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HOME   »   ボクシング・レスリング  »  [プロボクシング] 良い試合を魅せてくれた亀田興毅選手
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 2012年12月4日、大阪府立体育館で行われたWBA世界バンタム級タイトルマッチ、亀田興毅VSウーゴ・ルイス(メキシコ)の試合は、亀田が2-1の判定でルイスを下し、5度目の防衛に成功しました。

 正直に言って、私は亀田家のボクシングがあまり好きではありませんでした。仰々しい登場の仕方や、弱い相手ばかりを選んでいるように見えるマッチメイクなど、「本気」が売りのボクシングという競技において、こうしたやり方はいかがなものかな、と考えていました。

 その亀田三兄弟の長兄にしてリーダーでもある亀田興毅選手が、本年4月以来8か月ぶりにリングに戻ってきて、同級暫定王者にして、1位にランクされる最強の挑戦者ウーゴ・ルイスとの試合が組まれたので、久しぶりに観てみました。

 試合前、控室の亀田の様子は、派手なパフォーマンスも無く、表情も大事な一戦に向かうボクサーそのものでしたから、亀田興毅選手もだいぶボクサーに成って来たな、という感じを受けました。(偉そうな物言いで恐縮です)

 リングに上がってからも、この印象は変わらず、国歌君が代を歌っている様子などは、心を打たれる物がありました。

 さて、試合が始まりました。挑戦者のルイスは強打が売り物ですから、亀田はアウトボクシングでスタートしました。ガードも高く、キチンと固めています。ルイスは、ガードの上から強打を振るいます。確かに、パンチ力はありそうですが、亀田のガードを弾き飛ばすほどのものではありません。亀田は冷静に試合を進めています。試合の雰囲気も、世界タイトルマッチに相応しいもので、良い試合になっていると感じました。

 前半は、亀田選手のパンチもあまり当たりませんでしたので、手数を出している分ルイス選手の方が、判定では有利かなと思いましたが、いずれにしても両選手とも有効打に乏しい試合となりました。5回までは、ほぼ互角の内容で、判定で優劣をつけるとすれば、パンチを出している分の攻勢点から、ルイスがリードしているように観えました。

 6回から、亀田の右フックが当たり始めました。常にルイスの周りを動きながら、少しずつ後退するボクシングを展開していた亀田が、少し踏みとどまって、時には前進する姿勢も見せ始めたのです。
 とはいえ、亀田のアウトボクシング方針は不変でしたので、足を止めての打ち合いにはなりませんでした。

 6回以降、亀田が反撃に出て、ルイスからは鼻血も出続けましたから、判定の面でも亀田が持ち直し、9回を終わった段階では互角の勝負という印象でした。両選手の疲労度合いは、やや亀田が有利に観えます。ルイス選手には、少し疲労の色が伺えました。

 10回から、亀田選手が攻勢に出ました。疲労からか動きが悪くなったルイス選手の左側に接近し、左フック・左アッパーを浴びせるという作戦です。これはとても有効で、ルイスの顔面に亀田のパンチが連続してクリーンヒットするようになりました。ダメージも、見た目以上に大きかったと思います。
 11回、12回と、亀田の左フック・左アッパーの攻撃は続き、有効打が数多く生まれました。12ラウンドの中盤から、亀田選手はラッシュに出ましたが、逆にパンチは当たらなくなり、そのまま試合は終了しました。
 少なくとも、亀田選手に負けは無いと思って見ていましたが、2-1の判定で亀田選手が勝ちました。

 全体として良い試合でした。スピード・パワーともに世界戦のレベルでした。亀田興毅選手も、冷静な試合運びを見せ、チャンピオンらしい動きでした。一方のルイス選手も冷静な試合振りでした。慌てたり、焦ったりしておかしなプレーを展開するボクサーも珍しくありませんが、この試合は両者とも、世界戦を戦うレベルにあったということでしょうか。亀田選手、ルイス選手、良い試合を魅せていただき、ありがとうございました。

 プロボクシングは、他の格闘技系プロスポーツに比べて、ガチンコ度というか本気度が高いスポーツと言われていますし、私もそのように認識しています。
 そもそも、ボクサーの磨きあけられた肉体が凄い。極限まで贅肉を削ぎ落とし、戦う肉体を造り上げるスポーツとして、素晴らしいものがあります。そのトレーニング方法は一般の人にも有効で、俳優の片岡鶴太郎氏もボクシングのトレーニングにより、とても引き締まった肉体を手に入れています。

 加えて、試合前の減量の凄いこと。スタミナ蓄積が大切な時期にも拘わらず、試合前には食事はおろか水さえ制限するというのですから、矛盾を通り越して、異常?なスポーツでさえあります。

 こうした、ストイックなスポーツの試合ですから、試合の様相もストイックであることが相応しいと考えていたところに、亀田家のパフォーマンスでした。私が、亀田家のボクシングに馴染めなかった理由も、ここにあります。
 しかし、この試合はその認識を変えさせました。亀田興毅のボクシングは、着々と進歩しているように観えます。これからも、良い試合を見せていただければと思います。

 ボクシングに限らず、全てのスポーツに共通しているのでしょうが、プレーヤーは試合・ゲームにおいて輝きます。あの試合・ゲーム・レースという形で、そのプレーヤーを憶えているのです。

 プロボクシングにおいて、私の記憶に残っている印象深い試合は沢山あります。世界タイトルマッチから、少し挙げてみます。

① 1965年5月 エデル・ジョフレVSファイティング原田 バンタム級
② 1967年4月 サンドロ・ロボポロVS藤猛 スーパーライト級
③ 1967年12月 沼田義明VS小林弘 ジュニアライト級
④ 1980年6月 ロベルト・デュランVSシュガー・レイ・レナード ウェルター級
⑤ 1981年9月 トーマス・ハーンズVSシュガー・レイ・レナード ウェルター級
⑥ 1984年6月 トーマス・ハーンズVSロベルト・デュラン スーパーウェルター級
⑦ 1985年4月 トーマス・ハーンズVSマービン・ハグラー ミドル級
⑧ 1987年4月 マービン・ハグラーVSシュガー・レイ・レナード ミドル級

 取り敢えず、これくらい挙げてみました。どの試合も、それを採り上げるだけで本ブログのひとつの稿になります。
 もちろん、大場政夫、輪島功一といった日本人チャンピオンの試合や、カシアス・クレイ=モハメド・アリやジョー・フレーザーのヘビー級の試合など、他にも名試合は沢山ありますが、やはり上記の日本人ボクサーの試合と、1980年代の世界の中量級で展開された数々の試合は格別でした。

 小林弘選手は、75戦61勝10敗4引分という生涯成績を誇りますが、世界チャンピオンを陥落しても試合を続けました。本物のプロフェッショナルとしての試合ぶりが、とても印象的です。
 小林選手を始めとする名選手達の活躍により、1970年前後の日本プロボクシング界にはひとつの黄金時代が到来し、ちばてつや氏による1973年の「矢吹丈VSホセ・メンドーサ」のバンタム級世界タイトルマッチが実現?したのだと思います。

 トーマス・ハーンズ(アメリカ)は、中量級で5階級の世界チャンピオンとなりました。基本的には極めて能力が高いアウトボクサーなのですが、パンチ力にも自信を持っていて、ファイタータイプのボクサーと壮絶な打ち合いを展開した点が、一層彼のキャリアを輝かしいものにしています。

 そういえば、昨日の試合の解説者は、元WBA世界スーパーフライ級チャンピオンの鬼塚勝也氏でした。
 亀田興毅選手のファイトを観ながら、鬼塚氏の解説を聴いていましたら、矢尾板貞雄氏の解説を想い出しました。矢尾板氏は、プロボクシング解説者の草分的存在の方で、当時の大試合を一層盛り上げてくれる解説が印象的でした。
 何か、話し方も声も指摘内容も似てきたように感じさせる鬼塚氏の解説は、矢尾板氏クラスになってきたのかもしれません。

 解説もエンターテイメントとしてのプロボクシングにとって重要な要素です。このところ、やや元気が無かったように感じられる日本プロボクシング界ですが、そろそろ反撃の体勢が整ってきているのかもしれません。

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