますから、この二人は「クレーコートのスペシャリスト」かと思いがちですが、そんなことは全くありませんでした。

 ルネ・ラコステ選手は、全英オープン(ウィンブルドン)の男子シングルスで2回優勝(1925年・28年)、全米オープンでも2回優勝(1926年・27年)していますから、4大大会シングルスで優勝7回を誇るスーパースターでした。

 一方のアンリ・コシュ選手も、ウィンブルドンで2回優勝(1927年・29年)、全米オープンでも1回(1928年)に優勝していますから、4大大会シングルスで優勝7回を誇るスーパースターだったのです。(コシュ選手の1922年の全仏優勝は国際化以前の記録ですので、ここでは含めません)

 ラコステ選手もコシュ選手も、クレーコートの全仏のみならず、芝のウィンブルドンでも優勝を重ねていますから、サーフェイスには拘らないオールラウンドなプレーヤーであったことは間違いありませんし、何より1925年~29年の5度のウィンブルドン大会において、二人で4度優勝に輝いているのですから、1925年~30年頃の世界テニス界は、ラコステ選手とコシュ選手を中心に回っていたということなのでしょう。

 この頃の全仏オープン大会は、日本人プレーヤーとの関係も深いものでした。

 1931年大会では、佐藤次郎選手が初めて準決勝に進出していますし、1933年にも佐藤次郎選手は準々決勝であのフレッド・ペリー選手(イングランド、2年後の1935年にテニス史上初めてグランドスラム=4大大会全て優勝、を達成した伝説的名選手)を破って、再びベスト4に進出しているのです。

 この「日本人選手による4大大会男子シングルス・ベスト4進出」という記録が塗り替えられるのは、2014年の錦織圭選手による全米オープン決勝進出まで待たなければなりませんでした。
 「戦前の日本テニスの世界トップクラスの強さ」を示す事実でしょう。

 また、日本人プレーヤーとして唯一の4大大会男子ダブルス優勝(全米オープン)に輝く加茂公成(かも こうせい)選手の名前「公成」が、「コシュ」選手の名前から取られたことも広く知られています。

 さて、「ラコステ」と聞いてポロシャツを思い出す方も多いことでしょう。

 ルネ・ラコステ選手は、25歳の時に全仏オープン3回目の優勝を達成した後、結核の為突然現役を引退してしまったのですが、その4年後に「ポロシャツのデザイン」を始めました。
 機能性をも重視した「ラコステのポロシャツ」は見事にヒットし、テニスのみならずゴルフやセーリングのウェアとしても、世界的なブランドとなっています。

 ルネ・ラコステとアンリ・コシュ、フランステニス界の全盛期を支え、世界のテニス界をリードした素晴らしいスーパースターであり、最強のライバル同士です。
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