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HOME   »   NFL  »  [NFL] デンバー・ブロンコス地区優勝!
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 今季のNFLレギュラーシーズン第13週、AFC西地区のデンバー・ブロンコス対NFC南地区のタンパベイ・バッカニアーズのゲームは、31-23のスコアでデンバーが勝ちました。デンバーは7連勝の快進撃で通算成績を9勝3敗とし、レギュラーシーズン4試合を残してAFC西地区の優勝を決めました。

 本ブログでは、今季NFLの注目点のひとつとして、デンバーのクォーターバックQBペイトン・マニングの復活を挙げましたが、ペイトンは見事な結果を残していることになります。

 インディアナポリス・コルツのQBとして、スーパーボール制覇を始めとして、数々の栄光に包まれてきたペイトン・マニングは、首の故障により昨シーズン一度の出場も無く、今季デンバーに移籍しました。新チームのQBとして、どのようなプレーを見せるかは、今季NFLの最注目点のひとつでした。

 2勝3敗のスタートを切った時には、負け越してはいるものの、ペイトン自身の動きも良く、チームとのフィッティングも上々でしたから、シーズン後半が楽しみでした。とはいえ、いくらペイトンでも、最初のシーズンからプレーオフに進出できるかは、難しいところだと思っていました。何しろNFLなのですから。

 ところが、シーズンが深まるとともに、ペイトン・マニングとデンバー・ブロンコスの調子はどんどん向上し、快進撃が始まりました。既に終了した第14週のゲーム、対オークランド・レイダーズとの同地区対決も26-13でデンバーが勝ちましたので、これで8連勝・10勝3敗となりました。プレーオフゲームにおけるホーム競技場でのプレーも展望できる、素晴らしい成績です。

 第13週の対バッカニアーズ戦は、デンバーのホーム・マイルハイスタジアムで行われましたが、このゲームの序盤に興味深い事象がありました。
 デンバーの攻撃中、ペイトン・マニングが面白い動きをフィールド上で見せたのです。ペイトンは、鳥のように両手を広げて上下させました。何回か行いました。最初は、何の動きか解らなかったのですが、何回か観るうちに「観客に静かにするように」というジェスチャーであることが解りました。

 ペイトン・マニングのQBプレーの特徴のひとつに「オーディブル(audible call)」と呼ばれるプレーの直前の変更があります。
 アメリカンフットボールは、プレー毎に攻撃側が次のプレーをデザインし、守備側も攻撃側のプレーを予想して次のプレーを準備します。
 ペイトン・マニングは、守備側の選手の配置などを瞬時に読み取り、用意された攻撃側のプレーを、プレー開始直前に変更するのです。この変更をオーディブルと呼ぶのですが、短時間(数秒の間)に変更することを味方プレーヤーに伝達しなくてはなりませんから、大声で叫びます。各々のポジションのプレーヤーの近くに行って、変更内容を暗号(番号や色)で伝えるのです。
 
 NFLでは、攻撃側には少なくとも数百種類の攻撃パターンが用意されていて、その中からコーチやQBが次のプレーを選択し、各プレーヤーが選択されたプレーを実施していくスポーツです。各プレーヤーも数百のプレーを全て憶えているわけですが、このプレーを数秒の間に変更するのですから、オーディブルはとても難しい行為ということになります。(前のプレーから、次のプレーまでに許されている時間は25秒間です。25秒の間に、まず円陣を組んで次の攻撃プレーを伝達し、攻撃体制を組んで、相手の様子によってオーディブル=攻撃プレー・体制の変更を行うのです)

 このオーディブルの指示をペイトン・マニングが大声で、残る10人のプレーヤーに伝える際に、観客の声援が大きすぎて聞こえにくくなっていると判断し、観客に静かにするようにという指示を出すために、鳥のような仕草をしたということになります。
 ホームスタジアムでなければ、到底受け入れてもらえない行為ですし、ホームスタジアムだとしても、高価なチケットを購入し、心底楽しみにして来場している観客の応援の声を制御するというのは、あまり観たことが無く、ペイトン・マニングならではの行為だと思いました。

 しばらくすると、観客は静かになりました。そして、スタジアムの大きなビジョンには、ペイトン・マニングと静かに見ている観客の映像が半々の形で映し出されました。観客も納得して、歓声を上げるのをやめたのです。驚くべき光景でした。

 エンターテイメントにおいては、常に全力で?楽しむアメリカの観客が、デンバーの攻撃の際には、極めて静かになるのです。NFLやMLBなどで、相手チームがタッチダウンをしたり、ホームランを打ったりした時に、何もなかったかのように静かになる観客は何度も観ましたが、味方チームの攻撃の際に、QBの指示で静かになる観客は、なかなか見られないものです。
 そのかわり、ペイトンのパスが決まった瞬間などは、もの凄い声援がスタジアム中に響き渡ることは、言うまでもありません。観客は、贔屓チームとペイトン・マニングを心から応援し、楽しんでいるのです。

 ちなみに、相手チームの競技場でプレーするときには、自軍の攻撃の際にはクラウドノイズと呼ばれる騒音が響き渡ります。クラウドノイズ対策として、QBは手指でオーディブルの指示を出すのですが、やはり大声に比べて伝達力が弱く、変更内容の種類も制限されますので、オーディブルが行いにくくなります。ホームスタジアムの方が有利な理由のひとつでもあります。

 ペイトン・マニングは完璧主義者であるといわれます。オフェンスのプレーが終了し、ディフェンスの時間帯になると、フィールド横のエリアに味方のオフェンスプレーヤーを集めて、プレーにおける注意点などを細かに伝達し、徹底を図ります。この試合でも、何度もその光景がテレビに映し出されました。各プレーヤーの配置、動きはもちろんとして、体の角度などの細部に及ぶ、極めて精緻な指示だと言われています。

 今季、新チームに加わったペイトン・マニングは、最初のゲームから継続してこの試合中のミーティングを行っています。そして、12試合目となるこのゲームでも、ミーティングを行います。こうして、デンバー・ブロンコスはペイトン・マニングのチームに育っていくのです。これほど徹底して、ゲーム中のミーティングを行うQBは、NFLでも、ペイトン・マニング以外には居ないと思います。

 チームの他のメンバーも、ペイトンの指示通りにプレーすることで、例えばラインメンは綺麗に穴を開けることができますし、ランニングバックはランが出ますし、ワイドレシーバーは長いパスやタッチダウンパスを受けることができますので、自身の成績も上げることができますから、次第にペイトンの言うことを受け入れるようになります。
 何か、ペイトンがオフェンスコーチを兼務しているような状態ですが、ペイトン・マニングをQBに据えるチームのオフェンスコーチは、これを受け入れる必要があるのでしょう。

 既に、デンバー・ブロンコスというチームを相当に手の内に入れ、ホームの観客も手の内に入れつつあるペイトン・マニングは、早々と地区優勝→プレーオフ進出を決めました。何か、インディアナポリス・コルツ時代を凌いでいるようなプレー振りです。
 昨季AFC西地区でレギュラーシーズン8勝8敗だったデンバー・ブロンコスは、現在10勝3敗で走っています。ひょっとすると、スーパーボールまで走り続けるかもしれません。
 そして、ペイトン・マニングは、またひとつ伝説を積み上げるのでしょうか。

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