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HOME   »   高校野球  »  [夏の甲子園2015] バントのミスが多い大会?
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 バントは甲子園大会の伝統的な戦法です。

 バント戦法は、相手チームに「ひとつのアウトを献上」する代わりに、自軍のランナーの塁をひとつ進めることを目的とするものです。
 甲子園大会の様なレベルの高い大会・試合で、ひとつのアウトを取ることは容易なことでは無いというか、とても難しいことを踏まえれば、「ひとつのアウトを献上する」というのは、相手チームにとっても自軍にとっても大変大きなことですので、バント戦法を取る時には、しっかりと決めなければならないのは当然のことです。

 そして、「ひとつのアウトを献上する」プレーにも拘らず、甲子園大会の攻撃において極めて多用され、伝統的な戦法となっている理由は、「ランナーを次の塁に進める」という目的を達成するために「最も確率が高い戦法」であるからに他なりません。
 成功確率が高い戦法であるからこそ、どのチームもバントを採用するのです。

 ところが今大会では、そのバントプレーにミスや失敗がとても多いように観えます。

① 打者自らも生きようとするバントの意味

 送りバントの場面で、セーフティバントのようなプレーを見せることが多い。そしてファウルを連発し、2ストライクに追い込まれて、3バント失敗の三振や凡打という結果に追い込まれて、当初の目的であった「ランナーを次の塁に進める」ことに失敗するのです。

 「自らが活きようとして、ランナーを進めることを忘れる」というのは、本末転倒のプレーです。いったい何の為に「確率が高い」バントプレーを行うのか分からないということになります。

 「セーフティ気味の送りバント」というのは、その言葉・行為自体が矛盾していると言えるのかもしれません。

② 相手チームのバントシフトに対して

 甲子園大会の伝統的プレーであるバント戦法に対しては、守備側も様々な工夫を凝らしてきました。バントをして来る可能性が極めて高いシチュエーションで、守備側が対応策を施してくるのは、当然のことです。内野手の前進や守備位置の工夫、ピッチャーが投ずる投球の球種・コースをも含めて、守備側も必死のプレーを展開するのです。

 このバント対応技術が向上してきたために、バントをする側も「転がすエリアが限定される」ため、バントのミスが増えているという見方もあります。

 こうした見方にも一理あるのでしょうが、今大会のバント失敗多発の主たる要因ではないと考えます。
 野球の本質である「時間を稼ぐ」プレーとしてのバント戦法の価値は、本質的には減じていないと思うからです。
 もし、守備技術の進歩の為にバント戦法の価値が下がっているのであれば、これほど多くのチームがバント戦法の採用を続ける筈が無いからです。
 試合序盤で無死1塁の状況であれば、今大会でも殆どのチームが送りバントを採用しています。

 バントの失敗・ミスが多発している主たる理由は、バントをする側の技術面の問題なのでしょう。

③ バントの空振り

 例えば、スクイズバントにおける空振りがいくつも観られます。

 無死あるいは1アウトでランナーが3塁に居る場合に、「ランナーが本塁に到達するために時間を稼ぐ戦法」として、確率が高いスクイズバントが採用されるのです。

 ところが、このバントで空振りしてしまう。相手バッテリーに見抜かれて、バントが出来ない位置に投球されてしまい、空振りしてしまうというのは過去にも多く観られました。これは「プレーの読み合い」の中で発生する事象ですから、本記事でいうところの空振りとは違います。

 今大会時折見られるのは、ベース上に投じられた投球を空振りしてしまうスクイズバントです。
 普通に打つより、バットに当てられる確率が高いからこそ採用されるプレーで空振りしてしまうというのは、本当に残念なプレーということになります。

 当該プレーを行ってしまった選手がバント下手なのか、チームとしてバント練習が不足しているのか、緊張のあまりバントも出来ないのか、その理由は分かりませんが、不思議なことに空振りしてしまうのです。

 高校野球のチームにおいて、甲子園大会の伝統的プレーであるバント戦法を練習していない、あるいは練習不足というのは考えにくいところですから、前述3番目の理由が最も可能性が高いのかもしれません。
 
④ ストライクの投球をバントするというやり方

 投球がストライクコースに来たボールをバントする、というバント戦法も増えているようですが、これもバント戦法の本質から離れたプレーであると思います。

 多少のボール球でもバットに当てることが出来、「ランナーが次の塁に走り込むための時間を稼ぐことが出来る」というのが、バント戦法の特徴でしょう。
 であれば、監督がサインを出したボール、「この一球」でプレーを実行するのがバント戦法であるべきです。

 ところが、打者が打席で「ストライクかボールか」を判断して、ストライクならバントするというプレーが増えているようです。バントをするには難しいコースの投球をバントすることで、フライアウトになってしまったり、空振りとなってしまいランナーがアウトになることを回避するためのやり方だと思いますが、弊害も多いようです。

 まず、ランナーが「このボールならバントをする」と予測判断して飛び出したものの、バッターがバントをしなかったためにアウトになってしまうプレー。
 また、2塁ランナーが「ストライクだ。バントする。」と判断して大きく飛び出し、捕手からの送球でアウトになってしまうプレー。こうしたプレーは時々見られます。

 打者に「ストライクがボールか」を判断させ、ランナーにも同様の判断をさせるというプレーは、プレーの構成要素・変数が増えてしまい、リスクが増加します。
 本来「確率が高いプレー」である筈のバント戦法とは、「矛盾した味付け」なのではないでしょうか。

 やはり、「この1球」と決めたボールでトライする方が、バント戦法の本質に叶っているように思います。

 今大会では、ストライク・バントを指示された打者が、ストライク投球をバントすることが出来ず(見送り続け)、その都度手を広げて「走るな」という合図をランナーに対して行い、3ストライク目も見送って、ランナーに向かって手を広げながら三振を喫する、というシーンも有りました。
 こうした複雑なプレーを試合で行う前に、「ストライクとボールの見極め」を練習する方が先のような気がします。

 頭書の通り、バント戦法は「相手チームにひとつのアウトを献上する」プレーです。
 ストライクが入らず、四球を出してしまって困っている投手や相手チームにとっては、とても有り難いワンアウトです。
 「貴重な攻撃機会のひとつを自ら放棄する」のですから、確実にランナーを進める必要があるのです。

 セーフティ気味にバントしてファウルを打ってしまいカウントを悪くし三振してしまうとか、ストライク・バントを意識するあまりランナーとの連携に失敗してしまうとか、小フライを上げてダブルプレーに打ち取られる、といったプレーは絶対に回避しなくてはなりません。
 「上手く行ったとしてもアウトカウントがひとつ増えるプレー」なのですから。

 こうした「重い意味を持つプレー」は、「基本に忠実」に行わなければならないのでしょう。最初からバントのスタイルを取り、腰を落として、心静かに投球を待ち、ボールを良く観て、ボールをバットに正確に当て、グランドにボールを転がしていくプレーが求められます。

 普通に打つのかバントをするのか、相手チームに分かり難い打撃姿勢で投球を待ち、ストライクがボールかを判断して、あわよくば自らも生きようとするようなバントプレーは、バント戦法の本質・やらなければならないプレーから、かけ離れたものになっているのでは無いでしょうか。

 打者は「打席内でやらなければならないことが沢山有り過ぎる」ために、甲子園大会という大舞台では心身ともに落ち着くことが出来ず、バントを失敗し、当初の目的である「走者を次の塁に進めるための時間を稼ぐプレー」をすることを忘れてしまうのかもしれません。

 バント戦法は、その成功確率の高さから、今後も甲子園大会の戦法として多用されていくことでしょう。

 基本に忠実なバントは、観ていても美しいものです。
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